(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】脆性破壊メカニズムを有する生分解可能なバイオベースの熱可塑材料の、卵または卵代替製品のための殻としての使用、ならびにこのような殻で被覆されたヴィーガン代替製品
(51)【国際特許分類】
A23L 15/00 20160101AFI20241210BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20241210BHJP
C08K 3/18 20060101ALI20241210BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20241210BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20241210BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20241210BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20241210BHJP
C07K 14/405 20060101ALN20241210BHJP
C07K 14/37 20060101ALN20241210BHJP
C07K 14/195 20060101ALN20241210BHJP
C07K 14/415 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
A23L15/00 Z
C08L101/12
C08K3/18
C08K5/09
C08L101/16
A23L5/00 G
B65D65/46
C07K14/405 ZBP
C07K14/37
C07K14/195
C07K14/415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531467
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2022083151
(87)【国際公開番号】W WO2023094534
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130963.8
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021130974.3
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021130977.8
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524198364
【氏名又は名称】ネッグスト フーズ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】500142051
【氏名又は名称】フラウンホーファー ゲゼルシャフト ツア フェルデルング デア アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】フュルタウアー ジークフリート
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア アルテアガ ヴェロニカ
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼンコプフ カトリーン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーネン カール・ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】オッテ ディートマル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイヒェレ ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】チェルヴィンスケ ヤーナ フレデリケ
【テーマコード(参考)】
3E086
4B035
4B042
4H045
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
3E086AD06
3E086BA29
3E086BB41
3E086BB71
3E086BB85
3E086CA01
4B035LC16
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4J002GG01
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4J200AA28
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4J200BA16
4J200BA17
4J200DA17
4J200DA18
4J200EA11
(57)【要約】
本発明は、(A)1つまたは複数の生分解可能で熱可塑性加工可能なバイオポリマーと、(B)1つまたは複数の無機の、有機の、または難溶性の塩とからなる、押出成形によって製造される材料の、卵代替製品のための殻としての使用に関し、そのような殻で被覆されたヴィーガンベースの卵白と卵黄とを含む卵代替製品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1つまたは複数の生分解可能で熱可塑性加工可能なバイオポリマーと、
(B)1つまたは複数の無機の、有機の、または難溶性の塩と
からなる材料の、卵代替製品のための殻としての使用。
【請求項2】
前記材料は、押出成形によって前記成分(A)および(B)から作成される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記バイオポリマー(A)は、180日以内での少なくとも90%の分解率、2mmよりも大きい粒子で12週間後に10%を下回る乾燥質量の分解レベルが実現されること、および/または植物成長に関わる生体毒性分析に合格することによって特徴づけられる、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記バイオポリマー(A)は、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシアルカノエート-コポリマー、またはポリラクチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記塩(B)は、アルカリ土類元素、遷移金属またはアルミニウムの、炭酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、硫化物、リン酸塩、リン酸水素塩、酸化物、水酸化物、クエン酸塩、またはシュウ酸塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記塩(B)は、CaCO
3、CaSO
4、Ca
3(PO
4)
2、MgCO
3、BaSO
4、クエン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、Fe
2O
3、またはAl
2O
3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
ポリヒドロキシアルカノエートおよび/またはポリヒドロキシアルカノエート-コポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシノナノエート)、ポリ(3-ヒドロキシデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシウンデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシドデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシテトラデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシペンタデカカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサデカノエート);ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシエキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート、C
3~C
11の側鎖長を有する中鎖PHA、またはC
12よりも大きい側鎖長を有する長鎖PHAである、請求項4~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリラクチドは、ポリ(L-ラクチド)PLLA、ポリ(D-ラクチド)PDLA、ステレオコンプレックス-(ポリラクチド)sc-PLA、ステレオブロック-(ポリラクチド)sb-PLAの非晶質または晶質のバリエーションである、請求項4~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
(A)1つまたは複数の生分解可能で熱可塑性加工可能なバイオポリマーと、(B)1つまたは複数の、無機の、有機の、または難溶性の塩とからなる、押出成形によって製造される材料からなる殻で被覆された、ヴィーガンベースの卵白と卵黄とを含む卵代替製品であって、卵白と卵黄とがいずれも(a)豆果、油糧種子、穀物、および/または藻類に由来する植物性タンパク質を含み、(b)温度変化のもとでそれぞれ異なる挙動を示す少なくとも2つの親水コロイドの組み合わせを含む、卵代替製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適当な方式で添加物が配合された生分解可能なバイオベースのポリマーをベースとする材料の、これから熱可塑性の製造方法により卵または卵代替製品のための殻を製造するための使用に関する。したがって目標用途は、卵および卵代替製品のための新規のパッケージ材料である。
