(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】植物胚を分類する装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20241210BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20241210BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/34 Z
C12Q1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531289
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 FI2022050786
(87)【国際公開番号】W WO2023094731
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524195824
【氏名又は名称】カーッコイス-スオメン アンマッティコルケアコウル オサケユキチュア
(71)【出願人】
【識別番号】524195835
【氏名又は名称】ルオンノンヴァラケスクス
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト エルマー
(72)【発明者】
【氏名】ハヴィア エリナ カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンッコ テロ-マルクス
(72)【発明者】
【氏名】レイノネン ハンヌ
(72)【発明者】
【氏名】モントネン ヘンリ
(72)【発明者】
【氏名】ティッキネン ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】アロネン トゥイヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリマキ サカリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリス サイラ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB12
4B029FA01
4B029HA09
4B063QA01
4B063QQ09
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
植物の胚を分類する装置(100)であって、1個以上の植物胚(104)を受け入れ、液体を用いないで振動させることによって、植物胚(104)を再配置するとともに/あるいは分離するよう構成された振動ベース(102)と、少なくとも、振動ベース(102)上の単一の植物胚を検出するよう構成された少なくとも1つのセンサ(108)と、検出された単一の植物胚(104)を振動ベース(102)から拾い出すよう構成されたグリッパ(110)を有するロボット(106)と、グリッパ(110)内の単一の植物胚(104)を複数の方向から画像化するよう構成された少なくとも1台のカメラ(112)と、画像に基づいて、単一の植物胚(104)の品質を判定するよう構成された処理ユニットとを有し、処理ユニットはさらに、制御信号をロボット(106)に与えて植物胚(104)の品質に基づいて単一の植物胚(104)を第1または第2のグループに移動させるよう構成されている、ことを特徴とする装置(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の胚を分類する装置(100)であって、
1個以上の植物胚(104)を受け入れ、液体を用いないで振動させることによって、前記植物胚(104)を再配置するとともに/あるいは分離するよう構成された振動ベース(102)と、
少なくとも前記振動ベース(102)上の単一の植物胚を検出するよう構成された少なくとも1つのセンサ(108)と、
前記検出された単一の植物胚(104)を前記振動ベース(102)から拾い出すよう構成されたグリッパ(110)を有するロボット(106)と、
前記グリッパ(110)内の前記単一の植物胚(104)を複数の方向から画像化するよう構成された少なくとも1台のカメラ(112)と、
前記画像に基づいて、前記単一の植物胚(104)の品質を判定するよう構成された処理ユニットとを有し、前記処理ユニットはさらに、制御信号を前記ロボット(106)に与えて前記植物胚(104)の前記品質に基づいて前記単一の植物胚(104)を第1または第2のグループに移動させるよう構成されている、装置(100)。
【請求項2】
前記装置(100)は、
皿(122AB)を受け入れて移動させるよう構成されたコンベヤ(114)と、
前記皿(122AB)を前記皿の第1のストック(126)から前記コンベヤ(114)に押し出すよう構成された第1のプッシャ(116)と、
前記皿(122AB)を前記コンベヤ(114)から前記皿の第2のストック(124)に押し出すよう構成された第2のプッシャ(118)と、
前記皿(122AB)のカバー(122B)を開けるとともに/あるいは閉めるよう構成された皿ハンドラ(120)とをさらに有し、
前記皿ハンドラ(120)は、前記皿(122AB)が前記第1のプッシャ(116)によって前記コンベヤに押し出されると、前記皿(122AB)の前記カバー(122B)を開けて保持するよう構成され、
