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特表2024-546031混合セルロースエステルから得られる生分解性マイクロビーズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】混合セルロースエステルから得られる生分解性マイクロビーズ
(51)【国際特許分類】
   C08B 3/18 20060101AFI20241210BHJP
   C08B 3/16 20060101ALI20241210BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C08B3/18
C08B3/16
C08J3/16 CEP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527605
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 US2022049642
(87)【国際公開番号】W WO2023086529
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/263,952
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/264,990
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/365,202
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ペイス,ロバート・デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】サイニ,ディーピカー
(72)【発明者】
【氏名】マズムダー,シャルミスタ
(72)【発明者】
【氏名】ウィークリー,ギャリー・ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ナターレ,マーシー・アン
(72)【発明者】
【氏名】ピッツ,ティモシー・アール
(72)【発明者】
【氏名】ショーフ,グレン・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンズ,マット
(72)【発明者】
【氏名】アリ,ハッサン・アロムギル
【テーマコード(参考)】
4C090
4F070
【Fターム(参考)】
4C090AA02
4C090AA05
4C090BA25
4C090BA26
4C090BB02
4C090BB12
4C090BB33
4C090BB36
4C090BB52
4C090BD36
4C090BD37
4C090CA31
4C090CA38
4F070AA02
4F070AB03
4F070AB22
4F070AC12
4F070AC36
4F070AC43
4F070AC72
4F070AE28
4F070DA35
4F070DC07
4F070DC08
4F070DC09
(57)【要約】
酢酸酪酸セルロースや酢酸プロピオン酸セルロースなどの混合セルロースエステルから形成される生分解性ビーズを提供する。生分解性ビーズと混合セルロースエステルは、いずれも淡水生分解性で、生分解性成分が望まれかつ求められる様々な川下の用途に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合セルロースエステルを含む生分解性ビーズであって、
該生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、56日間で少なくとも40%の生分解性を示し、
前記混合セルロースエステルは、
(a)アセチル置換基および2.3未満のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)、
(b)少なくとも0.1のプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)またはブチリル置換基の平均置換度(DSBu)、および
(c)少なくとも0.6のヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)を有する、
生分解性ビーズ。
【請求項2】
前記DSOHは0.7から1.4の範囲である、請求項1に記載の生分解性ビーズ。
【請求項3】
前記DSAcは0.9から2.2の範囲である、請求項1および2のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項4】
前記DSPrは0.1から0.9の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項5】
前記DSBuは0.1から1.1の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項6】
前記混合セルロースエステルは、OECD 301F試験法に従って、56日で少なくとも45%の生分解性を示す、請求項1から5のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項7】
前記混合セルロースエステルは、5,000から100,000 Daの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項8】
前記生分解性ビーズは、
(i) 1から40ミクロンの直径、
(ii) 60から100%の範囲の真球度、
(iii) 0.1 m/gから10 m/gの範囲の平均表面積、および
(iv) 0.2から0.7の範囲の嵩密度を有する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項9】
混合セルロースエステルおよび追加の生分解性セルロースエステルを含む生分解性ビーズであって、
該生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、56日間で少なくとも40%の生分解性を示し、
前記混合セルロースエステルは、
(a) アセチル置換基および2.3未満のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)、
(b) 少なくとも0.1のプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)またはブチリル置換基の平均置換度(DSBu)、および
(c) 少なくとも0.6のヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)を有する、生分解性ビーズ。
【請求項10】
前記DSOHは0.7から1.4の範囲である、請求項9に記載の生分解性ビーズ。
【請求項11】
前記DSAcは0.9から2.2の範囲である、請求項9から10のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項12】
前記DSPrは0.1から0.9の範囲である、あるいは前記DSBuは0.1から1.1の範囲である、請求項9から11のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項13】
前記混合セルロースエステルは、OECD 301F試験法に従って、56日で少なくとも45%の生分解性を示す、請求項9から12のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項14】
前記混合セルロースエステルは、5,000から100,000 Daの範囲の重量平均分子量を有する、請求項9から13のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項15】
前記追加の生分解性セルロースエステルは、酢酸セルロースである、請求項9から14のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項16】
該生分解性ビーズは、
(i) 1から40ミクロンの直径、
(ii) 60から100パーセントの範囲の真球度、
(iii) 0.1から1.1 m/gから10 m/gの範囲の平均表面積、および
(iv) 0.2から0.7の範囲の嵩密度を有する、請求項9から15のいずれか1項に記載の生分解性ビーズ。
【請求項17】
生分解性ビーズを形成する方法であって、
(a)混合セルロースエステルを含むドープを形成する工程、
(b)前記ドープの少なくとも一部を攪拌下で水性混合物と接触させて、複数の生分解性ビーズを含む反応混合物を形成する工程、および
(c)前記反応混合物から前記生分解性ビーズの少なくとも一部を回収する工程を含み、
前記混合セルロースエステルは、
(i)アセチル置換基および2.3未満のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)、
(ii)少なくとも0.1のプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)またはブチリル置換基の平均置換度(DSBu)、および
(iii)少なくとも0.6のヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度を有し、
前記生分解性ビーズはOECD 301F試験法に従って56日後に少なくとも40%の生分解性を示す、生分解性ビーズを形成する方法。
【請求項18】
前記ドープはアルカノールを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ドープは酢酸アルキルを含む、請求項17から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記水性混合物は、酢酸アルキルおよび/またはメチルセルロースを含む、請求項17から19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自然環境では、従来の非生分解性プラスチックは機械的に分解され、マイクロプラスチックと呼ばれる小さなプラスチック片として環境中に残留する。健康・美容製品に使われるマイクロビーズなどの使い捨てプラスチックや、洗濯の際に出る糸くずの超極細繊維も、マイクロプラスチックの他の発生源である。これらのマイクロプラスチックは、その大きさゆえに自然の水域に流れ着く。マイクロプラスチックの発生を減らすには、淡水で生分解しうるプラスチックを使用することが望ましい。
【発明の概要】
【0002】
本出願は、混合セルロースエステルを含む生分解性ビーズを開示する。一般に、この生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、56日で少なくとも40%の生分解性を示す。さらに、この混合セルロースエステルは、(a)アセチル置換基および2.3未満のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)、(b)少なくとも0.1のプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)またはブチリル置換基の平均置換度(DSBu)、および(c)平均置換度(DSOH)が少なくとも0.6のヒドロキシル置換基を含む。
【0003】
本出願はまた、混合セルロースエステルと追加の生分解性セルロースエステルを含む生分解性ビーズを開示する。一般に、この生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、56日間で少なくとも40%の生分解性を示す。さらに、この混合セルロースエステルは、(a)アセチル置換基および2.3未満のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)、(b)少なくとも0.1のプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)またはブチリル置換基の平均置換度(DSBu)、および(c)平均置換度(DSOH)が少なくとも0.6のヒドロキシル置換基を含む。
【0004】
本出願はまた、生分解性ビーズを形成する方法も開示する。一般に、この方法は、(a)混合セルロースエステルを含むドープを形成する工程;(b)前記ドープの少なくとも一部を攪拌下で水性混合物と接触させ、それにより複数個の生分解性ビーズを含む反応混合物を形成する工程;および(c)前記反応混合物から前記生分解性ビーズの少なくとも一部を回収する工程を含む。この生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、56日間で少なくとも40%の生分解性を示す。さらに、この混合セルロースエステルは、(a)アセチル置換基および2.3未満のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)、(b)少なくとも0.1のプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)またはブチリル置換基の平均置換度(DSBu)、および(c)平均置換度(DSOH)が少なくとも0.6のヒドロキシル置換基を含む。
【0005】
本出願はまた、混合セルロースエステル(MCE)を開示する。この混合セルロースエステルは、
(1)複数のアセチル置換基;
(2)複数のプロピオニル置換基;および
(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、
前記CEのアセチル置換基の置換度(DSAc)は0.6から1.9であり、
前記CEのプロピオニル置換基の置換度(DSPr)は0.5から0.95であり、かつ
前記CEのヒドロキシル置換基の置換度(DSOH)は0.7から1.4である。
【0006】
本出願はまた、混合セルロースエステル(MCE)を開示する。この混合セルロースエステルは、
(1)複数のアセチル置換基;
(2)複数のプロピオニル置換基;および
(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、
前記MCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.6から1.2であり、
前記MCEのプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)は1.05から1.4であり、かつ
前記MCEのヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)は0.7から1.4である。
【0007】
本出願はまた、混合セルロースエステル(MCE)を開示する。この混合セルロースエステルは、
(1)複数のアセチル置換基;
(2)複数のブチリル置換基;および
(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、
前記MCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.9から2.4であり、
