(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】乗物推進用装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
F02C 6/16 20060101AFI20241210BHJP
F02B 33/04 20060101ALI20241210BHJP
F02B 37/02 20060101ALI20241210BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20241210BHJP
F02C 6/20 20060101ALI20241210BHJP
F02B 39/06 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
F02C6/16
F02B33/04
F02B37/02 D
F02B37/02 A
F03G7/00 B
F02C6/20
F02B39/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531237
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022080154
(87)【国際公開番号】W WO2023097172
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524195488
【氏名又は名称】キム,デシク
【氏名又は名称原語表記】KIM, Dae Sik
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】キム,デシク
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA02
3G005EA16
3G005GB47
(57)【要約】
本発明は、超低排出物の蓄圧式排気ガスアシスト内燃動力装置に関する。パワープラントは、ギヤボックスを介してピストンコンプレッサに接続された可変トルク駆動タービンを備える。ギヤボックスは、駆動タービンからコンプレッサへの動力を選択的に向かわせる遊星ギヤまたはエピサイクリックギヤと、少なくとも1つの出力シャフトとを備える。圧縮空気は段階式燃焼器において燃料と混合され、高温の排気ガスは可変トルク駆動タービンの駆動に使用されるか、冷却されて排気ガス貯蔵システムに貯蔵される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に動力を供給するための推進システムであって、
パワープラントと、
排気ガス貯蔵システムと、を備え、
前記パワープラントは、
空気/燃料混合気の燃焼を持続し、高温の排気ガスを発生させる燃焼器と、
前記燃焼器に流体連通しているタービンであって、高温の排気ガスを膨張させることによって動くように構成されたタービンロータを有するタービンと、
周囲の空気を圧縮するために前記タービンロータに作動的に接続され、圧縮空気の一部を前記燃焼器に送るために前記燃焼器に流体的に接続されているコンプレッサであって、圧縮空気の少なくとも一部を貯蔵するための密閉されたクランクケースを有するコンプレッサと、を備え、
前記排気ガス貯蔵システムは、前記燃焼器からの前記高温の排気ガスの少なくとも一部を冷却して貯蔵する、推進システム。
【請求項2】
前記燃焼器は、2段有孔管リアクターを更に備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項3】
前記コンプレッサは、圧縮空気を圧縮室から前記クランクケースに向かわせるためのバルブを有するピストンを更に備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項4】
前記排気ガス貯蔵システムは、前記排気ガスから熱エネルギーを捕捉するように設計された蓄熱器を更に備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項5】
前記蓄熱器は、セラミックハニカム要素を更に有する、請求項4に記載の推進システム。
【請求項6】
前記排気ガス貯蔵システムは、前記乗物の全体に分散配置された貯蔵タンクをさらに備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項7】
前記乗物は管状フレームを備え、前記貯蔵タンクは前記管状フレームの一部である、請求項6に記載の推進システム。
【請求項8】
前記タービン及び前記コンプレッサは遊星ギヤによって接続されている、請求項1に記載の推進システム。
【請求項9】
前記タービン及び前記コンプレッサを機械的に接続するギヤボックスをさらに備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項10】
前記ギヤボックスは前記乗物の車輪を駆動するための出力シャフトを更に備える、請求項9に記載の推進システム。
【請求項11】
前記ギヤボックスは前記乗物のプロペラを駆動するための出力シャフトを更に備える、請求項9に記載の推進システム。
【請求項12】
乗物に動力を供給するための推進システムを作動させる方法であって、
タービンに流体連通している燃焼器と、前記タービンに作動的に接続され、前記燃焼器に流体連通し、圧縮空気を貯蔵するための密閉されたクランクケースを有するコンプレッサと、を有するパワープラントを備える推進システムを提供し、
前記コンプレッサで周囲の空気を圧縮し、圧縮空気の少なくとも一部を前記クランクケースに貯蔵し、
前記クランクケース内の圧縮空気の少なくとも一部を使用して前記燃焼器において燃焼を持続することによって排気ガスを発生させ、
前記燃焼器からの前記排気ガスの少なくとも一部を用いて前記駆動タービンを駆動する、方法。
【請求項13】
前記燃焼器からの前記排気ガスの少なくとも一部を排気ガス貯蔵システムに向かわせることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記排気ガスを冷却するために、そこを通過する前記排気ガスから熱エネルギーを捕捉するための蓄熱器を設けることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
提供するステップにおいて、前記蓄熱器は、前記排気ガスから熱エネルギーを捕捉するように設計されたセラミックハニカム要素をさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
提供するステップにおいて、前記コンプレッサは、圧縮空気が圧縮室から密閉された前記クランクケースに流れることを可能にするバルブを有するピストンを更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
提供するステップは、前記タービン及び前記コンプレッサを遊星ギヤに接続することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
提供するステップは、ギヤボックスを使用して前記タービン及び前記コンプレッサを機械的に接続することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
