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特表2024-546119発射体構成、ランチャー、及びランチャーアクセサリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】発射体構成、ランチャー、及びランチャーアクセサリ
(51)【国際特許分類】
   F42B 5/08 20060101AFI20241210BHJP
   F41B 6/00 20060101ALI20241210BHJP
   F41A 21/46 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
F42B5/08
F41B6/00
F41A21/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534464
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022052318
(87)【国際公開番号】W WO2024030146
(87)【国際公開日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】63/287,265
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/078,028
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521095020
【氏名又は名称】エヌエル エンタープライゼズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ペディチーニ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ペディチーニ,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ヒューナー,コール
(57)【要約】
発射体は、少なくとも1つのコンパートメントを備えた発射体のハウジングと、通電可能なエネルギー貯蔵手段と、ペイロードと、制御回路と、イニシエーターとを含む。ペイロードは、発射体が分離または開口されるまで、発射体の1つのコンパートメント内に隔離され得る。発射体内のラム要素が発射体内を移動して、発射体の開口を引き起こし得る。発射体は、動的誘導を介してイニシエーターを作動させるための手段を含み得る。実施形態例では、発射体は、ランチャーの磁気要素に動作可能に結合されたコイルを含む。発射体がランチャー内を移動すると、発射体はコイルと磁気要素との間の相互作用によって動的に充電され得る。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランチャー及び発射体システムであって、前記システムは、
ランチャーと、
発射体とを含み、
前記発射体は、
ハウジングであって、前記ハウジングは少なくとも1つのコンパートメントを含む、前記ハウジングと、
通電可能なエネルギー貯蔵手段と、
ペイロードと、
制御回路と、
イニシエーターと、を含み、
前記少なくとも1つのコンパートメントのうちの1つのコンパートメントが前記ペイロードを含み、
前記通電可能なエネルギー貯蔵手段は、前記ランチャーによって少なくとも部分的に通電され、
前記発射体の発射後、前記イニシエーターが開始して、前記発射体のハウジングを破裂させ、崩壊させ、分離させるか、または他の方法で、前記ペイロードが放出される開口部を形成させる、前記ランチャー及び発射体システム。
【請求項2】
前記発射体はラム要素を含む、請求項1に記載の発射体。
【請求項3】
前記ラム要素は、前記イニシエーターの作動前、作動中、作動後に、前記イニシエーターを前記ペイロードから隔離する、請求項2に記載の発射体。
【請求項4】
前記ラム要素は、前記イニシエーターの開始まで静止しており、開始すると、前記ラム要素は移動して、前記発射体のハウジング内に開口部を形成する、請求項2に記載の発射体。
【請求項5】
前記ランチャー及び発射体は、前記通電可能なエネルギー貯蔵手段に動的誘導を介して通電するための手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ランチャーは磁気要素を含み、前記発射体はワイヤコイルを含み、前記ワイヤコイルは前記磁気要素に動作可能に結合され、前記発射体が前記ランチャー内を移動すると、前記磁気要素は動的誘導を介して前記ワイヤコイルを充電する、請求項6に記載のシステム。
【請求項7】
発射体であって、
前記発射体は、
ハウジングであって、前記ハウジングは少なくとも1つのコンパートメントを含む、前記ハウジングと、
通電可能なエネルギー貯蔵手段と、
