(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】HF信号を使用して媒体を加熱するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241210BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241210BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101
C23C16/505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527580
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022081638
(87)【国際公開番号】W WO2023084033
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021129565.3
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505169226
【氏名又は名称】トゥルンプフ ヒュッティンガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Huettinger GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Boetzinger Strasse 80,D-79111 Freiburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ヴァッセンベアク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス トラーバー
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084CC33
2G084DD51
2G084DD53
2G084HH02
2G084HH05
2G084HH08
2G084HH23
2G084HH25
2G084HH29
2G084HH52
4K030FA01
5F004BB13
5F004BB14
5F004BD04
5F004CA03
(57)【要約】
HF信号を使用して、媒体(12)を加熱するために、特にプラズマを発生させるために、規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号(18)を生成する。HF供給信号(18)を、伝送経路(20)を介して媒体(12)に結合する。伝送経路(20)に沿った第1のHF信号反射を決定し、後続のHF信号反射を時間と共に低下するために、第1の動作周波数を第1のHF信号反射に依存して変更する。第1の動作周波数は、第1のHF供給信号を限られた時間だけ増加した第1の動作周波数によって媒体(12)に結合させるために、第1のテスト期間の間、規定の第1の周波数値だけ増加させる。第2のテスト期間の間、第1のHF供給信号を限られた時間だけ低下した第1の動作周波数によって媒体(12)に結合させるため、第1の動作周波数は規定の第2の周波数値だけ低下させる。第1のテスト期間の間、第2のHF信号反射を決定し、第2のテスト期間の間、第3のHF信号反射を決定する。第2のテスト期間が経過した後、HF供給信号を、第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して選択された第2の動作周波数によって生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HF信号を使用して、媒体(12)を加熱する方法、特にプラズマを生成する方法であって、
規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号(18)を生成するステップ(52)と、
前記媒体(12)が前記HF供給信号(18)によって加熱されるように、前記HF供給信号(18)を、伝送経路(20)を介して前記媒体(12)に結合するステップ(54)と、
前記伝送経路(20)に沿った第1のHF信号反射を決定するステップ(56)と、
時間的に後続のHF信号反射を低下させるために、前記第1の動作周波数を前記第1のHF信号反射に依存して変化させる(68)ステップと、を含む方法において、
第1のHF供給信号を、変更された、特に増加された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の間に、規定の第1の周波数値だけ変更し、特に増加させ(58)、
前記第1のHF供給信号を、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の間に、規定の第2の周波数値だけ、逆に変更し、特に低下させ(62)、
前記第1のテスト期間の間に、第2のHF信号反射を決定し(60)、この第2のHF信号反射は、変更された、特に増加された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
第2のテスト期間の間に、第3のHF信号反射を決定し(64)、この第3のHF信号反射は、逆に変更された、特に低下された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
前記HF供給信号を、前記第2のテスト期間の経過後に、規定の第2の動作周波数によって生成し(68)、前記媒体(12)に結合し、
前記規定の第2の動作周波数を、前記第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して選択する(66)こと、を特徴とする、方法。
【請求項2】
各動作周波数の増加と低下とを、それぞれの更なるテスト期間をおいて周期的に繰り返すこと(70)と、