接続するステップにおいて、前記ギヤボックスは、前記乗物の車輪を駆動するための出力シャフトを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
接続するステップにおいて、前記ギヤボックスは、前記乗物のプロペラを駆動するための出力シャフトを更に備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2021年11月24日に出願された米国出願第17/456,481号に基づく優先権とその利益を主張するものであり、この出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、乗物用推進システムに関し、特に、貯蔵排気ガスアシスト内燃パワープラントに関する。一側面において、本発明は、高温の膨張ガスを利用する原動機を有するパワープラントに関する。
【背景技術】
【0003】
乗物推進分野における現在の取り組みは、内燃エンジンの効率を段階的に向上することに主眼が置かれているが、その成功は限定的であり、電動の乗物で使用するための新しいエネルギー貯蔵源を開発しても、同様にわずかな利益しか得られていない。
【0004】
基本的に、従来の内燃エンジンやパワープラント(それぞれ「ICE」や「ICP」)は、かなりの非効率な領域がある。例えば、無駄な再起動を繰り返することを避けるために、ICPは通常、作業が行われていないときはアイドリング状態になっている。しかし、長時間のアイドリング(数秒以上)も燃料消費につながり、費用対効果は得られない。ICPは、動作速度への立ち上がり(すなわち、低回転数または「RPM」)においても同様に非効率である。ICPのいくつかのコンポーネントは、未使用のエネルギーの一部を蓄える(エネルギーを蓄えてスムーズなアイドリングを維持するのに役立つフライホイールなど)が、さらに自重が増える。
【0005】
従来の直接駆動ピークパワーシステムでは、ピークサイズの原動機を使用するのではなく、エンジンはポータブルエネルギー(すなわち燃料)を毎回大きなピークシャフト出力に変換しなければならない。エンジンとトランスミッションは、ピーク過渡要件と走行中の損失を満たすのに十分な大きさでなければならない。エンジンの速度やトルクの動作範囲は乗物のそれらとは異なるため、必要に応じてパワーを変更して伝達するインタフェースが必要となる。トルクコンバータを備えた最新のオートマチック・トランスミッションは、マニュアルトランスミッションの手動クラッチやシフトチェンジを不要にしたが、加速時及び減速時のエンジンの急激な過渡現象は解消されなかった。トルクコンバータにおける粘性流による損失に加えて、回転力を粘性流体動力に変換することはエネルギーを浪費する。
【0006】
過去1世紀にわたるICPの進化は、排気量中心、つまりピークパワーを高めて加速性能を向上させるためにエンジンの排気量を大きくすること、と表現するのが最も適切であろう。排気量の増大は、より厳しい過渡現象が燃焼反応に導入され、有害な排出物が増加し、追加の摩擦損失が導入され、ICPに自重を加えるために更なる部品が必要になるなど、ICP設計の本質的な問題をさらに悪化させている。性能向上と燃料消費量低減のために、わずかな効率向上を伴う改良が開発されてきた。
【0007】
その他の改良点は、強制吸入とバルブ制御に焦点を当てている。例えば、ターボチャージャー、スーパーチャージャー、マルチバルブ、複雑なバルブタイミングなどが追加されたが、ほとんど効果はなかった。これらのアプローチはいずれも、より複雑な材料、より高い公差、及び全体的な重量の増加に加えて、信頼性の高い動作を可能にし、必要な性能指標を得るために、ますます複雑なシステムを必要としている。その結果、ICPの初期コストとメンテナンスコストは、わずかな効率とパワーの向上に対して、大幅に増加している。徐々に厳しくなる規制要件も、ICPのハードウェアと動作の複雑さを加えている。
【0008】
電動の乗物は一般に、同様に大きなレベルの非効率性を有している。特に電気推進システムは、炭化水素ベースの推進システムと比較した場合、少なくとも4つの大きな欠点がある。第一に、電気バッテリー内の電気化学反応は2次元の電極/電解液界面で起こり、表面への及び表面からのイオン及び物質の輸送の速度は有限である。第二に、電子の流れは金属導体を必要とし、磁束は押したり引いたりするために金属コアを必要とする。第三に、電気バッテリーは、全ての反応物、反応生成物、電極、電解液を常に安全な容器に入れて運ばなければならない。これらのコンポーネントは、本明細書に記載された実施形態には見られない自重または追加重量を表す。そして最後に、電気バッテリーは充電時間が比較的長く、真に持続可能な信頼できる供給源(バッチ熱核反応など)から充電する必要がある。
【0009】
これらの問題に対するいくつかの解決策は、米国特許3,672,160号で論じられている。しかし、そこに開示されたシステムは機械的に複雑であり、実用的な方法で実施するには非常に高いオクタン価の燃料が必要だった。有害な排出物を大幅に軽減し、システムの動作の複雑さを大幅に制限しながら、炭化水素の大きなエネルギー容量を活用することができる乗物推進システムに対する根本的なニーズが残っている。本発明は、他の望ましい特徴を有することに加えて、このニーズに対処する解決策に向けられている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の例示的な実施形態によれば、超低排出物の貯蔵排気ガスアシスト内燃パワープラントが提供される。パワープラントは、ギヤボックスを介してコンプレッサ(すなわちパワーシンク)に接続された可変トルク駆動タービン(すなわち原動機)を備える。ギヤボックスは、駆動タービンからコンプレッサへ動力を選択的に向かわせる遊星ギヤまたはエピサイクリックギヤと、少なくとも1つの出力シャフトとを備える。遊星ギヤシステムの太陽ギヤは、可変トルク駆動タービンに接続され、駆動される。遊星ギヤのリングギヤは、ピストンコンプレッサであり得るコンプレッサに接続され、コンプレッサを回転させる。キャリアギヤは、車輪やプロペラなどの乗物に動きをもたらす機構(すなわち出力)に接続されている。コンプレッサは、周囲の空気を取り込んで圧縮し、コンプレッサ内の容積に蓄える。圧縮空気は段階式燃焼器に向かわせられ、燃料蒸気と混合されて点火され、それによって排気ガスが生成される。いくつかの実施形態では、段階式燃焼器は、リッチ燃料混合気の燃焼と、それに続く液滴のないリーン燃料混合気の燃焼を含む段階式燃焼プロセスをサポートする。燃焼からの排気ガスは、工藤タービンのインペラに動きを与えるために、駆動タービンに送られてもよい。排気ガスはまた、冷却された排気ガス貯蔵システム(「CEG貯蔵システム」)に送られてもよい。高温の排気ガスは、貯蔵タンクに貯蔵される前にセラミックハニカム要素によって冷却することができる。いくつかの実施形態では、冷却された排気ガスはセラミックハニカム要素によって再加熱されてもよい。
【0011】
