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特表2024-546132ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20241210BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20241210BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/03 Z
G01N21/78 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535190
(86)(22)【出願日】2023-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2023096311
(87)【国際公開番号】W WO2024001625
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202210749511.8
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210749471.7
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524221329
【氏名又は名称】湖南超亟検測技術有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】HUNAN TARGETING DETECTION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room 901,Building 4,Haiping Park,No.229 Guyuan Road,Gaoxin Development Zone,Changsha,Hunan 410013,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 成昆
(72)【発明者】
【氏名】何 峰
(72)【発明者】
【氏名】黄 欣
(72)【発明者】
【氏名】陶 立安
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA06
2G043DA02
2G043DA06
2G043EA01
2G043EA06
2G043HA02
2G043LA02
2G043NA01
2G057AA04
2G057AC06
2G057BA03
(57)【要約】
ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法であって、大量の捕捉ビーズをビーズ固定板に互いに分散して配置し、少なくとも一部の捕捉ビーズには1つの分析物が特異的に結合され、各分析物には発光物が結合され、格子検出装置の格子開口部を利用して、一端に配置された捕捉ビーズから捕捉ビーズを列ごとにスキャンし始め、格子検出装置はマーカーが結合された捕捉ビーズの数を同期して統計し、格子開口部と捕捉ビーズとの横方向の相対移動によってビーズ固定板全体での捕捉ビーズをスキャンし、スキャンが完了すると分析物の総数を得る。本発明は、捕捉ビーズをスキャンしながらマーカーが結合された捕捉ビーズの数を統計し、検出物の数をリアルタイムで得ることで、検出速度を大幅に向上させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法であって、大量の捕捉ビーズをビーズ固定板(又は検出チップ)に互いに分散して配置し、少なくとも一部の捕捉ビーズには1つの分析物が特異的に結合され、各分析物には発光物が結合され、格子検出装置の格子開口部を利用して、一端に配置された捕捉ビーズから捕捉ビーズを列ごとにスキャンし始め、格子検出装置はマーカーが結合された捕捉ビーズの数を同期して統計し、格子開口部と捕捉ビーズとの横方向の相対移動によってビーズ固定板全体での捕捉ビーズをスキャンし、スキャンが完了すると分析物の総数を得ることを特徴とするラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項2】
