(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】L-チロキシンに対する新規なモノクローナル抗体およびその診断的使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/26 20060101AFI20241210BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241210BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241210BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241210BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241210BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241210BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241210BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241210BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241210BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C07K16/26 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
G01N33/53 E
G01N33/531 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527527
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2022080897
(87)【国際公開番号】W WO2023083723
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルク,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハルドーソン,シュタイナー
(72)【発明者】
【氏名】ヒルツェル,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ホイヤー,カロリーネ・ドロテア
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼル,ハンス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ユックニシュケ,ウテ
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】マルキナ,アナスタシア
(72)【発明者】
【氏名】プレンシプ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】フォン プロフ,レオポルト
(72)【発明者】
【氏名】シュレームル,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、L-チロキシン(T4)に特異的に結合する新規なモノクローナル抗体、ならびにそのような抗体を含む組成物およびキットを提供する。さらに、そのようなモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド、前記抗体を発現する宿主細胞、そのような抗体を産生する方法、およびそのようなモノクローナル抗体を使用する診断方法が提供される。本発明のモノクローナル抗体は、33位にVまたはA;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG、AまたはV;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にGまたはA;92位にY、WまたはF;93位にSまたはT;95b位にYまたはF;95c位にN、S、TまたはQ;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含み、VHおよびVLにおけるアミノ酸の位置は、それぞれKabatナンバリングスキームに従って示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)33位にVまたはA;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG、AまたはV;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にGまたはA;92位にY、WまたはF;93位にSまたはT;95b位にYまたはF;95c位にN、S、TまたはQ;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含み、
前記VHおよび前記VL中の前記アミノ酸の位置は、それぞれKabatナンバリングスキームに従って示される、モノクローナル抗体。
【請求項2】
前記VHが、34位にM、L、IもしくはV;35位にN、S、TもしくはQ;51位にI、A、LもしくはV;52a位にTもしくはS;53位にR、G、DもしくはK;97位にH、A、RもしくはK;および/または100a位にN、AもしくはQを含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示され、ならびに/または前記VLが、30位にN、Q、SもしくはT;31位にA、NもしくはV;94位にG、AもしくはS;95位にS、G、N、Q;95a位にT、SもしくはG;および/または97位にV、A、IもしくはLを含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、モノクローナル抗体。
【請求項4】
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
37℃の温度において、T4との前記モノクローナル抗体の会合速度定数(k
a)が、1.9*10
7M
-1sec
-1以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
T4への結合についての前記会合速度定数(k
a)が、配列番号48の重鎖および配列番号49の軽鎖を含むかまたはそれらからなる抗体のT4への前記結合についての会合速度定数(k
a)の少なくとも10%に対応し、会合速度定数が同一の実験条件下で測定される、請求項1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体が、T4を、3-ヨード-L-チロシン(L-T3)、r甲状腺ホルモン(rT3)、3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸、3,5-ジ-ヨード-L-チロシンおよび/または3-i-L-チロシンと識別する、請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体が、T4を定量するための競合的イムノアッセイにおいて使用される場合、他の点では同一のイムノアッセイ設定において、配列番号48の重鎖配列および配列番号49の軽鎖配列を有するFabフラグメントを用いて達成されるシグナル対ノイズ比の少なくとも29%、実施形態において65%および実施形態において少なくとも95%であるシグナル対ノイズ比を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項9】
ポリヌクレオチドであって、
(i)請求項1~8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の前記重鎖もしくは重鎖可変ドメイン、および/または
(ii)請求項1~8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の前記軽鎖もしくは軽鎖可変ドメイン
をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項9に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項11】
請求項9に記載のポリヌクレオチドまたは請求項10に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を産生する方法であって、前記方法が、請求項11に記載の宿主細胞を培養することと、前記抗体を単離することとを含む、方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10に記載のベクター、および/または請求項11に記載の宿主細胞を含む、組成物。
【請求項14】
試料中のT4、特に遊離T4のインビトロ検出または定量のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体または請求項13に記載の組成物の使用。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体を使用して、試料中のT4、特に遊離T4を定量するためのインビトロイムノアッセイ方法。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体または請求項13に記載の組成物を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L-チロキシン(T4)に対する新規なモノクローナル抗体、ならびにそのような抗体を含む組成物およびキットを提供する。さらに、そのようなモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド、前記抗体を発現する宿主細胞、そのような抗体を産生する方法、およびそのようなモノクローナル抗体を使用する診断方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
L-チロキシンホルモン(本明細書では、後にL-T4またはT4と呼ばれる;CAS番号:51-48-9)は、甲状腺によって血流中に分泌される主要な甲状腺ホルモンである。トリヨードチロニン(T3)と共に、それは身体の代謝速度を調節するのに重要な役割を果たし、心血管系、成長および骨代謝に影響を及ぼし、性腺機能および神経系の正常な発達に重要である(Kronenberg HM et al.Williams Textbook of Endocrinology.Saunders Elsevier,Philadelphia,12th edition,2011,chapter 10,p.301-311)。T4は、遊離および血清結合ホルモンの平衡混合物として血流中を循環する。遊離T4(fT4)は、未結合の生物学的に活性な形態であり、総T4のわずか0.03%に相当する。残りのT4は不活性であり、チロキシン結合グロブリン(TBG)(75%)、プレアルブミン(15%)、およびアルブミン(10%)等の血清タンパク質に結合する(Robbins J,Rall JE.Recent Prog Horm Res 1957;13:161-208;Oppenheimer JH.N Engl J Med 1968;278(21):1153-1162;DeGroot LJ,Larsen PR,Hennemann G.Wiley and Sons,New York,1984:62-65;Ekins RP.Endocr Rev 1990;11(1):5-46)。遊離T4の測定は、これらの結合タンパク質の濃度および結合特性の変化とは無関係であるという利点を有し、したがって、結合パラメーター(T取り込み、TBG)の追加の決定は不要である。したがって、遊離T4は、甲状腺状態の評価のための臨床ルーチン診断における有用なツールである。甲状腺障害が疑われ、甲状腺抑制療法をモニタリングするのにも適している場合、それはTSHと一緒に測定されるべきである(Kronenberg HM,Melmed S,Polonsky KS,et al.Williams Textbook of Endocrinology.Saunders Elsevier,Philadelphia,12th edition,2011,chapter 10,p.301-311;Wu AHB.Tietz Clinical Guide To Laboratory Tests.Saunders Elsevier,Philadelphia,4th edition,2006,section II,p.1076-1077;Brent GA.Thyroid Function Testing.Springer,Berlin,1st edition,2010,chapter 5,p.86-88)。
【0003】
遊離甲状腺ホルモンレベルを推定するための様々な方法が利用可能である。平衡透析または限外濾過によるfT4およびfT3の直接測定は、通例の診断目的に一般的に使用される免疫学的手順を標準化するための参照方法として主に使用される(Wu AHB.Tietz Clinical Guide To Laboratory Tests.Saunders Elsevier,Philadelphia,4th edition,2006,section II,p.1076-1077;Brent GA.Thyroid Function Testing.Springer,Berlin,1st edition,2010,chapter 5,p.86-88)。
【0004】
いくつかの市販の完全自動化fT4および総T4イムノアッセイは、例えばヒツジまたはウサギで産生されたポリクローナル抗体を使用する。しかしながら、日常的なインビトロ診断製品のためのポリクローナル抗体の使用からいくつかの欠点が生じる:1)動物血清からの起源のために、抗体調製物の大部分は最初に非特異的IgGで存在することから、通常、標的特異的抗体は、例えば、溶出工程中に抗体を好ましくない条件、例えば低pHまたは他の変性条件に曝露するアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製しなければならず、部分的なアンフォールディングに起因する精製抗体の疎水性の増強をもたらし得る。高親和性抗体の喪失さえも、それらが抗体の完全な変性なしに標的から全く溶出され得ない場合に起こり得る。2)哺乳動物免疫系の性質のために、産生された抗体の品質は、親和性および特異性の分布に関して異なる動物間で非常に可変であり得、また、経時的に連続して採取された単一の動物からの出血は、必然的に、標的特異的抗体の親和性、特異性、また濃度の分布に関して変化する。明らかに、これは抗体調製物自体のロット間変動の問題を引き起こすが、結果として、異なるロットの精製ポリクローナル抗体を用いて生成されたイムノアッセイの挙動が変化するリスクももたらす。
【0005】
ポリクローナル抗体の欠点にもかかわらず、それに基づく市販のイムノアッセイ、例えば特にElecsys(登録商標)FT4 III(材料番号07976836190)は、交差反応物に関して良好な分析感度および低い交差反応性を示す。
【0006】
モノクローナル抗体を作製するための強力な方法でさえも、先行技術において利用可能であり(例えば、KOHLER,G.,MILSTEIN,C.Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity.Nature 256,495-497(1975).https://doi.org/10.1038/256495a0)、シグナル動力学および分析物特異性を失うことなく、イムノアッセイにおいてポリクローナル抗体を置き換えることは自明ではない。特に、L-T4等のハプテン分析物に関しては、構造的に密接に関連する構造との望ましくない交差反応を示すことなく優れた速度論的特徴を提供するモノクローナル抗体を同定することは困難である。
【0007】
したがって、L-T4(例えば、fT4)を構造的に関連する物質/誘導体と十分に識別することができる優れた速度論的特徴を有する新しいモノクローナルL-T4抗体を提供する必要性が高い。さらに、モノクローナル抗体に基づくL-T4(例えば、fT4)イムノアッセイを提供する必要があり、これは、ポリクローナル抗体に基づく以前に利用可能でよく受け入れられているアッセイよりも、交差反応物に関する分析性能および/または特異性が類似しているか、更には改善されていることを示す。
【発明の概要】
【0008】
上記の必要性は、本明細書に記載の本発明によって対処される。
【0009】
第1の態様において、本発明は、L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。T4に結合する840のモノクローナル抗体のセットの中で、本発明者らは、驚くべきことに、T4への結合について並外れて高い会合速度定数(ka)を共有するCDR配列において非常に高い配列同一性を有する3つの密接に関連する抗体のファミリーを同定した。このような高い会合速度定数は、Elecsys(登録商標)ベースのイムノアッセイ等のハイスループットイムノアッセイにおいて重要であり、この場合、利用可能な抗体-抗原複合体の形成には典型的には非常に短い時間しかない。さらに、本発明の抗体は、fT4に対するKDとの結合親和性がサブナノモル濃度の範囲であることを特徴とする。本明細書で提供される抗体のファミリーは、fT4に対する高い特異性を更に特徴とし、特にfT4を密接に関連する化合物と識別することができる(下記を参照)。
【0010】
合わせて、これらの特徴は、特に試料中のfT4のレベルを検出するための競合的イムノアッセイにおいて使用される場合、本発明の第1の態様による抗体を優れたモノクローナル抗体のセットにする。それらの速度論的特徴により、本発明の第1の態様によるモノクローナル抗体は、以前に使用されたポリクローナル抗体を効率的に置き換えることができ、それにより、ポリクローナル抗体に関連する全ての欠点を克服することができる。異なる抗体の混合物を含むポリクローナル抗体の性能が、単一のモノクローナル抗体によって非常によく模倣され得ることは、驚くべき発見である。
【0011】
T4との複合体における抗体38F8(実施例4のイムノアッセイ実験において最良の性能を有する同定された抗体ファミリーのメンバー)の結晶構造は、T4と直接相互作用する全てのアミノ酸残基を明らかにした。驚くべきことに、これらのアミノ酸は、同定された抗体ファミリーの他の2つの抗体7D4および7E10において大部分が同一である。この高い同一性は、3つ全ての同定された抗体が少なくとも大部分同一の相互作用パターンを共有することを確認する。いくつかの相違点は、特にT4に対する特異性ならびにT4への結合に対する会合速度およびKDに関する限り、それぞれのアミノ酸位置において、特定の配列バリエーションが抗体機能に劇的な影響を及ぼさないことを実証している。
【0012】
共結晶構造によって同定された抗体38F8のパラトープを
図5に示す。実施例7は、抗体ファミリー38F8、7E10および7D4内の配列バリエーションに基づく可能なアミノ酸置換を定義したインシリコアプローチおよびモデリングアプローチを記載する。
【0013】
これらの分析によって実証されるように、本発明のモノクローナル抗体は、
i)33位にVまたはA;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG、AまたはV;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にGまたはA;92位にY、WまたはF;93位にSまたはT;95b位にYまたはF;95c位にN、S、TまたはQ;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含み得る。
【0014】
上に定義された残基は、L-T4との38F8の共結晶構造においてT4と直接相互作用すると同定された。アミノ酸の上記の全ての位置は、それぞれVHおよびVLのKabatナンバリングスキームに従って示される。
【0015】
実施形態において、T4に結合するためのモノクローナル抗体のパラトープは、33位、50位、52位、98位、99位、100位および100b位のVHのアミノ酸ならびに28位、29位、32位、91位、92位、93位、95b位、95c位および96位のVLのアミノ酸を含む。ここでも、全ての位置がKabatナンバリングスキームに従って示されている。
【0016】
パラトープに属するアミノ酸残基を決定する方法は当技術分野で公知である。好ましい方法は、L-T4と複合体化した抗体の結晶化である。そのような結晶化のための例示的な実施形態は、添付の実施例に提供される。添付の実施例において使用および記載される設定は、他のT4抗体にも適用することができる。そのような説明に基づいて、当業者によって軽微な適合を容易に行うことができる。
【0017】
したがって、本明細書では、パラトープを含むL-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体が提供され、当該パラトープは、
i)33位にVまたはA;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG、AまたはV;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にGまたはA;92位にY、WまたはF;93位にSまたはT;95b位にYまたはF;95c位にN、S、TまたはQ;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含むか、またはこれからなり、
式中、全ての位置は、Kabat命名法に従って命名されている。
【0018】
特定の実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)33位にVまたはA;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG、AまたはV;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にGまたはA;92位にY、WまたはF;93位にSまたはT;95b位にYまたはF;95c位にN、S、またはT;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含み、
全ての位置は、Kabat命名法に従って注釈が付けられている。
他の実施形態において、第1の態様のモノクローナル抗体は、
i)33位にV;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にG;92位にYまたはW;93位にS;95b位にY;95c位にNまたはS;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含み、
全ての位置は、Kabat命名法に従って注釈が付けられている。
【0019】
好ましい実施形態において、第1の態様のモノクローナル抗体は、抗体クローン38F8においてT4と直接相互作用することが見出された残基を含む。
【0020】
したがって、モノクローナル抗体は、
i)33位にV;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸H;29位にN;32位にW;91位にG;92位にY;93位にS;95b位にY;95c位にN;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含み得、
全ての位置は、Kabat命名法に従って注釈が付けられている。
【0021】
別の好ましい実施形態において、第1の態様のモノクローナル抗体は、38F8のパラトープ残基に対応する抗体7D4に見られる残基を含む。したがって、実施形態において、第1のモノクローナル抗体は、
i)33位にV;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸Y;29位にK;32位にW;91位にG;92位にW;93位にS;95b位にY;95c位にS;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含み得、
全ての位置は、Kabat命名法に従って注釈が付けられている。
【0022】
別の好ましい実施形態において、第1の態様のモノクローナル抗体は、38F8のパラトープ残基に対応する抗体7E10に見られる残基を含む。したがって、モノクローナル抗体は、
i)33位にV;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸Y;29位にK;32位にW;91位にG;92位にW;93位にS;95b位にY;95c位にN;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含み得、
全ての位置は、Kabat命名法に従って注釈が付けられている。
【0023】
添付の実施例で詳述するように、KabatナンバリングスキームによるVHの34、35、51、52a、53、97および/または100aの位置のアミノ酸ならびにKabatナンバリングスキームによるVLの30、31、94、95、95aおよび/または97の位置のアミノ酸は、T4と直接相互作用するアミノ酸の位置決めに何らかの関連性があるというインシリコの証拠がある。しかし、密接に関連する抗体38F8、7E10および7D4に見られるようなこれらのアミノ酸位置のバリエーションによって、または添付の実施例においてインシリコで評価されるように、他のアミノ酸への少なくとも特定のアミノ酸交換は、これらの位置で許容される(表XXも参照)。
【0024】
本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にM、L、IもしくはV;35位にN、S、TもしくはQ;51位にI、A、LもしくはV、52a位にTもしくはS;53位にR、G、DもしくはK;97位にH、A、RもしくはK;および/または100a位にN、AもしくはQを含み得、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。
【0025】
一実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にM、L、もしくはI;35位にN、S、もしくはT;51位にI、A、もしくはL、52a位にTもしくはS;53位にR、G、DもしくはK;97位にH、A、RもしくはK;および/または100a位にN、AもしくはQを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。
【0026】
特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にMもしくはL;35位にN;51位にI、52a位にT;53位にR、GもしくはD;97位にHもしくはA;および/または100a位にNもしくはAを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。
【0027】
更により具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にM;35位にN;51位にI、52a位にT;53位にR;97位にH;および/または100a位にNを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。
【0028】
更により具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にM;35位にN;51位にI、52a位にT;53位にR;97位にH;および100a位にNを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。これらのアミノ酸は、例えば、抗体38F8のVH中に見出すことができる。
【0029】
別の具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にL;35位にN;51位にI、52a位にT;53位にG;97位にA;および100a位にAを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。これらのアミノ酸は、例えば、抗体7D4のVH中に見出すことができる。
【0030】
別の具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、34位にM;35位にN;51位にI、52a位にT;53位にD;97位にA;および100a位にAを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。これらのアミノ酸は、例えば、抗体7E10のVH中に見出すことができる。
【0031】
本発明のモノクローナル抗体のVLは、30位にN、Q、SもしくはT;31位にA、NもしくはV;94位にG、AもしくはS;95位にS、G、NもしくはQ;95a位にT、SもしくはG;および/または97位にV、A、IもしくはLを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。
【0032】
一実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、30位にN;31位にAもしくはN;94位にG、AもしくはS;95位にS、G、もしくはN;95a位にT、SもしくはG;および/または97位にVもしくはAを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。
【0033】
更により具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、30位にN;31位にA;94位にG;95位にS;95a位にT;および/または97位にVを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。これらのアミノ酸は、例えば、抗体38F8のVL中に見出すことができる。
【0034】
別の具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、30位にN;31位にN;94位にA;95位にG;95a位にG;および/または97位にAを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。これらのアミノ酸は、例えば、抗体7D4のVL中に見出すことができる。
【0035】
別の具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、30位にN;31位にN;94位にS;95位にN;95a位にS;および/または97位にAを含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。これらのアミノ酸は、例えば、抗体7E10のVL中に見出すことができる。
【0036】
添付の実施例で論じるように、(i)結晶構造に従ってT4と相互作用せず、(ii)相互作用残基を配置するのに関連すると同定されなかった、T4に対する新規抗体のCDR中のアミノ酸は、他のアミノ酸で置換することができる。これらのアミノ酸位置は、CDR(好ましくはKabatナンバリングスキームによって定義される)中の、KabatナンバリングスキームによるVHの33位、50位、52位、98位、99位、100位、100b位、34位、35位、51位、52a位、53位、97位および100a位ならびにVLの28位、29位、32位、91位、92位、93位、95b位、95c位、96位、30位、31位、94位、95位、95a位および97位におけるアミノ酸残基以外の全てのアミノ酸を含む。実施形態において、Kabatナンバリングスキームによる以下のアミノ酸位置を他のアミノ酸で置換することができる:
i)VHの31位、32位、54位~65位、95位、96位、100c位、101位および102位;ならびに
ii)VLの24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、33位、34位、50位~56位、89位および90位。
【0037】
本発明の抗体のVHは、プロリン以外の任意のアミノ酸(例えば、プロリン以外の任意の天然に存在するアミノ酸)、実施形態において、プロリンまたはシステイン以外の任意のアミノ酸(例えば、PまたはC以外の任意の天然に存在するアミノ酸)から独立して選択される31位および32位(Kabatナンバリングスキームに従う)のアミノ酸を含み得る。実施形態において、VHは、Kabatナンバリングスキームに従って、31位にS、Rもしくはその保存的置換、および/またはKabatナンバリングスキームに従って、32位にNもしくはその保存的置換を含む。例えば、KabatナンバリングによるVHの位置31のアミノ酸は、SまたはRから選択され得る。32位のアミノ酸はNであってもよい。具体的な実施形態において、VHは、Kabatナンバリングスキームに従って、31位にSまたはRを含み、および/またはKabatナンバリングスキームに従って、32位にNを含む。
【0038】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHのCDR-H1は、Kabatナンバリングスキームに従って、31位~35位を含む。更により好ましい実施形態において、VHのCDR-H1は、Kabatナンバリングスキームに従って、31位~35位からなる。
【0039】
本発明のモノクローナル抗体のVHは、好ましくは、Kabatナンバリングスキームに従って、54位~65位にアミノ酸を含む。54位~65位のこれらのアミノ酸は、プロリン以外の任意のアミノ酸(例えば、プロリン以外の任意の天然に存在するアミノ酸であり得る)からそれぞれ個別に選択されてもよく、実施形態において、プロリンまたはシステイン以外の任意のアミノ酸(例えば、PまたはC以外の任意の天然に存在するアミノ酸であり得る)から選択されてもよい。実施形態において、Kabatナンバリングスキームによる54位~65位のアミノ酸は、アミノ酸配列SGNTYYASWAKG(配列番号2)、または12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下もしくは1以下のアミノ酸交換を有するその変異体を有し得る。好ましくは、54位~65位のいずれもプロリンではなく、または実施形態においてプロリンおよびシステインではない。好ましい実施形態において、Kabatナンバリングスキームに従って、54位~65位のアミノ酸は、アミノ酸配列SGNTYYASWAKG(配列番号2)または2以下のアミノ酸交換を有するその変異体を有し得、54位~65位のいずれもプロリンではなく、または実施形態においてプロリンおよびシステインでもない。実施形態において、配列番号2における全てのアミノ酸交換がそれぞれ個別に保存的アミノ酸交換であり得る。具体的な実施形態において、Kabatナンバリングスキームに従って、54位~65位のアミノ酸配列は、以下からなる群から選択され得る:SGNTYYASWAKG(配列番号1)、SGNTYYATWAKG(配列番号2)またはSGSTYYATWAKG(配列番号3)。これらは、抗体38F8、7D4および7E10に見られる対応する配列である。
【0040】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHのCDR-H2は、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、52a位および53位~65(すなわち、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、63位および65位)を含む。好ましい実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHのCDR-H2は、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、52a位および53位~65(すなわち、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、63位および65位)からなる。
