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特表2024-546165TCR-T免疫療法の有効性および安全性を高めるための深層強化学習を用いたTCR工学
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  • 特表-TCR-T免疫療法の有効性および安全性を高めるための深層強化学習を用いたTCR工学 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】TCR-T免疫療法の有効性および安全性を高めるための深層強化学習を用いたTCR工学
(51)【国際特許分類】
   G16B 40/20 20190101AFI20241210BHJP
【FI】
G16B40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536521
(86)(22)【出願日】2023-02-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2023014072
(87)【国際公開番号】W WO2023183121
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】63/323,540
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/174,799
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ミン、 レンチャン
(72)【発明者】
【氏名】グラフ、 ハンス ペーター
(57)【要約】
T細胞受容体突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実装して免疫療法のための結合TCRを生成する方法は、ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出し、患者からTCRのライブラリを収集し、抽出されたペプチドと患者からのTCRとの相互作用スコアを予測し、TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習フレームワークを発展させて結合スコアが最大となるTCRを生成し、報酬関数を定義し、変異したTCRを出力し、出力されたTCRをランク付けして、ウイルスまたは腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用し、上位ランクTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、有効性と安全性の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、所定のペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、上位ランクTCR候補を貪欲に最適化することとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞受容体(TCR)突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実施して、免疫療法のための標的ペプチドを認識する結合TCRを生成する方法であって、
ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出することと、
標的患者からTCRのライブラリを収集することと、
前記抽出されたペプチドと前記標的患者からの前記TCRとの間の相互作用スコアを、深層ニューラルネットワークによって予測することと、
TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成することと、
再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義することと、
TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従って前記TCRを変異させることと、
変異したTCRを出力することと、
前記出力されたTCRをランク付けし、免疫療法ための前記ウイルスまたは前記腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用することと、
上位ランクの各TCR候補について、前記上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、さらに、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、前記上位ランクのTCR候補を貪欲に最適化することとを含む方法。
【請求項2】
前記報酬関数が、変異配列が有効なTCRである可能性と、前記TCRがペプチドを認識する確率との両方を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変異配列が有効なTCRである可能性の測定が、TCRによってのみ訓練されたTCRオートエンコーダ(TCR-AE)によって可能になる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記TCR-AE内の潜在空間上の密度推定が、ガウス混合モデル(GMM)を用いて評価される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記TCR-AEが双方向長短期記憶(LSTM)を使用して、2つのLSTM方向からの最後の隠れベクトルを連結することにより、入力シーケンスを隠れベクトルに符号化する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
最適化が困難なTCRを処理し、最適化能力をより多様なTCRに一般化するために、バッファを含むバッファリングおよび再最適化のフレームワークが採用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記TCRおよび前記抽出されたペプチドは、TCR-AEによって分散埋め込み空間に符号化され、前記埋め込み空間と前記TCR突然変異ポリシーとの間のマッピングが学習される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
T細胞受容体(TCR)突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実施して、免疫療法のための標的ペプチドを認識する結合TCRを生成するためのコンピュータ可読プログラムを含む非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読プログラムは、コンピュータ上で実行されると、前記コンピュータに、
ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出するステップと、
標的患者からTCRのライブラリを収集するステップと、
前記抽出されたペプチドと前記標的患者からの前記TCRとの間の相互作用スコアを、深層ニューラルネットワークによって予測するステップと、
TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成するステップと、
再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義するステップと、
TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従って前記TCRを変異させるステップと、