【背景技術】
【0002】
卵黄と卵白身からなる鶏の生殖細胞は、2つの線維性の膜と、石灰化した部分結晶性の殻とによって包囲されている。卵殻の構造は、機械的な損傷、微生物による汚染、および乾燥から卵を守るとともに、ガスと水分の交換を調節するための役目を果たす。このとき、卵殻は95~97%まで、基質タンパク質によって安定化された炭酸カルシウム結晶からなっている。さらに、この基質は石灰化プロセスで重要な役割を果たす。これに沿って結晶が柵状に上方に向かって成長して、多孔性の殻を形成する(
図1を参照)。こうした複雑な構造は人工的に再現することができない。鶏卵は直径が40mm~50mmのサイズになることがあり、殻は340~410μmの壁厚に達する。鶏卵の殻の最大の引張応力(長軸に沿って測定)は、約18.3~29.9MPaである。このとき、卵殻の強度は卵のサイズに伴って減少していく、すなわち、卵を破壊するために少しの力しか必要なくなる。その理由は、殻のミクロ構造における欠陥の数とサイズが比例的に増していくためであると推測される[参考文献2]。卵殻の弾性率は18~27.5GPaである。卵殻は、その多孔性の構造およびこれと結びついた役割に基づき、その中で成長していくヒナの物質交換を制約してはならず、有意な(著しい)ガス障壁となってはならない[参考文献3]。
【0003】
卵殻、カタツムリの殻、サンゴ、骨などの自然界に存在する有機または無機のハイブリッド材料は、高い強度ないし硬度と同時に、軽量かつ材料経済的な設計形態によって特徴づけられる。卓越した機械的特性は、無機成分や有機基質などの個別成分の階層構造からもたらされるが、これをコピーして工学的に調整できるようにするのは困難である。しかし散発的には、天然の範例に驚くほど近似する材料を実験室規模で開発することにすでに成功している。たとえば、バクテリアが生成したCaCO3とバクテリアが生成したポリグルタミン酸(PGA)とを交互に析出することで、真珠層状の材料を製造することに成功している[参考文献4]。硬度や破壊挙動が天然の真珠層に類似しており、それに伴って結晶カルサイトよりも優れていた。
【0004】
ただし、技術的に完成している大半の製造方法は熱可塑性加工の分野に属している。配合ステップにより、添加物をポリマーに加えたり、粒子サイズの分布を適合化したりすることができる。このような配合ステップはしばしば二軸スクリュー押出機で行われるが[参考文献5]、その目的は、プラスチックを前処理し、グラニュール化し、充填し、または強化することにある。その際に生じるグラニュールは、材料の最終的な提供形態へのその後の熱可塑性の二次加工のために、たとえば押出成形、射出成形、吹付成形などに好適である[参考文献6]。
【0005】
文献には、バイオポリマーと充填物質との多種多様な組み合わせ、ならびに予想される特性、多くの場合において機械的特性が記載されている。その際、ポリマーと充填物質の種類、その濃度、および加工中の温度条件が、複合材料の最終的な機械的特性に影響を及ぼす。
【0006】
Cinelli et al.[参考文献7]は、ポリヒドロキシアルカノエート(5%のバレレート割合を含むPHBV)に、生分解可能なバイオベース軟化剤(アセチルトリブチルシトレート、10%)と、5%のCaCO3と、10~30%のリグノセルロースファイバー(植物エンドウ豆繊維、木質繊維)とを170℃で配合しており、その目的は、これを射出成形された硬質の食品パッケージとして利用することにある。繊維含有率の上昇に伴って弾性率が増大し、それに対して引張強度と破断点伸びは低下することが観察されている。Chen et al.[参考文献8]は、PHBV/Clayナノコンポジットの結晶化動力学を研究している。少量の有機改質モンモリロナイト(OMMT)が添加されると、PHBVの結晶化速度ならびにその引張強度と弾性率が改善され、それに対して、多すぎるOMMTが使用されるとその逆が起こった。これに類似する効果を、Duangphet et al.[参考文献9]も観察している。そこではPHBV(3%のバレレート割合)に5~20%の炭酸カルシウムが配合されて、結晶化挙動が調べられている。少量(5%)のCaCO3の添加はPHBVの結晶加速度を高める。それに対して、過剰なCaCO3(20%)は逆の効果をもたらすが、微結晶サイズの増大とCaCO3粒子の凝集の強化がこれと結びついていた。Cabedo et al.[参考文献10]は、PHBV/Clay系の分解に対して加工条件が及ぼす影響を調べている。カオリンはPHBV分解に何ら影響を及ぼさないことが報告されているが、それに対してモンモリロナイト(MMT)は、表面改質剤によってMMTで活性化される、高い温度のもとでのクレイ表面からの固定された結合水の遊離を通じて、分解を誘発する。Ding et al.[参考文献11]は、さまざまな粒子サイズの0~80%のCaCO3を含むP(3HB-4HB)コンパウンド(5モル%4HB)を調べている。P3/4HBの熱安定性は、CaCO3含有率の上昇に伴って低下した。CaCO3含有率の増加に伴い、破断点伸び、引張強度、および衝撃靭性も同じく低下した;それに対して弾性率は向上した。P(3HB-4HB)の結晶化速度はCaCO3の添加によって低下し、最大の結晶化度は、40%のCaCO3の含有率のもとで達成された。PHBV/CaCO3コンパウンドの機械的特性のほか、Kirboga et al.[参考文献12]は、酸素障壁や水蒸気障壁など、パッケージに関連するその他の特性も調べている。HPBVに0.1~1%のCaCO3が配合された。剛性(DMAによる動的弾性率)の改善、ならびに酸素障壁と水蒸気障壁の改善を、すでに0.1%のCaCO3添加のもとで観察することができた。Xiong et al.[参考文献13]は、10~30%のCaCO3と、(CaCO3に対して)最大で3%のアルミン酸塩ベース、シランベース、およびチタン酸塩ベースの相溶化剤とを含むPBSを合成によって作成した。CaCO3添加の目的は、いっそう少ないPBS使用量によるコスト削減であった。相溶化剤の添加によって、引張強度と極限伸びが改善された。2%のタルク粉末と、最大20%の粉砕した貝殻粉末とを含む、3:1の比率のPLA/PBATからなるコンパウンドが、Gigante et al.[参考文献14]によって記載されている。そこでは充填度の上昇に伴って弾性率が向上したが、引張強度は若干低下した。このコンパウンドは射出成形での用途に適していた。
【0007】
無機ないし有機の難溶性の充填物質との組み合わせにおける生分解可能なポリマーは、たとえば骨組織エンジニアリング、軟骨形成、血管移植、およびその他のインプラント可能な生物医学器具のために、医療用の用途でも同じく研究、利用されている。たとえばヒドロキシルアパタイトなどの無機成分を含む、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、フィブリン、セルロース、アルギン酸などの自然界に存在する熱可塑性でないポリマーをベースとする材料の概要を、Sathiyavimal et al.[参考文献15]のレビューが提示している。作用物質の放出や抗菌作用などの追加の機能も、同じくすでに具体化することができている。同様に、ポリヒドロキシアルカノエート、PCL、PLA、PVAc、PEO、および、たとえばヒドロキシルアパタイト、リン酸カルシウム、生体活性ガラス、またはワラストナイトなどの無機の難溶性の充填物質とこれらのコンパウンドなどの熱可塑性ポリマーも、生体適合的で生分解可能な材料としてインプラントですでに利用されている[参考文献16]。Rodriguez-Contrerasの概要論文[参考文献17]は、縫合材料としての、弁のための、組織エンジニアリングにおける骨移植代替物としての、軟骨としての、神経修復用のステントとしての、および心血管プラスターとしての、生体適合性、生分解可能性、および無毒性に基づく、PHB、PHBV、およびP(3HB-4HB)の医療用の適性を記載している。
【0008】
生物医学の分野には、コンポジットの補足的な製造方法がある。たとえばChernozem et al.[参考文献18]では、PHBとPHBV(12%のバレレート割合)がクロロフォルム中で電気紡糸により繊維をなすように紡糸される。引き続いて、Na2CO3とCaCl2との沈殿反応によってCaCO3が繊維に析出され、超音波処理によって無機充填物質が繊維に注入された。この研究の目的は、再生医療のための骨組織を作成することにあったので、骨形成細胞(骨芽細胞)が表面に固定されて成長するように刺激が与えられ、これはその後のバイオミネラル化(アパタイトの形成)に帰結する。Jagoda[参考文献19]はその学位請求論文において、ポリ[R]-3-ヒドロキシ-10ウンデセノエート(PHUE)と、中鎖PHAの代表物質とからなる骨代替材料の作成を記載している。これはリン酸カルシウムに単層材料として析出されたものである。このポリマーはそのエラストマー特性に基づき、骨中のコラーゲンに類似して、リン酸カルシウム結晶のための柔軟な基質を形成する。Degli Esposti et al.[参考文献20]は、PHBとヒドロキシルアパタイトから、天然の骨材料を模倣した多孔性材料を作成する方法を記載している。PHBをジオキサンに溶解し、最大8%のヒドロキシルアパタイト-ナノ粒子と混合され、ないしは、溶解したPHBの存在下でのゾルゲルプロセスによってヒドロキシルアパタイトがin situ作成された。温度依存的な分解により、多孔性の構造が生成された。
【0009】
