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特表2024-546160プローブ装置およびプローブ制御デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】プローブ装置およびプローブ制御デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20241210BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 D
H01L21/66 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536319
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2022139957
(87)【国際公開番号】W WO2023116614
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111563769.0
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522480687
【氏名又は名称】百及納米科技(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】周 向前
(72)【発明者】
【氏名】ランジェロー アイボ
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AH04
2G011AA16
2G011AC31
2G011AE03
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD11
(57)【要約】
プローブ装置及びプローブ制御デバイスが提供され、プローブ装置は機能層(10)と、複数のプローブ(20)と、少なくとも1つの信号処理ユニット(30)とを備え、機能層(10)の一面に複数のプローブ(20)が設けられ、機能層(10)の他面に少なくとも1つの信号処理ユニット(30)が設けられ、各信号処理ユニット(30)は、少なくとも1つのプローブ(20)に対応し、各プローブ(20)は1つの信号処理ユニット(30)に対応して且つ電気的に接続され、信号処理ユニット(30)はユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、プローブ制御信号を対応するプローブ(20)に送信し、プローブ(20)は、受信したプローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する信号処理ユニット(30)に送信する。信号処理ユニット(30)とプローブ(20)とを含む立体構造のプローブ装置が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能層と、複数のプローブと、少なくとも1つの信号処理ユニットとを備え、
前記複数のプローブが前記機能層の一面に設けられ、前記少なくとも1つの信号処理ユニットが前記機能層の他面に設けられ、各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは、1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、
前記信号処理ユニットはユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、
前記プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信することを特徴とするプローブ装置。
【請求項2】
前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、前記貫通孔に導電物質が設けられ、各前記信号処理ユニットは少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔は1つの前記信号処理ユニットに対応し、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質を介してターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項3】
前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各前記信号処理ユニットは少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔は1つの前記信号処理ユニットに対応し、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線を介してターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項4】
前記プローブは、針頭部と、カンチレバーと、針先とを備え、各前記プローブにおいて、前記針先は前記針頭部の先端部分に配置され、前記針頭部は前記カンチレバーの一端に固定され、前記カンチレバーの前記針頭部から離れた一端は制御入力端と信号出力端を含み、前記信号処理ユニットは制御出力端と信号入力端を含み、前記カンチレバーの制御入力端は対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記カンチレバーの信号出力端は対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、
前記プローブは、前記制御入力端から受信した前記プローブ制御信号に従って前記針先を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された前記信号処理ユニットの信号入力端に送信することを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項5】
前記機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、ウェーハ又はプリント基板のいずれかであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項6】
各前記プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つの前記プローブの対応するアドレスが異なることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項7】
非接触固定された複数の機能層と、複数のプローブと、複数の信号処理ユニットと、を備え、前記複数の機能層は、下から上に順に積層された1個のプローブ層とM個のデータ処理層とを含み、前記複数のプローブが前記プローブ層の前記データ処理層から離れた面に設けられ、複数の信号処理ユニットが各前記データ処理層にそれぞれ設けられ、Mは1以上の整数であり、
一番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは一番目の前記データ処理層に位置する1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続され、
M個の前記データ処理層のうちのN番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、N-1番目の前記データ処理層における少なくとも1つの前記信号処理ユニットに対応し、且つN番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、1≦N≦Mであり、Nは整数であり、
プローブ装置は少なくとも1つの前記データ処理層における前記信号処理ユニットによって入力された制御パラメータを受信して、各前記プローブのプローブ制御信号を生成し、
前記プローブ装置は、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットによって、各前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、
前記プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信することを特徴とするプローブ装置。
【請求項8】
M≧2であり、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、対応する前記プローブが送信したプローブデータ信号を受信すると、各前記プローブデータ信号をM番目の前記データ処理層における信号処理ユニットに送信し、
M番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、各前記プローブの前記プローブデータ信号を受信した後、各前記プローブデータ信号を処理して被操作面のデータ処理結果を得ることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項9】
M≧2であり、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、対応する前記プローブが送信したプローブデータ信号を受信すると、対応する前記プローブのプローブデータ信号を処理して、対応する前記プローブのデータ処理結果を得て、各前記プローブの前記データ処理結果をM番目の前記データ処理層における信号処理ユニットに送信し、
M番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、各前記プローブのデータ処理結果を受信すると、各前記プローブのデータ処理結果に基づいて被操作面のデータ処理結果を得ることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項10】
各前記プローブのプローブデータ信号は、一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットに記憶されており、又はM番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットに記憶されていることを特徴とする請求項8に記載のプローブ装置。
【請求項11】
隣り合う2つの前記機能層の間に放熱層が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項12】
前記放熱層は、半導体冷却層であることを特徴とする請求項11に記載のプローブ装置。
【請求項13】
各前記データ処理層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、前記貫通孔に導電物質が設けられ、各前記データ処理層において、各前記信号処理ユニットが少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔が1つの前記信号処理ユニットに対応し、
1≦N<Mの場合、M個の前記データ処理層のうちN番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質によって、N+1番目の前記データ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、前記目標信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、
N=1の場合、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質によって、前記プローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項14】
前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各前記データ処理層において、各前記信号処理ユニットが少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔が1つの前記信号処理ユニットに対応し、
1≦N<Mの場合、M個の前記データ処理層のうちN番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線によって、N+1番目の前記データ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、前記目標信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、
N=1の場合、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線によって、前記プローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項15】
前記プローブ層に複数の位置決めマークが設けられ、各前記データ処理層に複数の前記位置決め孔が設けられ、前記位置決め孔は前記位置決めマークと一対一に対応し、且つ各前記データ処理層における前記位置決め孔と前記プローブ層における対応する前記位置決めマークの位置が垂直空間において対応することを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項16】
