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特表2024-546191テトラヒドロシクロヘプタインダゾール化合物の塩形、結晶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】テトラヒドロシクロヘプタインダゾール化合物の塩形、結晶
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61K31/497
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539514
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2022142948
(87)【国際公開番号】W WO2023125700
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111631128.4
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】524244317
【氏名又は名称】深▲セン▼揚歴医薬技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アン,ケ
(72)【発明者】
【氏名】チン,スフィ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC48
4C086GA07
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA11
4C086ZB26
(57)【要約】
一連のテトラヒドロシクロヘプタインダゾール化合物の塩形、結晶及びその製造方法を開示し、具体的には、関連疾患を治療する医薬の製造における式(I)で表される化合物の塩形及び結晶の使用を開示する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)で表される化合物。
【化1】
【請求項2】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(III)で表される化合物のA型結晶。
【化2】
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項4】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項5】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項6】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項7】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項8】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、16.42±0.20°、17.00±0.20°、17.66±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.06±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、23.32±0.20°、23.86±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°、26.68±0.20°、28.50±0.20°、29.54±0.20°、31.58±0.20°、33.20±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項9】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.181°、5.920°、8.119°、12.299°、15.638°、16.418°、17.002°、17.660°、18.261°、19.539°、20.061°、20.919°、22.080°、22.621°、23.320°、23.861°、24.700°、25.483°、26.681°、28.498°、29.542°、31.578°、33.198°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2~8のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項10】
粉末X線回折スペクトルが基本的に図1に示される通りであることを特徴とする、請求項2~8のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項11】
熱重量分析曲線は150.000±3℃において重量が0.198%減少し、240.000±3℃において重量が10.880%減少することを特徴とする、請求項2~9のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項12】
熱重量分析曲線スペクトルが図2で示される通りであることを特徴とする、請求項11に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項13】
示差走査熱量曲線が175.87±5℃、214.68±5℃及び292.11±5℃において吸熱ピークの開始点を有することを特徴とする、請求項2~9のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項14】
示差走査熱量曲線が図3で示される通りであることを特徴とする、請求項13に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項15】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:14.24±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のB型結晶。
【化3】