特許文献1[参考文献21]は、回転対称の2つの半殻が組み合わされてなる卵外皮の製作を記載しており(すなわち、分離平面は卵の長軸ないし回転対称軸に対して垂直に延びる)、これらの半殻が卵黄の充填後に密封式に閉じられる。下側の半殻は開口部を有していて、これを通して最後に卵白身が付け加えられ、それによって卵が全体として充填されて、卵黄が卵白身の中に浮かぶ。最後に、卵殻の充填開口部がさらに密閉式に閉じられる。特許文献1に記載の実施形態では、天然の卵と同じように破壊特性を有する殻はガス透過性と半透明の視覚的外観とを有するのがよく、たとえば「スチレン無水マレイン酸(SMA)」からなる。この材料は製作後に、少なくとも「オキソバイオ分解可能な」添加物の添加によって、生物学的に分解可能であるのがよい。2003年に出願された特許文献2[参考文献22]の対象物は、柔軟な通気性のポリマーフィルムおよびこれに対応する製造方法である。記載されているフィルムは柔軟で通気性があり、漏斗状に拡張していく気孔を表面領域に有している。天然のダチョウの卵を手本としたうえで、ゾルゲル法により製造されるべき、光触媒作用を最善に具体化する多孔性材料を創出することが意図される。しかし、天然の鶏卵と同じような破壊挙動を有する代替卵殻は、この文献に記載されているポリマーフィルムによって製造することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2019/263557号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10301984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、色、強度、破壊挙動、生物学的な分解可能性に関して、生物界に存在する鉱物性の複合材料に類似する特性を有し、沸騰水の中で形状と密閉性を維持する材料を開発することにあった。さらに、開発される材料は微生物、酸素、水、および水蒸気に対して、製品保護の実現のために食品パッケージ材料の前提条件となる障壁を有するのがよい。この材料は、同様に、(熱やH2O2などの酸化剤によって)殺菌可能であるのがよく、したがって主に卵代替製品に適用することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1および9の構成要件によって解決される。好ましい実施形態は従属請求項から明らかとなる。
【0013】
以下において「コンパウンド」とも呼ぶ材料または材料混合物は、1つまたは複数の無機ないし有機の難溶性の充填物質または添加物(B)との関連における、1つまたは複数の生分解可能で熱可塑性加工可能なバイオポリマー(A)を含む。
【0014】
本発明に基づいて使用されるベース材料(A)の生分解可能性は、さまざまな標準に従って判断される。生分解可能性は、180日以内での少なくとも90%の分解率、2mmよりも大きい粒子で12週間後に10%を下回る乾燥質量の分解レベルが実現されること、植物成長に関わる生体毒性分析に合格すること、ならびに、
- (たとえばOK compost-EN13432に準ずる)(半)工業的な堆肥化条件のもとで、
- 好ましくは(たとえばOK compost home-TUeVオーストリア ベルギーに準ずる)家庭内堆肥化条件のもとで、
- 特に好ましくは(たとえばISO 22403またはASTM D6691-17に準ずる)淡水中ないし海洋中での分解条件のもとで、
重金属に関わるリミットが順守されることに相当する。
【0015】
バイオポリマー成分(A)として、好ましくは次のものが考慮の対象となる:
- 1つまたは複数のポリヒドロキシアルカノエートおよび/またはポリヒドロキシアルカノエート-コポリマー、好ましくはポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)PHP、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)PHB/PH3B、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)PHV、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)PHHx、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)PHH、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)PHO、ポリ(3-ヒドロキシノナノエート)PHN、ポリ(3-ヒドロキシデカノエート)PHD、ポリ(3-ヒドロキシウンデカノエート)PHUD、ポリ(3-ヒドロキシドデカノエート)PHDD、ポリ(3-ヒドロキシテトラデカノエート)PHTD、ポリ(3-ヒドロキシペンタデカカノエート)PHPD、ポリ(3-ヒドロキシヘキサデカノエート)PHHxD;ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-3-ヒドロキシブチレート)(P3HP-3HB)、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P3HP-4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P(3HB-4HB))、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシエキサノエート)(PHB-HHx)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBV-HHx)、C3-C11の側鎖長を有する中鎖PHA(mcl-PHA)、C12よりも大きい側鎖長を有する長鎖PHA(Icl-PHA)、好ましくはPH3B、PHBV、PHB-HHx、または(P(3HB-4HB))。
- ポリ乳酸(Polylactide):
ポリ(L-ラクチド)PLLA、ポリ(D-ラクチド)PDLA、ステレオコンプレックス-(ポリラクチド)sc-PLA、ステレオブロック-(ポリラクチド)sb-PLAの非晶質および結晶質のバリエーション
【0016】
充填物質または添加物(B)として、1つまたは複数の無機または有機の塩、好ましくは次のものが考慮の対象となる。
- 難溶性の塩:土類アルカリ元素または遷移金属またはアルミニウムのカルボン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硫化物、リン酸塩、リン酸水素塩、酸化物、水酸化物、クエン酸塩、シュウ酸塩、好ましくはCaCO3、CaSO4、Ca3(PO4)2、MgCO3、BaSO4、クエン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、Fe2O3、Al2O3。
- 化学量論的および非化学量論的な複塩および水和物ならびにケイ酸塩、好ましくはCaCO3*MgCO3(ドロマイト)、CaSO4*2H2O(石膏)、CaSiO3(珪灰石)、粘度鉱物(たとえばモンモリロナイト、カオリナイト、ベントナイト、タルカム)、ヒドロキシルアパタイト、ならびにさまざまな発現形態におけるSiO2(たとえばケイ酸、生体活性ガラス、SiO2ベースのナノ粒子など)。
【0017】
バイオポリマー基質における充填物質または添加物(B)の質量割合は、1~50%、好ましくは5~45%、特に好ましくは30~45%である。
【0018】
粉末状またはグラニュール状のバイオポリマー成分は、50~80℃の温度のもとでの6~48時間の予備乾燥によって脱水されるのが好ましい。無機ないし有機の難溶性の充填物質は、70~120℃の温度での6~48時間の予備乾燥によって脱水されるのが好ましい。
【0019】
コンパウンド中の各成分の重量比率の調整は、正しい混合比率での粉末状の各成分の予備混合によって、および好ましくは引き続いての押出成形もしくはその他の熱可塑性の製造方法の適用によって行われるか、または、異なるかさ密度の各成分が加工装置へ、たとえば押出機へ、別々に供給されることによって行われる。
【0020】
押出機の温度プロファイルは、各成分の熱崩壊が起こらないように調整されるのがよい。そのために、加工温度をポリマーの融点の範囲内に、典型的には10~20℃かそれ以下(機械エネルギーの注入による追加の熱の寄与を考慮する)、ないしは10~20℃かそれ以上(粘性を低減させて均一な混合の改善を実現するため)に保つことが必要である。
【0021】
基質ポリマーとしてのPHBV(融点はタイプに応じて170~175℃)については、温度プロファイルは例示として40~50℃の下側範囲と130~160℃の上側範囲であってよく、特に45~140~150~150~150℃であってよい。基質ポリマーとしてのPLA(融点はタイプに応じて150~200℃)については、温度プロファイルは例示として50~70℃の下側範囲と140~200℃の上側範囲であってよく、特に60~160~190~190~145~145~145℃であってよい。
【0022】
押出ノズルから離れた後に、コンパウンドを急速に冷却する。このことは、好ましくは水浴またはドライアイスによって行うことができる。引き続いて、完成したコンパウンドを以後の使用のためにペレット化することができる。
【0023】
好ましい組み合わせは次のとおりである。
(A)ポリヒドロキシアルカノエートおよびポリヒドロキシアルカノエート-コポリマー、特に、PH3B、PHBV、PHB-HHxまたは(P(3HB-4HB))、またはポリラクチド、特にPLLAまたは低いD異性体割合を有するPLLAであって、次のものを含むもの
(B)カルシウム塩、特にCaCO3、CaSO4、Ca3(PO4)2、またはクエン酸カルシウム
【0024】