1セットの格子検出装置は格子ヘッド、光センサ及び信号プロセッサを含み、格子ヘッドは列をなして設置される複数の独立した格子開口部を含み、光センサは複数の独立したセンシング素子を含み、且つ、スキャン時、1つの格子開口部は1つの捕捉ビーズに位置合わせされるか、又は捕捉ビーズに位置合わせされず、1つのセンシング素子は1つの格子開口部に対応し、この格子開口部に入射された光をセンシング可能であり、センシング素子は入射光をセンシングすると信号プロセッサにフィードバックし、信号プロセッサはフィードバック結果に応じて分析物の数を統計することを特徴とする請求項1に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項3】
センシング素子は感光管を含み、入射光をセンシングするとパルス信号を信号プロセッサに出力し、信号プロセッサはパルス信号を出力する感光管の数に応じて分析物の数を統計することを特徴とする請求項2に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項4】
格子検出装置の格子開口部は1列に設置され、全列の格子開口部の数はビーズ固定板に配置された捕捉ビーズの行数以上であり、隣接する2つの格子開口部間の中心距離は同一列の隣接する2行の捕捉ビーズ間の中心距離に等しいことを特徴とする請求項2に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項5】
格子検出装置の格子開口部は2列に千鳥状に設置され、2列の格子開口部の総数はビーズ固定板での捕捉ビーズの行数以上であり、各列の格子開口部のうち隣接する格子開口部間の中心距離は同一列の1行おきの2行の捕捉ビーズ間の中心距離に等しく、2列の格子開口部は協働して1列の捕捉ビーズをスキャンすることを特徴とする請求項2に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項6】
隣接する2つの捕捉ビーズ間の中心距離は捕捉ビーズの外径の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項7】
格子開口部と捕捉ビーズの表面との距離は捕捉ビーズの外径の2倍以下であることを特徴とする請求項1に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項8】
格子開口部と捕捉ビーズの表面との距離は捕捉ビーズの外径の1倍以下であることを特徴とする請求項7に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項9】
1つの格子開口部の内径は捕捉ビーズの外径の0.5倍~捕捉ビーズの外径の1.5倍であることを特徴とする請求項1に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【請求項10】
分析物は2種以上であり、発光物も2種以上であり、1種の分析物には1種の発光物が結合され、格子検出装置も2セット以上であり、1セットの格子検出装置は1種の発光物を計数することを特徴とする請求項1に記載のラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出方法に関し、具体的には、ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法に関し、単分子検出の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
単分子検出(SMD:Single Molecule Detection)は、近年、急速に発展している超高感度の検出技術であり、単分子レベルでターゲットを測定及び分析することを指し、新たな検出方法であり、新たな検出分野を開拓するものとなっている。この検出方法は、非常に低濃度の分析物を検出することができ、検出に必要な試薬及び占有スペースがいずれも非常に小さい。例えば、蘇州宇測生物科技有限公司に開示されている「CN202080000774.8-単分子定量的検出方法及び検出システム」では、免疫学的認識過程において光学効果を持つインサイチュシグナル増強ナノ粒子を導入して検出対象の分子をマークすることで、元の発光材料によって生成されたシグナルを増強し、認識度を高め、その後、光学イメージング機器を用いてスポットを有する検出対象の分子の数を取得する。また、例えば、米国Quanterixに開示されている「CN201180019462.2-ビーズ又は他の捕捉物を用いた分子又は粒子の超高感度検出」では、捕捉物を一定の区画に空間的に分割し、その後、捕捉物を画像化し、画像における発光する分析物の数を統計して濃度を決定する。