本発明の例示的な実施形態は、従来のICEの、部品(例えば、スターター、トランスミッション、トルクコンバータ、吸気/排気システム、バルブトレイン、及び付属品)、工程(例えば、シリンダ内での燃焼、アイドリング、スロットル)、及びエントロピー損失(例えば、冷却、ポンピング、粘性散逸)の多くを排除している。さらに、本発明の例示的な実施形態は、より少ない可動部品、より少ない重量、及びより少ないコストで、乗物の制御、燃費、排出物、安全性、及び性能を向上する。本発明の例示的な実施形態では、エネルギー貯蔵のための別個の作動媒体は必要ないことに留意されたい。蓄積された排気ガスは、既存のICPと比較して、乗用車の加速時や航空機の離陸時のピークパワーを向上させることができる。
【0012】
本発明の例示的な実施形態は、コンプレッサの動作RPM(毎分回転数)にほぼ比例する出力ブレーキ馬力を達成することができる。いくつかの例示的な実施形態は、同等のICE(例えば、4ストロークICE)よりも2倍以上の馬力を達成することができる。他の例示的な実施形態は、より広い速度範囲に対して20バールを超えるピストン圧縮を提供する。いくつかの例示的な実施形態では、高いストールトルクを有する駆動タービンは、先行技術に見られる原動機よりも速く応答する。いくつかの例示的な実施形態は、タービンの前または/及び後で、高温の排気ガスに更に燃料を噴射する(例えば、アフターバーニング)ことによって、更なる馬力または推力の増加を達成することができる。
【0013】
本発明の例示的な実施形態によれば、タービン駆動パワープラントが提供される。このパワープラントは、直列4気筒内燃エンジンのエンジンブロックに似たサイズ及び配置のブロック(例えば、ショートブロック)を持つコンプレッサを備えている。ピストンロッドやクランクシャフトなどの他の部品も、同時代のICEのピストンロッドやクランクシャフトとサイズやデザインが似ている。しかし、ICEの他の従来の部分は必要ない。本開示の一態様は、吸気テーパーディスクバルブと、テーパーディスクバルブを有するフラットピストンヘッドとを備える実質的にフラットなシリンダカバー/ヘッドである。テーパーディスクバルブを有するピストンヘッドは、圧縮室からコンプレッサブロックのクランクケースへの圧縮空気の流れを可能にする場合がある。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によれば、排気ガスの温度を下げ、動作中または始動時に使用するためにガスを貯蔵するためのCEG貯蔵システムが提供される。冷却貯蔵された排気ガス及び/または圧縮空気は、乗物の他の部分でも使用できる。例えば、貯蔵されたガスは、アジ化ナトリウムを爆発させることなく安全エアバッグを膨張するために使用されてもよい。貯蔵されたガスは、(例えば、単純な膨張によって)乗物の操舵やブレーキ、あるいは空調システムにも使用されてもよい。貯蔵されたガスは、高価なハードウェアやアイドルロス無しで、航空機内で酸素を濃縮するために使用されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、CEG貯蔵システムのタンクを乗物のバンパー内に配置することによって、衝突時の損傷を最小限に抑えることができる。貯蔵された空気はまた、現場でエアツールの動力を供給するために使用されてもよい。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数の分散型貯蔵タンクは、緊急時の予備のために、または乗物の力学やICPの性能をより細かく制御するために、分割されてもよい。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によれば、開示された推進システムによって動力を供給される乗物の運転者は、駆動タービンのトルクを直接に制御する。ブレイトンサイクルエンジンとは異なり、噴射された燃料がタービン入口温度と出力パワーを制御する。いくつかの例示的な実施形態では、トルクの一部は、必要に応じて動作圧力を維持し、CEG貯蔵システムを満杯に維持するために、コンプレッサに自動的に動力を供給してもよい。CEG貯蔵システムのタンクが満杯であるときに、コンプレッサが切り離されてもよい。
【0016】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、NOxの生成と高価な高温金属の必要性を避けるため、入口タービン温度を華氏約2K度に設定してもよい。さらに他の例示的な実施形態では、圧力は貯蔵システムの1つの動作変数であり、タービン、コンプレッサ、車輪またはプロペラの速度、周囲の状況、及び道路または飛行状況に基づいて、搭載されたコンピューターによって最適化される。
【0017】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、排出物を低減するため、パワープラントは、タービン入口付近の局所的な最高温度を維持し、微粒子やNOxの生成を回避するために、段階的燃焼プロセス(例えば、リッチ混合気、その後リーン混合気)において予め気化させた燃料を使用してもよい。本発明のいくつかの例示的な実施形態は、気化可能でオクタン価もセタン価も要求されない任意の燃料を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による推進システムの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による推進システムの上面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態による、
図2のギヤボックスの右側等角詳細図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態による、
図2のギヤボックスの左側等角詳細図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態による、
図2のギヤボックスの右側詳細図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態による、
図2のギヤボックスの左側詳細図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による、コンプレッサの例示的なシリンダ及びピストンの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態による、
図2のコンプレッサの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図6は、全体を通して同様の部品が同様の参照数字で示されており、乗物に使用される推進システムの例示的な1つまたは複数の実施形態を示している。本発明は、図に示される例示的な1つまたは複数の実施形態を参照して説明されるが、多くの代替形態が本発明を具体化できることを理解されたい。当業者は、さらに、本発明の精神及び範囲を依然として維持する方法で開示された実施形態(単数または複数)のパラメータを変更するさまざまな方法を理解するであろう。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による推進システム100の概略図である。本発明のいくつかの実施形態では、推進システムは、パワープラント101とCEG貯蔵システム130とを備える。他の実施形態では、推進システム100は、パワープラントを特定の用途(すなわち乗物)に統合するために、ギヤボックス、トランスミッション、ディファレンシャルなどのコンポーネントを備えていてもよい。さらに他の実施形態では、推進システムは、飛行制御面、ブレーキシステム、ステアリングシステム、油圧システム、空気圧システム、及び電気機械システムを備える、より大きなシステムの一部であってもよい。
