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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】成形部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/26 20060101AFI20241210BHJP
   B21D 13/02 20060101ALI20241210BHJP
   B21D 17/02 20060101ALI20241210BHJP
   B21D 53/88 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
B21D22/26 C
B21D13/02
B21D17/02
B21D53/88 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534015
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2022019355
(87)【国際公開番号】W WO2023121042
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182840
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】オー、 キュン―ソク
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA05
4E137BA01
4E137BB01
4E137BC01
4E137CA09
4E137CA24
4E137DA04
4E137GA03
4E137GA15
4E137GB03
(57)【要約】
本発明は、母材を成形して第1上部フランジと上記第1上部フランジの左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第1ウェブ部材を含む第1成形品を成形する第1成形段階;及び上記第1成形品を圧縮させて第2上部フランジと第2上部フランジの左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第2ウェブ部材を含む第2成形品を成形する第2形成段階;を含み、幅方向の断面上で上記第1上部フランジの長さは上記第2上部フランジの長さよりも長く、上記第1ウェブ部材の長さは上記第2ウェブ部材の長さよりも長いことを特徴とする成形部品の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材を成形して、第1上部フランジと前記第1上部フランジの左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第1ウェブ部材を含む第1成形品を成形する第1成形段階と、
前記第1成形品を圧縮させて第2上部フランジと第2上部フランジの左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第2ウェブ部材を含む第2成形品を成形する第2成形段階と
を含み、
幅方向の断面上で前記第1上部フランジの長さは前記第2上部フランジの長さよりも長く、前記第1ウェブ部材の長さは前記第2ウェブ部材の長さよりも長い、成形部品の製造方法。
【請求項2】
幅方向の断面上で前記第1上部フランジの長さは、前記第2上部フランジの長さの105%以上120%以下であり、
幅方向の断面上で前記第1ウェブ部材の長さは、前記第2ウェブ部材の長さの105%以上120%以下である、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項3】
前記第2成形段階は、
前記第1上部フランジと前記第1ウェブ部材の間の第1境界地点と、前記第2上部フランジと前記第2ウェブ部材の間の第2境界地点が重なり合った状態で成形が開始される、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項4】
前記第2成形段階は、
前記第1境界地点と前記第2境界地点の重なり合った重なり部分の両面が金型により加圧された状態で成形が進行する、請求項3に記載の成形部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1成形品は、
前記第1上部フランジと前記第1ウェブ部材との間の第1境界地点の周辺が曲線区間である、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項6】
