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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】アンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20241210BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20241210BHJP
   H01Q 9/04 20060101ALI20241210BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241210BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20241210BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20241210BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q1/52
H01Q9/04
H05K1/03 610H
C08L67/00
C08K3/34
H01Q23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531501
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 US2022050577
(87)【国際公開番号】W WO2023101851
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/284,819
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
4J002
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
4J002CF161
4J002CF181
4J002DJ006
4J002FA046
4J002FD016
4J002GQ00
5J021AB02
5J021AB03
5J021AB04
5J021AB05
5J021AB06
5J021HA10
5J021JA08
5J046AA19
5J046AB06
5J046AB08
5J046AB11
5J046AB13
5J046PA04
5J046PA07
5J046UA08
(57)【要約】
アンテナモジュールが提供される。アンテナモジュールは、無線周波数信号を送信および/または受信するように構成された1つまたは複数のアンテナ素子が配置された誘電体;無線周波数信号を処理するための通信回路;通信回路およびアンテナ素子と電気的に接続された相互接続部材であって、任意選択で金属コーティングが配置された基材を含む、相互接続部材;ならびに任意選択で、金属コーティングが配置された基材を含む、通信回路を覆うシールド部材を含む。誘電体、相互接続部材の基材、および/またはシールド部材の基材は、サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス内に分布されたシリケート繊維を含むポリマー組成物を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナモジュールであって、
無線周波数信号を送信および/または受信するように構成された1つまたは複数のアンテナ素子がその上に配置された誘電体;
前記無線周波数信号を処理するための通信回路;
前記通信回路および前記アンテナ素子と電気的に接続された相互接続部材であって、金属コーティングがその上に配置された基材を含んでよい相互接続部材;ならびに
任意選択で、金属コーティングがその上に配置された基材を含む、前記通信回路を覆うシールド部材;
を含み、
前記誘電体、前記相互接続部材の前記基材、および/または前記シールド部材の前記基材が、サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス内に分布されたシリケート繊維を含むポリマー組成物を含む、前記アンテナモジュール。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、ISO 527:2019に従って決定される約0.3%以上のウェルドライン引張破断ひずみを示す、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、ISO 527:2019に従って決定される約0.35%以上のウェルドライン引張破断ひずみを示す、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、1,000s-1のせん断速度および前記ポリマー組成物の溶融温度より約15℃高い温度で決定される約0.1~約80Pa・sの溶融粘度を示す、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が約280℃~約400℃の溶融温度を有する、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、1.8MPaで決定される約200℃以上の荷重たわみ温度を示す、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項7】
液晶ポリマーが前記ポリマー組成物の約40wt.%~約90wt.%を構成する、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項8】
前記サーモトロピック液晶ポリマーが、1つもしくは複数の芳香族ジカルボン酸、1つもしくは複数の芳香族ヒドロキシカルボン酸、またはそれらの組合せに由来する繰り返し単位を含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項9】
前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはそれらの組合せを含む、請求項8に記載のアンテナモジュール。
【請求項10】
前記芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、またはそれらの組合せを含む、請求項8に記載のアンテナモジュール。
【請求項11】
前記サーモトロピック液晶ポリマーが、1つまたは複数の芳香族ジオールに由来する繰り返し単位をさらに含む、請求項8に記載のアンテナモジュール。
【請求項12】
前記芳香族ジオールが、ヒドロキノン、4,4’-ビフェノール、またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載のアンテナモジュール。
【請求項13】
前記サーモトロピック液晶ポリマーが全芳香族性である、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項14】
ナフテン性ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸に由来する繰り返し単位の総量が約20mol.%以下である、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項15】
前記液晶ポリマーが、約0.5mol.%~約10mol.%の量の6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する繰り返し単位を含む、請求項14に記載のアンテナモジュール。
【請求項16】
前記液晶ポリマーが、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸および4-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰り返し単位を約10~約30のモル比で含む、請求項15に記載のアンテナモジュール。
【請求項17】
前記シリケート繊維が珪灰石を含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項18】
前記シリケート繊維が、約1~約200マイクロメートルの体積平均長さを有する、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項19】
前記シリケート繊維が約2~約50のアスペクト比を有する、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項20】
前記シリケート繊維が約1~約35マイクロメートルの平均直径を有する、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項21】
前記ポリマー組成物が、前記サーモトロピック液晶ポリマー100重量部当たり約10重量部~約80重量部の前記シリケート繊維を含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項22】
前記ポリマー組成物がメッキ添加剤をさらに含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項23】
前記メッキ添加剤がレーザー活性化可能添加剤を含む、請求項22に記載のアンテナモジュール。
【請求項24】
前記レーザー活性化可能添加剤が銅クロマイトを含む、請求項23に記載のアンテナモジュール。
【請求項25】
前記メッキ添加剤が貴金属触媒を含む、請求項22に記載のアンテナモジュール。
【請求項26】
前記触媒が、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、白金、ロジウム、またはそれらの合金もしくは組合せを含む貴金属成分を含む、請求項25に記載のアンテナモジュール。
【請求項27】
前記触媒がパラジウムを含む貴金属成分を含む、請求項25に記載のアンテナモジュール。
【請求項28】
前記触媒が、マトリックス材料によって担持された貴金属成分を含む、請求項25に記載のアンテナモジュール。
【請求項29】
前記マトリックス材料がシリケートを含む、請求項28に記載のアンテナモジュール。
【請求項30】
前記組成物がガラス繊維を含まない、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項31】
前記金属コーティングが、銅、ニッケルまたはそれらの組合せを含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項32】
前記誘電体が前記ポリマー組成物を含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項33】