【請求項16】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.50±0.20°、14.24±0.20°、15.80±0.20°、18.18±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°、25.30±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項15に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項17】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.50±0.20°、7.86±0.20°、14.24±0.20°、15.80±0.20°、16.92±0.20°、18.18±0.20°、19.66±0.20°、20.76±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°、25.30±0.20°、26.12±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項16に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項18】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.499°、7.860°、9.739°、10.257°、11.862°、12.255°、13.021°、14.240°、15.417°、15.797°、16.541°、16.920°、17.558°、18.182°、18.439°、18.702°、19.660°、20.381°、20.761°、21.494°、21.647°、22.180°、23.781°、24.099°、24.498°、25.304°、26.118°、26.821°、27.239°、28.579°、28.924°、29.302°、29.881°、30.278°、30.681°、30.938°、31.764°、32.978°、34.260°、35.101°、35.419°、35.761°、36.597°、37.083°、37.540°、38.423°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項17に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項19】
粉末X線回折スペクトルが基本的に図4に示される通りであることを特徴とする、請求項15~18のいずれか一項に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項20】
熱重量分析曲線スペクトルは200.000±3℃において重量が0.085%減少することを特徴とする、請求項18~19のいずれか一項に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項21】
熱重量分析曲線スペクトルが図5に示される通りであることを特徴とする、請求項20に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項22】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.90±0.20°、15.82±0.20°、22.26±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のC型結晶。
【化4】
【請求項23】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.90±0.20°、9.82±0.20°、15.82±0.20°、17.48±0.20°、18.64±0.20°、22.26±0.20°、23.74±0.20°、29.36±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項22に記載の式(I)で表される化合物のC型結晶。
【請求項24】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:30±0.20°、4.90±0.20°、9.82±0.20°、11.06±0.20°、14.20±0.20°、15.82±0.20°、17.48±0.20°、18.64±0.20°、22.26±0.20°、23.74±0.20°、24.46±0.20°、29.36±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項23に記載の式(I)で表される化合物のC型結晶。
【請求項25】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:3.301°、4.901°、7.898°、9.319°、9.819°、11.061°、14.200°、14.721°、15.197°、15.821°、16.457°、17.481°、18.101°、18.642°、19.762°、20.961°、21.382°、22.259°、23.740°、24.461°、25.761°、26.295°、26.943°、27.518°、29.358°、30.075°、31.317°、31.916°、34.598°、37.661°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項24に記載の式(I)で表される化合物のC型結晶。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は下記の優先権を主張する:
CN202111631128.4、出願日は2021年12月28日である。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、テトラヒドロシクロヘプタインダゾール化合物の塩形、結晶及びその製造方法に関し、具体的には、関連疾患を治療する医薬の製造における式(I)で表される化合物の塩形及び結晶の使用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
WHOの統計によると、乳癌は世界で2番目に多い癌になり、女性の間で最も罹患率の高い癌である。長年の研究の結果、乳癌の発症におけるエストロゲン-エストロゲン受容体シグナル伝達経路の役割が特定され、エストロゲン受容体(ER)は乳癌の最も重要なバイオマーカーに発展した。エストロゲン受容体発現を判別指標として使用すると、乳癌はエストロゲン受容体陽性乳癌とエストロゲン受容体陰性乳癌に分類でき、その中で、エストロゲン受容体陽性乳癌は乳癌患者全体の70%以上を占める。
【0004】
乳癌細胞のエストロゲン-エストロゲン受容体シグナル伝達経路を標的とする内分泌療法(Endocrine Therapy、ET)は、有害作用が最小限で有効性が高いため、エストロゲン受容体陽性乳癌の治療の第一選択となっている。内分泌療法の第一選択療法は主にアロマターゼ阻害剤(Aromatase inhibitor、AI)である。アロマターゼ阻害剤レトロゾールはエストロゲン受容体陽性乳癌の治療に良好な効果を示しているが、2種類の医薬の使用によりアロマターゼ阻害剤に対するエストロゲン受容体陽性乳癌の耐性の問題がますます有意になってきている。数多くの研究から、アロマターゼ阻害剤に対しては、それに応じてエストロゲン受容体が変異することが示されており、主にY537X変異では、変異したエストロゲン受容体がエストロゲン非存在下でも作動性立体構造を維持し、乳癌細胞の増殖を促進する受容体として機能し続けることができる。フルベストラント(Fulvestrant)は市販されている唯一の選択的エストロゲン受容体ダウンモジュレーターであり、ホルモン療法に抵抗性のある乳癌の治療において良好な効果を示している。しかし、フルベストラントはAI耐性ER変異乳癌の治療において多くの問題を抱えている。まず、その薬物動態学的特性が乏しいため、フルベストラントは経口バイオアベイラビリティーがほぼゼロであると同時に、フルベストラントは高い血液クリアランスを有する。上記の2つの理由により、前記医薬は筋肉注射によってのみ投与できる。しかし、その強力な親油性構造により、筋肉内投与されてもフルベストラントは組織分布に重大な問題があり、その臨床症状としては、フルベストラントで治療を受けた乳癌患者の約50%のみが臨床反応を示した。また、薬物動態学的特性が不十分なため、現在承認されている用量のフルベストラントでは、組織濃度ではER、特に変異ERの完全な分解が達成されず、この治療スキームは、AI耐性ER変異乳癌には最適ではない。従って、より優れた薬物動態特性を備えたER変異乳癌に対する医薬の開発は、依然として満たされていない医療ニーズである。