【0041】
実施形態において、VHは、Kabatナンバリングスキームに従って、95位、96位、100c位、101位および102位のアミノ酸を含む。95位、96位、100c位、101位および102位のアミノ酸は好ましくは個々に、プロリン以外の、または好ましくはプロリンおよびシステイン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)から選択される。実施形態において、VHの95位、96位、100c位、101位および102位のアミノ酸は以下のとおりに選択される:95位におけるGまたはその保存的置換;96位におけるLまたはその保存的置換;100c位におけるFまたはその保存的置換;101位におけるNまたはその保存的置換;および102位におけるFまたはその保存的置換(アミノ酸の位置はKabatナンバリングスキームに従って示される)。具体的な実施形態において、VHの95位、96位、100c位、101位および102位のアミノ酸は以下のとおりに選択される:95位におけるG;96におけるL;100c位におけるF;101位におけるN;および102位におけるF。
【0042】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHのCDR-H3は、Kabatナンバリングスキームに従って、95位~100位(すなわち、95位、96位、97位、98位、99位および100位)、100a位、100b位、100c位、101位および102位を含む。好ましい実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHのCDR-H3は、Kabatナンバリングスキームに従って、95位~100位(すなわち、95位、96位、97位、98位、99位および100位)、100a位、100b位、100c位、101位および102位からなる。
【0043】
本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、33位および34位のアミノ酸を含み得る。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、33位および34位にプロリン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)を含み得る。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、33位および34位にプロリンおよびシステイン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)を含み得る。
【0044】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、24位にQまたはその保存的置換;25位にSもしくはその保存的置換;26位にSもしくはその保存的置換;27位にQもしくはその保存的置換;27a位にSもしくはその保存的置換;27b位にVもしくはその保存的置換;33位にC、Lもしくはその保存的置換;および/または34位にSもしくはその保存的置換を含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、24位にQまたはその保存的置換;25位にSまたはその保存的置換;26位にSまたはその保存的置換;27位にQまたはその保存的置換;27a位にSまたはその保存的置換;27b位にVまたはその保存的置換;33位にC、Lまたはその保存的置換;および34位にSまたはその保存的置換を含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、24位にQ;25位にS;26位にS;27位にQ;27a位にS;27b位にV;33位にCもしくはL;および/または34位にSを含み、全ての位置がKabatナンバリングスキームに従って示される。他の具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、24位にQ;25位にS;26位にS;27位にQ;27a位にS;27b位にV;33位にCまたはL;および34位にSを含み、全ての位置がKabatナンバリングスキームに従って示される。
【0045】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLのCDR-L1は、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、28位、29位、30位、31位、32位、33位および34位を含む。好ましい実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLのCDR-L1は、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、28位、29位、30位、31位、32位、33位および34位からなる。
【0046】
本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位にアミノ酸を含み得る。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位にプロリン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)を含み得る。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位にプロリンおよびシステイン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)を含み得る。
【0047】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、50位にGもしくはその保存的置換;51位にAもしくはその保存的置換;52位にSもしくはその保存的置換;53位にTもしくはその保存的置換;54位にLもしくはその保存的置換;55位にT、Aもしくはその保存的置換;および/または56位にC、Sもしくはその保存的置換を含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、50位にGまたはその保存的置換;51位にAまたはその保存的置換;52位にSまたはその保存的置換;53位にTまたはその保存的置換;54位にLまたはその保存的置換;55位にT、Aまたはその保存的置換;および56位にC、Sまたはその保存的置換を含み、アミノ酸の位置は、Kabatナンバリングスキームに従って示される。具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、50位~56位にGASTLTS(配列番号4)またはGASTLAS(配列番号5)を含む。
【0048】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLのCDR-L2は、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位を含む。好ましい実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLのCDR-L2は、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位からなる。
【0049】
本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、89位および90位にアミノ酸を含み得る。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って89位および90位にプロリン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)を含み得る。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、89位および90位にプロリンおよびシステイン以外の任意のアミノ酸(例えば、任意の天然に存在するアミノ酸)を含み得る。
【0050】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、89位にAもしくはその保存的置換、および/または90位にGもしくはその保存的置換を含み、アミノ酸の位置はKabatナンバリングスキームに従って示される。実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、89位にAまたはその保存的置換、および90位にGまたはその保存的置換を含み、アミノ酸の位置はKabatナンバリングスキームに従って示される。具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、89位にA、および/または90位にGを含む。具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、Kabatナンバリングスキームに従って、89位にAおよび90位にGを含む。
【0051】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLのCDR-L3は、Kabatナンバリングスキームに従って、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、95a位、95b位、95c位、96位および97位を含む。好ましい実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLのCDR-L3は、Kabatナンバリングスキームに従って、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、95a位、95b位、95c位、96位および97位からなる。
【0052】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0053】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0054】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0055】
具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0056】
更により具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0057】
実施形態において、配列番号6の変異体は、4位にM、L、IもしくはVかつ5位にN、S、TもしくはQを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、A、LもしくはV、4位にTもしくはS、かつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号8の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号9の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号10の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、G、NもしくはQ、8位にT、SまたはGかつ12位にV、A、IもしくはLを有する。
【0058】
具体的な実施形態において、配列番号6の変異体は、4位にM、LもしくはIかつ5位にN、SもしくはTを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、AもしくはL、4位にTもしくはSかつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号8の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号9の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号10の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ12にVもしくはAを有する。
【0059】
更により具体的な実施形態において、配列番号6の変異体は、4位にMもしくはLかつ5位にNを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、4位にTかつ5位にR、GもしくはDを有し、配列番号8の変異体は、3位にHもしくはAかつ7位にNもしくはAを有し、配列番号9の変異体は、9位にNかつ10位にAもしくはNを有し、および/または配列番号10の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ/または12位にVもしくはAを有する。
【0060】
好ましい実施形態において、配列番号6~10の変異体は、配列番号6~10と比較して、12以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有する。
【0061】
また、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の1位~3位、7位および9位~11位から選択される11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の1位、2位、6位~8位および12位から選択される6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0062】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0063】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の1位、2位、6位~8位および12位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0064】
具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0065】
更により具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0066】
実施形態において、配列番号6の変異体は、4位にM、L、IもしくはVかつ5位にN、S、TもしくはQを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、A、LもしくはV、4位にTもしくはS、かつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号13の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号9の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号16の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、G、NもしくはQ、8位にT、SまたはGかつ12位にV、A、IもしくはLを有する。
【0067】
具体的な実施形態において、配列番号6の変異体は、4位にM、LもしくはIかつ5位にN、SもしくはTを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、AもしくはL、4位にTもしくはSかつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号13の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号9の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号16の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ12にVもしくはAを有する。
【0068】
更により具体的な実施形態において、配列番号6の変異体は、4位にMもしくはLかつ5位にNを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、4位にTかつ5位にR、GもしくはDを有し、配列番号13の変異体は、3位にHもしくはAかつ7位にNもしくはAを有し、配列番号9の変異体は、9位にNかつ10位にAもしくはNを有し、および/または配列番号16の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ/または12位にVもしくはAを有する。
【0069】
好ましい実施形態において、配列番号6、7、13、9および16の変異体は、それぞれ配列番号6、7、13、9および16と比較して、12以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有する。
【0070】
また、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の1位、2位、6位~8位および12位から選択される6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0071】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0072】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の1位、2位、6位~8位および12位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0073】
具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0074】
更により具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0075】
実施形態において、配列番号12の変異体は、4位にM、L、IもしくはVかつ5位にN、S、TもしくはQを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、A、LもしくはV、4位にTもしくはS、かつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号14の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号9の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号17の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、G、NもしくはQ、8位にT、SまたはGかつ12位にV、A、IもしくはLを有する。
【0076】
具体的な実施形態において、配列番号12の変異体は、4位にM、LもしくはIかつ5位にN、SもしくはTを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、AもしくはL、4位にTもしくはSかつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号14の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号9の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号17の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ12にVもしくはAを有する。
【0077】
更により具体的な実施形態において、配列番号12の変異体は、4位にMもしくはLかつ5位にNを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、4位にTかつ5位にR、GもしくはDを有し、配列番号14の変異体は、3位にHもしくはAかつ7位にNもしくはAを有し、配列番号9の変異体は、9位にNかつ10位にAもしくはNを有し、および/または配列番号17の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ/または12位にVもしくはAを有する。
【0078】
好ましい実施形態において、配列番号12、7、14、9および17の変異体は、それぞれ配列番号12、7、14、9および17と比較して、12以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有する。
【0079】
また、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の1位、2位、6位~8位および12位から選択される6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0080】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0081】
一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の1位、2位、6位~8位および12位から選択される1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0082】
具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0083】
更により具体的な実施形態において、モノクローナル抗体は、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される、3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0084】
実施形態において、配列番号12の変異体は、4位にM、L、IもしくはVかつ5位にN、S、TもしくはQを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、A、LもしくはV、4位にTもしくはS、かつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号14の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号15の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号18の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、G、NもしくはQ、8位にT、SまたはGかつ12位にV、A、IもしくはLを有する。
【0085】
具体的な実施形態において、配列番号12の変異体は、4位にM、LもしくはIかつ5位にN、SもしくはTを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、AもしくはL、4位にTもしくはSかつ5位にR、G、DもしくはKを有し、配列番号14の変異体は、3位にH、A、RもしくはKかつ7位にN、AもしくはQを有し、配列番号15の変異体は、9位にN、Q、SもしくはTかつ10位にA、NもしくはVを有し、および/または配列番号18の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ12にVもしくはAを有する。
【0086】
更により具体的な実施形態において、配列番号12の変異体は、4位にMもしくはLかつ5位にNを有し、配列番号7の変異体は、2位にI、4位にTかつ5位にR、GもしくはDを有し、配列番号14の変異体は、3位にHもしくはAかつ7位にNもしくはAを有し、配列番号15の変異体は、9位にNかつ10位にAもしくはNを有し、および/または配列番号18の変異体は、6位にG、AもしくはS、7位にS、GもしくはN、8位にT、SもしくはGかつ/または12位にVもしくはAを有する。
【0087】
好ましい実施形態において、配列番号12、7、14、9および17の変異体は、それぞれ配列番号12、7、14、15および18と比較して、12以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的または高度に保存的なアミノ酸置換)を有する。
【0088】
添付の実施例において明らかにされるように、CDR-L2領域は、本発明のT4特異的抗体のものであり、T4との相互作用に寄与しない。したがって、CDR-L2は、原則として、任意の配列を有することができる。好ましい実施形態において、軽鎖可変ドメインは、(e)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む。一実施形態において、変異体は、配列番号11の1位および2位にアミノ酸置換を有さない。特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインは、(e)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の1以下の位置にアミノ酸置換(好ましくは保存的もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)を有するその変異体を含む。例えば、本発明のモノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインは、e)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の6位に1以下のアミノ酸置換を有するその変異体を含み得る。
【0089】
実施形態において、本明細書で言及されるアミノ酸置換のいずれかは、配列のそれぞれの位置で定義されるそれぞれのアミノ酸の保存的なアミノ酸置換であり得る。
【0090】
本発明との関連で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、同じ物理化学的群から選択される別のアミノ酸によるアミノ酸の置換を意味し、アミノ酸の物理化学的群は、以下のとおりである。
a)Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、TrpおよびMetからなる非極性疎水性アミノ酸;
b)Ser、Thr、AsnおよびGlnからなる極性中性アミノ酸;
c)Arg、LysおよびHisからなる、正電荷を有する塩基性アミノ酸、ならびに
d)AspおよびGluからなる、負電荷を有する酸性アミノ酸、であり、
Cysが保存的に置換される場合、それはSerまたはAlaで置換され、Proが保存的に置換される場合、それはAlaで置換される。
【0091】
実施形態において、本明細書で言及されるアミノ酸置換のいずれかは、配列のそれぞれの位置で定義されるそれぞれのアミノ酸の高度に保存的なアミノ酸置換であり得る。
【0092】
本発明との関連で使用される場合、「高度に保存的なアミノ酸置換」は、以下のアミノ酸置換を意味する:
a)Val、Leu、IleまたはGlyによるAlaの置換;
b)LysによるArgの置換;
c)GlnによるAsnの置換;
d)GluによるAspの置換;
e)SerによるCysの置換;
f)AsnによるGlnの置換;
g)AspによるGluの置換;
h)AlaによるGlyの置換;
i)ArgによるHisの置換;
j)Leu、ValまたはAlaによるIleの置換;
k)Ile、ValまたはAlaによるLeuの置換;
l)ArgによるLysの置換;
m)Leu、IleまたはValによるMetの置換;
n)TyrまたはTrpによるPheの置換;
o)AlaによるProの置換;
p)ThrによるSerの置換;
q)SerによるThrの置換;
r)PheまたはTyrによるTrpの置換;
s)PheまたはTrpによるTyrの置換;および
t)Leu、IleまたはAlaによるValの置換。
【0093】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体の重鎖可変ドメイン(VH)は、(a)X1NVX2N((式中、X1はSまたはRであり、X2はMまたはLである);本明細書では配列番号19または配列番号19とも呼ばれる)のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H2、および(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H3を含み、本発明の抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)は、(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L1、および(f)配列番号23のアミノ酸配列を含むかまたはからなるCDR-L3を含む。
【0094】
したがって、一態様において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)本発明のモノクローナル抗体の重鎖可変ドメイン(VH)は、(a)X1NVX2N(式中、X1はSまたはRであり、X2はMまたはLである)のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H2、および(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H3を含み、
ii)本発明の抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)は、(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L1、および(f)配列番号23のアミノ酸配列を含むかまたはからなるCDR-L3を含む。
【0095】
本発明のモノクローナル抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L2をそのVL中に更に含み得る。
【0096】
したがって、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
i)本発明のモノクローナル抗体の重鎖可変ドメイン(VH)は、(a)X1NVX2N(式中、X1はSまたはRであり、X2はMまたはLである)のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H2、および(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H3を含み、
ii)本発明の抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)は、(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるCDR-L1、(e)配列番号24のアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるCDR-L2、(f)配列番号23のアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるCDR-L3を含む。
【0097】
実施形態において、本発明の抗体の重鎖可変ドメイン(VH)は、(a)配列番号12、25および26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号7、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H2、ならびに(c)配列番号14および29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H3を含み、本発明の抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)は、(d)配列番号15および30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L1、ならびに(f)配列番号18、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L3を含む。
【0098】
したがって、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
(i)(a)配列番号12、25および26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号7、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H2、ならびに(c)配列番号14および29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
(ii)(d)配列番号15および30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L1、ならびに(f)配列番号18、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはからなるCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0099】
軽鎖可変ドメイン(VL)は、配列番号11または33のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L2を更に含み得る。
【0100】
したがって、実施形態において、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、
(a)配列番号12、25および26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号7、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H2、ならびに(c)配列番号14および29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-H3とを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号15および30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L1、配列番号11または33のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-L2、ならびに(f)配列番号18、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L3とを含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
【0101】
本発明の抗体は、VHドメインおよびVLドメインにおいてCDRに隣接する異なるフレームワーク領域を有し得る。
【0102】
重鎖可変ドメイン(VH)は、式I:
FW-H1-CDR-H1-FW-H2-CDR-H2-FW-H3-CDR-H3-FW-H4
(式I)
に表されるVHのCDRに隣接するフレームワーク領域(FW)を含み得る。
【0103】
FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0104】
FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列、または配列番号35と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0105】
FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列、または配列番号36と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0106】
FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列、または配列番号37と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0107】
軽鎖可変ドメイン(VL)は、式I:
FW-L1-CDR-L1-FW-L2-CDR-L2-FW-L3-CDR-L3-FW-L4(式I)
に表されるVLのCDRに隣接するフレームワーク領域(FW)を含み得る。
【0108】
FW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列、または配列番号38と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0109】
FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列、または配列番号39と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0110】
FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列、または配列番号40と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0111】
FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列、または配列番号41と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し得る。
【0112】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも60%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0113】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0114】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0115】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0116】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0117】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0118】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列または少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列または少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列または少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列または少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、および/またはFW-L1は、配列番号38のアミノ酸配列またはそれと少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L2は、配列番号39のアミノ酸配列またはそれと少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L3は、配列番号40のアミノ酸配列またはそれと少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよく、FW-L4は、配列番号41のアミノ酸配列またはそれと少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有してもよい。
【0119】
実施形態において、FW-H1は、配列番号34のアミノ酸配列を有してもよく、FW-H2は、配列番号35のアミノ酸配列を有してもよく、FW-H3は、配列番号36のアミノ酸配列を有してもよく、FW-H4は、配列番号37のアミノ酸配列を有してもよい。
【0120】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、配列番号42のアミノ酸配列、または配列番号42と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなる。
【0121】
他の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、配列番号43のアミノ酸配列、または配列番号43と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなる。
【0122】
更に別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVHは、配列番号44のアミノ酸配列、または配列番号44と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなる。
【0123】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、配列番号45のアミノ酸配列、または配列番号45と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなる。
【0124】
他の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、配列番号46のアミノ酸配列、または配列番号46と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなる。
【0125】
更に別の他の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体のVLは、配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなる。
【0126】
例えば、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、配列番号42のアミノ酸配列、または配列番号42と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなるVHと、配列番号45のアミノ酸配列、または配列番号45と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなるVLとを含む。
【0127】
さらに、例えば、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体が本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、配列番号43のアミノ酸配列、または配列番号43と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなるVHと、配列番号46のアミノ酸配列、または配列番号46と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなるVLとを含む。
【0128】
また更に、例えば、T4に特異的に結合するモノクローナル抗体本明細書において提供され、当該モノクローナル抗体は、配列番号44のアミノ酸配列、または配列番号44と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなるVHと、配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を含むかまたはそれからなるVLとを含む。
【0129】
添付の実施例によって実証されるように、本発明のモノクローナル抗体は、遊離L-T4への結合について特に高い会合速度定数(ka)を特徴とする。この速い会合速度により、本発明の抗体は、ハイスループットイムノアッセイおよび競合アッセイ形式に特に適したものとなる。
【0130】
したがって、実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、37℃で測定したT4への結合の会合速度定数(ka)が少なくとも1.9×107M-1s-1であることを更に特徴とする。実施形態において、37℃で測定したT4への結合の会合速度は、少なくとも2×107M-1s-1である。実施形態において、37℃で測定したT4への結合の会合速度定数(ka)は、少なくとも1×108M-1s-1である。実施形態において、37℃で測定したT4への結合の会合速度は、少なくとも1×109M-1s-1である。
【0131】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、T4への結合の会合速度定数(ka)が、配列番号48の重鎖および配列番号49の軽鎖を含むかまたはそれらからなる抗体のT4への結合の会合速度定数(ka)の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも30%、更により好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%に相当し、会合速度は同一の実験条件下で測定されることを更に特徴とする。実験条件は、好ましくは、本明細書中下記および/または実施例3に記載されるとおりである。
【0132】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、Fabフラグメントを含む抗体であり、37℃で測定したT4への結合に関する当該Fabフラグメントの会合速度定数(ka)が少なくとも1.9×107M-1s-1であることを更に特徴とする。実施形態において、37℃で測定した、T4への結合に関するFab抗体フラグメントの会合速度定数(ka)は、少なくとも2×107M-1s-1ある。実施形態において、37℃で測定した、T4への結合に関するFabフラグメントの会合速度定数(ka)は、少なくとも1×108M-1s-1ある。実施形態において、37℃で測定した、T4への結合に関するFabフラグメントの会合速度定数(ka)は、少なくとも1×109M-1s-1ある。
【0133】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、Fab抗体フラグメントであり、37℃で測定したT4への結合の会合速度定数(ka)が少なくとも1.9×107 M-1s-1であることを更に特徴とする。実施形態において、37℃で測定した、T4への結合に関するFab抗体フラグメントの会合速度定数(ka)は、少なくとも2×107M-1s-1ある。実施形態において、37℃で測定した、T4への結合に関するFabフラグメントの会合速度定数(ka)は、少なくとも1×108M-1s-1ある。実施形態において、37℃で測定した、T4への結合に関するFabフラグメントの会合速度定数(ka)は、少なくとも1×109M-1s-1ある。
【0134】
T4への結合に対する抗体の会合速度定数(ka)を決定する方法は、当技術分野で公知である。例示的な実施例は、添付の実施例(特に実施例3)に記載されている。
【0135】
実施形態において、T4への結合に関する抗体の会合速度定数(ka)を決定するための方法の設定を、配列番号48の重鎖と配列番号49の軽鎖とからなるFab抗体フラグメントについて、37℃で測定したT4への結合に関する会合速度定数が1×109 M-1s-1であるように較正し得る。
【0136】
好ましい実施形態において、T4への結合に関する本発明の抗体の会合速度定数(ka)は、表面プラズモン共鳴分光法(例えば、BIAcore(登録商標))によって測定される。
【0137】
添付の実施例に記載されるように、抗体38F8、7E10および7D4は、BIAcore(登録商標)実験において有意な質量輸送制限(MTL)を示した。したがって、会合速度定数を決定するために使用される表面プラズモン共鳴分光測定は、MTL補正を使用しなければならない。MTL補正は、好ましくは、2コンパートメントモデル(Myszka et.al.,Biophysical Journal,Vol75,August 1998,583-594;Biacore Insight Evaluation Software User Manual 29287248 AB、214~215頁)に基づく。好ましい実施形態において、分析は、GE Healthcare Biacore(商標)8K機器を用いて行われてもよく、分析は、Evaluation Insight Software V3.011.15423を用いて自動的に行われてもよい。
【0138】
kaを決定するための表面プラズモン共鳴測定は、37℃の温度で行われ得る。測定は、一連の漸増L-T4濃度、例えばc=0.12~10nM、希釈係数3を用いたマルチサイクル速度論を用いて実施され得る。システム緩衝液は、11mM PO4、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4+0.05%(w/v)Tween20および5%(v/v)DMSOを含有するPBS、pH7.4であり得る。試料緩衝液として、1mg/mLカルボキシメチルデキストラン(CMD)を補充した後者の系緩衝液を使用し得る。
【0139】
会合速度定数ka[1/Ms]、解離速度定数kd[s-1]、および解離平衡定数KD[M]は、ラングミュアモデルに従って、例えば機器(例えば、上に明記したように)に対応する評価ソフトウェアを使用することによって計算され得る。
【0140】
添付の実施例において明らかにされるように、本発明の抗体はまた、L-T4に対する高い親和性を有することを特徴とする。したがって、本発明のモノクローナル抗体は、10nM以下、好ましくは5nM以下、好ましくは1nM以下、更により好ましくは0.5nM以下、更により好ましくは0.3nM以下、最も好ましくは0.28nM以下の遊離L-T4への結合の平衡解離定数KDを有することを特徴とし得る。これらの値は、好ましくは、Biacore表面プラズモン共鳴分光法および溶液設定における親和性を用いて決定される。実験条件は、好ましくは、本明細書中下記および/または実施例3に記載されるとおりである。
【0141】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、T4への結合のKDが、配列番号48の重鎖および配列番号49の軽鎖を含むかまたはそれらからなる抗体のT4への結合のKDの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも30%、更により好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%に相当し、KDは同一の実験条件下で測定されることを更に特徴とする。実験条件は、好ましくは、本明細書中下記および/または実施例3に記載されるとおりである。KDを決定するための好ましい温度は、37℃である。
【0142】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、Fabフラグメントを含む抗体であり、遊離L-T4への結合の平衡解離定数KDが10nM以下、好ましくは5nM以下、好ましくは1nM以下、更により好ましくは0.5nM以下、最も好ましくは0.3nM以下であることを更に特徴とする。これらの値は、好ましくは、Biacore表面プラズモン共鳴分光法および溶液設定における親和性を用いて決定される。実験条件は、好ましくは、本明細書中下記および/または実施例3に記載されるとおりである。KDを決定するための好ましい温度は、37℃である。
【0143】
実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、Fab抗体フラグメントであり、遊離L-T4への結合の平衡解離定数KDが10nM以下、好ましくは5nM以下、好ましくは1nM以下、更により好ましくは0.5nM以下、最も好ましくは0.3nM以下であることを更に特徴とする。これらの値は、好ましくは、Biacore表面プラズモン共鳴分光法および溶液設定における親和性を用いて決定される。実験条件は、好ましくは、本明細書中下記および/または実施例3に記載されるとおりである。KDを決定するための好ましい温度は、37℃である。
【0144】
平衡解離定数KDを決定する方法は、当技術分野で公知である。
【0145】
好ましい実施形態において、KDは、表面プラズモン共鳴分光法(例えば、BIAcore(登録商標))によって決定され得る。
【0146】
KDを決定するための好ましい温度は、37℃である。
【0147】
好ましい実施形態において、KDを決定するための方法は、配列番号48の重鎖および配列番号49の軽鎖からなるFab抗体フラグメントについて、T4への結合のKDが37℃で0.28nMであるようにKDが較正される。
【0148】
実施形態において、KDは、会合および解離速度を決定する速度論的測定値を使用して決定され得る。したがって、方法は、実施形態において、上記のkaの決定について説明したのと同じ表面プラズモン共鳴方法であり得る。当該方法は、好ましくは、質量輸送制限のための補正を含む。
【0149】
好ましい実施形態において、KDは、表面プラズモン共鳴分光法(例えば、BIAcore(登録商標))を使用し、溶液測定原理で親和性を使用して決定され得る。溶液分析における親和性の利点は、それが質量輸送制限の根底になく、平衡状態での測定を可能にすることである。
【0150】
KDの溶液測定における親和性のために、捕捉標識(例えばビオチン)にコンジュゲートされた遊離L-T4-をセンサー表面(例えば、捕捉標識がビオチンである場合、ストレプトアビジン上(SA)-ビオチン相互作用を介してCAPチップ上)に事前に捕捉(例えば可逆的に)し得る。抗T4抗体またはその抗原結合フラグメント(例えばFab)と非標識L-T4との混合物を、平衡に達するために数時間プレインキュベートしてもよい。次いで、(すなわち、L-T4結合ではない)L-T4抗体またはそのフラグメントの濃度を、定量化のための先行する較正を使用して、表面に表示されたL-T4への結合を介して決定してもよい。抗体またはその抗原結合フラグメントの濃度は、好ましくは混合物中で一定に保持されるが、L-T4濃度は変動する。L-T4が増加すると、溶液中の「遊離」Fabフラグメントが減少し、KDを決定することができる。
【0151】
遊離L-T4への本発明の抗体の結合についてのKDの溶液中での親和性のための例示的な設定は、以下のとおりであり得る。CAP-Kit(Cytiva)の販売業者の指示に従って、CAP-試薬に続いて、ビオチン化T4が高密度でセンサー表面に可逆的に捕捉され得る。再生は、各サイクルの後にグアニジニウム/NaOH溶液を用いて行ってもよい。溶液中の両方の相互作用パートナーのプレインキュベーションを以下のように行ってもよい:抗体または抗原結合フラグメント(例えばFab)濃度が3nMで一定に保たれ得る。L-T4甲状腺ホルモン濃度は、各T4相互作用に対して最適化され得る。例えば、0.021nM~90nMの非標識L-T4をプレインキュベーションのために使用してもよい。
【0152】
Biacore Evaluationソフトウェア(例えば、Biacore T200 Evaluation SW V3.2)からの溶液中の親和性モデルを使用して、データを評価し、KDを決定し得る。
【0153】
本明細書で使用される場合、T4と反応する抗体または抗体抗原結合フラグメントに関連して「特異的に結合する」という語句は、T4が抗原-抗体反応を介して抗体または抗体抗原結合フラグメントに結合することを示す。
【0154】
実施形態において、本発明の抗体は、遊離L-T4を、3-ヨード-L-チロシン(L-T3)、r甲状腺ホルモン(rT3)、3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸、3,5-ジ-ヨード-L-チロシンおよび/または3-i-L-チロシン等の構造的に関連する化合物から識別する。本明細書で使用される場合、「識別する」または「識別すること」は、L-T4に対する結合親和性が関連化合物よりもかなり高いこと、すなわちKDがかなり低いことを意味する。好ましい実施形態において、「識別する」は、本発明の抗体が関連化合物に対して検出可能な結合を示さないこと、または37℃で測定した関連化合物のKD(KD-XR)とL-T4のKDとの比が4以上、好ましくは5以上の値を有することを意味する。言い換えれば、関連化合物に対する親和性と比較したL-T4に対する親和性は、少なくとも4倍、好ましくは少なくとも5倍高い。
【0155】
実施形態において、本発明の抗体は、L-T4を3-ヨード-L-チロシン(L-T3)と識別する。好ましくは、25℃で測定したL-T3のKDとL-T4のKDとの比は、4以上、好ましくは20以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは40以上、最も好ましくは47以上の値を有し得る。代替的または追加的に、37℃で測定したL-T3のKDとL-T4のKDとの比は、4以上、好ましくは20以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは40以上、更により好ましくは50以上、最も好ましくは58以上の値を有し得る。
【0156】
代替的または追加的に、本発明の抗体は、L-T4をrT3と識別する。好ましくは、25℃で測定したrT3のKDとL-T4のKDとの比は、4以上、好ましくは6以上、更により好ましくは8以上、最も好ましくは10以上の値を有し得る。代替的または追加的に、37℃で測定したrT3のKDとL-T4のKDとの比は、4以上、好ましくは8以上、更により好ましくは10以上、更により好ましくは12以上、更により好ましくは14以上、最も好ましくは18以上の値を有し得る。
【0157】
代替的または追加的に、本発明の抗体は、L-T4を3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸と識別する。好ましくは、37℃で測定した3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸のKDとL-T4のKDとの比は、4以上、好ましくは10以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは50以上、更により好ましくは80以上、最も好ましくは92以上の値を有する。
【0158】
代替的または追加的に、本発明の抗体は、L-T4を3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸と識別する。好ましくは、37℃で測定した3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸のKDとL-T4のKDとの比は、3以上、好ましくは4以上、最も好ましくは5以上の値を有する。
【0159】
代替的または追加的に、本発明の抗体は、L-T4を3,5-ジヨード-チロシンと識別する。好ましくは、37℃で測定した3,5-ジ-ヨード-L-チロシンのKDとL-T4のKDとの比は、4以上、好ましくは10以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは50以上、更により好ましくは80、更に好ましくは100以上、更により好ましくは150以上、最も好ましくは166以上の値を有する。
【0160】
代替的または追加的に、本発明の抗体は、L-T4を3-i-L-チロシンと識別する。好ましくは、37℃で測定した3,5-ジ-ヨード-L-チロシンのKDとL-T4のKDとの比は4以上の値を有する。更により好ましくは、本発明の抗体は、表面プラズモン共鳴分光法(例えば、本明細書に記載の設定、例えば実施例3を使用して、)によって測定可能な3-i-L-チロシンに対する相互作用を示さない。
【0161】
L-T4および関連化合物のいずれかに対する本発明の抗体の結合についてKDを決定するための方法は、最新技術である。L-T4への結合についてKDを決定するための例示的な方法は、本明細書中上記および添付の実施例に記載される。これらの方法は、KD値の比を計算することができるように、必要な変更を加えて関連化合物に適用することができる。「関連化合物に対するKDとL-T4に対するKDとの比」とは、関連化合物に対する抗体のKDをL-T4に対する抗体のKDで除することを意味する。
【0162】
好ましい実施形態において、比を計算するためのKD値は、表面プラズモン共鳴分光法(例えば、BIAcore(登録商標))で決定される。好ましい実施形態において、0.1nM~900nMの潜在的交差反応物濃度を使用したマルチサイクル速度論的測定を使用し得る。L-T4に構造的に関連する化合物は、30μL/分~60μL/分の流量を使用して注入され得る。会合相を3分~5分の間、解離相を5分~15分の間監視し得る。L-T4相互作用は、30分の解離時間を有する追加の分析物注入を使用することによって特性評価され得る。KD値を決定するための表面プラズモン共鳴測定は、37℃の温度で行われ得る。システム緩衝液は、11mM PO4、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4+0.05%(w/v)Tween20および5%(v/v)DMSOを含有するPBS、pH7.4であり得る。試料緩衝液として、1mg/mLカルボキシメチルデキストラン(CMD)を補充した後者の系緩衝液を使用し得る。解離平衡定数KD[M]は、ラングミュアモデルに従って、例えば機器(例えば、上に明記したように)に対応する評価ソフトウェアを使用することによって計算され得る。
【0163】
添付の実施例において明らかにされるように、構造的に関連する抗体38F8 7E10および7D4は、競合的イムノアッセイにおいて良好なシグナル対ノイズ比を示した。性能はポリクローナル抗L-T4抗体に匹敵した。
【0164】
したがって、好ましい実施形態において、本発明のT4特異的抗体は、T4(例えば、fT4)を定量するための競合的イムノアッセイにおいて使用される場合、配列番号48の重鎖配列および配列番号49の軽鎖配列を含むかまたはそれらからなるFabフラグメントを用いて達成されるシグナル対ノイズ比の少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%であるシグナル対ノイズ比を示す。これらの実施形態において、抗体が交換されることを除いて、イムノアッセイ設定は同一である。
【0165】
好ましい実施形態において、シグナル対ノイズ比は、0~122.1pmol/LのfT4濃度範囲で分析され得る。
【0166】
本明細書で使用される場合、「シグナル対ノイズ比」は、「シグナル動態比」または「相対総シグナルスパン」とも呼ばれ得る。試料中のT4(例えば、fT4)の存在が増加するにつれて測定シグナルが減少するイムノアッセイ形式の場合、シグナル対ノイズ比またはシグナル動態比は、(i)T4を含まない試料と最も高い測定T4(例えば、fT4)濃度(例えば122.1pmol/L)を有する試料との間のシグナル(例えば、ECL数)の変化を、(ii)最も高い測定T4濃度(例えば122.1pmol/L)を有する試料のシグナル(例えば、ECL数)で除することによって計算される比に関する。測定されたシグナルが試料中のT4(例えば、fT4)の存在の増加と共に増加するイムノアッセイ形式の場合、シグナル対ノイズ比またはシグナル動態比は、(i)T4を含まない試料(例えば、fT4)と最も高い測定されたT4(例えば、fT4)濃度(例えば122.1pmol/L)を有する試料との間のシグナルの正の変化(例えば、ECL数)-または医学的に関連する濃度範囲の定義された分析物濃度を、(ii)T4を含まない試料(例えば、fT4)のシグナル(例えば、ECL数)で除することによって計算される比に関する。
【0167】
抗体のシグナル対ノイズ比を評価するための競合的イムノアッセイは、以下の基本的なアッセイ原理を有し得る:
(i)T4(例えば、fT4)を含む試料を抗体とインキュベートすることであって、抗体を検出標識(例えば、ルテニウム標識)で規定時間(例えば9分)標識する、T4(例えば、fT4)を含む試料を抗体とインキュベートすること、
(ii)(i)捕捉標識にカップリングしたT4(例えば、ビオチン化T4またはT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチン-ハプテン)および捕捉標識に結合することができる粒子の混合物に添加し、得られた混合物を規定の時間(例えば9分)インキュベートすること;あるいは、捕捉標識に結合することができる粒子を、得られた混合物を規定の時間(例えば9分)インキュベートしながら後続の工程で添加し得る。
(iii)混合物から粒子を分離し、検出標識シグナルを測定することによって、混合物に結合した標識抗体を検出すること、ならびに
(iv)測定された検出標識シグナルに基づいて試料中のT4の量(例えば、FT4)を決定すること。
【0168】
この競合アッセイ原理では、T4(例えば、FT4)の量が多いほど、検出標識の測定シグナルは低くなる。
【0169】
シグナル対ノイズ比を評価するための競合的イムノアッセイの具体的かつ特に好ましい例を添付の実施例4に提供する。したがって、具体的な実施形態において、シグナル対ノイズ比は、自動Elecsys(登録商標)Immuno-Analyzer(例えば、Elecsys(登録商標)cobas(登録商標)e411)を使用する競合免疫学的アッセイによって評価され得る。18分の総インキュベーション時間を含むアッセイは、以下の設定を有し得る:第1のインキュベーション(9分):15μLのT4(例えば、fT4)含有試料、75μLのルテニウム化L-T4特異的抗体をインキュベートする;第2のインキュベーション(9分):75μLのT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチン-ハプテン-コンジュゲートの溶液および35μLのストレプトアビジン被覆微粒子を第1のインキュベーション工程の混合物に添加する。続いて、磁気ビーズに付着したルテニウム標識シグナルを測定することによって、試料中のT4(例えば、fT4)の量を決定し得る。具体的には、反応混合物を測定セル内に吸引し、そこで微粒子は電極の表面上に磁気的に捕捉され得る。次いで、未結合物質をProCell#11662988122(Roche Diagnostics GmbH ドイツ)で除去し得る。次いで、電極への電圧の印加を使用して、光電子増倍管によって測定される電気化学発光ベースの発光を誘導し得る。
【0170】
実施形態において、上記または以下の実施例4に記載のElecsys(登録商標)Immuno-Analyzerベースの競合アッセイを使用してもよい。これらの実施形態において、本発明の抗体について、第1の試料が122.10pmol/LのT4(例えば、fT4)濃度を有し、第2の試料が0pmol/LのT4(例えば、fT4)濃度を有すると仮定すると、第1の試料および第2の試料(すなわち、第1の試料をカウント数で割ったものをカウントし、第2の試料をカウントする)について検出されたカウントの比は、11%以下、5%以下または4%以下であり得る。
【0171】
本発明の抗体および抗原結合フラグメントは、当技術分野で日常的に使用される様々な技術によって調製され得る。例えば、抗原反応性抗体産生B細胞を単離し、続いて単離するL-T4で非ヒト動物(例えば、ウサギ)を免疫することにより、抗体を調製することができる。免疫原性を増強するために、免疫化のためのL-T4を担体タンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH))にカップリングさせてもよい。好ましくは、T4-NH-PEG(3)-CO-KLHが免疫化のために使用される。L-T4に結合する抗体のスクリーニングは、L-T4を分析物として使用して達成され得る。好ましくは、T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンを表面にカップリングさせ、それに対する抗体の結合を試験し得る。L-T4に特異的に結合する抗体を同定するために、3-ヨード-L-チロシン(L-T3)、甲状腺ホルモン(rT3)、3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸、3,5-ジ-ヨード-L-チロシンおよび/または3-i-L-チロシン等の構造的に関連する化合物への結合についてのカウンタースクリーニングを行ってもよい。非ヒト動物の免疫化を使用して本発明による抗体を製造するための好ましい例示的な方法は、添付の実施例に提供される(特に実施例1を参照)。抗体を産生するための選択されたクローンを、その後の組換え処理のための日常的な方法に従って処理することができる。
【0172】
本発明の抗体および抗体抗原結合フラグメントを生成または単離するための別の適切な方法としては、限定されないが、目的の結合活性を使用してペプチドまたはタンパク質ライブラリー(例えば、限定されないが、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAまたは酵母ディスプレイライブラリー)から組換え抗体を選択する方法が挙げられる。例えば、L-T4への特異的結合について陽性選択することによって、例えば、L-T4カップリングビオチン(例えば、T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチン)を使用することによって、そのようなライブラリーから抗体または抗原結合フラグメントを選択することができる。任意に、L-T4に特異的に結合する抗体を同定するために、3-ヨード-L-チロシン(L-T3)、甲状腺ホルモン(rT3)、3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸、3,5-ジ-ヨード-L-チロシンおよび/または3-i-L-チロシン等の構造的に関連する化合物への結合についての陰性選択も行われ得る。ディスプレイライブラリーは、当技術分野で周知であり、例えば、限定されないが、Cambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire、UK)、MorphoSys(Martinsried/Planegg,Del.)、Biovation(Aberdeen,Scotland,UK)およびBioinvent(Lund、Sweden)を含む様々な市販業者から入手可能である。ここでも、選択されたクローンは、その後の組換え処理のための慣例的な方法に従って処理することができる。
【0173】
本発明の抗体は、組換え発現され得る。したがって、特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は組換え抗体であり得る。組換え抗体を産生する方法は、当技術分野で公知である。本発明による抗体の組換え発現およびその後の精製のための例示的な実施形態は、添付の実施例4に提供される。
【0174】
