(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】Ybターゲットからの177Luの生成
(51)【国際特許分類】
G21G 4/08 20060101AFI20241210BHJP
C25C 1/22 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G21G4/08
C25C1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537508
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022053176
(87)【国際公開番号】W WO2023121967
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504238378
【氏名又は名称】ザ キュレイターズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミズーリ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョン デイビット ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ディー. ライドン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー グラノフ
【テーマコード(参考)】
4K058
【Fターム(参考)】
4K058BA01
4K058EB13
4K058ED04
4K058FA05
(57)【要約】
本開示は、診断及び/又は治療目的のための、特に核医学で使用するための、ランタニドを分離するための方法、及び非担体添加(n.c.a)177Luを生成するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法であって、前記混合物の電気分解中に塩基を添加することによって前記混合物のpHを約6.0~約7.0の範囲に制御しながら、前記混合物を電気分解することによって前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを分離することを含む、方法。
【請求項2】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記pHが、約6.5に制御される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記pH制御が、周期的又は連続的である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物を電気分解することが、水銀陰極を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物を電気分解することが、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金又は組み合わせからなる群から選択される陽極金属、好ましくは白金を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物を電気分解することが、アルカリ金属塩を含む初期電解質溶液の使用を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物を電気分解することが、予備電気分解のステップを含み、前記初期電解質溶液の前記アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンの少なくとも一部分が、還元される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を電気分解することが、40~120cm
2、好ましくは60~100cm
2、より好ましくは70~90cm
2、最も好ましくは75~85cm
2の表面積を有する水銀陰極の使用、並びに200~400rpm、好ましくは250~350rpm、より好ましくは260~320rpm、及び最も好ましくは280~300rpmの速度で前記水銀陰極を撹拌することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を電気分解することが、前記混合物中にある前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを、トリフルオロメタンスルホン酸によって溶解することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
電気分解後、イオン交換のステップが、陰イオン交換樹脂を使用して実行される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
クロマトグラフィー分離のステップが、前記イオン交換のステップの前又は後に実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クロマトグラフィー分離のステップが、1つのクロマトグラフィーカラムのみを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クロマトグラフィー分離のステップが、平行に接続された2つのクロマトグラフィーカラムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記生成物ランタニドが、ルテチウムであり、前記非生成物ランタニドが、イッテルビウムである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、前記非生成物ランタニドが、
176Ybである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを電気分解によって分離する方法であって、前記方法が、予備電気分解のステップを含み、アルカリ金属塩を含む初期電解質溶液は、前記初期電解質溶液の前記アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンの少なくとも一部分が還元され、前記水銀陰極にアマルガム化されるように、電気分解によって調節される、方法。
【請求項19】
前記初期電解質溶液が、約0.15M~約0.90M、より好ましくは0.30M~0.75M、最も好ましくは0.40M~0.60Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アルカリ金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンからなる群から選択され、好ましくはリチウムイオンである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルカリ金属塩が、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリ金属塩が、クエン酸リチウムである、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを電気分解によって分離することが、前記混合物の電気分解中に塩基を添加することによって、前記混合物のpHを約6.0~約7.0に制御することを含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムである、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記pHが、約6.5に制御される、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記混合物を電気分解することが、水銀陰極を含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記混合物を電気分解することが、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金又は組み合わせからなる群から選択される陽極金属、好ましくは白金を含む、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記混合物を電気分解することが、40~120、好ましくは60~100、より好ましくは70~90、最も好ましくは75~85cm
2の表面積を有する水銀陰極の使用、及び200~400、好ましくは250~350、より好ましくは260~320、最も好ましくは280~300rpmの頻度で前記水銀陰極を撹拌することを含む、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記混合物を電気分解することが、前記混合物中にある前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを、トリフルオロメタンスルホン酸によって溶解することを含む、請求項18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
電気分解後、イオン交換のステップが、陰イオン交換樹脂を使用して実行される、請求項18~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
クロマトグラフィー分離のステップが、前記イオン交換のステップの前又は後に実行される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記生成物ランタニドが、ルテチウムであり、前記非生成物ランタニドが、イッテルビウムである、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、前記非生成物ランタニドが、
176Ybである、請求項18~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記混合物を、少なくとも185GBqの前記混合物の放射能で電気分解することを含む、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記混合物中にある前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドが、前記混合物を酸化物として含む照射されたターゲットに由来し、好ましくは、前記照射されたターゲットが、約0.5g~約10gの範囲の質量及び約555Gbq~約15000Gbqの範囲の放射能を有する、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを電気分解によって分離する方法であって、40~120cm
2、好ましくは60~100cm
2、より好ましくは70~90cm
2、及び最も好ましくは75~85cm
2の表面積を有する水銀陰極の使用、並びに200~400rpm、好ましくは250~350rpm、より好ましくは260~320rpm、及び最も好ましくは280~300rpmの速度で前記水銀陰極を撹拌することを含む、方法。
【請求項38】
前記混合物を電気分解することが、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金又は組み合わせからなる群から選択される陽極金属、好ましくは白金を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを電気分解によって分離することが、前記混合物の電気分解中に塩基を添加することによって、前記混合物のpHを約6.0~約7.0に制御することを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムである、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記pHが、約6.5に制御される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記混合物を電気分解することが、予備電気分解のステップを含み、アルカリ金属塩を含む初期電解質溶液が、前記初期電解質溶液の前記アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンの少なくとも一部分が、還元され、前記水銀陰極にアマルガム化されるように、電気分解によって調節される、請求項37~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記混合物を電気分解することが、前記混合物中にある前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを、トリフルオロメタンスルホン酸によって溶解することを含む、請求項37~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
電気分解後、イオン交換のステップが、陰イオン交換樹脂を使用して実行される、請求項37~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
クロマトグラフィー分離のステップが、前記イオン交換のステップの前又は後に実行される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記クロマトグラフィー分離のステップが、1つのクロマトグラフィーカラムのみを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記クロマトグラフィー分離のステップが、平行に接続された2つのクロマトグラフィーカラムを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記生成物ランタニドが、ルテチウムであり、前記非生成物ランタニドが、イッテルビウムである、請求項37~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、前記非生成物ランタニドが、
176Ybである、請求項37~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法であって、
前記混合物中にある前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを、トリフルオロメタンスルホン酸を含む溶媒中に溶解することと、
前記溶媒中で前記溶解された混合物を電気分解し、それによって、前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを分離することと、を含む、方法。
【請求項52】
トリフルオロメタンスルホン酸を含む前記溶媒が、2M~4M、好ましくは3~3.5Mの濃度を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを電気分解によって分離することが、前記混合物の電気分解中に塩基を添加することによって、前記混合物のpHを約6.0~約7.0に制御することを含む、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムである、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
前記pHが、約6.5に制御される、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記混合物を電気分解することが、水銀陰極を含む、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記混合物を電気分解することが、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金又は組み合わせからなる群から選択される陽極金属、好ましくは白金を含む、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記混合物を電気分解することが、予備電気分解のステップを含み、アルカリ金属塩を含む初期電解質溶液が、前記初期電解質溶液の前記アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンの少なくとも一部分が、還元され、前記水銀陰極にアマルガム化されるように、電気分解によって調節される、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
混合物中にある前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドが、前記混合物を酸化物として含む照射されたターゲットに由来し、好ましくは、前記照射されたターゲットが、約0.5g~約10gの範囲の質量及び約555Gbq~約15000Gbqの範囲の放射能を有する、請求項51~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
電気分解後、イオン交換のステップが、陰イオン交換樹脂を使用して実行される、請求項51~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
クロマトグラフィー分離のステップが、前記イオン交換のステップの前又は後に実行される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記クロマトグラフィー分離のステップが、1つのクロマトグラフィーカラムのみを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記クロマトグラフィー分離のステップが、直列に接続された2つのクロマトグラフィーカラムを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記生成物ランタニドが、ルテチウムであり、前記非生成物ランタニドが、イッテルビウムである、請求項51~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、前記非生成物ランタニドが、
176Ybである、請求項51~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
混合物中にある生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する方法であって、前記方法が、
a.電気化学セルを提供することであって、前記電気化学セルが、
i.水銀陰極、
ii.陽極、並びに
iii.水を含む初期溶媒中に溶解されたアルカリ金属塩からのアルカリ金属イオンを含む初期電解質溶液であって、前記初期電解質溶液が、前記水銀陰極及び前記陽極と接触している、初期電解質溶液を含む、提供することと、
b.前記電気化学セル内の前記初期電解質溶液に第2の溶液を添加して、前記水銀陰極並びに前記陽極と接触している分離電解質溶液を形成することであって、前記第2の溶液が、
i.前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを含む混合物、並びに
ii.前記陽極及び前記水銀陰極と反応することなく、前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを含む前記混合物を溶解することができる第2の溶媒を含む、形成することと、
c.前記非生成物ランタニドを前記分離電解質溶液から分離することであって、前記分離することが、前記電気化学セルを動作させて、
i.前記非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元すること、
ii.還元された非生成物ランタニドを前記水銀陰極の前記水銀とアマルガム化させること、並びに
iii.溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液を回収することを含む、分離することと、を含み、
それによって生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する、方法。
【請求項68】
前記第2の溶液を前記初期電解質溶液に添加する前に、前記提供された電気化学セルを調節することを更に含み、前記提供された電気化学セルを調節することが、前記電気化学セルを動作させて、前記初期電解質溶液中のアルカリ金属イオンの少なくとも一部分の酸化状態を還元し、前記水銀陰極がアルカリ金属アマルガムを追加的に含むように、還元されたアルカリ金属を前記水銀陰極の水銀とアマルガム化させることを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記生成物ランタニドが、ルテチウムであり、前記非生成物ランタニドが、イッテルビウムである、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、前記非生成物ランタニドが、
176Ybである、請求項67~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
提供された水銀陰極の前記水銀が、約99.999%純粋である、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記陽極が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金、混合物、又は組み合わせからなる群から選択される金属を含む、請求項67~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記陽極が、白金を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記陽極が、約10cm
2~約40cm
2の範囲、好ましくは約25cm
2~約35cm
2の範囲の表面積を有する、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項75】
前記陰極が、約40cm
2~約120cm
2の範囲、好ましくは約60cm
2~約100cm
2の範囲、より好ましくは約70cm
2~約90cm
2の範囲、及び最も好ましくは約75cm
2~約85cm
2の範囲の表面積を有する、請求項67~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
陰極表面積が、前記電気化学セルを動作させて、前記分離電解質溶液から前記非生成物ランタニドを分離しながらリフレッシュされ、前記陰極の前記表面積が、前記分離電解質溶液との界面又はその近くの前記水銀が、前記界面から前記水銀陰極の体積に延びる反応生成物(複数可)の層の形成の前に前記界面から離れて輸送されるように、前記水銀陰極の前記水銀を流動させることによってリフレッシュされ、前記層が、前記非生成物ランタニドの前記酸化状態の前記還元及び/又は前記還元された非生成物ランタニドのアマルガム化を阻害するであろう、請求項67~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記電気化学セルが、前記水銀陰極の前記水銀を流動させるためのフローデバイスを含み、前記フローデバイスが、前記水銀を流動させて、前記水銀陰極の底部のアマルガム化された固体を乱すことなく、前記陰極の前記表面積をリフレッシュするように構成され、動作する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記水銀陰極が、約75cm
2~約85cm