【0005】
【化1】
【0006】
RadiusとMenarini社によって開発された選択的エストロゲン受容体分解剤であるElacestrant(RAD1901,Garner, F. et al., Anticancer Drugs, 2015, 26, 948-956.)は、第III相臨床試験において、特にESR1突然変異患者において、標準治療よりも優れた無増悪生存率を示し、現在FDAにNDA申請が提出されている。WO2018/077630A1は、AstraZenecaが現在開発中のER陽性乳癌の治療に使用される新世代の非共有結合性エストロゲン受容体分解剤であるCamizestrant(AZD9833)を報告し、ER陽性HER2陰性乳癌を治療するための当該分子の第III相臨床試験が進行中である。WO2019/245974A1及びWO2020/049150A1は、それぞれGenetech及びSanofiが現在開発中の新世代の非共有結合性エストロゲン受容体分解剤であるGiredestrant(GDC-9545)及びAmcenestrant(SAR439859)を報告し、ここで、Giredestrantは、臨床第III相試験段階にあり、その単剤の臨床第II相では既存の治療法と比較して利点を示さなく、Amcenestrantも臨床第II相では利点を示さず、現在研究を中止すると発表した。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、式(III)で表される化合物を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】
本発明は更に、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(III)で表される化合物のA型結晶を提供する。
【0010】
【化3】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、16.42±0.20°、17.00±0.20°、17.66±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.06±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、23.32±0.20°、23.86±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°、26.68±0.20°、28.50±0.20°、29.54±0.20°、31.58±0.20°、33.20±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.181°、5.920°、8.119°、12.299°、15.638°、16.418°、17.002°、17.660°、18.261°、19.539°、20.061°、20.919°、22.080°、22.621°、23.320°、23.861°、24.700°、25.483°、26.681°、28.498°、29.542°、31.578°、33.198°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが基本的に図1に示される通りであることを特徴とする。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、前記A型結晶のXRPDスペクトル解析データは表1に示される通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:及び/又は5.18±0.20°、及び/又は5.92±0.20°、及び/又は8.12±0.20°、及び/又は12.30±0.20°、及び/又は15.64±0.20°、及び/又は16.42±0.20°、及び/又は17.00±0.20°、及び/又は17.66±0.20°、及び/又は18.26±0.20°、及び/又は19.54±0.20°、及び/又は20.06±0.20°、及び/又は20.92±0.20°、及び/又は22.08±0.20°、及び/又は22.62±0.20°、及び/又は23.32±0.20°、及び/又は23.86±0.20°、及び/又は24.70±0.20°、及び/又は25.48±0.20°、及び/又は26.68±0.20°、及び/又は28.50±0.20°、及び/又は29.54±0.20°、及び/又は31.58±0.20°、及び/又は33.20±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その熱重量分析曲線が150.000±3℃において重量が0.198%減少し、240.000±3℃において重量が10.880%減少することを特徴とする。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その熱重量分析曲線が図2に示される通りであることを特徴とする。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その差走査熱量曲線が175.87±5℃、214.68±5℃及び292.11±5℃において吸熱ピークの開始点を有することを特徴とする。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(III)で表される化合物のA型結晶は、その差走査熱量曲線が図3に示される通りであることを特徴とする。
【0026】
本発明は更に、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:14.24±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のB型結晶を提供する。
【0027】
【化4】