これらの方法は、いずれも検出の感度を大幅に向上させることができる。しかしながら、上記方法は、いずれもイメージング後に画像において発光する分析物の数を数えるため、イメージング機器の要件が高く、検出速度が遅い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、現在の単分子検出方法ではイメージング方法を用いて分析物の濃度を計算するため、イメージング機器の要件が高く、検出速度が遅いという課題に対して、ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法を提案し、ラスタースキャン方法を用いて捕捉された分析物の数をリアルタイムで得て、機器が簡単で、検出速度が速い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が上記課題を解決するための技術的手段は、大量の捕捉ビーズをビーズ固定板(又は検出チップ)に互いに分散して配置し、少なくとも一部の捕捉ビーズには1つの分析物が特異的に結合され、各分析物には発光物が結合され、格子検出装置の格子開口部を利用して、一端に配置された捕捉ビーズから捕捉ビーズを列ごとにスキャンし始め、格子検出装置はマーカーが結合された捕捉ビーズの数を同期して統計し、格子開口部と捕捉ビーズとの横方向の相対移動によってビーズ固定板全体での捕捉ビーズをスキャンし、スキャンが完了すると分析物の総数を得る、ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法である。
【0005】
さらに、1セットの格子検出装置は格子ヘッド、光センサ及び信号プロセッサを含み、格子ヘッドは列をなして設置される複数の独立した格子開口部を含み、光センサは複数の独立したセンシング素子を含み、且つ、スキャン時、1つの格子開口部は1つの捕捉ビーズに位置合わせされるか、又は捕捉ビーズに位置合わせされず、1つのセンシング素子は1つの格子開口部に対応し、この格子開口部に入射された光をセンシング可能であり、センシング素子は入射光をセンシングすると信号プロセッサにフィードバックし、信号プロセッサはフィードバック結果に応じて分析物の数を統計する。
【0006】
さらに、センシング素子は感光管を含み、入射光をセンシングするとパルス信号を信号プロセッサに出力し、信号プロセッサはパルス信号を出力する感光管の数に応じて分析物の数を統計する。
【0007】
さらに、1セットの格子検出装置の格子開口部は1列に設置され、全列の格子開口部の数はビーズ固定板に配置された捕捉ビーズの行数以上であり、隣接する2つの格子開口部間の中心距離は同一列の隣接する2行の捕捉ビーズ間の中心距離に等しい。
【0008】
さらに、1セットの格子検出装置の格子開口部は2列に千鳥状に設置され、2列の格子開口部の総数はビーズ固定板での捕捉ビーズの行数以上であり、各列の格子開口部のうち隣接する格子開口部間の中心距離は同一列の1行おきの2行の捕捉ビーズ間の中心距離に等しく、2列の格子開口部は協働して1列の捕捉ビーズをスキャンする。
【0009】
千鳥状に設置されるとは、隣接する格子開口部間の位置がV字状であることであり、1列の格子開口部がビーズ固定板でのいくつかの行の捕捉ビーズに位置合わせされる場合、もう1列の格子開口部は前記捕捉ビーズに隣接する行の捕捉ビーズに位置合わせされ、即ち、同一列に配置された捕捉ビーズのうち隣接する2行の捕捉ビーズは1列の格子開口部に同時に位置合わせするのではなく、捕捉ビーズと格子開口部との行に沿った横方向移動中に順に2列の格子開口部にそれぞれ位置合わせされる。
【0010】
さらに、隣接する2つの捕捉ビーズ間の中心距離は捕捉ビーズの外径の2倍以上である。
【0011】
さらに、隣接する2つの捕捉ビーズ間の中心距離は捕捉ビーズの外径の3倍以上である。
【0012】
さらに、格子開口部と捕捉ビーズの表面との距離は捕捉ビーズの外径の2倍以下である。
【0013】
さらに、格子開口部と捕捉ビーズの表面との距離は捕捉ビーズの外径の1.5倍、1倍又は0.5倍に等しい。理論的には、格子開口部は、捕捉ビーズの表面の物質に接触しないという前提で、捕捉ビーズの表面との距離が小さいほど良く、マーカーが発する光を格子開口部内にできるだけ入射させ、距離が大きすぎる場合に光の損失が発生し、不正確な検出結果を引き起こすのを回避する。
【0014】
さらに、1つの格子開口部の内径は捕捉ビーズの外径の0.5倍~捕捉ビーズの外径の1.5倍である。