前記ポリマー組成物の前記シリケート繊維が前記相互接続部材に接触しない、請求項32に記載のアンテナモジュール。
【請求項34】
前記シールド部材の前記基材が前記ポリマー組成物を含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項35】
前記ポリマー組成物の前記シリケート繊維が前記相互接続部材に接触しない、請求項34に記載のアンテナモジュール。
【請求項36】
前記相互接続部材の前記基材が前記ポリマー組成物を含む、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項37】
前記ポリマー組成物の前記シリケート繊維が前記誘電体または前記シールド部材に接触しない、請求項34に記載のアンテナモジュール。
【請求項38】
前記相互接続部材が、前記シールド部材上に形成されたノッチ中に配置された、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項39】
前記相互接続部材が、前記シールド部材と概ね同一平面上に配置された、請求項38に記載のアンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年12月1日の出願日を有する米国仮特許出願第63/284,819号に基づき、その優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]アンテナモジュール、特に高周波で使用されるアンテナモジュールを形成するために、導電素子または経路がその上に形成されたプラスチック基材を含む成型相互接続デバイス(MID)が利用される。したがって、このようなMIDデバイスは、一体化されたプリント導体または回路レイアウトを有する三次元成型パーツである。MIDは、典型的に、コンピューター制御されたレーザービームがプラスチック基材上を移動して、導電経路が配置される場所でその表面を活性化するレーザーダイレクトストラクチャリング(laser direct structuring、「LDS」)プロセスを使用して形成される。レーザーダイレクトストラクチャリングされたデバイスのプラスチック基材を形成するために、様々な材料が提案されている。例えば、そのような材料の1種は、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、および銅クロマイトのブレンドである。レーザーダイレクトストラクチャリングプロセスでは、銅クロマイトが割れて開き、金属原子が放出され、これが後続の無電解銅メッキプロセスで結晶成長の核として作用し得る。その利点にも関わらず、レーザーダイレクトストラクチャリングされた材料の限界の1つは、スピネル結晶が特定の状況下で組成物の性能に悪影響を与える傾向があることである。したがって、従来のLDS組成物のほとんどは、十分な程度の強度を達成するためにガラス繊維補強が必要である。残念ながら、ガラス繊維はパーツの表面から延びる傾向があるため、ウェルドライン引張特性が劣化し、それにより他の種類の電子部品との嵌合が困難になる。
【0003】
[0003]したがって、他の特性に悪影響を与えることなく、導電素子(例えば、アンテナ共振素子)を基材上に容易に形成することができるアンテナモジュールに対する必要性が現在存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の一実施形態によれば、無線周波数信号を送信および/または受信するように構成された1つまたは複数のアンテナ素子がその上に配置された誘電体;無線周波数信号を処理するための通信回路;通信回路およびアンテナ素子と電気的に接続された相互接続部材であって、任意選択で金属コーティングがその上に配置された基材を含む、相互接続部材;ならびに任意選択で、金属コーティングがその上に配置された基材を含む通信回路を覆うシールド部材を含む、アンテナモジュールが開示される。誘電体、相互接続部材の基材、および/またはシールド部材の基材は、サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス内に分布されたシリケート繊維を含むポリマー組成物を含む。
【0005】
[0005]本発明の他の特徴および態様が、以下により詳細に示される。
[0006]当業者にとってその最良の態様を含む本発明の完全かつ有効な開示が、添付の図面への参照を含む本明細書の残り部分により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0007]図1は、本発明の一実施形態によるアンテナモジュールの斜視図である。
図2】[0008]図2は、図1に示されるアンテナモジュールの分解図である。
図3A】[0009]図3A~3Dは、図1のアンテナモジュールの4つの異なる図であり、図3Aは上面図であり、図3Bは後面図であり、図3Cは前面図であり、図3Dは側面図である。
図3B】[0009]図3A~3Dは、図1のアンテナモジュールの4つの異なる図であり、図3Aは上面図であり、図3Bは後面図であり、図3Cは前面図であり、図3Dは側面図である。
図3C】[0009]図3A~3Dは、図1のアンテナモジュールの4つの異なる図であり、図3Aは上面図であり、図3Bは後面図であり、図3Cは前面図であり、図3Dは側面図である。
図3D】[0009]図3A~3Dは、図1のアンテナモジュールの4つの異なる図であり、図3Aは上面図であり、図3Bは後面図であり、図3Cは前面図であり、図3Dは側面図である。
図4A】[0010]図4Aおよび4Bは、図1のアンテナモジュールの2つの断面図であり、図4Aは、図3Aの線A-Aに沿って取られたアンテナモジュールの断面図であり、図4Bは、図3Aの線B-Bに沿って取られたアンテナモジュールの断面図である。
図4B】[0010]図4Aおよび4Bは、図1のアンテナモジュールの2つの断面図であり、図4Aは、図3Aの線A-Aに沿って取られたアンテナモジュールの断面図であり、図4Bは、図3Aの線B-Bに沿って取られたアンテナモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0011]本考察が例示的な実施形態の説明のみであり、本発明のより広い態様を限定することを意図しないことが当業者によって理解される。
[0012]一般的に、本発明は、無線周波数信号を送信および/または受信するように構成された1つまたは複数のアンテナ素子がその上に配置された誘電体、無線周波数信号を処理するための通信回路、通信回路およびアンテナ素子と電気的に接続された相互接続部材、ならびに任意選択で通信回路を覆うシールド部材を含むアンテナモジュールに関する。特に、誘電体、相互接続部材、および/またはシールド部材は、シリケート繊維、および少なくとも1種のサーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックスを含むポリマー組成物を含んでもよい。組成物の様々な態様を選択的に制御することにより、本発明者は、得られた組成物が、他の特性に悪影響を与えることなく容易にメッキされ得ることを発見した。例えば、ポリマー組成物は、改善されたウェルドライン引張特性を示してもよい。例えば、ポリマー組成物は、約0.3%以上、いくつかの実施形態では約0.33%以上、およびいくつかの実施形態では約0.35%以上のウェルドライン引張破断ひずみを示してもよい。同様に、ポリマー組成物は、約20MPa以上、いくつかの実施形態では約22~約60MPa、いくつかの実施形態では約25~約50MPaのウェルドライン引張強度、および/または7,000MPa以上、いくつかの実施形態では約7,300MPa~約20,000MPa、いくつかの実施形態では約7,500MPa~約12,000MPaのウェルドライン引張弾性率を示してもよい。ウェルドライン引張特性は、ISO 527:2019に従って23℃の温度で決定されてもよい。従来、優れたウェルドライン引張特性を有するメッキ可能ポリマー組成物は、小さなサイズの部品を形成するために金型のキャビティに容易に流入することができるように、十分に低い溶融粘度も有することはないと考えられていた。しかし、従来の考えとは異なり、ポリマー組成物は優れた溶融加工性の両方を有することが見出された。例えば、本発明のポリマー組成物は、ISO 11443:2021に従い、1000秒-1のせん断速度およびポリマー組成物の溶融温度より約15℃高い温度で決定される約0.1~約80Pa・s、いくつかの実施形態では約0.2~約50Pa・s、いくつかの実施形態では約0.5~約40Pa・s、いくつかの実施形態では約1~約35Pa・sなどの超低溶融粘度を有してもよい。
【0008】
[0013]ポリマー組成物はまた、優れた熱特性を有する。組成物の溶融温度は、例えば、約280℃~約400℃、いくつかの実施形態では約300℃~約380℃、いくつかの実施形態では約320℃~約370℃であってもよい。そのような溶融温度であっても、短時間の耐熱性の尺度である荷重たわみ温度(「DTUL」)の溶融温度に対する比は、依然として比較的高いままであってもよい。例えば、比は、約0.5~約1.00、いくつかの実施形態では約0.6~約0.95、いくつかの実施形態では約0.65~約0.85の範囲であり得る。具体的なDTUL値は、例えば、約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃以上、いくつかの実施形態では約230℃~約300℃、いくつかの実施形態では約240℃~約280℃であってもよい。このような高いDTUL値は、とりわけ、構造を電気部品の他の部品と嵌合するための高速かつ信頼性の高い表面取り付けプロセスの使用を可能にすることができる。
【0009】
[0014]ポリマー組成物はまた、薄層を形成する際に有用な高い衝撃強度を有してもよい。組成物は、例えば、ISO 179-1:2010に従って23℃の温度で決定される約0.5kJ/m以上、いくつかの実施形態では約1~約60kJ/m、いくつかの実施形態では約2~約50kJ/m、いくつかの実施形態では約5~約45kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強度を有してもよい。組成物の引張および曲げ機械的特性もまた良好であり得る。例えば、ポリマー組成物は、約20~約500MPa、いくつかの実施形態では約50~約400MPa、いくつかの実施形態では約70~約350MPaの引張強度;約0.4%以上、いくつかの実施形態では約0.5%~約10%、いくつかの実施形態では約0.6%~約3.5%の引張破壊ひずみ;および/または約5,000MPa~約20,000MPa、いくつかの実施形態では約8,000MPa~約20,000MPa、いくつかの実施形態では約10,000MPa~約20,000MPaの引張弾性率を示してもよい。引張特性は、ISO 527:2019に従って23℃の温度で決定されてもよい。ポリマー組成物はまた、約20~約500MPa、いくつかの実施形態では約50~約400MPa、いくつかの実施形態では約100~約350MPaの曲げ強度;約0.4%以上、いくつかの実施形態では約0.5%~約10%、いくつかの実施形態では約0.6%~約3.5%の曲げ伸び;および/または約5,000MPa~約20,000MPa、いくつかの実施形態では約8,000MPa~約20,000MPa、いくつかの実施形態では約10,000MPa~約15,000MPaの曲げ弾性率を示してもよい。曲げ特性は、ISO 178:2019に従って23℃の温度で決定されてもよい。
