(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】シングルセル核酸を標識及び分析する方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6806 20180101AFI20241210BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20241210BHJP
G16B 30/00 20190101ALI20241210BHJP
C40B 40/06 20060101ALN20241210BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALN20241210BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20241210BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALN20241210BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
G16B30/00
C40B40/06
C12Q1/6874 Z
C12N15/09 Z
C12Q1/6844 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538042
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2022135478
(87)【国際公開番号】W WO2023116376
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111600833.8
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517110612
【氏名又は名称】ビージーアイ シェンチェン
【住所又は居所原語表記】Main building, Beishan Industrial Zone, Yantian Street, Yantian District, Shenzhen, Guangdong 518083, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, シャ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, アオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウェンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, シュン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ08
4B063QQ53
4B063QR06
4B063QR08
4B063QR20
4B063QR32
4B063QR62
4B063QR82
4B063QS25
4B063QS39
(57)【要約】
核酸分子を位置決めする、及び標識する方法、並びにシングルセルトランスクリプトームシーケンシングのための核酸分子ライブラリーを構築する方法が提供され、これは、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング及び生体分子空間情報検出の技術分野に関する。方法を使用することによって構築された核酸分子ライブラリー及び方法を実行するためのキットがさらに提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識された核酸分子の集団を生成する方法であって、以下のステップ:
(1)1個又は複数の細胞を含む試料及び核酸アレイを提供するステップであって、
前記試料がシングルセル懸濁液であり、前記細胞が(例えば、その表面に)第1の結合分子を含み、
前記核酸アレイが固相支持体を含み、前記固相支持体が(例えば、その表面に)第1の標識分子を含み、前記第1の結合分子が前記第1の標識分子と相互作用対を形成可能であり、
前記固相支持体が複数のマイクロドットをさらに含み、前記マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)が5μm未満であり、隣接するマイクロドット間の中心間距離が10μm未満であり、各マイクロドットがオリゴヌクレオチドプローブの1種と結合しており、各種のオリゴヌクレオチドプローブが少なくとも1つのコピーを含み、前記オリゴヌクレオチドプローブが5’から3’方向に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2を含むか、又はそれからなり、
異なるマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブが異なるタグ配列Yを有する、ステップ、
(2)前記1個又は複数の細胞を前記核酸アレイの前記固相支持体と接触させて、それによって、各細胞がそれぞれ前記核酸アレイの少なくとも1つのマイクロドットを占有し(すなわち、各細胞はそれぞれ前記核酸アレイの少なくとも1つのマイクロドットと接触し)、前記細胞の第1の結合分子を、前記固相支持体の前記第1の標識分子と相互作用させる、ステップであって、
前記1個又は複数の細胞と前記核酸アレイを接触させる前又は後に、前記1個又は複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)で逆転写を含む前処理を実施して、第1の核酸分子集団を生成するステップ、
並びに
(3)前のステップにおいて得られた各細胞に由来する前記第1の核酸分子集団を、前記第1の核酸分子集団が由来する前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブと会合させ、それによって、タグ配列Yで標識された第2の核酸分子集団を生成するステップ
を含む方法。
【請求項2】
隣接するマイクロドット間の中心間距離が、10μm未満、5μm未満、1μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満又は0.01μm未満であり、前記マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)が、5μm未満、1μm未満、0.3μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満、0.01μm未満又は0.001μm未満である、
好ましくは、隣接するマイクロドットの前記中心間距離が、0.5μm~1μm、例えば、0.5μm~0.9μm、0.5μm~0.8μmであり、
好ましくは、前記マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)が、0.001μm~0.5μm(例えば、0.01μm~0.1μm、0.01μm~0.2μm、0.2μm~0.5μm、0.2μm~0.4μm、0.2μm~0.3μm)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の結合分子が、前記第1の標識分子と特異的相互作用対又は非特異的相互作用対を形成可能であり、
好ましくは、前記相互作用対が、正電荷及び負電荷の相互作用対、親和性相互作用対(例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、抗原/抗体、受容体/リガンド、酵素/補因子)、クリック化学反応を起こすことが可能な分子の対(例えば、アルキニル含有化合物/アジド化合物)、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステル/アミノ含有化合物並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択され、
例えば、前記第1の標識分子がポリリジンであり、前記第1の結合分子がポリリジンに結合可能なタンパク質である;前記第1の標識分子が抗体であり、前記第1の結合分子が抗体に結合可能な抗原である;前記第1の標識分子がアミノ含有化合物であり、前記第1の結合分子がN-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステルである;又は前記第1の標識分子がビオチンであり、前記第1の結合分子がストレプトアビジンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の結合分子が前記細胞に天然に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の結合分子が前記細胞に非天然に存在し、
好ましくは、前記方法が、前記第1の結合分子を前記1個若しくは複数の細胞に結合させるか、又は前記1個若しくは複数の細胞に前記第1の結合分子を発現させて、ステップ(1)の前記細胞試料を提供する、ステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記固相支持体に前記第1の標識分子を結合させて、ステップ(1)の前記核酸アレイを提供するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(2)において、前処理が、
(i)プライマーI-Aを使用して、前記1個若しくは複数の細胞の前記RNA(例えば、mRNA)を逆転写して、標識される第1の核酸分子として伸長産物を生成し、それによって、前記第1の核酸分子集団を生成するステップであって、前記プライマーI-Aがコンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉される前記RNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、前記コンセンサス配列Aが前記捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、前記プライマーI-Aの5’末端に位置する)、ステップ、
又は
(ii)(a)プライマーI-Aを使用して、前記1個若しくは複数の細胞の前記RNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、前記cDNA鎖が、プライマーI-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、前記RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、前記プライマーI-Aがコンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉される前記RNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、前記コンセンサス配列Aが前記捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、前記プライマーI-Aの5’末端に位置する)、ステップ、並びに(b)プライマーI-Bを、(a)において生成されたcDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を開始して、標識される第1の核酸分子として第1の伸長産物を生成し、それによって、前記第1の核酸分子集団を生成するステップであって、前記プライマーI-Bが、コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列、及び任意選択でタグ配列Bを含み、前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列が前記プライマーI-Bの3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置する(例えば、前記プライマーI-Bの5’末端に位置する)、ステップ、
又は
(iii)(a)プライマーI-A’を使用して、前記1個若しくは複数の細胞の前記RNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、前記cDNA鎖が、プライマーI-A’によってプライムされた逆転写によって形成され、前記RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、前記プライマーI-A’が捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉される前記RNA(例えば、mRNA)とアニーリングして伸長反応を開始することが可能である、ステップ、(b)プライマーI-Bを、(a)において生成されたcDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を実施して、第1の伸長産物を生成するステップであって、前記プライマーI-Bが、コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列、及び任意選択でタグ配列Bを含み、前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列が前記プライマーI-Bの3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置する(例えば、前記プライマーI-Bの5’末端に位置する)、ステップ、並びに(c)伸長プライマーを提供し、鋳型として前記第1の伸長産物を使用して、伸長反応を実施して、標識される第1の核酸分子として第2の伸長産物を生成し、それによって、前記第1の核酸分子集団を生成する、ステップ
を含み、
ステップ(3)において、前のステップにおいて得られた各細胞に由来する前記第1の核酸分子集団を、前記第1の核酸分子集団が由来する前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブと会合させることによって、前記タグ配列Yによって標識された第2の核酸分子集団を生成し、これは、
アニーリングを可能にする条件下で、架橋オリゴヌクレオチドIを、各細胞に由来し、ステップ(2)において得られた前記第1の核酸分子と、前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブとに接触させること、架橋オリゴヌクレオチドIを、各細胞に由来し、ステップ(2)において得られた前記第1の核酸分子、及び前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブとアニーリング(例えば、インサイツアニーリング)させること、並びに前記第1の核酸分子と、架橋オリゴヌクレオチドIとアニーリングされた前記アレイのオリゴヌクレオチドプローブとをライゲートして、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてライゲーション産物を得、それによって、前記第2の核酸分子集団を生成すること
を含み、
架橋オリゴヌクレオチドIが、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、前記第1の領域と前記第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域の上流に位置し(例えば、前記第2の領域の5’に位置し)、
前記第1の領域が、ステップ(2)(i)若しくはステップ(2)(ii)における前記プライマーI-Aの前記コンセンサス配列Aの全体若しくは一部とアニーリング可能であるか、又はステップ(2)(iii)における前記プライマーI-Bの前記コンセンサス配列Bの全体若しくは一部とアニーリング可能であり、
前記第2の領域が、前記コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(3)において、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第1の領域及び前記第2の領域が直接隣接しており、前記第1の核酸分子の前記オリゴヌクレオチドプローブへのライゲーションが、核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートして、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてライゲーション産物を得ることを含み、又は
前記架橋オリゴヌクレオチドIが、第1の領域、第2の領域及びそれらの間に位置する第3の領域を含み、前記第1の核酸分子の前記オリゴヌクレオチドプローブへのライゲーションが、核酸ポリメラーゼを使用して、前記第3の領域を鋳型として重合反応を実施すること、並びに核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子と、前記第3の領域及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートして、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてライゲーション産物を得ることを含み、好ましくは、前記核酸ポリメラーゼが、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)を含み、ステップ(3)において得られた前記ライゲーション産物が、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてとられる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(2)(i)において、前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であり、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記ライゲーション産物が、異なる捕捉配列Aを有し、前記捕捉配列Aが、前記第2の核酸分子の固有の分子識別子(UMI)として働く、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(2)(i)において、前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、又は標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーI-Aが、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記ライゲーション産物が、異なるタグ配列AをUMIとして有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)を含み、ステップ(3)において得られた前記ライゲーション産物が、位置決めタグを有する前記第2の核酸分子としてとられる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(2)(ii)(a)において、捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であり、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記ライゲーション産物が、異なる捕捉配列Aを有し、前記捕捉配列Aが、前記第2の核酸分子の固有の分子識別子(UMI)として働く、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(2)(ii)(a)において、捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、又は標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーI-Aが、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記ライゲーション産物が、異なるタグ配列AをUMIとして有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プライマーI-Aが5’末端に5’リン酸を含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(1)、ステップ(2)(iii)及びステップ(3)を含み、前記ステップ(3)において得られた前記ライゲーション産物が、位置決めタグを有する前記第2の核酸分子としてとられる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(2)(iii)(c)において、前記伸長プライマーが、前記プライマーI-B又はプライマーB”であり、前記プライマーB”が、前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、前記伸長反応を開始することが可能である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(2)(iii)(a)において、前記プライマーI-A’の前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であり、ステップ(2)(iii)(b)において、前記プライマーI-Bが、前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(2)(iii)(a)において、前記プライマーI-A’の前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、又は標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーI-Bが、前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含み、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記ライゲーション産物が異なるタグ配列BをUMIとして有する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
前記伸長プライマーが5’末端に5’リン酸を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(2)(iii)(b)において、前記cDNA鎖が、3’-末端オーバーハングを介して前記プライマーI-Bとアニーリングし、前記cDNA鎖が、前記プライマーI-Bを鋳型として使用して伸長されて、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下で前記第1の伸長産物を生成する、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(2)において、前記前処理が、
(i)(a)プライマーII-Aを使用して、前記1個又は複数の細胞の前記RNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、前記cDNA鎖が、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、前記RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、前記プライマーII-Aが捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが捕捉される前記RNA(例えば、mRNA)とアニーリングし、前記伸長反応を開始することが可能である、ステップ、及び(b)プライマーII-Bを、(a)において生成された前記cDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を実施して、標識される第1の核酸分子として第1の伸長産物を生成し、それによって、前記第1の核酸分子集団を生成するステップであって、前記プライマーII-Bが、コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列、及び任意選択でタグ配列Bを含み、前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列が前記プライマーII-Bの3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置する(例えば、前記プライマーII-Bの5’末端に位置する)、ステップ、又は
(ii)(a)プライマーII-A’を使用して、1個又は複数の細胞の前記RNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、前記cDNA鎖が、前記プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、前記RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、前記プライマーII-A’がコンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉される前記RNA(例えば、mRNA)とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能であり、前記コンセンサス配列Aが前記捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、前記プライマーII-A’の5’末端に位置する)、ステップ、(b)プライマーII-B’を、(a)において生成された前記cDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を実施して、第1の伸長産物を生成するステップであって、前記プライマーII-B’が、コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列、及び任意選択でタグ配列Bを含み、前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列が前記プライマーII-B’の3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが前記3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置する(例えば、前記プライマーII-B’の5’末端に位置する)、ステップ、並びに(c)伸長プライマーを提供し、鋳型として前記第1の伸長産物を使用し、伸長反応を実施して、標識される第1の核酸分子として第2の伸長産物を生成し、それによって、前記第1の核酸分子集団を生成する、ステップ
を含み、
ステップ(3)において、前のステップにおいて得られた各細胞に由来する前記第1の核酸分子集団を、前記第1の核酸分子集団が由来する前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブと会合させることによって、前記タグ配列Yによって標識された第2の核酸分子集団を生成し、これは、
(i)ステップ(2)の生成物にアニーリング条件を適用することによって、ステップ(2)において得られた各細胞に由来する前記第1の核酸分子を、前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブとアニーリング(例えば、インサイツアニーリング)させ、伸長反応を実施して、位置決めタグを有する第2の核酸分子として伸長産物を生成し、それによって、前記第2の核酸分子集団を生成するステップであって、前記オリゴヌクレオチドプローブの前記コンセンサス配列X2又はその部分配列が、(a)ステップ(2)(i)において得られた前記第1の伸長産物の前記コンセンサス配列Bの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能であり、又は(b)ステップ(2)(ii)において得られた前記第2の伸長産物の前記コンセンサス配列Aの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能である、ステップ、又は、
(ii)アニーリングを可能にする条件下で、架橋オリゴヌクレオチド対を、ステップ(2)において得られた各細胞に由来する前記第1の核酸分子及び前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブと接触させ、前記架橋オリゴヌクレオチド対を、ステップ(2)において得られた各細胞に由来する前記第1の核酸分子及び前記細胞によって占有された前記マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブとアニーリング(例えば、インサイツアニーリング)させ、
ここで、前記架橋オリゴヌクレオチド対は、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIから構成されており、前記架橋オリゴヌクレオチドII-I及び前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIが各々独立的に、第1の領域、第2の領域及び、任意選択で第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域の上流に位置し(例えば、前記第2の領域の5’に位置し)、
前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域が、前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とアニーリング可能であり、前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第2の領域が、前記オリゴヌクレオチドプローブの前記コンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第2の領域が、(a)ステップ(2)(i)において得られた前記第1の伸長産物の前記コンセンサス配列Bの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能であるか、又は(b)ステップ(2)(ii)において得られた前記第2の伸長産物の前記コンセンサス配列Aの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能であり、
前記第1の核酸分子及びオリゴヌクレオチドプローブと接触させる前記架橋オリゴヌクレオチド対の中で、前記架橋オリゴヌクレオチド対の前記架橋オリゴヌクレオチドII-I及び前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、一本鎖形態で各々存在するか、又は前記架橋オリゴヌクレオチド対の前記架橋オリゴヌクレオチドII-I及び前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、互いにアニーリングして部分的に二本鎖形態で存在し、
ライゲーション反応を実施し:同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートし、及び/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートし、並びに伸長反応を実施して、反応産物を位置決めタグを有する第2の核酸分子として得、それによって、第2の核酸分子集団を生成する、ステップであって、前記ライゲーション反応及び前記伸長反応が、任意の順序で実施される、ステップ
を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(3)(ii)において、
(1)前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域及び前記第2の領域が直接隣接しており、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションが、核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすることを含み、又は
前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iが、第1の領域、第2の領域及びそれらの間の第3の領域を含み、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションが、核酸ポリメラーゼ(例えば、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない核酸ポリメラーゼ)を使用して、前記第3の領域を鋳型として重合反応を実施すること、及び核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子と、前記第3の領域及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子とをライゲートすることを含み、
並びに/又は
(2)前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域及び前記第2の領域が直接隣接しており、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子の前記ライゲーションが、核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすることを含み、又は
前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、第1の領域、第2の領域及びそれらの間の第3の領域を含み、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションが、核酸ポリメラーゼ(例えば、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない核酸ポリメラーゼ)を使用して、前記第3の領域を鋳型として重合反応を実施すること、及び核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子と、前記第3の領域及び前記第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子とをライゲートすることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)を含み、ステップ(2)(i)(b)において、前記プライマーII-Bが、前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含み、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記第2の核酸分子が、異なるタグ配列BをUMIとして有する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(i)を含み、前記コンセンサス配列X2又はその部分配列が、前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(i)において得られた前記伸長産物が、標識される前記第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又は前記オリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む、標識された核酸分子としてとられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(ii)を含み、前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第2の領域が、ステップ(2)(i)において得られた前記第1の伸長産物の前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物が、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又は前記オリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む、標識された核酸分子としてとられる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ステップ(2)(i)(a)において、前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列である、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(2)(i)(a)において、前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、又は標的核酸を標的とする特異的配列であり、
好ましくは、前記プライマーII-Aが、コンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)を含み、ステップ(2)(ii)(b)において、前記第1の伸長産物が、5’から3’に、前記コンセンサス配列A、前記プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、前記3’-末端オーバーハング配列、任意選択で前記タグ配列Bの相補配列、及び前記コンセンサス配列Bの相補配列を含み、
好ましくは、ステップ(2)(ii)(c)において、前記伸長プライマーが前記プライマーII-B’又はプライマーB”であり、前記プライマーB”が、前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(i)を含み、前記コンセンサス配列X2又はその部分配列が、前記コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(i)において得られた前記伸長産物が、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又は前記オリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む、標識された核酸分子としてとられる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(ii)を含み、前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第2の領域が、ステップ(2)(ii)において得られた前記第2の伸長産物の前記コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物が、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又は前記オリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む、標識された核酸分子としてとられる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(2)(ii)(a)において、前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であり、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記第2の核酸分子が、異なる捕捉配列AをUMIとして有する、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(2)(ii)(a)において、前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、又は標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーII-A’が、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
