(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車両に搭載された洗浄デバイスおよび洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B60S1/62 110B
B60S1/62 110A
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534349
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2022085074
(87)【国際公開番号】W WO2023105007
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・オプ・デ・べーク
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AC02
3D225AC04
3D225AD22
(57)【要約】
車両に搭載され、車両の表面を洗浄するように構成された洗浄デバイス(1)。前記洗浄デバイスは、ガス(11)および洗浄液(12)を収容するように構成されたタンク(10)であって、ガス送給ライン(13)、洗浄液送給ライン(14)、洗浄液充填開口およびガス充填開口(16)、ガス排出ポート(130)、ならびに洗浄液排出ポート(140)を備える、タンク(10)と、ガス充填開口(16)に対して流体連結され、タンク(10)を加圧するように構成されたガス加圧手段(15)と、洗浄液(12)を噴霧するようにおよび/またはガス(11)を吹き付けるように構成された第1のノズル(17)であって、ガス送給ライン(13)および/または洗浄液送給ライン(14)に対して流体連結された、第1のノズル(17)と、第1のノズル(17)に対して流体連結された第1の弁(170)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の表面を洗浄するように構成された洗浄デバイス(1)であって、
ガス(11)および洗浄液(12)を収容するように構成されたタンク(10)であって、ガス送給ライン(13)、洗浄液送給ライン(14)、洗浄液充填開口およびガス充填開口(16)、ガス排出ポート(130)、ならびに洗浄液排出ポート(140)を備える、タンク(10)と、
前記ガス充填開口(16)に対して流体連結され、前記タンク(10)を加圧するように構成されたガス加圧手段(15)と、
前記洗浄液(12)を噴霧するようにおよび/または前記ガス(11)を吹き付けるように構成された第1のノズル(17)であって、前記ガス送給ライン(13)および/または前記洗浄液送給ライン(14)に対して流体連結された、第1のノズル(17)と、
前記第1のノズル(17)に対して流体連結された第1の弁(170)と
を備える、洗浄デバイス(1)において、
前記ガス加圧手段(15)は、前記タンク(10)のガス容積部(111)内に完全にまたは部分的に配置されることを特徴とする、洗浄デバイス(1)。
【請求項2】
前記タンク(10)は過圧弁(19)を備える、請求項1に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項3】
前記ガス加圧手段(15)は、前記タンク(10)の壁部上に固定される、請求項1または2に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項4】
前記ガス加圧手段(15)は、圧縮機およびガスポンプからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項5】
前記洗浄デバイス(1)は、前記洗浄液(12)を噴霧するようにおよび/または前記ガス(11)を吹き付けるように構成された第2のノズル(18)を備え、前記第2のノズル(18)は、前記ガス送給ライン(13)に対しておよび/または前記洗浄液送給ライン(14)に対してならびに第2の弁(180)に対して流体連結される、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項6】
前記第1のノズル(17)は、前記洗浄液(12)および前記ガス(11)を含むエアロゾルを噴霧するように、または前記洗浄液(12)を噴霧するようにもしくは前記ガス(11)を吹き付けるように構成され、前記第1のノズル(17)は、前記ガス送給ライン(13)に対しておよび前記洗浄液送給ライン(14)に対して流体連結される、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項7】
前記タンク(10)は、前記ガス排出ポート(130)の上流において前記ガス容積部(111)内に配置された液体ガス分離器(21)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項8】
前記第1の弁(170)はソレノイド作動弁である、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項9】
前記第2の弁(180)はソレノイド作動弁である、請求項5から8のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項10】
前記タンク(10)は、レベルセンサ(32)、圧力センサ(33)、温度センサ(34)、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つのセンサデバイスを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項11】
前記洗浄液送給ライン(14)に対して前記ガス送給ライン(13)を連結するライン(26)に弁(25)が配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の洗浄デバイス(1)を備える車両であって、
前記洗浄デバイスは、前記車両の表面を洗浄するように構成される、
車両。
【請求項13】
前記車両の前記表面は、センサ表面またはカメラ表面である、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
車両に搭載された洗浄デバイス(1)のためのタンク(10)であって、前記タンクは、ガス(11)および洗浄液(12)を収容するように、ならびに加圧されるように構成され、前記タンクは、ガス送給ライン(13)、洗浄液送給ライン(14)、洗浄液充填開口およびガス加圧手段に対して連結されるように構成されたガス充填開口(16)、ガス排出ポート(130)、ならびに洗浄液排出ポート(140)を備える、タンク(10)。
【請求項15】
車両の表面を洗浄するための方法であって、
ガス(11)および洗浄液(12)を収容するタンク(10)を、前記タンク(10)のガス容積部(111)内に完全にまたは部分的に配置された加圧手段(15)を使用して前記ガス(11)を圧縮することにより加圧するステップと、
前記タンク(10)に対して流体連結された洗浄液送給ライン(14)上に配置された第1の弁(170)を開口するか、または前記タンク(10)に対して流体連結されたガス送給ライン(13)上に配置された第2の弁(180)を開口するステップと、
