(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG4)ポリペプチドの結合剤
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20241210BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20241210BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241210BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241210BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241210BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20241210BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241210BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241210BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241210BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20241210BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241210BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C07K14/705
C07K19/00
C12N5/10
C12N5/0783
C12N5/0789
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/86 Z
A61K47/68
A61K39/395 N
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533985
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022052099
(87)【国際公開番号】W WO2023107538
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】305023366
【氏名又は名称】リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,ジェームズ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジエンボー
(72)【発明者】
【氏名】プライス,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フェリセス,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】レンヴィク,トッド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA14
4C085BB31
4C085DD61
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)をCSPG4ポリペプチドに結合させることに関与する方法及び材料を提供する。例えば、CSPG4ポリペプチドに結合する結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)並びにがんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために1つ以上のそのような結合分子を使用する方法及び材料が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号1(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号1)、配列番号2(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号2)及び配列番号3(又は1個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号9(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号9)、配列番号10(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号10)及び配列番号11(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号11)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域;或いは
(ii)配列番号17(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号17)、配列番号18(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号18)及び配列番号19(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号19)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号25(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号25)、配列番号26(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号26)及び配列番号27(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域
を含む抗体。
【請求項2】
(i)配列番号1(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号1)、配列番号2(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号2)及び配列番号3(又は1個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号9(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号9)、配列番号10(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号10)及び配列番号11(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号11)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域;或いは
(ii)配列番号17(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号17)、配列番号18(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号18)及び配列番号19(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号19)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号25(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号25)、配列番号26(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号26)及び配列番号27(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域
を含む抗原結合性断片。
【請求項3】
CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有する、請求項1に記載の抗体又は請求項2に記載の抗原結合性断片。
【請求項4】
前記抗体又は前記抗原結合性断片が、前記(i)の前記重鎖可変ドメイン又は領域を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項2又は3のいずれか一項に記載の抗原結合性断片。
【請求項5】
前記重鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項4に記載の抗原結合性断片。
【請求項6】
前記抗体又は前記抗原結合性断片が、前記(i)の前記軽鎖可変ドメイン又は領域を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項2又は3のいずれか一項に記載の抗原結合性断片。
【請求項7】
前記軽鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項6に記載の抗原結合性断片。
【請求項8】
前記抗体又は前記抗原結合性断片が、前記(ii)の前記重鎖可変ドメイン又は領域を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項2又は3のいずれか一項に記載の抗原結合性断片。
【請求項9】
前記重鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項8に記載の抗原結合性断片。
【請求項10】
前記抗体又は前記抗原結合性断片が、前記(ii)の前記軽鎖可変ドメイン又は領域を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項2又は3のいずれか一項に記載の抗原結合性断片。
【請求項11】
前記軽鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又は請求項10に記載の抗原結合性断片。
【請求項12】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1又は3から11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体がscFv抗体である、請求項1又は3から12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗原結合性断片がモノクローナルである、請求項2から11のいずれか一項に記載の抗原結合性断片。
【請求項15】
前記抗原結合性断片がFabである、請求項2から11又は14のいずれか一項に記載の抗原結合性断片。
【請求項16】
抗原結合性ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン及び1つ以上のシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体であって、前記抗原結合性ドメインが請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合性断片を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項17】
請求項16に記載のキメラ抗原受容体を含む細胞。
【請求項18】
T細胞、幹細胞又はNK細胞である、請求項17に記載の細胞。
【請求項19】
第1の抗原結合性ドメイン、リンカー及び第2の抗原結合性ドメインを含む細胞エンゲージャーであって、前記第1の抗原結合性ドメインが請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合性断片を含む、細胞エンゲージャー。
【請求項20】
前記第2の抗原結合性ドメインがT細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する、請求項19に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項21】
T細胞の表面に発現される前記ポリペプチドがCD3ポリペプチドである、請求項20に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項22】
前記第2の抗原結合性ドメインが、NK細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する、請求項20から21のいずれか一項に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項23】
NK細胞の表面に発現される前記ポリペプチドが、CD16aポリペプチドである、請求項22に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項24】
第3の抗原結合性ドメインを含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項25】
前記第3の抗原結合性ドメインが、NK細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する、請求項24に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項26】
NK細胞の表面に発現される前記ポリペプチドが、CD16aポリペプチドである、請求項25に記載の細胞エンゲージャー。
【請求項27】
請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合性断片の少なくとも一部をコードする核酸配列を含む核酸。
【請求項28】
請求項16に記載のキメラ抗原受容体又は請求項19から26のいずれか一項に記載の細胞エンゲージャーをコードする核酸配列を含む核酸。
【請求項29】
前記核酸がウイルスベクターである、請求項27又は請求項28に記載の核酸。
【請求項30】
前記核酸がファージミドである、請求項27又は28に記載の核酸。
【請求項31】
請求項27から30のいずれか一項に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項32】
請求項16に記載のキメラ抗原受容体又は請求項19から26のいずれか一項に記載の細胞エンゲージャーを発現する宿主細胞。
【請求項33】
T細胞、幹細胞又はNK細胞である、請求項31から32のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項34】
薬物に共有結合で連結した抗原結合性ドメインを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、前記抗原結合性ドメインが請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合性断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項35】
前記薬物が、カリケアマイシン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、エムタンシン(DM1)、及びエキサテカン誘導体(Dxd)からなる群から選択される、請求項34に記載のADC。
【請求項36】
請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合性断片を含む組成物。
【請求項37】
請求項19から26のいずれか一項に記載の細胞エンゲージャーを含む組成物。
【請求項38】
請求項17から18のいずれか一項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項39】
請求項34から35のいずれか一項に記載のADCを含む組成物。
【請求項40】
チェックポイント阻害剤を含む、請求項36から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記チェックポイント阻害剤が、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、INCMGA00012、AMP-224、AMP-514、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189及びイピリムマブからなる群から選択される、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
がんを有する哺乳動物を処置する方法であって、前記哺乳動物に請求項36から41のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項43】
前記哺乳動物がヒトである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記がんがCSPG4
+がんである、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記CSPG4
+がんが、CSPG4
+卵巣がんである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記哺乳動物内のがん細胞の数が、前記投与するステップ後に低下する、請求項42から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
結合分子をCSPG4ポリペプチドに結合させるための方法であって、前記CSPG4ポリペプチドを請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合性断片と接触させるステップを含む方法。
【請求項48】
結合分子をCSPG4ポリペプチドに結合させるための方法であって、前記CSPG4ポリペプチドを請求項16に記載のキメラ抗原受容体、請求項19から26のいずれか一項に記載の細胞エンゲージャー、又は請求項34から35のいずれか一項に記載のADCと接触させるステップを含む方法。
【請求項49】
前記接触させるステップがin vitroで実施される、請求項67又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記接触させるステップがin vivoで実施される、請求項67又は48に記載の方法。
【請求項51】
前記接触させるステップが、前記キメラ抗原受容体、前記細胞エンゲージャー又は前記ADCを前記哺乳動物に投与することによって哺乳動物内で実施される、請求項67又は48に記載の方法。
【請求項52】
前記哺乳動物がヒトである、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月7日に出願された米国特許出願第63/286,719号の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部として考えられる(参照により組み込まれる)。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により授与されたCA111412及びCA197292の下、政府支援によりなされた。政府は本発明において特定の権利を有する。
【0003】
(配列表)
本出願は、「09531-0491WO1_SL.XML.」と名付けられたXMLファイルとして電子的に提出された配列表を含む。2022年11月17日に作成されたこのXMLファイルは、サイズが41000バイトである。XMLファイル中の内容は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
1.技術分野
本明細書は、分子(例えば、抗体、抗体の断片、抗体ドメイン、キメラ抗原受容体(CAR)、細胞エンゲージャー又は抗体薬物コンジュゲート(ADC))をコンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)ポリペプチドに結合させることに関与する方法及び材料に関する。例えば本明細書は、CSPG4ポリペプチドに結合する結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー又はADC)並びにがんを処置するためにそのような結合剤を使用する方法及び材料を提供する。本明細書は、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR又は細胞エンゲージャー)を発現するように設計された細胞(例えば、宿主細胞)、並びにがんを処置するためにそのような細胞を使用する方法及び材料も提供する。
【0005】
2.背景情報
上皮卵巣がん(EOC)は、広範囲の異なる分子サブタイプ及び臨床単位を含む高度に異質性の疾患である。化学療法などの外部のストレス要因によって誘導される異なる組織サブタイプ又は遺伝子/エピジェネティック変化と関連する異なる遺伝子シグナチャーによって反映されるEOCにおける患者間及び患者内の遺伝子異質性に関する複雑な基礎が存在する。例えば、Moffittら、Int. J Mol Sci.、20(6):1466 (2019)を参照されたい。多くのEOC患者は、最初は外科的病巣除去及びアジュバント化学療法に良好に応答するが、化学耐性の発生が大きな障害であり、75%の患者が5年以内に再燃を経験している。例えば、Kroegerら、Curr Opin Obstet Gynecol.、29(1):26-34 (2017); Lengyel、Am J Pathol.、177(3):1053-64 (2010)を参照されたい。悪性進行はまた、進行の様々な段階での動的な生物学的要求と関連する広範な腫瘍内表現型異質性を含む。Lengyel、2010、上掲; Testaら、Medicines (Basel)、5(1):16 (2018); 及びMoffitt、2019、上掲を参照されたい。これらの動力学は、悪性進行と関連するエピジェネティック変化に直接寄与する、増殖因子及び活発に再モデリングしている腫瘍関連細胞外マトリックスの局在化された変化を含む。さらなる因子は、治療抵抗性がん幹細胞の存在、空間的に異なる線維性又は低酸素性微小環境内での細胞の生存、並びに浸潤及び/又は転移能力が増大した突然変異バリアントの拡大を含む。例えば、Habyanら、Oncogene、37(37):5127-35 (2018); Meadsら、Nat Rev Cancer、9(9):665-74 (2009); 及びPaullinら、PLoS One、12(8):e0182930 (2017)を参照されたい。この広範囲の腫瘍内表現型異質性に影響する複雑かつ動的な機構は、EOCを有する患者において有効に標的化され得る有効な予後及び予測バイオマーカーの同定を妨げてきた。
【0006】
卵巣癌転移は主に、腹腔内(IP)経路によって起こり、かくして、血管系又はリンパ管を主に利用する、乳癌及び前立腺癌などの他の一般的な癌腫とは異なる。例えば、Kroegerら、2017、上掲; Lengyel、2010、上掲; 及びHabyanら、2018、上掲を参照されたい。EOCにおいては、個々の細胞又は細胞凝集体は、原発腫瘍から解離して、腹膜拡散、転移、及び再発を担う多細胞スフェロイドを形成する。例えば、Shieldら、Gynecol Oncol.、113(1):143-8 (2009)を参照されたい。スフェロイドを生じる個々の細胞の生存は、その固定非依存性及びアノイキスに対する初期耐性によって容易にされる。複数の細胞接着関連経路(例えば、インテグリン、カドヘリン、及びクローディン)は、これらの多細胞凝集体の強化及び圧縮に寄与し、骨盤及び腹膜内の複数の臓器部位(例えば、網)に並ぶ中皮細胞へのその付着に寄与する。スフェロイド内の細胞の圧縮の増加は、部分的には、これらのスフェロイド内のより中心に位置する細胞への化学療法剤の浸透を制限することによって、治療抵抗性の増大をもたらし得る。例えば、Habyanら、2018、上掲; 及びShield、2009、上掲を参照されたい。中皮下組織へのそれらのその後の浸潤は、微小環境内の増殖因子及びケモカインによる刺激並びに基礎となる細胞外マトリックスを分解する腫瘍関連マトリックスメタロプロテイナーゼの活性化を含む。
【0007】
他のがんと同様に、EOC腫瘍細胞における悪性進行は、上皮表現型から間葉表現型への表現型シフト(EMT)と関連する。EMTプログラムは、複数のシグナル伝達経路(例えば、複数の増殖因子、Wnt/β-カテニン、及びNotch)並びに複数の接着受容体(E-カドヘリン/N-カドヘリン、クローディン、及びインテグリン)の発現/機能の変化を含む、複数の複雑な機構によって影響される。例えば、Dengら、Oncotarget、7(34):55771-88 (2016); 及びYangら、Nat Rev Mol Cell Biol.、21(6):341-52 (2020)を参照されたい。原発腫瘍からの腫瘍細胞の脱離及びその後のスフェロイド形成は、ZEB1及びSlug(Snail2)などの特定の間葉系転写因子の発現の増加と関連している。がんにおける間葉移行は、がん細胞の「幹細胞性」、アポトーシスに対する耐性、及び治療と関連することが多い。しかしながら、EMTの調節に関与する経路は複雑かつ多様であることが最近強調されており、これは、腫瘍細胞における幹細胞性表現型(細胞生存及び薬物耐性の増大)を、EMTと古典的に関連する標準経路と関連付ける際に注意を要することを強調している。例えば、Yangら、2020、上掲を参照されたい。
【発明の概要】
【0008】
本明細書は、分子(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、又はADC)をCSPG4ポリペプチドに結合させることに関与する方法及び材料を提供する。CSPG4は、腫瘍細胞表面癌抗原である。本明細書に記載される場合、CSPG4は、EOCを有する患者の生存の低下に関する独立した危険因子であり、例えば、EOCにおける診断バイオマーカーとして使用され得る。さらに、CSPGを発現する標的細胞は、例えば、EOC又は他のCSPG4+がんを有する患者において再発を制限し、転帰を改善するために使用され得る。例えば、本明細書に示される通り、CSPG4は、化学療法に対する耐性(例えば、シスプラチン耐性)を促進し、腫瘍浸潤及び間葉移行を促進し、腫瘍細胞の多細胞凝集体(スフェロイド)の形成を促進する。これらのスフェロイドは、卵巣がん患者における再発の重要な供給源である、腹膜転移の発生に関与する。複数の卵巣がん細胞系においてCSPG4のCRISPR/Cas9欠失を使用して、CSPG4が悪性進行と関連するいくつかの異なる表現型特性を促進するように機能することが証明された。これらの特性は、腫瘍浸潤の増加、シスプラチン耐性及びin vitroでの多細胞スフェロイドの形成の増強を含む。CSPG4はまた、複数の間葉マーカーの発現を増加させ、異種移植マウスモデルにおいてin vivoで増殖の増加を促進した。明確に定義されたEOC患者コホートの免疫組織化学(IHC)分析及びがんゲノムアトラス(TCGA)を含む公共的に利用可能な患者コホートに由来するmRNA発現レベルを使用して、上昇したレベルのCSPG4が、EOCの複数のタブタイプにおける低い全生存期間と関連することが決定された。これらの結果は、CSPG4発現を、EOC細胞における複数の異なるがん関連表現型と機能的に関連付け、上昇したCSPG4発現を、EOC患者における転帰不良と関連付ける。さらに、モノクローナル抗CSPG4抗体は、CSPG4により刺激されたZEB1発現、腫瘍細胞浸潤を阻害し、スフェロイド中でのEOC細胞のアポトーシスを促進する。本明細書に記載される結果は、CSPG4が再発を制限し、患者転帰を改善するための標的であることを示している。
【0009】
一部の実施形態では、本明細書は、CSPG4ポリペプチドに結合する結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー又はADC)並びにがんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために1つ以上のそのような結合剤を使用する方法及び材料を提供する。
【0010】
本明細書は、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR又は細胞エンゲージャー)を発現するように設計された細胞(例えば、宿主細胞)、並びにがんを処置するためにそのような細胞を使用する方法及び材料も提供する。
【0011】
本明細書に記載される場合、結合剤(例えば、1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上のCAR、1つ以上の細胞エンゲージャー及び/又は1つ以上のADC)は、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するように設計され得る。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー又はADC)は、配列番号33に記載のヒトCSPG4ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるポリペプチドに結合する能力を有し得る(例えば、
図1を参照されたい)。
【0012】
一部の場合では、本明細書で提供される抗原結合性断片の3個のCDRの2つのセット(例えば、配列番号1~3及び9~11又は配列番号17~19及び25~27)は、CSPG4+細胞(例えば、CSPG4+腫瘍細胞)を標的にする能力を有するCAR+細胞(例えば、CAR+ T細胞、CAR+幹細胞、例えばCAR+人工多能性幹細胞、若しくはCAR+ナチュラルキラー(NK)細胞)を創成するためにCAR中に操作により導入されてよく、CSPG4+細胞(例えば、CSPG4+腫瘍細胞)を標的にする能力を有する抗体を創成し、標的CSPG4+細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導するためにFc領域を含む抗体構造中に操作により導入されてよく、並びに/又はCSPG4+細胞(例えば、CSPG4+腫瘍細胞)を標的にし、標的CSPG4+細胞に対する1つ以上の免疫応答(例えば、T細胞免疫応答及び/若しくはFc含有抗体の非存在下で細胞エンゲージャーを使用するADCC)を誘導する能力を有する細胞エンゲージャーを創成するために細胞エンゲージャー、例えば二特異性T細胞エンゲージャー(例えば、BiTE)、二特異性キラーエンゲージャー(例えば、BiKE)及び/若しくは三特異性キラーエンゲージャー(例えば、TriKE)に操作により導入されてよい。BiKE及びTriKE媒介性殺滅は、Fcドメインによって開始されるものではないが、ADCCという場合があることに留意されたい。
【0013】
加えて、本明細書に記載される場合、本明細書で提供される結合剤(例えば、1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片及び/又は1つ以上の抗体ドメイン)は、結合剤及び薬物を含むコンジュゲートを創成するために使用され得る。例えば、ADC、例えば全抗体薬物コンジュゲート、Fab薬物コンジュゲート及び/又は抗体ドメイン薬物コンジュゲートは、コンジュゲートを創成するように本明細書で提供される適切な結合剤を含むように設計され得る。そのようなコンジュゲートは、標的細胞、例えばがん細胞(例えば、CSPG4+がん細胞)に薬物ペイロードを送達するために使用され得る。
【0014】
同様に本明細書に記載される場合、本明細書で提供される結合剤(例えば、1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー及び/又は1つ以上のADC)は、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために使用され得る。例えば、がん(例えば、CSPG4+がん)を有する哺乳動物(例えば、ヒト)は、哺乳動物内のがん細胞の数を低下させるために、哺乳動物内のがん細胞に対するADCCを誘導するために、及び/又はがんからの哺乳動物の生存期間を延長させるために、本明細書に記載される1つ以上の結合剤(例えば、1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー及び/又は1つ以上のADC)を含む組成物を投与され得る。結合剤(例えば、1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー及び/又は1つ以上のADC)は、腫瘍細胞浸潤を低下させ、間葉移行(mesenchymal transition)を制限し、及び/又は及び球状体形成を阻害するためにも使用され得る。
【0015】
同様に本明細書に記載される場合、細胞(例えば、宿主細胞)は、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR又は細胞エンゲージャー)を発現するように設計され得る。例えば、細胞、例えばT細胞(例えば、CTL)、幹細胞(例えば、人工多能性幹細胞)又はNK細胞は、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上のCARを発現するように操作され得る。そのような細胞(例えば、CSPG4特異的CAR+T細胞又はNK細胞)は、がんを処置するために使用され得る。
【0016】