前記第1成形品は、
前記第1上部フランジと前記第1ウェブ部材との間の第1境界地点の周辺が直線区間である、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項7】
前記第2成形段階は、
前記第2ウェブ部材に前後方向に沿って突出面と内入面が交互に形成され、前記突出面と前記内入面との間には傾斜面によって連結される縦ビード部を形成する、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項8】
前記縦ビード部は、前記第2ウェブ部材に形成され、前記第2ウェブ部材が前記第2上部フランジから離れる方向に凸状に突出した外側突出部分に形成される、請求項7に記載の成形部品の製造方法。
【請求項9】
前記縦ビード部は、
前記第2ウェブ部材の前後方向に2~8個が離隔配置される、請求項7に記載の成形部品の製造方法。
【請求項10】
前記縦ビード部は、
前記内入面の前後方向の長さは、前記母材の厚さの5倍以上、前記母材の厚さの30倍以下の範囲を有する、請求項7に記載の成形部品の製造方法。
【請求項11】
前記縦ビード部は、
前記突出面の延長線と前記内入面の延長線との間の離隔距離は、前記母材の厚さの2倍以上、前記母材の厚さの10倍以下の範囲を有する、請求項7に記載の成形部品の製造方法。
【請求項12】
前記縦ビード部は、
前記突出面の前後方向の長さは、前記母材の厚さの5倍以上、前記母材の厚さの30倍以下の範囲を有する、請求項7に記載の成形部品の製造方法。
【請求項13】
前記縦ビード部は、
前記突出面と前記内入面との境界部分には弧状の肩部分が形成され、
前記肩部分の曲率半径は、前記母材の厚さの4倍以上10倍以下の範囲を有する、請求項7に記載の成形部品の製造方法。
【請求項14】
前記第2成形品は前後方向に延びて形成され、前記前後方向の位置に応じて前記第2成形品の上下方向及び左右方向の断面の位置が可変する、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項15】
前記第2成形品は、前記第2上部フランジが上下方向に80~200mmの範囲の第1位置可変区間を有し、
前記第2成形品は、前記第2上部フランジが左右方向に40~120mmの範囲の第2位置可変区間を有する、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項16】
前記母材の厚さは1.2~1.8mmの範囲を有する鋼板であり、前記母材は980MPa以上の引張強度を有する鋼材である、請求項1に記載の成形部品の製造方法。
【請求項17】
前記第1成形段階と前記第2成形段階において冷間成形方法が適用された、請求項1から16のいずれか一項に記載の成形部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述された内容は単に本発明に対する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではないことを明かす。
【0003】
自動車構造用部品は、高強度形状部材、高剛性部材、圧縮衝突部材、曲げ衝突部材などの様々な目的に応じて開発される。特に、多数の部品が付着し、複合的な衝突荷重を支持する部品は、単一部品内で互いに異なる衝突特性を同時に維持しなければならない。サイドメンバーを例として見ると、衝突時に荷重隣接領域は崩壊しながら衝突エネルギーを吸収しなければならず、荷重と離れた領域は衝突エネルギーを支持しなければならない。
【0004】
単一部品に互いに異なる衝突特性を付与するためには、部品を構成する領域ごとに断面が異なるように設計して、外部荷重に抵抗する断面モーメントが異なるようにし、衝突時にエネルギーを吸収する領域の表面に局部的な段差を付与して、逐次的な崩壊を誘導することを考慮することができる。
【0005】
互いに異なる衝突特性を同時に有する部品の製造方法としては、熱間プレス成形技術が代表的である。熱間プレス成形技術は、加熱設備が広い空間を占め、初期設備投資費用が高いという欠点があるにも関わらず、相対的に延性が高く、流れ応力が低い高温条件で成形をするため、冷間に対する成形性及び形状凍結性に優れ、多数の新車プラットフォームに適用されている。
【0006】
最近では、一度のプレス作業で2~4個の部品を同時に成形する技術を適用しながら原価削減を図っているが、原素材の高い価格は依然として車体原価を引き上げる原因となっている。このような理由から、グローバル自動車社及び部品社は、原価削減のために熱間プレス成形技術が適用された車体部品の一部を冷間プレス成形工法に置き換えようと試み続けている。
