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特表2024-546056インテリジェントドライビング方法及び方法が適用される車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】インテリジェントドライビング方法及び方法が適用される車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241210BHJP
   B60W 30/00 20060101ALI20241210BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20241210BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20241210BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20241210BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/00
B60W60/00
B60W40/02
B60W30/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529236
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2021131017
(87)【国際公開番号】W WO2023087157
(87)【国際公開日】2023-05-25
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】申 忱
(72)【発明者】
【氏名】王 翔
(72)【発明者】
【氏名】朱 良凡
(72)【発明者】
【氏名】戴 正晨
(72)【発明者】
【氏名】杜 明博
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA32
3D241BA33
3D241BA62
3D241BB31
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE05
3D241DB05Z
3D241DC37Z
3D241DC41Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
本出願はインテリジェントドライビング方法及び方法が適用される車両を開示する。認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合が取得されてもよく、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策が取得され、第1の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことが検出され、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策が取得され、第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両が制御される。このようにして、動的な車両判断が実施され、判断結果が競合対象の実際の動作と整合しない問題が効果的に取り扱われ、競合判断の一般化能力が向上させられ、インテリジェントドライビングの安全性と運転及びライディングの快適性とが改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェントドライビング方法であって、
認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得するステップと、
前記判断解決策集合から、前記自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得するステップと、
前記第1の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するプロセスで、前記自車両及び前記競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすと決定するステップと、
前記判断解決策集合から、前記自車両と前記競合対象との前記第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得するステップと、
前記第2の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の相互作用段階は、前記自車両と前記競合対象との相互作用関係が不明である段階であり、前記第2の相互作用段階は、前記自車両と前記競合対象との相互作用関係が明確である段階である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階のプロセスで前記競合対象のステータスを継続的に追跡するステップ
をさらに備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の相互作用段階に入る前記条件は、
前記第1の相互作用段階の期間が閾値期間を上回ること、
前記判断解決策集合中で最大判断利益を持つ判断解決策と前記判断解決策集合の任意の他の判断解決策との判断利益差が閾値利益差未満でないこと、
既定の時点の前記競合対象の実際の移動進路が前記第1の判断解決策と整合しないこと、
既定の時点の前記競合対象の実際の移動進路が前記第1の判断解決策と整合すること、又は
前記自車両と前記競合対象との距離が閾値距離未満であること
の1つを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記認識情報に基づいて少なくとも1つの対象を決定するステップと、
前記少なくとも1つの対象の未来移動進路を取得するステップと、
前記自車両の未来移動進路を取得するステップと、
前記少なくとも1つの対象のうち、未来移動進路が前記自車両の前記未来移動進路と交差する対象を前記競合対象として決定するステップと
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得する前記ステップは、
前記認識情報に基づいて前記自車両及び前記競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲を取得するステップと、
前記左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前記前後方向加速度サンプリング範囲に基づいて前記判断解決策集合を取得するステップと
を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記認識情報に基づいて前記自車両及び前記競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲を取得する前記ステップは、
前記認識情報と第1の要因とに基づいて前記自車両及び前記競合対象の前記左右方向位置オフセットサンプリング範囲を取得するステップと、
前記認識情報と第2の要因とに基づいて前記自車両及び前記競合対象の前記前後方向加速度サンプリング範囲を取得するステップと
を備え、
前記第1の要因は、前記自車両が位置する環境の道路境界及び静止障害物の少なくとも1つを備え、前記第2の要因は、前記自車両が位置する前記環境の道路速度制限、及び加速度変化率の少なくとも1つを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記判断解決策集合から、前記自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得する前記ステップは、
前記判断解決策集合を分割することによって少なくとも1つの判断解決策部分集合を取得するステップであって、各判断解決策部分集合は少なくとも1つの判断解決策を備える、ステップと、
各判断解決策部分集合の最適判断解決策を決定するステップであって、前記最適判断解決策は、対応する判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策である、ステップと、
少なくとも1つの最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階に用いられる前記第1の判断解決策を取得するステップと
を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階に用いられる前記第1の判断解決策を取得する前記ステップは、
判断利益が前記少なくとも1つの最適判断解決策の閾値利益未満でない最適判断解決策を第1の階層に分類し、判断利益が前記少なくとも1つの最適判断解決策の前記閾値利益未満である最適判断解決策を第2の階層に分類するステップと、
前記第1の階層に備えられる前記最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階に用いられる前記第1の判断解決策を決定するステップと
を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記第1の階層に備えられる前記最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第2の相互作用段階に用いられる前記第2の判断解決策を取得するステップ
をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各判断解決策部分集合に対応する最適判断解決策を決定する前記ステップは、
利益評価方式にしたがって前記判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益を決定するステップと、
前記判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策を前記判断解決策部分集合に対応する前記最適判断解決策として決定するステップと
を備え、
前記利益評価方式は判断解決策の安全性、快適性、通過可能性、優先通行権、危険エリア、及びオフセットのうちの少なくとも1つの大きさを備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記利益評価方式は判断結果履歴をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各判断解決策は動作ペアグループを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータプログラム又は命令を記憶し、前記コンピュータプログラム又は前記命令がコンピューティングデバイスによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスが請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行することが可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
チップであって、少なくとも1つのプロセッサとインターフェイスとを備え、
前記インターフェイスは前記少なくとも1つのプロセッサにコンピュータプログラム、命令、又はデータを提供するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは前記コンピュータプログラム又は前記命令を実行するように構成され、これにより、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法が実行される、チップ。
【請求項16】
車両であって、
認識情報を取得するように構成される認識モジュールと、
前記認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得し、前記判断解決策集合から、前記自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、前記第1の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するプロセスで、前記自車両及び前記競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出し、前記判断解決策集合から、前記自車両と前記競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、前記第2の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するように構成される処理モジュールと
を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は車両技術の分野に関し、特に、インテリジェントドライビング方法及び方法が適用される車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転の分野では、自車両が走行プロセスで別の車両と相互作用する場合があることが多い。現在では、自車両が別の車両と相互作用する場面では、主流の判断方法は、主に、自車両が別の車両の予測進路に基づいて判断解決策を取得し、判断解決策に基づいて走行するものである。
【0003】
実際の場合において、図1の(a)に示されているように、別の車両が左折するために待機する状態であり、自車両が直進する状態であると仮定する。直進し通過する車両に譲った後に左折するという慣習的な規則にしたがって、別の車両が自車両に譲ると自車両が予測する。自車両によって取得された別の車両の予測進路に基づけば、取得された判断解決策が、自車両が加速して素早く通過するものになる場合がある。しかし、実際の相互作用プロセスでは、図1の(b)に示されているように、予測進路に基づいて別の車両の未来挙動が譲るものになるとは必ずしもならない。依然として自車両が以前に取得された判断解決策にしたがって走行する場合、自車両が別の車両と衝突したり擦ったりする可能性が比較的高く、自車両が安全に通過する可能性が比較的低い。上記に加えて、自車両が別の車両と衝突することになる場合、自車両又は運転者は緊急に制動を行なう場合があり(たとえば、自車両が衝突を回避するためにAEB(自動緊急ブレーキ:autonomous emergency braking)機能を起動する)、これにより、劣悪な運転感覚が引き起こされる。さらに、自車両の予測結果が実際の状況に合致しない場合があるので、同じ場面でさえ、異なる結果が取得される場合がある。したがって、自動運転制御ポリシーの一般化が比較的劣悪になる。
【0004】
まとめると、相互作用安全性、運転及びライディングの快適性並びに自動運転の制御ポリシーの一般化を改善する方法が要求される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願では、相互作用安全性、運転及びライディングの快適性並びに車両自動運転の制御ポリシーの一般化を改善する、インテリジェントドライビング方法及び方法が適用される車両が提供される。
【0006】
本出願で提供されているインテリジェントドライビング方法は電子装置によって遂行されてもよい。電子装置はコンピュータシステムとして抽象化されてもよい。電子装置はシステム全体であってもよいし、システム全体の構成要素の一部、たとえば、システムチップや処理チップであってもよい。
【0007】
特に、電子装置は車両の車内コンピュータや車内インフォテインメントなどの端末装置や車載デバイスであってもよいし、車両や車載デバイスのコンピュータシステムに配置されることができるシステムチップ、判断処理チップ、別のタイプのチップなどであってもよい。
【0008】
第1の態様によれば、本出願の実施形態では、
認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得するステップと、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得するステップと、第1の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出するステップと、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得するステップと、第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するステップと
を含むインテリジェントドライビング方法が提供される。
【0009】
認識情報は車両の車内認識装置に基づいて取得されてもよい。車内認識装置はたとえば、LIDAR、ミリ波レーダ、超音波レーダやカメラを含んでもよいが、これに限定されない。認識情報はV2X(Vehicle to Everything)、V2V(Vehicle to Vehicle)やV2I(Vehicle to Infrastructure)などの方式でも取得されてもよい。
【0010】
第1の相互作用段階は、自車両と競合対象との相互作用関係が不明である段階であり、第2の相互作用段階は、自車両と競合対象との相互作用段階が明確である段階である。
【0011】
たとえば、前述の方法が電子装置によって遂行される場合、認識情報は電子装置の収集装置を用いて取得されてもよく、収集装置は処理装置に接続されているインターフェイス回路を用いて電子装置の処理装置に認識情報を送ってもよく、あるいは、認識情報は電子装置に外部接続されている収集装置を用いて取得されてもよく、収集装置は有線又は無線接続方式で電子装置の処理装置に認識情報を送ってもよい。処理装置は、認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、第1の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御してもよい。