第2の態様において、本発明はまた、本明細書中上記で定義されるような本発明のモノクローナル抗体またはその任意の抗原結合フラグメントをコードする核酸分子を提供する。特に、本明細書中上記で定義されるようなT4に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、本発明の重鎖および/または軽鎖可変ドメインを含む全長IgG抗体が発現されるように、重鎖および軽鎖可変ドメインだけでなく、残りの重鎖および/または軽鎖定常領域も確実に発現させるための、更なる配列を含み得る。したがって、本明細書に記載のT4に特異的に結合するモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントに関する態様および実施形態のそれぞれについて、それぞれの抗体または抗原結合フラグメントをコードする対応するポリヌクレオチドが本明細書において提供される。
【0175】
第3の態様において、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書において提供される。特に、本発明の抗体または抗体抗原結合フラグメントをコードする核酸分子を含むベクターが提供される。本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、導入された宿主細胞において自己複製することができる環状または線状の核酸分子に関する。本発明での使用に適したベクターの非限定的な例としては、コスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド、またはリポソームに包含)、ウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)およびバクテリオファージが挙げられる。しかしながら、当技術分野は多くの適切なベクターを提供し、その選択は所望の機能に依存する。適切なベクターの開発および使用は、当技術分野において十分に文書化されており、例えば、Sambrook and Russel “Molecular Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(2001)and Ausubel,“Current Protocols in Molecular Biology”,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1989),(1994)に記載される技術を参照されたい。本発明に関連して使用されるベクターは、本明細書に開示される、完全長抗-L-T4/遊離L-T4抗体抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含む。したがって、本明細書に記載のT4に特異的に結合するモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントに関する態様および実施形態のそれぞれについて、それぞれの抗体または抗原結合フラグメントをコードする対応するポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書において提供される。
【0176】
本明細書で使用される場合、「~を含むベクター」という用語に関して、宿主細胞における所望のベクター活性に必要および/または十分である、例えばベクターの複製を駆動する(したがって、コードする核酸配列)および/または本発明の抗体もしくは抗原結合フラグメントを発現するように宿主細胞に指示する更なる核酸配列がベクター中に存在することが当技術分野で理解される。そのような更なる核酸配列には、ベクター複製および/または特定の細胞系における所望の配列の発現を制御する配列が含まれるが、これらに限定されない。例えば、ベクターは、作動可能に連結されている、かつ/または調節配列の制御下の、本発明の抗体または抗体抗原結合フラグメントをコードする核酸分子を含み得る。「調節配列」という用語は、それらが作動可能に連結されているコード配列の発現をもたらすのに必要なDNA配列を指す。「制御配列」という用語は、少なくとも、存在が発現にも必要でもあり得る全ての構成要素を含むことを意図しており、例えば複製を可能にするための追加の有利な構成要素を更に含み得る。当技術分野で理解されるように、そのような調節配列および制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なる。例えば、原核生物において、制御配列は概して、プロモーター、リボソーム結合部位、およびターミネーターを含む。真核生物において、制御配列は、概してプロモーター、ターミネーター、およびいくつかの場合においてはエンハンサー、転写活性化因子または転写因子を含む。
【0177】
本発明で使用されるベクターは、好ましくは発現ベクターである。発現ベクターは、宿主細胞における本発明の核酸分子の複製および発現を指示することができ、したがって、例えば、本明細書に開示されるT4に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインの発現を提供する。いくつかの実施形態において、ベクターは、本発明の重鎖および軽鎖可変ドメインを含む全長IgG抗体が発現されるように、重鎖および軽鎖可変ドメインだけでなく、残りの重鎖および軽鎖定常領域も確実に発現させるための、更なる配列を含み得る。適切な発現ベクターは文献に広く記載されており、特定の細胞系のための適切な発現ベクターの決定は、慣例的な方法を使用して当業者によって容易に行うことができる。好ましくは、本明細書に開示されるベクターは、組換えポリヌクレオチド(すなわち、本発明のモノクローナル抗体をコードする核酸配列)ならびに発現可能に連結された制御配列を含む。本明細書において提供されるベクターは、好ましくはプロモーターを更に含む。本明細書に記載されるベクターはまた、選択マーカー遺伝子および宿主における複製を確保する複製起点を含み得る。さらに、本明細書において提供されるベクターはまた、転写のための終結シグナルを含み得る。当技術分野で公知の発現ベクターは、宿主細胞における一過性または構成的発現を駆動し得る。
【0178】
本発明の核酸分子および/またはベクターは、当技術分野で公知であるかまたは本明細書に記載される任意の手段によって、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞へのトランスフェクションのために設計することができる。適切な方法の非限定的な例として、化学ベースの方法(ポリエチレンイミン、リン酸カルシウム、リポソーム、DEAE-デキストラン、ヌクレオフェクション)、非化学的方法(エレクトロポレーション、ソノポレーション、光トランスフェクション、遺伝子電気泳動、流体力学的送達、または細胞を本発明の核酸分子と接触させた際の天然形質転換)、粒子ベースの方法(遺伝子銃、マグネトフェクション、インパルフェクション)ファージベクターベースの方法およびウイルス法が挙げられる。例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、セムリキ森林ウイルスまたはウシパピローマウイルス等のウイルスに由来する発現ベクターを、標的細胞集団への核酸分子のトランスフェクションに使用してもよい。さらに、バキュロウイルス系を、本発明の核酸分子の真核生物発現系におけるベクターとして使用することもできる。
【0179】
「原核生物」という用語は、本発明のタンパク質の発現のためにDNAまたはDNAもしくはRNA分子で形質転換、形質導入またはトランスフェクトすることができる全ての細菌を含むことを意味する。原核生物宿主としては、グラム陰性細菌ならびにグラム陽性細菌、例えば大腸菌(E.coli)、S・ティフィムリウム(S.typhimurium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)(グルタミクム)、シュードモナス(Pseudomonas)(フルオレッセンス)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、サルモネラ(Salmonella)および枯草菌(Bacillus subtilis)が挙げられる。「真核生物」という用語は、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含むことを意味する。当技術分野で典型的に使用される宿主細胞の非限定的な例としては、Hela、HEK293、H9、Per.C6およびJurkat細胞、マウスNIH3T3、NS/0、SP2/0およびC127細胞、COS細胞、例えばCOS1またはCOS7、CV1、ウズラQC1-3細胞、マウスL細胞、マウス肉腫細胞、ボーズメラノーマ細胞およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0180】
したがって、第4の態様において、本発明は、本発明によるポリヌクレオチドまたは本発明によるベクターを含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。好ましい実施形態において、宿主細胞は、真核細胞である。特定の実施形態において、細胞はHEK細胞である。別の特定の実施形態において、宿主細胞は、CHO細胞である。
【0181】
本明細書に開示される本発明の抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする組換え発現ベクターを宿主細胞に導入する場合、抗体または抗体抗原結合フラグメントは、宿主細胞において抗体または抗原結合フラグメントを発現させるか、または好ましくは、宿主細胞が成長している培地中に抗体または抗原結合フラグメントを分泌させるのに十分な期間にわたって宿主細胞を培養することによって産生される。抗体および/または抗原結合フラグメントは、標準的なタンパク質精製方法を使用して培地から回収することができる。抗体の精製方法は、当技術分野で周知である。例示的な精製方法は、添付の実施例に記載されている。
【0182】
したがって、本発明はまた、本明細書に開示されるT4に特異的に結合するモノクローナル抗体の産生のための方法を提供する。この方法は、本発明の宿主細胞を適切な条件下で培養することと、産生された抗体を単離することとを含む。例えば添付の実施例に記載されるような精製工程によって、本発明の単離されたモノクローナル抗体を得ることができる。本発明は更に、本明細書中に開示される方法のいずれかによって得ることができる抗体または抗原結合フラグメントを提供する。
【0183】
形質転換された宿主細胞は、バイオリアクター内で成長させ、最適な細胞成長を達成するために当技術分野で公知の技術によって培養することができる。本発明の抗体および/または抗体抗原結合フラグメントは、次いで任意の従来の手段、例えば限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、Strep-tag IIまたはHis6タグ等の融合タグを使用する)、ゲル濾過(サイズ排除クロマトグラフィー)、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLCまたは免疫沈降によって細胞画分または成長培地から単離され得る。
【0184】
上記の手順のバリエーションは、本発明の範囲内であることが理解されよう。例えば、組換えDNA技術を使用して、本明細書に開示される抗体および/または抗体抗原結合フラグメントをコードする、例えば本明細書で上に定義される重鎖および/または軽鎖可変ドメインをコードするDNA配列を取り出しまたは修飾し得る。例えば、組換えDNA技術を使用して、目的の抗原への特異的かつ選択的な結合を維持するために必要ではないコード配列の部分を除去し得る。そのような切断DNA分子から発現される分子も、本発明の抗体に包含される。さらに、少なくとも2回(好ましくは4、5、6、7、8回)の本発明の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメイン(例えば、T4に特異的かつ選択的に結合する抗体Fvドメインの形成)を含む多価抗体も提供される。
【0185】
抗体誘導体は、例えば、外因性配列を付加して、免疫原性を改変し、または結合、親和性、オン速度、オフ速度、結合活性、特異性、半減期もしくは任意の他の適切な特徴を低減、増強もしくは改変することによって製造され得る。
【0186】
本明細書中に開示される抗体のヒト化バージョン、すなわち、本明細書中上記で開示されるような重鎖および/または軽鎖のCDRを含むものも提供される。当技術分野で周知のように、「ヒト化」(親抗体のヒト化バージョンを作製するための)は、ヒト由来フレームワークおよび定常ドメインの場面において非ヒトドナー免疫グロブリンに由来するCDRを使用して抗体を組換え操作することを指す。操作中、フレームワークおよび/またはCDR残基は、結合親和性および活性、例えばT4に対する特異性を保存するように変更され得る。抗体をヒト化する方法は、当技術分野で公知であり、例えばQueen et al.,Proc.Natl.Acad Sci USA 86(1989),10029-10032;Hodgson et al.,Bio/Technology 9(1991)421に記載されている。
【0187】
第5の態様において、本発明は、本発明の抗体、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクターまたは本発明の宿主細胞を含む組成物を提供した。好ましい実施形態において、組成物は診断用組成物、すなわち診断用途に使用するための組成物である。好ましい実施形態において、組成物は、L-T4、好ましくは遊離L-T4を検出するためのインビトロ診断試験で使用するためのものである。好ましい実施形態において、診断用組成物は、L-T4、好ましくは遊離L-T4を検出するためのイムノアッセイのための試薬であり得る。診断用組成物は、好ましくは、対象から得られた試料中のL-T4、好ましくは遊離L-T4の検出を可能にするように構成される。試料は、好ましくは血液試料(例えば、全血、血清または血漿)である。
【0188】
実施形態において、本発明の組成物は、好ましくはイムノアッセイを使用して、試料中のT4(好ましくはfT4)のインビトロ検出(好ましくは定量)のための組成物である。実施形態において、イムノアッセイは、異種イムノアッセイである。実施形態において、イムノアッセイは、競合的イムノアッセイである。
【0189】
第6の態様において、本発明は、試料中のT4(例えば、遊離T4)のインビトロ検出(好ましくは定量)のための本発明による抗体の使用を提供する。T4(例えば、遊離T4)の検出および/または定量は、好ましくはイムノアッセイを使用することによって達成される。したがって、T4(例えば、遊離T4)を検出するためのイムノアッセイ(例えば、不均一イムノアッセイ)に使用するための本発明の抗体も提供される。
【0190】
試料は、限定されないが、血液試料、脳脊髄液、精液、唾液または尿等の体液であり得る。実施形態において、試料は、全血、血清または血漿等の血液試料である。実施形態において、試料は、血清または血漿である。
【0191】
T4は非常に小さな分析物であるため、イムノアッセイは競合的であることが好ましい。実施形態において、アッセイ設定は、例えば、本明細書中下記または添付の実施例に記載されるような、逆滴定タイプの競合アッセイである。簡潔には、このアッセイは、以下のように構成され得る:
(i)T4(例えば、遊離T4)を含む試料を抗体とインキュベートすることであって、抗体を検出標識(例えば、ルテニウム標識)で規定時間(例えば9分)標識する、T4(例えば、遊離T4)を含む試料を抗体とインキュベートすること、
(ii)(i)捕捉標識にカップリングしたT4(例えば、T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチン-ハプテン)および捕捉標識に結合することができる粒子の混合物に添加し、得られた混合物を規定の時間(例えば9分)インキュベートすること、
(iii)混合物から粒子を分離し、検出標識シグナルを測定することによって、混合物に結合した標識抗体を検出すること、ならびに
(iv)測定された検出標識シグナルに基づいてT4の量(例えば、遊離T4)を決定すること。
【0192】
任意に、T4が結合タンパク質によって部分的に結合されている試料中で総T4が決定される場合、工程(i)は、本発明の第7の態様との関連において以下に詳細に記載されるように、その結合タンパク質からT4を放出することを含み得る。
【0193】
第7の態様において、本発明は、本発明の抗体を使用して試料中のT4(例えば、遊離T4)を定量するためのインビトロイムノアッセイ法を提供する。抗体は、組成物、特に本発明の診断用組成物の一部であり得る。
【0194】
試料は、血液試料、脳脊髄液、精液、唾液または尿等の体液であり得る。実施形態において、試料は、全血、血清または血漿等の血液試料である。実施形態において、試料は、血清または血漿である。
【0195】
L-T4を定量するための方法は、(i)L-T4を含む試料を、抗体がL-T4に結合することを可能にする条件下で本発明の抗体とインキュベートすることと、(ii)本発明の抗体に結合したL-T4の量を直接的または間接的に検出することによって試料中のL-T4の量を定量することとを含み得る。
【0196】
直接的に検出するとは、抗体-L-T4複合体の量が検出標識を介して直接検出され、L-T4-抗体複合体の量が試料中のL-T4の量に比例して対応することを意味する。間接的に検出するとは、L-T4の量が検出可能な標識(例えば、競合アッセイ形式で達成される場合)の測定シグナルと間接的に相関することを意味する。例えば、間接的な検出のために、本発明の抗体を検出標識で標識してもよく、表面に(直接またはビオチン等の捕捉標識を介して)連結されたL-T4(すなわち、本発明のT4抗体への結合についてT4と競合する)またはL-T4の類似体(analogon)に対する標識抗体の結合量が検出される。したがって、実施形態において、試料中のL-T4(例えば、fT4)に結合しない抗体の量を定量し、それによって試料中のL-T4の量を間接的に決定する。
【0197】
実施形態において、本発明の方法は、試料中の総T4(すなわち、結合タンパク質に結合した遊離T4およびT4)を検出する方法であり得る。これらの実施形態において、方法は、放出剤を添加することによって結合タンパク質からT4を放出することを更に含み得る。そのような放出剤は、例えば、抗体とのインキュベーションの前またはインキュベーションの間に添加され得る。実施形態において、放出剤は、抗体とのインキュベーションの前に添加されてもよく、更なる方法工程中に依然として存在してもよい。T4を結合タンパク質から放出するための適切な試薬は、当技術分野で公知である(例えば、Elecsys(登録商標)T4のMethod Sheet;Ref.09007784190を参照)。いくつかの実施形態において、放出剤は、8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS)であってもよい。実施形態において、ANSは、0.3mg/ml~0.9mg/ml、実施形態において0.375mg/ml~0.83mg/mlの試料中の最終濃度で添加され得る。実施形態において、ANSは、本発明の抗体とのインキュベーション中に0.83mg/mlであり得、捕捉剤(例えば、本発明の抗体と競合する)が添加される後続の工程では0.375mg/mlであり得る。
【0198】
本発明の抗体に連結された検出標識は、当技術分野で公知の任意の検出標識であり得る。例えば、検出標識は、酵素または発光する標識(例えば、蛍光、発光、化学発光、電気化学発光または放射能)から選択され得る。
【0199】
第8の態様において、本発明の抗体またはそれを含む組成物を含むキットが本明細書において提供される。実施形態において、キットは、インビトロでT4(例えば、fT4)を検出および/または定量するためのキットである。実施形態において、キットは、イムノアッセイキットである。実施形態において、キットは、異種イムノアッセイのためのキットである。実施形態において、キットは、競合的イムノアッセイのためのキットである。実施形態において、キットは、インビトロで総T4を検出するためのキットであってもよく、試料中のそれに結合した結合タンパク質(例えば、血清/血漿結合タンパク質)からT4を放出するためのrealease剤を更に含んでもよい。
【0200】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの試薬、すなわち(i)本発明の抗体または抗体抗原結合フラグメント、(ii)本発明の核酸分子、(iii)本発明のベクター、(iv)本発明の宿主細胞、および/または(v)本発明の方法によって産生される、または得られる抗体または抗体抗原結合フラグメントの1つ以上を含む任意の製造品(例えば、パッケージまたは容器または添付書類)を含むキットを提供する。キットは、本発明の方法を実行するためのユニットとして、奨励、流通、または販売され得る。
【0201】
実施形態において、本発明のキットは、検出標識(例えば、本明細書の他の箇所に明記されているように)が付着された本発明の抗体を含み得る。キットは、L-T4を更に含み得る。L-T4は、捕捉標識を含み得る。キットは、磁性粒子(例えば、磁性粒子)等の固相を含み得る。固相は、捕捉標識が結合できるように官能化されていてもよく、例えばストレプトアビジンで官能化されていてもよい。あるいは、固相をL-T4でプレコートしてもよい。
【0202】
特定の検出標識は、検出可能なシグナルを生成するための基質または試薬を必要とするため、本発明のキットは、実施形態において、検出標識の検出を可能にする基質および/または試薬を更に含有し得る。
【0203】
具体的な実施形態において、キットは、第1の容器に、本発明によるT4(例えば、遊離T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体を含んでもよく、別の第2の容器に、固相とL-T4(例えばビオチン化L-T4)の捕捉類似体との混合物を含んでもよく、捕捉類似体は固相に結合することができる。例えば、固相をストレプトアビジンでコーティングし、捕捉類似体をビオチン化してもよい。あるいは、第2の容器は、L-T4で固定化された固相を含み得る。両方の実施形態において、L-T4の固相へのカップリングは、L-T4が依然として本発明の抗体によって認識され得るようなものである。
【0204】
本発明は、特に以下の項目にも関する。
【0205】
1.L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)33位にVまたはA;50位にY;52位にW;98位にI、99位にG、AまたはV;100位にY;および100b位にIを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)28位にアミノ酸HまたはY;29位にNまたはK;32位にW;91位にGまたはA;92位にY、WまたはF;93位にSまたはT;95b位にYまたはF;95c位にN、S、TまたはQ;および96位にHを含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含み、
前記VHおよび前記VL中の前記アミノ酸の位置は、それぞれKabatナンバリングスキームに従って示される、モノクローナル抗体。
【0206】
2.前記VLが、位置95cにN、SまたはTを含む、項目1に記載のモノクローナル抗体。
【0207】
3.
i)前記VHが、33位にVおよび99位にGを含み、
ii)前記VLが、91位にG;92位にYまたはW;93位にS;95b位にYおよび95c位にNまたはSを含む、項目1に記載のモノクローナル抗体。
【0208】
4.
i)前記VHが、33位にVおよび99位にGを含み、
ii)前記VLが、28位にH;29位にN;91位にG;92位にY;93位にS;95b位にYおよび95c位にNを含む、項目1に記載のモノクローナル抗体。
【0209】
5.T4に結合するための前記モノクローナル抗体の前記パラトープが、33位、50位、52位、98位、99位、100位および100b位の前記VHのアミノ酸ならびに28位、29位、32位、91位、92位、93位、95b位、95c位および96位の前記VLのアミノ酸を含み、前記VHおよび前記VLにおける前記アミノ酸の位置は、それぞれKabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0210】
6.前記VHが、34位にM、L、IもしくはV;35位にN、S、TもしくはQ;51位にI、A、LもしくはV、52a位にTもしくはS;53位にR、G、DもしくはK;97位にH、A、RもしくはK;および/または100a位にN、AもしくはQを含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0211】
7.前記VHが、34位にM、LもしくはI;35位にN、SもしくはT;および/または51位にI、AもしくはLを含む、項目6に記載のモノクローナル抗体。
【0212】
8.前記VHが、34位にMもしくはL;35位にN;51位にI;52a位にT;53位にR、GもしくはD;97位にHもしくはA;および/または100a位にNもしくはAを含む、項目6に記載のモノクローナル抗体。
【0213】
9.前記VHが、34位にM;35位にN;51位にI;52a位にT;53位にR;97位にH;および/または100a位にNを含む、項目6に記載のモノクローナル抗体。
【0214】
10.前記VLが、30位にN、Q、SもしくはT;31位にA、NもしくはV;94位にG、AもしくはS;95位にS、G、N、Q;95a位にT、SもしくはG;および/または97位にV、A、IもしくはLを含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0215】
11.前記VLが、30位にN;31位にAもしくはN;95位にS、GもしくはN;および/または97位にVもしくはAを含む、項目10に記載のモノクローナル抗体。
【0216】
12.前記VLが、30位にN;31位にA;94位にG;95位にS;95a位にTおよび/または97位にVを含む、項目10に記載のモノクローナル抗体。
【0217】
13.前記VHが、それぞれKabatナンバリングスキームに従って、31位および32位にプロリン以外のアミノ酸を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0218】
14.前記VHが、Kabatナンバリングスキームに従って、31位にS、Rもしくはその保存的置換、および/またはKabatナンバリングスキームに従って32位にNもしくはその保存的置換を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0219】
15.前記VHが、Kabatナンバリングスキームに従って、31位にSもしくはR、および/またはKabatナンバリングスキームに従って32位にNを含む、項目1~12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0220】
16.前記VHのCDR-H1が、Kabatナンバリングスキームに従って、31位~35位を含むかまたはそれからなる、項目1~15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0221】
17.前記VHが、Kabatナンバリングスキームに従って、54位~65位にプロリン以外のアミノ酸を含む、項目1~16のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0222】
18.前記VHが、Kabatナンバリングスキームに従って、54位~65位にアミノ酸配列SGNTYYASWAKG(配列番号1)、または12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下もしくは1以下のアミノ酸置換を有し、54位~65位のいずれもプロリンではないその変異体を含む、項目1~17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0223】
19.12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下のアミノ酸置換が、それぞれ個別に保存的なアミノ酸置換である、項目18に記載のモノクローナル抗体。
【0224】
20.前記VHが、以下からなる群から選択される、Kabatナンバリングスキームに従って、54位~65位のアミノ酸配列を含む、項目1~19のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体:SGNTYYASWAKG(配列番号1)、SGNTYYATWAKG(配列番号2)またはSGSTYYATWAKG(配列番号3)。
【0225】
21.前記VHのCDR-H2が、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、52a位および53位~65位を含むかまたはそれからなる、項目1~20のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0226】
22.前記VHが、Kabatナンバリングスキームに従って、95位、96位、100c位、101位および102位にプロリン以外のアミノ酸を含む、項目1~21のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0227】
23.前記VHは、95位におけるGまたはその保存的置換;96位におけるLまたはその保存的置換;100c位におけるFまたはその保存的置換;101位におけるNまたはその保存的置換;および102位におけるFまたはその保存的置換を含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0228】
24.前記VHが、95位にG;96位にL;100c位にF;101位にN;および102位にFを含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~23のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0229】
25.前記VHのCDR-H3が、Kabatナンバリングスキームに従って、95位~100位、100a位、100b位、100c位、101位および102位を含むかまたはこれからなる、項目1~24のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0230】
26.前記VLが、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、33位および34位にプロリン以外のアミノ酸を含む、項目1~25のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0231】
27.前記VLが、24位にQまたはその保存的置換;25位にSもしくはその保存的置換;26位にSもしくはその保存的置換;27位にQもしくはその保存的置換;27a位にSもしくはその保存的置換;27b位にVもしくはその保存的置換;33位にC、Lもしくはその保存的置換;および/または34位にSもしくはその保存的置換を含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0232】
28.前記VLが、24位にQ;25位にS;26位にS;27位にQ;27a位にS;27b位にV;33位にCもしくはL;および/または34位にSを含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~27のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0233】
29.VLの前記CDR-L1が、Kabatナンバリングスキームに従って、24位、25位、26位、27位、27a位、27b位、28位、29位、30位、28位、32位、33位および34位を含むかまたはこれからなる、項目1~31のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0234】
30.前記VLが、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位にプロリン以外のアミノ酸を含む、項目1~29のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0235】
31.前記VLが、50位にGもしくはその保存的置換;51位にAもしくはその保存的置換;52位にSもしくはその保存的置換;53位にTもしくはその保存的置換;54位にLもしくはその保存的置換;55位にT、Aもしくはその保存的置換;および/または56位にC、Sもしくはその保存的置換を含み、前記アミノ酸の位置が、Kabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~30のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0236】
32.前記VLが、Kabatナンバリングスキームに従って、50位~56位にGASTLTS(配列番号4)またはGASTLAS(配列番号5)を含む、項目1~31のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0237】
33.前記VLのCDR-L2が、Kabatナンバリングスキームに従って、50位、51位、52位、53位、54位、55位および56位を含むかまたはこれからなる、項目1~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0238】
34.前記VLが、Kabatナンバリングスキームに従って、89位および90位にプロリン以外のアミノ酸を含む、項目1~33のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0239】
35.前記VLが、89位にAもしくはその保存的置換、および/または90位にGもしくはその保存的置換を含み、前記アミノ酸の位置がKabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~34のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0240】
36.前記VLが、89位にA、および/または90位にGを含み、前記アミノ酸の位置がKabatナンバリングスキームに従って示される、項目1~35のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0241】
37.VLの前記CDR-L3が、Kabatナンバリングスキームに従って、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、95a位、95b位、95c位、96位および97位を含むかまたはそれからなる、項目1~36のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0242】
38.L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、モノクローナル抗体。
【0243】
39.L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、モノクローナル抗体。
【0244】
40.L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、モノクローナル抗体。
【0245】
41.L-チロキシン(T4)に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の1位、2位、6位~8位および12位から選択される4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、モノクローナル抗体。
【0246】
42.