驚くべきことに、このような種類のコンパウンドの薄い層(<1mm)は、自然界に存在する鶏卵の殻と同等の破壊特性を示した。このコンパウンドの脆性ないし弾性率は3~8GPaの、典型的には4~6GPaの値を有しており、無機ないし有機の難溶性の充填物質の濃度を通じて調整することができる。熱可塑性プラスチックの使用にも関わらず、このコンパウンドは100℃の高温水で調理するときにも十分な強度を有していた。さらに、沸騰水中でも20分の時間帯にわたってコンパウンドの溶解挙動を観察することができなかった。室温および4℃の水中で、室温および4℃での1%アルギン酸ナトリウム水溶液中で、ならびに室温および4℃でのその他の水性媒体中で、統計的に有意な溶解挙動を確認することもできなかった。
【0025】
コンパウンドは射出成形プロセスによって、同じ高さの2つの回転対称の半殻に成形されるのが好ましい(
図4を参照)。熱可塑性の加工前に、コンパウンドを50~80℃のもとで、好ましくは60~70℃で、6~48時間、好ましくは12~24時間乾燥させる。射出成形・押出機の中での温度プロファイルは、融液の耐久性と粘性とに応じて、先行するコンパウンド化プロセスの温度プロファイルに準拠するが、必要時にはこれより僅かに高く選択することもできる。射出成形金型の中での適当な材料分布と熱分布を保証するために、射出点のジオメトリーが選択的に中央に、または赤道上に、構成されていてよい。両方の半殻の組み合わせから生じる卵形の中空体の容積は、比較的大型の鶏卵の容積に相当し、50~70mlであり、好ましくは60~65mlである。射出成形された半殻の得られる殻の厚みは、鶏卵の厚みにほぼ相当し、0.5~1mmであり、好ましくは0.6~0.75mmである。卵殻の外側被覆の表面は、選択的に平滑または粗面に製作することができる - このことは、鋳型の内面の適当な機械加工(フライス削り、腐食加工など)によって実現することができる。両方の半殻は、赤道に沿ってこれらを正確に嵌め合わせて接合することを可能にする差込機構を有する。差込結合部の領域では、そこでいっそう高い機械的安定性を保証するために、殻の厚みが僅かに、およそ係数2だけ、増えている。両方の半殻のうちの一方、理想的には上側に位置する半殻は、先端に向かって他方よりも若干細くなっており、上側3分の1の側方に、または回転軸の中心に位置するように、射出成形プロセス中に共に成形される、典型的には2~6mmの、最善には3~5mmの開口部を有する。これらの開口部は、両方の卵殻半体の固定的な結合から生じる中空体に、1つまたは複数の流動性と搬送性のある成分(卵白および卵黄)を充填することを可能にする。
【0026】
以下では、卵代替製品の被覆について説明する。卵代替製品とは、天然の動物の卵と同じく互いに分離した卵白および卵黄を含み、卵のように構成することができる、ないし卵のように利用することができる、ヴィーガンベースの製品である。卵白および卵黄はいずれも(a)豆果、油糧種子、穀物、および/または藻類に由来する植物性タンパク質を含み、(b)温度変化のもとでそれぞれ異なる挙動を示す少なくとも2つの親水コロイドの組み合わせを含む。卵白であるか卵黄であるかに応じて、さらに別の成分が付け加わる。
【0027】
「ヴィーガンベースの」とは、動物性の成分または動物から得られた構成要素が含まれないことを意味する。
【0028】
以下の文章で挙げるパーセンテージ表記はそれぞれ重量%である。
【0029】
以下では、「卵白」と「卵白身」という用語は同義語として使用する。
【0030】
たとえば、ヴィーガンベースの卵白代替製品は、
(a)飲料水、
(b)豆果、油糧種子、穀物、微生物、および/または藻類に由来する1つまたは複数のタンパク質、
(c)1つまたは複数の熱ゲル化親水コロイドと、1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドとの組み合わせ、
(d)1つまたは複数の塩
を含み、1つまたは複数の可逆熱ゲル化親水コロイドと、1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドとの組み合わせの割合は、0.25~5.00重量%である。
【0031】
タンパク質源として好適なのは、豆果、穀物、油糧種子、微生物、および(微細)藻類の群に属する植物性原料であり、好ましくはエンドウ豆(Pisum sativum)、ヒヨコ豆(Cicer arientinum)、インゲン豆(Phaseolus vulgaris)、ソラ豆(「ノラマメ」とも呼ばれる;Vicia faba)、ルピナス豆(Lupinus)、レンズ豆(Lens culinaris)、トウモロコシ(Zea mays)、アサ(Cannabis sativa)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、キャッサバ(Manihot esculenta)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、カボチャ(Cucurbita)、アマ(Linum usitatissimum)、ナノハナ(Brassica napus)、大豆(Glycine max)、カラスムギ(Avena sativa)、バクテリア(たとえばLactobacillus spp.、Streptococcus spp.、および Bifidobacterium spp.)、酵母菌(たとえばSaccharomyces cerevisiae)、糸状菌(たとえばAspergillus spp.、Mucor spp.、およびRhizopus spp.)、海苔および/またはワカメの藻類に由来する植物性タンパク質であり、特に好ましくはエンドウ豆、ヒヨコ豆、ルピナス豆、アサ、カボチャ、およびリョクトウに由来するタンパク質である。タンパク質源として、(生の、および/または加水分解された、および/または発酵させた)殻粉、タンパク質濃縮物、プロテインアイソレート、および/またはこれらの任意の組み合わせであって、植物および植物の一部そのもの、その種子、球根、および/または上に挙げた原料の果実から得ることができるものを使用することができる。食品技術分野の当業者には、植物およびそれぞれの植物の一部の加工や栄養工学的な適性は十分に知られている。
【0032】
本発明によると、1つまたは複数の植物性タンパク質源に由来する上に挙げたタンパク質から製造される、透明な白色の製品が提供される。それぞれのタンパク質の溶解性は、塩溶液中では純粋な水中よりも高い。したがって、飲料水と、飲食に適した無機塩とからなる溶液にタンパク質を溶かすために、塩溶液が、好ましくは塩化ナトリウム-(NaCl)-溶液が、作成されて、その中にタンパク質源が分散される。しかしながら原則として、たとえばリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸三ナトリウム(Na3PO4)、ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7)、およびさらに塩化カリウム(KCl)などの他の塩も適している。当然ながら、タンパク質源と塩を同時に飲料水に分散させることも可能である。いくつかの実施形態では、塩濃度は、好ましくはNaCl濃度は、0.05%よりも高く、好ましくは0.10%よりも高く、0.15%よりも高く、0.20%よりも高く、0.30%よりも高く、0.40%よりも高く、または0.50%よりも高い。いくつかの実施形態では、塩濃度は、好ましくはNaCl濃度は、0.05%~0.80%であり、好ましくは0.10%~0.70%、0.20%~0.60%、または0.4%~0.6%である。
【0033】
卵に類似するアロマを生成するために、カラナマック(ブラックソルト)、または硫黄化合物の割合を有するその他の塩および/または天然のアロマを利用することができる。硫黄含有の化合物は、特にカラナマックソルトは、同じ濃度を得るために、塩溶液の塩とともに、好ましくはNaClとともに、利用することができる。あるいはこれよりも少ない、多い、または等しい量を使用することもできる。
【0034】
溶解タンパク質の量は0.1%よりも多いのが好ましい。いくつかの実施形態では、溶解タンパク質の量は1.0%よりも多く、好ましくは2.5%よりも多く、4.0%よりも多く、5.0%よりも多く、8.0%よりも多く、10.0%よりも多く、または12%よりも多い。いくつかの実施形態では、本発明による卵白代替製品における溶解タンパク質の量は0.5%~15.0%であり、好ましくは1.0%~12.0%、1.5%~10.0%、または2.0%~5.0%である。
【0035】
