(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】処置デバイスを制御するための装置、及び処置デバイスを含むシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534026
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022083643
(87)【国際公開番号】W WO2023104587
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フェルクレイセ ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ブールキン ヤニク パルリアン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ツマ キラン クマル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルギーズ バブ
(72)【発明者】
【氏名】パレロ ジョナサン アランブラ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC05
4C082PE03
4C082PE09
4C082PG15
4C082PJ04
4C082RA01
4C082RC06
4C082RJ08
4C082RL02
4C082RL16
4C082RL24
(57)【要約】
本発明は、対象者の身体部位に対して処置動作を実行するように構成された処置デバイスとともに使用するための装置、システム、及び方法に関する。装置40は処理部46を備え、処理部46は、処置デバイスが現在の処置位置にある時に光パルスを印加する肌の領域に対応する現在の処置領域の位置を推定し、処置デバイスの移動方向における、処置デバイスが前の処置位置にある時に前の光パルスを印加した肌の領域に対応する前の処置領域から現在の処置領域までの距離を決定し、距離がゼロであるか又は処置デバイスの移動方向における処置領域の幅の整数倍であるかを判断し、距離がゼロである又は処置領域の幅の整数倍であると判断された場合、光パルスを生成して肌の現在の処置領域に印加するように処置デバイスを制御するためのパルス制御信号を生成するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体部位に対して処置動作を実行する処置デバイスを制御する装置であって、前記処置デバイスは、前記処置動作を実行するために前記身体部位の肌に光パルスを印加し、前記肌に印加された光パルスは前記肌の処置領域を処置し、前記処置領域は、前記処置デバイスの移動方向において既知の又は推定された幅を有し、前記装置は処理部を備え、前記処理部は、
前記処置デバイスが現在の処置位置にある時に光パルスを印加する肌の領域に対応する現在の処置領域の位置を推定し、
前記処置デバイスの前記移動方向における、前記処置デバイスが前の処置位置にある時に前の光パルスを印加した肌の領域に対応する前の処置領域から前記現在の処置領域までの距離を決定し、
前記距離がゼロであるかを判断し、
前記距離がゼロであると判断された場合、光パルスを生成して前記肌の前記現在の処置領域に印加するように前記処置デバイスを制御するためのパルス制御信号を生成する、
装置において、前記処理部は更に、
前記距離が前記処置領域の前記幅の整数倍であるかを判断し、
前記距離が前記処置領域の前記幅の前記整数倍であると判断された場合、光パルスを生成して前記肌の前記現在の処置領域に印加するように前記処置デバイスを制御するための前記パルス制御信号を生成する
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記処置デバイスの初期移動速度、特に前記処置デバイスの測定された又は事前に設定された移動速度と、前記処置領域の前記既知の又は推定された幅とに基づいて、前記整数倍を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理部は更に、肌の第1の部分を処置するために必要なストローク数を決定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理部は更に、前記処置デバイスの現在の移動速度が前記初期移動速度と異なると判断した時点で前記整数倍及び/又は前記ストローク数を調節する、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記処理部は、
特に光パルスが前に前記現在の処置領域に印加されたかを判断することによって、前記現在の処置領域が前記前の処置領域と重複しているかを判断し、
前記距離がゼロである又は前記処置領域の前記幅の整数倍であると判断され、前記現在の処置領域が前記前の処置領域と重複していないと判断された場合、前記パルス制御信号を生成する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記処置デバイスが光パルスを印加する準備ができているか、特に前記処置デバイスの光源が光パルスを印加するのに十分なエネルギを有するかを判断し、
前記距離がゼロである又は前記処置領域の前記幅の整数倍であると判断され、前記処置デバイスが光パルスを印加する準備ができていると判断された場合、前記パルス制御信号を生成する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記処理部は、フィードバック部に対するガイダンス信号を生成し、前記ガイダンス信号は、前記フィードバック部に、前記処置デバイスがどの方向及び/又はどの処置領域に移動されるべきかを示すガイダンスを生成させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記処理部は、
前記肌の第1の部分の上での前記処置デバイスの第1のストローク後、処置された処置領域の間に未処置の処置領域があるかを判断し、
前記フィードバック部に対する前記ガイダンス信号を生成し、前記ガイダンス信号は、前記フィードバック部に、
前記肌の前記第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がある場合、第2のストロークにおいて前記処置デバイスが前記肌の同じ前記第1の部分の上であるが反対方向に移動されるべきであること、又は
前記肌の前記第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がない場合、前記肌の前記第1の部分の前記処置が終了したこと、及び/若しくは、第2のストロークにおいて前記処置デバイスが前記第1の部分とは異なる前記肌の第2の部分の上で移動されるべきであること
を示すガイダンスを生成させる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ガイダンス信号は、前記フィードバック部に、前記肌の前記第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がない場合、前記第2のストロークにおいて前記処置デバイスが前記肌の前記第1の部分に平行で隣接する前記肌の第2の部分の上で移動されるべきであることを示すガイダンスを生成させる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記処理部は、
光パルスが前に印加された処置済みの処置領域と、光パルスが前に印加されていない未処置の処置領域とを示すマップを算出し、
算出された前記マップに基づいて前記フィードバック部に対する前記ガイダンス信号を生成する、
請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記処理部は、
センサから第1の測定信号を受信することであって、前記第1の測定信号は、時間の経過に伴う前記処置デバイスの位置及び/又は動きに関する情報を含む、受信することと、
前記処置動作中に前記処置デバイスによって前記身体部位に前に印加された光パルスに対して、前記光パルスが生成された時の前記身体部位に対する前記処置デバイスの位置として前記前の処置位置を推定するために前記第1の測定信号を処理することと、
前に印加された前記光パルスに対して、推定された前記前の処置位置に基づいて、前記前の処置領域の位置を推定することと、
前記身体部位に対する前記処置デバイスの現在の位置を推定するために前記第1の測定信号を処理することと、
前記処置デバイスの推定された前記現在の位置に基づいて、前記現在の処置領域の位置を推定することと
を行う、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
対象者の身体部位に対して処置動作を実行する処置デバイスを制御する装置であって、前記処置デバイスは、前記処置動作を実行するために前記身体部位の肌に光パルスを印加し、前記肌に印加された光パルスは前記肌の処置領域を処置し、前記処置領域は、前記処置デバイスの移動方向において既知の又は推定された幅を有し、前記装置は処理部を備え、前記処理部は、
前記処置デバイスの前記移動方向における、前記処置デバイスが移動した距離を決定し、
決定された前記距離が前記処置領域の前記幅に対応する場合、前記処置デバイスの事前に設定された速度に基づいて、光パルスを生成して印加するように前記処置デバイスを制御するためのパルス制御信号を生成する、装置において、前記処理部は更に、
前記処置デバイスの前記事前に設定された速度に基づいて前記処置領域の前記幅の整数倍を設定することであって、前記整数倍は少なくとも2である、設定することと、
決定された前記距離が前記処置領域の前記幅の設定された前記整数倍に対応する場合、光パルスを生成して印加するように前記処置デバイスを制御するための前記パルス制御信号を生成することと
を行うことを特徴とする、装置。
【請求項13】
処置動作を実行するために身体の肌に印加するための光パルスを生成するための1つ又は複数の光源を備える処置デバイスと、
時間の経過に伴う前記処置デバイスの位置及び/又は動きに関する情報を含む第1の測定信号を出力するためのセンサと、
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置と
を含む、システム。
【請求項14】
対象者の身体部位に対して処置動作を実行する処置デバイスを制御するコンピュータ実施方法であって、前記処置デバイスは、前記処置動作を実行するために前記身体部位の肌に光パルスを印加し、前記肌に印加された光パルスは前記肌の処置領域を処置し、前記処置領域は、前記処置デバイスの移動方向において既知の又は推定された幅を有し、前記コンピュータ実施方法は、
前記処置デバイスが現在の処置位置にある時に光パルスを印加する肌の領域に対応する現在の処置領域の位置を推定するステップと、
前記処置デバイスの前記移動方向における、前記処置デバイスが前の処置位置にある時に前の光パルスを印加した肌の領域に対応する前の処置領域から前記現在の処置領域までの距離を決定するステップと、
前記距離がゼロであるかを判断するステップと、
前記距離がゼロであると判断された場合、光パルスを生成して前記肌の前記現在の処置領域に印加するように前記処置デバイスを制御するためのパルス制御信号を生成するステップと
を有する、コンピュータ実施方法において、前記コンピュータ実施方法は更に、
前記距離が前記処置領域の前記幅の整数倍であるかを判断するステップと、
前記距離が前記処置領域の前記幅の前記整数倍であると判断された場合、光パルスを生成して前記肌の前記現在の処置領域に印加するように前記処置デバイスを制御するための前記パルス制御信号を生成するステップと
を有することを特徴とする、コンピュータ実施方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行された時に、請求項14に記載のコンピュータ実施方法のステップを前記コンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の身体部位に処置動作を実行するように構成された処置デバイスを制御するように構成された装置に関する。本発明は更に、そのような処置デバイスを制御するコンピュータ実施方法、並びにそのような装置及びそのような処置デバイスを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