隣り合う2つの機能層の間において対向する面には、複数対のマッチする凸部及び凹部がそれぞれ設けられており、各対のマッチする前記凸部の位置と前記凹部の位置とは、垂直空間において対応することを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項17】
前記プローブは、針頭部と、カンチレバーと、針先とを備え、各前記プローブにおいて、前記針先は前記針頭部の先端部分に配置され、前記針頭部は前記カンチレバーの一端に固定され、前記カンチレバーの前記針頭部から離れた一端は制御入力端と信号出力端を含み、各前記信号処理ユニットは信号受信端と、信号送信端と、制御出力端と、信号入力端を含み、前記カンチレバーの制御入力端は一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記カンチレバーの信号出力端は、一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、
M個の前記データ処理層のうちのN番目の前記データ処理層において、前記信号処理ユニットの信号送信端が、N+1番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、前記信号処理ユニットの信号受信端が、N+1番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、
前記プローブは、前記制御入力端から受信した前記プローブ制御信号に従って前記針先を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された前記信号処理ユニットの信号入力端に送信し、
前記信号処理ユニットは、受信した前記プローブデータ信号を目標機能層における対応する前記信号処理ユニットに送信し、前記目標機能層は、前記信号処理ユニットが位置する前記データ処理層の一つ上の前記データ処理層であることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項18】
前記機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、ウェーハ又はプリント基板のいずれかであることを特徴とする請求項7から17のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項19】
各前記プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つの前記プローブの対応するアドレスが異なることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のプローブ装置と、前記プローブ装置に接続されたプローブ制御システムとを備えることを特徴とするプローブ制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は2021年12月20日に提出された、出願番号2021115637690、発明名称が「プローブ装置およびプローブ制御デバイス」である中国特許出願の優先権を主張しており、上記出願の全文は引用により本文に含まれる。
【0002】
本出願は、制御の技術分野に関し、特にプローブ装置およびプローブ制御デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
チップ産業において、チップデバイスの微小化はずっと重要な研究方向であり、5ナノメートル技術ノードのチップの製造はすでに実現され、3ナノメートル技術ノードのチップの製造の研究開発はすでに成功しているが、チップ産業の測定技術ははるかに遅れている。検査手段が不足しているだけでなく、ナノレベルに達する表面測定速度は往々にして非常に遅く、チップ産業のオンライン検査、さらには抜き取り検査のレベルを満たすことができない。
【0004】
従来の光学エリプソメータの検出技術は、ウェハ表面の三次元構造を縦方向の分解能で1ナノメートル以下に検出することができ、しかも速度が速く、オンライン検出に用いることができるが、横方向の分解能は依然としてサブミクロンレベルにとどまっており、測定分解能の要求を満たすことができない。
【0005】
走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope、略称SPM)は縦方向と横方向の分解能で、サブナノメートルレベル、特に数ナノメートルから数十ナノメートルの三次元構造を測定することができる。しかし、その測定速度は非常に遅く、1つのウェハ上のダイ(DIE)を完全に測定するには少なくとも30日かかると推定されている。測定速度が遅い主な原因の1つは、プローブが表面から数ナノメートルから数十ナノメートルしか離れていないことにあり、ナノメートルレベルの三次元形態を測定することができる。プローブが被測定面の三次元構造と衝突して測定精度に影響を及ぼすことを回避するためには、測定中にプローブを極めて遅い速度で進行させる必要がある。
【0006】
プローブ技術を用いて、表面の導電性、表面のフォトレジスト残留、表面の異なる成分の分布などの物理量を測定することができる。
【0007】
プローブの針頭部は特に細く、曲率半径は2ナノメートルしかなく、先端に原子が1つしかないものもある。
【0008】
プローブに非常に小さな電圧、例えば50Vを加えると、プローブの先端に非常に高い電場強度が生じることができる。
【0009】
このとき、針先端の電子が容易に引き出され、プローブ先端の電場放出が形成される。プローブ針先で形成された電場から放出された電子を用いてフォトレジストを感光させることができ、スキャンプローブリソグラフィ(SPL scanning probe lithography)とも呼ばれる電子ビームリソグラフィを形成することができる。スキャンプローブリソグラフィの利点は、リソグラフィラインが非常に細く、単一ナノメートルレベルの細線構造を露光するのに非常に適していることである。その原因は、非常に小さなプローブ先端が電子を放出して単一ナノメートルスケールの電子ビームスポットを形成することに加えて、放出される電子のエネルギーが非常に低く、電子ビームリソグラフィを形成することが困難である大きな問題即ち近接効果がある。近接効果がなくなるため、電子ビーム露光後の感光区間の広がり問題がなくなり、プローブ電子ビームサイズがフォトレジストの感光領域を直接決定し、単一ナノメートルスケールのリソグラフィ線幅を形成することになる。
【0010】
しかしながら、プローブ針先電子ビームリソグラフィの問題点は、プローブ針先を一点一点移動させ、ドットごとに電子ビーム露光を行う必要があることである。針先の移動速度は従来の電子ビームリソグラフィ機の電子ビーム走査速度に比べてはるかに劣るため、針先のリソグラフィ速度は非常に低く、限られた時間で大面積のリソグラフィを完了することができない。
【0011】
プローブの三次元形態測定、導電性測定、およびプローブの電子放出は、プローブによるターゲット表面の操作と呼ぶことができる。現在、マルチプローブアレイを設置することで、複数のプローブが同時に測定操作やリソグラフィ操作を実施することで、速度を向上させることができる。
【0012】
しかし、プローブアレイの操作速度を高めると、プローブが迅速に測定する必要があり、マルチプローブによって測定を加速することだけではなく、測定された大量の信号を伝送して並行処理できるようにする問題、すなわち、限られた数のリード線でマルチプローブ信号をどのように引き出すかという問題、大量の並行プローブの信号を並行処理するという問題がある。
【0013】
マルチリード線並行信号を処理する方法の1つは、データバスを介して膨大な数のリード線を多重化することによって、リード線の数を大幅に減らすことである。しかし、プローブの数が多い場合、多重化だけによる方法は、信号処理時間が大幅に低下し、信号処理速度が低下し、処理速度の需要を満たすことができない。
【0014】
以上から分かるように、並行プローブアレイを利用したサンプル表面測定、電子電場放出及び誘導イオン注入にかかわらず、高速が必要であり、多くのプローブアレイと後続の信号ユニットをどのように並行に統合し、並行測定と信号処理を形成するかは測定速度を高める鍵である。そこで、本発明者らは、上記の技術的課題を解決するため、本出願の技術的方案を提案した。
【発明の概要】
【0015】
本出願の目的は、信号処理ユニットとプローブとを含む立体構造のプローブ装置を形成し、信号処理ユニットとプローブとの間の配線を低減しつつ、複数のプローブと信号処理ユニットとを同一機能層の異なる面に統合し、信号処理ユニットから放熱される熱によるプローブへの影響を低減し、精度損失を低減するプローブ装置及びプローブ制御デバイスを提供することにある。
【0016】
上記目的を達成するため、本出願は、機能層と、複数のプローブと、少なくとも1つの信号処理ユニットとを備え、前記複数のプローブが前記機能層の一面に設けられ、前記少なくとも1つの信号処理ユニットが前記機能層の他面に設けられ、各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは、1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、前記信号処理ユニットはユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、前記プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信するプローブ装置を提供した。
【0017】
本出願はさらに、非接触固定された複数の機能層と、複数のプローブと、複数の信号処理ユニットと、を備え、前記複数の機能層は、下から上に順に積層された1個のプローブ層とM個のデータ処理層とを含み、前記複数のプローブが前記プローブ層の前記データ処理層から離れた面に設けられ、複数の信号処理ユニットが各前記データ処理層にそれぞれ設けられ、Mは1以上の整数であり、一番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは一番目の前記データ処理層に位置する1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続され、M個の前記データ処理層のうちのN番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、N-1番目の前記データ処理層における少なくとも1つの前記信号処理ユニットに対応し、且つN番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、1≦N≦Mであり、Nは整数であり、前記プローブ装置は少なくとも1つの前記データ処理層における前記信号処理ユニットによって入力された制御パラメータを受信して、各前記プローブのプローブ制御信号を生成し、前記プローブ装置は、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットによって、各前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、前記プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信するプローブ装置を提供した。
【0018】
本出願は、さらに、上記のプローブ装置と、プローブ装置に接続されたプローブ制御システムとを備えるプローブ制御デバイスを提供した。
【0019】
本出願の実施例において、プローブ装置は、機能層と、複数のプローブと、少なくとも1つの信号処理ユニットとを備え、複数のプローブが前記機能層の一面に設けられ、前記少なくとも1つの信号処理ユニットが前記機能層の他面に設けられ、各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは、1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、信号処理ユニットはユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信してもよく、これにより、信号処理ユニットとプローブを含む立体構造のプローブ装置が形成され、信号処理ユニットとプローブとの間の配線が低減されるとともに、複数のプローブと信号処理ユニットとが同一機能層の異なる面に統合され、信号処理ユニットから放熱される熱によるプローブへの影響が低減され、精度損失が低減される。
【0020】
一実施例において、M≧2であり、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、対応する前記プローブが送信したプローブデータ信号を受信すると、各前記プローブデータ信号をM番目の前記データ処理層における信号処理ユニットに送信し、M番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、各前記プローブの前記プローブデータ信号を受信した後、各前記プローブデータ信号を処理して被操作面のデータ処理結果を得る。