【0021】
一実施形態では、パワープラント101は、ギヤボックス104によって接続された駆動タービン102とコンプレッサ106とを備える。動作中、駆動タービン102は、以下で更に詳細に説明するように、燃焼器108からの高温の排気ガスによって動力を供給されてもよい。いくつかの実施形態では、燃焼器108からの高温の排気ガスは、蓄熱器126を介して駆動タービン102及びCEG貯蔵システム130に向かわせられてもよい。一実施形態では、駆動タービン102は、広範囲のロータ速度で動作可能な可変トルク駆動タービンとすることができる。いくつかの実施形態では、燃焼器108は一次燃焼器であってもよく、パワープラント101は二次燃焼器110を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、一次燃焼器108及び二次燃焼器110は、段階的燃焼を支援するための段階的燃焼器の要素である。いくつかの実施形態では,段階的燃焼は、リッチ燃料混合気とリーン燃料混合気を含む。
【0022】
さらに
図1を参照すると、一実施形態では、駆動タービン102の出力がギヤボックス104に連結されてもよい。一実施形態では、ギヤボックス104の出力がコンプレッサ106を駆動してもよい。いくつかの実施形態では、ギヤボックス104は、乗物において移動をもたらす手段(すなわち、車輪またはプロペラ)に結合された追加の出力を備えることができる。いくつかの実施形態では、ギヤボックス104は、駆動タービン102からコンプレッサ106及び他の出力に動力を伝達するための遊星ギヤシステムを備えていてもよい。ギヤボックス104の実施形態は、
図3及び
図4を参照して更に詳細に説明される。一実施形態では、ギヤボックス104は、動力源から駆動手段への動力の自動伝達手段を提供することができる。いくつかの実施形態では、減速中に、ギヤボックス104は、例えば、減速中の乗物の運動エネルギーを変換してコンプレッサ106を駆動することによって、回生制動を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、ギヤボックス104は、高い毎分回転数(「RPM」)で動作するタービンロータ216と、比較的低いRPMで動作するコンプレッサ106との間の速度の低下を可能にしてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、コンプレッサ106は周囲の空気を取り込んで圧縮してもよい。いくつかの実施形態では、コンプレッサ106によって圧縮された周囲の空気は、燃焼器108に直接に送ることができる。いくつかの実施形態では、コンプレッサ106からの圧縮空気は、コンプレッサ106内の容積(例えば、クランクケース)に貯蔵され、必要に応じて燃焼器108に放出されてもよい。いくつかの実施形態では、圧縮空気は貯蔵システム130に直接に移送されてもよい。他の実施形態では、圧縮空気はコンプレッサ106内の容積に貯蔵され、必要に応じて貯蔵システム130に向かわせられてもよい。いくつかの実施形態では、コンプレッサ内の容積に貯蔵される圧縮空気は、一定の圧力で貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、コンプレッサは、コンプレッサ内の容積に貯蔵された圧縮空気を一定の圧力に維持する。
【0024】
一実施形態では、コンプレッサ106は、発電機112、水ポンプ114、燃料ポンプ116などの他の要素を駆動するための出力を提供してもよい。いくつかの実施形態では、発電機112、水ポンプ114、及び燃料ポンプ116は、例えば、電気または制御サブシステム118、冷却/加熱サブシステム120、または燃料サブシステム122など、パワープラントの他のサブシステムの一部を形成してもよい。
【0025】
サブシステム118、120、122について簡単に説明する。一実施形態では、電気または制御サブシステム118は、バッテリー、電気加熱システム(例えば、ブロック228を加熱するため、またはキャビンに暖房を提供するため)、及び発電機(すなわち、発電機112)を備えることができる。いくつかの実施形態では、推進システム100は、同様の性能特性を有する内燃パワープラント(「ICP」)よりも部品やコンポーネントが大幅に少なくて済む場合があることに留意されたい。そのため、これらの実施形態では、従来の要素は、比較可能なICPの要素よりも比較的小さかったり、性能特性が著しく低かったりすることがある。例えば、一実施形態では、推進システム100は電気スターターを必要としないため、電気または制御サブシステム118のバッテリーは、数アンペア時(例えば、3~5Ah)の蓄電容量しか有しない場合がある。参考までに、一般的な乗用車用バッテリーの蓄電容量は50Ahで、一般的な単発航空機用バッテリーの容量は11Ahである。
【0026】
いくつかの実施形態では、制御サブシステム118は、推進システム100のいくつかのバルブ、燃焼器、燃料サブシステム、および他のサブシステムを制御し得るプロセッサ、コンピューティングハードウェア、センサ(すなわち、温度および圧力センサ)、および制御装置を備えていてもよい。他のいくつかの実施形態では、電気または制御サブシステム118は、ライト、リレー、ロック、及び乗物の制御などの他の乗物のシステムを制御するためのハードウェアを備えることができる。他のいくつかの実施形態では、電気または制御サブシステム118は、1重ループの正ライン及びスマート端子を有する短いコネクタを備えたオンボードコンピューターからの符号化信号を使用して、乗物の機能(例えば、ライト、ドア)を制御することができる。
【0027】
一実施形態では、冷却/加熱サブシステム120は、流体(例えば、水)を使用して冷却または加熱機能を提供してもよい。いくつかの実施形態では、冷却/加熱サブシステム120は、駆動タービン102、ギヤボックス104、及びコンプレッサ106のうちの少なくとも1つに冷却を提供することができる。いくつかの実施形態では、冷却/加熱サブシステム120は、水ポンプ、リザーバ、及びラジエータを備えていてもよい。一実施形態では、航空機または乗用車の客室を暖房するために、冷却/加熱サブシステム120は、客室に小型ラジエータを備えていてもよい。
【0028】
一実施形態では、燃料サブシステム122は、例えば燃料ポンプ116を使用して燃焼器108に燃料を供給してもよい。いくつかの実施形態では、燃料サブシステム122は、燃料ポンプ116を介して燃料タンクから燃料を送るために、燃焼器108内に配置された燃料インジェクタを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、インジェクタまたは燃料ポンプ116内の燃料流量または燃料圧力は、所定の動作タービン入口の圧力及び温度によって決定されてもよい。
【0029】