(a)配列番号6の前記変異体が、4位にM、L、IまたはVかつ5位にN、S、TまたはQを有し、
(b)配列番号7の前記変異体が、2位にI、A、LまたはV、4位にTまたはS、5位にR、G、DまたはKを有し、
(c)配列番号8の前記変異体が、3位にH、A、RまたはKかつ7位にN、AまたはQを有し、
(d)配列番号9の前記変異体が、9位にN、Q、SまたはTかつ10位にA、NまたはVを有し、
(e)配列番号10の前記変異体が、6位にG、AまたはS、7位にS、G、NまたはQ、8位にT、SまたはGかつ12位にV、A、IまたはLを有する、項目38~41のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0247】
43.
(a)配列番号6の前記変異体が、4位にM、L、またはIかつ5位にN、S、またはTを有し、
(b)配列番号7の前記変異体が、2位にI、A、またはL、4位にTまたはS、5位にR、G、DまたはKを有し、
(c)配列番号13の前記変異体が、3位にH、A、RまたはKかつ7位にN、AまたはQを有し、
(d)配列番号9の前記変異体が、9位にN、Q、SまたはTかつ10位にA、NまたはVを有し、
(e)配列番号16の前記変異体が、6位にG、AまたはS、7位にS、G、またはN、8位にT、SまたはGかつ12位にV、またはAを有する、項目38~41のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0248】
44.
(a)配列番号12の前記変異体が、4位にM、またはLかつ5位にNを有し、
(b)配列番号7の前記変異体が、2位にI、4位にT、5位にR、G、またはDを有し、
(c)配列番号14の前記変異体が、3位にH、またはAかつ7位にN、AまたはQを有し、
(d)配列番号9の前記変異体が、9位にNかつ10位にN、またはAを有し、
(e)配列番号17の前記変異体が、6位にG、AまたはS、7位にS、G、またはN、8位にT、SまたはGかつ12位にV、またはAを有する、項目38~41のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0249】
45.
(a)配列番号12の前記変異体が、4位にMかつ5位にNを有し、
(b)配列番号7の前記変異体が、2位にI、4位にT、5位にRを有し、
(c)配列番号14の前記変異体が、3位にHかつ7位にNを有し、
(d)配列番号9の前記変異体が、9位にNかつ10位にAを有し、
(e)配列番号17の前記変異体が、6位にG、7位にS、8位にTかつ12位にVを有する、項目38~41のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0250】
46.前記軽鎖可変ドメインが、(e)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の4以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、項目38~45のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0251】
47.CDR H1、H2、H3、L1およびL3の前記変異体における前記アミノ酸置換の和が、12以下である、項目38~46のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0252】
48.CDR H1、H2、H3、L1、L2およびL3の前記変異体における前記アミノ酸置換の合計が、13以下である、項目46に記載のモノクローナル抗体。
【0253】
49.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~48のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0254】
50.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~48のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0255】
51.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~48のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0256】
52.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号12の1位、2位、4位および5位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の2位および4位~17位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の1位~3位、7位および9位~11位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の1位~6位、9位、10位、12位および13位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の1位、2位、6位~8位および12位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~48のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0257】
53.前記軽鎖可変ドメインが、(e)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の1以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、項目38~52のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0258】
54.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号8の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号10の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~53のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0259】
55.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号13の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号16の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~53のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0260】
56.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号9の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号17の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~53のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0261】
57.前記モノクローナル抗体が、
i)(a)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、または配列番号6の1位および4位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体;(b)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H2、または配列番号7の5位、8位および13位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3、または配列番号14の3位および7位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
ii)(d)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、または配列番号15の8位および10位から選択される2以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体、ならびに(f)配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3、または配列番号18の4位、5位および6位から選択される3以下の位置にアミノ酸置換を有するその変異体を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含む、項目38~53のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0262】
58.前記軽鎖可変ドメインが、(e)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、または配列番号11の6位に1以下のアミノ酸置換を有するその変異体を含む、項目38~57のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0263】
59.前記各アミノ酸置換が、保存的アミノ酸置換、好ましくは高度に保存的なアミノ酸置換である、項目38~58のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0264】
60.前記重鎖可変ドメイン(VH)が、(a)X1NVX2N(式中、X1はSまたはRであり、X2はMまたはLである)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメイン(VL)が、(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1、および(f)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、項目1~59のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0265】
61.前記軽鎖可変ドメイン(VL)が、配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L2を含む、項目1~60のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0266】
62.前記重鎖可変ドメイン(VH)が、(a)配列番号12、25および26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H1、(b)配列番号7、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H2、ならびに(c)配列番号14および29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメイン(VL)が、(d)配列番号15および30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L1、ならびに(f)配列番号18、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR-L3を含む、項目1~61のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0267】
63.前記軽鎖可変ドメイン(VL)が、配列番号11または33のアミノ酸配列を含むCDR-L2を含む、項目1~62のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0268】
64.前記重鎖可変ドメイン(VH)が、式I:
FW-H1-CDR-H1-FW-H2-CDR-H2-FW-H3-CDR-H3-FW-H4(式I)
に表される前記VHの前記CDRに隣接するフレームワーク領域(FW)を含み、
FW-H1が、配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し、
FW-H2が、配列番号35のアミノ酸配列、または配列番号35と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し、
FW-H3が、配列番号36のアミノ酸配列、または配列番号36と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し、
FW-H4が、配列番号37のアミノ酸配列、または配列番号37と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有する、項目1~63のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0269】
65.前記軽鎖可変ドメイン(VL)が、式I:
FW-L1-CDR-L1-FW-L2-CDR-L2-FW-L3-CDR-L3-FW-L4(式I)
に表される前記VLの前記CDRに隣接するフレームワーク領域(FW)を含み、
FW-L1が、配列番号38のアミノ酸配列、または配列番号38と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し、
FW-L2が、配列番号39のアミノ酸配列、または配列番号39と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し、
FW-L3が、配列番号40のアミノ酸配列、または配列番号40と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有し、
FW-L4が、配列番号41のアミノ酸配列、または配列番号41と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するその変異体を有する、項目1~64のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0270】
66.前記VHが、配列番号42のアミノ酸配列、または配列番号42と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を有する、項目1~65のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0271】
67.前記VHが、配列番号43のアミノ酸配列、または配列番号43と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を有する、項目1~66のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0272】
68.前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列、または配列番号44と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を有する、項目1~67のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0273】
69.前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列、または配列番号45と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を有する、項目1~68のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0274】
70.前記VLが、配列番号46のアミノ酸配列、または配列番号46と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を有する、項目1~69のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0275】
71.前記VLが、配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を有する、項目1~70のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0276】
72.37℃の温度において、T4との前記モノクローナル抗体の会合速度定数(ka)が、1.9×107M-1sec-1以上、実施形態において2×107M-1sec-1以上、実施形態において1×108M-1sec-1以上、実施形態において3×108M-1sec-1以上、および実施形態において1×109M-1sec-1以上である、項目1~71のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0277】
73.T4への結合の前記会合速度定数(ka)が、配列番号48の重鎖および配列番号49の軽鎖を含むかまたはそれらからなる抗体のT4への結合の会合速度定数(ka)の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも30%、更により好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%に相当し、前記会合速度定数が同一の実験条件下で測定される、項目1~72のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0278】
74.前記kaが、表面プラズモン共鳴分光法によって決定される、項目72または73に記載のモノクローナル抗体。
【0279】
75.前記表面プラズモン共鳴分光法が、質量輸送制限のための補正を使用して分析される、項目74に記載のモノクローナル抗体。
【0280】
76.前記モノクローナル抗体が、20nm以下、実施形態において10nM以下、実施形態において5nM以下、実施形態において1nM以下、実施形態において0.5nM以下、実施形態において0.3nM以下、および実施形態において0.28nM以下のKDでT4に結合する、項目1~73のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0281】
77.前記KDが、任意に、溶液測定における親和性を使用して、表面プラズモン共鳴分光法によって決定される、項目76に記載のモノクローナル抗体。
【0282】
78.前記モノクローナル抗体が、T4を、3-ヨード-L-チロシン(L-T3)、r甲状腺ホルモン(rT3)、3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸、3,5-ジ-ヨード-L-チロシンおよび/または3-i-L-チロシンと識別する、項目1~77のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0283】
79.前記モノクローナルが、T4をL-T3および/またはrT3と識別する、項目1~78のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0284】
80.T4をそれぞれの物質(複数可)と識別することが、T4に結合するためのKDがそれぞれ他の物質(複数可)のKDよりも少なくとも4倍低い、実施形態において少なくとも5倍低いことを意味する、項目78または79に記載のモノクローナル抗体。
【0285】
81.前記モノクローナル抗体が、T4(例えば、fT4)を定量するための競合的イムノアッセイにおいて使用される場合、他の点では同一のイムノアッセイ設定において、配列番号48の重鎖配列および配列番号49の軽鎖配列を有するFabフラグメントを用いて達成されるシグナル対ノイズ比の少なくとも29%、実施形態において65%および実施形態において少なくとも95%であるシグナル対ノイズ比を示す、項目1~80のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0286】
82.前記モノクローナル抗体が、Fabフラグメントである、項目1~81のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【0287】
83.ポリヌクレオチドであって、
(i)項目1~82のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の前記重鎖もしくは重鎖可変ドメイン、および/または
(ii)項目1~82のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の前記軽鎖もしくは軽鎖可変ドメイン
をコードする、ポリヌクレオチド。
【0288】
84.項目83に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【0289】
85.項目83に記載のポリヌクレオチド、または項目84に記載のベクターを含む宿主細胞。
【0290】
86.原核生物細胞または真核生物細胞である、項目85に記載の宿主細胞。
【0291】
87.真核生物細胞であり、前記細胞がHEK細胞またはCHO細胞である、項目85に記載の宿主細胞。
【0292】
88.項目1~82のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を産生する方法であって、項目85~87のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養することと、前記抗体を単離することとを含む、方法。
【0293】
89.項目88に記載の方法によって得ることができる、項目1~82のいずれか一項に記載の抗体。
【0294】
90.項目1~82のいずれか1つに記載の抗体、項目83に記載のポリヌクレオチド、項目84に記載のベクター、または項目85~87のいずれか一項に記載の宿主細胞を含む組成物。
【0295】
91.診断用組成物である、項目1~82のいずれか一項に記載の抗体を含む組成物。
【0296】
92.試料中のT4(例えば、fT4)のインビトロ検出、好ましくはインビトロ定量のための、好ましくはイムノアッセイを用いる、項目1~82のいずれか一項に記載の抗体または項目90もしくは91に記載の組成物の使用。
【0297】
93.前記イムノアッセイが、異種イムノアッセイである、項目92に記載の使用。
【0298】
94.前記試料が、血液、好ましくは血漿または血清である、項目92または93に記載の使用。
【0299】
95.前記イムノアッセイが、競合的イムノアッセイである、項目92~94のいずれか一項に記載の使用。
【0300】
96.項目1~82のいずれか一項に記載の抗体を用いて、試料中のT4(例えば、fT4)を定量するためのインビトロイムノアッセイ法。
【0301】
97.前記試料が、体液である、項目96に記載の方法。
【0302】
98.前記体液が、血液試料、脳脊髄液、精液、唾液または尿である、項目97に記載の方法。
【0303】
99.前記体液が、全血、血清または血漿である血液試料である、項目96または97に記載の方法。
【0304】
100.前記方法が、(i)T4(例えば、fT4)を含む試料を、項目1~82のいずれか一項に記載の抗体または項目90もしくは91に記載の組成物と共にインキュベートすることと、(ii)それぞれ、前記組成物に含まれる抗体または前記抗体に結合したT4(例えば、fT4)を直接的または間接的に検出することによって、前記試料中のT4(例えば、fT4)の量を定量することとを含む、項目96~99のいずれか一項に記載の方法。
【0305】
101.前記方法が、(i)T4(例えば、fT4)を含む試料を、項目1~82のいずれか一項に記載の抗体または項目90もしくは91に記載の組成物とインキュベートすることであって、前記抗体が、それに付着した検出標識を有する、項目1~82のいずれか一項に記載の抗体または項目90もしくは91に記載の組成物とインキュベートすることと、(ii)前記検出標識を介して前記試料中のT4(例えば、fT4)に結合しなかった前記抗体の量を定量することによって、前記試料中のT4(例えば、fT4)の量を定量することとを含む、項目96~100のいずれか一項に記載の方法。
【0306】
102.前記検出標識が、酵素、発光、一実施形態において蛍光、発光、化学発光、電気化学発光または放射能を放出する標識から選択される、項目101に記載の方法。
【0307】
103.前記方法が、試料中の総T4を検出する方法であり、前記方法が、結合タンパク質(例えば血清タンパク質)からT4を放出するための試薬で前記試料を処理することを含み、実施形態において、その結合タンパク質からT4を放出するための前記試薬が、8-アニリノナフタレン-1-スルホン酸(ANS)である、項目96~102のいずれか一項に記載の方法。
【0308】
104.項目1~82のいずれか一項に記載の抗体、または項目90もしくは91に記載の組成物を含む、キット。
【0309】
105.前記キットが、インビトロでT4(例えば、fT4)を検出および/または定量するためのキットである、項目103に記載のキット。
【0310】
106.イムノアッセイキットである、項目103または104に記載のキット。
【0311】
本発明は、L-チロキシンに特異的に結合する抗体を提供する。(本明細書ではL-T4またはT4と呼ぶ)。当技術分野で使用されるL-チロキシンの代替名は、3,3’,5,5”-テトラヨード-L-チロニンおよび3-[4-(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル]-L-アラニンである。T4はCAS番号51-48-9を有する。T4は、遊離および血清結合ホルモンの平衡混合物として血流中を循環する。遊離T4(fT4)は、未結合の生物学的に活性な形態であり、総T4のわずか0.03%に相当する。残りのT4は不活性であり、チロキシン結合グロブリン(TBG)(75%)、プレアルブミン(15%)、およびアルブミン(10%)等の血清タンパク質に結合する(Robbins J,Rall JE.Recent Prog Horm Res 1957;13:161-208;Oppenheimer JH.N Engl J Med 1968;278(21):1153-1162;DeGroot LJ,Larsen PR,Hennemann G.Wiley and Sons,New York,1984:62-65;Ekins RP.Endocr Rev 1990;11(1):5-46)。血清タンパク質に結合したT4は抗体結合にほとんどアクセスできないため、本発明の抗体は、T4/L-T4に特異的に結合する抗体がその遊離形態で(すなわち、結合タンパク質結合形態ではない)T4/L-T4に結合することは明らかである。したがって、実施形態において、本発明の抗体はまた、fT4に特異的に結合し得る。実施形態において、fT4に特異的に結合することは、fT4が血清タンパク質結合T4と識別できることを意味するものではなく、L-T3等の関連物質/誘導体および本明細書の他の箇所に開示される他のものからのT4の識別に関する。本発明の抗体は、実施形態において、fT4の検出用であり得る。他の実施形態において、抗体は、試料中の総T4の検出に使用することができる。後者の実施形態において、抗体の使用は、典型的には、タンパク質(例えば血清タンパク質)に結合したT4を放出するための試料の前処理を含む。
【0312】