【0021】
一実施例において、M≧2であり、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、対応する前記プローブが送信したプローブデータ信号を受信すると、対応する前記プローブのプローブデータ信号を処理して、対応する前記プローブの対応するデータ処理結果を得て、各前記プローブの前記データ処理結果をM番目の前記データ処理層における信号処理ユニットに送信し、 M番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、各前記プローブのデータ処理結果を受信すると、各前記プローブのデータ処理結果に基づいて被操作面のデータ処理結果を得る。
【0022】
一実施例において、各前記プローブのプローブデータ信号は、一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットに記憶されており、又はM番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットに記憶されている。
【0023】
一実施例において、前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、前記貫通孔に導電物質が設けられ、各前記信号処理ユニットは少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔は1つの前記信号処理ユニットに対応し、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質を介してターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブである。
【0024】
一実施例において、前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各前記信号処理ユニットは少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔は1つの前記信号処理ユニットに対応し、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線を介してターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブである。
【0025】
一実施例において、前記プローブは、針頭部と、カンチレバーと、針先とを備え、各前記プローブにおいて、前記針先は前記針頭部の先端部分に配置され、前記針頭部は前記カンチレバーの一端に固定され、前記カンチレバーの前記針頭部から離れた一端は制御入力端と信号出力端を含み、前記信号処理ユニットは制御出力端と信号入力端を含み、前記カンチレバーの制御入力端は対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記カンチレバーの信号出力端は対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、前記プローブは、前記制御入力端から受信した前記プローブ制御信号に従って前記針先を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された前記信号処理ユニットの信号入力端に送信する。
【0026】
一実施例において、前記機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、ウェーハ又はプリント基板のいずれかである。
【0027】
一実施例において、隣り合う2つの前記機能層の間に放熱層が設けられている。
【0028】
一実施例において、前記放熱層は、半導体冷却層である。
【0029】
一実施例において、各前記データ処理層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、前記貫通孔に導電物質が設けられ、各前記データ処理層において、各前記信号処理ユニットが少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔が1つの前記信号処理ユニットに対応し、1≦N<Mの場合、M個の前記データ処理層のうちN番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質によって、N+1番目の前記データ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、前記目標信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、N=1の場合、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質によって、前記プローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブである。
【0030】
一実施例において、前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各前記データ処理層において、各前記信号処理ユニットが少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔が1つの前記信号処理ユニットに対応し、1≦N<Mの場合、M個の前記データ処理層のうちN番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線によって、N+1番目の前記データ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、前記目標信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、N=1の場合、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線によって、前記プローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブである。
【0031】
一実施例において、前記プローブ層に複数の位置決めマークが設けられ、各前記データ処理層に複数の前記位置決め孔が設けられ、前記位置決め孔は前記位置決めマークと一対一に対応し、且つ各前記データ処理層における前記位置決め孔と前記プローブ層の対応する前記位置決めマークの位置が垂直空間において対応する。これにより、プローブ層とデータ処理層の各層間は空間的に位置合わせされる。
【0032】
一実施例において、隣り合う2つの機能層の間において対向する面には、複数対のマッチする凸部及び凹部がそれぞれ設けられており、各対のマッチする前記凸部の位置と前記凹部の位置とは、垂直空間において対応する。これにより、プローブ層とデータ処理層の各層間は空間的に位置合わせされる。
【0033】
一実施例において、前記プローブは、針頭部と、カンチレバーと、針先とを備え、各前記プローブにおいて、前記針先は前記針頭部の先端部分に配置され、前記針頭部は前記カンチレバーの一端に固定され、前記カンチレバーの前記針頭部から離れた一端は制御入力端と信号出力端を含み、各前記信号処理ユニットは信号受信端と、信号送信端と、制御出力端と信号入力端を含み、前記カンチレバーの制御入力端は一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記カンチレバーの信号出力端は、一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、M個の前記データ処理層のうちのN番目の前記データ処理層において、前記信号処理ユニットの信号送信端が、N+1番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、前記信号処理ユニットの信号受信端が、N+1番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記プローブは、前記制御入力端から受信した前記プローブ制御信号に従って前記針先を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された前記信号処理ユニットの信号入力端に送信する。前記信号処理ユニットは、受信した前記プローブデータ信号を目標機能層における対応する前記信号処理ユニットに送信し、前記目標機能層は、前記信号処理ユニットが位置する前記データ処理層の一つ上の前記データ処理層である。
【0034】
一実施例において、前記機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、ウェーハ又はプリント基板のいずれかである。
【0035】
一実施例において、各前記プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つの前記プローブの対応するアドレスが異なる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1-2】本出願の第1の実施例に係るプローブ装置の模式図である。
図3-4】本出願の第1の実施例に係るプローブ装置における信号処理ユニットとプローブとの電気的接続を示す模式図である。
図5-6】本出願の第1の実施例に係るプローブ装置における信号処理ユニットとプローブとが機能層の貫通孔を介して電気的に接続されている模式図である。
図7】本出願の第1の実施例に係るプローブ装置のプローブ層上のプローブレイアウトの模式図である。
図8-12】本出願の第2の実施例に係るプローブ装置の模式図である。
図13】本出願の第2の実施例に係る隣接する2つのデータ処理層間の信号処理ユニットがバスで接続されている模式図である。
図14-15】本出願の第2の実施例に係るデータ処理層に位置決め孔を設け、プローブ層に位置決めマークを設けた模式図である。
図16-18】本出願の第2の実施例に係るプローブ装置において、隣接する2つの機能層の対向する面にそれぞれ複数対のマッチする凸部および凹部が設けられている模式図である。
図19】本出願の第2の実施例に係るプローブ装置において、隣接する2つのデータ処理層間の信号処理ユニットが、データ処理層の貫通孔を介して電気的に接続されている模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本出願の目的、特徴および利点をよりよく理解するために、図面に結合して本発明の各実施例について詳細に説明する。図面に示される実施例は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではなく、単に本発明の技術方案の本質的な精神を説明することを理解するべきである。以下の説明では、開示されたさ各実施例を説明する目的から、開示された各実施例を完全に理解するために、何らかの具体的な詳細を記載する。但し、当業者は実施例がこれらの具体的な詳細のうちの1つまたは複数なしに実施されてもよいことを認識するべきである。他の場合では、実施例の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、本出願に関連する周知のデバイス、構成、および技術は詳細に示されないか、または記載されない可能性がある。
【0038】
文脈で特に必要とされない限り、明細書および請求の範囲を通して、「備える」という言葉とそのバリエーション、例えば「含む」や「有する」などの用語は、オープンで包括的な意味と理解するべきであり、すなわち、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0039】
明細書全体にわたる「一つ実施例」または「一実施例」への言及は、実施例に説明される特定の特点、構成、または特徴が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。そのため、明細書全体の各箇所での「一つの実施例では」または「一実施例では」の表現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指しているわけではない。また、特定の特点、構成、または特徴が1つまたは複数の実施例で任意の方法で組み合わせることができる。
【0040】
本明細書および添付の請求の範囲で使用されるように、単数形「一」および「」は、文脈がそうでないことを明確に記載しない限り、複数の指示対象も含む。「または」という用語は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、「および/或いは」を含む意味で一般的に使用されることである。
【0041】
以下の記載では、本発明の構成及び動作形態を明確に示すために、多くの方向性の語を用いて説明するが、「前」、「後」、「左」、「右」、「外」、「内」、「外を向く」、「内を向く」、「上」、「下」などの語は、限定的な語ではなく、便宜上の語として理解されるべきである。
