IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワン イン ファーマシューティカル カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-546154大環状ピリミジン誘導体、その製造方法、及び、それを活性成分として含む神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】大環状ピリミジン誘導体、その製造方法、及び、それを活性成分として含む神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20241210BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20241210BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241210BHJP
【FI】
C07D487/04 157
A61K31/519
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/14
A61P21/02
C07D498/04 CSP
A23L33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536145
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2022020504
(87)【国際公開番号】W WO2023113510
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0179316
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0171787
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】524226911
【氏名又は名称】ワン イン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ファンソ
(72)【発明者】
【氏名】シン ホチョル
(72)【発明者】
【氏名】イェ インヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ ギュファン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ソンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ビョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジェギョン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD18
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB14
4C086GA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA23
4C086ZC20
4C086ZC54
(57)【要約】
本発明は、大環状ピリミジン誘導体、その製造方法、及び、活性成分としてそれを含む神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物に関する。本発明による大環状ピリミジン誘導体は、優れたLRRK2阻害活性を有し、効率的に血液脳関門(BBB)を通るので、神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物として効果的に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】
[式1]
(式1中、
Aが、O又はN(R)であり、
が、水素、ハロゲン、又は、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~10アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、非置換のC1~10アルキルであり、
pが、0~3であり、
が、ハロゲン、C1~10アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、水素、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~10アルキル、C3~7シクロアルキル、又は、3員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である)に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、ハロゲン、又は、非置換の若しくは1個~5個のハロゲンで置換されたC1~6アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、C1~6アルキルであり、
pが、0~2であり、
が、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、非置換の若しくは1個~5個のハロゲンで置換されたC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、又は、3員~6員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である、請求項1に記載の化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、ハロゲン、又は、1個~3個のハロゲンで置換されたC1~3アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、C1~3アルキルであり、
pが、0~2であり、
が、ハロゲン、C1~3アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、
4aが、非置換の若しくは1個~3個のハロゲンで置換されたC1~3アルキル、C3~6シクロアルキル、又は、3員~6員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である、請求項1に記載の化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、-Cl、-F、又は-CFであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、C1~3アルキルであり、
pが、0~2であり、
が、-F、C1~3アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、
4aが、非置換の若しくは1個~3個のハロゲンで置換されたC1~3アルキル、C3~6シクロアルキル、又は、1個のO原子を有する3員~6員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~4である、請求項1に記載の化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、-Cl、-F、又は-CFであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、メチルエチル、又は、イソプロピルであり、
pが、0~2であり、
が、独立して、-F、エチル、-CF、メトキシ、イソプロポキシ、-OCF、シクロプロポキシ、オキセタン-3-イルオキシであり、
nが、2~4である、請求項1に記載の化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩であって、上記式1により示される化合物が、以下の化合物:
<1>3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<2>1-クロロ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<3>1-クロロ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<4>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<5>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<6>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<7>1-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<8>1-クロロ-3-フルオロ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<9>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<10>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<11>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<12>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<13>1-クロロ-3-エチル-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<14>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<15>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<16>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<17>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<18>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<19>1-クロロ-3-エチル-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<20>1-クロロ-3-メトキシ-5,8-ジメチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<21>1-クロロ-5-エチル-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<22>1-クロロ-5-イソプロピル-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<23>1-クロロ-3-メトキシ-5,9-ジメチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<24>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<25>3-メトキシ-5,8-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<26>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<27>1-クロロ-3-メトキシ-5,10-ジメチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<28>3-フルオロ-3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン、
<29>3-メトキシ-5,10-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<30>5,9-ジメチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン、