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.50±0.20°、14.24±0.20°、15.80±0.20°、18.18±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°、25.30±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.50±0.20°、7.86±0.20°、14.24±0.20°、15.80±0.20°、16.92±0.20°、18.18±0.20°、19.66±0.20°、20.76±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°、25.30±0.20°、26.12±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.499°、7.860°、9.739°、10.257°、11.862°、12.255°、13.021°、14.240°、15.417°、15.797°、16.541°、16.920°、17.558°、18.182°、18.439°、18.702°、19.660°、20.381°、20.761°、21.494°、21.647°、22.180°、23.781°、24.099°、24.498°、25.304°、26.118°、26.821°、27.239°、28.579°、28.924°、29.302°、29.881°、30.278°、30.681°、30.938°、31.764°、32.978°、34.260°、35.101°、35.419°、35.761°、36.597°、37.083°、37.540°、38.423°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、前記B型結晶のXRPDスペクトル分析データは表2に示される通りである。
【0032】
【表2】
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:及び/又は6.50±0.20°、及び/又は7.86±0.20°、及び/又は9.74±0.20°、及び/又は10.26±0.20°、及び/又は11.86±0.20°、及び/又は12.26±0.20°、及び/又は13.02±0.20°、及び/又は14.24±0.20°、及び/又は15.42±0.20°、及び/又は15.80±0.20°、及び/又は16.54±0.20°、及び/又は16.92±0.20°、及び/又は17.56±0.20°、及び/又は18.18±0.20°、及び/又は18.44±0.20°、及び/又は18.70±0.20°、及び/又は19.66±0.20°、及び/又は20.38±0.20°、及び/又は20.76±0.20°、及び/又は21.49±0.20°、及び/又は21.65±0.20°、及び/又は22.18±0.20°、及び/又は23.78±0.20°、及び/又は24.10±0.20°、及び/又は24.50±0.20°、及び/又は25.30±0.20°、及び/又は26.12±0.20°、及び/又は26.82±0.20°、及び/又は27.24±0.20°、及び/又は28.58±0.20°、及び/又は28.92±0.20°、及び/又は29.30±0.20°、及び/又は29.88±0.20°、及び/又は30.28±0.20°、及び/又は30.68±0.20°、及び/又は30.94±0.20°、及び/又は31.76±0.20°、及び/又は32.98±0.20°、及び/又は34.26±0.20°、及び/又は35.10±0.20°、及び/又は35.42±0.20°、及び/又は35.76±0.20°、及び/又は36.60±0.20°、及び/又は37.08±0.20°、及び/又は37.54±0.20°、及び/又は38.42±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが基本的に図4に示される通りであることを特徴とする。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その熱重量分析曲線が200.000±3℃において重量が0.085%減少することを特徴とする。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その熱重量分析曲線が図5に示される通りであることを特徴とする。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その差走査熱量曲線が215.60±3℃において吸熱ピークを有することを特徴とする。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(II)で表される化合物のB型結晶は、その差走査熱量曲線が図6に示される通りであることを特徴とする。
【0039】
本発明は更に、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.90±0.20°、15.82±0.20°、22.26±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のC型結晶を提供する。
【0040】
【化5】
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.90±0.20°、9.82±0.20°、15.82±0.20°、17.48±0.20°、18.64±0.20°、22.26±0.20°、23.74±0.20°、29.36±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:30±0.20°、4.90±0.20°、9.82±0.20°、11.06±0.20°、14.20±0.20°、15.82±0.20°、17.48±0.20°、18.64±0.20°、22.26±0.20°、23.74±0.20°、24.46±0.20°、29.36±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:3.301°、4.901°、7.898°、9.319°、9.819°、11.061°、14.200°、14.721°、15.197°、15.821°、16.457°、17.481°、18.101°、18.642°、19.762°、20.961°、21.382°、22.259°、23.740°、24.461°、25.761°、26.295°、26.943°、27.518°、29.358°、30.075°、31.317°、31.916°、34.598°、37.661°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、前記C型結晶のXRPDスペクトル分析データは表3に示される通りである。
【0045】
【表3】