本明細書で使用される場合、「抗体」、「抗体(複数)」という用語、および類似の用語は、完全な免疫グロブリン分子に関し、天然に存在する形態の抗体(IgG、IgA、IgM、IgEを含むが、これらに限定されない)、ならびに、限定されないが、単鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合タンパク質、および多重特異性抗体を含む組換え抗体構築物;ならびに上記の全ての抗原結合フラグメントおよび誘導体を包含する。本明細書で使用される場合、「抗体」、「抗体(複数)」という用語、および類似の用語はまた、その抗原結合フラグメントを指し、それは、本明細書で抗体抗原結合フラグメント、および/または単に抗原結合フラグメントと呼ばれ得る。これらの用語は、当技術分野で公知のように、標的抗原、すなわちL-T4に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指し、限定されないが、Fvドメイン、すなわちFab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント等、対になった重鎖および軽鎖可変ドメインを含む抗原結合フラグメント、ならびに組換え構築物、例えばscFvとして当技術分野で公知の単鎖Fvドメインを含む。この用語はまた、本明細書で定義される抗原に特異的かつ選択的に結合する能力を保持する、当技術分野で公知の単一の非対重鎖または軽鎖可変ドメインを含む抗体抗原結合フラグメントを含み、それには、限定されないが、ラクダの重鎖に基づく単一ドメイン抗体(当該技術分野ではsdAb、dAb、および/またはナノボディとも呼ばれる)およびVHHドメインが含まれる。
【0313】
特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、完全免疫グロブリン、Fab、Fab’、F(ab’)2、FvまたはscFvであり得る。具体的な実施形態において、本発明のモノクローナル抗体はFabフラグメントであり得る。
【0314】
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。本発明の抗体は、モノクローナルである。抗体またはその抗原結合フラグメントに関して本明細書で使用される場合、「モノクローナル」という用語は、単一のB細胞クローンから産生される抗体ポリペプチドまたはそのフラグメントの集団を指し、その集団は、抗原の特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の1つの種のみを含む。これは、複数の種の抗原結合部位を含む抗体ポリペプチドまたは抗原結合フラグメントの集団を指す用語である「ポリクローナル」抗体および組成物とは対照的である。本発明のモノクローナル抗体の修飾形態、例えばそのヒト化バージョンまたはキメラバージョン、ならびに組換え抗体構築物、例えば抗体(または抗原結合フラグメント)融合タンパク質も含まれ、ここで、抗体または抗原結合フラグメントは、例えば組換えて作られた抗体/フラグメント/構築物の単離および/または調製のための追加のドメインを含む。
【0315】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、類似の構造を一般に有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの相補性決定領域(CDR)とを含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照)。抗原結合特異性を付与するためには、単一のVHドメインまたはVLドメインで十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、その抗原に結合する抗体のVHドメインまたはVLドメインを用いて単離し、相補的なVLドメインまたはVHドメインそれぞれのライブラリーをスクリーニングし得る。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
【0316】
抗体に関連して本明細書で使用される場合、「パラトープ」という用語は、抗原(例えば、L-T4)と直接相互作用するVHおよびVLのアミノ酸に関する。パラトープアミノ酸は、異なる相互作用モードを介して抗原と相互作用し得る。例示的な相互作用モードは、疎水性相互作用、H結合、H2O配位とのH結合およびH2O配位である。各パラトープ残基と抗原との相互作用は、アミノ酸側鎖またはアミノ酸骨格を介して個々に媒介され得る。
【0317】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列内で超可変可能であり、抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。
【0318】
一般に、抗体は6つのCDRを含み、3つがVHにあり(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、3つがVLにある(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)。本明細書における例示的なCDRとしては、以下が挙げられる:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)および96-101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk、J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)、および95~102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))、ならびに
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、および93~101(H3)に存在する抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732~745(1996))。
【0319】
別途指示がない限り、CDRは、上記Kabat et al.に従い決定される。当業者であれば、CDRの呼称はまた、上掲のChothia、上掲のMcCallum、または任意の他の科学的に認められた命名法に従って決定され得ることを理解するであろう。
【0320】
本発明の抗体のVHおよびVLのアミノ酸残基のナンバリングは、特に明記しない限り、Kabat命名法に従って行われる。当業者は、Kabatに従うナンバリングを、Clothia、McCallum等の他の命名法に変換することができる。
【0321】
「フレームワーク」または「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3およびFR4からなる。したがって、CDRおよびFR配列は、一般的に、VH(またはVL)において次の配列で出現する:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2-CDR-H2(CDR-L2)-FR3-CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
【0322】
アミノ酸と関連して本明細書で使用される場合、「置換」、「交換」または「変異する」という用語は、アミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを指す。特定の位置でのアミノ酸の欠失および異なる位置での1つ(または複数)のアミノ酸の導入は、「置換」という用語に明示的に包含されるものではない。述べられたように、本発明は、本明細書中上記で定義されたような保存的または高度に保存的なアミノ酸置換を包含する。
【0323】
場合によっては、本明細書では、ある特定のアミノ酸が、2つ以上のアミノ酸のサブセットまたはその保存的(または高度に保存的)置換から選択されると定義される。これらの例では、それぞれのアミノ酸位置は、列挙されたアミノ酸のいずれか、または明示的に列挙されたアミノ酸のいずれかの保存的(または高度に保存的)アミノ酸置換であり得る。本明細書で使用される保存的および高度に保存的な置換が意味するものは、本明細書の他の箇所で定義される。例示的な例を挙げると、ある特定のアミノ酸が「AもしくはTまたはその保存的アミノ置換」と定義される場合、そのアミノ酸は、Aまたはその任意の保存的アミノ酸交換、またはTまたはその保存的アミノ置換であり得る。
【0324】
アミノ酸は、本明細書では、1文字コードまたは3文字コードを使用して綴られるか、または略記される。
【0325】
本発明との関連では、それは、配列(特にCDR)の変異体を指す。これらの変異体は、典型的には、1つ以上のアミノ酸置換を含む。変異体CDRが、機能的変異体であること、すなわち参照アミノ酸配列とは異なり得るが、異なる配列が、記載された重鎖および/または軽鎖可変ドメインの状況における参照配列と同じ機能活性を示すかまたは維持するアミノ酸配列を有することは明らかである。具体的には、本明細書で使用される場合、同じ機能活性という用語は、1つ以上の変異体CDRを含む本発明の抗体または抗体結合フラグメントが、並外れて高い会合速度定数kaおよび/またはL-T4への結合に対する親和性、特異性(特に、構造的に関連する化合物からのL-T4の識別に関する)および/またはイムノアッセイにおける高いシグナル対ノイズ比を維持することを意味する。
【0326】
本発明との関連で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、同じ物理化学的群から選択される別のアミノ酸によるアミノ酸の置換を意味し、アミノ酸の物理化学的群は、以下のとおりである。
a)Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、TrpおよびMetからなる非極性疎水性アミノ酸;
b)Ser、Thr、AsnおよびGlnからなる極性中性アミノ酸;
c)Arg、LysおよびHisからなる、正電荷を有する塩基性アミノ酸、ならびに
d)AspおよびGluからなる、負電荷を有する酸性アミノ酸、であり、
Cysが保存的に置換される場合、それはSerまたはAlaで置換され、Proが保存的に置換される場合、それはAlaで置換される。
【0327】
本発明との関連で使用される場合、「高度に保存的なアミノ酸置換」は、以下のアミノ酸置換を意味する:
a)Val、Leu、IleまたはGlyによるAlaの置換;
b)LysによるArgの置換;
c)GlnによるAsnの置換;
d)GluによるAspの置換;
e)SerによるCysの置換;
f)AsnによるGlnの置換;
g)AspによるGluの置換;
h)AlaによるGlyの置換;
i)ArgによるHisの置換;
j)Leu、ValまたはAlaによるIleの置換;
k)Ile、ValまたはAlaによるLeuの置換;
l)ArgによるLysの置換;
m)Leu、IleまたはValによるMetの置換;
n)TyrまたはTrpによるPheの置換;
o)AlaによるProの置換;
p)ThrによるSerの置換;
q)SerによるThrの置換;
r)PheまたはTyrによるTrpの置換;
s)PheまたはTrpによるTyrの置換;および
t)Leu、IleまたはAlaによるValの置換。
【0328】
本明細書で使用される場合、ポリペプチド/ペプチドのアミノ酸配列および/または核酸配列または核酸分子に関連する「配列同一性%」という用語は、アラインメントされた2つ以上の配列の、比較される配列(またはその全体的に比較される部分)の全長を構成する残基の数と比較した、同一のアミノ酸または核酸残基のマッチ数を表す。2つ以上の配列または部分配列のアラインメントを使用して、同一である残基のパーセンテージは、比較ウィンドウ上で、もしくは当技術分野で公知の配列比較アルゴリズムを使用して測定される指定された領域上で(部分)配列を比較し、最大一致についてアラインメントする場合、または手作業でアラインメントし、目視検査にする場合に決定され得る。配列同一性の決定に使用するためのアルゴリズムの非限定的な例としては、例えば、NCBI BLASTアルゴリズム(Altschul et al.,Nucleic Acids Res 25(1997)、3389-3402)、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson,Nucl.Acids Res.2(1994)、4673-4680)またはFASTA(Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.,85(1988),2444)に基づくものが挙げられる。FASTAアルゴリズムは、典型的には、その計算において、配列における内部の一致しない欠失または付加、すなわちギャップを考慮しないが、これは、%配列同一性の過大評価を回避するために手動で訂正され得る。しかしながら、CLUSTALWは、その同一性計算において配列ギャップを考慮する。BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズム(Altschul et al.,Nucl Acids Res.,25(1977)、3389)も利用可能である。
【0329】
本明細書で使用される場合、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」および類似の用語は、ゲノムDNAとcDNAの両方、ならびに本発明の抗体または抗原結合フラグメントの発現を駆動することができるRNAを含む。本明細書で使用される場合、「RNA」という用語は、mRNA、tRNAおよびrRNAを含むが、RNAウイルスのRNAの場合等、ゲノムRNAも含む全ての形態のRNAを含むことが理解される。好ましくは、「RNA」と記載する実施形態はmRNAに関する。本発明の核酸分子/核酸配列は、天然ならびに合成または半合成起源のものであり得る。実施形態において、本発明の核酸/核酸配列は単離され得る。したがって、核酸分子は、例えば、有機化学の従来のプロトコルに従って、組換え方法に従って合成された、または半合成的に、例えば化学合成と組換え方法とを組み合わせることによって製造された核酸分子であり得る。当業者は、そのような核酸分子の調製および使用に精通している。
【0330】
本明細書で使用される場合、「イムノアッセイ」は、分析物の検出または定量が分析物と少なくとも1つの分析物特異的結合剤との反応に依存し、したがって分析物:結合剤複合体を形成する、十分に確立された生物分析方法である。本発明との関連において、少なくとも1つの分析物特異的結合剤のうちの少なくとも1つは、本発明の抗体である。「サンドイッチ」イムノアッセイの具体的な実施形態は、複数の認識エピトープを有する分析物に使用することができる。したがって、サンドイッチアッセイには、分析物上の重複しないエピトープに付着する少なくとも2つの結合剤が必要である。「異種サンドイッチイムノアッセイ」では、結合剤の1つが分析物特異的捕捉結合剤の機能的役割を有し、この結合剤は固相上に固定化されているか、または(アッセイの過程で)固相上に固定化される。第2の分析物特異的結合剤は、液相に溶解形態で供給される。それぞれの分析物が第1および第2の結合剤によって結合されると、サンドイッチ状の複合体(結合剤-1:分析物:結合剤-2)が形成される。サンドイッチ状の複合体は、「検出複合体」とも呼ばれる。検出複合体内では、分析物は結合剤の間に挟まれており、すなわちそのような複合体では、分析物は第1の結合剤と第2の結合剤との間の接続要素を表す。
【0331】
(「均一」に対するものとして)「不均一」という用語は、アッセイ手順における2つの必須で別個の工程を示す。第1の工程では、標識を含む検出複合体が形成され、固定化されるが、未結合の標識がまだ複合体を囲んでいる。標識依存シグナルを判定する前に、未結合標識は固定化された検出複合体から除去されるため、第2の工程に相当する。対照的に、均一アッセイは、シングルステップインキュベーションによって分析物依存の検出可能なシグナルを生成し、洗浄工程を必要としない。
【0332】
不均一イムノアッセイでは、固相は、分析物と接触させる前に、その表面に機能性捕捉結合剤(第1の結合剤)が結合し得るように官能化されるか、または、固相の表面は、分析物と反応した後に、第1の結合剤を係留することができるように官能化されている。後者の場合、係留プロセスは、分析物を特異的に捕捉して結合する結合剤の能力を妨げてはならない。液相中に存在する第2の結合剤は、結合した分析物の検出に使用される。したがって、不均一イムノアッセイでは、分析物を第1の結合剤(捕捉)および第2の結合剤(検出器)に結合させる。これにより、分析物が捕捉結合剤と検出器結合剤との間に挟まれた「検出複合体」が形成される。典型的な実施形態において、検出器結合剤は、分析物と接触させる前に標識されるか、あるいは、分析物結合後に標識が検出器結合剤に特異的に付着される。検出複合体が固相に固定化されている場合、固相で検出可能な標識の量は、挟まれた分析物の量に相当する。未結合の標識を除去した後、分析物の存在と量を示す固定化された標識を検出できる。
【0333】
本明細書で使用される場合、「競合的イムノアッセイ」は、好ましくは、分析物と直接相互作用する単一の結合剤(すなわちT4/fT4)を使用する。「競合不均一イムノアッセイ」は、典型的には、試料中の分析物の量に逆に対応する検出標識のシグナルを検出する。本明細書の好ましい実施形態において、競合的イムノアッセイは不均一競合的イムノアッセイであり得る。実施形態において、分析物を含む試料は、分析物特異的結合剤(例えば、本発明の抗体)と反応することができる分析物の人工的に生成された標識類似体と混合される。アッセイでは、分析物および類似体は、固定化されているかまたは固定化される捕捉結合剤(例えば、本発明の抗体)への結合について競合する。結合剤の量は、この設定において限定的であるように選択される。この結合工程に続いて、固定化された標識の量が多いほど、捕捉結合剤をめぐって競合することができた非標識分析物の量が少なくなる。固定化された標識は、洗浄工程の後に定量される。この設定では、固相で検出可能な標識の量は、試料に最初に存在した分析物の量に反対に相応する。他の実施形態において、競合的イムノアッセイは、不均一逆滴定アッセイであり得る。そのようなアッセイでは、分析物を含む試料は、最初に、分析物:結合剤複合体を形成するのに十分な時間、検出標識が付着した結合剤(例えば、本発明の抗体)と共にインキュベートされる。結合剤は、測定される最高分析物濃度に対して過剰に提供されてもよい。続いて、検出標識(例えば、本発明の抗体について試料中のT4(例えば、fT4)と競合する)を有する結合剤との結合について競合する捕捉類似体(例えばビオチン化L-T4)を混合物に添加する。捕捉類似体は、混合物とのインキュベーション中に表面(例えば磁気ビーズ)に固定化されているか、または(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して)固定化される。次いで、非表面結合試薬を除去し、検出標識のシグナルを検出することによって、分析物の量を検出することができる。表面に(結合剤に付着した)検出標識が多いほど、試料中に存在する分析物は少なかった。したがって、この第2の設定ではまた、固相で検出可能な標識の量は、試料に最初に存在した分析物の量に反対に相応する。
【0334】
本明細書で使用される場合、「検出可能な標識」は、検出を可能にする標識に関する。本発明の一実施形態によれば、検出可能な標識は、酵素、または一実施形態において蛍光、発光、化学発光、電気化学発光もしくは放射能を放出する標識である。好ましい実施形態において、標識は電気化学発光標識、一実施形態においてトリス(2,2’-ビピリジル)ルテニウム(II)錯体(Ru(bpy))である。干渉は、自己抗体および類似の干渉分子を引き付ける標識分子の三次元構造によって引き起こされ、例えば光または放射能等の当該標識のシグナル放出機構によっては引き起こされないため、上記の標識は全て本発明で使用することができる。
【0335】
本明細書で使用される場合、「捕捉標識」は、捕捉剤(例えば、捕捉標識が付着したT4)を表面(例えば、マイクロビーズ等の磁性粒子上)に固定化することができる標識に関する。非限定的な例は、結合対のメンバーである。捕捉標識の非限定的な例はビオチンまたはその誘導体であり、これはストレプトアビジンまたはその誘導体と相互作用することができる。様々な捕捉標識が当技術分野で周知である。
【0336】
本開示との関連で使用される場合、「試料」は、L_T4を含む、または含むと予想される液体試料であり得る。試料は、特に、限定されないが、血液試料、脳脊髄液、精液、唾液または尿等の体液であり得る。実施形態において、試料は、全血、血清または血漿等の血液試料である。実施形態において、試料は、血清または血漿である。
【0337】
単語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」のような変形は、記載された整数もしくは工程または整数もしくは工程のグループの包含を意味するが、いかなる他の整数もしくは工程または整数もしくは工程のグループの除外を意味しないことが理解される。
【0338】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0339】
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では「範囲」の形式で表現または提示され得る。このような範囲の形式は、便宜上および簡潔にするために単に使用されているに過ぎないことが理解され、したがって、その範囲の境界として明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値および部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲の全てを含むことを柔軟に解釈するべきである。例示として、「150mg~600mg」の数値範囲は、150mg~600mgの明示的に列挙された値を含むだけでなく、示された範囲内の個々の値および部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、150、160、170、180、190、・・・580、590、600mg等の個々の値、および150から200、150から250、250から300、350から600等の部分範囲が含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅または記載されている特性にかかわらず、適用すべきである。
【0340】
「約」という用語は、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
【0341】
本発明の前述の詳細な説明では、いくつかの個々の要素、特徴、技法、および/または工程が開示されている。これらの各々は、単独で考慮または使用される場合に個々にだけでなく、互いに組み合わせて考慮および使用される場合にも利益を有することが容易に認識される。したがって、過度に繰り返される冗長な節を避けるために、この説明は、可能な全ての組み合わせおよび置き換えを繰り返すことを避けた。それにもかかわらず、明示的に列挙されているか否かにかかわらず、そのような組み合わせは完全に本開示の主題の範囲内にあることが理解される。
【0342】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有することが意図される。本明細書で使用される技術への言及は、当業者には明らかであろうそれらの技術のバリエーションまたは同等の技術の置換を含む、当技術分野で一般的に理解されている技術を指すことが意図される。
【0343】
本明細書で提供される全てのアミノ酸配列は、当技術分野で慣習的に行われるように、最もN末端の残基で始まり、最もC末端の残基で終わり、本発明のいたるところでアミノ酸を同定するために使用される1文字または3文字のコード略語は、アミノ酸について一般的に使用されるものに対応する。
【0344】
本明細書では、特許出願および製造者のマニュアルを含む多くの文書が引用されている。これらの文献の開示は、本発明の特許性に関連するとは考えられないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。より具体的には、参照された全ての文書は、個々の文書が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されている場合と同程度まで、参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0345】
以下の図は、本発明の理解を助けるために提供されており、その真の範囲は、特許請求の範囲に明記されている。本発明の趣旨から逸脱することなく、記載されている手順に修飾が加えられ得ることが理解される。
【0346】
【
図1】
図1は、生成された抗体の初期速度論的スクリーニングのために得られたデータを示す。解離速度定数k
dを会合速度定数k
aに対してプロットし、対角線は得られた親和性範囲を示す。840個の分析された上清(A)および50個の抗体の選択されたAb選択(B)が示されている。重要なことに、たとえそのような補正が必要であったとしても、この図に示されているk
a値およびk
d値の決定のために、質量輸送制限の補正は適用されなかった。
【
図2】
図2は、Biacoreによって測定した37℃でのL-T4に結合するFabフラグメント38F8、7D4、7E10、3B7、18B3および4H8の速度論的プロファイルを示す。漸増L-T4濃度c=0.04~10nMのA)38F8、B)7D4、C)7E10、D)3B7、E)18B3およびF)の4H8結合系列、希釈係数3;3.3nMの複製。質量輸送制限(8K-insight SW)を補正したLangmuir 1:1結合モデルでオーバーレイした測定センサーグラム(黒色で示されている)を用いた多サイクル速度論。
【
図3】
図3は、Fabフラグメントの溶液中親和性(AiS)曲線を示す。左から右に、38F8、7D4、7E10(上)、3B7、18B3および4H8(下)、濃度はそれぞれ3nM(38F8、7D4および7E10)、5nM(3B7)または10nM(18B3および4H8)で一定に保持され、L-T4濃度は変動する。存在するL-T4が増加すると、溶液中の「遊離」Fabフラグメントが減少する。競合実験について決定されたFab濃度を、L-T4競合剤濃度に対してプロットした。
【
図4】
図4は、37℃でL-T3に結合するFabフラグメント38F8、7D4、7E10、3B7、18B3および4H8の速度論的プロファイルを示す:漸増L-T3濃度c=1.2~300nMのA)38F8、B)7D4、C)7E10、D)3B7、E)18B3およびF)4H8結合系列、希釈係数3;100nMの複製。測定されたセンサーグラム(左)およびプロットされた応答がXR濃度に対する共振単位(RU)において平衡に達する定常状態の速度論を、フィッティングされた結合モデル(右)でオーバーレイした。
【
図5】
図5は、Fab 38F8の受容体結合ポケットにおけるL-T4リガンドの二次元表示を示す。リガンドは棒表示で示され、結合に関与する受容体アミノ酸は球に単純化されている。ここで、AおよびBの文字の接頭辞は、それぞれ重鎖および軽鎖を表す。リガンドを包み込む曲線状の点線はリガンドとの主な相互作用領域を表し、一方、直線状の点線は水素結合を表す。いくつかのリガンド原子の背後にある影付きの球状領域は、溶媒の接近可能性を示し、影付きの球が大きいほど、相対的な溶媒の接近可能性が高くなる。
【
図6】
図6は、それぞれ38F8、7D4、7E10、3B7、18B3および4H8のVHドメインおよびVLドメインの配列アラインメントを示す。CDRは太字で強調されている。L-T4と複合体を形成している38F8の結晶構造に従ってL-T4と直接相互作用するパラトープの一部として同定されたアミノ酸残基に下線を付している。
【
図7】38F8、7D4、4H8、および7E10の平衡化3D構造。4つ全てのクローンの重鎖および軽鎖のCDRの配列を下に示す。38F8の結合ポケットを形成し、他のクローンで同一のアミノ酸を太字で示す。結合ポケットが異なるアミノ酸を斜体で示す。
【0347】
配列の説明
配列番号1:Kabatナンバリングに従う38F8のVHのアミノ酸(AS)54~65
SGNTYYASWAKG
配列番号2 Kabatナンバリングに従う7D4のVHのAS54~65
SGNTYYATWAKG
配列番号3 Kabatナンバリングに従う7E10のVHのAS54~65
SGSTYYATWAKG
配列番号4 Kabatナンバリングに従う38F8のVLのAS50~56
GASTLTS
配列番号5 Kabatナンバリングに従う7E10および7D4のVLのAS50~56
GASTLAS
配列番号6 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-H1配列
