(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537438
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2022132435
(87)【国際公開番号】W WO2023116278
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111572274.4
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ミンフォン
(72)【発明者】
【氏名】シー、ラン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ソンション
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB01
2G025AB04
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】電流センサを提供すること。
【解決手段】電流センサにおいて、一次側電流入力銅バーは、並列で接続された差動銅バー領域(11)と電流シャント用銅バー領域(12)とを備える。差動銅バー領域(11)は、U形構造の電流伝導経路を備える。電流シャント用銅バー領域(12)の個数は1つまたは複数である。いずれかの電流シャント用銅バー領域(12)は、同じ水平面内または異なる水平面内に差動銅バー領域(11)とともに配置される。一次側電流入力銅バーは、一体形成される、または2つ以上の独立した銅バーを接続することによって形成される。回路基板上で固定された磁気誘導モジュールは、差動銅バー領域(11)内のU形構造の電流伝導経路の上方に位置する。磁気誘導モジュールの出力は、電流センサの出力信号を形成する。電流センサは、大きい電流測定範囲、調整可能な感度、および外部磁場干渉に対する強い耐性を有する。センサの入力および出力は、電気的に絶縁され、センサは、交流および直流を測定することができる。電流センサの構造は、シンプルで費用対効果が高い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流センサにおいて、一次側電流入力銅バーと、磁気誘導モジュールと、回路基板とを備え、
該一次側電流入力銅バーは、一次側入力端子と、一次側出力端子と、差動銅バー領域と、電流シャント用銅バー領域とを備え、
該差動銅バー領域および該電流シャント用銅バー領域は、並列で電気的に接続され、該差動銅バー領域は、U形電流伝導経路を含み、該電流シャント用銅バー領域の個数は1つまたは複数であり、該電流シャント用銅バー領域および該差動銅バー領域のいずれかは、同じ水平面内または異なる水平面内に位置し、
該一次側入力端子の個数は1つまたは複数であり、該一次側出力端子の個数は1つまたは複数であり、該一次側入力端子および該一次側出力端子のいずれかは、該差動銅バー領域にまたは該電流シャント用銅バー領域に電気的に接続され、
該一次側電流入力銅バーは、以下の2つのやり方、すなわち、(1)一体形成されるやり方、および(2)2つ以上の独立した銅バーを接続することによって形成されるやり方のうちの1つで形成され、該独立した銅バーは、該一次側入力端子、該一次側出力端子、該差動銅バー領域、および該電流シャント用銅バー領域の一部または全部を含み、
該磁気誘導モジュールは、該回路基板上に固定され、該差動銅バー領域内の該U形電流伝導経路の上方に位置し、該磁気誘導モジュールの出力は、該電流センサの出力信号を形成することを特徴とする、電流センサ。
【請求項2】
前記磁気誘導モジュールは、以下の3つの状況のうちの1つを採用するものであり、すなわち、
(1)前記磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第1の磁気誘導ユニットと第2の磁気誘導ユニットとを含み、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットは、前記U形電流伝導経路内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットは、差動式で前記一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、前記電流センサによって使用される該磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、前記磁気誘導モジュールが位置する平面に平行であり、
(2)前記磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第3の磁気誘導ユニットを含み、該第3の磁気誘導ユニットの垂直投影位置は、前記U形電流伝導経路のU形の囲まれた領域の内側に位置し、該第3の磁気誘導ユニットは、前記一次側電流入力銅バーによって生成される該磁場を直接感知し、電圧信号を生成し、前記電流センサによって使用される前記磁気誘導ユニットの該磁場感度方向は、前記磁気誘導モジュールが位置する該平面に直交し、
(3)前記磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも該第3の磁気誘導ユニットと第4の磁気誘導ユニットとを含み、該第4の磁気誘導ユニットの垂直投影位置は、前記U形電流伝導経路の該U形の囲まれた領域の外側に位置し、該第3の磁気誘導ユニットおよび該第4の磁気誘導ユニットは、差動式で前記一次側電流入力銅バーによって生成される該磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、前記電流センサによって使用される前記磁気誘導ユニットの該磁場感度方向は、前記磁気誘導モジュールが位置する該平面に直交することを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットは、1つまたは複数の磁気抵抗ブリッジ・アームをそれぞれ含み、該磁気抵抗ブリッジ・アームの各々は、直列および並列で接続された1つまたは複数の磁気抵抗感知素子で構成され、
前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットでは、いずれかの磁気誘導ユニットによって採用されるブリッジ構造は、差動半ブリッジ構造、差動フル・ブリッジ構造、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造、およびダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造のうちの1つであり、
(1)該差動半ブリッジ構造は、シングル・ブリッジであり、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットは、同じシングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造を一緒に構成し、該差動半ブリッジ構造の出力信号を形成し、
(2)該差動フル・ブリッジ構造は、シングル・ブリッジであり、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットは、同じシングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造を一緒に構成し、該差動フル・ブリッジ構造の出力信号を形成し、
(3)該ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造では、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットは、プッシュ・プル半ブリッジ構造をともに採用し、各々は、電圧出力信号を形成し、2つの該プッシュ・プル半ブリッジ構造の該電圧出力信号は、前記ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造の出力信号を差動的に形成し、
(4)該ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造では、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットは、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造をともに採用し、各々は、電圧出力信号を形成し、2つの該プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の該電圧出力信号は、該ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造の出力信号を差動的に形成することを特徴とする、請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記U形電流伝導経路のU形開口部の2つの端部は、電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記一次側電流入力銅バーは、それぞれ前記磁気誘導モジュールおよび前記回路基板から電気的に絶縁されることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記磁気誘導モジュールは、信号調整回路をさらに備え、該信号調整回路は、開ループ信号調整回路、および閉ループ信号調整回路のうちの1つを採用することを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項7】