ペイロードと、
制御回路と、
イニシエーターと、を含み、
前記少なくとも1つのコンパートメントのうちの1つのコンパートメントが前記ペイロードを含み、
前記通電可能なエネルギー貯蔵手段は、前記発射体の外部の供給源によって少なくとも部分的に通電され、
前記発射体の発射後、前記イニシエーターが開始して、前記発射体のハウジングを破裂させ、崩壊させ、分離させるか、または他の方法で、前記ペイロードが放出される開口部を形成させる、前記発射体。
【請求項8】
前記発射体はラム要素を含む、請求項7に記載の発射体。
【請求項9】
前記ラム要素は、前記イニシエーターの作動前、作動中、作動後に、前記イニシエーターを前記ペイロードから隔離する、請求項8に記載の発射体。
【請求項10】
前記ラム要素は、前記イニシエーターの開始まで静止しており、開始すると、前記ラム要素は移動して、前記発射体のハウジング内に開口部を形成する、請求項8に記載の発射体。
【請求項11】
前記発射体は、前記通電可能なエネルギー貯蔵手段に動的誘導を介して通電するための手段を含む、請求項7に記載の発射体。
【請求項12】
前記発射体はワイヤコイルを含み、前記ワイヤコイルは外部供給源の磁気要素に動作可能に結合され、前記発射体が移動すると、前記磁気要素は動的誘導を介して前記ワイヤコイルを充電する、請求項7に記載の発射体。
【請求項13】
発射体であって、
前記発射体は、
ハウジングであって、前記ハウジングは少なくとも1つのコンパートメントを含む、前記ハウジングと、
ワイヤコイルと、
ペイロードと、
イニシエーターと、を含み、
前記少なくとも1つのコンパートメントのうちの1つのコンパートメントが前記ペイロードを含み、
前記ワイヤコイルは、前記発射体の外部の磁気源によって少なくとも部分的に通電され、
前記発射体の発射後、前記イニシエーターが開始して、前記発射体のハウジングを破裂させ、崩壊させ、分離させるか、または他の方法で、前記ペイロードが放出される開口部を形成させる、前記発射体。
【請求項14】
前記発射体はラム要素を含む、請求項13に記載の発射体。
【請求項15】
前記ラム要素は、前記イニシエーターの作動前、作動中、作動後に、前記イニシエーターを前記ペイロードから隔離する、請求項14に記載の発射体。
【請求項16】
前記ラム要素は、前記イニシエーターの開始まで静止しており、開始すると、前記ラム要素は移動して、前記発射体のハウジング内に開口部を形成する、請求項14に記載の発射体。
【請求項17】
前記ワイヤコイルは外部供給源の磁気要素に動作可能に結合され、前記発射体が移動すると、前記磁気要素は動的誘導を介して前記ワイヤコイルを充電する、請求項13に記載の発射体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、係属中の米国仮特許出願第63/287,265号(2021年12月8日に出願)の米国特許法第119条下での非仮出願であり、その優先権を主張する。なおその開示は参照により組み込まれている。
【0002】
本開示は、非致死的及び致死的な発射体ならびに関連する発射メカニズム及びアクセサリに関し、より具体的には、ランチャー及び/またはランチャーアクセサリによって通電または充電され得て、発射後に崩壊してペイロードを送出し得る発射体に関する。
【背景技術】
【0003】
非致死的な発射体及び非致死的な発射システムは一般に、法執行機関によって、群衆制御の目的で、たとえば、暴動または怒っている群衆を鎮圧するために、または不審者を個別に制圧するために使用される。ますます、それらは、たとえば、住居侵入などの状況において自己防衛を強化するための別の手段としての使用法が見つかり得る。発射体及びシステム(このような非致死的な発射体を送出することができる武器など)は、標的被検者または被検者(複数形)を、永続的な危害を引き起こすことなく、しばらくの間制圧するようにデザインされている。通常は、このような武器システムは、発射体が不審者との衝撃で破裂することを必要とし、したがって正確なターゲティングが必要であり、場合によっては、不審者に重傷を負わせる。このようなデバイスに対する最も一般的な手段は、衝撃で破裂する発射体、または高電圧ショックを加えることで不審者を動けなくするワイヤで繋がれたターゲティングデバイスである。これらの既存の手段はすべて、以下でさらに詳細に概説する多くの欠点を有する。
【0004】
高電圧電気ショックの使用は長年、行われている。これは、不審者を動けなくする際にかなり有効であるが、不審者の体に与えられた電圧によって標的/不審者での心拍停止が起こり得るという欠点がある。さらに、不審者が開放的環境または非拘束の環境にいる場合、このような手段は、電気ショックを与えるために電極がその個人に接触することを確実にするために正確なターゲティングを必要とする。さらに、このようなデバイスに対する最長の有効範囲は30フィート未満であり、より典型的には10または15フィートである。さらに、このような武器の有効性は、衣類、コート、または湿った環境によって抑制される可能性がある。