一実施形態では、燃焼器108は、燃焼を維持するために、圧縮空気を気化燃料と混合してもよい。一実施形態では、燃焼器108は、段階的な実質的に均質な燃焼を維持するために、燃焼室(例えば、燃焼室243)内に燃料を向かわせる手段(例えば、ベーン及びノズル)を備えることができる。いくつかの実施形態では、燃焼は、点火器124を使用して空気/燃料混合物に点火することによって開始されてもよい。一実施形態では、点火器124は、電気システム118に接続された熱線点火器とすることができる。いくつかの実施形態では、燃料は、燃料システム122の一部として、ポンプ116によってリザーバまたはタンクから燃焼器に向かわせられてもよい。
【0030】
上述したように、一実施形態では、燃焼器108からの高温の排気ガスは、駆動タービン102およびCEG貯蔵システム130に向かわせられてもよい。いくつかの実施形態では、高温の排気ガスは、CEG貯蔵システム130に到達する前に冷却されてもよい。これらの実施形態では、高温の排気ガスは蓄熱器126を通って送られてもよい。蓄熱器126は排気ガスの熱エネルギーを捕捉し、その結果冷却された排気ガスをCEG貯蔵システム130に送ってもよい。いくつかの実施形態では、排気ガスから熱エネルギーを捕捉する過程で、凝縮により水が生成され得る。水は排水口128から排出されるか、冷却/加熱サブシステム120に向かわせられ得る。いくつかの実施形態では、排水口128で集められた凝縮水は、化粧室のような生活支援システムのために使用したり、飲料水に変換したりすることができる。
【0031】
一実施形態では、蓄熱器126は、排気ガスからの熱エネルギーを捕捉して蓄えるために、大きな表面積を有するセラミックハニカム要素を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、燃焼器からの排気ガスが蓄熱器126に送られるとき、排気ガスに最も近いセラミックハニカムの部分が高温に加熱される可能性があり、排気ガスがハニカム要素を通って伝搬するにつれて、ガスの温度は、CEG貯蔵システム130に向かわせられる前に適切な温度または所望の温度(例えば、周囲の温度)に達するまで低下する可能性がある。この温度プロファイルはS字型温度プロファイルと知られることもある。いくつかの実施形態では、動作中、CEG貯蔵システム130からの空気は、蓄熱器126を通って駆動タービン102に向かわせることができる。空気が蓄熱器126を通って伝搬するときに、冷却された排気ガスは必要な温度まで加熱され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、冷却された排気ガスがCEG貯蔵システム130に蓄積されると、CEG貯蔵システム130及び蓄熱器126の圧力が上昇し、ハニカム要素に熱が蓄積する。留意されるように、いくつかの実施形態では、ハニカム要素は能動的な加熱コンポーネントを含まないことがあり、そのような場合、一定時間後(例えば、乗物が一晩駐車された後)、ハニカム内の熱は完全にまたは部分的に放散し得る。
【0033】
一実施形態では、推進システム100が長時間停止している場合、CEG貯蔵システム130に貯蔵された空気は、パワープラントを始動するために、駆動タービン102に向かわせることができる。いくつかの実施形態では、冷却された排気ガスは、周囲から熱を奪うことによって温度上昇を起こし得る。いくつかの実施形態では、CEG貯蔵システム130は、繰り返される開始シーケンスを維持するのに十分な総容積を保持してもよい。いくつかの実施形態では、最初の始動プロセスの後、燃焼器108からの排気ガスは、熱プロファイルを復元する(すなわち、ハニカム要素を加熱する)ために、蓄熱器126を通って移動させることができる。いくつかの実施形態では、CEG貯蔵システム130からの冷却ガスは、燃焼器108において燃焼を開始する前に、乗物を駆動するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ハニカム要素の過加熱は、蓄熱器126のハニカム要素の所望の熱プロファイルを維持するために、コンプレッサ106の内部容積からCEG貯蔵システム130に空気を向かわせることによって防止することができる。
【0034】
一実施形態では、CEG貯蔵システム130は、1つまたは複数の分散型構造ガス貯蔵タンク132、主遮断バルブ134、及び仕切りバルブ136を備えることができる。タンク132への流量及びタンク132からの流れは、主遮断バルブ134によって制御され得る。仕切りバルブ136は、複数の132の間で空気を個別に割り当てることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、CEG貯蔵システム130は1つのタンク132のみを備える。他の実施形態では、CEG貯蔵システム130は複数のタンク132を備えていてもよい。さらにいくつかの他の実施形態では、複数のタンク132をバルブ136によって仕切られていてもよい。いくつかの実施形態では、CEG貯蔵システム130は、アクセサリ出力バルブ138によって制御されるアクセサリ出力ポート140を備えることができる。いくつかの実施形態では、アクセサリポート140は、CEG貯蔵システム130からの圧縮空気が外部アクセサリ、例えば空気圧ツールにパワーを供給できるようにすることができる。他の実施形態では、出力ポート140は、CEG貯蔵システム130が外部供給源から圧縮空気を受け取ることを可能にすることができる。推進システム100は、受け取った圧縮空気を、パワープラント101の始動を含む任意の目的に使用してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、CEG貯蔵システム130は、乗物の全体に分散配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、一部のタンク132は乗用車のフロントバンパー内に配置されてもよく、残りのタンクは乗用車のリアバンパー内に配置されてもよい。他の実施形態では、タンク132は、航空機のヒンジ付きカナードまたは頭上空間内に配置されてもよい。他のいくつかの実施形態では、一部のタンク132は乗物の管状フレームの一部である。他の実施形態では、乗物は管状フレームを備え、冷却された排気ガスは管状フレーム内に貯蔵される。
【0036】
次に
図2を参照すると、本発明の実施形態によるパワープラント200の駆動タービン202、ギヤボックス204、コンプレッサ206、及び燃焼器208が示されている。一実施形態では、駆動タービン202は、取付プレート212に固定されたハウジング210を備えていてもよく、取付プレート212はさらにギヤボックス204に固定されている。いくつかの実施形態では、取付プレート212は、駆動タービン202からの熱がギヤボックス204へ伝達するのを防止するために、断熱材料から製造されてもよいし、または断熱材料を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、タービンからギヤボックスへの熱伝達を防止するために、駆動タービン202とギヤボックス204との間に断熱材または熱シールドが配置されてもよい。
【0037】