機械的支持ハウジングをさらに備え、該機械的支持ハウジングは、前記電流センサ内のさまざまな部品を包む、固定する、および支持する役割を果たすことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施形態は、電気的測定の技術分野に関し、詳細には、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサは、情報の伝達、処理、記憶、表示、記録、および制御の必要を満たすように、検出される電流の検出情報を、ある一定の標準的な要件を満たす他の所望の形態における電気信号または情報に変換および出力することができる電流検出デバイスの一種である。それらは、家電製品、スマート・グリッド、電気車両、風力発電、および他の分野を含む多くの分野で広く使用されている。現在、最も広く使用されている電流センサは、磁気電流センサであり、磁気電流センサは、主に、フラックスゲート電流センサ、ホール電流センサ、および磁気抵抗電流センサを含む。
【0003】
フラックスゲート電流センサは、良好な直線性、高精度、および良好な温度ドリフト性能を有するが、高透磁率コアを必要とし、これにより大きいサイズ、複雑な回路、および高いコストをもたらす。
【0004】
ホール電流センサ技術は成熟しているが、それは低感度、乏しい温度ドリフト特性、および小さい帯域幅を有し、その磁場感度方向は、ホール素子が位置する平面に直交する。ホール電流センサのための電流入力方法は、主に2つある。一方は、サイズが比較的大きいリング状鉄コアを介して被測定電流導体の磁場を感知することであり、他方は、被測定電流がU形銅伝導経路に直接入力され、測定範囲が前者の測定範囲よりも小さい小型のチップ・レベル電流センサである。
【0005】
磁気抵抗電流センサは、主に、異方性磁気抵抗器AMR電流センサ、巨大磁気抵抗器GMR電流センサ、およびトンネル磁気抵抗器TMR電流センサを含む。それらの磁場感度の方向は、磁気抵抗デバイスが位置する平面に平行であり、高感度および良好な直線性を実現する。しかしながら、高感度を有する磁気抵抗デバイスは、一般に、小さい飽和場を有し、それらの内部の磁気抵抗感知素子は、大電流測定中に磁気飽和になる傾向があり、結果として、電流測定範囲が小さくなり、このことは、その使用範囲に影響を及ぼす。磁気抵抗電流センサの被測定電流の入力方法は、以下のものを含む。(1)サイズおよび重量が大きい被測定電流導体の磁場を感知するためのリング状鉄コアを使用すること。(2)アレグロのACS70331を一例としてとると、被測定電流は、統合されたGMR電流センサの単層U形銅伝導経路に直接入力される、(3)出願番号202011547895.2の特許では、被測定電流は、首のくぼみを有する銅ストリップに入力される、(4)出願番号201811455342.7の特許では、被測定電流は、長方形または角丸長方形の断面を有する被測定銅バー型導体に入力され、このタイプの入力方法では、単一の電流入力経路が磁気抵抗感知素子の線形動作範囲を超え易く、磁気抵抗感知素子を容易に飽和させ、それによって電流測定範囲を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】出願番号202011547895.2
【特許文献2】出願番号201811455342.7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の各実施形態は、大きい体積および小さい電流測定範囲を含む既存の電流センサの問題を解決するための電流センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の各実施形態は、一次側電流入力銅バーと、磁気誘導モジュールと、回路基板とを備える電流センサであって、
一次側電流入力銅バーは、一次側入力端子と、一次側出力端子と、差動銅バー領域と、電流シャント用銅バー領域とを備え、
差動銅バー領域および電流シャント用銅バー領域は、並列で電気的に接続され、差動銅バー領域は、U形電流伝導経路を含み、電流シャント用銅バー領域の個数は1つまたは複数であり、電流シャント用銅バー領域および差動銅バー領域のいずれかは、同じ水平面内または異なる水平面内に位置し、
一次側入力端子の個数は1つまたは複数であり、一次側出力端子の個数は1つまたは複数であり、一次側入力端子および一次側出力端子のいずれかは、差動銅バー領域にまたは電流シャント用銅バー領域に電気的に接続され、
一次側電流入力銅バーは、以下の2つのやり方、すなわち、(1)一体形成されるやり方、および(2)2つ以上の独立した銅バーを接続することによって形成されるやり方のうちの1つで形成され、独立した銅バーは、一次側入力端子、一次側出力端子、差動銅バー領域、および電流シャント用銅バー領域の一部または全部を含み、
磁気誘導モジュールは、回路基板上に固定され、差動銅バー領域内のU形電流伝導経路の上方に位置し、磁気誘導モジュールの出力は、電流センサの出力信号を形成する、電流センサを提供する。
【0009】
本発明の各実施形態により提供される電流センサは、大きな電流測定範囲有し、入力と出力を電気的に絶縁し、AC電流およびDC電流を測定することができ、調整可能な感度を有し、外部磁場干渉に対する強い耐性を有する。先行技術と比較して、電流測定範囲は、U形電流伝導経路を並列にシャントすることによって調整され、したがって、電流入力範囲は、電流シャント用銅バー領域の構造、量、および平面を制御することによって電流入力範囲を調整することができ、それによって、鉄コアなしで大電流測定を実現し、体積および重量を減少させ、さらに、電流センサの設計は、統合処理を採用することによって簡略化され、構造は、シンプルであり、製造コストは減少させられ、それが、磁場感度方向が磁気誘導モジュールが位置する平面に直交するまたは平行である磁気誘導ユニットに適しており、高感度および小さい飽和場を有する磁気抵抗デバイスの測定範囲を拡大し、入力および出力の電気絶縁、AC電流およびDC電流を測定する能力、調整可能な感度、および外部磁場干渉に対する強い耐性といった特徴を有する。
【0010】
本発明の各実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に示すために、各実施形態または先行技術において使用するために必要な添付図面は、以下に簡潔に導入される。明らかに、以下に説明される添付図面は、本発明のいくつかの特定の実施形態であるが、当業者にとっては、本発明のさまざまな実施形態によって開示および促進されるデバイス構造、駆動方法、および製造方法の基本概念は、他の構造および図面に拡大および拡張することができ、これらが本発明の請求の範囲内に全て入るものであることは疑いない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図3】
図1で生成された磁場のz成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による一次側電流入力銅バーの概略図である。
【
図5】
図4で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図6】
図4で生成された磁場のz成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態による別の一次側電流入力銅バーの概略図である。
【
図8】
図7で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるさらに別の一次側電流入力銅バーの概略図である。
【
図10】
図9で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるさらに別の一次側電流入力銅バーの概略図である。
【
図12】
図11で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図である。
【
図13】磁気誘導モジュールのシングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造の原理を示す概略図である。
【
図14】磁気誘導モジュールのシングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造の原理を示す概略図である。
【
図15】磁気誘導モジュールのダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造の原理を示す概略図である。
【
図16】磁気誘導モジュールのダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造の原理を示す概略図である。
【
図17】本発明の一実施形態による電流センサの断面図である。
【
図18】本発明の一実施形態による別の電流センサの断面図である。
【
図19】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの断面図である。
【
図21】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの断面図である。
【
図22】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決策は、本発明の各実施形態における添付図面を参照して、実装形態を通じて以下に明確におよび完全に説明される。説明される各実施形態は、本発明の全ての実施形態ではなく、本発明の一部の実施形態であることは明らかである。本発明の各実施形態によって開示および促進される基本概念に基づいて、当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に入る。