【0005】
第2の技法は、トウガラシまたはPAVA粉末を入れたペイントボールの使用を伴う。これによって、電気ショック技法の範囲の問題はなくなるかまたは改善されるが、不審者の正確なターゲティングが必要となる。不審者からの粉末の跳ね返りによりユーザに戻る可能性があるため、これを短距離で行うことは極めて難しい。さらに、衝撃で、粉末の放出の制御は必ずしも効果的ではなく、1次元的である可能性がある。すなわち、雲が後に残されるため、逃げる不審者を止めることが難しい。さらに、衝撃で発射体が破裂することがなかった場合、意図した効果は達成されない。
【0006】
別のアプローチは発射体を提供することであり、その破裂または分離は、発射体の内部にあるバッテリまたはバッテリ(複数)によって電力供給されるコンポーネントによって引き起こされる。しかし、バッテリは本質的に、発射体と比較してそれぞれ大きくて重いため、発射体の潜在的な構成が制限される(少なくとも、バッテリが発射体内のかなりの量のスペースを占めるという事実により)。さらに、バッテリは比較的高価であるため、このような発射体の製造コストを押し上げる。さらに、非常に懸念すべきことに、バッテリは消耗し、時間が経つにつれて電荷を失う。つまり、そのように構成された発射体は、ある時間棚の上にあると、発火に使用できる状態ではない場合がある。この欠点は受け入れられない。なぜなら、このような発射体を使用すべき条件では、常に発火する準備ができている必要があるからである。
【0007】
複数の断片に断片化する致死的な発射体も開発されており、したがって、このような発射体の有効半径は増加する(必要なターゲティング精度は下がる)。このような断片化は、発射体の内部にあるバッテリまたはバッテリ(複数)によって電力供給されるコンポーネントによって、または標的への実際の衝撃によって生じ得る。しかし、バッテリは本質的に、発射体と比較してそれぞれ大きくて重いため、発射体の潜在的な構成が制限される(少なくとも、バッテリが発射体内のかなりの量のスペースを占めるという事実により)。さらに、バッテリは比較的高価であるため、このような発射体の製造コストを押し上げる。さらに、非常に懸念すべきことに、バッテリは消耗し、時間が経つにつれて電荷を失う。つまり、そのように構成された発射体は、ある時間棚の上にあると、発火に使用できる状態ではない場合がある。この欠点は受け入れられない。なぜなら、このような発射体を使用すべき条件では、常に発火する準備ができている必要があるからである。
【0008】
非致死的な発射体に現在利用できる方法はすべて、以下の欠点のうちの1つ以上を有する。ターゲッティングが困難である、近距離には適していない、長距離には適していない、不正確である、しばしば致死的である、そうでない場合は有効でないことが多い、製造コストがかかる、構成が複雑である、及び確実に電力供給されるわけではない。さらに、致死的な発射体に関して、現在利用できる方法のほとんどにおいて、このような発射体は効果的になるためには標的に衝突する必要があり、電力及び動作のための重くて複雑なバッテリ配置が必要である。
【発明の概要】
【0009】
従来技術に固有の前述の欠点を考慮すると、本開示の全般的な目的は、従来技術のすべての利点を含み、従来技術に固有の欠点を打開する発射体構成(本明細書では、文脈において「発射体」とも言う)、発射体ランチャー、及びランチャーアクセサリを提供することである。本明細書で使用する場合、「ペイロード」は、標的に致死的なまたは無能力にする力を加えることができ、及び/または標的上で致死的なまたは無能力にする効果をもたらすことができる物質、オブジェクト、化合物、または材料を指す場合がある。このようなペイロードは、本開示の趣旨から逸脱することなく、粉末、液体、またはエアロゾル、または発泡体形態及び/または榴散弾の形態(またはそれらの組み合わせ)とすることができる。ペイロードには、衰弱材料、可視物質(たとえば、染料または粉末など)、または不可視のマーキング物質(たとえば、UV反応性材料など)、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。発射体はエネルギー貯蔵手段も含み得る。本明細書で使用する場合、「エネルギー貯蔵手段」は、エネルギー貯蔵手段が外部供給源(ランチャーまたはそのアクセサリなど)によって通電または再通電されるまで、発射体または発射体の別のコンポーネントを作動させるかまたは発火準備状態にするのに十分なエネルギー(たとえば、電荷など)を欠いた貯蔵手段である。発射体を作動させるかまたは発火準備状態にする(または本明細書の他の箇所で説明する反応を模倣する)ための最小エネルギーを、「閾値エネルギー」と言う、つまり、閾値エネルギーを下回るエネルギーレベルでは、発射体は、発火準備状態にされることも作動されることもなく、及び/または機械的または化学的反応を開始することがない。一実施形態では、エネルギー貯蔵手段はキャパシタを含む。キャパシタは、発射体の発射の前にまたは発射と同時に、ランチャーまたはランチャーアクセサリによって充電または通電され得る。