前記MCEのブチリル置換基の平均置換度(DSBu)は0.1から1.1であり、かつ
前記MCEのヒドロキシル置換基の平均置換度は0.6から1.5である。
【0008】
本出願はまた、本明細書に開示された混合エステル組成物から製造された組成物、物品、ビーズ、ビーズ組成物およびフィルムも開示する。
【0009】
本出願はまた、セルロースエステル組成物から形成されるセルロースエステル粒子を開示する。この組成物は
(I)混合セルロースエステル(MCE);および
(II)セルロースアセテート(CA)を含み、
前記混合セルロースエステル(MCE)は
(1)複数のアセチル置換基;
(2)複数の(C2-3)アルキル-CO-置換基;および
(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、
前記MCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.6から2.4であり、
前記MCEの(C2-3)アルキル-CO-置換基(DSAkCO)の平均置換度は0.1から1.1であり、
前記MCEのヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度は0.55から1.5であり、
前記セルロースアセテート(CA)は
(1)複数のアセチル置換基;および
(2)複数のヒドロキシル置換基
を有し、
前記CAのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は1.5から2.6であり、
前記CAのヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度は0.4から1.5である。
【0010】
本出願はまた、ドープ組成物を開示する。このドープ組成物は
(A)セルロースエステル組成物、および
(B)溶媒を含み、
前記セルロースエステル組成物は、
(I)混合セルロースエステル(MCE)および、
(II)セルロースアセテート(CA)を含み、
前記混合セルロースエステル(MCE)は、
(1)複数のアセチル置換基、
(2)複数の(C2-3)アルキル-CO-置換基、および
(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、
前記MCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.6から2.4であり、
前記MCEの(C2-3)アルキル-CO-置換基(DSAkCO)の平均置換度は0.1から1.1であり
前記MCEのヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度は0.55から1.5であり、
前記セルロースアセテート(CA)は、
(1)複数のアセチル置換基;および
(2)複数のヒドロキシル置換基を含み、
前記CAのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は1.5から2.6であり、
前記CAのヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度は0.4から1.5であり、
前記溶媒は、
(1)水
(2)酢酸(C1-2)アルキル、および
(3)(C1-5)アルカノールを含み、
該ドープ組成物は、3000から9000 cPの範囲の粘度を示す。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本開示は、淡水域で生分解するために、酪酸アセチル/プロピオニルの適切な混合、および適切なヒドロキシル含量で設計された酢酸酪酸セルロースおよび酢酸プロピオン酸セルロース重合体に向けられている。本明細書に開示された混合セルロースエステル類は、フィルム、マイクロビーズ、その他の成形品の調製に有用である。
【0012】
本発明は、以下の発明の詳細な説明およびそこに記載された実施例を参照することで、より理解を深めることができる。当然だが、本発明は、記載された特定の方法、配合物および条件に限定されない。さらに、本明細書で使用される用語は、本発明の特定の態様を説明するためのものであり、限定を意図するものではない。
【0013】
各値は、所定の数値の「約」または「おおよそ」として表すことができる。同様に、本明細書では、ある特定の値の「約」から、および/または他の特定の値の「約」までの範囲として表現される場合がある。このような範囲が表現される場合、別の側面では、ある特定の値から、および/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表現される場合、当然に先行詞「約」の使用により、特定の値が別の側面を形成する。
【0014】
本明細書において、「a」、「an」および「the」という用語は、1つ(1種)以上を意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、2項目つ以上のリストで使用される場合、複数の記載項目のいずれか一項目が単独で採用されるか、またはこれらの記載項目の2つ以上の任意の組み合わせが採用され得ることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、組成物は、A単独;B単独;C単独;AおよびBの組み合わせ;AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ;またはA、B、およびCの組み合わせを含むことができる。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含み」、および「含まれる」は、用語の前に記載された主題から用語の後に記載された1つ(1種)以上の要素に移行するのに使用される非制限の移行用語であり、移行用語の後に記載された要素または各要素は、主題を構成する唯一の要素とは限らない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「有する」、「有し」、および「持つ」という用語は、上に述べた「含む」、「含み」、および「含まれる」と同じ非制限的な意味を有する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「包含する」および「包含し」は、上記で提供される「含む」、「含み」、および「含まれる」と同じ非制限的な意味を有する。
【0019】
本明細書において、「混合セルロースエステル」は、単一のセルロースエステル重合体鎖に少なくとも2つの異なるエステル置換基を有するセルロースエステルを示すものとする。
【0020】
「置換度」は、無水グルコース単位(AGU)あたりの置換基の平均置換度を表すのに使用される。一般に、従来のセルロースは各AGUに3個の置換可能なヒドロキシル基を有している。したがって、DSは0から3の間の値を持つことができる。しかしながら、低分子量セルロース混合エステルは、末端基の寄与により総置換度が3をわずかに超えることがある。低分子量セルロース混合エステルについては、本開示で後に詳しく説明する。DSは統計的な平均値のため、値が1であっても、すべてのAGUが単一の置換基を有することを保証するものではない。場合によっては、無置換の無水グルコース単位が存在することもあり、2個の置換基を有するものもあれば3個の置換基を有するものもあり、値が整数でないことの方が多い。総DSは、無水グルコース単位あたりの全置換基の平均数として定義される。AGUあたりの置換度は、例えば、ヒドロキシル、アセチル、ブチリル、プロピオニルなどの特定の置換基を指すこともある。さらに、置換度は、無水グルコース単位の炭素単位に基づいて所定のヒドロキシルを指定することができる。
【0021】
置換度がヒドロキシル、すなわちDSOHを指す場合、置換されていない無水グルコースあたりの平均ヒドロキシル基のことである。その結果、DSOHは総置換度の計算には使用されない。
【0022】
数値範囲
本明細書では、本発明に関連する特定のパラメータを定量するのに数値範囲を使用する。当然だが、数値範囲が提供される場合、このような範囲は、範囲の下限値のみを記載する請求項の限定、及び範囲の上限値のみを記載する請求項の限定の文字通りの裏付けを提供するものと解釈される。例えば、開示された10から100の数値範囲は、「10より大きい」(上限なし)と記載された請求項及び「100より小さい」(下限なし)と記載された請求項に対する文字通りの裏付けを提供する。
【0023】
本明細書では、本発明に関連する特定のパラメータを定量するのに特定の数値を使用しているが、これらの特定の数値は数値範囲の一部であることを明示するものではない。当然だが、本明細書で提供される各特定数値は、広い範囲、中間範囲、および狭い範囲を文字どおり支持するものと解釈される。各具体的な数値に関連する広い範囲とは、数値のプラスマイナス60パーセントを有効数字2桁で四捨五入したものである。各特定数値に関連する中間範囲は、数値のプラスマイナス30%で、有効数字2桁で四捨五入される。各数値に関連する狭い範囲は、数値のプラスマイナス15%で、有効数字2桁で四捨五入される。例えば、明細書に62°Fという特定の温度が記載されている場合、このような記載は、25°Fから99°F(62°F±37°F)という広い数値範囲、43°Fから81°F(62°F±19°F)という中間の数値範囲、および53°Fから71°F(62°F±9°F)という狭い数値範囲を文字どおり裏付けるものとなる。これらの広い、中間、および狭い数値範囲は、特定の値に適用されるだけでなく、これら特定の値の間の差にも適用されるべきである。したがって、明細書に110 psiaの第1の圧力と48 psiaの第2の圧力(62 psiの差)が記載されている場合、これら2つの流れの間の圧力差の広い、中間、および狭い数値範囲は、それぞれ25から99 psi、43から81 psi、および53から71 psiである。
【0024】
本出願全体を通じて、特許または刊行物が参照される場合、これらの文献の開示全体は、本発明が関連する技術状態をより完全に記載するために、本発明と矛盾しない範囲で、参照により本出願に組み込まれることが意図される。
【0025】
混合セルロースエステル
一般に、セルロースエステルは、当該技術分野で公知の任意の方法で製造することができる。セルロースエステルを製造する方法は例えば、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 5th Edition, Vol.5, Wiley-Interscience, New York (2004), pp.394-444に教示されており、その開示は参照によりその全体が組み込まれる。セルロースエステル製造の出発物質であるセルロースは、異なる等級、例えば、綿花リンター、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、トウモロコシ繊維および他の農業源、ならびに細菌セルロースなどの供給源から得ることができる。
【0026】
セルロースエステルを製造する方法のひとつは、エステル化によるものである。このような方法では、セルロースを適切な有機酸、酸無水物および触媒と混合し、次いでセルローストリエステルに変換する。エステル加水分解は、水と酸の混合物をセルローストリエステルに加えて行われ、濾過してゲル粒子や繊維を取り除くことができる。混合物に水を加えてセルロースエステルを沈殿させる。その後、セルロースエステルを水で洗浄して反応副生成物を除去し、脱水・乾燥する。
【0027】
本明細書での使用に適したアシル化試薬としては、本明細書に記載の置換セルロースエステルのアシル置換基での使用に適した上記のアルキル基またはアリール基を含むアルキルまたはアリールカルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、および/またはカルボン酸エステルを挙げることができるが、これらに限定されない。好適なカルボン酸無水物の例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ピバロイル、無水安息香酸、および無水ナフトイルが挙げられるが、これらに限定されない。カルボン酸ハロゲン化物の例としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、およびナフトイルの塩化物または臭化物が挙げられるが、これらに限定されない。カルボン酸エステルの例としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、およびナフトイルのメチルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態において、アシル化試薬は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ピバロイル、無水ベンゾイル、および無水ナフトイルからなる群より選択される1種以上のカルボン酸無水物であり得る。
【0028】
様々な実施形態において、加水分解されるセルローストリエステルは、2から12個の炭素原子を有するアルカノイルから独立して選択される3つの置換基を有することができる。セルローストリエステルの例としては、三酢酸セルロース、三プロピオン酸セルロース、三酪酸セルロース、または酢酸プロピオン酸セルロースおよび酢酸酪酸セルロースのようなセルロースの混合トリエステルが挙げられる。これらのセルローストリエステルは、当業者に公知の多くの方法によって調製することができる。例えば、セルローストリエステルは、HSOなどの触媒の存在下、カルボン酸と無水物の混合物中でセルロースを不均一アシル化することによって調製することができる。セルローストリエステルは、LiCl/DMAcやLiCl/NMPなどの適切な溶媒に溶解したセルロースの均一アシル化によっても調製できる。
【0029】
セルロースをトリエステルにエステル化した後、アシル置換基の一部を加水分解またはアルコール分解により除去し、二級セルロースエステルを得ることができる。二級セルロースエステルは、制限量のアシル化試薬を使用して、加水分解を行わずに直接調製することもできる。この方法は、セルロースを溶解する溶媒中で反応を行う場合に特に有用である。
【0030】
このようにして調製されたセルロースエステルは、一般に以下の構造を含む:
【0031】
【化1】
【0032】
式中、R、RおよびRは水素(ただし、R、RおよびRが同時に水素ではない)、アルキル-アシル基、および/またはアリール-アシル基(上記のものなど)であり、エステル結合によりセルロースに結合している。
【0033】
これらの方法によって調製されるセルロースエステルの重合度(DP)は、少なくとも10であり得る。他の実施形態において、セルロースエステルのDPは、少なくとも50、少なくとも100、または少なくとも250であり得る。他の実施形態において、セルロースエステルのDPは、約5から約100の範囲内、または約10から約50の範囲内であり得る。本明細書で使用される場合、セルロースエステルに言及する場合の用語「重合度」は、セルロース重合体鎖あたりの無水グルコースモノマー単位の平均数を示すものとする。