好ましくは、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する前記第2の核酸分子が、異なるタグ配列AをUMIとして有する、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(2)(i)(b)において、前記cDNA鎖が、その3’-末端オーバーハングを介して前記プライマーII-Bとアニーリングし、前記cDNA鎖が、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下で、前記プライマーII-Bを鋳型として使用して伸長されて、前記第1の伸長産物を生成する、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(2)(ii)(b)において、前記cDNA鎖が、その3’-末端オーバーハングを介して前記プライマーII-B’とアニーリングし、前記cDNA鎖が、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下で、前記プライマーII-B’を鋳型として使用して伸長されて、前記第1の伸長産物を生成する、請求項22~23及び29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(2)において、前記前処理が細胞内で実施され、
好ましくは、前記1個又は複数の細胞を前記核酸アレイの前記固相支持体と接触させる前又は後に、1個又は複数の前記細胞の前記RNA(例えば、mRNA)が前記前処理に供され、前記第1の核酸分子集団を生成し、
好ましくは、前記前処理の前に前記細胞が透過処理される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(2)において、前記前処理が細胞外で実施され、
好ましくは、1個又は複数の前記細胞を前記核酸アレイの前記固相支持体と接触させた後に、1個又は複数の前記細胞の前記RNA(例えば、mRNA)が前記前処理に供され、前記第1の核酸分子集団を生成し、
好ましくは、前記前処理を実施する前に、方法が、細胞内RNA(例えば、mRNA)を放出することをさらに含み、好ましくは、前記細胞内RNA(例えば、mRNA)が、細胞透過処理又は細胞溶解処理によって放出される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(2)に記載の逆転写が逆転写酵素を使用することによって実施され、
好ましくは、前記逆転写酵素がターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有し、
好ましくは、前記逆転写酵素が、RNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を合成すること及び前記cDNA鎖の前記3’末端にオーバーハングを付加することが可能である、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
(4)前記第2の核酸分子集団を回収及び精製するステップをさらに含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
得られた第2の核酸分子集団及び/又はその相補体が、トランスクリプトームライブラリーを構築するため又はトランスクリプトームシーケンシングのために使用される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(1)の前記核酸アレイが、以下のステップ:
(1)複数の種類のキャリア配列を提供するステップであって、各種のキャリア配列が、前記キャリア配列の少なくとも1つのコピーを含み、前記キャリア配列が、5’から3’の方向に、前記コンセンサス配列X2の相補配列、前記タグ配列Yの相補配列及び固定化配列を含み、各種のキャリア配列が、タグ配列Yの異なる相補配列を有する、ステップ
(2)前記複数の種類のキャリア配列を前記固相支持体(例えば、チップ)の表面に結合させるステップ、
(3)固定化プライマーを提供し、前記キャリア配列を鋳型として使用して、プライマー伸長反応を実施して、伸長産物を生成して、前記オリゴヌクレオチドプローブを得るステップであって、前記固定化プライマーが、前記コンセンサス配列X1の配列を含み、前記キャリア配列の前記固定化配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能であり、好ましくは、前記伸長産物が、5’から3’方向に、前記コンセンサス配列X1、前記タグ配列Y及び前記コンセンサス配列X2を含むか、又はそれからなる、ステップ、
(4)前記固定化プライマーを前記固相支持体の表面と連結するステップであって、ステップ(3)及びステップ(4)が任意の順序で実施される、ステップ、
(5)任意選択で、前記キャリア配列の前記固定化配列が切断部位をさらに含み、前記切断が、ニッキング酵素消化、USER酵素消化、光応答性切除、化学的切除又はCRISPR媒介性切除から選択され得、前記キャリア配列の前記固定化配列に含まれる前記切断部位で切断を実施して、前記キャリア配列を消化して、ステップ(3)における前記伸長産物を、前記伸長産物が生成される鋳型(すなわち、前記キャリア配列)から分離し、それによって、前記オリゴヌクレオチドプローブを前記固相支持体(例えば、チップ)の表面と連結するステップ
によって提供され、好ましくは、前記方法が、高温変性によって、ステップ(3)における前記伸長産物を、前記伸長産物が生成される鋳型(すなわち、前記キャリア配列)から分離することをさらに含み、
好ましくは、各種のキャリア配列が、前記キャリア配列の複数のコピーのコンカテマーから形成されたDNBであり、
好ましくは、前記複数の種類のキャリア配列が以下のステップ:
(i)複数の種類のキャリア-鋳型配列を提供するステップであって、前記キャリア-鋳型配列が、キャリア配列の相補配列を含む、ステップ、
(ii)各種のキャリア-鋳型配列を鋳型として使用して、核酸増幅反応を実施して、各種のキャリア-鋳型配列の増幅産物を得るステップであって、前記増幅産物が、前記キャリア配列の少なくとも1つのコピーを含み、好ましくは、ローリングサークル複製が、実施されて、前記キャリア配列のコンカテマーから形成されたDNBが得られる、ステップ
によりステップ(1)において提供される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
核酸分子のライブラリーを構築する方法であって、
(a)請求項1~41のいずれか一項に記載の方法に従って、標識された核酸分子の集団を生成するステップ、
(b)前記標識された核酸分子の集団における前記核酸分子を無作為に断片化し、それにアダプターを連結するステップ、並びに
(c)任意選択で、ステップ(b)の産物を増幅及び/又は濃縮するステップ
を含み、それによって、核酸分子のライブラリーを得て、
好ましくは、前記核酸分子のライブラリーが、複数のシングルセルからの核酸分子を含み、異なるシングルセルからの前記核酸分子が、異なるタグ配列Yを有し、
好ましくは、前記核酸分子のライブラリーが、シーケンシング、例えば、トランスクリプトームシーケンシング、例えば、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング(例えば、5’又は3’トランスクリプトームシーケンシング)のために使用される、方法。
【請求項43】
ステップ(b)を実施する前に、ステップ(プレb):標識された核酸分子の集団を増幅及び/又は濃縮するステップをさらに含み、
好ましくは、前記増幅反応が、少なくともプライマーC及び/又はプライマーDを使用して実施され、前記プライマーCが、前記コンセンサス配列X1の相補配列若しくはその部分配列とハイブリダイズ又はアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、前記プライマーDが、前記標識された核酸分子の集団における、前記タグ配列Yを含む前記核酸分子鎖とハイブリダイズ又はアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(b)において、前のステップにおいて得られた核酸分子が無作為に断片化され、得られた断片が、トランスポザーゼを使用することによって、それぞれ両末端でアダプターと連結され、
好ましくは、ステップ(c)において、少なくともプライマーC’及び/又はプライマーD’が、ステップ(b)の生成物を増幅するために使用され、
前記断片の両末端の前記アダプターが、それぞれ第1のアダプター及び第2のアダプターであり、前記プライマーC’が、第1のアダプターとハイブリダイズ又はアニーリングし、伸長反応を開始することが可能であり、前記プライマーD’が、第2のアダプターとハイブリダイズ又はアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
試料中の細胞をトランスクリプトームシーケンシングする方法であって、
(1)核酸分子のライブラリーを請求項42~44のいずれか一項に記載の方法に従って構築するステップ、及び
(2)前記核酸分子のライブラリーをシーケンシングするステップ
を含む方法。
【請求項46】
シングルセルトランスクリプトーム分析を実施する方法であって、
(1)試料中のシングルセルのトランスクリプトームシーケンシングを請求項45に記載の方法に従って実施するステップ、及び
(2)シーケンシングデータを分析するステップであって、前記シーケンシングライブラリーの前記シーケンシング結果の、前記核酸アレイの各マイクロドットに結合した前記オリゴヌクレオチドプローブの前記タグ配列Y又はその相補配列とのマッチングを実施することを含み、前記マッチングが成功である場合に前記マイクロドットが陽性マイクロドットと同定され、前記核酸アレイにおいて領域的連続性を有する陽性マイクロドットに由来するシーケンシングデータは、同一細胞の転写データと同定され、それによって、シングルセルトランスクリプトーム分析が実施される、ステップ
を含む方法。
【請求項47】
核酸を標識するための核酸アレイ及び任意選択で第1の結合分子を含むキットであって、
前記核酸アレイが固相支持体を含み、前記固相支持体が(例えば、その表面に)第1の標識分子を含み、前記第1の結合分子が前記第1の標識分子と相互作用対を形成可能であり、
前記固相支持体が複数のマイクロドットをさらに含み、前記マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)が5μm未満であり、隣接するマイクロドット間の中心間距離が10μm未満であり、各マイクロドットが1種のオリゴヌクレオチドプローブと結合し、各種のオリゴヌクレオチドプローブが少なくとも1つのコピーを含み、前記オリゴヌクレオチドプローブが、5’から3’方向に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2を含むか、又はそれからなり、
異なるマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブが異なるタグ配列Yを有する、キット。
【請求項48】
隣接するマイクロドット間の中心間距離が、10μm未満、5μm未満、1μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満又は0.01μm未満であり、前記マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)が、5μm未満、1μm未満、0.3μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満、0.01μm未満又は0.001μm未満であり、
好ましくは、隣接するマイクロドット間の中心間距離が、0.5μm~1μm、例えば、0.5μm~0.9μm、0.5μm~0.8μmであり、
好ましくは、前記マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)が、0.001μm~0.5μm(例えば、0.01μm~0.1μm、0.01μm~0.2μm、0.2μm~0.5μm、0.2μm~0.4μm、0.2μm~0.3μm)である、請求項47に記載のキット。
【請求項49】
前記第1の結合分子が、前記第1の標識分子と特異的相互作用対又は非特異的相互作用対を形成可能であり、
好ましくは、前記相互作用対が、正電荷及び負電荷の相互作用対、親和性相互作用対(例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、抗原/抗体、受容体/リガンド、酵素/補因子)、クリック化学反応を起こすことが可能な分子の対(例えば、アルキニル含有化合物/アジド化合物)、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステル/アミノ含有化合物並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択され、
例えば、前記第1の標識分子がポリリジンであり、前記第1の結合分子がポリリジンと結合可能なタンパク質である;前記第1の標識分子は抗体であり、前記第1の結合分子は抗体と結合可能な抗原である;前記第1の標識分子がアミノを含む化合物であり、前記第1の結合分子が、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステルである;又は前記第1の標識分子がビオチンであり、前記第1の結合分子が、ストレプトアビジンである、請求項47又は48に記載のキット。
【請求項50】
(i)プライマーI-A、又はプライマーI-A’及びプライマーI-Bを含むプライマーセット、又はプライマーI-A及びプライマーI-Bを含むプライマーセットであって、
前記プライマーI-Aがコンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、好ましくは、前記コンセンサス配列Aが前記捕捉配列Aの上流に位置し(例えば、前記プライマーI-Aの5’末端に位置し)、
前記プライマーI-A’が捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉される前記RNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、
前記プライマーI-Bが、コンセンサス配列B、3’末端オーバーハングの相補配列、及び任意選択でタグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの前記相補配列が前記プライマーI-Bの3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置し(例えば、前記プライマーI-Bの5’末端に位置し)、前記3’-末端オーバーハングとは、前記プライマーI-A’の前記捕捉配列Aによって捕捉された前記RNAを鋳型とする逆転写によって生成された前記cDNA鎖の3’末端に含まれる1つ又は複数の鋳型とならないヌクレオチドを指す、プライマーA、又はプライマーA’及びプライマーBを含むプライマーセット、又はプライマーA及びプライマーBを含むプライマーセット、
並びに
(ii)第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、前記第1の領域と前記第2の領域の間に位置する第3の領域を含む、架橋オリゴヌクレオチドIであって、前記第1の領域が前記第2の領域の上流に位置し(例えば、前記第2の領域の5’に位置し)、
前記第1の領域が、(a)前記プライマーI-Aの前記コンセンサス配列Aの全体若しくは一部とアニーリングすること、又は(b)前記プライマーI-Bの前記コンセンサス配列Bの全体若しくは一部とアニーリング可能であり、
前記第2の領域は、前記コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能である、架橋オリゴヌクレオチドI
をさらに含む、請求項47~49のいずれか一項に記載のキット。
【請求項51】
(i)に記載のプライマーI-A及び(ii)に記載の架橋オリゴヌクレオチドIを含み、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第1の領域が、前記プライマーI-Aの前記コンセンサス配列Aの全体又は一部とアニーリング可能であり、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第2の領域が、前記コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能であり、
前記プライマーI-Aの前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーI-Aの前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、又は標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーI-Aが、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
好ましくは、前記プライマーI-Aが5’末端に5’リン酸を含む、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
(i)に記載の前記プライマーI-A’及び前記プライマーI-Bを含む前記プライマーセット、並びに(ii)に記載の架橋オリゴヌクレオチドIを含み、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第1の領域が、前記プライマーI-Bの前記コンセンサス配列Bの全体又は一部とアニーリング可能であり、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第2の領域が、前記コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能であり、
前記プライマーI-A’の前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーI-A’の前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーI-A’が、タグ配列A及びコンセンサス配列Aをさらに含み、
前記プライマーI-Bが、前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含み、
好ましくは、前記キットがプライマーB”をさらに含み、前記プライマーB”が、前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能であり、
好ましくは、前記プライマーI-B又はプライマーB”が、5’末端に5’リン酸を含み、
好ましくは、前記プライマーI-Bが修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、前記プライマーI-Bが、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む、請求項50に記載のキット。
【請求項53】
(i)に記載の前記プライマーI-A及び前記プライマーI-Bを含む前記プライマーセット、並びに(ii)に記載の架橋オリゴヌクレオチドIを含み、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第1の領域が、前記プライマーI-Aの前記コンセンサス配列Aの全体又は一部とアニーリング可能であり、前記架橋オリゴヌクレオチドIの前記第2の領域が、前記コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能であり、
前記プライマーI-Aの前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーI-Aの前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーI-Aが、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
好ましくは、前記プライマーI-Aが5’末端に5’リン酸を含み、
好ましくは、前記プライマーI-Bが修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、前記プライマーI-Bが、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む、請求項50に記載のキット。
【請求項54】
(i)プライマーII-A及びプライマーII-Bを含むプライマーセット、又はプライマーII-A’及びプライマーII-B’を含むプライマーセットをさらに含み、
前記プライマーII-Aが捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、
前記プライマーII-Bが、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列、及び任意選択でタグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの前記相補配列が前記プライマーII-Bの3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置し(例えば、前記プライマーII-Bの5’末端に位置し)、前記3’-末端オーバーハングとは、前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aによって捕捉された前記RNAを鋳型とする逆転写によって生成されたcDNA鎖の3’末端に含まれる1つ又は複数の鋳型とならないヌクレオチドを指し、
前記プライマーII-A’がコンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、前記捕捉配列Aが前記プライマーII-A’の3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Aが前記捕捉配列Aの上流に位置し(例えば、前記プライマーII-A’の5’末端に位置し)、
前記プライマーII-B’が、コンセンサス配列B、3’末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの前記相補配列が、前記プライマーII-B’の3’末端に位置し、前記コンセンサス配列Bが、3’-末端オーバーハングの前記相補配列の上流に位置し(例えば、前記プライマーII-B’の5’末端に位置し)、前記3’-末端オーバーハングとは、前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aによって捕捉された前記RNAを鋳型とする逆転写によって生成されたcDNA鎖の3’末端に含まれる1つ又は複数の鋳型とならないヌクレオチドを指す、請求項47~49のいずれか一項に記載のキット。
【請求項55】
(i)に記載の前記プライマーII-A及び前記プライマーII-Bを含む前記プライマーセット、並びに(ii)架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIを含み、前記架橋オリゴヌクレオチドII-I及び前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIが各々独立的に、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、前記第1の領域と前記第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域の上流に位置し(例えば、前記第2の領域の5’に位置し)、
前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域が、前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とアニーリング可能であり、前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第2の領域が、前記オリゴヌクレオチドプローブの前記コンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第2の領域が、前記プライマーII-Bの前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、
前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーII-Aが、好ましくはコンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
前記プライマーII-Bが、前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含み、
好ましくは、前記プライマーII-Bが修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、前記プライマーII-Bが、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む、請求項54に記載のキット。
【請求項56】
(i)に記載の前記プライマーII-A及び前記プライマーII-Bを含む前記プライマーセットを含み、
前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーII-Aの前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーII-Aが、好ましくはコンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
前記プライマーII-Bが、前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含み、
好ましくは、前記プライマーII-Bが修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、前記プライマーII-Bが、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む、請求項54に記載のキット。
【請求項57】
(i)に記載の前記プライマーII-A’及び前記プライマーII-B’を含む前記プライマーセット、並びに(ii)架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIを含み、前記架橋オリゴヌクレオチドII-I及び前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIが各々独立的に、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、前記第1の領域と前記第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域の上流に位置し(例えば、前記第2の領域の5’に位置し)、
前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第1の領域が、前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第1の領域とアニーリング可能であり、前記架橋オリゴヌクレオチドII-Iの前記第2の領域が、前記オリゴヌクレオチドプローブの前記コンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
前記架橋オリゴヌクレオチドII-IIの前記第2の領域が、前記プライマーII-A’の前記コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、
前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーII-A’が、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
好ましくは、前記プライマーII-B’が修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、前記プライマーII-B’が、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含み、
好ましくは、キットがプライマーB”をさらに含み、前記プライマーB”が、前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である、請求項54に記載のキット。
【請求項58】
(i)に記載の前記プライマーII-A’及び前記プライマーII-B’を含む前記プライマーセットを含み、
前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aがランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又は前記プライマーII-A’の前記捕捉配列Aが、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、前記プライマーII-A’が、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
前記プライマーII-B’が前記コンセンサス配列B、前記3’-末端オーバーハングの相補配列及び前記タグ配列Bを含み、
好ましくは、前記プライマーII-B’が修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、前記プライマーII-B’が、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含み、
好ましくは、前記キットがプライマーB”をさらに含み、前記プライマーB”が、前記コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である、請求項54に記載のキット。
【請求項59】
逆転写酵素、核酸リガーゼ、核酸ポリメラーゼ及び/又はトランスポザーゼをさらに含み、
好ましくは、前記逆転写酵素がターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有し、好ましくは、前記逆転写酵素が、RNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を合成すること及び3’-末端オーバーハングを前記cDNA鎖の3’末端に付加することが可能である、請求項47~58のいずれか一項に記載のキット。
【請求項60】
核酸ハイブリダイゼーションのための試薬、核酸伸長のための試薬、核酸増幅のための試薬、核酸を回収又は精製するための試薬、トランスクリプトームシーケンシングライブラリーを構築するための試薬、シーケンシング(例えば、第2又は第3世代シーケンシング)のための試薬又はそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項47~59のいずれか一項に記載のキット。
【請求項61】
核酸分子のライブラリーを構築するための、又はトランスクリプトームシーケンシングを実施するための、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法又は請求項47~60のいずれか一項に記載のキットの使用であって、
好ましくは、前記方法又はキットが、核酸分子のシングルセルライブラリーを構築するために、又はシングルセルトランスクリプトームシーケンシングを実施するために使用される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング及び生体分子空間的情報検出の技術分野に関する。詳細に言えば、本出願は、個体の細胞の核酸分子を位置的に標識する方法及びシングルセルトランスクリプトームシーケンシングライブラリーを構築する方法に関する。さらに、本出願は、方法を実施するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術は、細胞不均一性を同定するための重要なツールである。シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術の重要性が、処理量、容易な操作などの点でこの技術の迅速な開発を促進してきた。シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術の開発によって、国際社会が多額の資金を費やして、ヒト細胞の3次元アトラスを作出するためのヒト細胞アトラスプロジェクト(Human Cell Atlas Project)に着手することが促進された。ヒト細胞アトラスプロジェクトの着手により、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術の処理量についてより高い必要条件及び課題が提示された。科学的研究ニーズに加えて、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術はまた、がんにおける少数の「がん幹細胞」を発見して、悪性腫瘍を克服するための標的化される薬物及び療法を見出すために、医療労働者によって使用されている。悪性腫瘍細胞は比較的稀であるので、量が少ない悪性腫瘍細胞のトランスクリプトーム情報の喪失を避けるには、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術には、高い細胞利用率及び捕捉率が必要である。
【0003】
既存のシングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術は、主に2つのカテゴリーを含む:1つは、シングルセルがマルチウェルプレートの個々のウェルに割り当てられるマルチウェルプレートに基づく低処理量シーケンシング技術、例えば、smart-seq及びCEL-seqであり、もう1つは、磁性ビーズベースのシーケンシング技術、例えば、10xクロム、Drop-seq、Seq-well及び他の技術であり、細胞及び標識された磁性ビーズがマイクロフルイディクスによって微小滴又はマイクロウェルに同時に包まれる。シングルセルトランスクリプトームシーケンシング技術の中で、10xクロムは、最高処理量を有し、単回実施のその処理量は、5,000~7,000個細胞であり、最大10,000個細胞に到達し得る。さらに、細胞種に応じて、その細胞捕捉率は、30%~60%である。
【0004】
市場において最も広く使用されている10xクロムを例にとると、その技術的特徴は、細胞選別のためのマイクロフルイディックシステムの使用である。手短には、標識分子又はバーコード分子(Barcode)を有するゲルビーズが、均一速度でマイクロフルイディックシステムに入ることが可能になり、選別される細胞及び酵素が、特定の時間間隔でゲルビーズに結合することが可能になり、油相でGEM(エマルジョンのゲルビーズ)を形成する。理想的には、各細胞が、1つのゲルビーズに結合して、1つのGEMを形成する。したがって、この方法は、シングルセルトランスクリプトームシーケンシングの目的を達成できる。しかし、GEMの形成は、ポアソン分布をたどる。すなわち、単一GEMは、0個以上の細胞を含むことがあり得る。このGEMによって作成されたシーケンシングデータはシングルセルの状態に対応しないので、後に使用することができず、アルゴリズムによってフィルタリングされる必要がある。この技術の処理量は、油相で形成される微小滴の数によって制限されて、万のレベルを超えることが困難であり、同時にポアソン分布の特徴のために、この技術の最大細胞捕捉率は、最大60%に到達し得る。したがって、100,000個若しくはさらにより多くの細胞の処理量を有するシングルセルトランスクリプトームシーケンシングが必要であるか、又は稀な細胞が捕捉され、シーケンシングされる必要がある場合、この技術には依然として大きな欠点があり、実際のニーズを満たすことが困難である。したがって、より高い細胞捕捉率を有する新規シングルセルトランスクリプトームシーケンシング法を開発することがこの技術分野では必要である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1のAは、本出願において核酸分子を捕捉及び標識するために使用されるチップの例示的構造を示し、チップ及びチップと結合したオリゴヌクレオチドプローブ(チップ配列とも呼ばれる)を含む図である。各オリゴヌクレオチドプローブは、チップのその位置に対応するタグ配列Yを含み、1種のオリゴヌクレオチドプローブが結合するチップの領域は、マイクロドットと呼ばれ得る。各オリゴヌクレオチドプローブは、単一コピーを含む場合も複数のコピーを含む場合もある。
図1のBは、試料中の細胞がチップと接触した後に、それらがチップの1つ又は複数のマイクロドットによって標識されることを示す図である。
【
図2】
図2は、試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を調製するための例示的スキーム1及びcDNA鎖の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B。
【
図3】
図3は、cDNA鎖の5’末端を標識するためにチップ配列を使用して(すなわち、cDNA鎖の5’末端をチップ配列の3’末端にライゲートして)チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的スキーム及びチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、X1:コンセンサス配列X1、Y:タグ配列Y、X2:コンセンサス配列X2。
【
図4】
図4は、試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖の相補鎖を調製するための例示的スキーム1を及びcDNA鎖の相補鎖の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、EP:伸長プライマー。
【
図5】
図5は、cDNA鎖の相補鎖の5’末端を標識するためにチップ配列を使用して(すなわち、cDNA鎖の相補鎖の5’末端をチップ配列の3’末端にライゲートして)チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的スキーム及びチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、X1:コンセンサス配列X1、Y:タグ配列Y、X2:コンセンサス配列X2。