2の範囲の表面積を有し、前記フローデバイスが、280~300rpmの範囲の速度で動作する、長さ約3.56cm、及び直径約1.14cmの円筒形撹拌棒である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記初期電解質溶液が、約0.15M~約0.90M、より好ましくは0.30M~0.75M、及び最も好ましくは0.40M~0.60Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有する、請求項67~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記アルカリ金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンからなる群から選択され、好ましくはリチウムイオンである、請求項67~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記アルカリ金属塩が、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項67~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記アルカリ金属塩が、クエン酸リチウムである、請求項67~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記電気化学セルを調節することが、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、請求項68~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記電気化学セルを調節することが、前記陰極を流動させながら、約6.0~約7.0の範囲にある調節pH、約10℃~約30℃の範囲の調節温度、約5V~約10Vの範囲の調節電位で、かつ約1アンペア~約4アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約2時間の範囲の調節持続時間、前記電気化学セルを動作させることを含む、請求項68~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の溶媒が、トリフルオロメタンスルホン酸である、請求項67~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第2の溶媒の濃度が、2M~4M、好ましくは3~3.5Mである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
ステップ(c)が、前記陰極を流動させながら、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、請求項67~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記ステップ(c)が、6.0~7.0の範囲にある、好ましくは6.5である分離pHで前記電気化学セルを動作させることを含む、請求項67~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記ステップ(c)が、約6.0~約7.0の範囲にある分離pHで、約10℃~約30℃の範囲の分離温度、約5V~約10Vの範囲の分離電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の分離電流で、約0.5時間~約4時間の範囲の分離持続時間、前記電気化学セルを動作させることを含む、請求項67~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記生成物ランタニドが、ルテチウムであり、
前記非生成物ランタニドが、イッテルビウムであり、
提供された水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、
前記陽極が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金、混合物、又は組み合わせからなる群から選択される金属を含み、
前記初期電解質溶液が、約0.15M~約0.90Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し、前記アルカリ金属塩が、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記第2の溶媒が、トリフルオロメタンスルホン酸であり、
ステップ(c)が、前記陰極をかき混ぜながら、約6.0~約7.0の範囲にある分離pHで、約10℃~約30℃の範囲の分離温度、約5V~約10Vの範囲の分離電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の分離電流で、約0.5時間~約4時間の範囲の分離持続時間、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含み、
前記方法が、前記第2の溶液を前記初期電解質溶液に添加する前に、前記提供された電気化学セルを調節することを更に含み、前記提供された電気化学セルを調節することが、前記陰極を流動させながら、約6.0~約7.0の範囲にある調節pH、約10℃~約30℃の範囲の調節温度、約5V~約10Vの範囲の調節電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約2時間の範囲の調節持続時間、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させて、前記初期電解質溶液中の前記アルカリ金属イオンの少なくとも一部分の前記酸化状態を還元し、前記水銀陰極がアルカリ金属アマルガムを追加的に含むように、還元されたアルカリ金属を前記水銀陰極の水銀とアマルガム化させることを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項91】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、
前記非生成物ランタニドが、
176Ybであり、
提供された水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、
前記陽極が、白金を含み、前記陽極が、約10cm
2~約40cm
2の範囲の表面積を有し、
前記初期電解質溶液が、約0.30M~約0.75Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し、前記アルカリ金属塩が、クエン酸リチウムであり、前記初期溶媒が、水であり、
前記第2の溶媒が、約2M~約4Mの範囲の濃度のトリフルオロメタンスルホン酸であり、
ステップ(c)が、前記陰極をかき混ぜながら、約6.3~約6.7の範囲にある分離pH、約15℃~約25℃の範囲の分離温度、約7V~約9Vの範囲の分離電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の分離電流で、約1.5時間~約2.5時間の範囲の分離持続時間、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含み、
前記方法が、前記第2の溶液を前記初期電解質溶液に添加する前に、前記提供された電気化学セルを調節することを更に含み、前記提供された電気化学セルを調節することが、前記陰極をかき混ぜながら、約6.3~約6.7の範囲にある調節pH、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約7V~約9Vの範囲の調節電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約1.5時間の範囲の調節持続時間、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項92】
前記生成物ランタニドが、
177Luであり、
前記非生成物ランタニドが、
176Ybであり、
提供された水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、
前記陽極が、白金であり、前記陽極が、約25cm
2~約35cm
2の範囲の表面積を有し、
前記初期電解質溶液が、0.40M~約0.60Mの範囲のリチウムイオン濃度でアルカリ金属塩としてクエン酸リチウムを有し、前記初期溶媒が、水であり、
前記第2の溶媒が、約3M~約3.5Mの範囲の濃度のトリフルオロメタンスルホン酸であり、
ステップ(c)が、前記陰極をかき混ぜながら、約15℃~約25℃の範囲の分離温度、約6.5である分離pHで、約2時間の分離持続時間、並びに約8Vの分離電位及び約2.5アンペアの分離電流で、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含み、
前記方法が、前記第2の溶液を前記初期電解質溶液に添加する前に、前記提供された電気化学セルを調節することを更に含み、前記提供された電気化学セルを調節することが、前記陰極をかき混ぜながら、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約6.5である調節pH、約8Vの調節電位、及び約2アンペアの調節電流で、約1時間の調節持続時間、前記電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項93】
前記調節中の前記調節pH、若しくは分離ステップ(c)中の前記分離pH、又は前記調節pH及び前記分離pHが、塩基の添加を介して制御される、請求項82~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記分離pHを制御することが、周期的又は連続的である、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記分離pHを制御することが、水酸化リチウム溶液の増分添加によるものである、請求項93~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記水酸化リチウム溶液が、約3Mの濃度を有する、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記不活性雰囲気が、約大気圧でのアルゴンパージである、請求項83~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記アルゴンパージが、前記陰極を調節する直前の少なくとも30分間実行される、請求項83~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記調節ステップの直後に、前記陰極が、前記水銀に対して約50ppm~約1,000ppmの範囲にある濃度の還元されたアルカリ金属、好ましくはリチウムを含む、請求項68~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記調節ステップの直後に、前記陰極が、前記水銀に対して約100ppm~約800ppmの範囲にある濃度の還元されたアルカリ金属、好ましくはリチウムを含む、請求項68~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記調節ステップの直後に、前記陰極が、前記水銀に対して約150ppm~約500ppmの範囲にある濃度の還元されたアルカリ金属、好ましくはリチウムを含む、請求項68~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む前記混合物が、前記混合物を酸化物として含む照射されたターゲットからのものであり、好ましくは、前記照射されたターゲットが、約0.5g~約10gの範囲の質量及び約555Gbq~約9250Gbqの範囲の放射能を有する、請求項67~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを酸化物として含む前記混合物を含む前記照射されたターゲットを、溶解容器内の前記第2の溶媒中に溶解することを更に含み、
前記第2の溶液を前記初期電解質溶液に添加する前記ステップが、前記溶解容器の内容物を前記初期電解質溶液に添加することを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記溶解容器をある体積のすすぎ溶液ですすぐことを更に含み、前記すすぎ溶液が、酒石酸リチウム、酢酸リチウム、クエン酸リチウム、及び組み合わせからなる群から選択される溶解されたリチウム塩を含み、
前記第2の溶液を前記初期電解質溶液に添加する前記ステップが、前記溶解容器をすすぐために使用された前記体積の前記すすぎ溶液を前記初期電解質溶液に添加することを更に含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記すすぎ溶液が、1.0~1.5Mのクエン酸リチウム水溶液である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記第2の溶液が、約1,000:1~約4,000:1の範囲にある非生成物ランタニド対生成物ランタニドの質量比を有する、請求項67~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記分離ステップ(c)が、前記分離電解質溶液中の前記非生成物ランタニドの少なくとも90%が、還元され、前記水銀陰極の前記水銀とアマルガム化されるまでの、前記電気化学セルの単一の連続動作である、請求項67~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記分離ステップ(c)が、前記分離電解質溶液中の前記非生成物ランタニドの少なくとも99%が、還元され、前記水銀陰極の前記水銀とアマルガム化されるまでの、前記電気化学セルの単一の連続動作である、請求項67~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記溶解された生成物ランタニドを含む前記生成物溶液が、20ppm以下の水銀を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記溶解された生成物ランタニドを陰イオン交換樹脂と接触させ、それによって前記生成物溶液中の溶解された水銀を還元することと、
イオン交換生成物溶液を回収することと、を含む、前記生成物溶液のイオン交換のステップを更に含む、請求項67~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記イオン交換のステップが、塩酸水溶液の使用を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記イオン交換のステップが、
ある体積の塩酸溶液を前記生成溶液に添加して、酸性化された溶液を形成することと、
水銀イオンが前記陰イオン交換樹脂に吸着して、溶解された生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンを含む還元水銀溶液を形成するように、前記酸性化された溶液を前記陰イオン交換樹脂を含むイオン交換カラムに通過させることと、
前記酸性化された溶液の前記通過後に、すすぎ液を前記イオン交換カラムに通過させて、前記イオン交換カラム内の前記生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンの残量を収集することと、を含み、
前記還元水銀溶液、前記通過したすすぎ液、又はそれらの組み合わせが、前記イオン交換生成物溶液である、請求項112又は113に記載の方法。
【請求項115】
前記塩酸溶液が、11.5Mの水性HClであり、
前記陰イオン交換樹脂が、スチレン-ジビニルベンゼン系樹脂であり、
前記すすぎ液が、0.15MのHCl水溶液である、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記イオン交換生成物溶液が、10ppb以下である水銀の濃度を有する、請求項114又は115に記載の方法。
【請求項117】
前記イオン交換生成物溶液のクロマトグラフィー分離を実施して、生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンを分離することを更に含む、請求項67~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記クロマトグラフィー分離が、
前記イオン交換生成物溶液を、アルカリ金属イオンを吸着させずに生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを吸着させることができるクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィーカラムに充填し、それによって生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを吸着させることと、
前記充填されたクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー洗浄溶液で洗浄して、前記クロマトグラフィー樹脂から生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを脱着させることなく、前記クロマトグラフィーカラムからアルカリ金属イオンを除去することと、
クロマトグラフィー溶離溶液を、吸着された生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを有する前記洗浄されたクロマトグラフィーカラムに通過させることであって、前記生成物ランタニド及び非生成物ランタニドが、前記クロマトグラフィー樹脂から脱着し、前記カラムのそれぞれの分布係数に従って、異なる速度で前記クロマトグラフィー溶離溶液中の前記カラムを通って移動するときに分離し、それによって、前記生成物ランタニド及び前記非生成物ランタニドを、それぞれ、生成物ランタニド含有溶出液及び非生成物ランタニド含有溶出液に分離する、通過させることと、を含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記クロマトグラフィー樹脂が、不活性支持体上のリン酸のアルキル誘導体を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記リン酸のアルキル誘導体が、ジ(2-エチルヘキシル)オルトリン酸(HDEHP)、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル(HEH[EHP])、及びジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])からなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記クロマトグラフィー樹脂が、不活性支持体上のアルキルリン酸アルキルエステルを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項122】
前記クロマトグラフィー樹脂が、不活性支持体上の(2-エチルヘキシル)ホスホン酸-(2-エチルヘキシル)-エステル(HEH[EHP])を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項123】
前記クロマトグラフィー洗浄溶液が、0.15MのHCl水溶液であり、
前記クロマトグラフィー溶離溶液が、1.4~1.5MのHCl水溶液であり、
前記クロマトグラフィーカラムが、クロマトグラフィー分離プロセス中に約40℃~約55℃の範囲の温度にある、請求項118~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記イオン交換のステップが、クロマトグラフィー分離のステップの前又は後に実行される、請求項117~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記イオン交換のステップが、クロマトグラフィー分離のステップの前に実行される、請求項117~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記クロマトグラフィー分離プロセスが、前記イオン交換生成物溶液内で水銀を更に分離し、それによって、1ppb以下である水銀の濃度を有する前記生成物ランタニド含有溶出液をもたらす、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
不活性雰囲気下で前記生成物ランタニド含有溶出液を加熱して、生成物ランタニドを含む固体残渣を形成することによって、前記生成物ランタニド含有溶出液を再配合するステップを更に含む、請求項125又は126に記載の方法。
【請求項128】
前記固体残渣の前記生成物ランタニドが、生成物ランタニド塩化物水和物である、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記固体残渣の前記生成物ランタニドが、
177LuCl
3・nH
2Oである、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記
177LuCl
3・nH
2Oが、約2900GBq/mg~約4070GBq/mgの範囲の比活性(specific activity)を有する、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
非生成物ランタニドを、以下のステップ:
前記水銀陰極及び前記電気化学セルを酸性溶液と接触させて、その中で非生成物ランタニドを抽出して、非生成物ランタニド含有溶液を形成すること、
非生成物ランタニドを、精製された非生成物ランタニド含有溶液からシュウ酸で沈殿させて、非生成物ランタニドシュウ酸塩を形成すること、並びに
前記非生成物ランタニドシュウ酸塩を加熱して、回収された非生成物酸化ランタニドを形成すること、によって回収することを更に含む、請求項67~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記非生成物ランタニドシュウ酸塩が、
176Yb
2(O
x)
3であり、前記回収された非生成物酸化ランタニドが、
176Yb
2O
3である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a.
177Luの溶液を生成する方法であって、前記方法が、
生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物を提供すること、
前記生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを、請求項117~132のいずれか一項に記載の方法に従って分離すること、を含み、
前記クロマトグラフィー分離のステップの後に、前記生成物ランタニドを含む溶出液を不活性雰囲気中で濃縮し、
生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a
177Luを含む溶液を回収する、方法。
【請求項134】
前記生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニドを含む前記回収された溶液が、98%を超える非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド、好ましくは99%を超えるn.c.a.
177Luを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニドを含む前記回収された溶液が、98%を超える非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド、好ましくは≧2900GBq/mgの比活性を有する99%を超えるn.c.a.