SNXMN(式中、XはVまたはAである)
配列番号7 38F8のCDR-H2配列
YIWTRSGNTYYASWAKG
配列番号8 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-H3配列
GLHIXYNIFNF(式中、XはG、AまたはVである)
配列番号9 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-L1配列
QSSQSVX1X2NAWCS(式中、X1はHまたはYであり、X2はNまたはKである)
配列番号10 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-L3配列
AGX1X2X3GSTX4X5HV(式中、X1はGまたはAであり、X2はY、WまたはFであり、X3はSまたはTであり、X4はYまたはFであり、X5はN、S、T、Q、Nである)
配列番号11 38F8のCDR-L2配列
GASTLTS
配列番号12 38F8のCDR-H1配列
SNVMN
配列番号13 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-H3配列
GLHIXYNIFNF(式中、XはGまたはAである)
配列番号14 38F8のCDR-H3配列
GLHIGYNIFNF
配列番号15 38F8のCDR-L1配列
QSSQSVHNNAWCS
配列番号16 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-L3配列
AGX1X2X3GSTX4X5HV(式中、X1はGまたはAであり、X2はY、WまたはFであり、X3はSまたはTであり、X4はYまたはFであり、X5はN、S、Tである)
配列番号17 パラトープ残基にバリエーションを有する38F8のCDR-L3配列
AGGX1SGSTYX2HV(式中、X1はY、Wであり、X2はN、Sである)
配列番号18 38F8のCDR-L3配列
AGGYSGSTYNHV
配列番号19 38F8、7E10および7D4のCDR-H1コンセンサス配列
X1NVX2N(式中、X1はSまたはRであり、X2はM、Lである)
配列番号20 38F8、7E10および7D4のCDR-H2コンセンサス配列
YIWTX1SGX2TYYAX3WAKG(式中、X1はR、GまたはDであり、X2はNまたはSであり、X3はSまたはTである)
配列番号21 38F8、7E10および7D4のCDR-H3コンセンサス配列
GLX1IGYX2IFNF(式中、X1はHまたはAであり、X2はNまたはAである)
配列番号22 38F8、7E10および7D4のCDR-L1コンセンサス配列
QSSQSVX1X2NX3WX4S(式中、X1はHまたはYであり、X2はNまたはKであり、X3はAまたはNであり、X4はCまたはLである)
配列番号23 38F8、7E10および7D4のCDR-L3コンセンサス配列
AGGX1SX2X3X4YX5HX6(式中、X1はYまたはWであり、X2はG、AまたはSであり、X3はS、GまたはNであり、X4はTであり、GまたはSであり、X5はNまたはSであり、X6はVまたはAである)
配列番号24 38F8、7E10および7D4のCDR-L2コンセンサス配列
GASTLX1S(式中、X1はTまたはAである)
配列番号25 7E10のCDR-H1
RNVMN
配列番号26 7D4のCDR-H1
RNVLN
配列番号27 7E10のCDR-H2
YIWTDSGSTYYATWAKG
配列番号28 7D4のCDR-H2
YIWTGSGNTYYATWAKQ
配列番号29 7D4および7E10のCDR-H3
GLAIGYAIFNF
配列番号30 7D4および7E10のCDR-L1
QSSQSVYKNNWLS
配列番号31 7E10のCDR-L3
AGGWSSNSYNHA
配列番号32 7D4のCDR-L3
AGGWSAGGYSHA
配列番号33 7D4および7E10のCDR-L2
GASTLAS
配列番号34 Kabatに従う38F8のFW-H1
LSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIDLS
配列番号35 Kabatに従う38F8のFW-H2
WVRQAPGKGLEWIG
配列番号36 Kabatに従う38F8のFW-H3
RFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCAG
配列番号37 Kabatに従う38F8のFW-H4
WGQGTLVTVSS
配列番号38 Kabatに従う38F8のFW-L1
AVLTQTPSPVSAAVGGTVTINC
配列番号39 Kabatに従う38F8のFW-L2
WFQKKPGQPPKQLIY
配列番号40 Kabatに従う38F8のFW-L3
GVPSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYC
配列番号41 Kabatに従う38F8のFW-L4
FGGGTEVVVK
配列番号42 38F8のVHドメイン
LSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIDLSSNVMNWVRQAPGKGLEWIGYIWTRSGNTYYASWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCAGGLHIGYNIFNFWGQGTLVTVSS
配列番号43 7E10のVHドメイン
QSVEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIDLSRNVMNWVRQAPGKGLEWIGYIWTDSGSTYYATWAKGRFTISKTSSTTVELKMTSPTTEDTATYFCAGGLAIGYAIFNFWGQGTLVTVSS
配列番号44 7D4のVHドメイン
QSVEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIDLSRNVLNWVRQAPGKGLEWIGYIWTGSGNTYYATWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSPTTEDTATYFCAGGLAIGYAIFNFWGQGTLVTVSS
配列番号45 38F8のVLドメイン
AVLTQTPSPVSAAVGGTVTINCQSSQSVHNNAWCSWFQKKPGQPPKQLIYGASTLTSGVPSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCAGGYSGSTYNHVFGGGTEVVVK
配列番号46 7E10のVLドメイン
AVLTQTPSPVSAAVGGTVTISCQSSQSVYKNNWLSWFQQKPGQPPKLLIYGASTLASGVPSRFEGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCAGGWSSNSYNHAFGGGTGVVVT
配列番号47 7D4のVLドメイン
AAVLTQTPSPVSAAVGGTVTISCQSSQSVYKNNWLSWFQQKPGQPPKLLIYGASTLASGVPSRFEGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCAGGWSAGGYSHAFGGGTGVVVA
配列番号48 Fab 38F8の重鎖
LSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIDLSSNVMNWVRQAPGKGLEWIGYIWTRSGNTYYASWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCAGGLHIGYNIFNFWGQGTLVTVSSGQPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSGTLTNGVRTFPSVRQSSGLYSLSSVVSVTSSSQPVTCNVAHPATNTKVDKTVAPSTCS
配列番号49 Fab 38F8の軽鎖
AVLTQTPSPVSAAVGGTVTINCQSSQSVHNNAWCSWFQKKPGQPPKQLIYGASTLTSGVPSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCAGGYSGSTYNHVFGGGTEVVVKGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
配列番号50 18B3のVHドメイン
QSVEESGGRLVTPGTPLTLTCTLSGFSLKGYALSWVRQAPGKGLEWIGLIGNTGMTYYATWATGRFTISKTSTTVDLKMTSPTTEDTATYFCARDWFRYDTFGGTTVIYYYGMDLWGPGTLVTVSS
配列番号51 4H8のVHドメイン
QSVEESGGRLVTPGTPLTLTCTASGFSLSAYYMIWVRQAPGKGLEWIGYIGGGVSASYASWANGRFTISSTSTTVDLKIPSPTTEDTATYFCARGSWNSGIDLWGQGTLVTVSS
配列番号52 3B7のVHドメイン
QSLEESGGDLVKPGASLTLTCKASGIDFSGSALCWVRQAPGKGPEWIVCIYVGSFQNTYYASWAKGRFTISKTSSTTVTLQMTSLTVADTATYFCASDASGISHYRYYFNLWGPGTLVTVSS
配列番号53 18B3のVLドメイン
ALVMTQTPSPVSAAVGGTVTINCQASEEIGNNLAWFQQKPGQPPKLLIQRASTLASGVPSRFSGSGSGTDYSLTISGLQCDDAATYYCLGVLPYIGADGHAFGGGTEVVVKGDPV
配列番号54 4H8のVLドメイン
AAVLTQTASPVSAAVGGTVTINCQSSQSVVNNNRLSWFQQKPGQPPKLLIYKASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGGYISTSDNAFGGGTEVVVKGDPV
配列番号55 3B7のVLドメイン
AIEMTQTPFSVSAAVGGTVTISCQASESVYAKLGWYQQKPGQPPKLLIYDASSLASGVPSRFKGSGSGTEYSLTISDLECDDAATYYCQSAYYTRGADTWGAFGGGTEVVVKGDPV
配列番号56 4H8のCDR-H1
AYYMI
配列番号57 4H8のCDR-H2
YIGGGVSASYASWANG
配列番号58 4H8のCDR-H3
GSWNSGIDL
配列番号59 4H8のCDR-L1
QSSQSVVNNNRLS
配列番号60 4H8のCDR-L2
KASTLAS
配列番号61 4H8のCDR-L3
LGGYISTSDNA
【実施例】
【0348】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために提供されており、その真の範囲は、特許請求の範囲に明記されている。本発明の思想から逸脱することなく、定められた手順に変更を加えることができると理解される。
【0349】
実施例1:T4に特異的な抗体の生成
ハプテン免疫原およびスクリーニング試薬の合成
ハプテンT4-NH-PEG(3)-(OSu)の合成
100mgのL-チロキシンを8mLの乾燥DMFに溶解し、38μLのトリメチルアミンおよび117mgのNHS-PEG3-NHSを添加した。反応物を4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を分取HPLC逆相によって精製した。
【0350】
HPLC-ESI-MS:M+=1107.2 Da.収量は105mgであった。
【0351】
抗原コンジュゲートT4-NH-PEG(3)-CO-KLHの合成
上記のように合成した7.9mgのT4-NH-PEG(3)-(OSu)、NHSエステルを1500μLのDMSOに溶解し、100mgのKLH(キーホールリンペットヘモシアニン、Sigma H 8283)の溶液に添加した。pHをpH=8.3に調整し、溶液を一晩撹拌した。混合物をAmicon撹拌セルで精製した。
【0352】
アミノ基の分析:抗原-KLH比-約200:1
【0353】
T4-NH-PEG(3)-CO-KLHの化学構造は以下のとおりである:
【化1】
【0354】
T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンの合成
ビオチン-DADOO-HS-DADOO(121mg、欧州特許第451810A1号を参照)をトリエチルアミン(36.1μL)を含むDMF(20mL)に溶解し、T4-(Boc)-OSu(249mg)を添加した。反応物を2時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。粗生成物をTFA(6.0mL)に溶解し、室温で30~60分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を分取HPLC逆相によって精製し、147mgを得た。
【0355】
HPLC-ESI-MS:[M+2H+]/2=682.9 Da.収量は147mgであった。
【0356】
T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンの化学構造は以下のとおりである:
【化2】
【0357】
免疫化
12~16週齢のニュージーランドホワイト(NZW)ウサギをT4-NH-PEG(3)-CO-KLHで免疫した。ハプテンの免疫原性を増強するために、担体タンパク質としてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングさせた。最初の月に、動物を毎週免疫した。2ヶ月目から、免疫化スケジュールを1ヶ月に1回に減らした。最初の免疫化のために、500μgのT4-NH-PEG(3)-CO-KLHを0、9%のNaClに溶解し、2mlの完全フロイントアジュバント(CFA)に乳化した。その後の全ての免疫化のために、CFAを1mLの不完全フロイントアジュバント(IFA)エマルジョンに置き換えた。
【0358】
力価分析
ELISAプロトコルを用いて力価分析を行った。陽性対照としてT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンを使用して血清滴定を行った。
【0359】
ビオチン化スクリーニング試薬を、16ng/ml溶液100μl/ウェルを室温で60分間インキュベートすることによって、96ウェルストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートの表面に固定化した。その後の洗浄は、製造業者の指示に従って自動機器(Biotek)を使用して行った。各ウサギからの少量の血清(動物あたり2~3ml)を、免疫化キャンペーンの開始後45日目および105日目に収集した。各ウサギ由来の血清を、1%BSAを含有するPBSで1:300、1:900、1:2700、1:8100、1:24300、1:72900、1:218700および1:656100に希釈した。各希釈液100μlを、スクリーニングペプチドを用いて予め調製したプレートに添加し、室温で60分間インキュベートした。結合した抗体を、HRP標識F(ab’)2ヤギ抗ウサギFcγ(Dianova)およびABTS基質溶液(Roche)で検出した。分析した動物の力価を希釈曲線の50%シグナル減少に設定した。
【表1】
【0360】
表1の結果によって実証されるように、免疫化動物由来のポリクローナル血清は、T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンスクリーニングペプチドに結合した。
【0361】
B細胞クローニング
抗原反応性B細胞を濃縮するために、100ng/mlのT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンを、免疫化動物由来の末梢血単核細胞(PBMC)プールと共に4℃で15分間プレインキュベートした。洗浄工程の後、T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンに結合した抗原反応性B細胞を、ストレプトアビジン被覆ビーズ(Miltenyi)と共に4℃で15分間インキュベートした。MACSカラム(Miltenyi)を使用した陽性B細胞の選別およびその後のインキュベーションを、Seeber et al.,PLoS One 9(2014),issue 2,e86184に記載されているように行ったが、陽性B細胞の選別はプレート結合の代わりにMACSカラム(Miltenyi)を伴った点が唯一の例外であった。
【0362】
続いて、Hit-ELISA(すなわち、スクリーニング剤への結合を試験するELISA)を使用して、所望の結合特性を有する、すなわちT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンに結合する抗体を発現するB細胞を同定した。T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンを、それぞれ室温で60分間、100ng/ml溶液の100μl/ウェルのインキュベーションによって、ストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(Nunc)の表面に固定化した。プレートを洗浄し、30μlのウサギB細胞培養上清を各ウェルに移し、室温で1時間インキュベートした。スクリーニング剤に結合した抗体の検出には、HRP標識F(ab’)2ヤギ抗ウサギFcγ(Dianova)およびABTS基質溶液(Roche)を製造者の指示に従って使用した。T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンに結合した5868個のクローンを同定した。T4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンに結合した5868個のクローンを同定した(合計5匹の免疫化ウサギを用いた10回のB細胞選別実験のうち)。第1のB細胞選別からの333個のクローンおよび第2のB細胞選別からの421個のクローンのV領域を哺乳動物発現ベクターにクローニングし、続いて2mlのHEK293細胞で発現させた(Seeber et al.,PLoS One 9(2014),issue 2,e86184に記載される)。発現の1週間後、次いで、ウサギIgGを含有するトランスフェクトされたHEK293細胞の上清を、詳細な速度論的分析(実施例2および実施例3を参照)およびElecsys(登録商標)プラットフォームベースのfT4アッセイ(実施例4を参照)での評価のための性能基準を満たす抗体のサブセットの最初のSPR Biacoreベースの選択に使用した。
【0363】
実施例2:抗体を選択するためのSPR Biacore速度論的クリーニング
実施例1においてELISAによってT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチンに結合することが同定された840個の組換え生産モノクローナル抗体を、SPR Biacoreを使用して更なるスクリーニング工程に供した。具体的には、50個の抗体を速度論的特徴に従って予め選択し、最後に一組の6個の抗体を選択した。6個の選択された抗体の選択および以下の詳細な評価の過程で、抗体の以下の特徴を評価した:L-T4との結合およびL-T3、D-T3、rT3、3,3’,5-トリヨードサイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラヨードサイロ酢酸、3,5-ジヨード-L-チロシンおよび3-ヨード-L-チロシンとの潜在的交差反応性についての速度論パラメーター(KD、ka、kd、速度係数)。
【0364】
速度論的スクリーニグを、GE Healthcare BIAcore(商標)T200装置で37℃で実施した。Biacore CM5シリーズSセンサーを機器に取り付け、製造者の指示に従ってプレコンディショニングした。
【0365】
システム緩衝液は、11mM PO4、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4+0.05%(w/v)Tween20および5%(v/v)DMSOを含有するPBS、pH7.4であった。
【0366】
1mg/mL(カルボキシメチルデキストラン(CMD)を補充したシステム緩衝液を試料緩衝液として使用した。
【0367】
ウサギ抗体捕捉系をセンサー表面に固定化した。システム緩衝液は、10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%(w/v)Tween20を含有するHBS-ET+pH7.4であった。ポリクローナルヤギ抗ウサギIgG Fc捕捉抗体GARbFcγ(コード番号111-005-046、Jackson Immuno Research)を、製造業者の説明書に従ってEDC/NHS化学を使用して25℃でアミンカップリングした。
【0368】
25μg/mLの捕捉抗体を10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中で使用した。捕捉抗体を、フローセルFc1-4上に13000~15000RUのリガンド密度で固定した。遊離活性化カルボキシル基を1MエタノールアミンpH8.5で飽和させた。
【0369】
25nMウサギ正常IgG(SIGMA)をFC1の参照として使用した。ウサギ抗体含有細胞培養上清を試料緩衝液で希釈し、フローセル2、3および4上に捕捉した。捕捉は5μl/分で3分間行った。抗体捕捉レベル(CL)を監視した。
【0370】
840個の細胞培養上清の速度論的スクリーニングを、30nM L-T4(Roche)分析物の単一濃度注入を用いて行った。分析物の会合を3分間、解離相を60μl/分で5分間監視した。各測定サイクルの後、10mMグリシン緩衝液pH2.0およびpH2.25を20μL/分で30秒および60秒間注入することによって捕捉系を再生した。
【0371】
2つの報告点、分析物注入の終了直前に記録されたシグナルである分析物結合遅延(BL)および解離時間の終了直前のシグナルである安定性遅延(SL)を使用して、抗体/抗原結合安定性を特性評価した。
【0372】
会合速度定数ka[M-1s-1]、解離速度定数kd[s-1]および解離平衡定数KD[M]は、評価用ソフトを用いてラングミュアモデルにより算出した。抗体/抗原複合体半減期を、式t/2diss=ln(2)/(kd*60)に従って分単位で計算した。重要なことに、多数の抗体のこの最初のスクリーニングでは、使用されたT200 Evaluation-SoftwareではMTLの補正が提供されないため、質量輸送補正は適用されなかった。したがって、抗体とL-T4との間の結合がBiacore設定で拡散律速である場合、ka速度は過小評価される可能性がある。なお、実施例3では、MTL補正を適用した。
【0373】
モル比、結合化学量論を以下の式によって計算した。
MR=BL(抗原)*MW(抗体)/(MW(抗原)*CL(抗体))。
【0374】
このようにして、840個のウサギmAbを速度論的に調べた。抗体プールの速度論的データを統計的に評価した。全解離平衡定数K
Dの平均値は7×10
-10Mであった。見出された最も高い親和性はK
D1.94×10
-12Mであり、抗体プール中の最も低い親和性はK
D1.44×10
-9であった(
図1を参照)。840個の抗体速度論をそれらの解離速度定数に従って最初にランク付けし、50個の抗体のセットを、最高、最低および平均T4複合体安定性付近に集まった異なる複合体安定性経路から経験的に選択した(
図1を参照)。次いで、これらの50個の組換え抗体を、13℃および37℃の2つの異なる温度で0.04nM~30nMのT4分析物濃度を用いたマルチサイクル速度論によってより詳細に速度論的に調べた。この場合も、測定されたシグネチャがそのような補正を示したとしても、質量輸送補正は適用されなかった。速度論的スクリーニングからのアッセイ設定を記載のように使用した。目標は、速度係数の原理を使用して適切な抗体を同定することであった(欧州特許第2470563B1号)。本明細書で使用される速度係数は、商k
a(37℃)/k
a(13℃)に対応する。低温13℃で既に速いL-T4会合速度定数k
a[M
-1s
-1]を有し、高温37℃であまり加速しない会合速度定数k
aを有する抗体に着目した。13℃~37℃の温度勾配においてk
aが劇的に増加した抗体は、望ましくない高い結合エントロピーを有し、選択されなかった。
【0375】
例えば、抗体3B7は、商ka(37℃)/ka(13℃)=18を示し、選択されたが、抗体18C5は、商ka37℃/ka13℃=152を示し、選択解除された。
【0376】
この会合速度から、6個のmAbを選択し、L-T4および潜在的交差反応物3-ヨード-L-チロシン(L-T3)、r甲状腺ホルモン(rT3)、3,3’,5-トリ-ヨード-サイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラ-ヨードサイロ酢酸、3,5-ジ-ヨード-L-チロシンおよび3-i-L-チロシンへの結合についてより詳細に速度論的に特性評価した。
【0377】
L-T3、D-T3、rT3、3,3’,5-トリヨードサイロ酢酸、3,3’,5,5’-テトラヨードサイロ酢酸、3、5-ジヨード-L-チロシンおよび3-ヨード-L-チロシン。
【0378】
選択された抗体は、38F8、7D4、7E10、3B7、18B3および4H8であった。これらの選択された抗体は、(MTL補正を適用せずに)2~35の速度係数を有した。
【0379】
実施例3:実施例2で選択された6つの抗体の更なるSPR Biacore特性評価
実施例2では、更に詳細な評価のために6つの抗体を選択した。この評価のために、元のIgGではなく、その対応するFabフラグメントを使用した。Fabフラグメントは、以下の実施例4A)に記載されるように組換え発現および精製された。
【0380】
6つの選択された抗体の詳細な速度論的特性評価
GE Healthcare Biacore(商標)8K装置を用いて、37℃で、6つの表面提示Fabフラグメントの親和性を決定した。測定は、以下の適応を伴って上記のように行った。
【0381】
捕捉系として、PAK<K-F(ab)2>Z-IgG(IS)(コード番号111-005-006、Jackson Immuno Research)を用いた。アミンカップリングは、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中35μg/mL PAK<K-F(ab)2>Z-IgG(IS)の濃度を有するHBS-N緩衝液pH7.4を使用して記載のように行った。
【0382】
マルチサイクル速度論は、一連の漸増L-T4濃度c=0.12~10nM、希釈係数3を用いて行った。使用した緩衝液は、実施例2に記載されるとおりであった。10mMグリシン緩衝液pH2.0およびpH2.25を20μL/分で60秒間注入することによって再生を行った。
【0383】
【0384】
Fab 38F8、7D4および7E10の相互作用は、L-T4に結合すると、大きな質量輸送制限(MTL)を示したが、Fab 3B7は、より低いMTLを示した。MTL補正は、ベンダーからのEvaluation Insight Software V3.011.15423を使用して自動的に適用された。ここで、MTL補正は、2コンパートメントモデルを用いて対処される。したがって、速度論的定数は見かけの値を表すが、MTLに対して補正されている。
【0385】
Fab 38F8、7D4および7E10は、37℃でFab 3B7、18B3または4H8と比較して、有意に加速された複合体形成速度を示した。
【0386】
38F8、7D4、および7E10の37℃でのka速度定数は>1.0E+09M-1s-1であり、これは機器の仕様に近いかまたはこの仕様の外である。3B7、4H8および18B3のka速度定数は、4.8E+06~1.8E+07M-1s-1であった。
【0387】
得られた親和性を計算によって決定した:K
D=280pM(38F8)、125pM(7D4)、248pM(7E10)、37pM(3B7)、960pM(18B3)および1210pM(4H8);以下の表2を参照されたい。