【
図6】
図6は、試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を調製するための例示的スキーム2及びcDNA鎖の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B。
【
図7】
図7は、cDNA鎖の3’末端を標識するためにチップ配列の相補配列を使用して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的スキーム1及びチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、X1:コンセンサス配列X1、Y:タグ配列Y、X2:コンセンサス配列X2、P1:第1の領域、P2:第2の領域。
【
図8】
図8は、cDNA鎖の3’末端を標識するためのチップ配列の相補配列を使用して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的スキーム2及びチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、X1:コンセンサス配列X1、Y:タグ配列Y、X2:コンセンサス配列X2。
【
図9】
図9は、試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖の相補鎖を調製するための例示的スキーム2及びcDNA鎖の相補鎖の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、EP:伸長プライマー。
【
図10】
図10は、cDNA鎖の相補鎖の3’末端を標識するためのチップ配列の相補配列を使用して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的スキーム1及びチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、X1:コンセンサス配列X1、Y:タグ配列Y、X2:コンセンサス配列X2、P1:第1の領域、P2:第2の領域。
【
図11】
図11は、cDNA鎖の相補鎖の3’末端を標識するためのチップ配列の相補配列を使用して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的スキーム2及びチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造を示す図である。CA:コンセンサス配列A、CB:コンセンサス配列B、X1:コンセンサス配列X1、Y:タグ配列Y、X2:コンセンサス配列X2。
【
図12】
図12は、実施例1の方法によって得られたHek293細胞のサブセットの遺伝子発現プロファイルを示す図である。
【
図13】
図13は、実施例1の方法によって得られたHek293細胞のサブセットの遺伝子発現プロファイルの部分拡大図を示す図である。
【
図14】
図14は、実施例2におけるcDNA増幅産物の長さ分布を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例2の方法によって得られたHek293細胞の遺伝子発現プロファイルを示す図である。
【
図16】
図16は、実施例2の方法によるシングルセルから捕捉されたような、平均遺伝子数及びUMIを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本出願は、細胞試料の核酸分子を位置的に標識する方法及びこの方法に基づいてシングルセルトランスクリプトームシーケンシングライブラリーを構築する方法を提供する。さらに、本出願はまた、この方法を実施するためのキットに関連する。
【0007】
標識された核酸分子の集団を生成する方法
【0008】
一態様では、本出願は、標識された核酸分子の集団を生成する方法であって、以下の
(1)1個又は複数の細胞及び核酸アレイを含む試料を提供するステップであって、
試料は、シングルセル懸濁液であり、細胞は、(例えば、その表面に)第1の結合分子を含み、
核酸アレイは、固相支持体を含み、固相支持体は、(例えば、その表面に)第1の標識分子を含み、第1の結合分子は、第1の標識分子と相互作用対を形成可能であり、
さらに、固相支持体は、複数のマイクロドットをさらに含み、マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)は、5μm未満であり、隣接するマイクロドット間の中心間距離は、10μm未満であり、各マイクロドットは、オリゴヌクレオチドプローブの1種と結合しており、各種のオリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つのコピーを含み、オリゴヌクレオチドプローブは5’から3’方向に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2を含むか、又はそれからなり、
異なるマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブは異なるタグ配列Yを有する、ステップ、
(2)1個又は複数の細胞を核酸アレイの固相支持体と接触させて、それによって、各細胞がそれぞれ核酸アレイの少なくとも1つのマイクロドットを占有し(すなわち、各細胞はそれぞれ核酸アレイの少なくとも1つのマイクロドットと接触し)、細胞の第1の結合分子を固相支持体の第1の標識分子と相互作用させる、ステップであって、
1個若しくは複数の細胞を核酸アレイと接触させる前又は後に、1個又は複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)での逆転写を含む前処理を実施して、第1の核酸分子集団を生成するステップ、
並びに
(3)前のステップにおいて得られた各細胞に由来する第1の核酸分子集団を、第1の核酸分子集団が由来する細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブと会合させ、それによって、タグ配列Yで標識された第2の核酸分子集団を生成するステップ
を含む方法を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、隣接するマイクロドット間の中心間距離は、10μm未満、5μm未満、1μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満又は0.01μm未満であり、マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)は、5μm未満、1μm未満、0.3μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満、0.01μm未満又は0.001μm未満である。
【0010】
一部の実施形態では、隣接するマイクロドット間の中心間距離は、0.5μm~1μm、例えば、0.5μm~0.9μm、0.5μm~0.8μmである。
【0011】
一部の実施形態では、マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)は、0.001μm~0.5μm(例えば、0.01μm~0.1μm、0.01μm~0.2μm、0.2μm~0.5μm、0.2μm~0.4μm、0.2μm~0.3μm)である。
【0012】
ある特定の実施形態では、第1の結合分子は、第1の標識分子と特異的相互作用対又は非特異的相互作用対を形成可能である。
【0013】
ある特定の実施形態では、相互作用対は、正電荷及び負電荷の相互作用対、親和性相互作用対(例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、抗原/抗体、受容体/リガンド、酵素/補因子)、クリック化学反応を起こすことが可能な分子の対(例えば、アルキニル含有化合物/アジド化合物)、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステル/アミノ含有化合物並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0014】
ある特定の実施形態では、第1の標識分子は、ポリリジンであり、第1の結合分子は、ポリリジンに結合可能なタンパク質である;第1の標識分子は、抗体であり、第1の結合分子は、抗体に結合可能な抗原である;第1の標識分子は、アミノ含有化合物であり、第1の結合分子は、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステルである;又は第1の標識分子は、ビオチンであり、第1の結合分子は、ストレプトアビジンである。
【0015】
ある特定の実施形態では、第1の結合分子は、細胞に天然に存在する。
【0016】
ある特定の実施形態では、第1の結合分子は、細胞に非天然に存在する。
【0017】
ある特定の実施形態では、方法は、第1の結合分子を1個若しくは複数の細胞に結合させるか、又は1個若しくは複数の細胞に第1の結合分子を発現させて、ステップ(1)の細胞試料を提供する、ステップをさらに含む。
【0018】
ある特定の実施形態では、方法は、固相支持体の第1の標識分子を結合して、ステップ(1)の核酸アレイを提供するステップをさらに含む。
【0019】
スキームI
【0020】
一部の実施形態では、ステップ(2)において、前処理は、
(i)プライマーI-Aを使用して、1個若しくは複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)を逆転写して、標識される第1の核酸分子として伸長産物を生成し、それによって、第1の核酸分子集団を生成するステップであって、プライマーI-Aは、コンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーI-Aの5’末端に位置する)、ステップ、
又は
(ii)(a)プライマーI-Aを使用して、1個若しくは複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、cDNA鎖は、プライマーI-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、プライマーI-Aは、コンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーI-Aの5’末端に位置する)、ステップ、並びに(b)プライマーI-Bを、(a)において生成されたcDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を開始して、標識される第1の核酸分子として第1の伸長産物を生成し、それによって、第1の核酸分子集団を生成するステップであって、プライマーI-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーI-Bの3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置する(例えば、プライマーI-Bの5’末端に位置する)、ステップ、
又は
(iii)(a)プライマーI-A’を使用して、1個若しくは複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、cDNA鎖は、プライマーI-A’によってプライムされた逆転写によって形成され、RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、プライマーI-A’は、捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして伸長反応を開始することが可能である、ステップ、並びに(b)プライマーI-Bを、(a)において生成されたcDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を実施して、第1の伸長産物を生成するステップであって、プライマーI-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーI-Bの3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置する(例えば、プライマーI-Bの5’末端に位置する)、ステップ、並びに(c)伸長プライマーを提供し、鋳型として第1の伸長産物を使用して伸長反応を実施して、標識される第1の核酸分子として第2の伸長産物を生成し、それによって、第1の核酸分子集団を生成する、ステップ
を含み、
ステップ(3)において、前のステップにおいて得られた各細胞に由来する第1の核酸分子集団を、第1の核酸分子集団が由来する細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブと会合させることによって、タグ配列Yによって標識された第2の核酸分子集団を生成し、これは、
アニーリングを可能にする条件下で、架橋オリゴヌクレオチドIを、各細胞に由来し、ステップ(2)において得られた第1の核酸分子と、細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブとに接触させること、架橋オリゴヌクレオチドIを、各細胞に由来し、ステップ(2)において得られた第1の核酸分子、及び細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブとアニーリング(例えば、インサイツアニーリング)させること、並びに第1の核酸分子と、架橋オリゴヌクレオチドIとアニーリングされたアレイのオリゴヌクレオチドプローブとをライゲートして、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてライゲーション産物を得、それによって、第2の核酸分子集団を生成すること
を含み、
架橋オリゴヌクレオチドIは、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
第1の領域は、ステップ(2)(i)若しくはステップ(2)(ii)に記載のプライマーI-Aコンセンサス配列Aの全体若しくは一部とアニーリング可能であるか、又はステップ(2)(iii)に記載のプライマーI-Bのコンセンサス配列Bの全体若しくは一部とアニーリング可能であり、
第2の領域は、コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能である。
【0021】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、架橋オリゴヌクレオチドIの第1の領域及び第2の領域は、直接隣接しており、第1の核酸分子のオリゴヌクレオチドプローブへのライゲーションは、核酸リガーゼを使用して、同一の架橋オリゴヌクレオチドIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートして、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてライゲーション産物を得ることを含み、又は
架橋オリゴヌクレオチドIは、第1の領域、第2の領域及びそれらの間に位置する第3の領域を含み、第1の核酸分子のオリゴヌクレオチドプローブへのライゲーションは、核酸ポリメラーゼを使用して、第3の領域を鋳型として重合反応を実施すること、並びに核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子と、第3の領域及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートして、位置決めタグを有する第2の核酸分子としてライゲーション産物を得ることを含み、好ましくは、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性若しくは鎖置換活性を有さない。
【0022】
ある特定の実施形態では、各種のオリゴヌクレオチドプローブは、1コピーを含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、各種のオリゴヌクレオチドプローブは、複数のコピーを含む。
【0024】
各種のオリゴヌクレオチドプローブが1コピーを含む場合には、各マイクロドットは1つのオリゴヌクレオチドプローブと結合しており、異なるマイクロドットのオリゴヌクレオチドプローブは異なるタグ配列Yを有し、各種のオリゴヌクレオチドプローブが複数のコピーを含む場合には、各マイクロドットは複数のオリゴヌクレオチドプローブと結合しており、同一マイクロドットのオリゴヌクレオチドプローブは、同一タグ配列Yを有し、異なるマイクロドットのオリゴヌクレオチドプローブは異なるタグ配列Yを有することを理解することは容易である。
【0025】
ある特定の実施形態では、固相支持体は、複数のマイクロドットを含み、各マイクロドットは、1つの種類のオリゴヌクレオチドプローブと結合しており、各種のオリゴヌクレオチドプローブは、1つ又は複数のコピーを含み得る。
【0026】
ある特定の実施形態では、固相支持体は、複数の(例えば、少なくとも10個、少なくとも102個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個又はそれより多い)マイクロドットを含む。ある特定の実施形態では、固相支持体は、少なくとも104個(例えば、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個又は少なくとも1012個)のマイクロドット/mm2を含む。
【0027】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)を含み、ステップ(3)において得られたライゲーション産物は、5’~3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドIの第3の領域の相補配列並びに標識される第1の核酸分子の配列を含む位置決めタグを有する第2の核酸分子としてとられる。
【0028】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(i)において、捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0029】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来するライゲーション産物は、異なる捕捉配列Aを有し、捕捉配列Aは、第2の核酸分子の固有の分子識別子(UMI)として働く。
【0030】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)における伸長産物(標識される第1の核酸分子)は、5’から3’に、コンセンサス配列A、プライマーI-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列を含む。
【0031】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(i)において、捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0032】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Aは、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0033】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーI-Aの3’末端に位置し、コンセンサス配列Aは、タグ配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーI-Aの5’末端に位置する)。
【0034】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来するライゲーション産物は、異なるタグ配列AをUMIとして有する。
【0035】
一部の実施形態では、ステップ(2)(i)における伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、タグ配列A及びプライマーI-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列を含む。
【0036】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)を含む実施形態
一部の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)を含み、ステップ(3)において得られたライゲーション産物は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドIの第3の領域の相補配列並びに標識される第1の核酸分子の配列を含む位置決めタグを有する第2の核酸分子としてとられる。
【0037】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(ii)(a)において、捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0038】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来するライゲーション産物は、異なる捕捉配列Aを有し、捕捉配列Aは、第2の核酸分子の固有の分子識別子(UMI)として働く。
【0039】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)における第1の伸長産物(標識される第1の核酸分子)は、5’から3’に、コンセンサス配列A、プライマーI-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列及び3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0040】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0041】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Aは、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0042】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーI-Aの3’末端に位置し、コンセンサス配列Aは、タグ配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーI-Aの5’末端に位置する)。
【0043】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来するライゲーション産物は、異なるタグ配列AをUMIとして有する。
【0044】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)における第1の伸長産物(標識される第1の核酸分子)は、5’から3’に、コンセンサス配列A、タグ配列A、プライマーI-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列及び3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0045】
ある特定の実施形態では、方法において、プライマーI-Aは、5’-末端に5’リン酸を含む。
【0046】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)を含む本出願の例示的実施形態は、以下のとおりに詳細に記載される:
【0047】
I.試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を調製する例示的実施形態は、(
図2に示されるように)以下のステップを含む:
【0048】
(1)逆転写酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素)及びプライマーI-Aを使用して、透過処理された細胞試料のRNA分子(例えば、mRNA分子)を逆転写し、cDNAを生成し、及びオーバーハング(例えば、3つのシトシンヌクレオチドを含むオーバーハング)がcDNAの3’末端に付加される。逆転写を実施するために、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する種々の逆転写酵素が使用され得る。ある特定の好ましい実施形態では、使用される逆転写酵素は、RNアーゼH活性を有さない。
を含む。
【0049】
プライマーI-Aは、ポリ(T)配列及びコンセンサス配列A(図でCAとして記されている)を含む。ある特定の実施形態では(例えば、方法が、3’トランスクリプトームライブラリーを構築するために使用される場合)、プライマーI-Aは、固有の分子識別子(UMI)配列をさらに含む。普通、ポリ(T)配列は、プライマーI-Aの3’末端に位置して、逆転写を開始する。好ましい実施形態では、UMI配列は、ポリ(T)配列の上流(例えば、5’)に位置し、コンセンサス配列Aは、UMI配列の上流(例えば、5’)に位置する。
【0050】
(2)コンセンサス配列B(図でCBとして記されている)を含むプライマーI-Bを使用して、cDNA鎖とアニーリングするか、又はハイブリダイズし、その後、プライマーI-Bとハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片を、核酸ポリメラーゼの存在下でコンセンサス配列Bを鋳型として使用して伸長して、コンセンサス配列Bの相補配列をcDNA鎖の3’末端に付加し、それによって、5’末端にコンセンサス配列A及びタグ配列A、並びに3’末端にコンセンサス配列Bの相補配列を保持する核酸分子を生成できる。
【0051】
プライマーI-Bは、cDNA鎖の3’-末端オーバーハングと相補的である配列を含み得る。例えば、cDNA鎖が、3つのシトシンヌクレオチドのオーバーハングを3’末端に含む場合には、プライマーI-Bは、その3’末端にGGGを含み得る。さらに、プライマーI-Bのヌクレオチドを修飾して(例えば、プライマーI-Bは、1つ又は複数のロックド核酸を含むように修飾され得る)、プライマーI-BとcDNA鎖の3’-末端オーバーハングの間の相補的対形成のための結合親和性を増強することもできる。
【0052】
何らかの理論によって制限されるものではないが、プライマーI-Bの部分配列を鋳型として使用して、ハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片(逆転写産物)を伸長できる限り、種々の適した核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)を使用して、伸長反応を実施できる。ある特定の例示的実施形態では、ハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片(逆転写産物)は、前記の逆転写ステップにおいて使用された同一逆転写酵素を使用して伸長され得る。
【0053】
ある特定の好ましい実施形態では、ステップ(2)及びステップ(1)は、同時に実施される。
【0054】
ある特定の実施形態では、方法は、任意選択で、ステップ(3):RNアーゼHを添加して、RNA/cDNAハイブリッドのRNA鎖を消化して、cDNA一本鎖を形成するステップをさらに含む。
【0055】
ある特定の好ましい実施形態では、方法は、ステップ(3)を含まない。
【0056】
上記の例示的実施形態によって調製されたcDNA鎖の例示的構造は、コンセンサス配列A、UMI配列、RNA(例えば、mRNA)の配列と相補的である配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0057】
II.cDNA鎖の5’末端をオリゴヌクレオチドプローブ(チップ配列とも呼ばれる)を用いて標識して(すなわち、cDNA鎖の5’末端をチップ配列の3’末端にライゲートして)、チップ配列情報を有する新規核酸分子(すなわち、チップ配列を用いて標識された核酸分子)を形成する例示的実施形態は、(
図3に示されるように)以下のステップを含む:
5’末端に、cDNA配列の5’末端と少なくとも部分的に相補的である(例えば、コンセンサス配列A(CA)と少なくとも部分的に相補的である)配列(第1の領域、P1)を含み、3’末端に、チップ配列の3’末端と少なくとも部分的に相補的である(例えば、コンセンサス配列X2と少なくとも部分的にと相補的である)配列(第2の領域、P2)を含む架橋オリゴヌクレオチドIが提供される。
【0058】
ある特定の好ましい実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドIのP1及びP2配列は、それらの間に中間ヌクレオチドを有さず直接隣接している。
【0059】
ある特定の好ましい実施形態では、P1配列、P2配列、コンセンサス配列A及びコンセンサス配列X2は各々独立的に、20~100nt(例えば、20~70nt)の長さを有する。架橋オリゴヌクレオチドIは、オリゴヌクレオチドプローブ及びcDNA鎖とアニーリングされるか、又はハイブリダイズされ、次いで、cDNA鎖の5’末端が、DNAリガーゼ及び/又はDNAポリメラーゼによってオリゴヌクレオチドプローブの3’末端にライゲートされ、それによって、オリゴヌクレオチドプローブの配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、オリゴヌクレオチドプローブで標識された核酸分子)が形成される。ある特定の好ましい実施形態では、DNAポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない。
【0060】
上記の例示的実施形態によって形成されたチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造は、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、コンセンサス配列A、UMI配列及びRNA(例えば、mRNA)の配列と相補的である配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0061】
ステップ(1)、ステップ(2)(iii)及びステップ(3)を含む実施形態
一部の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(iii)及びステップ(3)を含み、ステップ(3)において得られたライゲーション産物は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドIの第3の領域の相補配列及び標識される第1の核酸分子の配列を含む位置決めタグを有する第2の核酸分子としてとられる。
【0062】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(iii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーI-B又はプライマーB”であり、プライマーB”は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0063】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(iii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーB”である。
【0064】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(iii)(a)において、プライマーI-A’の捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0065】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(iii)(b)において、プライマーI-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0066】
ある特定の実施形態では、第1の伸長産物は、5’から3’に、プライマーI-A’によってプライムされた逆転写によって形成され、RNA配列と相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含み、タグ配列Bの相補配列は、第2の核酸分子の固有の分子識別子(UMI)として働く。
【0067】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(iii)(c)において、第2の伸長産物(標識される第1の核酸分子)は、第1の伸長産物に5’から3’に、コンセンサス配列B又はその3’末端の部分配列、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列及びcDNA配列の相補配列を含み、タグ配列Bは、第2の核酸分子の固有の分子識別子(UMI)として働く。
【0068】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(iii)(a)において、プライマーI-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0069】
ある特定の実施形態では、プライマーI-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列及びコンセンサス配列Aをさらに含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、捕捉配列AはプライマーI-A’の3’末端に位置する。
【0071】
ある特定の実施形態では、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーI-A’の5’末端に)。
【0072】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Bはコンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0073】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(iii)(b)において、第1の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーI-A’によってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0074】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(iii)(c)において、第2の伸長産物(標識される第1の核酸分子)は、5’から3’に、コンセンサス配列B又はその3’末端の部分配列、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、第1の伸長産物のcDNA配列の相補配列及び任意選択で、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0075】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来するライゲーション産物は、異なるタグ配列BをUMIとして有する。
【0076】
ある特定の実施形態では、伸長プライマーは、5’-末端に5’リン酸を含む。
【0077】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(iii)(c)の前に、方法は、RNAを除去するように、ステップ(2)(iii)(a)又はステップ(2)(iii)(b)の生成物を処理するステップ(例えば、熱処理するステップ)をさらに含む。
【0078】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(iii)(b)において、cDNA鎖は、その3’-末端オーバーハングを介してプライマーI-Bとアニーリングし、cDNA鎖は、プライマーI-Bを鋳型として使用して伸長されて、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下で第1の伸長産物を生成する。
【0079】
ステップ(1)、ステップ(2)(iii)及びステップ(3)を含む本出願の例示的実施形態は、以下のように詳細に記載される:
【0080】
I.試料中のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖の相補鎖を調製する例示的実施形態は、(
図4に示されるように)以下のステップ含む:
【0081】
(1)逆転写酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素)及びプライマーI-A’を使用して、透過処理された試料のRNA分子(例えば、mRNA分子)を逆転写して、cDNAを生成し、cDNAの3’末端にオーバーハング(例えば、3つのシトシンヌクレオチドを含むオーバーハング)が付加される。ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する種々の逆転写酵素が使用されて逆転写を実施し得る。ある特定の好ましい実施形態では、使用される逆転写酵素は、RNアーゼH活性を有さない。
【0082】
逆転写プライマーI-A’は、ポリ(T)配列及びコンセンサス配列A(CA)を含む。普通、ポリ(T)配列は、プライマーI-Aの3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0083】
(2)cDNA鎖とアニーリングするか、又はハイブリダイズするためにプライマーI-Bが使用され、プライマーI-Bは、コンセンサス配列B(CB)及びcDNAの3’-末端オーバーハングの相補配列を含む。ある特定の実施形態では(例えば、方法が5’トランスクリプトームライブラリーを構築するために使用される場合)、プライマーI-Bは、固有の分子識別子(UMI)配列をさらに含む。その後、プライマーI-Bとハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片を、コンセンサス配列B及びUMI配列を鋳型として使用して核酸ポリメラーゼの存在下で伸長して、コンセンサス配列Bの相補配列及びUMI配列の相補配列をcDNA鎖の3’末端に付加することができ、それによって、5’末端にコンセンサス配列Aを保持し、3’末端にコンセンサス配列Bの相補配列及びUMI分子の相補配列を保持する核酸分子を生成する。
【0084】
cDNA鎖が、3’末端に3つのシトシンヌクレオチドのオーバーハングを含む場合に、プライマーI-Bは、その3’末端にGGGを含み得る。さらに、プライマーI-Bのヌクレオチドはまた、プライマーI-BとcDNA鎖の3’-末端オーバーハングの間の相補的対形成のための結合親和性を増強するように修飾され得る(例えば、プライマーI-Bは、1つ又は複数のロックド核酸を含むように修飾され得る)。