不要な毛髪の除去のための技法は、シェービング、電気分解処置、抜毛、レーザ及び光治療(光脱毛として知られる)、並びに治療的抗アンドロゲン注射を含む。毛髪成長減退及びざ瘡治療を含む他の種類の皮膚科治療において、光ベースの技術も使用される。
【0003】
光エネルギの適切な構成、すなわち波長、強度、及び/又はパルス持続時間(光がパルス状である場合)に関して適切な構成を使用することによって、毛根の選択的な加熱及び毛嚢に対する後続の一時的又は永続的な損傷が実現可能である。家庭用光脱毛デバイス、例えばPhilips Lumeaデバイスは、例えば、広域スペクトル光の高出力バーストを生成するキセノンフラッシュランプなどの高輝度光源からのインテンスパルスライト(IPL)を使用する。
【0004】
光脱毛処置は、光脱毛デバイスのユーザが毛髪除去を目的として肌の比較的小領域を処置するという特徴を有する。光脱毛処置は、強い光を使用して、毛髪及び毛根のメラミンを加熱し、毛嚢を静止期に移行させて、毛髪の再成長を防ぐ。この毛髪除去のための技術の効果的な使用のため、ユーザは間隙を残さずに完全に肌を処置する必要がある。この効果は限定された期間のみのものであるため、処置は定期的に、通常、処置が2週間に1度の頻度で実行される約2か月間の初期期間後に、維持段階で4から8週間に1度の頻度で反復される必要がある。
【0005】
光脱毛は現在、ユーザによって、慎重な「ステップ及びフラッシュ」モード又は自動化された「スライド及びフラッシュ」モードで行われる。肌の処置の「ステップ及びフラッシュ」モードでは、スポットの見逃しを回避するために、次の処置スポットにデバイスを慎重に配置するよう注視することが求められる。ユーザには、前に処置された領域の後のデバイスの配置に関するフィードバックは与えられない。次のスポットにデバイスを配置する際、集中力及び非常に正確な手動調整が求められる。ユーザはパルスの到達を予期する時に痛みの感覚を知覚するため、これらの動作はかなり遅いプロセスとなる可能性があり、効率の低下及び/又は不快感につながる可能性がある。更に、ユーザは処置に注視する必要があるため、ステップ及びフラッシュに対して不快感を覚える。一方、「スライド及びフラッシュ」モードは、固定時間(2~3.5秒)で自動的にフラッシュするという利点を有する。しかしながら、デバイスが領域を過度に処置するほど遅すぎず且つスポットを見逃すほど速すぎないような制御された方式でデバイスを移動させるために、ユーザに負担がかかり、また処置全体を通してこの速度を維持する必要がある。
【0006】
WO2021/130052(A1)号は、対象者の身体部位に対して実行された処置動作に関するフィードバックをユーザに提供するために処置デバイスとともに使用される装置を開示している。処置デバイスは、処置動作を実行するために身体部位の肌に光パルスを印加するように構成され、肌に印加された光パルスは、肌の領域を処置する。上記の装置は、処理部を備え、処理部は、第1のセンサから第1の測定信号を受信するように構成され、第1の測定信号は、時間の経過に伴う処置デバイスの位置及び/又は動きに関する情報を含む。処置動作中に処置デバイスによって身体部位へ前に印加された光パルスに対して、光パルスが生成された時の身体部位に対する処置デバイスの位置として前の処置位置を推定するために第1の測定信号が処理される。前に印加された光パルスに対して、推定された前の処置位置に基づいて、処置デバイスが前の処置位置に存在した時に光パルスが印加された身体部位の肌の領域に対応する光パルスのための前の処置領域が推定される。身体部位に対する処置デバイスの現在の位置を推定するために第1の測定信号が処理される。処置デバイスの推定された現在の位置に基づいて、現在の位置にある時に処置デバイスが光パルスを印加する肌の領域に対応する現在の処置領域が推定される。フィードバック部に対するフィードバック制御信号が生成され、フィードバック制御信号は、フィードバック部に、現在の処置領域が前の処置領域と対応するか、又はほぼ対応するかを示すフィードバックを生成させるように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、処置デバイスの異なる動作モードの欠点を克服すること、特に、処置デバイスの動作を肌上の処置デバイスの様々な移動速度に適応させるとともに、処置の最適な網羅を実現する(すなわち、過度な処置を回避し、領域の見逃しを回避する)ことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様では、処置デバイスを制御するように構成された装置が提示される。処置デバイスは、対象者の身体部位に対して処置動作を実行するように構成され、処置デバイスは、処置動作を実行するために身体部位の肌に光パルスを印加するように構成され、肌に印加された光パルスは肌の処置領域を処置し、処置領域は、処置デバイスの移動方向において既知の又は推定された幅を有する。装置は処理部を備え、処理部は、
- 処置デバイスが現在の処置位置にある時に光パルスを印加する肌の領域に対応する現在の処置領域の位置を推定し、
- 処置デバイスの移動方向における、処置デバイスが前の処置位置にある時に前の光パルスを印加した肌の領域に対応する前の処置領域から現在の処置領域までの距離を決定し、
- 距離がゼロであるか又は処置領域の幅の整数倍であるかを判断し、
- 距離がゼロである又は処置領域の幅の整数倍であると判断された場合、光パルスを生成して肌の現在の処置領域に印加するように処置デバイスを制御するためのパルス制御信号を生成する
ように構成される。
【0009】
本発明の第2の態様では、処置デバイスを制御するように構成された別の装置が提示される。処置デバイスは、対象者の身体部位に対して処置動作を実行するように構成され、処置デバイスは、処置動作を実行するために身体部位の肌に光パルスを印加するように構成され、肌に印加された光パルスは肌の処置領域を処置し、処置領域は、処置デバイスの移動方向において既知の又は推定された幅を有する。装置は処理部を備え、処理部は、
- 処置デバイスの事前に設定された速度に基づいて処置領域の幅の整数倍を設定し、
- 処置デバイスの移動方向における、処置デバイスが移動した距離を決定し、
- 決定された距離が処置領域の幅の設定された整数倍に対応する場合、光パルスを生成して印加するように処置デバイスを制御するためのパルス制御信号を生成する
ように構成される。
【0010】
本発明の更なる態様では、
処置動作を実行するために身体の肌に印加するための光パルスを生成するための1つ又は複数の光源を備える処置デバイスと、
時間の経過に伴う処置デバイスの位置及び/又は動きに関する情報を含む第1の測定信号を出力するためのセンサと、
本明細書に開示される装置と
を含むシステムが提示される。
【0011】
本発明の更なる態様では、対応する方法と、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行された時に、本明細書に開示される方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムと、プロセッサによって実行された時に、本明細書に開示される方法を実行させるコンピュータプログラム製品を格納する非一時的コンピュータ可読記録媒体とが提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において定義される。特許請求される方法、システム、コンピュータプログラム及び媒体は、特許請求される装置、特に従属請求項において定義されて本明細書に開示されるものと同様及び/又は同一の好ましい実施形態を有することが理解されるべきである。
【0013】
デバイスをステップ及びフラッシュモードで使用する場合、適切な速度を適用することは困難である。動きが遅すぎる場合、処置に時間がかかり重複する恐れがある。動きが速すぎる場合、処置されない肌の部分を見逃す恐れがある。更に、ステップ及びフラッシュモードは、ユーザが処置領域のすぐ隣にデバイスを配置することに注視する必要があるため、時間がかかりすぎてユーザに不快感を与える。このような問題に対処するために、本発明は、処置デバイスをシェービング動作のように可変速度で(すなわち、ステップ及びフラッシュモードにおいて一定の速度も一定の移動距離も必要とせずに)移動させて(すなわち、滑らせて)、スポットを見逃さずに且つスポットを過度に処置することなく肌を処置することを可能にする。これは、ユーザが処置をより容易に且つ快適に行うのに役立つ。更に、ユーザは処置デバイスを移動させることだけに注視すればよく、肌処置のために次のパルス射出(本明細書ではフラッシュとも呼ぶ)を気にする必要がない。滑らせる動きはユーザにとって容易であるが、フラッシュへの集中力が少なくて済むので知覚される痛みの感覚も軽減される。概して、本発明は、最適な処置を可能にし、ユーザに任意の所望の速度で処置デバイスを使用する柔軟性を与える。
【0014】
本発明によれば、処置ストリップ(複数の処置領域を含む)におけるスポットの見逃し及び過度な処置を回避するために、処置領域が追跡され得、フラッシングが自動化され得る。更に、必要な場合にのみフラッシュすることによって(すなわち、確定的な方式でフラッシュすることによって)、デバイスの全体的な消費電力が改善され得る。したがって、(脚、背中、胸のような)大きな領域は、スポットの見逃しを回避する手法で1つ又は複数の処置ストリップを処置することによって、また一実施形態において任意選択として提供されるように、これらのストリップを互いに隣り合せに配置することによって、効率的な手法で処置され得る。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、この手法は、処置される処置領域間の間隙の大きさ、すなわち、処置デバイスの移動方向における前の処置領域から現在の処置領域までの距離がゼロ(2つの隣接する処置領域間に重複がない)又は処置領域の幅の整数倍のいずれかになるようにフラッシングを制御することによって実現される。言い換えれば、肌上での処置デバイスの処置の移動中に、いつフラッシュするか、いつフラッシュしないかが制御される。したがって、第1のストローク(すなわち、いくつかの処置領域を網羅する肌のある一定部分の上での処置デバイスの第1の方向の移動)においてフラッシュされなかった未処置の処置領域は、次いで、第2のストロークにおいて(また任意選択として、更なるストロークにおいて)、好ましくは交互に反対方向に、肌の同じ部分の上でフラッシュされる。処置領域の幅は、処置デバイスの射出光用のアパーチャの固定された大きさにより、(少なくとも大まかに)既知であるか又は推定される。したがって、ストローク中に又はあるストロークから別のストロークまでの間に移動速度が変化した場合でも、(実質的に又は全く)重複を有することなく、また近隣の処置領域の間に(実質的に又は全く)間隙を有することなく、肌の所望の部分が実質的に均一に処置されることが保証され得る。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、処置デバイスの事前に設定された速度(例えば、低速、中速、高速)に基づいて処置領域の幅の整数倍を予め設定し、処置中に処置デバイスが移動した距離に基づいてフラッシングを制御し、それによって、決定された距離が処置領域の幅の設定された整数倍に対応する場合にフラッシングが行われるようにすることによって、所望の効果が実現される。第1の態様による場合と同様に、上記で説明したように、処置済みの処置領域及び未処置の処置領域の所望の配置が結果として得られるように、いつフラッシュするか及びいつフラッシュしないかが制御される。したがって、過度に処置することなく又は任意のスポットの全てにおいて処置せずに、肌のある一定部分が処置され得る。
【0017】