【0010】
[0015]上述の特性の結果として、ポリマー組成物は、その後1つまたは複数の導電素子をメッキすることができる基材に容易に成形することができる。ポリマー組成物の有益な特性のために、得られた基材は、約5ミリメートル以下、いくつかの実施形態では約4ミリメートル以下、いくつかの実施形態では約2ミリメートル以下、いくつかの実施形態では約0.1~約1ミリメートルの厚さなどの非常に小さいサイズを有してもよい。所望であれば、導電素子はアンテナ(例えば、アンテナ共振素子)であってもよく、それにより得られたパーツは、携帯電話、車載機器などの多種多様な異なる電子部品に利用され得るアンテナモジュールである。
【0011】
[0016]ここで、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
I.ポリマー組成物
A.ポリマーマトリックス
[0017]ポリマーマトリックスは、1種または複数のサーモトロピック液晶ポリマーを含む。液晶ポリマーは、一般に棒状構造を有し、溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を示すことができる限り、「サーモトロピック」として分類される。ポリマー組成物に利用される液晶ポリマーは、典型的に約280℃~約400℃、いくつかの実施形態では約300℃~約380℃、いくつかの実施形態では約310℃~約370℃の溶融温度を有する。溶融温度は、例えばISO11357-3:2018によって決定される示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して当技術分野で周知のように決定されてもよい。このようなポリマーは、当技術分野で公知のように、1種または複数の種類の繰り返し単位から形成されてもよい。液晶ポリマーは、例えば、一般に以下の式(I):
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の5もしくは6員アリール基と縮合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に連結した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり、
およびYは、独立してO、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である)
によって表される1つまたは複数の芳香族エステル繰り返し単位を含有することができる。
【0014】
[0018]典型的に、YおよびYの少なくとも1つはC(O)である。このような芳香族エステル繰り返し単位の例として、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IのYおよびYはC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式IのYはOであり、YはC(O)である)、ならびにこれらの様々な組合せを挙げることができる。
【0015】
[0019]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組合せなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)である。利用される場合、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)に由来する繰り返し単位は、典型的に、ポリマーの約20mol.%~約85mol.%、いくつかの実施形態では約30mol.%~約80mol.%、いくつかの実施形態では約40mol.%~75mol.%を構成する。
【0016】
[0020]テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組合せなどの芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族ジカルボン酸繰り返し単位も利用されてもよい。特に好適な芳香族ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TAおよび/またはNDA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約50mol.%、いくつかの実施形態では約5mol.%~約40mol.%、いくつかの実施形態では約10mol.%~約35mol.%を構成する。
【0017】
[0021]他の繰り返し単位もポリマーに利用することができる。例えば、ある特定の実施形態では、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組合せなどの芳香族ジオールに由来する繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ジオールとして、例えばヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約50mol.%、いくつかの実施形態では約5mol.%~約40mol.%、いくつかの実施形態では約10mol.%~約35mol.%を構成する。また、芳香族アミド(例えばアセトアミノフェン(「APAP」))、および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)に由来するものなどの繰り返し単位が利用されてもよい。利用される場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約0.1mol.%~約20mol.%、いくつかの実施形態では約0.5mol.%~約15mol.%、いくつかの実施形態では約1mol.%~約10%を構成する。また、ポリマーに種々の他のモノマー繰り返し単位が組み込まれてもよいことが理解されるべきである。例えば、ある特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーに由来する1つまたは複数の繰り返し単位を含有してもよい。当然ながら、他の実施形態では、ポリマーは非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーに由来する繰り返し単位を含まないという点で「全芳香族性」であってもよい。
【0018】
[0022]必ずしも必要ではないが、少なくとも1種の液晶ポリマーは、典型的にNDA、HNA、またはそれらの組合せなどのナフテン性ヒドロキシカルボン酸およびナフテン性ジカルボン酸に由来する繰り返し単位の比較的低い含有量を含む程度に「低ナフテン性」ポリマーであるポリマーマトリックス中に利用される。すなわち、ナフテン性ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組合せ)に由来する繰り返し単位の総量は、典型的にポリマーの約20mol.%以下、いくつかの実施形態では約15mol.%以下、いくつかの実施形態では約0.5mol.%~約10mol.%、いくつかの実施形態では約1mol.%~約6mol.%である。特定の一実施形態では、例えば、液晶ポリマーは、0.1mol.%~約10mol.%、いくつかの実施形態では約0.5mol.%~約8mol.%、いくつかの実施形態では約1mol.%~約6mol.%の量のHNAに由来する繰り返し単位を含有してもよい。液晶ポリマーはまた、様々な他のモノマーを含有してもよい。例えば、ポリマーは、約40mol.%~約80mol.%、いくつかの実施形態では約50mol.%~約75mol.%、いくつかの実施形態では約55mol.%~約70mol.%の量のHBAに由来する繰り返し単位を含有することができる。利用される場合、HBAに由来する繰り返し単位のHNAに由来する繰り返し単位に対するモル比は、所望の特性の達成を助けるために特定の範囲内で選択的に制御されてもよく、例えば約5~約40、いくつかの実施形態では約8~約35、いくつかの実施形態では約10~約30である。ポリマーはまた、約10mol.%~約40mol.%、いくつかの実施形態では約15mol.%~約30mol.%の量の芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA);約5mol.%~約30mol.%、いくつかの実施形態では約10mol.%~約20mol.%の量の芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ);および/または約1mol.%~約10mol.%、いくつかの実施形態では約2mol.%~約8mol.%の量の芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))に由来する繰り返し単位を含んでもよい。
【0019】
[0023]ポリマーの特定の構成要素および性質に関わらず、液晶ポリマーは、エステル繰り返し単位(例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸など)および/または他の繰り返し単位(例えば、芳香族ジオール、芳香族アミド、芳香族アミンなど)の形成に使用される芳香族モノマーを最初に反応容器に導入して重縮合反応を開始させることによって調製することができる。このような反応に利用される特定の条件およびステップは周知であり、Calundannの米国特許第4,161,470号、Linstid,IIIらの米国特許第5,616,680号、Linstid,IIIらの米国特許第6,114,492号、Shepherdら.の米国特許第6,514,611号、およびWaggonerのWO2004/058851にさらに詳細に記載されている場合がある。反応に利用される容器は特に限定されないが、典型的に高粘性流体の反応に一般的に使用されるものを利用することが所望される。このような反応容器の例として、アンカー型、多段型、螺旋リボン型、スクリューシャフト型など、またはそれらの変形形状などの様々な形状の撹拌ブレードを備えた撹拌機を有する撹拌槽型装置を挙げることができる。このような反応容器のさらなる例として、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサーなどの樹脂混練に一般的に使用される混合装置を挙げることができる。
