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特表2024-546085偏波ダイバーシティを備えるフォトニックバンドパスフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】偏波ダイバーシティを備えるフォトニックバンドパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20241210BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20241210BHJP
   G02B 6/27 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02B6/126
G02B6/12
G02B6/27
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532810
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022051729
(87)【国際公開番号】W WO2023102236
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,751
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524205330
【氏名又は名称】アールティーエックス ビービーエヌ テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ソルタニ,モエ,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シン,アンシュマン
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB08
2H137BA22
2H137BC41
2H147AB05
2H147AB11
2H147AB16
2H147AB21
2H147BE01
2H147BE13
2H147CA07
2H147CA23
2H147EA13A
2H147EA14A
(57)【要約】
偏波ダイバーシティ光入力を受信し、均一な偏波を有する中間ビームを出力するように動作可能な偏波管理ステージと、偏波管理ステージから中間ビームを受信し、中間ビームをフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なフィルタステージとを備える、偏波ダイバーシティを備えたフォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ。偏波ダイバース光入力の面内偏波と面外偏波の両方からのエネルギーが、それにより、フィルタステージに伝達されることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏波ダイバース光入力を受信し、均一な偏波を有する中間ビームを出力するように動作可能な偏波管理ステージと、
前記偏波管理ステージから前記中間ビームを受信し、前記中間ビームをフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なフィルタステージと、を備え、
前記偏波ダイバース光入力の面内偏波及び面外偏波からのエネルギーが前記フィルタステージに伝達される、偏波ダイバーシティを備えたフォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ。
【請求項2】
前記偏波管理ステージが、前記偏波ダイバース光入力を第1の偏波を有する第1のビーム、及び前記第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームに分割するように動作可能な光スプリッタを備える、請求項1に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項3】
前記偏波管理ステージが、前記第1のビームが前記第2の偏波と一致する回転偏波を含むように、前記第1のビームの前記第1の偏波を回転させるように動作可能な偏波回転子を備える、請求項2に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項4】
前記偏波管理ステージが、前記回転偏波を有する第1のビームと前記第2の偏波を有する第2のビームを中間ビームに結合するビームカプラを備える、請求項3に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項5】
前記偏波管理ステージが、前記第1のビームと前記第2のビームのコヒーレントかつ建設的な組み合わせのために前記第1のビームと前記第2のビームが前記ビームカプラによって受信される前に、前記第1のビームのフェーズと一致するように前記第2のビームのフェーズをシフトするように動作可能なフェーズシフタを備える、請求項4に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項6】
前記中間ビームが、第1の中間ビーム及び第2の中間ビームを含み、前記フィルタステージが、前記第1の中間ビームを受信する第1のフィルタと、前記第2の中間ビームを受信する第2のフィルタと、を備える、請求項1に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項7】
前記第1のフィルタが、第1のフィルタリングされた中間出力を出力し、前記第2のフィルタが、第2のフィルタリングされた中間出力を出力する、請求項6に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項8】
前記フィルタステージが、前記第1のフィルタリングされた中間出力、及び前記第2のフィルタリングされた中間出力を受信して組み合わせて、前記フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なパワーコンバイナをさらに備える、請求項7に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項9】
前記フィルタステージが、前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタにそれぞれ関連付けられたフォトディテクタをさらに備え、前記フォトディテクタが、光信号をRF信号に変換するように動作可能であり、前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタから前記第1のフィルタリングされた中間出力、及び前記第2のフィルタリングされた中間出力をそれぞれ出力する、請求項8に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項10】