【0015】
さらに、1つの格子開口部の内径は捕捉ビーズの外径に等しい。好適には、1つの格子開口部での光透過領域の面積を捕捉ビーズの発光領域の格子開口部での投影の面積に近くするとともに、格子開口部と捕捉ビーズの表面との距離を制御し、その相乗作用によって、捕捉ビーズの表面の発光物が発する光が格子開口部内に最大限に入射できることを確保するとともに、隣接する位置にある他の捕捉ビーズの表面の発光物が発する光がこの格子開口部内に入射して検出結果に影響を及ぼすのを回避する。
【0016】
好ましくは、捕捉ビーズはビーズ固定板にアレイ状に配置されることで、機器のサイズを最大限に小さくさせ、格子開口部に入ることができる光の量を制御することで、センシング素子をオンにして信号を送信させることができるだけでなく、隣接する捕捉ビーズの表面からの光が格子開口部に入ってセンシング素子が誤った信号を送信するのを回避することもできる。
【0017】
さらに、発光物は蛍光又は化学発光試薬を含む。
【0018】
さらに、発光物が蛍光である場合、ビーズ固定板の付近に捕捉ビーズを照射する励起光源が設置される。
【0019】
さらに、分析物は2種以上であり、発光物も2種以上であり、1種の分析物には1種の発光物が結合され、格子検出装置も2セット以上であり、1セットの格子検出装置は1種の発光物を計数する。
【0020】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0021】
1.本発明は、捕捉ビーズをスキャンしながらマーカーが結合された捕捉ビーズの数を統計し、検出物の数をリアルタイムで得ることで、検出速度を大幅に向上させる。
【0022】
2.本発明は、スキャン時に発光物の光信号を電気信号に変換することで、検出物の数をリアルタイムで統計することを実現できる。
【0023】
3.本発明では、格子開口部が2列千鳥状に設置される形態は、隣接する格子開口部間の距離を増加させることに相当し、同期検出時に隣接する捕捉ビーズ間の光の干渉を回避し、検出結果の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1における磁気ビーズがマイクロウェルアレイプレートに配置される模式図である。
図2】実施例1における自動スキャン認識の模式図である。
図3】実施例1における格子ヘッドの格子開口部の配列模式図である。
図4】実施例2における格子ヘッドの格子開口部の配列模式図である。
図5】マイクロウェルアレイプレートの上面視と格子開口部の下面視の場合の両者の対応関係の模式図である。
図6A】異なる位置関係で配置された発光する磁気ビーズの検出に対応する信号模式図である。
図6B】異なる位置関係で配置された発光する磁気ビーズの検出に対応する信号模式図である。
図6C】異なる位置関係で配置された発光する磁気ビーズの検出に対応する信号模式図である。
図6D】異なる位置関係で配置された発光する磁気ビーズの検出に対応する信号模式図である。
図6E】異なる位置関係で配置された発光する磁気ビーズの検出に対応する信号模式図である。
図6F】異なる位置関係で配置された発光する磁気ビーズの検出に対応する信号模式図である。
図7】実施例3における励起光源と捕捉ビーズ及び格子検出装置との位置関係の模式図である。
図8】実施例4における格子検出装置の2種の設置形態の模式図である。
図9】実施例4における格子検出装置の2種の設置形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0026】
本実施例では、蛍光を発する物質をマーカーとし、磁気ビーズを捕捉ビーズとし、マイクロウェルアレイ付きの長尺状のマイクロウェルアレイプレートをビーズ固定板とし、いくつかのマイクロウェル内に1つの磁気ビーズがあり、いくつかのマイクロウェル内に磁気ビーズがなく、各磁気ビーズの表面にもっとも多く1つの分析物が特異的に結合され、各分析物に蛍光マーカーが結合された。本明細書に説明される隣接する行の磁気ビーズ(捕捉ビーズ)又は隣接する列の磁気ビーズ(捕捉ビーズ)とは、いずれもアレイにおいて隣接する行のマイクロウェル又は隣接する列のマイクロウェルにある磁気ビーズ(捕捉ビーズ)を指し、この隣接する行又は隣接する列のマイクロウェル内に磁気ビーズがない場合でも、本明細書において隣接する行の磁気ビーズ(捕捉ビーズ)又は隣接する列の磁気ビーズ(捕捉ビーズ)についての説明は、依然として、アレイにおいて隣接する行のマイクロウェル又は隣接する列のマイクロウェルの位置を指す。