【0010】
一実施形態では、発射体は、ランチャーの銃身を離れた後、2つ以上のコンポーネントに分離して、ペイロードを分散する。一実施形態では、分離は、電気的、機械的、または化学的手段によって、またはそれらの組み合わせによって開始することができる。さらに他の実施形態では、開始の時間は、不審者または標的までの距離に応じて変えることができる。一実施形態では、発射体及びペイロードの分離を開始する手段が、発射体の別個のコンパートメントまたは領域内に配置される。
【0011】
別の実施形態では、電気回路を発射体内に配置してもよい。上記実施形態では、発射体はエネルギー貯蔵手段を含んでいてもよい。電気回路は、化学反応を開始してもよいし、そうでなければ電気機械的な方法によって発射体の分離を引き起こしてもよく、回路は動的誘導による活性化によって作動させてもよい。動的誘導は、本明細書で使用する場合、静磁界の乱れによる可動コイルの充電または通電である。充電または通電は、図10の典型的な埋め込みに示すように、コイルが静磁力線を乱す速度に依存する。この形式の誘導は、静電誘導とは異なる。後者は、動的磁界を使用した固定コイルの充電である。
【0012】
一実施形態では、回路及びペイロードは、発射体の別個のコンパートメントまたは領域内に配置される。放出は、ペイロードの分離及び分散が標的の付近になるようにタイミングを合わせてもよい。タイミングは、発射体速度だけでなく標的までの距離に基づく計算を含んでいてもよい。電気回路及び反応は、エネルギー貯蔵手段が十分に充電または通電された(すなわち、閾値エネルギーを超えた)ときに開始することができる。このような充電または通電は、たとえば、ランチャーまたは外部供給源(たとえば、必ずしも限定されないが、ランチャーアクセサリ)によって行われる。
【0013】
さらに他の実施形態では、発射体の分離、開口などは、化学反応の結果であり、ニトロセルロースなどの活性化化合物は「電気マッチ」により開始され得る。電気マッチは、発熱物質によってコーティングされ、バッテリ、キャパシタなどからの電気エネルギーによって開始されるニクロムまたは同様の高抵抗ワイヤからなっていてもよい。ランチャー及び/またはランチャーアクセサリが少なくとも1つの磁石を含む一実施形態では、発射体が発射されるとき、ランチャー及び/またはアクセサリの少なくとも1つの磁石が、動的誘導によって電気マッチを作動させることができる。一実施形態では、電気マッチ及びペイロードは、発射体の別個のコンパートメントまたは領域内に配置される。
【0014】
さらに他の実施形態では、発射体ランチャー(及び/またはランチャーアクセサリ)及び発射体は、標的までの範囲の結果としてタイミング及びまたは距離情報によって発射体がエンコードされるシステムの一部である。発射体ランチャー及び/またはランチャーアクセサリは、標的までの距離を測定するための距離計または他の手段をさらに含んでいてもよい。さらなる実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、ユーザからの標的の距離に対応する特定のエネルギー量によって通電される。言い換えれば、発射体に供給されるエネルギー量は、ランチャー/ランチャーアクセサリ(ランチャーまたはランチャーアクセサリの距離計など)によって決定される。ランチャー/ランチャーアクセサリは距離情報を分類し、エネルギー貯蔵手段を特定のエネルギー量によって充電または通電し、前記特定のエネルギー量は発射体制御回路によってデコードされ、制御回路は、発射体が破裂すべき距離などを決定する。ランチャー(及び/またはランチャーアクセサリ)及び発射体は、互いに有線通信または無線通信するように構成することができ、ランチャー及び/またはランチャーアクセサリは発射体にエネルギーを伝達することができ得る。一実施形態では、ランチャーによる発射体の発射は、圧縮空気によって達成することができ、この実施形態では、複雑な発火メカニズム(発射体上のプライマーまたはランチャー用のハンマーなど)への要求がなくなる。しかし、本明細書での発射体及びランチャーは、燃焼または他の手段によって発射されるように構成し得ることは明らかである。
【0015】