前記表面に対して前記洗浄液(12)を噴霧するか、または前記表面に対して前記ガス(11)を吹き付けるステップと
を含む、方法。
【請求項16】
車両の表面を洗浄するための方法であって、以下の好ましくは連続するステップ、すなわち
ガス(11)および洗浄液(12)を収容するタンク(10)を、前記タンク(10)のガス容積部(111)内に完全にまたは部分的に配置された加圧手段(15)を使用して前記ガス(11)を圧縮することによって加圧するステップと、
前記タンク(10)に対して流体連結された洗浄液送給ライン(14)上に配置された第1の弁(170)を開口するステップと、
前記表面に対して前記洗浄液(12)を噴霧するステップと、
前記タンク(10)に対して流体連結されたガス送給ライン(13)上に配置された第2の弁(180)を開口するステップと、
前記表面に対して前記ガス(11)を吹き付けるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された洗浄デバイスに関する。前記洗浄デバイスは、車両の表面を洗浄するように、詳細には車両のセンサ表面を洗浄するように構成される。さらに、本発明は、洗浄デバイスを備える車両と、車両の表面を洗浄するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、その固有の周囲環境を把握または認識することが必要となっている。その結果、多数の車両が、例えば車両上に表面搭載された光検出測距(LiDAR、ライダー)センサなどの車載カメラまたは車両センサを有するようになった。このような車両は、車両の周囲の物体および地形を検出するように構成された例えば光検出測距(LiDAR、ライダー)センサなどのセンサ、または周囲の画像の動画を撮影もしくは制作するカメラを備え得る。
【0003】
車両センサは、計測されることとなる物理量に比例する電気信号を生成する検出素子として定義される。より厳密には、このセンサは、車両の周囲を検出する機能を果たすように意図される。これを目的として、かようなセンサは、典型的には車両の本体上に配置され、車両の外部に向けられる。光検出測距(LiDAR、ライダー)センサは、標的に対してレーザを照射することにより物体に対する距離、方向、速度、温度、物質分布特性および濃度特性を検出し得るセンサである。このライダーセンサは、高エネルギー密度および短周期を有するパルス信号を発生させ得るレーザを一般的に活用し、環境計測および距離計測の物理的特性をより正確に監視するために使用される。
【0004】
残念ながら、例えばライダーセンサなどの搭載型カメラおよび/または搭載型センサは、それらの表面上に付着した泥または液滴などの異物による悪影響を被る場合がある。したがって、カメラまたはセンサの性能を保護するために前記表面を洗浄することが必要となる。
【0005】
車両に搭載されたカメラおよび/またはセンサの表面の異物を除去するための洗浄デバイスが展開されてきた。ドイツ特許出願DE102019125970A1は、例えばガスタンクおよび洗浄液タンクを備える複合デバイスを開示している。米国特許出願公開第2019/0136891号の文献は、洗浄液およびガスを収容する加圧タンクを開示しているが、そこで説明される洗浄デバイスは、第1のステップにおいて洗浄液を噴霧し、続いて第2のステップにおいて圧縮空気を吹き付けることに限定されている。CN112172744Aの文献は、請求項1の前文による洗浄デバイスを開示している。
【0006】
さらに、車両の表面を洗浄するために、より厳密には例えば車両に搭載された光検出測距(LiDAR、ライダー)センサなどのカメラまたはセンサの表面を洗浄するために現行で用いられる方法は、非常に時間のかかる面倒なものであり、汚染物質の性質または天候条件にリンクした個別の需要に適合化されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE102019125970A1
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0136891号
【特許文献3】CN112172744A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、車両の表面を洗浄するための、より具体的には例えば車両に搭載された光検出測距(LiDAR、ライダー)センサなどのカメラ表面またはセンサ表面を洗浄するための優れたデバイスおよび方法を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、既存の洗浄デバイスよりも複雑ではないおよび安価である、車両に搭載された洗浄デバイスを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、自由度が高く異物除去のための個別の需要に適合化される、車両の表面の、より具体的には例えば車両に搭載された光検出測距(LiDAR、ライダー)センサなどのカメラ表面またはセンサ表面の洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の実施形態によれば、これらの目的は、車両に搭載され、車両の表面を洗浄するように構成された洗浄デバイスにより達成される。前記洗浄デバイスは、
ガスおよび洗浄液を収容するように構成されたタンクであって、ガス送給ライン、洗浄液送給ライン、洗浄液充填開口およびガス充填開口、ガス排出ポート、ならびに洗浄液排出ポートを備える、タンクと、
ガス充填開口に対して流体連結され、タンクを加圧するように構成されたガス加圧手段と、
洗浄液を噴霧するようにおよび/またはガスを吹き付けるように構成された第1のノズルであって、ガス送給ラインおよび/または洗浄液送給ラインに対して流体連結された、第1のノズルと、
第1のノズルに対して流体連結された第1の弁と
を備え、
ガス加圧手段は、タンクのガス容積部内に完全にまたは部分的に配置される。
【0012】
ガスおよび洗浄液を収容するように構成されたタンクであって、ガス加圧手段を用いて加圧される前記タンクを使用することにより、ガス送給ラインもしくは洗浄液送給ラインまたはそれらの両方を介して、圧縮ガスもしくは圧縮洗浄液またはそれらの両方のいずれかを第1のノズルに対して供給することが可能となる。さらに、本発明による洗浄デバイスは、いかなる洗浄液加圧ポンプも必要とせず、したがって既存の洗浄デバイスよりも複雑ではなく安価である。
【0013】
ガス加圧手段は、例えばガスドームなどのタンクのガス容積部内に完全にまたは部分的に配置される。ガス容積部内にガス加圧手段が完全にまたは部分的に配置されることにより、ガス加圧手段はガスに対して直接的にアクセスすることができる。この構成により、ガス加圧手段は、ドライ状態に維持され、したがってより単純な材料からおよびより単純な設計で作製されることが可能となる。
【0014】
「ガス送給ライン」という表現は、少なくとも第1のノズルに対してガス排出ポートを連結するラインを意味する。
【0015】
「洗浄液送給ライン」という表現は、少なくとも第1のノズルに対して洗浄液排出ポートを連結するラインを意味する。
【0016】