177Luを含む、請求項133又は134に記載の方法。
【請求項136】
前記方法が、約0.5~10gかつ約555GBq~15000Gbqの生成物ランタニド及び非生成物ランタニドの混合物を提供することを含む、請求項133~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
生成物放射性ランタニド及び非生成物ランタニドの前記混合物が、中性子照射を
176Yb、好ましくは酸化イッテルビウムのターゲットに適用して、放射性同位体
177Ybを生成することと、前記ターゲットが、ベータ崩壊後、崩壊して、
177Ybから
177Luを生成することを可能にすることと、によって、生成された、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、2021年12月21日に出願された米国仮特許出願第63/292,286号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、診断及び/又は治療目的で、特に、核医学で使用するためのランタニドを分離するための方法、特に、非担体添加(n.c.a)177Luを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ルテチウム-177(177Lu)は、(n,γ)反応を介して入手可能である。原子炉での177Lu生成には2つの方法がある。1つの方法は、176Luの照射を含み、177Luの直接形成につながる。しかしながら、この方法は、準安定な177mLu異性体の同時形成をもたらす。この長寿命の異性体(半減期160日)の存在は、177Luの放射性核種純度を著しく低減させる。長寿命の異性体はまた、廃棄物処理に関する深刻な問題をもたらす。
【0004】
第2の方法は、短寿命の放射性同位体イッテルビウム-177(177Yb)(半減期1.9時間)のベータ崩壊を含み、これは、濃縮された176Yb(>99%)ターゲットの中性子捕捉によって生成される。しかしながら、176Yb(n、γ)~177Yb反応(2.85バーン)の低熱中性子断面積は、ターゲットの総質量と比較して、非常に少量の所望の177Luの産生をもたらす。核医学では、高い比活性(specific activity)及び高い放射性核種純度を有する放射性同位体が必要とされるため、最大の比活性を有する非担体添加(n.c.a)177Luを得るように、微量の177Luをかなりの量の176Ybから分離する必要がある(米国特許第6,716,353B1号)。
【0005】
2つのランタニドの分離は、それらの類似した化学的特性のために困難である。既知の分離方法としては、イオン交換クロマトグラフィー及び抽出クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー方法が挙げられる(米国特許第6,716,353B1号、G.Choppin,R.Silva,Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry,1956,vol.3,no.2,pp.153-154)。中性子捕捉後の処理されたターゲットにおけるYb:Luの質量比が高いため、177Luの分離は、過剰な量の高価なクロマトグラフィー樹脂を必要とし、多段階プロセスを伴うため、特に商業生産に関して、全体的なプロセス時間が望ましくないほど長くなる(E.Horwitz,D.McAlister,A.Bond,R.Barans,J.Williamsons,A process for the separation of 177Lu from neutron irradiated 176Yb targets,Applied Radiation and Isotopes,2005,vol.63,no.1,pp.23-36、L.Van So,N.Morcos,M.Zaw,P.Pellegrini,I.Greguric et al.,Alternative chromatographic processes for no-carrier added 177Lu radioisotope separation.Part I.Multi-column chromatographic process for clinically applicable,Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry,2008,vol.277,no.3,pp.663-673,675-683)。更に、クロマトグラフィー方法は、最大1000:1のYb:Lu質量比でのみ許容可能な分離度を達成する(R.Mikolajczak,“Separation of microgram quantities of Lu-177 from milligram amounts of Yb by the extraction chromatography”,5th International Conference on Isotopes,Brussels,2005)。しかしながら、処理されたターゲットの質量比Yb:Luは、通常、1桁以上著しく高くなる。
【0006】
代替方法は、Yb3+のYb2+への電解還元及び水銀電極への吸着(アマルガム化)による177Lu/Ybの混合物からのイッテルビウムの選択的抽出である(A.Bilewicz,K.Zuchowska,B.Bartos,Separation of Yb as YbSO4 from the 176Yb target for production of 177Lu via the 176Yb(n,γ)177Yb→177Lu process,Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry,2009,vol.280,no.1,pp.167-169、N.A.Lebedev,A.F.Novgorodov,R.Misiak,J.Brockmann,F.Rosch,Radiochemical separation of no-carrier-added 177Lu as produced via the 176Yb(n,γ)177Yb→177Lu process,Applied Radiation and Isotopes,2000,vol.53,no.3,pp.421-425)。最近、R.Chakravarty et al.は、クロマトグラフィー精製ステップがない場合、99%のイッテルビウム分離収率をもたらすとされる2つの電気分解ステップを含むプロセスを報告した(R.Chakravarty,T.Das.A.Dash,M.Venkatesh,Radiochemical separation of no-carrier-added 177Lu as produced via the 176Yb177Yb 177Lu process,Nuclear Medicine and Biology,2010,vol.37,no.7,pp.811-820)。しかしながら、公開された分離収率を確認しようと試みたところ、アマルガム化も伴う2段階の電気分解プロセスの後のわずか82%の分離収率であった(I.Cieszykowska,M.Zoltowska,M.Mielcarski,Separation of ytterbium from 177Lu/Yb mixture by electrolytic reduction and amalgamation,SOP Transactions on Applied Chemistry 2014,vol.1,no.2,pp.6-13)。これらの著者は、3段階の電気分解によって94%の分離収率を達成したが、このプロセスは非常に高いレベルの純度のn.c.a177Luを得るのに十分ではないと述べている。
【0007】
したがって、177Luを176Yb及び他の不純物から非常に高い分離を達成する時間効率の良い方法に対する必要性が依然として存在する。177Luの商業生産のために、中性子捕捉後に数グラムの処理されたターゲットを処理することを可能にするプロセスも必要である。高比活性でn.c.a177Luを調製するための方法に対する必要性も存在する。
【0008】
発明の概要
本開示は、混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法であって、混合物を電解することによって生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離することと、混合物の電気分解中に塩基を添加することによって混合物のpHを約6.0~約7.0に制御することと、を含む、方法に関する。塩基は、アルカリ金属水酸化物であり、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムであり得る。塩基を添加することによって、pHは、好ましくは約6.5に制御され得る。pHの制御は、周期的又は連続的であり得る。これまでの結果は、塩基を使用してpHを6.5で制御することが、より低いpHを使用することと比較して、イッテルビウムの還元(例えば、最大99%)を著しく改善することを示唆している。更に、発明者らは、電気分解中の塩酸の添加によるイッテルビウム還元の高い収率を示す公表された結果を再現することができなかった。
【0009】
本開示はまた、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法であって、予備電気分解のステップを含み、アルカリ金属塩を含む初期電解質溶液が、初期電解質溶液のアルカリ金属塩のアルカリ金属イオンの少なくとも一部分が、還元されて、水銀アマルガムを形成するように、電気分解によって調節される、方法に関する。
【0010】
アルカリ金属塩は、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせから選択され得る。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、又はカリウムであり得る。一実施形態では、クエン酸リチウムが使用される。電気化学セルを調節するステップによって、リチウムイオンの少なくとも一部分の酸化状態が還元され、還元されたリチウムが水銀陰極とアマルガム化される。特定の理論に拘束されることなく、これまでの結果は、初期電解質溶液を調節することが、本明細書に開示される電気化学的分離のスケール及び有効性に実質的に寄与することを示唆する。
【0011】
本開示はまた、混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを電気分解によって分離する方法であって、電気分解中に「リフレッシュされた」表面積を有する水銀陰極を使用して電解分離を行うことを含む、方法に関する。より具体的には、水銀陰極の表面積は、水銀をかき混ぜる又は流動させる又は循環させることによって、電気分解中にリフレッシュされ、ランタニド混合物を含む分離電解質溶液との界面又はその近くの水銀は、比較的短い期間後に界面から離れて輸送される。この流れは、界面から水銀陰極の体積に延びる反応生成物(複数可)の層の形成を制限するか、又は更に防止することを意図しており、当該層は、水銀とランタニド混合物との間の更なる反応(例えば、非生成物ランタニドの酸化状態の還元及び/又は還元された非生成物ランタニドのアマルガム化)を阻害する傾向があるであろう。水銀の前述の流れは、ポンプ(例えば、回転ローブ、回転歯車、ピストン、ねじ、ダイヤフラムなど)、インペラ、プロペラ、及び/又は撹拌棒などの電気分解システム用に構成された任意の適切なデバイスを使用して達成され得る。一実施形態では、電気分解デバイスに撹拌棒を一体化することが容易であるため、撹拌棒が利用される。
【0012】
これまでの結果は、フローデバイスが、水銀陰極の底部からアマルガム化された固体を移動させる(又はアマルガム化された固体を乱す)ことなく、阻害反応生成物層の形成を制限又は防止するように、水銀を十分に流動させるように、選択され、構成され、及び動作する必要があり、なぜなら、そうすることがシステムのpHを変化させる傾向があるためであることを示唆している。例えば、280~300rpmの範囲の速度で、長さ3.56cm及び直径1.14cm(最大エネルギー積52メガガウスエルステッド(MGO))の寸法を有するPEEKカプセル化円筒形希土類(NdBFe)磁石を回転させることによって、アマルガム化された固体を撹拌することなく、78.5cm2の表面積を有する水銀陰極をリフレッシュし得る。
【0013】
表面積及び表面積のリフレッシュ速度を選択又は制御することを使用して、イッテルビウムのルテチウムからの電気化学的分離の速度に影響を与え得る。例えば、水銀の流れを維持しながら、水銀陰極及び電解質の表面積を44cm2から78.5cm2に増加させることにより(電解質の体積は維持されたが、水銀の体積を76cm3から101cm3に増加させて、円筒形の丸底フラスコである反応容器内の表面積の増加を達成した)、0.045から0.12min-1に増加する一次速度定数に反映される分離速度を増加させた。流れを、水銀陰極の上部に位置する長さ3.56cm×直径1.14cmの撹拌棒を使用して維持し、280~300rpmの範囲の速度で回転させた。白金陽極は変更されたが、陽極表面積及び陽極-陰極間隔を変化させる実験では、性能の違いが、陰極-電解質界面の表面積の増加によるものであることが示された。また、電解質の循環速度は、電解分離の効率にほとんど影響を及ぼさないようであった。更に、適切な量を超えるYbがより少ない体積の水銀にアマルガム化されたため、水銀の容量は制御要因ではなかった。別の言い方をすれば、分離効率の増加は、ほぼ完全に、水銀陰極の表面積がリフレッシュされた速度に起因すると考えられる。水銀陰極の表面積は、約40~120、60~100、又は70~90、又は75~85cm2の範囲から選択され得る。撹拌の速度は、200~400、250~350、260~320、又は280~300rpmの範囲から選択され得る。
【0014】
本開示はまた、混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法であって、混合物中にある生成物ランタニド及び非生成物ランタニドをトリフルオロメタンスルホン酸を含む溶媒によって溶解することと、混合物を電気分解することと、を含む、方法に関する。一実施形態では、トリフルオロメタンスルホン酸を含む溶媒は、3M~4Mの範囲の濃度を有する。別の実施形態では、トリフルオロメタンスルホン酸を含む溶媒は、3.2M~3.6Mの範囲の濃度を有する。この酸の使用は、白金電極を侵食し、かつ水銀を酸化させる傾向があり、それによって電極の再使用、特に水銀陰極の再使用を制限する、塩酸又は他の塩化物源の使用の欠点を回避する。
【0015】
特定の実施形態では、本開示は、混合物中にある生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する方法であって、
(a)電気化学セルを提供することであって、電気化学セルが、水銀陰極、
陽極、並びに
水を含む初期溶媒中に溶解されたアルカリ金属塩からのアルカリ金属イオンを含む初期電解質溶液であって、初期電解質溶液が、水銀陰極及び陽極と接触している、初期電解質溶液を含む、提供することと、
(b)電気化学セル内の初期電解質溶液に第2の溶液を添加して、水銀陰極並びに陽極と接触している分離電解質溶液を形成することであって、第2の溶液が、
生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物、並びに
陽極及び水銀陰極と反応することなく、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物を溶解することができる第2の溶媒を含む、形成すること、
(c)非生成物ランタニドを分離電解質溶液から分離することであって、当該分離することが、電気化学セルを動作させて、
非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元し、生成物ランタニドを水銀陰極に著しく組み込むことなく、還元された非生成物ランタニドを水銀陰極の水銀とアマルガム化させること、並びに
溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液を回収することを含む、分離すること、を含み、それによって生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する、方法に関する。
【0016】
特定の一実施形態では、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法は、陰イオン交換樹脂及び塩酸水溶液を使用したイオン交換のステップを含み得、それによって、溶解された水銀イオンの少なくとも一部を分離する。
【0017】
特定の一実施形態では、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法は、生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンのクロマトグラフィー分離のステップを含み得る。
【0018】
本開示はまた、生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a177Luの溶液を生成する方法であって、当該方法が、
-生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物を提供すること、
-本明細書に記載の分離方法に従って、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離することを含み、
-クロマトグラフィー分離のステップの後に、生成物ランタニドを含む溶出液を不活性雰囲気中で濃縮し、
-生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a177Luを含む溶液を回収する、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】時間の関数としてのYbの回収率のグラフである。
【
図2】時間の関数としてのYbの回収の自然対数のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
電気分解のステップ
本開示の分離の方法は、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物から始まる、生成物ランタニドの非生成物ランタニドからの分離を達成する。本開示の生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法は、電気化学セルを利用する電気分解のステップを含む。
特定の実施形態では、混合物中に存在する生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する方法は、
(a)電気化学セルを提供するステップであって、電気化学セルが、
-水銀陰極、
-陽極、並びに
水を含む初期溶媒中に溶解されたアルカリ金属塩からのアルカリ金属イオンを含む初期電解質溶液であって、初期電解質溶液が、水銀陰極及び陽極と接触している、初期電解質溶液を含む、提供するステップと、
(b)電気化学セル内の初期電解質溶液に第2の溶液を添加して、水銀陰極並びに陽極と接触している分離電解質溶液を形成することであって、第2の溶液が、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物、並びに生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物を、陽極及び水銀陰極と反応することなく溶解することができる第2の溶媒を含む、形成するステップ、
(c)非生成物ランタニドを分離電解質溶液から分離するステップであって、当該分離することが、
-電気化学セルを動作させて、非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元し、生成物ランタニドを水銀陰極に著しく組み込むことなく、還元された非生成物ランタニドを水銀陰極にアマルガム化させること、並びに-溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液を回収すること、を含む、分離するステップを含み、
それによって生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する。
【0021】
本方法の一実施例では、生成物ランタニドは、ルテチウム(Lu)であり、非生成物ランタニドは、イッテルビウム(Yb)である。本方法の一実施例では、生成物ランタニドは、放射性核種177Luであり、非生成物ランタニドは、176Ybである。
【0022】
特定の実施形態では、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物は、任意の起源のものであり得る。一実施例では、当該混合物は、当該混合物を酸化物として含む照射されたターゲットであり得る。照射された酸化物ターゲットは、約0.5g~10gの範囲の質量、及び約555GBq~約15000GBqの範囲の放射能を有し得る。照射された酸化物ターゲットは、176Yb、好ましくは濃縮された176Ybのターゲットに中性子照射を適用することと、ターゲットが、短寿命の放射性同位体177Yb(半減期1.9時間)のベータ崩壊を介して崩壊して、177Luを生成することを可能にすることと、によって生成され得る。一実施例では、176Ybターゲットは、酸化イッテルビウム(Yb2O3)を含む。
【0023】
したがって、一実施例では、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物は、177Lu及び176Ybの混合物を含む照射ターゲットであってもよい。一実施例では、当該混合物は、酸化物として177Lu及び176Yb、すなわち、177Lu2O3及び176Yb2O3を含み得る。
【0024】
特定の実施形態では、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物は、約1000:1~約4000:1の非生成物ランタニド対生成物ランタニドの質量比を有し得る。特定の実施形態では、生成物ランタニド177Lu及び非生成物ランタニド176Ybを含む混合物は、約1000:1~約4000:1の176Yb対177Luの質量比を有し得る。
【0025】
本方法のステップ(a)では、水銀陰極、陽極、及び初期電解質溶液を含む電気化学セルが提供される。水銀陰極は、少なくとも99重量%の水銀を含む。水銀陰極は、約99.999重量%の水銀であり得る。水銀陰極は、電気化学セルの下部を占有し得る。水銀陰極は、液体であるため、撹拌され得る。水銀陰極は、水銀陰極の上部表面のレベルで撹拌され得る。代替的に、動作中に水銀陰極の中間高さレベルで撹拌され得る。水銀陰極は、78.5cm2の表面積を有する水銀陰極の場合、280~300rpmの範囲の速度で52メガガウスエルステッド(MGO)の最大エネルギー積を有するPEEKカプセル化円筒形希土類(NdBFe)磁石(長さ3.56cm×直径1.14cm)などの撹拌棒で撹拌され得る。水銀陰極の表面積は、約40~120、60~100、又は70~90、又は75~85cm2の範囲から選択され得る。撹拌の速度は、200~400、250~350、260~320、又は280~300rpmの範囲から選択され得る。
【0026】
陽極は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金、混合物、又は組み合わせからなる群から選択される金属(すなわち、陽極金属)を含む。好ましくは、陽極は、白金を含む。特定の実施形態では、陽極は、約10~40cm2、好ましくは25~35cm2の範囲の表面積を有し得る。特定の実施形態では、陽極は、約10~40cm2、好ましくは25~35cm2の範囲の表面積を有する白金を含み得る。陽極は、初期電解質溶液中に配設される。
【0027】
初期電解質溶液は、水を含む初期溶媒中に溶解されたアルカリ金属塩に由来するアルカリ金属イオンを含み、初期電解質溶液は、水銀陰極及び陽極と接触している。アルカリ金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンからなる群から選択され得る。リチウムイオンが好ましい場合がある。特定の実施形態では、初期電解質溶液は、水性溶媒中で約0.15M~0.90M、より好ましくは約0.30M~0.75M、最も好ましくは約0.40M~0.60Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し得る。
【0028】
特定の実施形態では、アルカリ金属塩は、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、アルカリ金属塩は、クエン酸リチウムである。
【0029】
特定の実施形態では、初期電解質溶液は、水に溶解されたクエン酸リチウムに由来する約0.40~0.6Mの濃度のリチウムイオンを含み得、水性クエン酸リチウム溶液は、約0.133M~0.25Mの濃度を有する。
【0030】
陰極及び陽極は、当業者に知られている配線によって、外部に提供される電源に接続されており、電気化学セルから分離されている。例えば、ETFEコーティングされたワイヤは、電解分離及び放射線で使用される化学物質に曝露されたときの劣化に対するそれらの耐性のために選択され得る。
【0031】
特定の実施形態では、本方法のステップ(b)では、第2の溶液を電気化学セル内の初期電解質溶液に添加して、水銀陰極及び陽極と接触している分離電解質溶液を形成する。当該第2の溶液は、上述の生成物ランタニド及び非生成物ランタニドの混合物、並びに陽極及び水銀陰極と反応することなく、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物を溶解することができる第2の溶媒を含む。特定の実施形態では、第2の溶媒は、トリフルオロメタンスルホン酸であり得る。特定の実施形態では、混合物を溶解するために使用される第2の溶媒の濃度は、水性媒体中で3~4M、好ましくは3.2~3.6Mであり得る。
【0032】
第2の溶媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用する利点は、正極又は陽極との望ましくない副反応が抑制されるか、又は回避されることであり、これは、電気分解及びアマルガム化のステップの収率を増加させ、不純物を低減することに寄与する。特に、当該酸は、従来使用されていた塩酸又は他の塩化物源で観察されたように、白金陽極の浸食及び水銀陰極の酸化を回避するため、陽極及び水銀陰極の複数回の再利用が可能である。
【0033】
特定の実施形態では、本方法のステップ(b)は、溶解容器内の第2の溶媒中に、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物を溶解することを更に含み得、第2の溶液を初期電解質溶液に添加するステップは、溶解容器の内容物を初期電解質溶液に添加することを含む。
【0034】
特定の実施形態では、ステップ(b)は、溶解容器をある体積のすすぎ溶液ですすぐことを更に含み得、すすぎ溶液は、上述の溶解されたリチウム塩を含み、他の溶液を初期電解質溶液に添加するステップは、溶解容器をすすぐために使用された当該体積のすすぎ溶液を初期電解質溶液に添加することを更に含む。すすぎ溶液は、1.0~1.5Mのクエン酸リチウム水溶液であり得る。
【0035】
本方法のステップ(c)では、生成物ランタニドを、ステップ(b)で生成された分離電解質溶液から分離する。分離電解質溶液から生成物ランタニドを分離するステップ(c)は、
-電気化学セルを動作させて、非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元し、生成物ランタニドを水銀陰極に著しく組み込むことなく、還元された非生成物ランタニドを水銀陰極にアマルガム化させることと、
-溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液を回収することと、を含み、
-それによって生成物ランタニドと非生成物ランタニドを分離する。
【0036】
電気化学セルは、水銀陰極をかき混ぜ/流動させ/循環させながら、不活性雰囲気下で動作し得る。不活性雰囲気下で動作することは、不活性ガス気泡を分離電解質溶液に通すこと、又は電気化学セルのヘッドスペースをパージすることを含み得る。好ましくは、不活性ガスを、分離電解質溶液を通してバブリングし得る。不活性ガスは、アルゴンであり得る。不活性雰囲気は、約大気圧を有する。
【0037】
水銀陰極をかき混ぜることは、水銀陰極の上部表面のレベルで、又は水銀陰極の中間の高さのレベルで撹拌することを含み得る。
【0038】
特定の実施形態では、非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元することは、イッテルビウム(III)カチオン(Yb3+)を還元し、イッテルビウム金属を陰極とアマルガム化させることを含み得る。
【0039】
典型的には、非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元することは、同位体176イッテルビウム(III)カチオン(Yb3+)を還元し、同位体176イッテルビウム金属を陰極とアマルガム化させることを含み得る。
【0040】
特定の実施形態では、非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元することは、非生成物ランタニドの少なくとも90重量%、好ましくは99重量%が、還元され、陰極にアマルガム化されるまで、電気化学セルを単一の連続動作で動作させることを含み得る。
【0041】
ステップ(c)は、約6.0~約7.0、好ましくは6.5の分離pHで電気化学セルを動作させることを含む。特定の実施形態では、ステップ(c)は、約6.0~約7.0の範囲にある分離pHで、約10℃~約30℃の範囲の分離温度、約5V~約10Vの範囲の分離電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の分離電流で、約0.5時間~約4時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを動作させることを含む。
【0042】
例えば、ステップ(c)は、約6.3~約6.7の範囲にある分離pH、約15℃~約30℃の範囲の分離温度、約7V~約9Vの範囲の分離電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の分離電流で、約1.5時間~約2.5時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを動作させることを含み得る。
【0043】
特定の実施形態では、ステップ(c)は、約15℃~約30℃の範囲の分離温度、約6.5である分離pHで、約2時間の分離持続時間、並びに約8Vの分離電位及び約2.5アンペアの分離電流で電気化学セルを動作させることを含み得る。
【0044】
分離pHは、塩基の周期的、連続的、又は増分の添加を介して、ステップ(c)中に制御され得る。塩基は、アルカリ金属水酸化物溶液であり得る。アルカリ金属水酸化物溶液は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムからなる群から選択され得る。溶液は、約3Mの濃度を有し得る。好ましくは、約3Mの濃度を有し得る水酸化リチウム溶液が使用される。
【0045】
典型的には、電気化学セルを動作させるステップ(c)は、0.2重量%未満の生成物ランタニドが陰極に組み込まれることを達成する。
【0046】
特定の実施形態では、ステップ(c)では、溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液を回収し、それによって生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離し、生成物ランタニドを含む生成物溶液は、微量の水銀イオン、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満の水銀イオンしか含有しない。これは、電気化学セルの1つの単一の連続動作によって達成される。