【0020】
[0024]所望される場合、反応は、当技術分野で公知のモノマーのアセチル化により進行することができる。これは、モノマーにアセチル化剤(例えば、無水酢酸)を添加することによって達成することができる。アセチル化は、一般に約90℃の温度で開始される。アセチル化の初期段階では、酢酸副生成物および無水物が蒸留し始める点未満の気相温度を維持するために、還流が利用されてもよい。アセチル化中の温度は、典型的に90℃~150℃、いくつかの実施形態では約110℃~約150℃の範囲である。還流が使用される場合、気相温度は、典型的に酢酸の沸点を超えるが、残留する無水酢酸を保持するのに十分低いままである。例えば、無水酢酸は約140℃の温度で気化する。したがって、反応器に約110℃~約130℃の温度で気相還流を与えることが特に望ましい。実質的に完全な反応を保証するために、過剰量の無水酢酸を利用することができる。過剰な無水物の量は、還流の有無を含む利用される特定のアセチル化条件によって変化する。存在する反応物ヒドロキシル基の総モル数に基づいて、約1~約10モルパーセントの過剰の無水酢酸を使用することは稀ではない。
【0021】
[0025]アセチル化は、別個の反応容器で行われてもよく、または重合反応容器内でその場で行われてもよい。別個の反応容器が利用される場合、モノマーの1種または複数をアセチル化反応器に導入し、その後重合反応器に移すことができる。同様に、モノマーの1種または複数は、事前アセチル化を受けずに反応容器に直接導入されてもよい。
【0022】
[0026]モノマーおよび任意選択のアセチル化剤に加え、重合を促進するのに役立つ他の構成成分も反応混合物中に含まれてもよい。例えば、金属塩触媒(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸スズ(I)、チタン酸テトラブチル、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、および有機化合物触媒(例えば、N-メチルイミダゾール)などの触媒を任意に利用することができる。このような触媒は、典型的に、繰り返し単位前駆体の総重量に対して約50~約500百万分率の量で使用される。別々の反応器が利用される場合、典型的に重合反応器ではなくアセチル化反応器に触媒を適用することが所望されるが、これは決して必須ではない。
【0023】
[0027]反応混合物は、一般に重合反応器容器内で高温に加熱され、反応物の溶融重縮合を開始させる。重縮合は、例えば約200℃~約400℃の温度範囲内で行われてもよい。例えば、芳香族ポリエステルを形成するための1つの好適な技術は、前駆体モノマーおよび無水酢酸を反応器に投入し、混合物を約90℃~約150℃の温度に加熱してモノマーのヒドロキシル基をアセチル化し(例えば、アセトキシを形成し)、次に温度を約200℃~約400℃に上昇させて溶融重縮合を実行することを含んでもよい。最終重合温度に近づくにつれ、反応の揮発性副生成物(例えば、酢酸)も除去することができ、それにより所望の分子量を容易に達成することができる。反応混合物は、一般に、良好な熱伝達および物質移動、ひいては良好な材料の均質性を確保するために、重合中に撹拌に供される。撹拌機の回転速度は、反応の過程で変化してもよいが、典型的に約10~約100毎分回転(「rpm」)、いくつかの実施形態では約20~約80rpmの範囲である。溶融物の分子量を高めるために、重合反応は真空下で行うこともでき、その適用により、重縮合の最終段階で形成される揮発性物質の除去が容易になる。真空は、平方cm当たり0.35kg~2.10kg(平方インチ当たり約5~約30ポンド)(「psi」)、いくつかの実施形態では平方cm当たり0.70kg~1.40kg(約10~約20psi)の範囲内などの吸引圧の適用によって作り出すことができる。
【0024】
[0028]溶融重合後、溶融ポリマーは、典型的に所望の形状のダイを備えた押出オリフィスを通って反応器から排出され、冷却され回収されてもよい。一般に、溶融物は、穴あきダイを通して排出されてストランドを形成し、これが水浴中に取り込まれ、ペレット化され乾燥される。いくつかの実施形態では、溶融重合されたポリマーはまた、その後の固体重合法に供され、その分子量をさらに増加させてもよい。固体重合は、ガス(例えば、空気、不活性ガスなど)の存在下で実施することができる。好適な不活性ガスとして、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなど、およびそれらの組合せを挙げることができる。固体重合反応容器は、ポリマーを所望の滞留時間にわたって所望の固体重合温度で維持することを可能にする実質的に任意の設計のものであってもよい。そのような容器の例は、固定床、静止床、移動床、流動床などを有するものであってもよい。固体重合が実施される温度は異なってもよいが、典型的に約200℃~約400℃の範囲内である。重合時間は、当然ながら、温度および目標分子量に基づいて変化する。しかし、ほとんどの場合、固体重合時間は、約2時間~約12時間、いくつかの実施形態では約4時間~約10時間である。
【0025】
[0029]ポリマー組成物中に利用される液晶ポリマーの総量は、典型的にポリマー組成物全体の約40wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約45wt.%~約80wt.%、いくつかの実施形態では約50wt.%~約70wt.%である。ある特定の実施形態では、液晶ポリマーのすべてが上述のような「低ナフテン性」ポリマーである。しかし、他の実施形態では、「高ナフテン性」液晶ポリマーもまた、ナフテン性ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組合せ)に由来する繰り返し単位の総量が、ポリマーの約10mol.%以上、いくつかの実施形態では約15mol.%以上、いくつかの実施形態では約20mol.%~約75mol.%であり得る組成物中に利用されてもよい。利用される場合、そのような高ナフテンポリマーは、比較的低い量だけ存在することが一般に所望される。例えば、利用される場合、高ナフテン液晶ポリマーは、典型的に組成物中の液晶ポリマーの総量の約1wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約20wt.%~約40wt.%、および組成物全体の約0.5wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約2wt.%~約35wt.%、いくつかの実施形態では約5wt.%~約25wt.%を構成する。対照的に、低ナフテン液晶ポリマーは、典型的に組成物中の液晶ポリマーの総量の約50wt.%~約99wt.%、いくつかの実施形態では約55wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約90wt.%、および組成物全体の約25wt.%~約65wt.%、いくつかの実施形態では約30wt.%~約60wt.%、いくつかの実施形態では約35wt.%~約55wt.%を構成する。
【0026】
B.シリケート繊維
[0030]記載されたように、ポリマー組成物は、典型的にポリマーマトリックス100重量部当たり約10重量部~約80重量部、いくつかの実施形態では約15重量部~約70重量部、いくつかの実施形態では約30重量部~約55重量部の量でポリマーマトリックス内に分布されたシリケート繊維を含む。例えば、シリケート繊維は、ポリマー組成物の約10wt.%~約60wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約20wt.%~約40wt.%を構成してもよい。シリケート繊維は、ネオシリケート、ソロシリケート、イノシリケート(例えば、珪灰石などのカルシウムイノシリケート;透角閃石などのカルシウムマグネシウムイノシリケート;陽起石などのカルシウムマグネシウム鉄イノシリケート;直閃石などのマグネシウム鉄イノシリケートなど)、フィロシリケート(例えば、パリゴルスカイトなどのアルミニウムフィロシリケート)、テクトシリケートなどに由来してもよい。特に好適なものは、モース硬度スケールに基づいて約2.0以上、いくつかの実施形態では約2.5以上、いくつかの実施形態では約3.0以上、いくつかの実施形態では約3.0~約11.0、いくつかの実施形態では約3.5~約11.0、いくつかの実施形態では約4.5~約6.5の硬度値を有するシリケート繊維である。このような繊維の例としては、商品名Nyglos(登録商標)(例えば、Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)でNyco Mineralsから市販されている珪灰石(モース硬度4.5~5.0)などのイノシリケートに由来するものが挙げられる。
【0027】
[0031]シリケート繊維は、約1~約35マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約3~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約7~約12マイクロメートルのメジアン径を有してもよい。シリケート繊維はまた、狭いサイズ分布を有することができる。すなわち、繊維の少なくとも約60体積%、いくつかの実施形態では繊維の少なくとも約70体積%、いくつかの実施形態では繊維の少なくとも約80体積%が、上述の範囲内のサイズを有してもよい。上述のサイズ特性を有することに加え、シリケート繊維は、得られたポリマー組成物の機械的特性および表面品質をさらに改善するのに役立つように比較的高いアスペクト比(平均長さをメジアン幅で除したもの)を有することもできる。例えば、シリケート繊維は、約2~約50、いくつかの実施形態では約2~約40、いくつかの実施形態では約3~約20、いくつかの実施形態では約4~約15のアスペクト比を有してもよい。そのような繊維の体積平均長は、例えば、約1~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5~約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10~約50マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0028】
C.任意選択の添加剤
i.メッキ添加剤