変異したTCRを出力するステップと、
前記出力されたTCRをランク付けし、免疫療法ための前記ウイルスまたは前記腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用するステップと、
上位ランクの各TCR候補について、前記上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、さらに、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、前記上位ランクのTCR候補を貪欲に最適化するステップとを実行させる、非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記報酬関数が、変異配列が有効なTCRである可能性と、前記TCRがペプチドを認識する確率との両方を測定する、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記変異配列が有効なTCRである可能性の測定が、TCRによってのみ訓練されたTCRオートエンコーダ(TCR-AE)によって可能になる、請求項9に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記TCR-AE内の潜在空間上の密度推定が、ガウス混合モデル(GMM)を用いて評価される、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記TCR-AEが双方向長短期記憶(LSTM)を使用して、2つのLSTM方向からの最後の隠れベクトルを連結することにより、入力シーケンスを隠れベクトルに符号化する、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
最適化が困難なTCRを処理し、最適化能力をより多様なTCRに一般化するために、バッファを含むバッファリングおよび再最適化のフレームワークが採用される、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記TCRおよび前記抽出されたペプチドは、TCR-AEによって分散埋め込み空間に符号化され、前記埋め込み空間と前記TCR突然変異ポリシーとの間のマッピングが学習される、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
T細胞受容体(TCR)突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実施して、免疫療法のための標的ペプチドを認識する結合TCRを生成するためのシステムであって、
メモリと、
前記メモリと通信する1つ以上のプロセッサとを含み、該プロセッサは、
ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出し、
標的患者からTCRのライブラリを収集し、
前記抽出されたペプチドと前記標的患者からの前記TCRとの間の相互作用スコアを、深層ニューラルネットワークによって予測し、
TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成し、
再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義し、
TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従って前記TCRを変異させ、
変異したTCRを出力し、
前記出力されたTCRをランク付けし、免疫療法ための前記ウイルスまたは前記腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用し、
上位ランクの各TCR候補について、前記上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、さらに、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、前記上位ランクのTCR候補を貪欲に最適化するように構成されているシステム。
【請求項16】
前記報酬関数が、変異配列が有効なTCRである可能性と、前記TCRがペプチドを認識する確率との両方を測定する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記変異配列が有効なTCRである可能性の測定が、TCRによってのみ訓練されたTCRオートエンコーダ(TCR-AE)によって可能になる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記TCR-AE内の潜在空間上の密度推定が、ガウス混合モデル(GMM)を用いて評価される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記TCR-AEが双方向長短期記憶(LSTM)を使用して、2つのLSTM方向からの最後の隠れベクトルを連結することにより、入力シーケンスを隠れベクトルに符号化する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
最適化が困難なTCRを処理し、最適化能力をより多様なTCRに一般化するために、バッファを含むバッファリングおよび再最適化のフレームワークが採用される、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞受容体に関し、より詳細には、TCR-T免疫療法の有効性および安全性を高めるための深層強化学習を用いたT細胞受容体(TCR)工学に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
T細胞は、細胞表面に表示された外来ペプチドを識別することで、細胞の健康状態を監視する。T細胞受容体(TCR)はT細胞の表面にあるタンパク質複合体で、これらのペプチドと結合することができる。このプロセスはTCR認識と呼ばれ、免疫反応の重要なステップを構成する。TCR認識のためにTCR配列を最適化することは、がん細胞やウイルス感染細胞を殺す免疫応答を引き起こす個別化治療法の開発に向けた基本的なステップである。
【発明の概要】
【0003】
T細胞受容体(TCR)突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実施して、免疫療法のための標的ペプチドを認識する結合TCRを生成する方法を提示する。本方法は、ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出することと、標的患者からTCRのライブラリを収集することと、前記抽出されたペプチドと前記標的患者からの前記TCRとの間の相互作用スコアを、深層ニューラルネットワークによって予測することと、TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成することと、再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義することと、TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従って前記TCRを変異させることと、変異したTCRを出力することと、前記出力されたTCRをランク付けし、免疫療法ための前記ウイルスまたは前記腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用すること、上位ランクの各TCR候補について、前記上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、さらに、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、前記上位ランクのTCR候補を貪欲に最適化することとを含む。