【0042】
本発明の第1の実施の形態は、被操作ウェハ表面の物理量及び化学量の測定、スキャンプローブリソグラフィ(scanning probe lithography,SPL)、電子発生、光子発生、プローブを利用したイオンの導入による被操作面へのイオン注入等を含む被操作ウェハ表面の操作処理を行うプローブ装置に関する。ここで、係る物理量および化学量には、電気情報、力学情報、磁気情報、光学情報、音響情報、物質成分等、例えば、三次元形態測定、表面粗度測定、表面導電性測定、表面物質成分測定、表面温度測定、表面硬度測定、表面弾性率測定、表面発射光測定、表面発光測定、表面ラマン信号測定等が含まれるが、これらに限定されるものではなく、走査型プローブリソグラフィは、プローブに電圧(例えば50V)を印加し、プローブ針先に高い電場強度の電場を形成するときに、針先における電子が容易に引き出され、プローブ先端の電場放出が形成されることにより、プローブ針先で形成された電場放出された電子を用いてフォトレジストを感光させて電子ビームリソグラフィを形成し、プローブから放出された電子が被操作面に二次電子を発生させることができる。
【0043】
図1を参照すると、プローブ装置は、機能層10と、複数のプローブ20と、複数の信号処理ユニット30とを備える。ここで、信号処理ユニット30は、データ処理およびデータ記憶の機能を有していてもよい。
【0044】
機能層10の一面には複数のプローブ20が設けられ、機能層10の他面には少なくとも1つの信号処理ユニット30が設けられ、各信号処理ユニット30は、少なくとも1つのプローブ10に対応し、各プローブ10は、1つの信号処理ユニット30に対応して電気的に接続されている。具体的には、機能層10の両面にそれぞれ複数のプローブ20と複数の信号処理ユニット30が設けられ、各信号処理ユニット30は1つ以上のプローブ20に対応し、各プローブ20は1つの信号処理ユニット30のみに対応し、各プローブ20はそれぞれ対応する信号処理ユニット30に電気的に接続されている。ここで、各信号処理ユニット30は、同一数のプローブ20に対応し、対応するプローブ20に電気的に接続されていてもよいし、あるいは、各信号処理ユニット30は、それぞれ異なる数のプローブ20に対応し、対応するプローブ20に電気的に接続されていてもよい。図2に示すように、1つの信号処理ユニット30は、対応して1つのプローブ20に電気的に接続され、他方の信号処理ユニット30は、4つのプローブ20に電気的に接続されており、図において、機能層10を透明層とし、実際の機能層10を不透明層とし、信号処理ユニット30とプローブ20とは、機能層10の上下面にそれぞれ位置する。
【0045】
信号処理ユニットはユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、プローブ制御信号を対応するプローブに送信し、具体的には、機能層10の同一面に位置する各信号処理ユニット30は、ユーザが制御パラメータを入力するプローブ制御システムにそれぞれ電気的に接続され、ユーザが入力した制御パラメータを各信号処理ユニット30に送信し、信号処理ユニット30は、制御パラメータを受信すると、対応する各プローブ20のプローブ制御信号を生成し、各プローブ制御信号を対応する各プローブ20に送信して、ウェハの被操作面に対して対応する処理を実行させるように、電気的に接続された各プローブ20を制御する。
【0046】
プローブ20は、受信したプローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する信号処理ユニットに送信する。各プローブ20については、プローブ20が受信した対応する信号処理ユニット30から発信されたプローブ制御信号に、例えば操作モード、操作範囲などのプローブ20の操作パラメータを設定しており、プローブ20は、このプローブ制御信号に基づいて被操作面に操作処理を施してプローブデータ信号を得て信号処理ユニット30に送信し、信号処理ユニット30は、受信したプローブデータ信号をデジタル化、復号、処理して被操作面の各ピクセルのデータを得て、各ピクセルのデータをプローブ制御システムに送信して、プローブ制御システムが今回のウェハの被操作面の完全画像を生成することができる。ここで、プローブ20のプローブデータ信号は、プローブ縦方向の力信号、空間プローブ位置信号、プローブ速度データ、プローブ振動周波数データ、プローブ温度データ、プローブ符号化またはアドレスデータなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本実施例において、機能層10は、マイクロ・ナノ加工を施し、且つある程度の機械的強度を有する支持シートであってもよく、機能層10は、シリコンウェーハ、ガラスウェーハ、石英ウェーハ、ウェーハ、プリント基板のいずれかであってもよい。
【0048】
なお、本実施例およびその後の実施例では、プローブの数および配置方式を概略的に示しただけであり、プローブの数および配置方法は、被操作面の処理要求に応じて設定してもよく、例えば、複数のプローブを1列に配置してもよく、アレイに配置してもよく、複数のプローブを2次元平面上に配置してもよく、非共平面で3次元構造を形成してもよい。
【0049】
本実施例は、機能層と、複数のプローブと、少なくとも1つの信号処理ユニットと、を備えるプローブ装置を提供し、機能層の一面には複数のプローブが設けられ、機能層の他面には少なくとも1つの信号処理ユニットが設けられ、各信号処理ユニットは、少なくとも1つのプローブに対応し、各プローブは、1つの信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、信号処理ユニットはユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、プローブ制御信号を対応するプローブに送信し、プローブは、受信したプローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する信号処理ユニットに送信し、これにより、信号処理ユニットとプローブを含む立体構造のプローブ装置が形成され、信号処理ユニットとプローブとの間の配線が低減されるとともに、複数のプローブと信号処理ユニットとが同一機能層の異なる面に統合され、信号処理ユニットから放熱される熱によるプローブへの影響が低減され、精度損失が低減される。
【0050】
一例では、図3を参照すると、プローブ20は、針頭部201と、カンチレバー202と、針先203とを含み、各プローブ20において、針先203は針頭部201の先端部に配置され、針頭部201はカンチレバー202の一端に固定され、カンチレバー202の針頭部201から離れた端は、制御入力端204と信号出力端205とを含み、信号処理ユニット30は、制御出力端301と信号入力端302とを含み、カンチレバー202の制御入力端204は、対応する信号処理ユニット30の制御出力端301に接続され、カンチレバー202の信号出力端205は、対応する信号処理ユニット30の信号入力端302に接続されている。また、信号処理ユニット30は、プローブ制御システムにそれぞれ接続された信号送信端303と信号受信端304とをさらに備える。なお、信号処理ユニット30には、プローブ制御システムに接続された操作情報受信端が設けられ、プローブ制御システムが当該操作情報受信端を介してプローブ装置が位置する操作台の操作パラメータを信号処理ユニット30に送信し、信号処理ユニット30が操作パラメータに基づいてウェハの位置、角度、速度等の情報を確定し、ユーザから入力された制御パラメータを組み合わせて、ウェハの被操作面に対して対応する処理を行ってプローブ20を制御するように各プローブ20のプローブ制御信号を生成してもよい。なお、図3では、信号処理ユニット30と対応する1つのプローブ20との接続方式が概略的に示されているだけである。また、図4を参照して、信号処理ユニット30が複数のプローブ20に対応する場合、信号処理ユニット30と複数のプローブ20との間はバスで接続され、すなわち、信号処理ユニット30の制御出力端301が1つのバスに接続される同時に、複数のプローブ20の制御入力端204がそれぞれ当該バスに接続されており、信号処理ユニット30の信号入力端302は他のバスに接続される同時に、複数のプローブ20の信号出力端205はそれぞれ当該バスに接続されている。
【0051】
プローブ20は、制御入力端204から受信したプローブ制御信号に従って針先203を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された信号処理ユニットの信号入力端301に送信する。
【0052】
具体的には、任意の信号処理ユニット30を例に取ると、信号処理ユニット30は、信号受信端304を介してプローブ制御システムからの制御パラメータを受信し、制御パラメータに基づいて対応する各プローブ20のプローブ制御信号を生成し、制御出力端301を介して各プローブ制御信号を対応するプローブ20に送信して、ウェハ被操作面に対して対応する処理を行うように電気的に接続された各プローブ20を制御し、プローブ20は、制御入力端204を介して、対応するプローブ制御信号を受信した後、当該プローブ制御信号に基づいて、針先203を制御して被操作面に対する操作処理を行い、プローブ制御信号に設定されたプローブ20の作業パラメータに基づいて、被操作面に対する操作処理を行い、プローブデータ信号を得て、信号出力端205を介して、プローブデータ信号を対応する信号処理ユニット30に送信し、信号処理ユニット30は、受信したプローブデータ信号を直接信号送信端303を介してプローブ制御システムに送信してもよく、プローブデータ信号を予め処理してから処理後のプローブデータ信号をプローブ制御システムに送信してもよい。
【0053】
一実施例では、図5および図6を参照し、機能層10に複数の貫通孔101が設けられ、貫通孔101の内壁に絶縁層が設けられ、貫通孔101に導電物質(例えば銅、銀、その他の導電性材料)が設けられ、各信号処理ユニット30が少なくとも1つの貫通孔101に対応し(図では、各信号処理ユニット30が1つの貫通孔101に対応する例を示している)、各貫通孔101が1つの信号処理ユニット30に対応し、信号処理ユニット30は対応するスルーホール内の導電物質を介してターゲットプローブと電気的に接続されており、ターゲットプローブは信号処理ユニット30に対応するプローブ20である。具体的には、機能層10に複数の貫通孔101が設けられ、貫通孔101の数は信号処理ユニット30の数以上であり、各信号処理ユニット30は1つの信号処理ユニット30のみに対応し、各貫通孔101に導電材料が充填されており、貫通孔101に機能層10の両面を電気的に接続する導電チャネルが形成されていることに相当し、各信号処理ユニット30に対して、信号処理ユニット30が1つのスルーホール101に対応することを例として、当該信号処理ユニット30の制御出力端301と信号入力端302とは、それらが位置する機能層10の面の配線を介して当該貫通孔101の導電チャネルに電気的に接続され、或いは当該貫通孔101の導電チャネルに直接はんだ付けされてもよく、当該信号処理ユニット30に対応する各プローブ20は、その位置する機能層10の面の配線を介して貫通孔101の導電チャネルに電気的に接続してもよく、これによって、信号処理ユニット30と対応する各プローブ20との電気的な接続を実現し、貫通孔101に導電物質を充填することによって導電チャネルを形成して接続を容易にする。
【0054】
他の実施例では、機能層10上に複数の貫通孔101が設けられ、貫通孔101の内壁に絶縁層が設けられ、各信号処理ユニット30が少なくとも1つの貫通孔101に対応し、各貫通孔101が1つの信号処理ユニット30に対応し、信号処理ユニット30は、対応する貫通孔101を通過するリード線により、信号処理ユニット30に対応するプローブ20であるターゲットプローブと電気的に接続されている。具体的には、機能層10には、複数の貫通孔101が設けられており、貫通孔101の数は信号処理ユニット30の数よりも多く、各信号処理ユニット30は1つまたは複数の貫通孔101に対応してもよく、各貫通孔101は1つの信号処理ユニット30のみに対応し、各信号処理ユニット30に対して、信号処理ユニット30が1つの貫通孔101に対応している場合を例にとると、当該信号処理ユニット30の制御出力端301と信号入力端302とが位置する機能層10の面に2つの接続点を形成した後、2つの接続点にそれぞれ2本の導電リード線を用いて接続し、その後、導電リード線は貫通孔101を通過してから機能層10の他面に位置するプローブ20の制御入力端204と信号出力端205に接続することで、信号処理ユニット30と対応する各プローブ20との電気的接続を実現する。ここで、本実施例では、図5図6を参照してもよく、主に、図6において貫通孔101に導電物質が充填されていない点が異なる。
【0055】