【0012】
本出願の方法によれば、車両判断プロセスでは、判断プロセスが複数の相互作用段階に分割され、競合対象が継続的に追跡されて認識され、車両の相互作用段階が継続的に更新され、これにより、動的な車両判断が実施され、判断結果が競合対象の実際の動作と整合しない問題が効果的に取り扱われることができ、自動運転交代率が減らされ、競合判断の一般化能力が向上される。上記に加えて、判断プロセスが複数の相互作用段階を含むので、車両は判断プロセスにわたって段階的に前進し、これにより、急加速と急減速とが効果的に減らされ、自動運転の快適性が改善される。
【0013】
可能な設計で、本出願の第1の相互作用段階は危機状態として理解されることができる。危機状態は、自車両と競合対象との相互作用関係が不明であるものとして理解されることができる。相互作用関係が不明であることは、自車両と競合対象との相互作用の複数の判断解決策の利益が大きく異なることがないこととして理解されることができ、すなわち、自車両の判断解決策が任意の時刻に変化する場合があり、すなわち、判断解決策Aから判断解決策Bに飛び移る場合がある。
【0014】
自車両及び競合対象が危機状態にあるとき、自車両が第1の判断解決策を用いて、走行するプロセスで競合対象のステータスを継続的に追跡し(1ステップずつ視認するものとして理解されることができる)、判断解決策が任意の時刻に調節されてもよい。
【0015】
可能な設計で、本出願の第2の相互作用段階は信頼状態として理解されることができる。信頼状態は、自車両と競合対象との相互作用関係が明確であるものとして理解されることができる。相互作用関係が明確であることは、自車両と競合対象との相互作用の判断解決策が決定されることとして理解されることができる。
【0016】
たとえば、自車両と競合対象との競合プロセスでは、競合プロセスが継続するのにつれて、自車両が優れた判断解決策に近づく。優れた判断解決策と別の判断解決策との差が十分に大きい(通常、差は異なる判断解決策の間の利益差を用いて決定されることができる)場合、競合関係が明確であることが考慮され、危機状態から信頼状態への移行が完遂される。
【0017】
可能な設計で、自車両が競合対象との第1の相互作用段階を遂行するプロセスでは、競合対象のステータスが継続的に追跡される。
【0018】
可能な設計で、第2の相互作用段階に入る条件は、第1の相互作用段階の期間が閾値期間を上回ること、判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策との判断利益差が閾値利益差未満でないこと、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策と整合しないこと、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策と整合すること、又は自車両と競合対象との距離が閾値距離未満であることの1つを含む。
【0019】
本方法によれば、車両判断プロセスでは、第2の相互作用段階に入ると決定するための複数の条件が提供され、これはより柔軟かつより高い適応性を持つものである。
【0020】
可能な設計で、認識情報に基づいて少なくとも1つの対象が決定され、少なくとも1つの対象の未来移動進路が取得され、少なくとも1つの対象のうち、未来移動進路が自車両の未来移動進路と交差する対象が競合対象として決定される。
【0021】
たとえば、前述の方法が電子装置によって遂行される場合、認識情報は電子装置の収集装置を用いて取得されてもよく、収集装置は処理装置に接続されているインターフェイス回路を用いて電子装置の処理装置に認識情報を送ってもよく、あるいは、認識情報は電子装置に外部接続されている収集装置を用いて取得されてもよく、収集装置は有線又は無線接続方式で電子装置の処理装置に認識情報を送ってもよい。処理装置は認識情報に基づいて少なくとも1つの対象を決定してもよく、少なくとも1つの対象から競合対象を決定してもよい。
【0022】
本方法を用いることで、車両判断プロセスで、競合対象を決定するスキームが提供され、適応性が強い。
【0023】
可能な設計で、認識情報に基づいて自車両及び競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲が取得され、左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲に基づいて判断解決策集合が取得される。
【0024】
たとえば、前述の方法が電子装置によって実行されるとき、電子装置の処理装置は認識情報に基づいて自車両及び競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲を取得してもよく、その後、電子装置の処理装置は左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲に基づいて判断解決策集合を取得する。
【0025】
可能な設計で、認識情報と第1の要因とに基づいて自車両及び競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲が取得され、認識情報と第2の要因とに基づいて自車両及び競合対象の前後方向加速度サンプリング範囲が取得され、第1の要因が、自車両が位置する環境の道路境界及び静止障害物の少なくとも1つを含み、第2の要因が、自車両が位置する環境の道路速度制限、加速度変化率、及び競合対象タイプの少なくとも1つを含む。
【0026】
たとえば、前述の方法が電子装置によって実行されるとき、電子装置の処理装置は認識情報と第1の要因とに基づいて自車両及び競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲を取得してもよく、電子装置の処理装置は認識情報と第2の要因とに基づいて自車両及び競合対象の前後方向加速度サンプリング範囲を取得してもよい。
【0027】
本方法によれば、車両判断プロセスで、左右方向位置オフセットサンプリング範囲と前後方向加速度サンプリング範囲とを決定する方法が提供される。
【0028】
可能な設計で、判断解決策集合を分割することによって少なくとも1つの判断解決策部分集合が取得され、各判断解決策部分集合は少なくとも1つの判断解決策を含み、各判断解決策部分集合に対応する最適判断解決策が決定され、最適判断解決策は対応する判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策であり、少なくとも1つの最適判断解決策から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策が取得される。
【0029】
本方法によれば、車両判断プロセスで、第1の判断解決策を選択する方法が提供される。異なる判断解決策部分集合に対応する最適判断解決策から第1の判断解決策が選択され、これにより、選択された第1の判断解決策がより実用的であることが可能であり、相互作用安全性及び通行率が改善されることができる。
【0030】
可能な設計で、判断利益が少なくとも1つの最適判断解決策の閾値利益未満でない対象判断解決策が第1の階層に分類され、判断利益が閾値利益未満である最適判断解決策が第2の階層に分類される。言い換えると、判断利益が閾値利益を超える判断解決策部分集合(各判断解決策部分集合は判断解決策部分集合に対応する最適判断解決策によって「代表される」)が第1の階層として決定され、判断利益が閾値利益未満である判断解決策部分集合が第2の階層として決定される。第1の階層に含まれる最適判断解決策から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策が決定される。
【0031】
本方法によれば、車両判断プロセスで、第1の判断解決策を選択する方法がさらに提供される。判断解決策が利益閾値に基づいてより精密に分割されて比較的高い判断利益を持つ第1の階層が取得され、その後、第1の階層に含まれる最適判断解決策から第1の判断解決策が決定される。これにより、第1の判断解決策の適用性がより効果的に向上し、相互作用安全性と通行率が一層改善される。可能な設計で、第1の階層に含まれる対象判断解決策から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策が取得される。
【0032】
可能な設計で、利益評価方式に基づいて判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益が決定され、判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策が判断解決策部分集合に対応する対象判断解決策として決定される。利益評価方式は判断解決策の安全性、快適性、通過可能性、優先通行権、危険エリア及びオフセットのうちの少なくとも1つの大きさを含む。
【0033】
たとえば、前述の方法が電子装置によって実行されるとき、電子装置の処理装置が利益評価方式にしたがって、判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益を決定してもよい。
【0034】
本方法を用いることで、判断解決策の判断利益を決定する方法が車両判断プロセスで提供される。
【0035】
可能な設計で、走行環境と利益評価方式との対応に基づいて、相互作用に用いられる利益評価方式が決定され、相互作用に用いられる利益評価方式にしたがって、判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益が決定される。
【0036】
本方法によれば、本出願では走行環境と利益評価方式との対応が提供され、これにより、車両の現在の走行環境を参照して車両判断プロセスでより適する利益評価方式が選択されることができ、これにより、判断解決策の取得された判断利益はより現実的であり、より対象が絞られたものであり、より真正性が高く、効果的である。
【0037】
可能な設計で、競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策が判断解決策集合から決定される前に、自車両及び競合対象が第1の相互作用段階に入る条件を満たすと決定され、第1の相互作用段階に入る条件は、第1の階層のいずれか2つの対象判断解決策の判断利益の差が閾値利益差未満であることを含む。
【0038】
本方法によれば、第1の相互作用段階に入る条件が車両判断プロセスで提供される。
【0039】
可能な設計で、本方法は、第1の階層の対象判断解決策の判断利益と、第1の階層の残りの各対象判断解決策の判断利益との差が閾値利益差を超える場合、第2段階を遂行すると決定することをさらに含む。
【0040】
可能な設計で、各判断解決策は1つの動作ペアグループを含み、動作ペアグループは車両速度と車両オフセット方向とを含む。
【0041】
可能な設計で、本方法は、第1の相互作用段階で既定の時点の競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の移動進路と整合しないと決定する場合、第1の相互作用段階に用いられる判断解決策を調節することをさらに含む。
【0042】
相互作用に用いられる判断解決策が第1の相互作用段階で明確でないことが分かる。したがって、自車両が第1の判断解決策を用いて走行するプロセスでは、自車両が競合対象のステータスを継続的に追跡して判断解決策を継続的に調節してもよい。
【0043】
可能な設計で、第1の判断解決策が第2の判断解決策と同じである。
【0044】
例として、自車両が第1の相互作用解決策の判断解決策aを用いる。その後、判断解決策aの判断利益が最大であり、かつ判断解決策aと、2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策bとの判断利益差が閾値利益差を超えると決定される場合、第1の相互作用段階が第2の相互作用段階に切り替えられる必要があると自車両が決定し、自車両が第2の相互作用段階に切り替えて判断解決策aを用いて走行する。
【0045】
第2の態様によれば、本出願ではプロセッサを含むコンピューティングデバイスが提供される。プロセッサはメモリに接続され、メモリはコンピュータプログラム又は命令を記憶し、プロセッサはメモリに記憶されているコンピュータプログラム又は命令を実行するように構成され、これにより、コンピューティングデバイスは第1の態様の可能な任意の実現例の方法を遂行する。
【0046】
第3の態様によれば、本出願では、コンピュータプログラム又は命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラム又は命令が実行されるとき、コンピュータが第1の態様の可能な任意の実現例の方法を遂行することが可能にされる。
【0047】
第4の態様によれば、本出願ではコンピュータプログラムプロダクトが提供される。コンピュータがコンピュータプログラムプロダクトを実行するとき、コンピュータが第1の態様の可能な任意の実現例の方法を遂行することが可能にされる。
【0048】
第5の態様によれば、本出願ではチップが提供される。チップはメモリに接続され、メモリに記憶されているコンピュータプログラム又は命令を読み込んで実行するように構成され、第1の態様の可能な任意の実現例の方法が実施される。
【0049】
第6の態様によれば、本出願では車両が提供される。車両は車内認識装置と実行装置とを含み、第1の態様、又は第1の態様の可能な実現例のいずれか1つの方法を実施する。
【0050】
第7の態様によれば、本出願では車両が提供される。車両は第5の態様のチップと実行装置と含み、第1の態様の可能な任意の実現例の方法を実施する。
【0051】
第8の態様によれば、本出願では車両が提供される。車両は認識情報を取得するように構成される認識モジュールを含む。車両は、認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、第1の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するように構成される処理モジュールをさらに含む。
【0052】
本出願で提供されている技術的解決手段は大量生産の自動運転車両やモバイルロボットなどの製品に適用されてもよく、これにより、製品と複数の障害物(競合対象)との相互作用競合のための動的な判断が実施され、より適用可能性が高く合理的な判断解決策が提供され、判断結果が競合対象の実際の動作と整合しない問題が効果的に取り扱われ、自動運転の安全性が改善され、自動運転制御ポリシーの一般化能力が向上することで、複雑な場面における複数の障害物(競合対象)との相互作用がよりよく完遂されることが当然分かる。上記に加えて、自動運転の場面に技術的解決手段が適用される場合、判断プロセスが複数の相互作用段階を含むことができるので、車両が判断プロセスにわたって段階的に前進し、これにより、急加速及び急減速が効果的に減らされ、自動運転の快適性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】車両判断場面の概略図である。
図2】本出願に係る電子装置の構造の概略図である。
図3】本出願に係る処理モジュールの組成の概略図である。
図4】本出願に係る第2の電子装置の構造の概略図である。
図5】本出願に係る第3の電子装置の構造の概略図である。
図6】本出願に係る競合対象決定場面の概略図である。
図7】本出願に係る別の競合対象決定場面の概略図である。
図8】本出願に係る左右方向及び前後方向サンプリングポリシーを生成する概略図である。
図9】本出願に係る判断利益評価曲線の概略図である。
図10】本出願に係る車両走行オフセット場面の概略図である。
図11】本出願に係る整合決定場面の概略図である。
図12】本出願に係る第1のインテリジェントドライビング方法の概略フローチャートである。
図13】本出願に係る第2のインテリジェントドライビング方法の概略フローチャートである。
図14】本出願に係る判断解決策部分集合の概略図である。
図15】本出願に係る第1の相互作用段階の速度計画の概略図である。
図16】本出願に係る第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に切り替える場面の概略図である。
図17】本出願に係る第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に切り替える別の場面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本出願では、インテリジェントドライビング方法及び方法が適用される車両が提供される。特に、インテリジェントドライビング方法は車両判断プロセスに用いられてもよく、これにより、車両は自動運転プロセスで周囲の障害物と相互作用する優れた能力を持つ。
【0055】
本出願の実施形態で提供されている方法によれば、車両判断プロセスでは、競合対象(たとえば競合車両)の実際の移動進路と、予測移動進路との差が考慮され、判断結果が競合対象の実際の移動進路と整合しない問題が効果的に取り扱われることができるように、自車両と競合対象との相互作用プロセスが複数の競合段階に分割されて動的な車両判断が実施され、これにより、自動運転交代率及び事故の可能性が減らされ、自動運転の安全性及び快適性が改善され、競合判断の一般化能力が向上する。
【0056】
本出願の実施形態で提供されているインテリジェントドライビング方法を実施する際に車両をサポートするのに本出願の実施形態の電子装置が用いられることができる。
【0057】
上記とは別に、本出願の実施形態の電子装置は車載デバイスなどであってもよい。
【0058】