【0004】
T細胞受容体(TCR)突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実施して、免疫療法のための標的ペプチドを認識する結合TCRを生成するためのコンピュータ可読プログラムを含む非一過性コンピュータ可読記憶媒体を提示する。コンピュータ可読プログラムは、コンピュータ上で実行されると、前記コンピュータに、ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出するステップと、標的患者からTCRのライブラリを収集するステップと、前記抽出されたペプチドと前記標的患者からの前記TCRとの間の相互作用スコアを、深層ニューラルネットワークによって予測するステップと、TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成するステップと、再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義するステップと、TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従って前記TCRを変異させるステップと、変異したTCRを出力するステップと、前記出力されたTCRをランク付けし、免疫療法ための前記ウイルスまたは前記腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用するステップと、上位ランクの各TCR候補について、前記上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、さらに、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、前記上位ランクのTCR候補を貪欲に最適化するステップとを実行させる。
【0005】
T細胞受容体(TCR)突然変異ポリシーを用いて深層強化学習を実施して、免疫療法のための標的ペプチドを認識する結合TCRを生成するシステムを提示する。このシステムは、メモリと、前記メモリと通信する1つ以上のプロセッサとを含み、該プロセッサは、ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出し、標的患者からTCRのライブラリを収集し、前記抽出されたペプチドと前記標的患者からの前記TCRとの間の相互作用スコアを、深層ニューラルネットワークによって予測し、TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成し、再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義し、TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従って前記TCRを変異させ、変異したTCRを出力し、前記出力されたTCRをランク付けし、免疫療法ための前記ウイルスまたは前記腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用し、上位ランクの各TCR候補について、前記上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、さらに、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、前記上位ランクのTCR候補を貪欲に最適化するように構成されている。
【0006】
これらおよび他の特徴および利点は、添付の図面と関連して読まれる、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、以下の図を参照して、好ましい実施形態の以下の説明において詳細を提供する。
【0008】
図1】本発明の実施形態に従った、T細胞受容体近位ポリシー最適化(TCRPPO)の例示的なモデルアーキテクチャのブロック/フロー図である。
【0009】
図2】本発明の実施形態に従った、TCRPPOおよびT細胞受容体オートエンコーダ(TCR-AE)訓練の例示的なデータフローのブロック/フロー図である。
【0010】
図3】本発明の実施形態に従った、精密免疫療法のための強化学習と突然変異ポリシーとを用いたT細胞受容体の最適化のための例示的な実用的アプリケーションのブロック/フロー図である。
【0011】
図4】本発明の実施形態に従った、精密免疫療法のための強化学習と突然変異ポリシーとを用いたT細胞受容体の最適化のための例示的な処理システムを示す図である。
【0012】
図5】本発明の実施形態に従った、精密免疫療法のための強化学習と突然変異ポリシーとを用いたT細胞受容体の最適化のための例示的な方法のブロック/フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
免疫療法は、人間の免疫システムを利用して病気と闘う、人間の病気の根本的な治療法である。免疫システムでは、免疫応答は細胞毒性のあるT細胞によって引き起こされ、T細胞受容体(TCR)が感染細胞や癌細胞の表面にある主要組織適合複合体(MHC)タンパク質によって提示される免疫原性ペプチドと結合することによって活性化される。これらの外来ペプチドの認識は、ペプチドとT細胞表面のTCRとの相互作用によって決定される。このプロセスはTCR認識と呼ばれ、免疫反応の重要なステップを構成する。有望ながん治療法である養子T細胞免疫療法(ACT)は、実験室で患者から採取した自己T細胞を遺伝子改変し、その改変T細胞を患者の体内に注入してがんと闘わせるものである。
【0014】
ACT療法のひとつであるTCR-T細胞(TCR-T)療法は、T細胞のTCRを直接改変して結合親和性を高め、腫瘍細胞を効果的に認識して死滅させることができる。TCRはα鎖およびβ鎖を持つヘテロ二量体タンパク質である。各鎖には相補的決定領域(CDR)として3つのループ、CDR1、CDR2、およびCDR3がある。CDR1およびCDR2は主にMHCとの相互作用を担い、CDR3はペプチドと相互作用する。β鎖のCDR3はバリエーションが多く、したがって外来ペプチドの認識に主に関与していると考えられる。例示的な実施形態では、ペプチド抗原に対する結合親和性を高めるために、TCRのβ鎖のCDR3配列の最適化に焦点を当て、強化学習によって最適化を行う。例示的なアプローチの成功は、TCR-T療法設計の指針となる可能性がある。簡単のため、例示的な方法がTCRに言及する場合、それはTCRのβ鎖のCDR3を意味する。
【0015】
TCR-T療法は非常に有望であるにもかかわらず、治療目的のTCRの最適化は依然として時間のかかるプロセスであり、通常、試験管内とコンピュータ内とのいずれかで、親和性の高いTCRを徹底的にスクリーニングする必要がある。このプロセスを加速するために、実験的なペプチド-TCR結合データとTCR配列とを活用して、ペプチド-TCR相互作用を予測する計算手法が最近開発された。しかし、これらのペプチド-TCR結合予測ツールは、新たな高親和性TCRの合理的な設計を直ちに指示することはできない。生物学的配列設計のための既存の計算機的手法には、検索ベースの手法、生成的手法、最適化ベースの手法、強化学習(RL)ベースの手法などがある。しかし、これらの方法はすべて、ペプチドなどの追加条件を考慮せずに配列を生成するため、異なるペプチドを認識するように調整されたTCRを最適化することはできない。加えて、これらの方法は生成された配列の妥当性を考慮していない。これは、有効なTCRは特定の特徴に従うべきであるため、TCR最適化にとって重要である。
【0016】