一実施形態によれば、処理部は、処置デバイスの初期移動速度、特に処置デバイスの測定された又は事前に設定された移動速度と、処置領域の既知の又は推定された幅とに基づいて、整数倍を決定するように構成される。初期移動速度は、例えば、利用可能な速度(低速、中速、高速など)のメニューからユーザが肌上で処置デバイスを移動させる際に利用したい速度がユーザによって選択される。この速度は、処置領域の幅の整数倍を初期決定するために、したがって(処置デバイスが初期移動速度に従って移動する場合)処置のためにどの位置でパルスが射出されるべきかを最初に決定するために使用可能である。
【0018】
更に、処理部は、肌の第1の部分を処置するために必要なストローク数を決定するように構成される。例えば、高い移動速度が使用される場合、続いて射出される2つのパルス間に電力を供給するのに十分な時間が必要になるため、第1のストロークで処置される領域間の間隙はより大きくなる。光脱毛デバイスは、様々なアパーチャサイズの異なる処置ヘッドアタッチメントを備えることも特徴とする。この処置ヘッドアタッチメントを、特定の処置領域、例えば上唇、脚、脇の下の全領域に合わせて使用して、ストローク数、並びに/又は第1のストロークで処置される処置領域間の間隙の大きさ及び/若しくは数を決定することもできる。したがって、移動速度に応じて、肌のある一定部分を完全に網羅するためにいくつのストロークが必要であるかが予め算出される。
【0019】
別の実施形態では、処理部は更に、処置デバイスの現在の移動速度が初期移動速度と異なると判断した時点で整数倍及び/又はストローク数を調節するように構成される。したがって、肌の所望の部分が最良の手法及び/又は最小限の時間で確実に網羅されるように、ある一定期間中の移動速度及び/又は移動した距離を測定し、これを使用して、最初に決定された整数倍及び/又はストローク数を再計算することが好ましい。
【0020】
処理部は更に、特に光パルスが前に現在の処置領域に印加されたかを判断することによって、現在の処置領域が前の処置領域と重複しているかを判断し、距離がゼロである又は処置領域の幅の整数倍であると判断され、現在の処置領域が前の処置領域と重複していないと判断された場合、パルス制御信号を生成するように構成される。この追加のチェックにより、肌領域の過度な処置を確実に回避できる。
【0021】
処理部は更に、処置デバイスが光パルスを印加する準備ができているか、特に処置デバイスの光源が光パルスを印加するのに十分なエネルギを有するかを判断し、距離がゼロである又は処置領域の幅の整数倍であると判断され、処置デバイスが光パルスを印加する準備ができていると判断された場合、パルス制御信号を生成するように構成される。この追加のチェックは、肌のある一定部分の処置に必要な時間を最小限に抑えることに寄与する。
【0022】
別の実施形態では、処理部は、フィードバック部に対するガイダンス信号を生成するように構成され、ガイダンス信号は、フィードバック部に、処置デバイスがどの方向及び/又はどの処置領域に移動されるべきかを示すガイダンスを生成させるように構成される。これは、ユーザが肌の所望の部分を正確且つ完全に網羅するのに役立つ。
【0023】
本明細書において、処理部は、
- 肌の第1の部分の上での処置デバイスの第1のストローク後、処置された処置領域の間に未処置の処置領域があるかを判断し、
- フィードバック部に対するガイダンス信号を生成する
ように構成され、ガイダンス信号は、フィードバック部に、
- 肌の第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がある場合、第2のストロークにおいて処置デバイスが肌の同じ第1の部分の上であるが反対方向に移動されるべきであること、又は
- 肌の第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がない場合、肌の第1の部分の処置が終了したこと、及び/若しくは、第2のストロークにおいて処置デバイスが第1の部分とは異なる肌の第2の部分の上で移動されるべきであること
を示すガイダンスを生成させるように構成される。
【0024】
ガイダンス信号は、例えば、フィードバック部に、肌の第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がない場合、第2のストロークにおいて処置デバイスが肌の第1の部分に平行で隣接する肌の第2の部分の上で移動されるべきであることを示すガイダンスを生成させるように構成される。したがって、肌の大きな部分は、互いに隣接して配置されて芝生が刈られるような手法で処理される小さな部分において処理され、各部分は、1つ又は複数のストロークによって処理される。
【0025】
処理部は更に、光パルスが前に印加された処置済みの処置領域と、光パルスが前に印加されていない未処置の処置領域とを示すマップを算出し、算出されたマップに基づいてフィードバック部に対するガイダンス信号を生成するように構成される。任意選択として、ユーザがどの領域をまだ処置する必要があるかを確認できるように、マップがユーザに対して視覚化される。
【0026】
処置領域の位置を決定する可能な手法は、処理部が以下のように構成される実施形態において提供される。処理部は、
センサから第1の測定信号を受信することであって、第1の測定信号は、時間の経過に伴う処置デバイスの位置及び/又は動きに関する情報を含む、受信することと、
処置動作中に処置デバイスによって身体部位に前に印加された光パルスに対して、光パルスが生成された時の身体部位に対する処置デバイスの位置として前の処置位置を推定するために第1の測定信号を処理することと、
前に印加された光パルスに対して、推定された前の処置位置に基づいて、前の処置領域の位置を推定することと、
身体部位に対する処置デバイスの現在の位置(及び/又は向き)を推定するために第1の測定信号を処理することと、
処置デバイスの推定された現在の位置(及び/又は向き)に基づいて、現在の処置領域の位置を推定することと
を行うように構成される。
【0027】
処理部は更に、処置デバイスの移動方向、速度、及び/又は向きを決定し、フィードバック部に対するガイダンス信号を生成するように構成され、ガイダンス信号は、フィードバック部に、処置デバイスがどの方向及び/又はどの処置領域に移動されるべきか、並びに/又は、処置デバイスの移動速度を変更するか及びどのように変更するかを示すガイダンスを生成させるように構成される。これは、ユーザが処置デバイスを正しく移動させる際の支援となる。
【0028】
処理部は、任意選択として、視覚及び/又は聴覚ガイダンス、特に、聴覚指示の形式、並びに/又は、指示のグラフィカル表現、算出されたマップ、前の処置領域及び現在の処置領域、及び/若しくはパターン若しくは線の形式のガイダンスを生成するようにフィードバック部を制御するためのガイダンス信号を生成するように構成される。例えば、視覚ガイダンス(線、矢印、テキストなど)が肌上に表示される。一例では、処置デバイスが移動する際に沿うべき線が表示される。
【0029】
ガイダンス信号は、例えば、表示制御信号である。フィードバック部については、様々な実装形態が可能である。例えば、フィードバック部はディスプレイ画面であり、表示制御信号は、グラフィカル表現が重ねられた身体部位の複数の画像若しくはビデオシーケンスを含み、又は、フィードバック部はプロジェクタであり、表示制御信号は、プロジェクタに、グラフィカル表現を対象者の身体部位に投影させるように構成され、又は、フィードバック部は、身体部位の拡張現実表示の一部としてグラフィカル表現を表示するように構成される。
【0030】
第2の態様の装置では、処理部は、処置領域の幅の設定された整数倍に基づいて、肌の第1の部分を処置するために必要なストローク数を設定するように構成される。したがって、いくつのストロークが必要であるかが予め算出される。この数は、予め又は処理中にユーザに通知される。
【0031】
更に、第2の態様の装置では、処理部は、処置デバイスの移動速度が変化するか又は事前に設定された速度と異なる場合、処置領域の幅の整数倍及び/又はストローク数を再計算するように構成される。したがって、ユーザが処置中に移動速度を変更した場合でも、過度な処置を回避し、スポットの見逃しを回避するという目的を達成できる。
【0032】
本発明の上記及び他の態様は、以下に記載の実施形態から明らかであり、実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明とともに使用可能な処置デバイスの例示的な実施形態の図である。
【
図2】本発明によるシステムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図3】多くの光パルスが印加された腕の赤外線画像を示す図である。
【
図4】従来の処置デバイスによる典型的な処置の概略図である。
【
図5】本発明の第1の態様による方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図6】本発明の方法のステップを例示するための概略図である。
【
図7】
図6に示すストリップ充填概念についての異なるストロークを示す図である。
【
図8】ユーザが処置中に低速の移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。
【
図9】ユーザが処置中に中速の移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。
【
図10】ユーザが処置中に高速の移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。
【
図11】ユーザが処置中に可変移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。
【
図12】処置デバイスの現在の位置を決定するための本発明による例示的な方法のフローチャートである。
【
図13】イメージングユニットによって取得された身体部位69の2つの画像66を示す図である。
【
図14】本発明の第2の態様による方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図15】本発明による処置デバイスの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、肌の領域に対して光パルスを印加するために使用可能な例示的な処置デバイス2の図である。
図1の処置デバイス2は、本発明がともに使用されることが可能なハンドヘルド処置デバイス2の例として提示されているに過ぎず、処置デバイス2は、
図1に示された形態又はハンドヘルド処置デバイスに限定されないことが理解されるであろう。処置デバイス2は、対象者(例えば、人又は動物)の身体上での使用のためのものであり、使用中はユーザの片手又は両手で保持される。処置デバイス2が対象者の身体部位に接触している状態又は近接した状態で、処置デバイス2は対象者の肌又は身体に対して、1つ又は複数の光パルスを使用して何らかの処置動作を実行する。処置動作は、レーザ及び/又は光治療(光脱毛処置又はインテンスパルスライト(IPL)処置として知られる)による不要な毛髪の除去であり得る。或いは、処置動作は、皮膚科(肌)治療、ざ瘡治療、他の種類の肌状態のための光治療処置、肌の若返り、肌の引き締め、又はポートワイン斑治療など、毛髪の除去又は成長防止以外の理由のためのレーザ及び/又は光治療であり得る。
【0035】
本明細書で記載される場合、処置デバイス2は、「ユーザ」によって動作又は使用され、処置デバイス2は「対象者」の身体上で使用される。いくつかの場合では、ユーザ及び対象者は同一の人であり、すなわち、処置デバイス2はユーザによって手で保持されてユーザ自身に対して使用される(例えば、自分の脚の肌に対して使用される)。他の場合では、ユーザ及び対象者は異なる人であり、例えば処置デバイス2はユーザによって手で保持され、他の人に対して使用される。いずれの場合でも、光パルス印加時又は印加後の短時間は肌の変化がユーザにとってあまり知覚可能でない、又は全く知覚可能でないため、ユーザが身体部位の完全な網羅を実現すること、及び/又は身体部位の特定の領域の過度な処置を回避することが困難である。
【0036】
