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特表2024-546100エンスリゾールを含む化粧料組成物の耐水性の向上
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】エンスリゾールを含む化粧料組成物の耐水性の向上
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20241210BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q17/04
A61K8/31
A61K8/73
A61K8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534083
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2022084709
(87)【国際公開番号】W WO2023104848
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213232.8
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.LOROL
3.LANETTE
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシャイェ, シリル
(72)【発明者】
【氏名】メンドロック‐エディンガー, クリスティン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC351
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC511
4C083AC512
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD202
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD352
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、UVフィルターであるエンスリゾールと、脂肪酸とデキストリンとのエステルと、分岐及び直鎖飽和C15~C19の混合物とを含む化粧料組成物であって、前記混合物は、主に分岐飽和C15~C19を含む、化粧料組成物に関する。この化粧料組成物は、紫外線防御指数の向上した耐水性を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物であって、
- 式(I)
【化1】

のUVフィルター又はその塩と;
- 分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と;
- 脂肪酸とデキストリンとのエステルと
を含み、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、化粧料組成物。
【請求項2】
前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の直鎖飽和C15~C19アルカンの量は、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは5重量%超であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分岐飽和C18アルカンの量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して50重量%超、好ましくは60重量%超、更により好ましくは70重量%超であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式RORのジアルキルエーテル、式ROOCRCOORのジカルボン酸のジエステル及び式RCOORの脂肪族モノエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤を更に含み、式中、
は、C5~14アルキル基、特にC6~10アルキル基を表し;
は、任意選択的に少なくとも1つのOH基を含むC2~10アルキレン基、特にC4~8アルキレン基を表し;
は、C2~14アルキル基、特にC2~8アルキル基を表し;
は、C4~22アルキル基、特にC7~16アルキル基を表し;
は、C8~20アルキル基、特にC8~16アルキル基、より詳細にはC10~16アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
エモリエント剤は、セバシン酸ジイソプロピルであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の更なるUVフィルターを更に含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記更なるUVフィルターは、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル)及びビスオクトリゾール(メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記式(I)のUVフィルター対前記更なるUVフィルターの重量比は、1:15~5:1、好ましくは1:10~4:1、より好ましくは1:8~3:1であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの前記脂肪酸は、C14~C18脂肪酸、特に直鎖C14~C18脂肪酸、最も好ましくはパルミチン酸であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの前記デキストリンは、3~20、特に8~16の平均糖鎖重合度を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルは、グルコース単位当たり2.5超、好ましくは2.7~3.5、より好ましくは28~3.4、最も好ましくは2.8~3.2の、エステル化されたヒドロキシル基の平均数を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルは、8,000~16,000Da、好ましくは9,000~13,000Da、より好ましくは10,000~11,500Daの分子量Mを有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
水を含み、且つエマルジョンの形態であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、更により好ましくは50以上の紫外線防御指数(SPF)を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも、式(I)
【化2】

のUVフィルター又はその塩を含む局所用化粧料組成物の耐水性を向上させるための、脂肪酸とデキストリンとのエステルとの組み合わせにおける、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の使用であって、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、UV光から保護する化粧料組成物の分野、特に好ましくはDSM Nutritional Products Ltdによってパルソール(PARSOL)(登録商標)HSとして市販されているようなUVフィルターを含む化粧料組成物に関する。
【0002】
[発明の背景]
上品な青白さから離れて「健康的でスポーティな褐色の肌」に向かう傾向が長年にわたって続いている。太陽光線は、メラニン形成という意味で色素形成を引き起こすため、このような肌を達成するために、人々は、皮膚を太陽光線に曝す。しかし、太陽光の紫外放射は、皮膚を損傷する作用も有する。急性的な損傷(サンバーン)に加えて、皮膚がUV(B)領域(波長:280~315nm)の光に過度に曝露されると、皮膚がんのリスクが上昇するなどの長期的な損傷も起こる。UV(B)及びUV(A)放射(波長:315~400nm)に過度に曝露されると、結合組織のエラスチン線維及びコラーゲン線維の強度も低下する。これは、多くの光毒性及び光アレルギー性反応を引き起こし、その結果として皮膚が早期に老化する。