【0027】
ラスタースキャン認識に基づく単分子検出方法であって、図1に示すように、一定数の磁気ビーズ12をマイクロウェルアレイプレート10に配置し、いくつかの磁気ビーズ12の表面に分析物が結合されておらず、いくつかの磁気ビーズ12の表面に分析物が結合されており、即ち、蛍光マーカー13が結合されており、各マイクロウェル11内にもっとも多く1つの磁気ビーズ12が配置され、いくつかのマイクロウェル11内に磁気ビーズ12がなかった。
【0028】
その後、ラスタースキャン認識検出を行い、図2に示すように、マイクロウェルアレイプレート10の上方に励起光源24を設置し、発される励起光は反射ミラー25によって反射されてスキャン対象の磁気ビーズ12の表面に照射し、励起が完了した後に励起光をオフにした。格子検出装置20の格子ヘッド21はマイクロウェルアレイプレート10の上方に置かれ(勿論、下方に設置されてもよい)、且つ、格子ヘッド21の格子開口部211は磁気ビーズ12に位置合わせされることで、蛍光マーカー13が励起された後に発する蛍光が格子開口部211に最大限に入射することができる。図3に示すように、格子開口部211の数をマイクロウェルアレイプレート10における1列のマイクロウェル11の数以上にする必要があり、且つ、隣接する2つの格子開口部211間の中心距離を隣接する2つのマイクロウェル11間の中心距離に等しくする必要があり、これによりマイクロウェルアレイプレート10における全列の磁気ビーズ12を一括してスキャン認識する。また、蛍光が入射した格子開口部211の数を正確に統計するために、格子検出装置20の光センサ22は格子ヘッド21の格子開口部211と対向する他端に設置され、光センサ22の感光管などのセンシング素子は格子開口部211に1対1で対応し、特定の格子開口部211に蛍光が入射すると、それに対応するセンシング素子は入射光を受光して信号を格子検出装置20の信号プロセッサ23に送信し、例えば、感光管は光をセンシングすると、パルス信号を信号として生成することができ、信号プロセッサ23はこのパルス信号を受信して後続の処理を行い、光センサ22が送信する信号の数を統計することによって蛍光を発する磁気ビーズ12を計数することができ、さらに具体的な分析物の数を得て、勿論、この光信号を電気信号に変換して計数する方法は、従来技術を採用することで容易に実現され得る。
【0029】
スキャン認識過程において、毎回1列の磁気ビーズ12を検出するため、マイクロウェルアレイにおけるすべての磁気ビーズ12の検出を完了するには、マイクロウェルアレイプレート10と格子検出装置20との相対移動が必要であり、これにより、格子ヘッド21は各列のマイクロウェル12の上方(又は下方)を順に通過して検出する。図2に示すように、この相対移動は、マイクロウェルアレイプレート10の右への横方向移動によって実現されてもよく、勿論、格子ヘッド21の左への横方向移動によって実現されてもよい。
【0030】
この検出方法では、磁気ビーズ12を配置する時にすべての磁気ビーズ12の数を決定し、その後、発光する磁気ビーズ12の数、即ち、分析物の数をスキャン認識することで、分析物の割合を得ることができ、標準濃度曲線と比較することで検出液中の分析物の濃度を得ることができる。
【実施例2】
【0031】
本実施例の原理は、格子ヘッド21の格子開口部211の配列が異なる点以外、実施例1と同様であり、図4に示すように、格子開口部211は2列に千鳥状に設置され、即ち、隣接する格子開口部211間の位置関係はV字状であることで、隣接する2つの格子開口部211間の距離を大きくし、この場合、2列の格子開口部211の数の合計は1列におけるマイクロウェル11の数以上であり、図5に示すように、スキャン認識過程において、格子ヘッド21は上方からマイクロウェルアレイプレート10に位置合わせされた後、A’とマークされる格子開口部211はAとマークされる磁気ビーズ12の真上に位置し、磁気ビーズ12に近く、B’とマークされる格子開口部211はBとマークされる磁気ビーズ12の真上に位置し、磁気ビーズ12に近い。