一実施例において、各プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つのプローブに対応するアドレスは異なり、図7を参照すると、プローブ層11には複数のプローブ20が配置され、各プローブ20のアドレスがその位置する位置座標で表され、例えば、第1列の9つのプローブ20のアドレスは、下から上に順に、(X1,Y4)、(X1,Y5)、(X1,Y6)、(X1,Y7)、(X1,Y8)、(X1,Y9)、(X1,Y10)、(X1,Y11)、(X1,Y12)であり、ここで、各プローブ20のアドレスにおけるX、Yの値は1バイトまたは複数バイトであってもよく、これにより、それぞれのプローブ20を個別に識別することができる。なお、図7では、プローブ層11上のプローブ20の配置方法のみを模式的に示している。
【0056】
本発明の第2の実施例は、被操作ウェハ表面の物理量及び化学量の測定、スキャンプローブリソグラフィ(scanning probe lithography,SPL)、電子発生、光子発生、プローブによるイオン導入による被操作面へのイオン注入等を含む被操作ウェハ表面の操作処理を行うプローブ装置に関する。ここで、係る物理量および化学量には、電気情報、力学情報、磁気情報、光学情報、音響情報、物質成分等、例えば、三次元形態測定、表面粗度測定、表面導電性測定、表面物質成分測定、表面温度測定、表面硬度測定、表面弾性率測定、表面発射光測定、表面発光測定、表面ラマン信号測定等が含まれるが、これらに限定されるものではなく、走査型プローブリソグラフィは、プローブに電圧(例えば50V)を印加し、プローブ針先に高い電場強度の電場を形成するときに、針先における電子が容易に引き出され、プローブ先端の電場放出が形成されることにより、プローブ針先で形成された電場放出された電子を用いてフォトレジストを感光させて電子ビームリソグラフィを形成し、プローブから放出された電子が被操作面に二次電子を発生させることができる。
【0057】
図8図11を参照すると、プローブ装置は、非接触固定された複数の機能層と、複数のプローブ20と、複数の信号処理ユニット30とを備える。ここで、信号処理ユニット30は、データ処理およびデータ記憶の機能を有していてもよい。ここで、隣接する2つの機能層間の固定方法は、例えば、一方の機能層に穴を開け、他方の機能層に予め設定された高さのネジ座を設けることによって、ネジが機能層における孔を通してネジ座に締め付けることで、2つの機能層間の固定を実現し、信号処理ユニット30を取り付けるために、2つの機能層間に予め設定された高さの間隔を残す。
【0058】
複数の機能層は、下から上に順に積層された1個のプローブ層11とM個のデータ処理層12とを含み、複数のプローブ20はプローブ層11のデータ処理層12から離れた面に設置され、すなわち複数のプローブ20ピンはプローブ層11の下面に設置され、各データ処理層12に複数の信号処理ユニット30はそれぞれ設置され、Mは1以上の整数である。ここで、プローブ装置における機能層は、マイクロ・ナノ加工を採用し、かつ一定の機械的強度を有する支持シートであってもよく、機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、又はプリント回路基板のいずれかであってもよい。なお、各データ処理層12において、信号処理ユニット30は、当該データ処理層12の上面又は下面に設けられてもよく、当該データ処理層12の上下両面にそれぞれ設けられてもよく、本実施例及び以降の実施例では、当該データ処理層12の上面に信号処理ユニット30が設けられてもよいことを例に説明した。
【0059】
第1のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、少なくとも1つのプローブ20に対応し、各プローブ20は、第1のデータ処理層12に位置する1つの信号処理ユニット30に対応して電気的に接続されている。すなわち、プローブ装置において、プローブ層11に隣接するデータ処理層12(第1のデータ処理層12)における各信号処理30は、プローブ層11における少なくとも1つのプローブ20に対応し、且つプローブ層11における各プローブ20は、第1のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30のみに対応し、各プローブ20は、対応する信号処理ユニット30にそれぞれ電気的に接続されている。
【0060】
M個のデータ処理層12のうちのN番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は、N-1番目のデータ処理層12における少なくとも1つの信号処理ユニット30に対応し、且つN番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は、N+1番目のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30に対応して電気的に接続されており、1≦N≦Mであり、Nは整数である。
【0061】
以上から分かるように、プローブ装置における複数の信号処理ユニット30は、M個のデータ処理層12上にそれぞれ配置されており、M=1のとき、図8及び図9に示すように、プローブ装置は、複数の信号処理ユニット30を配置する1つのデータ処理層12と、複数のプローブ20を配置する1個のプローブ層11と、を含む2層構造を形成している。
【0062】
M>1の場合、図10及び図11に示すように、プローブ装置は、下から上へ順に、1個のプローブ層11及びM個のデータ処理層12を含む多層構造を形成しており、プローブ層11には複数のプローブ20が設けられており、データ処理層12にはそれぞれ複数の信号処理ユニット30が設けられている。
【0063】
ここで、各データ処理層12に配置される信号処理ユニット30の数が隣接する次のデータ処理層12に配置される信号処理ユニット30の数以上であり、信号処理ユニット30の数が上から下に順次増加する多段の信号処理構造を形成し、M個のデータ処理層12のうち、1番目のデータ処理層12以外のN番目のデータ処理層12を例にとると、N番目のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、N-1番目のデータ処理層12における1つ以上の信号処理ユニット30に対応し、且つN番目のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、N+1番目のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30のみに対応し、N番目のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、対応するN+1番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30と電気的に接続されており、同時に、N番目のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、対応するN-1番目のデータ処理層12における各信号処理ユニット30とそれぞれ電気的に接続されている。
【0064】
プローブ装置は、少なくとも1つのデータ処理層12における信号処理ユニット30によってユーザから入力された制御パラメータを受け取り、各プローブのプローブ制御信号を生成する。具体的には、下から上に積層されたM個のデータ処理層12のうち、任意の1つまたは複数のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、制御パラメータを入力し、入力された制御パラメータを接続されたデータ処理層12における信号処理ユニット30に送信するプローブ制御システムにいずれも接続され、各信号処理ユニット30は、制御パラメータを受信すると、対応する各プローブ20のプローブ制御信号を生成する。
【0065】
プローブ装置は、1番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30によって、各プローブ制御信号を対応するプローブ20に送信するためのものである。具体的には、プローブ装置では、各信号処理ユニット30にプローブ20との対応関係が予め設定されているため、各信号処理ユニット30は、対応するプローブ20のプローブ制御信号のみを受信して処理することができる。
【0066】
M番目のデータ処理層12のみでプローブ制御信号を生成する場合を例にとると、M番目のデータ処理層12において、各信号処理ユニット30は、対応するプローブ20のプローブ制御信号を生成した後、生成されたプローブ制御信号を次のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30にそれぞれ送信し、二番目のデータ処理層12の各信号処理ユニット30は対応するプローブ20のプローブ制御信号を受信した後に、各プローブ制御信号を次のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に送信し、この過程は順次進行し、各プローブ制御信号が一番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に送信されるまで続き、一番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は電気的に接続された各プローブ20を制御してウェハ被操作面に対して対応する処理を行うように各プローブ制御信号を対応するプローブ20に送信する。
【0067】
プローブ20は、受信したプローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する信号処理ユニットに送信する。具体的には、各プローブ20に対して、各プローブ20は対応する信号処理ユニット30から送信されたプローブ制御信号を受信して、プローブ制御信号に操作モード、操作範囲などの操作パラメータを設定しており、プローブ20は、このプローブ制御信号に基づいて被操作面に操作処理を行ってプローブデータ信号を得て、このプローブデータ信号を一番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に送信し、M個のデータ処理層12における信号処理ユニット30により、プローブデータ信号に対して、デジタル化、復号、処理などの操作を行って、ウェーハ被操作面の各ピクセルのデータを得て、各ピクセルのデータをプローブ制御システムに送信して、プローブ制御システムによって、今回のウェーハ被操作面の完全な画像を生成してもよい。ここで、プローブ20のプローブデータ信号は、プローブ縦方向の力信号、空間プローブ位置信号、プローブ速度データ、プローブ振動周波数データ、プローブ温度データ、プローブ符号化またはアドレスデータなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0068】
本実施例では、信号処理ユニットとプローブとを含む立体構造のプローブ装置が提出され、信号処理ユニットとプローブとの間の配線が低減されており、プローブの数が多い場合には、プローブ装置を外部に接続するために必要な接続線を減らして、信号処理ユニットを設けるためのデータ処理層を多段設けることにより、プローブ装置と外部プローブ制御システムとの接続を容易にすることができる。同時に、プローブと信号処理ユニットをそれぞれ異なる機能層に統合することで、信号処理ユニットから放熱される熱がプローブに与える影響を低減し、精度損失を低減することができる。
【0069】
1つの例では、M≧2であり、一番目のデータ処理層12の信号処理ユニットは、対応するプローブ20から送信されたプローブデータ信号を受信すると、各プローブデータ信号をM番目のデータ処理層12の信号処理ユニット30に送信し、M番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は、各プローブ20のプローブデータ信号を受信した後、各プローブデータ信号を処理して被操作面のデータ処理結果を得る。すなわち、プローブ装置には複数のデータ処理層12が設けられており、最下層のデータ処理層12における信号処理ユニット30は、対応するプローブ20から送信されるプローブデータ信号を受信した後、プローブ20のプローブデータ信号をM番目のデータ処理層12との間のデータ処理層12における信号処理ユニット30を介してM番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30に送信し、M番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は対応する各プローブ20のプローブデータ信号をデジタル化、デコードなどの操作を含む処理した後、得られたウェーハ被処理面の各ピクセルデータをプローブ制御システムに送信し、プローブ制御システムは今回のウェーハ被処理面の完全画像を生成する。
【0070】
ここで、各プローブ20のプローブデータ信号は、1番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30、またはM番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に記憶される。