例示的な処置デバイス2は、少なくともハンドル部5とヘッド部6とを含む筐体4を備える。ハンドル部5は、ユーザが片手で処置デバイス2を保持できるようにする形状を有する。ヘッド部6は、筐体4のヘッド端部8に存在し、ヘッド部6が身体又は肌と接触している位置において対象者の身体又は肌に対して処置動作が実行されるために、ヘッド部6は対象者と接触するように配置される。
【0037】
処置デバイス2は、光パルスを使用して処置動作を実行するためのものである。そのため、
図1では、ヘッド部6は、筐体4中又は筐体4上に配置されたアパーチャ10を備え、それによってアパーチャ10は対象者の肌と隣り合って、又は肌上に(すなわち肌と接触して)配置され得る。処置デバイス2は、アパーチャ10を介して対象者の肌に印加されて処置動作を実現する光パルスを生成するための1つ又は複数の光源12を含む。1つ又は複数の光源12は筐体4に配置され、それによって光パルスが1つ又は複数の光源12からアパーチャ10を介して供給される。アパーチャ10は、筐体4のヘッド端部8における開口部の形状を有し、又は光パルスにとって透過若しくは半透過であるウィンドウ(導波管を含む)の形状を有する(すなわち、光パルスはウィンドウを通過できる)。
【0038】
図1に示す例示的な実施形態では、アパーチャ10は全体として矩形を有し、その結果として、肌上に全体的に矩形の肌処置領域が得られる。アパーチャ10が任意の他の所望の形状を有し得ることが理解されるであろう。例えば、アパーチャ10は、正方形、楕円形、円形、又は任意の他の多角形であることが可能である。
【0039】
図1には図示していないが、処置デバイス2は、それぞれがアパーチャ10を含む処置デバイス2のヘッド部6用の1つ又は複数の取り外し可能アタッチメントを有する。このアタッチメントは異なる身体部位上で使用され、異なる大きさのアパーチャ10を有する。例えば、あるアタッチメントは脚などの大きい身体部位に対して使用可能であり、したがって大きいアパーチャ10を有することができる一方、別のアタッチメントは上唇の上部の肌/毛髪に対して使用可能であり、したがって小さいアパーチャ10を有することができる。
【0040】
1つ又は複数の光源12は、任意の適切な若しくは所望の波長(若しくは波長範囲)及び/又は強度で光パルスを生成可能である。例えば、光源12は、可視光、赤外線(IR)光及び/又は紫外線(UV)光を生成可能である。各光源12は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、(キセノン)フラッシュランプ、レーザなどの任意の適切な種類の光源を備えることが可能である。光源12は、およそ2.5ミリ秒(ms)の区間のための560から1200ナノメートル(nm)範囲のスペクトル成分を有する光パルスを供給できる。これは、それらの波長が吸収によって毛髪及び毛根のメラミンを加熱し、毛嚢を静止期に移行させ、毛髪の再成長を防ぐためである。
【0041】
1つ又は複数の光源12は、光のパルスを供給するように構成される。すなわち、光源12は、短時間(例えば1秒未満)で高強度の光を生成するように構成される。光パルスの強度は、アパーチャ10と隣り合った肌又は身体部位に対して処置動作を実現する程度に十分高い必要がある。
【0042】
図示する処置デバイス2は、任意選択として、ヘッド部6が肌と接触しているかを判断するために使用されるヘッド部6上又はヘッド部6中に配置された2つの肌接触センサ14、16を含む。肌接触センサ14、16は、ヘッド部6が肌と接触しているかを示すパラメータを測定し、パラメータの測定結果の時系列を含むそれぞれの測定信号を生成する。この測定信号は、ヘッド部6が肌と接触しているかを判断するために処理されることが可能である。通常、肌接触センサは、光パルスがユーザ又は対象者の目に向かうことを避けるために、光パルスが生成される前に処置デバイス2が肌に正しく接触していることを確実にするように、処置デバイス2、特に光脱毛器中で使用される。
【0043】
いくつかの実施形態では、パラメータは容量でもよく、したがって肌接触センサ14、16はヘッド部6の表面上の電気接点又は電極のそれぞれの対を介して容量を測定でき、測定された容量は、肌接触があるかを示す。代替の実施形態では、パラメータは光の強度又は量でもよく、したがって肌接触センサ14、16は、光センサに入射した光の強度又は量を測定する光センサでもよく、測定された強度又は量は、肌接触があるかを示す(例えばわずかな光、又は光が全くない状態は、肌が光センサ14、16を覆った時の肌接触を示す場合があり、またその逆もあり得る)。他の代替の実施形態では、パラメータは接触圧の測定値でもよく、したがって肌接触センサ14、16は、それぞれの圧力センサ又は機械的スイッチを介して接触圧を測定でき、測定された接触圧は、肌接触があるかを示す。
【0044】
図示する処置デバイス2は、ヘッド部6が接触している肌の肌色を判断するために使用可能な、ヘッド部6上、又はヘッド部6中に配置された任意選択としての肌色センサ18を含む。肌色センサ18は、肌の肌色を示すパラメータを測定することができ、パラメータの測定結果の時系列を含む測定信号を生成することができる。この測定信号は、ヘッド部6が接触している肌の肌色を判断するように処理されることが可能である。通常、肌色センサは、処置対象の肌のタイプに適した強度を光パルスが有することを確実にするために、又は肌タイプ(例えば非常に多くのメラニン成分を有する暗めの肌)が光パルスに適さない場合に光パルスの生成を防ぐように、処置デバイス2、特に光脱毛器中で使用される。
【0045】
いくつかの実施形態では、任意選択としての肌色センサ18は、光センサであることが可能であり、光センサによって測定されたパラメータは、肌から反射された特定の波長又は複数の波長における光の強度又は量であり得る。特定の波長における反射光の測定された強度又は量は、肌の色を示し得る。反射光の測定された強度又は量は、肌のメラニン濃度に基づいてもよく、それによって、測定された強度又は量はメラニン濃度を示し得る。メラニン濃度は、例えば、660nm(赤)及び880nm(赤外線)波長における光反射の測定結果から導出されることが可能である。
【0046】
図示する処置デバイス2は、処置デバイス2をアクティブ化するためにユーザによって動作可能なユーザコントロール20を更に含み、それによってヘッド部6は対象者の身体に対して要求される処置動作を実行する(例えば、1つ又は複数の光源12による1つ又は複数の光パルスの生成)。ユーザコントロール20は、スイッチ、ボタン、タッチパッドなどの形態を有する。
【0047】
上述したように、時間の経過に伴う処置デバイスの位置(向きを含む)及び/又は動きに関する情報を提供するために、1つ又は複数のセンサが使用され、それによって適切なフィードバックが判断されることができ、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサが処置デバイス2の一部であることも可能であり、又は処置デバイス2に存在することも可能である。センサが加速度計、ジャイロスコープなどの1つ又は複数の動きセンサである場合、1つ又は複数の動きセンサは、処置デバイス2の一部であることも可能であり、例えば処置デバイス2の内部に存在することも可能である(それ自体は
図1では図示せず)。1つ又は複数のセンサがイメージングユニット(例えば、カメラ)を含む実施形態では、イメージングユニットは処置デバイス2上又は処置デバイス2に存在する。
図1に示すように、イメージングユニット22は、処置デバイス2の筐体4上に配置され、それによって、処置デバイス2の前方に存在する肌又は身体部位の画像又はビデオシーケンスを取得できる。すなわち、イメージングユニット22は、処置デバイス2の筐体4上に配置され、それによって光パルスがアパーチャ10を通って光源12によって射出される方向に全体的に平行な方向から画像又はビデオシーケンスを取得する。いくつかの実装形態では、ヘッド部6が対象者と接触するように配置され、それによってアパーチャ10を通して光源12にとって可視である肌の一部に光パルスが印加可能な時に、イメージングユニット22が、アパーチャ10及びヘッド端部6と接触している肌の部分を見ることができないように、イメージングユニット22は筐体4上に配置される。イメージングユニット22が処置デバイス2の筐体4上に配置された実施形態では、イメージングユニット22は、処置デバイス2の残りに関して固定配置される。
【0048】
本発明によるシステムは、一般に、
図1に示す処置デバイスと、時間の経過に伴う処置デバイスの位置及び/又は動きに関する情報を含む第1の測定信号を出力するための第1のセンサと、以下でより詳細に説明する、特に処置デバイスを制御するために処置デバイスとともに使用される装置とを含む。
【0049】
図2は、処置デバイス2と処置デバイス2を制御するための装置42とを含む、本発明による例示的なシステム40の概略図である。システム40は更に、時間の経過に伴う処置デバイス2の位置及び/又は動きに関する情報を含む測定信号を提供するための1つ又は複数のセンサ44を含む。更に、システムは、任意選択として、光パルスを用いて処置された肌の領域及び処置されていない肌の領域に関するフィードバックをユーザ及び/又は対象者に提供するためのフィードバック部45を含む。上述したように、いくつかの実施形態では、装置42は処置デバイス2とは分離したデバイスであることが可能であり、したがって装置42はスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、リモートサーバ、スマートミラーなどの電子デバイスの形態を有する。他の実施形態では、装置42、特に装置42によって提供される本発明による機能性は、処置デバイス2の一部である。
【0050】
上述したように、1つ又は複数のセンサ44は、処置デバイス2の動きを測定してそれらの動きを表す測定信号を出力する、加速度計、ジャイロスコープ、気圧感知器(高度変化を測定するために使用可能である)、磁力計などの1つ又は複数の動きセンサ44であり得る。1つ又は複数の動きセンサ44は、処置デバイス2の一部、又は処置デバイス2に存在する。加速度計を備える1つ又は複数の動きセンサ44の場合、加速度計44は、複数の時刻における処置デバイス2の動きを表す複数の加速度測定サンプルを含む測定信号を生成できる。加速度計44は三次元で加速度を測定する加速度計でもよく、加速度計44によって生成された測定信号は、三次元のそれぞれの次元における加速度を表すそれぞれの測定信号を含み得る。例えば、加速度計44は、デカルト座標系のx軸、y軸、及びz軸のそれぞれに対するそれぞれの測定信号を出力できる。
【0051】
1つ又は複数のセンサ44は、複数の画像又はビデオシーケンスを取得するイメージングユニット44(例えば、カメラ又はイベントカメラ)を更に含むか、又は代替として、それ自体であり得る。イベントカメラは、センサの各ピクセルの輝度の変化が発生した時にそれを独立して示すイメージングセンサである。複数の画像(イベントカメラからの輝度標示から形成された画像を含む)又はビデオシーケンスは測定信号として出力され、測定信号(画像/ビデオシーケンス)は、処置デバイス2の動きを特定するイメージング処理技法を使用して処理され得る。いくつかの実施形態では、イメージングユニット44は処置デバイス2に取り付けられるか、又はその一部であり、その場合、画像/ビデオシーケンスは、その画像/ビデオシーケンスで可視の対象(例えば、身体部位又は肌)の動きに基づいて処置デバイス2の動きを抽出するように処理されることが可能である。他の実施形態では、イメージングユニット44は、例えば、装置44のイメージングユニット4など、処置デバイス2から分離されることができ、又は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、スマートミラーなどの分離したデバイスに存在し得る。この場合、イメージングユニット44は、遠くから処置デバイス2と身体部位との両方を観察できる。イメージングユニット44は、例えば電荷結合素子(CCD)並びに1つ若しくは複数のレンズ及び/又はミラーなどの、画像を捕捉するためのいずれかの適切な構成要素を含む。いくつかの実施形態では、イメージングユニット44は、デジタルカメラ(例えば、サーマルカメラ、RBGカメラ、若しくはモノクロカメラ)、又はイベントカメラなどのカメラである。上述したように、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサ44は、1つ又は複数の動きセンサと、イメージングユニットとを備え得る。