<31>5,9-ジメチル-1,3-ビス(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン、
<32>3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<33>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<34>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<35>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<36>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<37>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<38>5-メチル-3-(オキセタン-3-イロキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<39>3-イソプロピル-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<40>1-クロロ-5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<41>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<42>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<43>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<44>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<45>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<46>3-シクロプロポキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、及び、
<47>3-シクロプロポキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
の群から選択されるものである、化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式1に示される化合物を製造する方法であって、
以下の反応式1:
【化2】
[反応式1]
(反応式1中、
A、R、R、R、p、及びnは、請求項1に記載の式1における定義のとおりである)に示されるように、
式1Aに示される化合物を環化することで式1に示される化合物を生成することを含む、方法。
【請求項8】
神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物であって、請求項1に記載の式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を活性成分として含む、医薬組成物。
【請求項9】
上記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、運動ニューロン病、脊髄小脳変性症、脊髄性筋萎縮症、クロイツフェルト・ヤコブ病、又は、アルコール性認知症を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
上記化合物が、LRRK2(ロイシンリッチリピートキナーゼ2)活性を阻害するものである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
神経変性疾患の予防又は緩和のための健康機能性食品組成物であって、請求項1に記載の式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を活性成分として含む、健康機能性食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大環状ピリミジン誘導体、その製造方法、及び、それを活性成分として含む神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、老化と共に生ずる脳疾患の一つであり、環境的因子と遺伝的因子が蓄積することにより生ずることが知られている。神経変性疾患は、中枢神経系において神経細胞が安定して段階的に死滅することで変性が生じ、それにつれ様々な症状を引き起こす疾患の総称であり、細胞の損壊及び記憶障害を含め神経の構造と機能が失われることを特徴とする。
【0003】
代表的な例として、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、運動ニューロン病、脊髄小脳変性症、脊髄性筋萎縮症、クロイツフェルト・ヤコブ病、アルコール性認知症等が挙げられる。
【0004】
パーキンソン病は、アルツハイマー病と共に神経変性疾患の代表例の一つであり、神経伝達物質であるドーパミンが、脳幹の黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの欠乏のために失われることにより生ずる。結果、レビー小体と呼ばれるタンパク質凝集体が神経細胞内に形成され、前屈姿勢、振戦、筋強剛、及び姿勢保持反射障害(instability)等の運動性症状、並びに、鬱症状、不安、及び睡眠障害等の精神性症状を生ずる。
【0005】
パーキンソン病の原因は不明であるが、環境的因子、遺伝的因子、老化、ミトコンドリアの機能障害、及び不必要なタンパク質を処理する能力における異常を含む要因が組み合わさって生ずると推定されている。パーキンソン病の多くは偶発的であるが、5%~10%は遺伝子の変異による遺伝性疾患であることが知られており、原因となる遺伝子は、parkin、PINK1、DJ-1、α-シヌクレイン及びLRRK2(ロイシンリッチリピートキナーゼ2:leucine-rich repeat kinase 2)であることが知られている。
【0006】
これらの中で、最も頻度が高く生ずる顕性遺伝子タイプはLRRK2遺伝子におけるG2019S変異であり、LRRK2は、ロイシンリッチリピートキナーゼファミリーに属するタンパク質の一種で、高い種間類似性を有する2527個のアミノ酸を有するアミノ酸配列からなり、1つのタンパク質中にGTPアーゼ活性とセリン-スレオニンキナーゼ活性を兼ね備えるものである。
【0007】
LRRK2は、パーキンソン病の病因に関する大脳皮質、黒質、線条体、海馬、及び小脳中のドーパミン作動性ニューロンにおいて高度に発現されると報告されており、LRRK2の活性が増加すると、パーキンソン病の発症と進行に影響を及ぼすことが知られている。LRRK2活動亢進型変異動物において、正常なLRRK2がニューロンにおいて過度に発現された場合、アポトーシスが誘発され、パーキンソン病の症状に類似したドーパミン作動性ニューロンのアポトーシス、レビー小体、及び運動障害が生ずることが報告されており、LRRK2ノックアウト動物の場合は、パーキンソン病に密接に関連して、脳における神経突起伸展が阻害されること、及び年齢に依存してα-シヌクレインが増加することが見られ、LRRK2を阻害することでパーキンソン病を治療できる可能性が動物モデルで確認されている。また、LRRK2は、アルツハイマー病に伴う軽度の認知障害の伝播(transmission)に関連していることが知られており、したがって、LRRK2活性を制御するのに効果的な化合物及び組成物は、神経変性疾患等の治療効果をもたらす可能性がある。よって、LRRK2活性を選択的に阻害することを、疾患の新規の治療薬の開発における有効な目標とすることができる。
【0008】
上記神経変性疾患の他にも、LRRK2の阻害を介した抗癌活性が、癌細胞の増殖の阻害とアポトーシスの促進をするメカニズムとして、様々な癌の種類に関して研究されている。特に、腎臓癌、甲状腺癌、及び肝臓癌の組織においてLRRK2が過剰発現することが報告されており、また、LRRK2変異(特に、G2019S型)が生じてLRRK2が過剰発現されると乳癌のリスクが高まることが知られている。さらに、国内の脳腫瘍患者の組織においてLRRK2が過剰発現した患者の生存期間は有意に短いと報告している研究結果もあった。この点について、脳腫瘍治療用のLRRK2阻害剤としてBoronoiを使用する臨床試験の第1フェーズの開始が最近承認された。よって、LRRK2活性の選択的阻害を、神経変性疾患の治療だけでなく、抗癌剤治療も含む広範囲の新規医薬品の開発の目標とすることができる。
【0009】
一方、ピリミジン誘導体を有効成分として含む、神経変性疾患の予防又は治療のための組成物に関する従来技術文献において、神経変性障害の治療に使用されるLRRK2阻害剤としてピリミジン-2-イルアミノ-1H-ピラゾールが開示されている(特許文献:特許文献1)。しかし、本発明の式1等のピリミジン誘導体、該誘導体のLRRK2阻害活性、及び、それによる神経変性疾患の治療の可能性について言及した報告はこれまでにない。
【0010】
よって、LRRK2誘導体を鋭意研究することにより、本発明の発明者等は、本発明の式1等の大環状ピリミジン誘導体が優れたLRRK2阻害活性効果を有し、効率的に血液脳関門(BBB)を通過することを確認して、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許公報第10-2019-0018676号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一態様は、新規の大環状ピリミジン誘導体を提供することである。
【0013】
本発明の別の態様は、神経変性疾患の予防又は治療をするための新規の医薬組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の態様は、神経変性疾患を予防又は緩和するための新規の健康機能性食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、式1:
【化1】
[式1]
(式1中、
Aが、O又はN(R)であり、
が、水素、ハロゲン、又は、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~10アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、非置換のC1~10アルキルであり、
pが、0~3であり、
が、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、水素、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~10アルキル、C3~7シクロアルキル、又は、3員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である)に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、式1に示される化合物を製造する方法であって、
以下の反応式1:
【化2】
[反応式1]
(反応式1中、
A、R、R、R、p、及びnは、式1における定義のとおりである)に示されるように、
式1Aに示される化合物を環化することで式1に示される化合物を生成することを含む、方法を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物であって、本明細書に記載の式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を活性成分として含む、医薬組成物を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、神経変性疾患の予防又は緩和のための健康機能性食品であって、本明細書に記載の式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を活性成分として含む、健康機能性食品を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による大環状ピリミジン誘導体は、優れたLRRK2阻害活性を有し、血液脳関門(BBB)を効率的に通過するので、本大環状ピリミジン誘導体は、神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物として使用するのに有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