前記規定の第2の動作周波数を、各周期の後に新しい第1の動作周波数として使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各動作周波数の増加と低下とを、1ms~500msの範囲にある周期時間(T)において、周期的に行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のテスト期間は、50μs~500μsの範囲にある期間長を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記規定の第1の動作周波数を、前記第1のテスト期間の開始時に、前記規定の第1の周波数値だけ急激に増加させることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記規定の第1の周波数値と前記規定の第2の周波数値とは同一であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記規定の第1の周波数値は、前記規定の第1の動作周波数の0.0001%~0.001%の範囲にあることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のテスト期間は、前記第1のテスト期間と直接に続くことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記規定の第1の動作周波数を、規定の周波数帯に渡る現在の動作周波数を有するHFテスト信号を、前記伝送経路を介して伝送すること(50)によって決定し、
その際、前記伝送経路(20)に沿ったHF信号反射を決定することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記HFテスト信号を、前記HF供給信号とは別に生成し、前記伝送経路(20)を介して伝送することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記HF供給信号(18)は、前記HFテスト信号を形成することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記HFテスト信号を、時間的に、前記第1のテスト期間の前に生成することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記HFテスト信号を、前記第2のテスト期間の経過後に再び生成すること(72)を特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
HF信号を使用して、媒体(12)を加熱する装置、特にプラズマを発生する装置であって、
規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号(18)を発生するように構成されたHF発生器(16、16’)と、
前記HF供給信号(18)によって前記媒体(12)を加熱できるように、前記HF供給信号(18)を前記媒体(12)に結合するように構成された伝送経路(20)と、
前記伝送経路(20)に沿った第1のHF信号反射を決定するように構成され、且つ、時間的に後続のHF信号反射を低下させるために、前記第1のHF信号反射に依存して前記第1の動作周波数を変更するように構成された、測定・制御装置(24、32、36)と、を備え、
前記測定・制御装置(24、32、36)は、更に、
第1のHF供給信号を、変更された、特に増加された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の間に、規定の第1の周波数値だけ変更する、特に増加する(58)ように、
前記第1のHF供給信号を、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の間に、規定の第2の周波数値だけ、逆に変更するように、特に低下させる(62)ように、
前記第1のテスト期間の間に、第2のHF信号反射を決定する(60)ように、ここで、この第2のHF信号反射は、変更された、特に増加された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
第2のテスト期間の間に、第3のHF信号反射を決定する(64)ように、ここで、この第3のHF信号反射は、逆に変更された、特に低下された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
前記HF供給信号を、前記第2のテスト期間の経過後に、規定の第2の動作周波数によって生成し(68)、前記媒体(12)に結合するように、構成されており、
前記規定の第2の動作周波数は、前記第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して選択される(66)こと、を特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HF信号を使用して、媒体を加熱する方法、特にプラズマを生成する方法に関し、以下のステップ、
特に、HF発生器を使用して、規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号を生成するステップと、
媒体がHF供給信号によって加熱されるように、HF供給信号を、伝送経路を介して媒体に結合するステップと、
特に、測定・制御装置を使用して、伝送経路に沿った第1のHF信号反射を決定するステップと、
特に、測定・制御装置を使用して、時間的に後続のHF信号反射を低下させるために、第1の動作周波数を第1のHF信号反射に依存して変化させるステップと、を含む。
【0002】
本発明は、更に、HF信号を使用して、媒体を加熱する装置、特にプラズマを生成する装置に関し、その装置は、
規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号を発生するように構成されたHF発生器と、
HF供給信号によって媒体を加熱できるように、HF供給信号を媒体に結合するように構成された伝送経路と、
伝送経路に沿った第1のHF信号反射を決定するように構成され、且つ、
時間的に後続のHF信号反射を低下させるために、第1のHF信号反射に依存して第1の動作周波数を変更するように構成された、測定・制御装置と、を備える。
【背景技術】
【0003】
このような方法及び対応する装置は、例えば特許文献1から知られている。
【0004】