【0007】
グローバル鉄鋼社もこのような要求に対応して、引張強度1000MPa級の高強度(ギガスチール)を有しながら延性にも優れた鋼材と、このような鋼種に適した新成形技術を開発している。しかし、異種の衝突特性を有する部品は深さが深く、断面が変化し、上下左右に曲がるなど形状が非常に複雑であるため、相対的に延性が不足したギガスチールを冷間スタンピングで成形する場合、ネッキング、割れ(クラック)、しわ、形状凍結性などの問題が深刻な状況である。
【0008】
上記の問題のうち、形状凍結性は、成形後の部品が金型から離型されるとき、弾性回復により形状が変わるスプリングバックの問題であるが、スプリングバックの種類としてはパンチR部の広がり、壁部曲げ、断面歪みなどがある。このようなスプリングバックの大きさは強度が高いほど増加するが、ギガスチールの冷間スタンピングで作られた部品の適用拡大のためには、必ず解決すべき重要な問題である。スプリングバックは、厚さ方向の応力不均一と圧縮残留応力が主な原因として知られており、これを解消するための様々なソリューションの検討が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許第10-1995-0003541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、一側面として、形状補正が可能なレベルでスプリングバックが解消されて、形状凍結性に優れた成形部品の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための一側面として、本発明は母材を成形して第1上部フランジと、上記第1上部フランジの左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第1ウェブ部材を含む第1成形品を成形する第1成形段階;及び上記第1成形品を圧縮させて第2上部フランジと第2上部フランジの左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第2ウェブ部材を含む第2成形品を成形する第2成形段階;を含み、幅方向の断面上で上記第1上部フランジの長さは上記第2上部フランジの長さよりも長く、上記第1ウェブ部材の長さは上記第2ウェブ部材の長さよりも長いことを特徴とする成形部品の製造方法を提供する。
【0012】
幅方向の断面上で上記第1上部フランジの長さは上記第2上部フランジの長さの105%以上120%以下であり、幅方向の断面上で上記第1ウェブ部材の長さは上記第2ウェブ部材の長さの105%以上120%以下であり得る。
【0013】
上記第2成形段階は、上記第1上部フランジと上記第1ウェブ部材との間の第1境界地点と、上記第2上部フランジと上記第2ウェブ部材との間の第2境界地点が重なり合った状態で成形が開始され得る。
【0014】
上記第2成形段階は、上記第1境界地点と上記第2境界地点の重なり合った重なり部分の両面が金型によって加圧された状態で成形が進行することができる。
【0015】
上記第1成形品は、上記第1上部フランジと上記第1ウェブ部材との間の第1境界地点の周辺が曲線区間であることができる。
【0016】
上記第1成形品は、上記第1上部フランジと上記第1ウェブ部材との間の第1境界地点の周辺が直線区間であることができる。
【0017】
上記第2成形段階は、上記第2ウェブ部材に前後方向に沿って突出面と内入面が交互に形成され、上記突出面と上記内入面との間は傾斜面によって連結される縦ビード部を形成することができる。
【0018】
上記縦ビード部は、上記第2ウェブ部材に形成され、上記第2ウェブ部材が上記第2上部フランジから離れる方向に凸状に突出した外側突出部分に形成されることができる。
【0019】
上記縦ビード部は、上記第2ウェブ部材の前後方向に2~8個が離隔配置されることができる。
【0020】
上記縦ビード部は、上記内入面の前後方向の長さは上記母材の厚さの5倍以上、上記母材の厚さの30倍以下の範囲を有することができる。
【0021】
上記縦ビード部は、上記突出面の延長線と上記内入面の延長線との間の離隔距離は、上記母材の厚さの2倍以上、上記母材の厚さの10倍以下の範囲を有することができる。
【0022】
上記縦ビード部は、上記突出面の前後方向の長さは、上記母材の厚さの5倍以上、上記母材の厚さの30倍以下の範囲を有することができる。
【0023】
上記縦ビード部は、上記突出面と上記内入面との境界部分には弧状の肩部分が形成され、上記肩部分の曲率半径は上記母材の厚さの4倍以上10倍以下の範囲を有することができる。
【0024】