【0047】
電気化学セルを調節するステップ
本開示の生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離する方法は、ステップ(b)及び(c)を実施する前に、ステップ(a)で提供された電気化学セルを調節するステップを追加的に含み得る。
【0048】
特定の実施形態では、ステップ(a)は、上記のような電気化学セルを調節して、
-初期電解質溶液に含有されるアルカリ金属イオンの少なくとも一部分の酸化状態を還元し、
-還元されたアルカリ金属を水銀陰極の水銀とアマルガム化させて、
-水銀陰極がアルカリ金属アマルガムを追加的に含むようにするステップを含み得る。
【0049】
したがって、特定の実施形態では、電気化学セルを調節するステップは、ステップ(c)の下で上述されるように、電気化学セルを不活性雰囲気下で調節することを含み得る。不活性雰囲気は、典型的には、陰極の調節の直前の少なくとも30分間適用される。電気化学セルは、上記のようにかき混ぜられ得る。
【0050】
調節中のpHは、ステップ(c)で上述した通りであり得る。特定の実施形態では、電気化学セルを調節するステップは、約6.0~約7.0の範囲にある調節pH、約10℃~約30℃の範囲の調節温度、約5V~約10Vの範囲の調節電位を、約1アンペア~約4アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約2時間の範囲の調節持続時間含み得る。
【0051】
例えば、電気化学セルを調節するステップは、約6.3~約6.7の範囲にある調節pH、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約7V~約9Vの範囲の調節電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の調節電流を、約0.5時間~約1.5時間の範囲の調節持続時間含み得る。
【0052】
特定の実施形態では、電気化学セルを調節するステップは、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約6.5である調節pH、約8Vの調節電位、及び約2アンペアの調節電流を約1時間の調節持続時間含み得る。
【0053】
特定の実施形態では、調節のステップは、塩基を添加することによって調節pHを制御することを含み得る。塩基は、ステップ(c)で上述した通りであり得る。塩基は、定期的又は連続的に添加され得る。約3Mの濃度を有し得る水酸化リチウム溶液の増分添加が好ましい。
【0054】
例えば、アルカリ金属イオン、好ましくはリチウムイオンの少なくとも一部分の酸化状態を還元することは、調節直後に測定したときに、水銀に対して約50ppm~約1000ppm、好ましくは約100ppm~約800ppm、最も好ましくは約150ppm~約500ppmの範囲の還元されたアルカリ金属(好ましくは元素リチウム)の濃度を達成することを含み得る。
【0055】
調節するステップは、電気分解中の不純物の形成を低減し、より少ない不純物を含む生成物溶液を提供し、それによって、ステップ(c)の電気分解が従来技術の方法よりも大幅に大きな規模で実行されることを可能にする。電気化学セルの動作のモードはまた、水銀が、プロセス又は結果として生じる生成物にいかなる悪影響を与えることなく複数回再利用され得るという利点を有する。
【0056】
特定の実施例では、本開示の電気分解は、以下の特徴:
生成物ランタニドが、ルテチウムであること、
非生成物ランタニドが、イッテルビウムであること、
電気化学セルを調節する前の水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、陽極が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金、混合物、又は組み合わせからなる群から選択される金属を含み、初期電解質溶液が、約0.15M~約0.90Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し、
アルカリ金属塩が、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されること、
当該調節することが、陰極をかき混ぜながら、約6.0~約7.0の範囲にある調節pH、約10℃~約30℃の範囲の調節温度、約5V~約10Vの範囲の調節電位で、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約2時間の範囲の調節持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含むこと、
第2の溶媒が、トリフルオロメタンスルホン酸であること、並びに
電気化学セルのステップ(c)動作が、陰極をかき混ぜながら、約6.0~約7.0の範囲の分離pHで、約10℃~約30℃の範囲の分離温度、約5V~約10Vの範囲の分離電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の分離電流で、約0.5時間~約4時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む。
【0057】
別の特定の実施例では、本開示の電気分解は、以下の特徴:
生成物ランタニドが、177Luであること、
非生成物ランタニドが、176Ybであること、
電気化学セルを調節する前の水銀陰極が、約99.999%の水銀であること、
陽極が、白金を含み、陽極が、約10cm2~約40cm2の範囲の表面積を有すること、
初期電解質溶液が、約0.30M~約0.75Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し、アルカリ金属塩が、クエン酸リチウムであり、初期溶媒が、水であり、当該調節することが、陰極をかき混ぜながら、約6.3~約6.7の範囲にある調節pH、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約7V~約9Vの範囲の調節電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約1.5時間の範囲の調節持続時間、不活性雰囲気下で電気化学セルを動作させることを含むこと、
第2の溶媒が、約2M~約4Mの範囲の濃度のトリフルオロメタンスルホン酸であること、並びに
電気化学セルのステップ(c)動作が、陰極をかき混ぜながら、約6.3~約6.7の範囲の分離pH、約15℃~約25℃の範囲の分離温度、約7V~約9Vの範囲の分離電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の分離電流で、約1.5時間~約2.5時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含むことを含む。
【0058】
別の特定の実施例では、本開示の電気分解は、以下の特徴:
生成物ランタニドが、177Luであること、
非生成物ランタニドが、176Ybであること、
電気化学セルを調節する前の水銀陰極が、約99.999%の水銀であること、
陽極が、白金であり、陽極が、約25cm2~約35cm2の範囲の表面積を有すること、
初期電解質溶液が、0.40M~約0.60Mの範囲のリチウム濃度を有し、リチウム塩が、クエン酸リチウムであり、初期溶媒が、水であること、
当該調節することが、陰極をかき混ぜながら、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約6.5である調節pH、約8Vの調節電位、及び約2アンペアの調節電流で、約1時間の調節持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含むこと、
第2の溶媒が、約3M~約3.5Mの範囲の濃度のトリフルオロメタンスルホン酸であること、並びに
電気化学セルのステップ(c)動作が、陰極をかき混ぜながら、約15℃~約25℃の範囲の分離温度、約6.5である分離pHで、約2時間の分離持続時間、並びに約8Vの分離電位及び約2.5アンペアの分離電流で、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含むことを含む。
【0059】
イオン交換のステップ
特定の実施形態では、本開示の方法は、溶解された生成物ランタニドを含む溶液中の溶解された水銀イオンの濃度を低減するためのイオン交換のステップを含み得る。
【0060】
典型的には、方法は、陰イオン交換樹脂及び塩酸水溶液を使用して生成物ランタニドを含む溶液のイオン交換のステップを含み得、それによって溶液中の溶解された水銀を還元する。このステップに供給される溶液は、生成物ランタニドに加えて、アルカリ金属イオン、微量の非生成物ランタニド、及び微量の溶解された水銀イオンを含み得る。
【0061】
特定の実施形態では、イオン交換のステップに供される溶液は、ステップ(c)で最終的に得られた生成物ランタニドを含む生成物溶液であり得る。次いで、イオン交換のステップは、典型的には、
i.ある体積の塩酸溶液を生成溶液に添加して、酸性化された溶液を形成することと、
ii.水銀イオンが陰イオン交換樹脂に吸着して、溶解された生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンを含む還元水銀溶液を形成するように、酸性化された溶液を陰イオン交換樹脂を含むイオン交換カラムに通過させることと、
iii.酸性化された溶液の通過後に、すすぎ液をイオン交換カラムに通過させて、イオン交換カラム内の生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びリチウムの残量を収集することと、を含み、
還元水銀溶液、当該通過したすすぎ液、又はそれらの組み合わせが、イオン交換生成物溶液である。
【0062】
例えば、塩酸溶液は、およそ11.5Mの濃縮されたHCl水溶液であり得る。陰イオン交換樹脂は、スチレン-ジビニルベンゼン系樹脂であり得る。すすぎ液は、0.15MのHCl水溶液であり得る。
【0063】
カラムは、1cmの内径、10cmの長さを有し、周囲温度で3mL/分の速度で動作したが、これは経験的最適化によって得られた。
【0064】
イオン交換の2つ以上のステップは、並行して、又は順番に実行され得るが、本開示による方法は、1つのイオン交換カラムに基づいて、イオン交換の単一のステップを1つだけ実行して十分な水銀分離を達成するべきである。したがって、ある特定の実施形態では、イオン交換のステップは、10ppb以下である水銀の濃度を有し得るイオン交換生成物溶液を提供する。
【0065】
クロマトグラフィー分離のステップ
特定の実施形態では、本開示の方法は、アルカリ金属イオン、非生成物ランタニド、及び水銀イオンの濃度を低減するためのクロマトグラフィー分離のステップを更に含み得る。
【0066】
好ましい実施形態では、クロマトグラフィーのステップに供される溶液は、イオン交換ステップで最終的に得られるイオン交換生成物溶液であり得る。上記に示されるように、イオン交換生成溶液は、還元水銀溶液、通過したすすぎ液、又はそれらの組み合わせは、イオン交換生成物溶液であり得る。一実施形態では、還元水銀溶液及び通過したすすぎ液が組み合わされ、組み合わせがクロマトグラフィー分離に供される。別の実施形態では、還元水銀溶液及び通過したすすぎ液は、(例えば、イオン交換及びクロマトグラフィーカラムを直列に配置することによって)順次クロマトグラフィー分離に供される。
【0067】
典型的には、クロマトグラフィー分離のステップは、
i.イオン交換生成物溶液を、リチウムイオンを吸着させずに生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを吸着させることができるクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィーカラムに充填し、それによって生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを吸着させることと、
ii.充填されたクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー洗浄溶液で洗浄して、クロマトグラフィー樹脂から生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを脱着させることなく、クロマトグラフィーカラムからアルカリ金属イオンを除去することと、
iii.クロマトグラフィー溶離溶液を、吸着された生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを有する洗浄されたクロマトグラフィーカラムに通過させることであって、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドが、クロマトグラフィー樹脂から脱着し、カラムのそれぞれの分布係数に従って、異なる速度でクロマトグラフィー溶離溶液中のカラムを通って移動するときに分離し、それによって、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを、それぞれ、生成物ランタニド含有溶出液及び非生成物ランタニド含有溶出液に分離する、通過させることと、を含み得る。
【0068】
クロマトグラフィー樹脂は、不活性支持体上にリン酸のアルキル誘導体を含み得る。リン酸のアルキル誘導体は、ジ(2-エチルヘキシル)オルトリン酸(HDEHP)、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル(HEH[EHP])、及びジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])からなる群から選択され得る。
【0069】
クロマトグラフィー樹脂は、代替的に、不活性支持体上にアルキルリン酸アルキルエステルを含み得る。クロマトグラフィー樹脂は、不活性支持体上に(2-エチルヘキシル)ホスホン酸-(2-エチルヘキシル)-エステル(HEH[EHP])を含み得る。
【0070】
クロマトグラフィー洗浄溶液は、0.15MのHCl水溶液であり得、クロマトグラフィー溶離溶液は、1.4~1.5MのHCl水溶液であり得、クロマトグラフィーカラムは、クロマトグラフィー分離プロセス中に、約40℃~約55℃、好ましくは約45℃~約50℃の範囲の温度であり得る。
【0071】
クロマトグラフィー分離のステップは、イオン交換のステップの後に実施され得、本方法のステップ(c)で最終的に得られた生成物溶液が上記のステップiのクロマトグラフィーカラムに充填され得、次いでイオン交換が実行され得るように、クロマトグラフィー分離が、代替的に、最初に実施され得る。好ましくは、クロマトグラフィー分離は、イオン交換のステップの後に実施される。
【0072】
クロマトグラフィー分離の2つ以上のステップは、並行して、又は順番に実行され得るが、本開示による方法は、1つのクロマトグラフィーカラムに基づいて、クロマトグラフィー分離の単一のステップを1つだけ実行して、優れた分離を達成する。
【0073】
クロマトグラフィー分離のステップは、イオン交換生成物溶液に含有される水銀を追加的に分離し、1ppb以下である水銀濃度を有する生成物ランタニド含有溶出液を提供する。
【0074】
得られた177Lu生成物は、>2900GBq/mgの比活性、高い放射化学純度(RCP)(>99%)、及び放射性核種純度(RNP)(>99.9%)を有する。
【0075】
再配合のステップ
本開示の方法は、クロマトグラフィー/イオン交換後に得られた溶液を再配合するステップを更に含み得る。
【0076】
再配合のステップは、不活性雰囲気下で生成物ランタニド含有溶出液を加熱して、生成物ランタニドを含む固体残渣を形成することによって、クロマトグラフィー分離のステップで最終的に得られた生成物ランタニド含有溶出液を再配合することを含む。
【0077】