前記コンベヤ(114)は、前記皿(122A)を前記カバー(122B)なしで第1の場所に移動させ、該第1の場所において、前記ロボット(106)は、前記第1のグループの1個以上の植物胚(104)を前記皿(122A)内に納めるよう構成されており、前記コンベヤ(114)はさらに、前記皿(122A)を前記カバー(122B)で閉じるために前記皿(122A)を前記皿ハンドラ(120)に戻すよう構成され、
前記コンベヤ(114)はさらに、前記閉じた皿(122AB)を第2の場所に移動させ、該第2の場所において、前記第2のプッシャ(118)は、前記皿(122AB)を前記皿の前記第2のストック(124)に押し出すよう構成されている、請求項1移載の装置(100)。
【請求項3】
前記装置(100)は、前記ロボット(106)に結合されたツールモジュール(128)をさらに有し、前記ツールモジュール(128)は、少なくとも、前記グリッパ(110)および複数のカメラ(112)を含む、請求項1または2記載の装置(100)。
【請求項4】
前記ツールモジュール(128)は、前記グリッパ(110)を前記ツールモジュール(128)内に受け入れるよう構成され、前記ツールモジュール(128)の前記グリッパ(110)内の前記単一の植物胚(104)を画像化するよう構成された複数のカメラ(112)が前記ツールモジュール(128)内に設けられている、請求項3移載の装置(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ(108)はさらに、少なくとも、前記振動ベース(102)上の前記1個以上の植物胚(104)を画像化するよう構成され、前記処理ユニットはさらに、少なくとも1つの画像に基づいて、前記振動ベース(102)上の前記植物胚(104)を識別するよう構成され、さらに、前記単一の植物胚(104)を前記識別した植物胚(104)から拾い出すための前記グリッパ(110)を有する前記ロボット(106)に制御信号を与えるよう構成されている、請求項1~4のうちいずれか一に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記装置(100)は、可動である、請求項1~5のうちいずれか一に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記装置(100)は、前記画像および/または前記植物胚(104)の品質に関連したデータを記憶するよう構成されたメモリをさらに有する、請求項1~6のうちいずれか一に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記処理ユニットは、前記植物胚(104)の品質の判定にあたって前記記憶済み画像および/または前記植物胚(104)の品質に関連した前記記憶済みデータを用いるよう構成されている、請求項7記載の装置(100)。
【請求項9】
前記装置(100)の少なくとも一部は、無菌空間内に位置する、請求項1~8のうちいずれか一に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記装置(100)は、前記振動ベース(102)内に設けられていて、前記振動ベース(102)上の前記植物胚(104)を複数の方向から照明するよう構成された照明要素(132)をさらに有する、請求項1~9のうちいずれか一に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記照明要素(132)は、前記振動ベース(102)の縁上に設けられた照明リングからなる、請求項10記載の装置(100)。
【請求項12】
前記装置(100)は、前記植物胚(104)を3つの互いに異なる方向から画像化するよう構成された少なくとも2台のカメラ(112)を有する、請求項1~9のうちいずれか一に記載の装置(100)。
【請求項13】
植物の胚を分類する方法であって、
振動ベースによって、1個以上の植物胚を液体なしで分離かつ/あるいは再配置するステップ(500)と、
少なくとも1つのセンサによって、前記振動ベース上の単一の植物胚を検出するステップ(502)と、
グリッパを備えたロボットによって、前記単一の植物胚を前記振動ベースから拾い出すステップ(504)と、
少なくとも1台のカメラによって、前記ロボットの前記グリッパ内の前記単一の植物胚を複数の方向から画像化するステップ(506)と、
処理ユニットによって、制御信号を前記ロボットに与えて、前記単一の植物胚の品質に基づき前記単一の植物胚を第1または第2のグループに移動させるステップ(510)とを含む、方法。
【請求項14】
第1のプッシャによって、皿を前記皿の第1のストックからコンベヤに移動させるステップ(600)と、
皿ハンドラによって、前記コンベヤに移動させた前記皿のカバーを開けて保持するステップ(602)と、
前記コンベヤによって、前記皿を第1の場所に移動させるステップ(604)と、
前記ロボットのグリッパによって、前記第1のグループの1個以上の植物胚を前記皿に配置するステップ(606)と、
前記コンベヤによって、前記皿を前記1個以上の植物胚と共に前記皿ハンドラに移動させるステップ(608)と、
前記皿ハンドラによって、前記皿の前記カバーを閉めるステップ(610)と、
前記前記コンベヤによって、前記皿を第2の場所に移動させるステップ(612)と、
第2のプッシャによって、前記皿を前記皿の第2のストックに移動させるステップ(614)とをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品であって、植物の胚を分類する装置に請求項13または14記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の胚のための装置、特に植物胚を分類する装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