本出願の実施形態では、車両が別の対象物と車両外部間無線通信技術(たとえばvehicle to everything(V2X))に基づいて通信してもよい。たとえば、車両と別の対象物との間の通信が車両間無線通信技術(たとえばvehicle to vehicle(V2V))に基づいて実施されてもよい。車両と別の対象物との間の通信がWi-Fi、第五世代(5th generation,5G)モバイル通信技術、ロングタームエボリューション(long term evolution,LTE)などに基づいて遂行されてもよい。
【0059】
自動運転車両の分類標準が当該業界によって提案されている。米国自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers International:略称はSAE International)によって提案されている運転自動化分類標準はL0からL5の6つのレベルを含む。L0からL2は、運転者サポートシステムによって運転者にいくつかのサポート機能を提供することができることを指し示す。ただし、車両の運転者サポート機能が無効化されているか否かとは無関係に、運転者は車両を自主的に運転し、運転者サポートシステムによって提供されるサポート機能を常時監視する必要があり、安全性を確実にするように要求される際に操舵、制動や加速を遂行する必要がある。L0からL2のサポート機能の差は、L0が、運転自動化が提供されないことを指し示し、サポート機能が警告及び短い時間の支援に制限されること、L1サポート機能が運転者に操舵又は制動/加速サポートを提供するものであること、L2サポート機能が運転者に操舵及び制動/加速サポートを提供するものであること、のようになっている。L3半自動運転:自動運転システムがいくつかの運転タスクを完遂することができ、いくつかの場合では運転環境を監視することができる。ただし、任意の時刻に運転者が運転制御権を取得する準備をしている必要がある。たとえば、運転者が機能によってリクエストされるように運転する必要がある。L4高度自動運転:自動運転システムが運転タスクを完遂することができ、特定の条件下で特定の環境で運転環境を監視することができる。L5完全自動運転:自動運転システムがあらゆる条件下であらゆる運転タスクを完遂することができる。本出願の実施形態の解決手段は自動運転能力がL2以上に達する車両に適用されることができる。以下、詳細については説明しない。
【0060】
上記に加えて、実際の使用要件に基づいて、本出願の技術的解決策が航空機やモバイルロボットなどの別の搬送体又は輸送手段にも適用されることができることが当然分かる。
【0061】
例として、図2の(a)は可能な電子装置の構造の概略図である。当該構造は処理モジュール210と通信モジュール220とを含んでもよい。上記とは別に、図2の(a)に示されている構造は車載デバイスであってもよいし、本出願で示されている電子装置を有する機能構成要素であってもよい。
【0062】
上記とは別に、図2の(b)に示されているように、電子装置は認識情報を収集するように構成される収集モジュール230をさらに含んでもよい。本出願の実施形態の収集モジュールはカメラ装置やレーダ装置などの情報収集機能に用いられる装置を含んでもよい。レーダはLIDAR、ミリ波レーダ、超音波レーダなどを含んでもよい。
【0063】
本出願の実施形態で電子装置によって取得される認識情報が、自車両に関する情報と、自車両が位置する周囲の環境の認識情報とを含むことが分かる。
【0064】
たとえば、本出願の実施形態の認識情報は自車両の位置、自車両の現在の車輪操舵、自車両閾値範囲内の別の車両の位置、別の車両と自車両との距離、自車両閾値範囲内の道路境界の位置、道路境界と自車両との距離などを含んでもよい。
【0065】
本出願の閾値範囲は自車両の収集装置(たとえばセンサ)の最大認識範囲であってもよい。たとえば、自車両の収集装置の認識範囲が、収集装置が位置する車両を中心として用い、200メートルの半径を用いて形成される円形エリアである場合、本出願の閾値範囲は、自車両を中心として用い、200メートルの半径を用いて形成される円形エリアであってもよい。
【0066】
上記とは別に、図2の(c)に示されているように、電子装置は処理モジュールによって取得された判断解決策を実行するように構成される実行モジュール240をさらに含んでもよい。
【0067】
たとえば、車両が自動運転状態にあるとき、処理モジュールによって決定された判断解決策を電子装置の通信モジュールを用いて取得した後に、実行モジュールが判断解決策にしたがって、走行するように車両を制御する。
【0068】
電子装置が実行モジュールを含まない場合、電子装置の通信モジュールが、電子装置に外部接続されている実行モジュールに判断解決策を有線又は無線接続方式(たとえば、Bluetooth接続、ネットワーク接続やインターフェイス回路)で送ってもよく、これにより、実行モジュールが判断解決策にしたがって車両の自動運転を制御することが分かる。
【0069】
上記とは別に、図2の(d)に示されているように、電子装置は1つ以上のプログラムとデータ情報とを記憶するように構成される記憶モジュール250をさらに含んでもよく、1つ以上のプログラムは命令を含む。
【0070】
上記とは別に、図2の(e)に示されているように、電子装置は表示画面260をさらに含んでもよく、表示画面260はリアルタイムに判断解決策を表示してもよい。
【0071】
構造が車載デバイスや別の電子デバイスである場合、収集モジュール230はカメラ装置やレーダ装置などの認識情報収集機能をサポートするように構成される装置を含んでもよい。処理モジュール210はプロセッサ、たとえば中央処理装置(central processing unit,CPU)であってもよい。収集モジュール230は通信モジュール220を通じて処理モジュール210と通信してもよい。処理モジュール210は取得された認識情報に基づいて、本出願で提供されているインテリジェントドライビング方法を遂行してもよい。
【0072】
構造が、本出願で示されている電子装置を有する機能構成要素である場合、収集モジュール230はカメラ装置、認識装置やレーダ装置などの認識情報収集機能をサポートするように構成される装置を含んでもよい。処理モジュール210はプロセッサであってもよい。収集モジュール230は通信モジュール220を通じて処理モジュール210と通信してもよい。処理モジュール210は取得された認識情報に基づいて、本出願で提供されているインテリジェントドライビング方法を遂行してもよい。
【0073】
構造がチップやチップシステムである場合、収集モジュール230はチップによって制御されるカメラ装置、認識装置又はレーダ装置の1つ以上であってもよく、処理モジュール210はチップのプロセッサであってもよく、1つ以上の中央処理装置を含んでもよい。本出願の本実施形態の処理モジュール210がプロセッサやプロセッサ関連の回路構成要素によって実現されてもよく、収集モジュール230がカメラ装置、認識装置やレーダ装置などの関係する収集装置によって実現されてもよいことが当然分かる。
【0074】
処理モジュール210は、本出願のいずれかの実施形態の電子装置によって遂行されるインテリジェントドライビング方法の、すべての動作を遂行するように構成されてもよく、たとえば、取得された認識情報に基づいて判断解決策集合を取得し、その後、判断解決策集合から、競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を決定し、競合対象との第1の相互作用段階のプロセスで競合対象のステータスを継続的に追跡し、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすと決定した後に、第2の相互作用段階に対応する第2の判断解決策を用いて走行を遂行するように構成されてもよい。
【0075】
処理モジュール210によって取得される認識情報は外部センサやカメラによって収集される画像情報又は音響情報の1つ以上であってもよいし、処理モジュール210によって取得される認識情報は電子装置のセンサやカメラによって収集される画像情報又は音響情報の1つ以上であってもよい。
【0076】
処理モジュール210は複数の機能モジュールを含んでもよい。たとえば、図3に示されているように、処理モジュールに含まれる複数の機能モジュールは認識モジュール、判断モジュール及び制御モジュールであってもよい。認識モジュールは、認識情報に対する解析動作を遂行し、下流のモジュールのために道路、障害物、競合対象などを含む世界モデルを確立するように構成される。判断モジュールは認識情報に基づいて判断解決策を生成して予想進路を取得することができる。制御モジュールは判断解決策に基づいて自動運転を遂行することができる。
【0077】
図4は本出願の実施形態に係る電子装置によって遂行される動作を遂行するように構成される別の電子装置の構造の概略図である。図4に示されているように、電子装置はプロセッサ、メモリ及びインターフェイス回路を含んでもよい。
【0078】
上記に加えて、電子装置は別の構成要素、たとえば収集装置をさらに含んでもよい。プロセッサは主に、本出願の実施形態で提供されている処理動作を実施するように構成され、たとえば、取得された認識情報に対する解析処理を遂行するように構成される。メモリは主に、ソフトウェアプログラムとデータとを記憶するように構成される。収集装置は認識情報などを収集するように構成されてもよい。インターフェイス回路は電子装置の通信をサポートするように構成されてもよい。例として、収集装置は認識情報を収集した後に、収集された認識情報をインターフェイス回路を用いてプロセッサに送ってもよい。インターフェイス回路はトランシーバ又は入力/出力インターフェイスを含んでもよい。
【0079】
さらに、図5に示されているように、本出願の実施形態では車両判断システムがさらに提供される。車両判断システムは競合障害物スクリーニングモジュール、競合対象ステータス追跡モジュール、競合判断モジュール、動き計画モジュールなどを含んでもよい。
【0080】
競合障害物スクリーニングモジュールは認識情報を取得し、認識情報に基づいて競合対象を決定するように構成される。
【0081】
上記とは別に、競合障害物スクリーニングモジュールによって取得される認識情報は電子装置内の収集モジュールによって収集されてもよいし、電子装置に外部接続された収集モジュールによって収集されてもよい。
【0082】
さらに、本出願の本実施形態では、競合障害物スクリーニングモジュールが認識情報に基づいて競合対象を決定するときに以下の2つの態様が考慮されてもよい。
【0083】
第1の態様では、競合障害物スクリーニングモジュールは取得された認識情報に基づいて少なくとも1つの対象を決定し、少なくとも1つの対象の移動進路を予測してもよい。その後、競合障害物スクリーニングモジュールは少なくとも1つの対象のうち、移動進路が自車両の移動進路と競合する対象を競合対象として決定する。本出願の本実施形態の進路競合は、対象が現在移動状態にあり、対象の未来移動進路が自車両の移動進路と衝突する場合を指し示すのに用いられる。
【0084】
たとえば、図6に示されているように、自車両の移動進路が直進するものであり、競合障害物スクリーニングモジュールは取得された認識情報に基づいて、対象1及び対象2という2つの対象が現在の範囲にあると決定し、対象1及び対象2が移動状態にあると仮定する。競合障害物スクリーニングモジュールは道路のトポロジと動きステータスとに基づいて、対象1に対応する予測進路と、対象2に対応する予測進路とを生成してもよい。対象1の予測進路が自車両の移動進路と競合し、対象2が自車両と同じ方向に移動する状態にあり、対象2の予測進路が自車両の移動進路と競合しない。この場合、競合障害物スクリーニングモジュールは対象1を競合対象として決定し、すなわち、自車両が移動プロセスで対象1との競合に係わる。自車両の以降の動き判断は対象1の予測進路に基づいて行なわれる必要がある。
【0085】
本出願の本実施形態では、対象の予測進路が自車両の移動進路と競合するか否かが以下の2つの方式で決定されてもよい。
【0086】
方式1:対象Aの予測進路が自車両の移動進路と交差し、対象Aの位置が自車両の後にない(すなわち、対象が追走しない対象である)場合、競合障害物スクリーニングモジュールは現時点を起点とした未来の時点で、対象Aの予測進路が自車両の移動進路と競合することを考慮して、対象Aを競合対象として決定することができる。
【0087】
例として、現時点が10時08分20秒であると仮定する。自車両が対象Aの未来移動進路を予測し、自車両の未来移動進路を参照して、未来の予測移動進路に基づいて自車両と対象Aとが走行する場合に自車両の移動進路と対象Aの移動進路とが未来の10時08分25秒に交差することを認知する。したがって、競合障害物スクリーニングモジュールは対象Aの予測進路が未来に自車両の移動進路と競合すると決定する。
【0088】
方式2:対象Aの予測進路と自車両の移動進路との間の狭角が閾値狭角未満である場合、競合障害物スクリーニングモジュールは現時点を起点として未来の時点で、対象Aの予測進路が自車両の移動進路と競合することを考慮して、対象Aを競合対象として決定することができる。
【0089】
例として、現時点が11時09分32秒であると仮定する。自車両が対象Aの未来移動進路を予測し、自車両の未来移動進路を参照して、未来の予測移動進路に基づいて自車両と対象Aとが走行する場合に自車両の移動進路と対象Aの移動進路との間の狭角が未来の11時09分36秒に閾値狭角未満であることを認知する(たとえば、閾値狭角は60度であってもよい)。したがって、競合障害物スクリーニングモジュールは対象Aの予測進路が未来に自車両の移動進路と競合すると決定する。
【0090】
第2の態様では、競合障害物スクリーニングモジュールは取得された認識情報に基づいて少なくとも1つの対象を決定してもよく、1つの対象の動きの意図を予測してもよい。その後、競合障害物スクリーニングモジュールは少なくとも1つの対象のうち、動きの意図に自車両の移動進路との意図の競合がある対象を競合対象として決定する。本出願の本実施形態の意図の競合は、対象が現在、静止状態にあり、未来に移動状態になり、対象の未来の動きの意図が自車両の移動進路と競合する場合を指し示すのに用いられる。
【0091】
例として、図7に示されているように、自車両の移動進路が直進するものであると仮定する。競合障害物スクリーニングモジュールは取得された認識情報に基づいて、対象1及び対象2という2つの対象が自車両の現在の認識範囲にあり、現在、対象1及び対象2が静止状態にあると決定する。競合障害物スクリーニングモジュールは取得された認識情報に基づいて、対象1の動きの意図が点Aから点Bに移動するものであって、自車両の移動進路とは競合しないものであり得、対象2の動きの意図が右折するものであって、未来の時点に自車両の移動進路と競合し得るものであり得るとさらに予測する。したがって、競合障害物スクリーニングモジュールは対象2を競合対象として決定し、すなわち、自車両が移動プロセスで対象2との競合に係わり、自車両の以降の動き判断は対象2の予測進路に基づいて行なわれる必要がある。
【0092】
本出願の本実施形態では、対象の動きの意図が自車両の移動進路と競合するか否かが以下の2つの方式で決定されてもよい。
【0093】
方式1:対象Aが現在、静止状態にある場合、競合障害物スクリーニングモジュールは認識情報に基づいて対象Aの動きの意図を決定し、対象Aの動きの意図に基づいて、未来の対象Aの移動進路が自車両の移動進路と交差すると予測する。この場合、競合障害物スクリーニングモジュールは対象Aの動きの意図が現時点を起点とした未来の時点に自車両の移動進路と競合することを考慮することができ、競合障害物スクリーニングモジュールは対象Aを競合対象として決定する。
【0094】
方式2:対象Aが現在、静止状態にある場合、競合障害物スクリーニングモジュールは認識情報に基づいて対象Aの動きの意図を決定し、対象Aの動きの意図に基づいて、対象Aの未来移動進路と自車両の移動進路との間の狭角が閾値狭角未満であると予測する。この場合、競合障害物スクリーニングモジュールは対象Aの動きの意図が現時点を起点とした未来の時点に自車両の移動進路と競合することを考慮することができ、競合障害物スクリーニングモジュールは対象Aを競合対象として決定する。
【0095】
競合対象ステータス追跡モジュールは、自車両と競合対象との間の競合のプロセスで、左右方向ステータス特徴と前後方向ステータス特徴とを含む、競合対象の動きステータスを継続的に観測し、鍵となる情報を記録し、これにより、競合対象の実際の移動進路と判断解決策の予想移動進路との間の整合又は不整合を以降に決定するための入力を提供するように構成される。
【0096】
競合判断モジュールは判断解決策を生成するように構成される。
【0097】
上記とは別に、競合判断モジュールはポリシー実現可能フィールド生成モジュールと判断状態機械モジュールとを含んでもよい。
【0098】
ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは取得された認識情報に基づいて判断解決策集合を生成するように構成される。
【0099】
特に、図8に示されているように、ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは道路速度制限、加速度変化Jerk値や競合対象タイプなどの前後方向特徴情報を参照して、取得された認識情報に基づいて前後方向加速度サンプリング範囲を生成し、道路境界、静止障害物や車両の運動力学などの特徴情報を参照して左右方向オフセットサンプリング範囲を生成してもよい。ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは左右方向位置オフセットサンプリング範囲と前後方向加速度サンプリング範囲とを組み合せてサンプリング空間を形成し、形成されたサンプリング空間はすべてのポリシーの可能な空間である。ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは形成されたサンプリング空間に基づいてすべての判断解決策の集合を取得してもよい。