特定の実施形態では、固体残渣の生成物ランタニドは、生成物ランタニド塩化物水和物であり得る。典型的には、固体残渣の生成物ランタニドは、177LuCl3・nH2Oであり得る。177LuCl3・nH2Oは、約2900GBq/mg~約4070GBq/mgの範囲の比活性を有する。
【0078】
固体残渣は、(例えば、0.05MのHCl溶液を使用して)所望の活性濃度に再溶解され得る。
【0079】
非生成物ランタニドの回収のステップ
本開示の方法は、
-水銀陰極及び電気化学セルを酸性溶液と接触させて、その中で非生成物ランタニドを抽出して、非生成物ランタニド含有溶液を形成すること、
-非生成物ランタニドを、精製された非生成物ランタニド含有溶液からシュウ酸で沈殿させて、非生成物ランタニドシュウ酸塩を形成するステップ、並びに
-非生成物シュウ酸ランタニド塩を熱分解して、回収された非生成物酸化ランタニドを形成すること、によって非生成物ランタニドを回収するステップを更に含む。
【0080】
特定の実施形態では、酸性溶液は、塩酸及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択され得る。
【0081】
特定の実施形態では、熱分解することは、約800℃~約850℃の範囲で実行され得る。
【0082】
特定の実施形態では、塩を空気中で熱分解する前に、沈殿された非生成物ランタニドシュウ酸塩を徹底的に洗浄して、沈殿物中に存在し得るリチウムを除去し得る。
【0083】
特定の実施形態では、非生成物ランタニドシュウ酸塩は、176Yb2(Ox)3であり、回収された非生成物酸化ランタニドは、176Yb2O3である。
【0084】
生成物ランタニドの溶液を生成する方法
本開示はまた、生成物ランタニド、好ましくはn.c.a177Luである、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液の溶液を生成する方法に関する。本方法は、
-生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物を提供することと、-生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを上記のステップに従って分離することと、を含み、
-クロマトグラフィー分離ステップの後に、生成物ランタニドを含む溶出液を不活性雰囲気中で濃縮し、
-生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a177Luを含む溶液を回収する。
【0085】
クロマトグラフィー分離後に得られた溶出液を濃縮するステップは、アルゴンの流れの下で溶液を加熱することによる蒸発などの穏やかな条件を含み得る。不活性雰囲気は、アルゴン又は窒素によって提供され得る。
【0086】
特定の実施形態では、プロセスの生成物として回収される溶液は、98%を超える非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド、好ましくは99%を超えるn.c.a.177Luを含み得る。特に、プロセスの生成物として回収される溶液は、98%を超える非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド、好ましくは≧2900GBq/mgの比活性を有する99%を超えるn.c.a.177Luを含み得る。
【0087】
特定の実施形態では、上記の生成する方法は、約0.5~10gかつ約555GBq~15000GBqの生成物ランタニド及び非生成物ランタニドの混合物を提供することを含み得る。生成物ランタニド及び非生成物ランタニドの混合物は、中性子照射を176Yb、好ましくは酸化イッテルビウムのターゲットに適用して、放射性同位体177Ybを生成することと、ターゲットが、ベータ崩壊後に崩壊して、177Ybから177Luを生成することを可能にすることと、によって、生成され得る。
【実施例】
【0088】
化学プロセスの目的は、(a)微量(mg)レベルのLuをバルク(グラム)レベルのYbから分離すること、及び(b)プロセスからYbを高収率で回収することである。分離は、Ybを水銀陰極に還元し、次いでクロマトグラフィーを使用して、電解質溶液中の微量のYbをLuから分離することによって達成される。Ybターゲット材料は、トリフル酸で抽出し、続いてシュウ酸で沈殿し、シュウ酸化合物をYb酸化物に灰化することによって、水銀陰極から回収される。
【0089】
電気化学セル(EC)は、水銀陰極、白金陽極、及び0.16Mのクエン酸リチウム電解質で構成されていた。酸素を除去するためにアルゴンで十分にパージした後、ECセルを8.0Vで30分間動作させ、LiOH添加によってpHを6.5に制御して、リチウム水銀アマルガムを作製する。Yb2O3ターゲットをトリフル酸に溶解させ、次いで、ECセルに添加し、Yb濃度が還元アマルガム化によって少なくとも99%低減するまで、電気分解を継続する。電気分解中、ECセルは、摂氏20度の温度に維持され、陰極の表面は、連続的に撹拌され、溶液のpHは、LiOHの連続的な添加により、6.5に維持され、ECは、アルゴンガスで連続的にパージされる。
【0090】
所望のYb分離が達成されると、電解質溶液がECから除去される。電解質溶液を濾過し、HCl酸の添加により酸性化させる。次いで、電解質溶液を、HClで予備平衡化された陰イオン交換樹脂に通過させ、溶液から微量の水銀を除去する。
【0091】
次いで、陰イオン交換樹脂からの溶液をLN2樹脂に充填し、溶液中の微量のYbを、1.4MのHClで溶出することによって溶液中のLuから分離させる。LN2カラムは、分離プロセスのために50℃の温度に維持される。Ybが最初にカラムから溶出し、次にLuが溶出されて収集される。
【0092】
Lu溶出液を乾燥させ、0.05M HCl中に再構成して、生成物に所望の活性濃度を作製する。濃縮されたYbターゲット材料は、トリフル酸で洗浄することによって水銀陰極から回収される。トリフル酸回収溶液中のYbは、シュウ酸の添加により沈殿する。シュウ酸イッテルビウムは、沈殿物を850℃に灰化(又は熱分解)することによって、酸化イッテルビウムターゲット材料に戻される。
【0093】
装置、材料、及び詳細なステップ:
1000mLの体積及び10cmの直径を有する電気化学セルを提供した。電気化学セルは、丸底を有し、ウォータージャケットが付いていた。約1360gの水銀(陰極)及びNdBFe磁石を保持していた。それは、継手Pt(白金)電極(陽極及び陰極接触)を備えたPEEK蓋、pH再循環リザーバ及びチューブ、アルゴンバブラー、LiOH(水酸化リチウム)分注ライン、及び通気/アクセス穴を装備した。
【0094】
0.15MのHCl中で平衡化したDowex 1×8(Cl-)カラム(直径1cm、長さ10cm)を、イオン交換に使用した。
【0095】
0.15MのHCl中で平衡化したウォータージャケット付きのLN2カラム(直径1.1cm、長さ40cm)を、クロマトグラフィー分離に使用した。LN2カラムは、固定相として不活性支持体上に(2-エチルヘキシル)ホスホン酸-(2-エチルヘキシル)-エステル(HEH[EHP])を含有する。
【0096】
1.ターゲット溶解:
a.照射されたYb2O3ターゲットを石英ターゲットバイアルからターゲット溶解バイアルに移した。
b.3.4Mのトリフル酸(トリフルオロメタンスルホン酸)を溶解バイアルに添加した。ターゲット試料溶液を、ターゲット材料が完全に溶解するまで、連続撹拌下で約100℃で加熱した。
c.溶解したら、ターゲット溶液を室温に冷却した。
【0097】
2.電気化学セル調製
a.サーモスタット再循環器を20℃に設定し、ジャケット付き電気化学セルへの流れを開始した。
b.187グラムの0.16Mクエン酸リチウム電解質溶液を電気化学セルに添加した。
c.電気化学セルの遅いアルゴンパージを開始し、水銀陰極の表面の撹拌を開始した。
d.蠕動ポンプを回して、電解質をpHループを通ってゆっくり再循環させた。流量は、戻り電解質が電気化学セルに着実に滴下するが、連続した流れを形成しないように調整した。
e.電気分解中、3.0MのLiOHを連続的に添加することによって、pHを6.5に維持した。
f.電解質溶液を、電気分解開始の少なくとも30分前に、電気化学プロセスを通して連続的にアルゴンでパージした。
【0098】
3.電気分解
a.少なくとも30分間のアルゴンパージ後、8.0~8.1Vの電位で予備電気分解を開始した。
b.予備電気分解の間、アルゴンパージを継続し、3.0MのLiOHを増分添加することによってpHを6.5に維持した。
c.予備電気分解を約30分間継続した。
d.30分間の予備電気分解の後、電気分解を停止させることなく、ターゲット溶液を添加した。
e.電気分解を、電解質溶液中の>99%のYb低減が達成されるまで継続した。LiOH添加により、電気分解中のpHを6.5に維持した。
f.電気分解の完了時に、以下のステップを迅速に実行した:
1.LiOHの添加を停止する。
2.pHループシッパーチューブを電気化学セル内の液位より上に上げ、ポンピングでラインがクリアになるようにする。
3.アルゴンパージラインを液位より上に上げる。
4.マグネチックスターラを停止する。
5.溶液で水銀を吸引しないように注意しながら、電解質を電気化学セルからレシーバーボトルに迅速に真空移送する。
g.次いで、0.2ミクロンのPES膜を通して、250mLのNalgeneボトルに移した電解質を濾過した。
h.7.0mLの濃HCLを、濾過した電解質に添加した。
【0099】
4.クロマトグラフィー精製
a.LN2カラムジャケットを通る水の再循環を50℃に設定して、Dowex-LN2カラムシリーズに電解質が入力される前にカラムを加熱した。
Dowexイオン交換カラムの出力は、LN2カラムの入力に直列に接続されている。
b.pH調整電解質溶液をDowex 1x8カラムに充填し、2~3mL/分の流量でLN2カラムに通した。
c.クロマトグラフィーシステムを、2~3mL/分の流量で70mLの0.15MHClですすいだ。
d.LN2カラムを、2~3mL/分の流速で150mLの0.15M HClですすいだ。
e.微量のYb及びLu生成物を、1.4M HClを使用してLN2カラムから溶出させた。最初の約200mLでYbが溶出し、続いてLuが溶解し、それによって溶解されたルテチウムを含む生成物溶液を得る。
【0100】
5.電気分解後のYb回収
a.200mLの1.0Mトリフル酸を電気化学セルに添加し、穏やかに撹拌して、陽極電極をきれいにした。
b.陽極電極をECセルの上部に上げ、次いで酸抽出剤を約30分間激しく撹拌した。
c.ECセルから500mLのNalgeneボトルへのトリフリック酸回収溶液の真空移送を実施した。このボトルには、Ybターゲット材料が含有されていた。
d.100mLの0.05Mトリフル酸すすぎ溶液を電気化学セルに添加し、約10分間激しく撹拌した。
e.トリフル酸すすぎ溶液のトリフル酸回収溶液への真空移送を実施した。
f.合わせたトリフル酸回収/すすぎ溶液を、0.2μmのPESフィルターを通して濾過し、Nalgeneフィルターボトルに入れた。
【0101】
6.Ybターゲットリサイクル
a.十分な崩壊後、トリフル酸回収/すすぎ溶液からのYbを、50%モル過剰のシュウ酸を溶液に添加することによって沈殿させた。
b.沈殿物懸濁液を無灰濾紙を通して濾過し、次いで、沈殿物を水で洗浄した。
c.沈殿物及び濾紙を石英バイアルに入れ、約850℃に加熱して、濾紙を分解し、Yb2(C2O4)3をYb2O3に変換した。
【0102】
以下の図に示されるように、電解質溶液からのYbの電気化学的分離は、一次速度則に従う。電気化学分離プロセスパラメータの多くは、電気化学分離の時間を最小限に抑えるために、分離プロセスの最大速度を達成するように最適化されている。分離時間を最小限に抑えることは、プロセスからの全体的なLu収率を増加させ(放射性崩壊による損失を低減させることによって)、分離プロセスの効率に対する放射線分解の影響を最小限に抑える。分離プロセスの速度定数kは、時間に対する電解質溶液中のYb濃度の自然対数の傾きから決定される。例えば、99%の分離は、0.10min-1の速度定数を有するプロセスでは46分で達成されるのに対し、0.05min-1の速度定数では92分で達成される。
【0103】
1.ベースライン
プロセスの初期の開発作業は、私たちがプロトタイプECセル:電極、pH再循環ループ、LiOH投与、及びアルゴンパージのための圧縮継手を備えた製造されたクロージャーを備えた、温度制御用450mLAceジャケット付きビーカー7.48cmID(43.9cm2Hg表面積)と呼んだものを利用した。
・プロセスを大まかにするための多数の小規模試験の後、Yb2O3/HOTfとしての2.5gYbが、プロトタイプセルにおける最適化のための通常のスケールとなった。全てのプロセスについて、トレーサー175Yb(約370MBq)を、高純度ガンマ分光法によって反応進行をモニタリングするために使用した。トレーサーLu-177は、必要に応じて、プロセスにおける完全な回収を確認するためにも使用された。
・8.0V D.C.の定電位は、プロトタイプシステムにおける最良のYb分離に最適であることが見出された。
・容易に入手可能なPtワイヤを使用して、陽極及び陰極接触電極を製造した。Ptワイヤループ陽極(直径1mm×約50cm)、Ptワイヤループ接触を有する約908g Hg陰極(直径1mm×約25cm)(陽極/陰極間隔を約1.5cmに維持した)
・初期の試験は、以下のようにプロセス化学を最適化した:187mL0.16Mクエン酸リチウム電解質、1時間の予備電気分解及び約2時間のYb電気分解により、電解質中で>99Ybの枯渇を達成し、pHを、プロセス全体を通して、3.0M LiOHを用いて6.5で制御した。
・プロセスに先立ち、かつ全体にわたって連続して、電気化学セルを高純度アルゴンでパージした。
・冷水再循環システムを使用して、プロセス中に温度を20℃に維持した。
・予備電気分解後のターゲット添加に続いて、最適なクエン酸塩/Yb比を達成するために10.0gの1.33MのLiCit、及びYb2O3ターゲットの溶解に必要な過剰なトリフルオロメタンスルホン酸を中和するために6.75gの3.0MのLiOHを添加した。
・一次速度定数(ln(Yb-175)対時間のプロットから導き出される)k=0.0462min-1(11回の実行の平均)-100分で約99%のYb低減に相当する。
【0104】
2.プロセス能力
・プロトタイプEC、増加したターゲット(5.0gのYb)及びトレーサーYb-175を有する上記ベースラインシステム。
‐約142分で99%のYb低減に相当する速度定数k=0.0324min-1
‐最初の5.0gの試験は、Yb低減に成功したが、水銀副産物の合併症に苦しんだ。
・プロトタイプEC、25%余分なLiCit、25%余分なHg、及びYb-175トレーサーを含む5.0gYbを含むベースラインシステム。
・速度定数k=0.0333min-1本質的に同等のYb低減であるが、水銀副産物が著しく抑制されている。
【0105】
3.予備電気分解
・プロトタイプECベースラインシステムを使用する最初の高活性プロセス(15Ci Lu-177及び0.5g Yb)
・必要な99%のYb低減を達成できなかった。最大わずか89.4%の-ΔYbに達した。仮説:過酸化水素などの放射線分解生成物からの干渉。
・高活性(15Ci Lu-177及び約0.5gYb)が、(1)ターゲット導入に先立つ1時間の予備電気分解ステップの組み込み、(2)追加のクエン酸リチウムポストターゲットの添加、及び(3)過酸化水素分解を触媒するためのPtメッシュの設置によって修飾されたプロトタイプECベースラインシステムで再現された。
・3つの別々の実験で2時間で99%のYb分離を達成した、一次速度定数k≒0.055min-1
・仮説:(1)リチウムアマルガムは、Ybの還元及びアマルガム化に重要な役割を果たすため、ターゲット添加前にアマルガムを予備充填することは、Yb反応を著しく加速する。これは、Yb電気分解の開始中のより高い速度定数の観察によって支持される。(2)ターゲット添加の直後に添加される追加のクエン酸リチウムは、Yb電気分解を有利にするクエン酸-Yb複合体の形成を助ける。(3)添加されたPtメッシュは、放射線分解生成物からの干渉を最小限に抑えるのに潜在的に役立つ可能性がある。私たちは、リチウムアマルガムの予備充填がプロセスの成功の主な理由であると考えている。この観察は文献に報告されていない。