前記フィルタステージが、前記第1のフィルタリングされた中間出力、及び前記第2のフィルタリングされた中間出力を受信し、第1のバイアスされた中間出力、及び第2のバイアスされた中間出力を前記パワーコンバイナに出力するように動作可能なバイアスティーをさらに備える、請求項8に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項11】
第1の偏波を有する第1のビームと、前記第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームとに偏波ダイバース光入力を分割するように動作可能な光スプリッタと、前記第1のビームの前記第1の偏波を回転させ、前記第1のビームが、前記第2の偏波と一致する回転偏波を含むようにするように動作可能な偏波回転子と、を備える偏波管理ステージと、
前記偏波管理ステージから受信した前記第1のビーム及び前記第2のビームを受信してフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なフィルタステージと、を備え、
前記偏波ダイバース光入力の面内偏波及び面外偏波からのエネルギーが、前記フィルタステージに伝達される、偏波ダイバーシティを備えたフォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ。
【請求項12】
前記偏波管理ステージが、前記回転偏波を有する前記第1のビームと前記第2の偏波を有する前記第2のビームとを中間ビームに結合するビームカプラを備え、前記フィルタステージが、前記中間ビームを受信してフィルタリングし、前記フィルタ出力ビームを出力するように動作可能である、請求項11に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項13】
前記偏波管理ステージが、前記第1のビームと前記第2のビームのコヒーレントかつ建設的な組み合わせのために前記第1のビームと前記第2のビームが前記ビームカプラによって受信される前に、前記第1のビームのフェーズと一致するように前記第2のビームのフェーズをシフトするように動作可能なフェーズシフタを備える、請求項12に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項14】
前記フィルタステージが、前記第1のビームを受信する第1のフィルタと、前記第2のビームを受信する第2のフィルタと、を備える、請求項11に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項15】
前記第1のフィルタが、第1のフィルタリングされた中間出力を出力し、前記第2のフィルタが、第2のフィルタリングされた中間出力を出力する、請求項14に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項16】
前記フィルタステージが、前記第1のフィルタリングされた中間出力、及び前記第2のフィルタリングされた中間出力を受信して組み合わせて、前記フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なパワーコンバイナをさらに備える、請求項15に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項17】
前記フィルタステージが、前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタにそれぞれ関連付けられたフォトディテクタをさらに備え、前記フォトディテクタが、光信号をRF信号に変換するように動作して、前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタから前記第1のフィルタリングされた中間出力、及び前記第2のフィルタリングされた中間出力をそれぞれ出力する、請求項16に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項18】
前記フィルタステージが、前記第1のフィルタリングされた中間出力、及び前記第2のフィルタリングされた中間出力を受信し、第1のバイアスされた中間出力、及び第2のバイアスされた中間出力を前記パワーコンバイナに出力するように動作可能なバイアスティーをさらに備える、請求項16に記載のPICバンドパスフィルタ。
【請求項19】
フォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ上で偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法であって、
入力された偏波ダイバース光を、第1の偏波を有する第1のビームと、前記第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームとに分割することと、
前記第1のビームが、前記第2のビームの前記第2の偏波と一致する回転偏波を含むように前記第1のビームの前記第1の偏波を回転させることと、
前記回転偏波を含む前記第1のビームと前記第2の偏波を含む前記第2のビームをフィルタリングすることと、
フィルタ出力ビームを出力することと、
を含む、前記方法。
【請求項20】
前記フィルタリングの前に、前記第1のビームと前記第2のビームを中間ビームに組み合わせることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のビームのフェーズが前記第1のビームのフェーズと一致するように、前記組み合わせることの前に前記第2のビームをフェーズシフトすることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のビームが、第1のフィルタによってフィルタリングされて、第1のフィルタリングされた中間出力を出力し、前記第2のビームが、第2のフィルタによってフィルタリングされて、第2のフィルタリングされた中間出力を出力し、前記第1のフィルタリングされた中間出力が、前記第2のフィルタリングされた中間出力と組み合わせられて前記フィルタ出力ビームを出力する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月3日に出願された米国仮出願第63/285,751号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