「洗浄液を噴霧するおよび/またはガスを吹き付けるように構成された第1のノズル」という表現は、この第1のノズルが、洗浄液の噴霧もしくはガスの吹付け、または洗浄液の噴霧およびガスの吹付けの両方のいずれかを選択的に行うように構成されることを意味する。
【0017】
「第1のノズルがガス送給ラインおよび/または洗浄液送給ラインに対して流体連結される」という表現は、第1のノズルが、ガス送給ライン(第1のノズルがガスを吹き付けるように構成される場合)もしくは洗浄液送給ライン(第1のノズルが洗浄液を噴霧するように構成される場合)、またはガス送給ラインおよび洗浄液送給ラインの両方(第1のノズルがガスの吹付けおよび洗浄液の噴霧の両方を行うように構成される場合)のいずれかに対して流体連結されることを意味する。
【0018】
「ガス加圧手段がタンクのガス容積部内に完全に配置される」という表現は、ガス加圧手段がタンクのガス容積部内に全体的に配置されることを意味する。
【0019】
「ガス加圧手段がタンクのガス容積部内に部分的に配置される」という表現は、ガス加圧手段がタンクのガス容積部内およびタンクの外部の両方に位置することを意味する。この場合には、ガス加圧手段は、タンクの壁部を貫通する。
【0020】
「タンクのガス容積部内に」という表現は、ガスを収容するタンクの容積部を意味する。
【0021】
「ガスドーム」という表現は、洗浄液表面に対するタンクの上方部分を意味する。
【0022】
洗浄液充填開口およびガス充填開口は、タンクの加圧を確保するための閉鎖可能開口である。洗浄液充填開口およびガス充填開口は、同一の開口であってもよく、または2つの別個の開口であってもよい。第1の弁は、ガス送給ライン上もしくは洗浄液送給ライン上のまたはそれらの両方の上の、第1のノズルに対して流体流れ方向に基づく上流側に配置される。ガス排出ポートは、好ましくはガスを収容するタンクの容積部内に配置され、洗浄液排出ポートは、好ましくは洗浄液を収容するタンクの容積部内に配置される。ガス排出ポートは、タンクの頂部上のタンク壁部中に配置されることが可能であり、タンクのこの頂部は、タンク内のガスと接触状態にあるタンクの側壁部または頂壁部として定義される。ガス排出ポートは、例えばタンク内の波などの洗浄液動作からそのポートを保護するために、タンク頂部中央に好ましくは配置され得る。洗浄液排出ポートは、タンクの底部上のタンク壁部中に配置されることが可能であり、タンクのこの底部は、タンク内の洗浄液体と接触状態にあるタンクの側壁部または底壁部として定義される。好ましくは、車両に搭載された洗浄デバイスは、このタンクが、洗浄液排出ポートの上流において洗浄液容積部内に配置された洗浄液ボウルを備えるようなデバイスである。したがって、洗浄液排出ポートは、タンク底部内の別個の容積部からなるいわゆる液体トラップ(ボウル)中に配置される。この液体トラップ(ボウル)は、タンクが水平方向位置または傾斜位置にある場合に充填され、その場合にはボウルは少なくとも部分的に浸漬される。しかし、このボウルは、様々なタンクの傾斜および/または洗浄液の動作のもとにおいて洗浄液が漏出するのを防止する。ガスは、好ましくは空気であり、洗浄液は、好ましくは水ベース溶液であり、さらに好ましくは例えばエチレングリコールなどのアルコールを含む水溶液である。
【0023】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、タンクが過圧弁を備えるようなデバイスである。この過圧弁は、ガス加圧手段による加圧に起因するタンクに対する大きな機械応力を回避させることを可能にする。また、この過圧弁は、高度な制御部/診断装置/センサの使用を回避させ得る。好ましくは、過圧弁は、ガスを収容するタンクの容積部内に配置される。過圧弁の前記配置により、洗浄液の損失を回避することが可能となる。
【0024】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、ガス加圧手段がタンクの壁部上に固定されるようなデバイスである。タンクの壁部上に固定されるガス加圧手段は、圧縮機排出ガスラインおよびガスタンク吸入ラインが不要となるため、ガスラインの個数の削減を可能にする。これにより、洗浄デバイスの構造が大幅に単純化され、前記洗浄デバイスのコストが縮小され得る。
【0025】
「ガス加圧手段がタンクの壁部上に固定される」という表現は、ガス加圧手段がタンクの壁部上に漏密状態で固定されるという表現と同じ意味を有する。
【0026】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、ガス加圧手段が圧縮機またはガスポンプからなる群より選択されるようなデバイスである。好ましくは、ガス加圧手段は圧縮機である。ガスポンプは、高流量(および低圧)により重点を置いたものであり、一方で圧縮機は、任意の流量を伴うまたは伴わない圧縮空気(高圧の)に重点を置いたものである。さらに、圧縮機は、高圧に対する最も単純かつ最も低コストな解決策である。
【0027】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、この洗浄デバイスが、洗浄液を噴霧するおよび/またはガスを吹き付けるように構成された第2のノズルを備え、前記第2のノズルが、ガス送給ラインに対しておよび/または洗浄液送給ラインに対してならびに第2の弁に対して流体連結されるような、デバイスである。したがって、ガス送給ラインもしくは洗浄液送給ラインまたはそれらの両方を介して、圧縮ガスもしくは圧縮洗浄液またはそれらの両方のいずれかを第2のノズルに対して供給することが可能となる。第2の弁は、ガス送給ライン上もしくは洗浄液送給ライン上のまたはそれらの両方の上の、第2のノズルに対して流体流れ方向に基づく上流側に配置される。第2のノズルの使用により、洗浄デバイスは最大限の性能およびより高い自由度をもたらすことが可能となる。これらのノズルは、洗浄すべき車両の表面に対して洗浄液を噴霧するまたはガスを吹き付けるために相互に独立して使用することが可能である。
【0028】
第1のノズルは、第1の弁から遠いガス送給ラインおよび/または洗浄液送給ラインの位置に配置され得る。さらに、第2のノズルは、第2の弁から遠いガス送給ラインおよび/または洗浄液送給ラインの位置に配置され得る。他の一実施形態では、ガス送給ラインおよび/または洗浄液送給ラインは、様々な弁を保持するマニホルドを備えることが可能である。この場合に、これらの弁は、洗浄すべき車両の表面に近い遠隔位置にてそれぞれのノズルに流体連結される。
【0029】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、第1のノズルが、洗浄液およびガスを含むエアロゾルを噴霧するように、または洗浄液を噴霧するようにもしくはガスを吹き付けるように構成され、この第1のノズルが、ガス送給ラインに対しておよび洗浄液送給ラインに対して流体連結されるような、デバイスである。ガスおよび洗浄液は共に、単一のノズルから噴霧され得る。このノズルは、最適な位置に位置決めされることが可能であり、同一のセンサ上に第2のノズルを必要としない。