【0034】
一実施形態において、または他の実施形態との組み合わせにおいて、セルロースエステルは、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、および/または350まで、325まで、または300までのDPを有し得る。
【0035】
本出願は、第一の側面において、混合セルロースエステル(MCE)を開示し、この混合セルロースエステルは:(1)複数のアセチル置換基;(2)複数のプロピオニル置換基;および(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、前記MCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.6から2.3であり、前記MCEのプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)は0.1から0.95であり、前記MCEのヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)は0.5から1.5である。
【0036】
一実施形態において、またはこの第1の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSAcは、0.6から2.2、または0.6から2.1、または0.6から2.0、または0.6から1.9、または0.6から1.8、または0.7から2.3、または0.7から2.2、または0.7から2.1、または0.7から2.0、または0.7から1.9、または0.8から2.3、または0.8から2.2、または0.8から2.1、または0.8から2.0、または0.8から1.9、または0.9から2.3、または0.9から2.2、または0.9から2.1、または0.9から2.0、または0.9から1.9、または1.0から2.3、または1.0から2.2、または1.0から2.1、または1.0から2.0、または1.0から1.9、または1.1から2.3、または1.1から2.2、または1.1から2.1、または1.1から2.0、または1.1から1.9、または1.2から2.3、または1.2から2.2、または1.2から2.1、または1.2から2.0、または1.2から1.9、または0.6から1.5、または0.6から1.3、または0.6から1.1、または0.6から0.9、または0.7から1.5、または0.7から1.3、または0.7から1.1、または0.7から0.9である。
【0037】
一実施形態において、またはこの第1の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSPrは、0.1から0.9、または0.1から0.85、または0.1から0.8、または0.1から0.75、または0.1から0.7、または0.1から0.6、または0.1から0.5、または0.1から0.4、または0.15から0.95、または0.15から0.9、または0.15から0.85、または0.15から0.8、または0.15から0.75、または0.15から0.7、または0.15から0.65、または0.2から0.95、または0.2から0.9、または0.2から0.85、または0.2から0.8、または0.2から0.75、または0.2から0.7、または0.2から0.65、0.25から0.95、または0.25から0.9、または0.25から0.85、または0.25から0.8、または0.25から0.75、または0.25から0.7、または0.25から0.65、または0.3から0.95、または0.3から0.9、または0.3から0.85、または0.3から0.8、または0.3から0.75、または0.3から0.7、または0.3から0.65、または0.35から0.95、または0.35から0.9、または0.35から0.85、または0.35から0.8、または0.35から0.75、または0.35から0.7、または0.35から0.65、または0.4から0.95、または0.4から0.9、または0.4から0.85、または0.4から0.8、または0.4から0.75、または0.4から0.7、または0.4から0.65、または0.45から0.95、または0.45から0.9、または0.45から0.85、または0.45から0.8、または0.45から0.75、または0.45から0.7、または0.45から0.65、または0.5から0.95、または0.5から0.9、または0.5から0.85、または0.5から0.8、または0.5から0.75、または0.5から0.7、または0.5から0.65、または0.1から0.9、または0.1から0.85、または0.1から0.8である。
【0038】
一実施形態において、またはこの第1の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSOHは、0.5から1.5、または0.5から1.45、または0.5から1.40、または0.5から1.35、または0.5から1.30、または0.5から1.25、または0.5から1.2、または0.5から1.15、または0.5から1.1、または0.5から1.05、または0.5から1.0、または0.5から0.95、または0.5から0.9、または0.55から1.5、または0.55から1.45、または0.55から1.40、または0.55から1.35、または0.55から1.30、または0.55から1.25、または0.55から1.2、または0.55から1.15、または0.55から1.1、または0.55から1.05、または0.55から1.0、または0.55から0.95、または0.55から0.9、または0.6から1.5、または0.6から1.45、または0.6から1.40、または0.6から1.35、または0.6から1.30、または0.6から1.25、または0.6から1.2、または0.6から1.15、または0.6から1.1、または0.6から1.05、または0.6から1.0、または0.6から0.95、または0.6から0.9、または0.65から1.5、または0.65から1.45、または0.65から1.40、または0.65から1.35、または0.65から1.30、または0.65から1.25、または0.65から1.2、または0.65から1.15、または0.65から1.1、または0.65から1.05、または0.65から1.0、または0.65から0.95、または0.65から0.9、または0.7から1.5、または0.7から1.45、または0.7から1.40、または0.7から1.35、または0.7から1.30、または0.7から1.25、または0.7から1.2、または0.7から1.15、または0.7から1.1、または0.7から1.05、または0.7から1.0、または0.7から0.95、または0.7から0.9である。
【0039】
一実施形態において、またはこの第1の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSPrおよびDSAcの合計が、1.9から2.44、または1.9から2.0、または1.9から2.1、または1.9から2.2、または1.9から2.3、または2.0から2.44、または2.0から2.1、または2.0から2.2、または2.0から2.3、または2.1から2.44、または2.1から2.2、または2.1から2.3、または2.2から2.44、または2.2から2.3である。
【0040】
一実施形態において、またはこの第1の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、MCEはOECD 301F試験法に従って、56日後に少なくとも40%の生分解性、または少なくとも45%の生分解性、または少なくとも50%の生分解性、または少なくとも55%の生分解性、または少なくとも60%の生分解性、または少なくとも65%の生分解性、または少なくとも70%の生分解性、または少なくとも75%の生分解性、または少なくとも80%の生分解性、または少なくとも85%の生分解性を示す。
【0041】
一実施形態において、またはこの第1の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、MCEは、5,000から100,000 Da、または5,000から50,000 Da、または5,000から25,000 Da、または15,000から100,000 Da、または15,000から50,000 Da、または15,000から25,000 Da、または50,000から100,000 Da、または75,000から100,000 Da、または15,000から250,000 Daの範囲の重量平均分子量を有する。
【0042】
本出願は、第二の側面において、(1)複数のアセチル置換基;(2)複数のプロピオニル置換基;および(3)複数のヒドロキシル置換基を含む、混合セルロースエステル(MCE)を開示し、このMCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.6から1.2であり、このMCEのプロピオニル置換基の平均置換度(DSPr)は1.05から1.4であり、このMCEのヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)は0.7から1.4である。
【0043】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSAcは、0.6から0.7、または0.6から0.8、または0.6から0.9、または0.6から1.0、または0.6から1.1、または0.7から0.9、または0.7から1.0、または0.7から1.1、または0.7から1.2、または0.8から0.9、または0.8から1.0、または0.8から1.1、または0.8から1.2、または0.9から1.0、または0.9から1.1、または0.9から1.2、または1.0から1.1、または1.0から1.2、または1.1から1.2である。
【0044】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSPrは、1.05から1.35、または1.05から1.3、または1.05から1.25、または1.05から1.2、または1.05から1.15、または1.05から1.1、または1.1から1.4、または1.1から1.35、または1.1から1.3、または1.1から1.25、または1.1から1.2、または1.1から1.15、または1.15から1.4、または1.15から1.35、または1.15から1.3、または1.15から1.25、または1.15から1.2、または1.2から1.4、または1.2から1.35、または1.2から1.3、または1.2から1.25、または1.25から1.4、または1.25から1.35、または1.25から1.3、または1.3から1.4、または1.3から1.35である。
【0045】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSOHは、0.7から1.35、または0.7から1.3、または0.7から1.25、または0.7から1.2、または0.7から1.15、または0.7から1.1、または0.7から1.05、または0.7から1.0、または0.7から0.95、または0.7から0.9、または0.7から0.85、または0.7から0.8、または0.7から0.75、または0.75から1.4、または0.75から1.35、または0.75から1.3、または0.75から1.25、または0.75から1.2、または0.75から1.15、または0.75から1.1、または0.75から1.05、または0.75から1.0、または0.75から0.95、または0.8から1.4、または0.8から1.35、または0.8から1.3、または0.8から1.25、または0.8から1.2、または0.8から1.15、または0.8から1.1、または0.8から1.05、または0.85から1.4、または0.85から1.35、または0.85から1.3、または0.85から1.25、または0.85から1.2、または0.85から1.15、または0.85から1.1、または0.85から1.05、または0.9から1.4、または0.9から1.35、または0.9から1.3、または0.9から1.25、または0.9から1.2、または0.9から1.15、または0.9から1.1、または0.9から1.05である。
【0046】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSPrおよびDSAcの合計は、1.65から2.3、または1.65から2.2、または1.65から2.1、または1.65から2.0、または1.65から1.9、または1.65から1.8、または1.7から2.3、または1.7から2.2、または1.7から2.1、または1.7から2.0、または1.7から1.9、または1.7から1.8、または1.75から2.3、または1.75から2.2、または1.75から2.1、または1.75から2.0、または1.75から1.9、または1.8から2.3、または1.8から2.2、または1.8から2.1、または1.8から2.0、または1.8から1.9、または1.9から2.3、または1.9から2.2、または1.9から2.1、または1.9から2.0、または2.0から2.3、または2.0から2.2、または2.0から2.1である。
【0047】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSOHは、0.6から0.7、または0.7から1.35、または0.7から1.3、または0.7から1.25、または0.7から1.2、または0.7から1.15、または0.7から1.1、または0.7から1.05、または0.7から1.0、または0.7から0.95、または0.7から0.9、または0.7から0.85、または0.7から0.8、または0.7から0.75、または0.75から1.4、または0.75から1.35、または0.75から1.3、または0.75から1.25、または0.75から1.2、または0.75から1.15、または0.75から1.1、または0.75から1.05、または0.75から1.0、または0.75から0.95、または0.8から1.4、または0.8から1.35、または0.8から1.3、または0.8から1.25、または0.8から1.2、または0.8から1.15、または0.8から1.1、または0.8から1.05、または0.85から1.4、または0.85から1.35、または0.85から1.3、または0.85から1.25、または0.85から1.2、または0.85から1.15、または0.85から1.1、または0.85から1.05、または0.9から1.4、または0.9から1.35、または0.9から1.3、または0.9から1.25、または0.9から1.2、または0.9から1.15、または0.9から1.1、または0.9から1.05である。