検出過程においてマイクロウェルアレイプレート10が左から右へ横方向に移動することでマイクロウェルアレイプレート10と格子検出装置20との相対移動を実現する場合、スキャン認識を開始する時、格子ヘッド21はマイクロウェルアレイプレート10の最右端の列のマイクロウェル12の上方に位置し、B’とマークされる格子開口部211はBとマークされる磁気ビーズ12に位置合わせされて検出し、A’とマークされる格子開口部211はマイクロウェル11と対向せず、且つ、Aとマークされる磁気ビーズ12はこの場合に検出されず、B’とマークされる格子開口部211がBとマークされた磁気ビーズ12を検出した後に、マイクロウェルアレイプレート10は左から右へ横方向に移動してマイクロウェルアレイプレート10と格子検出装置20との相対移動を完了し、この場合、B’とマークされる格子開口部211はBとマークされる磁気ビーズと同じ行にある隣接する次の列の磁気ビーズ12に位置合わせされ、A’とマークされる格子開口部211はAとマークされる磁気ビーズ12に位置合わせされ、隣接する2列のずらし部箇所の磁気ビーズ12の検出を同期して完了する。マイクロウェルアレイプレート10におけるすべての磁気ビーズ12の検出を完了するまで繰り返す。このように、隣接する格子開口部211間の距離を大きくすることで、隣接する磁気ビーズ12間の光の干渉を低減し、検出結果をより正確にすることができる。
【0032】
検出結果
実験結果によると、以下では、検出結果を例示的に説明し、実験操作を簡素化し、理解を容易にするために、1つの格子開口部211と1つの感光管のみを用いて操作を行う。
【0033】
図6Aに示すように、1つの発光する捕捉ビーズが格子開口部の下方を通過すると、信号プロセッサによって処理されて1つの正常な信号波を発する。図6Bに示すように、適度な距離を保った2つの発光する捕捉ビーズが格子開口部の下方を順に通過すると、信号プロセッサによって処理されて2つの正常な信号波を発し、その山と谷の間隔は明らかで均一である。図6Cに示すように、2つの発光する捕捉ビーズの距離が近すぎ、ひいてはエッジで部分的に重なる場合、信号プロセッサによって処理されて発された信号波のうち2つの波の山は近すぎ、谷は明らかではない。図6Dに示すように、互いに近すぎる3つの発光する捕捉ビーズが格子開口部の下方を順に通過すると、信号プロセッサによって処理されて発された信号波の山と谷は明瞭に区別できない。図6E及び6Fに示すように、3つの発光する捕捉ビーズが同一直線上になく、1つの捕捉ビーズが格子開口部の真下に位置合わせされ、残りの2つの捕捉ビーズが格子開口部の付近に位置する場合、いずれも検出に影響を及ぼし、正常な信号波を形成できない。
【0034】
したがって、検出結果の精度を確保し、検出系のコンパクトさを実現するために、直径が2.7umのビーズなど仕様が適切な捕捉ビーズをできるだけ選択し、且つ、捕捉ビーズを配置する時に、隣接する2つの捕捉ビーズ間の中心距離をできるだけ直径の2.5~3倍などに制御する。また、光透過面積を捕捉ビーズの断面積の範囲に制御するなど格子開口部のサイズをできるだけ小さくする必要があり、透過した光がセンシング素子をオンにして信号処理プロセッサが容易に認識可能な信号を送信できることを確保できればよい。また、格子開口部と捕捉ビーズの表面との距離をできるだけ近くし、隣接する発光する捕捉ビーズからの光が格子開口部に入ることをできるだけ回避し、即ち、隣接する位置での光の干渉を低減する。
【0035】
上記実施例は、捕捉ビーズとして磁気ビーズを用いたが、実際の使用には、磁性を持つ又は磁性を持たない他の形状の微粒子を用いてもよく、分析物はタンパク質であってもよく、核酸分子などであってもよく、ビーズ固定板は、孔付き又はわずかに凹んだピット構造であってもよく、さらに平面であってもよい。ビーズ固定板に孔又はピットがある場合、この孔又はピットが事前に加工されたものであるため、規則的なアレイ形態に加工でき、捕捉ビーズを孔又はピットに規則的に配置でき、列状に配列された格子開口部がそれと協働しやすくなり、ビーズ固定板が平面である場合、いくつかの補助構造を用いて捕捉ビーズをビーズ固定板の表面に規則的なアレイ状に配置してもよく、捕捉ビーズをビーズ固定板の表面にランダムに分散して配置してもよい。捕捉ビーズを平面上にランダムに分散して配置する形態について、捕捉ビーズ間の距離が近すぎ、ひいては塊に集まることを回避するために、捕捉ビーズ間の距離をできるだけ大きくする必要があり、したがって、同数の捕捉ビーズの場合、平面上に分散するとき、ビーズ固定板の表面積が孔又はピット付きのビーズ固定板の表面積よりも大きく、捕捉ビーズ間の位置関係の不規則さが高いが、概して言えば、依然として捕捉ビーズは多行多列のアレイに配置されるとみなすことができ、ただし、このアレイにおける多くの位置には捕捉ビーズがなく、且つ同一行又は同一列の捕捉ビーズは厳密に同一直線上になく、したがって、依然として、上記実施例1又は実施例2における列ごとにスキャン検出する方法を採用することができる。