公知の装置は、特に、ワークピースの表面処理のためのエッチング及び/又はコーティング装置において用いられるプラズマを生成するために使用することができる。本明細書において、プラズマとは、外部からのエネルギ吸収(加熱)によって励起状態となり、その結果、ガスの電荷キャリアがそれぞれの原子結合及び/又は分子結合から解放され、自由電荷キャリアとして存在する気体として解される。そのため、プラズマは、自由電荷キャリアの数、したがってそれぞれのエネルギ吸収に依存する電気伝導度を有する。プラズマを発生させる装置は、負荷のインピーダンス、すなわちこの場合、加熱エネルギが供給されるプラズマチャンバのインピーダンスが、非常に迅速且つ著しく変化し得るという事実によって特徴付けられる。このため、電気加熱信号の結合が、発生器の出力インピーダンスが負荷の入力インピーダンスにどれだけ適合しているかに依存するため、ガスの加熱及びプラズマへの電力の供給のためのHF信号を生成するHF発生器と、伝送経路とに高い要求が課される。不一致は反射を生じさせ、電力の一部、最悪の場合は全部が加熱されるガス或いはプラズマに届かず、発生器の出力へ反射されてしまうという結果となる。このことは、適切な対策がない場合、発生器の、及び/又はそのような装置の他の部品の損傷につながる可能性がある。更に、十分な加熱電力がガスに届かない場合、プラズマが消滅することもあり得る。
【0005】
本発明は、好ましい用途ではあるが、プラズマを発生させるための装置及び方法に限定されるものではない。上記の方法及び装置は、液体又は固体媒体の加熱など、他の媒体の加熱及び/又は他の目的にも同様に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0197761A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0237170A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公告第102011076404B4号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ドイツのフライブルクにあるTRUMPF Huettinger GmbH+Co.KG社による“A New Auto Frequency Tuning Algorithm”(2015年7月)と題された白書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
媒体を加熱するために使用されるHF信号発生器の動作周波数を調整するための公知の方法は、実施するのが比較的複雑である。更に、それぞれの場合における最適な動作周波数の探索は、いくつかの実行においては、かなり長い時間を要する。そのため、本発明の課題は、HF信号発生器の適切な動作周波数を比較的容易、且つ迅速に設定することができる、冒頭において述べたタイプの方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、この課題は、請求項1に記載の方法及び/又は請求項14に記載の装置によって解決される。方法及び/又は装置の好ましい実施形態は、従属請求項及び明細書に記載されている。従って、この課題は、冒頭において述べたタイプの方法によって解決され、その際、第1のHF供給信号を、変更された、特に増加された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて媒体に結合させるために、規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の間に、規定の第1の周波数値だけ変更し、特に増加し、第1のHF供給信号を、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて媒体に結合させるために、規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の間に、規定の第2の周波数値だけ、逆に変更し、特に低下させ、第1のテスト期間の間に、第2のHF信号反射を決定し、この第2のHF信号反射は、変更された、特に増加された第1の動作周波数と時間的に相関しており、第2のテスト期間の間に、第3のHF信号反射を決定し、この第3のHF信号反射は、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数と時間的に相関しており、HF供給信号を、第2のテスト期間の経過後に、規定の第2の動作周波数によって生成し、媒体に結合し、その際、規定の第2の動作周波数を、第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して選択し、特に、第1の動作周波数、逆に変更された、特に低下されて変更された第1の動作周波数、及び、変更された、特に増加された第1の動作周波数から、選択する。
【0010】
更なる局面によれば、この課題は、冒頭において述べたタイプの装置によって解決され、その際、測定・制御装置は、更に、第1のHF供給信号を、変更された、特に増加された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて媒体に結合させるために、規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の間に、規定の第1の周波数値だけ変更する、特に増加するように、更に、第1のHF供給信号を、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて媒体に結合させるために、規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の間に、規定の第2の周波数値だけ、逆に変更する、特に低下させるように、更に、第1のテスト期間の間に、第2のHF信号反射を決定するように、ここで、この第2のHF信号反射は、変更された、特に増加された第1の動作周波数と時間的に相関しており、更に、第2のテスト期間の間に、第3のHF信号反射を決定するように、ここで、この第3のHF信号反射は、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数と時間的に相関しており、更に、HF供給信号を、第2のテスト期間の経過後に、規定の第2の動作周波数によって生成し、媒体に結合するように、構成されており、その際、規定の第2の動作周波数は、第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して、特に、第1の動作周波数、変更された、特に増加された第1の動作周波数、及び、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数から、選択される。