一態様において、本明細書は:(i)配列番号1(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号1)、配列番号2(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号2)及び配列番号3(又は1個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号9(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号9)、配列番号10(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号10)及び配列番号11(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号11)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域;或いは(ii)配列番号17(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号17)、配列番号18(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号18)及び配列番号19(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号19)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号25(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号25)、配列番号26(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号26)及び配列番号27(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域、を含む抗体を特徴とする。抗体は、ヒトCSPG4ポリペプチド(配列番号33)に結合する能力を含み得る。実施形態のいずれかにおいて、抗体は、モノクローナル抗体又はscFv抗体であり得る。
【0017】
一部の実施形態では、抗体は、(i)の重鎖可変ドメイン又は領域を含む。重鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0018】
一部の実施形態では、抗体は、(i)の軽鎖可変ドメイン又は領域を含む。軽鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0019】
一部の実施形態では、抗体は、(ii)の重鎖可変ドメイン又は領域を含む。重鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0020】
一部の実施形態では、抗体は、(ii)の軽鎖可変ドメイン又は領域を含む。軽鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0021】
本明細書は:(i)配列番号1(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号1)、配列番号2(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号2)及び配列番号3(又は1個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号9(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号9)、配列番号10(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号10)及び配列番号11(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号11)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域;或いは(ii)配列番号17(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号17)、配列番号18(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号18)及び配列番号19(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号19)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号25(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号25)、配列番号26(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号26)及び配列番号27(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域、を含む抗原結合性断片も特徴とする。抗原結合性断片は、配列番号33又は配列番号34に結合する能力を含み得る。
【0022】
一部の実施形態において、抗原結合性断片は、(i)の重鎖可変ドメイン又は領域を含む。重鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0023】
一部の実施形態において、抗原結合性断片は、(i)の軽鎖可変ドメイン又は領域を含む。軽鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0024】
一部の実施形態において、抗原結合性断片は、(ii)の重鎖可変ドメイン又は領域を含む。重鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0025】
一部の実施形態において、抗原結合性断片は、(ii)の軽鎖可変ドメイン又は領域を含む。軽鎖可変ドメイン又は領域は、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0026】
実施形態のいずれかにおいて、抗原結合性断片は、モノクローナルであり得る。実施形態のいずれかにおいて、抗原結合性断片は、Fabであり得る。
【0027】
本明細書はまた、本明細書に記載の実施形態のいずれかの抗体又は抗原結合性断片の少なくとも一部をコードする核酸配列を含む核酸及びそのような核酸を含む宿主細胞も特徴とする。核酸配列は、(i)~(ii)のいずれかの重鎖可変ドメイン又は領域をコードし得る。核酸配列は、(i)~(ii)のいずれかの軽鎖可変ドメイン又は領域をコードし得る。核酸は、ウイルスベクター又はファージミドであり得る。
【0028】
本明細書はまた、抗原結合性ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン、及び1つ以上のシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体であって、抗原結合性ドメインが、本明細書に記載の実施形態のいずれかの抗体又は抗原結合性断片を含む、キメラ抗原受容体も特徴とする。抗原結合性ドメインは、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するscFvを含み得る。
【0029】
別の態様では、本明細書は、本明細書に記載の実施形態のいずれかのキメラ抗原受容体をコードする核酸配列を含む核酸及びそのような核酸を含む宿主細胞を特徴とする。核酸は、ウイルスベクター又はファージミドであり得る。
【0030】
本明細書はまた、本明細書に記載の実施形態のいずれかのキメラ抗原受容体を含む細胞も特徴とする。細胞は、T細胞、幹細胞、又はNK細胞であり得る。
【0031】
別の態様では、本明細書は、第1の抗原結合性ドメイン、リンカー、及び第2の抗原結合性ドメインを含む細胞エンゲージャーであって、第1の抗原結合性ドメインが本明細書に記載の実施形態のいずれかの抗体又は抗原結合性断片を含む、細胞エンゲージャーを特徴とする。第1の抗原結合性ドメインは、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するscFvを含み得る。第1の抗原結合性ドメインは、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するIgGであり得る。第2の抗原結合性ドメインは、T細胞(例えば、CD3ポリペプチド)又はNK細胞(例えば、CD16aポリペプチド)の表面に発現されるポリペプチドに結合し得る。細胞エンゲージャーは、第3の抗原結合性ドメイン、例えば、CD16aポリペプチドなどのNK細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する第3の抗原結合性ドメインを含み得る。
【0032】
別の態様では、本明細書は、本明細書に記載の実施形態のいずれかの細胞エンゲージャーをコードする核酸配列を含む核酸及びそのような核酸を含む宿主細胞を特徴とする。核酸は、ウイルスベクター又はファージミドであり得る。
【0033】
本明細書はまた、本明細書に記載されるキメラ抗原受容体又は細胞エンゲージャーを発現する宿主細胞も特徴とする。宿主細胞は、T細胞、幹細胞、又はNK細胞であり得る。
【0034】
別の態様では、本明細書は、薬物に共有結合で連結された抗原結合性ドメインを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、抗原結合性ドメインが本明細書に記載の実施形態のいずれかの抗体又は抗原結合性断片を含む、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を特徴とする。抗原結合性ドメインは、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するscFv又はCSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するIgGを含み得る。薬物は、カリケアマイシン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、エムタンシン(DM1)、及びエキサテカン誘導体(Dxd)からなる群から選択され得る。
【0035】
本明細書はまた、本明細書に記載の抗体若しくは抗原結合性断片、本明細書に記載の細胞エンゲージャー、本明細書に記載の細胞、又は本明細書に記載のADCを含む組成物も特徴とする。組成物はまた、チェックポイント阻害剤(例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、INCMGA00012、AMP-224、AMP-514、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189、及びイピリムマブからなる群から選択されるチェックポイント阻害剤)を含み得る。
【0036】
がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法も特徴とする。方法は、哺乳動物(例えば、ヒト)に、本明細書に記載の組成物を投与するステップを含む。がんは、CSPG4+卵巣がんなどのCSPG4+がんであり得る。哺乳動物(例えば、ヒト)内のがん細胞の数は、投与ステップの後に低下し得る。
【0037】
本明細書はまた、結合分子をCSPG4ポリペプチドに結合させるための方法も特徴とする。方法は、CSPG4ポリペプチドを本明細書に記載の抗体若しくは抗原結合性断片と接触させるステップ又はCSPG4ポリペプチドを本明細書に記載のキメラ抗原受容体、細胞エンゲージャー、若しくはADCと接触させるステップを含む。接触させるステップは、in vitro又はin vivoで実施され得る。例えば、接触させるステップは、抗体又は抗原結合性断片を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することによって哺乳動物(例えば、ヒト)内で実施され得る。例えば、接触させるステップは、キメラ抗原受容体、細胞エンゲージャー、又はADCを哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することによって哺乳動物(例えば、ヒト)内で実施され得る。
【0038】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示における使用のために本明細書に記載され;当技術分野において公知の他の好適な方法及び材料も使用され得る。材料、方法及び例は、単に例示であり、限定されることを意図しない。本明細書において述べられる全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配する。
【0039】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び下の記載に記載される。本発明の他の特性、目的及び有利点は、明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1-1】
図1A~1Dは、抗体7H5A2がCSPG4を標的とすることを示す図である。
図1A)抗体7H5A2を生成するために使用される組換えタンパク質標的のアミノ酸配列(配列番号34)。黒文字はCSPG4領域(配列番号33)を示し、より明るい灰色の文字はタンパク質精製のためのヒトFC配列に対応する。
図1A及び1B)CSPG4抗体763.74(
図1B)及び7H5A2(
図1C)に関するウェスタンブロット。細胞は、溶解緩衝剤中で収獲されるものであり、40μgのタンパク質を、示されたモック及びCSPG4-CRISPR細胞系に由来する各ウェルにロードした。アルファ-チューブリンがローディング対照として含まれている。
図1D)抗体7H5A2を用いたHEY親細胞の免疫蛍光染色。赤色のバー=10μm。倍率600x。
【
図1-2】
図1A~1Dは、抗体7H5A2がCSPG4を標的とすることを示す図である。
図1A)抗体7H5A2を生成するために使用される組換えタンパク質標的のアミノ酸配列(配列番号34)。黒文字はCSPG4領域(配列番号33)を示し、より明るい灰色の文字はタンパク質精製のためのヒトFC配列に対応する。
図1A及び1B)CSPG4抗体763.74(
図1B)及び7H5A2(
図1C)に関するウェスタンブロット。細胞は、溶解緩衝剤中で収獲されるものであり、40μgのタンパク質を、示されたモック及びCSPG4-CRISPR細胞系に由来する各ウェルにロードした。アルファ-チューブリンがローディング対照として含まれている。
図1D)抗体7H5A2を用いたHEY親細胞の免疫蛍光染色。赤色のバー=10μm。倍率600x。
【
図2-1】
図2A~2Cは、126人の患者の卵巣がんコホートにおいて特徴付けられたCSPG4タンパク質発現を示す図である。
図2A)卵巣がん患者コホートにおけるCSPG4に関するIHC染色に由来する代表的な画像。染色強度は、0~3のスケール[0(陰性)、1(弱い)、2(中程度)及び3(強力)]でスコア化されている。腫瘍組織染色は、赤色の矢印で示され、間質染色は、黒色の矢印で示されている。CSPG4染色の画分は、試料中の陽性染色された腫瘍細胞のパーセンテージを反映して、0~4でスコア化されている[0(0%)、1(1~25%)、2(25~50%)、3(50~75%)及び4(75~100%)]。強度及び画分陽性スコアは一緒に付加されて、総スコア(TS)を生成した。TS≧4はCSPG4の高い発現と考えられた(見なされた)が、TS≦3は低い発現と考えられた。0のTSは、陰性と考えられた。赤色のバー=20μm。
図2B及び2C)はこの126人の患者の卵巣がんコホートに由来する打ち切りデータに関する40ヶ月を超えるカプラン-マイヤー曲線。
図2B)CSPG4高発現(緑色の線;24/29)対CSPG4低発現の青色の線(33/48)は、無増悪生存期間の減少と相関する(PFS:22.615±1.754対16.559±1.940、X2=4.316、P=0.038)。
図2C)高いCSPG4発現(緑色の線19/29)対低いCSPG4発現(青色の線22/48)は、全生存期間の減少と相関する(OS: 31.027± 1.353対24.046 ± 2.177、X2 =7.366、P=0.007)。
【
図2-2】
図2A~2Cは、126人の患者の卵巣がんコホートにおいて特徴付けられたCSPG4タンパク質発現を示す図である。
図2A)卵巣がん患者コホートにおけるCSPG4に関するIHC染色に由来する代表的な画像。染色強度は、0~3のスケール[0(陰性)、1(弱い)、2(中程度)及び3(強力)]でスコア化されている。腫瘍組織染色は、赤色の矢印で示され、間質染色は、黒色の矢印で示されている。CSPG4染色の画分は、試料中の陽性染色された腫瘍細胞のパーセンテージを反映して、0~4でスコア化されている[0(0%)、1(1~25%)、2(25~50%)、3(50~75%)及び4(75~100%)]。強度及び画分陽性スコアは一緒に付加されて、総スコア(TS)を生成した。TS≧4はCSPG4の高い発現と考えられたが、TS≦3は低い発現と考えられた。0のTSは、陰性と考えられた。赤色のバー=20μm。
図2B及び2C)はこの126人の患者の卵巣がんコホートに由来する打ち切りデータに関する40ヶ月を超えるカプラン-マイヤー曲線。
図2B)CSPG4高発現(緑色の線;24/29)対CSPG4低発現の青色の線(33/48)は、無増悪生存期間の減少と相関する(PFS:22.615±1.754対16.559±1.940、X2=4.316、P=0.038)。
図2C)高いCSPG4発現(緑色の線19/29)対低いCSPG4発現(青色の線22/48)は、全生存期間の減少と相関する(OS: 31.027± 1.353対24.046 ± 2.177、X2 =7.366、P=0.007)。
【
図3A】
図3A~3Bは、A2780卵巣癌細胞におけるCSPG4のCRISPRノックアウトがin vivoで腫瘍増殖の低下をもたらすことを示す図である。NSGマウスに、2.0x10
5個のluc+A2780モック又はA2780 CSPG4-CRISPRノックアウト細胞をI.P.注射した。
図3Aは、6、13、及び27日目に生物発光イメージング(BLI)によってモニタリングされた腫瘍増殖を示す。色つきのスケールバーは、光子/s/cm
2/srを示す。
図3Bは、BLI全光束(光子/sec)に基づく全身腫瘍組織量の定量化を示す。データは、平均±SDとして示される。Sidakの多重比較検定を用いた通常の二元配置分散分析による
****P<0.0001。モック:n=4、CRISPR、n=5、陰性対照、n=5。
【
図3B】
図3A~3Bは、A2780卵巣癌細胞におけるCSPG4のCRISPRノックアウトがin vivoで腫瘍増殖の低下をもたらすことを示す図である。NSGマウスに、2.0x10
5個のluc+A2780モック又はA2780 CSPG4-CRISPRノックアウト細胞をI.P.注射した。
図3Aは、6、13、及び27日目に生物発光イメージング(BLI)によってモニタリングされた腫瘍増殖を示す。色つきのスケールバーは、光子/s/cm
2/srを示す。
図3Bは、BLI全光束(光子/sec)に基づく全身腫瘍組織量の定量化を示す。データは、平均±SDとして示される。Sidakの多重比較検定を用いた通常の二元配置分散分析による
****P<0.0001。モック:n=4、CRISPR、n=5、陰性対照、n=5。
【
図4】
図4A~4Cは、フローサイトメトリーによる親及びCRISPR細胞系におけるCSPG4発現を示す図である。ES-2(
図4A)及びHEY(
図4B)親及びCRISPRノックアウト細胞を、通常のマウスIgG又は抗CSPG4抗体763.74のいずれかで染色した。
図4C)A2780親及びCRISPRノックアウト細胞を、通常のマウスIgG2a又は抗CSPG4抗体9.2.27のいずれかで染色した。
【
図5-1】
図5A~5Gは、CSPG4ノックアウトが、複数の卵巣腫瘍細胞系において浸潤能力及びシスプラチン耐性の有意な喪失をもたらすことを示す図である。対照(モック)及びCSPG4ノックアウト(CRISPR)HEY細胞(
図5A)又はA2780細胞(
図5B)を使用する浸潤アッセイ。バーは、3回反復実験、n=6に由来する、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来する浸潤細胞の総数、±S.D.を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5Cは、ES2細胞系におけるCSPG4に関するウェスタンブロットを示す。レーン:1-ES-2親、2-ES-2モック、3-ES-2 CSPG4ノックアウト、4-ES-2 CSPG4レスキュー。
図5Dは、示されたES-2細胞系を使用する浸潤アッセイを示す。浸潤能力は、CSPG4再発現を示すES-2 CRISPRノックアウト系においてレスキューされる(レスキュー)。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5E~Gは、増大する濃度のシスプラチンで処理された、モック及びノックアウト(CRISPR)A2780細胞(
図5E)、モック及びノックアウトHEY細胞(
図5F)、並びにモック、ノックアウト及びレスキューES-2細胞(
図5G)を示す。用量応答曲線は、3回反復実験(n=9)に由来する、各細胞系に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセント±s.e.m.としてプロットされた。表現型はES-2 CRISPR細胞におけるCSPG4の再発現によってレスキューされた(ES-2レスキュー、
図5G中)。
【
図5-2】
図5A~5Gは、CSPG4ノックアウトが、複数の卵巣腫瘍細胞系において浸潤能力及びシスプラチン耐性の有意な喪失をもたらすことを示す図である。対照(モック)及びCSPG4ノックアウト(CRISPR)HEY細胞(
図5A)又はA2780細胞(
図5B)を使用する浸潤アッセイ。バーは、3回反復実験、n=6に由来する、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来する浸潤細胞の総数、±S.D.を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5Cは、ES2細胞系におけるCSPG4に関するウェスタンブロットを示す。レーン:1-ES-2親、2-ES-2モック、3-ES-2 CSPG4ノックアウト、4-ES-2 CSPG4レスキュー。
図5Dは、示されたES-2細胞系を使用する浸潤アッセイを示す。浸潤能力は、CSPG4再発現を示すES-2 CRISPRノックアウト系においてレスキューされる(レスキュー)。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5E~Gは、増大する濃度のシスプラチンで処理された、モック及びノックアウト(CRISPR)A2780細胞(
図5E)、モック及びノックアウトHEY細胞(
図5F)、並びにモック、ノックアウト及びレスキューES-2細胞(
図5G)を示す。用量応答曲線は、3回反復実験(n=9)に由来する、各細胞系に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセント±s.e.m.としてプロットされた。表現型はES-2 CRISPR細胞におけるCSPG4の再発現によってレスキューされた(ES-2レスキュー、
図5G中)。
【
図5-3】
図5A~5Gは、CSPG4ノックアウトが、複数の卵巣腫瘍細胞系において浸潤能力及びシスプラチン耐性の有意な喪失をもたらすことを示す図である。対照(モック)及びCSPG4ノックアウト(CRISPR)HEY細胞(
図5A)又はA2780細胞(
図5B)を使用する浸潤アッセイ。バーは、3回反復実験、n=6に由来する、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来する浸潤細胞の総数、±S.D.を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5Cは、ES2細胞系におけるCSPG4に関するウェスタンブロットを示す。レーン:1-ES-2親、2-ES-2モック、3-ES-2 CSPG4ノックアウト、4-ES-2 CSPG4レスキュー。
図5Dは、示されたES-2細胞系を使用する浸潤アッセイを示す。浸潤能力は、CSPG4再発現を示すES-2 CRISPRノックアウト系においてレスキューされる(レスキュー)。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5E~Gは、増大する濃度のシスプラチンで処理された、モック及びノックアウト(CRISPR)A2780細胞(
図5E)、モック及びノックアウトHEY細胞(
図5F)、並びにモック、ノックアウト及びレスキューES-2細胞(
図5G)を示す。用量応答曲線は、3回反復実験(n=9)に由来する、各細胞系に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセント±s.e.m.としてプロットされた。表現型はES-2 CRISPR細胞におけるCSPG4の再発現によってレスキューされた(ES-2レスキュー、
図5G中)。
【
図5-4】
図5A~5Gは、CSPG4ノックアウトが、複数の卵巣腫瘍細胞系において浸潤能力及びシスプラチン耐性の有意な喪失をもたらすことを示す図である。対照(モック)及びCSPG4ノックアウト(CRISPR)HEY細胞(
図5A)又はA2780細胞(
図5B)を使用する浸潤アッセイ。バーは、3回反復実験、n=6に由来する、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来する浸潤細胞の総数、±S.D.を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5Cは、ES2細胞系におけるCSPG4に関するウェスタンブロットを示す。レーン:1-ES-2親、2-ES-2モック、3-ES-2 CSPG4ノックアウト、4-ES-2 CSPG4レスキュー。
図5Dは、示されたES-2細胞系を使用する浸潤アッセイを示す。浸潤能力は、CSPG4再発現を示すES-2 CRISPRノックアウト系においてレスキューされる(レスキュー)。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図5E~Gは、増大する濃度のシスプラチンで処理された、モック及びノックアウト(CRISPR)A2780細胞(
図5E)、モック及びノックアウトHEY細胞(
図5F)、並びにモック、ノックアウト及びレスキューES-2細胞(
図5G)を示す。用量応答曲線は、3回反復実験(n=9)に由来する、各細胞系に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセント±s.e.m.としてプロットされた。表現型はES-2 CRISPR細胞におけるCSPG4の再発現によってレスキューされた(ES-2レスキュー、
図5G中)。
【
図6】RS-2親及びモック細胞系における、ES-2 CRISPRノックアウト細胞間で示差的に発現される遺伝子において同定された全ての富化されたGOターム対平均発現レベルを示す図である。同定された合計388個の富化されたGOタームが存在していた。特定の機能的目的の非常に有意なGOターム(調整されたp値<0.005)が強調されている。
【
図7-1】
図7A~7Eは、CSPG4のノックアウトが固定非依存性増殖及びスフェロイド形成を減少させたことを示す図である。
図7A)ES-2親、モック、CRISPR及び安定なCSPG4レスキュー細胞を、軟質寒天コロニー形成アッセイにおいて7日間増殖させた。バーは、反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルから計数されたコロニーの総数、±S.E.、n=6を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図7B及び7C)CSPG4-CRISPR細胞は、メチルセルロース培地中に播種された場合により少ない/より小さいスフェロイドを形成する。
図7B)3つのEOC細胞系に関する、モックに由来するより大きく、より多いスフェロイド及びCSPG4-CRISPR培養物に由来する小さく、少ないスフェロイドを示す代表的な画像。バー=200μm。
図7C)3回反復実験に由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.001。スフェロイドを、播種の7日後に定量した。n=3。
図7D)細胞(モック、M;CRISPR、C;CSPG4再発現を用いてレスキューされたCRISPR、R)を、1.0%メチルセルロース/完全培地中で7日間培養し、収獲し、溶解物をFAK発現/リン酸化に関するウェスタンブロットによって分析した。
図7E)スフェロイド中での細胞増殖。細胞を、2回反復ウェル中、1%メチルセルロース中で7日間播種し、メチルセルロース培養物から収集し、組織培養プレート上の通常の増殖培地中に一晩、再播種した。次の日、全ての細胞を、各ウェルから収集し、計数した。P値は、各細胞系についてモックとCRISPR細胞との間で生細胞数(トリパンブルー色素排除法によって決定される)を比較する、Welchの補正を用いたStudentのt検定によって決定された。
【
図7-2】
図7A~7Eは、CSPG4のノックアウトが固定非依存性増殖及びスフェロイド形成を減少させたことを示す図である。
図7A)ES-2親、モック、CRISPR及び安定なCSPG4レスキュー細胞を、軟質寒天コロニー形成アッセイにおいて7日間増殖させた。バーは、反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルから計数されたコロニーの総数、±S.E.、n=6を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図7B及び7C)CSPG4-CRISPR細胞は、メチルセルロース培地中に播種された場合により少ない/より小さいスフェロイドを形成する。
図7B)3つのEOC細胞系に関する、モックに由来するより大きく、より多いスフェロイド及びCSPG4-CRISPR培養物に由来する小さく、少ないスフェロイドを示す代表的な画像。バー=200μm。
図7C)3回反復実験に由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.001。スフェロイドを、播種の7日後に定量した。n=3。
図7D)細胞(モック、M;CRISPR、C;CSPG4再発現を用いてレスキューされたCRISPR、R)を、1.0%メチルセルロース/完全培地中で7日間培養し、収獲し、溶解物をFAK発現/リン酸化に関するウェスタンブロットによって分析した。
図7E)スフェロイド中での細胞増殖。細胞を、2回反復ウェル中、1%メチルセルロース中で7日間播種し、メチルセルロース培養物から収集し、組織培養プレート上の通常の増殖培地中に一晩、再播種した。次の日、全ての細胞を、各ウェルから収集し、計数した。P値は、各細胞系についてモックとCRISPR細胞との間で生細胞数(トリパンブルー色素排除法によって決定される)を比較する、Welchの補正を用いたStudentのt検定によって決定された。
【
図7-3】
図7A~7Eは、CSPG4のノックアウトが固定非依存性増殖及びスフェロイド形成を減少させたことを示す図である。
図7A)ES-2親、モック、CRISPR及び安定なCSPG4レスキュー細胞を、軟質寒天コロニー形成アッセイにおいて7日間増殖させた。バーは、反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルから計数されたコロニーの総数、±S.E.、n=6を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。
図7B及び7C)CSPG4-CRISPR細胞は、メチルセルロース培地中に播種された場合により少ない/より小さいスフェロイドを形成する。
図7B)3つのEOC細胞系に関する、モックに由来するより大きく、より多いスフェロイド及びCSPG4-CRISPR培養物に由来する小さく、少ないスフェロイドを示す代表的な画像。バー=200μm。
図7C)3回反復実験に由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.001。スフェロイドを、播種の7日後に定量した。n=3。
図7D)細胞(モック、M;CRISPR、C;CSPG4再発現を用いてレスキューされたCRISPR、R)を、1.0%メチルセルロース/完全培地中で7日間培養し、収獲し、溶解物をFAK発現/リン酸化に関するウェスタンブロットによって分析した。
図7E)スフェロイド中での細胞増殖。細胞を、2回反復ウェル中、1%メチルセルロース中で7日間播種し、メチルセルロース培養物から収集し、組織培養プレート上の通常の増殖培地中に一晩、再播種した。次の日、全ての細胞を、各ウェルから収集し、計数した。P値は、各細胞系についてモックとCRISPR細胞との間で生細胞数(トリパンブルー色素排除法によって決定される)を比較する、Welchの補正を用いたStudentのt検定によって決定された。
【
図8A】
図8A~8Bは、CSPG4発現が上皮から間葉への可塑性と関連することを示す図である。
図8A)親、モック及びCRISPRノックアウトES-2細胞系を比較するRNA-seqデータの遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)。ES-2 CRISPR細胞系は、モック及び親細胞系と比較した場合、EMT関連遺伝子の発現の富化を示す。正規化されたエンリッチメントスコアは、2.190である。
図8B)平均CSPG4発現及びEMTシグナチャースコアについて分析された卵巣がんTCGAコホート。
【
図8B】
図8A~8Bは、CSPG4発現が上皮から間葉への可塑性と関連することを示す図である。
図8A)親、モック及びCRISPRノックアウトES-2細胞系を比較するRNA-seqデータの遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)。ES-2 CRISPR細胞系は、モック及び親細胞系と比較した場合、EMT関連遺伝子の発現の富化を示す。正規化されたエンリッチメントスコアは、2.190である。
図8B)平均CSPG4発現及びEMTシグナチャースコアについて分析された卵巣がんTCGAコホート。
【
図9-1】
図9A~9Jは、CSPG4発現が、上皮から間葉への可塑性と関連し、ZEB1発現におけるCSPG4関連変化によって媒介されることを示す図である。