【0071】
すなわち、プローブ層11における各プローブ20によって収集された原始のプローブデータ信号は、隣接するデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に記憶され、最上層のデータ処理層12(M番目のデータ処理層12)における信号処理ユニット30によってプローブデータ信号の処理を行う場合には、最上層のデータ処理層12(M番目のデータ処理層12)のみを接続線でプローブ制御システムに接続すればよく、且つ演算量の大きいプローブデータ信号処理を最上層のデータ処理層12に配置し、最上層のデータ処理層12とプローブ層11との間に少なくとも1層のデータ処理層12が存在することで、信号処理ユニット30の発熱がプローブ層11におけるプローブ20に与える影響をさらに低減することができる。あるいは、プローブ層11における各プローブ20によって収集された原始のプローブデータ信号は、最上層のデータ処理層12(M番目のデータ処理層12)における信号処理ユニット30に記憶され、最上層のデータ処理層12におけるメモリの設置がより容易になり、メモリの配置の難易度が低減される。
【0072】
ある例では、M≧2であり、M個のデータ処理層12のうち1番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は、対応するプローブ20から送信されたプローブデータ信号を受信すると、対応するプローブ20のプローブデータ信号を処理して、対応するプローブのデータ処理結果を得て、各プローブ20のデータ処理結果をM番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30に送信し、M番目のデータ処理層12における信号処理ユニット30は、各プローブ20のデータ処理結果を受信すると、各プローブ20のデータ処理結果に基づいて被操作面のデータ処理結果を得る。すなわち、M個のデータ処理層12のうち一番目のデータ処理層12は、対応するプローブ20によって収集された原始のプローブデータ信号を受信すると、受信した各プローブ20のプローブデータ信号を処理して各プローブ20のデータ処理結果を得るとともに、対応する各プローブ20のデータ処理結果のみを最上層のデータ処理層12(M番目のデータ処理層12)における信号処理ユニット30に送信し、最上層のデータ処理層12(M番目のデータ処理層12)における信号処理ユニット30は、各プローブ20のデータ処理結果をプローブ制御システムに送信し、これにより、最上層のデータ処理層12は処理済みのプローブ20のデータ処理結果のみを記憶すればよく、最上層のデータ処理層12における信号処理ユニット30に対するデータ記憶要件を減少させることができる。
【0073】
一つの例では、隣接する2つの機能層の間に放熱層を設け、すなわち、機能層間の熱交換を低減させために、放熱層を放熱速度が速い材料で構成し、さらに、放熱層は半導体冷却層であってもよく、半導体冷却層は電源を入れた後に冷却することによって、信号処理ユニットから放熱される熱のプローブへの影響をさらに低減させることができるように、放熱を能動的に行うことができ、プローブ装置の温度をさらに低減させ、また半導体冷却層は冷媒を必要とせず、操作時に振動や騒音がなく、プローブに影響を与えない。ここで、M個のデータ処理層12のうち少なくとも1番目のデータ処理層12とプローブ層11との間に放熱層が設けられ、すなわちプローブ層11と隣接するデータ処理層12との間に放熱層が設けられ、隣接するデータ処理層12との間に放熱層が設けられることも設けられないことも可能である。図12に示すように、図12はプローブ層11と隣接するデータ処理層12との間のみに放熱層40が設けられている模式図である。
【0074】
一例では、図3を参照すると、プローブ20は、針頭部201と、カンチレバー202と、針先203とを備え、各プローブ20に、針先203は針頭部201の先端部に配置され、針頭部201はカンチレバー202の一端に固定され、カンチレバー202の針頭部201から離れた端は、制御入力端204と信号出力端205とを備える。
【0075】
信号処理ユニット30は、制御出力端301と、信号入力端302と、信号送信端303と、信号受信端304とを備え、プローブ20のカンチレバー202の制御入力端204は、一番目のデータ処理層12(すなわちプローブ層11に隣接するデータ処理層12)における対応する信号処理ユニット30の制御出力端301に接続され、プローブ20のカンチレバー202の信号出力端205は、一番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30の信号入力端302に接続される。
【0076】
M個のデータ処理層12のうちN番目のデータ処理層12において、信号処理ユニット30の信号送信端303は、N+1番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30の信号入力端302に接続され、信号処理ユニット30の信号受信端304は、N+1番目のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30の制御出力端301に接続されている。
【0077】
プローブ20は、制御入力端204から受信したプローブ制御信号に従って針先203を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された信号処理ユニット30の信号入力端302に送信する。
【0078】
信号処理ユニット30は受信したプローブデータ信号を目標機能層内の対応する信号処理ユニット30であり、目標機能層は、信号処理ユニットが位置するデータ処理層12の一つ上のデータ処理層12である。
【0079】
具体的には、プローブ装置において、M番目のデータ処理層12に位置する各信号処理ユニット30の信号送信端303と信号受信端304とがそれぞれプローブ制御システムに接続され、信号処理ユニット30は、信号受信端304を介してプローブ制御システムからの制御パラメータを受信し、制御パラメータに基づいて対応する各プローブ20のプローブ制御信号を生成し、また、信号処理ユニット30には、プローブ制御システムに接続された操作情報受信端が設けられ、信号処理ユニット30が操作パラメータに基づいてウェハの位置、角度、速度等の情報を特定するように、プローブ制御システムは、当該操作情報受信端を介してプローブ装置が位置する操作台の操作パラメータを信号処理ユニット30に送信し、ユーザが入力した制御パラメータを組み合わせて各プローブ20のプローブ制御信号を生成する。
【0080】
データ処理層12における各信号処理ユニット30が各プローブ20のプローブ制御信号を生成した後、プローブ制御信号はM段のデータ処理層12における信号処理ユニット30を介して対応するプローブ20にそれぞれ送信され、プローブ20は、制御入力端204を介して対応するプローブ制御信号を受信した後、当該プローブ制御信号に基づいて針先203を制御して被操作面に対する操作処理を行い、当該プローブ制御信号に設定されたプローブ20の操作パラメータに基づいて被操作面に対する操作処理を行い、プローブデータ信号を得て、当該プローブデータ信号を隣接するデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に送信し、隣接するデータ処理層12における信号処理部30により、プローブデータ信号をデジタル化、デコード、処理等の操作を行って、ウェハ被操作面の各ピクセルのデータを得て、各ピクセルのデータをプローブ制御システムに送信し、プローブ制御システムによって、今回のウェハの被操作面の完全な画像を生成する。
【0081】
なお、N番目のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30が、N-1番目のデータ処理層12における複数の信号処理ユニット30に対応すると、N番目のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30は、N-1番目のデータ処理層12における対応する複数の信号処理ユニット30にバスを介して接続されてもよく、図13を参照してください。同様に、一番目のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30がプローブ層11における複数のプローブ20に対応すると、一番目のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30がプローブ層11における複数のプローブ20にバスを介して接続されてもよいが、詳細は図4を参照し、ここでは説明しない。
【0082】
一例では、プローブ層に複数の位置決めマークが設けられ、各データ処理層に複数の位置決め孔が設けられ、位置決め孔が位置決めマークと一対一に対応し、かつ各データ処理層における位置決め孔がプローブ層における対応する位置決めマークの位置が垂直空間に対応することで、プローブ装置の操作中に位置決め孔と位置決めマークとを光学的に合わせることができ、各データ処理層とプローブ層との位置合わせを実現することができ、これにより、隣接するデータ処理層の間の安定した電気的接続と、データ処理層とプローブ層の間の安定した電気的接続を維持することができる。
【0083】
図14を参照すると、M=1、すなわち、プローブ装置は、1個のデータ処理層12と1個のプローブ層11とからなる2層構造を形成しており、このとき、プローブ層11には3つの位置決めマーク111が設けられており、データ処理層12には3つの位置決め穴121が設けられており、位置決め穴121が位置決めマーク111に一対一に対応しており、且つ各位置決め穴121と対応する位置決めマーク111の位置が垂直空間に対応しており、データ処理層12における位置決め孔121のサイズは、プローブ層11における位置決めマーク111のサイズよりも大きくなることにより、各位置決め孔121と対応する位置決めマーク111とを垂直空間的に位置合わせることができ、図14の位置決め平面図を参照し、プローブ層11とデータ処理層12との垂直空間的位置合わせを実現し、これによって、データ処理層12における各データ処理ユニット30とプローブ層11における対応するプローブ20とを垂直空間的に位置合わせして電気的に接続することができ、ここで、位置決めマーク111は、例えば十字マーカ(図14ではこれを例に挙げた)、三角マーカなどであってもよい。
【0084】
図15を参照すると、M>1、すなわち、プローブ装置は、下から上に順に積層された1個のプローブ層11とM個のデータ処理層12とを含む多層構造を形成しており、このとき、プローブ層11には3つの位置決めマーク111が設けられ、各データ処理層12には3つの位置決め穴121が設けられ、各データ処理層12における位置決め穴121はプローブ層11の位置決めマーク111に一対一に対応し、各データ処理層12には、各位置決め穴121と対応する位置決めマーク111の位置が垂直空間に対応する。第1のデータ処理層12の位置決め孔121のサイズは、プローブ層11の位置決めマーク111のサイズよりも大きく、M個のデータ処理層12において、位置決め孔121の直径は下から上に順に大きくなることで、M個のデータ処理層12の位置決め孔121とプローブ層11の対応する位置決めマーク111とを垂直空間に位置合わせることができ、図15の位置決め平面図を参照して、即ちM個のデータ処理層12とプローブ層11とを垂直空間に位置合わせ、これにより、隣接する2つのデータ処理層12の間では、上層のデータ処理層12における各データ処理ユニット30が下層のデータ処理層12における対応するデータ処理ユニット30と垂直空間に位置合わせて電気的に接続可能であり、一番目のデータ処理層12とプローブ層11との間では、データ処理層12における各データ処理ユニット30がプローブ層11における対応するプローブ20と垂直空間に位置合わせて電気的に接続可能であり、以上から、機能層間の垂直空間の位置合わせと電気的接続を実現し、ここで、位置決めマーク111は、例えば十字マーカ(図15ではこれを例に挙げた)、三角マーカなどであってもよい。
【0085】
一例では、隣り合う2つの機能層間において対向する面に、それぞれ複数対のマッチする凸部及び凹部が設けられており、各対のマッチする前記凸部の位置と前記凹部の位置とが垂直空間において対応していることにより、隣り合う2つの機能層の間で互いにマッチする凸部と凹部とを対応させて取り付けた後に、この2つの機能層を固定することができ、当該2つの機能層を固定するための固定手段を追加して設ける必要がなく、かつ、当該2つの機能層の間に各種部品を取り付けるための一定の間隔を設け、ここで、隣接する2つの機能層は、プローブ層と一番目のデータ処理層と、隣接する2つのデータ処理層とを備え、即ちプローブ層と一番目のデータ処理層との間において対向する面にそれぞれ複数対のマッチする凸部及び凹部が設けられ、且つ隣接する2つのデータ処理層の間に対向する面にそれぞれ複数対の一致する凸部及び凹部が設けられ、複数の凸部及び凹部が、機能層間の取り付けの安定性に基づいて位置する面に設置されてもよいレイアウトである。また、各対のマッチする凸部及び凹部の形状は、必要に応じて設定することができ、例えば、凹部が円球状凹部であり、凸部が円球状凸部であり、円球状凸部の円球状凹部に接触する端が円球状凹部の形状とサイズがマッチする球形とし、当該円球状凸部と円球状凹部に取り付けられると、円球状凸部の部分が円球状凹部に嵌め込まれる。例えば、凹部が円錐状の凹部であると、凸部の形状は、その円錐状の凹部にマッチする円錐状の突起とする。