【0100】
ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは判断解決策集合を、判断解決策集合中の各判断解決策に含まれる自車両と競合対象との動作ペアのカテゴリに基づいて少なくとも1つの判断解決策部分集合に分割してもよい。さらにいえば、ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは判断解決策集合中の自車両と競合対象とのすべての動作ペアに判断標識をマーキングして、整合する標識を持つクラスターを判断解決策部分集合にグループ分けしてもよく、各判断解決策部分集合は少なくとも1つの判断解決策を含む。
【0101】
このようにして、判断解決策集合は複数の判断解決策部分集合に分割されることができる。たとえば、いくつかの場面で、ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは判断解決策集合を、回避しつつ急いで通過、譲って維持、急いで通過して維持、回避しつつ譲るという4つの判断解決策部分集合に分割してもよい。
【0102】
本出願の実施形態の対象判断解決策は対応する判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策である。たとえば、判断解決策部分集合Aが判断解決策1、判断解決策2及び判断解決策3という3つの判断解決策を含み、判断解決策3の判断利益が判断解決策2の判断利益及び判断解決策1の判断利益を超えると仮定する。この場合、判断解決策1は判断解決策部分集合A中の対象判断解決策である。
【0103】
上記に加えて、本出願の本実施形態では、ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは第1の計算方式(たとえば、判断解決策に対応する利益を計算するのに用いられる、本出願の本実施形態で提供されている利益評価方式)に基づいて、判断解決策に対応する判断利益を決定してもよい。
【0104】
判断解決策に対応する利益を計算するのに用いられる、本出願の本実施形態で提供されている利益評価方式は判断解決策の安全性、快適性、通過可能性、優先通行権、オフセットや判断結果履歴などのいくつかの判断の大きさを含んでもよい。
【0105】
例として、利益評価方式の判断利益は判断コスト(cost)に基づいて決定されてもよい。costが小さいことは、判断利益が小さく、判断解決策が最適判断解決策として用いられる可能性が高いことを指し示す。具体的な評価の大きさ及び説明は以下の通りである。
【0106】
(1)安全性cost:本出願の本実施形態の安全性costは主に、自車両の移動進路を導出しかつ競合車両の移動進路を導出するプロセスで自車両と競合車両との距離に基づいて取得される判断コストである。
【0107】
自車両と競合車両との距離が小さいことは安全性が低いことを指し示す。すなわち、自車両と競合車両との距離が小さいことは、自車両の安全性costが大きく、自車両の安全性を基本とする判断の利益が小さいことを指し示す。
【0108】
さらに、本出願の本実施形態では、自車両と競合車両との最小距離がさらに設定されてもよい。自車両と競合車両との距離が最小距離に徐々に近づくプロセスでは、安全性costが徐々に増加し、安全性を基本とする判断の利益が徐々に減少する。自車両と競合車両との距離が最小距離を超えない場合、安全性costが最大に達し、安全性を基本とする判断の利益が最小に達する。
【0109】
上記に加えて、本出願の本実施形態では、安全性costを計算するのに用いられる自車両と競合車両との最大距離がさらに設定されてもよい。自車両と競合車両との距離が最大距離未満でない場合、安全性costが最小に達し、安全性を基本とする判断の利益が最大に達する。
【0110】
たとえば、図9の(a)に示されているように、横軸は自車両と競合車両との距離を表わし、横軸の点Aは本出願の本実施形態で設定される自車両と競合車両との最小距離を表わし、横軸の点Bは安全性costを計算するのに用いられる、本出願の本実施形態で設定される自車両と競合車両との最大距離を表わすといえ、縦軸は安全性costを表わす。
【0111】
自車両と競合車両との距離がB未満でない場合、安全性costが最小化され、安全性を基本とする判断の利益が最大化される。自車両と競合車両との距離が点Aと点Bとの間にある場合、自車両と競合車両との距離が点Aに近くなるのにつれて、安全性costが大きくなり、安全性を基本とする判断の利益が小さくなり、自車両と競合車両との距離が点Bに近くなるにつれて、安全性costが小さくなり、安全性を基本とする判断の利益が大きくなる。自車両と競合車両との距離がAを超えない場合、安全性costが最大化され、安全性を基本とする判断の利益が最小化される。
【0112】
本出願の本実施形態において図9の(a)に示されている点A及び点Bが実際の感覚に基づいて取得されてもよい。たとえば、本出願の本実施形態では、図9の(a)に示されている点Aは0.2m~0.5mであってもよく(たとえば、点Aは0.5mである)、点Bは1.0m~3.0mであってもよい(たとえば、点Bは2.5mである)。
【0113】
(2)快適性cost:本出願の本実施形態の快適性costは主に、自車両の現在の加速度と予想加速度との差に基づいて取得される判断コストである。
【0114】
自車両の現在の加速度と予想加速度との差が小さいことは自車両の快適性costが小さく、快適性を基本とする判断の利益が大きいことを指し示す。
【0115】
さらに、本出願の本実施形態では、自車両の現在の加速度と予想加速度との最大差がさらに設定されてもよい。自車両の現在の加速度と予想加速度との差が最大差により近い場合、快適性costがより大きく、快適性を基本とする判断の利益がより小さい。
【0116】
たとえば、図9の(b)に示されているように、横軸は自車両の現在の加速度と予想加速度との差を表わす。たとえば、自車両の現在の加速度は1m/S^2であり、予想加速度は4m/S^2である。この場合、自車両の現在の加速度と予想加速度との差は3m/S^2である。横軸の点Aは本出願の本実施形態で設定される自車両の現在の加速度と予想加速度との最大差を表わす。
【0117】
自車両の現在の加速度と予想加速度との差が点Aにより近い場合、快適性costがより大きく、快適性を基本とする判断の利益がより小さい。自車両の現在の加速度と予想加速度との差が点Aからより遠い場合、快適性costがより小さく、快適性を基本とする判断の利益がより大きい。自車両の現在の加速度と予想加速度との差が点Aに対応する加速度値未満でない場合、快適性costが最大化され、快適性を基本とする判断の利益が最小化される。
【0118】
本出願の本実施形態において図9の(b)に示されている点Aが実際の感覚に基づいて取得されてもよい。
【0119】
たとえば、本出願の本実施形態では、図9の(b)に示されている点Aは5m/S^2~7m/S^2であってもよい(たとえば、点Aは6m/S^2である)。
【0120】
(3)通過可能性cost:本出願の本実施形態では、通過可能性costは主に、自車両の現在の速度と、自車両が競合点(たとえば、自車両の進路が競合対象の進路と交差し得る点)に達する速度との速度差に基づいて取得される判断コストである。
【0121】
速度差(現在の速度から競合点での速度を差し引いたもの)が大きいことは、通過可能性costが大きく、自車両の通過可能性を基本とする判断の利益が小さいことを指し示す。
【0122】
さらに、本出願の本実施形態では、速度差の最大値がさらに設定されてもよい。速度差が最大値により近い場合、通過可能性costがより大きく、通過可能性を基本とする判断の利益がより小さい。
【0123】
たとえば、図9の(c)に示されているように、横軸は速度差を表わし、横軸の点Aは本出願の本実施形態で設定される速度差の最大値を表わす。速度差が点Aにより近い場合、通過可能性costがより大きく、通過可能性を基本とする判断の利益がより小さい。速度差が点Aからより遠い場合、通過可能性costがより小さく、通過可能性を基本とする判断の利益がより大きい。速度差が点Aに対応する速度差未満でない場合、通過可能性costが最大化され、通過可能性を基本とする判断の利益が最小化される。
【0124】
本出願の本実施形態において図9の(c)に示されている点Aが実際の感覚に基づいて取得されてもよい。
【0125】
たとえば、本出願の本実施形態では、図9の(c)に示されている点Aは6m/s~10m/sであってもよい(たとえば、点Aは7m/sである)。
【0126】
(4)優先通行権cost:本出願の本実施形態では、優先通行権costは自車両の現在の加速度を参照して自車両又は競合対象の優先通行権ステータスに基づいて取得される判断コストである。
【0127】
本出願の本実施形態では、主に、強い優先通行権を持つ側に基づいて計算が遂行され、優先通行権を持つ側に対して優先通行権costペナルティが遂行される。たとえば、自車両が強い優先通行権を持つ場合において、自車両が減速するとき、優先通行権costペナルティが遂行される。
【0128】
本出願の本実施形態の優先通行権が自車両と競合対象との相対的関係であることが分かる。自車両の優先通行権が競合対象の優先通行権よりも強い場合、自車両の優先通行権の方が強いので、強い優先通行権を持つ車両は当然相互作用競合プロセスで可能な限り動きステータスを変化させない。したがって、自車両の加速度が減少し、自車両が減速する場合、当然自車両の動きステータスの変化に比較的強い優先通行権costペナルティが課される。すなわち、自車両の優先通行権が競合対象の優先通行権よりも強い場合、自車両の現在の加速度が小さいことは、自車両の優先通行権costが大きく、自車両の優先通行権を基本とする判断の利益が小さいことを指し示す。
【0129】
さらに、本出願の本実施形態では、自車両の現在の加速度の最小値がさらに設定されてもよい。自車両の現在の加速度が最小値により近い場合、優先通行権costがより大きく、優先通行権を基本とする判断の利益がより小さい。
【0130】
例として、図9の(d)に示されているように、ACCは加速度を表わし、自車両の優先通行権が強いことが、制限となる前提となっている。たとえば、自車両の強い優先通行権が前提条件となる入力として用いられ、自車両と競合対象との現在の優先通行権の関係に基づいて優先通行権costがさらに決定される。
【0131】
横軸は自車両の現在の加速度を表わし、横軸の点Aは本出願の本実施形態で設定される自車両の現在の加速度の最小差の値を表わす。自車両の現在の加速度が点Aにより近い場合、優先通行権costがより大きく、優先通行権を基本とする判断の利益がより小さい。自車両の現在の加速度が点Aからより遠い場合、優先通行権costがより小さく、優先通行権を基本とする判断の利益がより大きい。自車両の現在の加速度が点Aに対応する加速度値を超えない場合、優先通行権costが最大化され、優先通行権を基本とする判断の利益が最小化される。
【0132】
本出願の本実施形態において図9の(d)に示されている点Aは実際の感覚に基づいて取得されてもよい。
【0133】
例として、本出願の本実施形態では、図9の(d)に示されている点Aは(-1)m/S^2~(-3)m/S^2であってもよい(たとえば、点Aは(-1)m/S^2である)。
【0134】
(5)オフセットcost:本出願の本実施形態のオフセットcostは主に、基準線に対する自車両の位置オフセットに基づいて取得される判断コストである。基準線に対して自車両のオフセット距離が長いことは自車両のオフセットcost値が大きく、自車両のオフセットを基本とする判断の利益が小さいことを指し示すことが分かる。
【0135】
上記とは別に、本出願の本実施形態の基準線は、車両が位置する道路のセンターラインであってもよい。
【0136】
さらに、図10に示されているように、本出願の本実施形態では、2つのオフセット領域、たとえば、領域Aと領域Bとがあってもよい。本出願の本実施形態では、領域Aはソフト境界と称されている場合があり、領域Bはハード境界と称されている場合がある。
【0137】
図10の内容から、本出願の本実施形態で設定されるソフト境界が、車両が位置する運転車線の領域であってもよいことが分かる。言い換えると、自車両が基準線に対してオフセットされているが、自車両が運転車線を走行することを維持している場合、自車両がソフト境界内に常にあることが分かる。本出願の本実施形態で設定されるハード境界が運転車線外の領域であってもよい。言い換えると、自車両が基準線に対してオフセットし、自車両が運転車線から逸脱した場合、自車両がハード境界に入ることが分かる。
【0138】
上記に加えて、車両が運転車線から離れるように移動するとき、基準線に対する車両のオフセットがより大きく、走行プロセスの比較的多数の危険要因があり、安全性が比較的低い。したがって、本出願の本実施形態では、車両が運転車線から離れるように移動するとき、すなわち、車両がハード境界にあるとき、ペナルティコストが増加させられてもよい。たとえば、本出願の本実施形態では、様々な領域に基づいて、オフセットcostを計算するための異なる勾配値が計算に用いられてもよい。ソフト境界で設定され、オフセットcostを計算するのに用いられる勾配値が比較的小さくてもよく、ハード境界で設定され、オフセットcostを計算するのに用いられる勾配値が比較的大きくてもよい。
【0139】
たとえば、図9の(e)に示されているように、横軸は自車両と基準線との間の現在のオフセット距離を表わし、横軸の点-Aは本出願の本実施形態で設定されるソフト境界の最も左の位置を表わし、点0は基準線位置を表わし、点Aは本出願の本実施形態で設定されるソフト境界の最も右の位置を表わし、点-Bは本出願の本実施形態で設定されるハード境界の最も左の位置を表わし、点Bは本出願の本実施形態で設定されるハード境界の最も右の位置を表わす。ソフト境界における基準線に対する車両のオフセットcostが勾配1を用いて計算され、ハード境界における基準線に対する車両のオフセットcostが勾配2を用いて計算され、勾配2は勾配1を超える。
【0140】
自車両と基準線の点0との間のオフセット距離がより大きい場合、オフセットcostがより大きく、オフセットを基本とする判断の利益がより小さい。自車両と基準線の点0との間のオフセット距離が点Cに対応する距離未満でない場合、オフセットcostが最大に達し、オフセットを基本とする判断の利益が最小に達する。
【0141】
本出願の本実施形態では、図9の(e)に示されている点A、点B、勾配1及び勾配2が実際の感覚に基づいて取得されてもよい。
【0142】
たとえば、本出願の本実施形態では、図9の(e)に示されている点Aは1.5m~2.5mであってもよく(たとえば、点Aが2mである場合、対応する点-Aは-2mである)、点Bは1.9m~2.9mであってもよい(たとえば、点Bが2.9mである場合、対応する点-Bは-2.9mである)。
【0143】
(6)判断結果履歴cost:本出願の本実施形態の判断結果履歴costはフレーム間関連costとも称されている場合があり、主に、自車両の最後のフレームの判断解決策に基づいて取得される現在のフレームの判断コストである。
【0144】
同じ競合対象について、自車両の最後のフレームが急いで通過するものであり、自車両の次のフレームが譲るものである場合、自車両の速度変化が比較的大きく、この結果、走行変動が比較的大きくなり、快適性が減らされることが分かる。したがって、走行変動が比較的小さく、変動が緩和され、走行がより安定することを効果的に確実にするために、自車両が急いで通過して先行する場合、自車両は可能な限り急いで通過状態を維持する。
【0145】
たとえば、図9の(f)に示されているように、第Kフレームが急いで通過するものであり、第(K+1)フレームも急いで通過するものである場合、判断結果履歴costが比較的小さく、判断結果履歴に基づく判断利益が比較的大きい。対照的に、第Kフレームが急いで通過するものであり、第(K+1)フレームが譲るものである場合、判断結果履歴costが比較的大きく、判断結果履歴に基づく判断利益が比較的小さい。
【0146】
さらに、本出願の本実施形態の電子装置は特定の重み割合に基づいて前述の評価の大きさのcostを組み合せて、複数の大きさの判断コストを取得してもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、利益評価方式は主に、判断結果履歴に基づいて決定されてもよく、すなわち、主に、判断結果履歴に依存してもよく(たとえば、判断結果履歴costの重みが80%~90%に設定される)、車両の運転スタイルが判断結果履歴に基づいて決定されてもよく、運転スタイルはたとえば、慎重、中程度又は荒いである。
【0148】
いくつかの実施形態では、本出願の本実施形態の利益評価方式の評価の大きさに対応する重みは、
安全性:10000、通過可能性:6000、快適性:500、優先通行権:1000、オフセット:2000及び危険エリア:1000
に設定される。
【0149】
したがって、本出願の本実施形態で取得される判断コストは、
安全性cost×10000+通過可能性cost×6000+快適性cost×500+優先通行権cost×1000+オフセットcost×2000+危険エリアcost×1000
であってもよい。
【0150】
さらに、異なる走行環境に対して利益評価方式の評価の大きさに対応する重みが異なってもよい。
【0151】
例として、走行環境と評価の大きさの重みとの対応が表1に示されているものであってもよい。