【0030】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、タンクが、ガス排出ポートの上流においてガス容積部内に配置された液体ガス分離器を備えるようなデバイスである。液体ガス分離器は、液体がガス排出口を通りタンクから出られないことを確保する。これにより、完全に洗浄液を含まないガス流がガス送給ライン、弁、およびノズルを通過することが確保され、それによって吹付けに関してより良好な制御およびより良好なガスジェット品質が確保される。
【0031】
「ガス排出ポートの上流のガス容積部内に配置された液体ガス分離器」という表現は、液体ガス分離器が、ガス排出ポートに対して流体流れ方向に基づく上流側に配置され、さらに前記液体ガス分離器が、タンクのガス容積部内に配置されることを意味する。
【0032】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、第1の弁がソレノイド作動弁であるようなデバイスである。ソレノイド作動弁は、必要に応じて電気的に作動され得る。したがって、最適な洗浄方式を設定および構成することが可能である。このソレノイド作動弁を電子制御ユニット(ECU)と共に使用することにより、完璧な実行が確保される。
【0033】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、第2の弁がソレノイド作動弁であるようなデバイスである。第2の弁もまたソレノイド作動弁である場合に、洗浄液を噴霧するまたはガスを吹き付けるために使用され得る第2の弁は、第1の弁から独立して制御され得る。これにより、最適な洗浄性能に対するより高い自由度が確保される。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、タンクがレベルセンサを備えるようなデバイスである。タンク内のレベルセンサは、任意の時点におけるタンク内の実際の洗浄液レベルを検出することを可能にする。これにより、運転手およびサービスステーションに対してタンク内の水位を通知し、洗浄デバイスの残留オートノミーを警告することが可能となり、それにより、使い果たす前に事前に再充填することが可能となる。
【0035】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、タンクが圧力センサを備えるようなデバイスである。圧力センサは、任意の時点におけるタンク内部圧力の検出を確保する。圧力センサは、タンク内部圧力がある特定の圧力閾値未満である場合に圧縮機を動作させるために使用され得る。また、圧力センサは、タンク内部圧力が最大閾値を超過する場合に圧縮機を停止させるために使用され得る。さらに、圧力センサは、圧縮機の正確な動作および洗浄デバイスの正確な全体動作を診断するために使用され得る。
【0036】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、タンクが温度センサを備えるようなデバイスである。温度センサは、洗浄液凍結リスクを検出するために使用され得る。さらに、温度センサは、洗浄デバイスのタンク内における圧力/温度の展開をよりよく認識することを可能にし、これにより洗浄デバイスの制御および診断が改善される。
【0037】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、タンクがレベルセンサ、圧力センサ、温度センサ、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つのセンサデバイスを備えるようなデバイスである。
【0038】
好ましい一実施形態によれば、車両に搭載された洗浄デバイスは、弁が洗浄液送給ラインに対してガス送給ラインを連結するライン上に配置されるようなデバイスである。この弁により、洗浄液送給ラインに対してガス送給ラインを連結することが可能になる。この弁を開くことにより、ガス/洗浄液の混合物を形成することが可能となり、これにより洗浄デバイスのノズルを通過する体積流量が、およびしたがってノズルの洗浄力が上昇する。さらに、この弁により、第1のノズルが凍結した場合に第1のノズル内にガス泡を残すことが可能となり、そのため凍結した洗浄液は、ガス泡内において自由に膨張する。
【0039】
さらに、本発明の1つの目的は、本発明による洗浄デバイスを備える車両を提供することである。前記洗浄デバイスは、前記車両の表面を洗浄するように構成される。表面に対する洗浄デバイスのノズルの制御を行うことにより、車両上のある特定の位置に対してすべての洗浄力を配向することが可能になる。したがって、この表面から、例えば水滴、氷、泥、埃、塩、鳥糞、または昆虫などのあらゆる固体および/または液体の異物を取り除くことができる。
【0040】
好ましい一実施形態によれば、この車両は、車両の表面がセンサ表面またはカメラ表面であるような車両である。この表面が例えばセンサの一部である場合には、その表面から信号を変化させる異物を取り除くことによってセンサの正確な動作を回復することが可能となる。センサは、ライダーセンサ、超音波センサ、および/またはレーダセンサであってもよい。カメラは、赤外線カメラまたは視像用カメラであることが可能である。これらのセンサまたはカメラの一部は、洗浄デバイスにより洗浄される透明な車両表面の裏側に配置されることが可能である。
【0041】
「カメラ表面」という表現は、カメラの光学の表面または前記光学を保護する表面を意味する。
【0042】
本発明のもう1つの目的は、車両に搭載された洗浄デバイスのためのタンクを提供することである。前記タンクは、ガスおよび洗浄液を収容するように、ならびに加圧されるように構成され、このタンクは、ガス送給ライン、洗浄液送給ライン、洗浄液充填開口およびガス加圧手段に対して連結されるように構成されたガス充填開口、ガス排出ポート、ならびに洗浄液排出ポートを備える。
【0043】
本発明のもう1つの目的は、車両の表面を洗浄するための方法を提供することである。前記方法は、以下のステップを含む。
ガスおよび洗浄液を収容するタンクを、前記ガスを圧縮することにより加圧するステップ。
タンクに対して流体連結された洗浄液送給ライン上に配置された第1の弁を開口するか、またはタンクに対して流体連結されたガス送給ライン上に配置された第2の弁を開口するステップ。
表面に対して洗浄液を噴霧するか、または表面に対してガスを吹き付けるステップ。
【0044】
ガスを吹き付ける単一ステップにより、例えば降雨期間の最中もしくは後に表面を乾燥させること、または昆虫との衝突に起因する異物を避けることなどが可能となる。
【0045】
本発明のもう1つの目的は、車両の表面を洗浄するための方法を提供することである。この方法は、以下の好ましくは連続するステップを含む。
ガスおよび洗浄液を収容するタンクを、タンクのガス容積部内に完全にまたは部分的に配置された加圧手段を使用して前記ガスを加圧することによって加圧するステップ。
タンクに対して流体連結された洗浄液送給ライン上に配置された第1の弁を開口するステップ。
表面に対して洗浄液を噴霧するステップ。
タンクに対して流体連結されたガス送給ライン上に配置された第2の弁を開口するステップ。
表面に対してガスを吹き付けるステップ。
【0046】
既述のシーケンスでは、表面の液体洗浄により表面から異物を除去し、その後にガス吹付けにより表面を乾燥させることが可能となる。
【0047】