【0011】
特に、HF信号発生器が、電圧制御発振器(VCO)及び/又は位相ロックループ(PLL)を有する、いわゆるソリッドステート発生器である場合、上記装置及び方法は非常に容易に実施することができる。このようなHF信号発生器は、現在の動作周波数を迅速、且つ容易に変更することができる。いくつかの好ましい実施例においては、HF信号発生器は、低マイクロ波範囲、特に2GHz~5GHzの範囲の動作周波数によってHF供給信号を発生する。一実施例においては、第1の動作周波数は、2.4GHz~2.5GHzの範囲内である。
【0012】
いくつかの実施例においては、予め選択された名目的な動作周波数であってもよい現在の第1の動作周波数から開始して、説明される装置及び方法は、HF供給信号が媒体に結合され続けている間、時間的に連続する2つのテスト期間において、増加した第1の動作周波数、及び低下した第1の動作周波数をテストする。第1及び第2のテスト期間の時間的順序は、原則として自由に選択可能である。これは、いくつかの実施例において、規定の第1の動作周波数を最初に増加させ、時間的にその後において低下させることができることを意味する。それに対して、他の実施例においては、規定の第1の動作周波数を最初に低下させ、時間的にその後において上昇させることができる。したがって、第1のテスト期間及び第2のテスト期間という記載は、本明細書においては、必須の時間的な順序を意味するものではない。言い換えれば、第2のテスト期間は、第1のテスト期間に時間的に先行してもよい。
【0013】
いずれの場合も、HF供給信号の現在の動作周波数は、テスト周期において少なくとも1回増加され、少なくとも1回低下される。好ましい実施例においては、現在の動作周波数は、テスト周期において正確に1回増加され、時間的に、その前又は後に正確に1回低下される。このようにして得られた3つの動作周波数(現在の第1の動作周波数、増加した第1の動作周波数、低下した第1の動作周波数)のそれぞれについて、付属する或いは関係付け可能な、伝送経路に沿ったHF信号反射が決定される。それによって、このようなテストの後、HF信号反射の少なくとも3つの特性値が存在する。有利なことに、検出された少なくとも3つのHF信号反射のうち、最も小さいHF信号反射に相関する動作周波数は、HF信号発生器の更なる動作のために、(3つの)動作周波数から非常に簡単に選択される。
【0014】
この方法によって、(将来の)第2の動作周波数の決定、及び選択は、非常に簡単、且つ迅速に可能である。特に、説明した方法は、制御可能な動作周波数を有するHF信号発生器のファームウェアに、容易、且つ非常に有利に実装することができる。それに応じて、時間的に制限されたテスト期間において、それぞれの動作周波数の増加及び低下は、説明される装置の好ましい実施例において、プロセッサ制御のHF信号発生器のファームウェアに実装される。代替的には、他の実施例において、第1の動作周波数の増加及び低下は、「外部から」、すなわち、外部からHF信号発生器に供給される制御信号を介して主導され得る。
【0015】
説明した方法及び装置は、「より良い」動作周波数の探索が、一方において、少ない瞬間の探索範囲に限定されるという利点を有する。好ましい実施例においては、「より良い」動作周波数の探索は、正確には2つの代替値に、すなわち現在の動作周波数の上方と下方の1つずつに制限される。したがって、この探索は非常に迅速に実行できる。他方においては、記載された方法及び装置は、現在の第1の動作周波数よりも良好である動作周波数を「両側」に探索する。従って、本方法と本装置は、ダイナミックに変化するインピーダンス変化に対して、迅速に、且つ方向とは無関係に、すなわち、より高いインピーダンスの方向にも、より低いインピーダンスの方向にも、追従することができる。
【0016】
説明した方法と装置は、HF信号発生器の適切な動作周波数を非常に簡単、且つ迅速に設定する新しい可能性を提供する。従って、上記の課題は完全に解決される。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態においては、各動作周波数の増加と低下とを、それぞれの更なるテスト期間をおいて周期的に繰り返し、規定の第2の動作周波数を、各周期の後に新しい第1の動作周波数として使用する。
【0018】
この実施形態において、説明した方法及び装置は、HF信号発生器の動作中に加熱される負荷のダイナミックに変化するインピーダンスの変化に追従する。現在の動作周波数は、それぞれ、変化するインピーダンスに適応してダイナミックに適合される。それによって、加熱電力が長期的に非常に効率的に媒体に供給される。
【0019】
更なる一実施形態においては、各動作周波数の増加と低下とを、1ms~500msの範囲にある周期時間(T)において周期的に行う。
【0020】
好ましい実施例においては、これらの値は、テスト的にそれぞれの動作周波数を増加及び低下させることによって、プラズマの発生に永続的な影響を与えることなく、プラズマ負荷においてダイナミックに変化するインピーダンスを制御するために非常に適していることが証明されている。
【0021】
更なる一実施形態において、第1のテスト期間は、50μs~500μsの範囲の期間長を有する。
【0022】
好ましい実施例において、これらの値は、また、プラズマ負荷においてダイナミックに変化するインピーダンスを制御するために、その際、同時に一定の電力供給によってプラズマを維持するために、非常に適していることが証明されている。
【0023】
更なる一実施形態においては、規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の開始時に、規定の第1の周波数値だけ急激に増加させる。有利には、規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の開始時に急激に低下させる。
【0024】
第1の動作周波数のそれぞれの急激な増加又は低下は、非常に短いテスト期間を可能にし、それによって、平行して生じる、それぞれのHF信号反射の迅速、且つ正確な分類を可能にする。代替的に、他の実施形態においては、第1の動作周波数の増加又は低下は、急激ではなく、したがって、むしろ滑らかな遷移によって行うことが可能であり、これは、いくつかのシナリオにおいては、プラズマ励起がより安定しているという利点を有し得る。しかしながら、多くの場合、急激な増加又は低下は、最小のテスト時間のために、より有利と考えられる。