【0085】
何らかの理論によって制限されるものではないが、プライマーI-Bの配列又はその部分配列を鋳型として使用して、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)を伸長できる限り、種々の適した核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)を使用して、伸長反応を実施できる。ある特定の例示的実施形態では、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)は、前記の逆転写ステップにおいて使用された同一逆転写酵素を使用して伸長され得る。
【0086】
ある特定の好ましい実施形態では、ステップ(2)及びステップ(1)は、同時に実施される。
【0087】
ある特定の実施形態では、方法は、任意選択で、ステップ(3):RNA/cDNAハイブリッドのRNA鎖を消化して、cDNA一本鎖を形成するステップをさらに含む。
【0088】
ある特定の好ましい実施形態では、方法は、ステップ(3)を含まない。
【0089】
(4)伸長プライマーを使用して、ステップ(3)において得られたcDNA一本鎖を鋳型として使用して伸長反応を実施して伸長産物を得、伸長プライマーは、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0090】
ある特定の実施形態では、伸長プライマーは、プライマーI-Bと同一である。
【0091】
上記の例示的実施形態によって調製されたcDNA鎖の相補鎖を含む例示的構造は、コンセンサス配列B、UMI配列、cDNAの3’-末端オーバーハング配列と相補的である配列、cDNA配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0092】
II.オリゴヌクレオチドプローブ(チップ配列とも呼ばれる)を使用してcDNA鎖の相補鎖の5’末端を標識して(すなわち、cDNA鎖の相補鎖の5’末端をチップ配列の3’末端にライゲートして)、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を生成する例示的実施形態は、(
図5に示されるように)以下のステップを含む:
5’末端に、コンセンサス配列B(CB)と少なくとも部分的に相補的である配列(第1の領域、P1)を含み、3’末端に、コンセンサス配列X2と少なくとも部分的に相補的である配列(第2の領域、P2)を含む架橋オリゴヌクレオチドIが提供される。
【0093】
ある特定の好ましい実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドIのP1及びP2配列は、それらの間に中間ヌクレオチドを有さず直接隣接している。
【0094】
ある特定の好ましい実施形態では、P1配列及びP2配列は各々独立的に、20~100nt(例えば、20~70nt)の長さを有する。
【0095】
架橋オリゴヌクレオチドIは、オリゴヌクレオチドプローブ及びcDNA鎖の相補鎖とアニーリングされるか、又はハイブリダイズされ、次いで、cDNA鎖の相補鎖の5’末端がチップ配列の3’末端にDNAリガーゼ及び/又はDNAポリメラーゼによってライゲートされて、オリゴヌクレオチドプローブの配列情報を含む新規核酸分子を形成する(すなわち、オリゴヌクレオチドプローブで標識された核酸分子)。ある特定の好ましい実施形態では、DNAポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼの活性又は鎖置換活性を有さない。
【0096】
上記の例示的実施形態によって形成されるチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造は、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、コンセンサス配列B、UMI配列、cDNA配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0097】
スキームII
【0098】
一部の実施形態では、ステップ(2)において、前処理は、
(i)(a)プライマーII-Aを使用して、1個若しくは複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、cDNA鎖は、プライマーII-Aによってプライムされる逆転写によって形成され、RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、プライマーII-Aは、捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である、ステップ、(b)プライマーII-Bを、(a)において生成されたcDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を実施して、標識される第1の核酸分子として第1の伸長産物を生成し、それによって、第1の核酸分子集団を生成するステップであって、プライマーII-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーII-Bの3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置する(例えば、プライマーII-Bの5’末端に位置する)、ステップ、又は
(ii)(a)プライマーII-A’を使用して、1個若しくは複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)を逆転写して、cDNA鎖を生成するステップであって、cDNA鎖は、プライマーII-A’によってプライムされた逆転写によって形成され、RNA(例えば、mRNA)に相補的であるcDNA配列と、3’-末端オーバーハングとを含み、プライマーII-A’は、コンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能であり、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーII-A’の5’末端に位置する)、ステップ、(b)プライマーII-B’を、(a)において生成されたcDNA鎖とアニーリングさせ、伸長反応を実施して、第1の伸長産物を生成するステップであって、プライマーII-B’は、コンセンサス配列B及び3’-末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーII-B’の3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置する(例えば、プライマーII-B’の5’末端に位置する)、ステップ、並びに(c)伸長プライマーを提供し、鋳型として第1の伸長産物を使用して伸長反応を実施して、標識される第1の核酸分子として第2の伸長産物を生成し、それによって、第1の核酸分子集団を生成する、ステップ、
を含み、
さらに、ステップ(3)において、前のステップにおいて得られた各細胞に由来する第1の核酸分子集団を、第1の核酸分子集団が由来する細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブと会合させることによって、タグ配列Yによって標識された第2の核酸分子集団を生成し、、これは、
(i)ステップ(2)の生成物とアニーリング条件を適用することによって、ステップ(2)において得られた各細胞に由来する第1の核酸分子を、細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブとアニーリング(例えば、インサイツアニーリング)させ、伸長反応を実施して、位置決めタグを有する第2の核酸分子として伸長産物を生成し、それによって、第2の核酸分子集団を生成するステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2又はその部分配列は、(a)ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能であり、又は(b)ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物のコンセンサス配列Aの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能である、ステップ、又は
(ii)アニーリングを可能にする条件下で、架橋オリゴヌクレオチド対をステップ(2)において得られた各細胞に由来する第1の核酸分子及び細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブと接触させ、架橋オリゴヌクレオチド対を、ステップ(2)において得られた各細胞に由来する第1の核酸分子及び細胞によって占有されたマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブとアニーリング(例えば、インサイツアニーリング)させ、
ここで、架橋オリゴヌクレオチド対は、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIから構成され、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、第1の領域、第2の領域及び任意選択で、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、(a)ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能であるか、又は(b)ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物のコンセンサス配列Aの相補配列若しくはその部分配列とアニーリング可能であり、
第1の核酸分子及びオリゴヌクレオチドプローブと接触する架橋オリゴヌクレオチド対の中で、架橋オリゴヌクレオチド対の架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、一本鎖形態で各々存在するか、又は架橋オリゴヌクレオチド対の架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、互いとアニーリングされて、部分的に二本鎖形態で存在し、
ライゲーション反応を実施し:同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートし、及び/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域ハイブリダイズされた核酸分子をライゲートし、並びに伸長反応を実施して、反応産物を位置決めタグを有する第2の核酸分子として得、それによって、第2の核酸分子集団を生成する、ステップであって、ライゲーション反応及び伸長反応が任意の順序で実施される、ステップ
を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において:
(1)架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域及び第2の領域は、直接隣接しており、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションは、核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすることを含み、又は
架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域、第2の領域及びそれらの間の第3の領域を含み、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションは、核酸ポリメラーゼ(例えば、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない核酸ポリメラーゼ)を使用して、第3の領域を鋳型として重合反応を実施すること、及び核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子と、第3の領域及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすることを含み、
並びに/又は
(2)架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域及び第2の領域は直接隣接しており、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションは、核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすることを含み、又は
架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域、第2の領域及びそれらの間の第3の領域を含み、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子のライゲーションは、核酸ポリメラーゼ(例えば、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない核酸ポリメラーゼ)を使用して、鋳型として第3の領域を用いる重合反応を実施すること、並びに核酸リガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子と、第3の領域及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子とをライゲートすることを含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)を含み、ステップ(2)(i)(b)において、プライマーII-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0101】
一部の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0102】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第2の核酸分子は、異なるタグ配列BをUMIとして有する。
【0103】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(i)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(i)を含み、コンセンサス配列X2又はその部分配列は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(i)において得られた伸長産物は、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又はオリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む、標識された核酸分子としてとられる。
【0104】
「XX(配列)の部分配列」又は「XX(配列)部分配列」とは、「XX(配列)」の少なくとも1つのセグメントのヌクレオチド配列を指すことを理解することは容易である。
【0105】
例えば、コンセンサス配列X2は、その全ヌクレオチド配列でコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分セグメントとアニーリング可能であり、コンセンサス配列X2はまた、その部分セグメントヌクレオチド配列でコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分セグメントとアニーリング可能である。
【0106】
「アニーリング」とは、互いにアニールする2つのヌクレオチド配列の間で、一方のヌクレオチド配列の各塩基が、ミスマッチ若しくはギャップを伴わずにもう一方のヌクレオチド配列の塩基と対形成可能であること、又は互いにアニールする2つのヌクレオチド配列の間で、一方のヌクレオチド配列の塩基のほとんどが、もう一方のヌクレオチド配列の塩基と対形成可能であり、ミスマッチ若しくはギャップ(例えば、1つ若しくは数個のヌクレオチドのミスマッチ若しくはギャップ)を許容することを意味する。すなわち、アニーリングされることが可能である2つのヌクレオチド配列は、完全に相補的である場合も、部分的に相補的である場合もある。「アニーリング」という記載は、本明細書において、特に断りのない限り、又は文脈において明確に矛盾しない限り本出願の全文に適用される。
【0107】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0108】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列を含む。
【0109】
第1鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(i)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、コンセンサス配列X2又はその部分配列は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列(例えば、その3’末端の部分配列)とアニーリング可能であり、ステップ(2)(i)における第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列は、遊離3’末端を有する。
【0110】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(i)において得られた伸長産物は、第1鎖を含む標識された核酸分子である。
【0111】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0112】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(i)において、オリゴヌクレオチドプローブは、伸長反応を開始不可能である(例えば、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端がブロックされている)。
【0113】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0114】
一部の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0115】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0116】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0117】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、コンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0118】
ある特定の実施形態では、捕捉配列AはプライマーII-Aの3’末端に位置する。
【0119】
ある特定の実施形態では、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーII-Aの5’末端に位置する)。
【0120】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0122】
第2鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(i)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、コンセンサス配列X2又はその部分配列(例えば、その3’末端の部分配列)は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2は、遊離3’末端を有する。
【0123】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(i)において得られた伸長産物は、第2鎖を含む標識された核酸分子である。
【0124】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列及びプライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列を含む。
【0125】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物は、伸長反応を開始不可能である(例えば、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物の3’末端がブロックされている)。
【0126】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0127】
一部の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列及びプライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0130】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、コンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0131】
ある特定の実施形態では、捕捉配列AはプライマーII-Aの3’末端に位置する。
【0132】
ある特定の実施形態では、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置する(例えば、プライマーII-Aの5’末端に位置する)。
【0133】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0134】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、任意選択で、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0135】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(i)を含む本出願の例示的実施形態は、以下のとおりに詳述される:
【0136】
I.その3’末端に近接してUMIの相補配列を含むcDNA鎖を調製するために試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用する例示的実施形態は、(
図6に示されるように)以下のステップを含む:
【0137】
(1)逆転写酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素)及びプライマーII-Aを使用して、透過処理された試料のRNA分子(例えば、mRNA分子)を逆転写し、cDNAを生成し、及びオーバーハング(例えば、3つのシトシンヌクレオチドを含むオーバーハング)が、cDNAの3’末端に付加される。逆転写を実施するために、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する種々の逆転写酵素が使用され得る。ある特定の好ましい実施形態では、使用される逆転写酵素は、RNアーゼH活性を有さない。
【0138】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、ポリ(T)配列及びコンセンサス配列A(CA)を含む。普通、ポリ(T)配列は、プライマーII-Aの3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0139】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、ポリ(A)テールを有さないRNAを捕捉するために使用され得るランダムオリゴヌクレオチド配列を含む。通常、ランダムオリゴヌクレオチド配列は、プライマーII-Aの3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0140】
(2)プライマーII-Bを使用して、cDNA鎖とアニーリングするか、又はハイブリダイズし、プライマーII-Bは、コンセンサス配列B(CB)、固有の分子識別子(UMI)配列及びcDNAの3’-末端オーバーハングの相補配列を含む。その後、プライマーII-Bとハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片を、核酸ポリメラーゼの存在下でUMI配列及びコンセンサス配列Bを鋳型として使用して伸長し、それによって、その3’末端にUMI配列の相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を保持する核酸分子を生成できる。
【0141】
通常、コンセンサス配列Bは、UMI配列の上流に位置する(例えば、UMI配列の5’に位置する)、cDNA鎖の3’-末端オーバーハングと相補的である配列は、プライマーII-Bの3’末端に位置する。
【0142】
例えば、cDNA鎖が、3つのシトシンヌクレオチドのオーバーハングを3’末端に含む場合には、プライマーII-Bは、その3’末端にGGGを含み得る。さらに、プライマーII-Bのヌクレオチドを修飾して(例えば、プライマーII-Bは、1つ又は複数のロックド核酸を含むように修飾され得る)、プライマーII-BとcDNA鎖の3’-末端オーバーハングの間の相補的対形成のための結合親和性を増強することもできる。
【0143】
何らかの理論によって制限されるものではないが、プライマーII-Bの配列又はその部分配列を鋳型として使用して、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)を伸長できる限り、種々の適した核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)を使用して、伸長反応を実施できる。ある特定の例示的実施形態では、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)は、前記の逆転写ステップにおいて使用された同一逆転写酵素を使用して伸長され得る。
【0144】
一部の実施形態では、このステップは、ステップ(1)と同時に実施される(例えば、同一反応系において)。
【0145】
ある特定の実施形態では、方法は、任意選択で、ステップ(3):RNアーゼHを添加して、RNA/cDNAハイブリッドのRNA鎖を消化して、cDNA一本鎖を形成するステップをさらに含む。
【0146】
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(3)を含まない。
【0147】
上記の例示的実施形態によって調製されたcDNA鎖の例示的構造は、コンセンサス配列A、cDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、UMI配列の相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0148】
II.cDNA鎖の3’末端をオリゴヌクレオチドプローブの相補配列(チップ配列とも呼ばれる)を使用して標識して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列によって標識された核酸分子)を形成する例示的実施形態は、(
図8に示されるように)以下のステップを含む:
一部の実施形態では、チップ配列のコンセンサス配列X2又はその部分配列は、上記のステップIにおいて得られたcDNA鎖のコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能である。それによって、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)は、cDNA鎖をチップ配列とアニーリングするか、又はハイブリダイズすること及びポリメラーゼの存在下で伸長反応を実施することによって得ることができる。
【0149】
上記の例示的実施形態によって形成されたチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造は、核酸鎖及び/又はその相補的核酸鎖を含み、核酸鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列A、cDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、UMI配列の相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0150】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(ii)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(ii)を含み、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物は、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又はオリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む、標識された核酸分子としてとられる。
【0151】
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分セグメントとアニーリング可能であることを理解することは容易である。
【0152】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0153】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列を含む。
【0154】
第1鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(ii)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列(例えば、その3’末端部分配列)とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、遊離3’末端を有する。
【0155】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物は、第1鎖を含む標識された核酸分子である。
【0156】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0157】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの3’末端に位置する。
【0158】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの5’末端に位置する。
【0159】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第3の領域を含まない、及び/又は架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第3の領域を含まない。
【0160】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、5’末端に5’リン酸を含む。
【0161】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、3’末端に遊離-OHを含む。
【0162】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、伸長反応を開始不可能である(例えば、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの3’末端がブロックされている)、及び/又は、オリゴヌクレオチドプローブは、伸長反応を開始不可能である(すなわち、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端がブロックされている)。
【0163】
一部の実施形態では、方法のステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0164】
一部の実施形態では、方法のステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0165】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0166】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0167】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、コンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0168】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーII-Aの3’末端に位置する。
【0169】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0171】
ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、オリゴヌクレオチドプローブ及びオリゴヌクレオチドプローブの対応する位置にある標識される第1の核酸分子とアニーリングした後、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするための、並びに/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするためのライゲーション反応並びにステップ(3)(ii)における伸長反応は、位置決めタグを有する第2の核酸分子が得られる限り任意の順序で実施され得るということを理解することは容易である。
【0172】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が、同じ系において実施される場合には、第1鎖は、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-Iを伸長することによって得ることができる。この場合には、伸長反応において使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0173】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、ライゲーション反応と、それに続いて伸長反応が実施され、第1鎖は、以下の例示的方法で得ることができる:
(A)同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-Iを伸長して、第1鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性若しくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない、ステップ
又は、
(B)同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によって標識される第1の核酸分子を伸長して、第1鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性若しくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する、ステップ。
【0174】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、伸長反応と、それに続いてライゲーション反応が実施され、第1鎖は、伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-Iを伸長するステップ、次いで、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップによって得ることができる。この場合には、伸長反応に使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0175】
第2鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(ii)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物のコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、遊離3’末端を有する。
【0176】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物は、第2鎖を含む標識された核酸分子である。
【0177】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列及びプライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列を含む。
【0178】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの3’末端に位置する。
【0179】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの5’末端に位置する。
【0180】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第3の領域を含まず、及び/又は架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第3の領域を含まない。
【0181】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、5’末端に5’リン酸を含む。
【0182】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、3’末端に遊離-OHを含む。
【0183】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、伸長反応を開始不可能である(例えば、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの3’末端がブロックされている)、及び/又はステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物は、伸長反応を開始不可能である(例えば、ステップ(2)(i)において得られた第1の伸長産物の3’末端がブロックされている)。
【0184】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0185】