【0052】
装置42は、装置42の動作を全体的に制御して装置42が本明細書に記載の方法及び技法を実行できるようにする処理部46を備える。処理部44は更に、センサ44から測定信号を受信し、処置動作に関して提供されるフィードバックを決定するためにその測定信号を処理し、フィードバック制御信号をフィードバック部45に提供するように構成される。それによって、処理部46は、センサ44が装置42の一部である実施形態では直接、又はセンサ44が装置42から分離されている実施形態では別の構成要素を介してのいずれかで、1つ又は複数のセンサ44から測定信号を受信するように構成されることが可能である。いずれの場合でも、処理部46は、測定信号の受信のために1つ又は複数の入力ポート若しくは配線を含むか又は備えることができる。処理部46は、フィードバック制御信号を出力するための1つ又は複数の出力ポート若しくは配線を更に含むか又は備えることも可能である。
【0053】
処理部46は、本明細書に記載の様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアにより多くの手法で実施されることが可能である。処理部46は、要求される機能を実行するために、及び/又は要求される機能を実現するように処理部46の構成要素を制御するために、ソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを使用してプログラムされる1つ又は複数のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を備える。処理部46は、ある機能を実行する専用ハードウェア(例えば増幅器、前置増幅器、アナログデジタル変換器(ADC)及び/又はデジタルアナログ変換器(DAC))と、他の機能を実行するプロセッサ(例えば1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、DSP、及び関連する回路)との組合せとして実施される。本開示の様々な実施形態で用いられる構成要素の例は、従来のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ニューラルネットワーク及び/又はいわゆる人工知能(AI)ハードウェアアクセラレータを実施するためのハードウェア(すなわち、主プロセッサとともに使用可能なAIアプリケーション専用に設計されたプロセッサ若しくは他のハードウェア)、並びに/又は自己位置推定及びマッピングの同時実行(SLAM)技法専用に設計されたハードウェアを含むが、これに限定されない。
【0054】
処理部46は、任意選択として、メモリ部48を備えるか、又はそれと関連付けられる。メモリ部48は、装置42の動作を制御する際、及び/又は本明細書に記載の方法を実施又は実行する際に、処理部46によって使用されるデータ、情報、及び/又は信号(画像を含む)を格納可能である。いくつかの実装形態において、メモリ部48は、処理部46によって実行可能なコンピュータ可読コードを格納し、それによって処理部46は本明細書に記載の方法を含む1つ又は複数の機能を実行する。特定の実施形態において、プログラムコードは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、又はサーバのためのアプリケーションの形態を有することが可能である。メモリ部48は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的RAM(SRAM)、動的RAM(DRAM)、読出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、及び電気消去可能PROM(EEPROM)などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリを含むキャッシュ又はシステムメモリなどの任意の種類の非一時的機械可読媒体を備えることが可能であり、メモリ部は、メモリチップ、光学ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はブルーレイディスクなど)、ハードディスク、テープストレージソリューション、又はメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカードなどを含むソリッドステートデバイスの形態で実施されることが可能である。
【0055】
図2に示す実施形態では、装置42がセンサ44から分離しているとして示されているため、装置42は、装置42がセンサ44から測定信号を受信できるようにするインターフェース回路50を含む。装置42のインターフェース回路50は、センサ44、処置デバイス2、サーバ、及びデータベースのうちの任意の1つ又は複数を含む他のデバイスとのデータ接続及び/又はデータ交換を可能とする。センサ44(又は処置デバイス2などの任意の電子デバイス)への接続は、直接的又は間接的(例えばインターネットを介する)でもよく、それによってインターフェース回路50は、任意の所望の有線又は無線通信プロトコルによる、装置42とネットワークとの間での接続、又は装置42と別のデバイス(センサ44及び/又は処置デバイス2など)との間での直接接続を実現できる。例えば、インターフェース回路50は、WiFi、Bluetooth、Zigbee、又は任意のセルラ通信プロトコル(Global System for Mobile Communications(GSM)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-Advancedなどを含むがこれに限定されない)を使用して動作可能である。無線接続の場合、インターフェース回路50(したがって装置42)は、伝達媒体(例えば無線)を介して送受信するための1つ又は複数の適切なアンテナを含む。代替として、無線接続の場合、インターフェース回路50は、インターフェース回路50を、伝達媒体(例えば無線)を介して送受信するための装置42の外部の1つ又は複数の適切なアンテナに接続可能とする手段(例えばコネクタ又はプラグ)を含む。インターフェース回路50は、処理部46に接続される。
【0056】
図2には図示されていないが、装置42は、装置42のユーザが装置42に対して情報、データ、及び/若しくはコマンドを入力できるようにする、且つ/又は装置42が装置42のユーザに対して情報若しくはデータを出力できるようにする1つ又は複数の構成要素を含む1つ又は複数のユーザインターフェース構成要素を備える。ユーザインターフェースは、キーボード、キーパッド、1つ又は複数のボタン、スイッチ又はダイヤル、マウス、トラックパッド、タッチスクリーン、スタイラス、カメラ、マイクなどを含むがこれに限定されない任意の適切な入力構成要素を備えることが可能であり、ユーザインターフェースは、ディスプレイユニット又はディスプレイ画面、1つ又は複数の照明又は光素子、1つ又は複数のスピーカー、振動子などを含むがこれに限定されない任意の適切な出力構成要素を備えることが可能である。
【0057】
処理部46は、フィードバック部45のためのガイダンス信号を生成するように構成され、ガイダンス信号は、フィードバック部に、処置デバイスがどの方向及び/又はどの処置領域に移動されるべきかを示すガイダンスを生成させるように構成される。フィードバック部45は更に、現在の処置領域が前の処置領域に対応するか、又はほぼ対応するかを示すフィードバックを生成する。このフィードバックは、一般に、視覚、聴覚、及び触覚のいずれか、又はいずれかの組合せである。それによって、フィードバック部45は、ディスプレイユニット(ディスプレイ画面、拡張現実(AR)表示を提供するために使用されるディスプレイ画面/透過パネル、又はピコプロジェクタ若しくは微小電気機械システム(MEMS)ピコプロジェクタなどのプロジェクタ)、1つ又は複数の照明又は光素子、1つ又は複数のスピーカー、及び1つ又は複数の振動子を含むがこれに限定されない1つ又は複数の出力構成要素を備える。好ましい実施形態では、フィードバック部45はディスプレイユニットであり、フィードバックは、指示のグラフィカル表現、処置領域の算出されたマップ、前の処置領域及び現在の処置領域、及び/若しくはパターン若しくは線を含むグラフィカル表示である。例えば、視覚ガイダンス(線、矢印、テキストなど)が肌上に表示されるか、又は、前に光パルスで処置された肌の領域と、処置デバイス2の現在の位置に従って光パルスで処置される領域とが表示される。
【0058】
いくつかの実施形態では、フィードバック部45は処置デバイス2に取り付けられるか、又はその一部である。他の実施形態では、フィードバック部45は装置42の一部である。それらの実施形態では、フィードバック部45は、装置42のユーザインターフェース構成要素の出力構成要素のうちのいずれかの一部であるか、又はそれを利用する。更なる実施形態では、フィードバック部45は、処置デバイス2及び装置42とは分離していることが可能であり、例えばスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、スマートミラーなどの分離したデバイスに存在することができる。
【0059】
装置42の実践上の実装形態は、
図2に示すものに対する追加構成要素を含むことが理解されるであろう。例えば、装置42は、電池などの電源、又は装置42を主電源に接続可能とする構成要素を更に含む。
【0060】
一般的な光ベースの処置では、処置デバイス2のユーザは、処置デバイス2を手動で肌上に配置する必要がある。光パルスは、手動又は自動でトリガされる。しかしながら、光パルス印加時又は光パルス印加後の短時間は、肌又は毛髪の変化は、ユーザにとってあまり知覚可能でない、又は全く知覚可能でなく、そのためユーザが身体部位の完全な網羅を実現すること、及び/又は、既に処置された肌の領域に対して光パルスを繰り返して身体部位の特定の領域を過度に処置することを回避することが困難である。
【0061】
一般的な処置の網羅を図示するために、
図3は、多くの光パルスが印加された後の腕60の赤外線画像を示す。この赤外線画像は、サーマルカメラを使用して得られたものである。この画像は、本開示の技法によって対処される問題を容易に図示するために含まれており、処置デバイス2、装置42、及びシステム40はサーマル(赤外線)カメラを含まないことが理解されるであろう。
図3の画像において、画像の一部の輝度は、その部分の温度に依存し、より明るい(より白い)部分はより高い温度に対応し、より暗い(より黒い)部分はより低い温度に対応する。より高い温度の領域に対応する数多くの明るい領域62(
図3ではその一部のみに参照符号が付されている)が腕60に存在することがわかる。これらの領域(処置された処置領域とも呼ぶ)は、光パルスが処置デバイス2によって最近印加されたことに起因してより高い温度を有する。光パルスは、光パルスが印加された肌の一部の温度のわずかな(一時的な)上昇を発生させる。腕60の多くの部分が光パルスによって最近処置されておらず、特に、明るい領域62間に間隙(参照符号64)が存在することが、
図3においてわかる。それにもかかわらず、光パルスによって肌に可視の変化を発生させる可能性は低く、そのため処置デバイス2のユーザは、腕60のどの部分が光パルスを印加されたかを認識できない。
【0062】
図4は、滑らせる動きにおける脚の一部の典型的な処置の例示であり、処置デバイスは、開始時に低速で移動しており、終了時に高速で移動している。この場合もやはり、開始時には、処置された処置領域62の間に間隙があり、終了時には、処置された処置領域が重複したことにより過度に処置された領域66がある。更に、滑らせる動きによって網羅される肌の部分(すなわち、処置された処置領域のストリップ)は、直線ではなく湾曲している。
【0063】
したがって、
図3及び