[0032]所望により、ポリマー組成物は、その後の組成物のメッキを容易にするのに役立つメッキ添加剤を含有してもよい。一実施形態では、例えば、ポリマー組成物は、レーザーダイレクトストラクチャリング(「LDS」)プロセスによって活性化され得る添加剤を含有してもよい。このようなプロセスでは、添加剤は、金属の放出を引き起こすレーザーに曝露される。したがって、レーザーはその部分に導電素子のパターンを描き、金属粒子が埋め込まれた粗面を残す。これらの粒子は、その後のメッキ工程(例えば、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、亜鉛メッキ、スズメッキなど)中における結晶成長のための核として作用する。利用される場合、レーザー活性化可能添加剤は、典型的にポリマー組成物の約0.1wt.%~約20wt.%、いくつかの実施形態では約0.5wt.%~約15wt.%、いくつかの実施形態では約1wt.%~約10wt.%を構成する。レーザー活性化可能添加剤は、一般的にスピネル結晶を含み、これは、画定可能な結晶形成内に2つ以上の金属酸化物クラスター構成を含んでもよい。例えば、全体の結晶形成は、以下の式:
AB
(式中、
Aは、2の価数を有する金属カチオン、例えばカドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、スズ、チタンなど、およびそれらの組合せであり;
Bは、3の価数を有する金属カチオン、例えばクロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、スズなど、およびそれらの組合せである)
を有することができる。
【0029】
[0033]典型的には、上式中のAは、第一の金属酸化物クラスターの主カチオン構成成分を提供し、Bは、第二の金属酸化物クラスターの主カチオン構成成分を提供する。これらの酸化物クラスターは、同じまたは異なる構造を有することができる。一実施形態では、例えば、第1の金属酸化物クラスターは四面体構造を有し、第2の金属酸化物クラスターは八面体クラスターを有する。それにも関わらず、クラスターは、電磁放射に対する高められた感受性を有する単一の識別可能な結晶型構造を共に提供してもよい。好適なスピネル結晶の例として、例えば、MgAl、ZnAl、FeAl、CuFe、CuCr、MnFe、NiFe、TiFe、FeCr、MgCrなどが挙げられる。酸化銅クロム(CuCr)は、本発明で使用するために特に好適であり、名称「Shepherd Black 1GM」でShepherd Color Co.から入手可能である。
【0030】
[0034]当然ながら、他の種類のメッキ添加剤も利用されてもよい。一実施形態では、例えば、メッキ添加剤は貴金属触媒を含んでもよく、貴金属触媒は、一般に少なくとも100の原子量を有する、周期表(IUPAC表)のIB、VIIAおよびVIIIA族から選択されるものなどの貴金属成分を含む。このような貴金属成分の例としては、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金、および前述のいずれかの合金または組合せが挙げられる。パラジウムが特に好適である。触媒の物理的強度の改善を促すために、貴金属成分はまた、典型的に無機金属酸化物などのマトリックス材料によって担持される。この目的に好適な無機金属酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、マグネシア、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア-ジルコニア、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪灰石などを挙げることができる。カオリナイトなどの天然および/または合成シリケート鉱物が特に好適である。マトリックス材料は、選択された金属成分の単純イオンまたは錯体イオン(例えば、Pd(NH 2+などの錯体カチオン)の溶液を使用して、含浸またはイオン交換(またはその両方)などの様々な方法で貴金属成分と組み合わされてもよい。錯体は、焼成または、例えば水素中での還元など、その後の処理ステップで触媒活性型に変換されてもよい。あるいは、選択された貴金属成分の化合物は、押出またはペレット化などによって粒子へと形成される場合、マトリックス材料に単純に添加されてもよい。
【0031】
[0035]ポリマー組成物中に利用される触媒の全体量は、一般に、貴金属成分が、ポリマーマトリックス100重量部当たり約0.1重量部~約6重量部、いくつかの実施形態では約0.2重量部~約4重量部、いくつかの実施形態では約0.5重量部~約2.5重量部を構成するようなものである。例えば、貴金属成分は、ポリマー組成物の約0.1wt.%~約5wt.%、いくつかの実施形態では約0.2wt.%~約3wt.%、いくつかの実施形態では約0.4wt.%~約1.5wt.%を構成してもよい。したがって、組成物中に利用される触媒の実際の量は、触媒内に利用される貴金属成分の量に依存する。典型的に、貴金属成分は、触媒の約0.01wt.%~約3wt.%、いくつかの実施形態では約0.05wt.%~約1wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約0.8wt.%を構成する。そのような実施形態では、触媒は、ポリマーマトリックス100重量部当たり約0.5重量部~約20重量部、いくつかの実施形態では約1重量部~約15重量部、いくつかの実施形態では約2重量部~約10重量部を構成する。例えば、触媒は、ポリマー組成物の約0.1wt.%~約15wt.%、いくつかの実施形態では約0.5wt.%~約10wt.%、いくつかの実施形態では約1wt.%~約6wt.%を構成し得る。
【0032】
ii.鉱物粒子
[0036]所望により、鉱物粒子をポリマー組成物中に利用することもできる。利用される場合、鉱物粒子は、典型的に、上述のような硬度値を有する材料から形成される。様々な異なる種類の鉱物粒子のいずれか、例えば、天然および/または合成のシリケート鉱物、例えば、タルク、マイカ、シリカ(例えば非晶質シリカ)、アルミナ、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪灰石など;硫酸塩;炭酸塩;リン酸塩;フッ化物、ホウ酸塩などから形成されるものが一般にポリマー組成物中に利用されてもよい。特に好適なものは、所望される硬度値を有する粒子、例えば炭酸カルシウム(CaCO、モース硬度3.0)、炭酸水酸化銅(CuCO(OH)、モース硬度4.0);フッ化カルシウム(CaFl、モース硬度4.0);ピロリン酸カルシウム((Ca、モース硬度5.0)、無水リン酸二カルシウム(CaHPO、モース硬度3.5)、水和リン酸アルミニウム(AlPO・2HO、モース硬度4.5);シリカ(SiO、モース硬度5.0~6.0)、ケイ酸アルミニウムカリウム(KAlSi、モース硬度6)、ケイ酸銅(CuSiO・HO、モース硬度5.0);水酸化ホウケイ酸カルシウム(CaSiO(OH)、モース硬度3.5);アルミナ(AlO、モース硬度10.0);硫酸カルシウム(CaSO、モース硬度3.5)、硫酸バリウム(BaSO、モース硬度3~3.5)、マイカ(モース硬度2.5~5.3)など、およびそれらの組合せである。
【0033】
[0037]ある特定の実施形態では、組成物の表面および機械的特性を改善するために、「フレーク状」である鉱物粒子を利用することが望ましい場合がある。そのような実施形態では、粒子は一般に、約4以上、いくつかの実施形態では約10以上、いくつかの実施形態では約40~約250などの比較的高いアスペクト比(例えば、平均直径を平均厚さで除したもの)を有する。粒子の平均直径は、例えば、ISO 13320:2009(例えば、HoribaLA-960粒度分布分析器を用いて)に従い、レーザー回折技術を使用して決定されるような約5マイクロメートル~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約8マイクロメートル~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲であってもよい。平均厚さは、同様に、約2マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約5ナノメートル~約1マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20ナノメートル~約500ナノメートルであってもよい。フレーク状粒子は、典型的に、マイカ、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪灰石などの天然および/または合成シリケート鉱物から形成される。例えば、マイカが特に好適である。任意の形態のマイカを一般に利用することができ、例えば、白雲母(KAl(AlSi)O10(OH))、黒雲母(K(Mg,Fe)(AlSi)O10(OH))、金雲母(KMg(AlSi)O10(OH))、紅雲母(K(Li,Al)2-3(AlSi)O10(OH))、海緑石(K,Na)(Al,Mg,Fe)(Si,Al)10(OH))などが含まれる。白雲母系マイカは、ポリマー組成物に使用するために特に好適である。
【0034】
[0038]当然ながら、他の実施形態では、鉱物粒子は、一般に本質的に粒状または結節状である形状を有してもよい。そのような実施形態では、粒子は、例えばISO 13320:2009に従ってレーザー回折技術を使用して(例えば、Horiba LA-960粒度分布分析器を用いて)決定される約0.5~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1.5~約10マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約8マイクロメートルのメジアン径(例えば直径)を有することができる。このような粒状粒子の例としては、例えば、硫酸バリウムを挙げることができる。
【0035】
iii.ガラス繊維
[0039]本発明の1つの有益な態様は、得られたパーツの表面特性に悪影響を与えることなく、良好な強度特性が達成され得ることである。このような特性を確実に維持するのを助けるために、ポリマー組成物は、ガラス繊維などの従来の繊維状充填剤を実質的に含まないままであることが一般に望ましい。したがって、利用するとしても、ガラス繊維は通常、ポリマー組成物の約10wt.%以下、いくつかの実施形態では約5wt.%以下、いくつかの実施形態では約0.001wt.%~約3wt.%を構成する。
【0036】
iv.その他の添加剤