一般的なフォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ(またはフォトニックバンドパスフィルタ)は、その強い屈折率コントラストにより、入力信号の偏波に敏感である。したがって、一般的なPICバンドパスフィルタは、概して最適性能を達成するために直線偏波入力を必要とする。実際には、光ファイバーネットワークは、ランダムな偏光を伝送することがよくある。PICバンドパスフィルタには多くの進歩があったが、ほとんどの取り組みは、特定の直線偏波のためのフィルタを実証している。したがって、ランダムな偏波を有する光入力で高性能を達成できるPICバンドパスフィルタ(シリコンPICバンドパスフィルタまたは他のPICバンドパスフィルタなど)に対する需要が依然としてある。
【0003】
当該技術の特徴及び利点は、当該技術の特徴を一例として共に示す添付の図面と併せて、以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の一例による、偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタの概略図を示す。
図2】本開示の一例による、偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタの概略図を示す。
図3】本開示の一例による、偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタの概略図を示す。
図4】A及びBは、図1図3に示すような偏波ダイバーシティを備えるPICバンドパスフィルタを偏波ダイバーシティなしのPICバンドパスフィルタと比較するフィルタ構造の測定されたスペクトル応答の例を示す。
図5】本開示の一例による、フォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ上で偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法を示す。
図6】本開示の一例による、フォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ上で偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
次に、例示された実施例について参照し、それを説明するために特定の用語を使用する。それでもなお、これによって範囲を制限することは意図していないことが理解されるであろう。
【0006】
本発明の概念の最初の概略を以下に示し、その後、特定の実施例について、より詳細に説明する。この最初の概要は、読み手が実施例をより迅速に理解することを助けることを目的としているが、実施例の重要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求の範囲に記載された対象の範囲を限定することも意図していない。
【0007】
上記を考慮すると、偏波の影響を受けない(つまり、偏波ダイバース光入力と互換性のある)PICバンドパスフィルタを実装する必要がある。このようなPICバンドパスフィルタは、古典フォトニクス及び量子フォトニクスにおける幅広い信号処理用途に有益であり得る。本開示の一例によれば、偏波ダイバーシティを備えたフォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタは、偏波ダイバーシティ光入力を受信し、均一な偏波を有する中間ビームを出力するように動作可能な偏波管理ステージと、偏波管理ステージから中間ビームを受信し、中間ビームをフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なフィルタステージと、を含み得る。偏波ダイバース光入力の面内偏波と面外偏波の両方からのエネルギーが、それにより、フィルタステージに伝達されることができる。
【0008】
いくつかの例では、偏波管理ステージは、光スプリッタを備えることができる。光スプリッタは、第1の偏波を有する第1のビームと、第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームとに偏波ダイバース光入力を分割するように動作可能であり得る。偏波管理ステージは、偏波回転子をさらに備えることができる。偏波回転子は、第1のビームが第2の偏波と一致する回転偏波を含むように、第1のビームの第1の偏波を回転するように動作可能であり得る。
【0009】
いくつかの例では、偏波管理ステージはビームカプラを備えることができる。ビームカプラは、回転偏波を有する第1のビームと第2の偏波を有する第2のビームとを中間ビームに結合または組み合わせることができる。偏波管理ステージはまた、第1及び第2のビームがビームカプラによって受信される前に、第2のビームのフェーズをシフトして第1のビームのフェーズと一致するように動作可能なフェーズシフタを備えることもできる。
【0010】
いくつかの例では、中間ビームは、第1の中間ビームと第2の中間ビームとを備えることができる。フィルタステージは、第1の中間ビームを受信する第1のフィルタ、及び第2の中間ビームを受信する第2のフィルタを備えることができる。第1のフィルタは、第1のフィルタリングされた中間出力を出力することができ、第2のフィルタは、第2のフィルタリングされた中間出力を出力することができる。
【0011】
いくつかの例では、フィルタステージは、第1のフィルタリングされた中間出力及び第2のフィルタリングされた中間出力を受信して組み合わせて、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なパワーコンバイナをさらに備えることができる。フィルタステージはまた、第1のフィルタリングされた中間出力及び第2のフィルタリングされた中間出力を受信し、第1のバイアスされた中間出力及び第2のバイアスされた中間出力をパワーコンバイナに出力するように動作可能なバイアスティーを備えることもできる。
【0012】
本開示の別の例では、偏波ダイバーシティを備えたフォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタは、偏波管理ステージを備えることができる。偏波管理ステージは、光スプリッタを備えることができる。光スプリッタは、第1の偏波を有する第1のビームと、第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームとに偏波ダイバース光入力を分割するように動作可能であり得る。
【0013】