【0152】
【表1】
【0153】
車両の現在の走行環境が都市部の道路である場合、ポリシー実現可能フィールド生成モジュールは表1の内容に基づいて、用いられている利益評価方式の評価の大きさに対応する重みが安全性cost×10000、通過可能性cost×6000、快適性cost×500、優先通行権cost×1000、オフセットcost×2000及び危険エリアcost×1000であると決定してもよい。
【0154】
判断状態機械モジュールは各判断解決策部分集合の判断解決策利益に基づいて判断解決策集合中の判断解決策部分集合を階層に分類してもよい。
【0155】
たとえば、判断解決策集合の判断解決策部分集合は第1の階層及び第2の階層という2つの階層に分類される。第1の階層中の各判断解決策部分集合に対応する対象判断解決策の判断利益が閾値利益未満でなく、第2の階層中の各判断解決策部分集合に対応する対象判断解決策の判断利益が閾値利益未満である。判断解決策の利益の観点からすると、第1の階層の判断解決策の利益のすべてが第2の階層の判断解決策の利益を超える。すなわち、現時点で、第1の階層の判断解決策は第2の階層の判断解決策よりも「優れている」。
【0156】
さらに、第1の階層中のいずれか2つの判断解決策部分集合の最適判断解決策の判断利益の差が閾値利益差を超えないと判断状態機械モジュールが決定する場合、第1の相互作用段階に入れられる。この場合、自車両と競合対象との相互作用関係は不明である。各判断解決策部分集合の最適判断解決策は判断解決策部分集合中で最大利益を持つ判断解決策である。
【0157】
いくつかの場合では、判断状態機械モジュールが階層分割を遂行した後かつ第1の相互作用段階に入れられる前に、第1の階層の判断解決策の判断利益が第1の階層の他のすべての判断解決策の判断利益を明らかに超えると判断状態機械モジュールが決定する場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に直接入ってもよい。この場合、自車両と競合対象との相互作用関係が明確である。
【0158】
例として、閾値利益が0.76であり、閾値利益差が0.05であると仮定する。場面例(たとえば、自車両が直進し、車両が交差点で合流するところである)では、判断解決策集合が、判断解決策部分集合1(自車両が回避しつつ急いで通過に対応)、判断解決策部分集合2(自車両が回避せずに急いで通過に対応)、判断解決策部分集合3(自車両が回避せずに譲るに対応)及び判断解決策4(自車両が回避しつつ譲るに対応)という4つの判断解決策部分集合を含む。
【0159】
判断解決策部分集合1中の最適判断解決策が判断解決策1であり、対応する判断利益が0.8であり、判断解決策部分集合2中の最適判断解決策が判断解決策2であり、対応する判断利益が0.73であり、判断解決策部分集合3中の最適判断解決策が対象判断解決策3であり、対応する判断利益が0.77であり、判断解決策部分集合4中の最適判断解決策が対象判断解決策4であり、対応する判断利益が0.69である。各判断解決策部分集合について、判断解決策部分集合の最適判断解決策が判断解決策部分集合を代表すると考えることができる。言い換えると、各判断解決策部分集合(たとえば、自車両が回避しつつ急いで通過)が複数の判断解決策を含んでもよいが、複数の判断解決策の1つが最大利益を持ち、この判断解決策が判断解決策部分集合の最適判断解決策として判断解決策部分集合を代表してもよい。
【0160】
まず、判断解決策1及び判断解決策3の判断利益が閾値利益0.76を超え、判断解決策2及び判断解決策4の判断利益が閾値利益未満であるので、判断状態機械モジュールは判断解決策部分集合1及び判断解決策部分集合3を第1の階層に分類し、判断解決策部分集合2及び判断解決策部分集合4を第2の階層に分類する。
【0161】
その後、判断状態機械モジュールは比較を通じて、第1の階層の最適判断解決策の判断利益の差が閾値利益差0.05未満であるか否かを決定することしか必要としない。最適判断解決策1の判断利益と最適判断解決策3の判断利益との差が0.03であり、これは閾値利益差0.05未満である。したがって、現在で、判断状態機械モジュールはどの判断解決策(すなわち、自車両が回避しつつ急いで通過するのか自車両が回避しつつ譲るのか)がこの競合のためにより適するのかを決定することができず、すなわち、運転ポリシーとして最適判断解決策1を用いるのか最適判断解決策3を用いるのかを決定することができない。この場合、自車両と競合対象との相互作用関係が不明であり、第1の相互作用段階に入れられる必要があり、第1の相互作用段階では、自車両及び競合対象が複数の対応する様々な判断解決策の間を飛び移る可能性が留保されることが分かる。
【0162】
さらに、自車両と競合対象との相互作用が、第2の相互作用段階に入る条件を満たすと決定される場合、判断状態機械モジュールは第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に入る。この場合、自車両と競合対象との相互作用関係は明確である。
【0163】
判断状態機械モジュールは以下の2つの態様に基づいて、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かを決定してもよく、すなわち、第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に入るか否かを決定してもよい。
【0164】
第1の態様では、判断状態機械モジュールは判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策との判断利益差と、閾値利益差との大きさの関係に基づいて、第2の相互作用ステージに入る条件が満たされるか否かを決定してもよい。
【0165】
ある場合では、判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策との判断利益差が閾値利益差未満でない場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入る条件が満たされると決定する。
【0166】
判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策(たとえば判断解決策A)と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策(たとえば判断解決策B)との判断利益差が閾値利益差未満である場合、このことが、判断解決策Aを用いる競合相互作用と、判断解決策Bを用いる競合相互作用との利益差が比較的小さいことを指し示すことが分かる。この場合、判断状態機械モジュールは現在の競合に判断解決策Aがより適するのか判断解決策Bがより適するのかを決定することができず、判断状態機械モジュールは自車両と競合対象との現在の相互作用関係が不明であり、第1の相互作用段階に入れられる必要があると決定してもよい。
【0167】
別の場合では、判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策との判断利益差が閾値利益差未満である場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用ステージに入る条件が満たされないと決定する。
【0168】
判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策(たとえば判断解決策A)と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策(たとえば判断解決策B)との判断利益差が閾値利益差未満でない場合、たとえば、判断解決策Aの判断利益と判断解決策Bの判断利益との判断利益差が閾値利益差を超える場合、このことは判断解決策Aがこの競合相互作用を遂行するのにふさわしいことを指し示すことが分かる。この場合、判断状態機械モジュールは判断解決策Aがこの競合のためにより適すると決定することができるので、判断状態機械モジュールは自車両と競合対象との現在の相互作用関係が明確であり、第2の相互作用段階に入れられる必要があると決定してもよい。
【0169】
例として、閾値利益差が0.03であり、第1の階層が最適判断解決策1と最適判断解決策2とを含むと仮定する。現在、最適判断解決策1の判断利益が0.81であり、最適判断解決策2の判断利益が0.77であると判断状態機械モジュールが決定すると仮定する。最適判断解決策1の判断利益は最適判断解決策2の判断利益を0.04超え、判断利益差は閾値利益差0.03を上回る。
【0170】
この場合、現在、第1の階層の最適判断解決策1の判断利益が最適判断解決策2の判断利益を明らかに超えると判断状態機械モジュールが決定してもよい。最適判断解決策1が現在の競合のためにより適し、第2の相互作用段階に入れられ、最適判断解決策1が走行のための第2の判断解決策として選択されると判断状態機械モジュールが決定してもよい。
【0171】
第2の態様では、既定の時点の競合対象の実際の移動進路と、第1の判断解決策を用いて予測された競合対象の進路との間の比較結果に基づいて、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かを判断状態機械モジュールが決定してもよい。
【0172】
ある場合では、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が、第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と比較的高い整合性を持つと判断状態機械モジュールが決定する場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入る条件が満たされると決定する。この場合、第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策が第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策と同じである。
【0173】
既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策(たとえば判断解決策A)を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合すると判断状態機械モジュールが決定する場合、このことが、競合対象の移動進路が判断解決策の予想に完全に適合することを指し示し、このことが、競合相互作用に現在用いられている判断解決策Aが用いられることができることを意味することが分かる。この場合、判断状態機械モジュールは判断解決策Aが競合に適すると決定することができる。したがって、判断状態機械モジュールは、自車両と競合対象との現在の相互作用関係が明確であるので、第2の相互作用段階に入れられると決定してもよい。判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入るときに判断解決策Aが現在の競合に適すると決定するので、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階を実行するための第2の判断解決策として判断解決策Aを用いることを継続してもよい。
【0174】
別の場合では、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合しないと判断状態機械モジュールが決定する場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入る条件が満たされると決定する。この場合、第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策が、第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策と異なる。
【0175】
既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策(たとえば判断解決策A)を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合しないと判断状態機械モジュールが決定する場合、このことが、競合対象の移動進路が完全に予想外のものであることを指し示し、このことが、競合相互作用に現在用いられている判断解決策Aが適用不能なものであることを意味することが分かる。この場合、判断状態機械モジュールは競合相互作用に用いられる判断解決策Aを、現在の競合のためにより適する判断解決策(たとえば判断解決策B)に調節する必要がある。判断解決策Bは判断解決策集合から取得されてもよい。たとえば、自車両が、回避せずに急いで通過するポリシーがもはや適用可能ではない(予想通りに競合対象が譲らないおそれがあり、減速せずに急いで通過する)と現在検知している場合、よりふさわしい判断解決策(たとえば、回避しつつ譲る)が判断解決策集合から取得されてもよい。判断解決策Bが決定された後、判断状態機械モジュールは自車両と競合対象との現在の相互作用関係が明確であり、第2の相互作用段階に入れられると決定してもよい。
【0176】
さらに、判断状態機械モジュールは第1の態様と第2の態様とをさらに組み合せてもよく、これらは第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かを決定するのに一緒に用いられる。
【0177】
第1の態様と第2の態様を組み合せることによって、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かが決定される場合であって、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かを第1の態様に基づいて決定した結果が、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かを第2の態様に基づいて決定した結果と整合しないとき、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かを第2の態様に基づいて決定した結果が用いられ、すなわち、第2の態様の優先度が第1の態様の優先度を超える。この設定の理由は、通常は交通規則や一般的な運転行動性にしたがわない競合対象によって整合/不整合の飛び移りが引き起こされ、整合/不整合の飛び移りがコストの評価と相反する場合があり、整合/不整合の飛び移りの優先度が、利益を基本とする飛び移りの優先度を超える点に留意するべきであるからである。
【0178】
例として、判断状態機械モジュールは第2の態様に基づいて、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合せず、第2の相互作用段階に入れられる必要があると決定する。この場合、判断状態機械モジュールは第1の態様に基づいて決定することを通じて、判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策Aと2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策Bとの判断利益差が閾値利益差未満であり、第2の相互作用段階に入れられる必要がないことを認知する。第2の態様の優先度が第1の態様の優先度を超えるので、判断状態機械モジュールは主に、第2の態様で決定した結果に基づいて、第2の相互作用段階に入れられる必要があると決定する。
【0179】
上記に加えて、本出願の本実施形態では、前述の2つの態様に加えて、第2の相互作用段階に入る条件が満たされるか否かは別の方式でさらに決定されたり別の方式と組み合せてさらに決定されたりしてもよい。
【0180】
たとえば、判断状態機械モジュールは第1の相互作用段階の相互作用期間に基づいて、第2の相互作用段階に入るか否かを決定してもよい。
【0181】
上記とは別に、第1の相互作用段階に入ると決定した後、判断状態機械モジュールは対応するタイマを起動し、このタイマの計時期間が閾値期間である。タイマが切れたと判断状態機械モジュールが決定すると、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入る条件が満たされ、第2の相互作用段階に入ると決定する。
【0182】
例として、閾値期間が10sであると仮定する。第1の相互作用段階に入っている期間が10sを上回ると判断状態機械モジュールが決定する場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入る。
【0183】
別の例では、判断状態機械モジュールは自車両と競合対象との距離に基づいて、第2の相互作用段階に入るか否かを決定してもよい。
【0184】
上記とは別に、判断状態機械モジュールが第1の相互作用段階に入ると決定した後、継続的に相互作用しつつ、自車両と競合対象との距離が小さくなってもよい。自車両と競合対象との距離が閾値距離未満であると判断状態機械モジュールが決定する場合、判断状態機械モジュールは第2の相互作用段階に入る条件が満たされ、第2の相互作用段階に入ると決定する。
【0185】
上記とは別に、判断状態機械モジュールは競合対象の左右方向及び前後方向動作系列に基づいて整合又は不整合を決定してもよい。
【0186】
第2の態様に基づけば、既定の時点の競合対象の予測進路が既定の時点の競合対象の現実の進路と整合するか否かを判断状態機械モジュールが決定する場合、判断状態機械モジュールは継続的なステータス変化履歴に基づいて、また、各時点の相互作用のために選択された判断解決策にしたがって予測された競合対象の動作系列と、競合対象の実際の動作系列とに基づいて、既定の時点の競合対象の未来のステータス(すなわち予測進路)を決定してもよく、決定プロセスでは左右方向と前後方向とが区別されてもよい。