なお、本発明の実施形態は、他の様々な形態に変更することが可能であり、本発明の範囲は、以下に記載の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、関連する技術分野において通常の知識を有する当業者に対して本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。
【0022】
また、本明細書において、或る成分を「含む、含有する」という表現は、別途記載がない限り、その他の成分を含有することを除外するものではなく、その他の成分を更に含有し得るということを意味する。
【0023】
「アルキレン」又は「アルキル」という用語は、別途記載がない限り、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素残基を包含する。例えば、「C1~6アルキル」とは、1個~6個の炭素からなる骨格のアルキルを意味する。より具体的には、C1~6アルキルとして、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられ得る。「アルケニル」は、「アルキル」炭化水素鎖中に、1個~5個の範囲の1個以上の炭素-炭素二重結合を含む不飽和炭化水素を包含するものである。
【0024】
「シクロアルキル」という用語は、環状の完全飽和した炭化水素残基を包含し、「3員~7員シクロアルキル」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロへプチル等の環に3個~7個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。別途記載がない限り、2個又は3個の環からなる架橋シクロアルキル、縮合シクロアルキル、又はスピロシクロアルキルも包含したものであってもよい。
【0025】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、別途記載がない限り、環を形成する環原子としてN、O、又はSから選択された1個、2個、3個、又は4個のヘテロ原子を含む1個~3個の環からなる一価飽和部分を包含するものである。この場合、窒素(N)は、水素が結合したNHとして環に含まれる。環が2個又は3個の場合は、架橋ヘテロシクロアルキル、縮合ヘテロシクロアルキル、又はスピロヘテロシクロアルキルであり得る。
【0026】
「ヘテロアリール」という用語は、別途記載がない限り、環原子としてN、O又はSから選択された1個、2個、又は3個の環ヘテロ原子を含む、1個以上の芳香環を含む単環又は、2個若しくは3個の縮合環の芳香族ラジカルを包含するものであり得る。
【0027】
「ハロゲンで置換された」という表現は、1つ以上のハロゲン原子で置換が行われた状態を意味し、置換されたハロゲン原子の数は、具体的には、1個~6個、1個~5個、又は1個~4個の範囲であり、例えば、ハロC1~10アルキルは、炭素が1個~6個のハロゲン原子で置換されたC1~10アルキルを意味する。
【0028】
「アルキルカルボニル」又は「アルケニルカルボニル」という用語は、カルボニル基を介して置換されたアルキル又はアルケニルを意味する。
【0029】
本明細書において、「置換されている」と別途記載がない限り、置換されていないことを意味する。
【0030】
本発明の一態様は、式1:
【化3】
[式1]
(式1中、
Aが、O又はN(R)であり、
が、水素、ハロゲン、又は、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~10アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、非置換のC1~10アルキルであり、
pが、0~3であり、
が、ハロゲン、C1~10アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、水素、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~10アルキル、C3~7シクロアルキル、又は、3員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である)に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を提供する。
【0031】
上記の式1において、他の例として、
が、ハロゲン、又は、非置換の若しくは1個~5個のハロゲンで置換されたC1~6アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、C1~6アルキルであり、
pが、0~2であり、
が、ハロゲン、C1~6アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、水素、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、又は、3員~6員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である。
【0032】
式1において、他の例として、
が、ハロゲン、又は、非置換の若しくは1個~3個のハロゲンで置換されたC1~3アルキルであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、C1~3アルキルであり、
pが、0~2であり、
が、ハロゲン、C1~3アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、水素、非置換の若しくはハロゲンで置換されたC1~3アルキル、C3~6シクロアルキル、又は、3員~6員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~5である。
【0033】
式1において、他の例として、
が、-Cl、-F、又は-CFであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、又は、C1~3アルキルであり、
pが、0~2であり、
が、-F、C1~3アルキル、又はOR4aからなる群から独立して選択され、R4aが、非置換の若しくは1個~3個のハロゲンで置換されたC1~3アルキル、C3~6シクロアルキル、又は、1個のO原子を有する3員~6員のヘテロシクロアルキルであり、
nが、1~4である。
【0034】
式1において、他の例として、
が、-CL、-F、又は-CFであり、
とRとが、それぞれ独立して水素、メチルエチル、又は、イソプロピルであり、
pが、0~2であり、
が、独立して、-F、エチル、-CF、メトキシ、イソプロポキシ、-OCF、シクロプロポキシ、オキセタン-3-イルオキシであり、
nが、2~4である。
【0035】
他の例において、上記の式1による化合物として、
-ブロモ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オンと、
-ブロモ-2,5,11-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼンシクロウンデカファン-4-オンと、
は除外される。
【0036】
他の例として、式1により示される化合物は、以下の化合物:
<1>3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<2>1-クロロ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<3>1-クロロ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<4>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<5>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<6>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<7>1-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<8>1-クロロ-3-フルオロ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<9>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<10>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<11>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<12>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<13>1-クロロ-3-エチル-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<14>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<15>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<16>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<17>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<18>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<19>1-クロロ-3-エチル-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<20>1-クロロ-3-メトキシ-5,8-ジメチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<21>1-クロロ-5-エチル-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<22>1-クロロ-5-イソプロピル-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン、
<23>1-クロロ-3-メトキシ-5,9-ジメチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<24>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<25>3-メトキシ-5,8-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<26>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<27>1-クロロ-3-メトキシ-5,10-ジメチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<28>3-フルオロ-3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン、
<29>3-メトキシ-5,10-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<30>5,9-ジメチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン、
<31>5,9-ジメチル-1,3-ビス(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン、