植物胚の処理のための多くの実用化装置が市場に出ている。それでも、既知の技術には多くの欠点がある。これら欠点は、例えば処理中における植物胚の汚染に関すると言える。汚染は、植物胚にとって致命的な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、植物胚を処理する既知の装置の欠点を緩和する解決策が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立形式の請求項の記載内容によって構成される。
【0005】
実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。
【0006】
独立形式の請求項に記載された発明の範囲に含まれない本明細書に記載の実施形態および特徴(もしあれば)は、本発明の種々の実施形態を理解する上で有用な実施例として解されるべきである。
【0007】
添付の図面を参照して本発明の例示の実施形態について以下に説明するが、これらは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態としての植物胚の分類装置を示す図である。
【
図2A】本発明の他の実施形態としての植物胚の分類装置を示す図である。
【
図2B】本発明の他の実施形態としての植物胚の分類装置を示す図である。
【
図2C】本発明の他の実施形態としての植物胚の分類装置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態としての植物胚の分類装置を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態としての植物胚の分類装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施形態は、例示であるに過ぎない。本明細書が幾つかの記載箇所において、「一」実施形態と記す場合があるが、このことは、かかる記載の各々が同一の実施形態を指しているということ、あるいは特徴が単一の実施形態にのみ当てはまるということを必ずしも意味しない。互いに異なる実施形態の単一の特徴はまた、他の実施形態を提供するよう組み合わせ可能である。さらに、原文明細書における“comprising”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)や“including”(「~を含む」)は、記載した実施形態を言及した特徴だけからなるものに限定することがないように理解されるべきであり、かかる実施形態は、具体的には記載されることがなかった特徴および/または構造をさらに含むことができる。実施形態のあらゆる組み合わせは、これらの組み合わせが構造的または論理的矛盾につながらない限り、可能であると考えられる。
【0010】
植物の胚は、極めて敏感であり、しかもこれら植物胚を処理するために用いられる装置について厳格な要件を課す。例えば、植物胚の汚染は、処理中は阻止されるべきであり、と言うのは、汚染は、植物胚にとって致命的な場合があるからである。処理は、例えば植物胚の品質ベースの分類を指す場合がある。植物胚の分類および取り扱いのための既知の技術(解決策)には多くの欠点があり、したがって、植物胚を分類するためのより高度な装置が望ましい。
【0011】
一観点によれば、植物の胚を分類する装置であって、1個以上の植物胚を受け入れ、液体を用いないで振動させることによって、かかる植物胚を再配置するとともに/あるいは分離するよう構成された振動ベースと、少なくとも、振動ベース上の単一の植物胚を検出するよう構成された少なくとも1つのセンサと、検出された単一の植物胚を振動ベースから拾い出すよう構成されたグリッパを有するロボットと、グリッパ内の単一の植物胚を複数の方向から画像化するよう構成された少なくとも1台のカメラと、画像に基づいて、単一の植物胚の品質を判定するよう構成された処理ユニットとを有し、処理ユニットはさらに、制御信号をロボットに与えて植物胚の品質に基づいて単一の植物胚を第1または第2のグループに移動させるよう構成されていることを特徴とする装置が提供される。
【0012】
本願における「分類」という用語は、植物胚を品質に基づいて2つ以上のグループに分けるプロセスを意味している。品質が十分に良好な植物胚を発芽装置に移動させ、品質が十分に良好ではない植物胚を取り出す。取り出した植物胚を例えば再分類するか除くかするのがよい。本願における植物胚は(本願において後で言及する胚もまた)、複数の互いに異なる種類の胚を指す場合がある。胚は、例えば樹木の胚、針葉樹の胚および/または植物増殖型の胚を指す場合がある。胚は、例えばドイツトウヒ(Norway spruce:学名は、Picea abies L. Karst)の胚であるのがよい。
【0013】
図1を参照すると、一実施形態では、装置100は、1個以上の植物胚104を受け入れ、再配置し、かつ/あるいは分離するよう構成された振動ベースまたはテーブル102を有する。振動テーブルは、ベースを振動させるためのモータに結合されている。振動により、胚が互いに、しかも考えられる植物組織から分離される。振動はまた、ベース上の胚を再配置することができ、換言すると、ベース上の胚の配置場所を変更することができる。分離および/または再配置は、乾燥状態で、換言すると、液体なしで実施される。液体は、汚染のリスクを高める場合があり、したがって、分離および/または再配置プロセスは、液体なしで実施される。振動ベースは、ベースの外縁上に設けられた壁を有するのがよい。壁は、振動ベースの頂面から実質的に垂直に延びるのがよい。壁は、振動中、ベースからの胚の落下を阻止する。振動ベースの形状は、例えば、円であるのがよい。