【0013】
本発明の一実施形態は、一次側電流入力銅バーと、磁気誘導モジュールと、回路基板と、一次側電流入力銅バーとを含む電流センサであって、一次側電流入力銅バーは、一次側入力端子と、一次側出力端子と、差動銅バー領域と、電流シャント用銅バー領域とを含み、差動銅バー領域および電流シャント用銅バー領域は、並列で電気的に接続され、差動銅バー領域は、U形電流伝導経路を含み、電流シャント用銅バー領域の個数は、1つまたは複数であり、いずれかの電流シャント用銅バー領域および差動銅バス領域は、同じ水平面内または異なる水平面内に位置し、一次側入力端子の個数は1つまたは複数であり、一次側出力端子の個数は1つまたは複数であり、一次側入力端子および一次側出力端子のいずれか1つは、差動銅バー領域に電気的に接続され、または電流シャント用銅バー領域に電気的に接続され、一次側電流入力銅バーは、以下の2つの状況、すなわち、(1)一体形成される状況、(2)2つ以上の独立した銅バーを接続することによって形成される状況のうちの1つによって形成され、独立した銅バーは、一次側入力端子、一次側出力端子、差動銅バー領域、および電流シャント用銅バー領域の一部または全部を含み、磁気誘導モジュールは、回路基板上に固定され、磁気誘導モジュールは、差動銅バー領域内のU形電流伝導経路の上方に位置し、磁気誘導モジュールの出力は、電流センサの出力信号を形成する、電流センサを提供する。
【0014】
上述したように、電流センサは、被測定電流を一次側電流入力銅バーを通る磁気誘導モジュールの入力磁場に変換し、鉄コアを必要とせずに大電流測定を実現し、体積および重量を減少させ、シンプルな構造および低い処理コストを有し、高感度および小さい飽和場を有する磁気抵抗デバイスの測定範囲を拡大する。それは、入力および出力の電気絶縁、AC電流およびDC電流を測定する能力、調整可能な感度、および外部磁場干渉に対する強い耐性といった特徴を有する。
【0015】
任意選択で、磁気誘導モジュールは、以下の3つのケースのうちの1つを採用するものであり、
(1)磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第1の磁気誘導ユニットと第2の磁気誘導ユニットとを含み、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、U形電流伝導経路内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、差動式で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に平行であり、
(2)磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第3の磁気誘導ユニットを含み、第3の磁気誘導ユニットの垂直投影位置は、U形電流伝導経路のU形の囲まれた領域の内側に位置し、第3の磁気誘導ユニットは、一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を直接感知し、電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に直交し、
(3)磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第3の磁気誘導ユニットと第4の磁気誘導ユニットとを含み、第4の磁気誘導ユニットの垂直投影位置は、U形電流伝導経路のU形の囲まれた領域の外側に位置し、第3の磁気誘導ユニットおよび第4の磁気誘導ユニットは、差動式で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に直交する。
【0016】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、それぞれ1つまたは複数の磁気抵抗ブリッジ・アームを含み、各磁気抵抗ブリッジ・アームは、直列および並列で接続された1つまたは複数の磁気抵抗感知素子で構成され、
第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットでは、任意の磁気誘導ユニットによって採用されるブリッジ構造は、差動半ブリッジ構造、差動フル・ブリッジ構造、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造、およびダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造のうちの1つであり、
(1)差動半ブリッジ構造は、シングル・ブリッジであり、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、同じシングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造を一緒に構成し、差動半ブリッジ構造の出力信号を形成し、
(2)差動フル・ブリッジ構造は、シングル・ブリッジであり、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、同じシングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造を一緒に構成し、差動フル・ブリッジ構造の出力信号を形成し、
(3)ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造では、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、プッシュ・プル半ブリッジ構造をともに採用し、各々は、電圧出力信号を形成し、2つのプッシュ・プル半ブリッジ構造の電圧出力信号は、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造の出力信号を差動的に形成し、
(4)ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造では、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造をともに採用し、各々は、電圧出力信号を形成し、2つのプッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の電圧出力信号は、ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造の出力信号を差動的に形成する。
【0017】
任意選択で、一次側電流入力銅バーは、磁気誘導モジュールおよび回路基板からそれぞれ電気的に絶縁される。
【0018】
任意選択で、磁気誘導モジュールは、信号調整回路も含み、信号調整回路は、開ループ信号調整回路および閉ループ信号調整回路のうちの1つを採用する。
【0019】
上記のものは、本発明の主要なアイデアである。本発明の本実施形態によって提供される電流センサは、先行技術と比較して、および添付図面およびいくつかのシミュレーション結果と組み合わせて、以下に簡潔に説明される。
【0020】
以下は、異なる設計の一次側電流入力銅バーの簡単な説明である。本発明の本実施形態では、一次側電流入力銅バーは、一次側電流導体または銅一次伝導経路とも呼ばれ得、これは、主に、被測定電流を電流センサに導入するように働く。本発明の本実施形態におけるU形構造は、電流伝導経路が電流反平行位置関係を有する構造を指し、したがって、限定するものではないが、鋭角、直角、鈍角、または周角をターニング・ポイントとして使用する「Ω」型、「n」型等などの類似の形状を含む。
【0021】
図1を参照すると、
図1は、既存のU形銅伝導経路の概略図である。
図1に示されるように、既存のU形銅伝導経路は、単層U形銅伝導経路、すなわち、U形銅バーである。U形銅バーの平面内の水平右向き方向をx軸の正方向として、U形銅バーの平面内の垂直上向き方向をy軸の正方向として、およびU形銅バーの平面に直交する方向をz軸方向として、被測定電流は、単層U形銅伝導経路に直接入力される。2つの磁気誘導ユニット211および212は、同じ平面内に位置し、U形銅バーの上方にも位置し、すなわち、z方向に沿ったU形銅バーの垂直投影は、2つの磁気誘導ユニット211および212をカバーする。
【0022】
被測定電流が50Aであると仮定すると、被測定電流は、U形銅バーに入力される。有限要素シミュレーション計算および解析を通じて、被測定電流は、U形銅バーの上方の磁気誘導ユニットの平面内で磁場を生成する。
【0023】
図2の参照がなされ、
図2は、磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果を示す概略図である。
図3の参照がなされ、
図3は、磁場のz成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果を示す概略図である。
図2および
図3から、被測定電流によって生成された磁場のx成分はx軸に沿って-9mTから+9mTの範囲内で変化し、被測定電流によって生成される磁場のz成分がx軸に沿って-15mTから+2.5mTの範囲内で変化することが分かり得る。
【0024】
図4を参照すると、
図4は、本発明の一実施形態による一次側電流入力銅バーの概略図である。本実施形態では、一次側電流入力銅バーは、差動銅バー領域11を含み、差動銅バー領域11は、