[0040]滑剤、導電充填剤(例えば、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラファイト、イオン液体など)、熱伝導性充填剤(例えば、カーボンブラック、グラファイト、窒化ホウ素など)、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、垂れ防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、トライボロジー剤(例えば、フルオロポリマー)、ならびに特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの多種多様な他の追加の添加剤もポリマー組成物に含まれてもよい。例えば、実質的に分解することなく液晶ポリマーの処理条件に耐えることができる滑剤をポリマー組成物に利用することができる。そのような滑剤の例として、それらの混合物を含む、エンジニアリングプラスチック材料の処理において滑剤として通常使用される種類の脂肪酸エステル、その塩、エステル、脂肪酸アミド、有機リン酸エステルおよび炭化水素ワックスが挙げられる。好適な脂肪酸は、典型的に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデセン酸(octadecinic acid)、パリナリン酸(parinric acid)など、約12~約60個の炭素原子の骨格炭素鎖を有する。好適なエステルとして、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、ワックスエステル、グリセロールエステル、グリコールエステルおよび複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドとして、脂肪酸第一級アミド、脂肪酸第二級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミドならびにアルカノールアミド、例えば、例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどが挙げられる。また、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩;パラフィンワックス、ポリオレフィンおよび酸化ポリオレフィンワックスを含む炭化水素ワックス、ならびに微結晶性ワックスも好適である。特に好適な滑剤は、ステアリン酸の酸、塩またはアミド、例えばテトラステアリン酸ペンタエリスリトール、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドである。利用される場合、滑剤は典型的に、ポリマー組成物の約0.05wt.%~約1.5wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約0.5wt.%(重量で)を構成する。
【0037】
II.形成
[0041]ポリマー組成物を形成するために使用される構成成分は、当技術分野で公知のように、様々な異なる技術のいずれかを使用して一緒に組み合わされてもよい。特定の一実施形態では、例えば、液晶ポリマー、シリケート繊維および他の任意の添加剤は、押出機内で混合物として溶融処理され、ポリマー組成物を形成する。混合物は、約250℃~約450℃の温度で、単軸または多軸押出機内で溶融混練されてもよい。一実施形態では、混合物は、複数の温度ゾーンを含む押出機で溶融処理されてもよい。個々のゾーンの温度は、典型的に、液晶ポリマーの溶融温度に対して約-60℃~約25℃の範囲内に設定される。例として、混合物は、Leistritz 18mm共回転完全噛合式二軸押出機などの二軸押出機を使用して溶融処理することができる。汎用スクリュー設計を使用して混合物を溶融処理することができる。一実施形態では、構成成分のすべてを含む混合物が、容積式フィーダーによって第1のバレル内のフィード口にフィードされてもよい。別の実施形態では、公知のように、異なる構成成分を押出機の異なる添加点で添加してもよい。例えば、液晶ポリマーをフィード口で適用し、ある特定の添加剤(例えば、貴金属触媒)を、そこから下流に位置する同じまたは異なる温度ゾーンで供給してもよい。それにも関わらず、得られた混合物は、溶融し、混合した後、ダイを通して押し出すことができる。押し出されたポリマー組成物は、その後、水浴中で急冷して固化させ、ペレタイザーで造粒し、その後乾燥することができる。
【0038】
III.アンテナモジュール
[0042]上記で示したように、アンテナモジュールは一般に、金属コーティングがメッキされた基材を含む少なくとも1つの部品を含む。ある特定の場合では、金属コーティングは、アンテナ素子(例えば、アンテナ共振素子)から形成されるものなどの相互接続パターンを形成してもよい。導電素子は、パッチアンテナ素子、逆F型アンテナ素子、閉鎖型および開放型スロットアンテナ素子、ループアンテナ素子、モノポール、ダイポール、平面逆F型アンテナ素子、これらの設計の混成などから形成される共振素子を有するアンテナなど、様々な異なる種類のアンテナを形成してもよい。
【0039】
[0043]基材は、様々な異なる成型技術を使用して形成されてもよい。好適な技術としては、例えば、射出成型、低圧射出成型、押出圧縮成型、ガス射出成型、発泡射出成型、低圧ガス射出成型、低圧発泡射出成型、ガス押出圧縮成型、発泡押出圧縮成型、押出成型、発泡押出成型、圧縮成型、発泡圧縮成型、ガス圧縮成型、インサート成型、ピンインサート成型などを挙げることができる。例えば、ポリマー組成物を内部に注入することができる金型を含む射出成型システムが利用されてもよい。注入器内での時間は、ポリマーマトリックスが予め固化しないように制御され、最適化されてもよい。サイクル時間に達し、バレルが排出のために満杯になると、ピストンを使用して組成物を金型キャビティに注入することができる。圧縮成型システムも利用することができる。射出成型と同様に、ポリマー組成物の所望の物品への成形も金型内で行われる。組成物は、任意の公知の技術を使用して、例えば自動化ロボットアームによってピックアップされることによって圧縮金型内に配置されてもよい。金型の温度は、固化を可能にするために、所望の時間にわたってポリマーマトリックスの固化温度で、またはそれより高く維持されてもよい。その後、成型された製品は、溶融温度のもの未満の温度にすることによって固化させることができる。得られた製品は脱型することができる。各成型プロセスのサイクル時間は、ポリマーマトリックスに合わせ、十分な結合を達成し、プロセス全体の生産性を向上させるように調整することができる。
【0040】
[0044]金属コーティングは、電解メッキ、無電解メッキ、デジタル印刷、エアロゾルジェット印刷などの様々な公知のメッキ技術のいずれかを使用して基材上にメッキされてもよい。金属コーティングは、金属、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、およびそれらの混合物または合金などの様々な導電材料のうちの1種または複数を含んでもよい。一実施形態では、例えば、金属コーティングは、銅および/またはニッケル(例えば、純粋またはそれらの合金)を含んでもよい。所望により、メッキプロセスを容易にするために、最初に基材上にシード層が形成されてもよい。所望の相互接続パターンを形成するための方法は、当業者に公知のように様々であってもよい。例えば、ある特定の場合では、パターンは、所望の回路相互接続パターンに基づいて基材の表面に最初に形成されてもよい。これは、レーザーアブレーションまたはパターニング、プラズマエッチング、紫外線処理、酸エッチングなどの様々な公知の技術を使用して達成されてもよい。形成後、得られた相互接続パターンに所望の導電素子がメッキされてもよい。しかし、他の場合では、基材の表面(例えば、表面全体)がメッキされ、その後所望の相互接続パターンを形成するために、上記で言及されたような技術を使用してアブレーションされてもよい。一実施形態では、例えば、メッキ表面をレーザーアブレーションして所望の相互接続パターンを形成してもよい。
【0041】
[0045]利用される方法に関わらず、表面がメッキされる方法もまた、当技術分野で公知の技術に基づいて選択されてもよい。一実施形態では、例えば、基材の表面は、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウムなどの貴金属、およびそれらの混合物を含む活性化溶液と接触されてもよい。パラジウムが特に好適である。利用される場合、ポリマー組成物中に貴金属触媒メッキ添加剤が存在すると、その後のメッキ操作のために活性化溶液と基材との接着の改善を促すことができる。当然ながら、ある特定の場合では、その後の溶液が必要とされないように、貴金属触媒自体が活性化剤として機能してもよい。いずれにしても、任意選択の活性化ステップ後、無電解および/または電解メッキなどにより、基材上で第1の金属層がその上に形成されてもよい。無電解メッキは、表面に堆積された金属がさらなる堆積のための触媒として作用する自己触媒反応によって生じてもよい。典型的に、ニッケルおよび/または銅が基材の表面に無電解メッキされる。無電解ニッケルメッキは、例えば、ニッケル塩(例えば、硫酸ニッケル)を含む溶液を使用して達成されてもよい。また、基材を金属溶液と接触させ、電流に供して金属の堆積を開始させる電解メッキが利用されてもよい。所望される場合、基材表面は、レーザーアブレーション、プラズマエッチング、紫外線処理、フッ素化などの様々な公知の技術を使用してメッキ前に粗面化されてもよい。とりわけ、このような粗面化は、所望の相互接続パターンでのメッキを容易にするのに役立つ。さらに、基材はまた、最終的な金属コーティング層を形成するために、1つまたは複数の追加ステップに供されてもよい。例えば、第2の金属層は、第1の金属層(例えば、電解および/または無電解メッキされた銅および/またはニッケル)上に電解堆積されてもよい。第2の金属層は、例えば、銅またはニッケルを含んでもよい。ある特定の実施形態では、銅および/またはニッケルなどの1つまたは複数の追加の金属層も、第2の金属層上に電解堆積されてもよい。
【0042】
[0046]アンテナモジュールは、様々な異なる構成を有してもよい。1つの特定の実施形態では、例えば、アンテナモジュールは、通信回路を覆うように構成されたシールド部材、およびその上に1つまたは複数のアンテナ素子が配置された誘電体を含んでもよい。シールド部材は、金属コーティングがメッキされた基材を含んでもよい。所望により、誘電体および/またはシールド部材の基材は、本発明のポリマー組成物を含んでもよい。ある特定の実施形態では、通信回路およびアンテナ素子と電気的に接続された相互接続部材もアンテナモジュールに利用されてもよい。相互接続部材は、同様に、金属コーティングがメッキされた基材を含んでもよい。所望により、相互接続部材の基材は、本発明のポリマー組成物を含んでもよい。このような部品(例えば、誘電体および相互接続部材の基材)にポリマー組成物を利用する1つの利点は、ある特定のサイズおよび/または形状のシリケート繊維を使用することにより、それらが部品の表面から実質的に延びないことを確実にすることができることである。このようにして、1つの部品からのシリケート繊維は、別の部品の金属コーティングに接触せず、そうでなければ、接触により電気的接続の短絡が引き起こされる可能性がある。