【0014】
胚は、手動でまたは自動的に振動ベース上に置かれる。例えば、オペレータは、胚を振動ベース上に置いてもよく、あるいは、胚を置くための自動機構体が設けられてもよい。自動機構体は、例えばロボットを含むのがよい。ロボットは、分類で使用されるものと同一であってもよく、あるいは、ロボットは、別個のロボットであってもよい。
【0015】
一実施形態では、振動ベースは、セラミックおよび/またはテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、すなわちPTFE)コーティングを有する。コーティングにより、ベースからの胚の容易な除去が可能であり、と言うのは、胚は、ベースに容易にくっつく場合があるからである。一実施形態では、振動ベースの色は、暗色である。暗色は、例えば黒色を意味する場合がある。加うるに、振動ベースの色は、胚が置かれるベースの表面全体を通じて一様であるものとする。振動ベースの一様な暗色により、少なくとも1つのセンサによるベース上の胚の良好な検出が可能である。
【0016】
依然として
図1を参照すると、一実施形態では、装置100は、少なくとも、振動ベース102上の単一の植物胚104を検出するよう構成された少なくとも1つのセンサ108を有する。センサは、振動ベース上の胚を検出することができ、センサはさらに、振動ベース上における胚の存在場所に関する情報を提供する。少なくとも1つのセンサと結合された処理ユニットが少なくとも1つのセンサの検出に基づいて、制御信号をロボットに与えることができ、ロボットは、検出した単一の針を振動ベースから拾うためのグリッパを備えている。センサは、これが振動プレート上の植物胚を検出するとともに/あるいはこれらの存在場所を突き止めることができるよう配置されるのがよい。それゆえ、センサは、実質的に、例えば振動プレートの上方に配置されるのがよい。
【0017】
一実施形態では、センサは、カメラを含む。センサは、例えば工業用カメラであるのがよい。カメラは、カラーまたはモノクロカメラであるのがよい。解像度は、例えば、(少なくとも)20メガピクセルであるのがよい。
【0018】
図1に示す一実施形態では、装置100は、単一の植物胚104を振動ベース102から拾うよう構成されているグリッパ110を備えたロボット106を有する。ロボットは、例えばX方向、Y方向およびZ方向に動くことができる3軸ロボットであるのがよい。依然として
図1を参照すると、ロボットは、D1およびD2方向に、さらに、
図3に示すD3方向に動くことができるのがよい。それゆえロボットは、胚を3つの互いに異なる方向に動かすよう構成されている。ロボットは、複数の胚が載った振動ベースから単一の胚を拾うよう構成されたグリッパを有する。グリッパは、真空(減圧)が単一の胚をつまむために用いられる真空グリッパからなるのがよい。真空グリッパは、例えば針形であるのがよい。真空グリッパは、胚との適正な接触を保証するためにコーティングが施されているのがよい。適正な接触という表現は、胚がグリッパに適正にくっついてグリッパ内に位置したままであり、さらにまた、グリッパから容易に取り出せるということを意味している。コーティングはまた、胚の汚染のリスクを低減することができる。コーティングは、例えばDLC‐コーティング(ダイヤモンド状コーティング)であるのがよい。コーティング済みのグリッパの色は、例えば、黒色のような暗色であるのがよい。
【0019】
一実施形態では、装置100は、グリッパ110内の単一の植物胚104を複数の方向から画像化するよう構成された少なくとも1台のカメラ112を有する。単一の(植物の)胚という表現は、1個の胚が一度に画像化されることを意味している。それゆえ、複数の胚は、1つずつ画像化される。胚がグリッパ上にあるとき、画像化プロセスは、胚を例えば画像化のために平面上に置く技術と比較して、迅速である。迅速な画像化プロセスは、汚染のリスクを低減する。少なくとも1台のカメラは、胚が即座に幾つかの角度(方向)から画像化されるよう配置される。このことによっても、画像化プロセスが迅速になる。特別な光学部品が胚を複数の角度から画像化するようカメラに用いられるのがよい。カメラは、例えば2Dまたは3D顕微鏡カメラであるのがよい。カメラは、カラーカメラであってもよく、モノクロカメラであってもよい。解像度は、例えば(少なくとも)5メガピクセルであるのがよい。
【0020】
一実施形態では、装置は、胚をグリッパ内で3つの互いに異なる方向(角度)から画像化するための少なくとも2台のカメラを有する。特別な光学部品を備えた1台のカメラは、胚を2つの互いに異なる側から画像化するよう構成されているのがよく、1台のカメラは、胚を例えば実質的に下から画像化するよう構成されているのがよい。3つの画像は、同時に撮られるのがよく、それにより迅速な画像化プロセスが実施可能になる。単一の胚の互いに異なる方向からの画像は、胚の品質の包括的なビューを与える。
【0021】
一実施形態では、装置は、可動である。可動という表現は、(運ぶことができる)装置を1つの場所から別の場所に動かすことができるということを意味する場合がある。装置の構造は、単純であり、しかも小形であり、それにより装置を楽に動かすことができる。装置の構造はまた、容易に取り外すことができ、そして再び組み立てることができる。既知の技術のうちの多くは、ある特定の位置に固定されるので移動または再配置に適していない。