本開示の利点及び特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を、添付図面と併せて参照すると、より良好に理解される。同様の構成要素は同様の符号によって特定される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の典型的な実施形態による、発射体を有する発射体ランチャー1000の縦断面図である。
図1A】発射体ランチャーの銃身及びランチャーの少なくとも1つの磁石の図である。
図2】本開示の典型的な実施形態による、発射前及びその後の飛行中の両方の発射体の図であり、発射体のハウジングが分離してペイロードを放出している図である。
図3】本開示の典型的な実施形態による、弾倉を有する発射体ランチャーの図であり、弾倉内に発射体が、発射後に様々な時点/距離で破裂するようにセットされている図である。
図4】本開示の典型的な実施形態による、ペイロード、制御回路、イニシエーター、及びエネルギー貯蔵手段を含む発射体の図である。
図5】本開示の典型的な実施形態による、ペイロード、イニシエーター、及び制御回路を含む発射体の図である。
図6】本開示の典型的な実施形態による、ランチャー、発射体のコンポーネント、及び発射体に情報を伝達する少なくとも1つの手段を示す図である。
図7】本開示の典型的な実施形態による、複数のコンパートメントと、発射体の開口、破裂、分離などを容易にするためのラムとを有する発射体を示す図である。
図8】本開示の典型的な実施形態による、発射体を示す図であり、発射体のハウジングがラムによって分離されて、ペイロードを放出した図である。
図9】本開示の典型的な実施形態による、静磁界を通る発射体の運動、及び動的誘導によるエネルギー貯蔵手段の通電による前記発射体の作動を示す図である。
図10】本開示の典型的な実施形態による、複数のコンパートメントならびにその種々のコンポーネントを備えた発射体の図である。
図11】本開示の典型的な実施形態による、複数のコンパートメントならびにその種々のコンポーネントを備えた発射体を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
説明を目的として本明細書で詳細に説明する典型的な実施形態は、構造及びデザインにおける多くの変形を受ける。しかし、本開示は、図示及び説明した特定の発射体または発射体ランチャーに限定されないことを強調しておかなければならない。すなわち、状況が示唆するかまたは好都合にし得る場合は、同等物の種々の省略及び置換が考えられるが、これらは、本開示の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、本出願または実施態様を網羅することが意図されていることが理解される。用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書では、何らの順番、量、または重要性も意味せず、むしろ、ある要素を別の要素と区別するために使用される。また用語「a」及び「an」は、本明細書では、量の限定を意味せず、むしろ参照した物品の少なくとも1つの存在を意味する。
【0018】
本開示は、発射体100及びランチャー1000、ならびに一実施形態では、ランチャーアクセサリ1100を提供する。発射体100は好ましくは、標的または不審者を動けなくし及び/またはマーキングするためのペイロード200を含む。ペイロードは、本明細書で使用する場合、致死的なまたは無能力にする力を加えることができ、及び/または標的上で致死的なまたは無能力にする効果をもたらすことができる物質、オブジェクト、化合物、または材料も含み得ることが理解される。
【0019】
発射体100は好ましくはエンクロージャを含む。エンクロージャは、少なくとも部分的に環状のシェル102によって形成され得る。シェルは、エンクロージャを形成するシェルの環状部分の半径に対応する、閉じた実質的に平面の端部104(本明細書では、「エンドキャップ」とも言う)を含んでいてもよい。シェル及び端部は、個別に及び一括して、本明細書では発射体100のハウジングを指し得る。発射体ハウジングは、先行する典型的な実施形態で言及したシェル及び端部の構成に限定されず、発射体のハウジングは、本開示の趣旨から逸脱することなく、エンクロージャを形成する任意の形状を含み得ること、たとえば、球体または円錐に必ずしも限定されないことは明らかである。ペイロード200は、好ましくは、発射体100の発射前にエンクロージャ内に含まれている。一実施形態では、発射体100はアパーチャを含む。アパーチャは、発射中/発射後に発射体が作動するまで発射体をシールするために、エンドキャップ104によって一時的にシールすることができる。
【0020】