本発明の上記のおよび他の特性、特徴、および利点は、添付の図面と組み合わせて以下の詳細な説明を読むことにより明らかになろう。図面は、本発明の原理を例として示したものである。以降の説明は、もっぱら例示を目的として提示するものであり、本発明の範囲を限定しない。以降に列挙する参考図は、添付の図面を参照とする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第1の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図2】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第2の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図3】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第3の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図4】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第4の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図5】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第5の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図6】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第6の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図7】それぞれ異なるタイプの第1の弁および第2の弁を備える、
図2に示す本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第2の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図8】それぞれ異なるタイプの第1の弁および第2の弁を備える、
図2に示す本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第2の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図9】それぞれ異なるタイプの第1の弁および第2の弁を備える、
図2に示す本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第2の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図10】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第7の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図11】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第8の実施形態の垂直方向断面図である。
【
図12】本発明による車両に搭載された洗浄デバイスの第9の実施形態の垂直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
それぞれ異なる図面において、同一の参照符号は、同一または類似の要素を示す。
【0050】
本発明は、特定の実施形態に関連しておよび特定の図面を参照として説明されるが、それらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明される図面は、概略的なものにすぎず、非限定的なものである。図面において、要素の中のいくつかのサイズは、例示を目的として誇張され、縮尺どおりには描かれない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明の実施化に対応するものではない。
【0051】
さらに、本説明および特許請求の範囲における第1の、第2の、および同様の語は、同様の要素間において識別するために使用され、時間的、空間的、階層的、または任意の他の意味のいずれかにおける順列を説明するために使用されるものでは必ずしもない。この表に使用される語は、適切な状況下においては互換性を有し、本明細書において説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明または図示されるもの以外の順列で実施することが可能である点を理解されたい。
【0052】
特許請求の範囲において使用される「備える」という語は、その目的語として列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素またはステップを排除しない点に留意されたい。したがってこれは、参照されるような述べられた特徴、完全体、ステップ、または構成要素の存在を明示するものとして解釈されるべきであり、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を除外するものではない。したがって、「手段Aおよび手段Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素Aおよび構成要素Bのみからなるデバイスに限定されない。これは、本発明に関して、デバイスの単に該当する構成要素がAおよびBであることを意味する。
【0053】
本明細書全体にわたり、「一実施形態(one embodiment、an embodiment)」という表現は、その実施形態に関連して説明されるある特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたり、様々な箇所において「一実施形態において」という表現がある場合には、これらのいずれもが同一の実施形態を必ずしも示すものであるとは限らず、しかしながらいずれもが同一の実施形態を示す場合もある。さらに、そのような特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者には明らかになるような任意の適切な様式で組み合わされてもよい。
【0054】
同様に、本発明の例示の実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、本開示を簡素化し本発明の様々な態様の中の1つまたは複数の理解を支援するために、単一の実施形態、単一の図、またはそれらの単一の説明として共にグループ化される場合がある点を理解されたい。しかし、この開示方法は、特許請求される本発明が各請求項に明記されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映したものとして解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲により反映されるように、本発明の態様は、単一の既述の開示した実施形態の特徴の中の一部に存する。したがって、この詳細な説明に添付される特許請求の範囲は、この詳細な説明に明確に組み込まれ、各請求項は、本発明の個別の一実施形態として独立したものである。