一部の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0186】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列を含む。
【0187】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(a)において、プライマーII-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0188】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、コンセンサス配列A、及び任意選択でタグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0189】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーII-Aの3’末端に位置する。
【0190】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)における第1の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、任意選択で、タグ配列A、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0191】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-Aによってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、任意選択で、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0192】
ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、オリゴヌクレオチドプローブ及びオリゴヌクレオチドプローブの対応する位置にある標識される第1の核酸分子とアニーリングした後に、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするための、並びに/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするためのライゲーション反応並びにステップ(3)(ii)における伸長反応は、位置決めタグを有する第2の核酸分子が得られる限り任意の順序で実施され得るということを理解することは容易である。
【0193】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が同じ系において実施される場合には、第2鎖は、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-IIを伸長することによって得ることができる。この場合には、伸長反応において使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0194】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、ライゲーション反応と、それに続いて伸長反応が実施され、第2鎖は、以下の例示的方法で得ることができる:
(A)同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-IIを伸長して、第2鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する、若しくは有さない、ステップ
(B)同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によってオリゴヌクレオチドプローブを伸長して、第2鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性若しくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する、ステップ。
【0195】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、伸長反応と、それに続いてライゲーション反応が実施され、第2鎖は、伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-IIを伸長するステップ、次いで、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップによって得ることができる。この場合には、伸長反応に使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0196】
ステップ(1)、ステップ(2)(i)及びステップ(3)(ii)を含む本出願例示的実施形態は、以下のとおりに詳述される:
【0197】
I.cDNA鎖を調製するために試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用する例示的実施形態は、(
図6に示されるように)以下のステップを含む:
【0198】
(1)逆転写酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素)及びプライマーII-Aを使用して、透過処理された試料のRNA分子(例えば、mRNA分子)を逆転写し、cDNAを生成し、及びオーバーハング(例えば、3つのシトシンヌクレオチドを含むオーバーハング)が、cDNAの3’末端に付加される。逆転写を実施するために、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する種々の逆転写酵素が使用され得る。ある特定の好ましい実施形態では、使用される逆転写酵素は、RNアーゼH活性を有さない。
【0199】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、ポリ(T)配列及びコンセンサス配列A(CA)を含む。普通、ポリ(T)配列は、プライマーII-Aの3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0200】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Aは、ポリ(A)テールを有さないRNAを捕捉するために使用され得るランダムオリゴヌクレオチド配列を含む。通常、ランダムオリゴヌクレオチド配列は、プライマーII-Aの3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0201】
(2)プライマーII-Bを使用して、cDNA鎖とアニーリングするか、又はハイブリダイズし、プライマーII-Bは、コンセンサス配列B(CB)、固有の分子識別子(UMI)配列及びcDNAの3’-末端オーバーハングの相補配列を含む。その後、プライマーII-Bとハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片を、核酸ポリメラーゼの存在下でUMI配列及びコンセンサス配列Bを鋳型として使用して伸長し、それによってその3’末端にUMI配列の相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を保持する核酸分子を生成できる。
【0202】
通常、コンセンサス配列Bは、UMI配列の上流に位置し(例えば、UMI配列の5’に位置し)、cDNA鎖の3’-末端オーバーハングと相補的である配列は、プライマーII-Bの3’末端に位置する。
【0203】
例えば、cDNA鎖が、3つのシトシンヌクレオチドのオーバーハングを3’末端に含む場合には、プライマーII-Bは、その3’末端にGGGを含み得る。さらに、プライマーII-Bのヌクレオチドを修飾して(例えば、プライマーII-Bは、1つ又は複数のロックド核酸を含むように修飾され得る)、プライマーII-BとcDNA鎖の3’-末端オーバーハングの間の相補的対形成のための結合親和性を増強することもできる。
【0204】
何らかの理論によって制限されるものではないが、プライマーII-Bの配列又はその部分配列を鋳型として使用して、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)を伸長できる限り、種々の適した核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)を使用して、伸長反応を実施できる。ある特定の例示的実施形態では、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)は、前記の逆転写ステップにおいて使用された同一逆転写酵素を使用して伸長され得る。
【0205】
一部の実施形態では、このステップは、ステップ(1)と同時に実施される(例えば、同一反応系において)。
【0206】
ある特定の実施形態では、方法は、任意選択で、ステップ(3):RNアーゼHを添加して、RNA/cDNAハイブリッドのRNA鎖を消化して、cDNA一本鎖を形成するステップをさらに含む。
【0207】
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(3)を含まない。
【0208】
上記の例示的実施形態によって調製されたcDNA鎖の例示的構造は、コンセンサス配列A、cDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、UMI配列の相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0209】
II.cDNA鎖の3’末端をオリゴヌクレオチドプローブの相補配列(チップ配列とも呼ばれる)を使用して標識して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的実施形態は、(
図7に示されるように)以下のステップを含む:
架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIからなる架橋オリゴヌクレオチド対を提供するステップであって、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、第1の領域(P1)及び第2の領域(P2)を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、上記のステップIにおいて得られたcDNA鎖のコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能である、ステップ。
【0210】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域と第2の領域の間に中間ヌクレオチド配列、例えば、1nt~5nt又は5nt~10ntの中間ヌクレオチド配列を含む、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含む。ある特定の好ましい実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域及び第2の領域は、それらの間に余分のヌクレオチドを有することなく直接隣接している、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含まない。
【0211】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域と第2の領域の間に中間ヌクレオチド配列、例えば、1nt~5nt又は5nt~10ntの中間ヌクレオチド配列を含む、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含む。ある特定の好ましい実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域及び第2の領域は、それらの間に余分のヌクレオチドを有することなく直接隣接している、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含まない。
【0212】
チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列によって標識された核酸分子)は、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIを、チップ配列及び上記のステップIにおいて得られたcDNA鎖とアニーリングさせるか、又はハイブリダイズすること、並びにDNAリガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びに/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びにDNAポリメラーゼの存在下で伸長反応を実施することによって得ることができる。ライゲーションプロセス及び伸長反応は、任意の順序で実施できる。
【0213】
上記の例示的実施形態によって形成されたチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造は、核酸鎖及び/又はその相補的核酸鎖を含み、核酸鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列A、cDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、UMI配列の相補配列、コンセンサス配列Bの相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0214】
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)を含む。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(b)において、第1の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列A、プライマーII-A’によってプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0215】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、上記のようなプライマーII-B’又はプライマーB”であり、プライマーB”は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0216】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、伸長プライマーによってプライムされた伸長反応によって形成され、cDNA配列と相補的である配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0217】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(i)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(i)を含み、コンセンサス配列X2又はその部分配列は、コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(i)において得られた伸長産物は、標識された核酸分子であり、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖、及び/又はオリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む。
【0218】
コンセンサス配列X2は、コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分セグメントとその全ヌクレオチド配列においてアニーリング可能であること、並びにコンセンサス配列X2はまた、コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分セグメントとその部分セグメントヌクレオチド配列においてアニーリング可能であることを理解することは容易である。
【0219】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、標識される第1の核酸分子の配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0220】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2及び標識される第1の核酸分子の配列と相補的であるcDNA配列を含む。
【0221】
第1鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(i)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、コンセンサス配列X2又はその部分配列は、コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列(例えば、3’末端の部分配列)とアニーリング可能であり、ステップ(3)(i)において得られる伸長産物は、標識された核酸分子であり、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖を含む。
【0222】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(i)において、オリゴヌクレオチドプローブは、伸長反応を開始不可能である(例えば、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端がブロックされている)。
【0223】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0224】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列及びプライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、コンセンサス配列Aの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0225】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第1鎖は、捕捉配列Aの異なる相補配列をUMIとして有する。
【0226】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0227】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0228】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーII-A’の3’末端に位置する。
【0229】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列及びプライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、タグ配列Aの相補配列、コンセンサス配列Aの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0230】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第1鎖は、異なるタグ配列Aの相補配列をUMIとして有する。
【0231】
第2鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(i)を含む実施形態
一部の実施形態では、コンセンサス配列X2又はその部分配列(例えば、その3’末端の部分配列)は、コンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(i)において得られた伸長産物は、標識された核酸分子であり、オリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む。
【0232】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物は、伸長反応を開始不可能である(例えば、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物の3’末端がブロックされている)。
【0233】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0234】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、標識される第1の核酸分子の配列と相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0235】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第2鎖は、異なる捕捉配列AをUMIとして有する。
【0236】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0237】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0238】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーII-A’の3’末端に位置する。
【0239】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、タグ配列A、標識される第1の核酸分子の配列と相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0240】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第2鎖は、異なるタグ配列AをUMIとして有する。
【0241】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(i)を含む本出願の例示的実施形態は、以下に詳述される:
【0242】
I.その3’末端に近接してUMIの相補配列を含むcDNA鎖の相補鎖を調製するために試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用する例示的実施形態は、(
図9に示されるように)以下のステップを含む:
【0243】
(1)逆転写酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素)及びプライマーII-A’を使用して、透過処理された試料のRNA分子(例えば、mRNA分子)を逆転写し、cDNAを生成し、及びオーバーハング(例えば、3つのシトシンヌクレオチドを含むオーバーハング)が、cDNAの3’末端に付加される。逆転写を実施するために、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する種々の逆転写酵素が使用され得る。ある特定の好ましい実施形態では、使用される逆転写酵素は、RNアーゼH活性を有さない。
【0244】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、ポリ(T)配列、UMI配列及びコンセンサス配列A(CA)を含む。通常、ポリ(T)配列は、プライマーII-A’の3’末端に位置して、逆転写を開始し、コンセンサス配列Aは、UMI配列の上流に位置する(例えば、UMI配列の5’に位置する)。
【0245】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、ランダムオリゴヌクレオチド配列及びコンセンサス配列Aを含み、ポリ-Aテールを有さないRNAを捕捉するために使用され得る。通常、ランダムオリゴヌクレオチド配列は、プライマーII-A’の3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0246】
(2)プライマーII-B’を使用して、cDNA鎖とアニーリングするか、又はハイブリダイズし、プライマーII-B’は、コンセンサス配列B(CB)及びcDNAの3’-末端オーバーハングの相補配列を含む。その後、プライマーII-B’とハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片を、核酸ポリメラーゼの存在下でコンセンサス配列Bを鋳型として使用して伸長して、コンセンサス配列Bの相補配列(c(CB))をcDNA鎖3’末端に付加し、それによって、その3’末端にコンセンサス配列Bの相補配列を保持する核酸分子を生成できる。
【0247】
通常、cDNA鎖の3’-末端オーバーハングと相補的である配列は、プライマーII-B’の3’末端に位置する。
【0248】
例えば、cDNA鎖が、3つのシトシンヌクレオチドのオーバーハングを3’末端に含む場合には、プライマーII-B’は、その3’末端にGGGを含み得る。さらに、プライマーII-B’のヌクレオチドを修飾して(例えば、プライマーII-B’は、1つ又は複数のロックド核酸を含むように修飾され得る)、プライマーII-B’とcDNA鎖の3’-末端オーバーハングの間の相補的対形成のための結合親和性を増強することもできる。
【0249】
何らかの理論によって制限されるものではないが、プライマーII-B’又の配列はその部分配列を鋳型として使用して、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)を伸長できる限り、種々の適した核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)を使用して、伸長反応を実施できる。ある特定の例示的実施形態では、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)は、前記の逆転写ステップにおいて使用された同一逆転写酵素を使用して伸長され得る。
【0250】
一部の実施形態では、このステップは、ステップ(1)と同時に(例えば、同一反応系において)実施される。
【0251】
ある特定の実施形態では、方法は任意選択で、ステップ(3):RNアーゼHを添加して、RNA/cDNAハイブリッドのRNA鎖を消化して、cDNA一本鎖を形成するステップをさらに含む。
【0252】
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(3)を含まない。
【0253】
(4)伸長プライマーを使用して、前のステップにおいて得られたcDNA鎖を鋳型として用いる伸長反応を実施して、伸長産物を得、伸長プライマーは、上記のプライマーII-B’又はプライマーB”であり、プライマーB”は、コンセンサス配列B又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0254】
上記の例示的実施形態によって調製されたcDNA鎖の相補鎖の例示的構造は、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列、cDNA配列の相補配列、UMI配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0255】
II.オリゴヌクレオチドプローブ(チップ配列とも呼ばれる)の相補配列を使用して、cDNA鎖の相補鎖の3’末端を標識して、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的実施形態は、(
図11に示されるように)以下のステップを含む:
一部の実施形態では、チップ配列又はその部分配列のコンセンサス配列X2は、上記のステップIにおいて得られたcDNA鎖の相補鎖のコンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能である。それによって、cDNA鎖の相補鎖をチップ配列とアニーリングさせるか、又はハイブリダイズすること、並びにポリメラーゼの存在下で伸長反応を実施することによって、チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列によって標識された核酸分子)を得ることができる。
【0256】
上記の例示的実施形態によって形成されたチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造は、核酸鎖及び/又はその相補的核酸鎖を含み、核酸鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列、cDNA配列の相補配列、UMI配列の相補配列、コンセンサス配列Aの相補配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0257】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(ii)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(ii)を含み、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物のコンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物は、標識された核酸分子であり、これは、標識される第1の核酸分子の配列を含む第1鎖及び/又はオリゴヌクレオチドプローブの配列を含む第2鎖を含む。
【0258】
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域が、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物のコンセンサス配列Aの相補配列又はその部分セグメントとアニーリング可能であることを理解することは容易である。
【0259】
ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、標識される第1の核酸分子の配列及び任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0260】
ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列及び標識される第1の核酸分子の配列と相補的であるcDNA配列を含む。
【0261】
第1鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(ii)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物のコンセンサス配列Aの相補配列又はその3’末端の部分配列とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、遊離3’末端を有する。
【0262】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物は、第1鎖を含む、標識された核酸分子である。
【0263】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの3’末端に位置する。
【0264】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの5’末端に位置する。
【0265】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第3の領域を含まない、及び/又は架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第3の領域を含まない。
【0266】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、5’末端に5’リン酸を含む。
【0267】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、3’末端に遊離-OHを含む。
【0268】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、伸長反応を開始不可能である(例えば、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの3’末端がブロックされている)、及び/又はオリゴヌクレオチドプローブは、伸長反応を開始不可能である(すなわちオリゴヌクレオチドプローブの3’末端がブロックされている)。
【0269】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0270】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、コンセンサス配列Aの相補配列、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0271】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第1鎖は、捕捉配列Aの異なる相補配列をUMIとして有する。
【0272】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0273】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0274】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーII-A’の3’末端に位置する。
【0275】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第1鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、タグ配列Aの相補配列、コンセンサス配列Aの相補配列、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0276】
一部の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第1鎖は、タグ配列Aの異なる相補配列をUMIとして有する。
【0277】
ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、オリゴヌクレオチドプローブ及びオリゴヌクレオチドプローブの対応する位置にある標識される第1の核酸分子とアニーリングされた後、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするための、並びに/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするためのライゲーション反応、並びにステップ(3)(ii)における伸長反応は、位置決めタグを有する第2の核酸分子が得られる限り任意の順序で実施され得るということを理解することは容易である。
【0278】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が、同じ系において実施される場合には、第1鎖は、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-Iを伸長することによって得ることができる。この場合には、伸長反応において使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0279】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、ライゲーション反応と、それに続いて伸長反応が実施され、第1鎖は、以下の例示的方法で得ることができる:
(A)同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-Iを伸長して、第1鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない、ステップ
又は、
(B)同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によって標識される第1の核酸分子を伸長して、第1鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性若しくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する、ステップ。
【0280】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、伸長反応と、それに続いてライゲーション反応が実施され、第1鎖は、伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-Iを伸長するステップ、次いで、同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップによって得ることができる。この場合には、伸長反応に使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0281】
第2鎖を生成するための、ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(ii)を含む実施形態
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物のコンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、遊離3’末端を有する。
【0282】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において得られた反応産物は、第2鎖を含む標識された核酸分子である。
【0283】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの3’末端に位置する。
【0284】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの5’末端に位置する。
【0285】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第3の領域を含まない、及び/又は架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第3の領域を含まない。
【0286】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、5’末端に5’リン酸を含む。
【0287】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、3’末端に遊離-OHを含む。
【0288】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、伸長反応を開始不可能である(例えば、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの3’末端がブロックされている)、及び/又は、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物は、伸長反応を開始不可能である(例えば、ステップ(2)(ii)において得られた第2の伸長産物の3’末端がブロックされている)。