【表2】
【0388】
37℃溶液中での親和性
速度論的速度定数から得られた親和性と相補的に、解離平衡定数KDを溶液中の親和性(AiS)によって決定した。溶液分析における親和性の利点は、それが質量輸送制限の根底になく、平衡状態での測定を可能にすることである。
【0389】
ビオチン化(Bi-)T4は、ストレプトアビジン(SA)-ビオチン相互作用を介してCAP-チップセンサー表面に予め捕捉された。抗T4-Fabフラグメントと非標識T4との混合物を、平衡に達するために数時間プレインキュベートした。「遊離」Fabフラグメントの濃度は、定量のための先行するFab較正を使用して、表面に表示されたビオチン化T4への結合を介して決定される。
【0390】
Fabフラグメント濃度を混合物中で一定に保持しながら、T4濃度を変化させた。存在するT4が増加すると、溶液中の「遊離」Fabフラグメントが減少する。
【0391】
アッセイ方法は以下のとおりであった:
CAP-Kit(Cytiva)の販売業者の指示に従って、CAP-試薬に続いて、ビオチン化T4が高密度でセンサー表面に可逆的に捕捉される。再生は、各サイクル後にグアニジニウム/NaOH溶液を用いて行った。
【0392】
溶液中での両方の相互作用パートナーのプレインキュベーション:Fab濃度は、Fab 18B3および4H8については10nM、3B7については5nM、Fab 38F8、7E10および7D4については3nMで一定に保った。T4甲状腺ホルモン濃度を、各T4相互作用について個別に最適化した、すなわち、c=0.07~150nM(18B3および4H8)、0.07nM~50nM(3B7)、0.021nM~90nM(38F8、7E10および7D4)。Biacore Evaluationソフトウェアからの溶液中の親和性モデルを使用してデータを評価した。
【0393】
Fabフラグメント38F8、7D4、7E10、3B7、18B3および4H8の溶液中での親和性曲線を
図3に示す。
【0394】
溶液中の親和性で決定されたK
D値は以下のとおりである。
【表3】
【0395】
クローン38F8、7D4、7E10および3B7について測定されたKD値は、上記の速度論的分析における異なる設定で測定されたものと同様の範囲にあり、これらの結果を確認する。
【0396】
Fabフラグメント4H8は、速度論的分析によって測定されたものよりも高い第1.7因子親和性を示す。両方のFabフラグメント18B3および4H8は、6つのFabフラグメントの最も弱い親和性を示し、順位付けを確認する。
【0397】
交差反応性
マルチサイクル交差反応性測定のために、0.1nM~900nMの分析物濃度を使用した。可能性のある交差反応物を30μL/分~60μL/分で注入した。会合相を3分~5分の間、解離相を5分~15分の間監視した。30分の解離時間を有する追加の分析物注入を使用して、真のT4相互作用を特性評価した。
【0398】
交差反応物に結合する6つのFabフラグメントの親和性を、濃度系列を有する多サイクル速度論を使用して37℃で決定した。交差反応物L-T3は、37℃でL-T4よりも少なくとも49倍弱い親和性を示し、rT3は、37℃でL-T4よりも少なくとも18倍弱い親和性を示す。
【0399】
37℃での交差反応物L-T3の相互作用を
図4に示す。全ての交差反応物の結果を表4に要約する。Fab 38F8については、追加の交差反応物も分析した(表5を参照)。
【表4】
【表5】
【0400】
実施例4:Elecsys(登録商標)競合的イムノアッセイにおける実施例2で選択された抗体の特性評価
A.)抗T4-Fabの精製
BiaCore-Analysis(実施例2および実施例3参照)による速度論的挙動に従って予め選択された抗体候補を、HEK細胞の一過性トランスフェクションを使用してHisタグ付きFabフラグメントとして発現させた。培養上清を、10kDaのMWカットオフを有するVivaflow 200限外濾過ユニット(Sartorius、ドイツ)を使用して濃縮し、その後、20mM KPO4、150mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0に対する透析またはダイアフィルトレーションを介した緩衝液交換を行った。続いて、Ni-NTA/IMACアフィニティークロマトグラフィーカラム(HisTrap、GE Healthcare、スウェーデン)を上記の透析緩衝液で平衡化し、馴化上清を60カラム体積/時間の流量でカラムに適用した。次いで、緩衝液A(20mM KPO4、150mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)および0~35% Bを含む緩衝液B(20mM KPO4、150mM NaCl、500mMイミダゾール、pH8.0)の直線勾配を用いて、10~20カラム容量でFabフラグメントを溶出した。溶出Fabの画分を、分析的サイズ排除クロマトグラフィーを使用して純度に関して評価し、純度≧95%のFabを有する画分をプールした。最後に、プールしたFab-調製物を、20mM KPO4、100mM KCl、2%スクロース、pH7.9の保存緩衝液に対して透析し、等分し、-80℃で凍結保存した。
【0401】
B.)抗T4-Fabルテニウム標識コンジュゲートの作製
精製された抗T4 Fab抗体を、標準的な実験室手順に従って、スルホビスピリジル-ルテニウムのN-ヒドロキシ-スクシンイミド活性化エステルで標識した。簡潔には、Fab(4.4mg、100mM KPO4中1.03mL、pH8.4)の溶液に、SULFO-BPRU NHS ESTER(CAS482618-42-8:ルテニウム酸塩(2-)、ビス[[2,2’-ビピリジン]-4,4’-ジメタンスルホネート(2-)-κN1,κN1’][1-[4-(4’-メチル[2,2’-ビピリジン]-4-イル-κN1,κN1’)-1-オキソブトキシ]-2,5-ピロリジンジオン]-、ナトリウム(1:2)、(OC-6-31)-(ACI);12、DMSO中5mg/ml)の溶液52μLを添加する(すなわち、Fabモル当たり6.0モルのルテニウム-NHS-エステルの化学量論)。室温で120分間撹拌した後、リジンを最終濃度10mMで添加することによって誘導体化を停止した。飽和KH2PO4を用いてpHをpH7.5に調整し、反応混合物を50mM KPO4/0、15M KCl/2%サッカロース、pH7.5に対して一晩透析した。凝集体および残りの加水分解ルテニウムエステルを除去するために、Superdex 75 HR 10/30カラム(GE Healthcare Life Sciences)でのサイズ排除クロマトグラフィーから適切な画分を収集した。6.5%(w/v)の最終濃度までスクロースを添加した後、調製物を0.45μmのPVDFシリンジフィルタ(Acrodisk Pall Life Sciences Corp.)でフィルタにかけ、-80℃で凍結保存した。
【0402】
C.)抗T4 Fab-ルテニウムコンジュゲートの機能評価
自動Elecsys Immuno-Analyzer(Elecsys(登録商標)cobas(登録商標)e411)を使用する競合免疫学的アッセイのアッセイ原理を以下に要約する。アッセイに必要な総インキュベーション時間は18分である:第1のインキュベーション(9分間):15μLのfT4含有試料、75μLのルテニウム化モノクローナルT4特異的Fab抗体をインキュベートし、ある割合のルテニウム化抗T4 Fab抗体および遊離T4を含む複合体を形成する。第2のインキュベーション(9分):75μLのT4(OSu)-ビス-DADOO-ビオチン-ハプテン-コンジュゲートの溶液および35μLのストレプトアビジン被覆微粒子を第1のインキュベーション工程の混合物に添加する。この第2のインキュベーションの間、第1のインキュベーション工程後に遊離したままであるルテニウム化抗T4 Fab抗体はビオチン化T4-ハプテンに結合することができ、T4-ビオチンコンジュゲートに結合したルテニウム化抗体の複合体は、ビオチンとストレプトアビジンとの相互作用を介してストレプトアビジン被覆磁性ビーズ/固相に結合する。反応混合物を測定セル内に吸引し、そこで微粒子は電極の表面上に磁気的に捕捉される。次いで、未結合物質をProCell # 11662988122(Roche Diagnostics GmbH ドイツ)で除去する。次いで、電極への電圧の印加は、光電子増倍管によって測定される光の電気化学発光に基づく発光を誘発する。
【0403】
カウント対遊離T4の濃度におけるECLシグナルのプロットは、T4濃度の上昇を伴う立下りシグナルを有する典型的な双曲線競合曲線をもたらす。
【表6】
【0404】
上記の表6に示されるように、実施例2および実施例3で行われたBiacore実験においてT4に対して並外れて高いkaを示した3つのFabフラグメント38F8、7E10および7D4は、試験された4つの最良の抗体のうちにあった。これにより、T4に対する高いkaが、競合的イムノアッセイを提供するための1つの(とりわけ)重要な因子であることが確認される。さらに、データは、ポリクローナル抗体が、本明細書に提供されるような単一モノクローナル抗体によって首尾よく置き換えられ得ることを実証している。
【0405】
実施例5:T4との複合体におけるFab抗体38F8の結晶構造の決定
L-T4ホルモンを含む場合と含まない場合のFab 38F8の結晶化:
38F8 Fabフラグメントを含む溶液を18mg/mlに濃縮し、結晶化スクリーニングに供した。蒸気拡散シッティングドロップ実験において、100nlのタンパク質溶液を100nlのリザーバー溶液(1:1の比)と混合するか、または140nlのタンパク質溶液を60nlのリザーバー溶液(7:3の比)と混合することによって、結晶化液滴を21°で設定した。結晶は、沈殿剤としてポリエチレングリコール(PEG)を含むいくつかの条件で出現した。構造決定に使用した結晶は2日以内に現れ、以下の沈殿剤溶液を含む条件で4日以内にフルサイズに成長した:120mMエチレングリコール混合物(30mMジエチレングリコール、30mMトリエチレングリコール、30mMテトラエチレングリコールおよび30mMペンタエチレングリコール)、100mMトリス塩基-BICINE pH8.5、20%v/v PEG 500 MMEおよび10%w/v PEG 20000。
【0406】
アポ結晶を7:3の比の液滴から採取し、1:1の比の液滴からの結晶を、上記沈殿剤溶液に加えて10%DMSOを含有するL-チロキシンホルモン(L-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニンまたはL-T4、シグマ)の飽和溶液に20時間浸漬した。結晶を沈殿剤溶液から直接採取し、液体N2中でフラッシュ冷却した。回折画像は、Swiss Light SourceのビームラインX10SAで100Kの温度でEIGER2X 16M検出器で収集し、画像はXDSパッケージ[Kabsch W.XDS.Acta Cryst.D66,125-132(2010)]で処理した。アポ結晶については、単結晶からのデータをマージして、非対称単位に2つの分子を有する空間群C121の1.81Å分解能データセットを得た(表7を参照)。L-T4結合結晶についても同様に、単結晶からのデータをマージして、非対称単位に2つの分子を有する空間群C121の1.66Å分解能データセットを得た。
【0407】
構造は、PHENIX[Liebschner D.et al.Macromolecular structure determination using X-rays,neutrons and electrons:recent developments in Phenix.Acta Cryst.D75,861-877(2019)]一式の一部としてのプログラムPHASER[McCoy AJ,Grosse-Kunstleve RW,Adams PD,Winn MD,Storoni LC,Read RJ J.Appl.Cryst.40,658-674(2007)])]での分子置換によって決定した。PDB-ID 6LDX由来のFabフラグメントを定常ドメインと可変ドメインに分割し、検索モデルとして使用した。分子置換溶液モデルをCOOT[Emsley P,Lohkamp B,Scott WG,Cowtan K.Features and development of Coot.Acta Cryst.D66,486-501(2010)]で再構築し、PHENIX Refineで精密化した。
【表7-1】
【表7-2】
【0408】
L-T4ホルモンを含む場合と含まない場合のFab 38F8の構造
Fab 38F8のL-T4への結合を原子的詳細で特徴付けるために、アポ形態およびL-T4リガンド結合形態のFabの結晶構造を決定した。Fabの全体的な立体配座は、アポ形態およびリガンド結合形態の両方において非常に類似しており、RMSDは0.11Å2である。CDRループの側鎖に有意差は観察されず、リガンド結合のオン速度が速いことが示唆される。これは、実施例3に示されるBiacoreデータと一致する。
【0409】
Fabパラトープは軽鎖と重鎖の界面に形成されたポケットである。
【0410】
プログラムPISAによる分析[Krissinel E and Henrick K.Inference of macromolecular assemblies from crystalline state.J.Mol.Biol.372,774--797(2007)]は、リガンドの416Å2の表面積は、リガンド表面積全体の68%であるFab 38F8によって埋もれていることが明らかにした。合計16個のアミノ酸がFabパラトープを構成し、7個が重鎖由来であり、9個が軽鎖由来である(
図5および表8を参照)。軽鎖CDR2を除く全てのCDRループは、ヨウ素原子およびフェノール環との疎水性相互作用によって主に支配されるリガンド結合に関与する。リガンドの親水性アミノ基およびカルボキシル基を溶媒に曝露し、ポケットから出す。Fabの重鎖および軽鎖CDR3ループは、疎水性ポケットの大部分を形成し、これは側鎖および主鎖の両方の相互作用によって形成される。これらを表7に要約する。
【0411】
3つの水素結合は、リガンドのO4およびO4’原子と、Fabの重鎖のCRD2上のTyr50と、軽鎖のCDR1上のHis28およびCDR3上のHis96とによって形成されるリガンドを安定化するのに役立つ。さらに、2つの極性-パイ(アレーン-H結合)相互作用が存在し、1つの例では、Fab軽鎖のHis28およびAsn29によって配位された水分子がリガンドフェノール環の1つに対する水素供与体であり、他の例では、C2’がFab軽鎖のHis30の複素環式イミダゾール環に対する水素供与体である。全てのアミノ酸ナンバリングは、Kabat命名法に従う。
【表8】
【0412】
概要:
・Fab 38F8パラトープは、主に重鎖および軽鎖の両方からのCRD3ループ残基で構成されるポケットである。
・Fabのアポ結合状態とリガンド結合状態との間の立体構造類似性は、リガンド結合オン速度が速いことを示唆している。
・L-T4リガンドとの相互作用は、ヨウ素原子およびフェノール環を介して大部分が疎水性であるが、3つの水素結合および2つの極性-パイ相互作用も含む。
・リガンドの接近可能な表面積の68%がFabによって埋められる
【0413】
実施例6:スクリーニングされた抗体の配列比較
実施例3は、Fab抗体38F8、7E10および7D4が顕著に高いk
aを有することを明らかにした。さらに、実施例4は、これらの3つのクローンが、Elecsys(登録商標)システムで確立された競合的イムノアッセイにおいて最良に試験された4つのクローンの中にあることを示した。これらの3つの抗体および他の6つの選択された抗体のいくつか(実施例2を参照)が配列類似性を共有するかどうかを調べるために、可変領域(VHおよびVL)の配列アラインメントが行われた。配列アラインメント(
図6を参照)は、驚くべきことに、抗体38F8、7D4および7E10がVH領域およびVL領域において、特にCDRにおいても著しく高い配列類似性を有することを明らかにした。更に驚くべきことに、38F8抗体のパラトープを形成するアミノ酸位置の保存性は極めて高い。これは、38F8、7D4および7E10が、特にCDR配列においても高い配列類似性を共有する密接に関連した抗体であることを示唆している。上述のように、これらの抗体は、機能的特徴、特に非常に高いk
aを共有する。さらに、これらの3つのFabフラグメントは、シグナル対ノイズによって評価されるようにfT4を定量するためのElecsys(登録商標)ベースのイムノアッセイにおける4つの最良に試験された抗体の中にあった。
【0414】
観察された類似性を定量化するために、カスタマイズされたスコア行列を使用して配列アラインメントから類似性スコアを得た。このマトリックスは、5つの重み付けされた物理的パラメーター:形状指数、ファンデルワールス体積、等電点、疎水性、および分極率に基づいて構築される。これらの5つのパラメーターは、パラトープを形成するアミノ酸の最も重要な特徴を捕捉し、類似の結合モチーフを有する異種クローンを同定することを可能にする。高い類似性スコアを有する抗体は、CDR領域において類似の結合様式ならびに類似のアミノ酸配列の両方を有する。類似性スコアが高いほど、抗体はより関連性が高い。クローン7D4-98%、7E10-98%、3B7-86%、18B3-92%、4H8-95%についての38F8に関する類似性スコア。この類似性スコア分析により、7E10および7D4が38F8と密接に関連していることが確認された。結合を媒介するパラトープ残基は非常に類似している(16アミノ酸のうち12および13は同一である)。
【0415】
実施例7:38F8ならびに関連抗体7D4および7E10のT4への結合を更に特徴付けるためのモデリング分析
Fab 38F8のL-T4ホルモンへの原子レベルでの結合を、インシリコアプローチを使用して特性評価した。この分析は、CDR中のどのアミノ酸が結合に重要であるかを定義し、特定のCDR位置でのアミノ酸置換が許容される程度の証拠を得ることを目的とした。
【0416】
インシリコ分析は、7D4および7E10では、速度論的特性(kaおよびKD)が7E10と同様であり、Elecsys(登録商標)性能がわずかに悪い2つのFabが同定されたという事実を利用した。本発明者らはまた、4H8が38F8と有意な配列類似性も共有しながら、その速度論的特性ならびにElecsys(登録商標)性能に大きな差を示したという事実を利用した。したがって、既知の機能的特徴および配列バリエーションの組み合わせは、38F8の機能的特徴(速度論、特異性およびElecsys(登録商標)性能)に対するアミノ酸置換の影響を予測するための基礎として使用することができた。言い換えれば、これにより、本発明者らは、38F8 T4結合特性(速度論、特異性およびElecsys(登録商標)性能)を維持するためのCDR中の重要なアミノ酸残基(すなわち、機能的性能を損なうことなく置換することができない)、潜在的に重要なアミノ酸(すなわち、特定のアミノ酸にのみ交換され得るアミノ酸)および重要でないアミノ酸(保存的アミノ酸と非保存的アミノ酸の両方が可能でなければならない)を同定することができた。
【0417】
最初の工程として、38F8ならびに2つの高度に類似した抗体、7D4、7E10(類似性スコア98%超)および4H8(類似性スコア95%)の平衡化構造を生成した。7D4、7E10、および4H8の平衡構造を得るために、最初に、内部Roche抗体結晶構造データベースで訓練された機械学習アルゴリズムに基づいて、MoFvABパッケージを使用して初期3D形状を予測した。この最初の推測の後、正しいループ形状を得るために、分子動力学シミュレーションを更に使用して3D構造を最適化した(シミュレーションパラメーターの詳細は以下に提供される)。38F8の結晶構造ならびに7D4、7E10および4H8の平衡構造を
図7に示す。第2の工程として、38F8の配列に点変異を行い、自由エネルギー最小化を行い、初期構造および3つの他のクローンの構造または構造と比較する。
【0418】
L-T4ホルモンとの結合に対する38F8の点変異の効果を、類似した(7D4、7E10)または異なる(4H8)機能的特徴を有する非常に類似したクローンの配列および3D形状を比較することによってモデル化および予測した(
図7に示す)。パラトープに直接寄与する全ての残基を上記の実施例5に列挙し、
図7のアラインメントに太字で印刷する。他の3つのクローンにおけるパラトープ領域の置換を斜体で示す。少数の例外を除いて、パラトープの全ての残基は、重要なアミノ酸、すなわち機能的特徴を維持するために重要なアミノ酸と見なされる。しかしながら、パラトープにおける相互作用のいくつかは、これらの位置で少なくとも特定のアミノ酸置換が可能でなければならないように、ペプチド骨格のみを介する(下記を参照)。さらに、他のパラトープアミノ酸は、密接に関連するアミノ酸によって模倣され得るそれらの側鎖と疎水性相互作用を形成する(例えば、HCのV33およびLCのY95b)。特定のアミノ酸に置換され得るこれらのパラトープアミノ酸は、表9において潜在的に重要であるとしてグループ化されている。表9に列挙されている重要でない領域は、結合ポケットから遠く離れており、この領域における変異時でさえそれらの構造を保存するループフラグメントである。したがって、分析では、この「重要でない」領域でのアミノ酸交換が可能であるべきであることが提案されている。そのような変異は、保存的アミノ酸交換を含み得るが、非保存的アミノ酸交換も含み得る。さらに、CDR中の潜在的な重要なアミノ酸位置、すなわちパラトープに寄与しないが、重要なパラトープ残基の構造位置に影響を及ぼさないように特定の他のアミノ酸によってのみ置換され得る残基が見出された。主鎖相互作用のみを介して結合に寄与する、またはクローン7D4および7E10にファミリーバリエーションを有するパラトープ領域のアミノ酸は、潜在的に重要であると特定され、したがって重要領域から除外される。重要な領域には、側鎖を介した相互作用に関与し、交換されるべきではないアミノ酸のみが含まれる。表9は、38F8のCDR領域における重要なアミノ酸、潜在的に重要なアミノ酸および重要でないアミノ酸を要約する。
【表9】
【0419】
潜在的に重要であると定義される領域におけるアミノ酸置換の効果を分析するために、本発明者らはエネルギー最小化アプローチを使用した(詳細は以下に提供される)。有効な点変異は、疎水性指数、他のアミノ酸の配向、または排除体積のいずれにも影響しない場合に許容される。潜在的に重要なアミノ酸における可能なアミノ酸置換の最初の推測として、38F8に対して7D4、7E10、および4H8に見られるアミノ酸置換を検討した。潜在的に重要な領域における可能性のあるアミノ酸置換のモデリングからの結果を表10に収集し、以下に説明する。可能性のある変異は、3つの群に分けられる:ファミリーバリエーション(すなわち、密接に関連する7D4および7E10に見られる)、インシリコ評価を使用して承認されたアミノ酸置換、およびインシリコ承認置換と類似の物理化学的特徴を有するアミノ酸を有する他の示唆された置換。
【表10】
【0420】
CDRによるアミノ酸置換分析の要約
CDR-H1:アミノ酸M34およびN35は、V33(結合様式に関与する)に近接している。突然変異M34L(I)およびN35S(T)はV33の立体配座および配向に影響を及ぼさず、これらの変異がパラトープ結合および抗体特性に影響を及ぼさないことを示唆する。類似の物理化学的特性を有するアミノ酸への変異が可能である(N35Q、M34V)。V33は、疎水性側鎖相互作用を介してL-T4との相互作用に寄与する。置換V33Aは、疎水性指数と排除体積との比較に従って、この相互作用に影響を及ぼさないはずである。
【0421】
CDR-H2:アミノ酸I51、T52a、R53は、重要なY50およびW52に近接している。同じクローンファミリーから、Gのサイズが小さいため変異R53Gが可能であり、異なるクラスのアミノ酸への変異が重要である。変異R53Dは、その電荷の性質のために重要ではなく、配向は保存されている。変異I51A(L)、R53KおよびT52aSは、重要なY50およびW52の立体配座および配向に影響を及ぼさない。Y50はH結合に関与するため、この位置での交換は重要であり得る。W52は疎水性相互作用の一部であり、芳香族部分の適切な配向も結合点にとって重要である。
【0422】
CDR-H3:アミノ酸H97、G99、N100aは、重要なI98、Y100、I100bに近接している。変異H97AおよびN100aAは、重要なIGY(98~100)フラグメントの再配向をもたらす。Aが7E10および7D4の97位および100a位に見出されるように、配向が変化しても、A97および/またはA100aを有する抗体は依然として優れた結合親和性kaおよびElecsysアッセイ性能を有することが明らかである。変異H97R(K)、N100aQは、IGY(98~100)フラグメントの適切な配向を維持することが見出されており、したがって好ましい置換であり得る。G99は、小さなアミノ酸である変異G99A(V)で変異することを可能にするため、主鎖を介した結合に関与する。
【0423】
CDR-L1:アミノ酸N30は、パラトープアミノ酸H28、N29、A31、W32に近接している。N30Q(S、T)の変異は、フラグメントHNNAW(28~32)の配向に影響を及ぼさない。N30Q(S、T)は、結合フラグメントHNNAW(28~32)中にあるが、反対方向を向いており、L-T4との結合に影響を及ぼさない。変異H28Kは重要であり、それは、N29の誤った配向および結合モチーフにおける芳香族結合の切断をもたらす。変異A31は、W32の位置をわずかにシフトさせる(およびパイスタッキングに影響を及ぼす)ため、この位置は、好ましくは小さく疎水性であるべきであり、例えばV.位置W32が重要である。ファミリーバリエーションを表10に列挙する。
【0424】
CDR-L2:CDR-L2は、様々な点変異を有し得る。CDR-L2ループは結合に直接関与しないため、重要でない領域として分類される。
【0425】
CDR-L3:Y95b、H96の向きは、結合様式にとって重要である。Y95bは疎水性相互作用に関与しているため、F中で変異させることができる。変異Y92W(F)およびS93Tは、これらのアミノ酸が主鎖相互作用を介して関与しているため重要ではないが、全体的な配向はシフトしている。変異G91A、G94A(S)、S95G(N)、T95aS、N95cS(T)、V97Aは、重要なY95b、H96の立体配座および配向に影響を及ぼさない。同様の物理化学的特性を有するアミノ酸への特定の上記位置における更なる変異が可能である。
【0426】
コンピュータシミュレーションの詳細:
1)分子動力学シミュレーション。
7E10、7D4および4H8 Fabの構造を得るために、GROMACSシミュレーションパッケージを使用した。抗体および環境水を、AMBER99SB-ILDN [Lindorff-Larsen et al.,Proteins 78,1950-58,2010]力場パラメーターおよび水に対するtip3pモデル[D.J.Price,and C.L.Brooks III,J.Chem.Phys.121,10096,2004]を使用して、2fsの時間ステップで、カノニカル(NVT)アンサンブル(ボックスサイズ:薬7.0×7.0×7.0nm3)内の完全原子表現でモデル化した。速度リスケールサーモスタットによって温度を300Kに設定した。各動的軌跡は、ループ配座の試料まで300nsの長さであった。
【0427】
2)アミノ酸置換時の構造最適化。
38F8の結晶構造におけるアミノ酸置換は、コンピュータソフトウェアプラットフォームであるSAMSONモデル[OneAngstrom,SAMSON,2020、https://www.samson-connect.net/から入手可能]を使用して行われる。結晶構造中のある点変異の後、新たに得られた構造のエネルギーを最小化して局所自由度を平衡化した。これは、分子構造用のFIRE(高速慣性緩和エンジン)オプティマイザによって行われた[Bitzek et al.,Physical Review Letters,97,170201,2006].Physical Review Letters,97,170201,2006]。
【配列表】
【国際調査報告】