例示的な実施形態は、TCRPPOと呼ばれる、近位ポリシー最適化(PPO)に基づく新たな強化学習(RL)フレームワークを提示し、突然変異ポリシーを通じてTCRを計算的に最適化する。特にTCRPPOは、与えられたペプチド用にカスタマイズされたTCRを最適化するための共同ポリシーを学習する。TCRPPOでは、変異配列が有効なTCRである可能性と、TCRがペプチドを認識する確率との両方を測定する新たな報酬関数が提示される。
【0017】
報酬設計では、検討中の変異したTCRと与えられたペプチド抗原の集合との間の相互作用スコアの合計を最大化する他に、例示的な実施形態では、検討中の変異したTCRと、与えられたペプチド抗原の集合に最も類似している正常なヒト組織由来の自己ペプチドの集合との間の相互作用スコアの合計も最小化する。TCR最適化の後、例示的な実施形態では、最適化されたTCRが潜在的に結合する自己ペプチドの集合を特定する。TCR-T療法の安全性を確保するために、例示的な実施形態は、TCRと特定された自己ペプチドの集合との間の相互作用スコアの合計を最小化する一方で、検討中の変異したTCRと与えられたペプチド抗原の集合との間の相互作用スコアの合計を最大化するように、TCRをさらに変異させる。これらの段階は、収束するか、あるいは指定された免疫療法の安全管理基準が満たされるまで繰り返される。
【0018】
TCRの妥当性を測定するために、TCR-AEと呼ばれるTCRオートエンコーダが開発され、TCR-AEと、ガウス混合モデルGMMによって定量化された潜在空間分布とから再構成誤差が利用され、新規の妥当性スコアが算出される。ペプチド認識を測定するために、例示的な方法は最先端のペプチド-TCR結合予測ツールERGOを活用してペプチド-TCR結合を予測した。TCRPPOは柔軟なフレームワークであり、ERGOは他の結合予測因子で置き換えることができる。さらに、最適化が困難なTCRを修正するための、Buf-Optと呼ばれる新規のバッファリングメカニズムが提示されている。TCRdb200から700万個のTCR(図2)、McPASから10個のペプチド、VDJDBから15個のペプチドを用いて広範な実験を行った。実験結果は、TCRPPOが、McPASとVDJDBペプチドに対して、それぞれ58.2%と26.8%の改善で、高い有効性スコアと高い認識確率を持つ適格なTCRを生成し、最良のベースラインを大幅に上回ることを示した。
【0019】
与えられたペプチドに対するTCR配列の認識能力は、srと表記される認識確率によって測定される。配列が有効なTCRである可能性は、svと表記されるスコアで測定される。適格なTCRとは、sv>σrかつsv>σcの配列と定義され、σrおよびσcはあらかじめ定義された閾値である。TCRPPOの目的は、与えられたペプチドに対する認識確率が低い既存のTCR配列を、適格なものに変異させることである。ペプチドpまたはTCR配列cは、そのアミノ酸の配列として表される。<o1,o2,...,oi,...,ol>、oiは配列中のiの位置にある20種類の天然アミノ酸の1つであり、lは配列の長さである。TCR突然変異過程は、以下の構成要素を含むマルコフ決定過程(MDP)M={S,A,P,R}として定式化された。
【0020】
S:状態空間。各状態s∈Sは、潜在的なTCR配列cとペプチドpとのタプル、つまりs=(c,p)である。添え字t(t=0,...,T)は、sのステップ、すなわちst=(ct,p)を示すために使用される。ctは有効なTCRではない可能性があることに留意されたい。状態stは、適格なctを含むか、tが最大ステップ限界Tに達した場合、終端状態であり、sTと表記される。また、pは、s0でサンプリングされ、時間tにわたって変化しないことにも留意されたい。
【0021】
A:アクション空間。ここで、
【数1】
は変異部位iと変異アミノ酸oとのタプルである。つまり、
【数2】
である。したがって、この動作は、配列c=<o1,o2,...,oi,...,ol>のiの位置のアミノ酸を別のアミノ酸oに変異させることになる。oはcのoiと異なっていなければならないことに注意する。
【0022】
P:状態遷移確率。ここで、
【数3】
は、
【数4】
の時刻tの状態stから次の時刻t+1の状態st+1の確率を指定する。この問題では、st-1への遷移は決定論的である。すなわち、
【数5】
である。
【0023】
R:ある状態における報酬関数。TCRPPOでは、状態st(t=0,...,T-1)における中間報酬はすべて0である。sTでの最終的な報酬のみが最適化の指針として使われる。
【0024】
突然変異ポリシーネットワークに関して、TCRPPOは、あるステップで配列cのアミノ酸を1つ変異させ、cを適格なTCRに改変する。具体的には、最初のステップt=0で、標的としてペプチドpがサンプリングされ、有効なTCR c0がサンプリングされてs0=(c0,p)が初期化される。状態st=(ct,p)(t>0)において、TCRPROの突然変異ポリシーネットワークは、ctのアミノ酸を1つ変異させ、最終的にpに結合するTCRになる可能性の高いct+iに改変させる動作
【数6】
を予測する。TCRPPOは、TCRとペプチドとを分散埋め込み空間に符号化する。そして、後述するように、埋め込み空間と突然変異ポリシーとの間のマッピングを学習する。
【0025】
アミノ酸の符号化に関しては、各アミノ酸oは3つのベクトルを連結することで表現される。
【数7】
は、BLOSUM行列のoの対応する行であり、
【数8】
は、oのワンホット符号化であり、
【数9】
は、学習可能な埋め込みである。すなわち、oは
【数10】
のように符号化される。ここで
【数11】
は連結操作を表す。例示的な方法は、cとpとの中のアミノ酸の表現を豊かにするために、このような符号化方法の混合を使用した。
【0026】
状態の埋め込みに関しては、st=(ct,p)は、関連する配列ctとpとを埋め込むことによって埋め込まれた。ct中の各アミノ酸oi,tに対して、例示的な方法は、oi,tとct中のそのコンテキスト情報とを以下のような1層双方向LSTM(Long Short Term Memory)を用いて隠れベクトル
【数12】
に埋め込んだ。
【数13】
【0027】
ここで、
【数14】
および
【数15】
はctにおけるi番目のアミノ酸の隠れた状態ベクトルである。
【0028】
【数16】
および
【数17】
はi番目のアミノ酸のメモリ細胞の状態である。
【0029】
【数18】
および
【数19】
はそれぞれ2つのLSTM方向の学習可能なパラメータである。そして、
【0030】
【数20】
および
【数21】
(lcはctの長さ)は、ランダムなベクトルで初期化される。全アミノ酸の埋め込みにより、ctの埋め込みは両端の隠れベクトルの連結として定義された。すなわち、
【数22】
である。
【0031】
ペプチド配列を別の双方向LSTMを同じように用いて隠れベクトル
【数23】
に埋め込んだ。
【0032】
動作予測について、時刻tにおいて動作
【数24】
を予測するために、TCRPPOは2つの予測、すなわち、
【数25】
が存在する必要がある現在のctの位置iと、
【数26】
が位置iに配置される必要がある新たなアミノ酸oの予測を行う必要がある。TCRPPOは、ct内の位置iが動作部位である「可能性がどれだけ高いか」を測定するために、以下のようなネットワークを用いる。
【数27】
【0033】
ここで、
【数28】
はctにおけるoi,tの潜在ベクトルである(式1)。
【数29】
はpの潜在ベクトルである。そして、
【数30】
(j=1,2)は学習可能なベクトル/行列である。このように、TCRPPOは、i番目の位置が動作部位である確率を、
【数31】
に符号化されたテキストとペプチドpとを調べることによって測定する。予測された位置iは、式2の確率分布からサンプリングされ、必要な探索が行われる。