【0289】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aはランダムオリゴヌクレオチド配列である。
【0290】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列、標識される第1の核酸分子の配列と相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0291】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第2鎖は、異なる捕捉配列AをUMIとして有する。
【0292】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(a)において、プライマーII-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列である。
【0293】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0294】
ある特定の実施形態では、捕捉配列Aは、プライマーII-A’の3’末端に位置する。
【0295】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、伸長プライマーは、プライマーII-B’である。ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(c)において、第2の伸長産物は、5’から3’に、コンセンサス配列B、任意選択で、タグ配列B、3’-末端オーバーハング配列の相補配列、プライマーII-A’によりプライムされた逆転写によって形成され、RNAと相補的であるcDNA配列の相補配列、タグ配列Aの相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。ある特定の実施形態では、第2鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y、コンセンサス配列X2、任意選択で、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第3の領域の相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの配列、タグ配列A、標識される第1の核酸分子の配列と相補的であるcDNA配列、3’-末端オーバーハング配列、任意選択で、タグ配列Bの相補配列及びコンセンサス配列Bの相補配列を含む。
【0296】
ある特定の実施形態では、ステップ(3)において、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブの各コピーに由来する第2鎖は、異なるタグ配列AをUMIとして有する。
【0297】
ステップ(3)(ii)において、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIが、オリゴヌクレオチドプローブ及びオリゴヌクレオチドプローブの対応する位置にある標識される第1の核酸分子とアニーリングされた後、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするための、並びに/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするためのライゲーション反応、並びにステップ(3)(ii)における伸長反応は、位置決めタグを有する第2の核酸分子が得られる限り任意の順序で実施され得るということを理解することは容易である。
【0298】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が、同じ系において実施される場合には、第2鎖は、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-IIを伸長することによって得ることができる。この場合には、伸長反応において使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0299】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、ライゲーション反応と、それに続いて伸長反応が実施され、第2鎖は、以下の例示的方法で得ることができる:
(A)同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-IIを伸長して、第2鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性若しくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するか、又は有さない、ステップ、
又は、
(B)同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップ、並びに伸長反応によってオリゴヌクレオチドプローブを伸長して、第2鎖を得るステップであって、伸長反応のために使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性若しくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する、ステップ。
【0300】
例えば、ライゲーション反応及び伸長反応が異なる系において実施される場合には、伸長反応と、それに続いてライゲーション反応が実施され、第2鎖は、伸長反応によって架橋オリゴヌクレオチドII-IIを伸長するステップ、次いで、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートするステップによって得ることができる。この場合には、伸長反応に使用されるポリメラーゼは、好ましくは、鎖置換活性又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有さない。
【0301】
ステップ(1)、ステップ(2)(ii)及びステップ(3)(ii)を含む本出願の例示的実施形態は、以下のとおりに詳細に記載される:
【0302】
I.試料のRNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖の相補鎖を調製する例示的実施形態は、(
図9に示されるように)以下のステップを含む:
【0303】
(1)逆転写酵素(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素)及びプライマーII-A’を使用して、透過処理された試料のRNA分子(例えば、mRNA分子)を逆転写し、cDNAを生成し、及びオーバーハング(例えば、3つのシトシンヌクレオチドを含むオーバーハング)が、cDNAの3’末端に付加される。逆転写を実施するために、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する種々の逆転写酵素が使用され得る。ある特定の好ましい実施形態では、使用される逆転写酵素は、RNアーゼH活性を有さない。
【0304】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、ポリ(T)配列、UMI配列及びコンセンサス配列A(CA)を含む。通常、ポリ(T)配列は、プライマーII-A’の3’末端に位置して、逆転写を開始し、コンセンサス配列Aは、UMI配列の上流に位置する(例えば、UMI配列の5’に位置する)。
【0305】
ある特定の実施形態では、プライマーII-A’は、ランダムオリゴヌクレオチド配列及びコンセンサス配列Aを含み、ポリAテールを有さないRNAを捕捉するために使用され得る。通常、ランダムオリゴヌクレオチド配列は、プライマーII-A’の3’末端に位置して、逆転写を開始する。
【0306】
(2)プライマーII-B’を使用して、cDNA鎖とアニーリングするか、又はハイブリダイズし、プライマーII-B’は、コンセンサス配列B(CB)及びcDNAの3’-末端オーバーハングの相補配列を含む。その後、プライマーII-B’とハイブリダイズされたか、又はアニーリングされた核酸断片を、核酸ポリメラーゼの存在下でコンセンサス配列Bを鋳型として使用して伸長し、cDNA鎖の3’末端にコンセンサス配列Bの相補配列(c(CB))を付加し、それによって、3’末端にコンセンサス配列Bの相補配列を保持する核酸分子を生成できる。
【0307】
通常、cDNA鎖の3’-末端オーバーハングと相補的である配列は、プライマーII-B’の3’末端に位置する。
【0308】
例えば、cDNA鎖が、3’末端に3つのシトシンヌクレオチドのオーバーハングを含む場合には、プライマーII-B’は、その3’末端にGGGを含み得る。さらに、プライマーII-B’のヌクレオチドを修飾して(例えば、プライマーII-B’は、1つ又は複数のロックド核酸を含むように修飾され得る)、プライマーII-B’とcDNA鎖の3’-末端オーバーハングの間の相補的対形成のための結合親和性を増強することもできる。
【0309】
何らかの理論によって制限されるものではないが、プライマーII-B’の配列又はその部分配列を鋳型として使用して、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)を伸長できる限り、種々の適した核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)を使用して、伸長反応を実施できる。ある特定の例示的実施形態では、アニーリングされたか、又はハイブリダイズされた核酸断片(逆転写産物)は、前記の逆転写ステップにおいて使用された同一逆転写酵素を使用して伸長され得る。
【0310】
一部の実施形態では、このステップは、ステップ(1)と同時に(例えば、同一反応系において)実施される。
【0311】
ある特定の実施形態では、方法は、任意選択で、ステップ(3):RNアーゼHを添加して、RNA/cDNAハイブリッドのRNA鎖を消化して、cDNA一本鎖を形成するステップをさらに含む。
【0312】
ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(3)を含まない。
【0313】
(4)伸長プライマーを使用して、前のステップにおいて得られたcDNA鎖を鋳型として用いて伸長反応を実施して、伸長産物を得、伸長プライマーは、上記のようなプライマーII-B’又はプライマーB”であり、プライマーB”は、コンセンサス配列B又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0314】
上記の例示的実施形態によって調製されたcDNA鎖の相補鎖の例示的構造は、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列、cDNA配列の相補配列、UMI配列の相補配列及びコンセンサス配列Aの相補配列を含む。
【0315】
II.オリゴヌクレオチドプローブ(チップ配列とも呼ばれる)の相補配列を使用して、cDNA鎖の相補鎖の3’末端を標識してチップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわち、チップ配列で標識された核酸分子)を形成する例示的実施形態は、(
図10に示されるように)以下のステップを含む:
架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIからなる架橋オリゴヌクレオチド対を提供するステップであって、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIが各々独立的に、第1の領域(P1)及び第2の領域(P2)を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、上記のステップIにおいて得られたcDNA鎖の相補鎖のコンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能である、ステップ。
【0316】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域と第2の領域の間に中間ヌクレオチド配列、例えば、1nt~5nt又は5nt~10ntの中間ヌクレオチド配列を含む、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含む。ある特定の好ましい実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域及び第2の領域は、それらの間に余分のヌクレオチドを有することなく直接隣接している、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-Iは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含まない。
【0317】
ある特定の実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域と第2の領域の間に中間ヌクレオチド配列、例えば、1nt~5nt又は5nt~10ntの中間ヌクレオチド配列を含む、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含む。ある特定の好ましい実施形態では、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域及び第2の領域は、それらの間に余分のヌクレオチドを有することなく直接隣接している、すなわち、架橋オリゴヌクレオチドII-IIは、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含まない。
【0318】
チップ配列情報を含む新規核酸分子(すなわちチップ配列によって標識された核酸分子)は、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIを、チップ配列及び上記のステップIにおいて得られたcDNA鎖の相補鎖とアニーリングさせるか、又はハイブリダイズすること、並びにDNAリガーゼを使用して、同一架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、並びに/又は同一架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とハイブリダイズされた核酸分子及び第2の領域とハイブリダイズされた核酸分子をライゲートすること、DNAポリメラーゼの存在下で伸長反応を実施することによって得ることができる。ライゲーションプロセス及び伸長反応は、任意の順序で実施できる。
【0319】
上記の例示的実施形態によって形成されるチップ配列情報を含む新規核酸分子の例示的構造は、核酸鎖及び/又はその相補的核酸鎖を含み、核酸鎖は、5’から3’に、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列、cDNA配列の相補配列、UMI配列の相補配列、コンセンサス配列Aの相補配列、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの配列、タグ配列Yの相補配列及びコンセンサス配列X1の相補配列を含む。
【0320】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(i)(b)において、cDNA鎖は、その3’-末端オーバーハングを介してプライマーII-Bとアニーリングされ、cDNA鎖が、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下で、プライマーII-Bを鋳型として使用して伸長されて、第1の伸長産物を生成する。
【0321】
ある特定の実施形態では、ステップ(2)(ii)(b)において、cDNA鎖は、その3’-末端オーバーハングを介してプライマーII-Bとアニーリングし、cDNA鎖が、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下で、プライマーII-B’を鋳型として使用して伸長されて、第1の伸長産物を生成する。
【0322】
ある特定の実施形態では、3’-末端オーバーハングは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10又はそれより多いヌクレオチドの長さを有する。ある特定の実施形態では、3’-末端オーバーハングは、2~5のシトシンヌクレオチドの3’-末端オーバーハング(例えば、CCCオーバーハング)である。
【0323】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、ステップ(2)において、前処理は、細胞内で実施される。
【0324】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、1個又は複数の細胞を、核酸アレイの固相支持体と接触させる前又は後に、1個又は複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)が前処理に供され、第1の核酸分子集団を生成する。
【0325】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、前処理の前に、細胞は透過処理される。
【0326】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、ステップ(2)において、前処理は、細胞外で実施される。
【0327】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、1個又は複数の細胞を核酸アレイの固相支持体と接触させた後に、1個又は複数の細胞のRNA(例えば、mRNA)が前処理に供され、第1の核酸分子集団を生成する。
【0328】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、前処理を実施する前に、方法は、細胞内RNA(例えば、mRNA)を放出することをさらに含み、好ましくは、細胞内RNA(例えば、mRNA)は、細胞透過処理又は細胞溶解処理によって放出される。
【0329】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、ステップ(2)における逆転写は、逆転写酵素を使用することによって実施される。
【0330】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、逆転写酵素は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する。
【0331】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、逆転写酵素は、RNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を合成すること及びcDNA鎖の3’末端にオーバーハングを付加することが可能である。
【0332】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、逆転写酵素は、cDNA鎖の3’末端に少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10又はそれより多いヌクレオチドの長さを有するオーバーハングを付加することが可能である。
【0333】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、逆転写酵素は、cDNA鎖の3’末端に2~5のシトシンヌクレオチドのオーバーハング(例えば、CCCオーバーハング)を付加することが可能である。
【0334】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、逆転写酵素は、M-MLV逆転写酵素、HIV-1逆転写酵素、AMV逆転写酵素、テロメラーゼ逆転写酵素及び上記の逆転写酵素の逆転写活性を有するそのバリアント、改変産物及び誘導体からなる群から選択される。
【0335】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、ステップ(2)及びステップ(3)は、以下から選択される1つ又は複数の特徴を有する:
(1)プライマーI-A、プライマーII-A、プライマーI-A’、プライマーII-A’、プライマーI-B、プライマーII-B、プライマーII-B’、架橋オリゴヌクレオチドI、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、天然ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド)、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド若しくはそれらの任意の組合せを含むか、又はそれからなる。ある特定の実施形態では、プライマーI-A、プライマーII-A、プライマーI-A’及びプライマーII-A’は、伸長反応を開始することが可能である、
(2)プライマーI-B、プライマーII-B及びプライマーII-B’は各々独立的に、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含む。ある特定の実施形態では、プライマーI-B、プライマーII-B及びプライマーII-B’は各々独立的に、その3’末端に、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を含む、
(3)タグ配列A及びタグ配列Bは各々独立的に、5~200nt(例えば、5~30nt、6~15nt)の長さを有する、
(4)コンセンサス配列A及びコンセンサス配列Bは各々独立的に、10~200nt(例えば、10~100nt、20~100nt、25~100nt、5~10nt、10~15nt、15~20nt、20~50nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt)の長さを有する、
(5)プライマーI-A、プライマーII-A、プライマーI-A’、プライマーII-A’、プライマーI-B、プライマーII-B及びプライマーII-B’は各々独立的に、4~200nt(例えば、5~200nt、15~230nt、26~115nt、10~130nt、10~20nt、20~50nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt、100~150nt、150~200nt)の長さを有する、
(6)架橋オリゴヌクレオチドI、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域及び第2の領域は各々独立的に、3~100nt(例えば、20~100nt、3~10nt、10~15nt、15~20nt、20~70nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt)の長さを有する、
(7)架橋オリゴヌクレオチドI、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第3の領域は各々独立的に、0~50nt(例えば、0nt、0~10nt、10~15nt、15~20nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt)の長さを有する、
(8)架橋オリゴヌクレオチドI、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、6~200nt(例えば、20~100nt、20~70nt、6~15nt、15~20nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt、100~150nt、150~200nt)の長さを有する、
(9)ポリ(T)配列は、少なくとも5又は少なくとも20(例えば、6~100、10~50)デオキシチミジン残基を含む、
(10)ランダムオリゴヌクレオチド配列は、5~200(例えば、5nt、5~30nt、6~15nt)の長さを有する。
【0336】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、方法は、(4)第2の核酸分子集団を回収し、精製するステップをさらに含む。
【0337】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、得られた第2の核酸分子集団及び/又はその相補体は、トランスクリプトームライブラリーを構築するため又はトランスクリプトームシーケンシングのために使用される。
【0338】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、ステップ(1)におけるオリゴヌクレオチドプローブは、以下から選択される1つ又は複数の特徴を有する:
(1)コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2は各々独立的に、天然ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド)、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド(例えば、ペプチド核酸(PNA)又はロックド核酸)若しくはそれらの任意の組合せを含むか、又はそれからなる、
(2)コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2は各々独立的に、2~200nt(例えば、10~200nt、25~100nt、10~30nt、10~100nt、5~10nt、10~15nt、15~20nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt)の長さを有する。
【0339】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、ステップ(1)の核酸アレイは、以下のステップによって提供される:
(1)複数の種類のキャリア配列を提供するステップであって、各種のキャリア配列が、キャリア配列の少なくとも1つのコピー(例えば、複数のコピー)を含み、キャリア配列が、5’から3’の方向に、コンセンサス配列X2の相補配列、タグ配列Yの相補配列及び固定化配列を含み、各種のキャリア配列は、タグ配列Yの異なる相補配列を有する、ステップ、
(2)複数の種類のキャリア配列を固相支持体(例えば、チップ)の表面に結合させるステップ、
(3)固定化プライマーを提供し、キャリア配列を鋳型として使用してプライマー伸長反応を実施して、伸長産物を生成して、オリゴヌクレオチドプローブを得るステップであって、固定化プライマーが、コンセンサス配列X1の配列を含み、キャリア配列の固定化配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能であり、一部の実施形態では、伸長産物は、5’から3’方向に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2を含むか、又はそれからなる、ステップ、
(4)固定化プライマーを固相支持体の表面と連結するステップであって、ステップ(3)及びステップ(4)が任意の順序で実施される、ステップ、
(5)任意選択で、キャリア配列の固定化配列は切断部位をさらに含み、切断は、ニッキング酵素消化、USER酵素消化、光応答性切除、化学的切除又はCRISPR媒介性切除から選択される場合があり、キャリア配列の固定化配列に含まれる切断部位で切断を実施して、キャリア配列を消化して、ステップ(3)における伸長産物を、伸長産物が生成される鋳型(すなわち、キャリア配列)から分離し、それによって、オリゴヌクレオチドプローブを固相支持体(例えば、チップ)の表面に連結するステップ。ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(3)における伸長産物を、高温変性によって、伸長産物が生成される鋳型(すなわち、キャリア配列)から分離することをさらに含む。
【0340】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、各種のキャリア配列は、キャリア配列の複数のコピーのコンカテマーから形成されるDNBである。
【0341】
スキームI又はスキームIIのある特定の実施形態では、複数の種類のキャリア配列がステップ(1)において以下のステップ:
(i)複数の種類のキャリア-鋳型配列を提供するステップであって、各キャリア-鋳型配列が、キャリア配列の相補配列を含む、ステップ、
(ii)各種のキャリア-鋳型配列を鋳型として使用して、核酸増幅反応を実施して、各種のキャリア-鋳型配列の増幅産物を得るステップであって、増幅産物が、キャリア配列の少なくとも1つのコピーを含み、ある特定の実施形態では、ローリングサークル複製が実施されて、キャリア配列のコンカテマーから形成されるDNBが得られる、ステップ
によって提供される。
【0342】
スキームIII
【0343】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(1)において、コンセンサス配列X2は、捕捉配列を含み、捕捉配列は、捕捉される核酸の全体又は一部とハイブリダイズ可能であり、捕捉配列は、ポリ(T)配列又は標的核酸を標的とする特異的配列又はランダムオリゴヌクレオチド配列を含み、捕捉配列は、遊離3’末端を有し、その結果、コンセンサス配列X2は、伸長プライマーとして働くことができる。
【0344】
このような実施形態では、ステップ(2)は、1個又は複数の細胞を、核酸アレイの固相支持体と接触させて、それによって、各細胞が個々に核酸アレイの少なくとも1つのマイクロドットを占有し(すなわち、各細胞が核酸アレイの少なくとも1つのマイクロドットと接触し)、細胞の第1の結合分子を、固相支持体の第1の標識分子と相互作用させるステップ、及びアニーリング条件を適用することによって、1個又は複数の細胞の核酸を捕捉配列とアニーリングさせ、これによって、核酸の位置が核酸アレイのオリゴヌクレオチドプローブの位置にマッピングされるようにするステップを含み、
さらに、ステップ(3)は、プライマー伸長を可能にして、標識された核酸分子(例えば、タグ配列Yによって標識された核酸分子)を生成する条件下で、オリゴヌクレオチドプローブをプライマーとして、捕捉された核酸分子を鋳型として使用して、プライマー伸長反応を実施するステップ、及び/又は捕捉された核酸分子をプライマーとして、オリゴヌクレオチドプローブを鋳型として使用して、プライマー伸長反応を実施して、伸長された捕捉された核酸分子を生成し、それによって、標識された核酸分子(例えば、タグ配列Yの相補配列によって標識された核酸分子)を形成するステップを含む。
【0345】
ある特定の実施形態では、ステップ(1)におけるオリゴヌクレオチドプローブは、固有の分子識別子(UMI)配列をさらに含む。好ましくは、UMI配列は、捕捉配列の上流に位置する。好ましくは、同一マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブは、互いに異なるUMI配列を含む。
【0346】
一部の実施形態では、ステップ(1)の核酸アレイは、以下のステップによって提供される:
(1)複数の種類のキャリア配列を提供するステップであって、各種のキャリア配列は、キャリア配列の複数のコピーを含み、キャリア配列は、5’から3’方向に、位置決め配列及び第1の固定化配列を含み、
位置決め配列は、タグ配列Yの相補配列であり、
第1の固定化配列は、その相補的ヌクレオチド配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である、ステップ、
(2)複数の種類のキャリア配列を固相支持体(例えば、チップ)の表面に結合させるステップ、
(3)第1のプライマーを提供し、キャリア配列を鋳型として使用して、プライマー伸長反応を実施して、キャリア配列の第1の固定化配列及び位置決め配列とハイブリダイズされた第1の核酸分子を得、それによって、キャリア配列の第1の固定化配列及び位置決め配列で二重鎖領域を形成するステップであって、第1の核酸分子は、5’から3’方向に、第1の固定化配列の相補配列及び位置決め配列の相補配列を含み、第1のプライマーは、その3’末端に第1の固定化配列と相補的である領域を含み、第1のプライマーの領域は、第1の固定化配列の相補配列又はその断片を含み、遊離3’末端を有する、ステップ、
(4)第2の核酸分子を提供するステップであって、第2の核酸分子は、遊離3’末端を有するコンセンサス配列X2(すなわち、捕捉配列)を含み、その結果、第2の核酸分子は、伸長プライマーとして使用され得る、ステップ、
(5)第2の核酸分子を第1の核酸分子とライゲートする(例えば、リガーゼを使用して、第2の核酸分子を第1の核酸分子とライゲートする)ステップであって、ライゲーション産物が、5’から3’方向に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2を含むオリゴヌクレオチドプローブである、ステップ。
【0347】
ある特定の実施形態では、キャリア配列は、任意選択で、ライゲーション産物が、ステップ(5)においてキャリア配列から分離され、それによって、オリゴヌクレオチドプローブを固相支持体の表面に連結するように消化される。
【0348】
ある特定の実施形態では、第1の核酸分子又は第2の核酸分子は、UMI配列をさらに含む。ある特定の実施形態では、第2の核酸分子は、捕捉配列の5’に位置するUMI配列を含む。
ある特定の実施形態では、複数の種類のキャリア配列は以下のステップによって提供される:
(i)複数の種類のキャリア-鋳型配列を提供するステップであって、キャリア-鋳型配列は、キャリア配列の相補配列を含む、ステップ
(ii)各種のキャリア-鋳型配列を鋳型として使用して、核酸増幅反応を実施して、各種のキャリア-鋳型配列の増幅産物を得るステップであって、増幅産物がキャリア配列の複数のコピーを含む、ステップ、
好ましくは、増幅は、ローリングサークル複製(RCA)、ブリッジPCR増幅、多重置換増幅(MDA)又はエマルジョンPCR増幅からなる群から選択され、好ましくは、ローリングサークル複製が実施されて、キャリア配列のコンカテマーによって形成されたDNBが得られるか、又はブリッジPCR増幅、エマルジョンPCR増幅若しくは多重置換増幅が実施されて、キャリア配列のクローン集団によって形成されたDNAクラスターが得られる。
【0349】
スキームI、スキームII又はスキームIIIのある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブはリンカーを介して固相支持体に結合している。
【0350】
スキームI、スキームII又はスキームIIIのある特定の実施形態では、リンカーは活性化基と結合することが可能な連結基であり、固相支持体の表面は活性化基を用いて修飾される。
【0351】
スキームI、スキームII又はスキームIIIのある特定の実施形態では、リンカーは、-SH、-DBCO又は-NHSを含む。
【0352】
スキームI、スキームII又はスキームIIIのある特定の実施形態では、リンカーは-DBCOであり、固相支持体の表面は、
【化1】
(アジド-dPEG(Azido-dPEG)(登録商標)8-NHSエステル)を用いて修飾される。
【0353】
スキームI、スキームII又はスキームIIIの一部の実施形態では、ステップ(1)の核酸アレイは、以下から選択される1つ又は複数の特徴を有する:
(1)同一固相支持体に結合したオリゴヌクレオチドプローブは、同一コンセンサス配列X1及び/又は同一コンセンサス配列X2を有する、
(2)オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X1は切断部位を含み、一部の実施形態では、切断部位は、ニッキング酵素消化、USER酵素消化、光応答性切除、化学的切除又はCRISPR媒介性切除によって切断若しくは破壊され得る。
【0354】
スキームI、スキームII又はスキームIIIのある特定の実施形態では、ステップ(1)における固相支持体は、以下から選択される1つ又は複数の特徴を有する:
(1)固相支持体は、ラテックスビーズ、デキストランビーズ、ポリスチレン表面、ポリプロピレン表面、ポリアクリルアミドゲル、金表面、硝子表面、チップ、センサー、電極及びシリコンウエハーからなる群から選択され、一部の実施形態では、固相支持体はチップである、
(2)固相支持体は、平面、球形又は多孔性である、
(3)固相支持体は、シーケンシングプラットフォーム、例えば、シーケンシングチップとして使用できる。一部の実施形態では、固相支持体は、イルミナ(Illumina)、MGI又はサーモフィッシャー(Thermo Fisher)シーケンシングプラットフォームのためのシーケンシングチップである、及び
(4)固相支持体は、自発的に、又は1つ若しくは複数の刺激への曝露(例えば、温度変化、pH変化、特定の化学物質若しくは相への曝露、光への曝露、還元剤への曝露等)によりオリゴヌクレオチドプローブを放出可能である。
【0355】
核酸分子のライブラリーを構築する方法
別の態様では、本出願はまた、核酸分子のライブラリーを構築する方法であって、
(a)上記のような方法に従って、標識された核酸分子の集団を生成するステップ、
(b)標識された核酸分子の集団における核酸分子を無作為に断片化し、それにアダプターを連結するステップ、並びに
(c)任意選択で、ステップ(b)の産物を増幅及び/又は濃縮するステップ
を含み、それによって、核酸分子のライブラリーを得る、方法を提供する。
【0356】
ある特定の実施形態では、核酸分子のライブラリーは、複数のシングルセルからの核酸分子を含み、異なるシングルセルの核酸分子は、異なるタグ配列Yを有する。
【0357】
ある特定の実施形態では、核酸分子のライブラリーは、シーケンシング、例えば、トランスクリプトームシーケンシング、例えば、シングルセルトランスクリプトームシーケンシング(例えば、5’又は3’トランスクリプトームシーケンシング)のために使用される。
【0358】
ある特定の実施形態では、ステップ(b)を実施する前に、方法は、ステップ(プレb):標識された核酸分子の集団を増幅及び/又は濃縮するステップをさらに含む。
【0359】
ある特定の実施形態では、ステップ(プレb)において、標識された核酸分子の集団が核酸増幅反応に供されて、増幅産物を生成する。
【0360】
ある特定の実施形態では、増幅反応が少なくともプライマーC及び/又はプライマーDを使用して実施され、プライマーCは、コンセンサス配列X1の相補配列若しくはその部分配列とハイブリダイズ又はアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、プライマーDは、標識された核酸分子の集団における、タグ配列Yを含む核酸分子鎖とハイブリダイズするか、又はアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0361】