<32>3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<33>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテート、
<34>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<35>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン、
<36>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<37>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<38>5-メチル-3-(オキセタン-3-イロキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<39>3-イソプロポキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<40>1-クロロ-5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<41>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<42>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<43>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<44>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<45>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
<46>3-シクロプロポキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、及び、
<47>3-シクロプロポキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン、
の群から選択されるものである。
【0037】
本発明の式1により示される化合物は、薬学的に許容される塩の形態で使用されてもよく、塩としては、薬学的に許容される遊離酸により形成された酸付加塩が有用である。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸、及び亜リン酸等の無機酸類、脂肪族モノカルボキシレート及びジカルボキシレート、フェニル置換アルカノエート、ヒドロキシアルカノエート及びアルカンジオエート等の無毒性有機酸類、芳香族酸類、並びに脂肪族及び芳香族スルホン酸類、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、安息香酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、酒石酸、及びフマル酸等の有機酸類から得られる。これらの薬学的に無毒の塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキサン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシブチレート、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、マンデル酸塩等が挙げられる。
【0038】
本発明による酸付加塩は、一般的な方法で製造することができ、例えば、式1の誘導体をメタノール、エタノール、アセトン、メチレンクロリド、及びアセトニトリル等の有機溶媒に溶解し、有機酸又は無機酸を添加し、結果得られた沈殿物を濾過し、乾燥させる、又は、上記溶媒と過剰な酸を減圧下で蒸留し、乾燥させ、上記有機溶媒中にて晶出させることで製造することができる。
【0039】
「水和物」という用語は、非共有結合性分子間力により結合した化学量論量若しくは非化学量論量の水を含む本発明の化合物、又はその塩を意味する。本発明の式1により示される化合物の水和物は、非共有結合性分子間力により結合した化学量論量の水を含んでいてもよく、又は、非化学量論量の水を含んでいてもよい。水和物は、1当量以上の水を含んでいてもよく、好ましくは1当量~5当量の水を含んでいてもよい。このような水和物は、本発明の式1に示される化合物、その異性体、又は、その薬学的に許容される塩を水若しくは水を含有した溶媒から晶出することで製造することができる。
【0040】
「溶媒和物」という用語は、非共有結合性分子間力により結合した化学量論量若しくは非化学量論量の溶媒を含む本発明の化合物、又はその塩を意味する。好ましい溶媒和物としては、揮発性で、無毒性、及び/又はヒトに投与するのに好適である溶媒和物が挙げられる。
【0041】
本発明の他の態様において、
以下の反応式1に示すように、
式1により示される化合物を製造する方法であって、式1Aにより示される化合物を環化することにより、式1に示される化合物を製造すること(工程4)を含む、方法を提供する:
【化4】
[反応式1]
(反応式1中、
A、R、R、R、p、及びnは、式1における定義のとおりである)。
【0042】
これは、反応式1において、式1Aにより示される化合物を金属触媒の存在下において反応させ、結晶化反応を生じさせる工程である。結晶化反応は、アミノ基によるピリミジン環のクロロ置換基の置換反応を介して達成される。
【0043】
本反応に関して、上記金属触媒は、典型的には、パラジウムであり、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)((PPhPd)、酢酸パラジウム(II トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pddba)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II クロリド(PdCl(PPh)、及び、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(0)クロリド(Pd(dppf)Cl)が使用できる。本反応は、リガンドを使用せずに行われてもよいが、一般に、この反応は、トリフェニルホスフィン((PPh)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)、キサントホス、及びXPhos等の、金属触媒存在下でのバックワルド反応で通常使用されるリガンドを用いて行われる。ここで使用できる塩基としては、炭酸カリウム、KOtBu、炭酸セシウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン等が挙げられ、本反応は、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びN,N-ジメチルホルムアミド等のこの反応に悪影響を及ぼさない溶媒を用いて行われる。本結晶化反応の反応条件は、酸性状態で行われても、塩基性状態で行われてもよく、当該技術分野において既知の条件を適用してもよい。
【0044】
工程4の後に、塩の形態を形成する反応を更に含んでいてもよい。塩形成の反応条件は上記に定義した有機酸、又は無機酸を用いてもよく、当該技術分野において既知の条件を適用してもよい。
【0045】
反応式1の式1Aは、反応式2のように製造することもできる:
【化5】
[反応式2]
(反応式2中、
A、R、R、R、p、及びnは、式1における定義のとおりであり、
Bは、水素である)。
【0046】
以下、反応式2の製造方法について詳細に説明する。
【0047】
反応式2の工程1は、式1Fにより示される化合物を、バックワルド・ハートウィグアミノ化反応(AがN-Rの場合)を介して、又はアルコキシドによる置換反応(AがOの場合)を介して1Eと反応させることにより式1Cにより示される化合物を生成する工程である。本反応は、パラジウム触媒と塩基の存在下にて行われることが好ましく、バックワルド・ハートウィグアミノ化反応器(reactor)は、当該技術分野において既知の内容に基づいて変更されてもよい。アルコキシドによる置換反応では、水素化合物等の強塩基が必要な場合もある。
【0048】
工程2は、加水分解反応であり、酸性状態下においてカルバメートを二級アミンの形態に変換する反応である。該反応は、酸性状態下において行われるのが好ましく、加水分解の反応条件は、当該技術分野において既知の内容を適用してもよい。
【0049】
工程3は、アミド化反応として、式1Bを様々な安息香酸1Cと反応させることにより、式1Aを生成する工程である。上記アミド化反応の反応条件は、当該技術分野において既知の内容を適用してもよい。
【0050】
本製造方法は、例示された本発明の一実施形態に限定されるものではなく、溶媒、反応物、温度条件等を、一般的な有機化学の知識に基づいて変更して実施することができる。
【0051】
本発明の他の態様において、
神経変性疾患の予防又は治療のための医薬組成物であって、活性成分として、上記式1により示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物を提供する。
【0052】
上記神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、運動ニューロン病、脊髄小脳変性症、脊髄性筋萎縮症、クロイツフェルト・ヤコブ病、又はアルコール性認知症であり得る。
【0053】
上記化合物は、LRRK2(ロイシンリッチリピートキナーゼ2)活性を阻害し得る。
【0054】
本発明において、「有効成分として含む」という表現は、神経変性疾患の予防、緩和、又は治療において、重要な役割を担う成分として含有するという意味であり、この場合、投与量の範囲は、病状の軽重及び製剤に応じて変更することができ、投与回数は、投与対象の年齢、体重、及び、体質に応じて変更することができる。本発明の特定の実施例において、本発明の医薬組成物における式1に示される化合物は、例えば、0.001mg/kg以上、0.1mg/kg以上、10mg/kg以上、100mg/kg以上、250mg/kg以上、又は0.1g/kg以上で含有されている。本発明の医薬組成物に含まれる式1により示される化合物の量的な上限は、当業者が適切な範囲内で選択し、設定することができるものである。量的な上限は、致死的な毒性を示さずに活性を有することができる範囲内で選択されてもよく、例えば、2000mg/kg以下、又は1000mg/kg以下であってもよい。
【0055】
本発明による医薬組成物は、式1に示される化合物を単独で有効量含んでいてもよく、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を1種類以上含んでいてもよい。
【0056】
上記薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤は、生理学上許容可能で、ヒトに投与した場合に胃腸障害、眩暈、又は同様の反応等のアレルギー性反応を通常生じない物質を意味する。上記担体、賦形剤、及び希釈剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油等が挙げられる。また、充填剤、抗凝固薬、滑沢剤、湿潤剤、香料、乳化剤、及び防腐剤を更に含んでいてもよい。
【0057】
上記式1により示される化合物、又は、その薬学的に許容される塩は、臨床投与において、経口若しくは非経口の様々な剤形で投与できる。製剤化された場合、上記化合物は、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、及び表面活性剤等の希釈剤又は賦形剤を用いて、製造される。経口投与用の固形製剤としては、錠剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤等が挙げられ、これら固形製剤は、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、又はゼラチン等の少なくとも1つの賦形剤と共に1つ以上の化合物を混合して製造される。シンプルな賦形剤の他にも、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤も使用される。経口投与用の液体製剤としては、懸濁液、溶液、乳濁液、及び、シロップが挙げられ、水及び液体パラフィン等の通常使用されるシンプルな希釈剤の他にも、液体製剤には、湿潤剤、甘味料、香料、及び、防腐剤等の様々な賦形剤が含まれていてもよい。非経口用の製剤としては、滅菌水溶液、非水性溶媒、懸濁液、及び、乳濁液が挙げられる。非水溶媒と懸濁液としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル等の植物油、及びオレイン酸エチル等の注射可能なエステル等が挙げられる。