偏波管理フェーズは、第1のビームが第2の偏波と一致する回転偏波を含むように、第1のビームの第1の偏波を回転させるように動作可能な偏波回転子を備えることもできる。PICはまた、偏波管理ステージから受信した第1のビーム及び第2のビームを受信してフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なフィルタステージを備えることができる。このようにして、偏波ダイバース光入力の面内偏波と面外偏波の両方からのエネルギーが、フィルタステージに伝達されることができる。
【0014】
いくつかの例では、偏波管理ステージは、回転偏波を有する第1のビームと第2の偏波を有する第2のビームを中間ビームに結合するビームカプラを備えることができる。フィルタステージは、中間ビームを受信してフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能であり得る。
【0015】
いくつかの例では、偏波管理ステージは、フェーズシフタを備えることができる。フェーズシフタは、第1及び第2のビームがビームカプラによって受信される前に、第1のビームのフェーズと一致するように第2のビームのフェーズをシフトするように動作可能であり得る。
【0016】
いくつかの例では、フィルタステージは、第1のビームを受信する第1のフィルタ、及び第2のビームを受信する第2のフィルタを備えることができる。第1のフィルタは、第1のフィルタリングされた中間出力を出力することができ、第2のフィルタは、第2のフィルタリングされた中間出力を出力することができる。フィルタステージは、第1のフィルタリングされた中間出力及び第2のフィルタリングされた中間出力を受信及び組み合わせて、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能なパワーコンバイナをさらに備えることができる。フィルタステージは、第1のフィルタリングされた中間出力及び第2のフィルタリングされた中間出力を受信し、第1のバイアスされた中間出力及び第2のバイアスされた中間出力をパワーコンバイナに出力するように動作可能なバイアスティーを備えることもできる。
【0017】
本開示の別の例では、フォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ上で偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法が提供される。本方法は、偏波ダイバース光入力を、第1の偏波を有する第1のビームと、第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームに分割することと、第1のビームが第2の偏波と一致する回転偏波を含むように第1のビームの第1の偏波を回転することと、回転偏波を含む第1のビームと第2の偏波を含む第2のビームをフィルタリングすることと、フィルタ出力ビームを出力することと、を含むことができる。
【0018】
いくつかの例では、本方法はまた、フィルタリングの前に、第1のビームと第2のビームを中間ビームに組み合わせることを含むことができる。いくつかの例では、本方法は、第2のビームのフェーズが第1のビームのフェーズと一致するように組み合わせる前に第2のビームをフェーズシフトすることを含むことができる。
【0019】
いくつかの例では、第1のビームが、第1のフィルタによってフィルタリングされて、第1のフィルタリングされた中間出力を出力することができ、第2のビームが、第2のフィルタによってフィルタリングされて、第2のフィルタリングされた中間出力を出力することができ、第1のフィルタリングされた中間出力が、第2のフィルタリングされた中間出力と組み合わせられてフィルタ出力ビームを出力することができる。
【0020】
本開示の別の例では、フォトニックバンドパスフィルタ用の偏波管理デバイスが提供される。偏波管理デバイスは、光スプリッタを備えることができる。光スプリッタは、第1の偏波を有する第1のビームと、第1の偏波とは異なる第2の偏波を有する第2のビームとに偏波ダイバース光入力を分割するように動作可能であり得る。偏波管理デバイスは、偏波回転子をさらに備えることができる。偏波回転子は、第1のビームが第2の偏波と一致する回転偏波を含むように、第1のビームの第1の偏波を回転するように動作可能であり得る。偏波管理デバイスは、ビームカプラをさらに備えることができる。ビームカプラは、偏波感知フィルタ入力に出力され得る中間ビームに第1のビームと第2のビームを結合または組み合わせるように動作可能であり得る。
【0021】
本技術をさらに説明するために、図面を参照しながら実施例をここに示す。図1は、本開示の一例による偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタの概略図を示す。図1に示すように、PICバンドパスフィルタ10は、偏波管理ステージ102及びフィルタステージ104を備え得る。「ステージ」という単語は、本明細書で説明するようなPICバンドパスフィルタの1つ以上の構成要素または要素を含む、またはそれらを指す構造用語であることを意図していることに留意されたい。偏波管理ステージ102及びフィルタステージ104の各々は、フォトニック集積回路のオンチップアーキテクチャの少なくとも一部として形成されることができる。いくつかの例では、偏波管理ステージ102及びフィルタステージ104の各々は、単一の集積チップに組み込まれることができる。他の例では、偏波管理ステージ102及びフィルタステージ104は、別個のチップ上に形成され得る。
【0022】
偏波管理ステージ102及びフィルタステージ104の各々は、任意の数の適切な材料を含むことができるオンチップアーキテクチャの少なくとも一部として形成され得る。例えば、そのような材料には、シリコン、窒化シリコン、III/V(例えば、ガリウム砒素、InP)、III族窒化物(例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム)などが含まれ得る。いくつかの例では、偏波管理ステージ102及びフィルタステージ104は、異なる材料の異種統合から恩恵を受け、より最適な性能を提供することができる。一例では、偏波管理ステージ102は、シリコン導波路回路を備えることができ、フィルタステージ104は、窒化シリコン導波路回路を備えることができる。この例では、窒化シリコンの損失が低いため、超低損失で狭帯域幅のフィルタを実現できる。偏波管理ステージ102とフィルタステージ104との間で材料の異種統合が利用される場合、偏波管理ステージ102の出力における偏波管理ステージ102(例えば、シリコン導波路層)からフィルタステージ104(例えば、窒化シリコン導波路層)の入力への断熱移行ステージが存在し得る。
【0023】