図1に示されるようなU形電流伝導経路を備え、一次側電流入力銅バーは、電流シャント用銅バー領域12も含み、差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、同じ平面内に位置し、並列で電気的に接続される。一次側電流入力銅バーは、一次側入力端子13と、一次側出力端子14とをさらに含む。他の実施形態では、電流シャント用銅バー領域の個数は、2以上であり得、電流シャント用銅バー領域および差動銅バー領域は、同じ水平面上または異なる水平面上に位置し得る。
【0025】
図4に示されるように、任意選択で、磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第3の磁気誘導ユニット213を含み、第3の磁気誘導ユニット213の垂直投影位置は、U形電流伝導経路11のU形の囲まれた領域の内側に位置し、第3の磁気誘導ユニット213は、一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を直接感知し、電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に直交する。第3の磁気誘導ユニット213およびU形電流伝導用経路11は、同じ平面上に位置する。
【0026】
図1と同じである被測定電流が50Aであると仮定すると、被測定電流は、一次側電流入力銅バーに入力される。有限要素シミュレーション計算および解析を通じて、被測定電流は、一次側電流入力銅バーの上方の磁気誘導ユニットの平面内で磁場を生成する。
図5の参照がなされ、
図5は、
図4で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果を示す概略図である。
図6の参照がなされ、
図6は、x軸に沿って変化する
図4で生成された磁場のz成分のシミュレーション計算結果を示す概略図である。
図5および
図6から、被測定電流によって生成された磁場の大きさがかなり大きく減少させられることが分かり得る。x軸に沿って変化する被測定電流によって生成された磁場のx成分の範囲は、-0.75mTから+0.75mTに減少させられ、x軸に沿って変化する被測定電流によって生成される磁場のz成分の範囲は、-0.95mTから+0.45mTへ減少させられる。
【0027】
図1と比較して、同じ磁場測定範囲を有する磁気誘導ユニットについて、
図4に示された構造は、電流測定範囲の増大を達成することができる。
図6の磁場のz成分のシミュレーション結果から、本実施形態におけるx軸方向に沿った異なる位置で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場のx成分および磁場のz成分は、明らかな変化を有することが分かり得る。したがって、電流は、x座標がゼロである位置に感度方向がz方向に直交する磁気誘導ユニットを配置し、非差動測定を用いることによって検出することができ、他の実施形態では、電流は、感度方向が平面内の面内x軸に沿っている磁気誘導ユニットを異なる位置に配置し、差動測定を使用することによって検出されることも可能である。
【0028】
図7を参照すると、本発明の一実施形態で与えられる別の一次側電流入力銅バーの概略図が示されており、
図8を参照すると、
図7で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図が示されている。本実施形態では、差動銅バー領域11およびU形電流シャント用銅バー領域12は、同じ平面内に位置し、並列で電気的に接続される。
【0029】
図7に示されるように、任意選択で、磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第1の磁気誘導ユニット211と第2の磁気誘導ユニット212とを含む、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、U形電流伝導経路11内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、差動式で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に平行である。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ平面上に位置する。
【0030】
上記の実施形態と同じ電流条件下で、
図8に示された被測定電流によって生成された磁場の大きさは、
図2と比較してかなり大きく減少させられる。具体的には、被測定電流によって生成された磁場のx成分は、x軸に沿って-4.5mTから+4.5mTの範囲内で変化する。
【0031】
図9を参照すると、本発明の一実施形態で与えられるさらに別の一次側電流入力銅バーの概略図が示されており、
図10を参照すると、
図9で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図が示されている。本実施形態では、差動銅バー領域11およびU形電流シャント用銅バー領域12は、異なる水平面内に位置し、並列で電気的に接続される。
【0032】
図9に示されるように、任意選択で、磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第1の磁気誘導ユニット211と第2の磁気誘導ユニット212とを含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、U形電流伝導経路11内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、差動式で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に平行である。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ平面上に位置する。
【0033】
上記の実施形態と同じ電流条件下で、
図10に示された被測定電流によって生成された磁場の大きさは、
図2と比較してかなり大きく減少させられる。具体的には、被測定電流によって生成された磁場のx成分は、x軸に沿って-3mTから+3mTの範囲内で変化する。
【0034】
図11を参照すると、本発明の一実施形態で与えられるさらに別の一次側電流入力銅バーの概略図が示されており、
図12を参照すると、
図11で生成された磁場のx成分がx軸に沿って変化するシミュレーション計算結果の概略図が示されている。
図11に示されるように、任意選択で、U形電流伝導経路のU形開口部の2つの端部は、電気的に接続される。差動銅バー領域11およびU形電流シャント用銅バー領域12は、同じ水平面内または異なる水平面内に位置することができ、2つは、並列で電気的に接続され、次いで、差動銅バー領域11内のU形電流伝導経路のU形開口部の2つの端部は、新しい電流伝導経路111を形成するように接続される。
【0035】
図11に示されるように、任意選択で、磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第1の磁気誘導ユニット211と第2の磁気誘導ユニット212とを含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、U形電流伝導経路11内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、差動式で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に平行である。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212が、同じ平面上に位置する。
【0036】
上記の実施形態と同じ電流条件下で、
図12に示された被測定電流によって生成された磁場の大きさは、
図2と比較してかなり大きく減少させられる。具体的には、被測定電流によって生成された磁場のx成分は、x軸に沿って-1.4mTから+1.4mTの範囲内で変化する。
【0037】
上記の複数の実施形態は、一次側電流入力銅バーにおける差動銅バー領域が、さまざまな異なる電流経路を形成するために、異なる設計の電流シャント用銅バー領域とマッチングされることを与える。解析は、差動銅バー領域と異なる設計の電流シャント用銅バー領域との組合せが磁場のx成分に対してかなり大きい影響を与え得ることを示す。したがって、電流シャント用銅バー領域の構造、量、平面、および厚さを制御することによって、被測定電流の入力範囲は、制御することができる。
【0038】
加えて、上記の複数の実施形態から、磁気誘導ユニットが位置する断面の中央領域における本発明の各実施形態における異なる設計の一次側電流入力銅バーによって生成される磁場のx成分は、x軸に沿ってほぼ直線的に変化し、異なる位置で明らかな差を有し、中心の2つの側の磁場方向は反対であり、奇対称特性をもたらすことが分かり得る。したがって、電流は、面内x軸に沿った感度方向を有する磁気感知ユニットを異なる位置に配置することによって差動測定によって検出することができる。
【0039】
以下は、異なるブリッジ構造設計を有する磁気誘導モジュールの簡単な説明である。
【0040】
任意選択で、磁気誘導モジュールは、その中に少なくとも第1の磁気誘導ユニットと第2の磁気誘導ユニットとを含み、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、U形電流伝導経路内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、差動式で一次側電流入力銅バーによって生成される磁場を感知し、差動電圧信号を生成し、電流センサによって使用される磁気誘導ユニットの磁場感度方向は、磁気誘導モジュールが位置する平面に平行である。