図9A)示された細胞系であるモック(M)とCRISPR(C)とを両方とも、スフェロイド形成アッセイにおいて7日間別々に培養し、収集し、種々のEMTマーカーについてウェスタンブロットによって分析した。
図9B)ZEB1又は対照に関してsiRNAで48時間処理されたEOC細胞系中でのZeb1及びCSPG4発現に関するウェスタンブロット。
図9C)通常の増殖培地中、示された濃度のDMSO(対照)又はFAK阻害剤PND-1186で24時間処理されたHEY細胞におけるpFAK、FAK及びZEB1のウェスタンブロット。
図9D)ZEB1又は対照に対するsiRNAで7日間処理されたEOC細胞系のメチルセルロース中でのスフェロイド形成。バーは、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.を表す。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.02。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9E)ZEB1 siRNA又は対照siRNAで処理されたEOC細胞の浸潤アッセイ(方法)。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.002。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9F及び9G)細胞に、対照又はZEB1 siRNAを一晩トランスフェクトし、次の日にシスプラチン細胞傷害アッセイ中に播種した。MTSデータを、シスプラチン処理の4日後に収集した。A2780(
図9F)及びHEY(
図9G)に関するトランスフェクトされなかったCSPG4-CRISPR細胞を、対照として含有させた。用量応答曲線は、各群に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセントとしてプロットされた。3回の独立実験に由来する合わせたデータが示される(n=9)。
図9H~9J)TCGAと14個のGEOのデータセットの組み合わせたコホートにおける卵巣がん患者のカプラン・マイヤー曲線は、CSPG4(
図9H)、ZEB1(
図9I)を発現し、両方の平均組合せ発現を示す(
図9J)腫瘍が、これらのマーカーについて陰性である腫瘍(黒色の線)に由来するデータと比較した場合、5年生存率(赤色の線)の低下と関連することを示している。
【
図9-2】
図9A~9Jは、CSPG4発現が、上皮から間葉への可塑性と関連し、ZEB1発現におけるCSPG4関連変化によって媒介されることを示す図である。
図9A)示された細胞系であるモック(M)とCRISPR(C)とを両方とも、スフェロイド形成アッセイにおいて7日間別々に培養し、収集し、種々のEMTマーカーについてウェスタンブロットによって分析した。
図9B)ZEB1又は対照に関してsiRNAで48時間処理されたEOC細胞系中でのZeb1及びCSPG4発現に関するウェスタンブロット。
図9C)通常の増殖培地中、示された濃度のDMSO(対照)又はFAK阻害剤PND-1186で24時間処理されたHEY細胞におけるpFAK、FAK及びZEB1のウェスタンブロット。
図9D)ZEB1又は対照に対するsiRNAで7日間処理されたEOC細胞系のメチルセルロース中でのスフェロイド形成。バーは、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.を表す。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.02。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9E)ZEB1 siRNA又は対照siRNAで処理されたEOC細胞の浸潤アッセイ(方法)。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.002。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9F及び9G)細胞に、対照又はZEB1 siRNAを一晩トランスフェクトし、次の日にシスプラチン細胞傷害アッセイ中に播種した。MTSデータを、シスプラチン処理の4日後に収集した。A2780(
図9F)及びHEY(
図9G)に関するトランスフェクトされなかったCSPG4-CRISPR細胞を、対照として含有させた。用量応答曲線は、各群に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセントとしてプロットされた。3回の独立実験に由来する合わせたデータが示される(n=9)。
図9H~9J)TCGAと14個のGEOのデータセットの組み合わせたコホートにおける卵巣がん患者のカプラン・マイヤー曲線は、CSPG4(
図9H)、ZEB1(
図9I)を発現し、両方の平均組合せ発現を示す(
図9J)腫瘍が、これらのマーカーについて陰性である腫瘍(黒色の線)に由来するデータと比較した場合、5年生存率(赤色の線)の低下と関連することを示している。
【
図9-3】
図9A~9Jは、CSPG4発現が、上皮から間葉への可塑性と関連し、ZEB1発現におけるCSPG4関連変化によって媒介されることを示す図である。
図9A)示された細胞系であるモック(M)とCRISPR(C)とを両方とも、スフェロイド形成アッセイにおいて7日間別々に培養し、収集し、種々のEMTマーカーについてウェスタンブロットによって分析した。
図9B)ZEB1又は対照に関してsiRNAで48時間処理されたEOC細胞系中でのZeb1及びCSPG4発現に関するウェスタンブロット。
図9C)通常の増殖培地中、示された濃度のDMSO(対照)又はFAK阻害剤PND-1186で24時間処理されたHEY細胞におけるpFAK、FAK及びZEB1のウェスタンブロット。
図9D)ZEB1又は対照に対するsiRNAで7日間処理されたEOC細胞系のメチルセルロース中でのスフェロイド形成。バーは、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.を表す。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.02。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9E)ZEB1 siRNA又は対照siRNAで処理されたEOC細胞の浸潤アッセイ(方法)。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.002。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9F及び9G)細胞に、対照又はZEB1 siRNAを一晩トランスフェクトし、次の日にシスプラチン細胞傷害アッセイ中に播種した。MTSデータを、シスプラチン処理の4日後に収集した。A2780(
図9F)及びHEY(
図9G)に関するトランスフェクトされなかったCSPG4-CRISPR細胞を、対照として含有させた。用量応答曲線は、各群に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセントとしてプロットされた。3回の独立実験に由来する合わせたデータが示される(n=9)。
図9H~9J)TCGAと14個のGEOのデータセットの組み合わせたコホートにおける卵巣がん患者のカプラン・マイヤー曲線は、CSPG4(
図9H)、ZEB1(
図9I)を発現し、両方の平均組合せ発現を示す(
図9J)腫瘍が、これらのマーカーについて陰性である腫瘍(黒色の線)に由来するデータと比較した場合、5年生存率(赤色の線)の低下と関連することを示している。
【
図9-4】
図9A~9Jは、CSPG4発現が、上皮から間葉への可塑性と関連し、ZEB1発現におけるCSPG4関連変化によって媒介されることを示す図である。
図9A)示された細胞系であるモック(M)とCRISPR(C)とを両方とも、スフェロイド形成アッセイにおいて7日間別々に培養し、収集し、種々のEMTマーカーについてウェスタンブロットによって分析した。
図9B)ZEB1又は対照に関してsiRNAで48時間処理されたEOC細胞系中でのZeb1及びCSPG4発現に関するウェスタンブロット。
図9C)通常の増殖培地中、示された濃度のDMSO(対照)又はFAK阻害剤PND-1186で24時間処理されたHEY細胞におけるpFAK、FAK及びZEB1のウェスタンブロット。
図9D)ZEB1又は対照に対するsiRNAで7日間処理されたEOC細胞系のメチルセルロース中でのスフェロイド形成。バーは、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.を表す。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.02。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9E)ZEB1 siRNA又は対照siRNAで処理されたEOC細胞の浸潤アッセイ(方法)。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.002。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9F及び9G)細胞に、対照又はZEB1 siRNAを一晩トランスフェクトし、次の日にシスプラチン細胞傷害アッセイ中に播種した。MTSデータを、シスプラチン処理の4日後に収集した。A2780(
図9F)及びHEY(
図9G)に関するトランスフェクトされなかったCSPG4-CRISPR細胞を、対照として含有させた。用量応答曲線は、各群に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセントとしてプロットされた。3回の独立実験に由来する合わせたデータが示される(n=9)。
図9H~9J)TCGAと14個のGEOのデータセットの組み合わせたコホートにおける卵巣がん患者のカプラン・マイヤー曲線は、CSPG4(
図9H)、ZEB1(
図9I)を発現し、両方の平均組合せ発現を示す(
図9J)腫瘍が、これらのマーカーについて陰性である腫瘍(黒色の線)に由来するデータと比較した場合、5年生存率(赤色の線)の低下と関連することを示している。
【
図9-5】
図9A~9Jは、CSPG4発現が、上皮から間葉への可塑性と関連し、ZEB1発現におけるCSPG4関連変化によって媒介されることを示す図である。
図9A)示された細胞系であるモック(M)とCRISPR(C)とを両方とも、スフェロイド形成アッセイにおいて7日間別々に培養し、収集し、種々のEMTマーカーについてウェスタンブロットによって分析した。
図9B)ZEB1又は対照に関してsiRNAで48時間処理されたEOC細胞系中でのZeb1及びCSPG4発現に関するウェスタンブロット。
図9C)通常の増殖培地中、示された濃度のDMSO(対照)又はFAK阻害剤PND-1186で24時間処理されたHEY細胞におけるpFAK、FAK及びZEB1のウェスタンブロット。
図9D)ZEB1又は対照に対するsiRNAで7日間処理されたEOC細胞系のメチルセルロース中でのスフェロイド形成。バーは、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.を表す。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.02。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9E)ZEB1 siRNA又は対照siRNAで処理されたEOC細胞の浸潤アッセイ(方法)。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.002。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9F及び9G)細胞に、対照又はZEB1 siRNAを一晩トランスフェクトし、次の日にシスプラチン細胞傷害アッセイ中に播種した。MTSデータを、シスプラチン処理の4日後に収集した。A2780(
図9F)及びHEY(
図9G)に関するトランスフェクトされなかったCSPG4-CRISPR細胞を、対照として含有させた。用量応答曲線は、各群に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセントとしてプロットされた。3回の独立実験に由来する合わせたデータが示される(n=9)。
図9H~9J)TCGAと14個のGEOのデータセットの組み合わせたコホートにおける卵巣がん患者のカプラン・マイヤー曲線は、CSPG4(
図9H)、ZEB1(
図9I)を発現し、両方の平均組合せ発現を示す(
図9J)腫瘍が、これらのマーカーについて陰性である腫瘍(黒色の線)に由来するデータと比較した場合、5年生存率(赤色の線)の低下と関連することを示している。
【
図9-6】
図9A~9Jは、CSPG4発現が、上皮から間葉への可塑性と関連し、ZEB1発現におけるCSPG4関連変化によって媒介されることを示す図である。
図9A)示された細胞系であるモック(M)とCRISPR(C)とを両方とも、スフェロイド形成アッセイにおいて7日間別々に培養し、収集し、種々のEMTマーカーについてウェスタンブロットによって分析した。
図9B)ZEB1又は対照に関してsiRNAで48時間処理されたEOC細胞系中でのZeb1及びCSPG4発現に関するウェスタンブロット。
図9C)通常の増殖培地中、示された濃度のDMSO(対照)又はFAK阻害剤PND-1186で24時間処理されたHEY細胞におけるpFAK、FAK及びZEB1のウェスタンブロット。
図9D)ZEB1又は対照に対するsiRNAで7日間処理されたEOC細胞系のメチルセルロース中でのスフェロイド形成。バーは、3回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルに由来するスフェロイド計数±S.D.を表す。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.02。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9E)ZEB1 siRNA又は対照siRNAで処理されたEOC細胞の浸潤アッセイ(方法)。Welchの補正を用いるStudentのt検定による
*p<0.002。3つの個別の実験に由来するn=3。
図9F及び9G)細胞に、対照又はZEB1 siRNAを一晩トランスフェクトし、次の日にシスプラチン細胞傷害アッセイ中に播種した。MTSデータを、シスプラチン処理の4日後に収集した。A2780(
図9F)及びHEY(
図9G)に関するトランスフェクトされなかったCSPG4-CRISPR細胞を、対照として含有させた。用量応答曲線は、各群に関するMTS染色細胞対未処理細胞のパーセントとしてプロットされた。3回の独立実験に由来する合わせたデータが示される(n=9)。
図9H~9J)TCGAと14個のGEOのデータセットの組み合わせたコホートにおける卵巣がん患者のカプラン・マイヤー曲線は、CSPG4(
図9H)、ZEB1(
図9I)を発現し、両方の平均組合せ発現を示す(
図9J)腫瘍が、これらのマーカーについて陰性である腫瘍(黒色の線)に由来するデータと比較した場合、5年生存率(赤色の線)の低下と関連することを示している。
【
図10-1】
図10A~10Dは、抗CSPG4抗体7H5A2がZeb1発現及びFAK活性化、細胞浸潤並びにスフェロイド形成を阻害することを示す図である。
図10A)懸濁液中で24時間培養された、50μg/mlの正常マウスIgG1(nmIgG1)又は抗CSPG4抗体7H5A2の存在下で1%メチルセルロース中に播種されたEOC細胞中でのpFAK、FAK、及びZEB1に関するウェスタンブロット。
図10B)50μg/mlの対照(nmIgG1)又は抗CSPG4(763.74及び7H5A2)抗体と共に2時間にわたって予備インキュベートした後、上のチャンバーのみにおいて抗体の存在下で24時間、浸潤チャンバーに播種したHEY細胞を使用する浸潤アッセイ。バーは、2回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルにおいて計数された浸潤細胞の総数、±S.D.を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。3つの個別の実験に由来するn=6。
図10C)7日間(HEY)又は14日間(A2790及びES-2)にわたって1%メチルセルロース中、50μg/mlの示された抗体の存在下で播種されたEOC細胞を使用する細胞増殖アッセイ。細胞を、これらの時点でメチルセルロース培養物から収集し、組織培養プレート中、通常の増殖培地中に一晩再播種した。次の日、全ての細胞を、各ウェルから収集し、計数した。P値は、各条件に由来する生細胞数(トリパンブルー色素排除法によって決定される)を比較する、Welchの補正を用いたStudentのt検定によって決定された。
図10D)細胞を、1時間にわたって正常マウスIgG1又は抗体7H5A2(50μg/ml)で予備処理した後、50μg/mlの示された抗体を添加した1%メチルセルロース中に播種した。スフェロイドを、72時間後に収獲し、ウェスタンブロットによってカスパーゼ-3活性化についてアッセイした。スフェロイドのアポトーシス。
【
図10-2】
図10A~10Dは、抗CSPG4抗体7H5A2がZeb1発現及びFAK活性化、細胞浸潤並びにスフェロイド形成を阻害することを示す図である。
図10A)懸濁液中で24時間培養された、50μg/mlの正常マウスIgG1(nmIgG1)又は抗CSPG4抗体7H5A2の存在下で1%メチルセルロース中に播種されたEOC細胞中でのpFAK、FAK、及びZEB1に関するウェスタンブロット。
図10B)50μg/mlの対照(nmIgG1)又は抗CSPG4(763.74及び7H5A2)抗体と共に2時間にわたって予備インキュベートした後、上のチャンバーのみにおいて抗体の存在下で24時間、浸潤チャンバーに播種したHEY細胞を使用する浸潤アッセイ。バーは、2回反復ウェルに由来する5つの無作為なフィールド/ウェルにおいて計数された浸潤細胞の総数、±S.D.を表す。P値は、Welchの補正を用いるStudentのt検定によって決定された。3つの個別の実験に由来するn=6。
図10C)7日間(HEY)又は14日間(A2790及びES-2)にわたって1%メチルセルロース中、50μg/mlの示された抗体の存在下で播種されたEOC細胞を使用する細胞増殖アッセイ。細胞を、これらの時点でメチルセルロース培養物から収集し、組織培養プレート中、通常の増殖培地中に一晩再播種した。次の日、全ての細胞を、各ウェルから収集し、計数した。P値は、各条件に由来する生細胞数(トリパンブルー色素排除法によって決定される)を比較する、Welchの補正を用いたStudentのt検定によって決定された。
図10D)細胞を、1時間にわたって正常マウスIgG1又は抗体7H5A2(50μg/ml)で予備処理した後、50μg/mlの示された抗体を添加した1%メチルセルロース中に播種した。スフェロイドを、72時間後に収獲し、ウェスタンブロットによってカスパーゼ-3活性化についてアッセイした。スフェロイドのアポトーシス。
【
図11A】
図11A)HEYモック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。バーは、3回反復試料に関する特異的細胞溶解パーセント±s.e.m.を表す。Dunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析によるnmIgG1に対する
*p<0.05、
****p<0.0001。スフェロイドのADCC。
図11B)
図11Aの実験の反復。nmIgG1対照と比較したDunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析による
**p=0.0088、
***p<0.0009; Abなし対照に対する
**及び
***p<0.0009。スフェロイドのADCC。
図11C)OVCAR8モック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。バーは、3回反復試料に関する特異的細胞溶解パーセントを表す。nmIgG1対照と比較したDunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析による
**p=0.0038; Abなし対照に対する
**p=0.0315。ハイグレード漿液細胞スフェロイドのADCC。
【
図11B】
図11A)HEYモック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。バーは、3回反復試料に関する特異的細胞溶解パーセント±s.e.m.を表す。Dunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析によるnmIgG1に対する
*p<0.05、
****p<0.0001。スフェロイドのADCC。
図11B)
図11Aの実験の反復。nmIgG1対照と比較したDunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析による
**p=0.0088、
***p<0.0009; Abなし対照に対する
**及び
***p<0.0009。スフェロイドのADCC。
図11C)OVCAR8モック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。バーは、3回反復試料に関する特異的細胞溶解パーセントを表す。nmIgG1対照と比較したDunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析による
**p=0.0038; Abなし対照に対する
**p=0.0315。ハイグレード漿液細胞スフェロイドのADCC。
【
図11C】
図11A)HEYモック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。バーは、3回反復試料に関する特異的細胞溶解パーセント±s.e.m.を表す。Dunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析によるnmIgG1に対する
*p<0.05、
****p<0.0001。スフェロイドのADCC。
図11B)
図11Aの実験の反復。nmIgG1対照と比較したDunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析による
**p=0.0088、
***p<0.0009; Abなし対照に対する
**及び
***p<0.0009。スフェロイドのADCC。
図11C)OVCAR8モック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。バーは、3回反復試料に関する特異的細胞溶解パーセントを表す。nmIgG1対照と比較したDunnettの多重比較検定を用いる二元配置分散分析による
**p=0.0038; Abなし対照に対する
**p=0.0315。ハイグレード漿液細胞スフェロイドのADCC。
【
図12】
図12は、卵巣がん細胞系におけるCSPG4発現を示す図である。示された細胞系を、抗CSPG4抗体9.2.27(Millipore)を用いたウェスタンブロットによってCSPG4発現についてアッセイした。ウェスタンブロットを、ローディング対照としてチューブリンについて精査した。SKOV-3細胞系とOVCAR-5細胞系とは両方とも、CSPG4について陰性であったが、他の細胞系は様々な量のCSPG4タンパク質を発現した。OVCAR-8のウェスタンブロット画像は、他の細胞系とは別の実験に由来する別のウェスタンブロットに由来する。
【
図13A】
図13A~13Bは、CSPG4 TriKEが、CSPG4陽性卵巣がん腫瘍スフェロイドのNK細胞媒介性殺滅を増強することを示す図である。GFPを発現するOVCAR-8細胞(
図13A)又はCSPG4陰性SKOV3卵巣がん細胞(
図13B)を、スフェロイド形成のために超低付着96ウェル丸底プレート(20,000細胞/ウェル)中で2日間培養した。富化されたNK細胞を、処理なしで、CSPG4 TriKE 8G5A6(30nM)、CSPG4 TriKE 7H5A2(30nM)、又はIL-15(3nM)と共に、2:1のエフェクター:標的比(40,000個/ウェル)でウェルに添加した。IncuCyte SX5-Live Cell Analysis Platformを使用して、NK添加の際に、及び4日間を超えて2時間の増分で、各ウェルの画像を撮影した。グラフは、3回の技術的反復からの各条件について未処理の腫瘍スフェロイドのパーセントとしての各時点での平均蛍光強度(時間0に対して正規化)を示す。
【
図13B】
図13A~13Bは、CSPG4 TriKEが、CSPG4陽性卵巣がん腫瘍スフェロイドのNK細胞媒介性殺滅を増強することを示す図である。GFPを発現するOVCAR-8細胞(
図13A)又はCSPG4陰性SKOV3卵巣がん細胞(
図13B)を、スフェロイド形成のために超低付着96ウェル丸底プレート(20,000細胞/ウェル)中で2日間培養した。富化されたNK細胞を、処理なしで、CSPG4 TriKE 8G5A6(30nM)、CSPG4 TriKE 7H5A2(30nM)、又はIL-15(3nM)と共に、2:1のエフェクター:標的比(40,000個/ウェル)でウェルに添加した。IncuCyte SX5-Live Cell Analysis Platformを使用して、NK添加の際に、及び4日間を超えて2時間の増分で、各ウェルの画像を撮影した。グラフは、3回の技術的反復からの各条件について未処理の腫瘍スフェロイドのパーセントとしての各時点での平均蛍光強度(時間0に対して正規化)を示す。
【
図14】
図14は、Ig形式(例えば、IgG1形式)での、本明細書に提供される重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3並びに本明細書に提供される軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3を使用して設計された例示的なBiTEの略図である。ヒト化抗CD3 scFv(例えば、米国特許第6,750,325号に記載されたgOKT3-7 scFv)は、リンカー(例えば、(SGGGG)3~5(配列番号35)リンカー)を介して軽鎖のC末端に連結され得る。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書は、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合(例えば、特異的に結合)する結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及びADC)を提供する。例えば、本明細書は、
図1に記載されるCSPG4アミノ酸(
図1における黒色の文字、配列番号33)を含む、から本質的になる、又はからなるポリペプチドに結合(例えば、特異的に結合)する結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及びADC)を提供する。本明細書に記載の結合剤を、CSPG4ポリペプチドの膜近傍(D3)領域であって、β1インテグリンの調節及び細胞運動性と以前に関連付けられた領域に対して生成した。本明細書に記載の結合剤を用いてCSPG4ポリペプチドを標的化することは、ZEB1発現を阻害し、かくして、CSPG4により媒介される上皮から間葉へのシフトを制限し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の結合剤は、浸潤を遮断し、CSPG4陽性スフェロイドのアポトーシスを促進し得る。これは、本明細書に提供される抗CSPG4結合剤が、細胞生存に対する追加の機能を有し、CSPG4
+veEOC腫瘍細胞を含有するスフェロイドを標的化するために使用することができる。一部の場合、膜近傍ドメインに対して生成される結合剤を、療法として使用し、これを使用して、in vivoで腫瘍拡大及び転移を阻害することができる。
【0042】
本明細書で使用される用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、少なくとも2つの抗体から形成される多特異性抗体(例えば二特異性抗体)、ダイアボディ、一本鎖可変断片抗体(例えばscFv抗体)、及びタンデム一本鎖可変断片抗体(例えばtaFv)を含む。ダイアボディは、同じ又は異なる抗体に由来する重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインをそれぞれ有する2つの鎖を含むことができる(例えばHornig and Farber-Schwarz, Methods Mol. Biol., 907:713-27 (2012);及びBrinkmann and Kontermann, MAbs., 9(2):182-212 (2017)を参照)。2つの可変領域は、ポリペプチドリンカー(例えば長さ5~10残基を有するポリペプチドリンカー)によって接続することができる。一部の場合では、ダイアボディの重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインの対の一方又は両方にドメイン間ジスルフィド結合が存在してもよい。scFvは、その中で重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが直接接続されるか、又はポリペプチドリンカー(例えば、長さ8~18残基を有するポリペプチドリンカー)を介して接続される一本鎖ポリペプチド抗体である。Chenら、Adv. Drug Deliv. Rev.、65(10):1357-1369 (2013)も参照されたい。scFvは、重鎖可変ドメインに軽鎖可変ドメインが続く配向を有するように設計することができるか、又は軽鎖可変ドメインに重鎖可変ドメインが続く配向を有するように設計することができる。両方の場合において、必要に応じたリンカーを2つのドメインの間に位置させることができる。
【0043】
本明細書で提供される抗体は本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、マウス抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体であるように構成してよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗体は本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、モノクローナル抗体であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗体は本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、scFv抗体として構成してよい。
【0044】
本明細書で使用される用語「抗原結合性断片」は、抗原に結合する能力を有する抗体の断片(例えばヒト化抗体の断片、マウス抗体の断片、又はキメラ抗体の断片)を言う。抗原結合性断片の例には、限定するものではないが、Fab、Fab'、又はF(ab')2抗原結合性断片が含まれる。本明細書で提供される抗原結合性断片は、本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、マウス抗原結合性断片、ヒト化抗原結合性断片、又はキメラ抗原結合性断片であるように構成してよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗原結合性断片は本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、モノクローナル抗原結合性断片であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗原結合性断片は、本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、Fab抗体として構成してよい。一部の場合では、Fab抗体は、Fabの重鎖と軽鎖の間のジスルフィド結合のための部分的ヒンジ配列を含んでよい。
【0045】
本明細書で使用される用語「抗体ドメイン」は、抗体のドメイン、例えば抗体の他の1つ以上のドメインの非存在下における、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)又は軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を言う。一部の場合では、抗体ドメインは、抗原に結合する能力を有する単一の抗体ドメイン(例えばVHドメイン又はVLドメイン)であってよい。本明細書で提供される抗体ドメインは本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、マウス抗体ドメイン、ヒトVHドメイン)、ヒト化抗体ドメイン(例えばヒト化VHドメイン)、又はキメラ抗体ドメイン(例えばキメラVHドメイン)であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗体ドメインは本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、モノクローナル抗体ドメインであってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗体ドメインは本明細書に記載される(例えば表1に記載される)CDRを含んでよく、単一のVHドメイン又は単一のVLドメインとして操作されてもよい。
【0046】