【0003】
そのため、皮膚を保護することを目的として、化粧品製剤に使用することができる一連の光防御遮蔽物質が開発されている。
【0004】
化粧料組成物がUV放射から皮膚を保護する能力は、典型的には、紫外線防御指数(SPF)で示される。
【0005】
エンスリゾールは、非常に重要なUV(B)フィルターであるが、UV(A)光を防御する能力がごく限られている。
【0006】
エンスリゾールは、中和されてpHが7を超えると、水に非常によく溶けるようになる。典型的な中和剤は、NaOH又はトリエタノールアミン若しくはトロメタミンなどのアミンである。
【0007】
紫外線防御化粧料組成物が、典型的には水浴び中に起こるように水に曝露されると、通常、皮膚からUVフィルターがかなり除去され、それによりUV光を防御する能力が低下する。これは、組成物のSPFの顕著な低下に表れ得る。特に、エンスリゾールは、水への曝露によってこのように除去される傾向があることが認められている。
【0008】
仏国特許出願公開第3073407A1号明細書は、特定のアクリレートポリマー、デキストリンのエステル及びUVフィルターを含む光防御組成物を開示している。実施例1及び4では、組成物は、他のUVフィルター以外に、UVフィルターであるフェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びイソヘキサデカンを含む。前記組成物のSPFは、調製直後に測定及び比較されている。しかしながら、仏国特許出願公開第3073407A1号明細書は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を開示しておらず、光防御組成物の耐水性に関するものでもない。
【0009】
しかし、日焼け防止製品の耐水性は、今日の日焼け止めに対する重要な条件であり、例えば皮膜形成性ポリマーを添加することによって改善され得る。しかし、このような皮膜形成性ポリマーは、例えば、独国特許出願公開第102010063825号明細書に概説されるように、効果が不十分であるか、及び/又はこのような製品は、皮膚上で油っぽく、もたつき、べたついた感触を呈することが多いため、その結果として生じる官能特性により、最終消費者にとっての製品の魅力を失わせるかのいずれかである。
【0010】
[発明の概要]
したがって、解決すべき課題は、UVフィルターであるエンスリゾールを含む、耐水性が大幅に向上した紫外線防御化粧料組成物を得ることである。
【0011】
驚くべきことに、請求項1に記載の化粧料組成物は、この課題を解決できることが見出された。
【0012】
エンスリゾールを含む紫外線防御化粧料組成物の耐水性は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの特定の混合物と、脂肪酸とデキストリンとのエステルとを添加することによって著しく改善され得ることが示された。C15~C19アルカンの好ましい混合物は、生物由来物から得ることができるため、この解決策は、この課題に対する非常に持続可能性が高く且つ有利な手法となることが特に見出された。したがって、紫外線防御指数(SPF)が高く、耐水性が大幅に向上した化粧料組成物を提供することが可能になる。
【0013】
UVフィルターであるエンスリゾールを他のUVフィルターと組み合わせると、耐水性が一層顕著に向上することが見出された。
【0014】
特に、直鎖及び分岐飽和C15~C19アルカンの特定の混合物が化粧料組成物の耐水性を高くするために重要であることが認められた。
【0015】
更に、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの特定の混合物と、脂肪酸とデキストリンとのエステルとを添加することにより、砂付着性が低下したエンスリゾールを含む化粧料組成物を得ることができることが認められた。
【0016】
本発明の更なる態様は、更なる独立請求項の主題である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0017】
[発明の詳細な説明]
第1の態様では、本発明は、化粧料組成物であって、
- 式(I)
【化1】

のUVフィルター又はその塩と;
- 分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と;
- 脂肪酸とデキストリンとのエステルと
を含み、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、化粧料組成物に関する。
【0018】
本明細書では、「Cx~yアルキル」基とは、x~y個の炭素原子を含むアルキル基であり、即ち、例えば、C1~3アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり得る。例えば、-CH(CH)-CH-CHは、Cアルキル基とみなされる。
【0019】
同様に、「Cx~yアルキレン」基とは、x~y個の炭素原子を含むアルキレン基であり、即ち、例えば、C1~3アルキレン基は、1~3個の炭素原子を含むアルキレン基である。アルキレン基は、直鎖又は分岐鎖であり得る。例えば、-CH-CH-CH-及び-CH(CH)-CH-及び-C(CH-CH)-及び-C(CH-は、全てCアルキレン基とみなされる。
【0020】
本明細書では、いくつかの式中に記号又は基に関する同じ符号が存在する場合、1つの特定の式に関連してなされた前記基又は記号の定義は、同じ前記符号を含む他の式にも適用される。
【0021】
本明細書における「UVフィルター」という用語は、紫外光(=UV光)、即ち280~400nmの波長の電磁放射を吸収する物質を表す。UV(A)フィルターは、UV(A)光、即ち315~400nmの波長の電磁放射を吸収するUVフィルターである。UV(B)フィルターは、UV(B)光、即ち280~315nmの波長の電磁放射を吸収するUVフィルターである。
【0022】
液体有機UVフィルターは、周囲温度(即ち25℃)で液体である。
【0023】
固体有機UVフィルターは、周囲温度(即ち25℃)で固体である。
【0024】
本明細書における「分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物」は、前記混合物が異なるアルカンを含み、そのそれぞれが15個、16個、17個、18個又は19個のみの炭素原子を含み、その炭素数を下回るアルカンを一切含まないことを意味する。したがって、この種の混合物は、例えば、ドデカンもイソドデカンも含まない。前記混合物は、分岐及び直鎖の両方のC15~C19アルカンを含む。
【0025】
[式(I)のUVフィルター]
本化粧料組成物は、式(I)
【化2】

のUVフィルターを含む。
【0026】
式(I)のUVフィルター(CAS:[27503-81-7])は、融点が1>300℃の固体である。これは、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(INCI名)及びエンスリゾールとしても知られている。
【0027】
エンスリゾールは、特に280~340nmの領域の光を吸収し、吸収極大が302nmにある強力なUV(B)光フィルターである。
【0028】
エンスリゾールは、日焼け防止製品に広く使用されているUVフィルターである。エンスリゾールは、水溶性を有するため、軽く、油性感が少なくなるように配合される製品によく使用されている。UV(A)光の吸収特性が低いため、これは、通常、他のUVフィルター、特に(UV(A)フィルター、特にアボベンゾンと併用される。
【0029】
エンスリゾールは、Merck KGaAからEUSOLEX(登録商標)232の商標及び特にDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)HSの商標で商品化されている。
【0030】
[脂肪酸とデキストリンとのエステル]
本化粧料組成物は、脂肪酸とデキストリンとのエステルを更に含む。
【0031】
デキストリンは、D-グルコースの低重合体である。その構造は、以下に示す簡略化された構造で表すことができる。
【化3】
【0032】
デキストリンは、様々な平均糖鎖重合度を有し、それにより様々な分子量を有することになる。
【0033】