【0086】
なお、各対のマッチする凸部及び凹部は、隣り合う2つの機能層の間において対向する面にそれぞれ設けられており、任意の隣り合う2つの機能層を例に挙げると、下側の機能層の上面に凸部を設けて、上側の機能層の下面に凹部を設けてもよく、又は、下側の機能層の上面に凹部を設けて、上側の機能層の下面に凸部を設けてもよく、以下、下側の機能層の上面に凹部を設けて、上側の機能層の下面に凸部を設ける場合を例にして説明する。
【0087】
図16を参照して、隣り合う2つの機能層(機能層における部品は図示されていない)をそれぞれ第1機能層1001と、第2機能層1002と記載し、第1機能層1001の上面に3つの凹部10021が設けられ、第2機能層1002の下面に3つの凸部10011が設けられ、3つの凸部10011は3つの凹部10021に一対一に対応して、それらの形状とサイズがマッチし、各対のマッチする凸部10011の位置と凹部10021の位置は垂直空間において対応することで、マッチする凸部10011と凹部10021を組み合わせて取り付けることによって、第1機能層1001と第2機能層1002との位置決めと固定を実現することができる。
【0088】
図17を参照すると、M=1、即ちプローブ装置は、1個のデータ処理層12と1個のプローブ層11を含む2層構造を形成し、この場合、プローブ層11の上面に3つの凹部10021が設けられ、データ処理層12の下面に3つの凸部10011が設けられ、3つの凸部10011は3つの凹部10021と一対一に対応しており、それらの形状とサイズがマッチし、各対のマッチする凸部10011の位置と凹部10021の位置とが垂直空間において対応し、各対のマッチする凸部10011と凹部10021とをそれぞれ組み合わせて取り付けることで、プローブ層11とデータ処理層12との位置決めと固定を実現することができ、これにより、データ処理層12における各データ処理ユニット30が、プローブ層11における対応するプローブ20と垂直方向で位置合わせて電気的に接続されることが実現される。
【0089】
図18を参照すると、M>1、すなわち、プローブ装置は、下から上に順に積層された1個のプローブ層11とM個のデータ処理層12とを含む多層構造を形成しており、この場合、プローブ層11と一番目のデータ処理層12との間には、プローブ層11の上面に3つの凹部10021が設けられ、データ処理層12の下面に3つの凸部10011が設けられ、3つの凸部10011は3つの凹部10021に一対一に対応しており、それらの形状とサイズがマッチし、各対のマッチする凸部10011の位置と凹部10021の位置とが垂直空間において対応しており、各対のマッチする凸部10011と凹部10021とをそれぞれ組み合わせて取り付けることで、プローブ層11と一番目のデータ処理層12との位置決めと固定を実現することができ、これにより、一番目のデータ処理層12における各データ処理ユニット30がプローブ層11の対応するプローブ20と垂直方向で位置合わせて電気的に接続されることが実現される。
【0090】
隣り合う2つのデータ処理層12の間に、下層のデータ処理層12の上面に3つの凹部10021が設けられ、上層のデータ処理層12の下面に3つの凸部10011が設けられ、3つの凸部10011は3つの凹部10021に一対一に対応し、且つそれらの形状とサイズがマッチし、各対のマッチする凸部10011の位置と凹部10021の位置とが垂直空間において対応し、各対のマッチする凸部10011と凹部10021とをそれぞれ組み合わせて取り付けることで、隣り合う2つのデータ処理層12間の位置決めと固定を実現することができ、これにより、上層のデータ処理層12における各データ処理ユニット30が下層のデータ処理層12における対応するデータ処理ユニット30と垂直方向で位置合わせて電気的に接続されることが実現できる。
【0091】
なお、図18では、プ全ての機能層(ローブ層11及びデータ処理層12を含む)における凸部10011と凹部10021の垂直空間での位置合わせを例に挙げたが、これに限定されず、各対のマッチする凸部10011と凹部10021の垂直空間での位置合わせを確保した上で、各対のマッチする凸部10011と凹部10021の垂直空間における位置を設定してもよい。
【0092】
一実施例において、各データ処理層に複数の貫通孔が設けられ、貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、貫通孔に導電物質が設けられ、各データ処理層に各信号処理ユニットは少なくとも1つの貫通孔に対応し、各貫通孔が1つの信号処理ユニットに対応し、1≦N<Mの場合、M個のデータ処理層のうちのN番目のデータ処理層における各信号処理ユニットに対して、信号処理ユニットは、対応する貫通孔内の導電物質を介して、N+1番目のデータ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、目標信号処理ユニットは、N+1番目のデータ処理層における信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、N=Mの場合、M個のデータ処理層のうちN番目のデータ処理層における各信号処理ユニットに対して、信号処理ユニットは、対応する貫通孔内の導電物質を介してプローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、ターゲットプローブは、信号処理ユニットに対応するプローブである。すなわち、本実施例では隣接する2つの機能層間の電気的接続方式が提供されており、図19を参照して、隣接する2つのデータ処理層12の間に、上層に位置するデータ処理層12に複数の貫通孔101が設けられ、貫通孔101の内壁に絶縁層が設けられ、貫通孔101に導電物質(例えば銅、銀、その他の導電性材料)が設けられ、各信号処理ユニット30が少なくとも1つの貫通孔101に対応し、各貫通孔101が1つの信号処理ユニット30に対応し、上層のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、下層のデータ処理層12における少なくとも1つの信号処理ユニット30に対応し、下層のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、上層のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30のみに対応し、各貫通孔101に導電性材料が充填されており、貫通孔101に導電チャネルが形成されることに相当し、当該導電チャネルはデータ処理層12の両面の電気的接続を形成し、データ処理層12の両面に2つの導電接点が形成されており、上層のデータ処理層12における一個の信号処理ユニット30を例として、当該信号処理ユニット30は配線を介して電気的に接続してもよく、または直接上面の導電接点に溶接されてもよく、下層のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30は、導電引線を介して上層のデータ処理層12における対応する貫通孔101の下面に形成された導電溶接点に溶接されてもよく、これにより、2つのデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30間の電気的接続が実現される。データ処理層12とプローブ層11との間における信号処理ユニット30と対応するプローブ20との電気的な接続の態様は、上記と同様であり、ここでは省略する。
【0093】
別の実施例において、機能層に複数の貫通孔が設けられ、貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各データ処理層に各信号処理ユニットは少なくとも1つの貫通孔に対応し、各貫通孔が1つの信号処理ユニットに対応し、1≦N<Mの場合、M個のデータ処理層のうちのN番目のデータ処理層における各信号処理ユニットに対して、信号処理ユニットは、対応する貫通孔を通過する引線を介して、N+1番目のデータ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、目標信号処理ユニットは、N+1番目のデータ処理層における信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、N=1の場合、M個のデータ処理層のうちN番目のデータ処理層における各信号処理ユニットに対して、信号処理ユニットは、対応する貫通孔を通過する引線を介してプローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、ターゲットプローブは、信号処理ユニットに対応するプローブである。すなわち、本実施例では、隣接する2つの機能層間の電気的接続方式が提供されており、隣接する2つのデータ処理層12の間において、上層に位置するデータ処理層12に複数の貫通孔101が設けられ、貫通孔101の内壁に絶縁層が設けられ、各信号処理ユニット30が少なくとも1つの貫通孔101に対応し、各貫通孔101が1つの信号処理ユニット30に対応し、上層のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、下層のデータ処理層12における少なくとも1つの信号処理ユニット30に対応し、下層のデータ処理層12における各信号処理ユニット30は、上層のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30のみに対応し、上層のデータ処理層12における1つの信号処理ユニット30を例にとると、当該信号処理ユニット30は、下層のデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30に直接接続される導電リード線が対応する貫通孔101を通過することによって、2つのデータ処理層12における対応する信号処理ユニット30間の電気的接続が可能となる。プローブ層11とデータ処理層12との間における信号処理ユニット30と対応するプローブ20との電気的な接続の態様は、上記と同様であり、ここでは省略する。
【0094】
一実施例において、各プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つのプローブの対応するアドレスは異なり、図7を参照すると、プローブ層11には複数のプローブ20が配置され、各プローブ20のアドレスがその位置座標で表され、例えば、第1列の9個のプローブ20のアドレスは、下から上に順に、(X1,Y4)、(X1,Y5)、(X1,Y6)、(X1,Y7)、(X1,Y8)、(X1,Y9)、(X1,Y10)、(X1,Y11)、(X1,Y12)であり、ここで、各プローブ20のアドレスのX、Yの値は1バイトまたは複数のバイトであってもよく、これにより、各プローブ20をそれぞれ識別することができる。なお、図7に、プローブ層11におけるプローブ20の配置方法のみを模式的に示している。
【0095】
本出願の第3の実施例は、第1の実施例又は第2の実施例のプローブ装置と、当該のプローブ装置に接続されたプローブ制御システムとを備えるプローブ制御デバイスに関し、プローブ制御システムは、例えばコンピュータ本体、ノートパソコン等である。
【0096】
以上、本発明のより良い実施例について詳細に説明したが、必要に応じて、様々な特許、出願、および出版物の態様、特徴、および概念を使用して追加の実施例を提供するために、実施例の態様を修正することができることが理解されるべきである。
【0097】
上記の詳細な説明を考慮して、これらおよび他の変更を実施例に加えることができる。
【0098】
一般的に、請求の範囲では、使用される用語は説明および請求の範囲に開示された特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、これらの請求の範囲が享受するすべての同等範囲とともにすべての可能な実施例を含むと理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能層と、複数のプローブと、少なくとも1つの信号処理ユニットとを備え、
前記複数のプローブが前記機能層の一面に設けられ、前記少なくとも1つの信号処理ユニットが前記機能層の他面に設けられ、各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは、1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、
前記信号処理ユニットはユーザが入力した制御パラメータに応じて、プローブ制御信号を生成し、前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、