【0022】
一実施形態では、装置は、カメラによって撮られた画像に基づいて、単一の植物胚の品質を判定するよう構成された処理ユニットをさらに有する。処理ユニットは、胚に関する品質パラメータを記憶するためのメモリに結合されるのがよい。画像に基づいて、処理ユニットは、胚の品質を判定するよう構成されている。処理ユニットは、胚の画像からの所定のパラメータを測定するよう構成されているのがよく、これら測定したパラメータは、メモリに記憶された品質パラメータと比較される。品質パラメータは、高品質および低品質を備えた多量の胚を画像化することによって求められるのがよい。これら品質パラメータに基づいて、高品質および低品質に関する限界値が定められる。
【0023】
一実施形態では、処理ユニットはさらに、胚の品質に基づいて、制御信号をロボットに与えて品質判定後に胚の品質に基づき単一の植物胚を第1または第2のグループに移動させるよう構成されている。2つのグループは、高品質胚の1つのグループと、低品質胚の1つのグループとからなる。例えば、第1のグループは、品質が十分に良好である胚についてのものであり、第2のグループは、品質がそれほど良好ではない胚についてのものであるのがよい。次に、処理ユニットは、制御信号をロボットに与えて判定した品質レベルに基づき画像化胚を第1または第2のグループまで移動させるよう構成されている。第1のグループの胚は、発芽装置に移され、第2のグループの胚は、ごみ箱に移されるのがよい(捨てられる)。
【0024】
一実施形態では、処理ユニットおよび/またはメモリは、装置の一体部分である。別の実施形態では、処理ユニットおよびメモリは、本装置に結合された外部の装置である。メモリは、例えばクラウドベースのデータベースであるのがよい。処理ユニットもまた、例えばクラウドベースのプロセッサであるのがよい。1つの実施例では、装置は、例えば本願において言及する機能の全てを実行するよう構成されたメモリ付き処理ユニットを含むコンピュータに結合されるのがよい。処理ユニットおよびメモリは、図示されていない。
【0025】
第1および/または第2のグループの胚は、品質判定後にグリッパによって皿の中に置かれるのがよい。上述の装置は、品質判定後に胚を置く皿を取り扱うための特徴をさらに有するのがよい。一実施形態では、皿は、カバーを備えたペトリ皿からなる。
【0026】
図2Aを参照すると、一実施形態では、装置100は、皿122ABを受け入れて移動させるよう構成されたコンベヤ114、皿122ABを皿126の第1のストックからコンベヤ114に押し出すよう構成された第1のプッシャ116、皿122ABをコンベヤ114から皿126の第2のストックに押し出すよう構成された第2のプッシャ118、および皿120Bのカバーを開けるとともに/あるいは閉じるよう構成された皿ハンドラ120をさらに有する。皿ハンドラは、皿が第1のプッシャによってコンベヤ上に押し出されたときに皿のカバーを開けて(カバーを皿から取り外し)、そして皿のカバーを保持するよう構成されており、コンベヤは、ロボットが第1のグループの1つ以上の胚を皿の中に置くよう構成された第1の場所に皿を移動させるよう構成され、コンベヤはさらに、カバーによって皿を閉じるために皿を皿ハンドラまで移動させるよう構成され、コンベヤはさらに、皿を第2の場所に移動させるよう構成され、この第2の場所において、第2のプッシャは、皿を皿の第2のストックに押し出すよう構成されている。
【0027】
一実施形態では、コンベヤは、ベルトコンベヤである。追加的にまたは代替的に、任意他の形式のコンベヤを用いることができる。コンベヤは、皿を皿のストックから受け取り、そしてこの皿を複数の場所に移動させるよう構成されている。装置は、コンベヤに結合されていて、コンベヤ上の皿の存在場所を突き止めるよう構成された1つ以上のセンサをさらに有するのがよい。
【0028】
一実施形態では、装置は、皿をコンベヤ上にかつ/あるいはコンベヤから押し出すよう構成された第1および第2のプッシャを有する。第1のプッシャは、新たな空の皿を第1のストックから、1つ以上の胚がグリッパによって載せられるコンベヤ上に押し出すよう構成されている。第2のプッシャは、皿を1つ以上の胚とともにコンベヤから押し出して皿の第2のストックに移動させるよう構成されている。ストックは、例えば皿のパイルであるのがよい。第1のプッシャは、第1のパイルの最も下に位置する皿をコンベヤ上に押し出すよう構成されているのがよく、第2のプッシャは、皿を例えば第2のパイルの底に押し出すよう構成されている。プッシャは、押圧ヘッドに結合されたシリンダを有するのがよい。押圧ヘッドは、例えば円弧の形を有するのがよい。皿は、円形(丸形)であるのがよく、円弧形の押圧ヘッドは、皿がプッシャ中に嵌まり込むよう円形皿の形状をたどるのがよい。第1および第2のプッシャは、
図2Aに示す方向D4に動くよう構成されている。第1および第2のプッシャは、実質的に同じ構造のものであるのがよい。
【0029】
一実施形態では、装置は、皿のカバーを開けるとともに/あるいは閉じるよう構成された皿ハンドラを有する。ハンドラは、第1のプッシャが皿を第1の皿ストックから押し出す先であるコンベヤ上の場所の付近に配置されるのがよい。皿ハンドラは、カバーを皿から持ち上げることによってカバーを取り外し、そしてさらに所定の時間の間カバーを持ち上げたままにするよう構成された真空グリッパを有するのがよい。ハンドラはさらに、カバーを皿に戻して置くよう構成されている。
【0030】
コンベヤ114は、