図4に示すように、従来の処置では、一般に、処置された処置領域の間に未処置の間隙があるか、隣接する処置された処置領域の間の間隙が(処置デバイスの移動方向において)どの程度の大きさであるか、及び隣接する処置された処置領域が重複しているかは、ユーザにはわからない。このことは、過少な処置及び過度な処置を回避するために、ユーザによる処置デバイスの移動中に処置、特に光パルスの射出(「フラッシュ」とも呼ぶ)を制御する必要があることを示している。
【0064】
図5は、本発明の第1の態様による方法100の例示的な実施形態のフローチャートである。方法のステップのうちの1つ又は複数は、装置42内の処理部46によって実行され得る。処理部46は、例えば、メモリ部48などのコンピュータ可読媒体上に記憶され得るコンピュータプログラムコードの実行に応答して1つ又は複数のステップを実行する。
図6は、方法100のステップを例示するために使用される概略図である。
【0065】
第1のステップ101において、現在の処置領域62bの位置が推定される。現在の処置領域62bは、処置デバイスが現在の処置位置にある時に光パルスを印加する肌の領域に対応する。第2のステップ103において、処置デバイスの移動方向Mにおける、前の処置領域62aから現在の処置領域62bまでの距離Dが決定される。前の処置領域は、処置デバイスが前の処置位置にある時に前の光パルスを印加した肌の領域に対応する。第3のステップ105において、距離Dがゼロであるか又は処置デバイスの移動方向M(ストローク方向とも呼ぶ)における処置領域の幅Wの整数倍であるかが判断される。第4のステップ107において、距離Dがゼロである又は処置領域の幅Wの整数倍であると判断された場合、光パルスを生成して肌の現在の処置領域62bに印加するように処置デバイスを制御するためのパルス制御信号が生成される。
【0066】
したがって、
図6に示すように、前に処置された処置領域62bから処置領域62bまでの距離は処置領域の幅Wの2(=整数)倍であるため、処置デバイスは現時点で、処置領域62bがフラッシュされる処置位置にある。したがって、処置領域62aと処置領域62bとの間には間隙64がある。しかしながら、間隙64のサイズは任意の幅ではなく、間隙64の幅は処置領域の幅Wの2倍である。したがって、間隙は、2つの未処置の処置領域63a、63bを網羅しており、これらの領域は、処置デバイスがその上を移動している間はフラッシュされていないが、この例では処置対象となる肌の部分68の後続のストローク(本明細書ではストリップとも呼ぶ)でフラッシュされることになる。
【0067】
図5に示す方法100は、処置デバイスの移動中に連続的に又は定期的に実施される。移動中に移動速度が変化した場合でも、2つの隣接する処置された処置領域間の間隙64がゼロ又は処置領域の幅Wの整数倍の幅を有することが保証される。第1のストリップの後に更に肌の1つ又は複数のストリップが処置される必要がある場合、第2のストリップがストリップ間に実質的に間隙なく第1のストリップに隣接して配置されるように、処置デバイスの横移動は、(移動方向Mに垂直な)横方向における処置領域の長さLに対応する横ステップによって処置デバイスを横方向に表示するように、例えばガイダンス信号を介して指示される。
【0068】
処置領域の大きさは、処置デバイス2のアパーチャ10の大きさに依存する。いくつかの実施形態では、アパーチャ10の大きさは固定又は前に決定されており、処理部46は、処置領域の大きさを決定するために、アパーチャ10の大きさ(例えば、アパーチャ10の寸法)に関する情報と、任意選択として、アパーチャ10及び光源12の相対位置など、光パルスが印加された肌の領域の大きさに影響する他の情報とを利用できる。代替として、処理部46は、(例えば、使用前にアパーチャ10の画像がイメージングユニットを使用して取得された場合)アパーチャ10の画像を分析することによってアパーチャ10の大きさを決定できる。
【0069】
上述したように、いくつかの実施形態では、処置デバイス2は、身体の異なる部位を処置するために使用可能な複数の異なるアタッチメントを有する。これらのアタッチメントは、各光パルスを用いて処置される肌の領域の大きさを変更するために、異なるサイズのアパーチャ10を有する。この場合、前の処置領域の大きさを決定する時、処理部46は、アパーチャ10の大きさ(例えば、アパーチャ10の寸法)に関する情報と、任意選択として、光パルスが印加された時に使用されたアパーチャ10及び光源12の相対位置などの他の情報とを利用できる。
【0070】
いくつかの実施形態では、例えば処置デバイス2上でアタッチメントを特定するために処置デバイス2の1つ又は複数の画像又はビデオシーケンスを処理することによって、処置デバイス2上で使用されているアタッチメントが装置42によって検知され得る。一例では、処置デバイス2の使用前に、処置デバイス2から分離しているイメージングユニットによって、アパーチャ10の画像が取得され、処理部46は、アパーチャ10の画像を分析することによってアパーチャ10の大きさを決定できる。アパーチャ10の大きさは、エッジ検出及び(矩形)形状合わせなどの処理技法を使用して窓/アパーチャ10の寸法を抽出することによって決定され得る。
【0071】
代替として、装置42は、処置デバイス2に取り付けられたアタッチメントを示す信号を受信できる。処置デバイス2は、処置デバイス2に取り付けられたアタッチメントの種類を検出したことに応答して、その信号を提供できる。処置デバイス2は、例えば、処置デバイス2の本体とアタッチメントとの間で交換された信号に基づいて、又は取り付けられたアタッチメントの種類若しくは処置対象の身体部位の種類を示す、処置デバイス2に入力されたユーザ設定に基づいて自動的に、数多くの異なる手法でアタッチメントの種類を検出できる。別の任意選択として、異なるアタッチメントは異なる色を有するアパーチャ10を有し、装置42は、光パルスが身体部位に印加された時の光パルスの色を観察することによって使用中のアタッチメントを特定できる。アタッチメントが特定される、又は他のやり方で認識されると、特定されたアタッチメントに関連するアパーチャ10の大きさに関する情報が、例えばメモリ部48から取得され、処置領域の大きさを決定するために使用される。
【0072】
図7は、
図6に示すストリップ充填概念(すなわち、ストリップの処置領域がフラッシュされる順序)についての異なるストロークを示す図である。
図7Aによれば、第1のストローク(例えば、左から右へ)では、(a、d、g、及びjとして示された)2つおきの処置領域がフラッシュされ、処置された処置領域の間に2つの未処置の処置領域(bとc、eとf、hとiとして示された)が残る。
図7Bに示す第2のストローク(例えば、右から左へ)では、未処置の処置領域iから開始して2つおきの未処置の処置領域(i、f、c)がフラッシュされる。
図7Cに示す第3のストローク(再び左から右へ)では、残りの未処置の処置領域(b、e、h)がフラッシュされる。ユーザは、同じ軌道をたどって処置デバイスを正しい方向に移動させるように、有用な標示又はフィードバック、例えば肌上に投影された光路又は矢印によってガイドされることが好ましい。
【0073】
図7Dは、別の(隣接するストリップ)をフラッシュするために使用される第4のストローク(例えば、右から左へ)を示しており、ユーザは、例えば肌上の光信号又は投影に続いて、処置デバイスをその隣接するストリップへと横に移動させる。このストロークでは、未処置の処置領域t、q、n、及びkが第2のストリップの第1の処置領域としてフラッシュされる。続く2つのストロークでは、(第1のストリップと同じ方式で)第2のストリップの残りの未処置の処置領域がフラッシュされる。
【0074】
図8は、ユーザが処置中に低速の移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。このようなモードでは、処置デバイスの動作中に全ての処置領域がフラッシュされ得る。すなわち、前に処置された処置領域(この例では処置領域b)から現在の処置領域(例えば、処置領域c)までの距離がゼロであり、それにより、間に(実質的に)間隙なく現在の処置領域が前に処置された処置領域に直接隣接している場合、現在の処置領域(例えば、処置領域c)がフラッシュされる。したがって、ストリップのフラッシングの完了は、例えば、ストリップの長さに応じて0.25~1Hz(例えば、0.5Hz)の範囲のフラッシュ速度で10~30秒(例えば、20秒)かかる単一ストロークで実現される。
【0075】
図9は、ユーザが処置中に中速の移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。このようなモードでは、処置デバイスの動作中に1つおきの処置領域がフラッシュされ得る。
図9Aに示す第1のストロークでは、前に処置された処置領域(この例では処置領域a)から現在の処置領域(例えば、処置領域c)までの距離が処置領域の幅の1倍である場合、すなわち、現在の処置領域と前に処置された処置領域との間に1つの未処置の処置領域の間隙がある場合、現在の処置領域(例えば、処置領域c)がフラッシュされる。
図9Bに示す第2のストロークでは、次いで、未処置の処置領域(すなわち、第1のストロークで未処置のまま残された間隙)が処置される。第2のストロークは、第1のストロークとは反対方向に適用されることが好ましく、これは、ユーザを適宜にガイドすることによって、例えば、対応する指示又は標識を処置デバイス又は肌に表示することによって実現される。したがって、各ストロークにおけるストリップの一部のフラッシングの完了は、例えば、それぞれ0.25~1Hz(例えば、0.5Hz)の範囲のフラッシュ速度で5~15秒(例えば、10秒)かかる2つのストロークで実現される。
【0076】
図10は、ユーザが処置中に高速の移動速度を適用する場合のストリップの充填を示す図である。このようなモードでは、処置デバイスの動作中に2つおきの処置領域がフラッシュされ得る。
図10Aに示す第1のストロークでは、前に処置された処置領域(この例では処置領域a)から現在の処置領域(例えば、処置領域d)までの距離が処置領域の幅の2倍である場合、すなわち、現在の処置領域と前に処置された処置領域との間に2つの未処置の処置領域の間隙がある場合、現在の処置領域(例えば、処置領域c)がフラッシュされる。
図10Bに示す第2のストロークでは、(例えば、処置領域iから開始して)2つおきの未処置の処置領域が処置される。
図10Cに示す第3のストロークでは、(例えば、処置領域bから開始して)残りの処置領域が処置される。第2のストロークは、第1及び第3のストロークとは反対方向に適用されることが好ましい。したがって、各ストロークにおけるストリップの一部のフラッシングの完了は、例えば、それぞれ0.25~1Hz(例えば、0.5Hz)の範囲のフラッシュ速度で4~12秒(例えば、6又は8秒)かかる3つの単一ストロークで実現される。
【0077】
図11は、ユーザが処置中に可変移動速度を適用する場合、すなわち処置中に移動速度を変更する場合のストリップの充填を示す図である。一例として、
図11Aに示す第1のストロークでは、最初に低速の移動速度が適用されることにより最初の3つの処置領域a、b、cがフラッシュされ、その後ユーザが速度を上げることにより一部の処置領域f及びjのみがフラッシュされ、これらの間に間隙が残る。
図11Bに示す(好ましくは反対方向の)第2のストロークでは、ユーザが再び低速の移動速度を適用することにより、残りの未処置の処置領域i、h、g、e、及びdが全てフラッシュされ得る。その後、ストリップの全ての処置領域が処置されたとの標示、及び、肌の更なる部分が処置されるべきである場合は近隣のストリップへの横移動が可能であるとの標示がユーザに与えられることが好ましい。
【0078】
図12は、処置デバイスの現在の位置を決定するための本発明による例示的な方法200のフローチャートを示す。
【0079】
ステップ201において、第1の測定信号はセンサ44から受信される。第1の測定信号は、時間の経過に伴う処置デバイス2の位置及び/又は動きに関する情報を含む。上述したように、第1の測定信号は、動きセンサ44からの信号であり、又は第1の測定信号は、複数の画像若しくはビデオシーケンスを表す信号である。いくつかの実施形態では、ステップ201は、例えば動きセンサ44などの第1のセンサ44からの第1の測定信号と、例えばイメージングユニットなどの別のセンサ44からの測定信号とを受信することを含む。