【0034】
予測された位置iが与えられると、TCRPPOはctにおいてoiに置き換わるべき新たなアミノ酸を予測する必要がある。TCRPPOは、各アミノ酸タイプが新たな置換基となる確率を以下のように計算する。
【数32】
【0035】
ここで、Uj(j=1,2,3)は学習可能な行列であり、softmax(・)は20次元のベクトルを20種類のアミノ酸に対する確率に変換する。次に、元のアミノ酸の種類oi,tを除いた分布からサンプリングして、変換されたアミノ酸の種類を決定する。
【0036】
潜在的なTCRの有効性測定に関して、与えられた配列cが有効なTCRである可能性を定量的に測定する(例えば、svを計算する)新規のスコアリング関数が提示され、これはTCRPPOの報酬の一部となる。具体的には、例示的な方法は、有効なTCRのみから、TCR-AEと呼ばれる新規のオートエンコーダモデルを訓練した。TCR-AEにおける配列の再構成精度は、そのTCRの妥当性を測定するために用いられた。直感的には、TCR-AEは有効なTCRのみから訓練されるため、その符号化-復号化プロセスは真のTCR配列の「規則」に従うことになり、したがってTCR-AEから非TCR配列をうまく再現することはできない。しかし、TCR-AEがTCRと非TCRとに共通する一般的なパターンを学習し、不規則性を検出できなかったり、TCR-AEのモデルの複雑性が高かったりする場合、非TCR配列がTCR-AEから高い再構成精度を得られる可能性はある。これを軽減するために、例示的な方法は、ガウス混合モデル(GMM)を用いてTCR-AE内の潜在空間を追加評価し、非TCRが潜在空間内のTCRの密集領域から逸脱するという仮説を立てた。
【0037】
TCR-AE150は、図1のTCRPPO100に示されるように、オートエンコーダTCR-AEを提示する。TCR-AE150は双方向LSTMを用いて、2つのLSTM方向からの最後の隠れベクトルを連結することによって、入力配列cを
【数33】
に符号化する(式1と同様)。そして、
【数34】
を潜在埋め込み
【数35】
に以下に示すようにマッピングする。
【数36】
【0038】
これは、復号器140を介して配列
【数37】
に復号される。復号器140は単一方向のLSTMを持ち、このLSTMは次のようにアミノ酸を1つずつ生成することによって復号化を行う。
【数38】
【数39】
【0039】
ここで、
【数40】
は、ステップi-1から復号化されたアミノ酸
【数41】
の符号化である。そして、W’はパラメータである。LSTMはゼロベクトル
【数42】
および
【数43】
から始まる。復号器は、
【数44】
に符号化されている以前に復号化されたアミノ酸と、
【数45】
に符号化されている予想される配列全体とを調べることによって、次のアミノ酸を推測する。
【0040】
TCR-AE150は、TCRPPO100とは独立して、エンドツーエンドで、TCRから訓練されることに留意されたい。教師強制は、復号化された配列が入力配列と同じ長さを持つことを保証するために訓練中に適用され、したがって、クロスエントロピー損失は、TCR-AE150を最適化するために適用される。スタンドアローンのモジュールとして、TCR-AE150はスコアsvを計算するために使用される。TCR-AE150への入力配列cは、BLOSUM行列のみを用いて符号化される。BLOSUM符号化は、他の符号化方法の組み合わせと比較して、良好な再構成性能と高速な収束とをもたらすことが経験的に判明しているからである。
【0041】
十分に訓練されたTCR-AE150を用いて、配列cの再構成に基づくTCR有効性スコアは以下のように計算された。
【数46】
【0042】
ここで、TCR-AE(c)は、TCR-AEから再構成されたcの配列を表し、lev(c,TCR-AE(c))は、cとTCR-AE(c)との間の編集距離に基づく指標であるレーベンシュタイン距離であり、lcはcの長さである。rr(c)が高いほど、cが有効なTCRである確率が高いことを示す。TCR-AE150が配列の終わりを正確に予測できず、再構成配列が短すぎたり長すぎたりする可能性があるため、TCR-AE150がテストで使用される場合、再構築された配列の長さは入力cと同じではない可能性があることに留意されたい。したがって、レーベンシュタイン距離は入力配列の長さlcを用いて正規化される。距離が配列の長さよりも大きな場合、rr(c)は負になる可能性があることに注意されたい。負の値はスコアの使用に影響しない(例えば、負のrr(c)は、TCR-AE(c)とcとが非常に異なることを示す)。
【0043】
有効なTCRと無効なTCRとをより良く区別するために、TCRPPO100は、GMM145を用いて
【数47】
(式4)の潜在空間に対する密度推定も行う。
【0044】
与えられた配列cに対して、TCRPPO100は、訓練TCRのガウス混合領域内に入るcの尤度スコアを以下のように計算する。
【数48】
【0045】
ここで、
【数49】
は潜在埋込み
【数50】
の対数尤度である。そして、τは対数尤度の値を再スケールするための定数である(τ=10)。パラメータτは、TCRの90%がrd(c)を0.5以上にできるように慎重に選択される。無効なTCRがないため、例示的な方法は、対数尤度値を確率に較正するために、プラットスケーリングのような分類に基づくスケーリング方法を使用することができない。
【0046】
再構成に基づくスコアリングと密度推定に基づくスコアリングとを組み合わせて、TCRの妥当性を測定するための新たなスコアリング法を以下のように発展させた。
【数51】
【0047】
この方法は、配列が有効なTCRである可能性が高いかどうかを評価するために使用され、報酬関数で使用される。
【0048】
TCRPPO学習に関して、また最終報酬に関して、例示的な方法は、srスコアとsvスコアとに基づいて、TCRPPO100の最終報酬を以下のように定義した。
【数52】
【0049】
ここで、sr(cT,p)はERGO160による予測認識確率であり、σcはcTが有効なTCRである可能性が非常に高いという閾値(σc=1.2577)であり、αはsrとsvとの間のトレードオフを制御するために使用されるハイパーパラメータである(α=0.5)。
【0050】
ポリシー学習に関して、例示的な方法は、ポリシーネットワークを最適化するために近位ポリシー最適化(PPO)を採用する。
【0051】
PPOの目的関数は以下のように定義される。
【数53】
【数54】
【0052】
ここで、
【数55】
はポリシーネットワークの学習可能なパラメータの集合であり
【数56】
は、現在のポリシー
【数57】
の下での動作と、以前のポリシー
【数58】
の下での動作との間の確率比である。ここで、
【数59】
は、rtが区間[1-∈,1+∈]の外側に移動しないようにクリップされている。
【0053】
【数60】
は一般化アドバンテージ推定量を用いて計算されたタイムステップtにおけるアドバンテージであり、選択された動作が他の動作よりも平均的にどれだけ優れているかを測定する。
【数61】
【0054】
ここで、γ∈(0,1)は将来の報酬の重要性を決定する割引係数であり、δt=rt+γV(st+1)-V(st)はV(st)が価値関数である時間差誤差であり、λ∈(0,1)はV(st)の偏りと分散とのバランスをとるためのパラメータである。V(・)は、多層パーセプトロン(MLP)を用いて、ペプチド埋め込み
【数62】
とTCR埋め込み
【数63】
とから現在の状態stの将来の戻りを予測する。
【0055】
V(・)の目的関数は以下の通りである。
【数64】
【0056】
ここで、
【数65】
は報酬である。最終的な報酬のみが使用されるため、つまりi≠Tの場合、ri=0であるため、例示的な方法は