上記第2成形品は前後方向に延びて形成され、上記前後方向の位置に応じて上記第2成形品の上下方向及び左右方向の断面の位置が可変することができる。
【0025】
上記第2成形品は、上記第2上部フランジが上下方向に80~200mmの範囲の第1位置可変区間を有し、上記第2成形品は、上記第2上部フランジが左右方向に40~120mmの範囲の第2位置可変区間を有することができる。
【0026】
上記母材の厚さは1.2~1.8mmの範囲を有する鋼板であり、上記母材は980MPa以上の引張強度を有する鋼材であることができる。
【0027】
上記第1成形段階及び上記第2成形段階において冷間成形方法が適用されることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施例によると、形状補正が可能なレベルでスプリングバックが解消されて、形状凍結性に優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1a】第1成形段階の第1成形品は実線で示し、第2成形段階の第2成形品は点線で示した図面である。
図1b】第2成形段階の第2成形品は実線で示し、第1成形段階の第1成形品は破線で示した図面である。
図2a】本発明の第1成形品と対比される比較例の第1成形品を示した図面である。
図2b図2aの比較例と対比される本発明の一実施例による第1成形品を示した図面である。
図2c図2aの比較例と対比される本発明の他の一実施例による第1成形品を示した図面である。
図3a】本発明の一実施例による成形部品の製造方法によって製造された第2成形品の斜視図である。
図3b図3aのA-A’方向及びB-B’方向の断面図である。
図4a図3aのC-C’方向の断面図の一例である。
図4b図3aのC-C’方向の断面図の他の一例である。
図5a】第1成形段階を経ていない場合のスプリングバック状態を示した図面である。
図5b】第1成形段階を経た場合のスプリングバック状態を示した図面である。
図6a】第2成形段階で縦ビード部が形成されていない場合のスプリングバック状態を示した図面である。
図6b】第2成形段階で縦ビード部が形成された場合のスプリングバック状態を示した図面である。
図7a】第2成形段階で形成された縦ビード部の間隔が過度な場合のスプリングバック状態を示した図面である。
図7b】第2成形段階で形成された縦ビード部の間隔が良好な場合のスプリングバック状態を示した図面である。
図8】本発明の成形部品の製造方法が適用されていない比較例と、本発明の成形部品の製造方法が適用された実施例の様々な性能改善事項を比較した図面である。
図9a図8の比較例と実施例のパンチR部の広がり角度を比較した図面である。
図9b図8の比較例と実施例のパンチR部の広がり角度を比較した図面である。
図10a図8の比較例と実施例の壁部曲げの曲率半径を比較した図面である。
図10b図8の比較例と実施例の壁部曲げの曲率半径を比較した図面である。
図11a図8の比較例と実施例の断面歪みの角度を比較した図面である。
図11b図8の比較例と実施例の断面歪みの角度を比較した図面である。
図12a】本発明の一実施例による成形部品の製造方法によって製造された第2成形品の側面図である。
図12b】本発明の一実施例による成形部品の製造方法によって製造された第2成形品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0031】
図面を参照すると、本発明の製造方法は、第1、2成形品などを左右方向、上下方向、前後方向で示し、発明の詳細な説明にも左右方向、上下方向、前後方向の用語を用いて説明をしたが、これは説明の便宜のためのものであり、本発明の製造方法の技術的特徴がこのような方向に限定されるものではない。
【0032】
以下において、添付された図面に示されたX軸は第1、2成形品等の前後方向であり、Y軸は第1、2成形品等の左右方向であり、Z軸は第1、2成形品等の上下方向である。長さ方向の断面はX-Z軸上の断面であり、幅方向の断面はY-Z軸上の断面である。
【0033】
以下、図1a~図1bを参照して、本発明の実施例による成形部品の製造方法に含まれた構成要素を具体的に説明する。
【0034】
図1aは、第1成形段階の第1成形品100は実線で示し、第2成形段階の第2成形品200は点線で示した図面であり、図1bは、第2成形段階の第2成形品200は実線で示し、第1成形段階の第1成形品100は点線で示した図面である。
【0035】
本発明の実施例による成形部品の製造方法は、第1成形段階及び第2成形段階を含むことができる。
【0036】