ある特定の実施形態では、ステップ(プレb)における核酸増幅反応は、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ、例えば、鎖置換活性及び/又は高いフィデリティーを有するDNAポリメラーゼ)を使用することによって実施される。
【0362】
ある特定の実施形態では、方法のステップ(b)において、核酸分子が無作為に断片化され、得られた断片は、トランスポザーゼを使用することによってアダプターと連結される。
【0363】
一部の実施形態では、方法のステップ(b)において、前のステップにおいて得られた核酸分子が無作為に断片化され、得られた断片は、トランスポザーゼを使用することによって、それぞれ両末端でアダプター及び第2のアダプターと連結される。
【0364】
ある特定の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ、MuAトランスポザーゼ、スリーピングビューティー(Sleeping Beauty)トランスポザーゼ、マリナ-(Mariner)トランスポザーゼ、Tn7トランスポザーゼ、Tn10トランスポザーゼ、Ty1トランスポザーゼ、Tn552トランスポザーゼ、並びに上記のトランスポザーゼの転移活性を有するそれらのバリアント、改変産物及び誘導体からなる群から選択される。
【0365】
ある特定の実施形態では、トランスポザーゼはTn5トランスポザーゼである。
【0366】
一部の実施形態では、ステップ(c)において、ステップ(b)の生成物が少なくともプライマーC’及び/又はプライマーD’を使用して増幅され、プライマーC’は、第1のアダプターとハイブリダイズ又はアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、プライマーD’は、第2のアダプターとハイブリダイズ又はアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である。
【0367】
一部の実施形態では、ステップ(c)において、少なくとも上記のようなプライマーC及び/又はプライマーD’を使用して、ステップ(b)の生成物を増幅し、プライマーD’は、第1のアダプター若しくは第2のアダプターとハイブリダイズ又はアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である。
【0368】
トランスクリプトームシーケンシングを実施する方法
別の態様では、本出願はまた、試料中の細胞のトランスクリプトームシーケンシングのための方法であって、
(1)核酸分子のライブラリーを上記の方法にしたがって構築するステップ、及び
(2)核酸分子のライブラリーをシーケンシングするステップ
を含む方法も提供する。
【0369】
シングルセルトランスクリプトーム分析を実施する方法
別の態様では、本出願はまた、シングルセルトランスクリプトーム分析を実施する方法であって、
(1)試料中のシングルセルのトランスクリプトームシーケンシングを上記の方法に従って実施するステップ、及び
(2)シーケンシングデータを分析するステップであって、シーケンシングライブラリーのシーケンシング結果の、核酸アレイの各マイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブのタグ配列Y又はその相補配列とのマッチングを実施することを含み、マッチングが成功である場合にマイクロドットが陽性マイクロドットと同定され、核酸アレイにおいて領域的連続性を有する陽性マイクロドットに由来するシーケンシングデータは、同一細胞の転写データと同定され、それによって、シングルセルトランスクリプトーム分析が実施される、ステップ
を含む方法も提供する。
【0370】
キット
別の態様では、本出願はまた、キットを提供し、キットは、
核酸を標識するための核酸アレイ及び任意選択で、第1の結合分子を含み、核酸アレイは、固相支持体を含み、固相支持体は、(例えば、その表面に)第1の標識分子を含み、第1の結合分子は、第1の標識分子と相互作用対を形成可能であり、
固相支持体は、複数のマイクロドットをさらに含み、マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)は5μm未満であり、隣接するマイクロドット間の中心間距離は10μm未満であり、各マイクロドットは1種のオリゴヌクレオチドプローブと結合し、各種のオリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つのコピーを含み、オリゴヌクレオチドプローブは、5’から3’方向に、コンセンサス配列X1、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2を含むか、又はそれからなり、
異なるマイクロドットに結合したオリゴヌクレオチドプローブは異なるタグ配列Yを有する。
【0371】
ある特定の実施形態では、隣接するマイクロドット間の中心間距離は、10μm未満、5μm未満、1μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満又は0.01μm未満であり、マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)は、5μm未満、1μm未満、0.3μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満、0.05μm未満、0.01μm未満又は0.001μm未満である。
【0372】
好ましくは、隣接するマイクロドット間の中心間距離は、0.5μm~1μm、例えば、0.5μm~0.9μm、0.5μm~0.8μmである。
【0373】
好ましくは、マイクロドットのサイズ(例えば、相当直径)は、0.001μm~0.5μm(例えば、0.01μm~0.1μm、0.01μm~0.2μm、0.2μm~0.5μm、0.2μm~0.4μm、0.2μm~0.3μm)である。
【0374】
ある特定の実施形態では、固相支持体は、複数の(例えば、少なくとも10、少なくとも102、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108又はそれより多い)マイクロドットを含む。ある特定の実施形態では、固相支持体は、少なくとも104(例えば、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、少なくとも109、少なくとも1010、少なくとも1011又は少なくとも1012)マイクロドット/mm2を含む。
【0375】
ある特定の実施形態では、第1の結合分子は、第1の標識分子と、特異的相互作用対又は非特異的相互作用対を形成可能である。
【0376】
ある特定の実施形態では、相互作用対は、正電荷及び負電荷の相互作用対、親和性相互作用対(例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、抗原/抗体、受容体/リガンド、酵素/補因子)、クリック化学反応を起こすことが可能な分子の対(例えば、アルキニル含有化合物/アジド化合物)、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステル/アミノ含有化合物並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0377】
例えば、第1の標識分子はポリリジンであり、第1の結合分子は、ポリリジンと結合可能なタンパク質である;第1の標識分子は抗体であり、第1の結合分子は抗体と結合可能な抗原である;第1の標識分子は、アミノを含む化合物であり、第1の結合分子は、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステルである;又は第1の標識分子はビオチンであり、第1の結合分子は、ストレプトアビジンである。
【0378】
ある特定の実施形態では、キットは、
(i)プライマーI-A若しくはプライマーI-A’及びプライマーI-Bを含むプライマーセット又はプライマーI-A及びプライマーI-Bを含むプライマーセットをさらに含み、
プライマーI-Aは、コンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、好ましくは、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置し(例えば、プライマーI-Aの5’末端に位置し)、
プライマーI-A’は捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、
プライマーI-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーI-Bの3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置し(例えば、プライマーI-Bの5’末端に位置し)、3’-末端オーバーハングとは、プライマーI-A’の捕捉配列Aによって捕捉されたRNAを鋳型とする逆転写によって生成されたcDNA鎖の3’末端に含まれる1つ又は複数の鋳型とならないヌクレオチドを指し、
(ii)架橋オリゴヌクレオチドIをさらに含み、架橋オリゴヌクレオチドIは、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
第1の領域は、(a)プライマーI-Aのコンセンサス配列Aの全体若しくは一部とアニーリング又は(b)プライマーI-Bのコンセンサス配列Bの全体若しくは一部とアニーリング可能であり、
第2の領域は、コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能である。
【0379】
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーI-A、及び(ii)に記載の架橋オリゴヌクレオチドIを含み、架橋オリゴヌクレオチドIの第1の領域は、プライマーI-Aのコンセンサス配列Aの全体又は一部とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドIの第2の領域は、コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能であり、
プライマーI-Aの捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーI-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーI-Aは、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0380】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Aは、5’末端に5’リン酸を含む。
【0381】
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーI-A’及びプライマーI-Bを含むプライマーセット並びに(ii)に記載の架橋オリゴヌクレオチドIを含み、架橋オリゴヌクレオチドIの第1の領域は、プライマーI-Bのコンセンサス配列Bの全体又は一部とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドIの第2の領域は、コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能であり、
プライマーI-A’の捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーI-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーI-A’は、タグ配列A及びコンセンサス配列Aをさらに含み、
プライマーI-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0382】
ある特定の実施形態では、キットは、プライマーB”をさらに含み、プライマーB”は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングし、伸長反応を開始することが可能である。
【0383】
ある特定の実施形態では、プライマーI-B又はプライマーB”は、5’末端に5’リン酸を含む。
【0384】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Bは、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、プライマーI-Bは、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む。
【0385】
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーI-A及びプライマーI-Bを含むプライマーセット、並びに(ii)に記載の架橋オリゴヌクレオチドIを含み、架橋オリゴヌクレオチドIの第1の領域は、プライマーI-Aのコンセンサス配列Aの全体又は一部とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドIの第2の領域は、コンセンサス配列X2の全体又は一部とアニーリング可能であり、
プライマーI-Aの捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーI-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーI-Aは、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0386】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Aは、5’末端に5’リン酸を含む。
【0387】
ある特定の実施形態では、プライマーI-Bは、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、プライマーI-Bは、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む。
【0388】
ある特定の実施形態では、キットは、
(i)プライマーII-A及びプライマーII-Bを含むプライマーセット、又はプライマーII-A’及びプライマーII-B’を含むプライマーセットをさらに含み、
プライマーII-Aは、捕捉配列Aを含み、捕捉配列Aは、捕捉されるRNA(例えば、mRNA)とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能であり、
プライマーII-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーII-Bの3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置し(例えば、プライマーII-Bの5’末端に位置し)、3’-末端オーバーハングとは、プライマーII-Aの捕捉配列Aによって捕捉されたRNAを鋳型とする逆転写によって生成されたcDNA鎖の3’末端に含まれる1つ又は複数の鋳型とならないヌクレオチドを指し、
プライマーII-A’はコンセンサス配列A及び捕捉配列Aを含み、捕捉配列AはプライマーII-A’の3’末端に位置し、コンセンサス配列Aは捕捉配列Aの上流に位置し(例えば、プライマーII-A’の5’末端に位置し)、
プライマーII-B’は、コンセンサス配列B、3’末端オーバーハングの相補配列及び任意選択で、タグ配列Bを含み、3’-末端オーバーハングの相補配列は、プライマーII-B’の3’末端に位置し、コンセンサス配列Bは、3’-末端オーバーハングの相補配列の上流に位置し(例えば、プライマーII-B’の5’末端に位置し)、3’-末端オーバーハングとは、プライマーII-A’の捕捉配列Aによって捕捉されたRNAを鋳型とする逆転写によって生成されたcDNA鎖の3’末端に含まれる1つ又は複数の鋳型とならないヌクレオチドを指す。
【0389】
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーII-A及びプライマーII-Bを含むプライマーセット、並びに(ii)架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIを含み、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、プライマーII-Bのコンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、
プライマーII-Aの捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーII-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーII-Aは、好ましくは、コンセンサス配列A及び任意選択で、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
プライマーII-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0390】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Bは、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、プライマーII-Bは、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む。
【0391】
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーII-A及びプライマーII-Bを含むプライマーセットを含み、
プライマーII-Aの捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーII-Aの捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーII-Aは、好ましくは、コンセンサス配列A及び任意選択で、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
プライマーII-Bは、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0392】
ある特定の実施形態では、プライマーII-Bは、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、プライマーII-Bは、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む。
【0393】
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーII-A’及びプライマーII-B’を含むプライマーセット、並びに(ii)架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIを含み、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、第1の領域及び第2の領域、及び任意選択で、第1の領域と第2の領域の間に位置する第3の領域を含み、第1の領域は第2の領域の上流に位置し(例えば、第2の領域の5’に位置し)、
架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第1の領域は、架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第1の領域とアニーリング可能であり、架橋オリゴヌクレオチドII-Iの第2の領域は、オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X2又はその部分配列とアニーリング可能であり、
架橋オリゴヌクレオチドII-IIの第2の領域は、プライマーII-A’のコンセンサス配列Aの相補配列又はその部分配列とアニーリング可能であり、
プライマーII-A’の捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーII-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーII-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含む。
【0394】
ある特定の実施形態では、プライマーII-B’は、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、プライマーII-B’は、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む。
【0395】
ある特定の実施形態では、キットは、プライマーB”をさらに含み、プライマーB”は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である。
ある特定の実施形態では、キットは、(i)に記載のプライマーII-A’及びプライマーII-B’を含むプライマーセットを含み、
プライマーII-A’の捕捉配列Aは、ランダムオリゴヌクレオチド配列であるか、又はプライマーII-A’の捕捉配列Aは、ポリ(T)配列、若しくは標的核酸を標的とする特異的配列であり、プライマーII-A’は、タグ配列A、例えば、ランダムオリゴヌクレオチド配列をさらに含み、
プライマーII-B’は、コンセンサス配列B、3’-末端オーバーハングの相補配列及びタグ配列Bを含む。
【0396】
ある特定の実施形態では、プライマーII-B’は、修飾ヌクレオチド(例えば、ロックド核酸)を含み、好ましくは、プライマーII-B’は、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド(例えば、1つ又は複数のロックド核酸)を3’末端に含む。
【0397】
ある特定の実施形態では、キットは、プライマーB”をさらに含み、プライマーB”は、コンセンサス配列Bの相補配列又はその部分配列とアニーリングして、伸長反応を開始することが可能である。
【0398】
ある特定の実施形態では、キットは、以下から選択される1つ又は複数の特徴を有する:
(1)オリゴヌクレオチドプローブ、プライマーI-A、プライマーII-A、プライマーI-A’、プライマーII-A’、プライマーI-B、プライマーII-B、プライマーII-B’、プライマーB”、架橋オリゴヌクレオチドI、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、天然ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド)、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド若しくはそれらの任意の組合せを含むか、又はそれからなる、
(2)オリゴヌクレオチドプローブは各々独立的に、15~300nt(例えば、15~200nt、15~20nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt、100~150nt、150~200nt)の長さを有する、
(3)プライマーI-A、プライマーII-A、プライマーI-A’、プライマーII-A’、プライマーI-B、プライマーII-B、プライマーII-B’及びプライマーB”は各々独立的に、4~200nt(例えば、5~200nt、15~230nt、26~115nt、10~130nt、10~20nt、20~50nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt、100~150nt、150~200nt)の長さを有する、
(4)架橋オリゴヌクレオチドI、架橋オリゴヌクレオチドII-I及び架橋オリゴヌクレオチドII-IIは各々独立的に、6~200nt(例えば、20~100nt、20~70nt、6~15nt、15~20nt、20~30nt、30~40nt、40~50nt、50~100nt、100~150nt、150~200nt)の長さを有する、
(5)同一固相支持体に結合したオリゴヌクレオチドプローブは、同一コンセンサス配列X1及び/又は同一コンセンサス配列X2を有する、
(6)オリゴヌクレオチドプローブのコンセンサス配列X1は切断部位を含み、一部の実施形態では、切断部位は、ニッキング酵素消化、USER酵素消化、光応答性切除、化学的切除又はCRISPR媒介性切除によって切断若しくは破壊され得る。
【0399】
ある特定の実施形態では、キットは、逆転写酵素、核酸リガーゼ、核酸ポリメラーゼ及び/又はトランスポザーゼをさらに含む。
【0400】
ある特定の実施形態では、逆転写酵素は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する。ある特定の実施形態では、逆転写酵素は、RNA(例えば、mRNA)を鋳型として使用してcDNA鎖を合成すること及び3’-末端オーバーハングをcDNA鎖の3’末端に付加することが可能である。ある特定の実施形態では、逆転写酵素は、cDNA鎖の3’末端に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10又はそれより多いヌクレオチドの長さを有するオーバーハングを付加することが可能である。ある特定の実施形態では、逆転写酵素は、2~5のシトシンヌクレオチドのオーバーハング(例えば、CCCオーバーハング)を、cDNA鎖の3’末端に付加することが可能である。ある特定の実施形態では、逆転写酵素は、M-MLV逆転写酵素、HIV-1逆転写酵素、AMV逆転写酵素、テロメラーゼ逆転写酵素、並びに上記の逆転写酵素の逆転写活性を有するそれらのバリアント、改変産物及び誘導体からなる群から選択される。
【0401】
ある特定の実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有さない。
【0402】
ある特定の実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性又は鎖置換活性を有する。
【0403】
ある特定の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ、MuAトランスポザーゼ、スリーピングビューティートランスポザーゼ、マリナ-トランスポザーゼ、Tn7トランスポザーゼ、Tn10トランスポザーゼ、Ty1トランスポザーゼ、Tn552トランスポザーゼ、並びに上記のトランスポザーゼの転移活性を有するそれらのバリアント、改変産物及び誘導体からなる群から選択される。
【0404】
ある特定の実施形態では、キットは、プライマーC、プライマーD、プライマーC’及び/又はプライマーD’をさらに含む。例えば、キットは、プライマーC、プライマーD及びプライマーD’をさらに含む。例えば、キットは、プライマーC、プライマーD、プライマーC’及びプライマーD’をさらに含む。
【0405】
ある特定の実施形態では、キットは、核酸ハイブリダイゼーションのための試薬、核酸伸長のための試薬、核酸増幅のための試薬、核酸を回収又は精製するための試薬、トランスクリプトームシーケンシングライブラリーを構築するための試薬、シーケンシング(例えば、第2又は第3世代シーケンシング)のための試薬又はそれらの任意の組合せをさらに含む。
【0406】
用語の定義
本出願では、特に断りのない限り、本明細書において使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらに、分子生物学、生化学、核酸化学、細胞培養等の操作ステップは、本明細書で使用される場合、すべて、対応する技術分野において広く使用される日常的なステップである。一方で、本出願をより理解するために、関連用語の定義及び説明を以下に提供する。
【0407】
用語「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「等(such as)」、「含む(comprise)」、「含む(include)」又はそれらの変形が本明細書で使用される場合には、これらの用語は、限定的な用語とはされず、代わりに、「それだけには限らない」又は「制限するものではない」を意味すると解釈される。
【0408】
本明細書において別に示されるか、文脈によって明確に矛盾しない限り、本出願を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」並びに「その(the)」及び同様の指示対象は、単数形及び複数形を対象とすると解釈されるべきである。
【0409】
本明細書で使用される場合、本出願の方法に適用され得る細胞(例えば、標識された核酸分子の集団を生成するために本出願の方法を使用して処理され得る細胞)は、目的の任意の細胞、例えば、がん細胞、幹細胞、神経細胞、胎児細胞及び免疫応答に関与する免疫細胞であり得る。細胞は、1個の細胞又は複数の細胞を含み得る。細胞は、同一種の細胞の混合物である場合も、異なる種類の完全に異種性の混合物である場合もある。異なる細胞種は、個体の異なる組織からの細胞又は異なる個体からの同一組織からの細胞又は異なる属、種、株、バリアントの微生物に由来する細胞又は前記のもののいずれか若しくはすべての任意の組合せを含み得る。例えば、異なる細胞種には、個体からの正常細胞及びがん細胞、ヒト種から得られた種々の細胞種、例えば、種々の免疫細胞、環境的、法医学的、マイクロバイオーム又は他の試料からの種々の異なる細菌種、株及び/若しくはバリアント、又は細胞種の任意の他の種々の混合物が含まれ得る。
【0410】
本明細書で使用される場合、用語「UMI」とは、「固有の分子識別子」を指し、これを使用して、核酸分子を特徴づける、及び/又は定量することができる。本明細書において特に断りのない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、本出願は、核酸分子におけるUMI又はその相補配列の位置及び量を制限しない。例えば、cDNA鎖がUMI若しくはその相補配列を含む場合には、UMI若しくはその相補配列は、cDNA鎖のcDNA配列の3’に位置する場合もあり、cDNA配列の5’に位置する場合もあり、又はUMI若しくはその相補配列は、cDNA配列の3’及び5’の両方に含まれる場合もある。cDNA鎖の相補鎖が、UMI若しくはその相補配列を含む場合には、UMI若しくはその相補配列は、cDNA鎖の相補鎖のcDNA配列の相補配列の3’に位置する場合もあり、又はcDNA配列の相補配列の5’に位置する場合もあり、又はUMI若しくはその相補配列は、cDNA配列の相補配列の3’及び5’の両方に含まれる場合もある。
【0411】
本出願において使用される場合、「DNB」(DNAナノボール(nanoball))は、通常のRCA(ローリングサークル増幅)産物であり、RCA産物の特徴を有する。ここで、RCA産物は、特定の配列の複数のコピーを有する一本鎖DNAであり、DNAに含まれる塩基間の相互作用により、「球状」様構造を形成できる。通常、ライブラリー分子は環状化して、一本鎖環状DNAを形成し、その後、一本鎖環状DNAを、ローリングサークル増幅技術を使用して数桁増幅することができ、それによって、DNBと呼ばれる増幅産物が生成される。
【0412】
本明細書で使用される場合、「核酸分子集団」とは、核酸分子、例えば、標的核酸分子(例えば、二本鎖DNA、RNA/cDNAハイブリッド、一本鎖DNA又は一本鎖RNA)に直接若しくは間接的に由来する核酸分子の集団又は集合を指す。一部の実施形態では、核酸分子集団は核酸分子のライブラリーを含み、核酸分子ライブラリーは、標的核酸分子配列を質的及び/又は量的に代表する配列を含む。他の実施形態では、核酸分子の集団は、核酸分子のライブラリーのサブセットを含む。
【0413】
本明細書で使用される場合、「核酸分子のライブラリー」とは、標識された核酸分子(例えば、標識された二本鎖DNA、標識されたRNA/cDNAハイブリッド、標識された一本鎖DNA又は標識された一本鎖RNA)又は標的核酸分子から直接的若しくは関節的に生成されるその断片の集合又は集団を指し、集合若しくは集団の標識された核酸分子又はその断片の組合せは、標識された核酸分子が生成された標的核酸分子配列の配列を質的に及び/又は量的に代表すると示されている。ある特定の実施形態では、核酸分子のライブラリーはシーケンシングライブラリーである。ある特定の実施形態では、核酸分子のライブラリーは、シーケンシングライブラリーを構築するために使用され得る。
【0414】
本明細書で使用される場合、「cDNA」又は「cDNA鎖」とは、目的のRNA分子の少なくとも一部分を鋳型として使用し、RNA依存性DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素(このプロセスは、「逆転写」とも呼ばれる)の触媒下で目的のRNA分子とアニーリングするプライマーを介して伸長することによって合成された「相補DNA」を指す。合成されたcDNA分子は、鋳型の少なくとも一部分に対して「相同」若しくは「相補的」であるか、又は鋳型の少なくとも一部分と「塩基対形成する」若しくは「複合体を形成する」。
【0415】
本明細書で使用される場合、用語「上流」は、2つの核酸配列(又は2つの核酸分子)の相対的な位置的関係を説明するために使用され、当業者によって一般に理解される意味を有する。例えば、表現「核酸配列は、別の核酸配列の上流に位置する」とは、5’から3’方向にアラインされた場合に、前者は後者よりもより前方の位置(すなわち、5’-末端により近い位置)に位置することを意味する。本明細書で使用される場合、用語「下流」は、「上流」と反対の意味を有する。
【0416】
本明細書で使用される場合、「タグ配列Y」、「タグ配列A」、「タグ配列B」、「コンセンサス配列X1」、「コンセンサス配列X2」、「コンセンサス配列A」、「コンセンサス配列B」等は、それにライゲートされた核酸分子又はそれにライゲートされた核酸分子の誘導体(例えば、核酸分子の相補的断片、核酸分子の短い断片等)の同定、認識及び/若しくは分子操作又は生化学的操作の手段を提供する(例えば、オリゴヌクレオチドとアニーリングするための部位を提供することによって。オリゴヌクレオチドは、例えば、DNAポリメラーゼ伸長のプライマーである又は捕捉反応若しくはライゲーション反応のためのオリゴヌクレオチドである。)非標的核酸構成成分を有するオリゴヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは、少なくとも2の(好ましくは、約6~100であるが、オリゴヌクレオチドの長さの明確な制限はなく、正確なサイズは、多数の因子に依存し、一方でこれらの因子は、オリゴヌクレオチドの最終的な機能又は用途に依存する)ヌクレオチドからなってもよく、連続的又は非連続的に配置された複数のオリゴヌクレオチド断片から構成されてもよい。オリゴヌクレオチド配列は、それがライゲートされる各核酸分子に固有であってもよく、それがライゲートされるある特定の種類の核酸分子に固有であってもよい。オリゴヌクレオチド配列は、ライゲーション、ハイブリダイゼーション又は他の方法を含む任意の方法によって「標識される」ポリヌクレオチド配列に可逆的又は不可逆的にライゲートされ得る。オリゴヌクレオチド配列を核酸分子とライゲートするプロセスは、「標識」と呼ばれることがあり、標識の付加を受ける、又は標識配列を含む核酸分子は、「標識された核酸分子」又は「タグが付けられた核酸分子」と呼ばれる。
【0417】
種々の理由のために、本出願の核酸又はポリヌクレオチド(例えば、「タグ配列Y」、「タグ配列A」、「タグ配列B」、「コンセンサス配列X1」、「コンセンサス配列X2」、「コンセンサス配列A」、「コンセンサス配列B」、「プライマーI-A」、「プライマーI-A’」、「プライマーI-B」、「プライマーII-A」、「プライマーII-A’」、「プライマーII-B」、「プライマーII-B’」、「プライマーB”」、「プライマーC」、「プライマーD」、「プライマーC’」、「プライマーD’」、「ランダムプライマー」、「架橋オリゴヌクレオチドI」、「架橋オリゴヌクレオチド配列II-I」、「架橋オリゴヌクレオチド配列II-II」等)は、1つ又は複数の修飾核酸塩基、糖部分又はヌクレオシド間連結を含み得る。例えば、修飾核酸塩基、糖部分又はヌクレオシド間連結を含む核酸又はポリヌクレオチドを使用するいくつかの理由として、それだけには限らないが、(1)Tmの変化、(2)1つ若しくは複数のヌクレアーゼに対するポリヌクレオチドの感受性の変化、(3)標識を連結するための部分を提供すること、(4)標識若しくは標識クエンチャーを提供すること又は(5)溶液の別の分子に取り付けるための、若しくは表面に結合したビオチン等の部分を提供することが挙げられる。例えば、一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド、例えば、プライマーは、ランダムな部分に、拘束されたコンホメーションを有する1つ以上の核酸類似体を含むように合成することができ、これには、リボース環が、2’-O原子を4’-C原子に連結するメチレン架橋によって「ロック」された1つ又は複数のリボ核酸類似体が含まれるが、これに限定されない。これらの修飾ヌクレオチドは、各分子のTm又は融解温度の約2セルシウス度~約8セルシウス度の増大をもたらす。例えば、リボヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドプライマーが使用される一部の実施形態では、方法において修飾ヌクレオチドを使用する1つの指標は、修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが、一本鎖特異的RNアーゼによって消化され得ることであり得る。
【0418】
本明細書で使用される場合、「第1の結合分子」は、「第1の標識分子」と特異的に、又は非特異的に相互作用可能である。ある特定の実施形態では、第1の結合分子は、正電荷及び負電荷間の相互作用、親和性相互作用(例えば、ビオチン及びアビジン、ビオチン及びストレプトアビジン、抗原及び抗体、受容体及びリガンド、酵素及び補因子間の相互作用)、クリックケミストリー反応(例えば、アルキニル含有化合物とアジド化合物の間のクリックケミストリー反応)並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される方法で第1の標識分子と相互作用する。
【0419】
例えば、第1の標識分子はポリリジンであり、第1の結合分子は、ポリリジンと結合可能なタンパク質である;第1の標識分子は抗体であり、第1の結合分子は、抗体と結合可能な抗原である;第1の標識分子はビオチンであり、第1の結合分子はストレプトアビジンである;第1の結合分子は、アルキニル基を含む化合物であり、標識分子はアジド化合物である;又は第1の結合分子はN-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステルであり、第1の標識分子は、アミノ含有化合物である。
【0420】