本発明では、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルのデキストリンは、好ましくは、3~20、特に8~16の平均糖鎖重合度を有する。
【0034】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの脂肪酸は、好ましくは、C14~C18脂肪酸、特に直鎖C14~C18脂肪酸、最も好ましくはパルミチン酸である。
【0035】
特に、好適な脂肪酸とデキストリンとのエステルは、千葉製粉株式会社(Chiba Flour Milling)からレオパール(Rheopearl)(登録商標)KL2として商品化されているパルミチン酸デキストリンである。
【0036】
デキストリンは、エステル化され得るいくつかのヒドロキシル基を有する。
【0037】
好ましくは、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルは、グルコース単位当たり2.5超、好ましくは2.7~3.5、より好ましくは28~3.4、最も好ましくは2.8~3.2の、エステル化されたヒドロキシル基の平均数を有する。
【0038】
一実施形態では、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルは、グルコース単位当たり3超、好ましくは3.05~3.5、より好ましくは3.1~3.4、最も好ましくは3.1~3.2の、エステル化されたヒドロキシル基の平均数を有する。
【0039】
換言すると、好ましくは、デキストリンの基本的に全てのヒドロキシル基がエステル化される。
【0040】
更に好ましくは、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルは、8,000~16,000Da、好ましくは9,000~13,000Da、より好ましくは10,000~11,500Daの分子量Mを有する。
【0041】
分子量Mnは、特にポリスチレンを標準物質として用いるSEC/GPCにより、ダルトン(Da)単位で求められる。
【0042】
脂肪酸及びデキストリンは、両方とも生物由来である。化学物質が生物に由来することは、そのような材料又はその製造物の持続可能性が高くなるため、非常に有利である。持続可能性の高い製造物又は組成物は、市場における需要が非常に高い。
【0043】
[分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物]
本化粧料組成物は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含む。
【0044】
C15~C19アルカンの特に好適な混合物は、特に国際公開第2016/185046号パンフレット、国際公開第2017/046177号パンフレット、国際公開第2018/109353A1号パンフレット及び国際公開第2018/109354A1号パンフレット及び国際公開第2018/172228A1号パンフレットに開示されているものである。
【0045】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、生物由来炭素の含有率が分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の総重量に対して90%以上である。化学物質が生物に由来することは、そのような物質の持続可能性が高くなることから、非常に有利である。持続可能性の高い製造物又は組成物は、市場における需要が非常に高い。
【0046】
生物由来材料の含有量又は生物由来炭素の含有量の決定は、ASTM規格D 6866-12、B法(ASTM D 6866-06)及びASTM D 7026(ASTM D 7 026-04)に準拠して行われる。ASTM規格D 6866は、「放射性炭素及び同位体比質量分析を用いた自然変動幅範囲のバイオマス由来度の決定」に関するものである一方、ASTM規格D 7 026は、「炭素同位体分析によって材料のバイオマス由来度を測定するための試料採取及び結果の報告」に関するものである。2番目に挙げた規格の第1段落に、1番目に挙げた規格が言及されている。1番目の規格は、試料の14C/12C比を測定する試験について記載しており、この試料を、100%再生可能材料に由来する標準試料の14C/12C比と比較することにより、試料中の再生可能材料由来のCの相対的比率が与えられる。この規格は、14Cによる年代測定と同じ概念に基づく。
【0047】
更に好ましくは、本組成物は、芳香族炭化水素を分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカン混合物の総重量に対して全く含まないか又は非常に少量(100ppm未満、特に30ppm未満)で含む。
【0048】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、特に国際公開第2016/185046号パンフレットに詳述されているような炭化水素バイオマス供給原料の接触水素化によって製造されるもの、特に国際公開第2016/185046号パンフレットの実施例3として開示されているものである。
【0049】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の直鎖飽和C15~C19アルカンの量は、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは5重量%超である。
【0050】
更に好ましくは、C15の量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して3重量%未満、特に1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満である。
【0051】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、分岐及び直鎖飽和C16~C19アルカンの混合物である。
【0052】
更に好ましくは、分岐飽和C16~C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して90重量%超、好ましくは95重量%超である。
【0053】
更に好ましくは、C15アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して5重量%未満、特に2重量%未満である。
【0054】
更に好ましくは、C16アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して5重量%未満、特に2重量%未満である。
【0055】
更に好ましくは、分岐飽和C17~C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して85重量%超、好ましくは92重量%超である。
【0056】
更に好ましくは、C17アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して15~20重量%である。
【0057】
更に好ましくは、分岐飽和C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して50重量%超、好ましくは60重量%超、更により好ましくは70重量%超である。
【0058】
更に好ましくは、C18アルカンの量は、特に分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対して70~75重量%である。
【0059】
換言すると、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、好ましくは、主にC18アルカンからなり、最も好ましくは主に分岐C18アルカンからなる。
【0060】
本化粧料組成物は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含むため、前記組成物は、低級アルカンを含まず、即ち特にC12アルカンを含まず、特にC12アルカンもC13アルカンもC14アルカンも含まない。
【0061】
更に好ましくは、C15~C19アルカンの混合物の20℃における粘度は、3~15mPa・s、特に6~12mPa・sである。
【0062】