図2Aに示すように、第1のプッシャ116によって皿126の第1のストックからコンベヤ114上に押し出された皿122ABを受けるよう構成されている。皿122ABがコンベヤ114上に位置すると、皿ハンドラ120は、皿122Bのカバーを開けてこのカバーを持ち上げたままにする。次に、コンベヤ114は、皿122Aをカバーなしで
図2Bに示すように第1の場所に移動させる。ロボットの動作範囲内にあるこの第1の場所では、ロボット106は、第1のグループの1つ以上の胚104を皿122A内に置く。皿122A内に第1のグループの胚104が十分に存在する場合、コンベヤ114は、皿122Aを皿ハンドラ120に戻して皿をカバー122Bで閉じる。コンベヤ114は、閉じた皿122ABを
図2Cに示すように第2の場所に移動させる。第2の場所では、第2のプッシャ118は、皿122ABを胚とともに皿124の第2のストックに押し出す。
【0031】
図3を参照すると、一実施形態では、装置100は、ロボット106に結合されたツールモジュール128をさらに有し、このツールモジュールは、少なくとも、グリッパ110および複数のカメラ112を有する。このツールユニットは、ロボットのアームに結合されるのがよい。アームは、グリッパのようなツールを結合するロボットの一部を指している。ツールモジュールは、胚を取り扱うとともに分類する上で必要とされるツール、例えば、グリッパ、少なくとも1つのセンサおよび/またはカメラのようなツールを含むロボットの多機能ユニットであるのがよい。それゆえ、必要とされるツールの全てが1つのモジュールに統合される。この場合、ツールをプロセス中にロボットから取り外すとともに/あるいはロボットに結合することによってツールを交換する必要がなくなる。取り扱いおよび分類プロセスは、必要とされるツールの全てがロボットに結合された1つのツールモジュールの状態にある場合には迅速である。
【0032】
図4を参照すると、一実施形態では、ツールモジュール128は、グリッパ110がツールモジュール128内に動くようグリッパ110を受け入れるよう構成されており、この場合、ツールモジュール128の内側に位置するグリッパ110内の単一の植物胚104を画像化するよう構成された複数のカメラ112がツールモジュール128内に位置する。ツールモジュール内に位置する特徴が
図4に点線で示されている。ツールモジュール128は、グリッパ110を引っ込めることができる空間130を有するのがよい。グリッパは、方向D3に動くよう構成されており、それによりグリッパをツールモジュール内に入れたりこれをツールモジュールから出したりすることができるようにする。
図4は、グリッパがツールモジュール内に位置するグリッパ位置を示している。グリッパは、グリッパ内の植物胚を画像化するためにツールモジュール内に動かされるのがよい。グリッパ内の胚を画像化するために用いられるカメラは、ツールモジュール内に配置されるのがよい。ツールモジュール内における画像化により、像の品質が向上し、それゆえ品質の判定もまた改善される。外部からの干渉は、画像化がツールモジュール内で行われる場合に回避できる。
【0033】
一実施形態では、少なくとも1つのセンサはさらに、植物胚を画像化するよう構成されており、処理ユニットはさらに、少なくとも1つの画像に基づいて、振動ベース上の植物胚を識別するよう構成されている。胚に加えて、振動ベース上には例えば植物組織および/または胚のスタックが存在する場合がある。処理ユニットは、画像に基づいて、どの物体が振動ベース上の胚であるかを識別することができる。換言すると、処理ユニットは、振動ベース上の物体が胚であるかどうかを識別する。さらに、処理ユニットは、胚の品質を事前に判定することができる。上述したように、少なくとも1つのセンサは、カメラからなるのがよい。カメラは、画像を振動ベース上の植物胚のような物体および/または植物組織から撮るために使用できる。画像は、処理ユニットによって、最終の分類前にベース上の胚を識別するために使用されるのがよい。
【0034】
一実施形態では、処理ユニットは、単一の植物胚を振動ベース上の識別された物体から拾い上げるためのグリッパを備えたロボットに制御信号を与えるよう構成されている。換言すると、グリッパは、植物胚であると識別された胚を振動ベースから拾い上げるよう構成されているのがよい。この特徴の技術的進歩は、胚だけおよび/または事前に十分に良好であると思われる胚が最終の画像化プロセスのために選択されるので、実際の分類が促進されるということにある。換言すると、最終の画像化プロセス(分類)の歩留まりが高いということが言え、しかもプロセスが迅速である。
【0035】
一実施形態では、装置は、植物胚の品質に関連した画像および/またはデータを記憶するよう構成されたメモリをさらに有する。メモリは、この本願において上述したのと同一のものであるのがよく、あるいは、同一の特徴を有するのがよい。画像、測定パラメータおよび分類プロセスの結果のような分類関連データの全てをこのメモリに記憶されるのがよい。
【0036】
一実施形態では、処理ユニットは、記憶済み画像および/または植物胚の品質の判定の際の植物胚の品質の記憶済みデータを用いるよう構成されている。画像、測定パラメータ、および他のデータは、処理ユニットによって、判定プロセスをアップデートするために使用されるのがよい。それゆえ、分類は、自己学習型プロセスであるのがよく、それにより、分類結果および/または測定パラメータおよび/または画像に基づいて、判定を経時的により正確にすることが可能である。
【0037】