【0055】
さらに、本明細書において説明されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが他の特徴は含まない一方で、異なる実施形態の特徴同士の組合せは、本発明の範囲内に含まれ、当業者により理解されるような様々な実施形態を構成するように意図される。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態の任意のものが、任意の組合せで使用され得る。
【0056】
本明細書に設けられた本説明では、多数の特定の詳細が示される。しかし、本発明の実施形態はこれらの特定の詳細を用いずに実施されてもよい点が理解される。他の例では、本説明の理解を不明瞭にすることを避けるために、周知の方法、構造、および技術が詳細には図示されていない。
【0057】
以降の語は、本発明の理解を支援することのみを目的として提供される。
【0058】
次に、本発明の複数の実施形態を詳細に説明することにより本発明を説明する。当業者の知識に基づき、本発明の本来の趣旨または技術的教示から逸脱することなく本発明の他の実施形態を構成することが可能であり、本発明は添付の特許請求の範囲の語のみによって限定されることが、明らかである。
【0059】
図1は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第1の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記洗浄デバイス1は、例えば表面センサまたはカメラ表面などの車両の表面を洗浄するように構成される。洗浄デバイス1は、ガス11および洗浄液12を収容するように構成されたタンク10を備え、このタンクは、ガス送給ライン13、洗浄液送給ライン14、洗浄液充填開口(図示せず)およびガス充填開口16、ガス排出ポート130、ならびに洗浄液排出ポート140を備える。タンク10は、過圧弁19をさらに備える。洗浄デバイス1は、ガス充填開口16に対して流体連結されタンク10の壁部上に固定されたガス加圧手段15を備える。前記ガス加圧手段15は、約3~10バールの圧力で、好ましくは約5~10バールの圧力でタンク10を加圧するように構成される。前記ガス加圧手段15は、好ましくはタンク10のガス容積部111内に部分的に位置する圧縮機15であり、約3~10バールの圧力で、好ましくは約5~10バールの圧力でタンクを加圧する。洗浄デバイスは、噴霧洗浄液120を形成するために洗浄液12を噴霧するように構成された第1のノズル17をさらに備え、この第1のノズル17は、洗浄液送給ライン14に対して流体連結される。洗浄液の噴霧は、第1のノズル17に対して流体連結された第1の弁170により制御される。洗浄デバイス1は、吹付けガス110を形成するためにガス11を吹き付けるように構成された第2のノズル18をさらに備え、前記第2のノズル18は、ガス送給ライン13に対して流体連結される。ガスの吹付けは、第2の弁180により制御される。ライン26が、前記ライン26上に位置する弁25を介して洗浄液送給ライン14に対してガス送給ライン13を連結する。この追加のライン26は、弁25を開くことによりガス送給ライン13が洗浄液送給ライン14に対して連結され、ガス/洗浄液混合物が第1のノズル17を経由して噴霧されることを可能にする。本発明による洗浄デバイスは、20~50ms以内で洗浄が行われるように、表面に対する洗浄液の噴霧またはガスの吹付けを可能にする。
【0060】
図2は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第2の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記洗浄デバイス1は、例えば表面センサまたはカメラ表面などの車両の表面を洗浄するように構成される。洗浄デバイス1は、ガス11および洗浄液12を収容するように構成されたタンク10を備え、このタンクは、ガス送給ライン13、洗浄液送給ライン14、洗浄液充填開口(図示せず)およびガス充填開口16、ガス排出ポート130、ならびに洗浄液排出ポート140を備える。洗浄デバイス1は、ガス充填開口16に対して流体連結されタンク10の壁部上に固定されたガス加圧手段15を備える。前記ガス加圧手段15は、約3~10バールの圧力で、好ましくは約5~10バールの圧力でタンク10を加圧するように構成され、前記ガス加圧手段15は、好ましくはタンク10のガス容積部111内に部分的に位置する圧縮機15であり、約3~10バールの圧力で、好ましくは約5~10バールの圧力でタンクを加圧する。洗浄デバイスは、噴霧洗浄液120を形成するために洗浄液12を噴霧するように構成された第1のノズル17をさらに備え、この第1のノズル17は、洗浄液送給ライン14に対して流体連結される。洗浄液の噴霧は、第1のノズル17に対して流体連結された第1の弁170により制御される。洗浄デバイスは、吹付けガス110を形成するためにガス11を吹き付けるように構成された第2のノズル18をさらに備え、前記第2のノズル18は、ガス送給ライン13に対して流体連結される。ガスの吹付けは、第2の弁180により制御される。本発明による洗浄デバイスは、20~50ms以内で洗浄が行われるように、表面に対する洗浄液の噴霧またはガスの吹付けを可能にする。
【0061】
図3は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第3の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記第3の実施形態は、
図2に示す、しかし2個の第1のノズル17および2個の第2のノズル18を備える、第2の実施形態の展開例である。
【0062】
図4は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第4の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記洗浄デバイス1は、例えば表面センサまたはカメラ表面などの車両の表面を洗浄するように構成される。洗浄デバイス1は、ガス11および洗浄液12を収容するように構成されたタンク10を備え、このタンク10は、ガス送給ライン13、洗浄液送給ライン14、洗浄液充填開口(図示せず)およびガス充填開口16、ガス排出ポート130、ならびに洗浄液排出ポート140を備える。洗浄デバイス1は、ガス充填開口16に対して流体連結されタンク10の壁部上に固定されたガス加圧手段15を備える。前記ガス加圧手段15は、約3~10バールの圧力で、好ましくは約5~10バールの圧力でタンク10を加圧するように構成され、前記ガス加圧手段15は、好ましくはタンク10のガス容積部111内に部分的に位置する圧縮機15である。洗浄デバイス1は、洗浄液12を噴霧するようにまたガス11を吹き付けるように構成された第1のノズル17をさらに備え、この第1のノズル17は、洗浄液送給ライン14およびガス送給ライン13に対して流体連結される。洗浄液の噴霧は、第1のノズル17に対して流体連結された第1の弁170により制御され、ガス11の吹付けは、第1のノズル17に対して流体連結された第2の弁180により制御される。本発明による洗浄デバイスは、20~50ms以内で洗浄が行われるように、表面に対する洗浄液の噴霧またはガスの吹付けを可能にする。かかる洗浄デバイスは、1つのみのノズルを使用することによりガスの吹付けおよび/または洗浄液の噴霧を行うことによる洗浄ステップの実施を可能にする。