【0080】
ステップ201において、第1の測定信号は、測定信号がセンサ44によって生成された時と例えばリアルタイムで、又はほぼリアルタイムでセンサ44から直接受信され得る。代替として、第1の測定信号は、センサ44によって事前に生成されて、後続の分析のために、例えばメモリ部48、処置デバイス2若しくはセンサ44と関連付けられたメモリ部、又はリモートのデータベースに格納され、その場合、ステップ201は、処理部46が格納場所(例えば、メモリ部48など)から第1の測定信号を取得又は取り出すことを含み得る。これらの代替の実施形態では、ユーザが処置動作を完了できる適時にフィードバックをユーザに提供するために、第1の測定信号は、第1の測定信号が生成された後の短時間(例えば数秒以下)で取得又は取り出される必要がある。
【0081】
ステップ203において、処置動作中に身体部位に対して処置デバイス2によって前に印加された光パルスの場合、処理部46は、この光パルスが生成又は印加された時の身体部位に対する処置デバイス2の位置を推定するために第1の測定信号を処理する。この推定された位置を「前の処置位置」と呼ぶ。
【0082】
センサ44が加速度計などの1つ又は複数の動きセンサである実施形態では、第1の測定信号は動き測定信号であり、ステップ203は、身体部位に対する処置デバイス2の動き及び位置を特定するために動き測定信号を処理することを含む。動きセンサ44が収容されているデバイスの動き及び位置を決定するために動きセンサからの測定結果を処理するための技法は、当分野では知られており、本明細書では詳しく説明しない。
【0083】
センサ44がイメージングユニットであり、第1の測定信号が複数の画像又はビデオシーケンスである実施形態では、ステップ203は、身体部位に対する処置デバイス2の動き及び位置を特定するために画像又はビデオシーケンスを処理することを含む。イメージングユニット44が処置デバイス2に取り付けられている実施形態では、処理部46は、画像又はビデオシーケンスにおける肌特徴及び/又は身体部位特徴を特定するためにその画像又はビデオシーケンスを処理し、画像又はビデオシーケンスにおけるそれらの肌特徴及び/又は身体部位特徴の動きを監視できる。画像又はビデオシーケンスにおけるそれらの肌特徴及び/又は身体部位特徴の決定された動きは、身体部位に対する処置デバイス2の動きに対応する。イメージングユニット44は、処置デバイス2中又は上に固定され、アパーチャ20とイメージングユニット44の視野との関係は知られており、処理部46は、前の処置位置、すなわち光パルスが印加された時の身体部位に対する処置デバイス2の位置を決定できる。肌特徴及び/又は身体部位特徴を特定するために画像又はビデオシーケンスを処理するための技法は、イメージング処理の分野では一般的に知られているが、以下でいくつかの更なる詳細を説明する。
【0084】
イメージングユニット44が処置デバイス2から分離しており遠くから処置デバイス2と身体部位との両方を観察できる代替の実施形態では、ステップ203において、処理部46は、処置デバイス2並びに肌特徴及び/又は身体部位特徴を特定するために画像又はビデオシーケンスを処理し、時間の経過に伴うそれらの相対位置を監視できる。処置デバイス2並びに肌特徴及び/又は身体部位特徴を特定するために画像又はビデオシーケンスを処理するための技法は、イメージング処理の分野で一般的に知られているが、以下でいくつかの更なる詳細を説明する。
【0085】
1つ又は複数のセンサ44が1つ又は複数の動きセンサ及びイメージングユニットを備える実施形態では、ステップ203は、身体部位に対する処置デバイス2の位置を推定するために、動きセンサ及びイメージングユニットのうちの一方からの第1の測定信号を、動きセンサ及びイメージングユニットのうちの他方からの第2の測定信号とともに、処理することを含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、例えば、1つ又は複数のセンサ44が1つ又は複数の動きセンサ及びイメージングユニットを備える上記の実施形態では、ステップ203は、身体部位に対する処置デバイス2の位置を決定するために自己位置推定及びマッピングの同時実行(SLAM)技法を使用することを含み得る。
【0087】
ステップ203において、時間の経過に伴う身体部位に対する処置デバイス2の動き及び/又は位置を推定するために第1の測定信号を処理すると、光パルスが生成又は印加された時における身体部位に対する処置デバイス2の推定済みの位置として、前の処置位置が決定される。
【0088】
ステップ205において、ステップ203で光パルスが評価された場合、ステップ203で決定された前の処置位置に基づいて、処理部46は、光パルスが印加された身体部位の肌の領域を推定する。この推定された領域を、処置デバイス2が前の処置位置にあった時に印加された光パルスの「前の処置領域」と呼ぶ。前の処置位置は、処置デバイス2のアパーチャ20の位置との既知の関係を全般的に有する。これによって、ステップ205は、光パルスが印加された身体部位上の肌の適切な領域を決定できる。例えば、前の処置位置がアパーチャ20の幾何学的中心として推定される場合、前の処置領域は、関連する前の処置位置の中心に置かれ得る。光パルスが印加された時の処置デバイス2の向きは、肌上の前の処置領域の向きを決定するために使用される。
図3を参照すると、ステップ205で推定又は決定された前の処置領域は、明るい領域62に全般的に対応するはずである。
【0089】
ステップ203及び205は、処置動作において複数の(又は全ての)前の光パルスに対して実行される。好ましい実施形態において、ステップ203及び205は、光パルスが身体部位に印加された時、若しくはその後の短時間で、又は更には処置デバイスの移動中に継続的に実行される。したがって、光パルスが処置デバイス2によって身体部位に印加されたとの決定に応答して、ステップ203及び205が実行される。処理部46は、数多くの異なる手法のうちの1つ(又は複数)で、光パルスが身体部位に印加されたと決定する。装置42が処置デバイス2の一部である実施形態では、処理部46は、光源12から、又は光源12用の制御回路から、光パルスが生成されたことを示す信号を受信できる。代替として、装置42が処置デバイス2から分離している実施形態では、処理部46は、処置デバイス2から、光パルスが生成されたことを示す信号を受信できる。別の代替として、センサ44がイメージングユニットである場合、又はイメージングユニットが他のやり方でシステム40に設けられている場合、イメージングユニットからの画像又はビデオシーケンスが、光パルスを特定するために処理され得る。
【0090】
例えば、
図13は、イメージングユニットによって取得された身体部位69の2つの画像66を示す図である。
図13Aの画像66(参照符号66-1)では、処置デバイス2の一部が、身体部位69の肌とともに可視である。この画像が取得された時、処置デバイス2は身体部位69に光パルスを印加していない。
図13Bの画像66(参照符号66-2)が取得された時、処置デバイス2は光パルスを身体部位69に印加しており、これは、画像66-2の明るい方の上部によって可視である。したがって、実施形態では、処理部46は、光パルスの発生を特定するために画像又はビデオシーケンスを処理するように構成され得る。画像毎に(又は一連の画像毎に)平均輝度を算出し、非常に明るい(例えば閾値量を上回って明るい)画像があるかを認識するために、平均輝度間を比較することによって、光パルスの発生が認識され得る。代替として、画像毎又は一連の画像毎の平均輝度は、その輝度が印加された光パルスと一致しているかを判断するために、閾値量と比較され得る。いくつかの実施形態では、閾値量は、環境照明状態に基づいて調節され得る。これらの実施形態は、装置42が処置デバイス2と通信可能に接続される必要がなく、装置42が従来の処置デバイス2とともに使用可能であるという利点を有する。
【0091】
ステップ207において、処理部46は、身体部位に対する処置デバイス2の現在の位置を推定するために、第1の測定信号を処理する。ステップ207における処理は、光パルスが生成又は印加された時の身体部位に対する処置デバイス2の位置を推定するために、処理部46によってステップ203で使用された処理と同一であり得る。
【0092】
ステップ209において、処理部46は、ステップ207で推定された処置デバイス2の現在の位置に基づいて、処置デバイス2の現在の位置において光パルスが印加される身体部位の肌の領域を推定する。この推定された領域を「現在の処置領域」と呼ぶ。ステップ209における処理は、前の光パルスが印加された身体部位の肌の領域を推定するために処理部46によってステップ205で使用された処理と同一であり得る。ステップ205と同様に、ステップ209において、現在の処置領域の大きさを推定する際に、アパーチャ10の大きさが考慮に入れられ得る。
【0093】
図14は、本発明の第2の態様による方法300の例示的な実施形態のフローチャートである。ステップ301において、処置デバイスの事前に設定された速度に基づいて、処置デバイスの移動方向における処置領域の幅の整数倍が設定される。ステップ303において、処置デバイスの移動方向における(最後のフラッシング以後に)処置デバイスが移動した距離が決定される。ステップ305において、決定された距離が処置領域の幅の設定された整数倍に対応する場合、処置デバイスの現在の位置における処置のための光パルスを生成して印加するように処置デバイスを制御するためのパルス制御信号が生成される。処置中に移動速度が変更された場合、距離に関する状態を正確にチェックするために、上記で説明した方式と同じ方式で、処置された処置領域間の間隙がゼロになるように又は処置領域の整数倍に対応する幅を有するように整数倍が再計算される。したがって、最小限の時間で最適な処置を実現でき、ユーザは、処置デバイスの所望の移動速度を柔軟に使用すること、又は更には変更することが可能になる。
【0094】
本発明の実施形態で使用される任意選択のステップとして、処理部46は、フィードバック部45に対するフィードバック制御信号を生成する。フィードバック制御信号(又はガイダンス信号)が、フィードバック部45に、処置デバイスがどの方向及び/又はどの処置領域に移動されるべきか、例えば、
- 肌の第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がある場合、第2のストロークにおいて処置デバイスが肌の同じ第1の部分の上であるが反対方向に移動されるべきであること、又は
- 肌の第1の部分における処置された処置領域の間に未処置の処置領域がない場合、肌の第1の部分の処置が終了したこと、及び/若しくは、第2のストロークにおいて処置デバイスが第1の部分とは異なる肌の第2の部分の上で移動されるべきであること
のうちの1つ又は複数を示すフィードバック(又はガイダンス)を生成させるように、フィードバック制御信号は生成される。フィードバック部によって他の情報も示されてもよい。
【0095】
上記方法は、フィードバックがユーザに提供されるように、生成されたフィードバック制御信号をフィードバック部45に提供するステップを更に有する。上述したように、フィードバック部45は、光パルスが前に印加された位置に処置デバイス2が存在するか否かを示す、視覚、聴覚、及び触覚フィードバックの組合せを提供するように構成される。処置デバイス2のユーザは、処置デバイス2の現在の位置で光パルスをトリガするかを判断するためにそれらの標示を使用可能であり、ユーザが対象者の肌に対する処置動作の網羅度を改善する上で役立ち得る。
【0096】
一例として、フィードバック制御信号は、現在の位置で光パルスが射出されないと決定された場合に、赤色灯(例えば、処置デバイス2上で)を点灯させ得るか、又は、現在の位置で光パルスが射出されると決定された場合に、緑色灯(例えば、処置デバイス2上で)を点灯させ得る。別の例として、赤色灯/緑色灯は、触覚フィードバック(例えば、処置デバイス2の振動)と置き換えられ得る(又はそれが付随され得る)。別の例として、赤色灯/緑色灯は、聴覚フィードバック(例えば、雑音、聴覚メッセージなど)と置き換えられ得る(又はそれが付随され得る)。