【0048】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、MCEは、OECD 301F試験法に従って、56日後に少なくとも40%の生分解性、少なくとも45%の生分解性、または少なくとも50%の生分解性、または少なくとも55%の生分解性、または少なくとも60%の生分解性、または少なくとも65%の生分解性、または少なくとも70%の生分解性、または少なくとも75%の生分解性、または少なくとも80%の生分解性、または少なくとも85%の生分解性を示す。
【0049】
一実施形態において、またはこの第2の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、MCEは、5,000から100,000 Da、または5,000から50,000 Da、または5,000から25,000 Da、または15,000から100,000 Da、または15,000から50,000 Da、または15,000から25,000 Da、または50,000から100,000 Da、または75,000から100,000 Da、または15,000から250,000 Daの範囲の重量平均分子量を有する。
【0050】
本出願は、第3の側面において、混合セルロースエステル(MCE)も開示し、このエステルは、(1)複数のアセチル置換基、(2)複数のブチリル置換基、および(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、このMCEのアセチル置換基の平均置換度(DSAc)は0.9から2.4であり、このMCEのブチリル置換基(DSBu)の平均置換度は0.1から1.1であり、このMCEのヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度は0.6から1.5である。
【0051】
一実施形態において、またはこの第3の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSAcは、0.9から2.4、または0.9から2.3、または0.9から2.2、または0.9から2.1、または0.9から2.0、または0.9から1.9、または0.9から1.8、または0.9から1.7、または0.9から1.6、または0.9から1.4、または0.9から1.3、または0.9から1.2、または0.9から1.1、または0.9から1.0、または0.92から2.4、または0.92から2.3、または0.92から2.2、または0.92から2.1、または0.92から2.0、または0.92から1.9、または0.92から1.8、または0.92から1.7、または0.92から1.6、または0.92から1.4、または0.92から1.3、または0.92から1.2、または0.92から1.1、または0.92から1.0、または0.94から2.4、または0.94から2.3、または0.94から2.2、または0.94から2.1、または0.94から2.0、または0.94から1.9、または0.94から1.8、または0.94から1.7、または0.94から1.6、または0.94から1.4、または0.94から1.3、または0.94から1.2、または0.94から1.1、または0.94から1.0、または0.96から2.4、または0.96から2.3、または0.96から2.2、または0.96から2.1、または0.96から2.0、または0.96から1.9、または0.96から1.8、または0.96から1.7、または0.96から1.6、または0.96から1.4、または0.96から1.3、または0.96から1.2、または0.96から1.1、0.96から1.0または0.98から2.4、または0.98から2.3、または0.98から2.2、または0.98から2.1、または0.98から2.0、または0.98から1.9、または0.98から1.8、または0.98から1.7、または0.98から1.6、または0.98から1.4、または0.98から1.3、または0.98から1.2、または0.98から1.1、または0.98から1.0、または1.0から2.4、または1.0から2.3、または1.0から2.2、または1.0から2.1、または1.0から2.0、または1.0から1.8、または1.0から1.7、または1.0から1.6、または1.0から1.4、または1.0から1.3、または1.0から1.2、または1.0から1.1、または1.1から2.4、または1.1から2.3、または1.1から2.2、または1.1から2.1、または1.1から2.0、または1.1から1.9、または1.1から1.8、または1.1から1.7、または1.1から1.6、または1.1から1.4、または1.1から1.3、1.1から1.2または1.2から2.4、または1.2から2.3、または1.2から2.2、または1.2から2.1、または1.2から2.1、または1.2から2.0、または1.2から1.9、または1.2から1.8、または1.2から1.7、または1.2から1.6、または1.2から1.4、または1.2から1.3、または1.3から2.4、または1.3から2.3、または1.3から2.2、または1.3から2.1、または1.3から2.0、または1.3から1.9、または1.3から1.8、または1.3から1.7、または1.3から1.6、または1.3から1.4、または1.4から2.4、または1.4から2.3、または1.4から2.2、または1.4から2.1、または1.4から2.0、または1.4から1.9、または1.4から1.8、または1.4から1.7、または1.4から1.6、または1.5から2.4、または1.5から2.3、または1.5から2.2、または1.5から2.1、または1.5から2.0、または1.5から1.9、または1.5から1.8、または1.5から1.7、または1.5から1.6、または1.6から2.4、または1.6から2.3、または1.6から2.2、または1.6から2.1、または1.6から2.0、または1.6から1.9、または1.6から1.8、または1.6から1.7、または1.7から2.4、または1.7から2.3、または1.7から2.2、または1.7から2.1、または1.7から2.0、または1.7から1.9、または1.7から1.8、または1.8から2.3、または1.8から2.1、または1.8から2.0、または1.8から1.9、または1.9から2.3、または1.9から2.2、または1.9から2.1、または1.9から2.0、または2.0から2.4、または2.0から2.3、または2.0から2.2、または2.0から2.1、または2.1から2.4、または2.1から2.3、または2.1から2.2、または2.2から2.3である。
【0052】
一実施形態において、またはこの第3の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSBuは、0.1から1.35、または0.1から1.3、または0.1から1.25、または0.1から1.2、または0.1から1.15、または0.1から1.1、または0.1から1.0、または0.1から0.8、または0.1から0.6、または0.2から1.35、または0.2から1.3、または0.2から1.25、または0.2から1.2、または0.2から1.15、または0.2から1.1、または0.2から1.0、または0.2から0.8、または0.2から0.6、または0.2から0.4、または0.3から1.35、または0.3から1.3、または0.3から1.25、または0.3から1.2、または0.3から1.15、または0.3から1.1、または0.3から1.0、または0.3から0.8、または0.3から0.6、または0.3から0.5、または0.4から1.35、または0.4から1.3、または0.4から1.25、または0.4から1.2、または0.4から1.15、または0.4から1.1、または0.4から1.0、または0.4から0.8、または0.4から0.6、または0.5から1.35、または0.5から1.3、または0.5から1.25、または0.5から1.2、または0.5から1.15、または0.5から1.1、または0.5から1.0、または0.5から0.8、または0.5から0.7、または0.6から1.35、または0.6から1.3、または0.6から1.25、または0.6から1.2、または0.6から1.15、または0.6から1.1、または0.6から1.0、または0.6から0.8、または0.7から1.35、または0.7から1.3、または0.7から1.25、または0.7から1.2、または0.7から1.15、または0.7から1.1、または0.7から1.0、または0.8から1.35、または0.8から1.3、または0.8から1.25、または0.8から1.2、または0.8から1.15、または0.8から1.1、または0.8から1.0、または0.9から1.35、または0.9から1.3、または0.9から1.25、または0.9から1.2、または0.9から1.15、または0.9から1.1、または1.0から1.35、または1.0から1.3、または1.0から1.25、または1.0から1.2、または1.0から1.15、または1.0から1.1、または1.05から1.35、または1.05から1.3、または1.05から1.25、または1.05から1.2、または1.05から1.15、または1.05から1.1、または1.1から1.4、または1.1から1.35、または1.1から1.3、または1.1から1.25、または1.1から1.2、または1.1から1.15、または1.15から1.4、または1.15から1.35、または1.15から1.3、または1.15から1.25、または1.15から1.2、または1.2から1.4、または1.2から1.35、または1.2から1.3、または1.2から1.25、または1.25から1.4、または1.25から1.35、または1.25から1.3、または1.3から1.4、または1.3から1.35である。
【0053】
一実施形態において、またはこの第3の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSOHは、0.5から1.0、または0.5から0.95、または0.5から0.9、または0.5から0.85、または0.5から0.8、または0.5から0.75、または0.5から0.7、または0.5から0.65、または0.5から0.6、または0.5から0.55、または0.55から1.0、または0.55から0.95、または0.55から0.9、または0.55から0.85、または0.55から0.8、または0.55から0.75、または0.55から0.7、または0.55から0.65、または0.55から0.6、または0.6から0.65、または0.6から0.7、または0.6から0.75、または0.6から0.8、または0.6から0.85、または0.6から0.9、または0.6から0.95、または0.6から1.0、または0.65から0.7、または0.65から0.75、または0.65から0.8、または0.65から0.85、または0.65から0.9、または0.65から0.95、または0.65から1.0である。
【0054】
一実施形態において、またはこの第3の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、DSBuおよびDSAcの合計は、1.65から2.3、または1.65から2.2、または1.65から2.1、または1.65から2.0、または1.65から1.9、または1.65から1.8、または1.7から2.3、または1.7から2.2、または1.7から2.1、または1.7から2.0、または1.7から1.9、または1.7から1.8、または1.75から2.3、または1.75から2.2、または1.75から2.1、または1.75から2.0、または1.75から1.9、または1.8から2.3、または1.8から2.2、または1.8から2.1、または1.8から2.0、または1.8から1.9、または1.9から2.3、または1.9から2.2、または1.9から2.1、1.9から2.0または2.0から2.4、または2.0から2.3、または2.0から2.2、または2.0から2.1である。
【0055】
一実施形態において、またはこの第3の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、MCEはOECD 301F試験法に従って56日後に、少なくとも40%の生分解性、少なくとも45%の生分解性、または少なくとも50%の生分解性、または少なくとも55%の生分解性を示す、少なくとも60%の生分解性、または少なくとも65%の生分解性、または少なくとも70%の生分解性、または少なくとも75%の生分解性、または少なくとも80%の生分解性、または少なくとも85%の生分解性を示す。
【0056】
一実施形態において、またはこの第3の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、MCEは、5,000から100,000 Da、または5,000から50,000 Da、または5,000から25,000 Da、または15,000から100,000 Da、または15,000から50,000 Da、または15,000から25,000 Da、または50,000から100,000 Da、または75,000から100,000 Da、または15,000から250,000 Daの範囲の重量平均分子量を有する。
【0057】
混合セルロースエステル組成物
本出願はさらに、第4の側面において、先に開示した混合セルロースエステルのいずれかを含む組成物を開示する。
【0058】
一実施形態において、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、セルロースエステル組成物の総重量基準で、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステルの1種以上を少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも99重量%を含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、本組成物は、セルロースエステル組成物の総重量基準で、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステルの1種以上を99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、または70重量%未満を含んでもよい。
【0059】
一実施形態において、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、可塑剤をさらに含む。可塑剤は、MCEの溶融温度T、および/または溶融粘度を低下させる。