更に好ましくは、C15~C19アルカンの混合物の20℃における屈折率は、1.40~1.48、特に1.42~1.45、最も好ましくは1.43~1.44である。
【0063】
更に好ましくは、C15~C19アルカンの混合物は、セピック(SEPPIC)からエモグリーン(EMOGREEN)(商標)L19として商品化されているC15~C19アルカンの混合物である。
【0064】
前記組成物では、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの重量対分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量の比は、好ましくは100重量%未満、好ましくは50~80重量%の範囲、最も好ましくは60~70重量%の範囲である。
【0065】
換言すると、好ましくは、本組成物に含まれるC15~C19アルカンの重量は、脂肪酸とデキストリンとのエステルの重量よりも多い。
【0066】
更に、前記組成物における式(I)のUVフィルター対脂肪酸とデキストリンとのエステルとの重量比は、好ましくは、70:1~1:100、好ましくは50:1~1:20、より好ましくは40:1~1:10、最も好ましくは10:1~1:10である。
【0067】
[更なる成分]
本化粧料組成物は、式RORのジアルキルエーテル、式ROOCRCOORのジカルボン酸のジエステル、式RCOORの脂肪族モノエステル及び式RCOORのエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤を含む。
は、C5~14アルキル基、特にC6~10アルキル基を表す。
は、任意選択的に少なくとも1つのOH基を含むC2~10アルキレン基、特にC4~8アルキレン基を表す。
は、C2~14アルキル基、特にC2~8アルキル基を表す。
は、C4~22アルキル基、特にC7~16アルキル基を表す。
は、C8~20アルキル基、特にC8~16アルキル基、より詳細にはC10~16アルキル基を表す。
は、C6~10アリール基、特にフェニル基を表す。
は、C8~20アルキル基、特にC8~16アルキル基、より詳細にはC12~15アルキル基を表す。
【0068】
第1の実施形態では、エモリエント剤は、式RORのジアルキルエーテルである。
【0069】
好ましくは、前記ジアルキルエーテルは、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジエチルヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル及びジデシルエーテルからなる群から選択される。
【0070】
好ましくは、式RORのジアルキルエーテルは、ジオクチルエーテル(=ジカプリリルエーテル(INCI))である。
【0071】
第2の実施形態では、エモリエント剤は、式ROOCRCOORのジカルボン酸のジエステルである。
【0072】
このジエステルは、ジカルボン酸(=HOOC-R-COOH)とモノアルコール(R-OH)とのエステル化によって得ることができるジエステルであり、モノカルボン酸とジオールとのエステル化によって得られるジエステルではないことを認識することが重要である。
【0073】
前記ジカルボン酸は、少なくとも1つのOH基を含み得る。ヒドロキシル基を含むジカルボン酸の好ましい例は、酒石酸、ペンタル酸及び3-ヒドロキシグルタル酸であり、酒石酸が好ましい。
【0074】
特に好適なジカルボン酸は、コハク酸、2,2-ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン酸からなる群から、特にアジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸及びスベリン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、前記ジカルボン酸は、アジピン酸又はセバシン酸である。
【0075】
前記アルコール(R-OH)は、好ましくは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ドデカノール及びイソドデカノールからなる群から選択され、好ましくはエタノール、イソプロパノール、ブタノール及び2-エチルヘキサノールからなる群から選択される。
【0076】
エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールが最も好ましい。
【0077】
式ROOCRCOORのジエステルは、好ましくは、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、酒石酸ジ-C12~13アルキル、アジピン酸ジエチル及びアジピン酸ジイソプロピルからなる群から選択されるジエステルである。
【0078】
セバシン酸ジイソプロピルが特に好ましい。
【0079】
第3の実施形態では、エモリエント剤は、式RCOORの脂肪族モノエステルである。
【0080】
前記エステルは、カルボン酸(=R-COOH)をモノアルコール(R-OH)でエステル化することによって得ることができる。
【0081】
特に好適なカルボン酸は、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びアラキドン酸からなる群から、好ましくは2-エチルヘキサン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群から選択される。
【0082】
前記アルコール(R-OH)は、好ましくは、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ドデカノール、イソドデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール及びセテアリルアルコールからなる群から選択され、好ましくは2-エチルヘキサノール、イソデカノール、イソトリデカノール及びセテアリルアルコールからなる群から選択される。
【0083】
式RCOORの好ましいエステルの一実施形態では、残基Rは、C7~16アルキル基を表し、残基Rは、C8~18アルキル基を表し、特にR=Cアルキル基であり、R=C10アルキル基又はC13アルキル基である。
【0084】
式RCOORの好ましいエステルの他の実施形態では、残基Rは、C7~14アルキル基を表し、Rは、C10~16アルキル基を表し、特にR=Cアルキル基であり、R=C10アルキル基又はC13アルキル基である。
【0085】
式RCOORのエステルは、好ましくは、ヤシ油脂肪酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、オクタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル及びイソノナン酸セテアリルからなる群から選択される。
【0086】
更なる実施形態では、エモリエント剤は、式RCOORのエステルである。
【0087】
好ましくは、前記エステルは、安息香酸のC8~20アルキルエステル、特にC8~16アルキルエステル、より詳細にはC12~15アルキルエステルである。式RCOORのエステルは、最も好ましくは、安息香酸アルキル(C12~15)である。
【0088】
本化粧料組成物は、2種以上の上述のエモリエント剤を含み得る。
【0089】
本組成物は、好ましくは、エモリエント剤として少なくとも2種のエモリエント剤、特に少なくともジカプリリルエーテル及びセバシン酸ジイソプロピルをエモリエント剤として含む。
【0090】
本化粧料組成物は、典型的には、化粧料組成物中で使用するのに適した他の成分を含む。
【0091】
化粧料組成物は、好ましくは、水を含む。
【0092】
本化粧料組成物は、溶媒若しくは脂肪性物質中の懸濁液若しくは分散液の形態或いはエマルジョン若しくはマイクロエマルジョン(特に水中油(O/W)型又は油中水(W/O)型、水中シリコーン(Si/W)型又はシリコーン中水(W/Si)型、PIT-エマルジョン、多重エマルジョン(例えば、油中水中油(O/W/O)型又は水中油中水(W/O/W)型)、ピッカリングエマルジョン、ヒドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液若しくはベシクル分散液の形態又はペンによって美顔用パック若しくはスプレーとして適用することもできる他の通常の形態であり得る。