所望の粘性の調整のために、および加熱時の固化のために、卵白代替製品は親水コロイドを含む。このとき、1つまたは複数の熱ゲル化親水コロイドと、1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドとの組み合わせが好ましいことが判明しており、これら両方の種類は温度変化時の挙動に関して相違している。>40℃まで温度上昇したときに急速にゲル化する親水コロイドは「熱ゲル化」または「熱可逆ゲル化」と呼ばれ、好ましくは改質セルロースであり、好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)および/またはヒドロキシプロピルセルロースである。ただし、それによって惹起されるゲル化は一時的なものにすぎない;<40°に冷却されると、ゲルは再び当初の粘性溶液へと転換する。熱ゲル化を生起するために、メチルセルロースの場合にはおよそ1.5g/lである、熱ゲル化親水コロイドの特定の最低濃度が存在するのがよい。それ以外の熱ゲル化親水コロイドについての最低濃度の決定は、当業者にとって、多大な実験コストなしに可能である。このような濃度を下回ると、水溶液の加熱時にゲル化が起こらない。可逆ゲル化親水コロイドは室温(約20℃)のもとでゲルを形成し、このゲルは-熱ゲル化親水コロイドとは異なり-特定の熱インターバル内で加熱されると溶融し、すなわち液化して粘性溶液を形成し、これがゲル化温度まで、またはこれ以下に冷却された後に再びゲル化する。可逆ゲル化親水コロイドとしては、藻類に由来するもの、好ましくはカラギーナンおよび/またはアガーに由来するものが使用される。所望のコンシステンシーを調整するために、およびヴィーガン卵白の持続的な固化を促進するために、別の親水コロイドが使用され、好ましくはゲランガム、イナゴ豆殻粉、グアー殻粉、アルギン酸塩、および/またはキサンタンが使用される。本発明によると、卵白における親水コロイドの量は5.00%よりも低い(たとえば4.75%、4.50%、4.25%、4.50%、4.25%、4.00%、3.75%、3.50%、3.25%、3.00%、2.75%、2.50%、2.25%、2.00%、1.75%、1.50%、1.00%、0.75%よりも低く、または0.50%に等しく、ないしはこれよりも低い)。いくつかの実施形態では、卵黄代替製品における親水コロイドの量は0.10%~4.5%である(たとえば0.20%~4.00%、0.25%~3.00%、0.50%~2.50%、または0.75%~2.00%)。熱ゲル化親水コロイドと可逆ゲル化親水コロイドの間の分割は、好ましくは50:50、好ましくは25:75、30:70、ないし40:60、または75:25、70:30、ないし60:40である。5.00%よりも低い親水コロイドの量は、液体状の生卵代替品の提供を可能にするが、その一方で、調理時に鶏卵に匹敵する安定性とテクスチャのために作用する。
【0036】
いくつかの実施形態では、任意選択として、タンパク質溶液ないしタンパク質エマルジョンのテクスチャを改善するためにトランスグルタミナーゼを添加することができる。トランスグルタミナーゼがテクスチャに及ぼす効果は、特定の温度と時間条件のもとでタンパク質の架橋を促進する能力にある。トランスグルタミナーゼの量は好ましくは0.001%~3.00%であり、いっそう好ましくは0.01%~1.5%、さらに好ましくは0.1%~1.0%である。トランスグルタミナーゼは、タンパク質溶液ないしタンパク質エマルジョンが少なくとも15分、好ましくは30分、60分、90分、または120分、40℃~60℃の間の温度に加熱されている間に活性化する。トランスグルタミナーゼはマイクロカプセル化されていてよいが、されていなくてもよく、好ましくは卵代替製品の製造中に、パスツール処理またはUHT処理(75℃ないし120℃を上回る)によって不活性化させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、混合物に任意選択として植物性オイルを添加することができる。その量は好ましくは0.1%~4%であり、好ましくは0.5~2.0%である。好適な植物性オイルは、たとえばオリーブオイル、ヤシ油、亜麻仁油、ウォールナッツオイル、ベニバナオイル、またはピーナッツオイルである;しかしながら、菜種油、ヒマワリオイル、ココナッツ脂肪、および/またはトウモロコシ胚芽油(コーン油)などの味覚中立的な脂質、ならびに、これらのあらゆる組み合わせが好ましい。
【0038】
加熱されたときに、たとえば「目玉焼き」を焼くときに、いわゆるメイラード反応によって生じる製品の褐色化を生起するために、好ましくは少量の砂糖が製品に添加される。砂糖は好ましくは単糖類(たとえばデキストロース、フルクトース、および/またはガラクトース)および/または二糖類(たとえばラクトースおよび/またはマルトース)である。いくつかの実施形態では、卵白における砂糖の量は1.00%よりも少なく、好ましくは0.75%よりも少なく、0.50%よりも少なく、0.25%よりも少なく、または0.10%よりも少ない。いくつかの実施形態では、卵白における砂糖の量は0.10%~1.00%、好ましくは0.25%~0.75%、0.50%~0.50%、または0.75%~0.25%である。
【0039】
さらに、卵白代替製品は、僅少な量(10.0%よりも少なく、好ましくは5%、3%、または2%よりも少ない)で追加の副成分を含むことができる。これは乳化剤、アロマ調合物(特に硫黄化合物を含むもの)、香辛料、天然着色剤、保存剤、増粘剤、または健康増進添加物であってよい。例示として、ここではヨウ素、ビタミン(たとえばビタミンB1、B2、B3、B5、B7、B9、B12、C、D3、またはE)、ミネラル(たとえばCaまたはMg)、および/または植物レシチン(乳化剤としても作用する)を挙げておく。
【0040】
卵白代替製品はカロチノイドを実質的に含まないか、またはまったく含まない。
【0041】
1つのタンパク質源/複数のタンパク質源と塩を飲料水に分散させる。pH値は、水酸化ナトリウム(NaOH)、リン酸カリウム(K3PO4)、またはクエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7)などのpH食品調節剤によって、6~9に、好ましくは8.0よりも高く、きわめて好ましくは8.5前後に、調整する。タンパク質の膨潤を改善するために、好ましくは少なくとも1分間、より好ましくは5~10分間、さらに好ましくは15分間、溶液を撹拌する。タンパク質の膨潤後にタンパク質を適当な分離法により、好ましくは遠心分離、デカント、または隔膜濾過により、分離するのが好ましいが、必須ではない。このような分離は、溶解したタンパク質を含む上澄みと、不溶性のタンパク質を含むペレットとをもたらす。使用される溶液中の塩濃度に応じて、溶解したタンパク質は主としてグロブリンとアルブミンである。上澄みの溶液(溶液(A))を引き続き卵白製造のために利用し、それに対して残滓ないしペレットは、たとえばヴィーガン卵黄代替製品などの別の製品の製造のために利用することができる。
【0042】
本発明によると、タンパク質源を水または水性塩溶液に分散させる(溶液(A))。溶液(A)を2つの部分((A1)および(A2))に分割することができる。あるいは、互いに独立して2つの溶液(A1)および(A2)を作成することも可能である:(A1)は、水性のタンパク質溶液ないしタンパク質-塩溶液であってよく、(A2)は別のタンパク質の溶液または水のみであってよい。任意選択として、0.001%~2.00%のトランスグルタミナーゼを溶液(A1)に付け加えることができる。カプセル化されていないトランスグルタミナーゼが使用される場合、溶液を120分よりも短い間50℃に保つのがよい。溶液(B)は、溶液(A1)を少なくとも40℃まで、好ましくは50℃まで、ただし60℃を超えないように加熱し、1つまたは複数の熱ゲル化親水コロイド(たとえば改質セルロース、メチルセルロース、および/またはヒドロキシプロピルセルロース)を添加することによって作成される。熱作用により、親水コロイドの改善された分散がもたらされる。親水コロイドの分散の前または後に、オイル(場合により0.01%~50%の乳化剤を含む)、場合によりカルシウムイオン源、天然着色剤、および場合によりその他の添加剤を溶液(B)に混合する。溶液(A2)に1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドを30℃よりも低い温度のもとで、好ましくは20℃、15℃、または10℃よりも低い温度のもとで、混合することによって、溶液(C)を作成する。これに加えて、さらに天然の味覚物質、アロマ調合物、オイル、および(カプセル化された)トランスグルタミナーゼ、またはその他の添加剤を溶液(C)に混合することができる。溶液(B)および(C)のすべての成分が完全に分散するとただちに、好ましくは30℃よりも低い温度のもとで溶液(B)および(C)を混合し、それによって完成した卵白身溶液(溶液(D))が生じる。上で説明した各溶液および分散液は、周知の分散技術を適用したうえで標準混合容器で作成する。
【0043】
第2の代替的な実施形態では、溶液(A)の分割が行われるのではなく、1つ/複数の可逆ゲル化親水コロイドおよび場合により砂糖や塩などの添加物が溶液(A)に添加される。混合物を40℃まで、好ましくは50℃まで、加熱してから、熱ゲル化親水コロイドを完全に分散するまで撹拌しながら添加する。混合物を室温まで冷却して、本発明による卵白代替製品を得る。
【0044】
ヴィーガン卵の第2の構成要素として、
(a)飲料水、
(b)豆果、油糧種子、穀物、藻類、または微生物に由来する1つまたは複数のタンパク質、
(c)任意選択として少なくとも1つの乳化剤を含む植物性オイル、
(d)1つまたは複数の可逆熱ゲル化親水コロイドと1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドとの組み合わせ、
(e)少なくとも1つのカロチノイド含有食品および/または天然の着色物質、
(f)任意選択として少なくとも部分的に予備糊化されたデンプン、および
(g)塩
を含む卵黄が作成され、1つまたは複数の可逆熱ゲル化親水コロイドと1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドとの組み合わせの割合は0.5~5.0重量%である。
【0045】