【0106】
4.より高い濃度の放射線分解性生成物
・15Ci Lu-177、0.5g Yb試験で明らかな放射線分解の問題があるため、より高い活性(70Ci Lu-177、2.35g Yb)にスケールアップすることは、完全な商業プロセスに向けた重要なステップであった。
・リチウムアマルガムの予備電気分解充填で利用される小規模プロトタイプECセルベースラインシステム
・99%Yb分離は、電気分解を4時間に延長することによって達成された。
・得られた速度定数(k=0.0162min-1)は、以前の15Ci Lu-177プロセスの場合よりも著しく低く、高い活性ターゲットに関する懸念を確認した。リマインダー:速度定数のそのような低下は、広範囲のターゲットサイズにわたる低活性トレーサー試験では観察されなかった。
【0107】
5.プロセスpHの最適化
・小規模プロトタイプベースラインシステムを使用して、Yb電気分解のための最適なpHを決定するために実験を実施した。
・制御された低pHでは、Yb還元アマルガム化効率が低下した、例えば、pH6.0では、電解質中の最大Yb枯渇は95%であった。
・より高いpH(例えばpH7.0)では、水銀化合物からの干渉がプロセスを危険にさらした。
【0108】
6.クエン酸リチウム濃度最適化
・小規模プロトタイプベースラインシステムを使用して、クエン酸リチウム濃度を0.16M~0.32Mに変化させた。
・速度定数は、0.16Mのクエン酸リチウム濃度で最良であった。[LiCit]=0.16M k=0.0482min-1、[LiCit]=0.24M k=0.0249min-1、[LiCit]=0.32M k=0.0189min-1
【0109】
7.電気化学セル電位最適化
・小規模プロトタイプベースラインシステムを使用して、セル電位を7.0Vから9.0Vまで変化させた。
・速度定数は、8.0Vの電位が理想的であることを示した。7.0V k=0.0236min-1、8.0V k=0.0482min-1、9.0V k=0.0317min-1
・プロセス効率、すなわち速度定数に加えて、8.0Vを超える電位は、水銀副産物の問題を引き起こした。
【0110】
8.ベータベースライン
・少量のプロトタイプ電気化学セルの限界により、日常の生産に適したバージョンを探索し、プロセス効率、すなわちより大きなYb枯渇速度定数を改善した。
・検索の結果は、ベータ版ECセル:より大きな体積及びより大きな水銀陰極表面積(78.5cm2)を有する1000mLAceジャケット付き丸底フラスコ10.0cm IDであった。
・プロセス及び関連装置を改良するために、複数のトレーサー試験(370MBqの175Ybを有する、Yb2O3/HOTfとして2.5gのYb)を実施した。
・ベータ版ECセルパラメータ:
o電極:幅6mmのPtリボン陽極(直径約7.6cm)、約5cmの長さのPtワイヤ接触を備えた約1300gのHg陰極(陽極/陰極間隔約1.25cm)
oPEEKカプセル化RE磁石で270rpmで撹拌する陰極表面
・プロセスパラメータ:
o187mL 0.16MのLiCit、30分間の予備電気分解、pHは3.0MのLiOHで6.5で制御
o予備処理及び連続アルゴンパージ、温度は20℃に維持された。
oYbターゲット添加に続いて、適切なクエン酸/Yb比を維持するために10.0g 1.33M LiCit、及び過剰な酸を中和し、システムを適切なpHに調整するために6.75g 3.0M LiOHを添加。
・速度定数は、プロトタイプシステム実験と比較して著しく改善された k=0.124±0.005min-1(n=6)
・仮説:速度定数の著しい増加は、主に、Eセルのベータ版における水銀陰極の表面積が大きいことの結果である。
【0111】
9.水銀陰極からYbを回収するために使用される酸
・ベータ版ECセルを用いたベースライン研究では、2.25M HClを用いた抽出により、プロセスの終了時にYbターゲット材料を水銀陰極から回収した。ベータベースライン、2.25MHClを使用したYb回収、リサイクル水銀
・小規模プロトタイプ試験と同様に、水銀を各プロセスの後に回収し、水ですすぎ、次いでその後の試験のためにリサイクルする前にきれいにした。
・ベースラインベータ版試験では、リサイクルされた水銀は、4回連続して実行された過程で塩化水銀及び水銀白金化合物の蓄積によって目に見えて分解された。これは、劣化した外観で明らかであり、4つの連続したプロセスの速度定数に反映された。
・実行1 k=0.104min-1、実行2 k=0.131min-1、実行3 k=0.083min-1、実行4 k=0.066min-1
・塩酸がこれらの有害な影響を引き起こしているのは、水銀及び白金陽極と反応して、酸化生成物を形成する塩素の形成によるものであると仮定した。
・続いて、Ybターゲット回収のためのトリフルオロメタンスルホン酸の置換を評価し、それが、リサイクルされた水銀の汚染及び白金陽極の分解を排除したことを見出した。酸の濃度を1.0Mに低下させることができることも、徹底的な試験によって発見された。
2.5gのYbターゲットを用いた12回の連続トレーサー試験では、水銀の目に見える分解は観察されず、速度定数は、高い再現性を示した k=0.125±0.006min-1(n=12)
【0112】
10.水銀陰極の表面の撹拌速度
・制御された撹拌による水銀陰極の表面の更新は、ベータ版ECセルにおける処理効率の重要なパラメータであることが判明した、一例として、撹拌速度が270rpmから190rpmに低下すると、Yb枯渇速度定数はk=0.125min-1からk=0.058min-1に減少した
・水銀の表面で撹拌が起こる必要があることに注意されたい。撹拌速度が高すぎると、撹拌棒は水銀に浸漬し、したがって、表面の下に形成されたアマルガムを乱す可能性がある。
【0113】
実施形態
1.混合物中にある生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する方法であって、方法が、
a.電気化学セルを提供することであって、電気化学セルが、
i.水銀陰極、
ii.陽極、並びに
iii.水を含む初期溶媒中に溶解されたアルカリ金属塩からのアルカリ金属イオンを含む初期電解質溶液であって、初期電解質溶液が、水銀陰極及び陽極と接触している、初期電解質溶液を含む、提供すること、
b.電気化学セル内の初期電解質溶液に別の溶液を添加して、水銀陰極並びに陽極と接触している分離電解質溶液を形成することであって、別の溶液が、
i.生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物、並びに
ii.陽極及び水銀陰極と反応することなく、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物を溶解することができる第2の溶媒を含む、形成すること、
c.非生成物ランタニドを分離電解質溶液から分離することであって、当該分離することが、電気化学セルを動作させて、
i.非生成物ランタニドの少なくとも一部分の酸化状態を還元すること、
ii.還元された非生成物ランタニドを水銀陰極の水銀とアマルガム化させること、並びに
iii.溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液を回収すること、を含む、分離すること、を含み、
それによって生成物ランタニド並びに非生成物ランタニドを分離する、方法。
【0114】
2.電気化学セルを提供するステップ(a)が、電気化学セルを調節して、アルカリ金属イオンの少なくとも一部分の酸化状態を還元し、水銀陰極がアルカリ金属アマルガムを追加的に含むように、還元されたアルカリ金属を水銀陰極の水銀とアマルガム化させるステップを含む、実施形態1に記載の方法。
【0115】
3.生成物ランタニドが、ルテチウムであり、非生成物ランタニドが、イッテルビウムである、実施形態1又は2に記載の方法。
【0116】
4.生成物ランタニドが、177Luであり、非生成物ランタニドが、176Ybである、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0117】
5.水銀陰極が、実施形態2又は実施形態1のステップ(b)による電気化学セルを調節する前に、約99.999%の水銀である、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0118】
6.陽極が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金、混合物、又は組み合わせからなる群から選択される金属を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0119】
7.陽極が、白金を含む、実施形態6に記載の方法。
【0120】
8.陽極が、約10cm2~約40cm2の範囲、好ましくは、約25cm2~約35cm2の範囲の表面積を有する、実施形態6又は7に記載の方法。
【0121】
9.陰極が、40cm2~120cm2、好ましくは60cm2~100cm2、より好ましくは70cm2~90cm2、最も好ましくは75cm2~85cm2の表面積を有する、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0122】
10.陰極が、200~400rpm、好ましくは250~350rpm、より好ましくは260~320rpm、最も好ましくは280~300rpmの速度で撹拌される、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0123】
11.初期電解質溶液が、約0.15M~約0.90M、より好ましくは0.30M~0.75M、最も好ましくは0.40M~0.60Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有する、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0124】
12.アルカリ金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンからなる群から選択され、好ましくはリチウムイオンである、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
【0125】
13.アルカリ金属イオンが、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ金属塩に由来する、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
【0126】
14.アルカリ金属塩が、クエン酸リチウムである、実施形態1~13のいずれか一つに記載の方法。
【0127】
15.当該ステップ(a)が、電気化学セルを不活性雰囲気下で調節することを含む、実施形態2~14のいずれか一つに記載の方法。
【0128】
16.当該ステップ(a)が、陰極をかき混ぜながら、約6.0~約7.0の範囲にある調節pH、約10℃~約30℃の範囲の調節温度、約5V~約10Vの範囲の調節電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約2時間の範囲の調節持続時間、電気化学セルを調節することを含む、実施形態2~15のいずれか一つに記載の方法。
【0129】
17.第2の溶媒が、トリフルオロメタンスルホン酸である、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
【0130】
18.第2の溶媒の濃度が、2M~4M、好ましくは3~3.5Mである、実施形態17に記載の方法。
【0131】
19.ステップ(c)が、陰極をかき混ぜながら、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
【0132】
20.ステップ(c)が、6.0~7.0の範囲にある、好ましくは6.5である分離pHで電気化学セルを動作させることを含む、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
【0133】
21.ステップ(c)が、約6.0~約7.0の範囲にある分離pHで、約10℃~約30℃の範囲の分離温度、約5V~約10Vの範囲の分離電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の分離電流で、約0.5時間~約4時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを動作させることを含む、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
【0134】
22.
生成物ランタニドが、ルテチウムであり、
非生成物ランタニドが、イッテルビウムであり、
電気化学セルを調節する前の水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、
陽極が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの合金、混合物、又は組み合わせからなる群から選択される金属を含み、
初期電解質溶液が、約0.15M~約0.90Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し、アルカリ金属塩が、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
当該調節することが、陰極をかき混ぜながら、約6.0~約7.0の範囲にある調節pH、約10℃~約30℃の範囲の調節温度、約5V~約10Vの範囲の調節電位で、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約2時間の範囲の調節持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含み、
第2の溶媒が、トリフルオロメタンスルホン酸であり、
ステップ(c)が、陰極を撹拌しながら、約6.0~約7.0の範囲にある分離pHで、約10℃~約30℃の範囲の分離温度、約5V~約10Vの範囲の分離電位、及び約1アンペア~約4アンペアの範囲の分離電流で、約0.5時間~約4時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを動作させることを含む、実施形態1に記載の方法。
【0135】
23.
生成物ランタニドが、177Luであり、
非生成物ランタニドが、176Ybであり、
電気化学セルを調節する前の水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、
陽極が、白金を含み、陽極が、約10cm2~約40cm2の範囲の表面積を有し、
初期電解質溶液が、約0.30M~約0.75Mの範囲のアルカリ金属イオン濃度を有し、アルカリ金属塩が、クエン酸リチウムであり、初期溶媒が、水であり、
当該調節することが、陰極をかき混ぜながら、約6.3~約6.7の範囲にある調節pH、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約7V~約9Vの範囲の調節電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の調節電流で、約0.5時間~約1.5時間の範囲の調節持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含み、第2の溶媒が、約2M~約4Mの範囲の濃度のトリフルオロメタンスルホン酸であり、
ステップ(c)が、陰極をかき混ぜながら、約6.3~約6.7の範囲にある分離pH、約15℃~約25℃の範囲の分離温度、約7V~約9Vの範囲の分離電位、及び約1.5アンペア~約3.5アンペアの範囲の分離電流で、約1.5時間~約2.5時間の範囲の分離持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、実施形態1に記載の方法。
【0136】
24.