偏波管理ステージ102は、多様な偏波光入力106を受信し、均一な偏波を有する中間ビーム126を出力するように動作可能であり得る。一例では、偏波ダイバース光入力106は、偏波管理ステージ102のオンチップ偏波ステージ入力108に送られる広帯域LED光源を備えることができる。偏波ダイバース光入力106は、混合偏波を有する光を備えることができる。例えば、偏波ダイバース光入力106は、偏波ステージ入力108で受信される横電気分極(面内偏波)及び横磁気分極(面外偏波)を備えることができる。
【0024】
この例では、偏波管理ステージ102は、光スプリッタ110を備えることができる。光スプリッタ110は、偏波ダイバース光入力106を受信し、偏波ダイバース光入力106を第1の偏波を有する第1のビーム112と第2の偏波を有する第2のビーム114とに分割することができる。例えば、光スプリッタ110は、第1のビーム112が横磁気偏波(または面外偏波)を含み、第2のビーム114が横電気偏波(または面内偏波)を含むように、偏波ダイバース光入力106を分割することができる。光スプリッタ110は、偏波管理ステージ102のアーキテクチャに組み込まれる任意の適切なオンチップ光スプリッタであり得る。図面に示される様々な光ビームの経路は、PICバンドパスフィルタ上に光路を形成する任意の適切なオンチップ光導波路であり得ることに留意されたい。
【0025】
第1のビーム112(横磁気偏波または面外偏波を有するビーム)は、光スプリッタ110から偏波管理ステージ102の偏波回転子116に進むことができる。偏波回転子116は、偏波回転子116で受信される第1のビーム112の偏波を回転し、回転偏波118を有する第1のビームを出力することができる。回転した偏波118を有する第1のビームは、第2のビーム114の偏波と一致する回転偏波(すなわち、横電気偏波または面内偏波)を有することができる。偏波回転子118は、偏波管理ステージ102のアーキテクチャに組み込まれる任意の適切なオンチップ偏波回転子であり得る。
【0026】
偏波管理ステージ102は、フェーズシフタ120を備えることもできる。フェーズシフタ120は、第2のビーム114を受信し、第2のビーム114のフェーズをシフトして、第1のビームのフェーズを回転した偏波118と一致させるように動作可能であり得る。したがって、フェーズシフタ120は、フェーズシフトされたビーム122として第2のビーム114を出力することができ、フェーズシフトされたビーム122が、回転偏波118を有する第1のビームと干渉しないフェーズを有するようになる。言い換えると、フェーズシフタ120は、フェーズシフトされたビーム112と回転偏波を有する第1のビーム118が、コヒーレントかつ建設的に組み合わせることを確実にするように動作可能である。フェーズシフタ120は、偏波管理ステージ102のアーキテクチャに組み込まれる任意の適切なオンチップフェーズシフタを備えることができる。
【0027】
偏波回転子116によって回転偏波118を有する第1のビームに回転された第1のビーム112と、フェーズシフタ120によってフェーズシフトされたビーム122にフェーズシフトされた第2のビーム114は、偏波管理ステージ102のビームカプラ124によって組み合わせられることができる。ビームカプラ124は、中間ビーム126を出力することができる。中間ビーム126は、均一な偏波を含むことができる。この例では、中間ビーム126は、横電気偏波(または面内偏波)を含むことができる。中間ビーム126は、偏波管理ステージ102からフィルタステージ104のフィルタ入力128に出力することができる。このようにして、偏波管理ステージ102は、偏波ダイバース光入力106の面内偏波及び面外偏波の両方のPICバンドパスフィルタ10のフィルタステージ104へのエネルギーの伝達を容易にすることができる。
【0028】
フィルタステージ104は、偏波管理ステージ102から中間ビーム126を受信し、中間ビーム126をフィルタリングし、フィルタ出力ビームを出力するように動作可能であることができる。フィルタステージ104は、オンチップフィルタ130を含むことができる。上述したように、一般的なオンチップフィルタは、その強い屈折率コントラストにより、入力信号偏波に敏感である。しかしながら、この例では、フィルタ入力128で受信される中間ビーム126は、均一な偏波(例えば、横電気偏波または面内偏波)を含む。したがって、PICバンドパスフィルタ10で受信される偏波ダイバース光入力106の全エネルギーは、フィルタステージ104のフィルタ130によってフィルタリングされることができる(偏波管理ステージ102で生じる予想される損失がない)。
【0029】
オンチップフィルタ130は、特定の用途に基づいた任意の所望の適切なフィルタであることができる。図1に示す例では、フィルタ130は、横電気偏波用に設計されたバンドパスフィルタであってもよく、リング支援マッハツェンダ干渉計(RAMZI)アーキテクチャに基づくものであってもよい。フィルタ130は、マッハツェンダ干渉計の各アームで所望の周波数に調整できる2つのリング共振器を備える4次フィルタであってもよい。当然、このフィルタは単に例示的なものであり、他の所望のフィルタが使用され得ることが考えられる。フィルタステージ104は、中間ビーム126をフィルタリングすることができ、第1のフィルタ出力132と第2のフィルタ出力134を出力することができる。第1のフィルタ出力132及び第2のフィルタ出力134は、例えば、レンズ付きファイバによって収集されることができ、また、所望の用途に応じて出力デバイスへ送信されることができる。
【0030】
いくつかの例では、フェーズシフタ120は、第1のフィルタ出力132及び第2のフィルタ出力134に基づいて調整されることができる。フェーズシフトされたビーム112と回転偏波を有する第1のビーム118が、整合した、または一致したフェーズを有し、それらがコヒーレントかつ建設的に組み合わせられることができるようにすることを確実にするため、第1のフィルタ出力132と第2のフィルタ出力134の少なくとも一方が監視され、期待される量のエネルギーがPICバンドパスフィルタ10によって出力されるかどうかを決定することができるようになっている。決定されたエネルギーの量が予想された出力より少ない場合、フェーズシフトされたビーム112と回転偏波を有する第1のビーム118との間のあらゆる干渉を低減するためにフェーズシフタ120が調整されることができる。いくつかの例では、このことは、第1のフィルタ出力132及び第2のフィルタ出力134のうち少なくとも1つを測定し、フェーズシフタ120を調整するオペレータを介して手動で行われることができる。別の例では、フェーズシフタは、第1のフィルタ出力132と第2のフィルタ出力134のうち少なくとも1つを監視し、フェーズシフタ120を調整してフェーズシフトされたビーム112と回転偏波118を有する第1のビームのコヒーレントで建設的な組み合わせを確実にするように動作可能なマイクロコントローラを介するなどして、自律的に調整することができる。