【0041】
一次側電流入力銅バーの例から、被測定電流が一次側電流入力銅バーに入力されるとき、一次側電流入力銅バーは、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212の位置でディファレンシャル・モード磁場を生成することができ、ディファレンシャル・モード磁場の磁場x成分は、明らかな差を有し、U字型差動銅バー領域の中心の2つの側で反対方向であることが分かり得る。一般性を失うことなく、以下の仮定が説明のために使用される。水平右方向が磁場の正方向であると仮定すると、そのとき、ディファレンシャル・モード磁場は、第1の磁気誘導ユニット211の位置で右へ向けられると共に、第2の磁気誘導ユニット212の位置で左へ向けられる。
【0042】
図13を参照すると、
図13は、シングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造の原理を示す概略図である。磁気誘導モジュールでは、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ感度方向を有し、ともに右向きであり、2つの磁気誘導ユニットは、シングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造を一緒に形成する。第1の磁気誘導ユニット211は、磁気抵抗ブリッジ・アーム211aを含み、第2の磁気誘導ユニット212は、磁気抵抗ブリッジ・アーム212aを含む。2つの磁気抵抗ブリッジ・アームは、差動半ブリッジ構造を形成し、出力Voutは、シングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造の出力信号である。
【0043】
被測定電流が一次側電流入力銅バーに入力されるとき、磁気誘導モジュールは、磁場を感知する。前述の条件下でディファレンシャル・モード磁場が感知されるとき、磁気抵抗ブリッジ・アーム211aの抵抗値は減少し、磁気抵抗ブリッジ・アーム212aの抵抗値が増加する。ビオ・サバールの法則によれば、Vout出力は、被測定電流の大きさに関して直線的に変化する。差動半ブリッジ構造の第1の磁気誘導ユニット211の感度方向および第2の磁気誘導ユニット212の感度方向は同じなので、外部の均一な磁場(すなわち、コモン・モード磁場)については、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211aおよび212aの抵抗値は、同時に増加または減少する。このとき、Vout出力は、応答を有さず、したがって、コモン・モード磁場干渉に対する良好な耐性を有する。
【0044】
図14を参照すると、
図14は、シングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造の原理を示す概略図である。磁気誘導モジュールでは、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、シングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造を一緒に形成する。それらの中で、第1の磁気誘導ユニット211は、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211b1および211b2を含み、第2の磁気誘導ユニット212は、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム212b1および212b2を含む。4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211b1、211b2、212b1、および212b2の感度方向は、全て一致しており、右を指し、それらは一緒に差動フル・ブリッジ構造を形成する。差動フル・ブリッジ構造の出力端V1およびV2は、シングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造のVout出力信号を形成する。
【0045】
被測定電流が一次側電流入力銅バーに入力されるとき、磁気誘導モジュールは、磁場を感知する。上記の条件下でディファレンシャル・モード磁場が感知されるとき、磁気抵抗ブリッジ・アーム211b1および211b2の抵抗値は減少し、磁気抵抗ブリッジ・アーム212b1および212b2の抵抗値は増加する。結果として、出力電圧値V1は減少し、出力電圧値V2は増加する。シングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造の対応するVout出力信号は、ディファレンシャル・モード磁場に関して変化する。同様に、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211b1、211b2、212b1、および212b2の感度方向は一致しているので、外部の均一な磁場(すなわち、コモン・モード磁場)については、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211b1、211b2、212b1、および212b2の抵抗値は、同時に増加または減少する。このとき、Vout出力は、応答を有さず、したがって、コモン・モード磁場干渉に対して良好な耐性を有する。
【0046】
図15を参照すると、
図15は、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造の原理を示す概略図である。磁気誘導モジュールでは、第1の磁気誘導ユニット211は、プッシュ・プル半ブリッジ構造を形成し、第2の磁気誘導ユニット212は、プッシュ・プル半ブリッジ構造を形成し、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造を一緒に形成する。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ感度方向、ならびにほぼ同じ構造および特性を有する。具体的には、第1の磁気誘導ユニット211は、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211c1および211c2を含み、出力V1cを有するプッシュ・プル半ブリッジ構造を形成し、第2の磁気誘導ユニット212は、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム212c1および212c2を含み、出力V2cを有するプッシュ・プル半ブリッジ構造を形成する。2つのプッシュ・プル半ブリッジ構造の出力端子V1cおよびV2cの差動信号は、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造のVout出力信号を形成する。
【0047】
2つの磁気誘導ユニットの上側磁気抵抗ブリッジ・アーム211c1および212c1の感度方向は左向きであり、下側磁気抵抗ブリッジ・アーム211c2および212c2の感度方向は右向きである。被測定電流が一次側電流入力銅バーに入力されるとき、磁気誘導モジュールは、磁場を感知する。上記の条件下でディファレンシャル・モード磁場が感知されるとき、磁気抵抗ブリッジ・アーム211c2および212c1の抵抗値が減少し、磁気抵抗ブリッジ・アーム211c1および212c2の抵抗値は増加する。結果として、出力電圧値V1cは減少し、出力電圧値V2cは増加する。ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造の対応するVout出力信号は、ディファレンシャル・モード磁場に関して変化する。同様に、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造は、コモン・モード磁場干渉に対して良好な耐性を有する。
【0048】
図16を参照すると、
図16は、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造の原理を示す概略図である。磁気誘導モジュールでは、第1の磁気誘導ユニット211は、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を形成し、第2の磁気誘導ユニット212は、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を形成し、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造を一緒に形成する。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ感度方向、ならびにほぼ同じ構造および特性を有する。具体的には、第1の磁気誘導ユニット211は、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211d1、211d2、211d3、および211d4を含み、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を形成する。プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の2つの出力端子V1d1とV1d2との間の差は、第1の磁気誘導ユニット211の出力V1dを構成する。第2の磁気誘導ユニット212は、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム212d1、212d2、212d3、および212d4を含み、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を形成する。プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の2つの出力端子V2d1とV2d2との間の差は、第2の磁気誘導ユニット212の出力V2dを構成する。2つのプッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の出力端子V1dおよびV2dの差動信号は、ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造のVout出力信号を形成する。