一実施形態では、発射体100は、標的または他の衝突面と衝突する前に、自己分離するか、崩壊するか、または他の方法で開くことができる。一実施形態では、ランチャー1000は、発射体100の分離または崩壊または破裂または開口などを開始することができる。一実施形態では、ランチャー1000は、発射体100と通信し、及びまたは発射体の発射の前にまたは発射と同時に発射体100を発火準備状態にすることができる。別の実施形態では、ランチャーは安全装置及び/または引き金を含む。安全装置及び/または引き金は、作動されるまで、発射体が発火準備状態にされることを防止する。発火準備状態にすることは、たとえば、発射体内に含まれるエネルギー貯蔵要素または手段の充電または通電とすることができる。
【0021】
典型的なランチャー1000を図1Aに示す。ランチャーは、発射体100を方向付けて発射するための銃身1010を含む。ランチャー1000は、発射体を発火前に保持するためのチャンバー1015を含んでいてもよい。図1Aに示すランチャー1000は、ランチャー1000が本明細書で開示した発射体のうちの発射体100を発火させることができる限り、他の構成であってもよいことが明らかである。
【0022】
図2に示すような一実施形態では、発射体100のハウジングは、ペイロードを分散するために、ランチャー1000の銃身1010を離れた後に開くかまたはそうでなければ分離する。すなわち、発射体のハウジングが破裂するかまたは裂けること、またはハウジングコンポーネントが分離することによって、発射体100内に開口部が形成され、そこからペイロード200が発出し得る。
【0023】
別の実施形態では、本明細書で開示した発射体100は、ペイロード200の放出または分散が、ランチャー1000の銃身1010及び/またはランチャーアクセサリ1100から固定距離または所定の距離で起こる、前述の実施形態の種々の調整手段を含む。
【0024】
別の実施形態では、放出は制御回路120によって達成され得る。このような制御回路120は、無線周波数識別(RFID)を含んでいてもよく、発射体100内のRFIDタグは、ランチャー1000またはランチャーアクセサリ1100からユーザ指定の距離において発射体100を破裂させ得る。上記破裂は、たとえば、ニトロセルロースとの反応を開始することによって生じ得る。このような実施形態では、ランチャー1000及びランチャーアクセサリ1500がRFIDタグと通信するための送信機または他の手段を含み得るか、または反応が他の手段によって制御され得ることが明らかである。別の実施形態では、制御回路120は誘導的に作動される。一実施形態では、図8、10、及び11に示すように、発射体は、発射体の分離、破裂、開口などが切迫するまでペイロードを発射体の他のコンポーネントから隔離するために、複数のコンパートメント105を含んでいてもよい。
【0025】
別の実施形態では、エネルギー貯蔵手段の通電は、動的誘導を介して達成される。このような実施形態では、発射体はワイヤのコイル550を含み、ランチャーは磁気要素を含む。コイルは磁気要素に動作可能に結合されている。好ましい実施形態では、磁気要素はランチャーの銃身の近くに配置される。磁気要素は、静磁界を生成することができる。一実施形態では、磁気要素は少なくとも1つの磁石500である。発射体(及びその中に含まれるワイヤのコイル550)は、銃身を下って静磁界を通って移動するときに既知の速度を有することが理解される。このようにして、エネルギーがワイヤのコイル550内に誘起される。このエネルギーを利用して、たとえば、エネルギー貯蔵手段に通電することができる。動的誘導によるこの通電は、発射体が銃身の中を、十分な閾値速度(本明細書では、コイル550内に誘起されるエネルギーが閾値エネルギーを超えるような必要な速度として規定される)で移動しているときにのみ起こる。これによって、発射体を作動させる本質的に安全な方法が提供される。すなわち、発射体を発射中にのみ作動させることができ、前記発射は、発射体に閾値速度を超えるのに十分な速度を与えなければならない。
【0026】
さらに図7、8、10、及び11を参照して、本開示の典型的な実施形態による、マルチコンパートメント105の発射体を示す。この典型的な実施形態では、ペイロードは、イニシエーター150及び/または作動材料が維持されるコンパートメント105とは異なるコンパートメント105内に維持される。発射体の分離、開口、破裂などのシーケンスが開始するまで、これらの要素を物理的に分離し続けることにより、隔離された要素の完全性が維持される。一実施形態では、たとえば、図7、8、10、及び11に示すように、分離はラム108によって形成される。ラム108は、このような実施形態では、発射体のハウジング内で移動可能であり、作動要素または材料(電気マッチまたはニトロセルロースなど)が作動すると、ラム108は作動要素または材料の力によって移動される。