【0058】
上記式1により示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を活性成分として含む医薬組成物は、非経口で投与されてもよく、非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、又は、胸腔内圧注射により行われる。
【0059】
この場合、非経口投与用の製剤を製剤化するために、上記式1により示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を、水中で安定剤又は緩衝剤と混合して水溶液又は懸濁液を生成する。該水溶液又は懸濁液は、アンプル又はバイアル単位の投与形態として製造してもよい。該組成物は、滅菌されてもよく、及び/又は、防腐剤、安定剤、脱水剤、又は乳化促進剤等の補助剤、浸透圧調整用の塩、及び/又は緩衝剤、及び、その他の医薬的に有用な物質を含んでいてもよく、従来の混合方法、整粒方法、又はコーティング方法にて製剤化されてもよい。
【0060】
本発明において、「予防」という用語は、本発明の医薬組成物又は食品組成物が、神経変性疾患を発症していない対象に対して投与、摂取、又は適用され、神経変性疾患の症状を抑制又は阻止して、癌の症状の発生を事前に防止することを意味する。
【0061】
本発明において、「治療」という用語は、本発明の医薬組成物が神経変性疾患を発症している対象に投与されることを意味し、神経変性疾患の症状の完全な治癒だけでなく、神経変性疾患の症状の部分的な治癒、軽減、及び緩和も包含する。
【0062】
本発明の医薬組成物は、有効薬用量にて投与される。
【0063】
本発明において、「有効薬用量」という用語は、治療又は緩和に対して適用可能な合理的なベネフィット/リスク比にて疾患を治療するのに十分な量を意味し、薬効投与量は、個人のタイプ及び病状の軽重、年齢、性別、薬剤の活性、薬剤感受性、投与時間、投与経路、及び、排泄率、治療期間、現在使用中の薬剤、並びにその他の医学の分野で既知の因子に基づいて決定することができる。
【0064】
さらに、上記式1により示される化合物は、薬学的に許容される塩の形態だけでなく、薬学的に許容される塩から製造できる溶媒和物、水和物等の形態であってもよい。
【0065】
本発明の他の形態において、
神経変性疾患の予防又は緩和のための健康機能性食品であって、式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を活性成分として含む、健康機能性食品を提供する。
【0066】
本発明において、「緩和」という用語は、本発明の医薬組成物又は食品組成物が神経変性疾患を発症している対象に対して投与、摂取、又は適用されることによる神経変性疾患の症状の軽減又は改善を包含することを意味する。
【0067】
本発明において、「健康機能性食品」という用語は、「健康補助食品」と区別なく使用することが可能であり、健康機能性食品法により人体に対して有用な機能性を有する原料又は成分を用いて製造・加工した食品を意味し、「機能性」という用語は、人体の構造及び機能のため、又は、生理学上の効果のための栄養物を調整する等の健康目的に有用な効果を得ることを目的とした摂取を意味する。このようにして得られた本発明の健康機能性食品又は健康補助食品は、毎日消費することが可能なので、非常に有用である。丸剤、顆粒剤、錠剤、又は、カプセル剤の形態である健康機能性食品又は健康補助食品の場合、通常、0.1重量%~100重量%、好ましくは0.5重量%~80重量%の範囲で添加される。具体的な一例では、本発明の健康機能性食品又は健康補助食品は、丸剤、錠剤、カプセル剤、又は、飲料の形態であることができる。
【0068】
本発明の医薬組成物と食品組成物についての記載内容は、矛盾しない限り同様に適用される。
【0069】
他の態様において、本発明は、神経変性疾患を予防する、又は、治療する方法であって、本明細書に記載の式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0070】
他の態様において、本発明は、本明細書に記載の式1に示される化合物、その溶媒和物、その水和物、又は、その薬学的に許容される塩の、神経変性疾患の予防又は治療における使用を提供する。
【0071】
上記方法又は使用において、上記に記載の医薬組成物又は健康機能性食品の詳細な説明を適用することが可能である。
【実施例
【0072】
以下に、実施例と実験例を介して本発明を詳細に説明する。
【0073】
なお、以下の実施例と実験例は一態様における本発明をより具体的に例示するだけのものであり、本発明はこれらに限定されない。
【0074】
<実施例1>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
【0075】
工程1:
【化6】
無水テトラヒドロフランに2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン(1.0当量)を溶解して得られた撹拌下の溶液に、N-tert-ブトキシカルボニル-N,N’-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(1.2当量)とトリエチルアミン(1.2当量)とを0℃にて加えた。得られた溶液を室温まで加温し、1時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を減圧下にて濃縮し、該混合物をジクロロメタンで抽出し、塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製して、所望の生成物を得た。
【0076】
工程2:
【化7】
BOC-を含む、2-クロロ-4-アルキルアミンで置換されたピリミジンを6.0Mの塩化水素に加え、40℃にて1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧して、所望のアミン塩を得て、直接次の反応に供した。
【0077】
工程3:
【化8】
ピリミジン塩(1.0当量)を無水ジメチルホルムアミド溶媒に溶解し、3-アミノ安息香酸(1.0当量)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート;ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム;HATU)(1.2当量)、及びトリエチルアミン(5.2当量)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応終了後、氷浴内にてこの混合液を水と酢酸エチルを加えて希釈し、塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、混合液の溶媒を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製して、所望の生成物を得た。
【0078】
工程4:
【化9】
上記反応式によれば、3-アミノ-N-(3-((2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)(メチル)アミノ)プロピル)-4-メトキシ-N-メチルベンズアミド(86mg)を1,4-ジオキサン(4.0mL)に溶解し、パラジウム(II)アセテート(9.0mg)、キサントホス(46.2mg)、及び、三塩基リン酸カリウム(84.7mg)を加えた。窒素下で、混合液に対し、5分間、バブリングした。その後、該混合液を90℃にまで加熱し、16時間撹拌した。反応終了後、該混合液を酢酸エチルで希釈し、固体をセライト濾過で除去し、該混合液を塩水(20mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、混合液の溶媒を減圧下で濃縮して、カラムクロマトグラフィーで精製し、3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン(淡黄色のオイル、57mg、72%)を得た。
【0079】
工程5:
-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
塩形態を生成するため、上記化合物(1.0当量)をジクロロメタンに溶解し、トリフルオロアセテート溶液(1.5当量)を加え、その後、該混合液を室温で10分間~30分間撹拌した。溶媒と余分なトリフルオロアセテートとを減圧下で濃縮し、ゆっくりと揮発させて、上記化合物の所望の塩形態を得た。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.90 (bs, 1H), 10.84 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.87 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.35 - 3.30 (m, 3H), 3.23 (bs, 4H), 3.06 (s, 3H), 2.20 (bs, 2H)。
【0080】
以下、実施例2の化合物を実施例1と同様に生成した。TFA塩の形態で得られた実施例については工程5まで行い、非塩形態については工程4まで行った。
【0081】
<実施例2>1-クロロ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.28 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.95 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.25 (td, J = 7.5, 3.6 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.05 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.28 (t, J = 12.5 Hz, 1H), 3.76 - 3.64 (m, 1H), 3.53 (t, J = 12.9 Hz, 1H), 2.97 (d, J = 3.6 Hz, 3H), 2.91 - 2.81 (m, 1H)。
【0082】
<実施例3>1-クロロ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン(1-クロロ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン)の生成
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.52 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.45 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 7.27 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.26 (dt, J = 11.6, 6.2 Hz, 2H), 3.18 (q, J = 6.0 Hz, 2H), 1.79 (bs, 2H), 1.41 (bs, 2H)。
【0083】