本明細書で提供される抗CSPG4抗体、抗CSPG4抗原結合性断片、又は抗CSPG4抗体ドメインは、IgA-、IgD-、IgE-、IgG-、又はIgM-型の抗体ドメインであってよく、IgG-又はIgM-型、例えば限定するものではないがIgG1-、IgG2-、IgG3-、IgG4-、IgM1-、及びIgM2-型を含む。一部の場合では、本明細書で提供される抗体(例えば抗CSPG4抗体)はscFv抗体であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗原結合性断片(例えば抗CSPG4抗体断片)はFabであってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗体(例えば抗CSPG4抗体)は、完全に無傷の抗体であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される抗体ドメイン(例えば抗CSPG4抗体ドメイン)は、VHドメインであってよい。
【0047】
本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体」は、必要に応じたシグナルペプチド、抗原結合性ドメイン、必要に応じたヒンジ、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含むように設計されたキメラポリペプチドを言う。本明細書に記載される場合、本明細書で提供されるCARの抗原結合性ドメインは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合するように設計され得る。例えば、本明細書で提供されるCARは、その抗原結合性ドメインがCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有することを条件として、抗原結合性ドメインとして本明細書に記載される抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメインの構成成分(例えばCDRの組合せ)を含むように設計され得る。一部の例では、本明細書で提供されるCARは、本明細書で提供される抗原結合性断片の3個のCDRの2つのセット(例えば重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3)を含む抗原結合性ドメイン(例えば配列番号1~3及び9~11、又は配列番号17~19及び25~27)を含むように設計され得る。一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARの抗原結合性ドメインは、本明細書に記載されるVHドメイン又は本明細書に記載されるscFv抗体を含むように設計され得る。
【0048】
一部の場合では、本明細書で提供されるCARは、シグナルペプチドを含むように設計され得る。本明細書に記載されるCARを設計するために任意の適切なシグナルペプチドを使用することができる。本明細書に記載されるCARを作製するために使用することができるシグナルペプチドの例には、限定するものではないが、tPAシグナルペプチド、BiPシグナルペプチド、又はCD8αシグナルペプチドが含まれる。
【0049】
一部の場合では、本明細書で提供されるCARは、ヒンジを含むように設計され得る。本明細書に記載されるCARを設計するために、任意の適切なヒンジを使用することができる。本明細書に記載されるCARを作製するために使用することができるヒンジの例には、限定するものではないが、Ig由来のヒンジ(例えばIgG1由来のヒンジ、IgG2由来のヒンジ、又はIgG4由来のヒンジ)、CD2ドメイン及びCD3ドメインを含有しIg由来のヒンジ、CD2ドメインを含有しCD3ドメインを欠くIg由来のヒンジ、CD3ドメインを含有しCD2ドメインを欠くIg由来のヒンジ、CD2ドメインを欠きCD3ドメインを欠くIg由来のヒンジ、CD8α由来のヒンジ、CD28由来のヒンジ、及びCD3ζ由来のヒンジが含まれる。本明細書で提供されるCARは、任意の適切な長さのヒンジを含むように設計され得る。例えば、本明細書で提供されるCARは、長さ約3~約75(例えば約3~約65、約3~約50、約5~約75、約10~約75、約5~約50、約10~約50、約10~約40、又は約10~約30)のアミノ酸残基であるヒンジを含むように設計され得る。一部の場合では、本明細書に記載されるCARを作製するためのヒンジとしてリンカー配列(例えば、(SGGGG)2-5 (配列番号36))を使用してよい。
【0050】
本明細書で提供されるCARは、任意の適切な膜貫通ドメインを含むように設計され得る。例えば、本明細書で提供されるCARの膜貫通ドメインは、限定するものではないが、CD3ζ膜貫通ドメイン、CD4膜貫通ドメイン、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、及び4-1BB膜貫通ドメインであってよい。
【0051】
本明細書で提供されるCARは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含むように設計され得る。例えば、本明細書で提供されるCARは、1個、2個、3個、又は4個の細胞内シグナル伝達ドメインを含むように設計され得る。本明細書に記載されるCARを作製するために、任意の好適な細胞内シグナル伝達ドメイン又は細胞内シグナル伝達ドメインの組合せを使用してよい。本明細書に記載されるCARを作製するために使用することができる細胞内シグナル伝達ドメインの例には、限定するものではないが、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン、CD27細胞内シグナル伝達ドメイン、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、OX40(CD134)細胞内シグナル伝達ドメイン、4-1BB(CD137)細胞内シグナル伝達ドメイン、CD278細胞内シグナル伝達ドメイン、DAP10細胞内シグナル伝達ドメイン、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。一部の場合では、本明細書に記載されるCARは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有する第1世代のCARであるように設計され得る。一部の場合では、本明細書に記載されるCARは、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、それに続くCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有する第2世代のCARであるように設計され得る。一部の場合では、本明細書に記載されるCARは、(a) CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、それに続く(b) CD27細胞内シグナル伝達ドメイン、OX40細胞内シグナル伝達ドメイン、又は4-1BB細胞内シグナル伝達ドメイン、それに続く(c) CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有する第3世代のCARであるように設計され得る。例えば、Feins, et al., Am J Hematol., 94(S1):S3-S9 (2019)を参照されたい。
【0052】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えばIgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン(例えばヒトCD28膜貫通ドメイン又はCD8α膜貫通ドメイン)、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0053】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えば、IgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0054】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えばIgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0055】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えばIgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン (例えばヒトCD28膜貫通ドメイン又はCD8α膜貫通ドメイン)、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、を有するscFvを含むように設計され得る。
【0056】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ(例えば、IgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン(例えばヒトCD28膜貫通ドメイン又はCD8α膜貫通ドメイン)、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0057】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えばIgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン(例えばヒトCD28膜貫通ドメイン又はCD8α膜貫通ドメイン)、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0058】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えばIgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0059】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とするCARは、配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば (SGGGG)2-5(配列番号36)、それに続く配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、それに続くヒンジ、例えばヒンジ/リンカー(例えばIgG4由来のヒンジ、CD8αヒンジ、又はリンカープラスIgG4由来のヒンジ)、それに続く膜貫通ドメイン (例えばヒトCD28膜貫通ドメイン又はCD8α膜貫通ドメイン)、それに続く1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを有するscFvを含むように設計され得る。
【0060】
本明細書で使用される用語「細胞エンゲージャー」は、2つ以上の抗原結合性ドメイン(例えば2個、3個、又は4個の抗原結合性ドメイン)を含み、2つの細胞を一緒に連結する能力を有するポリペプチドを言う。細胞エンゲージャーの例には、限定するものではないが、BiTE、BiKE、及びTriKEが含まれる。一般に、本明細書で提供される細胞エンゲージャーは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び細胞(例えばT細胞又はNK細胞)の表面上に発現される抗原に結合する能力を有する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むように設計され得る。一部の場合では、本明細書に記載される細胞エンゲージャーは、細胞エンゲージャーの2つ以上の抗原結合性ドメインを介して、CSPG4
+細胞(例えばCSPG4
+がん細胞)を別の細胞(例えばT細胞又はNK細胞)に連結することができる。本明細書で提供される細胞エンゲージャーの細胞エンゲージャー構造の例には、限定するものではないが、
図14に記載の構造が含まれる。一部の場合では、
図14に示す抗CD3 scFvは、細胞(例えばT細胞又はNK細胞)の表面上に発現される抗原に結合する能力を有する異なる抗原結合性ドメインで置き換えることができる。
【0061】
細胞エンゲージャーが、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン及び1つ以上の他の抗原結合性ドメイン(例えば2個、3個、又は4個の他の抗原結合性ドメイン)を含む場合、これらの他の抗原結合性ドメインのそれぞれは、異なる細胞型の表面上に発現される異なる抗原に結合することができるか、又は同じ細胞型の表面上に発現される異なる抗原に結合することができる。一部の実施形態において、TriKEは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する第1の抗原結合性ドメイン、NK細胞の表面上に発現される第1の抗原(例えばCD16ポリペプチド、例えばCD16aポリペプチド)に結合する能力を有する第2の抗原結合性ドメイン、及び第3の部分、例えばNK細胞特異的増殖を促進するIL-15を有するように設計され得る。例えば、Arvindam, et al., Leukemia, 35(6):1586-1596 (2021)を参照されたい。一部の実施形態において、第3の部分は、NK細胞の表面上に発現される第2の抗原(例えば、CD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44)に結合する能力を有する第3の抗原結合性ドメインである。
【0062】
本明細書に記載されるように、本明細書で提供される細胞エンゲージャーの少なくとも1つの抗原結合性ドメインは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合するように設計され得る。例えば、本明細書で提供される細胞エンゲージャーは、その抗原結合性ドメインがCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有することを条件として、本明細書に記載される抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメインの構成成分(例えばCDRの組合せ)を抗原結合性ドメインとして含むように設計され得る。一部の例では、本明細書で提供される細胞エンゲージャーは、本明細書で提供される抗原結合性断片の3個のCDRの2つのセット(例えば、重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3)(例えば、配列番号1~3及び9~11、又は配列番号17~19及び25~27)を含む抗原結合性ドメインを含むように設計され得る。一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャーの抗原結合性ドメインは、本明細書に記載されるVHドメイン又は本明細書に記載されるscFv/Fab抗体を含むように設計され得る。一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する本明細書に記載されるCARの抗原結合性ドメインは、CSPG4+細胞を標的とする細胞エンゲージャーの抗原結合性ドメインとして使用することができる。
【0063】
本明細書に記載されるように、細胞エンゲージャーは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び少なくとも1つの他の抗原結合性ドメインを含むように設計され得る。この少なくとも1つの他の抗原結合性ドメインは、細胞の表面上に発現される任意の適切な抗原に結合する能力を有し得る。例えば細胞エンゲージャー、例えばCSPG4+細胞とT細胞とを連結するBiTEを設計する場合、細胞エンゲージャーは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン及びT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメインを含み得る。本明細書で提供される細胞エンゲージャーの抗原結合性ドメインによって標的とされ得るT細胞の表面上に発現されるポリペプチドの例には、限定するものではないが、CD3ポリペプチド、NKG2D、TCR、及びCD28が含まれる。本明細書で提供される細胞エンゲージャー(例えばBiTE)を作製するために使用することができるT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメインの例には、限定するものではないが、抗CD3 scFv及び抗CD3 VHドメイン、CD28、TCR、及びNKG2Dが含まれる。T細胞の表面上に発現されるポリペプチド(例えばCD3)に結合する能力を有する抗原結合性ドメインとして使用することができるアミノ酸配列のさらなる例は、米国特許第6,750,325号に記載されている(例えば米国特許第6,750,325号の配列表を参照)。
【0064】
細胞エンゲージャー、例えばCSPG4+細胞とNK細胞とを連結するためのBiKE又はTriKEを設計する場合、細胞エンゲージャーは、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン及びNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上(例えば1個、2個、又は3個)の抗原結合性ドメインを含み得る。本明細書で提供される細胞エンゲージャーの抗原結合性ドメインによって標的とされ得るNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドの例には、限定するものではないが、CD16ポリペプチド(例えばCD16aポリペプチド)、CD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、及びNKp44が含まれる。本明細書で提供される細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)を作製するために使用することができるNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメインの例には、限定するものではないが、抗CD16a scFv及び抗CD16a VHドメインが含まれる。NK細胞の表面上に発現されるポリペプチド(例えばCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44)に結合する能力を有する抗原結合性ドメインとして使用することができるアミノ酸配列のさらなる例は、McCallら、(Mol. Immunol., 36(7):433-445 (1999);例えば抗CD16 scFv配列を参照);国際特許出願公開第PCT/US2017/048721号(例えば抗CD16a結合性ドメインについてのCDR及び配列表を参照)に記載されている。
【0065】
一部の場合では、本明細書で提供される細胞エンゲージャーは、各抗原結合性ドメインの間に位置するリンカーを含むように設計され得る。本明細書で提供される細胞エンゲージャーを設計するために、任意の好適なリンカーを使用してよく、限定するものではないが、(SGGGG)3-5(配列番号35)が含まれる。本明細書で提供される細胞エンゲージャーは、任意の適切な長さのリンカーを含むように設計され得る。例えば、本明細書で提供される細胞エンゲージャーは、長さ約3~約100(例えば約3~約90、約3~約80、約3~約70、約3~約60、約3~約50、約3~約40、約3~約30、約3~約20、約3~約15、約5~約100、約10~約100、約20~約100、約30~約100、約40~約100、約50~約100、約60~約100、約70~約100、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、又は約12~約17)のアミノ酸残基のリンカーを含むように設計され得る。一部の場合では、本明細書で提供される細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、(SGGGG)3-5 (配列番号35)リンカーを含むように設計され得る。一部の場合では、本明細書に記載されるCARのヒンジを、本明細書に記載される細胞エンゲージャーを作製するためのリンカーとして使用することができる。
【0066】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば
図10に記載のリンカー、それに続く配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー(SGGGG)
3-5(配列番号35)、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0067】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0068】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0069】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば (SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0070】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0071】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0072】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば (SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0073】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば (SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0074】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば (SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0075】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0076】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0077】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0078】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0079】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0080】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば(SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0081】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE又はTriKE)は、配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えば (SGGGG)3-5(配列番号35)、それに続く配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、それに続くリンカー、例えばヒンジ/リンカー、それに続くNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する1つ以上の抗原結合性ドメイン(例えばBiKEについては抗ヒトCD16a scFv又はTriKEについては抗ヒトCD16a scFv及び抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を有するscFvを含むように設計され得る。
【0082】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、(a)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0083】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、(a)配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0084】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE)は、(a)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号9、配列番号10、及び配列番号11を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD16a scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0085】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE)は、(a)配列番号8を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号16を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD16a scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0086】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、(a)配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0087】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiTE)は、(a)配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びT細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD3 scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0088】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE)は、(a)配列番号17、配列番号18、及び配列番号19を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号25、配列番号26、及び配列番号27を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD16a scFv又は抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0089】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチドを標的とする細胞エンゲージャー(例えばBiKE)は、(a)配列番号24を含む重鎖可変ドメイン、Igヒンジ、及び定常ドメイン(例えばCH1、CH2、及びCH3ドメイン)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる重鎖、並びに(b)配列番号32を含む軽鎖可変ドメイン、定常ドメイン(例えばカッパ又はラムダ定常ドメイン)、及びNK細胞の表面上に発現されるポリペプチドに結合する能力を有する抗原結合性ドメイン(例えば抗ヒトCD16a scFv又は抗ヒトCD16、NKG2D、NKG2C、NKp46、NKp30、又はNKp44 scFv)を含む、それから本質的になる、又はそれからなる軽鎖を有するIgG(例えばIgG1)構成を含むように設計され得る。
【0090】
一実施形態では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号1のバリアント)を有するCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号2のバリアント)を有するCDR2及び配列番号3に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号3のバリアント)を有するCDR3を有する重鎖可変ドメイン;並びに/或いは(ii)配列番号9に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号9のバリアント)を有するCDR1、配列番号10に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号10のバリアント)を有するCDR2及び配列番号11に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号11のバリアント)を有するCDR3を有する軽鎖可変ドメイン、を含み得る。
【0091】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有し、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号1のバリアント)を有するCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号2のバリアント)を有するCDR2及び配列番号3に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号3のバリアント)を有するCDR3を有する重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)配列番号9に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号9のバリアント)を有するCDR1、配列番号10に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号10のバリアント)を有するCDR2及び配列番号11に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号11のバリアント)を有するCDR3を有する軽鎖可変ドメイン、を有する本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、任意の適切なフレームワーク領域を含み得る。例えば、そのような結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号4のバリアント)を有するフレームワーク領域1、配列番号5に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号5のバリアント)を有するフレームワーク領域2、配列番号6に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号6のバリアント)を有するフレームワーク領域3及び配列番号7に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号7のバリアント)を有するフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)配列番号12に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号12のバリアント)を有するフレームワーク領域1、配列番号13に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号13のバリアント)を有するフレームワーク領域2、配列番号14に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号14のバリアント)を有するフレームワーク領域3及び配列番号15に記載のアミノ酸配列(又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれを超えるアミノ酸改変を有する配列番号15のバリアント)を有するフレームワーク領域4を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。
【0092】
一部の場合では、実施例8又は実施例9に記載のCDRのいずれかを有する結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、フレームワーク領域を含むように設計され得るか、又は別の抗体、抗体断片若しくは抗体ドメイン由来の1つ以上のフレームワーク領域を含むように設計され得る。
【0093】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び/又は(b)配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び/又は(b)配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列に100パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び/又は(b)配列番号16に記載のアミノ酸配列に100パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。