【数66】
を用いて
【数67】
を計算した。エントロピー正則化損失
【数68】
も追加され、これは、ポリシーの探索を促すために、ポリシー勾配法でよく使われる戦略である。
【0057】
TCRPPO100の最終目的関数は以下のように定義される、
【数69】
【0058】
ここでα1およびα2は、PPO目的、価値関数、およびエントロピー正則化項の間のトレードオフを制御する2つのハイパーパラメータである。
【0059】
TCRPPO100は、最適化が困難なTCRに対処し、より多様なTCRに最適化能力を一般化するために、Buf-Optと呼ばれる新規のバッファリングと再最適化メカニズムを実装している。このメカニズムにはバッファがあり、適格となるように最適化できないTCRを記憶しておく。これらのハード配列は、以下の確率分布に従って再びバッファからサンプリングされ、TCRPPO100によってさらに最適化される。
【数70】
【0060】
式10において、Sは前回の最適化における最終報酬R(cT,p)に基づいて、cをpに対して最適化することがどれだけ難しいかを測定し、ξはハイパーパラメータ(例えばξ=5)であり、ΣはS(c,p)を確率として変換する。サンプリングと再最適化を行うことで、TCRPPO100はハード配列から学習するように訓練され、またハード配列がTCRPPO100によってより良く最適化される機会が得られることが期待される。それでもハード配列が適格となるように最適化されない場合、50%の確率でバッファに戻される。バッファが一杯になった場合(実験ではサイズ2,000)、バッファに最も早く割り当てられた配列は削除される。TCRPPO100にBuf-Optを加えたものをTCRPPO+bと呼ぶ。
【0061】
結論として、本発明の例示的な実施形態は、最適化されたTCRの探索をRL問題として定式化し、近位ポリシー最適化(PPO)を用いた突然変異ポリシーを持つフレームワークTCRPPOを提示した。TCRPPOは、TCRを所定のペプチドを認識できる有効なものに変異させる。TCRPPOは、深層オートエンコーダに基づく新たなスコアリング関数によって測定された変異配列が有効なTCRである可能性と、ペプチド-TCR相互作用予測因子から得られた変異配列がペプチドを認識する確率を組み合わせた報酬関数を活用している。TCRPPOを複数のベースライン法と比較した結果、TCRPPOは、陽性結合と有効なTCRとの生成において、すべてのベースライン法を有意に上回ることが示された。これらの結果は、精密免疫療法とTCRモチーフを認識するペプチド探索との両方におけるTCRPPOの可能性を示している。
【0062】
例示的な方法はさらに、標的ペプチドを認識する結合TCRを生成するための、TCR突然変異ポリシーを持つ深層強化学習システムを提示する。あらかじめ定義されたペプチドのライブラリは、SARS-CoV-2のようなウイルスのゲノムから、あるいは患者の腫瘍サンプルの配列決定から得ることができる。したがって、提示された例示的なシステムは、TCR工学を用いて特定のタイプのウイルスや腫瘍を標的とする免疫療法に用いることができる。
【0063】
ウイルスゲノムや腫瘍細胞が与えられた場合、例示的な方法は、配列決定を実行し、続いて市販のペプチド処理パイプラインを実行して、ウイルスや腫瘍細胞を一意に特定できるペプチドを抽出する。例示的な方法はまた、標的患者からTCRのライブラリを収集する。このウイルスや腫瘍からのペプチドライブラリと与えられたTCRとを標的にして、システムは最適化されたTCRや変異したTCRを生成することができ、ウイルスや腫瘍細胞を殺すために免疫反応を引き起こすことができる。
【0064】
例示的な方法は、まず、公開されているIEDB、VDJdb、およびMcPAS-TCRデータセットで深層ニューラルネットワークを訓練するか、ERGOのような事前に訓練されたモデルをダウンロードして、ペプチドとTCRとの間の結合相互作用を予測する。この事前に訓練されたペプチド-TCR相互作用スコア予測モデルに基づいて、例示的な方法は、TCRの突然変異ポリシーを持つDRLシステムを発展させて、提供されたTCRのライブラリと同じか、または最大でもd個のアミノ酸が異なる、高い結合スコアを持つTCRを生成する。具体的には、報酬機能を定義するために事前学習された予測深層モデルを使用し、ランダムまたは既存のTCRから開始し、次に例示的な方法は、与えられたランダムTCRを高い結合相互作用スコアを持つペプチド認識TCRに変換する優れたTCR突然変異ポリシーを学習するためにDRLシステムを事前学習する。事前に訓練されたTCR突然変異ポリシーを持つこの訓練されたDRLシステムに基づいて、例示的な方法は、提供されたライブラリからTCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従ってTCRを変異させる。変異の過程で、変異したTCRがすでに開始TCRとd個のアミノ酸が異なっていた場合、そのプロセスは終了し、TCRは最終TCRとして出力される。与えられたペプチドを認識する最終的な突然変異TCRが出力され、編集された突然変異TCRの集合がランク付けされる。上位にランク付けされたものは、特定のウイルスや腫瘍細胞を標的とする有望な人工TCRとして免疫療法に使用される。
【0065】
報酬設計では、検討中の変異したTCRと与えられたペプチド抗原の集合との間の相互作用スコアの合計を最大化する他に、例示的な実施形態では、検討中の変異したTCRと、与えられたペプチド抗原の集合に最も類似している正常なヒト組織由来の自己ペプチドの集合との間の相互作用スコアの合計も最小化する。TCR最適化の後、例示的な実施形態では、最適化されたTCRが潜在的に結合する自己ペプチドの集合を特定する。TCR-T療法の安全性を確保するために、例示的な実施形態は、TCRと特定された自己ペプチドの集合との間の相互作用スコアの合計を最小化する一方で、検討中の変異したTCRと与えられたペプチド抗原の集合との間の相互作用スコアの合計を最大化するように、TCRをさらに変異させる。これらの段階は、収束するか、あるいは指定された免疫療法の安全管理基準が満たされるまで繰り返される。
【0066】
図3は、本発明の実施形態に従った、精密免疫療法のための強化学習と突然変異ポリシーとを用いたT細胞受容体の最適化のための例示的な実用的アプリケーションである。
【0067】
1つの実例300では、ペプチドは、突然変異ポリシーネットワーク120によってペプチド突然変異環境110内でTCRPPO100によって処理され、スクリーン312に表示され、ユーザ314によって分析される新たな適格ペプチド310を生成する。同じデータベースから選択されたすべてのペプチド(例えば、McPASから10ペプチド、VDJDBから15ペプチド)に対して、例示的な方法は1つのTCRPPOエージェントを訓練し、このエージェントは、選択されたペプチドの1つに対して適格されるように、訓練配列(例えば、図2の7,281,105個のTCR)を最適化する。対応するデータベースで訓練されたERGOモデルは、TCRPPOエージェントの認識確率srをテストするために使用される。1つのERGOモデルが各データベースの全てのペプチドに対して訓練されることに留意されたい(例えば、1つのERGOが複数のペプチドに対してTCR-ペプチド結合を予測する)。したがって、ERGOモデルは、例示的な設定で複数のペプチドについてsrをテストするのに適している。また、例示的な方法では、各データベースに対応する1つのTCRPROを訓練したことにも留意されたい。なぜなら、これら2つのデータベースのペプチドとTCRは非常に異なっており、2つのデータベースを一緒に訓練したERGOの性能が劣っていることが証明されているからである。
【0068】