【0049】
4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211d2、211d3、212d2、および212d3の感度方向は左向きであり、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211d1、211d4、212d1、および212d4の感度方向は右向きである。被測定電流が一次側電流入力銅バーに入力されるとき、磁気誘導モジュールは、磁場を感知する。上記の条件下でディファレンシャル・モード磁場が感知されるとき、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211d1、211d4、212d2、および212d3の抵抗値は減少し、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211d2、211d3、212d1、および212d4の抵抗値は増加し、それによって、出力電圧値V1d2およびV2d1はともに減少し、出力電圧値V1d1およびV2d2はともに増加する。V1d1とV1d2との間の差V1dは正であり、V2d1とV2d2との間の差V2dは負であり、そこで、2つのプッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の出力V1dとV2dとの間の差によって形成されるVout出力信号は、ディファレンシャル・モード磁場とともに番号付けされる。同様に、ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造は、コモン・モード磁場干渉に対する良好な耐性を有する。
【0050】
上記の4つの典型的なブリッジ構造に加えて、磁気誘導モジュールの構造は、同じ原理に基づいて、特定の適用状況に応じて、半ブリッジ構造およびフル・ブリッジ構造の差動出力、各ブリッジ・アームの感度方向セッティング、2つ以上の磁気誘導ユニットのセッティングなどに対応する変更を行うこともでき、それによって、他のブリッジ構造を有する磁気誘導モジュールを形成することが理解され得る。任意選択で、上記の磁気抵抗ブリッジ・アームの各々は、1つまたは複数の磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成される。
【0051】
以下は、磁気誘導モジュールにおける閉ループ・ネガティブ・フィードバック信号調整回路の簡単な説明である。任意選択で、磁気誘導モジュールは、信号調整回路も含み、信号調整回路は、開ループ信号調整回路および閉ループ信号調整回路のうちの1つを採用する。
【0052】
図17を参照されたい、
図17は、本発明の一実施形態で与えられる電流センサの概略図である。
図18を参照されたい、
図18は、本発明の一実施形態で与えられる別の電流センサの概略図である。
図19を参照されたい、
図19は、本発明の一実施形態で与えられるさらに別の電流センサの概略図である。任意選択で、磁気誘導モジュール2は、第1の磁気誘導ユニット211と第2の磁気誘導ユニット212とを含む。閉ループ信号調整回路は、磁場フィードバック・コイル22を使用する。閉ループ信号調整回路、磁場フィードバック・コイル22、第1の磁気誘導ユニット211、および第2の磁気誘導ユニット212は、閉ループ磁場フィードバックを構成する。上記の磁気誘導モジュールにおけるブリッジ構造の差動電圧信号は、増幅され、次いで、磁場フィードバック・コイル22を駆動することによってフィードバック磁場を生成する。フィードバック磁場は、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212の位置で一次側電流入力銅バー1によって生成される磁場差(すなわち、ディファレンシャル・モード磁場)を逆にオフセットする。磁場の動的平衡が実現されるとき、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じコモン・モード磁場条件下で動作し、磁場フィードバック・コイル22のフィードバック電流は、磁気誘導モジュール2の出力を形成するためにサンプリング抵抗器を介してサンプリングされる。一次側電流入力銅バーは、電流シャント用銅バー領域12、一次側入力端子13、および一次側出力端子14をさらに含む。
【0053】
任意選択で、磁場フィードバック・コイル22は、閉ループ信号調整回路内部に、または回路基板3内部に、または磁気誘導ユニット内部に、またはASIC専用集積回路内部に、または磁気誘導モジュール2内部に一体化される。磁場フィードバック・コイル22が異なる位置に一体化されるとき、作動原理は同じであり、閉ループ磁場負フィードバックの動作は影響を受けない。
【0054】
図17に示されるように、任意選択で、磁場フィードバック・コイル22は、磁気誘導モジュール2内部に一体化され、磁場フィードバック・コイル22が位置する平面は、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212が位置する平面に平行である。磁場フィードバック・コイル22は、
図17に示された断面において一次側電流入力銅バー1における差動銅バー領域11のU字電流伝導経路の中心線の両側に対称的に分布され、さらに、中心線の一方の側の磁場フィードバック・コイル22の電流方向は、紙面に直交で外向きであり、中心線の他方の側の磁場フィードバック・コイル22の電流方向は、紙面に直交で内向きである。
【0055】
被測定電流の磁場方向が第1の磁気誘導ユニット211の位置で右向きであり、第2の磁気誘導ユニット212の位置で左向きである例をとると、被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を逆にオフセットするために、磁場フィードバック・コイル22の第1の磁気誘導ユニット211の下に水平に配置された導体の電流方向は、紙に直交で外向きであり、磁場フィードバック・コイル22の第2の磁気誘導ユニット212の下に水平に配置された導体の電流方向は、紙に直交で内向きである。したがって、磁場フィードバック・コイル22は、第1の磁気誘導ユニット211で水平方向左向きのフィードバック磁場を生成し、磁場フィードバック・コイル22は、第2の磁気誘導ユニット212で水平方向右向きのフィードバック磁場を生成して、測被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を逆にオフセットし、それによって磁場の動的平衡を実現する。
【0056】
図18に示されるように、任意選択で、磁場フィードバック・コイル22は、回路基板3の内側に一体化される。
図19に示されるように、任意の磁場フィードバック・コイル22が、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212の内側に一体化される。他の実施形態では、磁場フィードバック・コイルは、任意選択で、上記の図に示された位置に限定されない他の位置に一体化されることも可能である。磁場フィードバック・コイルの分布または接続はわずかに異なるが、磁場フィードバック・コイルによって生成されるフィードバック磁場は、被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場をオフセットするために常に使用され、最終的に、被測定電流の検出が実現される。
【0057】
上記の構造に基づいて、本発明の本実施形態により提供される電流センサの全体構造を簡潔に要約する。
【0058】
本発明の一実施形態は、
図7に示されるような第1の電流センサを提供し、その断面図は、
図17に示され、電流センサは、一次側電流入力銅バー1と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3と、機械的支持ハウジング4とを含み、一次側電流入力銅バー1は、U形電流伝導経路、電流シャント用銅バー領域12、一次側入力端子13、および一次側出力端子14を含む差動銅バー領域11を含む。一次側電流入力銅バー1は、一体形成された銅バーであり得、すなわち、差動銅バー領域11、電流シャント用銅バー領域12、一次側入力端子13、および一次側出力端子14は、同じ水平面内に位置する。任意選択で、差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、並列で接続され、2つの端部での接続点は、それぞれ、一次側入力端子13および一次側出力端子14である。被測定電流が一次側入力端子13に流れ込んだ後、被測定電流は、差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12を通じてシャントされ、一次側出力端子14から流れ出る。機械的支持ハウジング4は、電流センサ内のさまざまな部品を包む、固定する、および支持する役割を果たす。磁気誘導モジュール2は、回路基板3上に固定され、両者は、一次側電流入力銅バー1から電気的に絶縁されている。