【0187】
例として、競合対象は自転車である。図11の(a)に示されている前後方向動作系列を取得するために、予想加速度系列と実際の加速度系列とが統計データ処理方法を用いて処理される。
【0188】
図11の(a)に示されている内容によれば、a1からa3は判断状態機械モジュールによって決定される予想期間内の競合対象の予想加速度の変化であり、b1からb3は現在の期間内の競合対象の実際の加速度の変化であり、b4からb6は予想期間内の競合対象の実際の加速度の変化であることが分かる。a1からa3とb4からb6との差が閾値範囲を超える場合、判断状態機械モジュールは既定の時点の競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合しないと決定する。a1からa3とb4からb6との差が閾値範囲内で変動する場合、判断状態機械モジュールは既定の時点の競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合すると決定する。
【0189】
例として、競合対象は自転車である。図11の(b)に示されている左右方向動作系列を取得するために、予想距離系列と実際の距離系列とを処理するのに統計データ処理方法が用いられる。左右方向動作変化は通常不可逆であるので、左右方向の整合/不整合の決定が決定結果履歴によって影響される。
【0190】
図11の(b)に示されている内容によれば、c1からc3は判断状態機械モジュールによって決定される予想期間内の競合対象の予想距離の変化であり、d1からd3は現在の期間内の競合対象の実際の距離の変化であり、d4からd6は予想期間内の競合対象の実際の距離の変化であることが分かる。c1からc3とd4からd6との差が閾値範囲を超える場合、判断状態機械モジュールは既定の時点の競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合しないと決定する。c1からc3とd4からd6との差が閾値範囲内で変動する場合、判断状態機械モジュールは既定の時点の競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の競合対象の移動進路と整合すると決定する。
【0191】
動き計画モジュールは第1の相互作用段階及び第2の相互作用段階の判断解決策に基づいて対応する動作を遂行する必要がある。
【0192】
本出願の実施形態で説明されているシステムアーキテクチャ及び適用場面は本出願の実施形態の技術的解決手段をより明らかに説明することを意図しており、本出願の実施形態で提供されている技術的解決手段に対する限定を構成しない。
【0193】
上記に加えて、車両アーキテクチャが進化し、新たなサービス場面が登場する際にも本出願の実施形態で提供されている技術的解決策が同様の技術的課題にも適用可能であることに当業者は想到することができる。図2から図5は理解を容易にするための例の簡略化概略図にすぎないことが当然分かる。システムアーキテクチャは別のデバイスをさらに含んでもよいし、別のユニットモジュールをさらに含んでもよい。
【0194】
以下、図12を参照して本出願の実施形態で提供されている方法を説明する。本方法は電子装置によって実行されてもよい。電子装置は処理装置と通信装置とを含んでもよい。処理装置はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array,FPGA)、特定用途向け集積チップ(application specific integrated circuit,ASIC)、中央処理装置(central processor unit,CPU)などであってもよい。電子装置は図2から図5に示されているいずれか1つ以上の構造を含んでもよい。
【0195】
インテリジェントドライビング方法が実施されているとき、本出願の実施形態で提供されている方法の処理動作を実施するのに、図2に示されている処理モジュール210、図4に示されているプロセッサ、又は図5に示されている競合障害物スクリーニングモジュール、競合対象ステータス追跡モジュール、競合判断モジュール及び動き計画モジュールが用いられてもよい。図2に示されている収集モジュール230、図4に示されている収集装置などが認識情報を収集してもよい。相互作用が自車両の認識情報と競合対象の認識情報とを取得することを含むが、これに限定されない。
【0196】
S1200:電子装置が認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得する。
【0197】
S1201:電子装置が判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得する。
【0198】
S1202:第1の判断解決策に基づいて走行するように電子装置が属する自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを電子装置が検出する。
【0199】
S1203:電子装置が判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得する。
【0200】
S1204:電子装置が第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御する。
【0201】
本出願のインテリジェントドライビング方法の第1の相互作用段階と第2の相互作用段階との分割が本出願に対する限定を構成しないことが分かる。
【0202】
たとえば、本出願では、判断プロセスが実際の状況に基づいて3つの相互作用段階に分割されてもよい。
【0203】
上記とは別に、本出願の本実施形態では、第1の相互作用段階は危機状態と称されている場合がある。
【0204】
本出願の本実施形態の危機状態は、自車両と競合対象との相互作用関係が不明である、すなわち、自車両と競合対象との相互作用の判断解決策が任意の時刻に変化する場合があるものとして理解されることができる。
【0205】
上記とは別に、本出願の本実施形態では、第2の相互作用段階は信頼状態と称されている場合がある。
【0206】
本出願の本実施形態の信頼状態は、自車両と競合対象との相互作用関係が明確である、すなわち、自車両と競合対象との相互作用の判断解決策が決定されるものとして理解されることができる。
【0207】
たとえば、自車両と競合対象との競合プロセスでは、競合プロセスが継続するのにつれて、自車両が判断解決策に近づく。近づいている判断解決策の判断利益と別の判断解決策の判断利益との差が閾値利益差を超える場合、競合関係が明確であることが考慮され、危機状態から信頼状態への移行が完遂される。
【0208】
図12に示されている内容に基づく、図13に示されている、本出願で提供されているインテリジェントドライビング方法をよりよく説明するために、さらなる詳細な説明を行なう。
【0209】
S1300:認識情報を取得する。
【0210】
S1301:認識情報に基づいて競合対象を決定する。
【0211】
ステップS1301の内容についての詳細については図6及び図7の説明を参照する。簡潔にするために、本開示では詳細は重ねて説明しない。
【0212】
S1302:認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得する。
【0213】
S1303:判断解決策集合を少なくとも1つの判断解決策部分集合に分割する。
【0214】
上記とは別に、各判断解決策は動作ペアを含んでもよく、動作ペアは車両速度、車両オフセット方向などを含んでもよい。
【0215】
上記とは別に、判断解決策に含まれる動作ペアに基づいて判断解決策の判断標識が決定され、判断解決策集合中で同じ判断標識を含む判断解決策が判断解決策部分集合にグループ分けされる。
【0216】
たとえば、図14に示されているように、判断解決策集合中の判断解決策毎に判断標識がマーキングされる。たとえば、図14に示されている場面例では、判断解決策集合中の判断解決策毎に判断標識がマーキングされた後、判断解決策集合の判断標識は、回避せずに譲る、回避せずに急いで通過、回避しつつ急いで通過、回避しつつ譲るを含む。
【0217】
その後、同じ判断標識を持つ判断解決策が1つの判断解決策部分集合にグループ分けされる。図14の場面例では、判断解決策集合が4つの判断解決策部分集合に分割され、すなわち、判断標識が回避せずに譲るである判断解決策部分集合、判断標識が回避せずに急いで通過である判断解決策部分集合、判断標識が回避しつつ急いで通過である判断解決策部分集合、及び判断標識が回避しつつ譲るである判断解決策部分集合に分割される。
【0218】
S1304:各判断解決策部分集合の最適判断解決策を決定する。最適判断解決策は対応する判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策である。
【0219】
ステップS1304の具体的な内容については図9及び図10の内容の説明を参照する。簡潔にするために、本開示では詳細は重ねて説明しない。
【0220】
S1305:自車両及び競合対象が第1の相互作用段階に入る条件を満たすか否かを決定し、はいの場合にS1306を遂行し、いいえの場合にS1307を遂行する。
【0221】
ステップS1306の具体的な内容については判断状態機械モジュールの前述の内容の説明を参照する。簡潔にするために、本開示では詳細は重ねて説明しない。
【0222】
S1306:自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、S1308を遂行することを継続する。
【0223】
自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策は第1の階層に含まれる複数の最適判断解決策に基づいて決定される。
【0224】
第1の階層の最適判断解決策の判断利益が閾値利益未満でないので、第1の判断解決策は第1の階層に含まれる最適判断解決策から選択され、これにより、選択された第1の判断解決策は現時点でより適用可能なものであることが可能であり、自車両と競合対象との相互作用の安全性及び快適性が確実にされる。
【0225】
さらに、第1の相互作用段階で、様々な判断解決策において飛び移る能力が未来の期間で利用可能であり得ることを確実にするために、第1の判断解決策の加速度がさらに計画されてもよい。
【0226】
たとえば、自車両が競合対象のために急いで通過するとき、急いで通過から譲るに移る能力を確実にするように最小加速度で急いで通過することが実施されることができる。自車両が競合対象に譲るとき、譲るから急いで通過に移る能力を確実にするように最大加速度で譲ることが実施されることができる。
【0227】
たとえば、図15に示されているように、第1の相互作用段階では、計画加速度のST曲線がSp及びtpのアーモンド形状の領域に納まり、すなわち、第1の判断解決策の計画加速度曲線がSp及びtpのアーモンド形状の領域に納まり、計画加速度が急いで通過ポリシーと譲るポリシーとを含むことが分かる。
【0228】
図15に示されている点SPは最後の離脱距離点として理解されることができ、点SPの後に第2の相互作用段階に入れられる必要があることを指し示すのに用いられる。図15に示されている点TPは最後の離脱時間点として理解されることができ、点TPの後に第2の相互作用段階に入れられる必要があることを指し示すのに用いられる。焦点となるPは危機離脱点として理解されることができ、第1の相互作用段階から第2の相互作用段階への離脱点を指し示すのに用いられる。線PGは急いで通過の計画ルートを表わし、線PYは譲るの計画ルートを表わす。
【0229】
S1308:第1の判断解決策を用いて競合対象との第1の相互作用段階を遂行し、競合対象のステータスを継続的に追跡し、S1309を遂行することを継続する。
【0230】
S1309:自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすか否かを決定し、はいの場合にS1307を遂行し、いいえの場合にS1308に戻る。
【0231】
S1307:自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、S1310を遂行することを継続する。
【0232】
いくつかの実施形態では、第2の判断解決策は第1の階層に含まれる複数の最適判断解決策から決定される。
【0233】
例として、閾値利益差が0.03であり、第1の階層が最適判断解決策1と最適判断解決策2とを含むと仮定する。自車両と競合対象との相互作用の初期段階では、対象判断解決策1の判断利益が0.8であり、対象判断解決策2の判断利益が0.78であると決定される。この場合、対象判断解決策1の判断利益と対象判断解決策2の判断利益との差は閾値利益差0.03未満である。この場合、どの判断解決策がこの競合のためにより適するかが決定されることができず、第1の相互作用段階に入れられる必要がある。最適判断解決策1が第1の相互作用段階の第1の判断解決策として決定されると仮定する。
【0234】
相互作用競合が進行すると、第1の階層の対象判断解決策の判断利益が別の対象判断解決策の判断利益を明らかに超えると決定される場合に第2の相互作用段階に入れられる。例として、所定の時点で、最適判断解決策1の判断利益が0.78であり、最適判断解決策2の判断利益が0.82であり、最適判断解決策2の判断利益は最適判断解決策1の判断利益を0.04超え、差が閾値利益差0.03を上回る。この場合、現在、第1の階層の最適判断解決策2の判断利益が最適判断解決策1の判断利益を明らかに超えると決定されてもよく、電子装置は最適判断解決策2が競合のためにより適すると決定し、第2の相互作用段階に入り、対象判断解決策2を走行のための第2の判断解決策として選択してもよい。
【0235】
上述されているように、本出願の本実施形態では、第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に飛び移る複数の理由があり、以下の場合が特に含まれ得る。
【0236】
現在の場面が図16に示されている場面であって、自車両が直進し、車両が交差点で合流するところである場面であると仮定する。
【0237】
前述の方法によれば、第1の階層が、回避しつつ急いで通過の判断解決策部分集合と、回避せずに譲るの判断解決策部分集合とを含むと仮定する。回避しつつ急いで通過の対象判断解決策は高い通過可能性を確実にすることができ、回避せずに譲るの対象判断解決策は高い安全性を確実にすることができる。回避しつつ急いで通過の最適判断解決策1の判断利益と、回避せずに譲るの最適判断解決策2の判断利益との差が閾値利益差未満である。
【0238】
第1の相互作用段階では、第1の階層から選択され、第1の判断解決策として用いられる判断解決策が回避しつつ急いで通過である(すなわち、回避しつつ急いで通過を表わす最適判断解決策1が選択される)。競合対象との第1の相互作用段階のプロセスでは、競合対象のステータスが継続的に追跡される。競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測されたものと整合しないと決定される場合、競合対象の現在のステータスに適する判断解決策が判断解決策集合から取得され(たとえば、回避せずに譲るが選択される)、相互作用が第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に飛び移る。
【0239】
いくつかの実施形態では、第1の相互作用段階の第1の判断解決策から第2の相互作用段階の第2の判断解決策への飛び移りが実施される。第1の判断解決策が第2の判断解決策と同じである。
【0240】
現在の場面が図17に示されている場面であって、自車両が直進し、車両が交差点で合流するところである場面であると仮定する。前述の方法によれば、第1の階層が、回避しつつ急いで通過の最適判断解決策1と、回避せずに譲るの最適判断解決策2とを含むと仮定する。回避しつつ急いで通過の最適判断解決策1は高い通過可能性を確実にすることができ、回避せずに譲るの最適判断解決策2は高い安全性を確実にすることができる。回避しつつ急いで通過の最適判断解決策1の判断利益と、回避せずに譲るの最適判断解決策2の判断利益との差が閾値利益差未満である。
【0241】
第1の相互作用段階では、第1の階層から選択され、第1の判断解決策として用いられる判断解決策が回避しつつ急いで通過である(すなわち、回避しつつ急いで通過を表わす最適判断解決策1が選択される)。競合対象との第1の相互作用段階を遂行するプロセスでは、競合対象のステータスが継続的に追跡される。競合対象の追跡結果が第1の判断解決策と常に整合すると決定される場合、相互作用が第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に飛び移ると決定され、相互作用が完遂されるまで走行のための第2の判断解決策として第1の階層の回避しつつ急いで通過の対象判断解決策が用いられることが継続される。
【0242】
いくつかの実施形態では、用いられている相互作用ポリシーの利益が第1の相互作用段階で指定閾値(たとえば、現在の相互作用ポリシーの利益の10%を超えるもの)の分だけ判断解決策集合中の別の判断解決策の利益を超える場合、状態の飛び移りが開始されてもよく、すなわち、相互作用が第1の相互作用段階から第2の相互作用段階に飛び移る。
【0243】
S1310:電子装置が相互作用が完遂されるまで第2の判断解決策を用いて競合対象との第2の相互作用段階を遂行する。
【0244】
図13に示されている手順によれば、本出願の実施形態で提供されているインテリジェントドライビング方法が、図2から図5に示されている電子装置のいずれか1つを用いて実施されてもよい。
【0245】