TCRPPOは各配列を最大8段階(T=8)まで変異させるが、これはTCRの最も一般的な長さが15であることから、十分な大きさである。TCRPPO訓練(図2)では、初期TCR配列(例えば、s0のc0)がStrnからランダムにサンプリングされ、以下の状態で変異される:ペプチドpがs0でランダムにサンプリングされ、以下の状態では同じままである(例えば、st=(ct,p))。TCRPPO100がStrnから十分に訓練された後、Ststでテストされる。
【0069】
TCRの最適化について、世代ベースの手法や突然変異ベースの手法と比較した実験結果は、TCRPPO100がベースラインの手法を大幅に上回ることを示している。TCRPPO100によって生成されたTCRに関する解析は、TCRPPO100がTCRの保存パターンをうまく学習できることを示している。生成されたTCRと既存のTCRとの比較実験により、TCRPPO100は既存のヒトTCRに類似したTCRを生成できることが示され、このTCRはさらなる医学的評価と研究とに使用できる。TCR検出の比較結果は、例示的なフレームワークにおけるsvスコアが、非TCR配列を非常に効果的に検出できることを示している。変異に対するsvスコアの分布に関する解析は、TCRPPO100が有効なTCRから遠くない軌道に沿って配列を変異させることを示している。
【0070】
図4は、本発明の実施形態に従った、精密免疫療法のための強化学習と突然変異ポリシーとを用いたT細胞受容体の最適化のための例示的な処理システムである。
【0071】
処理システムは、システムバス402を介して他の構成要素と動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサ(CPU)404を含む。グラフィカルプロセッシングユニット(GPU)405、キャッシュ406、リードオンリーメモリ(ROM)408、ランダムアクセスメモリ(RAM)410、入力/出力(I/O)アダプタ420、ネットワークアダプタ430、ユーザインタフェースアダプタ440、およびディスプレイアダプタ450は、システムバス402に動作可能に結合される。さらに、TCRPPO100は、突然変異ポリシーネットワーク120を使用することにより、ペプチド突然変異環境110内で採用される。
【0072】
記憶装置422は、I/Oアダプタ420によってシステムバス402に動作可能に結合される。記憶装置422は、ディスク記憶装置(例えば、磁気または光ディスク記憶装置)、ソリッドステート磁気装置などのいずれであっても良い。
【0073】
トランシーバ432は、ネットワークアダプタ430によってシステムバス402と動作可能に結合される。
【0074】
ユーザ入力装置442は、ユーザインタフェースアダプタ440によってシステムバス402と動作可能に結合される。ユーザ入力装置442は、キーボード、マウス、キーパッド、画像捕捉装置、動き感知装置、マイクロフォン、前述の装置のうちの少なくとも2つの機能を組み込んだ装置などのいずれかとすることができる。もちろん、本発明の精神を維持しながら、他のタイプの入力装置を使用することもできる。ユーザ入力装置442は、同じタイプのユーザ入力装置または異なるタイプのユーザ入力装置とすることができる。ユーザ入力装置442は、処理システムとの間で情報を入出力するために使用される。
【0075】
ディスプレイ装置452は、ディスプレイアダプタ450によってシステムバス402と動作可能に結合される。
【0076】
もちろん、処理システムは、当業者によって容易に企図されるように、他の要素(図示せず)を含むこともでき、また、特定の要素を省略することもできる。例えば、当業者によって容易に理解されるように、他の様々な入力装置および/または出力装置を、その特定の実装に応じて、システムに含めることができる。例えば、様々なタイプの無線および/または有線の入力および/または出力装置を使用することができる。さらに、様々な構成の追加のプロセッサ、コントローラ、メモリなども、当業者には容易に理解されるように利用することができる。処理システムのこれらおよび他の変形は、本明細書で提供される本発明の教示を与えられれば、当業者によって容易に企図される。
【0077】
図5は、本発明の実施形態に従った、精密免疫療法のための強化学習と突然変異ポリシーとを用いたT細胞受容体の最適化の例示的な方法のブロック/フロー図である。
【0078】
ブロック501では、ウイルスまたは腫瘍細胞を特定するためにペプチドを抽出する。
【0079】
ブロック503では、標的患者からTCRのライブラリを収集する。
【0080】
ブロック505では、深層ニューラルネットワークによって、抽出されたペプチドと標的患者からのTCRとの間の相互作用スコアを予測する。
【0081】
ブロック507では、TCR突然変異ポリシーを用いた深層強化学習(DRL)フレームワークを発展させて、結合スコアが最大となるTCRを生成する。
【0082】
ブロック509では、再構成ベースのスコアと密度推定ベースのスコアとに基づいて報酬関数を定義する。
【0083】
ブロック511では、TCRのバッチをランダムにサンプリングし、ポリシーネットワークに従ってTCRを変異させる。
【0084】
ブロック513では、変異したTCRを出力する。
【0085】
ブロック515では、出力されたTCRをランク付けして、免疫療法のためのウイルスまたは腫瘍細胞を標的とする上位ランクのTCR候補を利用する。
【0086】
ブロック517において、上位ランクの各TCR候補について、上位ランクのTCR候補が結合する自己ペプチドの集合を繰り返し特定し、有効性および安全性の1つ以上の停止基準が満たされるまで、自己ペプチドの集合との相互作用スコアの合計を最小化しながら、与えられたペプチド抗原の集合との相互作用スコアの合計を最大化することによって、上位ランクのTCR候補をさらに最適化する。
【0087】
結論として、例示的な方法は、与えられたペプチド抗原を認識する結合TCRを作製するための、TCR突然変異ポリシーを用いたDRLシステムを提案するものである。提示されたシステムは、特定のタイプのウイルスや腫瘍を標的とする免疫療法のためのTCRの生成に使用することができる。報酬設計は、TCR分布内スコアと結合相互作用スコアとに基づいている。例示的な方法は、PPOを用いてDRLモデルを最適化し、最終的な変異TCRを出力し、コンパイルされた変異TCRの集合をランク付けする。上位にランクされたものは、特定のウイルスや腫瘍を標的とする有望な候補として免疫療法に用いられる。上位にランクされた各TCRについて、最適化されたTCRが結合する可能性のある自己ペプチドの集合が特定される。TCR-T療法の安全性を確保するために、TCRは、TCRと特定された自己ペプチドの集合との間の相互作用スコアの合計を最小化しながら、検討中の変異したTCRと与えられたペプチド抗原の集合との間の相互作用スコアの合計を最大化するように変異される(このようなステップは、収束または何らかの停止基準が満たされるまで繰り返され、最適化されたTCRの最終集合を出力する)。
【0088】
本明細書で使用される場合、「データ」、「コンテンツ」、「情報」、および同様の用語は、様々な例示的実施形態に従って捕捉、送信、受信、表示、および/または保存することができるデータを指すために互換的に使用することができる。したがって、このような用語の使用は、本開示の精神と範囲を制限するものと解釈すべきではない。さらに、演算装置が他の演算装置からデータを受信するように本明細書で説明される場合、データは、他の演算装置から直接受信することができ、または、例えば、1つまたは複数のサーバ、リレー、ルータ、ネットワークアクセスポイント、基地局、および/またはそのようなもののような、1つまたは複数の仲介演算装置を介して間接的に受信することができる。
【0089】