【0094】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号1、2及び3に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、並びに/又は(b)配列番号9、10及び11に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号1、2及び3に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、並びに/又は(b)配列番号9、10及び11に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。
【0095】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列、又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号8に記載のアミノ酸を有する重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)配列番号16に記載のアミノ酸配列、又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号16に記載のアミノ酸を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。例えば、本明細書で提供される抗体又は抗原結合性断片は、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有し得、配列番号1、2及び3に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含み得、並びに配列番号9、10及び11に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号16に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。
【0096】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR1、(ii)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR2、及び(iii)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR3、を含む重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)(i)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR1、(ii)配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR2、及び(iii)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR3を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。
【0097】
本明細書で使用される場合、「配列番号1に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR1」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号1内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号1の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号1の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR1である。
【0098】
本明細書で使用される場合、「配列番号2に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR2」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号2内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号2の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号2の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR2である。
【0099】
本明細書で使用される場合、「配列番号3に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR3」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号3内に0個若しくは1個のアミノ酸置換を有する、配列番号3の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号3の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR3である。
【0100】
本明細書で使用される場合、「配列番号9に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR1」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号9内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号9の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号9の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR1である。
【0101】
本明細書で使用される場合、「配列番号10に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR2」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号10内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号10の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号10の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR2である。
【0102】
本明細書で使用される場合、「配列番号11に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR3」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号11内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号11の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号11の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR3である。
【0103】
別の実施形態では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(i)配列番号17に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号17のバリアント)を有するCDR1、配列番号18に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号18のバリアント)を有するCDR2及び配列番号19に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号19のバリアント)を有するCDR3を有する重鎖可変ドメイン;並びに/或いは(ii)配列番号25に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号25のバリアント)を有するCDR1、配列番号26に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号26のバリアント)を有するCDR2及び配列番号27に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号27のバリアント)を有するCDR3を有する軽鎖可変ドメイン、を含み得る。
【0104】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有し、(a)配列番号17に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号17のバリアント)を有するCDR1、配列番号18に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号18のバリアント)を有するCDR2及び配列番号19に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号19のバリアント)を有するCDR3を有する重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)配列番号25に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号25のバリアント)を有するCDR1、配列番号26に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号26のバリアント)を有するCDR2及び配列番号27に記載のアミノ酸配列(又は1個若しくは2個のアミノ酸改変を有する配列番号27のバリアント)を有するCDR3を有する軽鎖可変ドメイン、を有する本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、任意の適切なフレームワーク領域を含み得る。
【0105】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び/又は(b)配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び/又は(b)配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号24に記載のアミノ酸配列に100パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び/又は(b)配列番号32に記載のアミノ酸配列に100パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。
【0106】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号17、18及び19に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、並びに/又は(b)配列番号25、26及び27に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号17、18及び19に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、並びに/又は(b)配列番号25、26及び27に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含み得る。
【0107】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)配列番号24に記載のアミノ酸配列、又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号24に記載のアミノ酸を有する重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)配列番号32に記載のアミノ酸配列、又は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号32に記載のアミノ酸を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。例えば、本明細書で提供される抗体又は抗原結合性断片は、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有し得、配列番号17、18及び19に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号24に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含み得、並びに配列番号25、26及び27に記載のアミノ酸配列を含むことを条件として、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失及び/若しくはアミノ酸付加)を有する配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。
【0108】
一部の場合では、CSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する、本明細書で提供される結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)は、(a)(i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR1、(ii)配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR2、及び(iii)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR3、を含む重鎖可変ドメイン、並びに/或いは(b)(i)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR1、(ii)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR2、及び(iii)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなるCDR3を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。本明細書で使用される場合、「配列番号17に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR1」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号17内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号17の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号17の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR1である。
【0109】
本明細書で使用される場合、「配列番号18に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR2」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号18内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号18の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号18の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR2である。
【0110】
本明細書で使用される場合、「配列番号19に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR3」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号19内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号19の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号19の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR3である。
【0111】
本明細書で使用される場合、「配列番号25に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR1」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号25内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号25の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号25の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR1である。
【0112】
本明細書で使用される場合、「配列番号26に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR2」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号26内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号26の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号26の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR2である。
【0113】
本明細書で使用される場合、「配列番号27に記載のアミノ酸配列から本質的になるCDR3」は、結合剤(例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー及び/又はADC)がCSPG4ポリペプチド(例えば、ヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する基本的能力を維持していることを条件として、配列番号27内に0個、1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する、配列番号27の直ぐ前に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有する、及び/又は配列番号27の直ぐ後に0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸残基を有するCDR3である。
【0114】
重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを有する一本鎖抗体(例えばscFv)を設計する場合、2つの領域は直接接続されてもよく、任意の適切なリンカー配列を使用して接続されてもよい。例えば、配列番号1~3又は配列番号17~19のCDRを有する重鎖可変ドメインを、リンカー配列を介して、それぞれ配列番号9~11又は配列番号25~27のCDRを有する軽鎖可変ドメインに直接接続され得る。重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとを接続してscFvを創成するために使用することができるリンカー配列の例には、限定するものではないが、 (SGGGG)3-5(配列番号35)が含まれる。
【0115】
本明細書で示されるように、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、アミノ酸改変(例えば連接された数のアミノ酸改変)を含んでよい。そのようなアミノ酸改変には、限定するものではないが、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及び組合せが含まれ得る。一部の場合では、アミノ酸改変は、抗原との結合及び/若しくは接触を改善するため、並びに/又は本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)の機能的活性を改善するために行ってよい。一部の場合では、連接された配列識別子の中のアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換であってよい。例えば、保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸残基を、同様の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換することによって行うことができる。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含み得る。
【0116】
一部の場合では、連接された配列識別子の中のアミノ酸置換は、非保存的アミノ酸置換であってよい。非保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸残基を、同様でない側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換することによって行うことができる。非保存的置換の例には、限定するものではないが、(a)親水性残基(例えばセリン又はスレオニン)を疎水性残基(例えばロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、又はアラニン)で、(b)システイン又はプロリンを他の任意の残基で、(c)塩基性側鎖を有する残基(例えばリシン、アルギニン、又はヒスチジン)を酸性側鎖を有する残基(例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸)で、及び(d)嵩高な側鎖を有する残基(例えばフェニルアラニン)をグリシン又は小さな側鎖を有する他の残基で置換することが含まれる。
【0117】
アミノ酸配列バリアント(例えば連接された配列識別子に関する1つ以上の改変を含むアミノ酸配列)を生成する方法は、抗体又はその断片をコードする核酸の部位特異的変異生成又はランダムな変異生成(例えばPCRによる)を含み得る。例えば、Zoller、Curr. Opin. Biotechnol. 3: 348-354 (1992)を参照されたい。天然に存在するアミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸(例えば人工的に誘導体化されたアミノ酸)の両方を使用して、本明細書で提供されるアミノ酸配列バリアントを生成することができる。
【0118】
CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)の代表的な番号を、表1にさらに記載する。
【0119】
【0120】
本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、任意の好適な方法を使用して産生することができる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)は、組換え宿主細胞中で産生することができる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)をコードする核酸は、構築し、発現ベクター中に導入し、好適な宿主細胞中で発現することができる。実施例8及び9は、本明細書に記載される例示的な結合剤の可変ドメイン(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)をコードする核酸配列を含む。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)は、原核宿主、例えば大腸菌(E. coli)、ブレビス菌(Bacillus brevis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、乳酸菌ゼアエ/カセイ(Lactobacillus zeae/casei)、又は乳酸菌パラカセイ(Lactobacillus paracasei)の中で組換えによって産生することができる。本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)は、真核宿主、例えば酵母(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロマイセス・ポンべ(Schizosaccharomyces pombe)、シュワニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)又はヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))、トリコデルマ(Trichoderma)属の糸状菌(例えばT.レエセイ(T. reesei))及びアスペルギルス(Aspergillus)(例えばA.ニゲル(A. niger)及びA.オリザエ(A. oryzae))、プロトゾア、例えばリーシュマニア・タレントラ(Leishmania tarentolae)、昆虫細胞、又は哺乳動物細胞(例えば哺乳動物細胞系、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、Per.C6細胞、マウス骨髄腫NS0細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、又はヒト胚腎細胞系HEK293)の中で組換えによって産生することもできる。例えばFrenzelらの参考文献(Front Immunol.、4:217 (2013))を参照されたい。
【0121】
一部の場合では、本明細書で提供される抗原結合性断片又は抗体ドメインは、無傷抗体のタンパク質分解性消化によって産生することができる。例えば、抗原結合性断片は、抗体を酵素、例えばパパイン又はペプシンで処理することによって得ることができる。全抗体のパパイン消化を使用してF(ab)2又はFab断片を産生することができ、一方、全抗体のペプシン消化を使用してF(ab')2又はFab'断片を産生することができる。
【0122】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は実質的に純粋であってよい。結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)に関連して本明細書で使用される用語「実質的に純粋」は、それが天然に随伴する他のポリペプチド、脂質、炭水化物、及び核酸を実質的に含んでいない結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)を言う。即ち、本明細書で提供される実質的に純粋な結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、その天然の環境から取り出され、少なくとも60%純粋である任意の結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)である。本明細書で提供される実質的に純粋な結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、少なくとも約65、70、75、80、85、90、95、又は99パーセント純粋であってよい。
【0123】
本明細書は、2つの異なるエピトープに結合し、少なくとも1つがCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)のエピトープである、二特異性結合剤(例えば二特異性抗体、二特異性抗原結合性断片、及び/又は二特異性抗体ドメイン)も提供する。一部の場合では、本明細書で提供される二特異性結合剤は、同じCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)の2つの異なるエピトープに結合するように設計され得る。一部の場合では、本明細書で提供される二特異性結合剤は、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)及び異なるポリペプチド(例えばCD3ポリペプチド)上のエピトープに結合することができる。二特異性結合剤は、2つの異なる結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)を一緒に化学的にコンジュゲートすることによって産生することができる。二特異性結合剤は、2つの抗体産生細胞、例えばハイブリドーマを融合して、同じ細胞の中で2つの異なる重鎖及び2つの異なる軽鎖を産生するハイブリッド細胞系を作製することによっても産生することができ、それにより、例えば二特異性IgG分子をもたらすことができる。Brinkmann及びKontermann、MAbs.、9(2):182-212 (2017)を参照されたい。
【0124】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)は、別のポリペプチド又は他の部分に融合又はコンジュゲートして(例えば共有結合又は非共有結合で結合させて)、融合タンパク質又はコンジュゲートを得ることができる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)は、ポリマー(例えばポリエチレングリコール(PEG)、PEGによって改変されたポリエチレンイミン(PEI)(PEI-PEG)、及び/又はポリグルタミン酸(PGA)(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマー)、ヒアルロン酸、蛍光性物質、発光性物質、ハプテン、酵素、金属キレート、薬物、放射性同位元素、及び/又は細胞傷害剤にコンジュゲートする(例えば共有結合又は非共有結合で結合させる)ことができる。別のポリペプチド又は他の部分を本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)にコンジュゲートする(例えば共有結合又は非共有結合で結合させる)ために任意の適切な方法を使用してよい。例えば、米国特許第8,021,661号に記載された方法を使用して、別のポリペプチド又は他の部分を本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)にコンジュゲートすることができる。
【0125】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、循環中、例えば血液、血清、又は他の組織中の安定化及び/又は保持を、例えば少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、又は50倍改善する部分によって改変することができる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、ポリマー、例えば実質的に非抗原性のポリマーに結合する(例えば共有結合で又は非共有結合で結合する)ことができる。本明細書に記載するように使用することができる実質的に非抗原性のポリマーの例には、限定するものではないが、ポリアルキレンオキシド及びポリエチレンオキシドが含まれる。一部の場合では、本明細書で使用されるポリマーは、任意の適切な分子量を有してよい。例えば、約200ダルトン~約35,000ダルトン(例えば約1,000~約15,000ダルトン又は約2,000~約12,500ダルトン)の平均分子量を有するポリマーを使用することができる。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、水溶性ポリマーに結合する(例えば共有結合で又は非共有結合で結合する)ことができる。本明細書に記載されるように使用することができる水溶性ポリマーの例には、限定するものではないが、親水性ポリビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、並びにコポリマー又はブロックコポリマーの水溶性が維持される条件でそれらのコポリマー及び/又はそれらのブロックコポリマーが含まれる。
【0126】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、1つ以上のポリオキシアルキレン(例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、又はポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロックコポリマー)、ポリメタクリレート、カルボマー、分枝若しくは非分枝の多糖、又はそれらの組合せに結合する(例えば共有結合で又は非共有結合で結合する)ことができる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、ポリオキシエチレンに共有結合で結合することができる。
【0127】