例えば、第1の標識分子は抗原であり、第1の結合分子は、抗原と結合可能な抗体である;第1の標識分子はストレプトアビジンであり、第1の結合分子はビオチンである;第1の結合分子はアジド化合物であり、第1の標識分子はアルキニル含有化合物である;又は第1の結合分子はアミノを含む化合物であり、第1の標識分子は、N-ヒドロキシスルホスクシネート(NHS)エステルである。
【0421】
本出願の方法において、例えば、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの1つ又は複数の位置の単一ヌクレオチドの核酸塩基は、グアニン、アデニン、ウラシル、チミン若しくはシトシンを含み得る、又は任意選択で、核酸塩基のうち1つ若しくは複数は、修飾塩基、例えば、それだけには限らないが、キサンチン、アリルアミノ-ウラシル、アリルアミノ-チミンヌクレオシド、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、4-チオウラシル、6-チオグアニン、アザウラシル、デアザウラシル、チミンヌクレオシド、シトシン、アデニン又はグアニンを含み得る。さらに、それらは、以下の部分で誘導体化された核酸塩基を含み得る:ビオチン部分、ジゴキシゲニン部分、蛍光又は化学発光部分、クエンチング部分又はいくつかの他の部分。本出願は、列挙された核酸塩基に制限されず、所与のリストは、本出願の方法において使用され得る広範な塩基の例を例示する。
【0422】
本出願の核酸又はポリヌクレオチドに関して、糖部分のうち1つ又は複数は2’-デオキシリボースを含んでよく、又は任意選択で、糖部分のうち1つ又は複数はいくつかの他の糖部分、例えば、それだけには限らないが、いくつかのヌクレアーゼに対して耐性を有するリボース若しくは2’-フルオロ-2’-デオキシリボース若しくは2’-O-メチル-リボース、又は、可視、蛍光、赤外蛍光若しくは他の検出可能な色素若しくは求電子性、光反応性、アルキニル若しくは他の反応性化学部分を有する化学物質との反応によって標識される、2’-アミノ-2’-デオキシリボース若しくは2’-アジド-2’-デオキシリボースを含んでもよい。
【0423】
本出願の核酸又はポリヌクレオチドのヌクレオシド間連結は、ホスホジエステル結合であり得るか、又は任意選択で、ヌクレオシド間連結のうち1つ若しくは複数は、修飾された連結、例えば、それだけには限らないが、いくつかのヌクレアーゼに対して耐性である、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート又はホスホロジセレネート連結を含む場合がある。
【0424】
本明細書で使用される場合、用語「ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性」とは、1つ若しくは複数のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)又は単一のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の、cDNAの3’-末端への鋳型独立性付加(又は「テーリング」)を触媒する能力を指す。ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素の例には、それだけには限らないが、-MLV逆転写酵素、HIV-1逆転写酵素、AMV逆転写酵素、テロメラーゼ逆転写酵素、並びに逆転写活性及び逆転写酵素のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有するそれらのバリアント、改変産物及び誘導体が含まれる。逆転写酵素は、RNアーゼ活性(特に、RNアーゼH活性)を有するか、又は有さない。好ましい実施形態では、cDNAを生成するためのRNAの逆転写のために使用される逆転写酵素は、RNアーゼ活性を有さない。したがって、好ましい実施形態では、cDNAを生成するためのRNAの逆転写のために使用される逆転写酵素は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有し、RNアーゼ活性を有さない。
【0425】
本明細書で使用される場合、「鎖置換活性」を有する核酸ポリメラーゼとは、新規核酸鎖を伸長するプロセスの際に、鋳型鎖と相補的である下流核酸鎖と遭遇した場合に、伸長反応を継続し、鋳型鎖と相補的である該核酸鎖を(分解するのではなく)置き換えることができる核酸ポリメラーゼを指す。
【0426】
本明細書で使用される場合、「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性」を有する核酸ポリメラーゼとは、ポリヌクレオチドの5’から3’の順に3,5-リン酸ジエステル結合の加水分解を触媒でき、それによってヌクレオチドを分解する核酸ポリメラーゼを指す。
【0427】
本明細書で使用される場合、「高いフィデリティー」を有する核酸ポリメラーゼ(又はDNAポリメラーゼ)とは、核酸の増幅の際に、野生型Taq酵素(例えば、配列がUniProt受託:P19821.1に示されたTaq酵素)よりも間違ったヌクレオチドを導入する可能性(すなわち、誤り率)が低い核酸ポリメラーゼ(又はDNAポリメラーゼ)を指す。
【0428】
本明細書で使用される場合、用語「アニーリングした」、「アニーリングしている」、「アニーリングする」、「ハイブリダイズされた」、又は「ハイブリダイズしている」等は、Watson-Crick塩基対形成を介して複合体を形成するための十分な相補性を有するヌクレオチド配列間の複合体の形成を指す。本出願の目的のために、互いに「相補的である」又は「ハイブリダイズする」又は「アニーリングする」核酸配列は、意図される目的のために、十分に安定な「ハイブリッド」又は「複合体」を形成可能でなくてはならない。核酸分子によって提示された配列内のすべての核酸塩基が、別の核酸分子によって提示される配列内のすべての核酸塩基と塩基対形成又は対形成又は複合体形成可能であることによって、両核酸分子又はその中の提示される対応する配列が互いに「相補的である」又は「アニーリングする」又は「ハイブリダイズする」ことは、必要ではない。本明細書で使用される場合、用語「相補的」又は「相補性」は、塩基対形成のルールによって関連づけられたヌクレオチドの配列に言及する場合に使用される。例えば、配列5’-A-G-T-3’は、配列3’-T-C-A-5’と相補的である。相補性は、「部分的」であり得、この場合、核酸塩基の一部のみが、塩基対形成のルールにしたがってマッチングする。任意選択で、核酸の間に「完全」又は「総」相補性があってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に対して大きな影響を及ぼす。相補性の程度は、核酸のハイブリダイゼーションに頼る増幅反応及び検出方法において特に重要である。用語「相同性」とは、ある核酸配列の、別の核酸配列に対する相補性の程度を指す。部分相同性(すなわち、相補性)又は完全相同性(すなわち、相補性)があり得る。部分的に相補的な配列は、完全相補配列の標的核酸とのハイブリダイゼーションを少なくとも部分的に阻害する配列であり、機能的な用語「実質的に相同」を使用して称される。完全に相補的な配列の標的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、ハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、サザンブロッティング又はノーザンブロッティング、溶液のハイブリダイゼーション等)を使用して低ストリンジェンシー条件下で試験され得る。実質的に相同な配列又はプローブは、低ストリンジェンシーの条件下での完全に相同な配列の標的との結合(すなわち、ハイブリダイゼーション)において競合するか、又は結合を阻害する。これは、低ストリンジェンシー条件が非特異的結合を可能にする条件であるということではなく、低ストリンジェンシー条件は、2つの配列が特異的(すなわち、選択的)相互作用によって互いに結合することを必要とする。非特異的結合がないことは、相補性を欠くか、又は低い程度の相補性しか有さない(例えば、約30%未満の相補性)第2の標的を使用することによって試験され得る。特異的結合が低いか、又は存在しない場合には、プローブは、核酸標的とハイブリダイズしない。用語「実質的に相同」とは、二本鎖核酸配列、例えば、cDNA又はゲノムクローンに関して使用される場合に、本明細書で記載される低ストリンジェンシー条件下で、二本鎖核酸配列の一方の鎖又は両鎖とハイブリダイズできる任意のオリゴヌクレオチド又はプローブであることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「アニーリング」又は「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸鎖の対形成を指す場合に使用される。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション力(すなわち、核酸鎖の間の会合力)は、塩濃度、ハイブリッドを形成するためのTm(融解温度)、他の構成成分の存在(例えば、ポリエチレングリコール又はベタインの有無)、ハイブリダイズされた鎖のモル濃度及び核酸鎖のG:C含量等の因子によって影響を受ける条件のストリンジェンシーを含む、核酸間の相補性の程度を含む、当技術分野で公知の多数の因子によって影響を受ける。
【0429】
本明細書で記載されるように、固相支持体は、自発的に、又は1つ若しくは複数の刺激への曝露(例えば、温度変化、pH変化、特定の化学物質若しくは相への曝露、光への曝露、還元剤への曝露等)によりオリゴヌクレオチドプローブを放出可能である。オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプローブと固相支持体の間の結合の切断又は固相支持体自体の分解又は両方によって放出され得、またオリゴヌクレオチドプローブは、他の試薬によって接近されることを可能にするか、又は接近されることが可能であることが理解される。
【0430】
複数の種類の不安定な結合を固相支持体に付加することによって、固相支持体の異なる刺激に応答する能力が可能になる。各種の不安定な結合は、関連する刺激(例えば、化学的刺激、光、温度等)に対して感受性である場合があり、その結果、不安定な結合各々を介して固相支持体に付着している物質の放出が、適切な刺激を適用することによって制御され得る。熱的に切断可能な結合、ジスルフィド結合及びUV感受性結合に加えて、固相支持体に結合することができる不安定な結合の他の限定されない例には、エステル結合(例えば、酸、塩基又はヒドロキシルアミンを用いて切断され得るエステル結合)、オルトジオール結合(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムによって切断され得るオルトジオール結合)、ディールス・アルダー結合(例えば、熱的に切断され得るディールス・アルダー結合)、スルホン結合(例えば、アルカリによって切断され得るスルホン結合)、シリシル(silicyl)エーテル結合(例えば、酸によって切断され得るシリシル(silicyl)エーテル結合)、グリコシド結合(例えば、アミラーゼによって切断され得るグリコシド結合)、ペプチド結合(例えば、プロテアーゼによって切断され得るペプチド結合)又はリン酸ジエステル結合(例えば、ヌクレアーゼ(例えば、DNA酵素)によって切断され得るリン酸ジエステル結合)が含まれる。
【0431】
固相支持体と上記のオリゴヌクレオチドの間の切断可能な結合に加えて、又はそれの代替物として、固相支持体は、自発的に、又は1つ若しくは複数の刺激への曝露(例えば、温度変化、pH変化、特定の化学物質若しくは相への曝露、光への曝露、還元剤への曝露等)により分解可能、破壊可能又は可溶性であり得る。一部の場合には、固相支持体は、可溶性である場合があり、その結果、固相支持体の材料成分が、特定の化学物質又は環境変化(例えば、温度の変化又はpHの変化)への曝露により溶解する。一部の場合には、固相支持体は、高温及び/又はアルカリ条件下で分解又は溶解し得る。一部の場合には、固相支持体は、熱的に分解可能である場合があり、その結果、固相支持体は、適切な温度変化(例えば、加熱)に曝露された場合に分解する。物質(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)と結合している固相支持体の分解又は溶解は、固相支持体からの物質の放出をもたらし得る。
【0432】
本明細書で使用される場合、用語「トランスポザーゼ」及び「逆転写酵素」及び「核酸ポリメラーゼ」とは、特定の化学反応及び生体反応を触媒することに関与するタンパク質分子又はタンパク質分子の凝集体を指す。一般に、本出願の方法、組成物又はキットは、特定の供給源からの特定のトランスポザーゼ、逆転写酵素又は核酸ポリメラーゼの使用に制限されない。むしろ、本出願の方法、組成物又はキットは、本明細書で開示される特定の方法、組成物又はキットの特定の酵素と同等の酵素活性を有する任意の供給源からの任意のトランスポザーゼ、逆転写酵素又は核酸ポリメラーゼを含み得る。さらに、本出願の方法はまた、以下の実施形態を含む:方法のステップにおいて提供され、使用される任意の1種の特定の酵素が、2種又はそれより多い酵素の組合せによって置き換えられ、別個に段階的に、又は同時に一緒に使用されるかに関わらず、2種又はそれより多い酵素が組み合わせて使用される場合に、反応混合物が、その特定の酵素を使用して得られるであろうものと同一の結果物をもたらす。実施例におけるものを含む本明細書で提供される方法、緩衝液及び反応条件は、本出願の方法、組成物及びキットの実施形態にとって現在好ましい。しかし、本出願の酵素の一部のために他の酵素保存緩衝液、反応緩衝液及び反応条件が使用される場合があり、当技術分野で公知であり、本出願における使用に適している場合があり、本明細書に含まれる。
【0433】
[本出願の有益な効果]
本出願は、高分解能核酸アレイ(例えば、チップ)及び核酸分子を位置的に標識可能な方法並びに核酸アレイを使用する方法又は高処理量シーケンシング(特に、高処理量シングルセルトランスクリプトームシーケンシング)のための方法を提供する。本出願の方法は、以下から選択される1つ又は複数の有益な技術効果を有する:
(1)核酸アレイ(例えば、チップ)は、高分解能を有し、シングルセル領域(例えば、80~100μm2)に少なくとも50(例えば、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400又は少なくとも500)のマイクロドットを含むことができ、各マイクロドットは、1種の、位置情報を含む、標識するためのオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、タグ配列Yを含むオリゴヌクレオチドプローブ)に結合しており、各種のオリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つのコピーを含む。したがって、核酸アレイを使用して、試料(例えば、細胞懸濁液)の異なる細胞が特定の位置決め配列(例えば、タグ配列Y)を用いて標識されることを実現することができ、したがって、標識された核酸分子の特定の位置決め配列(例えば、タグ配列Y)を検出することによって、核酸アレイの核酸分子の空間的位置情報を検出でき、次いで、同一シングルセルからの核酸分子を同定し、それによって、シングルセル試料の分析を実現できる。
【0434】
(2)高処理量シーケンシングライブラリーを構築するために、核酸アレイ(例えば、チップ)が使用される場合には、試料(例えば、細胞懸濁液)の細胞のシングルセルソーティングを実施する必要はなく、複数の細胞が核酸アレイ(例えば、チップ)に直接吸着され得る。核酸アレイ(例えば、チップ)の高分解能のために、マイクロドットのサイズ及びスペーシングは、シングルセルのサイズよりもかなり小さい。したがって、各細胞(又は細胞からの核酸分子)は、1つ又は複数の、位置情報を有し、核酸アレイ(例えば、チップ)に位置する、標識するためのオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、タグ配列Yを含むオリゴヌクレオチドプローブ)を用いて捕捉され、標識される。言い換えれば、核酸アレイ(例えば、チップ)は、試料のどの細胞も理論的に捕捉し、標識でき、これによって、稀な細胞情報の喪失が効果的に回避される。
【0435】
(3)核酸アレイ(例えば、チップ)の固有の設計に基づいて、本出願の方法は、シングルセルシーケンシングのために単一チップに数百万個の細胞を捕捉でき、細胞捕捉効率は、理論的に100%に到達し得る。すなわち、本出願の方法の細胞捕捉処理量は、数百万の規模に到達でき、細胞捕捉効率は、ほぼ100%に到達でき、既存の技術を大きく上回る(10xクロム細胞選別プラットフォーム等の既存の技術は、油相で形成される微小滴の数によって制限され、その結果、その処理量は、万の規模を超えることが困難であり、ポアソン分布の特徴のために、その細胞捕捉率は、理論的に最大60%である)。
【0436】
本出願の好ましい実施形態は、添付の図面及び実施例を参照して以下に詳述されるが、当業者は以下の図面及び実施例は、単に本出願を例示するために使用されるのであって、本出願の範囲を制限するものではないということを理解するであろう。本出願の種々の目的及び有利な態様は、以下の添付の図面及び好ましい実施形態の詳細な説明から当業者に明らかとなろう。
【実施例】
【0437】
本出願を、ここで、本出願を制限するものではなく、例示することを意図する以下の実施例を参照して説明する。特に断りのない限り、実施例において記載される実験及び方法は、本質的に、当技術分野で周知の、種々の参照文献に記載される従来法に従って実施された。さらに、実施例において具体的な条件が指定されない場合には、従来条件又は製造業者によって推奨される条件に従うべきである。使用される試薬又は機器の製造業者が明記されなかった場合には、それらはすべて、商業的に購入することができる従来の製品であった。当業者は、実施例は、本出願を例として説明するものであって、本出願によって保護されようとする範囲を限定しようとするものではないということは理解するであろう。本明細書で言及されたすべての刊行物及び他の参照文献は、その全文で参照により組み込まれる。
【0438】
実施例1
この実施例に関与する配列情報を、表1-1に示した:
【0439】
【0440】
I.捕捉チップの調製
1.チップの位置情報を含むDNAライブラリー分子の配列を設計し、これは、5’から3’に、コンセンサス配列X1のコード配列(X1)、タグ配列のコード配列(Y)及びコンセンサス配列X2のコード配列(X2)から構成されていた。DNAライブラリー分子の例示的ヌクレオチド配列は、配列番号1に示した。DNAライブラリー分子を合成するためにBeijing Liuhe BGI Co.,Ltd.に委託した。
【0441】
2.ライブラリー分子の増幅及びローディング
(1)DNBSEQシーケンシングキット(MGIから購入、カタログ番号1000019840)を使用して、DNAナノボール(DNB)を調製した。具体的な実施形態を手短に以下に記載した。
【0442】
手短には、40μLの表1-2に示される反応系を調製した。反応系をPCR装置に入れ、以下の反応条件に従って反応を行った:95℃で3分間、40℃で3分間。反応が完了した後、反応産物を氷上に置き、40μLの混合酵素I、2μLの混合酵素II(DNBSEQシーケンシングキットからの)、1μLのATP(100mMの保存溶液、サーモフィッシャーから入手)及び0.1μLのT4リガーゼ(NEBから入手、カタログ番号:M0202S)を添加した。ウェルを混合した後、上記の反応系をPCR装置に入れ、30℃で20分間反応させて、DNBを生成した。
【0443】
【0444】
(2)その後、DNBを、BGISEQ 500高処理量シーケンシング試薬セット(SE50)(MGIから購入、カタログ番号:1000012551)に記載された方法に従って、BGISEQ 500シーケンシングチップにロードした。
【0445】
シーケンシングチップにおいて、BGISEQ500 PE50シーケンシングキット(MGIから購入、カタログ番号:1000012554)のMDA試薬を添加し、37℃で30分間インキュベートし、次いで、チップを5X SSCで洗浄した。
【0446】
(3)チップ表面をN3-PEG3500-NHS(Sigmaから購入した修飾試薬、カタログ番号:JKA5086)と共に30分間インキュベートして、N3-PEG3500-NHSで修飾した後、チップ配列合成のためのDBCO修飾プライマー(配列は、配列番号3に示された)を注入し、室温で一晩インキュベートした。
【0447】
3.位置配列情報のシーケンシング及び解読を実施した。DNBを、BGISEQ-500高処理量シーケンシング試薬セットの使用説明書に従ってシーケンシングし、SEリードの長さを25bpと設定した。シーケンシングプロセスの際に上記のDBCO修飾プライマーを伸長して、位置配列情報を含む鎖を得、この鎖を解読して、DNBに対応する位置配列情報を得た。
【0448】
4.シーケンシングプロセスの間のステップ3の際に得られた鎖の継続的伸長:上記のステップ3に基づいて、15塩基のcPAS反応を継続して、チップ配列を得た(コンセンサス配列X1(配列番号4)、タグ配列Y及びコンセンサス配列X2(配列番号5)から構成される、配列番号8)。
【0449】
5.制限エンドヌクレアーゼHaeIIIを使用して、DNBを切り出し、DNBの残存断片を高温での変性によって除去し、その結果、ステップ4においてチップ配列のみがチップ上に残った。
【0450】
6.チップ切断:調製したチップを、いくつかの小片に切断した。小片のサイズは、実験上の必要性に従って調整した。チップは、後の使用のために4℃のpH8.0の50mMのtris緩衝液に浸漬した。
【0451】
II.シングルセル固定
1.およそ3000個のHek293細胞を採取し、従来法に従って細胞懸濁液(PBS溶液)に調製した。
【0452】
2.調製されたチップを取り出し、ポリリジンを用いて30分間処理し、次いで、30分間乾燥させた。
【0453】
3.細胞懸濁液を処理されたチップに滴下し、室温で30分間インキュベートし、次いで、チップを-20℃の凍結メタノールで30分間固定した。
【0454】
4.細胞を、0.1%triton-100を使用して15分間処理することによって透過処理した。
【0455】
III.cDNAのインサイツ合成
1.cDNAの合成
200μLの、表1-3に示された逆転写酵素反応系を調製し、反応溶液をチップにそれを完全に覆うように添加して、42℃で90分~180分間反応させた。cDNAの合成を、逆転写酵素を用い、mRNAを鋳型として使用し、ポリT(プライマーの配列は配列番号6に示され、コンセンサス配列A(CA)、UMI配列(NNNNNNNNNN)及びポリT配列から構成されていた)を含むプライマーを使用して実施し、CCCオーバーハングをcDNA鎖の3’末端に付加した。TSO配列(コンセンサス配列B(CB)及びGGGオーバーハングから構成された配列番号7)の、cDNA鎖とのハイブリダイゼーション及びアニーリング(TSO配列の末端のGGGとcDNA鎖のCCCオーバーハングの間の相補的対形成を介した)後、逆転写酵素を用い、コンセンサス配列Bを鋳型として使用してcDNA鎖を継続的に伸長し、その結果、cDNAの3’末端がc(CB)タグ(コンセンサス配列Bの相補配列)を用いて標識された。
【0456】
【0457】
合成されたcDNA鎖は、以下の配列構造から構成されていた:逆転写プライマーの配列(配列番号6)-cDNA配列-c(TSO)の配列(配列番号7の相補配列)。
【0458】
2.シーケンシングチップのチップ配列のcDNAとのライゲーション
cDNAが合成された後、チップを5X SSCで2回洗浄し、1mlの、表1-4に示される反応系を調製し、その適切な容積をチップに注入して、チップが以下のライゲーション反応溶液で満たされることを確実にし、反応を室温で30分間実施した。
【0459】
上記の反応によって、cDNA配列の5’末端をシングルセルシーケンシングチップのチップ配列の3’末端とライゲートして(すなわち、cDNA配列の5’末端を、チップ配列で標識した)、位置情報(すなわち、タグ配列Y)を含む新規核酸分子を得ることができ、これは、以下の配列構造から構成されていた:チップ配列(配列番号8)-逆転写プライマーの配列(配列番号6)-cDNA配列-c(TSO)の配列(配列番号7の相補配列)。
【0460】
反応が完了した後、チップを5X SSCで洗浄した。200μLのBst重合反応溶液(NEB、M0275S)を使用説明書に従って調製し、チップに注入し、65℃で60分間反応させて、位置情報を含む一本鎖核酸分子を得た。
【0461】
【0462】
3.cDNAの放出
75μLの80mM KOHを使用してチップを室温で5分間インキュベートし、得られた液体を収集し、次いで、10μLの、1M、pH8.0のTris-HClを添加して、cDNA回収溶液を中和した。
【0463】
4.cDNAの増幅
200μLの、表1-5に示されるような反応系を調製し、それぞれ、3’-末端トランスクリプトームシーケンシング及びライブラリー構築のために使用し、PCRのために2つのチューブに分けた:
【0464】
【0465】
上記の反応系をPCR装置に入れ、反応プログラムを以下のとおりに設定した:95℃で3分間、11サイクル(98℃で20秒間、58℃で20秒間、72℃で3分間)、72℃で5分間、4℃で∞保持。反応が完了した後、XPビーズ(AMPureから購入)を磁性ビーズベースの精製及び回収のために使用した。dsDNA濃度をQubit機器を使用して決定し、2100バイオアナライザー(Agilentから購入)を使用して、cDNA増幅産物の長さ分布を検出した。
【0466】
IV.cDNAライブラリーの構築及びシーケンシング
1.Tn5タグメンテーション
cDNA濃度に従って、20ngのcDNA(ステップIIIで得られた)を取り出し、0.5μmのTn5トランスポザーゼ及び対応する緩衝液(BGIから購入、カタログ番号:10000028493、Tn5トランスポザーゼをコーティングする方法は、Stereomicsライブラリー調製キット-S1の操作に準じた)を添加し、十分に混合して、20μLの反応系を調製し、反応を55℃で10分間実施し、次いで、5μLの0.1%SDSを添加し、室温で5分間十分に混合して、Tn5タグメンテーションを終結させた。
【0467】
2.PCR増幅
100μLの以下の反応系を調製した:
【表1-6】
【0468】
混合後、PCR装置に入れ、プログラムを以下のとおりに設定した:95℃で3分間、11サイクル(98℃で20秒間、58℃で20秒間、72℃で3分間)、72℃で5分間、4℃∞保持。反応が完了した後、XPビーズを磁性ビーズベースの精製及び回収のために使用した。dsDNA濃度をQubit機器を使用して決定した。
【0469】
3.シーケンシング
80fmolの蒸気の増幅産物を取り出し、DNBを調製するために使用した。40μLの以下の反応系を調製した:
【表1-7】
上記の反応容積を反応のためにPCR装置に入れ、反応条件は以下のとおりとした:95℃で3分間、40℃で3分間。反応が完了した後、得られた反応溶液を氷上に置き、DNBSEQシーケンシングキットのDNB調製に必要な40μLの混合酵素I、2μLの混合酵素II、1μLのATP及び0.1μLのT4リガーゼを添加し、十分に混合し、上記の反応系をPCR装置に入れ、30℃で20分間反応させてDNBを形成した。
【0470】
MGISEQ 2000をサポートするPE50キットに記載される方法に従って、DNBをMGISEQ 2000のシーケンシングチップにロードし、関連使用説明書に従ってシーケンシングを実施した。PE50シーケンシングモデルを選択し、これでは、第1鎖のシーケンシングがシーケンシングの2つのセクションに分けられる、すなわち、25bpのシーケンシングを最初に実施し、続いて、15サイクルの暗所反応、次いで、10bpのUMI配列のシーケンシングを実施し、シーケンシングのための50bpを設定することによって第2鎖のシーケンシングを実施した。
【0471】
V.データ分析:
1.データ分析は、ウェブサイトhttp://stereomap.cngb.org/Stereo-Draftsman/report/indexにログインし、ウェブサイトの操作ガイドに従うことによって行った。PE50シーケンシング(第1鎖シーケンシングから)において得られたリード1配列について、チップ調製プロセスの際に最初の25bpの配列を25bpの位置情報とアラインし、チップの位置情報と十分にアラインされたリードを保持し、対応するチップ位置にマッピングした。チップ位置にマッピングされたリードに対応するリード2(第2鎖シーケンシングから)を見出し、リード2をヒトゲノムとアラインし、UMI情報に基づいて重複リードを除去し、このようにして、各細胞から捕捉された遺伝子及び遺伝子あたりのリード数を得た。
【0472】
2.チップの一部を取り出し、その分析結果を
図12及び
図13に示し、
図13は、
図12におけるセルの拡大図の一部を示す。図から、チップにシングルセルが散在していることを見ることができた。セルの1つを丸で囲むと、セルの捕捉された遺伝子の平均数及びUMI数を得ることができた。
【0473】
実施例2
この実施例に関与する配列情報を、表2-1及び表1-1に示した:
【0474】
【0475】
I.捕捉チップの調製
1.位置情報を含むDNAライブラリー配列を設計し、合成し、そのヌクレオチド配列を配列番号1に示した。配列合成を実施するためにBeijing Liuhe BGI Co.,Ltd.に委託した。
【0476】
2.ライブラリーのインサイツ増幅
(1)DNAナノボール(DNB)の調製:40μLの、表2-2で示されるような反応系を調製し、80fmolの位置配列情報を含むDNAライブラリー配列を添加した。
【0477】
【0478】
上記の反応容積を反応のためにPCR装置に入れ、反応条件を以下のとおりとした:95℃で3分間、40℃で3分間。反応が完了した後、得られた反応溶液を氷上に置き、DNBSEQシーケンシングキットのDNB調製に必要な40μLの混合酵素I、2μLの混合酵素II、1μLのATP(100mMの保存溶液、サーモフィッシャー)及び0.1μLのT4リガーゼ(NEBから購入、カタログ番号:M0202S)を添加し、十分に混合し、上記の反応系をPCR装置に入れ、30°Cで20分間反応させてDNBを形成した。BGISEQ-500高処理量シーケンシング試薬セット(SE50)に記載される方法に従って、DNBをSEQ 500シーケンシングチップにロードした。
【0479】
(2)PE50シーケンシングキット(MGIから購入、カタログ番号:1000012554)のMDA試薬をシーケンシングチップに添加し、37℃で30分間インキュベートし、次いで、チップを5X SSCで洗浄した。
【0480】
(3)チップ表面をN3-PEG3500-NHS(Sigmaから購入、カタログ番号:JKA5086)と共にインキュベートして、N3-PEG3500-NHSで修飾し、30分間インキュベートした後、それにDBCO修飾プライマー(配列番号3)を注入し、室温で一晩インキュベートした。
【0481】
3.位置配列情報のシーケンシング及び解読を実施した。DNBを、BGISEQ-500高処理量シーケンシング試薬セットの使用説明書に従ってシーケンシングし、SEリードの長さを25bpと設定した。シーケンシングプロセスの際に上記のDBCO修飾プライマーを伸長して、位置配列情報を含む鎖を得、この鎖を解読して、DNBに対応する位置配列情報を得た。
【0482】
4.UMIを有するプローブ捕捉配列(配列番号15、その5’末端にリン酸化修飾を有する)を合成するためにLiuhe BGIに委託し、T4リガーゼを使用し、以下の反応系に従って、捕捉配列をシーケンシングプロセスの際に得られた鎖とライゲートした。ライゲーション反応系は、表2-3に示した。
【0483】
【0484】
5.制限エンドヌクレアーゼHaeIII及びMboIを使用してDNBを切り出し、DNBの残存断片を高温での変性によって除去し、その結果、位置情報及び捕捉配列を含むプローブのみがチップに残った。(その配列は、配列番号16に示された):
CTGCTGACGTACTGAGAGGCATGGCGACCTTATCAGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTGTCTTCCTAAGACNNNNNNNNNNTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTV、ここで、NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNは、位置情報を表した。
【0485】
6.チップ切断:調製したチップを、いくつかの小片に切断した。小片のサイズは、実験上の必要性に従って調整した。チップは、後の使用のために4℃のpH8.0の50mMのtris緩衝液に浸漬した。
【0486】
II.シングルセル固定
1.およそ3000個のHek293細胞を採取し、従来法に従って細胞懸濁液(PBS溶液)に調製した。
【0487】
2.調製されたチップを取り出し、ポリリジンを用いて30分間処理し、次いで、30分間乾燥させた。
【0488】
3.細胞懸濁液を処理されたチップに滴下し、室温で30分間インキュベートし、次いで、チップを-20℃の凍結メタノールで30分間固定した。
【0489】
4.細胞を、0.1%triton-100を使用して15分間処理することによって透過処理した。
【0490】
III.cDNAのインサイツ合成
1.cDNAの合成。チップを室温で5X SSCで2回洗浄した。200μLの、表2-4に示されるような逆転写酵素反応系を調製し、反応溶液を、細胞を含むチップにそれを完全に覆うように添加し、反応を42℃で90分~180分間を行い、チップのプローブのポリTをプライマーとして使用して、cDNAを合成し、cDNAの相補鎖の合成のためにcDNAの3’末端をTSOタグで標識した。cDNA鎖は以下のとおりであった:
CTGCTGACGTACTGAGAGGCATGGCGACCTTATCAGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTGTCTTCcTAAGACNNNNNNNNTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTV(cDNA)CCCGCCTCTCAGTACGTCAGCAG、RNアーゼH処理を30分間実施して、RNAを消化した。
【0491】
【0492】
3.cDNA放出。75μLの200mM KOHを使用して、チップを室温で5分間インキュベートし、得られた液体を収集し、次いで、15μLの1M、pH8.0のTris-HClを添加して、cDNA回収溶液を中和した。
【0493】
4.cDNA増幅。200μLの、表2-5に示されるような反応系を、それぞれ、3’及び5’トランスクリプトームライブラリーの構築のために調製し、それらを各々、PCRのために2つのチューブに分けた:
【0494】
【0495】
上記の反応系をPCR装置に入れ、反応プログラムを以下のとおりに設定した:95℃で3分間、11サイクル(98℃で20秒間、58℃で20秒間、72℃で3分間)、72℃で5分間、4℃で∞保持。反応が完了した後、XPビーズを磁性ビーズベースの精製及び回収のために使用した。dsDNA濃度をQubitキットを使用して決定し、2100バイオアナライザー(Agilentから購入)を使用して、cDNA断片分布を検出した。検出結果は、
図14に示されており、cDNA長が予測された。
【0496】
IV.cDNAライブラリーのライブラリー構築及びシーケンシング
1.Tn5を用いる切断及びタグメンテーション。cDNA濃度に従って、20ngのcDNAを取り出し、0.5μMのTn5トランスポザーゼ(配列番号19に示されるような第1鎖及び配列番号20に示されるような第2鎖でコーティングされた)及び対応する緩衝液(BGIから購入、カタログ番号:10000028493、Tn5トランスポザーゼをコーティングする方法は、Stereomicsライブラリー調製キットの操作に準じた)を添加し、十分に混合して、20μLの反応系を調製し、反応を55℃で10分間実施し、次いで、5μLの0.1%SDSを添加し、室温で5分間十分に混合して、切断及びタグメンテーションを終結させた。
【0497】
2.PCR増幅。100μLの、表2-6に示されるような反応系を調製した:
【表2-6】
【0498】
混合後、PCR装置にロードし、以下のプログラムを設定した:95℃で3分間、11サイクル(98℃で20秒間、58℃で20秒間、72℃で3分間)、72℃で5分間、4℃∞保持。反応が完了した後、XPビーズを磁性ビーズベースの精製及び回収のために使用した。dsDNA濃度をQubitキットを使用して決定した。
【0499】
3.シーケンシング。80fmolの上記の増幅産物を取り出してDNBを調製した。40μLの、表2-7に示されるような反応系を調製した:
【表2-7】
【0500】
上記の反応容積を反応のためにPCR装置に入れ、反応条件は以下のとおりとした:95℃で3分間、40℃で3分間。反応が完了した後、得られた反応溶液を氷上に置き、DNBSEQシーケンシングキットのDNB調製に必要な40μLの混合酵素I、2μLの混合酵素II、1μLのATP(100mMの保存溶液、サーモフィッシャー)及び0.1μLのT4リガーゼを添加し、十分に混合し、次いで、上記の反応系をPCR装置に入れ、30℃で20分間反応させてDNBを形成した。
【0501】
MGISEQ 2000をサポートするPE50キットに記載される方法に従って、DNBをMGISEQ 2000のシーケンシングチップにロードし、関連使用説明書に従ってシーケンシングを実施した。PE50シーケンシングモデルを選択し、これでは、第1鎖のシーケンシングがシーケンシングの2つのセクションに分けられる、すなわち、25bpのシーケンシングを最初に実施し、続いて、15サイクルの暗所反応、次いで、10bpのUMI配列のシーケンシングを実施し、シーケンシングのための50bpを設定することによって第2鎖のシーケンシングを実施した。
【0502】
V.データ分析:
1.データ分析は、ウェブサイトhttp://stereomap.cngb.org/Stereo-Draftsman/report/indexにログインし、ウェブサイトの操作ガイドに従うことによって行った。PE50におけるリード1配列について、チップ調製プロセスの際に最初の25bpを25bpの位置情報とアラインし、チップの位置情報と十分にアラインされたリードを保持し、対応するチップ位置にマッピングした。チップ位置にマッピングされたリードに対応するリード2を、ヒトゲノムとアラインし、UMI情報に基づいて重複リードを除去し、このようにして、各細胞から捕捉された遺伝子及び遺伝子あたりのリード数を得た。
【0503】
2.分析結果を
図15及び
図16に示し、チップの一部を取り出し、ここで、多数のシングルセルがチップに散在していることを見ることができた。セルの1つを丸で囲むと、セルの捕捉された遺伝子の平均数及びUMI数を得ることができた。
【0504】
本出願の特定の実施形態が詳細に記載されているが、当業者は、開示されたすべての技術に基づいて詳細に、種々の改変及び変更を行うことができ、これらの変更はすべて本出願の保護範囲内であることを理解するであろう。本出願の全範囲は、添付の特許請求の範囲及び任意のその均等物によって与えられる。
【配列表】
【国際調査報告】