【0025】
更なる一実施形態においては、規定の第1の周波数値と規定の第2の周波数値とは同一である。
【0026】
この実施形態においては、第1の動作周波数は、増加された第1の動作周波数と低下された第1の動作周波数の中間にある。この実施形態の利点は、HF信号発生器の現在の動作周波数がテスト期間に渡って、時間平均においてほぼ一定のままであり、それは、有利にもプラズマ励起を安定に保つのにも役立つことである。
【0027】
更なる一実施形態においては、規定の第1の周波数値は、規定の第1の動作周波数の0.0001%~0.001%の範囲にある。いくつかの実施例においては、規定の第1の周波数値は、例えば5kHz~20kHzの範囲内であり得る。有利な一実施例においては、第1の周波数値は、2.45GHzの範囲のHF信号発生器の動作周波数の場合に、10kHzである。
【0028】
HF信号発生器の名目的な動作周波数に関連して、1/10のパーミル領域にある第1の周波数値は、一方においては安定したプラズマ発生を保証するために、他方においてはプラズマ負荷のインピーダンス変化に適切に反応するために非常に有利である。
【0029】
更なる一実施形態においては、第2のテスト期間は、第1のテスト期間に直接に続く。
【0030】
この実施形態においては、第2のテスト期間は、第1のテスト期間の直前又は第1のテスト期間の直後に続く。これは、HF信号発生器の現在の動作周波数が、時間的に制限された増加(低下)の後に、元の第1の動作周波数を下回る(上回る)、逆の周波数値にできるだけ迅速に設定される、という結果を生じさせる。第1の周波数値と第2の周波数値とが同一である一実施例においては、HF信号発生器の動作周波数は、2つのテスト期間に渡る時間的な平均において、元の第1の動作周波数に非常に近いままである。規定の第1の動作周波数が、第1のテスト期間の開始時に規定の第1の周波数値だけ急激に増加し、第2のテスト期間の開始時に急激に低下する実施例においては、第1のテスト期間から第2のテスト期間への移行時(又はその逆)に、現在の動作周波数が、その周波数値の2倍だけ急激に変動する。この実施形態は、プラズマ励起をテスト期間に渡って非常に安定に保つことに有利に寄与する。
【0031】
更なる一実施形態においては、規定の第1の動作周波数を、規定の周波数帯に渡る現在の動作周波数を有するHFテスト信号を、伝送経路を介して伝送することによって決定し、その際に、伝送経路に沿ったHF信号反射を決定する。
【0032】
この実施形態においては、ある意味において、説明した方法の開始値を形成する第1の動作周波数は、規定の周波数帯に渡る、的を絞った探索において決定される。代替的には、HF信号発生器は、名目的な、又は他の方法によって選択された動作周波数によって、最初に「開始する」こともできる。いくつかの実施例においては、規定の周波数帯は、規定の動作モードにおいてHF信号発生器によって提供される全帯域幅を含む。代替的又は追加的に、周波数帯は、法的要件及び/又は規制要件に基づいて規定されてもよく、特に、所望の動作及び/又は所望の媒体の加熱に有用であり、及び/又は許可されている全体的な周波数を含んでもよい。いくつかの実施例においては、規定の周波数帯は、規定の動作周波数の2%~6%の範囲に含まれる周波数範囲をカバーし、そのため、例えば、2.45GHzの規定の動作周波数においては、約50MHz~150MHzの範囲に含まれる。
【0033】
本実施形態は、「グローバルスキャン」、すなわち、規定の周波数帯に渡る最適な動作周波数の事前の、及び/又は中間時間的な探索によって、上記の方法をある程度補足する。この実施形態は、利用可能な周波数帯域に渡って最適な動作周波数を、簡単、且つ可能な限り迅速に見つけるのに非常に有利に寄与する。
【0034】
更なる一実施形態においては、HFテスト信号を、HF供給信号とは別に生成し、伝送経路を介して伝送する。有利にも、HFテスト信号を、この実施形態のいくつかの変形例において、伝送経路を介してHF供給信号と、追加的に、すなわち時間的に並行して伝送することができる。代替的には、HFテスト信号は、他の実施例において、伝送経路を介してHF供給信号とは時間的に別々に伝送することができる。
【0035】
この実施形態は、HF供給信号とは無関係に信号反射をテストすることを可能にし、それによって、広い周波数範囲に渡って媒体の加熱とは無関係にテストすることができる。そのため、この実施形態は大きな柔軟性を可能にし、この柔軟性は、非常に異なる媒体をHF信号発生器によって加熱する場合に特に有利である。この実施形態は、また、HFテスト信号をHF供給信号の変調信号として使用すること、及び、この方法によって、HF供給信号と組み合わせる可能性を含む。
【0036】
更なる一実施形態においては、HF供給信号は、HFテスト信号を形成する。
【0037】
この実施形態においては、HF供給信号は、規定の周波数帯に渡るテストスキャンに使用される。これは、非常に費用対効果の高い実現を可能にする。
【0038】
更なる一実施形態においては、HFテスト信号を、時間的に、第1のテスト期間の前に生成する。
【0039】
この実施形態においては、説明した方法の開始点として、開始の最適動作周波数を得るために、「グローバルスキャン」は、加熱前又は加熱開始時に実行される。この実施形態は実施が非常に簡単であり、説明した方法の開始時に既に最適な動作周波数を可能にする。
【0040】
更なる一実施形態においては、HFテスト信号を、第2のテスト期間の経過後に再び生成する。
【0041】
この実施形態においては、「グローバルスキャン」は、加熱開始後、すなわち加熱中にも1回又は数回繰り返し実行される。この実施形態は、負荷インピーダンスの非常に大きな変化の際にも、最適な動作周波数を維持することに寄与する。
【0042】
上記した特徴及び以下に説明する特徴は、本発明の範囲を超えることなく、それぞれの場合に示した組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独においても使用できることを理解されたい。