本明細書はADCも提供する。本明細書で使用される用語「ADC」は、(a)抗原結合性ドメイン及び(b)その抗原結合性ドメインに直接又は間接に共有結合で連結された少なくとも1つの薬物を含むコンジュゲートを言う。一部の場合では、本明細書に記載されるADCは、(a) CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン及び(b)その抗原結合性ドメインに直接又は間接に共有結合で連結された少なくとも1つの薬物を含み得る。本明細書で提供され、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する任意の適切な結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)は、本明細書に記載されるADCを作製するための抗原結合性ドメインとして使用することができる。例えば、表1に記載の結合剤のいずれかを、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有するADCを作製するために使用することができる。本明細書に記載されるADCを作製するために使用することができる薬物の例には、限定するものではないが、カリケアマイシン(Calicheamicin)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE))、エムタンシン(DM1)、又はエキサテカン誘導体(Dxd)が含まれる。任意の適切なADCリンカーを使用して、1つ以上の薬物をCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメインに共有結合で結合して、本明細書で提供されるADCを形成することができる。例えば、切断可能又は非切断可能なADCリンカーを使用して、1つ以上の薬物をCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメインに共有結合で結合して、本明細書で提供されるADCを形成することができる。1つ以上の薬物をCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する抗原結合性ドメインに共有結合で結合して、本明細書で提供されるADCを形成するために使用することができるADCリンカーの例には、限定するものではないが、ADCジスルフィドリンカー、ADCヒドラゾンリンカー、ADCペプチドリンカー、ADCチオエーテルリンカー、及びADC PEG含有リンカーが含まれる。
【0128】
本明細書は、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する核酸分子(例えば単離された核酸分子)も提供する。例えば、本明細書で提供される単離された核酸分子は、重鎖可変ドメイン、例えば実施例8及び9に記載の重鎖可変ドメインをコードする核酸配列を含み得る。別の例において、本明細書で提供される単離された核酸分子は、軽鎖可変ドメイン、例えば実施例8及び9に記載の軽鎖可変ドメインをコードする核酸配列を含み得る。一部の場合では、本明細書で提供される単離された核酸分子は、リンカーポリペプチド(例えば、(SGGGG)3-5(配列番号35))をコードし又はコードせず、(a)重鎖可変ドメイン及び(b)軽鎖可変ドメインの両方をコードする核酸配列を含み得る。本明細書で提供される核酸(例えば単離された核酸分子)は、任意の適切な型(例えばDNA、RNA、又はDNA/RNAハイブリッド)の一本鎖又は二本鎖の核酸であってよい。
【0129】
本明細書は、本明細書で提供される1つ以上の核酸を含有するベクター(例えばプラスミドベクター又はウイルスベクター)も提供する。本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する1つ以上の核酸を含むように設計することができるプラスミドベクターの例には、限定するものではないが、ファージミドが含まれる。本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する1つ以上の核酸を含むように設計することができるウイルスベクターの例には、限定するものではないが、レトロウイルスベクター、パルボウイルス系ベクター(例えばアデノウイルス系ベクター及びアデノ随伴ウイルス(AAV)系ベクター)、レンチウイルスベクター(例えば単純ヘルペス(HSV)系ベクター)、ポックスウイルスベクター(例えばワクチニアウイルス系ベクター及び鶏痘ウイルス系ベクター)、及びハイブリット又はキメラウイルスベクターが含まれる。例えば、レンチウイルス構成成分、例えば他で記載されているものを含むアデノウイルス骨格を有するウイルスベクター(Zhengら、Nat. Biotech.、18(2): 176-80 (2000); WO 98/22143; WO 98/46778;及びWO 00/17376)、又はAAV構成成分、例えば他で記載されているものを含むアデノウイルス骨格を有するウイルスベクター(Fisherら、Hum. Gene Ther.、7:2079-2087 (1996))を、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する1つ以上の核酸を含むように設計することができる。
【0130】
一部の場合では、本明細書で提供されるベクター(例えばプラスミドベクター又はウイルスベクター)は、本明細書で提供されるscFv又は抗体ドメイン(例えばVHドメイン)をコードする核酸配列を含み得る。一部の場合では、本明細書で提供されるベクター(例えばプラスミドベクター又はウイルスベクター)は、本明細書で提供されるCARをコードする核酸配列を含み得る。一部の場合では、本明細書で提供されるベクター(例えばプラスミドベクター又はウイルスベクター)は、本明細書で提供される細胞エンゲージャーをコードする核酸配列を含み得る。
【0131】
本明細書で提供されるベクター(例えば本明細書で提供されるプラスミドベクター又はウイルスベクター)は、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列に作動可能に連結された任意の適切なプロモーター及び他の制御配列(例えば転写及び翻訳の開始及び停止のコドン)を含み得る。一部の場合では、発現を駆動するために使用されるプロモーターは、構成的プロモーター又は制御可能なプロモーターであってよい。本明細書に記載されるように使用することができる制御可能なプロモーターの例には、限定するものではないが、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、及び組織特異的プロモーターが含まれる。本明細書に記載されるように使用することができるウイルスプロモーターの例には、限定するものではないが、アデノウイルスプロモーター、ワクチニアウイルスプロモーター、CMVプロモーター(例えば最初期CMVプロモーター)、及びAAVプロモーターが含まれる。
【0132】
本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する核酸分子(又はベクター、例えばプラスミドベクター若しくはウイルスベクター)を作製するために、任意の適切な方法を使用することができる。例えば、他で記載されているように(例えばSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、NY (1989);及びAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Green Publishing Associates and John Wiley & Sons、New York, N.Y. (1994)を参照)、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する核酸分子(又はベクター、例えばプラスミドベクター若しくはウイルスベクター)を作製するために、分子クローニング手法を使用することができる。
【0133】
本明細書は、本明細書で提供される核酸(例えば本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする核酸配列を有する核酸)を含む宿主細胞も提供する。本明細書で提供される1つ以上の核酸を含むように設計することができる宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であってよい。本明細書で提供される核酸を含むように設計することができる原核細胞の例には、限定するものではないが、大腸菌(例えばTb-1、TG-1、DH5α、XL-Blue MRF(Stratagene)、SA2821、又はY1090細胞)、枯草菌、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、又はシュードモナス(Pseudomonas(例えば緑膿菌(P. aerugenosa)))細胞が含まれる。本明細書で提供される核酸を含むように設計することができる真核細胞の例には、限定するものではないが、昆虫細胞(例えばSf9又はEa4細胞)、酵母細胞(例えばS.セレビシエ細胞)、及び哺乳動物細胞(例えばマウス、ラット、ハムスター、サル、又はヒトの細胞)が含まれる。例えば、VERO細胞、HeLa細胞、3T3細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、W138 BHK細胞、COS-7細胞、及びMDCK細胞を、本明細書で提供される核酸を含むように設計することができる。本明細書で提供される1つ以上の核酸(例えば本明細書で提供される結合剤の少なくとも一部をコードする核酸配列を有するベクター、例えばプラスミドベクター又はウイルスベクター)を宿主細胞中に導入するために、任意の適切な方法を使用してよい。例えば、本明細書で提供される核酸を宿主細胞中に導入するために、塩化カルシウム媒介形質転換、形質導入、コンジュゲーション、三親交配、DEAE、デキストラン媒介トランスフェクション、感染、リポソームとの膜融合、DNAコートマイクロプロジェクタイルによる高速ボンバードメント、単一細胞への直接ミクロ注射、電気穿孔、又はそれらの組合せを使用することができる(例えばSambrookら、Molecular Biology: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、NY (1989); Davisら、Basic Methods in Molecular Biology (1986);及びNeumannら、EMBO J.、1:841 (1982)を参照)。
【0134】
一部の場合では、細胞、例えばT細胞、幹細胞(例えば人工多能性幹細胞又は間葉幹細胞)、又はNK細胞を、本明細書に記載されるCARをコードする1つ以上の核酸を発現するように設計することができる。例えば、T細胞の集団に、本明細書に記載されるCAR(例えばCSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するCAR)をコードする核酸を発現するように設計したウイルスベクターを感染させることができる。
【0135】
一部の場合では、細胞、例えばT細胞、幹細胞(例えば人工多能性幹細胞又は間葉幹細胞)、又はNK細胞を、本明細書に記載される細胞エンゲージャーをコードする1つ以上の核酸を発現するように設計することができる。例えば、T細胞の集団に、本明細書に記載される細胞エンゲージャー(例えばCSPG4ポリペプチドに結合する能力を有する細胞エンゲージャー)をコードする核酸を発現するように設計したウイルスベクターを感染させることができる。
【0136】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)は、(a)ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞中に導入するステップ、(b)ポリペプチドを発現するために十分な条件下の培養培地中で宿主細胞を培養するステップ、(c)細胞又は培養培地からポリペプチドを回収するステップ、及び(d)ポリペプチドを(例えば少なくとも50、60、70、80、90、95、97、98、又は99パーセントの純度に達するまで)精製するステップを含む方法を使用して産生することができる。
【0137】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)、本明細書で提供される核酸(例えば本明細書で提供される抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャーをコードする核酸)、本明細書で提供されるベクター(例えば本明細書で提供される抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャーを発現するように設計されたウイルスベクター)、及び/又は本明細書で提供される宿主細胞(例えば本明細書で提供される抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャーを発現するように設計された宿主細胞)を、がんを有する哺乳動物(例えばヒト)に投与してその哺乳動物を処置するための医薬組成物として製剤化することができる。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)、本明細書で提供される核酸(例えば本明細書で提供される抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャーをコードする核酸)、本明細書で提供されるベクター(例えば本明細書で提供される抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャーを発現するように設計されたウイルスベクター)、及び/又は本明細書で提供される宿主細胞(例えば本明細書で提供される抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャーを発現するように設計された宿主細胞)を、哺乳動物(例えばヒト)に投与して哺乳動物内のがん細胞の数を低減させ及び/又はがんに罹患した哺乳動物の生存を増加させるための医薬組成物として製剤化することができる。例えば、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)に結合する能力を有する本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)は、哺乳動物(例えばヒト)への投与のための医薬組成物として製剤化することができる。一部の場合では、本明細書で提供される医薬組成物は、薬学的に許容される担体、例えば他に記載されている(Gervasiら、Eur. J. Pharmaceutics and Biopharmaceutics、131:8-24 (2018))緩衝剤、塩、界面活性剤、糖、張性改変剤、又はそれらの組合せを含んでよい。本明細書で提供される医薬組成物を作製するために使用することができる薬学的に許容される担体の例には、限定するものではないが、水、乳酸、クエン酸、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、界面活性剤(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80、又はポロキサマー188)、デキストラン40、又は糖(例えばソルビトール、マンニトール、スクロース、デキストロース、又はトレハロース)、又はそれらの組合せが含まれる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)を含むように設計された医薬組成物(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、若しくは宿主細胞)は、緩衝剤(例えば酢酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、リン酸塩、又はヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)緩衝剤)、界面活性剤(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80、又はポロキサマー188)、及び糖、例えばスクロースを含むように製剤化することができる。本明細書で提供される医薬組成物の中に含むことができる他の成分には、限定するものではないが、アミノ酸、例えばグリシン又はアルギニン、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、メチオニン、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、抗がん剤、例えばエンザルタミド、イマニチブ、ゲフィチニブ、エルロチニ、スニチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、テムシロリムス、エベロリムス、パゾパニブ、クリゾチニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、イブルチニブ、トラメチニブ、ペリフォシン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、バチマスタット、ガネテスピブ、オバトクラクス、ナビトクラクス、タキソール、パクリタキセル、若しくはベバシズマブ、又はそれらの組合せが含まれる。例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、1つ以上のチェックポイント阻害剤、例えば抗PD-1抗体若しくはPD-1阻害剤(例えばセミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、INCMGA00012、AMP-224、又はAMP-514)、抗PD-L1抗体若しくはPD-L1阻害剤(例えばアベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、又はBMS-986189)、及び/又は抗CTLA-4抗体(例えばイピリムマブ)と組み合わせて、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するCARを発現するように設計された1つ以上の細胞、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)を含むように製剤化することができる。
【0138】
一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するCARを発現するように設計された1つ以上の細胞、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)を含むように医薬組成物を製剤化する場合、任意の適切な濃度の結合剤を使用することができる。例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、1mLあたり約1mg~約500mg(例えば約1mg~約500mg、約10mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約0.5mg~約250mg、約0.5mg~約150mg、約0.5mg~約100mg、約0.5mg~約50mg、約1mg~約300mg、約2mg~約200mg、約10mg~約300mg、約25mg~約300mg、約50mg~約150mg、又は約150mg~約300mg)の本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR+細胞集団、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)を含む液体であるように製剤化してよい。別の例では、本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5mg~約500mg(例えば約1mg~約500mg、約10mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約0.5mg~約250mg、約0.5mg~約150mg、約0.5mg~約100mg、約0.5mg~約50mg、約1mg~約300mg、約10mg~約300mg、約25mg~約300mg、約50mg~約150mg、又は約150mg~約300mg)の本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)を含む固体又は半固体であるように製剤化してよい。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)を含有する医薬組成物は、結合剤の力価が約1×105~約1×1012(例えば約1×105~約1×1010、約1×105~約1×108、約1×106~約1×1012、約1×106~約1×1012、約1×108~約1×1012、約1×109~約1×1012、約1×106~約1×1011、又は約1×107~約1×1010)である剤形として製剤化してよい。
【0139】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、CAR、及び/又は細胞エンゲージャー)の少なくとも一部をコードする1つ以上の核酸(例えばベクター、例えばウイルスベクター)を含むように医薬組成物を製剤化する場合、任意の適切な濃度の核酸を使用することができる。例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、1mLあたり約0.5mg~約500mg(例えば約1mg~約500mg、約10mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約0.5mg~約250mg、約0.5mg~約150mg、約0.5mg~約100mg、約0.5mg~約50mg、約1mg~約300mg、約2mg~約200mg、約10mg~約300mg、約25mg~約300mg、約50mg~約150mg、又は約150mg~約300mg)の本明細書で提供される核酸を含む液体であるように製剤化してよい。別の例では、本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5mg~約500mg(例えば約1mg~約500mg、約10mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約0.5mg~約250mg、約0.5mg~約150mg、約0.5mg~約100mg、約0.5mg~約50mg、約1mg~約300mg、約10mg~約300mg、約25mg~約300mg、約50mg~約150mg、又は約150mg~約300mg)の本明細書で提供される核酸を含む固体又は半固体であるように製剤化してよい。
【0140】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)を含むように設計される医薬組成物は、製剤化された場合に結合剤の凝集を低減することができる1つ以上の薬剤を含むように製剤化することができる。本明細書に記載するように使用することができるそのような薬剤の例には、限定するものではないが、メチオニン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グリシン、グルタミン酸、及びそれらの組合せが含まれる。一部の場合では、これらのアミノ酸の1つ以上は、約0.5mM~約145mM(例えば約1mM~約145mM、約10mM~約145mM、約100mM~約145mM、約0.5mM~約125mM、約0.5mM~約100mM、約0.5mM~約75mM、又は約10mM~約100mM)の濃度で製剤内に含まれてよい。
【0141】
本明細書で提供される医薬組成物は、任意の適切な形態であってよい。例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、液体、半固体、又は固体であるように設計することができる。一部の場合では、本明細書で提供される医薬組成物は、液体溶液(例えば注射用及び/又は注入用の溶液)、分散剤、懸濁液剤、錠剤、ピル、粉末、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は坐剤であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される医薬組成物は、凍結乾燥することができる。一部の場合では、本明細書で提供される医薬組成物(例えば1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)を含む本明細書で提供される医薬組成物)は、急速な放出に対して保護するように設計された担体又はコーティングとともに製剤化することができる。例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、他で記載された制御放出製剤又は規制放出製剤(米国特許出願公開第2019/0241667号、第2019/0233522号、及び第2019/0233498号)として製剤化することができる。
【0142】
本明細書は、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、若しくは宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)を哺乳動物(例えばヒト)に投与する方法も提供する。例えば、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、及び/若しくは宿主細胞(例えばCAR+細胞)を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)を、がんを有する哺乳動物(例えばヒト)に投与して、その哺乳動物を処置することができる。一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、及び/若しくは宿主細胞(例えばCAR+細胞)を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)を哺乳動物(例えばヒト)に投与して、哺乳動物内のがん細胞の数を低減させ、及び/又はがんに罹患した哺乳動物の生存を増大させることができる。
【0143】
本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、若しくは宿主細胞(例えばCAR+細胞)を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)を使用して、任意の適切ながんを処置することができる。例えば、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)を含有する組成物(例えば医薬組成物)を、がんを有する哺乳動物(例えばヒト)に投与することによって、その哺乳動物を処置することができる。一部の場合では、本明細書に記載されるように処置することができるがんは、血液がんであり得る。一部の場合では、本明細書に記載されるように処置することができるがんは、1つ以上の固形腫瘍を含み得る。一部の場合では、本明細書に記載されるように処置することができるがんは、転移性がんであり得る。一部の場合では、本明細書に記載されるように処置することができるがんは、再発性がんであり得る。一部の場合では、本明細書に記載されるように処置することができるがんは、化学療法抵抗性がんであり得る。本明細書に記載されるように処置することができるがんの例には、限定するものではないが、卵巣がん、神経膠芽腫、黒色腫、扁平上皮がん、トリプルネガティブ乳がん、中皮腫、骨肉腫、AML、脊索腫又は上昇したCSPG4発現が悪性進行又は不良転帰に結びつけられている他の腫瘍が含まれる。例えば、卵巣がんを有する哺乳動物に、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)を含有する組成物(例えば医薬組成物)を投与して、その哺乳動物を処置する(例えば哺乳動物内のがん細胞の数を低減させる)ことができる。
【0144】
本明細書で提供される組成物(例えば医薬組成物)を哺乳動物(例えばヒト)に投与するために、任意の適切な方法を使用することができる。例えば、本明細書で提供される組成物(例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物、例えば本明細書で提供される1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)を、静脈内(例えば静脈内注射又は注入を介して)、皮下(例えば皮下注射を介して)、腹腔内(例えば腹腔内注射を介して)、経口、吸入を介して、又は筋肉内(例えば筋肉内注射を介して)で、哺乳動物(例えばヒト)に投与することができる。一部の場合では、組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の投与の経路及び/又は様式は、処置される哺乳動物について調整することができる。
【0145】
一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、又は宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の有効量は、哺乳動物に有意な毒性を生じることなく、がんを有する哺乳動物内のがん細胞の数を低減する量であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、又は宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の有効量は、同程度のがんを有し、組成物により処置されていない対照哺乳動物と比較して、がんを有する哺乳動物の生存期間を延長する量であってよい。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、抗体ドメイン、細胞エンゲージャー、及び/又はADC)の有効量は、約0.001mg/kg~約100mg/kg(例えば約0.001mg/kg~約90mg/kg、約0.001mg/kg~約80mg/kg、約0.001mg/kg~約70mg/kg、約0.001mg/kg~約60mg/kg、約0.001mg/kg~約50mg/kg、約0.001mg/kg~約40mg/kg、約0.001mg/kg~約30mg/kg、約0.005mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約100mg/kg、約0.05mg/kg~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約0.5mg/kg~約100mg/kg、約1mg/kg~約100mg/kg、約5mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約30mg/kg、約0.15mg/kg~約25mg/kg、約0.2mg/kg~約20mg/kg、約0.5mg/kg~約20mg/kg、約1mg/kg~約30mg/kg、約1mg/kg~約25mg/kg、約1mg/kg~約20mg/kg、約2mg/kg~約20mg/kg、約5mg/kg~約30mg/kg、約10mg/kg~約30mg/kg、約15mg/kg~約30mg/kg、約20mg/kg~約30mg/kg、約3mg/kg~約30mg/kg、約0.5mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、又は約1mg/kg~約3mg/kg)であってよい。有効量は一定のままであってもよく、処置に対する哺乳動物の応答に応じてスライディングスケール又は可変用量として調整してもよい。特定の用途のために使用される実際の有効量は、種々の要因によって影響されることがある。例えば、がんを有する哺乳動物を処置する際のがんの重症度、投与の経路、哺乳動物の年齢及び一般的健康状態、賦形剤の使用、他の治療若しくは予防の処置、例えば他の薬剤(例えばチェックポイント阻害剤)の使用との併用の可能性、並びに処置する医師の判断によって、本明細書で提供される投与される組成物(例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物)の実際の有効量の増加又は減少が要求されることがある。
【0146】
一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、又は宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の投与の有効頻度は、哺乳動物に有意な毒性を生じることなく、がんを有する哺乳動物内のがん細胞の数を低減する頻度であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、又は宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の投与の有効頻度は、同程度のがんを有し、組成物により処置されていない対照哺乳動物と比較して、がんを有する哺乳動物の生存期間を延長する頻度であってよい。例えば、本明細書で提供される医薬組成物、例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物の投与の有効頻度は、毎日約2回~毎年約1回(例えば毎日約2回~毎月約1回、毎日約2回~毎週約1回、毎日約1回~毎月約1回、又は毎日1回~毎週約1回)であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される医薬組成物、例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物の投与の頻度は毎日であってよい。本明細書で提供される医薬組成物、例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物の投与の頻度は一定のままであってもよく、処置の継続期間中、変動してもよい。特定の用途のために使用される実際の有効頻度は、種々の要因によって影響されることがある。例えば、がんの重症度、投与の経路、哺乳動物の年齢及び一般的健康状態、賦形剤の使用、他の治療若しくは予防の処置、例えば他の薬剤(例えばチェックポイント阻害剤)の使用との併用の可能性、並びに処置する医師の判断によって、本明細書で提供される組成物(例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物)の投与の実際の有効頻度の増加又は減少が要求されることがある。
【0147】