【0060】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、可塑剤は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、ベンゾフレックス、プロピレングリコール、ポリソルベータムスクロースオクタアセテート、アセチル化クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、Admex、トリプロピオニン、Scandiflex、ポロキサマー共重合体、コハク酸ポリエチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、ポリビニルピロリドン、およびグリコールトリベンゾエートである。
【0061】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、可塑剤は、セルロースエステル組成物の重量基準で、1から40重量%、または1から30重量%、または1から20重量%、または1から10重量%、または1から5重量%、または5から40重量%、または5から30重量%、または5から20重量%、または5から10重量%、または5から5重量%、または10から40重量%、または10から30重量%、または10から20重量%、または10から10重量%、または10から5重量%、または15から40重量%、または15から30重量%、または15から20重量%、または15から10重量%、または15から5重量%の量で存在する。
【0062】
この実施形態の一クラスでは、可塑剤は生分解性可塑剤である。生分解性可塑剤の例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、Benzoflex(登録商標)可塑剤シリーズのような安息香酸エステル含有可塑剤、ポリコハク酸ブチレンのようなポリアルキルコハク酸エステル、ポリエーテルスルホン、アジピン酸エステル可塑剤、Paraplex(登録商標)可塑剤シリーズなどのエポキシ化大豆油、スクロース系可塑剤、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、酢酸イソ酪酸スクロース、Resolflex(登録商標)可塑剤シリーズ、リン酸トリフェニル、グリコール酸エステル、ポリエチレングリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(プロパン酸2-メチル)、およびポリカプロラクトンがあげられる。
【0063】
一実施形態において、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、組成物は、MCEとは異なる少なくとも1種の生分解性重合体をさらに含む。
【0064】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面、クラスもしくはサブクラスの任意の他の実施形態と組み合わせて、生分解性重合体は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAおよびPHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(アジピン酸ブチレン-co-テレフタル酸ブチレン)(PBAT)、ポリコハク酸エチレン(PES)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリコハク酸ブチレン)(PBS)およびポリ(ブチレンサクシナート-co-アジパート)(PBSA)などの共重合体、他のセルロースエステル、セルロースエーテル、デンプン、タンパク質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態において、生分解性重合体は、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステルとは異なる生分解性セルロースエステル、例えば、酢酸セルロースである。
【0065】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、2種以上の生分解性重合体を含む。
【0066】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、この組成物は、組成物の総重量基準で、0.1から60重量%、0.1から50重量%、または0.1から40重量%、または0.1から30重量%、または0.1から20重量%、または0.1から15重量%、または0.1から10重量%、または0.1から5重量%、または1から40重量%、または1から30重量%、または1から25重量%、または1から20重量%、または1から10重量%、または1から5重量%、または5から40重量%、または5から30重量%、または5から25重量%、または5から20重量%、または5から10重量%の量の生分解性重合体を含む。
【0067】
一実施形態において、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、充填剤、添加剤、安定剤、および/または香り調整剤のうちの少なくとも1種をさらに含む。
【0068】
この実施形態の一クラス、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、前記充填剤は、生分解性および/または堆肥化性を向上させる種類のものであり、かつその量で存在する。
【0069】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、以下から選択される少なくとも1種の充填剤を含む:炭水化物(糖および塩)、セルロース系および有機充填剤(木粉、木繊維、麻、炭素、石炭粒子、グラファイト、デンプン)、鉱物および無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク、シリカ、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラス球、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミナ、クレー)、食品廃棄物または副産物(卵殻、蒸留かす、コーヒーかす)、乾燥剤(例えば硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム)、アルカリ性充填剤(例えばNaCO、MgCO)、またはこれらの充填剤の組み合わせ(例えば、混合物)。
【0070】
この実施形態の一クラスまたはこの第4の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、本組成物は、着色剤添加剤としても機能する少なくとも1種の充填剤を含むことができる。このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、着色剤添加剤充填剤は、炭素、グラファイト、二酸化チタン、不透明化剤、染料、顔料、トナーおよびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0071】
この実施形態の一クラス、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、安定剤または難燃剤としても機能する少なくとも1種の充填剤を含むことができる。
【0072】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、本組成物は、組成物の総重量基準で、1から60重量%、または5から55重量%、または5から50重量%、または5から45重量%、または5から40重量%、または5から35重量%、または5から30重量%、または5から25重量%、または10から55重量%、または10から50重量%、または10から45重量%、または10から40重量%、または10から35重量%、または10から30重量%、または10から25重量%、または15から55重量%、または15から50重量%、または15から45重量%、または15から40重量%、または15から35重量%、または15から30重量%、または15から25重量%、または20から55重量%、または20から50重量%、または20から45重量%、または20から40重量%、または20から35重量%、または20から30重量%の量の少なくとも1種の充填剤をさらに含む。
【0073】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記安定剤は、紫外線吸収剤、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、BHT、BHA)、酸もしくはラジカル補足剤、エポキシ化油(例えば、エポキシ化大豆油)、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1種である。
【0074】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記安定剤は、1種以上の二次酸化防止剤を含む。
【0075】
この実施形態の一クラスまたはこの第4の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、前記安定剤は、1種以上の二次酸化防止剤から選択される第1の安定剤成分、および1種以上の一次酸化防止剤、クエン酸またはそれらの組み合わせから選択される第2の安定剤成分を含む。
【0076】
この実施形態の一クラス、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、前記添加剤は、有機酸、塩、ワックス、相溶化剤、生分解促進剤、染料、顔料、着色剤、光沢調整剤、滑剤、酸化防止剤、粘度調整剤、抗真菌剤、防曇剤、衝撃調整剤、抗菌剤、軟化剤、離型剤、またはこれらの組み合わせである。なお、同じ種類の化合物または材料が、組成物中の複数の範疇の成分として確認されるか含まれるかも知れない。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、可塑剤として、または親水性重合体もしくは生分解促進剤のような可塑剤として機能しない添加剤として機能し得る。具体的には、低分子量のPEGは可塑効果を有する添加剤として、高分子量のPEGは親水性重合体として機能するが可塑効果を有しない添加剤として機能し得る。
【0077】
酸化防止剤は、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を含むいくつかのクラスに分類することができる。一次酸化防止剤は一般に、本質的にフリーラジカル失活物質(捕捉剤)として機能することが知られている。二次酸化防止剤は一般に、ヒドロペルオキシド(ROOH)がアルコキシラジカルやヒドロキシラジカルに分解する前に、非反応性生成物に分解することが知られている。二次酸化防止剤は相乗的な阻害効果を得るためにフリーラジカル捕捉剤(一次酸化防止剤)と組み合わせて使用されることが多く、二次酸化防止剤はフェノール系一次酸化防止剤の寿命を延ばすために使用される。
【0078】
「一次酸化防止剤」は、水素移動を経て過酸化物ラジカルと反応し、ラジカルを消滅させる作用をする酸化防止剤である。一次酸化防止剤は一般に、立体障害フェノールや二級芳香族アミンのような反応性のヒドロキシ基やアミノ基を含む。一次酸化防止剤の例としては、BHT、Irganox(登録商標) 1010、1076、1726、245、1098、259、1425、Ethanox(登録商標) 310、376、314、330、Evernox(登録商標) 10、76、1335、1330、3114、MD 1024、1098、1726、120、2246、および565;Anox(登録商標) 20、29、330、70、IC-14、および1315;Lowinox(登録商標) 520、1790、22IB46、22M46、44B25、AH25、GP45、CA22、CPL、HD98、TBM-6、およびWSP;Naugard(登録商標) 431、PS48、SP、および445;Songnox(登録商標) 1010、1024、1035、1076 CP、1135 LQ、1290 PW、1330 FF、1330 PW、2590 PW、および3114 FF;ならびにADK Stab AO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-80、およびAO-330があげられる。
【0079】
「二次酸化防止剤」は、しばしばヒドロペルオキシド分解剤と呼ばれる。これらはヒドロペルオキシドと反応し、ラジカル以外の非反応性で熱的に安定な生成物に分解することで作用する。一次酸化防止剤と併用されることが多い。二次酸化防止剤の例としては、有機リン系化合物(ホスファイト、ホスホナートなど)および有機硫黄系化合物が挙げられる。これらの化合物のリン原子や硫黄原子は過酸化物と反応して過酸化物をアルコールに変換する。二次酸化防止剤の例としては、Ultranox 626、Ethanox(登録商標) 368、326、327;Doverphos(登録商標) LPG11、LPG12、DP S-680、4、10、S480、S-9228、S-9228T;Evernox(登録商標) 168、626;Irgafos(登録商標) 126および168;Weston(登録商標) DPDP、DPP、EHDP、PDDP、TDP、TLPおよびTPP;Mark(登録商標) CH 302、CH 55、TNPP、CH66、CH 300、CH 301、CH 302、CH 304およびCH 305;ADK Stab 2112、HP-10、PEP-8、PEP-36、1178、135A、1500、3010、C、およびTPP;Weston 439、DHOP、DPDP、DPP、DPTDP、EHDP、PDDP、PNPG、PTP、PTP、TDP、TLP、TPP、398、399、430、705、705T、TLTTP、およびTNPP;Alkanox 240、626、626A、627AV、618F、および619F;;ならびにSongnox(登録商標) 1680 FF、1680 PW、および6280 FFがあげられる。
【0080】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、香り調節剤は、バニリン、Pennyroyal M-1178、アーモンド、シンナミル、スパイス、スパイス抽出物、揮発性有機化合物もしくは低分子化合物、およびPlastidorから選択され得る。このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、香り調節剤はバニリンである。
【0081】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、香り調整剤は、組成物の総重量基準で、0.01から1重量%、または0.1から0.5重量%、または0.1から0.25重量%、または0.1から0.2重量%の量で存在する。香り調整添加剤のメカニズムには、遮蔽、捕捉、補完、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0082】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記相溶化剤は非反応性相溶化剤または反応性相溶化剤である。相溶化剤は、組成物中の選択された成分の分散を改善するために、MCEまたは別の成分が所望の小粒径に到達する能力を高めることができる。