図13に示されている電子装置によって実施されるステップの実施形態について、本出願の実施形態で提供されているインテリジェントドライビング方法によれば、図13に示されているいくつかのステップが省略されてもよいし、図12のいくつかのステップが他のステップと置換されてもよいし、電子装置が図13に示されていないいくつかのステップをさらに遂行してもよいことが当然分かる。
【0246】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願では、前述の方法の実施形態で説明されているインテリジェントドライビング方法の電子装置の機能を実施するように構成される電子装置がさらに提供される。したがって、電子装置は前述の方法の実施形態の有益な効果を奏する。電子装置は図2から図5のいずれかの構造を含んでもよいし、図2から図5のいずれか複数の構造の組合せによって実施されてもよい。
【0247】
図2に示されている電子装置は端末であっても車両であってもよいし、端末内のチップであっても車両内のチップであってもよい。電子装置は図12又は図13に示されているインテリジェントドライビング方法と前述の適宜選択可能な実施形態とを実施することができる。電子装置は処理モジュール210と通信モジュール220とを含んでもよい。
【0248】
処理モジュール210は図11に示されている方法のステップS1200からS1204、及び図13に示されている方法のS1300からS1310のうちのいずれか1つを遂行するように構成されてもよいし、前述の適宜選択可能な実施形態の第1の相互作用段階に入るか否かを決定するステップ、第2の相互作用段階に入るか否かを決定するステップ、判断解決策を決定するステップなどのステップのいずれか1つを遂行するように構成されてもよい。収集モジュール230は認識情報を収集するように構成される。たとえば、収集モジュール230は図13に示されている方法のS1300などを遂行するように構成されてもよいし、前述の適宜選択可能な実施形態の認識情報の取得に関係するいずれかのステップを遂行するように構成されてもよい。詳細については方法例の詳細な説明を参照する。本開示では詳細は重ねて説明しない。
【0249】
処理モジュール210は、認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、第1の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するように構成される。
【0250】
本出願の実施形態の電子装置がソフトウェアによって実現されてもよく、たとえば、前述の機能を持つコンピュータプログラムによって実現されても命令によって実現されてもよいことが当然分かる。対応するコンピュータプログラム又は命令が端末のメモリに記憶されてもよい。メモリ中の対応するコンピュータプログラム又は命令をプロセッサが読み込んで、処理モジュール210及び/又は通信モジュール220及び/又は収集モジュール230の前述の機能を実現する。上記の代わりに、本出願の実施形態の電子装置はハードウェアによって実現されてもよい。処理モジュール210はプロセッサ(たとえば、CPUやシステムチップのプロセッサ)であってもよく、収集モジュール230はカメラ装置及び認識装置の1つ以上を含んでもよい。
【0251】
適宜選択可能な方式で、第1の判断解決策は自車両と競合対象との相互作用関係が不明である場合に用いられる判断解決策であり、第2の判断解決策は自車両と競合対象との相互作用関係が明確であるときに用いられる判断解決策である。
【0252】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は自車両と競合対象との第1の相互作用段階のプロセスで競合対象のステータスを継続的に追跡するようにさらに構成される。
【0253】
適宜選択可能な方式で、第2の相互作用段階に入る条件は、
第1の相互作用段階の期間が閾値期間を上回ること、判断解決策集合中で1番目に大きい判断利益を持つ判断解決策と2番目に大きい判断利益を持つ判断解決策との判断利益差が閾値利益差未満でないこと、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策と整合しないこと、既定の時点の競合対象の実際の移動進路が第1の判断解決策と整合すること、又は自車両と競合対象との距離が閾値距離未満であること
の少なくとも1つを含む。
【0254】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
認識情報に基づいて少なくとも1つの対象を決定し、少なくとも1つの対象の未来移動進路を取得し、少なくとも1つの対象のうち、未来移動進路が自車両の未来移動進路と交差する対象を競合対象として決定する
ようにさらに構成される。
【0255】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
認識情報に基づいて自車両及び競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲を取得し、左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲に基づいて判断解決策集合を取得する
ように特に構成される。
【0256】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
認識情報と第1の要因とに基づいて自車両及び競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲を取得し、認識情報と第2の要因とに基づいて自車両及び競合対象の前後方向加速度サンプリング範囲を取得し、第1の要因が、自車両が位置する環境の道路境界及び静止障害物の少なくとも1つを含み、第2の要因が、自車両が位置する環境の道路速度制限、加速度変化率、及び競合対象タイプの少なくとも1つを含む、
ように特に構成される。
【0257】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
判断解決策集合を分割することによって少なくとも1つの判断解決策部分集合を取得し、各判断解決策部分集合が少なくとも1つの判断解決策を含み、各判断解決策部分集合に対応する対象判断解決策を決定し、対象判断解決策が、対応する判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策であり、少なくとも1つの対象判断解決策から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得する、
ように特に構成される。
【0258】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
判断利益が少なくとも1つの対象判断解決策の閾値利益未満でない対象判断解決策を第1の階層に分類し、判断利益が少なくとも1つの対象判断解決策の閾値利益未満である対象判断解決策を第2の階層に分類し、
第1の階層に含まれる対象判断解決策から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を決定する
ように特に構成される。
【0259】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
第1の階層に含まれる対象判断解決策から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得する
ようにさらに構成される。
【0260】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
利益評価方式にしたがって判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益を決定し、判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策を判断解決策部分集合に対応する対象判断解決策として決定し、利益評価方式が判断解決策の安全性、快適性、通過可能性、優先通行権、危険エリア、及びオフセットのうちの少なくとも1つの大きさを含む、
ように特に構成される。
【0261】
適宜選択可能な方式で、利益評価方式は判断結果履歴をさらに含む。
【0262】
適宜選択可能な方式で、各判断解決策は1つの動作ペアグループを含み、動作ペアグループは車両加速度と車両オフセット方向とを含む。
【0263】
適宜選択可能な方式で、処理モジュール210は、
走行環境と利益評価方式との対応に基づいて、相互作用に用いられる利益評価方式を決定し、相互作用に用いられる利益評価方式にしたがって、判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益を決定する
ように特に構成される。
【0264】
可能な設計で、処理モジュール210は自車両及び競合対象が第1の相互作用段階に入る条件を満たすと決定するようにさらに構成され、第1の相互作用段階に入る条件は、第1の階層のいずれか2つの対象判断解決策の間の判断利益差が閾値利益差未満であることを含む。
【0265】
可能な設計で、処理モジュール210は、第1の階層の対象判断解決策の判断利益と、第1の階層の残りの各対象判断解決策の判断利益との差が閾値利益差を超える場合、第2段階を遂行すると決定するようにさらに構成される。
【0266】
可能な設計で、処理モジュール210は、第1の相互作用段階で既定の時点の競合対象の追跡結果が第1の判断解決策を用いて予測された既定の時点の移動進路と整合しないと決定する場合、第1の相互作用段階に用いられる判断解決策を調節するようにさらに構成される。
【0267】
可能な設計で、第1の判断解決策が第2の判断解決策と同じである。
【0268】
本出願の本実施形態の電子装置の処理の詳細については図12図13及び本出願の方法の実施形態の関連説明を参照することが当然分かる。本開示では詳細は重ねて説明しない。
【0269】
図4に示されている電子装置は車両であってもよい。図12又は図13及び前述の適宜選択可能な実施形態に示されているインテリジェントドライビング方法を車両制御装置が実施してもよい。電子装置はプロセッサ、メモリ、インターフェイス回路又はヒューマンコンピュータ相互作用装置の少なくとも1つを含んでもよい。図4が1つのみのプロセッサ、1つのみのメモリ、1つのみのインターフェイス回路、1つのみ(又は1つのみのタイプ)の収集装置を示していることが当然分かる。電子装置は別の個数のプロセッサと別の個数のインターフェイス回路とを含んでもよい。
【0270】
インターフェイス回路は電子装置を端末や車両の別の構成要素、たとえば、メモリ、別のプロセッサや投影装置に接続するように構成される。プロセッサはインターフェイス回路を通じて別の構成要素との信号の相互作用を遂行するように構成される。インターフェイス回路はプロセッサの入力/出力インターフェイスであってもよい。
【0271】
例として、プロセッサはインターフェイス回路を通じてプロセッサに結合されているメモリ中のコンピュータプログラム又は命令を読み込み、コンピュータプログラム又は命令を復号して実行する。コンピュータプログラム又は命令が前述の機能プログラムを含んでもよいし、電子装置の前述の機能プログラムを含んでもよいことが当然分かる。対応する機能プログラムがプロセッサによって復号されて実行されるとき、電子装置が本出願の実施形態で提供されているインテリジェントドライビング方法で解決策を実施することが可能にされることができる。
【0272】
上記とは別に、当該機能プログラムは電子装置外のメモリに記憶される。この場合、電子装置はメモリを含まなくてもよい。機能プログラムがプロセッサによって復号されて実行されるとき、メモリは機能プログラムの、一部又は全部の内容を一時的に記憶する。
【0273】
上記とは別に、当該機能プログラムは電子装置内のメモリに記憶される。電子装置のメモリが前述の機能プログラムを記憶する場合、電子装置は本出願の実施形態の電子装置に配置されてもよい。
【0274】
上記とは別に、当該機能プログラムは道路条件テレビ装置外のメモリに記憶され、当該機能プログラムの他の部分が電子装置内のメモリに記憶される。
【0275】
プロセッサがチップであってもよいことが当然分かる。たとえば、プロセッサはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array,FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit,ASIC)、システムオンチップ(system on chip,SoC)、中央処理装置(central processor unit,CPU)、ネットワークプロセッサ(network processor,NP)、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor,DSP)、マイクロコントローラユニット(micro controller unit,MCU)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device,PLD)や別の集積チップであってもよい。
【0276】
本出願の実施形態のプロセッサが集積回路チップであってもよく、信号処理能力を持つ点に留意するべきである。一実施プロセスでは、前述の方法の実施形態のステップがプロセッサのハードウェア集積論理回路を用いて実施されることができるし、ソフトウェアの形態の命令を用いて実施されることができる。プロセッサは汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や別のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートやトランジスタ論理デバイスや、ディスクリートハードウェア構成要素であってもよい。処理モジュールは、本出願の実施形態で開示されている方法、ステップ及び論理ブロック図を実現したり遂行したりすることができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいし、プロセッサが任意の従来のプロセッサなどであってよい。本出願の実施形態を参照して開示されている方法のステップがハードウェア復号プロセッサを用いて直接実行されて実現されてもよいし、ハードウェアと復号プロセッサのソフトモジュールとの組合せを用いて実行されて実現されてもよい。ソフトウェアモジュールはランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読出し専用メモリ、プログラム可能読出し専用メモリ、電気的に消去可能なプログラム可能メモリやレジスタなどの本技術における成熟した技術である記憶媒体中に位置させられてもよい。記憶媒体はメモリ中に位置させられ、プロセッサはメモリ中の情報を読み込んで、プロセッサのハードウェアと組み合せて上記の方法のステップを完遂する。
【0277】
本出願の本実施形態のメモリが揮発メモリであっても不揮発メモリであってもよいし、揮発メモリと不揮発メモリとを含んでもよいことが分かる。不揮発メモリは読出し専用メモリ(read-only memory,ROM)、プログラム可能読出し専用メモリ(programmable ROM,PROM)、消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(erasable PROM,EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(electrically EPROM,EEPROM)やフラッシュメモリであってもよい。揮発メモリは外部キャッシュとして用いられるランダムアクセスメモリ(random access memory,RAM)であってもよい。例の説明(ただし、限定を課さない)にわたって、多くの形態のRAMが用いられてもよく、たとえば、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(static RAM,SRAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(dynamic RAM,DRAM)、同期型ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(synchronous DRAM,SDRAM)、ダブル・データ・レート同期型ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(double data rate SDRAM,DDR SDRAM)、拡張同期型ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(enhanced SDRAM,ESDRAM)、シンクロナス・リンク・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(synchlink DRAM,SLDRAM)やダイレクト・ラムバス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(direct rambus RAM,DR RAM)が用いられてもよい。本明細書で説明されているシステム及び方法のメモリが上記のメモリと、別の適切なタイプの任意のメモリとを含む(ただし、これらに限定されない)点に留意するべきである。
【0278】