【0059】
磁気誘導モジュール2は、第1の磁気誘導ユニット211と第2の磁気誘導ユニット212とを含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ水平面内に位置し、ともに水平に右に向いている感度方向を有する。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、差動銅バー領域11のU形電流伝導経路内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、任意選択で、第1の磁気誘導ユニット211の下方の電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で内向きであり、第2の磁気誘導ユニット212の下方の電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で外向きである。
【0060】
第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212によって使用される磁気抵抗感知素子は、両方ともトンネル磁気抵抗器TMRである。
図13に示されるように、2つの磁気誘導ユニットは、磁気抵抗ブリッジ・アームをそれぞれ含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じシングル・ブリッジ差動半ブリッジ構造を一緒に構成し、これは、差動式で一次側電流入力銅バー1によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を感知し、差動電圧信号を生成する。磁気誘導モジュール2は、閉ループ信号調整回路を採用する。閉ループ信号調整回路、磁気誘導モジュール2に一体化された磁場フィードバック・コイル22、第1の磁気誘導ユニット211、および第2の磁気誘導ユニット212は、閉ループ磁場フィードバックを一緒に構成する。磁気誘導モジュール2の出力は、電流センサの出力信号を形成する。
【0061】
本発明の一実施形態は、
図9に示されるような第2の電流センサを提供し、その断面図は、
図18に示され、電流センサは、一次側電流入力銅バー1と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3と、機械的支持ハウジング4とを含み、一次側電流入力銅バー1は、U形電流伝導経路を含む差動銅バー領域11と、電流シャント用銅バー領域12と、一次側入力端子13と、一次側出力端子14とを含む。
【0062】
任意選択で、電流シャント用銅バー領域12は、差動銅バー領域11が位置する平面の下方または上方に位置する。差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、並列で接続された2つの独立した銅バーであり、2つの端部での接続点は、それぞれ、一次側入力端子13および一次側出力端子14である。2つの端部での接続点を除いて、異なる平面内に位置する差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、互いに絶縁される。被測定電流が一次側入力端子13に流れ込んだ後、それは、差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12を通じてシャントされ、一次側出力端子14から流れ出す。機械的支持ハウジング4は、電流センサ内のさまざまな部品を包む、固定する、および支持する役割を果たす。磁気誘導モジュール2は、回路基板3上に固定され、両者は、一次側電流入力銅バー1から電気的に絶縁されている。
【0063】
磁気誘導モジュール2は、第1の磁気誘導ユニット211と第2の磁気誘導ユニット212とを含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ水平面内に位置し、ともに水平に右に向いている感度方向を有する。第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、差動銅バー領域11のU形電流伝導経路内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、任意選択で、第1の磁気誘導ユニット211の下方の電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で内向きであり、第2の磁気誘導ユニット212の下方の電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で外向きである。
【0064】
第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212によって使用される磁気抵抗感知素子は、ともに巨大磁気抵抗器GMRである。
図14に示されるように、2つの磁気誘導ユニットは、2つの磁気抵抗ブリッジ・アームをそれぞれ含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じシングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造を一緒に構成し、シングル・ブリッジ差動フル・ブリッジ構造は、差動式で一次側電流入力銅バー1によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を感知し、差動電圧信号を生成する。磁気誘導モジュール2は、閉ループ信号調整回路を採用する。閉ループ信号調整回路、磁気回路基板3に一体化された磁場フィードバック・コイル22、第1の磁気誘導ユニット211、および第2の磁気誘導ユニット212は、閉ループ磁場フィードバックを一緒に構成する。磁気誘導モジュール2の出力は、電流センサの出力信号を形成する。
【0065】
本発明の一実施形態は、
図11に示されるような第3の電流センサを提供し、その断面図は、
図17に示されている。電流センサは、一次側電流入力銅バー1と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3と、機械的支持ハウジング4とを含む。一次側電流入力銅バー1は、U形電流伝導経路を有する差動銅バー領域11と、電流シャント用銅バー領域12と、一次側入力端子13と、一次側出力端子14とを備える。任意選択で、一次側電流入力銅バー1は、一体形成された銅バーであり、すなわち、差動銅バー領域11、電流シャント用銅バー領域12、一次側入力端子13、および一次側出力端子14は、同じ水平面内に位置する。
図11と
図7との間の主な違いは、
図11に示された電流センサにおける差動銅バー領域11は、別の第3の電流伝導経路111を通じてU形電流伝導経路のU形開口部の2つの端部を接続することであり、差動銅バー領域11を通過する被測定電流の一部は、再びシャントされ、磁気誘導モジュール2で被測定電流によって生成される磁場をさらに減少させる。
【0066】
図15に示されるように、第1の磁気誘導ユニット211は、プッシュ・プル半ブリッジ構造を採用し、電圧出力信号を形成し、第2の磁気誘導ユニット212は、プッシュ・プル半ブリッジ構造を採用し、電圧出力信号を形成し、2つのプッシュ・プル半ブリッジ構造は、ダブル・プッシュ・プル半ブリッジ差動構造を形成し、2つのプッシュ・プル半ブリッジ構造の電圧出力は、差動電圧信号を形成する。磁気誘導モジュール2は、第1の電流センサと一致する閉ループ信号調整回路を採用し、閉ループ磁場フィードバックを形成する。磁気誘導モジュール2の出力は、電流センサの出力信号を形成する。
【0067】
本発明の一実施形態は、
図19に示されるような第4の電流センサを提供し、その平面図は、
図20に示され、電流センサは、
図20に示されるように、一次側電流入力銅バー1と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3と、機械的支持ハウジング4とを含み、一次側電流入力銅バー1は、U形電流伝導経路を含む差動銅バー領域11と、2つの電流シャント用銅バー領域121および122と、一次側入力端子13と、一次側出力端子14とを含む。任意選択で、一次側電流入力銅バー1は、一体形成された銅バーであり、すなわち、差動銅バー領域11、2つの電流シャント用銅バー領域121および122、一次側入力端子13、および一次側出力端子14は、同じ水平面内に位置する。差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領121&122は、並列で接続され、2つの端部での接続点は、それぞれ、一次側入力端子13および一次側出力端子14である。被測定電流が一次側入力端子13に流れ込んだ後、被測定電流は、差動銅バー領域11ならびに電流シャント用銅バー領域121および122を通じてシャントされ、一次側出力端子14から流れ出る。機械的支持ハウジング4は、電流センサ内のさまざまな部品を包む、固定する、および支持する役割を果たす。
【0068】
磁気誘導モジュール2は、回路基板3上に固定され、両者は、一次側電流入力銅バー1から電気的に絶縁されている。磁気誘導モジュール2は、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212を含み、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、同じ水平面内に位置し、水平に右に向いている感度方向を有する。