生成物ランタニドが、177Luであり、
非生成物ランタニドが、176Ybであり、
電気化学セルを調節する前の水銀陰極が、約99.999%の水銀であり、
陽極が、白金であり、陽極が、約25cm2~約35cm2の範囲の表面積を有し、
初期電解質溶液が、0.40M~約0.60Mの範囲のリチウムイオン濃度でアルカリ金属塩としてクエン酸リチウムを有し、初期溶媒が、水であり、
当該調節することが、陰極をかき混ぜながら、約15℃~約25℃の範囲の調節温度、約6.5である調節pH、約8Vの調節電位、及び約2アンペアの調節電流で、約1時間の調節持続時間、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含み、
第2の溶媒が、約3M~約3.5Mの範囲の濃度のトリフルオロメタンスルホン酸であり、
ステップ(c)が、陰極をかき混ぜながら、約15℃~約25℃の範囲の分離温度、約6.5である分離pHで、約2時間の分離持続時間、並びに約8Vの分離電位及び約2.5アンペアの分離電流で、電気化学セルを不活性雰囲気下で動作させることを含む、実施形態1に記載の方法。
【0137】
25.調節ステップ(a)中の調節pH、若しくは分離ステップ(c)中の分離pH、又は調節pH及び分離pHが、塩基の添加によって制御される、実施形態15~24のいずれか一つに記載の方法。
【0138】
26.塩基が、アルカリ金属水酸化物である、実施形態25に記載の方法。
【0139】
27.塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムからなる群から選択され、好ましくは水酸化リチウムである、実施形態26に記載の方法。
【0140】
28.分離pHを制御することが、周期的又は連続的である、実施形態25~27のいずれか一つに記載の方法。
【0141】
29.分離pHを制御することが、水酸化リチウム溶液の増分添加によるものである、実施形態25~28のいずれか一つに記載の方法。
【0142】
30.水酸化リチウム溶液が、約3Mの濃度を有する、実施形態29に記載の方法。
【0143】
31.不活性雰囲気が、約大気圧でのアルゴンパージである、実施形態15~30のいずれか一つに記載の方法。
【0144】
32.アルゴンパージが、陰極を調節する直前の少なくとも30分間実行される、実施形態15~31のいずれか一つに記載の方法。
【0145】
33.調節ステップの直後に、陰極が、水銀に対して約50ppm~約1,000ppmの範囲にある濃度で、還元されたアルカリ金属、好ましくはリチウムを含む、実施形態2~32のいずれか一つに記載の方法。
【0146】
34.調節ステップの直後に、陰極が、水銀に対して約100ppm~約800ppmの範囲にある濃度で、還元されたアルカリ金属、好ましくはリチウムを含む、実施形態2~32のいずれか一つに記載の方法。
【0147】
35.調節ステップの直後に、陰極が、水銀に対して約150ppm~約500ppmの範囲にある濃度で、還元されたアルカリ金属、好ましくはリチウムを含む、実施形態2~32のいずれか一つに記載の方法。
【0148】
36.生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物が、当該混合物を酸化物として含む照射されたターゲットからのものであり、好ましくは、照射されたターゲットが、約0.5g~約10gの範囲の質量及び約555Gbq~約15000Gbqの範囲の放射能を有する、実施形態1~35のいずれか一つに記載の方法。
【0149】
37.溶解容器内の第2の溶媒中に、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む当該混合物を溶解することを更に含み、他の溶液を初期電解質溶液に添加するステップが、溶解容器の内容物を初期電解質溶液に添加することを含む、実施形態36に記載の方法。
【0150】
38.溶解容器をある体積のすすぎ溶液ですすぐことを更に含み、すすぎ溶液が、酒石酸リチウム、酢酸リチウム、クエン酸リチウム、及び組み合わせからなる群から選択される溶解されたリチウム塩を含み、
他の溶液を初期電解質溶液に添加するステップが、溶解容器をすすぐために使用された当該体積のすすぎ溶液を初期電解質溶液に添加することを更に含む、実施形態37に記載の方法。
【0151】
39.すすぎ溶液が、1.0~1.5Mのクエン酸リチウム水溶液である、実施形態38に記載の方法。
【0152】
40.他の溶液が、約1000:1~約4000:1の範囲にある非生成物ランタニド対生成物ランタニドの質量比を有する、実施形態1~39のいずれか一つに記載の方法。
【0153】
41.分離ステップ(c)が、分離電解質溶液中の非生成物ランタニドの少なくとも90%が、還元され、水銀陰極とアマルガム化されるまでの、電気化学セルの単一の連続動作である、実施形態1~40のいずれか一つの方法。
【0154】
42.分離ステップ(c)が、分離電解質溶液中の非生成物ランタニドの少なくとも99%が、還元され、水銀陰極とアマルガム化されるまでの、電気化学セルの単一の連続動作である、実施形態1~40のいずれか一つの方法。
【0155】
43.溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液が、20ppm以下の水銀を含む、実施形態42に記載の方法。
【0156】
44.陰イオン交換樹脂を使用して、溶解された生成物ランタニドを含む生成物溶液のイオン交換を行い、それによって、生成物溶液中の溶解された水銀を還元し、イオン交換生成物溶液を回収するステップを含む、実施形態1~43のいずれか一つの方法。
【0157】
45.イオン交換のステップが、塩酸水溶液の使用を含む、実施形態44に記載の方法。
【0158】
46.イオン交換のステップが、
i.ある体積の塩酸溶液を生成溶液に添加して、酸性化された溶液を形成することと、
ii.水銀イオンが陰イオン交換樹脂に吸着して、溶解された生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンを含む還元水銀溶液を形成するように、0.15MのHClで予備平衡化された陰イオン交換樹脂を含むイオン交換カラムを通過させることと、
iii.酸性化された溶液の通過後に、0.15MのHClすすぎ液をイオン交換カラムに通過させて、イオン交換カラム内の生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンの残量を収集することと、を含み、
還元水銀溶液、当該通過したすすぎ液、又はそれらの組み合わせが、イオン交換生成物溶液である、実施形態44又は45に記載の方法。
【0159】
47.
塩酸溶液が、濃縮されたHCl水溶液(約11.5M)であり、
陰イオン交換樹脂が、スチレン-ジビニルベンゼン系樹脂であり、
すすぎ液が、0.15MのHCl水溶液である、実施形態46に記載の方法。
【0160】
48.イオン交換生成物溶液が、10ppb以下である水銀の濃度を有する、実施形態46又は47に記載の方法。
【0161】
49.イオン交換生成物溶液のクロマトグラフィー分離を実施して、生成物ランタニド、非生成物ランタニド、及びアルカリ金属イオンを分離することを更に含む、実施形態1~48のいずれか一つに記載の方法。
【0162】
50.
i.イオン交換生成物溶液を、アルカリ金属イオンを吸着せずに生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを吸着することができるクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィーカラムに充填し、それによって生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを吸着させることと、
ii.充填されたクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー洗浄溶液で洗浄して、クロマトグラフィー樹脂から生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを脱着させることなく、クロマトグラフィーカラムからアルカリ金属イオンを除去することと、
iii.クロマトグラフィー溶離溶液を、吸着された生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを有する洗浄されたクロマトグラフィーカラムに通過させることであって、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドが、クロマトグラフィー樹脂から脱着し、カラムのそれぞれの分配係数に従って、異なる速度でクロマトグラフィー溶離溶液中のカラムを通って移動するときに分離し、それによって、生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを、それぞれ、生成物ランタニド含有溶出液及び非生成物ランタニド含有溶出液に分離する、通過させることと、を含む、実施形態49に記載の方法。
【0163】
51.クロマトグラフィー樹脂が、不活性支持体上にリン酸のアルキル誘導体を含む、実施形態50に記載の方法。
【0164】
52.リン酸のアルキル誘導体が、ジ(2-エチルヘキシル)オルトリン酸(HDEHP)、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル(HEH[EHP])、及びジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])からなる群から選択される、実施形態51に記載の方法。
【0165】
53.クロマトグラフィー樹脂が、不活性支持体上にアルキルリン酸アルキルエステルを含む、実施形態50に記載の方法。
【0166】
54.クロマトグラフィー樹脂が、不活性支持体上に(2-エチルヘキシル)ホスホン酸-(2-エチルヘキシル)-エステル(HEH[EHP])を含む、実施形態50に記載の方法。
【0167】
55.
クロマトグラフィー洗浄溶液が、0.15MのHCl水溶液であり、
クロマトグラフィー溶離溶液が、1.4~1.5MのHCl水溶液であり、
クロマトグラフィーカラムは、クロマトグラフィー分離プロセス中に約40℃~約55℃の範囲の温度にある、実施形態50~54のいずれか一つに記載の方法。
【0168】
56.イオン交換のステップが、クロマトグラフィー分離のステップの前又は後に実行される、実施形態49~55のいずれか一つに記載の方法。
【0169】
57.イオン交換のステップが、クロマトグラフィー分離のステップの前に実行される、実施形態49~55のいずれか一つに記載の方法。
【0170】
58.クロマトグラフィー分離プロセスが、イオン交換生成物溶液内で水銀を更に分離し、それによって、1ppb以下である水銀濃度を有する生成物ランタニド含有溶出液をもたらす、実施形態57に記載の方法。
【0171】
59.不活性雰囲気下で生成物ランタニド含有溶出液を加熱して、生成物ランタニドを含む固体残渣を形成することによって、生成物ランタニド含有溶出液を再配合するステップを更に含む、実施形態57又は58の方法。
【0172】
60.固体残渣の生成物ランタニドが、生成物ランタニド塩化物水和物である、実施形態59に記載の方法。
【0173】
61.固体残渣の生成物ランタニドが、177LuCl3・nH2Oである、実施形態59に記載の方法。
【0174】
62.177LuCl3・nH2Oが、Lu-177 1mg当たり約2775GBq~約4070GBq/mgの範囲の比活性を有する、実施形態61に記載の方法。
【0175】
63.非生成物ランタニドを、以下のステップ:
水銀陰極及び電気化学セルを酸性溶液と接触させて、その中で非生成物ランタニドを抽出して、非生成物ランタニド含有溶液を形成すること、
非生成物ランタニドを、精製された非生成物ランタニド含有溶液からシュウ酸で沈殿させて、非生成物ランタニドシュウ酸塩を形成すること、並びに
非生成物シュウ酸ランタニド塩を加熱して、回収された非生成物酸化ランタニドを形成すること、によって回収することを更に含む、実施形態1~62のいずれか一つに記載の方法。
【0176】
64.非生成物ランタニドシュウ酸塩が、176Yb2(Ox)3であり、回収された非生成物酸化ランタニドが、176Yb2O3である、実施形態63に記載の方法。
【0177】
65.生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a.177Luの溶液を生成する方法であって、当該方法が、
生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを含む混合物を提供すること、
実施形態49~64のいずれか一つに従って生成物ランタニド及び非生成物ランタニドを分離すること、を含み、
クロマトグラフィー分離ステップの後に、生成物ランタニドを含む溶出液を不活性雰囲気中で濃縮し、
生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド溶液、より好ましくはn.c.a177Luを含む溶液を回収する、方法。
【0178】
66.生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニドを含む回収された溶液が、98%を超える非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド、好ましくは99%を超えるn.c.a.177Luを含む、実施形態65に記載の方法。
【0179】
67.生成物ランタニド、好ましくは非担体添加(n.c.a)生成物ランタニドを含む回収された溶液が、98%を超える非担体添加(n.c.a)生成物ランタニド、好ましくは≧2900GBq/mgの比活性を有する99%を超えるn.c.a.177Luを含む、実施形態65又は66に記載の方法。
【0180】
68.方法が、約0.5~10gかつ約555GBq~15000GBqの生成物ランタニド及び非生成物ランタニドの混合物を提供することを含む、実施形態65~67のいずれか一つに記載の方法。
【0181】
69.生成物放射性ランタニド及び非生成物ランタニドの当該混合物が、中性子照射を176Yb、好ましくは酸化イッテルビウムのターゲットに適用して、放射性同位体177Ybを生成することと、標的が、ベータ崩壊後に崩壊して、177Ybから177Luを生成することを可能にすることと、によって、生成された、実施形態66~68のいずれか一つに記載の方法。
【国際調査報告】