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:及び/又は3.30±0.20°、及び/又は4.90±0.20°、及び/又は7.90±0.20°、及び/又は9.32±0.20°、及び/又は9.82±0.20°、及び/又は11.06±0.20°、及び/又は14.20±0.20°、及び/又は14.72±0.20°、及び/又は15.20±0.20°、及び/又は15.82±0.20°、及び/又は16.46±0.20°、及び/又は17.48±0.20°、及び/又は18.10±0.20°、及び/又は18.64±0.20°、及び/又は19.76±0.20°、及び/又は20.96±0.20°、及び/又は21.38±0.20°、及び/又は22.26±0.20°、及び/又は23.74±0.20°、及び/又は24.46±0.20°、及び/又は25.76±0.20°、及び/又は26.30±0.20°、及び/又は26.94±0.20°、及び/又は27.52±0.20°、及び/又は29.36±0.20°、及び/又は30.08±0.20°、及び/又は31.32±0.20°、及び/又は31.92±0.20°、及び/又は34.60±0.20°、及び/又は37.66±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その粉末X線回折スペクトルが基本的に図7に示される通りであることを特徴とする。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その差走査熱量曲線が124.14±5℃において吸熱ピークの開始点を有し、199.34±5℃において発熱ピークの開始点を有し、278.70±5℃において発熱ピークの開始点を有することを特徴とする。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式(I)で表される化合物のC型結晶は、その差走査熱量曲線が図8に示される通りであることを特徴とする。
【0050】
本発明は更に、その結晶構造が図9に示される通りであることを特徴とする、前記式(II)で表される化合物の結晶を提供する。
【0051】
本発明は更に、ESR1陽性腫瘍を治療するための医薬の製造における、上記化合物及びその結晶の使用を提供する。
【0052】
〔技術効果〕
本発明は、化合物に対して良好なPK特性及び経口吸收率を有し、その結晶も安定である。
【0053】
本発明の化合物は、野生型及び突然変異型ESR1陽性腫瘍モデルに対して優れた活性を示し、様々な種類のESR1陽性細胞に対して優れた有効性を示す。これらは、ER/HER2の局所進行性又は転移性乳癌患者に対して、より効果的な治療を提供する可能性がある。
【0054】
〔定義及び説明〕
本発明は下記の略語を使用する。DMSOはジメチルスルホキシドを表し、TsOHはp-トルエンスルホン酸を表し、PBSは0.9%の塩化ナトリウムリン酸緩衝液を表し、THPはテトラヒドロピラニルを表し、Nfはペルフルオロ-1-n-ブチルを表す。
【0055】
Weight lossは重量減少を表し、Weight percent lossは重量減少百分率を表し、Residueは残留物を表し、Residue percentは残存率を表し、Integralは発熱(吸熱)総量を表し、Normalizedは標準発熱(吸熱)量を表し、Peakはピーク値を表し、Onsetは初期融解温度を表し、Endsetは最終融解温度を表し、Left limitは左境界の温度を表し、Right limitは右境界の温度を表す。
【0056】
化合物は、当分野の通常の命名原則に従って、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアを使用して命名され、市販の化合物はサプライヤーのカタログで命名される。
【0057】
本発明の粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)方法
計器モデル:ブルカーD8 advance X-線回折計
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
【0058】
詳細なXRPDパラメータは以下通りである:
X線管:Cu、kα、(λ=1.54056Å)。
【0059】
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
検出器スリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:4~40deg
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
試料パン回転数:15rpm
本発明の示差走査熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器モデル:TA Q2000示差走査熱量計
測定方法:試料(~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に取って測定を実行し、50mL/min Nの条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を30℃(室温)から300℃(又は350℃)まで加熱する。
【0060】
本発明の熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)方法
計器モデル:TA Q5000IR熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に取って測定を実行し、25mL/min Nの条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から350℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
【0061】
本発明の単結晶回折方法
試料培養:2mgの式(II)で表される化合物を室温の条件下で、400μLのメタノール/酢酸エチル(1:1)に溶解させ、試料溶液を1mLの半密閉試料バイアルに入れ、室温の条件下でゆっくりと揮発させ、翌日に結晶を得、結晶図は図9に示される通りである。
【0062】
計器モデル:Rigaku Oxford Diffraction XtaLAB Synergy-S four-circle diffractometer equipped with a HyPix-6000HE area detector。
【0063】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕式(III)で表される化合物のA型結晶のXRPDパターンである。
【0064】
図2〕式(III)で表される化合物のA型結晶のTGAパターンである。
【0065】
図3〕式(III)で表される化合物のA型結晶のDSCパターンである。
【0066】
図4〕式(II)で表される化合物のB型結晶のXRPDパターンである。
【0067】
図5〕式(II)で表される化合物のB型結晶のTGAパターンである。
【0068】
図6〕式(II)で表される化合物のB型結晶のDSCパターンである。
【0069】
図7〕式(I)で表される化合物のC型結晶のXRPDパターンである。
【0070】
図8〕式(I)で表される化合物のC型結晶のDSCパターンである。
【0071】
図9〕式(II)で表される化合物の単結晶構造の模式図である。
【0072】
図10〕試験化合物を投与した後のヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおける式(I)で表される化合物のC型結晶の腫瘍増殖曲線である。
【0073】
図11〕試験化合物を投与した後のヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおけるフルベストラント及びパルボシクリブと比較した式(I)で表される化合物C型結晶の腫瘍増殖曲線である。
【0074】