一実施形態では、装置の少なくとも一部は、無菌空間内に位置する。装置またはその一部は、無菌エンクロージャ内に納められるのがよい。無菌エンクロージャの目的は、取り扱いおよび分類プロセス中の胚の汚染を阻止することにある。無菌エンクロージャは、例えば層流キャビネットであるのがよい。一実施形態では、少なくとも、胚が皿の外に位置するプロセスステップは、無菌エンクロージャ内で実施される。別の実施形態では、装置全体が無菌空間内に位置する。上述の実施形態では、本装置が制御装置(コンピュータのような)と結合される場合があり、そして制御装置が無菌空間の外に位置する場合があるが、それにもかかわらず、本装置全体が無菌空間内に位置するということを実現することが依然として重要である。この場合、本装置の制御は、無菌空間の外で実施されるのがよい。
【0038】
図1に示す実施形態では、装置100は、振動ベース102内に設けられていて、振動ベース102上の植物胚104を複数の方向から照明するよう構成された照明要素132をさらに有する。照明要素132は、例えば、複数のLEDライト134からなるのがよい。LEDライトは、胚が位置する振動ベースの頂面が幾つかの方向から照明されるよう配置されるのがよい。振動ベースの頂面が暗色を有する状態で、照明要素は、少なくとも1つのセンサによる頂面上の胚の正確な検出を可能にする。照明要素はまた、胚の品質の事前の判定のために用いられる胚の高品質画像の取得を可能にする。
【0039】
依然として
図1を参照すると、一実施形態では、照明要素132は、振動ベース102の縁上に設けられた照明リングからなる。振動ベースは、円形(丸形)であるのがよく、照明リングは、これが
図1に示すようにベースの外縁周りに円を描くよう円形ベースの外縁に結合される。照明リング内には複数のLEDライトが設けられるのがよく、その結果、LEDライトは、ベースの縁周りに均等に分布して配置されるようになっている。この場合、LEDライトは、振動ベースの頂面を複数の方向から照明するよう構成され、頂面上の胚は、極めて効果的に照明される。さらに、照明リングにより、装置の単純な構造の実現が可能であり、さらに装置内における空間が節約される。
【0040】
図5を参照すると、本発明のもう1つの観点によれば、以下のステップを含む植物胚の分離方法が提供され、これらステップは、振動ベースによって液体なしで1個以上の植物胚を分離するとともに/あるいは再配置するステップ(500)、少なくとも1つのセンサによって、振動ベース上の単一の植物胚を検出するステップ(502)、グリッパを備えたロボットによって、単一の植物胚を振動ベースから拾い上げるステップ(504)、複数のカメラによって、ロボットのグリッパ内の単一の植物胚を複数の方向から画像化するステップ(506)、処理ユニットによって、画像に基づいて単一の植物胚の品質を判定するステップ(508)、および処理ユニットによって、制御信号をロボットアームに与えて、単一の植物胚の品質に基づいて、単一の植物胚を第1または第2のグループまで移動させるステップ(510)である。
【0041】
図6を参照すると、一実施形態では、この方法は、以下のステップ、すなわち、第1のプッシャによって皿を皿の第1のストックからコンベヤに移動させるステップ(600)、皿ハンドラによって、コンベヤ上に移動させた皿のカバーを開けて保持するステップ(602)、コンベヤによって、皿を第1の場所に移動させるステップ(604)、ロボットのグリッパによって、第1のグループの1個以上の植物胚を皿に配置するステップ(606)、コンベヤによって、皿を1個以上の植物胚とともに皿ハンドラに移動させるステップ(608)、皿ハンドラによって、皿のカバーを閉じるステップ(610)、コンベヤによって、皿を第2の場所に移動させるステップ(612)、および第2のプッシャによって、皿を皿の第2のストックに移動させるステップ(614)をさらに含む。
【0042】
一実施形態では、装置は、安全装置をさらに有し、安全装置は、これが所定の安全領域内に存在する物体を検出した場合、装置(ロボット)の動作を停止させるよう構成されている。例えば、安全装置は、人が片手を装置の作業領域中に入れた場合、装置の動作(機能)を停止させることができる。安全装置としては、例えば、1つ以上のセンサが挙げられる。安全装置は、例えば光電式安全スイッチで会ってもよい。
【0043】
一実施形態では、装置はさらに、各皿および/またはその上の胚を追跡することができるように皿をマーキングするよう構成されている。追跡可能性により、マーキングされた皿および/または胚の分類プロセスの結果を分類後において後で追跡することができる。例えば、装置によって実施された分類プロセスの記憶済みデータを皿のマーキングで追跡することができ、そして結果を後で検討することができる。マーキングは、おそらくは皿の表面上に施されるステッカおよび/またはマーキングを含む。マーキングは、数、文字および/または記号を含むのがよい。代替的にまたは追加的に、マーキングは、例えばバーコードおよび/またはQRコード(登録商標)であってもよい。
【0044】
本発明の別の観点によれば、コンピュータプログラム製品であって、植物の胚を分類する装置に上述の方法のステップの。ちの任意のものを実施させる命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラムは、ソースコード形式、オブジェクトコード形式、または何らかの中間形式であるのがよく、そしてコンピュータプログラムは、ある種のキャリヤの状態で記憶されるのがよく、かかるキャリヤは、プログラムを持ち運ぶことができる任意のエンティティまたはデバイスであってよい。かかるキャリヤとしては、一時的および/または非一時的コンピュータ媒体、例えば、記録媒体、コンピュータメモリ、リードオンリーメモリ、電気キャリヤ信号、テレコミュニケーション信号、およびソフトウェア配布用パッケージが挙げられる。必要な処理電力に応じて、コンピュータプログラムを単一の電子デジタル処理ユニットで実行することができ、あるいはコンピュータプログラムを多数の処理ユニットに分布させることができる。