図19に示されるように、第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212は、差動銅バー領域11のU形構造内で平行な位置関係を有する2つの電流伝導経路の上方にそれぞれ位置し、第1の磁気誘導ユニット211の下方の電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で内向きであり、第2の磁気誘導ユニット212の下方の電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で外向きである。
【0069】
第1の磁気誘導ユニット211および第2の磁気誘導ユニット212によって採用される磁気抵抗感知素子は、ともにトンネル磁気抵抗器TMRである。各磁気誘導ユニットは、4つの磁気抵抗ブリッジ・アームで構成されたプッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を含む。
図16に示されるように、第1の磁気誘導ユニット211は、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を採用し、電圧出力信号を形成し、第2の磁気誘導ユニット212は、プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を採用し、電圧出力信号を形成する。2つのプッシュ・プル・フル・ブリッジ構造は、ダブル・プッシュ・プル・フル・ブリッジ差動構造を形成し、2つのプッシュ・プル・フル・ブリッジ構造の電圧出力は、差動電圧信号を形成する。磁気誘導モジュール2は、閉ループ信号調整回路を採用する。閉ループ信号調整回路、磁気誘導ユニットに一体化された磁場フィードバック・コイル22、第1の磁気誘導ユニット211、および第2の磁気誘導ユニット212は、閉ループ磁場フィードバックを構成する。磁気誘導モジュール2の出力は、電流センサの出力信号を形成する。
【0070】
本発明の一実施形態は、
図4に示されるような第5の電流センサを提供し、その磁気誘導ユニットが位置する位置の断面図は、
図21に示されており、電流センサは、一次側電流入力銅バー1と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3と、機械的支持ハウジング4とを含み、一次側電流入力銅バー1は、U形電流伝導経路を含む差動銅バー領域11と、電流シャント用銅バー領域12と、一次側入力端子13と、一次側出力端子14とを含む。
【0071】
任意選択で、一次側電流入力銅バー1は、一体形成された銅バーであり、差動銅バー領域11、電流シャント用銅バー領域12、一次側入力端子13、および一次側出力端子14は、同じ水平面内に位置する。差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、並列で接続され、2つの端部での接続点は、それぞれ,一次側入力端子13および一次側出力端子14である。被測定電流が一次側入力端子13に流れ込んだ後、被測定電流は、差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12を通じてシャントされ、一次側出力端子14から流れ出す。機械的支持ハウジング4は、電流センサ内のさまざまな部品を包む、固定する、および支持する役割を果たす。
【0072】
磁気誘導モジュール2は、回路基板3上に固定され、両者は、一次側電流入力銅バー1から電気的に絶縁されている。磁気誘導モジュール2は、垂直上向きの感度方向を有する第3の磁気誘導ユニット213を含み、第3の磁気誘導ユニット213は、ホール素子を使用する。
図21に示されるように、第3の磁気誘導ユニット213の垂直投影位置は、U形電流伝導経路のU形の囲まれた領域の内側に位置し、その下方の左電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で内向きであり、その下方の右電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で外向きである。被測定電流は、第3の磁気誘導ユニット213の位置で垂直下向きの磁場を生成する。磁気誘導モジュール2は、開ループ信号調整回路を採用し、磁気誘導モジュール2の出力は、電流センサの出力信号を形成する。
【0073】
本発明の一実施形態は、
図23示されるような第6の電流センサを提供し、その磁気誘導ユニットが設けられる位置の断面図は
図22に示され、電流センサは、一次側電流入力銅バー1と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3と、機械的支持ハウジング4とを含み、一次側電流入力銅バー1は、U形電流伝導経路を含む差動銅バー領域11と、電流シャント用銅バー領域12と、一次側入力端子13と、一次側出力端子14とを含む。
【0074】
電流シャント用銅バー領域12は、差動銅バー領域11が位置する平面の下方に位置する。差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、並列で接続されている2つの独立した銅バーであり、2つの端部での接続点は、それぞれ、一次側入力端子13および一次側出力端子14である。2つの端部での接続点を除いて、異なる平面内に位置する差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12は、互いに絶縁される。被測定電流が一次側入力端子13に流れ込んだ後、それは、差動銅バー領域11および電流シャント用銅バー領域12を通じてシャントされ、一次側出力端子14から流れ出す。機械的支持ハウジング4は、電流センサ内のさまざまな部品を包む、固定する、および支持する役割を果たす。
【0075】
磁気誘導モジュール2は、回路基板3上に固定され、両者は、一次側電流入力銅バー1から電気的に絶縁されている。磁気誘導モジュール2は、同じ水平面内に位置し、垂直上向きに向いている感度方向を有する第3の磁気誘導ユニット213および第4の磁気誘導ユニット214を含む。第3の磁気誘導ユニット213および第4の磁気誘導ユニット214はともにホール素子を使用する。
図22に示されるように、第3の磁気誘導ユニット213の垂直投影位置は、U形電流伝導経路のU形の囲まれた領域の内側に位置し、その下方の左電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で内向きであり、その下方の右電流伝導経路の電流方向は、紙面に直交で外向きである。被測定電流は、第3の磁気誘導ユニット213の位置で垂直下向きの磁場を生成する。第4の磁気感知ユニット214の垂直投影位置は、U形電流伝導用経路のU形の囲まれた領域の外側に位置する。
【0076】
磁気誘導モジュール2は、第3の磁気誘導ユニット213および第4の磁気誘導ユニット214の差動電圧信号に対して調整する、増幅する、ならびに温度補償および直線性補正を実行するために開ループ信号調整回路を採用する。磁気誘導モジュール2の出力は、電流センサの出力信号を形成する。
【0077】
要約すると、本発明の各実施形態によって提供される電流センサは、大きな電流測定範囲を有し、入力と出力を電気的に絶縁し、AC電流およびDC電流を測定することができ、調整可能な感度を有し、外部磁場干渉に対する強い耐性を有する。先行技術と比較して、本発明の各実施形態によって与えられる電流センサの利点は、以下の通りであり、すなわち、電流測定範囲は、U形構造電流伝導経路を並列シャントすることによって調整され、したがって、電流シャント用銅バー領域の構造、量、および平面を制御することによって電流入力範囲が調整されることが可能であり、それによって、鉄コアなしで大電流測定を実現し、体積および重量を減少させ、さらに、電流センサの設計は、統合処理を採用することによって簡略化され、構造は単純であり、製造コストは低減される。本発明の各実施形態によって提供される電流センサは、磁場感度方向が磁気誘導モジュールが位置する平面に直交するまたは平行である磁気誘導ユニットに適用可能である。その利点は、GMRおよびTMRなどの高感度で小さい飽和場を有する磁気抵抗デバイスの測定に特に反映され、これにより、高感度で小さい飽和場を有する磁気抵抗デバイスの測定範囲を拡大する。電流センサは、入力および出力の電気的絶縁、AC電流およびDC電流を測定する能力、調整可能な感度、ならびに外部磁場干渉に対する強い耐性という特徴を有する。
【0078】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態および採用された技術的原理に過ぎないことに留意されたい。当業者は、本発明は本明細書中の特定の実施形態に限定されず、当業者は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、さまざまな明らかな変更、再調整、相互組合せ、および置換が行われ得ることを理解されたい。したがって、本発明は上記の実施形態に関して詳細に説明されてきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明を上記実施形態を用いて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の概念から逸脱することなく、他のより多くの等価な実施形態を含むこともでき、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【国際調査報告】