当業者には理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明の態様は、完全なハードウェアの実施形態、完全なソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができ、これらはすべて、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、「計算機」、「装置」、または「システム」と呼ぶことができる。さらに、本発明の態様は、その上に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0090】
1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子式、磁気式、光学式、電磁式、赤外線式、半導体式のシステム、装置、デバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、1本以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、RAM、ROM、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルCD-ROM、光データ記憶装置、磁気データ記憶装置、または前述の任意の適切な組み合わせが挙げられる。本明細書において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれらに関連して使用するためのプログラムを含むことができる、または格納することができる任意の有形媒体である。
【0091】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドまたは搬送波の一部として、その中にコンピュータ可読プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含むことができる。このような伝搬信号は、電磁波、光学、またはそれらの適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な形態のいずれかを取ることができる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれらに関連して使用するためのプログラムを通信、伝搬、または伝送することができる任意のコンピュータ可読媒体であっても良い。
【0092】
コンピュータ可読媒体に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、または前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して伝送することができる。
【0093】
本発明の態様のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で実行しても良いし、一部はユーザのコンピュータ上で実行しても良いし、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行しても良いし、一部はユーザのコンピュータ上で実行し、一部はリモートコンピュータ上で実行しても良いし、完全にリモートコンピュータまたはサーバ上で実行しても良い。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、LANやWANを含むあらゆるタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されても良いし、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部のコンピュータに接続されても良い。
【0094】
本発明の態様を、本発明の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して以下に説明する。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図ブロックまたはモジュールで指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、機械を製造することができる。
【0095】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶され、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又はブロック又はモジュールで指定された機能/動作を実施する命令を含む製造品を製造するように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0096】
また、コンピュータプログラム命令をコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置にロードして、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他の装置上で一連の動作ステップを実行させ、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図ブロックまたはブロックまたはモジュールで指定された機能/動作を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生成することもできる。
【0097】
本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、例えば、CPUおよび/または他の処理回路を含むものなど、あらゆる処理装置を含むことが意図されていることを理解されたい。また、「プロセッサ」という用語は複数の処理装置を指す場合があり、処理装置に関連する様々な要素が他の処理装置によって共有される場合があることも理解されたい。
【0098】
本明細書で使用される「メモリ」という用語は、例えば、RAM、ROM、固定メモリ装置(例えば、ハードドライブ)、リムーバブルメモリ装置(例えば、ディスケット)、フラッシュメモリなどのプロセッサまたはCPUに関連するメモリを含むことを意図している。このようなメモリは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体と考えられる。
【0099】
さらに、本明細書で使用される「入力/出力装置」または「I/O装置」という語句は、例えば、処理ユニットにデータを入力するための1つまたは複数の入力装置(例えば、キーボード、マウス、スキャナなど)、および/または処理ユニットに関連する結果を提示するための1つまたは複数の出力装置(例えば、スピーカ、ディスプレイ、プリンタなど)を含むことを意図している。
【0100】
上記は、あらゆる点で例示的かつ例示的であるが、制限的なものではないと理解され、ここに開示された発明の範囲は、詳細な説明からではなく、特許法によって許される全幅に従って解釈された請求項から決定されるものである。本明細書に示され説明された実施形態は、本発明の原理を例示するものに過ぎず、当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を実施することができることを理解されたい。当業者であれば、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、様々な他の特徴の組み合わせを実施することができる。このように、特許法が要求する詳細さと特殊性をもって本発明の側面を説明したが、特許状によって請求され、保護されることを望むものは、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】