<実施例4>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.25 (bs, 1H), 8.15 (bs, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.51 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.3, 2.1 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.31 - 3.22 (m, 2H), 3.17 (dt, J = 6.4, 4.6 Hz, 2H), 1.85 - 1.71 (m, 2H), 1.43 - 1.33 (m, 2H)。
【0084】
<実施例5>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.50 (s, 1H), 10.10 (bs, 1H), 8.89 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.44 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.86 - 6.74 (m, 1H), 6.58 - 6.46 (m, 1H), 4.21 (q, J = 11.3 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.82 - 3.64 (m, 2H), 3.30 - 3.10 (m, 1H)。
【0085】
<実施例6>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.76 (bs, 1H), 10.39 (s, 1H), 8.64 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.38 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.61 (s, 1H), 4.53 - 4.38 (m, 1H), 4.01 - 3.87 (m, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.76 (ddt, J = 13.5, 10.8, 3.1 Hz, 1H), 3.07 (s, 3H), 3.00 (ddd, J = 13.7, 11.0, 6.9 Hz, 1H)。
【0086】
<実施例7>1-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ8.74 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 7.84 (dd, J = 6.2, 3.5 Hz, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.11 (dd, J = 8.3, 2.1 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.28 - 4.16 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.67 (tt, J = 12.5, 6.5 Hz, 1H), 3.52 (tt, J = 13.2, 2.9 Hz, 1H), 2.95 (s, 3H), 2.83 (ddd, J = 13.2, 10.7, 6.9 Hz, 1H)。
【0087】
<実施例8>1-クロロ-3-フルオロ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.07 (s, 1H), 8.93 (bs, 1H), 8.67 (dd, J = 7.2, 2.2 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.41 (ddd, J = 8.5, 4.5, 2.2 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 10.3, 8.5 Hz, 1H), 6.74 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.46 - 4.31 (m, 1H), 3.97 (tt, J = 12.8, 6.6 Hz, 1H), 3.82 - 3.67 (m, 1H), 3.13 (s, 3H), 3.12 - 3.04 (m, 1H)。
【0088】
<実施例9>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.36 (s, 1H), 8.19 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.25 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.52 (s, 1H), 6.16 (bs, 1H), 4.25 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 3.88 (tt, J = 12.6, 6.6 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.64 (t, J = 12.6 Hz, 1H), 3.14 (s, 3H), 3.12 - 3.01 (m, 1H)。
【0089】
<実施例10>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.54 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 6.91 (dd, J = 2.4, 1.4 Hz, 1H), 6.86 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 6.56 (s, 1H), 6.15 (bs, 1H), 4.44 (t, J = 12.5 Hz, 1H), 3.91 (tt, J = 12.6, 6.6 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.75 (ddd, J = 14.0, 8.6, 3.4 Hz, 1H), 3.10 (s, 3H), 3.02 (ddd, J = 13.5, 10.9, 6.9 Hz, 1H)。
【0090】
<実施例11>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ12.51 (s, 1H), 10.90 (s, 1H), 10.85 (s, 1H), 10.37 (t, J = 1.7 Hz, 1H), 9.53 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 9.47 (dd, J = 2.5, 1.2 Hz, 1H), 6.97 (bs, 1H), 6.58 (s, 3H), 6.06 (bs, 2H), 5.84 (bs, 2H), 5.74 (s, 3H), 4.83 (bs, 2H)。
【0091】
<実施例12>1-クロロ-3-メトキシ-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.05 (s, 1H), 9.68 (bs, 1H), 8.18 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.84 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.1 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.91 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.43 - 3.34 (m, 2H), 3.30 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 2.19 (dq, J = 14.6, 7.6, 7.1 Hz, 2H)。
【0092】
<実施例13>1-クロロ-3-エチル-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.35 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.61 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 7.9, 1.7 Hz, 1H), 6.85 - 6.80 (m, 1H), 5.09 (bs, 1H), 3.27 - 3.10 (m, 4H), 3.02 (s, 3H), 2.80 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.10 (bs, J = 21.3 Hz, 2H), 1.24 (t, J = 7.5 Hz, 3H)。
【0093】
<実施例14>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ12.09 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.42 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.90 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 6.82 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 6.64 - 6.59 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.31 (bs, 2H), 3.29 - 3.18 (m, 2H), 3.04 (s, 3H), 2.83 (bs, 1H), 2.15 (bs, 2H)。
【0094】
<実施例15>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.27 (bs, 1H), 10.65 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.43 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.73 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.46 - 3.37 (m, 1H), 3.32 (ddd, J = 15.4, 10.0, 5.9 Hz, 1H), 3.15 (s, 3H), 3.07 (td, J = 13.5, 5.9 Hz, 2H), 2.48 - 2.28 (m, 1H), 1.84 (q, J = 11.8 Hz, 1H)。
【0095】
<実施例16>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.68 (s, 1H), 10.13 (bs, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.55 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.50 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 3.43 - 3.35 (m, 2H), 3.02 (s, 3H), 1.88 - 1.77 (m, 2H), 1.69 (dt, J = 10.8, 5.9 Hz, 2H)。
【0096】
<実施例17>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.71 (s, 1H), 9.97 (bs, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.13 (t, J = 1.7 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 2.4, 1.3 Hz, 1H), 6.84 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.51 (q, J = 6.2 Hz, 2H), 3.45 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 3.13 (s, 3H), 1.84 (q, J = 9.2, 8.5 Hz, 2H), 1.73 (q, J = 9.5, 7.9 Hz, 2H)。