一実施形態では、ラム108はシェルの内部の一部に近接しており、作動要素または材料によって生じるラム108の運動はシェルに接触し、シェルを分離させ、破裂させ、開かせるなどして、ペイロードがシェルから放出され得る。このような実施形態では、ペイロードは、ラム108によって接触され及び/またはラム108によって開かれるシェルの領域に近接していてもよい。発射体の典型的な開口を図9に示す。ここでは、移動する発射体100が、静磁力線501(磁気要素(複数可)500によって生成されている)を乱して、イニシエーター150を作動させ、それによってラム108を加速し、エンドキャップ104が排出されて、ペイロード200がその後分散される。ストッパー109を設けて、ラム108がペイロード200及びエンドキャップ104とともに排出されないことを確実にしてもよい。
【0027】
図3に示すように、ランチャー及び発射体システムは弾倉1040を含み得る。弾倉1040は、複数の発射体100を保持し、前記発射体100をランチャー1000に供給して、発射体100の発火/発射を図る。一実施形態では、弾倉1040の種々の発射体100は、発射後に同じ距離「D」または時間において分離または破裂などをするように構成してもよいし、または発射後に異なる距離及び/または時間において分離または破裂などをするように構成してもよい。種々の発射体が、発射後に同じ距離「D」または時間において分離または破裂などをするように構成されている実施形態では、ユーザが、破裂した発射体からのペイロードの影響を、ある特定の規定された範囲内に集中させ得ることが明らかである。種々の発射体が、発射後に異なる距離及び/または時間において分離または破裂などをするように構成されている実施形態では、本明細書の他の箇所に記載されるように、種々の発射体の各発射体の分離などを選択的に設定することによって、発射後に特定の距離及び/または時間において、種々の発射体の各特定の発射体の分離などが達成され得ることが明らかである。
【0028】
図4を参照して、発射体100はさらに、エネルギー貯蔵手段140(たとえば、限定することなく、キャパシタまたは小型リチウムイオン充電式電池)及びイニシエーター150(たとえば、限定することなく、発熱体)を含んでいてもよい。本明細書で使用する場合、「エネルギー貯蔵手段」は、エネルギー貯蔵手段が外部供給源(たとえばランチャー、前記ランチャーは電気、磁気、及び/または電磁源を含む)によって、閾値エネルギーを超えて充電または通電されるまで、発射体または発射体の別のコンポーネントを作動させるかまたは発火準備状態にするのに十分な充電または通電を欠いた貯蔵手段である。エネルギー貯蔵手段を充電することは、本明細書では、エネルギー貯蔵手段に「通電する」と言う場合もある。本明細書で開示したエネルギー貯蔵手段は、通電可能なエネルギー貯蔵手段と言う場合もある。エネルギー貯蔵手段140及びイニシエーター150は、スイッチ180に動作可能に結合されていてもよく、タイマ130がスイッチ180を発射体100の発射後の特定の時間にトリップさせてもよく、その後、エネルギー貯蔵手段140が蓄積エネルギーをイニシエーター150に供給して、イニシエーター150に反応(加熱など)を行わせてもよく、その結果、発射体100が開口、分離、または崩壊してペイロード200を放出する。一実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、本明細書の他の箇所で説明したように、発射体の発射と同時に起きるランチャーの少なくとも1つの磁石500及び/またはランチャーアクセサリの少なくとも1つの磁石1500によって通電される。一実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、ペイロードが配置される発射体のコンパートメント105とは別個の発射体のコンパートメント105内に配置される。
【0029】
別の実施形態では、図5を参照して、制御回路120はイニシエーター150に直接結合され、イニシエーター150または制御回路120が発射体100のコイル550からの誘導エネルギーによって作動した後に、制御回路120はイニシエーター150による動作を可能にする。図5に示すように、イニシエーター150は電気マッチであってもよい。電気マッチは作動時に熱くなって、ペイロード200を放出するために発射体100のシェル内に開口部を形成してもよい。制御回路120は、ランチャーの少なくとも1つの磁石500及び/またはランチャーアクセサリの少なくとも1つの磁石1500によって作動され得ることが明らかである。上記実施形態では、イニシエーター150は、発射体の開口をランチャーを出た直後に開始する。これは、たとえば短距離の状況では望ましい。
【0030】