図12〕試験化合物の投与後のヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおけるパルボシクリブと組み合わせた式(I)で表される化合物のC型結晶の腫瘍増殖曲線である。
【0075】
図13〕式(I)で表される化合物のC型結晶の投与過程におけるヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
【0076】
図14〕フルベストラント及びパルボシクリブと比較した式(I)で表される化合物のC型結晶の投与過程におけるヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
【0077】
図15〕パルボシクリブと組み合わせた式(I)で表される化合物のC型結晶の投与過程におけるヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
【0078】
図16〕ESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおける式(II)で表される化合物のB型結晶の腫瘍増殖曲線である。
【0079】
図17〕ESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおけるパルボシクリブと組み合わせた式(II)で表される化合物のB型結晶の腫瘍増殖曲線である。
【0080】
図18〕式(II)で表される化合物のB型結晶の投与過程におけるESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
【0081】
図19〕パルボシクリブと組み合わせた式(II)で表される化合物のB型結晶の投与過程におけるESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
【0082】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の不利な制限を意味するものではない。本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることは明らかである。
【0083】
実施例1:式(I)で表される化合物の製造
中間体化合物1-11の製造:
【0084】
【化6】
【0085】
ステップA:25℃で、撹拌中の1-13(100.0g、420.38mmol)のN-メチルピロリドン(1000ml)溶液に順次にトリエチルアミン(87.77ml、630.57mmol)及び1-14(78.30g、420.38mmol)を加え、混合溶液を窒素ガスの保護下で130℃(内部温度)で12時間撹拌した。25℃に冷却した後、反応溶液を撹拌し、水(1000ml)を加え、25℃で1時間撹拌を続けた。得られた懸濁液をブフナー漏斗で減圧濾過し、ケーキに水(200ml×2)を加えて洗浄した。ケーキを収集し、真空乾燥させて化合物1-15を得た。
【0086】
ステップB:25℃で、撹拌中の1-15(100g、291.36mmol)のテトラヒドロフラン(700ml)の混合溶液にp-トルエンスルホン酸一水合物(166.26g、874.08mmol)を加え、混合溶液を35℃で12時間撹拌した。反応溶液を液体が蒸発しなくなるまで減圧濃縮した。濃縮した粗生成物を25℃でアセトニトリル(300ml)を加えて溶解させた後メトキシシクロペンチルエーテル(1500ml)を加え、25℃で12時間撹拌した。得られた懸濁液をブフナー漏斗で減圧濾過した。ケーキをメトキシシクロペンチルエーテル(50ml×2)で洗浄し、ケーキを收集し、真空乾燥させて化合物1-16を得た。
【0087】
ステップC:25℃で、撹拌中の1-16(100g、170.21mmol)のアセトニトリル(1L)懸濁液に無水リン酸カリウム(112.00g、527.65mmol)及び1-17(32.64g、173.62mmol)を加え、窒素ガスの保護下で40℃で12時間撹拌した。反応溶液を液体が蒸発しなくなるまで減圧濃縮し、残留物に2-メチルテトラヒドロフラン(500ml×3)及び飽和炭酸ナトリウム水溶液(400ml)を加えた。分離した有機相に飽和食塩水(300ml×2)を加え、分離した有機相を無水硫酸ナトリウム乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、乾燥させて化合物1-11を得た。LCMS (ESI) m/z: 303/305 [M+H]
【0088】
式(I)で表される化合物の製造:
【0089】
【化7】
【0090】
ステップA:0℃で、窒素ガスの保護下で、N,N-ジイソプロピルアミン(7.73g、76.41mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液にn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(2.5mol/L、28.21ml3)をゆっくりと滴加し、反応溶液を0℃で0.5時間撹拌した後、-70℃に冷却させ、1-1(10g、58.78mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液をゆっくりと滴加し、滴加完了後、反応溶液を-70℃で0.5時間撹拌し、次に、反応溶液に1-2(8.53g、70.53mmol)のトルエン(10ml)溶液をゆっくりと滴加し、滴加完了後、反応溶液を-70℃で3時間撹拌して反応させた。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液(200ml)を加え、酢酸エチル(100ml×2)で抽出し、有機相を合わせ、順次に飽和塩化アンモニウム水溶液(200ml×2)及び飽和食塩水(200ml×2)を加えて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル)により精製して化合物1-3を得た。
【0091】
化合物1-3:HNMR (400 MHz, CDCl) δ = 5.82 - 5.59 (m, 1H), 5.15 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 5.13 - 5.09 (m, 1H), 4.19 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.82 - 2.74 (m, 1H), 2.69 - 2.53 (m, 1H), 2.50 - 2.40 (m, 1H), 2.39 - 2.30 (m, 1H), 2.30 - 2.17 (m, 1H), 1.32 - 1.27 (m, 3H)。
【0092】