【0093】
本発明の全ての実施形態で好ましい化粧料組成物は、水を含み、且つエマルジョン形態である。
【0094】
特にこのエマルジョンは、油性相及び水性相を含む、特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重又はピッカリングエマルジョンなどである。
【0095】
そのようなエマルジョン中に存在する油性相の総量は、化粧料組成物の総重量を基準として好ましくは少なくとも10重量%、例えば10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲である。
【0096】
そのようなエマルジョン中に存在する水性相の量は、化粧料組成物の総重量を基準として好ましくは少なくとも20重量%、例えば40~90重量%の範囲、好ましくは50~85重量%の範囲、最も好ましくは60~85重量%の範囲である。
【0097】
より好ましくは、化粧料組成物は、O/W又はSi/W乳化剤の存在下で水性相中に分散された油性相を含む水中油(O/W)エマルジョンの形態である。そのようなO/W型エマルジョンの調製は、当業者に周知である。
【0098】
O/Wエマルジョンの形態の組成物は、例えば、O/Wエマルジョンのあらゆる製剤形態、例えば美容液、乳液又はクリームの形態で提供され得、これらは、通常の方法に従って調製される。この組成物は、好ましくは、局所適用することが意図される、例えばUV放射の悪影響からヒトの皮膚を保護する(しわ防止、抗老化、保湿、紫外線防御など)ことが意図される特に皮膚科学的又は化粧料組成物を構成し得る。
【0099】
本化粧料組成物は、好ましくは、更なるUVフィルターを含む。更なるUVフィルターは、固体又は液体であり得る。好ましくは、更なるUVフィルターは、固体UVフィルターである。
【0100】
好適な液体有機UVフィルターは、UV(B)及び/又はUV(A)領域の光を吸収し、周囲温度(即ち25℃)で液体である。この種の液体UVフィルターは、当業者に知られており、特にケイヒ酸エステル、例えばメトキシケイヒ酸オクチル(パルソール(登録商標)MCX)及びメトキシケイヒ酸イソアミル(Neo Heliopan(登録商標)E 1000)など、サリチル酸エステル、例えばホモサレート(2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5トリメチルシクロヘキシル、パルソール(登録商標)HMS)及びサリチル酸エチルヘキシル(サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸2-エチルヘキシル、パルソール(登録商標)EHSとしても公知)など、アクリル酸エステル、例えばオクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、パルソール(登録商標)340)及び2-シアノ-3,3ジフェニルアクリル酸エチルなど、ベンザルマロン酸のエステル、特にベンザルマロン酸ジアルキルエステルなど、例えば4-メトキシベンザルマロン酸ジ(2-エチルヘキシル)及びポリシリコーン15(パルソール(登録商標)SLX)など、ナフタル酸のジアルキルエステル、例えば2,6-ナフタル酸ジエチルヘキシル(Corapan(登録商標)TQ)など、シリンギリデンマロン酸エステル、例えばマロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン(Oxynex(登録商標)ST liquid)など並びにベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(チノガード(Tinoguard)(登録商標)TL)並びにベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンを含む。
【0101】
特に有利な液体有機UVフィルターは、メトキシケイヒ酸オクチル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、2,6-ナフタル酸ジエチルヘキシル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾフェノン-3、ドロメトリゾールトリシロキサン及びこれらの混合物である。
【0102】
好ましい実施形態では、液体UVフィルターは、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、ベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンからなる群から選択される液体UV(B)フィルターである。
【0103】
好適な固体有機UVフィルターは、UV(B)及び/又はUV(A)領域の光を吸収し、周囲温度(即ち25℃)で固体である。特に好適な固体UVフィルターは、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4-メチルベンジリデンカンファー及び1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン及びメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ビスオクトリゾール)からなる群のものである。
【0104】
ビスオクトリゾールは、UV(B)光線のみならず、UV(A)光線も吸収する広帯域紫外放射フィルターであり、光安定性が非常に優れている。その吸収極大は、308nm及び349nmにある。一方、これは、UV光を吸収するだけでなく、UV光を反射し、散乱もさせる。したがって、ビスオクトリゾールは、複合的UV吸収剤であり、微細な(<200nm)有機粒子として製造される有機UVフィルターである。他の有機UVフィルターを油性又は水性相のいずれかに溶解させる必要がある場合でも、ビスオクトリゾールは、そのいずれにも溶解し難いため、目に見えない粒子として適用される。
【0105】
好ましい固体有機UV(A)フィルターは、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びトリスビフェニルトリアジンからなる群から選択されるUV(A)フィルターである。
【0106】
好ましい固体有機UV(B)フィルターは、エチルヘキシルトリアゾン(=ユビナール(Uvinul)(登録商標)T150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(=Uvasorb(登録商標)HEB)及び4-メチルベンジリデンカンファー(=パルソール(登録商標)5000)からなる群から選択されるUV(B)フィルターである。
【0107】
有機UVフィルターの総量は、目標とするUV防御に大きく依存する。
【0108】
好ましくは、固体有機UVフィルター、特に固体有機UV(A)フィルターの量は、0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%、最も好ましくは1~4重量%の範囲で選択される。
【0109】
更に好ましくは、固体有機UVフィルター、特に固体有機UV(B)フィルターの量は、0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%、最も好ましくは1~4重量%の範囲で選択される。
【0110】
一層好ましくは、液体有機UVフィルター、特に液体有機UV(B)フィルターの量は、0.1~約10重量%の範囲、好ましくは0.5~12重量%、最も好ましくは1~10重量%の範囲で選択される。
【0111】