本発明による製品は、特に1%~35%の、好ましくは3%~25%ないし20%の、非常に好ましくは4%~15%の、特に好ましくは5%~12%の、タンパク質含有率を有する。タンパク質源として好適なのは、豆果、穀物、油糧種子、(微細)藻類、および微生物の群に属する植物性原料であり、好ましくはエンドウ豆(Pisum sativum)、ヒヨコ豆(Cicer arientinum)、インゲン豆(Phaseolus vulgaris)、ソラ豆(Vicia faba)、ルピナス豆(Lupinus)、レンズ豆(Lens culinaris)、ト、ウモロコシ(Zea mays)、アサ(Cannabis sativa)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、キャッサバ(Manihot esculenta)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、カボチャ(Cucurbita)、アマ(Linum usitatissimum)、ナノハナ(Brassica napus)、大豆(Glycine max)、カラスムギ(Avena sativa)、バクテリア(たとえばLactobacillus spp.、Streptococcus spp.、およびBifidobacterium spp.)、酵母菌(たとえばSaccharomyces cerevisiae)、糸状菌(たとえばAspergillus spp.、Mucor spp.、およびRhizopus spp.)、海苔および/またはワカメの藻類であり、特に好ましくはエンドウ豆、ルピナス豆、ジャガイモ、ヒヨコ豆、およびソラ豆のタンパク質である。タンパク質源として、(生の、および/または加水分解された、および/または発酵させた)殻粉、タンパク質濃縮物、プロテインアイソレート、および/またはこれらの任意の組み合わせであって、植物および植物の一部そのもの、その種子、球根、および/または上に挙げた原料の果実から得ることができるものを使用することができる。食品テクノロジー分野の当業者には、植物およびそれぞれの植物の一部の加工や栄養工学的な適性は十分に知られている。
【0046】
いくつかの実施形態では、任意選択として、タンパク質溶液ないしタンパク質エマルジョンのテクスチャを改善するためにトランスグルタミナーゼを添加することができる。トランスグルタミナーゼがテクスチャに及ぼす効果は、特定の温度と時間条件のもとでタンパク質の架橋を促進する能力にある。トランスグルタミナーゼの量は好ましくは0.001%~3.00%であり、いっそう好ましくは0.01%~1.5%、さらに好ましくは0.1%~1.0%である。トランスグルタミナーゼは、タンパク質溶液ないしタンパク質エマルジョンが少なくとも15分、好ましくは30分、60分、90分、または120分、40℃~60℃の間の温度に加熱されている間に活性化する。トランスグルタミナーゼはマイクロカプセル化されていてよいが、されていなくてもよく、好ましくは卵代替製品の製造中に、パスツール処理またはUHT処理(75℃ないし120℃を上回る)によって不活性化させることができる。
【0047】
脂肪含有率は好ましくは1%~50%、好ましくは5%~30%、非常に好ましくは10%~25%、特に好ましくは12%~18%である。脂肪成分としては植物性オイル、たとえばオリーブオイル、ヤシ油、亜麻仁油、ウォールナッツオイル、ベニバナオイル、またはピーナッツオイルが適している;しかしながら、菜種油、ヒマワリオイル、ココナッツ脂、および/またはトウモロコシ胚芽油などの味覚中立的な脂肪、ならびに、これらのあらゆる組み合わせが好ましい。脂肪成分の割合に対して好ましくは最大50%まで、好ましくは5~40%、さらに好ましくは10~30%、乳化剤が脂質成分に添加されていてよい。これはたとえばレシチン(またはその構成要素、たとえばホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、またはホスファチジルイノシトール)、アスコルビルジパルミテート、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、ホスファチジン酸のアンモニウム塩、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ステアリル、またはソルビタンモノステアレートである。
【0048】
卵黄代替製品にふさわしい色を付与するために、さらに別の成分として少なくとも1つのカロチノイド含有食品および/または天然着色剤が添加される。それに好適なのは果実、野菜、および球根に由来する、好ましくは球根野菜および根菜に由来する、たとえばニンジン、アプリコット、トマト、パプリカ、カボチャ、ウイキョウ、および/またはサツマイモに由来する、調合品である。これらは好ましくはボイルしてからジャムに加工するか、細かく(微細に)刻まれる。いくつかの実施形態では、卵黄におけるカロチノイド含有食品の量は15.0%よりも低い(たとえば12.0%よりも低く、8.00%よりも低く、4.00%よりも低く、2.00%よりも低く、1.50%よりも低く、または0.50%よりも低い)。いくつかの実施形態では、卵黄におけるカロチノイド含有食品の量は0.01%~10.0%である(たとえば0.50%~9.50%、2.50%~7.50%、または3.00%~5.50%である)。カロチノイド含有食品としてのサツマイモの使用は、驚くべきことに、旧来の鶏卵黄に類似するテクスチャと色の形成につながることが見出されており、サツマイモの使用はタンパク質含有率と繊維質含有率も促進するとともに、デンプン成分を混合物に持ち込み、このことはテクスチャに好ましい影響を及ぼす。サツマイモはボイルしてからジャムに加工するか、細かく(微細に)刻まれるのが好ましい。サツマイモの量は3%~10%であってよく、好ましくは5%~8%であってよい。サツマイモがカロチノイド含有食品として含まれるケースでは、少なくとも部分的に予備糊化されたデンプンのその他の添加物が不要になり(0%)、または、0.5%よりも低い少量に抑えることができる。そうでない場合、少なくとも1つの(部分的に)予備糊化されたデンプンの添加が、好ましくは0.5%~4%、さらに好ましくは1.0%~3.0%の量で推奨される。(部分的に)糊化されたデンプンは、好ましくはトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または米デンプンから機械式の加工により水の存在下で熱を適用して、または適用せずに、得られる。このとき一部または全部のデンプン粒子が破裂する。引き続いて粉末を乾燥させる。糊化されたデンプンは白色ないし黄味を帯びた白色の粉末として存在し、冷水中で膨潤する。これは良好な流動特性を有し、結合剤として適している。
【0049】
テクスチャ、食感、および色を調整するために、果実、野菜、および球根に由来するさらに別の適当な調合品を使用することができる。さらに、最善の色調整のために添加物、好ましくは脂溶性の天然着色剤、たとえばカルチノイド(たとえばβカロチン、リコピン、ゼアキサンチン)、ニンジンエキス、クルクミン、ならびに水に難溶性の着色剤、たとえばリボフラビンなどが適している。これらは単独で、または所望の色調を得るために組み合わせて、使用される。いくつかの実施形態では、卵黄における天然着色剤の量は2.00%よりも低い(たとえば1.50%よりも低く、1.00%よりも低く、0.75%よりも低く、または0.25%よりも低い)。いくつかの実施形態では、卵黄における天然着色剤の量は0.01%~2.00%である(たとえば0.25%~1.75%、1.00%~0.50%、または1.75%~0.25%である)。卵黄の色は、L*a*b*色空間においてイエローからダークオレンジに及んでいてよい。明度(L*)は70~85、好ましくは75~80に及ぶことができる;レッド-グリーン(a*)は15~30、好ましくは19~25に及ぶことができる;イエロー-ブルー(b*)は60~95、好ましくは70~90、特に好ましくは75~88であってよい。
【0050】
鶏卵に類似するアロマを生成するために、塩が添加される。NaCl、KCl、NaH2PO4、Na2HPO4、Na-クエン酸またはK-クエン酸、CaCl2、Na3PO4および/またはカラナマック(ブラックソルト)またはカラナマックに匹敵する塩であって、硫黄化合物の割合を有するものが好ましい。この目的のために、いくつかの実施形態では塩の量は、好ましくはカラナマック塩の量は、2.00%よりも低く、たとえば0.75%よりも低く、0.50%よりも低く、0.25%よりも低く、または0.10%よりも低い。
【0051】
さらに卵黄代替製品は、追加の副成分を僅少量で(10.0%よりも低く、好ましくは5%、3%、または2%よりも低く)含むことができる。これはアロマ調合物、香辛料、乾燥した野菜または果実、砂糖、保存剤、増粘剤、または健康増進添加物であってよい。例示として、ここではヨウ素、ビタミン(たとえばビタミンB1、B2、B3、B5、B7、B9、B12、C、D3、またはE)、および/またはミネラル(たとえばCaまたはMg)を挙げておく。
【0052】