ステップB:20℃で窒素ガスの保護下で、1-3(3.1g、14.75mmol)のテトラヒドロフラン(18ml)溶液に9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(0.5mol/L、32.45ml)を加え、反応溶液を60℃で3時間撹拌した後室温に冷却させた。反応溶液に順次に水(10ml)、1-4(3.53g、11.80mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.7g、1.47mmol)及びリン酸カリウム(4.7g、22.12mmol)を加えた。混合溶液を窒素ガスの保護下で、70℃で16時間撹拌した。得られた反応溶液に酢酸エチル(100ml)を加えた後希釈し、飽和食塩水(200ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル=100/1~0/1)により精製して化合物1-5を得た。LCMS (ESI) m/z: 431.1 [M + H] +。
【0093】
ステップC:1-5(6.7g、13.46mmol)のメタノール(75ml)及び水(25ml)の混合溶液に水酸化ナトリウム(2.15g、53.83mmol)を加え、混合溶液を25℃で16時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮して溶媒メタノールを除去し、残留物に水(150ml)を加えて希釈した後、ジクロロメタン(100ml×2)で抽出し、水相に塩酸(2mol/L)を加えてpH=2に調節し、酢酸エチル(80ml×4)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(200ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して化合物1-6を得た。
【0094】
化合物1-6:HNMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.34 (d, J = 4.3 Hz, 2H), 6.99 - 6.90 (m, 1H), 5.59 (td, J = 2.4, 9.3 Hz, 1H), 4.04 (br d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.73 (dt, J = 2.9, 10.9 Hz, 1H), 2.97 (br t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.82 - 2.72 (m, 1H), 2.72 - 2.56 (m, 1H), 2.56 - 2.42 (m, 1H), 2.28 - 2.13 (m, 2H), 2.06 - 1.99 (m, 1H), 1.79 - 1.58 (m, 7H)。LCMS (ESI) m/z: 403.1 [M + H] +。
【0095】
ステップD:1-6(2.7g、6.54mmol)をポリリン酸(30ml)に溶解させ、混合溶液を110℃で16時間撹拌した。得られた反応溶液に水(300ml)を加えて希釈し、酢酸エチル(100ml×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和炭酸ナトリウム水溶液(200ml×2)及び飽和食塩水(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、減圧濃縮して化合物1-7を得た。LCMS (ESI) m/z: 301.1 [M + H] +。
【0096】
ステップE:1-7(2.7g、8.99mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶解させ、p-トルエンスルホン酸一水和物(855.26mg、4.5mmol)及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(1.13g、13.49mmol)を加えた。混合溶液を25℃で16時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル=40/1~20/1)により精製して化合物1-8を得た。
【0097】
化合物1-8:HNMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.81 (dd, J = 5.4, 8.9 Hz, 1H), 7.38 (td, J = 2.0, 8.8 Hz, 1H), 5.59 (td, J = 2.4, 9.2 Hz, 1H), 4.06 - 3.95 (m, 1H), 3.81 - 3.64 (m, 2H), 3.36 - 3.23 (m, 1H), 3.22 - 2.95 (m, 2H), 2.53 - 2.38 (m, 1H), 2.35 - 2.20 (m, 2H), 2.19 - 2.08 (m, 2H), 2.06 - 2.00 (m, 1H), 1.80 - 1.65 (m, 5H))。LCMS (ESI) m/z: 385.1 [M + H] +。
【0098】
ステップF:-40℃で、窒素ガスの保護下で、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(1mol/L、114.47ml、114.47mmol)に1-8(40g、104.07mmol)のテトラヒドロフラン(266ml)溶液を滴加し、滴加完了後、混合溶液を-40℃で1時間撹拌した。-40℃で反応溶液にペルフルオロブタンスルホニルフルオリド(20.11ml、114.47mmol)を滴加し、25℃にゆっくりと昇温させ、12時間撹拌した。25℃で、得られた反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液(1300ml)を加えてクエンチングさせ、混合溶液を500mlの水で希釈した後酢酸エチル(600ml×3)を加えて抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(200ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮して粗生成物(79.13g)を得た。粗生成物をエタノール(160ml)で25℃で12時間撹拌し、濾過し、洗浄して化合物1-9を得た。
【0099】
ステップG:25℃で、1-9(25g、37.51mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(14.29g、56.27mmol)の1,4-ジオキサン(200ml)溶液に炭酸カリウム(7.78g、56.27mmol)、トリフェニルホスフィン(1.48g、5.63mol)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.84g、2.63mmol)を加えた。混合溶液を窒素ガスの保護下で90℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液を珪藻土で濾過し、水(40ml)で希釈し、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(40ml×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮して30.43gの粗生成物を得た。アセトニトリル(150ml)及び水(37.5ml)を加え、50℃に加熱させて溶解させ、25℃に冷却させ、12時間撹拌した。得られた懸濁液を減圧濾過し、ケーキを収集して化合物1-10を得た。LCMS (ESI) m/z: 495.2 [M+H]