【0063】
図5は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第5の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記洗浄デバイス1は、例えば表面センサまたはカメラ表面などの車両の表面を洗浄するように構成される。洗浄デバイス1は、ガス11および洗浄液12を収容するように構成されたタンク10を備え、このタンクは、ガス送給ライン13、洗浄液送給ライン14、洗浄液充填開口(図示せず)およびガス充填開口16、ガス排出ポート130、ならびに洗浄液排出ポート140を備える。洗浄デバイス1は、ガス充填開口16に対して流体連結されタンク10の壁部上に固定されたガス加圧手段15を備える。前記ガス加圧手段15は、約3~10バールの圧力で、好ましくは約5~10バールの圧力でタンク10を加圧するように構成され、好ましくはタンクのガス容積部111内に部分的に位置する圧縮機15である。洗浄デバイスは、噴霧洗浄液120を形成するために洗浄液12を噴霧するように構成された第1のノズル17をさらに備え、この第1のノズル17は、洗浄液送給ライン14に対して流体連結される。洗浄液の噴霧は、第1のノズル17に対して流体連結された第1の弁170により制御される。洗浄デバイスは、吹付けガス110を形成するためにガス11を吹き付けるように構成された第2のノズル18をさらに備え、前記第2のノズル18は、ガス送給ライン13に対して流体連結される。ガスの吹付けは、第2の弁180により制御される。本発明による洗浄デバイスは、20~50ms以内で洗浄が行われるように、表面に対する洗浄液の噴霧またはガスの吹付けを可能にする。第1の弁170および第2の弁180は、電子制御ユニットにより制御されるソレノイド作動弁である。
【0064】
図6は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第6の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記第6の実施形態は、
図5に示す第5の実施形態の展開例であり、液体ガス分離器21が、ガス排出ポート130の上流においてガス容積部111内に配置される。
【0065】
図7、
図8、および
図9は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第2の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記実施形態は、それぞれ異なるタイプの第1の弁170および第2の弁180を備える。
図7では、第1の弁170および第2の弁180は油圧弁であり、前記油圧弁は、例えば5バールの開口圧力閾値を有する過圧逃し弁である。前記油圧弁は、ガスにより駆動される場合には空気圧作動弁である。したがって、これらの弁は、圧力が5バールを超過するとすぐに開く。この過圧は、圧縮機15を作動させることにより5バール超の圧力でタンク10を加圧することによって発生させることができる。
図8は、いずれも油圧弁である第1の弁170および第2の弁180を備える洗浄デバイス1を開示し、前記油圧弁は、ガスにより駆動される場合には空気圧作動弁である。最終的には、
図9は、複数の油圧弁、第1の油圧弁170と第2の油圧弁180とを備える、車両に搭載された洗浄デバイス1を開示する。第2の油圧弁180は、空気圧作動弁である。第1の油圧弁170は、洗浄液送給ライン14に対して流体連結された第2の回路22に対して流体連結される。前記第2の回路22が、過圧逃し弁23、逆止弁24、および油圧シリンダ27を備える。表面の洗浄サイクルの最中に、圧縮機15は、8バール超の圧力でタンク10を加圧する。第1の油圧弁170は8バール超の圧力で開口し、洗浄液12は第1のノズル17を介して噴霧される。第2のステップの最中に、圧縮機15は、9バール超の圧力でタンク10を加圧し、過圧逃し弁23は、開口し、油圧シリンダ27中に洗浄液12を流す。油圧シリンダ27内のピストンは、閉位置においては第1の油圧弁170を押し戻し、第1のノズル17を介した洗浄液の噴霧が停止する。第2の油圧弁180は9バールの圧力で開き、ガス11は第2のノズル18を介して吹き付けられる。最終的に、タンク10内部の圧力は8バール未満に低下する。逆止弁24は、開くことにより油圧シリンダ27の圧力を低下させる。油圧シリンダ27は、タンク内部圧力が8バール未満に低下した場合に逆止弁24を介して洗浄液を押し戻すために圧縮可能な気泡(またはガス)を保持する。
【0066】
図10は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第7の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記第7の実施形態は、
図1に示す第1の実施形態の展開例であり、ガス加圧手段15のための取付けフランジ100が、ガス充填開口16内に取り付けられ、ガス加圧手段15は、取付けフランジ100を介してタンク10の壁部上に固定される。
【0067】
図11は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第8の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記第8の実施形態は、
図1に示す第1の実施形態の展開例であり、タンク10は、例えばレベルセンサ32、圧力センサ33、および温度センサ34などの複数のセンサをさらに備える。
【0068】
図12は、本発明による車両に搭載された洗浄デバイス1の第9の実施形態の垂直方向断面図を示す。前記第9の実施形態は、
図1に示す第1の実施形態の展開例であり、ガス加圧手段15は、タンク10のガス容積部111内に完全に配置される。
【0069】
上記に示した車両に搭載された洗浄デバイス1の実施形態は、車両の表面を洗浄するための方法の実施を可能にする。この方法は、以下のステップを含む。
- ガス加圧手段15で前記ガス11を圧縮することによりガス11および洗浄液12を収容するタンク10を加圧するステップ。
- タンク10に対して流体連結された洗浄液送給ライン14上に配置された第1の弁170を開く、またはタンク10に対して流体連結されたガス送給ライン13上に配置された第2の弁180を開くステップ。
- 第1のノズル17を介して表面に対して洗浄液12を噴霧する、または第2のノズル18を介して表面に対してガス11を吹き付けるステップ。
【0070】
ガス11を吹き付ける単一のステップにより、例えば降雨期間の最中もしくは後に表面を乾燥させること、または例えば飛翔する昆虫などの異物を避けることなどが可能となる。
【0071】
上記に示した車両に搭載された洗浄デバイス1の実施形態は、車両の表面を洗浄するための方法の実施をさらに可能にする。この方法は、以下の連続ステップを含む。