【0083】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、相溶化剤は、組成物の重量基準で、約1から約40重量%、または約1から約30重量%、または約1から約20重量%、または約1から約10重量%、または約5から約20重量%、または約5から約10重量%、または約10から約30重量%、または約10から約20重量%の量で存在する。
【0084】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、塩は、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ZnO、および塩基性Alである。このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、塩は、MgO、Mg(OH)、MgCO、CaO、Ca(OH)、CaCO、NaHCO、NaCO、KCO、ZnO、KHCO、または塩基性Alである。
【0085】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、有機酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、安息香酸、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、バレレート、シトレート、タータレート、オキサレート、マラート、マレイン酸、マレート、フタル酸、フタルレート、ベンゾエート、およびそれらの組み合わせである。
【0086】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記生分解促進剤は、グリコール、ポリグリコール、ポリエーテル、およびポリアルコール、またはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(α-ヒドロキシエステル)、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアセタール、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリアミノ酸、ポリコハク酸ブチレン、ポリコハク酸エチレンなどの脂肪族ポリエステル、デンプン、再生セルロース、またはPBATなどの脂肪族-芳香族ポリエステルなどの他の生分解性重合体を含み得る。
【0087】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、着色剤には、例えばカーボンブラック、赤色または青色酸化鉄などの酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素、赤色カドミウム、炭酸カルシウム、カオリンクレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、および有機顔料、例えば、アゾおよびジアゾおよびトリアゾ顔料、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アントラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバンスロン、インジゴイド顔料、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キノフタロン、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェンジオキサジン、キサンテン、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アントアントロン、アントラキノン、イソジベンザントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドン、フタロシアニンシリーズ、特に銅フタロシアニンとその核ハロゲン化誘導体、さらに酸性、塩基性、および媒染染料のレーキ、イソインドリノン顔料、植物および野菜染料、その他利用可能な着色剤や染料が含まれる。
【0088】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、光沢制御剤は、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。
【0089】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、抗真菌剤および/または抗細菌剤には、ポリエン系抗真菌剤(例えば、ナタマイシン、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アムホテリシンB、カンディシン、およびハマイシン)、ミコナゾール(WellSpring Pharmaceutical CorporationからMICATIN(登録商標)として市販されている)などのイミダゾール系抗真菌剤、ケトコナゾール(McNeil consumer HealthcareからNIZORAL(登録商標)として市販されている)、クロトリマゾール(Merck社からLOTRAMIN(登録商標)およびLOTRAMIN AF(登録商標)、またBayer社からCANESTEN(登録商標)として市販されている)、エコナゾール、オモコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール(OrthoDematologics社からERTACZO(登録商標)として市販されている)、スルコナゾール、およびチオコナゾール;トリアゾール系抗真菌薬(フルコナゾール、イトラコナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、テルコナゾール、アルバコナゾールなど)、チアゾール系抗真菌薬(例.アバファンギン)、アリルアミン系抗真菌薬(例えば、テルビナフィン(Novartis Consumer Health社からLAMISIL(登録商標)として市販されている)、ナフチフィン(Merz Pharmaceuticals社からNAFTIN(登録商標)として市販されている)、ブテナフィン(Merck社からLOTRAMIN ULTRA(登録商標)として市販されている))、エキノカンジン系抗真菌薬(例えば、アニデュラファンギン、カスポファンギン、およびミカファンギン)、ポリゴジアル、安息香酸、シクロピロックス、トルナフテート(例えば、MDS Consumer Care, Inc.からTINACTIN(登録商標)として市販されている)、ウンデシレン酸、フルシトシン、5-フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジン、カプリル酸、およびこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0090】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、使用することができる組成物のメルトフローインデックスまたは粘度を修飾する目的を有する粘度調整剤には、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびにグリセリンが含まれる。
【0091】
このクラスの一サブクラスにおいて、またはこの第4の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、離型剤または潤滑剤(例えば脂肪酸、二ステアリン酸エチレングリコール)、アンチブロック剤または滑り剤(例えば脂肪酸エステル、ステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)、およびワックス)、防曇剤(例えば、界面活性剤)、熱安定剤(例えば、エポキシ安定剤、エポキシ化大豆油(ESBO)、亜麻仁油、およびヒマワリ油の誘導体)、帯電防止剤、発泡剤、殺生物剤、衝撃改良剤、または強化繊維を含んでもよい。
【0092】
分解と生分解の比較
一般に、分解は、DOC(溶存有機炭素)、CO生成量、酸素吸収量などのパラメータを測定することで行われる。物質の生分解を調べるには、主にシュトゥルム法、呼吸測定法、放射性標識14C原子試験法の3つの方法がある。シュトゥルム法は、圧力の変化によって二酸化炭素の発生を正確に測定する。呼吸測定法は60日間の酸素消費量を正確に測定する。最後の放射性標識14C原子試験法は、14Cから14COへの変換を測定する。適切な装置を使用すれば、3つの方法はすべて水生または堆肥化条件で使用できる。
【0093】
淡水改良シュトゥルム試験(OECD 301B)-(全有機炭素分析に基づく)理論収量の割合として生成された二酸化炭素(CO)の量を、材料が生分解するかどうかを評価するための基礎として使用する。COは水酸化ナトリウム捕捉によって測定される。この試験は最低28日間実施され、28日間の終了時にCOの収量が増加の兆しを示している場合は継続される。
【0094】
生分解試験-酸素消費量(OECD 301F)を、高分子材料の生分解の監視に使用することができる。OECD 301Fは、水生好気性生分解試験であり、酸素消費量を測定して材料の生分解性を決定する。OECD 301Fは、OECD 301B試験では難しい不溶性物質や揮発性物質に対して最も頻繁に使用される。理論酸素要求量(ThOD)を求めるには、試験物質の主要成分の純度または割合が重要である。他のOECD 301試験方法と同様に、OECD 301Fの標準試験期間は最低28日間であり、生分解性の容易さあるいは本質性(ready or inherent biodegradability)を測定することができる。鉱物培地中の被験物質の溶液または懸濁液を植菌し、好気的条件で暗所または拡散光の下で培養する。参照化合物(通常、酢酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリウム)を並行して培養し、手順の動作をチェックする。
【0095】
生分解性は、易生分解性、本質的生分解性、非生分解性の3つに分類される。28日以内に理論酸素要求量の60%以上に達するものは易生分解性である。本質的生分解性の材料も60%のレベルに達するが、それは28日間のウィンドウが経過した後である。通常、易生分解性材料の試験は28日間であるが、本質的生分解性の材料に分類する場合は、試験期間を延長することができる。
【0096】
オキシトップ(OxiTop)法は、生分解性を酸素消費量として報告するが、生分解性を分析するために改良されたシュトゥルム法であり、試験中に発生するCOからの圧力をBOD(生物学的酸素要求量)に変換する。オキシトップは、水生生物分解のための使いやすいフォーマットで正確な測定を提供する。生物学的酸素要求量(BOD)は、オキシトップ(登録商標)Control OC 110呼吸計システムを用いて経時的に測定された。これは、密閉ボトルシステムで酸素が消費されるときに発生する負圧を測定することで達成される。Oが消費されたときに放出されるCOを回収するために、NaOH錠剤をシステムに加える。COとNaOHは反応してNaCOを形成し、COを気相から引き抜き、測定可能な負圧を発生させる。オキシトップ測定ヘッドはこの負圧の値を記録し、その情報を無線で制御装置に伝え、制御装置は生成されたCOを1:1の比率によりBODに変換する。測定された生物学的酸素要求量は、各試験物質の理論的酸素要求量と比較し、生分解の割合を決定することができる。オキシトップは、材料の易生分解性または本質的生分解性の選別に使用できる。
【0097】
混合セルロースエステル組成物から形成されたビーズおよび成形品
本出願はまた、第5の側面として、先に開示した混合セルロースエステルのいずれか1種を含む物品を開示する。
【0098】
本出願はまた、第6の側面として、先に開示した混合セルロースエステル(すなわち、第1の側面、第2の側面、および/または第3の側面)またはセルロースエステル組成物(すなわち、第4の側面)のいずれか1種を含む生分解性ビーズを開示する。
【0099】
一実施形態において、またはこの第6の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、生分解性ビーズは、(i)先に開示した混合セルロースエステルおよび/または混合セルロースエステル組成物のいずれか1種を含むドープを形成する工程;(ii)前記ドープの少なくとも一部を攪拌下で水性混合物と接触させ、それにより複数個の生分解性ビーズを含む反応混合物を形成する工程;および(iii)前記反応混合物から前記生分解性ビーズの少なくとも一部を回収する工程で製造されてもよい。例示的なビーズ形成手順はEP0750007A1に記載されており、その開示は参照によりその全体が組み込まれる。
【0100】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記ドープは、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、および/またはプロパノール)をさらに含んでもよい。
【0101】
一実施形態において、またはこの第6の態様の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記ドープは、カルボキシル、第1のC1~C3アルキル、および第2のC1~C2アルキルを含む化合物をさらに含んでもよい。このような実施形態において、この化合物は、酢酸アルキルであってもよい。
【0102】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記ドープは、酢酸メチルなどの酢酸アルキルをさらに含んでもよい。
【0103】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記ドープは、水、アルカノール、および酢酸エチルなどの酢酸アルキルをさらに含んでもよい。
【0104】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記水性混合物は、酢酸アルキル(例えば、酢酸エチル)および/またはメチルセルロースを含んでもよい。
【0105】
一実施形態において、またはこの第6の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記水性混合物は、水、酢酸アルキル(例えば、酢酸エチル)、界面活性剤、およびメチルセルロースを含んでもよい。
【0106】
一実施形態において、またはこの第6の側面の任意の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、1工程以上の遠心工程および/または1工程以上の濾過工程を経て反応混合物から回収されてもよい。