第1成形段階は、母材を成形して第1上部フランジ110と第1上部フランジ110の左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第1ウェブ部材130を含む第1成形品100を成形することができる。
【0037】
もちろん、第1成形品100には、第1ウェブ部材130で交差する方向に延びて形成される第1下部フランジ150が形成されることができる。一例として、第1ウェブ部材130は上下方向の下側の湾曲部分を含み、第1下部フランジ150は直線区間のみを含むことができる。
【0038】
第2成形段階は、第1成形品100を圧縮させて第2上部フランジ210と第2上部フランジ210の左右方向の両端部で交差する方向に延びて形成される一対の第2ウェブ部材230を含む第2成形品200を成形することができる。
【0039】
もちろん、第2成形品200には、第2ウェブ部材230で交差する方向に延びて形成される第2下部フランジ250が形成されることができる。一例として、第2ウェブ部材230は上下方向の下側の湾曲部分を含み、第2下部フランジ250は直線区間のみを含むことができる。
【0040】
幅方向の断面上で第1上部フランジ110の長さは第2上部フランジ210の長さよりも長く、第1ウェブ部材130の長さは第2ウェブ部材230の長さよりも長いことができる。
【0041】
第2成形段階は、第1成形品100を圧縮させて第2成形品200の最終断面と一致させる段階であることができる。第2成形段階が終了されると、第1成形品100は、最終製品と最終断面と一致する第2成形品200で成形されることができる。すなわち、第2成形品200は最終製品であることができる。
【0042】
本発明の成形部品の製造方法は、冷間プレス成形工法が適用されることができる。
【0043】
幅方向の断面上で第1上部フランジ110の長さは第2上部フランジ210の長さの105%以上120%以下であり、幅方向の断面上で第1ウェブ部材130の長さは第2ウェブ部材230の長さの105%以上120%以下であることができる。
【0044】
第1成形品100が圧縮されて第2成形品200で成形されながら、第1上部フランジ110は第2上部フランジ210で圧縮され、第1ウェブ部材130は第2ウェブ部材230で圧縮されることができる。
【0045】
第1上部フランジ110の長さが第2上部フランジ210の長さの105%未満である場合、引張残留応力の誘導が難しくなり、第1上部フランジ110の長さが第2上部フランジ210の長さの120%超過する場合、第2上部フランジ210にしわが発生しながら、第2成形品200に欠陥が発生する可能性が高くなるという問題点がある。
【0046】
第1ウェブ部材130の長さが第2ウェブ部材230の長さの105%未満である場合、引張残留応力の誘導が難しくなり、第1ウェブ部材130の長さが第2ウェブ部材230の長さの120%超過する場合、第2ウェブ部材230にしわが発生しながら、第2成形品200に欠陥が発生する可能性が高くなるという問題点がある。
【0047】
図2aは、本発明の第1成形品100と対比される比較例の第1成形品100を示した図面であり、図2bは、図2aの比較例と対比される本発明の実施例による第1成形品100を示した図面であり、図2cは、図2aの比較例と対比される本発明の他の実施例による第1成形品100を示した図面である。
【0048】
図2aを参照すると、本発明の第1成形品100と対比される比較例の第1成形品100の場合は、第1上部フランジ110と第1ウェブ部材130との間の第1境界地点と第2上部フランジ210と第2ウェブ部材230との間の第2境界地点が重ならないことが分かる。
【0049】
第1上部フランジ110が第2上部フランジ210で圧縮成形される第1圧縮区間と、第1ウェブ部材130が第2ウェブ部材230で圧縮成形される第2圧縮区間が区別されなくなることにより、第1圧縮区間と第2圧縮区間が互いに押されるなどの現象によって第2成形品200にしわが頻繁に発生するという問題点がある。
【0050】
図2b及び図2cを参照すると、第2成形段階は、第1上部フランジ110と第1ウェブ部材130との間の第1境界地点と、第2上部フランジ210と第2ウェブ部材230との間の第2境界地点が重なり合った状態で成形が開始されることができる。
【0051】
第1成形品100は第1上部フランジ110と第1ウェブ部材130の第1境界地点が形成され、第2成形品200は第2上部フランジ210と第2ウェブ部材230の第2境界地点が形成されることができる。
【0052】
第1境界地点と第2境界地点が重なり合った状態で成形がなされ、第1上部フランジ110が第2上部フランジ210で圧縮成形される第1圧縮区間と、第1ウェブ部材130が第2ウェブ部材230で圧縮成形される第2圧縮区間が区分された状態で圧縮成形が進行することができる。