所望の粘性の調整のために、および加熱時の固化のために、卵黄代替製品は親水コロイドを含む。このとき、1つまたは複数の熱ゲル化親水コロイドと、1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドとの組み合わせが好ましいことが判明しており、これら両方の種類は温度変化時の挙動に関して相違している。>40℃まで温度上昇したときに急速にゲル化する親水コロイドは「熱ゲル化」または「熱可逆ゲル化」と呼ばれ、好ましくは改質セルロースであり、好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)および/またはヒドロキシプロピルセルロースである。ただし、それによって惹起されるゲル化は一時的なものにすぎない;<40°に冷却されると、ゲルは再び当初の粘性溶液へと転換する。熱ゲル化を生起するために、メチルセルロースの場合にはおよそ1.5g/lである、熱ゲル化親水コロイドの特定の最低濃度が存在するのがよい。それ以外の熱ゲル化親水コロイドについての最低濃度の決定は、当業者にとって、多大な実験コストなしに可能である。このような濃度を下回ると、水溶液の加熱時にゲル化が起こらない。可逆ゲル化親水コロイドは室温(約20℃)のもとでゲルを形成し、このゲルは-熱ゲル化親水コロイドとは異なり-特定の熱インターバル内で加熱されると溶融し、すなわち液化して粘性溶液を形成して、これがゲル化温度まで、またはこれ以下に冷却された後に再びゲル化する。可逆ゲル化親水コロイドとしては、藻類に由来するもの、好ましくはカラギーナンおよび/またはアガーに由来するものが使用される。所望のコンシステンシーを調整するために、およびヴィーガン卵黄の持続的な固化を促進するために、別の親水コロイドが使用され、好ましくはゲランガム、イナゴ豆殻粉、グアー殻粉、アルギン酸塩、および/またはキサンタンが使用される。いくつかの実施形態では、卵黄における親水コロイドの量は5.00%よりも低い(たとえば4.75%、4.50%、4.25%、4.50%、4.25%、4.00%、3.75%、3.50%、3.25%、3.00%、2.75%、2.50%、2.25%、2.00%、1.75%、1.50%、1.00%、0.75%よりも低く、または0.50%に等しく、ないしはこれよりも低い)。いくつかの実施形態では、卵黄代替製品における親水コロイドの量は0.10%~4.5%である(たとえば0.20%~4.00%、0.25%~3.00%、0.50%~2.50%、または0.75%~2.00%)。熱ゲル化親水コロイドと可逆ゲル化親水コロイドの間の分割は、好ましくは50:50、好ましくは25:75、30:70、ないし40:60、または75:25、70:30、ないし60:40である。5.00%よりも低い親水コロイドの量は、液体状の生卵代替品の提供を可能にするが、その一方で、調理時に鶏卵に匹敵する安定性とテクスチャのために作用する。
【0053】
好ましい実施形態では、卵黄代替混合物は、高架橋の親水コロイドからなる、または熱可逆ゲル化親水コロイドからなる、好ましくはアルギン酸カルシウムまたはk-カラギーナンからなる被覆で取り囲まれる。
【0054】
本発明によると、タンパク質源を水または水性塩溶液に分散させる(溶液(A))。溶液(A)を2つの部分((A1)および(A2))に分割することができる。あるいは、互いに独立して2つの溶液(A1)および(A2)を作成することも可能である:(A1)は、水性のタンパク質溶液ないしタンパク質・塩・溶液であってよく、(A2)は別のタンパク質の溶液または水のみであってよい。任意選択として、0.001%~2.00%のトランスグルタミナーゼを溶液(A1)に付け加えることができる。カプセル化されていないトランスグルタミナーゼが使用される場合、溶液を120分よりも短い間、50℃に保つのがよい。溶液(B)は、溶液(A1)を少なくとも40℃まで、好ましくは50℃まで、ただし60℃を超えないように、加熱し、1つまたは複数の熱ゲル化親水コロイド(たとえば改質セルロース、メチルセルロース、および/またはヒドロキシプロピルセルロース)を添加することによって作成される。熱作用により、親水コロイドの改善された分散がもたらされる。親水コロイドの分散の前または後に、オイル(場合により0.01%~50%の乳化剤を含む)、場合によりカルシウムイオン源、カルチノイド含有食品ないし天然着色剤、および場合によりその他の添加剤を溶液(B)に混合する。溶液(A2)に1つまたは複数の可逆ゲル化親水コロイドを30℃よりも低い温度のもとで、好ましくは20℃、15℃、または10℃よりも低い温度のもとで、混合することによって、溶液(C)を作成する。これに加えて、さらに天然の味覚物質、アロマ調合物、オイル、および(カプセル化された)トランスグルタミナーゼ、またはその他の添加剤を溶液(C)に混合することができる。溶液(B)および(C)のすべての成分が完全に分散するとただちに、好ましくは30℃よりも低い温度のもとで溶液(B)および(C)を混合し、それによって完成した卵黄溶液(溶液(D))が生じる。上で説明した各溶液および分散液は、周知の分散技術を適用したうえで標準混合容器で作成する。
【0055】
オイル粒子の完全な細かい分布を実現するために、混合物(溶液(D)を均一化することができる。驚くべきことに、それによって食感が改善され、それにより舌で粗さが感じられなくなったばかりでなく、明度も改善され、それにより着色のために必要な着色剤が少なくなり、製品がいっそう強い光沢を有するようになった。均一化のために、圧力を5バール~300バール、好ましくは25バール~225バール、特に好ましくは50バール~250バールで適用することができる。均一化は1段階式または2段階式であってよい。それぞれ独立した溶液とその混合は真空処理のもとで実行するのが好ましいが、必須というわけではない。真空は、卵黄の中での気泡の形成を防止する。
【0056】
本発明によると、溶液((A)、(B)、(C)、および/または(D))の各々をパスツール処理または滅菌することができる。パスツール処理/滅菌を、たとえば紫外線および/または高圧プロセシングなどの別の技術によって補足することもできる。これらの方法は、当業者が取り扱うことができ、文献にも十分に記載されている標準技術である。
【0057】
卵黄の球形成のために、好ましくは下記の4つの方式が適している。
【0058】
方式1:球形成(カプセル化)のために、溶解性のカルシウム塩(たとえば乳酸カルシウムや塩化カルシウム)を内容物質の一部として溶液(B)および/または(C)に入れ、溶液(D)について上で説明したのと同じように溶液(B)および/または(C)をさらに処理する。カルシウム塩を含む溶液(D)を高架橋の親水性コロイドの水溶液の中へ、好ましくはアルギン酸ナトリウムの中へ、できる限り球形に調量するのがよく、この溶液と最大で5分、好ましくは4分よりも短く、さらに好ましくは3分よりも短く、接触したままに保って、充填物(溶液(D))が液状に保たれるようにする。溶液(D)を事前に球形の形状に部分凍結または完全凍結しておくことができ、次いで、カプセル形成のために、高架橋の親水コロイドの微温浴に入れることができる。溶液(D)から高架橋の親水コロイドの溶液の中へカリウムイオンが拡散することで外側の被覆が形成され、高架橋の親水コロイドがカリウムイオンと架橋反応することによって卵黄(=溶液(D))をカプセル化する。換言すると、溶液(D)の周りに表面層が形成され、それによって周知の動物の卵黄に非常によく似た形状が生じる。架橋反応を止めるために、カプセル封じされた卵黄をできる限りただちに水で洗流するのがよい。溶液(D)を取り囲む親水コロイドの量は、カプセル封じされる卵黄の総重量の1%を超えない。
【0059】
方式1の好ましい実施形態では、液体状の「卵黄」(溶液(D))を親水コロイド(好ましくはアルギン酸ナトリウム)溶液に球形の連続体(重量:5~20g)として、ノズルを用いて親水コロイド(好ましくはアルギン酸ナトリウム)溶液へ調量して、300秒よりも短い、好ましくは240秒、120秒、また60秒よりも短い時間帯の間、この溶液と接触させる。引き続いて、カプセル封じされた卵黄を脱イオン水浴で洗流して、余剰のアルギン酸塩を除去することができ、それによって「卵黄」が保管中に硬化することがなく、内部で液状に保たれる。驚くべきことに、この液体製品はそのカプセル化の中で非常に安定的に保たれ、それにより皿/フライパンへ完全な状態で移すことができ、そこで湾曲した状態のまま保たれ、液体内容物は被覆をかき回す/的確に壊すことによって初めて外に出る。
【0060】
方式2:球形成(カプセル化)のために、高架橋の親水コロイド(たとえばアルギン酸ナトリウム)を内容物質の一部として溶液(Bおよび/またはC)に入れ、溶液(D)について上で説明したのと同じように溶液(B)および/または(C)をさらに処理する。高架橋の親水コロイドを含む溶液(D)をカルシウム塩(たとえば乳酸カルシウムや塩化カルシウム)の水溶液の中へできる限り球形に調量するのがよく、この溶液と最大で5分、好ましくは4分よりも短く、さらに好ましくは3分よりも短く、接触したままに保って、充填物(溶液(D))が液状に保たれるようにする。溶液(D)を事前に球形の形状に部分凍結または完全凍結しておくことができ、次いで、カプセル形成のために、カルシウム塩の微温浴に入れることができる。カルシウム塩溶液からカルシウムイオンが拡散することで外側の被覆が形成され、高架橋の親水コロイドがカリウムイオンと架橋反応することによって卵黄(=溶液(D))をカプセル化する。換言すると、溶液(D)の周りに表面層が形成され、それによって周知の動物の卵黄に非常によく似た形状が生じる。架橋反応を止めるために、カプセル封じされた卵黄をできる限りただちに水で洗流するのがよい。驚くべきことに、この液体製品はそのカプセル化の中で非常に安定的に保たれ、それにより皿/フライパンへ完全な状態で移すことができ、そこで湾曲した状態のまま保たれ、液体内容物は被覆をかき回す/的確に壊すことによって初めて外に出る。溶液(D)を取り囲むカルシウム塩の量は、カプセル封じされる卵黄の総重量の1%を超えない。
【0061】
方式3:球形状の形成のために、上述した卵黄調合物(溶液(D))をシリコンゴム、プラスチック、特殊鋼などからなる適当な形態で、<0℃の温度のもとで、典型的には-18℃またはこれ以下のもとで、急速冷凍する。凍結された溶液(D)からなる、直径が1~4cmの、理想的には2~3cm前後の、得られた球または半球を引き続いて液体窒素(沸点-196℃)によってさらに凍らせて、球の表面に目立ったガス泡発生が生じなくなるまで(熱力学的な平衡への到達)これを行う。事前に準備しておいた熱可逆ゲル化親水コロイドの溶液を、典型的にはアルギン酸ナトリウムおよび/またはk-カラギーナンを、35℃を超える温度のもとで水に溶かして、1~2%の澄んだ溶液を得る。この溶液を、引き続いて35℃~50℃の温度まで、理想的には45~50℃の範囲内に冷却していく。急速冷却された溶液Dの球を、引き続いて親水コロイドの溶液に浸けて、冷却により表面にゲル層が形成されるようにする。ゲル層の厚みは、浸漬時間、球サイズ、および供給される親水コロイド溶液の量によって調整することができ、1~5mmであり、典型的には1~2mm前後である。換言すると、固化した溶液(D)の周りに表面層が形成され、それによって周知の動物の卵黄に非常によく似た形状が全体として生じる。驚くべきことに、融解後に液体製品はそのカプセル化の中で非常に安定的に保たれ、それにより皿/フライパンへ完全な状態で移すことができ、そこで湾曲した状態のまま保たれ、液体内容物は被覆をかき回す/的確に壊すことによって初めて外に出る。溶液(D)を取り囲む熱可逆ゲル化親水コロイドの量は、カプセル封じされる卵黄の総重量の1%を超えない。