【0107】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記形成工程および接触工程は、5℃から40℃の範囲の温度(例えば、室温)および3気圧未満の圧力(例えば、大気圧)で起こり得る。
【0108】
一実施形態では、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、形成されたビーズは、回収工程の後、4時間から24時間、75℃から150℃の温度範囲で乾燥処理に供されてもよい。
【0109】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、56日で少なくとも40%の生分解性を示す。
【0110】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、OECD 301F試験法に従って、少なくとも40%の生分解性、少なくとも45%の生分解性、または少なくとも50%の生分解性、または少なくとも55%の生分解性、または少なくとも60%の生分解性、または少なくとも65%の生分解性、または少なくとも70%の生分解性、または少なくとも75%の生分解性、または少なくとも80%の生分解性、または少なくとも85%の生分解性を示す。
【0111】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステルの1種以上を、ビーズの総重量基準で、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも99重量%含んでもよい。これに加えてあるいはその代わりに、前記生分解性ビーズは、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステルの1種以上を、ビーズの総重量基準で、99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、または70重量%未満含んでもよい。
【0112】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、ビーズの総重量基準で、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステルの1種以上を60重量%から99重量%含むことができる。
【0113】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステル組成物を、ビーズの総重量基準で、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも99重量%含んでもよい。これに加えてあるいはその代わりに、前記生分解性ビーズは、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステル組成物の1種以上を、ビーズの総重量基準で、99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、または70重量%未満含んでもよい。
【0114】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、本明細書に記載の生分解性混合セルロースエステル組成物の1種以上を、ビーズの総重量基準で、60重量%から99重量%含むことができる。
【0115】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、(1)本明細書に記載される混合セルロースエステルのいずれか、および(2)アセチル置換基の平均置換度(DSAc)が1.5~2.6であり、かつヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)が0.4~1.5である生分解性酢酸セルロースを含むことができる。
【0116】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、ビーズの総重量を基準にして、55重量%から99重量%、60重量%から99重量%、65重量%から99重量%、70重量%から99重量%、75重量%から99重量%、80重量%から99重量%、または85重量%から99重量%の本明細書に記載される1種以上の混合セルロースエステル、および1重量%から15重量%、1重量%から20重量%、1重量%から25重量%、1重量%から30重量%、1重量%から35重量%、1重量%から40重量%、または1重量%から45重量%の生分解性酢酸セルロースを含んでもよい。
【0117】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、ビーズは、0.5から100ミクロン、または0.5から50ミクロン、または0.5から40ミクロン、または0.5から30ミクロン、または0.5から20ミクロン、または0.5から10ミクロン、または1から100ミクロン、または1から70ミクロン、または1から60ミクロン、または1から50ミクロン、または1から52ミクロン、または1から40ミクロン、または1から30ミクロン、または1から20ミクロン、または1から10ミクロンの直径を有する。
【0118】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、ビーズは、50から100%、または60から100%、または70から100%、または80から100%、または90から100%、または50から90%、または50から80%、または50から70%、または60から90%、または60から80%、または60から70%、または70から90%、または70から80%、または80から90%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%の真球度を示す。真球度は、米国特許公開第2020/0299488号に開示されている手順に従って決定することができる。
【0119】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記ビーズは、ひまし油の代わりに鉱油が使用される試験法ASTM D281で測定された、少なくとも100 g当たり30 mL、または100 g当たり35 mL、または100 g当たり40 mL、または100 g当たり45 mL、または100 g当たり50 mL、または100 g当たり55 mL、または100 g当たり60 mLの吸油量を示す。
【0120】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、0.2から0.7、0.2から0.6、0.3から0.6、または0.3から0.7の範囲の嵩密度を有する。
【0121】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10 m/gの平均表面積を有する。それに加えてあるいはその代わりに、生分解性ビーズは、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満、12未満、11未満、または10 m/g未満の平均表面積を有していてもよい。
【0122】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記生分解性ビーズは、(i) 1ミクロンから60ミクロンの平均粒径、(ii) 0.2から0.7の嵩密度、(iii) 0.1 m/gから10 m/gの平均表面積、または(iv) 70%から100%の真球度を示す。
【0123】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、前記ビーズは、酢酸セルロースをさらに含み、この酢酸セルロースは、1.5から2.6のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)を有する。この実施形態の一クラスでは、DSAcは1.8から2.2、または1.5から2.0、または1.8から2.0、または2.0から2.2である。
【0124】
一実施形態において、またはこの第6の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、ビーズは、ひまし油の代わりに鉱油を用いるASTM D281試験法により測定される、少なくとも100 g当たり30 mL、または100 g当たり35 mL、または100 g当たり40 mL、または100 g当たり45 mL、または100 g当たり50 mL、または100 g当たり55 mL、または100 g当たり60 mLの吸油量を示す。
【0125】
本出願はまた、第7の側面として、本明細書で先に開示した複数個のビーズを含む組成物を開示する。
【0126】
本出願はまた、第8の側面として、先に開示した混合セルロースエステルのいずれか1種を含むフィルムを開示する。
【0127】
本出願はまた、第9の側面として、先に開示した組成物または混合セルロースエステルのいずれか1種から調製されたフィルムを開示する。
【0128】
一実施形態において、またはこの第9の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、組成物は、1から40重量%の酢酸セルロースをさらに含み、この酢酸セルロースは、1.5から2.6のアセチル置換基の平均置換度を示す。この実施形態の一クラスでは、DSAcは1.8から2.2、または1.5から2.0、または1.8から2.0、または2.0から2.2である。
【0129】
本出願はまた、第10の側面として、(I)混合セルロースエステル(MCE)および酢酸セルロース(CA)を含むセルロースエステル組成物から形成されるセルロースエステル粒子を開示する。この混合セルロースエステルは、(1)複数のアセチル置換基、(2)複数の(C2-3)アルキル-CO-置換基、および(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、このMCEは0.6から2.4のアセチル置換基(DSAc)の平均置換度を有し、このMCEは0.1から1.1の(C2-3)アルキル-CO-置換基(DSAkCO)の平均置換度を有し、このMCEは0.55から1.5であるヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度を有する。(II)酢酸セルロースは、複数のアセチル置換基および複数のヒドロキシル置換基を含み、CAは、1.5から2.6のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)を有し、CAは、0.4から1.5のヒドロキシル置換基の平均置換度(DSOH)を有する。
【0130】
一実施形態またはこの第10の局面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、(C2-3)アルキル-CO-はプロピオニルである。一実施形態において、またはこの第10の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、(C2-3)アルキル-CO-はブチリルである。
【0131】
一実施形態またはこの第10の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいてセルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは60重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から40重量%で存在する。一実施形態またはこの第10の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは55重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から45重量%で存在する。一実施形態またはこの第10の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは65重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から35重量%で存在する。一実施形態またはこの第10の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは70重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から30重量%で存在する。一実施形態またはこの第10の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは75重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から25重量%で存在する。一実施形態またはこの第10の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは80重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から20重量%で存在する。一実施形態またはこの第10の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは85重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から25重量%で存在する。
【0132】
一実施形態において、またはこの第10の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、セルロースエステル粒子は、(i) 1ミクロンから60ミクロンの平均粒径、(ii) 0.2から0.7の嵩密度、(iii) 0.1 m/gから10 m/gの平均表面積、または(iv) 70%から100%の真球度のうちの少なくとも1つを示す。
【0133】
本出願はまた、第11の側面として、(A)セルロースエステル組成物および(B)溶媒を含むドープ組成物を開示する。このセルロースエステル組成物は、(I)混合セルロースエステル(MCE)および(II)酢酸セルロースを含む。この混合セルロースエステルは(1)複数のアセチル置換基、(2)複数の(C2-3)アルキル-CO-置換基、および(3)複数のヒドロキシル置換基を含み、このMCEは0.6から2.4のアセチル置換基(DSAc)の平均置換度を有し、このMCEは0.1から1.1の(C2-3)アルキル-CO-置換基(DSAkCO)の平均置換度を有し、このMCEは0.55から1.5のヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度を有する。前記酢酸セルロース(CA)は、複数のアセチル置換基および複数のヒドロキシル置換基を含み、前記CAは、1.5から2.6のアセチル置換基の平均置換度(DSAc)を有すし、CAは、0.4から1.5のヒドロキシル置換基(DSOH)の平均置換度を有する。前記溶媒は、(1)水、(2)酢酸(C1-2)アルキル、および(3)(C1-5)アルカノールを含み、該ドープ組成物は、3000から9000 cPの範囲の粘度を示す。