一実施形態では、駆動タービン202は、タービンロータ216を保持する軸受チューブ214を備えていてもよい。タービンロータ216は、タービン側に配置されたインペラ218と、ギヤボックス204側に太陽ギヤ220とを備えていてもよい。インペラ218は、ハウジング210内に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、燃焼器208からの高温ガスは、入口222を通ってタービンのハウジング210に入り得る。いくつかの実施形態では、高温ガスは、入口222のノズルを通ってハウジング210210に入り得る。いくつかの実施形態では、ハウジング210は、ハウジング210の円周の周りに配置された複数の入口222と、複数の入口222に配置された複数のノズルとを備えることができる。インペラ218は、高温ガスは、ハウジング210に入って膨張する際に回転し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ノズルを通る高温ガスの流れは、嵌合キャッスルリング224によって制御され得る。一実施形態では、動作中、パワープラント200によって動力を供給される乗物の運転者は、パワープラント200の出力を制御し、したがって乗物の動きを制御するために、機械的な連結を介してまたは電子制御を介して、リング224に直接に作用してもよい。
【0039】
上述したように、ロータ216は駆動タービン202からギヤボックス204まで延びている。ロータ216は、ギヤボックス204の遊星ギヤまたはエピサイクリックギヤの太陽ギヤであり得る太陽ギヤ220を備えている。ギヤボックス204の遊星ギヤのリングギヤ226は、コンプレッサ206内に延びていてもよい。ギヤボックス204については、以下の
図3及び
図4を参照して更に詳細に説明する。
【0040】
コンプレッサ206は、シリンダ230とクランクシャフト232とを保持するブロック228を備える。いくつかの実施形態では、ブロック228は、
図5及び
図6に示すように、密閉されたクランクケース部分、シリンダ部分、及びカバーを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、シリンダ230はウェットシリンダであってもよい。いくつかの実施形態では、シリンダ230は、ドライシリンダ(例えば、空冷シリンダ)であってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、ブロック228のシリンダ230で燃焼が起こらない場合、ブロック228は、同様のシリンダ数及び構成を持つ内燃エンジンよりも比較的少ない冷却を必要とする。いくつかの実施形態では、ブロック228はインライン4の構成を有することができる。いくつかの実施形態では、ブロック228は、
図1に関して説明した冷却/加熱サブシステム120と同様の冷却加熱システムによって少なくとも部分的に水冷することができる。いくつかの実施形態では、ブロック228の外面は、コンプレッサ206の空冷を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、推進システムが凍結温度を経験し得る場合、ブロック228は、電気ヒーターまたはブランケットによって、あるいは高温の排気ガスをブロック228の周囲に送ることによって、加熱され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、コンプレッサ206は、ギヤボックス204をコンプレッサ206のブロック228に取り付けるための取付プレート234を備える。いくつかの実施形態では、クランクシャフト232は、一端部にギヤボックス204の遊星ギヤのリングギヤ226を備え、他端部にギヤ236を備える。いくつかの実施形態では、ギヤ236は、水ポンプ(例えば、冷却/加熱システム120の水ポンプ114)を駆動する。いくつかの実施形態では、ギヤ236は、発電機(例えば、電気または制御サブシステム118の発電機112)を駆動するために、ギヤ238と噛み合う。いくつかの実施形態では、ギヤ236は、燃料ポンプ(例えば、燃料サブシステム122の燃料ポンプ116)を駆動するために、ギヤ240と噛み合う。
【0043】
いくつかの実施形態では、燃焼器208はブロック228の一部であってもよい。他の実施形態では、燃焼器208はブロック228とは別体であってもよい。一実施形態では、燃焼器208は、断熱ハウジング242と、燃焼室243と、有孔管リアクター244とを備える。有孔管リアクター244は、断熱ハウジング242内に配置されてもよい。動作中、燃料は有孔管リアクター244を通って燃焼室に向かわせることができる。いくつかの実施形態では、点火器(図示せず)が空気/燃料混合気に点火して燃焼を開始させる。いくつかの他の実施形態では、点火器は必要なく、混合気は特定の温度または圧力に達した後に燃焼し得る。いくつかの実施形態では、有孔セラミック管リアクター244は、必要に応じて、静的混合ベーンまたは触媒を保持することができる。
【0044】
次に、
図3A及び
図3Bを参照すると、本発明の実施形態によるギヤボックス204の左右の等角詳細図がそれぞれ示されている。上述したように、タービンロータ216は、一端部にインペラ218を備え、他端部に太陽ギヤ220を備える。太陽ギヤ220は遊星ギヤ248に噛み合い、遊星ギヤ248はクランクシャフト232のリングギヤ226に噛み合う。一実施形態では、ブレーキ250がリングギヤ226の外周面を覆っている。動作中、ブレーキ250はリングギヤ226を所定の位置に保持し、例えばコンプレッサ206を停止状態にする。ブレーキ250は、リングギヤ226を固定する手段の典型であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、クランクシャフト232の周囲に配置されたディスクブレーキの実装により、ブレーキ250と同様の効果を達成することができる。他の実施形態では、電磁ブレーキは、リングギヤ226の回転を停止するために、リングギヤ226と電気機械システム(例えば、発電機)との係合を可能にすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、キャリアギヤ246は、ロータ216の周囲に配置されるが、ロータ216とは独立して回転し得る。いくつかの実施形態では、キャリアギヤ246は遊星ギヤ248に機械的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、キャリアギヤ246は、コネクタギヤ254を介して出力ギヤ252と係合していてもよい。いくつかの実施形態では、出力ギヤ252の逆回転を達成するために、キャリアギヤ246は、一組のリバースギヤ260を介して出力ギヤ252と係合してもよい。他の実施形態では、キャリアギヤ246は、コネクタギヤ258を介して出力ギヤ256と係合してもよい。図示されていないが、いくつかの実施形態では、出力ギヤ256は、一組のリバースギヤを介して逆回転を達成することができる。
【0046】
図4A及び