【0045】
次の実施例は、装置を肺の分類にどのように利用できるかについて説明している。複数種類の植物胚を手動でまたは自動的に振動ベース上に載せる。振動により、胚は、互いに、さらに植物組織から分離される。少なくとも1つのセンサは、カメラであるのがよく、、かかるセンサは、振動ベース上の胚を検出してこれらの存在場所を突き止め、そしてさらに振動ベースの表面上の胚を画像化するよう構成されている。少なくとも1つのセンサから受け取ったデータは、処理ユニットによって、表面上の胚を検出してこれらの存在場所を突き止め、そしてロボットのグリッパを案内して単一の胚を拾い出すために用いられる。データはさらに、処理ユニットによって、肺の品質を事前に判定して品質レベルが十分に高い胚だけを表面から拾い上げるようにするために用いられる。分類プロセスについて胚を一つずつ拾い上げる。
【0046】
ロボットは、例えば少なくとも1つのセンサ、グリッパおよびカメラを含むツールモジュールを有する。ツールモジュールはさらに、画像化のためにグリッパを単一の胚と共に受け入れるよう構成されているのがよい。ツールモジュールの内側には画像化のための安定した環境が存在する。単一の胚を即座に複数の方向から画像化するよう構成された複数のカメラがツールモジュール内に配置されている。ツールモジュール内の複数のカメラで実施される画像化プロセスは、迅速でありかつ安定している。
【0047】
処理ユニットは、画像に基づいて肺の品質を判定するよう構成されている。処理ユニットは、肺の画像から所定のパラメータを測定し、そしてこれら測定パラメータをメモリに記憶されている品質パラメータと比較することができる。胚を品質に基づいて2つのグループに分けることができる。処理ユニットは、制御信号を与えて画像化胚を第1または第2のグループに移動させる。第1のグループの胚を発芽装置に移動させ、第2のグループの胚を除くのがよい。第1のグループの胚をカバー付きのペトリ皿のような皿の中に移すのがよい。
【0048】
装置は、皿をロボットに提供するための特徴をさらに有するのがよい。皿をロボットの動作範囲まで移動させ、さらに、胚が皿の中に入れられたときに皿を動作範囲から離すよう構成されたコンベヤが設けられているのがよい。装置は、皿の第1のパイルをさらに有するのがよく、第1のプッシャは、かかる第1の胚パイルから胚をコンベヤ上に押し出すよう構成されている。皿がコンベヤ上に位置しているとき、皿ハンドラは、皿のカバーを持ち上げてこれをその状態に保持する。次いで、皿をカバーなしでコンベヤによって、ロボットの動作範囲内に位置する第1の場所まで移動させ、そして単一の胚をグリッパによって皿の中に納める。1個または複数の胚が皿の中にあるとき、コンベヤは、皿を胚と共に皿ハンドラに戻し、皿ハンドラは、カバーを皿に戻す(皿を閉じる)。閉じた皿を次に第2の場所に移動させ、この第2の場所において、第2のプッシャは、皿をコンベヤから皿の第2のパイルに押し出す。
【0049】
本発明の植物胚の分類装置は、従来技術の欠点を緩和するするための極めて効果的な自動化解決策を提供する。胚が皿の外に存在する時間は、最小限に抑えられ、それにより、分類中における汚染のリスクが低減される。高自動化レートにより、分類プロセスにおける肺の迅速な取り扱いが可能である。加うるに、分類プロセスは、液体を用いないで実施され、それによっても、汚染のリスクが低減される。本発明の液体フリーの分類プロセスは、装置をクリーンに保つことが楽であり、換言すると、遺伝的忠実性(genetic fidelity)を容易に達成することができ、そして遺伝的交差汚染を最小限に抑える解決策(技術)を提供する。
【0050】
液体フリープロセスにより、より小規模への分類プロセスのスケール変更もまた可能である。装置の小型化により、既知技術では従来において問題であった装置の動きが可能になる。さらに、複数の装置を結合して胚を分類するための大規模装置を製作することかできる。
【0051】
本願において用いられている「処理ユニット」という表現は、以下の特徴、すなわち(a)ハードウェアオンリーの回路装置構成例、例えばアナログおよび/またはデジタルオンリーの回路装置の構成例、(b)回路とソフトウェアおよび/またはファームウェアの組み合わせ、例えば(該当する場合には)、(i)プロセッサまたはプロセッサコアの組み合わせ、または(ii)デジタル信号プロセッサ、ソフトウェア、および少なくとも1つのセンサを含んでいて、協働して装置に特定の機能を実行させるプロセッサ/ソフトウェアの部分、および(c)たとえソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在していなくても、動作のためにソフトウェアまたはファームウェアを必要とする回路、例えばマイクロプロセッサまたはその一部分の全てを指す「回路装置」を意味する場合がある。
【0052】
技術の進歩につれて、本発明の技術的思想を種々の仕方で具体化できることは当業者には明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上述の例示の実施形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で設計変更できる。
【国際調査報告】