【0053】
第2成形段階は、第1境界地点と第2境界地点との重なり合った重なり部分の両面が金型により加圧された状態で成形が進行することができる。
【0054】
第2成形段階は、第1境界地点と第2境界地点が重なり合った重なり部分の両面が金型によって加圧された状態で成形が進行することにより、第1上部フランジ110が第2上部フランジ210で圧縮成形される区間と、第1ウェブ部材130が第2ウェブ部材230で圧縮成形される区間が区分された状態で、重なり部分が金型によって強固に固定されることができる。
【0055】
したがって、第1圧縮区間及び第2圧縮区間が強固に固定された状態で圧縮成形が進行することにより、第1圧縮区間が第2圧縮区間に押されるなどの現象により第2成形品200にしわが頻繁に発生することを防止することができる。
【0056】
図2bを参照すると、第1成形品100は、第1上部フランジ110と第1ウェブ部材130との間の第1境界地点の周辺が曲線区間であり得る。
【0057】
図2cを参照すると、第1成形品100は、第1上部フランジ110と第1ウェブ部材130との間の第1境界地点の周辺が直線区間であり得る。
【0058】
図3aは、本発明の実施例による成形部品の製造方法によって製作された第2成形品200の斜視図であり、図3bは、図3aのA-A’方向及びB-B’方向の断面図である。
【0059】
図4aは、図3aのC-C’方向の断面図の一例であり、図4bは、図3aのC-C’方向の断面図の他の一例である。
【0060】
第2成形品200は、前後方向に沿って断面の大きさが可変されることができる。第2成形品200は、成形部品を構成する領域ごとに断面が異なるように設計して、外部荷重に抵抗する断面モーメントを異ならせて、衝突時にエネルギーを吸収する領域の表面に局部的な段差を付与して順次崩壊を誘導することができる。
【0061】
第2成形段階は、第2ウェブ部材230に前後方向に沿って突出面271と内入面273が交互に形成され、突出面271と内入面273との間は傾斜面275によって連結される縦ビード部270を形成することができる。
【0062】
縦ビード部270は、第2ウェブ部材230の前後方向に離隔して複数個が形成され、縦ビード部270は、上下方向に内入面273が延びて形成され、上下方向に突出面271が延びて形成されることができる。
【0063】
縦ビード部270は、第2ウェブ部材230の前後方向に離隔して複数個が形成されることにより、第2ウェブ部材230の剛性を増加させて断面歪みを低減させることができる。これにより、形状補正が可能なレベルでスプリングバックが解消され、形状凍結性(shape holdability)に優れた最終製品を生産することができる効果がある。
【0064】
ここで、スプリングバックは、成形後の成形部品が金型から離脱するとき、弾性回復によって形状が変わる現象であり、スプリングバックが減少すると形状凍結性に優れることができる。
【0065】
一例として、スプリングバックなどによる断面歪みの角度を3度以下に低減させることが好ましい場合がある。
【0066】
縦ビード部270は、第2ウェブ部材230に形成され、第2ウェブ部材230が第2上部フランジ210から離れる方向に凸状に突出した外側突出部分290に形成されることができる。外側突出部分290は、第2ウェブ部材230が左右方向に外側に凸状に突出した部分である。
【0067】
第2ウェブ部材230から左右方向に外側に凸状に突出した外側突出部分290に形成されることにより、縦ビード部270が外側突出部分290で圧縮残留応力を引張残留応力に変える役割を果たし、外側突出部分290でスプリングバックを安定して低減させることができる効果がある。
【0068】
縦ビード部270は、第2ウェブ部材230の前後方向に2~8個が離隔配置されることができる。縦ビード部270が少なくとも2つ以上が連続的に配置されてこそ、引張残留応力の誘導が可能であり、縦ビード部270が8個を超過する場合、せん断割れの危険性が大きくなることがある。
【0069】
縦ビード部270は、内入面の前後方向の長さL1は母材の厚さの5倍以上、母材の厚さの30倍以下の範囲を有することができる。
【0070】
内入面の前後方向の長さL1が母材の厚さの5倍未満の場合、ネッキング、割れの危険性が大きくなることがあり、内入面の前後方向の長さL1が母材の厚さの30倍を超過する場合、引張残留応力の誘導が困難になることがある。
【0071】