図4Bは、それぞれ、本発明の実施形態によるギヤボックス204の右詳細図及び左詳細図を示す。留意されるように、駆動タービン202からの動力は、要件または実行されるプロセスに応じて異なる経路で送られることができる。一般に、駆動タービン202からの動力は、リングギヤ226、キャリアギヤ246、またはその両方に同時に向かわせることができる。キャリアギヤ246は、いくつかの実施形態によれば、出力ギヤ252及び256に動力を供給してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、駆動タービン202からの動力は、キャリアギヤ246の移動を阻止することによって、コンプレッサ206のみに送られてもよい。いくつかの実施形態では、構成に応じて、出力ギヤ252、出力ギヤ256、またはその両方の動きを妨げることによって、キャリアギヤ246の動きが妨げられてもよい。例えば、出力ギヤ252が乗物の車輪に連結されている実施形態では、乗物にブレーキをかけると、出力ギヤ252が回転するのを妨げることができ、したがって、キャリアギヤ246の回転も妨げることができる。その場合、駆動タービン202からの動力は、リングギヤ226を介してコンプレッサ206にその全体を伝達することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、駆動タービン202からの動力は、ブレーキ250をリングギヤ226に作用させてリングギヤの動きを妨げることによって、出力ギヤ252、出力ギヤ256、またはその両方に送られることができる。これらの実施形態では、コンプレッサ206を停止させ得、タービンの全出力を乗物の推進に使用し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、例えば乗物が自動車である場合、ギヤボックス204は出力ギヤ252のみを備えてもよい。出力ギヤ252は、従来の方法(すなわち、トランスミッション、トランスファーケース)を使用して乗物の駆動輪に連結することができる。他の実施形態では、例えば乗物が航空機である場合、ギヤボックス204は出力ギヤ256のみを備えてもよい。出力ギヤ256は、次に、従来の方法(すなわち、トランスミッション、トランスファーケース)を使用して、航空機の1つのプロペラまたは複数のプロペラに連結することができる。さらに他の実施形態では、例えば、乗物が乗物を推進するための複数のシステム(例えば、乗用車と航空機の両方)を有する場合、ギヤボックス204は、出力ギヤ252と出力ギヤ256を備えてもよい。出力ギヤ252は駆動輪に連結されてもよく、出力ギヤ256はプロペラに連結されてもよい。上述したように、トランスミッション、ディファレンシャル、またはトランスファーケースなどの他の従来の要素を、本明細書に記載された実施形態に加えて使用してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えば乗物が乗用車である場合、従来の駐車状態を実現するために、コネクタギヤ254とリバースギヤ260の両方を係合させて乗物の移動を妨げ得る。他の実施形態では、乗用車を牽引するために、コネクタギヤ254とリバースギヤ260の両方の係合を切り離し、それによって車輪を動力装置から切り離し得る。いくつかの実施形態では、例えば乗物が航空機である場合、車輪と少なくとも1つのプロペラとに動力を供給するために、コネクタギヤ254とコネクタギヤ258の両方が離陸中に係合し得る。着陸中に、従来の車輪ブレーキシステムは航空機を減速させ得、車輪のみで乗物を推進させるためにコネクタギヤ258は切り離され得る。いくつかの実施形態では、乗物は水に浮くこともできてもよい(例えば、使用しないときに乗物に取り付けられ、乗物内に収納されるサイドポッドを膨らませることによって)。これらの実施形態では、乗物は、出力ギヤの1つに接続された従来のボートプロペラを使用してもよい。いくつかの実施形態では、ギヤボックス204は、複数の推進源を駆動するためにキャリアギヤ246に接続された追加の出力を備えてもよい。
【0051】
ここで
図5を参照すると、本発明の実施形態によるコンプレッサの例示的なシリンダ及びピストンの断面図が示されている。一実施形態では、ピストン502はシリンダ230内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、シリンダ230の一部(例えば、ピストンヘッドとクランクケースとの間)は、ブロック228のクランクケースと流体接続している。いくつかの他の実施形態では、ピストン502は、コネクティングロッド504によってクランクシャフト232に接続されてもよい。さらにいくつかの他の実施形態では、シリンダは、ブロック228に固定されたシリンダヘッド506によって覆われていてもよい。いくつかの実施形態では、シリンダヘッド506は、シリンダごとに少なくとも1つの吸気バルブ512を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、吸気バルブ512は、例えば、付勢部材514によってばね負荷されたテーパーディスクバルブとすることができる。いくつかの実施形態では、ピストン502のヘッドは、バルブ508を有するフラットヘッドであってもよい。一実施形態では、バルブ508は、テーパーディスクバルブであることができる。いくつかの実施形態では、バルブ508は、付勢部材510によってピストンヘッドに対して保持されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、動作中、コンプレッサ206のシリンダ230は、バルブ512を通してダウンストローク中に周囲の空気を吸引することによって空気を圧縮することができる。アップストローク中、バルブ512は閉じてもよく、圧縮室505内で圧縮室とクランクケースとの間の所望の圧力差が達成されると、バルブ508は、付勢部材510からの力に打ち勝つことによって開いてもよい。次に、圧縮室からの圧縮空気は貯蔵のためにクランクケースに向かわせられてもよい。いくつかの実施形態では、バルブ512とバルブ508の少なくとも1つは、電気または制御サブシステム118の一部として電子的に制御されてもよい。上述したように、クランクケースからの圧縮空気も、必要に応じて、または連続的に燃焼器208に向かわせることができる。
【0053】
ここで
図6を参照すると、本発明の一実施形態による
図2のコンプレッサの部分背面図が示されている。本明細書で述べたように、ブロック228はクランクケース602とシリンダヘッド604を備えていてもよい。本明細書で更に述べたように、ギヤ236はクランクシャフト232接続されてもよい。いくつかの実施形態では、ギヤ236は、水ポンプ114、発電機112、及び燃料ポンプ116のうちの少なくとも1つを駆動してもよい。一実施形態では、ギヤ236は永久磁石に直接接続することができ、永久磁石は発電機の一部としてステータのコイルによって囲まれていてもよい。ギヤ236が回転すると、コイルに電流が誘導される。
【0054】