【0097】
好ましい実施形態では、フィードバック部45は、AR表示を提供するために使用されるディスプレイ画面、透過パネル、又はプロジェクタなどのディスプレイユニットである。それらの実施形態では、フィードバック信号は、ディスプレイユニットに、身体部位に重ねられたグラフィカル表現を含むグラフィカル表示を生成させる表示制御信号である。
【0098】
ディスプレイユニットがAR表示を提供するために使用される透過パネルである実施形態では、透過パネルは、ユーザの視線上に配置されることが可能であり、それによってユーザと処置対象の身体部位との間の直線上に存在し、ユーザが透過パネルを介して身体部位を見ることができる。いくつかの実施形態では、その透過パネルは、一対の眼鏡における一方又は両方のレンズである。前の処置領域及び現在の処置領域のグラフィカル表現は、透過パネル上に投影又は表示されることが可能であり、それによってそのグラフィカル表現は、ユーザの視点における身体部位の正しい位置に重ねられる。このように、ユーザは、身体部位上の前に処置された領域をより容易に見ることができる、身体部位のARビューが提示される。
【0099】
フィードバックが処置デバイス2の使用中(例えば、処置デバイス2が身体部位上で動かされ、光パルスが印加されている時)に提供される実施形態では、ステップ201~209は、全体的に継続して実行され得る。すなわち、ステップ201において、測定信号は、(例えば、センサ44のサンプリング速度に従って、又はセンサ44から装置42への伝送速度(例えば、パケット速度)に従って)全体的に継続して受信されることが可能であり、ステップ203~209は、ユーザに提供されるフィードバックを更新するために、全体的に継続して実行され得る。
【0100】
センサ44が処置デバイス2に取り付けられたイメージングユニットであり、ステップ203及び205において画像若しくはビデオシーケンスにおける肌特徴及び/又は身体部位特徴を特定するために、処理部46がその画像又はビデオシーケンスを処理する、SLAM技術を使用した実施形態では、処理部46は、多数の異なる技法のうちの1つ又は複数を使用して画像又はビデオシーケンスを処理できる。いくつかの実施形態では、肌特徴は、Shi-Tomasiコーナー検出法及び/又はスケール不変特徴変換(SIFT)法などの特徴検出アルゴリズムを使用して検出され得る。代替として、肌特徴に対して最適化されたAIベースの特徴検出技法が使用可能である。時間の経過に伴う処置デバイス2の動きを推定するために、連続した画像又は連続したビデオフレームの間で肌特徴を一致させることによって、画像又はビデオシーケンスにおける検出済み肌特徴の位置が、時間の経過に伴って追跡され得る。2つの連続した画像又はビデオフレームの特徴の2つのセット間のホモグラフィを計算することによって、身体部位に対する処置デバイス2の動きは決定され得る。ホモグラフィは、同一の平面を見た時に2つのイメージングユニットの位置及び向きの間の関係を決定する。したがって、前述したように、この動作はSLAM技術を使用する。すなわち、処置/移動中、肌領域がマッピングされ、フラッシュされた肌領域の履歴が保持される。
【0101】
時間の経過に伴って、測定結果及び/又は処理技法におけるエラーの蓄積に起因して、現在の処置位置の位置算出においてドリフトが存在し得る。このドリフトを減少させる、又はそれを回避するために、肌特徴の検出及び動き追跡は、2つの画像又はビデオフレームを越えて拡大されることができ、それによって肌特徴は複数の画像又はビデオフレーム上で追跡される。
【0102】
ホモグラフィ算出のために、画像に示す身体部位に応じて、SLAMなどの非平面上で肌特徴の位置を追跡するために適した画像処理技法が使用可能である。
【0103】
いくつかの実施形態では、処置デバイス2は、光パルスを自動的にトリガするように構成される。この場合、装置42は、光パルスを生成するために処置デバイス2を自動的にトリガするように構成され得る。いくつかの実施形態では、処置デバイス2が肌と接触している、及び/又は処置デバイス2が接触している肌の色が光パルスを受信するのに適しているなど、1つ又は複数の更なる条件が、光パルスをトリガするために適用される。光パルスが処置デバイス2の現在の位置で印加可能な場合、処理部46は、光源12を作動させる作動信号、又は、処置デバイス2に光源12を作動させる作動信号を決定し得る。
【0104】
図15は、本発明による処置デバイス400の別の実施形態の概略図である。処置デバイス400は、カメラと、カメラ画像を捕捉するとともに加速度計及びジャイロスコープの値を取得するIMU(慣性測定部)402とを備える。データは、プローブの位置及び向き(特に、処置ウィンドウの位置)を算出する視覚慣性SLAM部404に提供される。肌マップ生成器406は、評価のために処置領域のマップ、例えば3D肌マップを算出する。肌領域評価部408は、カメラ画像を評価して、見逃したスポット又は過度の処置を特定する。IPL(インテンスパルスライト)ランプ制御部410は、上記で説明したようにデバイスが前に処置された処置領域のすぐ隣にあるか又はスポットサイズの整数個分に等しい距離にある時に、例えばアルゴリズムを使用して、フラッシングを制御する。ユーザフィードバック部412は、例えば、照明、レーザ投影、又は音を使用して、ユーザが「軌道に乗る」ように支援する。処置デバイス全体の機能は、所望の処置領域全体が確実に処置されるように制御される。
【0105】
本開示の装置及び方法の一実施形態では、処置セッションの前に処置領域の参照肌マップが生成される。この生成は、カメラを処置領域に向けた状態で処置デバイスを滑らせながら肌部分の一連の画像フレームを捕捉し、各画像フレームに関連する加速度計及びジャイロスコープのデータを記録し、処置領域の参照肌マップを生成することによって行われる。
【0106】
本開示の装置及び方法の一実施形態では、肌処置ストリップにおける単一又は複数ストローク処置中にフラッシングが自動的に制御される。この制御は、処置領域に隣接する肌領域の画像を捕捉し、捕捉された肌領域画像及びIMUデータに基づいて処置デバイスの位置及び向きを算出し、処置領域の参照肌マップを参照して処置対象の処置領域の位置及び向きを画定し、その位置が既定の位置内にある場合にフラッシングを可能にすることによって行われる。既定の位置は、単一又は複数ストローク処置中に処置領域間の重複が最小限になるように肌処置ストリップでの処置を最適化することに基づいて算出される。
【0107】
本開示の装置及び方法の一実施形態では、最初の及び後続の肌処置ストリップに沿った処置中、処置デバイスをスライドしている間にユーザにユーザガイダンスが提供される。この提供は、処置領域に隣接する肌領域の画像を捕捉し、捕捉された肌領域画像及びIMUデータに基づいて処置デバイスの位置及び向きを算出し、処置領域の参照肌マップを参照して処置対象の処置領域の位置及び向きを画定し、処置セッション中に処置ストリップ間の重複が最小限になるようなスライド方向のガイダンスのために、視覚ガイダンス、例えば肌へのレーザ投影をユーザに提供することによって行われる。
【0108】
既に述べたように、処置済みの処置領域及び未処置の処置領域の位置を特定するために、(ビデオベース又はスペックルベースのいずれかの)SLAM技術を使用できる。本発明は、上記で説明したように、未処置の処置領域のみが確実にフラッシュされるようにする。ガイド速度が一定でない場合でも、ストリップは自動パルスで充填される。このようなシナリオでは、以下のステップが実行される。
【0109】
処置は、処置対象の処置領域の端のいずれかの場所から始まる。SLAM技術は、処置対象の領域に隣接する領域(前方方向と後方方向との両方)をマッピングし、距離を測定する。ユーザによって、滑らせる動きが(通常は任意の速度で)開始される。SLAM技術は、現在の処置領域が前に処置された処置領域から処置領域の幅の整数個分だけ離れているかに関する知識を提供する。フラッシュランプコンデンサが充電されており、現在の処置領域が前に処置された処置領域から整数個分だけ離れている場合、フラッシュが行われる。逆方向では、未処置の処置領域の一部又は全部が「充填される」。これは、「ストリップ」全体が処置されるまで繰り返される。前後の速度及び単一ストロークの速度は必ずしも同じである必要はない。
【0110】
ストローク間での処置ストリップのずれを回避するために、ユーザは各ストローク中にレーザ線によってガイドされ得る。(芝刈りに相当するように)ストリップ間の間隙なしに隣接するストリップを処置するために、ユーザは同様にガイドされ得る。
【0111】
第2の「ストリップ」の横方向の位置変更には、前の走査の境界を定める線(レーザ若しくはフラッシング)又は右若しくは左を示すLEDが使用される。これにより、ユーザは前の走査に隣接して横方向に前の走査を繰り返すことが可能になる。パルスが自動的に印加されるので、ユーザはその線に従うだけでよい。
【0112】
別の実施形態では、音声信号によって速度ガイダンスが与えられ得る。後続のストリップを異なる速度で処置することは全く問題ないが、ユーザは各ストリップを同じ往復回数で行うことを好むことがある。ユーザが好ましい速度から逸脱しそうになる場合、(音声又は光を使用した)「速度」ガイダンスが警告する。
【0113】
別の実施形態では、AIベースのフィードバックが与えられる。処置後、又は更には処置中に、より低速又はより高速の速度が使用される場合に到達できる範囲に関する助言が与えられる。それらの速度で処置されたパターンのAIを使用して、ユーザがどの速度でどのように処置するのが最善であるかに関する標示が与えられる。例えば、多くのユーザは、ある方向に別の方向よりも高い速度で移動する方が快適であると感じる。AIを用いると、この好みが「学習」又は認識され、少なくともその後は「速度ガイダンス」の音(又は他の標示)がこの好みと一致するようになる。
【0114】
要約すると、本発明により、過度な処置及び過少な処置が実質的に減少するか、又は更には回避される。更に、総処置時間が大幅に短縮される。処置はデバイス(充電時間)によってのみ制限されるため、処置は高速で進行でき、デバイスを正しいスポットに配置するよう試みるのに時間を費やすことはない。肌への影響が軽減されるため、刺激が軽減される可能性がある。追加の利点は、効率の向上、消費電力の削減、最適な処置、及びデバイスを任意の所望の速度で使用できる柔軟性である。
【0115】
本発明を図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明してきたが、そのような図示及び説明は、例証的又は例示的なものであり限定的なものではないとみなされ、本発明は、開示された実施形態に限定されない。本開示の実施形態に対する他の変形は、特許請求された本発明を実践する際に、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を熟慮することにより、当業者によって理解され、実現され得る。
【0116】
請求項において、「備える」という語は、他の要素又はステップを排除せず、単数形は、複数を排除しない。単一の要素又は他のユニットは、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を果たす。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという事実のみで、それらの手段の組合せが効果的に使用できないことを示すものではない。
【0117】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な非一時的媒体上に記憶/分散されるが、インターネット又は他の有線又は無線通信システムを介するなど、他の形態でも分散される。
【0118】
請求項における参照符号は、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】