一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、又は宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の投与の有効継続期間は、哺乳動物に有意な毒性を生じることなく、哺乳動物内のがん細胞の数を低減する継続期間であってよい。一部の場合では、本明細書で提供される1つ以上の結合剤(例えば1つ以上の抗体、1つ以上の抗原結合性断片、1つ以上の抗体ドメイン、1つ以上の細胞エンゲージャー、及び/又は1つ以上のADC)(又は本明細書で提供される核酸、ベクター、又は宿主細胞(例えばCAR+細胞))を含有する組成物(例えば本明細書で提供される医薬組成物)の投与の有効継続期間は、同程度のがんを有し、組成物により処置されていない対照哺乳動物と比較して、がんを有する哺乳動物の生存期間を延長する継続期間であってよい。例えば、本明細書で提供される医薬組成物、例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物の投与の有効継続期間は、単一時点の投与から数週ないし数か月(例えば4~12週)に変動してよい。特定の用途のために使用される実際の有効継続期間は、多数の要因によって影響されることがある。例えば、がんの重症度、投与の経路、哺乳動物の年齢及び一般的健康状態、賦形剤の使用、他の治療若しくは予防の処置、例えば他の薬剤(例えばチェックポイント阻害剤)の使用との併用の可能性、並びに処置する医師の判断によって、本明細書で提供される組成物(例えば本明細書で提供される1つ以上の結合剤を含有する医薬組成物)の投与の実際の有効継続期間の延長又は短縮が要求されることがある。
【0148】
一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)は、in vitro、in situ、又はin vivoでCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)の存在又は非存在を検出するため(例えば哺乳動物、例えばヒトの中のin vivoイメージング)に使用することができる。例えば、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)は、標識(例えば共有結合で結合された放射活性、酵素、発色、又は蛍光の標識)を含むように設計され得る。標識された結合剤を使用して、生体試料中のCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)の存在又は非存在をin vitroで検出することができる。本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)を使用して評価することができる生体試料の例には、限定するものではないが、血清試料、血漿試料、組織試料、生検試料、細胞系試料、及び組織培養試料が含まれる。一部の場合では、本明細書に記載されるように評価することができる生体試料には、CSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)を発現し得る哺乳動物体組織及び/又は細胞、例えば白血球、卵巣の組織若しくは細胞、前立腺の組織若しくは細胞、心臓の組織若しくは細胞、胎盤の組織若しくは細胞、膵臓の組織若しくは細胞、肝臓の組織若しくは細胞、脾臓の組織若しくは細胞、肺の組織若しくは細胞、乳房の組織若しくは細胞、頭頚部の組織若しくは細胞、内膜の組織若しくは細胞、結腸の組織若しくは細胞、結腸直腸の組織若しくは細胞、子宮頸部の組織若しくは細胞、胃の組織若しくは細胞、又は臍帯の組織若しくは細胞が含まれ得る。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)は、例えば支持体上に固定化することができ、支持体上の生体試料からのCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)の保持を検出することができ、及び/又は逆もそうである。一部の場合では、本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)は、用途、例えば蛍光偏光、顕微鏡検査、ELISA、遠心分離、クロマトグラフィー、及び/又は細胞選別(例えば蛍光活性化細胞選別)に使用することができる。
【0149】
一部の場合では、標識(例えば共有結合で結合された放射活性標識)を含有する本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)は、哺乳動物(例えばヒト)内のCSPG4ポリペプチド(例えばヒトCSPG4ポリペプチド)の存在又は非存在を検出するために使用することができる。例えば、放射標識又はMRI検出可能な標識を有する標識された(例えば共有結合で標識された)本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)を哺乳動物(例えばヒト)に投与することができ、検出可能な標識を検出するための手段を使用してその哺乳動物を評価することができる。一部の場合では、哺乳動物をスキャンして、哺乳動物内の本明細書で提供される標識された結合剤の位置を評価することができる。例えば、NMR又は他のトモグラフィー手法を使用して、哺乳動物をイメージングすることができる。
【0150】
本明細書で提供される結合剤(例えば抗体、抗原結合性断片、及び/又は抗体ドメイン)に結合する(例えば共有結合で又は非共有結合で結合する)ことができる標識の例には、限定するものではないが、放射標識、例えば131I、111In、123I、99mTc、32P、33P、125I、3H、14C、及び188Rh、蛍光標識、例えばフルオレセイン及びローダミン、核磁気共鳴活性標識、陽電子放出トモグラフィー(「PET」)スキャナーによって検出可能な陽電子放出同位元素、化学発光体、例えばルシフェリン、並びに酵素マーカー、例えばペルオキシダーゼ又はホスファターゼが含まれる。一部の場合では、短距離発光体、例えば短距離検出プローブによって検出可能な同位元素を使用することができる。
【0151】
以下の実施例において、本発明をさらに記載する。実施例は特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0152】
[実施例1]
方法及び材料
細胞系:以下の3つのCSPG4陽性細胞系: HEY (RRID: CVCL_0297)、A2780 (RRID: CVCL_0134)、及びES-2 (RRID: CVCL_3509)を含む、複数のヒト卵巣がん細胞系をこれらの研究において使用した。全ての細胞系は、ATCC Cell Line Authentication Service (Manassas、Virginia)によるSTRプロファイリングを介して認証された。Universal Mycoplasma Detection Kit (ATCCカタログ番号30-1012K)を使用して、細胞系をマイコプラズマに関してルーチンにスクリーニングした。10%ウシ胎仔血清(Atlanta Biologicalsカタログ番号SS11150H、ロット番号H1810S)、1%ペニシリン及びストレプトマイシン(Gibcoカタログ番号15140-122)を添加した、基本DMEM培地(Mediatechカタログ番号10-013-cv)中でES-2及びA2780細胞を、基本RPMI1640培地(Gibcoカタログ番号11875-093)中でHEY細胞を37℃/5%CO2にて培養した。細胞系を、解凍から継代2~15回の間でルーチンに使用した。各細胞系のCSPG4-CRISPRノックアウト及びモック安定トランスフェクトバリアントを、0.6g/mLのピューロマイシン(Sigmaカタログ番号P8833)を添加した適切な培地中で維持した。
【0153】
CSPG4 CRISPR細胞系の生成: CSPG4-CRISPR細胞を作製するために使用されたガイドRNA(gRNA)標的配列は、5’ CGAGCGCGGCTCTGCTCCTG 3’ (配列番号37)及び5’AGAGACCTGGAGACACCAGG 3’(配列番号38)であった。gRNAを、プラスミドpU6-gRNA中に挿入した。両方のgRNAプラスミドを、CAS9酵素を発現するプラスミド(pT3.5 Caggs-FLAG-hCas9)並びにピューロマイシン及びGFP選択のためのプラスミド、pcDNA-PB7及びpPB SB-CG-LUC-GFP (Puro)(+CRE)と共に同時トランスフェクトした。製造業者により提唱されたプロトコールに従って、Lipofectamine 2000試薬(Invitrogenカタログ番号11668-019)を使用して、トランスフェクションを実施した。モック細胞系には、選択プラスミドのみ(pcDNA-PB7及びpPB SB-CG-LUC-GFP (Puro)(+CRE))をトランスフェクトし、ピューロマイシン含有培地(0.6μg/mL)中での培養によってプールとして選択した。CSPG4-CRISPRノックアウト細胞系を、96ウェルプレート中でのクローン播種(トランスフェクト集団中でのGFP発現に基づく)及びピューロマイシン含有培地(0.6μg/mL)中での培養によって選択した。単一細胞由来コロニーを拡大し、プライマー5’ GGGCCCTTTAAGAAGGTTGA 3’ (配列番号39)及び5’ GTTTTGACAGCCCAAACCAG 3’ (配列番号40)を使用するCSPG4遺伝子の欠失についてゲノムPCRによってスクリーニングした。イムノブロット及びフローサイトメトリーによって細胞系をさらにスクリーニングして、CSPG4タンパク質の喪失を検証した。
【0154】
さらなる抗体及び試薬は、表2に列挙される。
【表2】
【0155】
siRNAのトランスフェクション: ヒトZEB1に特異的な低分子干渉RNA(siRNA)(カタログ番号sc-38643)を、Santa Cruz Biotechnology (Dallas、TX)から購入し、陰性対照siRNAを、Qiagen, Inc. (カタログ番号1027281、Germantown、MD)から購入した。細胞がトランスフェクションの前に60~70%コンフルエントとなるまで、細胞を6ウェルプレート中に播種した。製造業者により提唱されたプロトコールに従って、Lipofectamine RNAimaxトランスフェクション試薬(カタログ番号13778075、ThermoFisher Scientific)を使用して、細胞をトランスフェクトした。増殖、浸潤及びスフェロイド形成アッセイにおける播種のために、トランスフェクションの48時間後に細胞を収獲した。
【0156】
固定非依存的増殖アッセイ: 軟質寒天増殖アッセイを、以下の改変を用いてYangら、Cancer Res.、69)19):7538-47 (2009)によって以前に記載されたように実施した。0.6%アガロースの最終濃度で上側のアガロース層に細胞を播種した。各細胞系について示された時点(図面の凡例を参照されたい)で3回反復ウェルに由来する5つのランダムなフィールド/ウェルでコロニーを計数した。実験を少なくとも3回実施したが、示されるデータは、3つの組み合わせた実験に由来する3回反復ウェルに由来する5つのフィールド/ウェルに由来するコロニーの平均数、±s.e.m.である。統計的有意性を、Studentのt検定を使用して決定した。
【0157】
異種移植腹腔内注射マウスモデル: 全ての動物研究は、University of Minnesota Institutional Animal Care and Use Committee (IACUC 1908-37330A)によって認可されたものであった。NOD/SCID/γc-/- (NSG) 12週齢雌マウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)を使用した。腫瘍注射の1日前に、マウスを亜致死的に照射した(225cGy)。次の日、4匹の雌マウスに、2x105個のA2780モックルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を腹腔内注射し、5匹の雌マウスに、2x105個のA2780 CSPG4-CRISPRルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を腹腔内注射した。細胞注射後、6、13、及び27日目にIVIS Spectrum in vivo Imagingシステム(PerkinElmer)を使用する生物発光イメージング(BLI)を使用して、ルシフェリン注射(Goldbio、St. Louis、MO)後に腫瘍負荷をモニタリングした。画像分析を、Living Image 4.5ソフトウェア (PerkinElmer)を使用して実施した。
【0158】
細胞浸潤アッセイ: 通常の増殖培地中の細胞(2.5~5.0x104個)を、マトリゲル浸潤チャンバー(8μm、Corning、NY)の3回反復ウェルの上側チャンバー及び完全培地(ES-2、A2780)又は無血清培地(HEY)を充填した下側チャンバーに添加し、組織培養インキュベーター中、37℃、5%CO2雰囲気で16~24時間培養した。上側チャンバー中の残りの細胞を、コットンスワブを用いて除去し、浸潤した細胞を、Differential Quick Staining Kit (Electron Microscopy Sciences、Hatfield、PA)を使用して固定及び染色した。浸潤した細胞を、5つのランダムなフィールド/ウェルから100倍の倍率で顕微鏡下で数えた。各実験を、少なくとも3回反復した。
【0159】
スフェロイド形成アッセイ: 完全増殖培地中に希釈した1%高粘度メチルセルロース(Sigmaカタログ番号M0512)中に2x105個の細胞を懸濁し、ポリ-HEMAでコーティングされた6ウェルプレート中に播種し、7日間培養した。示された時点で、スフェロイドをイメージングし、100μmを超える直径を有するスフェロイドを、5つのランダムなフィールド/ウェルから100倍の倍率で顕微鏡下で数えた。メチルセルロース培養物中で増殖したスフェロイドを、PBS中での希釈-分散、400xgで15の遠心分離によって収獲し、その後の分析のためにPBS中で2回洗浄した。各実験を、少なくとも3回反復した。
【0160】
シスプラチン細胞傷害アッセイ: シスプラチンストック(3.3mM)を、各実験の前に必要な濃度に増殖培地で希釈した。細胞を、1.0x103細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。次の日、ウェルから培地を除去し、3回反復ウェルにおいて示された処理を含有する100μlの培地又は培地のみ(ベースライン)で置き換えた。処理の96時間後、20lのMTS試薬(Promega、カタログ番号G3580)を各ウェルに添加し、プレートを暗室中で2時間、37℃、5%CO2雰囲気でインキュベートした。570nmでの吸光度を、Tecan 200プレートリーダー上で収集した。各実験を、少なくとも3回反復した。
【0161】
RNAseq分析: 全RNAを、製造業者により提唱されたプロトコールに従って、Rneasy RNA単離キット(Qiagen、カタログ番号74104)を使用して、ES-2親、モック、及びCSPG4-CRISPR細胞系に由来する2回技術的反復から単離した。Agilent Bioanalyzer上での品質制御評価及び蛍光分析RiboGreenアッセイを使用する定量化のために、RNA試料をUniversity of Minnesota Genomics Centerに提出した。鎖特異的RNA-seqライブラリーを生成し、高出力モード、約2000万リード/試料(2回反復試料)及び2x125bpのペアエンドリードでIlluminaiSeq 2500上で配列決定した。バルクRNAseq試料をプロセシングし、CHURPバージョン0.2.2コマンドラインインターフェースフレームワークを使用して整列させた。CHURPパイプラインの完全な説明は、Ballerら、CHURP: A lightweight CLI Framework to Enable Novice Users to Analyze Sequencing Datasets in Parallelに見出すことができる。簡単に述べると、Trimmomaticバージョン0.33(Bolgerら、Bioinformatics、30(15):2114-20 (2014)を参照されたい)を使用して、アダプター夾雑及び低品質配列に関するリードをクリーンにした。FastQC(Andrews, FastQC: A Quality Control Tool for High Throughput Sequenceを参照されたい)を使用して、生のリード及びトリミングされたリードに関する配列品質リポートを生成した。HISAT2バージョン2.1.0(Kimら、Nat Biotechnol.、37(8):907-15 (2019)を参照されたい)を使用して、試料を、ゲノム参照コンソーシアムH.sapiensビルド38参照ゲノムに対して整列させた。FeatureCounts v1.6.2を使用して、遺伝子に対するマッピングされたリードを計数した。Liaoら、Bioinformatics、30(7):923-30 (2014)を参照されたい。
【0162】
遺伝子発現及び経路分析: 全ての示差遺伝子発現及び経路分析を、R v 3.6.3 (R Core Team、2020)中で行った。示差遺伝子発現分析を、EdgeR v 3.28.1を使用して行った。Robinsonら、Bioinformatics、26(1):139-140 (2010)を参照されたい。示差的に発現される遺伝子を、ES2 CSPG4-CRISPR/Cas9ノックアウト細胞系と、ES-2親及びモック細胞系の平均との間で同定した。相対対数発現正規化法を使用して計数を正規化し、2個以上の試料中、1より多い百万あたりの計数を示す遺伝子のみを保持した。一般的な線形モデル手法を使用して、示差的に発現される遺伝子について試験した。p値調整の後、p値が0.01未満であり、log2倍率変化が1より大きい場合、遺伝子を示差的に発現されると分類した。p値を、Benjamini & Hochberg法を使用して調整した。GOタームエンリッチメント分析及び遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)を、ClusterProfler Rパッケージを使用して行った。Yuら、OMICS、16(5):284-7 (2012)を参照されたい。Molecular Signatures Database v 7.1 (gsea-msigdb.org/gsea/msigdb/index.jsp)からのホールマーク遺伝子セットを、GSEAにおいて使用した。
【0163】
生存分析を、Kaplan-Meier Plotterウェブベースインフォマティクスツールを使用して実施した。Gyorffyら、Endocr Relat Cancer.19(2):197-208 (2012); 及びNagyら、Sci Rep.8(1):9227 (2018)を参照されたい。卵巣がんTCGAコホート及びGene Expression Omnibus (GEO)データベースからの14個のさらなるコホートを含む、合計15個の卵巣がん患者コホートが組合せ分析に含まれていた;これらのデータセット中の多くの事例は、漿液組織であり、小さい割合の類内膜型卵巣がんを伴う。JetSet最適プローブ(Gyorffyら、Breast Cancer Res Treat、123(3):725-31 (2010)を参照されたい)を、CSPG4(MCSPG)及びZEB1発現分析のために選択した;1656人の患者がCSPG4に関する利用可能なデータを有しており、355人の患者がZEB1に関する利用可能なデータを有していた。コホートを、正規化された単一遺伝子発現又は両遺伝子の正規化された組み合わせた発現の平均に関する中央値によって分離した。転帰は、別々に実施された免疫組織化学試験に関するフォローアップの継続時間と調和するように5年で打ち切られた。
【0164】
EMTシグナチャーエンリッチメントの分析を、卵巣がんTCGAデータセットに対してウェブベースのXenaインフォマティクスツールを使用して実施した(Goldmanら、Nat Biotechnol.38(6):675-8 (2020)を参照されたい)。コホートを、平均CSPG4遺伝子発現によって分離し、EMTシグナチャースコアを、Xenaゲノムシグナチャー特性を使用して算出した。Saltら、Cancer Discov.4(2):186-99 (2014)を参照されたい。
【0165】
ウェスタンブロット: Yangら、Cancer Res.69(19):7538-47 (2009)によって以前に記載された標準的な方法を使用して、ウェスタンブロットを実施した。
【0166】
共焦点顕微鏡観察: 細胞を、48時間にわたってカバースリップ上に塗布し、4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、室温で5分間、0.05%Triton X-100で透過処理し、1%ロバ血清で1時間ブロックした。カバースリップを、4℃で一晩、1g/mLの示された一次抗体と共にインキュベートし、室温で10分間、PBS+1%BSAで2回洗浄し、室温で1時間、Cy3コンジュゲート化抗マウス二次抗体(1:5000)と共にインキュベートした。PBS+1%BSAで細胞を2回洗浄した後、Yangら、J Cell Biol. 165(6):881-91 (2004)によって記載されたように画像をキャプチャした。
【0167】
フローサイトメトリー: 細胞をPBS/5mM EDTA溶液中に放出させ、FACS緩衝剤(1%ヤギ血清及び5mM HEPESを添加したRPMI培地)で2回洗浄した。細胞を、4℃で45分間、示された一次抗体と共にインキュベートし、FACS緩衝剤で3回洗浄した後、4℃で30分間、ヤギ抗マウスフィコエリトリンコンジュゲート化二次抗体と共にインキュベートした。抗体染色を、BD Biosciences Accuri C6フローサイトメトリーシステム上で分析し、データをAccuri C6ソフトウェア(BD Biosciences)を使用してグラフ化した。
【0168】
新規CSPG4抗体の生成: CSPG4特異的マウスモノクローナル抗体7H5A2を、CSPG4コアタンパク質細胞外ドメインのアミノ酸1538~2221に対応する組換えCSPG4タンパク質免疫原の注射によってPromab Biotechnologies Inc (Richmond、CA)により生成し、真核発現系から発現させ、精製した(
図1Aを参照されたい)。ウェスタンブロットによるCSPG4野生型及びノックアウト細胞溶解物に対するスクリーニング並びに免疫蛍光による細胞染色によって、抗体の特異性を決定した(
図1B及び1Cを参照されたい)。7H5A2は、アイソタイプIgG1である。
【0169】
卵巣がん患者組織コホート: コホートは、合同機構国際認定(Joint Commission International) (JCI)によって認定された特殊ながん病院である、Xiangya School of Medicine of Central South University of Chinaと提携したHunan Cancer Hospitalで初期の外科手術及び処置を受けた、長期臨床フォローアップを行った126人の上皮卵巣がん患者からなる。卵巣がん患者コホートの試験対象患者基準は、3つの大きな組織病理学的サブタイプ(漿液性、粘液性、及び他の腺癌)を含む組織学的に確認された上皮卵巣癌;病巣除去手術後の白金/タキサンに基づく化学療法による処置;外科手術前に放射線療法又は生物学的療法がないこと;並びに外科手術前の80以上のKarnofsky Performance Statusスコアであった。患者を、国際産婦人科連合(International Federation of Gynecology and Obstetrics)(FIGO)の外科手術ステージングシステムに従って病期分類した。良性卵巣病変を有する別の16人の患者及び正常卵巣組織を有する26人の子宮摘出患者も採用した。
【0170】
プロトコールは、Hunan Cancer Hospital (Changsha, China)の倫理委員会によって認可され、全ての患者が病院のファイルにインフォームドコンセント文書を提供した。
【0171】
免疫組織化学分析: 標本をパラフィン包埋し、組織切片(4μm)を脱ろうし、再水和し、3%BSAでブロックし、抗原回収にかけた。洗浄後、切片を、CSPG4に対する抗体9.2.27(1:1000)と共に、4℃で一晩インキュベートした。マウスIgG(カタログ番号A7028、Beyotime、Shanghai、China)を、陰性対照として使用した。結合した抗体を、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体(Beyotime、カタログ番号A0216、China)を使用して検出し、DAB (DAB-2031、Maixin Biotech. Co.、Fuzhou、China)によって可視化した後、ヘマトキシリン(CTS-1090、Maixin Biotech. Co.、Fuzhou、China)で対抗染色した。結果は、盲検様式で2人の病理学者によって顕微鏡下で評価された。
【0172】
統計分析: 全ての統計分析を、別途指摘しない限り、Graphpad PRISM 6 (Graphpad Software、San Diego、CA)を用いて実施した。別途指摘しない限り、データは平均±s.e.m.としてグラフ化される。2つの独立試料の比較を、Welchの補正を用いる両側Studentのt検定を使用して行った。異種移植モデル内の経時的な全身腫瘍組織量の差異を、Sidakの多重比較検定を用いる通常の二元配置分散分析によって分析した。p<0.05の値を、統計的に有意と考えた。腫瘍標本において低い及び高いCSPG4発現を示す患者に関する全生存期間及び無病生存期間曲線を、Kaplan-Meier法を使用して分析し、ログランク検定(SPSS 15.0ソフトウェア、Chicago、IL、USA)を使用して比較した。単変量及び多変量解析を、ベースライン特性について調整した後、Coxの回帰モデルを使用して実施した。p<0.05を、統計的に有意と考えた。
【0173】
[実施例2]
CSPG4は卵巣がん患者における生存不良のタンパク質バイオマーカーである
126人の卵巣がん患者のコホートにおいて免疫組織化学(IHC)によってCSPG4タンパク質発現を評価した(
図2)。CSPG4染色強度及び腫瘍細胞陽性画分を、患者IDに関して知らされていない病理学者によってスコア化した。CSPG4タンパク質発現は、良性(12.5%、2/16)又は正常卵巣組織(11.54%、3/26)と比較して卵巣がん(39.68%、50/126)において有意に高い(X
2=11.04、P=0.004)(表3)。
【0174】
【0175】
CSPG4は、腫瘍関連間質と接触した腫瘍細胞中で均一なパターンで検出されたが、CSPG4の陽性は、間質から遠い領域においてより不均一であった(
図2A)。CSPG4タンパク質発現が低い患者は、CSPG4発現が高い患者と比較して、有意により長い無増悪生存期間(Kaplan-Meier PFS: 22.615±1.754対16.559±1.940、X
2=4.316、P=0.038)及び改善された全生存期間(Kaplan-Meier OS: 31.027±1.353対24.046±2.177、X
2=7.366、P=0.007)を有する(
図2B、2C)。CSPG4の上昇と関連する予後不良は、患者の年齢、腫瘍サブタイプ(1又は2)、臨床ステージ(I/II対III/IV)、分化度、大網若しくはリンパ行性転移の存在又は複数の体積とは無関係であった(表4を参照されたい)。ハザード比分析により、高いCSPG4レベルが、単変量解析(HR = 2.33; 95% CI 1.230~4.427; p=0.009)と多変量解析(HR= 2.54; 95% CI 1.255~5.140; p= 0.010)との両方において低い全生存期間の独立した指標であることが示された(表5を参照されたい)。
【0176】
【0177】
[実施例3]
CSPG4はEOC腫瘍拡大、浸潤、シスプラチン耐性を促進する
CSPG4発現がin vivoで腫瘍増殖を促進するかどうかを決定するために、IP異種移植注射モデルを使用した。マウスに、2x10
5個のモックトランスフェクトされた、又はCSPG4ノックアウトA2780細胞を注射した。生物発光によってモニタリングされた腫瘍増殖は、CSPG4ノックアウト細胞を受けているマウスにおいて有意に低下した(
図3A、3B)。注射の27日後までに、CSPG4発現は、CSPG4ノックアウト対応物と比較してほぼ1桁分、増殖のアドバンテージを促進した(
図3A、3B)。
【0178】
EOC細胞中でのCSPG4発現の機能的有意性を、悪性表現型の複数のin vitroでの相関分析を使用して探索した。共焦点分析、フローサイトメトリー及びウェスタンブロットによってスクリーニングされた11種の細胞系のうち、高レベルのCSPG4発現を有する3つの卵巣細胞系を選択した。
図4A~4Cを参照されたい。選択された卵巣がん細胞系(ES-2、HEY、A2780)は、EOCの異なるサブタイプを担持する患者を起源としていた。Domckeら、Nat Commun. 4、2126 (2013)を参照されたい。CRISPR/Cas9を使用してこれらの細胞系のそれぞれにおいてCSPG4遺伝子座全体を欠失させ、PCR、ウェスタンブロット、及びフローサイトメトリーを使用してノックアウト効率を検証した(
図4A~Cを参照されたい)。
【0179】
標準的なマトリゲル浸潤アッセイを使用して、CSPG4発現の喪失が3つ全ての細胞系の浸潤表現型を有意に減少させることが決定された(
図5A~D)。重要なことに、浸潤表現型は、ES-2 CRISPR(CSPG4欠失)細胞中でのCSPG4の再発現によってレスキューされ得る(
図5C、D)。
【0180】
白金に基づく療法はEOCを有する患者のための第1選択のアジュバント療法として広く用いられているが、耐性疾患による再発は全生存期間を減少させる一般的な合併症である。CSPG4発現がEOCにおけるシスプラチン耐性に影響するかどうかを精査するために、MTSアッセイを使用して細胞系中でシスプラチン感受性を評価した。CSPG4の喪失は、ノックアウト細胞系に関するIC50の3.6~8.8倍の低下によって示されたように、3つ全部の細胞系におけるシスプラチン感受性の増加をもたらした(
図5E~G)。浸潤表現型について観察されたように、編集された細胞中でのCSPG4の再発現は、シスプラチン感受性の反転をもたらした(
図5G、紫色の曲線)。
【0181】
[実施例4]
CSPG4発現は細胞接着を増強し、スフェロイド形成及びFAK活性化を促進する
ES-2対照及びCSPG4ノックアウト細胞系における示差的に発現される遺伝子のセットの遺伝子オントロジー(GO)タームエンリッチメント分析は、細胞接着の調節、関連するシグナル伝達経路及び細胞外マトリックスコラーゲン/組織化と関連するGOタームに関する有意な富化(調整されたp値<0.005)を同定する(
図6)。これらの関連は、CSPG4を、インテグリンの活性化及び焦点接着キナーゼ活性化などの下流のインテグリンにより刺激される経路の活性化と機能的に関連付ける以前の研究を支持する。腫瘍細胞接着の増加は、いくつかの異なるが、重複する経路における悪性進行に影響し得る。それは、固定非依存性の増大を促進し得る、及び/又は腹腔内の細胞凝集体(スフェロイド)の形成を増強し得る。固定非依存性表現型を獲得した個々の細胞を起源とするこれらのスフェロイドは、中皮内膜表面に接着し、中皮下組織に浸潤することによって転移を形成する。
【0182】
予想通り、EOC細胞中でのCSPG4発現の喪失は、アガロース中での固定非依存性増殖及びメチルセルロース中で培養された細胞によるスフェロイド形成を阻害した(
図7A、B及びC)。GOタームエンリッチメント分析と一致して、CSPG4発現はFAKの活性化を促進し、これはCSPG4遺伝子欠失対応物において完全に阻害された(
図7D)。遺伝子編集された細胞のCSPG4レスキューは、遺伝子編集された細胞中でのFAK活性化の回復をもたらした(
図7E)。CSPG4喪失はスフェロイド形成を阻害したが、CSPG4ヌルスフェロイド中での細胞生存に対する有意な影響はなく(
図7F)、これは、CSPG4発現を阻害する主な影響はスフェロイド内での細胞増殖に対するものであることを示している。これらのデータは、細胞接着依存的経路のCSPG4媒介性活性化が、EOCにおける浸潤及びスフェロイド形成を刺激することによって転移を増強し得ることを示唆する。
【0183】
[実施例5]
CSPG4発現は卵巣がん細胞中での間葉移行と関連する
これらのRNAseqデータの遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)により、CSPG4の欠失が、Molecular Signatures Database v 7.1 (gsea-msigdb.org/gsea/msigdb/index.jsp)に由来するホールマーク上皮間葉移行遺伝子内でのいくつかの遺伝子の示差的発現に影響することが示された(
図8A)。卵巣がんTCGAに由来する遺伝子発現データの大きいアレイの分析もまた、高いCSPG4発現がEMTシグナチャーと関連し、本発明者らは、高いCSPG4がEOC腫瘍においてより多くの間葉表現型の前兆となるとの結論を導く(
図8B)。
【0184】
これをさらに探索するために、CSPG4発現の影響を、3つのEOC細胞系におけるいくつかの間葉/上皮マーカーに関して評価した(
図9A)。CSPG4発現のCRISPR/Cas9により誘導される喪失は、上皮バイオマーカー、クローディン-1の発現の増加を促進しながら、ビメンチン及び間葉転写因子SNAI2、ZEB1を含む、複数の間葉バイオマーカーの発現を低下させた(
図9A)。ZEB1発現はEOC患者における間葉表現型の発達及び転帰不良と以前に関連していたため、CSPG4レベルとZEB1レベルとの関係に焦点を当てた。RNAiを使用したZEB1発現の阻害(
図9B)は、CSPG4レベルに対する阻害的影響を有していなかったが、これは、ZEB1発現がCSPG4の下流であることを示唆している。さらに、ZEB1発現はFAK活性化の低分子阻害剤、PND-1186によって阻害されるため、CSPG4により刺激されるZEB1発現は、FAK活性化によって媒介される(