【実施例3】
【0036】
本実施例では、図7に示すように、ビーズ固定板と格子検出装置20は上下に設置され、ビーズ固定板の周辺に2つ又は複数の励起光源24と反射ミラー25が均等に設置され、検出過程において、励起光源24と反射ミラー25は移動しないままであり、ビーズ固定板又は格子検出装置20は励起光源24間のスペース内を移動する。勿論、励起光源24は他の形態で設置されてもよく、各捕捉ビーズの表面がいずれも照射され且つその表面のマーカーを励起して蛍光を発することができるのを確保できればよい。
【実施例4】
【0037】
本実施例では、1つのビーズ固定板に2種以上の分析物を検出することができ、この場合、異なる分析物には異なる発光物が結合され、励起光源24も2種以上の波長の光を発することができる必要があり、2セット以上の格子検出装置20が設置され、1セットの格子検出装置20は1種の分析物を検出及び計数する。2セット以上の格子検出装置20は様々な形態で設置されてもよい。
【0038】
(1)図8に示すように、各セットの格子検出装置20は互いに連通する格子ヘッド21、光センサ22及び信号プロセッサ23を含み、2セット以上の格子検出装置20は行をなして並列に設置され、ビーズ固定板の同一端にある捕捉ビーズから順にスキャンし始め、ビーズ固定板と格子検出装置20との相対移動によってすべての捕捉ビーズのスキャン検出を完了する。
【0039】
(2)図9に示すように、2組以上の格子検出装置20は1つの回転中心27によって、支持の役割を果たすブラケット26に対称的に設置され、回転中心27はブラケット26の周りを回転可能であり、格子検出装置20が2組である場合、回転中心27の両端にそれぞれ設置され、格子検出装置20が3組である場合、隣接する2組の格子検出装置のなす角度は120°であり、格子検出装置20がそれ以上の組である場合も、この法則に従って対称的に設置される。スキャン検出時、1組の格子検出装置20はビーズ固定板の一端から1種の分析物をスキャン検出し始め、他端まで検出してこの分析物のスキャン検出を完了した後に、回転中心27を回転させ、もう1組の格子検出装置20をビーズ固定板の端部に移し、ビーズ固定板又はブラケット26は前の検出過程と逆の方向に移動して、第2種の分析物のスキャン検出を完了する。すべての分析物のスキャン検出が完了するまで順に繰り返す。
【0040】
(3)2組以上の格子検出装置の実現形態として、1組の格子ヘッド21、光センサ22及び信号プロセッサ23が設置され、格子ヘッド21の格子開口部にあるフィルタは交換可能な構造であり、スキャン時、
ステップ1では、格子開口部に必要なフィルタを選択し、格子検出装置20はビーズ固定板の一端にある捕捉ビーズ(開始端)からスキャンし始め、ビーズ固定板と格子検出装置20との相対移動によって、この組の格子検出装置20がビーズ固定板の他端にある捕捉ビーズ(末端)までスキャンし、1種のマーカーのスキャン検出を完了し、
ステップ2では、格子開口部にあるフィルタを交換し、格子検出装置20は、ビーズ固定板の末端にある捕捉ビーズから、ビーズ固定板と格子検出装置20とのステップ1における移動方向と逆の相対移動によって、ステップ1におけるスキャン時の開始端までスキャンし、もう1種のマーカーのスキャン検出を完了し、
すべてのマーカーのスキャン検出が完了するまで順に繰り返す。
【0041】
以上の実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではなく、当業者は本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、種々の変更や変形を行うことができ、したがって、すべての同等な技術的解決手段も本発明の保護範囲に属すべきであり、本発明の保護範囲は各請求項に定められるべきである。
【符号の説明】
【0042】
10 マイクロウェルアレイプレート
11 マイクロウェル
12 磁気ビーズ
13 蛍光マーカー
20 格子検出装置
21 格子ヘッド
211 格子開口部
22 光センサ
23 信号プロセッサ
24 励起光源
25 反射ミラー
26 ブラケット
27 回転中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
【国際調査報告】