特に好ましくは、化粧料組成物は、式(I)のUVフィルター又はその塩(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)HSとして商品化されているものなど)及び少なくとも1種の更なるUVフィルターを含む。この少なくとも更なるUVフィルターは、好ましくは、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)1789として商品化されているものなど)、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル)(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)340として商品化されているものなど)、ビスオクトリゾール(メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)MAXとして商品化されているものなど)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)Shieldとして商品化されているものなど)、サリチル酸エチルヘキシル(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)EHSとして商品化されているものなど)、ホモサレート(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)HMSとして市販されているものなど)及びメトキシケイヒ酸エチルヘキシル(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)MCXとして市販されるものなど)からなる群から選択されるUVフィルターである。
【0112】
更に好ましくは、この少なくとも更なるUVフィルターは、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)1789として商品化されているものなど)、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル)(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からPARSOL(登録商標)340として商品化されているものなど)及びビスオクトリゾール(メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)(好ましくはDSM Nutritional Products Ltd.からパルソール(登録商標)MAXとして商品化されているものなど)からなる群から選択される。
【0113】
好ましくは、式(I)のUVフィルター対更なるUVフィルターの重量比は、1:15~5:1、好ましくは1:10~4:1、より好ましくは1:8~3:1である。
【0114】
本化粧料組成物は、更に好ましくは、少なくとも1種の乳化剤、好ましくはアニオン性乳化剤を含む。好ましくは、アニオン性乳化剤は、セチルリン酸カリウム、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、クエン酸ステアリン酸グリセリル及びココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性乳化剤である。
【0115】
有利な一実施形態では、化粧料組成物は、リン酸エステル乳化剤を更に含む。好ましいリン酸エステル乳化剤の中でも、リン酸C8~10アルキルエチルエステル、アルキル(C9-15)リン酸、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、リン酸セチル、(C6-10)パレス-4リン酸、(C12-15)パレス-2リン酸、(C12-15)パレス-3リン酸、セテアレス-2リン酸DEA、セチルリン酸DEA、オレス-3リン酸DEA、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸、デセス-6リン酸及びトリラウレス-4リン酸が挙げられる。具体的なリン酸エステル乳化剤は、例えば、DSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstからAmphisol(登録商標)Kとして市販されているセチルリン酸カリウムである。
【0116】
本化粧料組成物は、非イオン性乳化剤も含み得る。
【0117】
非イオン性乳化剤の例として、脂肪族(C8~C18)1級又は2級直鎖又は分岐鎖アルコールと、アルキレンオキシド、通常、エチレンオキシドとの、通常、6~30個のエチレンオキシド基を有する縮合物が挙げられる。他の代表的な非イオン性乳化剤としては、モノ又はジアルキルアルカノールアミド、例えばヤシ油脂肪酸モノ又はジエタノールアミド及びヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミドなどが挙げられる。更なる非イオン性乳化剤として、アルキルポリグリコシド(APG)を挙げることができる。APGは、典型的には、1つ又は複数のグリコシル基のブロックに結合している(任意選択的に架橋基を介して)アルキル基を含むもの、例えばセピックからのOramix(商標)NS 1O;BASFからのPLANTACARE(登録商標)818UP、PLANTACARE(登録商標)1200及びPLANTACARE(登録商標)2000などである。
【0118】
化粧料組成物がO/Wエマルジョンである場合、これは、好ましくは、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、ジラウリン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-8、オレイン酸PEG-40ソルビット、PEG-7グリセリルココエート、PEG-20アーモンド脂肪酸グリセリル、PEG-25水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル(及び)ステアリン酸PEG-100、オリーブ油脂肪酸PEG-7、オレイン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8、PEG-60アーモンド脂肪酸グリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、クエン酸ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル(自己乳化型)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースの一覧から選択される少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤を含む。更なる好適な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水添ポリイソブテンである。
【0119】
更に、1種又は複数の合成ポリマーを乳化剤として使用することができる。例えば、PVPエイコセンコポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー及びこれらの混合物である。
【0120】
他の特に好適なO/W乳化剤の種類は、例えば、OLIVEM 1000の商品名で販売されている、(INCI名)オリーブ油脂肪酸セテアリル及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成:オリーブ油脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られている、オリーブ油から誘導された非イオン性自己乳化系である。
【0121】
市販の高分子乳化剤、例えばNoveonからPemulen(登録商標)TR-1及びTR-2の商品名で市販されている(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーなどの疎水化ポリアクリル酸が更に好適である。
【0122】
他の特に好適な種類の乳化剤は、ポリグリセリルエステル/ジエステルとも呼ばれる脂肪酸のポリグリセロールエステル又はジエステル(即ち脂肪酸がポリグリセリンでエステル化されることによって結合しているポリマー)、例えばEvonikから市販されているIsolan GPS[INCI名(ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸)ポリグリセリル-4(即ちイソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸及びセバシン酸の混合物とポリグリセリン-4とのジエステル)]又はCognisから入手可能なDehymuls PGPH(INCI:ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2)などである。
【0123】