- ガス加圧手段15で前記ガス11を圧縮することによりガス11および洗浄液12を収容するタンク10を加圧するステップ。
- タンク10に対して流体連結された洗浄液送給ライン14上に配置された第1の弁170を開くステップ。
- 第1のノズル17を介して表面に対して洗浄液12を噴霧するステップ。
- タンク10に対して流体連結されたガス送給ライン13の上に配置された第2の弁180を開くステップ。
- 第2のノズル18を介して表面に対してガス11を吹き付けるステップ。
【符号の説明】
【0072】
1 洗浄デバイス
10 タンク
11 ガス
12 洗浄液
13 ガス送給ライン
14 洗浄液送給ライン
15 ガス加圧手段
16 ガス充填開口
17 第1のノズル
18 第2のノズル
19 過圧弁
21 液体ガス分離器
22 第2の回路
23 過圧逃し弁
24 逆止弁
25 弁
26 ライン
27 油圧シリンダ
32 レベルセンサ
33 圧力センサ
34 温度センサ
100 取付けフランジ
110 吹付けガス
111 ガス容積部
120 噴霧洗浄液
130 ガス排出ポート
140 洗浄液排出ポート
170 第1の弁
180 第2の弁
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の表面を洗浄するように構成された洗浄デバイス(1)であって、
ガス(11)および洗浄液(12)を収容するように構成されたタンク(10)であって、ガス送給ライン(13)、洗浄液送給ライン(14)、洗浄液充填開口およびガス充填開口(16)、ガス排出ポート(130)、ならびに洗浄液排出ポート(140)を備える、タンク(10)と、
前記ガス充填開口(16)に対して流体連結され、前記タンク(10)を加圧するように構成されたガス加圧手段(15)と、
前記洗浄液(12)を噴霧するようにおよび/または前記ガス(11)を吹き付けるように構成された第1のノズル(17)であって、前記ガス送給ライン(13)および/または前記洗浄液送給ライン(14)に対して流体連結された、第1のノズル(17)と、
前記第1のノズル(17)に対して流体連結された第1の弁(170)と
を備える、洗浄デバイス(1)において、
前記ガス加圧手段(15)は、前記タンク(10)のガス容積部(111)内に完全にまたは部分的に配置されることを特徴とする、洗浄デバイス(1)。
【請求項2】
前記タンク(10)は過圧弁(19)を備える、請求項1に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項3】
前記ガス加圧手段(15)は、前記タンク(10)の壁部上に固定される、請求項1または2に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項4】
前記ガス加圧手段(15)は、圧縮機およびガスポンプからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項5】
前記洗浄デバイス(1)は、前記洗浄液(12)を噴霧するようにおよび/または前記ガス(11)を吹き付けるように構成された第2のノズル(18)を備え、前記第2のノズル(18)は、前記ガス送給ライン(13)に対しておよび/または前記洗浄液送給ライン(14)に対してならびに第2の弁(180)に対して流体連結される、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項6】
前記第1のノズル(17)は、前記洗浄液(12)および前記ガス(11)を含むエアロゾルを噴霧するように、または前記洗浄液(12)を噴霧するようにもしくは前記ガス(11)を吹き付けるように構成され、前記第1のノズル(17)は、前記ガス送給ライン(13)に対しておよび前記洗浄液送給ライン(14)に対して流体連結される、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項7】
前記タンク(10)は、前記ガス排出ポート(130)の上流において前記ガス容積部(111)内に配置された液体ガス分離器(21)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項8】
前記第1の弁(170)はソレノイド作動弁である、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項9】
前記第2の弁(180)はソレノイド作動弁である、請求項5
に記載の、もしくは請求項5に従属する請求項6から8のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項10】
前記タンク(10)は、レベルセンサ(32)、圧力センサ(33)、温度センサ(34)、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つのセンサデバイスを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項11】
前記洗浄液送給ライン(14)に対して前記ガス送給ライン(13)を連結するライン(26)に弁(25)が配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両に搭載された洗浄デバイス(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の洗浄デバイス(1)を備える車両であって、
前記洗浄デバイスは、前記車両の表面を洗浄するように構成される、
車両。
【請求項13】
前記車両の前記表面は、センサ表面またはカメラ表面である、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
車両の表面を洗浄するための方法であって、
ガス(11)および洗浄液(12)を収容するタンク(10)を、前記タンク(10)のガス容積部(111)内に完全にまたは部分的に配置された加圧手段(15)を使用して前記ガス(11)を圧縮することにより加圧するステップと、
前記タンク(10)に対して流体連結された洗浄液送給ライン(14)上に配置された第1の弁(170)を開口するか、または前記タンク(10)に対して流体連結されたガス送給ライン(13)上に配置された第2の弁(180)を開口するステップと、
前記表面に対して前記洗浄液(12)を噴霧するか、または前記表面に対して前記ガス(11)を吹き付けるステップと
を含む、方法。
【請求項15】
車両の表面を洗浄するための方法であって、以下の好ましくは連続するステップ、すなわち
ガス(11)および洗浄液(12)を収容するタンク(10)を、前記タンク(10)のガス容積部(111)内に完全にまたは部分的に配置された加圧手段(15)を使用して前記ガス(11)を圧縮することによって加圧するステップと、
前記タンク(10)に対して流体連結された洗浄液送給ライン(14)上に配置された第1の弁(170)を開口するステップと、
前記表面に対して前記洗浄液(12)を噴霧するステップと、
前記タンク(10)に対して流体連結されたガス送給ライン(13)上に配置された第2の弁(180)を開口するステップと、
前記表面に対して前記ガス(11)を吹き付けるステップと
を含む、方法。
【国際調査報告】