【0043】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記述においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】説明した装置の第1の実施例の簡略化した概略図である。
【
図2】説明した装置の第2の実施例の簡略化した概略図である。
【
図3】説明した方法の一実施例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明及び実施例の技術的な環境へのより適切な組み入れのために、以下に引用する、類似の方法及び/又は装置の説明も、役立つ。
【0046】
上記の特許文献1には、HF信号発生器に並列に接続される多数の材料処理アセンブリを備える装置が記載されている。材料処理アセンブリは、例えば、ワークピースのプラズマ支援のコーティングのためのチャンバ(PVD又はPACVDチャンバ)であり得る。特許文献1は、各材料処理アセンブリが、それぞれの反射電力を測定する測定装置を有することを開示している。測定された反射電力に依存して、HF供給信号の動作周波数は、すべての材料処理アセンブリに対して1つ又は2つの異なる、規定の閾値に達するまで変化させられる。この関連において、特許文献1は、HF供給信号の周波数が反射電力に影響を及ぼすことを開示しており、HF供給信号の周波数及び/又は電力が、規定の閾値に達するまで変化させられる合計6つの異なる動作モードを記載している。
【0047】
特許文献2は、HF信号を使用してプラズマを生成する方法及び装置を開示しており、その際、HF信号発生器の動作周波数は、プラズマ負荷のインピーダンス変化及びその結果生じる反射に依存して変化する。この文献において、HF信号発生器の最適な動作周波数は、発生器の利用可能な全帯域幅を16の部分帯域に分割することによって求められる。動作中、HF信号発生器は、99%の時間、選択した動作周波数において動作する必要がある。残りの1%の時間においては、より適切な動作周波数があるかどうか、16の部分帯域を順番に短時間に確認する必要がある。
【0048】
特許文献3には、高周波電源アセンブリの出力インピーダンスをプラズマ負荷のインピーダンスに適合させる方法が記載されている。HF信号発生器の動作周波数は、所定の周波数範囲内にあるかどうかモニターされる。調整は、HF信号発生器の下流の回路を機械的及び/又は電気的に変更することによって達成される。
【0049】
非特許文献1においては、プラズマ負荷用のHF発生器のHF供給信号が、動作中に最適な動作周波数を見つけるために、常に周波数変調を与えることが開示されている。
【0050】
図1において、説明されている装置の一実施例には参照番号10が付されている。この装置10は、プラズマチャンバ14内において気体媒体12を加熱するために使用され、このチャンバ14内において、例えば、ワークピース(ここでは図示せず)がプラズマを用いてエッチング及び/又はコーティングされる。しかしながら、原理的には、記載された方法及び記載された装置は、家庭用の電子レンジにおいて十分に知られているように、固体媒体及び/又は液体媒体の加熱のためにも使用することができる。
【0051】
装置10は、HF信号発生器16を備え、そのHF信号発生器16は、HF供給信号18を発生し、伝送経路20を介して媒体12に結合する。最も単純な場合には、プラズマチャンバ14内に電極(ここでは図示せず)が配置され、この電極を介してHF供給信号18が、例えば電磁波の形態において媒体12に結合される。
【0052】
この実施例においては、HF信号発生器16は、マイクロプロセッサ24(μC)を介して制御される電圧制御発振器22(VCO)を有し、マイクロプロセッサ24から受信した制御電圧に依存する動作周波数を有する高周波信号23を発生する。代替的に、又はマイクロプロセッサ24に加えて、HF信号発生器16は、マイクロコントローラ及び/又は1つ以上のASIC、FPGAなどの他の制御回路を有し得る。いくつかの実施例においては、動作周波数は、2.4GHz~2.5GHzの範囲内であり得る。
【0053】
高周波信号23は、本実施例においては、スプリッタ26に供給され、スプリッタ26は高周波信号23を複数の並列信号経路Nxに分割する。それは
図1に垂直に配置された点で示されている。分かりやすくするため、ここでは単一の信号経路のみを示す。好ましい実施例においては、各並列信号経路Nxはそれぞれ同一の構造及び同一の要素を有する。特に、各並列信号経路Nxは、信号増幅器28を含み、この信号増幅器28は、信号経路Nx内の高周波信号23の対応する信号成分を増幅する。更に、各並列信号経路Nxは、サーキュレータ30と、本実施例においては、プラズマチャンバ14に向かう順方向において、サーキュレータ30の上流に接続される方向性結合器32とを含む。
【0054】
高周波信号23の、並列信号経路Nxにおいてそれぞれ増幅された信号部分は、本実施例においては、結合器34(コンバイナ)を用いて結合される。好ましくは、高周波信号23の増幅された信号部分は、コンバイナ34において正しい位相において結合される。それによって、結合器(コンバイナ)34は、高周波信号23の個々に増幅された信号部分から大きな電力のHF供給信号18を生成する。それぞれが少なくとも1つの信号増幅器28と、その後のコンバイナ34における結合を有する並列信号経路Nxへの、高周波信号23の分割は、好ましい実施例においては、元の高周波信号23の大きな電力増幅を容易にする。しかしながら、原理的には、説明した方法及び対応する装置は、単一の信号増幅経路においても実現し得る。
【0055】
各信号経路Nxにおける方向性結合器32は、本実施例においては、プラズマチャンバ14に向かうHF供給信号18の小信号部分を切り離し、整流器36aを介してマイクロプロセッサ24に供給するように、それ自体、既知の方法において構成される。各信号経路Nxのサーキュレータ30は、本実施例においては、信号反射(典型的には戻り波の形態において、ここでは図示せず)を導出するように構成される。本実施例においては、各信号経路Nxのサーキュレータ30は、更に整流器36bを介して、戻り信号反射の小さい部分をマイクロプロセッサ24に導く。
【0056】