縦ビード部270は、突出面271の延長線と内入面273の延長線との間の離隔距離L2は、母材の厚さの2倍以上、母材の厚さの10倍以下の範囲を有することができる。
【0072】
突出面271の延長線と内入面273の延長線との間の離隔距離L2は、母材の厚さの2倍未満の場合には、断面剛性の増加が僅かであって剛性補強が効率的ではなく、突出面271の延長線と内入面273の延長線との間の離隔距離L2は、母材の厚さの10倍を超過する場合、ネッキング、割れの危険性が大きくなることがある。
【0073】
縦ビード部270は、突出面の前後方向の長さL3は母材の厚さの5倍以上、母材の厚さの30倍以下の範囲を有することができる。
【0074】
突出面の前後方向の長さL3は母材の厚さの5倍未満の場合、ネッキング、割れの危険性が大きくなることがあり、突出面の前後方向の長さL3は母材の厚さの30倍を超過する場合、材料の歩留まりが低下する可能性がある。
【0075】
図4aは、図3aのC-C’方向の断面図の一例であり、図4bは、図3aのC-C’方向の断面図の他の一例である。図4aと図4bの場合、突出面の前後方向の長さL3は同じであり、突出面271の延長線と内入面273の延長線との間の離隔距離L2は同じである。図4bの場合は図4aに比べて、内入面の前後方向の長さL1が2倍程度長く形成されている。
【0076】
縦ビード部270は、突出面271と内入面273との境界部分には弧状の肩部分277が形成され、肩部分277の曲率半径は母材の厚さの4倍以上10倍以下の範囲を有することができる。
【0077】
肩部分277の曲率半径が母材の厚さの4倍未満の場合、ベンディング割れの危険性が大きくなり、肩部分277の曲率半径が母材の厚さの10倍を超過する場合、引張残留応力の誘導が僅かになり、断面剛性の増加が僅かになることがある。
【0078】
以下では、図5a~図7bを参照して、スプリングバックの発生の程度を比較して説明する。図5a~図7bでは、スプリングバックが発生していない状態を点線で示し、スプリングバックが発生した状態を実線で示した。
【0079】
図5aは、第1成形段階を経ていない比較例E1の場合のスプリングバック状態を示した図面であり、図5bは、第1成形段階を経た実施例E2の場合のスプリングバック状態を示した図面である。
【0080】
図5a、図5bを参照すると、第1成形段階を経ていない比較例E1の場合に第1成形段階を経た実施例E2の場合に比べてスプリングバックが大きく発生しながら、最終製品の形状と寸法誤差が大幅に発生することが分かる。
【0081】
図6aは、第2成形段階で縦ビード部270が形成されていない比較例E1の場合のスプリングバック状態を示した図面であり、図6bは、第2成形段階で縦ビード部270が形成された実施例E2の場合のスプリングバック状態を示した図面である。
【0082】
図6a、図6bを参照すると、第2成形段階で縦ビード部270が形成されていない比較例E1の場合が第2成形段階で縦ビード部270が形成された実施例E2の場合に比べてスプリングバックが大きく発生しながら、最終製品の形状や寸法誤差が大幅に発生することが分かる。
【0083】
図7aは、第2成形段階で形成された縦ビード部270の間隔が過度の比較例E1の場合のスプリングバック状態を示した図面であり、図7bは、第2成形段階で形成された縦ビード部270の間隔が良好な実施例E2の場合のスプリングバック状態を示した図面である。
【0084】
図7a、図7bを参照すると、第2成形段階で形成された縦ビード部270の間隔が過度の比較例E1の場合が第2成形段階で形成された縦ビード部270の間隔が良好な実施例E2の場合に比べてスプリングバックが大きく発生しながら、最終製品の形状と寸法誤差が大幅に発生することが分かる。
【0085】
以下では、図8図11bを参照して、成形部品の製造方法が適用されていない比較例E1と、本発明の成形部品の製造方法が適用された実施例E2の多様な性能改善事項を比較して説明する。
【0086】
図8は、本発明の成形部品の製造方法が適用されていない比較例E1と、本発明の成形部品の製造方法が適用された実施例E2の様々な性能改善事項を比較した図面である。
【0087】
図9a及び図9bは、図8の比較例E1と実施例E2のパンチR部の広がり角度Sを比較した図面である。図9a~図9bでは、パンチR部の広がりが発生していない状態を点線で示し、パンチR部の広がりが発生した状態を実線で示した。
【0088】
図9a、図9bを参照すると、比較例E1の場合、パンチR部の広がり角度Sが12度であり、実施例E2の場合、パンチR部の広がり角度Sが2度である。比較例E1においてスプリングバックが大きく発生して、パンチR部の広がり角度Sが大きくなり、最終製品の形状と寸法誤差が大幅に発生することが分かる。