【0097】
<実施例18>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.34 (s, 1H), 10.33 (bs, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.24 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 6.54 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.68 (dt, J = 14.1, 7.0 Hz, 2H), 3.14 (s, 3H), 3.10 - 2.95 (m, 2H), 1.85 - 1.74 (m, 2H), 1.71 - 1.60 (m, 1H), 1.59 - 1.47 (m, 1H)。
【0098】
<実施例19>1-クロロ-3-エチル-5-メチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.70 (bs, 1H), 10.02 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.43 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 7.9, 1.8 Hz, 1H), 6.54 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 3.51 - 3.44 (m, 2H), 3.42 - 3.32 (m, 2H), 3.13 (s, 3H), 2.74 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.84 - 1.75 (m, 2H), 1.73 - 1.64 (m, 2H), 1.22 (t, J = 7.6 Hz, 3H)。
【0099】
<実施例20>1-クロロ-3-メトキシ-5,8-ジメチル-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ12.21 (bs, 1H), 9.64 (s, 1H), 8.47 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.45 (dd, J = 8.5, 2.2 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.35 (ddd, J = 14.2, 11.7, 3.0 Hz, 1H), 4.18 (ddd, J = 13.3, 11.7, 3.1 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.67 - 3.59 (m, 1H), 3.58 (s, 3H), 3.23 - 3.11 (m, 1H), 3.16 (s, 3H)。
【0100】
<実施例21>1-クロロ-5-エチル-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ11.40 (bs, 1H), 9.75 (s, 1H), 8.64 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.44 (dd, J = 8.5, 2.2 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.64 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.44 - 4.31 (m, 1H), 4.01 - 3.92 (m, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.85 - 3.79 (m, 1H), 3.79 - 3.72 (m, 1H), 3.40 (dq, J = 14.0, 7.0 Hz, 1H), 3.21 (ddd, J = 13.8, 11.0, 6.9 Hz, 1H), 1.29 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0101】
<実施例22>1-クロロ-5-イソプロピル-3-メトキシ-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ9.45 (s, 1H), 8.58 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.42 (dd, J = 8.6, 2.2 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.65 (s, 1H), 4.37 (p, J = 6.9 Hz, 1H), 4.28 - 4.15 (m, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.99 - 3.87 (m, 1H), 3.82 (td, J = 10.9, 10.3, 3.8 Hz, 1H), 3.22 (ddd, J = 14.1, 11.0, 6.7 Hz, 1H), 1.44 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.42 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0102】
<実施例23>1-クロロ-3-メトキシ-5,9-ジメチル-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.35 (s, 1H), 9.19 (bs, 1H), 7.87 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.36 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 3.26 (bs, 4H), 3.06 (s, 3H), 2.08 (bs, 2H)。
【0103】
<実施例24>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
工程4を以下のように実施したことを除いて、実施例1と同様にして本化合物を合成した。
【化10】
【0104】
上記反応式によれば、
3-アミノ-N-(3-((2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-4-メトキシ-N-メチルベンズアミド(335mg)をイソプロピルアルコールに溶解し、その後、1,4-ジオキサン溶液の4.0M塩化水素(0.22ml)を加えた。該混合液を95℃にて16時間撹拌した。反応終了後、該混合液を減圧下にて濃縮し、エチレンアセテートで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、目的の化合物(白色の固体、269mg、80%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ11.03 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.87 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.75 - 6.62 (m, 1H), 5.77 (bs, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.45 - 3.24 (m, 4H), 3.04 (s, 3H), 2.15 (bs, J = 16.6 Hz, 2H)。
【0105】
<実施例25>3-メトキシ-5,8-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.57 (s, 1H), 10.11 (bs, 1H), 8.52 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.41 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.40 - 4.29 (m, 1H), 4.18 (t, J = 11.7 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.62 (td, J = 12.5, 6.0 Hz, 1H), 3.28 (q, J = 1.9 Hz, 3H), 3.19 - 3.11 (m, 1H), 3.09 (s, 3H)。
【0106】
<実施例26>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,8-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロオクタファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.59 (s, 1H), 8.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.30 - 8.16 (m, 1H), 8.09 (bs, 1H), 7.42 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.58 - 6.39 (m, 1H), 4.55 - 4.35 (m, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.88 - 3.75 (m, 2H), 3.08 (s, 3H), 3.02 (ddd, J = 13.7, 10.9, 7.0 Hz, 1H)。
【0107】
<実施例27>1-クロロ-3-メトキシ-5,10-ジメチル-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ12.90 (bs, 1H), 9.08 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.65 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.31 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.62 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.59 (s, 3H), 3.44 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.13 (s, 3H), 1.85 - 1.73 (m, 4H)。
【0108】
<実施例28>3-フルオロ-3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ9.25 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.83 (t, J = 1.7 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 11.5, 1.9 Hz, 1H), 3.89 (d, J = 1.6 Hz, 3H), 3.17 (bs, 4H), 3.12 - 3.07 (m, 3H), 2.93 (s, 3H), 2.11 (bs, 2H)。
【0109】