一実施形態では、発射体は、発射体のハウジング内に複数のコンパートメント105を含む。そのような構成を、図7の典型的な実施形態に示す。このような実施形態では、ペイロードは、イニシエーター150、エネルギー貯蔵手段、及びまたは制御回路120から物理的に隔離され得る。この隔離によって、これらの種々のコンポーネントがより有効に機能することができる。たとえば、ペイロードが粉末である場合、隔離された粉末は、ニトロセルロースを被覆し、分解することはできない。同様に、隔離によって、発射体の分離、開口などの前に、作動要素がペイロードに不注意に点火するかまたは燃焼させることが防止される。一実施形態では、複数のコンパートメント105は、発射体内に配置されたラム108要素によって形成される。ラム108は、発射体内の一時的に固定された位置であってもよいが、力を受けたときに発射体内を移動できてもよい。
【0031】
一実施形態では、作動要素の作動によりラム108に力が付与され、ラム108はそれ自身の十分な力によってハウジングの内部の一部に当たって、ハウジングの一部を破壊し、破裂し、またはそうでなければ開き、ペイロードが発射体から分散し得る。一実施形態では、発射体は、コンポーネント及びペイロードを搭載した後、エンドキャップ104によって塞がれる。このような実施形態では、ラム108が作動要素の力を受けた後、ラム108はエンドキャップ104に当たって発射体を開く。
【0032】
さらなる他の実施形態では、たとえば図6に示したように、発射体100及びランチャー1000は、無線手段または有線手段のうちの少なくとも1つを介して通信する。これにより、ランチャーは発射体内のパラメータを設定することができ、ハウジングが破られるかまたは破裂する点をより正確に制御することができ、すなわち、発射体が破裂し得る特定の距離または時間を設定することができる。
【0033】
ランチャー1000は、発射プロセスを開始するための引き金1080を含み得る。ランチャー及び/またはランチャーアクセサリによりエネルギー貯蔵手段を充電または通電することで、エネルギー貯蔵手段が内蔵型電源を含むという要件がなくなる(すなわち、エネルギー貯蔵手段用のバッテリが必要でない)、その結果、エネルギー貯蔵手段が発射前に電力の消耗を被る可能性がなくなることが明らかである。
【0034】
図1に、好ましくは電気駆動または電気的手段と燃焼手段もしくは圧縮ガス手段との組み合わせに基づく発射体ランチャー1000を表す。当然のことながら、発射体は、特定の発射方法には限定されないが、好ましいデザインされたランチャーは、発射体との電子制御及び通信要素を有するという利点を利用できるものである。一実施形態では、本明細書の発射体は軽量構造であり(少なくとも内蔵電池を必要としないという理由で)、圧縮ガスは発射体を十分かつ効果的に発射することができる。しかし、本開示は、他の実施形態では、発射体上のプライマー及び/または推進剤、このようなプライマーに当たるためのランチャーのハンマー、ならびに圧縮ガス以外によって発射体を発射する他の手段を含み得る。発射体は、ランチャーによって(たとえば、ランチャーの少なくとも1つの磁石または磁気要素によって)または他の外部供給源によって通電可能であるので、発射体が内蔵電池の消耗によって動作しなくなる可能性は無意味になる。この通電スキームによって、発射体が発射前に点火し得る可能性もなくなる。
【0035】
本明細書で開示した発射体、ランチャー、及びランチャーアクセサリによって、既存の解決策が提案できるものより、もっと制御されたペイロード放出という利点が提案される。たとえば、ユーザは、発射体内の開口部を制御するパラメータを構成することによって、材料が放出される範囲及び/または速度を設定することができる。さらに、発射体は標的に衝突する必要がない。本明細書で開示した発射体のシェルの構成はまた、発射体の飛行の精度を高めて、本明細書で開示した発射体を使用する安全性をさらに向上させ得る。さらに、発射体がランチャーから発射されるまで、発射体を、発火準備でない状態に保つことができる。ランチャーまたは他の外部供給源によりエネルギー貯蔵手段を充電または通電することで、発射体が発火前に電力損失または故障を被る可能性がなくなる。
【0036】
本開示の特定の実施形態の前述の説明は、例示及び説明を目的として提示している。それらは、網羅的であること、または開示された正確な形態に本開示を限定することを意図しておらず、明らかに、上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。典型的な実施形態の選択及び説明は、本開示の原理及びその実際の応用を最も良く説明することによって、当業者が、本開示と、考えられる特定の使用に適した種々の変更を有する種々の実施形態とを最も良く利用できるように行った。

図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】