【0089】
図10a及び図10bは、図8の比較例E1と実施例E2の壁部曲げの曲率半径Tを比較した図面である。図10a~図10bでは、壁部曲げが発生していない状態を点線で示し、壁部曲げが発生した状態を実線で示した。
【0090】
図10a、図10bを参照すると、比較例E1の場合、壁部曲げの曲率半径Tが150mmであり、実施例E2の場合、壁部曲げの曲率半径Tが300mmである。比較例E1においてスプリングバックが大きく発生して、壁部曲げの曲率半径Tが小さくなり、壁部曲げが大きく発生して、最終製品の形状と寸法誤差が大幅に発生することが分かる。
【0091】
図11a及び図11bは、図8の比較例E1と実施例E2の断面歪みの角度Uを比較した図面である。図11a~図11bでは、断面歪みが発生していない状態を点線で示し、断面歪みが発生した状態を実線で示している。
【0092】
図11a、図11bを参照すると、比較例E1の断面歪みの角度Uが9度であり、実施例E2の場合、断面歪みの角度Uが2度である。比較例E1においてスプリングバックが大きく発生して断面歪みの角度が大きくなり、最終製品の形状と寸法誤差が大幅に発生することが分かる。
【0093】
図12aは、本発明の実施例による成形部品の製造方法によって製作された第2成形品200の側面図である。
【0094】
図12bは、本発明の実施例による成形部品の製造方法によって製作された第2成形品200の平面図である。
【0095】
第2成形品200は前後方向に延びて形成され、前後方向の位置に応じて第2成形品200の上下方向及び左右方向の断面の位置が可変されることができる。
【0096】
第2成形品200は、第2上部フランジ210が上下方向に80~200mmの範囲の第1位置可変区間を有し、第2成形品200は第2上部フランジ210が左右方向に40~120mmの範囲の第2位置可変区間を有することができる。
【0097】
一例として、第2成形品200は、第2上部フランジ210の左右方向の中央部分を基準として上下方向に最も上側部分から最も下側部分の差が80~200mmの範囲を有し、第2成形品200は、第2上部フランジ210の左右方向の中央部分を基準として左右方向に最も左側部分から最も右側部分の差が40~120mmの範囲を有することができる。
【0098】
母材の厚さは1.2~1.8mmの範囲を有する鋼板であり、母材は980MPa以上の引張強度を有する鋼材であることができる。
【0099】
第1成形段階及び第2成形段階において、冷間成形方法が適用されることができる。第1成形段階と第2成形段階が適用される冷間成形方法としては、冷間スタンピング成形方法または冷間プレス成形方法などの適用されることができる。
【0100】
本発明の成形部品の製造方法は、第1成形段階及び第2成形段階で冷間成形方法を適用することにより、設備投資費用が過度の熱間成形方法とは異なり、設備投資費用を低減し、同時に、製造された成形部品のスプリングバックを、形状補正が可能なレベルで解消して、優れた形状凍結性が達成される。
【0101】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは当該技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0102】
100 第1成形品 110 第1上部フランジ
130 第1ウェブ部材 150 第1下部フランジ
200 第2成形品 210 第2上部フランジ
230 第2ウェブ部材 250 第2下部フランジ
270 縦ビード部 271 突出面
273 内入面 275 傾斜面
277 肩部分 290 外側突出部分
E1 比較例 E2 実施例
L1 内入面の前後方向の長さ
L2 突出面の延長線と内入面の延長線との間の離隔距離
L3 突出面の前後方向の長さ
P1 第1境界地点 P2 第2境界地点
S パンチR部の広がり角度 T 壁部曲げの曲率半径
U 断面歪みの角度
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1a
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1b
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2a
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2b
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2c
【国際調査報告】