前記プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信することを特徴とするプローブ装置。
【請求項2】
前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、前記貫通孔に導電物質が設けられ、各前記信号処理ユニットは少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔は1つの前記信号処理ユニットに対応し、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質を介してターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項3】
前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各前記信号処理ユニットは少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔は1つの前記信号処理ユニットに対応し、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線を介してターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項4】
前記プローブは、針頭部と、カンチレバーと、針先とを備え、各前記プローブにおいて、前記針先は前記針頭部の先端部分に配置され、前記針頭部は前記カンチレバーの一端に固定され、前記カンチレバーの前記針頭部から離れた一端は制御入力端と信号出力端を含み、前記信号処理ユニットは制御出力端と信号入力端を含み、前記カンチレバーの制御入力端は対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記カンチレバーの信号出力端は対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、
前記プローブは、前記制御入力端から受信した前記プローブ制御信号に従って前記針先を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された前記信号処理ユニットの信号入力端に送信することを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項5】
前記機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、ウェーハ又はプリント基板のいずれかであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項6】
各前記プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つの前記プローブの対応するアドレスが異なることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項7】
非接触固定された複数の機能層と、複数のプローブと、複数の信号処理ユニットと、を備え、前記複数の機能層は、下から上に順に積層された1個のプローブ層とM個のデータ処理層とを含み、前記複数のプローブが前記プローブ層の前記データ処理層から離れた面に設けられ、複数の信号処理ユニットが各前記データ処理層にそれぞれ設けられ、Mは1以上の整数であり、
一番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットは、少なくとも1つの前記プローブに対応し、各前記プローブは一番目の前記データ処理層に位置する1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続され、
M個の前記データ処理層のうちのN番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、N-1番目の前記データ処理層における少なくとも1つの前記信号処理ユニットに対応し、且つN番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における1つの前記信号処理ユニットに対応して且つ電気的に接続されており、1≦N≦Mであり、Nは整数であり、
プローブ装置は少なくとも1つの前記データ処理層における前記信号処理ユニットによって入力された制御パラメータを受信して、各前記プローブのプローブ制御信号を生成し、
前記プローブ装置は、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットによって、各前記プローブ制御信号を対応する前記プローブに送信し、
前記プローブは、受信した前記プローブ制御信号に応じて被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を対応する前記信号処理ユニットに送信することを特徴とするプローブ装置。
【請求項8】
M≧2であり、一番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、対応する前記プローブが送信したプローブデータ信号を受信すると、各前記プローブデータ信号をM番目の前記データ処理層における信号処理ユニットに送信し、
M番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、各前記プローブの前記プローブデータ信号を受信した後、各前記プローブデータ信号を処理して被操作面のデータ処理結果を得ることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項9】
M≧2であり、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、対応する前記プローブが送信したプローブデータ信号を受信すると、対応する前記プローブのプローブデータ信号を処理して、対応する前記プローブのデータ処理結果を得て、各前記プローブの前記データ処理結果をM番目の前記データ処理層における信号処理ユニットに送信し、
M番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットは、各前記プローブのデータ処理結果を受信すると、各前記プローブのデータ処理結果に基づいて被操作面のデータ処理結果を得ることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項10】
各前記プローブのプローブデータ信号は、一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットに記憶されており、又はM番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットに記憶されていることを特徴とする請求項8に記載のプローブ装置。
【請求項11】
隣り合う2つの前記機能層の間に放熱層が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項12】
前記放熱層は、半導体冷却層であることを特徴とする請求項11に記載のプローブ装置。
【請求項13】
各前記データ処理層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、前記貫通孔に導電物質が設けられ、各前記データ処理層において、各前記信号処理ユニットが少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔が1つの前記信号処理ユニットに対応し、
1≦N<Mの場合、M個の前記データ処理層のうちN番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質によって、N+1番目の前記データ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、前記目標信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、
N=1の場合、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔内の導電物質によって、前記プローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項14】
前記機能層に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内壁に絶縁層が設けられ、各前記データ処理層において、各前記信号処理ユニットが少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各前記貫通孔が1つの前記信号処理ユニットに対応し、
1≦N<Mの場合、M個の前記データ処理層のうちN番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線によって、N+1番目の前記データ処理層における目標信号処理ユニットと電気的に接続され、前記目標信号処理ユニットは、N+1番目の前記データ処理層における前記信号処理ユニットに対応する信号処理ユニットであり、
N=1の場合、M個の前記データ処理層のうち1番目の前記データ処理層における各前記信号処理ユニットに対して、前記信号処理ユニットは、対応する前記貫通孔を通過するリード線によって、前記プローブ層におけるターゲットプローブと電気的に接続され、前記ターゲットプローブは、前記信号処理ユニットに対応する前記プローブであることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項15】
前記プローブ層に複数の位置決めマークが設けられ、各前記データ処理層に複数の前記位置決め孔が設けられ、前記位置決め孔は前記位置決めマークと一対一に対応し、且つ各前記データ処理層における前記位置決め孔と前記プローブ層における対応する前記位置決めマークの位置が垂直空間において対応することを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項16】
隣り合う2つの機能層の間において対向する面には、複数対のマッチする凸部及び凹部がそれぞれ設けられており、各対のマッチする前記凸部の位置と前記凹部の位置とは、垂直空間において対応することを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項17】
前記プローブは、針頭部と、カンチレバーと、針先とを備え、各前記プローブにおいて、前記針先は前記針頭部の先端部分に配置され、前記針頭部は前記カンチレバーの一端に固定され、前記カンチレバーの前記針頭部から離れた一端は制御入力端と信号出力端を含み、各前記信号処理ユニットは信号受信端と、信号送信端と、制御出力端と、信号入力端を含み、前記カンチレバーの制御入力端は一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、前記カンチレバーの信号出力端は、一番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、
M個の前記データ処理層のうちのN番目の前記データ処理層において、前記信号処理ユニットの信号送信端が、N+1番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの信号入力端に接続され、前記信号処理ユニットの信号受信端が、N+1番目の前記データ処理層における対応する前記信号処理ユニットの制御出力端に接続され、
前記プローブは、前記制御入力端から受信した前記プローブ制御信号に従って前記針先を制御して被操作面に対する操作処理を行い、得られたプローブデータ信号を接続された前記信号処理ユニットの信号入力端に送信し、
前記信号処理ユニットは、受信した前記プローブデータ信号を目標機能層における対応する前記信号処理ユニットに送信し、前記目標機能層は、前記信号処理ユニットが位置する前記データ処理層の一つ上の前記データ処理層であることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項18】
前記機能層は、シリコンウェーハ、ガラス片、石英片、ウェーハ又はプリント基板のいずれかであることを特徴とする請求項7から17のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項19】
各前記プローブは対応するアドレスを有し、任意の2つの前記プローブの対応するアドレスが異なることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。
【請求項20】
請求項1~4、6~17、19のいずれか1項に記載のプローブ装置と、前記プローブ装置に接続されたプローブ制御システムとを備えることを特徴とするプローブ制御デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】