ポリエチレングリコールエーテル、例えばCrodaから入手可能なBrij 72(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)又はBrij 721(ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルなども適している。
【0124】
この少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤は、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.5~10重量%、特に0.5~5重量%の範囲など、最も具体的には0.5~4重量%の範囲などの量で使用される。
【0125】
好適なW/O又はW/Si乳化剤は、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、セチルジメチコンコポリオール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-4/ヤシ油脂肪酸PEG-8-PG、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム及びこれらの混合物である。更なる好適なW/Si乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及び/又はPEG-12ジメチコンクロスポリマー及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである。少なくとも1種のW/O乳化剤は、組成物の総重量に対して好ましくは約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0126】
好ましくは、これに従う化粧料組成物は、更に有利には、少なくとも1種の界面活性助剤、例えばモノグリセリド及びジグリセリド並びに/又は脂肪アルコールの群から選択されるものなどを含有する。界面活性助剤は、概して、組成物の総重量を基準として0.1~10重量%の範囲、特に0.5~6重量%の範囲など、最も詳細には1~5重量%の範囲などから選択される量で使用される。特に好適な界面活性助剤は、セチルアルコール(Lorol C16、Lanette 16)、セテアリルアルコール(Lanette O)、ステアリルアルコール(Lanette 18)、ベヘニルアルコール(Lanette 22)、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水添ココグリセリル(Lipocire Na10)及びこれらの混合物などのアルキルアルコールの一覧から選択される。
【0127】
乳化剤の量は、好ましくは、化粧料組成物の総重量を基準として0.1~6.0重量%、より好ましくは0.25~5.0重量%、特に0.5~4.0重量%の範囲である。
【0128】
組成物は、好ましくは、スルフェートを含まない。
【0129】
したがって、化粧料組成物は、好ましくは、特にアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート及びモノグリセリドスルフェート並びにその混合物からなる群のスルフェートを含まない。
【0130】
本明細書では、例えば、「スルフェートを含まない」に使用される「含まない」という用語は、それぞれの物質が組成物の重量に対して0.5重量%未満、特に0.1重量%未満、より詳細には0.05重量%未満のみ存在することを意味するために使用される。好ましくは、「含まない」とは、それぞれの物質が組成物中に完全に存在しないことを意味する。
【0131】
本明細書で使用される「スルフェートを含まない」という用語は、組成物が、式
【化4】

の末端アニオン性基を有するアニオン性界面活性剤を含まないことを意味する。
【0132】
本化粧料組成物は、好ましくは、カチオン性乳化剤を含まない。この種のカチオン性乳化剤の典型的な例は、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラルコニウムクロリド、ステアラミドエチルジエチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘノイルPGトリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ベヘン酸ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ステアラミドプロピルジメチルアミン、コカミドプロピルPGジモニウムクロリド、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、シア脂アミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘナミドプロピルジメチルアミンン、ブラシシルイソロイシンエシレート、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、リノールアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、イソステアリン酸ジメチルラウラミン、イソステアラミドプロピルラウリルアセトジモニウムクロリド、特にベヘントリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド及びパルミタミドプロピルトリモニウムクロリドである。
【0133】
本化粧料組成物は、化粧料組成物に使用するのに適している、スキンケア産業で一般に使用される化粧料用担体、賦形剤及び希釈剤並びに添加剤及び有効成分を更に含み得、これらは、例えば、オンラインでINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)から閲覧可能なPersonal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary&Handbookに記載されているが、これらに限定されない。
【0134】
このような化粧料組成物に可能な成分は、特に、性能及び/又は消費者受容性を向上する、防腐剤、酸化防止剤、脂肪性物質/油、増粘剤、軟化剤、光遮蔽剤、保湿剤、芳香剤、界面活性助剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、カチオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー又はこれらの混合物、酸性化若しくは塩基性化剤、粘度調整剤など並びに植物性物質、果実エキス、糖誘導体及び/又はアミノ酸などの天然の毛髪栄養分又は化粧料組成物に通常配合される任意の他の成分などである。補助剤及び添加剤の必要量は、本分野の当業者により、所望の製造物に基づいて容易に選択され得、実施例で例示するが、これらに限定されない。
【0135】
全ての実施形態で特に好適な増粘剤は、キサンタンガム、ジェランガム及び/又はカルボキシメチルセルロースである。全ての実施形態で最も好ましい増粘剤は、キサンタンガム又はジェランガムである。
【0136】
そのような増粘剤は、好ましくは、化粧料組成物の総重量を基準として0.1~1重量%の範囲から選択される(総)量、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0137】
化粧料組成物は、好ましくは、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7.5の範囲のpHを有する。このpHは、当技術分野における標準的な方法に従い、適切な酸、例えばクエン酸又は塩基、例えばNaOHを用いて、必要に応じて容易に調整することができる。
【0138】
化粧料組成物は、好ましくは、スルフェートを含まず、且つ/又はパラベンを含まず、且つ/又はシリコーン油及び/若しくはシリコーン界面活性剤を含まない。
【0139】
本化粧料組成物は、好ましくは、局所用組成物である。
【0140】
本明細書で使用する「局所用」という用語は、本明細書では、角質物質、特に皮膚、頭皮、睫毛、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくは皮膚への外用を意味すると理解される。
【0141】