【0134】
一実施形態またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、(C2-3)アルキル-CO-はプロピオニルである。一実施形態またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、(C2-3)アルキル-CO-はブチリルである。
【0135】
一実施形態またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは60重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から40重量%で存在する。一実施形態またはこの第11の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは55重量%から99重量%で存在し、CAは、1重量%から45重量%で存在する。一実施形態またはこの第11の態様の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは65重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から35重量%で存在する。一実施形態において、またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは70重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から30重量%で存在する。一実施形態において、またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは75重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から25重量%で存在する。一実施形態において、またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスもしくはサブクラスと組み合わせて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは80重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から20重量%で存在する。一実施形態において、またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、セルロースエステル組成物の総重量基準で、MCEは85重量%から99重量%で存在し、CAは1重量%から25重量%で存在する。
【0136】
一実施形態またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、ドープ組成物の総重量基準で、セルロースエステル組成物は5重量%から20重量%で存在し、溶媒は80重量%から95重量%で存在する。一実施形態またはこの第11側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスとの組み合わせにおいて、ドープ組成物の総重量基準で、セルロースエステル組成物は5重量%から15重量%で存在し、溶媒はドープ組成物の総重量基準で、85重量%から95重量%で存在する。一実施形態において、またはこの第11の側面の他の実施形態、クラスまたはサブクラスと組み合わせて、ドープ組成物の総重量基準で、セルロースエステル組成物は5重量%から10重量%で存在し、溶媒はドープ組成物の総重量基準で90重量%から95重量%で存在する。
【0137】
本発明を、以下の実施形態例によってさらに説明するが、いうまでもなく、これらの実施形態例は、単に説明のために含まれるものであり、特に断りのない限り、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0138】
実験の項
略語集
AcOは無水酢酸、AcOHは酢酸、Biodegは生分解、CA-398-3はEastman酢酸セルロース398-3、CA-398-6はEastman酢酸セルロース398-6、CA-398-10はEastman酢酸セルロース398-10、CA-398-30はEastman酢酸セルロース398-30、CA-394-60LFはEastman酢酸セルロース394-60LF、CEはセルロースエステル、CExは比較例、℃は摂氏、CABは酢酸酪酸セルロース、CAは酢酸セルロース、DSは平均置換度、Exは実施例、DSAcはアセチル基の平均置換度、DSBuはブチリル基の平均置換度、DSOHはヒドロキシル基の平均置換度、gはグラム、hは時間、kgはキログラム、Mg(OAc)は酢酸マグネシウム、minは分(s)、mLはミリリットル、Mは重量平均分子量、OAcは酢酸、PrOは無水プロピオン酸、PrOHはプロピオン酸、rtは室温、solnは溶液、Tはガラス転移温度である。
【0139】
酢酸酪酸セルロース(Ex 1)(DSAc = 1.1、DSPr = 1.12、DSOH = 0.78、M = 153777)の調製
【0140】
活性化セルロース混合物(セルロース(7.1部)およびPrOH(11.0部))を、オーバーヘッド撹拌しながら容器中で15℃に冷却した。続いて、15℃に冷却した硫酸(0.2部)、AcO(11.3部)およびPrO(13.3部)の溶液(アシル化溶液)を、攪拌しながら冷却した活性化セルロース混合物に添加した。得られた反応混合物を23℃に温め、23℃で60分間撹拌した。その後、反応混合物を45分かけて63℃まで加熱し、その時点でPrOH(32.3部)とHO(11.3部)の溶液を加えた。その後、混合物を71℃で600分間撹拌した。混合物を、Mg(OAc)・4HO(0.45部)のAcOH(7.3部)およびHO(5.6部)溶液で処理し、混合物を30分間撹拌し、rtまで冷却し、混合物をろ過した。濾液からセルロースエステルを水で沈殿させ、市販の混合機で撹拌し、セルロースエステルを濾過し、回収し、固形物を流水で洗浄し、60℃に設定した真空オーブンで乾燥するまで乾燥させ、所望の生成物を得た。
【0141】
酢酸プロピオン酸セルロース1の調製手順を応用して、以下の表1のセルロースエステルを調製した。
【0142】
【表1】
【0143】
表2に、上記で調製したセルロースエステルの特性を示す。
【表2】
【0144】
酢酸酪酸セルロース(Ex 6)(DSAc = 2.17、DSBu = 0.21、DSOH = 0.62、 M = 80,000から105,000)の調製
活性化セルロース混合物(セルロース(5.4部)とAcOH (21.5部))に硫酸を加えて攪拌しながら32℃まで冷却した。続いて、AcO (11.3部)とBuO (7.3部)の混合物を加え、撹拌しながら混合物を約9℃まで冷却した。さらに硫酸を合計0.4部加え、得られた反応混合物を55℃に温めた。この反応混合物にAcOH (23.3部)とHO (9.0部)の混合物を加えた。その後、この混合物を68℃で495分間撹拌したが、80分後にMg(OAc)(0.26部)、BuOH (8.7部)、AcOH (0.06部)およびHO (3.8部)の混合物を加えた。十分な時間を置いた後、Mg(OAc) (0.37部)、BuOH (1.9部)、AcOH (0.09部)およびHO (6.7部)の溶液で混合物を完全に中和した。その後、混合物を水中で沈殿させ、一般的な方法で洗浄し、乾燥させた。
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
生分解
CEの生分解性は、ISO 14851またはOECD 301F法に従って、水性好気性生分解試験で評価した。総試験期間は約56日間であった。試験は21℃±2℃で行った。生分解試験は、イーストマン廃水処理汚泥を植菌体として用いた。
【0148】
この試験では、他の有機炭素源を含まない化学的に定義された鉱物培地にCEを分散させ、廃水汚泥から微生物を植え付けた。微生物が水性媒体中で試験物質を生分解すると、酸素が微生物によって消費され、試験物質の炭素が二酸化炭素に変換される。この過程で発生した二酸化炭素は、ボトル内のNaOH(密閉された試験ボトル内の箙に置かれたNaOH)に捕捉され、ヘッドスペース内の圧力低下を引き起こす。この圧力低下は、消費される酸素に直接対応し、したがって試験材料の生分解に対応する。
【0149】
生分解性を、酸素消費量から求め、試験品の理論酸素要求量に対する対照補正後のBOD(生物学的酸素要求量)の比率として算出する。56日後までに基準物質(ISO 14851による)の少なくとも90%または90%に達していれば、その物質を生分解性とみなす。また、ECHAのマイクロプラスチックに関する提案では、60日後までに少なくとも60%の生分解率に達していれば生分解性とみなす。
【0150】
【表5】
【0151】
マイクロビーズの調製
調製手順1
手順1は、EP0750007(EP'007)に開示されている手順に基づく。
【0152】
酢酸酪酸セルロースマイクロビーズ7(手順1)
Ex 6(40g)、EtOAc(185g)およびEtOH(25g)を油相に用い、Benecel A4M(1.5g)、Tween 28(4.5g)、水(350g)およびEtOAc(50mL)を水相に用いた。この水相を、ロートステーターを用いて9000rpmで5分間予備混合し、次いで油相を20分間かけて水相に添加した。形成された油乳化液を50分間攪拌し、この油乳化液を200メッシュのふるいを通してろ過し、攪拌下で5分間かけて水(2500mL)に入れた。得られた混合物を1時間撹拌し、形成された微粒子を濾過した。得られた微粒子を水で洗浄し、10,000で10分間遠心分離して水相から粒子を分離した(3回繰り返す)。最終的な微粒子は、D10が1.21ミクロン、D50が4.96ミクロン、D90が12ミクロン、多分散度が0.646であった。これらは光散乱法によって測定された。D10、D50、およびD90は、それぞれ材料の10%、50%、および90%が含まれる粒子径値である。
【0153】
酢酸酪酸セルロースマイクロビーズ 17
酢酸酪酸セルロースマイクロビーズ17を、酢酸酪酸セルロースマイクロビーズ7の調製手順を応用して合成した。Ex 6の代わりにEx 10を使用した。ベネセルをカルボキシメチルセルロースに置き換え、Tween 28をTergitol 15 S-40、ステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸PEG-100 (1:0.5:0.5の比)に置き換えた。酢酸酪酸セルロースマイクロビーズ17の粒径は11ミクロン、嵩密度は0.296 g/mLである。
【0154】
調製手順2
ドープ
セルロースエステル混合物(90 g)を酢酸エチル、(C2-3)アルカノール、水の混合物(547.7 g、80:13:7)に250 rpmで攪拌しながら加えて、セルロースエステル混合物のドープを調製した。得られた混合物を室温で撹拌した(約30分)。
酢酸酪酸セルロース/酢酸セルロースドープの調製
【0155】
表4に、Ex 6で代表的なドープを調製するために使用した酢酸セルロースを示す。表5に、酢酸エチル、エタノール、および水溶液系からどの酢酸酪酸セルロース/酢酸セルロースドープが可能かを示す。CAB/CA (6.0 g)を溶媒(37.0 g(EA:EtOH:水=80:13:7))に混合してドープを調製した。
【0156】
【表6】
【0157】
表7は、調製手順2のドープ手順に従って、Ex 6、各種酢酸セルロース、またはEx 6と各種酢酸セルロースのブレンドのいずれかから作製したドープを示す。特定の酢酸セルロースのみがEx 6とブレンドしてEA:EtOH:水溶媒系でドープを形成することができ、使用した酢酸セルロースはどれもEA:EtOH:水溶媒系でドープを形成することができなかった。Ex 6はEA:EtOH:水溶媒系で容易にドープを形成した。
【0158】
【表7】
【0159】
水性混合物
酢酸エチル(124.6 g)とメチルセルロース(6.8 g)を、2段ピッチ翼攪拌機(250 rpm)で分散液が形成されるまで混合して、乳化液の調製に使用する水性混合物を調製する。次に水(1280 g)とTween-28(13.5 g)を加える。得られた水性混合物を約30分間撹拌して、溶液を形成する。
【0160】
ビーズ形成のための乳化/分散方法
ドープ(637.7 g)を水性混合物(1424.3 g)に15 mL/分の割合で攪拌(250rpm)しながら(約45分間)投入する。その後、得られた混合物を250 rpmで撹拌しながら、MagicLabインライン高剪断ミキサー(6000 rpm)を通して200 mL/分で30分間再循環させた。
【0161】
混合物を撹拌しながら水(5625g)に200mL/minで加え、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を遠心分離(3000 rpm、15分)してビーズを分離した。ビーズを水で洗浄し、再遠心(3000 rpm、15分)した(2回)。得られたビーズを100℃、150 mmHgのオーブンで乾燥した(16時間)。
【0162】
表8は、Ex 6と様々な重量パーセンテージの数種の酢酸セルロースのブレンドを用い、手順2で作製したマイクロビーズを提供する。
【0163】
【表8】
【0164】
油取り込み測定
ひまし油の代わりにミネラルオイルを使用し、ASTM D281「スパチュラによる顔料の吸油に関する標準試験方法」の試験方法を用いて、吸収または油取り込み特性を測定した。鉱油(商品番号ELL-MIOL-01)は、MakingCosmetics.com, Inc.から入手した。
【0165】
鉱油を既知量の未加工粉末に滴下添加し、固形の乾燥ペーストが形成されるまでスパチュラで攪拌する。固形の乾燥ペーストが形成されると、鉱油は吸収されなくなる。油の量が決まったら、次の式で油分を計算する:
OT = (100×Voil)/msanple
OT:油取り込み(mL/100 g);Voil:使用したオイルの量(mL);msanple:試料の質量(g)
結果を表9に示す。
【0166】
【表9】
【0167】
本発明の様々な実施形態に関する前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。これは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な実施形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、多数の修正または変形が可能である。考察された実施形態は、本発明の原理およびその実用化の最良の説明を提供し、それによって当業者が、企図された特定の用途に適した様々な実施形態において、かつ様々な変更を伴って本発明を利用できるようにするために選択され、記述された。そのような修正および変形はすべて、添付の特許請求の範囲が公正、法的、および衡平に権利を有する幅に従って解釈される場合、それによって決定される本発明の範囲内にある。
【国際調査報告】