【0043】
[0047]例えば図1~4を参照すると、このようなアンテナモジュール1の一例がより詳細に示されている。図示のように、アンテナモジュール1は、基材91上に配置された回路デバイス93;無線信号を処理するための通信回路94;および通信回路94を覆うカバー部材11を含む。カバー部材11は、基材91の前面(-z軸における正の領域側の表面)の全部または実質的に全部を覆うように基材91上に配置されてもよい。通信回路94の部品である回路デバイス93には、導電ライン(図示せず)が電気的に接続されてもよい。同様に、基材91の後面(-z軸における負の領域側の表面)に接続パッド95が形成されてもよい。接続パッド95は、アンテナモジュール1と取り付けられるデバイスの各部分を電気的に接続するために使用されてもよい。カバー部材11は、無線周波数信号を送受信するためのアンテナ素子51がその上に配置された誘電体12を含んでもよい。誘電体12は、シールド部材71の少なくとも一部を覆い、シールド部材71は、任意選択でアルミニウム合金または銅合金などの導電金属を含んでもよい。便宜上、誘電体12は図2に独立して示されているが、誘電体12はシールド部材71と一体の部材として形成されてもよい(例えば、インサート成型)ことが理解されるべきである。
【0044】
[0048]図示の実施形態におけるシールド部材71は、そこから下方(-z軸における負の方向)に延びる4つの側部パネル73を有する平面部材である上部パネル72を含む。必須ではないが、隣接する側部パネル73は、コーナー開口73aを形成するように互いに離間されてもよい。同様に、貫通孔として機能する1つまたは複数の開口部72aが、同様に上部パネル72に形成されてもよい。誘電体12が形成される場合、開口部に原料としての樹脂を通過させることにより、誘電体12の上パネル12aと下パネル12bとの間を接続する接続部12eが開口部に形成される。
【0045】
[0049]また、シールド部材71にノッチ74が形成されてもよい。相互接続部材75も同様に、シールド部材71に接触することなくノッチ74中に配置されてもよい。例えば、ノッチ74および相互接続部材75は、上部パネル72の長側線の一端(図3Bでは左端)に隣接する部位に配置されてもよい。ノッチ74は、上部パネル72の長線に対応する側線の近傍部位から側線まで延び、側線から側部パネル73の下端まで延び、下端で開口するように形成されてもよい。相互接続部材75は、細長い平面形状を有し、概ね直角に曲げられていてもよい。相互接続部材75の輪郭は、ノッチ74の形状と同様の形状であってもよく、輪郭の寸法は、ノッチ74の寸法よりも小さくなるように形成されてもよい。図示のように、相互接続部材75は、上部パネル72と概ね同一平面上に配置される上部75a、および側部パネル73と概ね同一平面上に配置される側部75bを有する。したがって、誘電体12の接続部12eは、上部75aを取り囲むノッチ74に形成されてもよい。所望であれば、相互接続部材75およびシールド部材71は、誘電体12と一体的に形成されてもよい(例えば、インサート成型によって)。そのような実施形態では、相互接続部材75および/または71は、導電表面を形成するためにメッキされる、本発明のポリマー組成物から形成され得る基材を含んでもよい。いずれにせよ、上部75aの少なくとも1つは誘電体12に埋設され、アンテナ素子51に電気的に接続される。
【0046】
[0050]誘電体12の上パネル12aは、シールド部材71の外側に位置付けられ、上部パネル72の上面のほぼ完全にすべてを覆う。同様に、誘電体12の下パネル12bは、シールド部材71の内側に位置付けられ、上部パネル72の下面のほぼ完全にすべてを覆う。誘電体12の接続部12eは、上パネル12aと下パネル12bとの間を接続し、パネル12aと下パネル12bとの間には、上部パネル72を収容するためのハウジング凹部12cが設けられている。また、上パネル12a上の相互接続部材75の上部75aの対応部位には、上パネル12aを厚さ方向に貫通する連通開口部12dが形成されている。連通開口部12dは、下方に向かって縮径するテーパ状の開口部であり、これは相互接続部材75の上部75a上に位置付けられ、上面12fおよび上パネル12aの下面に向かって開口している。このようにして、上部75aの上面はカバー部材11の外側に露出される。図に示される例では、下パネル12bの連通開口部12dに対応する部位に貫通孔が形成されているが、好適には貫通孔は省略されてもよい。
【0047】
[0051]上述のように、アンテナ素子51は、誘電体12の外面、すなわち上パネル12aの上面12fに配置される。図示の実施形態では、アンテナ素子51は、平面視で蛇行形状を有する。アンテナ素子51の一端は、接続端52として連通開口部12dの縁に接触し、接続端52は、連通開口部12dの側面上に配置された連通パターン53を介して、相互接続部材75の上部75aの上面と電気的に接続されている。アンテナ素子51は、上述したような事項(例えば、無電解および/または電解メッキ)で上パネル12aの上面12fにメッキされてもよい。カバー部材11も同様に、シールド部材71の側部パネル73の下端を基材91の表面の接続パッド(図示せず)に半田付けすることにより、基材91の表面に取り付けられてもよい。このようにして、図4Aおよび4Bに示すように、通信回路94および通信回路93は、箱状または容器状のシールド部材71内に位置付けられる。また、シールド部材71の側部パネル73の下端の少なくとも一部は、基材91の表面に形成された導電ライン(図示せず)と接触していてもよい。相互接続部材75の側部75bの下端は、基材91の表面に形成された信号用の導電ライン(図示せず)であり、通信回路94に含まれる導電ラインに接続されている。したがって、アンテナ素子51は、連通パターン53および相互接続部材75を介して通信回路94と接続されているため、無線周波数信号を送受信することができる。
【0048】
[0052]上述したアンテナモジュール1の部品のいずれも、一般に本発明のポリマー組成物を含有してもよい。例えば、ポリマー組成物は、基材91、カバー部材11(例えば、誘電体12、シールド部材71、相互接続部材75など)などに利用されてもよい。一実施形態では、例えば、誘電体12は本発明のポリマー組成物を含んでもよく、その上に上述の方法でメッキされた金属コーティングを含んでもよい。所望により、相互接続部材75もまた、本発明のポリマー組成物を含んでもよく、その上に上述の方法でメッキされた金属コーティングを含んでもよい。上述のように、このような部品にポリマー組成物を利用する1つの利点は、1つの部品からのシリケート繊維が別の部品の金属コーティングに接触しないことであり、そうでなければ、接触は電気接続の短絡を引き起こす可能性がある。
【0049】
[0053]ある特定の実施形態では、本発明のポリマー組成物を含むアンテナモジュールは、基地局、中継器(例えば、「フェムトセル」)、中継局、端末、ユーザデバイス、および/または5Gシステムの他の好適な部品で使用するための高周波アンテナおよびアンテナアレイでの使用に特に良好に適している可能性がある。本明細書で使用する場合、「5G」は一般に、無線周波数信号を介した高速データ通信を指す。5Gネットワークおよびシステムは、前世代のデータ通信規格(例えば、「4G、「LTE」)よりもはるかに速い速度でデータを通信することができる。例えば、本明細書で使用される場合、「5G周波数」は、1.5GHz以上、いくつかの実施形態では約2.0GHz以上、いくつかの実施形態では約2.5GHz以上、いくつかの実施形態では約3.0GHz以上、いくつかの実施形態では約3GHz~約300GHz以上、いくつかの実施形態では約4GHz~約80GHz、いくつかの実施形態では約5GHz~約80GHz、いくつかの実施形態では約20GHz~約80GHz、いくつかの実施形態では約28GHz~約60GHzの周波数を指してもよい。5G通信の要件を定量化する様々な規格および仕様が発表されている。一例として、国際電気通信連合(ITU)は、2015年に国際移動通信-2020(「IMT-2020」)規格を発表した。IMT-2020規格は、5Gの様々なデータ送信基準(例えば、ダウンリンクおよびアップリンクのデータレート、レイテンシーなど)を規定する。IMT-2020規格は、5Gシステムがサポートしなければならないデータのアップロードおよびダウンロードの最低データレートとして、アップリンクおよびダウンリンクのピークデータレートを定義している。IMT-2020規格は、ダウンリンクピークデータレートの要件を20Gbit/s、およびアップリンクピークデータレートを10Gbit/sと定めている。別の例として、3rdGeneration Partnership Project(3GPP)は最近、「5G NR」と称される5Gの新しい規格を発表した。3GPPは2018年、5G NRの標準化のための「Phase 1」を定義する「Release 15」を公開した。3GPPでは、5G周波数帯を、一般にサブ6GHzの周波数を含む「周波数範囲1」(FR1)および20~60GHzの範囲の周波数帯としての「周波数範囲2」(FR2)と定義する。本明細書に記載のアンテナモジュールは、Release 15(2018)などの3GPPによって発表された規格、および/またはIMT-2020規格の下で「5G」を満たす、または認定することができる。
【0050】
[0054]高周波数での高速データ通信を実現するために、アンテナ素子およびアレイは、アンテナ性能を改善させることができる小さな特徴サイズ/間隔(例えば、ファインピッチ技術)を利用してもよい。例えば、特徴サイズ(アンテナ素子間の間隔、アンテナ素子の幅)などは、一般に、アンテナ素子が形成された基材誘電体を伝播する所望の送信および/または受信無線周波数の波長(「λ」)に依存する(例えば、nλ/4、ここでnは整数)。さらに、ビームフォーミングおよび/またはビームステアリングが、複数の周波数範囲またはチャネルにわたる送受信を容易にするために利用されてもよい(例えば、多入力多出力(MIMO)、マッシブMIMO)。
【0051】
[0055]高周波5Gアンテナ素子は、様々な構成を有することができる。例えば、5Gアンテナ素子は、共平面導波路素子、パッチアレイ(例えば、メッシュ-グリッドパッチアレイ)、他の好適な5Gアンテナ構成であってもよく、またはそれを含んでもよい。アンテナ素子は、MIMO、マッシブMIMO機能、ビームステアリングなどを提供するように構成されてもよい。本明細書で使用される「マッシブ」MIMO機能は、一般に、アンテナアレイによって多数の送信および受信チャネルを提供することを指し、例えば、8送信(Tx)および8受信(Rx)チャネル(8x8と略記する)である。マッシブMIMO機能は、8×8、12×12、16×16、32×32、64×64以上で提供されてもよい。