電子装置が図4に示されている構造を用いて実現される場合、メモリがコンピュータプログラム又は命令を記憶してもよく、プロセッサがメモリに記憶されているコンピュータプログラム又は命令を実行して、図2に示されている構造を用いて電子装置が実現される場合に処理モジュール210によって遂行される動作を遂行することが当然分かる。電子装置が図2に示されている構造を用いて実現される場合、収集装置が認識情報を収集する動作を遂行してもよい。上記とは別に、図4に示されているプロセッサ及びメモリが図2に示されている処理モジュール210を実施するのに用いられてもよく、又は図2に示されている処理モジュール210がプロセッサとメモリとを含み、又はプロセッサがメモリに記憶されているコンピュータプログラム又は命令を実行して、図2に示されている処理モジュール210によって遂行される動作を実施し、及び/又は図4に示されている収集装置が図2に示されている収集モジュール230を実現してもよく、又は図2に示されている処理モジュール210が図4に示されている収集装置を含み、又は収集装置が図2に示されている収集モジュール230によって遂行される動作を遂行する。
【0279】
電子装置が図5に示されている構造を用いて実現される場合、競合障害物スクリーニングモジュール、競合対象ステータス追跡モジュール、競合判断モジュール及び動き計画モジュールの1つ以上が、図2に示されている構造を用いて電子装置が実現される場合に処理モジュール210によって遂行される動作を遂行してもよい。電子装置が図5に示されている構造を用いて実現される場合、競合障害物スクリーニングモジュール、競合対象ステータス追跡モジュール、競合判断モジュールと動き計画モジュールによってそれぞれ遂行される動作については図12及び/又は図13に示されている手順の説明を参照する。本開示では詳細は重ねて説明しない。
【0280】
図2から図5に示されている電子装置の構造が互いに組み合されてもよいことが当然分かる。図2から図5及び適宜選択可能な実施形態に示されている電子装置の関係する設計の詳細については互いを参照したり、図2から図5のいずれか1つに示されているインテリジェントドライビング方法と、適宜選択可能な実施形態の関係する設計との詳細を参照したりする。詳細については重ねて繰り返すことはしない。
【0281】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願ではプロセッサを含むコンピューティングデバイスが提供される。プロセッサはメモリに接続され、メモリはコンピュータプログラム又は命令を記憶するように構成され、プロセッサはメモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行するように構成され、これにより、コンピューティングデバイスは前述の方法の実施形態の方法を遂行する。
【0282】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願ではコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータプログラム又は命令を記憶する。コンピュータプログラム又は命令が実行されるとき、コンピューティングデバイスが前述の方法の実施形態の方法を遂行することが可能にされる。
【0283】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願ではコンピュータプログラムプロダクトが提供される。コンピュータがコンピュータプログラムプロダクトを実行するとき、コンピューティングデバイスが前述の方法の実施形態の方法を遂行することが可能にされる。
【0284】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願ではチップが提供される。チップはメモリに接続され、メモリに記憶されているコンピュータプログラム又は命令を読み込んで実行するように構成され、これにより、コンピューティングデバイスは前述の方法の実施形態の方法を遂行する。
【0285】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願の実施形態では装置が提供される。本装置はプロセッサとインターフェイス回路とを含む。インターフェイス回路はコンピュータプログラム又は命令を受け取って、コンピュータプログラム又は命令をプロセッサに渡すように構成される。プロセッサはコンピュータプログラム又は命令を動作させて前述の方法の実施形態の方法を遂行する。
【0286】
前述の内容と同じ概念とに基づいて、本出願の実施形態では車両が提供される。車両は認識情報を取得するように構成される認識モジュールと、認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、第1の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するプロセスで、自車両及び競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出し、判断解決策集合から、自車両と競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、第2の判断解決策に基づいて走行するように自車両を制御するように構成される処理モジュールとを含む。
【0287】
上記とは別に、本出願の実施形態では、モジュールへの分割が例として用いられており、これは論理的機能分割にすぎない。実際の実現例では、別の分割方式が用いられてもよい。上記に加えて、本出願の実施形態の機能モジュールが1つのプロセッサに一体化されてもよいし、モジュールの各々が物理的に単独で存在してもよいし、2つ以上のモジュールが1つのモジュールに一体化される。一体化されるモジュールはハードウェアの形態で実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールの形態で実現されてもよい。
【0288】
本出願の実施形態が方法、システムやコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよいことを当業者は当然理解する。したがって、本出願ではハードウェアのみの実施形態が用いられてもソフトウェアのみの実施形態が用いられてもソフトウェアとハードウェアとが組み合された実施形態の形態が用いられてもよい。上記に加えて、本出願では、コンピュータに使用可能なプログラムコードを含むコンピュータに使用可能な1つ以上の記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これに限定されない)において実現されるコンピュータプログラムプロダクトの形態が用いられてもよい。
【0289】
本出願は本出願に係る方法、デバイス(システム)及びコンピュータプログラムプロダクトのフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明されている。コンピュータプログラム命令がフローチャート及び/又はブロック図の各プロセス及び/又は各ブロック並びにフローチャート及び/又はブロック図のプロセス及び/又はブロックの組合せを実施するのに用いられてもよいことが当然分かる。当該コンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込み型プロセッサ又は任意の他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサ用に設けてマシンを生成してもよく、これにより、コンピュータ又は任意の他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令により、フローチャート中の1つ以上のプロセス及び/又はブロック図中の1つ以上のブロックにおける特定の機能を実現する装置が生成される。
【0290】
当該コンピュータプログラム命令はコンピュータ又はその他一切のプログラム可能なデータ処理デバイスに特定の方式で動くように命令することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、これにより、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令により、命令装置を含む人工物が生成される。命令装置は、フローチャート中の1つ以上のプロセス及び/又はブロック図中の1つ以上のブロックにおける特定の機能を実現する。
【0291】
上記の代わりに、コンピュータプログラム命令がコンピュータや別のプログラム可能なデータ処理デバイスにロードされてもよく、これにより、一連の動作及びステップがコンピュータや別のプログラム可能なデバイスで遂行されて、コンピュータで実現される処理が生成される。したがって、コンピュータや別のプログラム可能なデバイスで実行される命令により、フローチャート及び/又はブロック図中の1つ以上のブロック中の1つ以上の手順の特定の機能を実現するためのステップが提供される。
【0292】
本出願の範囲を逸脱しない限りにおいて当業者が本出願に対する様々な修正及び変形をなすことができることは明らかである。本出願は、本出願のこれらの修正及び変形が以下の請求項とその等価な技術とによって定められる保護の範囲内に含まれる限りにおいてこれらの修正及び変形をカバーすることを意図している。
【符号の説明】
【0293】
210 処理モジュール
220 通信モジュール
230 収集モジュール
240 実行モジュール
250 記憶モジュール
260 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェントドライビング方法であって、
認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得するステップと、
前記判断解決策集合から、前記自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得するステップと、
前記第1の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するプロセスで、前記自車両及び前記競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすと決定するステップと、
前記判断解決策集合から、前記自車両と前記競合対象との前記第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得するステップと、
前記第2の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の相互作用段階は、前記自車両と前記競合対象との相互作用関係が不明である段階であり、前記第2の相互作用段階は、前記自車両と前記競合対象との相互作用関係が明確である段階である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階のプロセスで前記競合対象のステータスを継続的に追跡するステップ
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の相互作用段階に入る前記条件は、
前記第1の相互作用段階の期間が閾値期間を上回ること、
前記判断解決策集合中で最大判断利益を持つ判断解決策と前記判断解決策集合の任意の他の判断解決策との判断利益差が閾値利益差未満でないこと、
既定の時点の前記競合対象の実際の移動進路が前記第1の判断解決策と整合しないこと、
既定の時点の前記競合対象の実際の移動進路が前記第1の判断解決策と整合すること、又は
前記自車両と前記競合対象との距離が閾値距離未満であること
の1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記認識情報に基づいて少なくとも1つの対象を決定するステップと、
前記少なくとも1つの対象の未来移動進路を取得するステップと、
前記自車両の未来移動進路を取得するステップと、
前記少なくとも1つの対象のうち、未来移動進路が前記自車両の前記未来移動進路と交差する対象を前記競合対象として決定するステップと
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得する前記ステップは、
前記認識情報に基づいて前記自車両及び前記競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲を取得するステップと、
前記左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前記前後方向加速度サンプリング範囲に基づいて前記判断解決策集合を取得するステップと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記認識情報に基づいて前記自車両及び前記競合対象の左右方向位置オフセットサンプリング範囲及び前後方向加速度サンプリング範囲を取得する前記ステップは、
前記認識情報と第1の要因とに基づいて前記自車両及び前記競合対象の前記左右方向位置オフセットサンプリング範囲を取得するステップと、
前記認識情報と第2の要因とに基づいて前記自車両及び前記競合対象の前記前後方向加速度サンプリング範囲を取得するステップと
を備え、
前記第1の要因は、前記自車両が位置する環境の道路境界及び静止障害物の少なくとも1つを備え、前記第2の要因は、前記自車両が位置する前記環境の道路速度制限、及び加速度変化率の少なくとも1つを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記判断解決策集合から、前記自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得する前記ステップは、
前記判断解決策集合を分割することによって少なくとも1つの判断解決策部分集合を取得するステップであって、各判断解決策部分集合は少なくとも1つの判断解決策を備える、ステップと、
各判断解決策部分集合の最適判断解決策を決定するステップであって、前記最適判断解決策は、対応する判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策である、ステップと、
少なくとも1つの最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階に用いられる前記第1の判断解決策を取得するステップと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階に用いられる前記第1の判断解決策を取得する前記ステップは、
判断利益が前記少なくとも1つの最適判断解決策の閾値利益未満でない最適判断解決策を第1の階層に分類し、判断利益が前記少なくとも1つの最適判断解決策の前記閾値利益未満である最適判断解決策を第2の階層に分類するステップと、
前記第1の階層に備えられる前記最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第1の相互作用段階に用いられる前記第1の判断解決策を決定するステップと
を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記第1の階層に備えられる前記最適判断解決策から、前記自車両と前記競合対象との前記第2の相互作用段階に用いられる前記第2の判断解決策を取得するステップ
をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各判断解決策部分集合に対応する最適判断解決策を決定する前記ステップは、
利益評価方式にしたがって前記判断解決策部分集合中の各判断解決策に対応する判断利益を決定するステップと、
前記判断解決策部分集合中で最大判断利益を持つ判断解決策を前記判断解決策部分集合に対応する前記最適判断解決策として決定するステップと
を備え、
前記利益評価方式は判断解決策の安全性、快適性、通過可能性、優先通行権、危険エリア、及びオフセットのうちの少なくとも1つの大きさを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記利益評価方式は判断結果履歴をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各判断解決策は動作ペアグループを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータプログラム又は命令を記憶し、前記コンピュータプログラム又は前記命令がコンピューティングデバイスによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスが請求項1に記載の方法を実行することが可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
チップであって、少なくとも1つのプロセッサとインターフェイスとを備え、
前記インターフェイスは前記少なくとも1つのプロセッサにコンピュータプログラム、命令、又はデータを提供するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは前記コンピュータプログラム又は前記命令を実行するように構成され、これにより、請求項1に記載の方法が実行される、チップ。
【請求項16】
車両であって、
認識情報を取得するように構成される認識モジュールと、
前記認識情報に基づいて自車両の判断解決策集合を取得し、前記判断解決策集合から、前記自車両と競合対象との第1の相互作用段階に用いられる第1の判断解決策を取得し、前記第1の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するプロセスで、前記自車両及び前記競合対象が第2の相互作用段階に入る条件を満たすことを検出し、前記判断解決策集合から、前記自車両と前記競合対象との第2の相互作用段階に用いられる第2の判断解決策を取得し、前記第2の判断解決策に基づいて走行するように前記自車両を制御するように構成される処理モジュールと
を備える車両。
【国際調査報告】