【0031】
前述したように、偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタは、単一のフィルタタイプに限定されない。図2は、本開示の一例による偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタの概略図を示す。図2では、PICバンドパスフィルタ20は、図1に示される偏波管理ステージ102に類似した偏波管理ステージ102を備える。この例では、偏波管理ステージ102は、中間ビーム126をフィルタステージ204のフィルタ入力228に出力する。この例のフィルタステージ204は、カスケード結合共振器フィルタで作製されたフィルタ230を含むことができる。フィルタステージ204は、第1のフィルタ出力232及び第2のフィルタ出力234を備えることができる。第1のフィルタ出力232及び第2のフィルタ出力234は、例えば、レンズ付きファイバによって収集されることができ、また、所望の用途に応じて出力デバイスへ送信されることができる。フィルタステージ204は、所望の用途に基づいて任意の適切なフィルタを備えることができ、図1及び図2に示されるフィルタ130、230は、例示的なものであり、決して限定することを意図したものではないことに再度留意されたい。
【0032】
図3は、本開示の一例による、偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタの概略図を示す。図3では、PICバンドパスフィルタ30が提供されている。PICバンドパスフィルタ10、20と同様に、PICバンドパスフィルタ30は、偏波ダイバース光入力306の面内偏波及び面外偏波からバンドパスフィルタ30のフィルタステージ304へエネルギーを伝達するように構成され、動作可能であることができる。PICバンドパスフィルタ30は、偏波管理ステージ302及びフィルタステージ304を備えることができる。偏波管理ステージ302及びフィルタステージ304の各々は、フォトニック集積回路のオンチップアーキテクチャの少なくとも一部として形成されることができる。
【0033】
偏波管理ステージ302は、偏波ダイバース光入力306を受信し、同様の偏波を有する中間ビームを出力するように構成されることができ、また、動作可能であることができる。一例では、偏波ダイバース光入力306は、偏波管理ステージ302のオンチップ偏波ステージ入力308に送られる広帯域LED光源を備えることができる。偏波ダイバース光入力306は、混合偏波を有する光を備えることができる。例えば、偏波ダイバース光入力306は、偏波ステージ入力308で受信される横電気分極(面内偏波)及び横磁気分極(面外偏波)を備えることができる。
【0034】
この例では、偏波管理ステージ302は、光スプリッタ310を備えることができる。光スプリッタ310は、偏波ダイバース光入力306を受信し、偏波ダイバース光入力306を第1の偏波を有する第1のビーム312と第2の偏波を有する第2のビーム314とに分割することができる。例えば、光スプリッタ310は、第1のビーム312が横磁気偏波(または面外偏波)を含み、第2のビーム314が横電気偏波(または面内偏波)を含むように、偏波ダイバース光入力306を分割することができる。光スプリッタ310は、偏波管理ステージ302のアーキテクチャに組み込まれる任意の適切なオンチップ光スプリッタであり得る。
【0035】
第1のビーム312(横磁気偏波または面外偏波を有するビーム)は、光スプリッタ310から偏波管理ステージ302の偏波回転子316に進むことができる。偏波回転子316は、偏波回転子316で受信される第1のビーム312の偏波を回転し、回転した偏波318で第1のビームを出力することができる。回転した偏波318を有する第1のビームは、第2のビーム314の偏波と一致する回転した偏波(すなわち、横電気偏波または面内偏波)を有することができる。偏波回転子318は、偏波管理ステージ302のアーキテクチャに組み込まれる任意の適切なオンチップ偏波回転子であり得る。
【0036】
回転偏波を有する第1のビーム318及び第2のビーム314は、フィルタステージ304によって受信され得る第1及び第2の中間ビームとして偏波管理ステージ302から出力され得る。例えば、フィルタステージ304は、回転偏波を有する第1のビーム318を受信してフィルタリングする第1のフィルタ330aにおいて第1のフィルタ入力328aと、第2のビーム314を受信してフィルタリングする第2のフィルタ330bにおいて第2のフィルタ入力328bとを含むことができる。第1のフィルタ330a及び第2のフィルタ330bは、所与の用途に基づいた任意の好適なオンチップフィルタであることができる。
【0037】
一例では、第1のフィルタ330a及び第2のフィルタ330bは、フォトダイオードまたはフォトディテクタ335とともに動作可能であり得る。フォトディテクタ335は、第1のフィルタ330a及び第2のフィルタ330bと同じチップ内に統合されてもよく、または、フォトディテクタ335は、別個のチップ上に、もしくはオフチップコンポーネント上にあってもよい。フォトディテクタ335は、第1及び第2のフィルタからの光出力をRF信号またはクロック信号に変換することができる。このように、第1のフィルタ330a及びそのそれぞれのフォトディテクタ335は、第1のフィルタリングされた中間出力336a及び第1の中間クロック信号338aを出力するように動作可能である。同様に、第2のフィルタ330b及びそのそれぞれのフォトディテクタ335は、第2のフィルタリングされた中間出力336b及び第2の中間クロック信号338bを出力するように動作可能であり得る。
【0038】
いくつかの例では、これらの出力336a、336b及びクロック信号338a、338bの各々は、バイアスティー339に送信され得る。バイアスティー339は、出力336a、336b及びクロック信号338a、338bの各々に所望の電圧を追加するように構成され、動作可能であり得る。バイアスティー339は、第1のバイアスされた中間出力340a及び第2のバイアスされた中間出力340bを第1のパワーコンバイナ344aに出力することができる。同様に、バイアスティー339は、第1のバイアスされたクロック出力342a及び第2のバイアスされたクロック出力342bを第2のパワーコンバイナ344bに出力することができる。フォトディテクタ335と同様に、バイアスティー339は、第1のフィルタ330a及び第2のフィルタ330bと同じチップに統合されることができるか、または別個のチップ上に形成されることができるか、またはオフチップコンポーネントとして形成されることができる。