【0052】
[0056]アンテナ素子は、様々な構成および配置を有することができ、様々な製造技術を使用して製作することができる。一例として、アンテナ素子および/または関連素子(例えば、グランド素子、フィードラインなど)は、ファインピッチ技術を利用することができる。ファインピッチ技術は、一般に、その部品またはリード間の間隔が小さいか、または微細であることを指す。例えば、アンテナ素子間(またはアンテナ素子と接地面との間)の特徴サイズ/寸法および/または間隔は、約5,000マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約3,000マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では1,500マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では750マイクロメートル以下(例えば、1.5mm以下の中心間間隔)、650マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では550マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では450マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では350マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では250マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では150マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では100マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では50マイクロメートル以下であってもよい。しかし、より小さいおよび/またはより大きい特徴サイズおよび/または間隔が、本開示の範囲内で利用され得ることが理解されるべきである。
【0053】
[0057]このような小さな特徴寸法の結果として、アンテナモジュールは、小さなフットプリントで多数のアンテナ素子を用いて実現することができる。例えば、アンテナアレイは、1平方センチメートル当たり10個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり50個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり200個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり1,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり3,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり約5,000個を超えるアンテナ素子の平均アンテナ素子密度を有してもよい。アンテナ素子のそのような緻密な配置は、アンテナ領域の単位面積につきより多数のMIMO機能用チャネルを提供することができる。例えば、チャネルの数は、アンテナ素子の数に対応してもよい(例えば、アンテナ素子の数と等しいか、または比例する)。
【0054】
[0058]その特定の構成に関わらず、アンテナモジュールは様々な異なる電子部品に利用されてもよい。一例として、アンテナモジュールは、デスクトップコンピューター、ポータブルコンピューター、手持ち電子デバイス、車載機器などの電子部品に形成されてもよい。1つの好適な構成では、アンテナモジュールは、利用可能な内部空間が比較的小さい、比較的コンパクトなポータブル電子部品のハウジングに形成される。好適なポータブル電子部品の例としては、携帯電話、ラップトップコンピューター、小型ポータブルコンピューター(例えば、ウルトラポータブルコンピューター、ネットブックコンピューターおよびタブレットコンピューター)、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホンおよびイヤホンデバイス、無線通信機能付きメディアプレーヤー、手持ちコンピューター(パーソナルデジタルアシスタントと呼ぶこともある)、リモートコントローラー、グローバルポジショニングシステム(GPS)デバイス、手持ちゲームデバイスなどが挙げられる。アンテナはまた、手持ちデバイスのカメラモジュール、スピーカー、またはバッテリーカバーなどの他の部品と一体化されてもよい。
【0055】
[0059]本発明は、以下の実施例を参照することによってより良好に理解することができる。
【実施例
【0056】
試験方法
[0060]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して、せん断速度400s-1または1,000s-1および溶融温度(例えば、約325℃)より15℃高い温度でISO11443:2021に従って決定されてもよい。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°であってもよい。バレルの直径は9.55mm+0.005mmであってもよく、ロッドの長さは233.4mmであってもよい。
【0057】
[0061]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で公知のように、示差走査熱量測定(「DSC」)により決定することができる。溶融温度は、ISO11357-3:2018によって決定される示差走査熱量測定(DSC)ピーク溶融温度である。DSC手順では、TA Q2000 Instrumentで実施されるDSC測定を使用して、ISO規格10350に記載のように、試料を毎分20℃で加熱および冷却した。
【0058】
[0062]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重たわみ温度は、ISO75-2:2013(ASTM D648と技術的に同等)に従って決定することができる。より詳細には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmを有する試験片試料を、規定荷重(最大外繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ3点曲げ試験に供してもよい。検体は、0.25mm(ISO試験No.75-2:2013では0.32mm)たわむまで、毎分2℃で温度が上昇するシリコーン油浴中に下げてもよい。
【0059】
[0063]引張弾性率、引張応力および引張伸び:引張特性は、1A型ISO引張バー(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して、ISO 527:2019(ASTM D638と技術的に同等)に従って試験されてもよい。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は5mm/分であってもよい。「ウェルドライン」引張特性も、上述の試験方法を使用して決定されてもよい。このような特性の場合、ダブルゲートISO引張バー(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用する。
【0060】
[0064]曲げ弾性率、曲げ応力および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO178:2019(ASTM D790と技術的に同等)に従って試験することができる。この試験は、64mmの支持スパンで実施することができる。試験は、切断されていないISO 3167多目的バーの中央部分で実行されてもよい。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は2mm/分であってもよい。
【0061】
[0065]シャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO179-1:2010(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等)に従って試験することができる。この試験は、タイプ1の検体サイズ(長さ80mm、幅10mmおよび厚さ4mm)を使用して実行することができる。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチはタイプAノッチ(底半径0.25mm)であってもよい。検体は、一枚歯フライス盤を使用して多目的バーの中心から切り出すことができる。試験温度は、23℃であってもよい。
【0062】
実施例1
[0066]比較例1を、58wt.%の液晶ポリマー(LCP1)、37wt.%のピロリン酸カルシウム、および5wt.%の貴金属触媒(カオリン上のパラジウム3.5%)から形成する。LCP1を、60%のHBA、4.25%のHNA、12.5%のBP、17.5%のTA、および5%のAPAPから形成する。配合は32mm二軸押出機を使用して行った。
【0063】
実施例2
[0067]比較例2を、66.2wt.%のLCP1、30wt.%のガラス繊維、3.5wt.%の貴金属触媒(カオリン上のパラジウム3.5%)および0.3wt.%の滑剤から形成する。配合は32mm二軸押出機を使用して行った。
【0064】
実施例3
[0068]実施例3を、66.2wt.%のLCP1、30wt.%の珪灰石繊維(Nyglos(商標)8)、3.5wt.%の貴金属触媒(カオリン上のパラジウム0.25%)および0.3wt.%の滑剤から形成する。
【0065】
[0069]実施例1~3を熱的および機械的特性について試験する。結果を以下に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
[0070]本発明のこれらおよび他の修正および変形は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって実践されてもよい。加えて、様々な実施形態の態様は、全体または一部の両方で交換可能であることを理解されたい。さらに、当業者であれば、前述の説明は例示のためだけのものであり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されるように本発明を制限することを意図するものではないことを理解する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
【国際調査報告】