以下の説明では、異なる図に関して開示された要素を参照する。しかし、以下はいかなる点においても限定することを意図したものではなく、代わりにいくつかの要素の機能のいくつかを説明することを意図している。本開示全体を通して参照されているように、本明細書に記載されている推進システムは、実行される動作の種類または達成されるべき最終状態に応じて、異なるように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ICPは、開始状態、動作状態、シャットダウン状態、または停止状態に対して異なるように構成されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、開始状態の前に、外部供給源からの圧縮空気が、ポート(例えば、アクセサリ出力ポート140)を通して冷却された排気ガス貯蔵システム(例えば、CEG貯蔵システム130)に向かわせられ、貯蔵システムのタンクまたはタンク(例えば、タンク132)を満たす。いくつかの実施形態では、開始状態の前に、圧縮空気は、コンプレッサ(例えば、コンプレッサ106)のクランクケースに貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、起動状態の起動プロセス中に、貯蔵システム、外部供給源、またはコンプレッサのクランクケースからの圧縮空気が、バルブを介して蓄熱器(例えば、蓄熱器126)を通してタービン(例えば、駆動タービン102)に向かわせられてもよい。ギヤボックス(例えば、ギヤボックス104)に接続されたタービンのインペラ(例えば、インペラ218)は、膨張する圧縮空気によって回転してもよい。次に、ギヤボックスはタービンからコンプレッサに動力を伝達してもよい。コンプレッサは周囲の空気を取り込んで圧縮してもよい。いくつかの実施形態では、圧縮空気は燃焼器(例えば、燃焼器108)に向かわせられてもよい。他の実施形態では、圧縮空気は、燃焼器に放出される前に、圧縮機内の貯蔵容積に貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、燃焼器は、受け取った圧縮空気と、燃料ポンプ(例えば、燃料ポンプ116)によって供給された燃料とを混合して、燃焼室(例えば、燃焼室243)内で燃焼を開始する。いくつかの実施形態では、燃焼が安定状態に達した後、または所望の圧力もしくは温度に達した後、燃焼器からタービンに排気ガスを向かわせるためにバルブが切り替えられてもよい。他の実施形態では、排気ガスはバルブによってタービンと貯蔵システムの両方に向かわせられてもよい。
【0056】
一実施形態では、燃焼器で安定した燃焼が達成され、排気ガスがタービンに連続的に流れてサイクルが完了すると、動作状態が開始され、維持される。いくつかの実施形態では、推進システムを備えた乗物の運転者は、タービンのノズルの出力を調節するために、嵌合キャッスルリング(例えば、嵌合キャッスルリング224)を使用してタービンへの排気ガスの流れを制限することによって、推進システムの性能特性(例えば、加速度)を変化させてもよい。動作状態は、シャットダウン状態のシャットダウンプロセスが開始されるまで継続してもよい。
【0057】
一実施形態では、シャットダウン状態のシャットダウンプロセスは、タービンを部分的または全体的に停止させることによって開始される。いくつかの実施形態では、タービンを失速させることは、タービンへの流れを制限することを含む。排気ガスは、タンクを満たすため、またはタンク、燃焼器、及びタービンを所望の圧力に維持するために、貯蔵システムに向かわせられてもよい。他の実施形態では、タービンを失速させることは、インペラの回転を機械的に減速または停止させることを含む。いくつかの実施形態では、シャットダウン状態は、燃焼器内の燃焼を消すこと(すなわち、燃焼器から燃料、空気、またはその両方を奪うこと)によって開始される。いくつかの実施形態では、燃焼器で燃焼が発生しないか、タービンの動作が停止したときに、シャットダウン状態は終了する。
【0058】
一実施形態では、シャットダウン状態が達成されると、推進システムは停止状態に入る。いくつかの実施形態では、停止状態では、推進システムは動力も生成しなくてもよい。他の実施形態では、停止状態では、推進システムのいくつかの要素またはサブシステムは通電または動作してもよいが、他の要素またはサブシステムは通電または作動しなくてもよい。
【0059】
本明細書で使用される場合、備える(「comprises」および「comprising」)という用語は、排他的ではなく、包括的であると解釈されることを意図している。本明細書で使用される場合、「例示的」、「例」、および「説明的」という用語は、「例、事例、または説明として役立つ」ことを意味することを意図しており、他の構成に対する好ましい構成または有利な構成を示す、または示さないものとして解釈されるべきではない。本明細書で使用されるように、「約」、「一般的に」、「およそ」という用語は、特性、パラメータ、サイズ、寸法のばらつきなど、主観的または客観的な値の範囲の上限および下限に存在し得るばらつきをカバーすることを意図している。非限定的な一例では、「約」、「一般的に」、「およそ」という用語は、プラス10パーセント以下またはマイナス10%以下を意味する。非限定的な一例では、「約」、「一般的に」、「およそ」という用語は、関連分野の当業者によって含まれると判断されるほど十分に近いことを意味する。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、当業者であれば理解できるであろう、動作、特性、状態、構造、項目、または結果の、完全またはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」円形である物体は、その物体が数学的に決定可能な限度まで完全に円形であるか、または当業者であれば認識または理解できるようなほぼ円形であるかのいずれかを意味する。絶対的な完全性からの正確な逸脱の許容度は、場合によっては特定の状況に依存する場合がある。しかし、一般的には、完成の近さは、絶対的かつ完全な完成が達成された又は得られた場合と同じ全体的な結果をもたらすようになるであろう。「実質的に」の使用は、当業者であれば認識されるように、ある作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全な欠如、またはほぼ完全な欠如を指すために否定的な意味合いで使用される場合にも、同様に適用可能である。
【0060】
本発明の多数の変形例および代替実施形態は、前述の説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。従って、本説明は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施するための最良の態様を当業者に教示することを目的としている。構造の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく実質的に変更してもよく、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての変更の排他的使用は留保される。本明細書では、明瞭かつ簡潔な明細書を書くことができるように、実施形態を説明してきたが、実施形態は、本発明から離れることなく、様々に組み合わせたり分離したりすることが意図されており、また理解されるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲および適用可能な法律の規則によって要求される範囲にのみ限定されることが意図されている。
【0061】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された本発明の全ての一般的な特徴及び特定の特徴、ならびに、言葉の問題としてその間に入ると言えるであろう本発明の範囲に関する全ての記載をカバーするものであることを理解されたい。
【国際調査報告】