【0039】
パワーコンバイナ344aは、第1のバイアスされた中間出力340aと第2のバイアスされた中間出力340bを組み合わせるように構成することができる(バイアスティー339が組み込まれていない場合、パワーコンバイナ344aが、第1のフィルタリングされた中間出力336aと第2のフィルタリングされた中間出力336bを組み合わせるように構成されることができる)。パワーコンバイナ344bは、第1のバイアスされたクロック出力342aと第2のバイアスされたクロック出力342bを組み合わせるように構成することができる(バイアスティー339が組み込まれていない場合、パワーコンバイナ344bが、第1の中間クロック出力338aと第2の中間クロック出力338bを組み合わせるように構成されることができる)。第1のパワーコンバイナ344aは、第1のフィルタ出力332を出力することができ、第2のパワーコンバイナ344bは、第2のフィルタ出力334を出力することができる。第1のフィルタ出力332及び第2のフィルタ出力334は、例えば、レンズ付きファイバによって収集されることができ、また、所望の用途に応じて出力デバイスへ送信されることができる。
【0040】
上述の例のそれぞれにおいて、PICバンドパスフィルタ10、20、30は、偏波ダイバース光入力の面内偏波及び面外偏波からバンドパスフィルタ10、20、30のフィルタステージにエネルギーを伝達することができる。これにより、バンドパスフィルタ10、20、30が偏波の影響を受けないようにすることができる。
【0041】
図4のA及びBは、図1図3に示すような偏波ダイバーシティを備えるPICバンドパスフィルタを偏波ダイバーシティなしのPICバンドパスフィルタと比較するフィルタ構造の測定されたスペクトル応答の例を示す。図4のAは、偏波ダイバーシティを備えたPICバンドパスフィルタ(例えば、上述のバンドパスフィルタ10、20、または30のいずれか1つを参照)について測定されたスペクトル応答のベースラインを示す。図4のAにおいて、直線偏波された横電気光は、偏波ステージ入力(例えば、本明細書で説明される偏波ステージ入力108、308のいずれか1つを参照)(混合ポート)とフィルタステージのフィルタ入力(例えば、本明細書で説明されたフィルタ入力128、228、328a、328bのうちのいずれか1つを参照)(TEポート)の両方においてPICバンドパスフィルタに入力された。図4のAに示すように、同様の性能が、約35~50dBの帯域外除去で観察された。このことは、オンチップ偏波管理ステージが、いずれの重大な余分な損失や歪みを伴わないことも検証している。図4のBにおいて、偏波ダイバース光入力は、偏波ステージ入力(例えば、説明される偏波ステージ入力108、308のいずれか1つを参照)(混合ポート)とフィルタ入力(例えば、本明細書で説明されるフィルタ入力128、228、328a、328bのいずれか1つを参照)(TEポート)の両方においてPICバンドパスフィルタ(例えば、本明細書で説明されるバンドパスフィルタ10、20、30のいずれか1つを参照)に入力された。図4のBに示すように、混合ポートは、40dBを超える帯域外除去を示すが、一方で、TEポートは、約25dBの帯域外除去を示している。これに基づいて、PICバンドパスフィルタ10、20、30が偏波無感応であることが証明できることが示される。
【0042】
図5は、本開示の一例による、フォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ上で偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法を示す。図5に示すように、ステップ552において、偏波ダイバース光入力が、第1のビームと第2のビームに分割される。PICバンドパスフィルタ10、20、30(図1図3を参照)を参照して上で説明したように、偏波ダイバース光入力106、306は、偏波ステージ入力108、308に入力されることができ、光スプリッタ110、310によって、第1の偏波(例えば、横電気偏波または面内偏波)を有する第1のビーム112、312と第2のビーム114、314とに分割することができる。
【0043】
ステップ554において、第1のビームの偏波は、第2のビームの偏波と一致するように回転され得る。上で説明したように、偏波回転子116、316は、第1のビーム112、312の偏波を回転させて、第2のビーム114の偏波と一致する回転偏波118、318を有する第1のビームを出力することができる。第1のビームと第2のビームが同じ偏波を有する場合、第1のビームと第2のビームの両方のエネルギーがフィルタステージ(例えば、上述のフィルタステージ104、204、304)に伝達されることができる。
【0044】
ステップ556において、第2のビームは、第1のビームのフェーズと一致するようにフェーズシフトされ得る。例えば、第2のビーム114は、フェーズシフタ120によって受信されて第2のビーム114のフェーズをシフトし、第2のビーム114のフェーズが、第2のビーム114をコーミングする前に、回転偏波118を有する第1のビームのフェーズと一致することができるようにすることができる。フェーズシフタ120は、フェーズシフトされたビーム122が回転偏波を有する第1のビーム118と干渉しないフェーズを有するように、第2のビーム114をフェーズシフトされたビーム122として出力することができる。
【0045】
ステップ558では、第1のビームと第2のビームが、中間ビームに組み合わせられることができる。例えば、回転偏波を有する第1のビーム118とフェーズシフトされたビーム122は、偏波管理ステージ102のビームカプラ124によって組み合わせられることができる。ビームカプラ124は、中間ビーム126を出力することができる。中間ビーム126は、均一な偏波を含むことができる。この例では、中間ビーム126は、横電気偏波(または面内偏波)を含むことができる。
【0046】
ステップ560では、(第1のビームと第2のビームの組み合わせである)中間ビームがフィルタリングされて、フィルタ出力ビームを出力することができる。例えば、フィルタステージ104、204は、中間ビームをフィルタリングして、第1のフィルタ出力132、232及び第2のフィルタ出力134、234などのフィルタ出力ビームを出力するように構成及び動作可能なオンチップフィルタ130、230を備えることができる。上述したように、一般的なオンチップフィルタは、その強い屈折率コントラストにより、入力信号偏波に敏感である。しかしながら、この例では、中間ビームは、均一な偏波(例えば、横電気偏波または面内偏波)を含むことができる。したがって、PICバンドパスフィルタで受信された偏波ダイバース光入力の全エネルギーがフィルタリングされることができる(ステップ552、554、556、及び558で発生し得る予期される損失がない)。