各信号経路Nxのサーキュレータ30は、本実施例においては、一方においては、戻り信号反射を増幅器28、発振器22、及びHF信号発生器16の他の敏感な部品から遠ざける役割を果たす。更に、各信号経路Nxのサーキュレータ30は、戻り信号反射の小さい部分を測定用にマイクロプロセッサ24に供給することによって、方向性結合器32と同様に作用する。
【0057】
マイクロプロセッサ24は、好ましい実施例においては、1つ又は複数のアナログ/デジタル変換器(ここでは図示せず)を含み得る、又は1つ又は複数の上流のアナログ/デジタル変換器(ここでは図示せず)と組み合わせ得る。アナログ/デジタル変換器(複数可)は、有利には、方向性結合器32を介して切り離された送出電力の信号部分、及びサーキュレータ30によって導出された戻り電力をデジタル値に変換し、それによって、マイクロプロセッサ24におけるデジタル信号処理に利用可能にするように、構成される。
【0058】
装置10の動作中において、マイクロプロセッサ24は、並列サーキュレータ30から受け取った電力を使用して、伝送経路20上のそれぞれのHF信号反射を決定し、伝送経路20上のHF信号反射を低下させるために、電圧制御発振器22の動作周波数をHF信号反射に依存して変化させる。マイクロプロセッサ24は、
図3に簡略化して示す方法を実行することができる。
【0059】
いくつかの実施例においては、オプションとしてのステップ50を最初に実施することができる。ステップ50において、媒体12を加熱するのに有利な第1の動作周波数を見つけるために、マイクロプロセッサ24が発振器22を使用して生成することができるHFテスト信号を使用して、利用可能な周波数帯が順次走査される。代替的には、理論的考察に基づいて、及び/又は、実際の経験値に基づいて、名目的な第1の動作周波数を選択してもよい。
【0060】
次に、ステップ52によって、HF供給信号を第1の動作周波数によって生成し、ステップ54によって、媒体に結合させる。ステップ56によって、伝送経路20上の第1のHF信号反射を決定する。この決定は、
図1によれば、各信号経路Nxにおけるサーキュレータ30の使用、及び、マイクロプロセッサ24の使用、又は、別の、必要に応じてのアナログの電力測定装置(ここでは図示せず)の使用によって、有利に行うことができる。ステップ58によって、HF供給信号の動作周波数を、規定の周波数値fstepだけ第1のテスト期間の間に増加し、ステップ60によって、伝送経路20上の第2のHF信号反射を決定する。第2のHF信号反射は、fstepだけ増加したHF供給信号の動作周波数と時間的に相関する。ステップ62によって、HF供給信号の動作周波数を、次に、第2のテスト期間中に、ここでは規定の周波数値fstepの2倍だけ低下し、それによって、第2のテスト期間におけるHF供給信号の動作周波数を、ここでは第1の周波数値fstepに対応する第2の周波数値だけ低下する。ステップ64によって、伝送経路20に上の第3のHF信号反射を決定し、第3のHF信号反射は、HF供給信号の低下された動作周波数と時間的に相関する。ステップ66によって、得られた3つの信号反射のうちどれが最小であったかを決定し、ステップ68によって、HF供給信号の将来の動作周波数を、「第1の動作周波数、増加した第1の動作周波数、低下した第1の動作周波数」の3個の動作周波数から、最小の信号反射に相関する、その(第2の)動作周波数に設定する。
【0061】
好ましい実施例においては、設定された第2の動作周波数は、ループ70によって、新たな第1の動作周波数として機能し、すなわち、HF供給信号が媒体に結合されている間、ステップ54からステップ68が周期的に繰り返される。
【0062】
いくつかの実施例においては、ステップ50を、更に、ループ72によって周期的に繰り返すことが可能である、その際、ループ72の周期時間は、有利には、ループ70の周期時間よりも大きくなるように選択される。特に、ステップ50による周波数帯のグローバルスキャンは、ループ70による周期時間の10倍、100倍、又は1000倍でさえある周期時間によって繰り返すことができる。
【0063】
図2は、説明した方法を有利に実施することができる装置10’の更なる実施例を示す。同一の参照符号は上記と同一要素を示す。
【0064】
図2に示す実施例においては、コンバイナ34の出口に、複数の、又は全ての並列信号経路Nxに共通の方向性結合器32’が配置されている。それによって、
図1から並列信号経路Nx内の方向性結合器32を省略することができる。方向性結合器32’は、有利には、HF信号反射の決定のために、送出電力の一部と戻り電力の一部とを切り離すように構成される。そのため、
図2による実施例は、より少ない数の方向性結合器によって間に合う。並列信号経路Nxのサーキュレータ30は、本実施例においては、残存する信号反射をいわゆるダミー負荷(ここでは図示せず)に迂回させるためにのみ使用される。ダミー負荷は、主に信号反射のパワーを吸収して熱に変換する(「処分」する)ために使用される負荷である。
【符号の説明】
【0065】
10、10’ 装置
12 媒体
14 プラズマチャンバ
16、16’ HF発生器
18 HF供給信号
20 伝送経路
22 電圧制御発振器
23 高周波信号(HF信号)
24 マイクロプロセッサ
26 スプリッタ
28 信号増幅器
30 サーキュレータ
32、32’ 方向性結合器
34 結合器(コンバイナ)
36a、36b 整流器
50 名目的な第1の動作周波数の決定処理
52 方法ステップ
54 方法ステップ
56 方法ステップ
58 方法ステップ
60 方法ステップ
62 方法ステップ
64 方法ステップ
66 方法ステップ
68 方法ステップ
70 ループ
72 ループ
Nx 並列信号経路
T 周期時間
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HF信号を使用して、媒体(12)を加熱する方法、特にプラズマを生成する方法であって、
規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号(18)を生成するステップ(52)と、
前記媒体(12)が前記HF供給信号(18)によって加熱されるように、前記HF供給信号(18)を、伝送経路(20)を介して前記媒体(12)に結合するステップ(54)と、
前記伝送経路(20)に沿った第1のHF信号反射を決定するステップ(56)と、
時間的に後続のHF信号反射を低下させるために、前記第1の動作周波数を前記第1のHF信号反射に依存して変化させる(68)ステップと、を含む方法において、