<実施例29>3-メトキシ-5,10-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ13.10 (bs, 1H), 10.39 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.64 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.68 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.40 - 3.35 (m, 2H), 3.30 (q, J = 1.8 Hz, 3H), 3.06 (s, 3H), 1.82 - 1.72 (m, 4H)。
【0110】
<実施例30>5,9-ジメチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ9.66 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.06 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.44 (dq, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 3.12 (bs, 4H), 3.09 - 3.08 (m, 3H), 2.95 (s, 3H), 2.10 (bs, 2H)。
【0111】
<実施例31>5,9-ジメチル-1,3-ビス(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ9.16 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.93 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.18 - 3.01 (m, 5H), 2.96 (s, 3H), 2.95 - 2.90 (m, 2H), 1.99 (bs, 2H)。
【0112】
<実施例32>3-メトキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロノナパン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ12.24 (bs, 1H), 12.05 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.42 (t, J = 1.7 Hz, 1H), 6.90 (dd, J = 2.3, 1.3 Hz, 1H), 6.82 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.32 (d, J = 1.8 Hz, 3H), 3.20 (bs, 4H), 3.07 (s, 3H), 2.22 (bs, 2H)。
【0113】
<実施例33>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オン;2,2,2-トリフルオロアセテートの生成
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ10.85 (s, 1H), 9.57 (bs, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.55 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.6, 2.1 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.48 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.52 (q, J = 6.1 Hz, 2H), 3.41 - 3.36 (m, 2H), 3.05 (s, 3H), 1.88 - 1.76 (m, 2H), 1.69 (q, J = 5.4 Hz, 2H)。
【0114】
<実施例34>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.11 (s, 1H), 8.17 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 1.6 Hz, 1H), 7.17 (t, J = 6.2 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 11.5, 1.9 Hz, 1H), 3.88 (d, J = 1.5 Hz, 3H), 3.33 - 3.26 (m, 4H), 2.90 (s, 3H), 1.72 - 1.63 (m, 2H), 1.55 - 1.47 (m, 2H)。
【0115】
<実施例35>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,10-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロデカファン-4-オンの生成
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ9.64 (s, 1H), 8.23 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.50 - 7.37 (m, 2H), 7.24 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 3.31 - 3.18 (m, 4H), 2.93 (s, 3H), 1.67 (q, J = 8.3 Hz, 2H), 1.51 (q, J = 5.3, 4.6 Hz, 2H)。
【0116】
本発明による実施例1~実施例35の化合物の構造を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例1と同様にして実施例36~実施例41の化合物を生成した。
【0119】
<実施例36>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0120】
<実施例37>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0121】
<実施例38>5-メチル-3-(オキセタン-3-イロキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0122】
<実施例39>3-イソプロピル-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0123】
<実施例40>1-クロロ-5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0124】
<実施例41>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0125】
<実施例42>1-クロロ-3-メトキシ-5-メチル-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0126】
本化合物を、工程1以外は実施例1と同様にして生成した。
【0127】
工程1:
【化11】
無水水素化ナトリウム(鉱油の60%分散液、79mg、3.3mmol)をBoc-を含むアルコールの懸濁液(340mg、1.1当量)に加え、0℃で無水テトラヒドロフランに溶解した。5分間撹拌した後、2,4,5-トリクロロピリミジン(300mg、1.0当量)を徐々に加え、結果得られた溶液を室温まで温め、1時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を減圧下で濃縮し、該混合液をジクロロメタン(50mL)で抽出し、塩水(20mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(430mg、78%)を得た。
【0128】
実施例43~実施例45を実施例42と同様にして、目的の化合物を得た。
【0129】
<実施例43>3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0130】
<実施例44>5-メチル-3-(トリフルオロメトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0131】
<実施例45>3-フルオロ-3-メトキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-9-オキサ-2,5-ジアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0132】
実施例46と実施例47を実施例1と同様にして、目的の化合物を得た。
【0133】
<実施例46>3-シクロプロポキシ-5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0134】
<実施例47>3-シクロプロポキシ-5,9-ジメチル-1-(トリフルオロメチル)-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼナシクロナファン-4-オン
【0135】
実施例36~実施例47の化合物構造と分析データを表2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
<実験例1>LRRK2阻害活性の評価
LRRK2(ロイシンリッチリピートキナーゼ2)の野生型とG2019S変異体の阻害活性を評価するため、「HotSpot」アッセイプラットフォームをReaction Biology Corporationにて使用した。実験方法は以下の通りであった。
【0138】
具体的なキナーゼと基質のペアを、必要な補因子と共に反応緩衝液(20mM Hepes pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM NaVO、2mM DTT、1% DMSO)中に準備した。この化合物を反応に移し、20分後、ATP(Sigma)と33P ATP(PerkinElmer)の混合物を加えて、最終濃度10μmに調整した。反応を25℃で120分間行い、その後、P81イオン交換濾紙(Whatman)に滴下した。ろ紙を0.75%のリン酸で良く洗い、非結合のリン酸塩を除去した。非活性の酵素を含んだ基準反応から得られた背景値を減じた後、キナーゼ活性データを、溶媒(ジメチルスルホキシド)反応に対する試験サンプルに残ったキナーゼ活性のパーセンテージとして示した。IC50値を、Prism(GraphPad Software)を用いて得た。結果を表3に示す。
【0139】
【表3】
【0140】
表2によれば、本発明の大環状ピリミジン誘導体は、LRRK2タンパク質の野生型とG2019S変異体に対して優れた阻害活性を有することが確認できた。よって、本発明による化合物は、野生型LRRK2タンパク質又はG2019S変異体LRRK2タンパク質の過剰な活性化により生ずる関連する疾患の予防又は治療に効果的であることが予想される。
【0141】
<実験例2>血液脳関門(BBB)の透過率の評価
血液脳関門の透過率を評価するため、以下の実験を実施した。
【0142】
試験物質を5mg/kgの容量で準備し、経口投与後、1時間後及び3時間後に動物を屠殺させ、心臓から血液を採取し、遠心分離を行って血漿サンプルを得た。体内から残りの血液を取り除き、10U/mlのヘパリンを含む20mlの食塩水を用いて心臓灌流を行った後、脳を取り出した。脳組織に3倍の重さのPBS緩衝液を加え、ホモジナイズした。LC-MS/MS(Agilent、米国カルフォルニア州サンタクララ)を用いて、用意した上記血漿と脳組織の量的分析を行った。LCにおける物質の分離には、20%の水と80%のアセトニトリルと0.1%のギ酸からなる移動相を用いた。物質毎のトータルの実施時間は3分であり、流量は0.3ml/分であった。結果を表4に示す。
【0143】
【表4】
【0144】
表3に示すように、実施例の平均BBB透過率は、約30%であり、特に実施例1では、BBB透過率が68%と非常に高いものであった。よって、本発明による化合物は、BBBを効率的に通過することで、神経変性疾患の予防又は治療において効果的であることが予想される。
【国際調査報告】