【0062】
方式4:球形状の形成のために、上述した卵黄調合物(カルシウムイオン源のない溶液(D))をシリコンゴム、プラスチック、特殊鋼などからなる適当な形態で、<0℃の温度のもとで、典型的には-18℃またはこれ以下のもとで、急速冷凍する。場合により、凍結された溶液(D)からなる、直径が1~4cmの、理想的には2~3cm前後の、得られた球または半球を、引き続いて液体窒素(沸点-196℃)によってさらに凍らせて、球の表面に目立ったガス泡発生が生じなくなるまで(熱力学的な平衡への到達)これを行う。球ないし半球の表面にカルシウムイオンを吹き付けて、凍った表面にイオンが付着するようにすることができる。事前に準備しておいた熱可逆ゲル化親水コロイドの溶液を、典型的にはアルギン酸ナトリウムおよび/またはk-カラギーナンを、35℃を超える温度のもとで水に溶かして、1~3%の澄んだ溶液を得る。この溶液を、引き続いて35℃~50℃の温度まで、理想的には45~50℃の範囲内に、冷却していく。理想的にはカルシウムイオンの均一な層を表面に有する、急速冷却された溶液Dの球を、引き続いて親水コロイドの溶液に浸けて、冷却により表面にゲル層が形成されるようにする。ゲル層の厚みは、浸漬時間、球サイズ、および供給される親水コロイド溶液の量によって調整することができ、1~5mmであり、典型的には1~2mm前後である。換言すると、固化した溶液(D)の周りに表面層が形成され、それによって周知の動物の卵黄に非常によく似た形状が全体として生じる。驚くべきことに、融解後に液体製品はそのカプセル化の中で非常に安定的に保たれ、それにより皿/フライパンへ完全な状態で移すことができ、そこで湾曲した状態のまま保たれ、液体内容物は被覆をかき回す/的確に壊すことによって初めて外に出る。溶液(D)を取り囲む熱可逆ゲル化親水コロイドの量は、カプセル封じされる卵黄の総重量の1%を超えない。
【0063】
カプセル封じされた卵黄を、たとえばNaCl、カルシウム塩、安息香酸、および/またはアスコルビン酸を含む保存溶液および/または緩衝溶液の中で保管することができる。
【0064】
卵白代替製品および卵黄代替製品の構造と製造方式に関するさらなる詳細は、10 2021 130 963.8および10 2021 130 974.3の出願番号を有する出願書類から読み取ることができ、これらの開示を本明細書に取り入れる。
【0065】
上で説明した、好ましくは射出成形によって作成される殻を卵白代替物と卵黄代替物で充填するために、原理的に2つの異なる方法が適している:(I)外部で成形された卵黄体による充填態様、および(II)卵黄体のin-situ成形。
充填態様(I)は、架橋した親水コロイドにより、好ましくはアルギン酸カルシウムにより、被覆された卵黄混合物を前提とすることが特徴である。形成される卵黄体の質量は、典型的には20~30g、理想的には25~29gである。形成される被覆は、追加の充填穴を有していない半殻(実施例3を参照)の中で卵黄体を位置決めすることを可能にする。その上に第2の半殻を差込結合により位置決めして、中にある卵黄体を含めた中空体が生じるようにする。半殻を赤道に沿って液密かつ気密に互いに結合するために適当な接合方法が適用され、この接合方法は、a)熱エネルギーの局所的な供給(ヒートシール、摩擦溶接、レーザーパルス溶接など)によって実行することができ、または、b)適当な封止媒体の化学的または物理的な結合(差込結合内部の食品適合的かつ任意選択として生物学的に分解可能な封止ラッカーないし封止接着剤;食品適合的かつ任意選択として生物学的に分解可能な結合層の外部からの塗布、たとえば帯状シールやスプレーラッカー)によって実行することができる。このような仕方で両方の半殻が形状接合式かつ不可逆的に互いに結合された後、第2の成分(ヴィーガン卵白)を調量システムにより追加の充填穴を通して調量補給する。卵白の最大の充填高さは充填穴の位置に依存して決まり、卵本体を位置変化(たとえば傾動)させることによって、さらに適合化することができる。充填された卵の充填穴は、適当な閉止材料によって、たとえば殻と同一または相違する材料からなる接着薄板やシール薄板によって、液密かつ気密に閉止される。
【0066】
充填態様(II)は、液体状の卵黄混合物と液体状の卵白混合物を前提とするという特徴がある。両方の半殻(実施例3を参照)を空の状態で適当な接合方法により、上で述べたように赤道平面に沿って液密かつ気密に接合する。引き続き充填穴を通して、最終的な飲食用に定められるのではない高架橋の多糖類溶液(たとえばアルギン酸)を中空体に調量供給する。その中へ意図される量の卵黄調合物を注入し、それにより、卵黄と多糖類溶液との間の境界面で、薄い可食の人工卵黄膜が生じる(in-situ成形)。所望の膜厚に達してから、残りの多糖類溶液を充填穴を通して注ぎ出すことによって、または選択的に吸い出すことによって、取り除き、任意選択として殺菌水で再洗浄する。その後の作業手順(卵白の調量、充填穴の閉止)は、充填態様(I)について上で説明したとおりに行う。
【0067】
次に、図面を参照しながら本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】鶏卵殻を顕微鏡で見た構造である(参考文献[1]より採録)。
【
図2】さまざまなポリマーの水蒸気透過性と酸素透過性である(参考文献[23]より転載)。
【
図3】さまざまなポリマーの引張強度と剛性(弾性率)である(参考文献[23]より転載)。
【
図4】成形が完了した卵殻を示す例示としての図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下の実施例は、考え得る実施形態として理解されるべきであり、これらの実施形態に厳密に限定するものではない。
【実施例】
【0070】
実施例1:PHBVおよびCaCO3からなるコンパウンドの作成
175℃の融点を有するPHBVを50℃のもとで、ならびにCaCO3を、100℃で一晩乾燥させ、粉末状にして7:3の比率で混合し、45-140-150-150-150℃の温度プロファイルのもとでコンパウンド化し、グラニュール化した。明るい褐色のグラニュールから、厚さ約240μmのプレスフィルムを作成した。ガス透過性測定により、1.8gm-2d’1(100μmに正規化:4.4gm2d-1)の水蒸気透過性(WVTR、85->0%相対湿度、23℃)が得られ、ならびに、10.5cm3m2d-1((100μmに正規化:67.2cm3m2d-1)の酸素透過性(OTR、23℃/50%相対湿度)が得られた。機械的な引張試験により、21.6MPaの引張強度、1.1%の極限伸び、ならびに2.9GPaの弾性率が得られた。
【0071】
実施例2:PLLAおよびCaCO3からなるコンパウンドの作成
僅少な割合のD異性体を含むPLLA(融点160℃)を60℃で、ならびにCaCO3を100℃で一晩乾燥させ、粉末状にして、8:2の比率で混合し、60-160-190-190-145-145-145℃の温度プロファイルのもとでコンパウンド化し、グラニュール化した。白みがかったグラニュールから、厚さ約200μmのプレスフィルムを作成した。ガス透過性測定により、11gm-2d-1(100μmに正規化:22gm2d-1)の蒸気透過性(WVTR、85->0%相対湿度、23℃)が得られ、ならびに、75cm3m2d-1の酸素透過性(100μmに正規化:150cm3m2d-1)が得られた。機械的な引張試験により、40MPaの引張強度、1.0%の極限伸び、ならびに4GPaの弾性率が得られた。
【0072】
図2および
図3は、実施例1および2のコンパウンドの達成された透過性特性と機械的特性を、食品パッケージ用の汎用されているポリマーとの比較を示している。
【0073】
実施例3:殻の性質と成形
実施例1のコンパウンドを、射出成形法により、同じ高さの2つの回転対称な半殻に成形した(
図4参照)。熱可塑性加工の前に、コンパウンドを50~80℃で6~48時間乾燥させた。射出成形・押出機における温度プロファイルは、融液の耐久性と粘性に応じて、前述したコンパウンディングプロセスに相当しており、必要時にはこれより僅かに高く選択することができる。射出成形金型の中での適当な材料分布と熱分布を保証するために、射出点のジオメトリーが選択的に中央に、または赤道上に、構成されていてよい。両方の半殻の組み合わせから生じる卵形の中空体の容積は比較的大型の鶏卵の容積に相当し、60~65mlである。射出成形された半殻の得られる殻の厚みは鶏卵の厚みにほぼ相当し、すなわち約0.6~0.75mmである。両方の半殻は赤道に沿って、これらを正確に嵌め合わせて接合することを可能にする差込機構を有する。差込結合部の領域では、そこでいっそう高い機械的安定性を保証するために、殻の厚みが僅かに、およそ係数2だけ、増えている。両方の半殻のうちの一方、理想的には上側に位置する半殻は、先端に向かって他方よりも若干細くなっており、上側3分の1の側方に、または回転軸の中心に位置するように、射出成形プロセス中に共に成形される、3~5mmの開口部を有する。これらの開口部は、両方の卵殻半体の固定的な結合から生じる中空体に、1つまたは複数の流動性と搬送性のある成分(卵白および任意選択として卵黄)を充填することを可能にする。
【0074】
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【国際調査報告】