第1のHF供給信号を、変更された、特に増加された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の間に、規定の第1の周波数値だけ変更し、特に増加させ(58)、
前記第1のHF供給信号を、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の間に、規定の第2の周波数値だけ、逆に変更し、特に低下させ(62)、
前記第1のテスト期間の間に、第2のHF信号反射を決定し(60)、この第2のHF信号反射は、変更された、特に増加された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
第2のテスト期間の間に、第3のHF信号反射を決定し(64)、この第3のHF信号反射は、逆に変更された、特に低下された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
前記HF供給信号を、前記第2のテスト期間の経過後に、規定の第2の動作周波数によって生成し(68)、前記媒体(12)に結合し、
前記規定の第2の動作周波数を、前記第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して選択する(66)こと、を特徴とする、方法。
【請求項2】
各動作周波数の増加と低下とを、それぞれの更なるテスト期間をおいて周期的に繰り返すこと(70)と、
前記規定の第2の動作周波数を、各周期の後に新しい第1の動作周波数として使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各動作周波数の増加と低下とを、1ms~500msの範囲にある周期時間(T)において、周期的に行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のテスト期間は、50μs~500μsの範囲にある期間長を有することを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記規定の第1の動作周波数を、前記第1のテスト期間の開始時に、前記規定の第1の周波数値だけ急激に増加させることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記規定の第1の周波数値と前記規定の第2の周波数値とは同一であることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記規定の第1の周波数値は、前記規定の第1の動作周波数の0.0001%~0.001%の範囲にあることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のテスト期間は、前記第1のテスト期間と直接に続くことを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記規定の第1の動作周波数を、規定の周波数帯に渡る現在の動作周波数を有するHFテスト信号を、前記伝送経路を介して伝送すること(50)によって決定し、
その際、前記伝送経路(20)に沿ったHF信号反射を決定することを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記HFテスト信号を、前記HF供給信号とは別に生成し、前記伝送経路(20)を介して伝送することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記HF供給信号(18)は、前記HFテスト信号を形成することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記HFテスト信号を、時間的に、前記第1のテスト期間の前に生成することを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記HFテスト信号を、前記第2のテスト期間の経過後に再び生成すること(72)を特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
HF信号を使用して、媒体(12)を加熱する装置、特にプラズマを発生する装置であって、
規定の第1の動作周波数及び規定の第1の信号電力を有するHF供給信号(18)を発生するように構成されたHF発生器(16、16’)と、
前記HF供給信号(18)によって前記媒体(12)を加熱できるように、前記HF供給信号(18)を前記媒体(12)に結合するように構成された伝送経路(20)と、
前記伝送経路(20)に沿った第1のHF信号反射を決定するように構成され、且つ、時間的に後続のHF信号反射を低下させるために、前記第1のHF信号反射に依存して前記第1の動作周波数を変更するように構成された、測定・制御装置(24、32、36)と、を備え、
前記測定・制御装置(24、32、36)は、更に、
第1のHF供給信号を、変更された、特に増加された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第1のテスト期間の間に、規定の第1の周波数値だけ変更する、特に増加する(58)ように、
前記第1のHF供給信号を、逆に変更された、特に低下された第1の動作周波数によって、時間的に制限されて前記媒体(12)に結合させるために、前記規定の第1の動作周波数を、第2のテスト期間の間に、規定の第2の周波数値だけ、逆に変更するように、特に低下させる(62)ように、
前記第1のテスト期間の間に、第2のHF信号反射を決定する(60)ように、ここで、この第2のHF信号反射は、変更された、特に増加された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
第2のテスト期間の間に、第3のHF信号反射を決定する(64)ように、ここで、この第3のHF信号反射は、逆に変更された、特に低下された前記第1の動作周波数と時間的に相関しており、
前記HF供給信号を、前記第2のテスト期間の経過後に、規定の第2の動作周波数によって生成し(68)、前記媒体(12)に結合するように、構成されており、
前記規定の第2の動作周波数は、前記第1、第2及び第3のHF信号反射に依存して選択される(66)こと、を特徴とする、装置。
【国際調査報告】