【0047】
図6は、本開示の一例による、フォトニック集積回路(「PIC」)バンドパスフィルタ上で偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法を示す。図6に示すように、ステップ652において、偏波ダイバース光入力が、第1のビームと第2のビームに分割される。PICバンドパスフィルタ10、20、30(図1図3を参照)を参照して上で説明したように、偏波ダイバース光入力106、306は、偏波ステージ入力108、308に入力されることができ、光スプリッタ110、310によって、第1の偏波(例えば、横電気偏波または面内偏波)を有する第1のビーム112、312と第2のビーム114、314とに分割することができる。
【0048】
ステップ654において、第1のビームの偏波は、第2のビームの偏波と一致するように回転され得る。上で説明したように、偏波回転子116、316は、第1のビーム112、312の偏波を回転させて、第2のビーム114の偏波と一致する回転偏波118、318を有する第1のビームを出力することができる。第1のビームと第2のビームが同じ偏波を有する場合、第1のビームと第2のビームの両方のエネルギーがフィルタステージ(例えば、上述のフィルタステージ104、204、304)に伝達されることができる。
【0049】
ステップ656では、第1のビーム及び第2のビームは、オンチップフィルタによってフィルタリングされ得る。例えば、図3を参照して上で説明したように、回転偏波を有する第1のビーム318及び第2のビーム314は、フィルタステージ304によって受信され得る第1及び第2の中間ビームとして偏波管理ステージ302から出力され得る。例えば、フィルタステージ304は、回転偏波318を有する第1のビームを受信してフィルタリングする第1のフィルタ330aにおいて第1のフィルタ入力328aと、第2のビーム314を受信してフィルタリングする第2のフィルタ330bにおいて第2のフィルタ入力328bとを含むことができる。第1のフィルタ330a及び第2のフィルタ330bは、所与の用途に基づいた任意の好適なオンチップフィルタであることができる。
【0050】
ステップ658では、第1のビームと第2のビームがフィルタ出力ビームに組み合わせられることができる。例えば、第1のフィルタ330aは、第1のフィルタリングされた中間出力336aを出力するように動作可能であり、第2のフィルタ330bは、第2のフィルタリングされた中間出力336bを出力するように動作可能である。第1のフィルタリングされた中間出力336a及び第2のフィルタリングされた中間出力336bは、バイアスティー339に送信されることができる。バイアスティー339は、出力336a、336bの各々に所望の電圧を加えるように構成され、かつ動作可能である。バイアスティー339は、第1のバイアスされた中間出力340a及び第2のバイアスされた中間出力340bを第1のパワーコンバイナ344aに出力することができる。パワーコンバイナ344aは、第1のバイアスされた中間出力340aと第2のバイアスされた中間出力340bを第1のフィルタ出力332に組み合わせることができる。したがって、PICバンドパスフィルタで受信された偏波ダイバース光入力の全エネルギーがフィルタリングされることができる(ステップ652、654、及び658で発生し得る予期される損失がない)。
【0051】
したがって、本明細書で説明するように、偏波の影響を受けないPICバンドパスフィルタが提供されている。さらに、PICバンドパスフィルタにおいて偏波ダイバース光入力をフィルタリングする方法が提供されている。典型的なPICフィルタが偏波に敏感であり、均一な偏波光入力を必要とし得るのと比較して、上述のフィルタ及び方法は、偏波ダイバース光入力(すなわち、均一な偏波を持たない光入力またはランダムな偏波を有する光入力)に適合し得る。したがって、偏波ダイバース光入力の全エネルギーがフィルタに伝達されることができる(当然、予想される損失はない)。一例では、これにより、標準的な光ファイバの使用が容易になり、実際には、光のランダムな偏波を伝送する。したがって、標準的な光ファイバを使用して光を長距離伝送することができ、多くの用途で製造及び材料によるコストを低減できる。
【0052】
図面に例示した例を参照し、これらを説明するために本明細書では特定の言語を用いた。しかしながら、それによって本技術の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。本明細書で例示した特徴の修正及びさらなる変更、ならびに本明細書で例示した例の追加用途は、説明の範囲内であると考えるべきである。
【0053】
本開示は、本明細書で説明したいくつかの実施形態または特徴が、本明細書で説明した他の実施形態または特徴と組み合わせられ得ることを明示的に開示していないことがあるが、本開示は、当業者によって実行可能な任意のそのような組み合わせを説明するために読まれるべきである。本開示において「または」を用いることは、本明細書において特に断りのない限り、非排他的または、すなわち、「及び/または」を意味すると理解すべきである。
【0054】
さらに、説明された特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられることができる。前述の説明では、説明した技術の例の十分な理解を得るために、様々な構成の例など、多くの特定の詳細が提供された。しかし、本技術は、特定の詳細の1つまたは複数を用いずに、または他の方法、構成要素、デバイスなどを用いて、実施され得ることが理解される。他の事例では、本技術の態様が不明瞭になることを避けるために、周知の構造または操作は図示することも、詳細に説明することもしていない。
【0055】
主題は、構造的特徴及び/または操作に固有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義された主題が必ずしも説明された特定の特徴及び操作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上で説明した特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実装する実施例的な形態として開示されている。説明した技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び代替的な配置が考案され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】