局所用組成物は、局所適用が意図されるため、それらが生理学的に許容される媒体、即ち皮膚、粘膜及びケラチン線維などの角質物質と適合性がある媒体を含むことは、十分に理解される。特に、生理学的に許容される溶媒は、化粧品的に許容される担体である。
【0142】
「化粧品的に許容される担体」という用語は、特に日焼け防止製品などの化粧料組成物中に従来から使用されているあらゆる担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0143】
好ましくは、化粧料組成物は、スキンケア製剤、装飾用製剤又は機能性製剤である。
【0144】
スキンケア製剤の例は、特に光防御製剤、抗老化製剤、光老化治療用製剤、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、保湿ゲル、保湿スプレー、顔及び/又は身体用保湿剤、皮膚タンニング製剤(即ちヒトの皮膚の人工的/サンレスタンニング及び/又は褐色化用組成物)、例えばセルフタンニングクリーム並びに皮膚美白用製剤である。
【0145】
機能性製剤の例は、有効成分を含有する化粧品又は医薬品組成物、例えばホルモン製剤、ビタミン製剤、植物エキス製剤及び/又は抗老化製剤であるが、これらに限定されない。
【0146】
本化粧料組成物は、好ましくは、スキンケア組成物である。
【0147】
最も好ましい実施形態では、化粧料組成物は、日焼け防止組成物である。日焼け防止組成物は、例えば、紫外線防御乳液、紫外線防御ローション、紫外線防御クリーム、紫外線防御オイル、日焼け止め剤又はSPF(紫外線防御指数)を有するデイケアクリームなどの光防御製剤(日焼け防止製品)である。特に関心が寄せられているのは、紫外線防御クリーム、紫外線防御ローション、紫外線防御乳液及び紫外線防御製剤である。
【0148】
化粧料組成物、特に本発明による局所用日焼け止めエマルジョンは、概して、3~10の範囲のpH、好ましくは5~8の範囲のpH、最も好ましくは6~7.5の範囲のpHを有する。pHは、必要に応じて、当技術分野における標準的な方法に従い、適切な酸、例えばクエン酸など、又は塩基、例えば水酸化ナトリウム(例えば、水溶液として)、トリエタノールアミン(TEA Care)、トロメタミン(Trizma塩基)及びアミノメチルプロパノール(AMP-Ultra PC2000)などを用いて容易に調整することができる。
【0149】
皮膚に適用される化粧料組成物の量は、決定的に重要なものではなく、当業者によって容易に調整され得る。好ましくは、この量は、0.1~3mg/cm皮膚の範囲、例えば好ましくは0.1~2mg/cm皮膚の範囲、最も好ましくは0.5~2mg/cm皮膚の範囲から選択される。
【0150】
本化粧料組成物は、官能特性が向上しており、特に使用後の感触が向上している。
【0151】
一実施形態では、化粧料組成物は、ゲル形態である。
【0152】
上述の化粧料組成物は、耐水性が改善されていることが示されている。上に述べた分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物を、UVフィルターであるエンスリゾール含む化粧料組成物に、上に詳述した脂肪酸とデキストリンとのエステルと組み合わせて添加することにより、耐水性が向上することが示された。
【0153】
更に、上述の化粧料組成物は、べたつきが低減されていることが示された。化粧料組成物を適用した後、長時間、即ち3分間超、特に15分間超が経過した後のべたつきが大幅に低減されることが認められた。本化粧料組成物を適用した皮膚は、べたつきが大幅に低減され、特に砂が付着しにくいことが認められた。これは、砂浜でのその使用のために特に重要である。
【0154】
したがって、更なる態様では、本発明は、少なくとも、式(I)
【化5】

のUVフィルターを含む局所用化粧料組成物の耐水性を向上させるための、脂肪酸とデキストリンとのエステルとの組み合わせにおける、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の使用であって、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、使用に関する。
【0155】
好ましくは、前記使用には、式RORのジアルキルエーテル、式ROOCRCOORのジカルボン酸のジエステル及び式RCOORの脂肪族モノエステル及び式RCOORのエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤、より好ましくは式RORのジアルキルエーテル、式ROOCRCOORのジカルボン酸のジエステル及び式RCOOR脂肪族モノエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤が含まれる。
【0156】
成分の定義及び選択は、既に上に詳述した通りである。
【0157】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果を更に例示するために提供される。これらの実施例は、例示に過ぎず、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0158】
表1又は表2に概要を示す化粧料組成物を当技術分野における標準的な方法に従って調製した。
【0159】
[耐水性]
表1又は表2に概要を示す組成物各1.3mg/cmを4枚のPMMAプレート(Schoenberg、5μm)に塗布し、プレートをRTで30分間乾燥させた。その後、Labsphere UV 2000を用いて初期のin vitro SPF(紫外線防御指数)(SPFinital)を、プレート1枚について9点で測定することによって決定した。次いで、4Lの水(2回蒸留)を満たしたフラスコにプレートを20分間浸漬し、その間、水温を30℃とし、水をパドル撹拌機で150min-1において撹拌した(本組成物で被覆された面がフラスコに向くようにして、プレートを洗濯バサミでフラスコの端部に取り付けた)。その後、プレートを40℃で30分間乾燥させた。浸漬/乾燥手順をもう1回繰り返した。最終的な乾燥後、SPFimmersedとしてin vitro SPFを測定し、耐水性(WR)を、
WR=[(SPFimmersed/(SPFinital)]
として計算した。
【0160】
結果を表1及び表2に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
表1の結果は、エンスリゾールを含む化粧料組成物(参考例1)が、測定されたSPFから分かるように、耐水性が低いことを示している。前記組成物が分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を更に含む場合、耐水性は、わずかに向上する(参考例2対参考例1)。参考例5及び1を比較すると、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの特定の混合物が化粧料組成物の耐水性に有益な効果を与えることが分かる。組成物が更に脂肪酸とデキストリンとのエステルを含む場合、耐水性は、著しく改善される(1、2対参考例2)。
【0163】
参考例3及び参考例4は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの特定の混合物が有益な効果をもたらすことを示している。例えば、一方で、前記混合物(C15~C19)(1)に替えて分岐イソドデカン(C12)(参考例3)を使用すると、耐水性が大きく低下することが認められる。他方で、ごく特定の前記混合物(C15~C19)(1)に替えて、混合物ではなく、ごく特定の単一種のアルカン、例えばイソヘキサデカン(C16)(参考例4)を使用した場合も同様に耐水性の低下が認められる。これは、UVフィルターであるエンスリゾールを含む化粧料組成物の耐水性を高めるために、脂肪酸とデキストリンとのエステルを使用することのみならず、ごく特定のC15~C19アルカンの混合物を使用することも重要であることを明確に示している。
【0164】
表2の組成物は、4種のUVフィルター(以下の表に斜体字で示す)を含むものである。
【0165】
【表2】
【0166】
表2は、表1の結果をより複雑な組成で確認しものであり、その結果は、SPFが大幅に向上することを示している。この場合、耐水性の向上は、表1よりも更に顕著である。
【国際調査報告】