図9C)。ZEB1の阻害は、スフェロイドの形成(
図9D)と浸潤(
図9E)の両方を制限し、これは、スフェロイド形成が間葉移行と関連することを示す研究と一致している。しかしながら、ZEB1発現の制限は、シスプラチン感受性に対する検出可能な影響を有しなかったが(
図9F及び9G)、これは、CSPG4の一部の腫瘍形成促進効果がZEB1転写活性化とは無関係であることを示している。複数の卵巣がん患者データセットの集約生存分析は、CSPG4とZEB1との両方の転写発現の上昇が、個別に、又は組み合わせて、5年での全生存期間の減少と有意に関連していることを示し(
図9H~J)、これは、両バイオマーカーが協力して機能して、再発及び再燃を促進し得るとの結論を支持する。
【0185】
[実施例6]
抗CSPG4抗体は、CSPG4により活性化されるFAK-ZEB1経路を阻害することによってEOC浸潤及びスフェロイド形成を減少させる
CSPG4コアタンパク質の細胞外部分の複数の構造的/機能的ドメインが同定されているが、これらの部位の多く(例えば、コラーゲン及び増殖因子結合部位、硫酸コンドロイチン付着部位、ラミニンGドメイン)はコアタンパク質の膜遠位領域にマッピングされる。例えば、Priceら、Pigment Cell Melanoma Res. 24(6):1148-57 (2011); Tamburiniら、FASEB J. 33(3):3112-28 (2019)を参照されたい。対照的に、膜近位であるコアタンパク質中のドメインの潜在的な機能的重要性についてはあまり知られていない。EOC細胞上のCSPG4中のこの膜近傍タンパク質領域(DE)の重要性を調べるために、この領域を含有するCSPG4コアタンパク質の組換え断片(Q1538~N2221、
図1Aを参照されたい)を、真核発現系から精製し、マウスモノクローナル抗体の産生において使用した。細胞表面上のCSPG4を特異的に認識する抗体クローン(7H5A2)が同定された(
図1B及び1Cを参照されたい)。抗体は、CSPG4機能と拮抗し、CSPG4欠失と同様、3つ全ての細胞系においてFAK及びZEB1発現の活性化を阻害した(
図10A)。抗体はまた、抗CSPG4抗体763.74よりも大きい程度でEOC浸潤を有意に阻害した(
図10B)(例えば、Luoら、J Immunol 2006; 176:6046-54を参照されたい)。抗体763.74は、他の腫瘍型のCSPG4媒介性浸潤に影響することが以前に示されたが、7H5A2とは対照的に、それはコアタンパク質上の異なる膜遠位エピトープを認識する。7H5A2抗体はまた、CSPG4を発現するモックトランスフェクトされたEOC細胞のスフェロイド形成及びEOC細胞生存を有意に阻害した(
図10C)。遺伝子編集するCSPG4発現もスフェロイド形成を阻害したが、CRISPR/Cas9編集された細胞はメチルセルロース培養の結論時に大まかに生存したままであった(
図7E)。これは、7H5A2抗体が、CSPG4刺激された腫瘍細胞増殖に対するその影響とは独立にさらなる細胞傷害機構を有することを示している。
【0186】
[実施例7]
CSPGコアタンパク質のD3ドメインに対して生成された抗CSPG4抗体は、EOC細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を刺激する
さらなる抗CSPG4抗体、8G5A5が、実施例6に記載の方法を使用して同定された。野生型CD16a又はNK細胞活性化後のタンパク質分解的切断に抵抗することによってADCCを増強する突然変異した高活性型CD16a/S197Pを発現するNK細胞を使用して、予備スクリーニングを行った。HEYモック及びCRISPR細胞を、示された抗CSPG4モノクローナル抗体又は正常マウスIgG1(nmIgG1)で処理した。示されたNK92細胞系を、1:1のエフェクター:標的比で添加し、製造業者のプロトコールに従ってDELFIA EuTDA細胞傷害アッセイを使用して4時間でADCCを決定した。結果は、抗体8G5A6が、野生型CD16a又はCD16a/S197Pを発現するNK細胞によって媒介されるCSPG4陽性EOC細胞の特異的ADCCを媒介し得ることを示している(
図11A)。実験を繰り返し、結果を
図11Bに示す。また、実験を、臨床的には女性において最も一般的な高グレード漿液性卵巣がんのモデルである、OVCAR8卵巣がん細胞を用いて実施した(
図11C)。再度、抗体8G5A6は、CSPG4陽性細胞の特定のADCCを媒介することができた。
【0187】
まとめると、このEOC患者コホートに由来するIHCデータは、腫瘍内の高レベルのCSPG4が低い全生存期間に関する独立した危険因子であることを実証している。CSPG4発現は、in vivoで腫瘍拡大を促進し、in vitroで腫瘍細胞浸潤、シスプラチン耐性及びスフェロイド形成を促進する。CSPG4は、それ自体では直接的にシグナル伝達しないが、複数の刺激された腫瘍形成経路の強度及び持続期間を増強する共受容体/形質膜足場として機能する。本発明者らは、黒色腫細胞において間葉系トランスクリプトームへのシフトを引き起こし、その腫瘍形成能力を促進するErkのCSPG4媒介性長期活性化について示したため、シグナル伝達活性化のより長い持続期間は、トランスクリプトームに影響する核変化をもたらし得る。かくして、EOC細胞のサブ集団におけるCSPG4レベルの局所的上昇は、増殖、生存及び/又は浸潤能力の増加をもたらす腫瘍形成シグナル伝達を増強した腫瘍細胞サブ集団を持続させ得る。これは、CSPG4発現を、CRISPR/Cas9が欠失した対応物と比較して有意に増強された腫瘍拡大と関連付ける、in vivoでの腫瘍増殖データと一致している。また、EOC腫瘍における高いCSPG4発現レベルは患者の生存に負に影響するが、これらの腫瘍における染色パターンが不均一であることに留意することも重要である。CSPG4発現は、低酸素状態の微小環境変化又はTNFαなどの炎症メディエーターによって刺激されるため、不均一なCSPG4発現は、拡大中の腫瘍においてこれらの、又はさらなる微小環境因子と関連し得る。
【0188】
CSPG4発現の1つの結果は、それが、スフェロイド形成及び大網などの他の器官へのその後の腹腔内転移と関連する、EOC細胞の表現型における間葉シフトを刺激するということである。より全体的には、TCGA遺伝子発現データは、CSPG4レベルの上昇が、EMTシグナチャーと関連し、複数のEOC細胞系に由来する本データが、CSPG4を、EOC及び他の腫瘍における間葉転写因子であるZEB1の発現と関連付けることを示している。転写調節因子として、ZEB1は複数の上皮遺伝子の発現を抑制するが、それは浸潤性の間葉表現型と関連する遺伝子の発現を刺激する。TCGA分析はCSPG4とZEB1との同時発現が低い全生存期間と関連することを示すため、この2つは、スフェロイド形成及び浸潤に対するその影響によって証明される通り、協力して機能して、転移を促進し得る。さらに、CSPG4を発現する腫瘍細胞は、シスプラチンに対してもより耐性であり、これは、CSPG4を発現する腫瘍細胞が、初期の標準処置後に再燃を促進する治療抵抗性腫瘍細胞リザーバーを形成し得ることを示唆している。
【0189】
CSPG4は、FAKを活性化し、ZEB1発現を増強することによって、スフェロイド形成及び浸潤を促進する。これは、FAK活性化をZEB1発現と関連付けた他の細胞モデル系(FAKヌル動物から単離された線維芽細胞を含む)に由来するデータと一致している。本明細書に記載されるように、FAK活性化の明確に特徴付けられた阻害剤はZEB1発現を制限し、本明細書に記載される抗CSPG4特異的抗体は、FAK活性化、ZEB1発現及び腫瘍細胞浸潤/スフェロイド形成を阻害する。これらのデータは、腫瘍細胞中でのCSPG4機能を、機能的に活性化するβ1インテグリン及びFAKと関連付ける報告と一致している。かくして、これらのデータは、微小環境の成分(特定のECM成分又は種々の増殖因子)と相互作用する細胞表面CSPG4がEOC細胞の間葉移行を増強し得るモデルを支持する。
【0190】
しかしながら、CSPG4発現の制限は、白金のIC50の有意な低下を引き起こすが、ZEB1発現の特異的な阻害は、これらの値に対する影響を有しない。これにより、本発明者らは、CSPG4がZEB1非依存性機構によってシスプラチン感受性を増強するとの結論を導く。多機能膜貫通シグナル伝達節として、CSPG4は、複数の細胞外刺激(例えば、TGFβ、FGF、HGF)による活性化を変化させるように機能し、細胞状況に応じて、それは腫瘍細胞中で複数の腫瘍形成経路(例えば、FAK、MAPK、PI3K、NF-κB)を活性化することができる。標準治療におけるシスプラチン感受性の低下はEOC腫瘍細胞の耐性クローンの生存に影響し得るため、CSPG4がこの治療に対する応答を変化させる機構をさらに定義することが重要である。1つの手法は、いくつかの明確に定義されたCSPG4構造突然変異体を使用してCSPG4ヌル細胞をレスキューして、シスプラチン感受性の喪失を反転させることができないドメインを同定することである。この手法は、ZEB1発現の調節と一致するか、又はそれとは無関係である機構によってシスプラチン感受性を制限するCSPG4ドメインを同定することによって、標的化の増強をもたらし得る。
【0191】
本データは、CSPG4が、本明細書に記載のように、シスプラチンに対する腫瘍細胞の感受性を直接低下させ得ることを示しているが、腫瘍組織のより大きい文脈では、CSPG4は、環境媒介性薬物耐性(EMDR)と関連する細胞接着関連機構に寄与することによって、EOC患者の転帰不良にも影響し得る。EMDRの基礎となる概念は、最初は治療に抵抗する、接着性腫瘍細胞サブ集団が、標準治療後の治療抵抗性再燃の原因となるさらなる突然変異を受け得る耐性細胞のリザーバーを形成し得るということである。これは、治療抵抗性がんを開始させる幹細胞が治療の失敗の原因となるという仮説と類似するが、それとは異なるものである。いくつかの細胞接着関連機構(例えば、インテグリン及び増殖因子/サイトカイン媒介性経路によって調節される)は、がんを開始させる幹細胞を調節するトランスクリプトームプロファイルの非存在下で生存を促進するように機能し得る。TGF-βなどの因子により誘導される、EOCにおける間葉シフトは、転移及び低い全生存期間と相関するコラーゲン再モデリング線維性遺伝子シグナチャーと関連する。間葉EOCと関連する線維性シグナチャーは、CSPG4の主なECMリガンドであるVI型コラーゲンの上昇及びEOC患者の生存の低下と関連する腫瘍実質中でのVI型コラーゲンの上昇を含む。これらの研究は、VI型コラーゲンでコーティングされた表面上に接着するEOC細胞がin vitroでシスプラチンに対する耐性の増大を示すことを実証した。潜在的な臨床的影響は、局在化されたCSPG4/ECM相互作用が、標準治療の外科的病巣除去後に検出を逃れ得る深く埋め込まれたEOC集団からなる治療抵抗性接着「ニッチ」の形成を引き起こし得るということである。
【0192】
CSPG4コアタンパク質の膜近傍領域に結合する抗体を用いたCSPG4の標的化は、スフェロイドにおける、ZEB1発現を効果的にに阻害し、CSPG4媒介性浸潤を制限し、EOC細胞のアポトーシスを促進する。かくして、CSPG4のこの領域の標的化を使用して、EOCを有する患者における転移を制限し、かくして、患者の転帰を改善することができる。
【0193】
[実施例8]
例示的な抗CSPG4抗体
本実施例は、7H5A2(マウス)抗体の重鎖及び軽鎖(カッパ)可変ドメインのアミノ酸配列を示す。CDRは可変ドメイン内で太字かつ下線付きの文字で示される。それぞれのCDR及びフレームワーク領域の配列、並びに重鎖及び軽鎖のそれぞれをコードするヌクレオチド配列も提供される。
【0194】
【0195】
[実施例9]
例示的な抗CSPG4抗体
本実施例は、8G5A6(マウス)抗体の重鎖及び軽鎖(カッパ)のアミノ酸配列を示す。CDRは可変ドメイン内で太字かつ下線付きの文字で示される。それぞれのCDR及びフレームワーク領域の配列、並びに重鎖及び軽鎖のそれぞれをコードするヌクレオチド配列も提供される。
【0196】
【0197】
[実施例10]
CSPG4 TriKE及びがん
本実施例は、CSPG4 TriKEが、CSPG4陽性がん細胞のNK媒介性殺滅を誘導することを示す。
【0198】
方法
末梢血単核細胞ドナー及びナチュラルキラー細胞の富化
新鮮な全血を、正常なボランティアから取得した。末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配培地Lymphoprep(商標)(STEMCELL Technologies、Cambridge、MA、USA)を用いる密度勾配遠心分離を使用して単離した。製造業者の推奨に従って、ナチュラルキラー(NK)細胞を、EasySep(商標)Human NK Cell Enrichmentキット(STEMCELL Technologies、Cambridge、MA、USA)を使用してCD3及びCD19陽性細胞を磁気的に枯渇させることによって富化した。
【0199】
腫瘍スフェロイド殺滅アッセイ
腫瘍スフェロイド殺滅アッセイを、IncuCyte SX5-Live Cell Analysisプラットフォームを使用してリアルタイムで評価した。20,000個のGFP発現卵巣がん標的細胞(OVCAR-8又はSKOV3)を、丸底超低接着96ウェルプレート(Corning、UK)のウェルに播種し、2日間、スフェロイドを形成させた。新鮮なPBMCから磁気的に富化された40,000個のNK細胞を、30nMのCSPG4 TriKE(8G5A6若しくは7H5A2)又は3nMのIL-15と共に、又はそれを用いずに3回反復ウェルに添加し、プレートを、IncuCyte SX5内で、37℃/5%CO2にて4日間インキュベートした。各条件につき3回技術的反復ウェルに由来する画像を、10倍の対物レンズを使用して96時間にわたって2時間毎に撮影した後、IncuCyte(商標)Basic Software v2018A (Sartorious)を使用して分析した。グラフ化された読み出し値は、各時点での未処理のスフェロイド対照ウェルに正規化された、標的スフェロイド緑色蛍光強度を表した。
【0200】
細胞系
卵巣がん細胞系OVCAR-8、SKOV3、OVCAR-3、A2780、MA-148、及びOVCAR-5を、DMEM培地(Mediatech、カタログ番号10-013-cv)中で培養した。HEY細胞を、RPMI1640培地(Gibco、カタログ番号11875-093)中で培養した。全ての培養培地に、37℃/5%CO2で10%ウシ胎仔血清(Atlanta Biologicals、カタログ番号SS11150H、ロット番号H1810S)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号15140-122)を添加した。
【0201】
細胞溶解及びウェスタンブロット
示された卵巣がん細胞系を、通常の増殖培地中で48時間にわたって6ウェルプレート(1.0x105)中で培養した。細胞を、細胞溶解緩衝剤(Cell Signaling、Danvers、MA)中で溶解し、20μgのタンパク質/試料を、4%/7.5%SDS-PAGE上で分画し、標準的な技術を使用するウェスタンブロット分析のためにPVDF膜に移した。膜を、抗CSPG4抗体9.2.27(Millipore)及び抗aチューブリン抗体(Millipore)及び適切なHEPコンジュゲート化二次試薬を用いて精査した。Pierce ECLウェスタンブロッティング基質(Thermo Fisher Scientific)と共にインキュベートすることによって、バンドを可視化した。
【0202】
結果
CSPG4発現を、ヒト卵巣がん細胞系中で決定し(
図12)、CSPG4陽性及びCSPG4陰性細胞を、NK細胞のみ、IL-15、又はCSPG4 TriKE(CSPG4 TriKE 8G5A6又はCSPG4 TriKE 7H5A2)で活性化したNK細胞で処理した。NK細胞のみ、又はIL-15のみで活性化したNK細胞と比較して(
図13A)、抗CSPG4モノクローナル抗体7H5A2又は8G5A6に基づくTriKEは、CSPG4を発現するヒト卵巣癌細胞(OVCAR-8)からなるスフェロイドの特異的NK細胞媒介性殺滅を促進した。対照的に、これらのTriKEは、IL-15と共に培養したNK細胞によって観察されたものと比較して、CSPG4陰性卵巣癌細胞の殺滅の促進において効果的ではなかった(
図13B)。
【0203】
これらの結果は、CSPG4 TRiKEがCSPG4を発現する卵巣がんを特異的に標的化することができることを示している。
【0204】
[実施例11]
例示的実施形態
実施形態1.(i)配列番号1(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号1)、配列番号2(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号2)及び配列番号3(又は1個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号9(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号9)、配列番号10(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号10)及び配列番号11(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号11)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域;或いは
(ii)配列番号17(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号17)、配列番号18(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号18)及び配列番号19(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号19)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号25(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号25)、配列番号26(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号26)及び配列番号27(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域
を含む抗体。
【0205】
実施形態2.ヒトCSPG4ポリぺプチド(配列番号33)に結合する能力を有する、実施形態1の抗体。
【0206】
実施形態3. 前記(i)の前記重鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態1~2のいずれか1つの抗体。
【0207】
実施形態4. 前記重鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態3の抗体。
【0208】
実施形態5. 前記(i)の前記軽鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態1~2のいずれか1つの抗体。
【0209】
実施形態6. 前記軽鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態5の抗体。
【0210】
実施形態7. 前記(ii)の前記重鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態1~2のいずれか1つの抗体。
【0211】
実施形態8. 前記重鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態7の抗体。
【0212】
実施形態9. 前記(ii)の前記軽鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態1~2のいずれか1つの抗体。
【0213】
実施形態10. 前記軽鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9の抗体。
【0214】
実施形態11. (i)配列番号1(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号1)、配列番号2(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号2)及び配列番号3(又は1個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号9(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号9)、配列番号10(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号10)及び配列番号11(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号11)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域;或いは
(ii)配列番号17(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号17)、配列番号18(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号18)及び配列番号19(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号19)に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン又は領域、並びに配列番号25(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号25)、配列番号26(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号26)及び配列番号27(又は1個、2個若しくは3個のアミノ酸の付加、欠失若しくは置換を有する配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン又は領域
を含む抗原結合性断片。
【0215】
実施形態12. 配列番号33又は配列番号34に結合する能力を含む、実施形態11の抗原結合性断片。
【0216】
実施形態13. 前記(i)の前記重鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態11~12のいずれか1つの抗原結合性断片。
【0217】
実施形態14. 前記重鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態13の抗原結合性断片。
【0218】
実施形態15. 前記(i)の前記軽鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態11~12のいずれか1つの抗原結合性断片。
【0219】
実施形態16. 前記軽鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態15の抗原結合性断片。
【0220】
実施形態17. 前記(ii)の前記重鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態11~12のいずれか1つの抗原結合性断片。
【0221】
実施形態18. 前記重鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態17の抗原結合性断片。
【0222】
実施形態19. 前記(ii)の前記軽鎖可変ドメイン又は領域を含む、実施形態11~12のいずれか1つの抗原結合性断片。
【0223】
実施形態20. 前記軽鎖可変ドメイン又は領域が、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態19の抗原結合性断片。
【0224】
実施形態21. モノクローナル抗体である、実施形態1~10のいずれか1つの抗体。
【0225】
実施形態22. scFv抗体である、実施形態1~10及び21のいずれか1つの抗体。
【0226】
実施形態23. モノクローナルである、実施形態11~20のいずれか1つの抗原結合性断片。
【0227】
実施形態24. Fabである、実施形態11~20及び23のいずれか1つの抗原結合性断片。
【0228】
実施形態25. 抗原結合性ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン及び1つ以上のシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体であって、前記抗原結合性ドメインが請求項1~24のいずれか1つの抗体又は抗原結合性断片を含む、キメラ抗原受容体。
【0229】
実施形態26.前記抗原結合性ドメインが、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するscFvを含む、実施形態25のキメラ抗原受容体。
【0230】
実施形態27. 実施形態25~26のいずれか1つのキメラ抗原受容体を含む細胞。
【0231】
実施形態28. T細胞、幹細胞又はNK細胞である、実施形態27の細胞。
【0232】
実施形態29.第1の抗原結合性ドメイン、リンカー及び第2の抗原結合性ドメインを含む細胞エンゲージャーであって、前記第1の抗原結合性ドメインが実施形態1~24のいずれか1つの抗体又は抗原結合性断片を含む、細胞エンゲージャー。
【0233】
実施形態30.前記第1の抗原結合性ドメインが、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するscFvを含む、実施形態29の細胞エンゲージャー。
【0234】
実施形態31.前記第1の抗原結合性ドメインが、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するIgGである、実施形態29の細胞エンゲージャー。
【0235】
実施形態32.前記第2の抗原結合性ドメインがT細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する、実施形態29~31のいずれか1つの細胞エンゲージャー。
【0236】
実施形態33.T細胞の表面に発現される前記ポリペプチドがCD3ポリペプチドである、実施形態32の細胞エンゲージャー。
【0237】
実施形態34.前記第2の抗原結合性ドメインが、NK細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する、実施形態29~31のいずれか1つの細胞エンゲージャー。
【0238】
実施形態35.NK細胞の表面に発現される前記ポリペプチドが、CD16aポリペプチドである、実施形態34の細胞エンゲージャー。
【0239】
実施形態36.第3の抗原結合性ドメインを含む、実施形態29~35のいずれか1つの細胞エンゲージャー。
【0240】
実施形態37.前記第3の抗原結合性ドメインが、NK細胞の表面に発現されるポリペプチドに結合する、実施形態36の細胞エンゲージャー。
【0241】
実施形態38.NK細胞の表面に発現される前記ポリペプチドが、CD16aポリペプチドである、実施形態37の細胞エンゲージャー。
【0242】
実施形態39.実施形態1~24のいずれか1つの抗体又は抗原結合性断片の少なくとも一部をコードする核酸配列を含む核酸。
【0243】
実施形態40.前記核酸配列が、実施形態1の前記(i)~(ii)のいずれか1つの前記重鎖可変ドメイン又は領域をコードする、実施形態39の核酸。
【0244】
実施形態41.前記核酸配列が、実施形態1の前記(i)~(ii)のいずれか1つの前記軽鎖可変ドメイン又は領域をコードする、実施形態39~40のいずれか1つの核酸。
【0245】
実施形態42.ウイルスベクターである、実施形態39~41のいずれか1つの核酸。
【0246】
実施形態43.ファージミドである、実施形態39~41のいずれか1つの核酸。
【0247】
実施形態44.実施形態25~26のいずれか1つのキメラ抗原受容体又は実施形態29~38のいずれか1つの細胞エンゲージャーをコードする核酸配列を含む核酸。
【0248】
実施形態45.ウイルスベクターである、実施形態44の核酸。
【0249】
実施形態46.ファージミドである、実施形態44の核酸。
【0250】
実施形態47.実施形態39~46のいずれか1つの核酸を含む宿主細胞。
【0251】
実施形態48.実施形態25~26のいずれか1つのキメラ抗原受容体又は実施形態29~38のいずれか1つの細胞エンゲージャーを発現する宿主細胞。
【0252】
実施形態49.T細胞、幹細胞又はNK細胞である、実施形態47~48のいずれか1つの宿主細胞。
【0253】
実施形態50.薬物に共有結合で連結した抗原結合性ドメインを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、前記抗原結合性ドメインが実施形態1~24のいずれか1つの抗体又は抗原結合性断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【0254】
実施形態51.前記抗原結合性ドメインが、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するscFvを含む、実施形態50のADC。
【0255】
実施形態52.前記抗原結合性ドメインが、CSPG4ポリペプチドに結合する能力を有するIgGである、実施形態50のADC。
【0256】
実施形態53.前記薬物が、カリケアマイシン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、エムタンシン(DM1)、及びエキサテカン誘導体(Dxd)からなる群から選択される、実施形態50~52のいずれか1つのADC。
【0257】
実施形態54.実施形態1~24のいずれか1つの抗体又は抗原結合性断片を含む組成物。
【0258】
実施形態55.実施形態1~10、21及び22のいずれか1つの抗体を含む、請求項54の組成物。
【0259】
実施形態56.実施形態11~20、23及び24のいずれか1つの前記抗原結合性断片を含む、請求項54の組成物。
【0260】
実施形態57.実施形態29~38のいずれか1つの細胞エンゲージャーを含む組成物。
【0261】
実施形態58.実施形態27、28及び47~49のいずれか1つの細胞を含む組成物。
【0262】
実施形態59.実施形態50~53のいずれか1つのADCを含む組成物。
【0263】
実施形態60.チェックポイント阻害剤を含む、実施形態54~59のいずれか1つの組成物。
【0264】
実施形態61.前記チェックポイント阻害剤が、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、INCMGA00012、AMP-224、AMP-514、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189及びイピリムマブからなる群から選択される、実施形態60の組成物。
【0265】
実施形態62.がんを有する哺乳動物を処置する方法であって、前記哺乳動物に実施形態54~61のいずれか1つの組成物を投与するステップを含む方法。
【0266】
実施形態63.前記哺乳動物がヒトである、実施形態62の方法。
【0267】
実施形態64.前記がんがCSPG4+がんである、実施形態62又は実施形態63の方法。
【0268】
実施形態65.前記CSPG4+がんが、CSPG4+卵巣がんである、実施形態71の方法。
【0269】
実施形態66.前記哺乳動物内のがん細胞の数が、前記投与するステップ後に低下する、実施形態62~65のいずれか1つの方法。
【0270】
実施形態67.結合分子をCSPG4ポリペプチドに結合させるための方法であって、前記CSPG4ポリペプチドを実施形態1~24のいずれか1つの抗体又は抗原結合性断片と接触させるステップを含む方法。
【0271】
実施形態68.前記接触させるステップが、in vitroで実施される、実施形態67の方法。
【0272】
実施形態69.前記接触させるステップが、in vivoで実施される、実施形態67の方法。
【0273】
実施形態70.前記接触させるステップが、前記抗体又は前記抗原結合性断片を哺乳動物に投与することによって前記哺乳動物内で実施される、実施形態67の方法。
【0274】
実施形態71.前記哺乳動物がヒトである、実施形態70の方法。
【0275】
実施形態72.結合分子をCSPG4ポリペプチドに結合させるための方法であって、前記CSPG4ポリペプチドを実施形態25~26のいずれか1つのキメラ抗原受容体、実施形態29~38のいずれか1つの細胞エンゲージャー又は実施形態50~53のいずれか1つのADCと接触させるステップを含む方法。
【0276】
実施形態73.前記接触させるステップが、in vitroで実施される、実施形態72の方法。
【0277】
実施形態74.前記接触させるステップが、in vivoで実施される、実施形態72の方法。
【0278】
実施形態75.前記接触させるステップが、前記キメラ抗原受容体、前記細胞エンゲージャー又は前記ADCを哺乳動物に投与することによって前記哺乳動物内で実施される、実施形態72の方法。
【0279】
実施形態76.前記哺乳動物がヒトである、実施形態75の方法。
【0280】
他の実施形態
本発明は、その詳細な記載と併せて記載されているが、前述の記載は例示を目的とし、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の範囲を限定しないことを理解されたい。他の態様、有利点及び改変は、続く特許請求の範囲の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】