【0100】
ステップH:25℃で、1-11(1.91g、6.31mmol)及び1-10(3.12g、6.31mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)及び水(6ml)の混合溶液に水酸化カリウム(1.95g、34.71mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(364.67mg、315.58μmol)を加えた。混合溶液を窒素ガスの保護下で、60℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液を水(20ml)で希釈し、ジクロロメタン(20ml×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(20ml×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮して粗生成物を得た。逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%のアンモニア水溶液/アセトニトリルで勾配溶出)により精製して化合物1-12を得た。LCMS (ESI) m/z: 591.2 [M + H] +。
【0101】
ステップI:20℃で、1-12(18g、7.87mmol)のアセトニトリル(180ml)溶液にトリフルオロ酢酸(60ml)を加えた。混合溶液を80℃で16時間撹拌した。得られた反応溶液を液体が蒸発しなくなるまで減圧濃縮し、炭酸ナトリウム水溶液を加えてpHを8~10に調節し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール=10/1)により精製して式(I)で表される化合物を得た。LCMS (ESI) m/z: 507.3 [M+H]
【0102】
実施例2:式(III)で表される化合物のA型結晶の製造
5gの式(I)で表される化合物を取り、30mlのアセトニトリルを加えて溶解させた。90℃に加熱させ、フマル酸(1.26g)を加えて1時間撹拌し、20℃にゆっくりと冷却させ、12時間撹拌を続けた。得られた懸濁液で濾過し、ケーキを乾燥させて式(III)で表される化合物のA型結晶を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ = 12.60 (s, 1H), 8.01 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.61 (br d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 2.4, 8.8 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.64 (s, 2H), 4.61 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.50 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.46 - 4.35 (m, 1H), 3.54 (q, J = 11.6 Hz, 2H), 3.13 - 2.94 (m, 4H), 2.85 - 2.70 (m, 4H), 2.45 - 2.24 (m, 3H), 2.10 (br t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.03 - 1.87 (m, 2H), 1.86 - 1.74 (m, 1H)。
【0103】
実施例3:式(II)で表される化合物のB型結晶の製造
1gの式(I)で表される化合物を秤量して50mlの一口フラスコに加え、アセトニトリル(9ml)を加えて溶解させた。磁石を加えた後、上記溶液を磁気加熱式攪拌機(90℃)に置いて撹拌し、90℃でメタンスルホン酸(155μl)のアセトニトリル溶液(1ml)を加えて撹拌した。20℃にゆっくりと冷却させて12時間撹拌を続け、得られた懸濁液を濾過し、ケーキを乾燥させて式(II)で表される化合物のB型結晶を得た。
【0104】
1gの式(I)で表される化合物を秤量して50mlの一口フラスコに加え、酢酸エチル(10ml)を加えて溶解させた。磁石を加えた後、上記溶液を磁気加熱式攪拌機(90℃)に置いて撹拌し、90℃でメタンスルホン酸(155μl)の酢酸エチル溶液(1ml)を加えて1時間撹拌した。20℃にゆっくりと冷却させて12時間撹拌を続け、得られた懸濁液を濾過し、ケーキを乾燥させて式(II)で表される化合物のB型結晶を得た。
【0105】
1gの式(I)で表される化合物を秤量して50mlの一口フラスコに加え、酢酸イソプロピル(9ml)を加えて溶解させた。磁石を加えた後、上記溶液を磁気加熱式攪拌機(20℃)に置いて撹拌し、20℃でメタンスルホン酸(155μl)の酢酸イソプロピル溶液(1ml)を加えて撹拌した。4℃にゆっくりと冷却させて17時間撹拌を続け、得られた懸濁液を濾過し、ケーキを乾燥させて式(II)で表される化合物のB型結晶を得た。
【0106】
350gの前記製造方法で得られた式(II)で表される化合物のB型結晶を秤量し、5Lの一口フラスコに加え、ジメチルスルホキシド(455ml)を加え、完全に溶解するまで60~70℃に加熱させた。60~70℃で酢酸イソプロピル(3L)を1時間にかけて滴加し、当該温度で1時間撹拌した。混合溶液を撹拌しながら4~6時間にかけて25~30℃にゆっくりと冷却させ、当該温度で12時間撹拌して乳白色の懸濁液を得た。反応溶液を濾過した後淡黄色ケーキを得、ケーキを酢酸イソプロピルでよく撹拌し、2回(500ml×2)洗浄し、恒温吸引濾過して得られたケーキを真空乾燥させて粗生成物を得た。アセトン(4.6L)を加え、55~60℃で16時間撹拌し、濾過した。得られたケーキに更にアセトン(3.9L)を加え、55~60℃で16時間撹拌し、濾過し、ケーキを乾燥させて式(II)で表される化合物のB型結晶を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 12.55 (s, 1H), 9.84 - 9.66 (m, 1H), 8.03 (br d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.70 - 7.53 (m, 1H), 7.24 (dd, J = 2.0, 8.7 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.60 (q, J = 5.6 Hz, 1H), 4.52 - 4.43 (m, 2H), 4.05 - 3.62 (m, 2H), 3.61 - 3.37 (m, 4H), 3.29 (br s, 2H), 3.23 - 2.99 (m, 1H), 2.96 (br t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.40 - 2.31 (m, 5H), 2.14 - 1.94 (m, 6H)。
【0107】
実施例4:式(I)で表される化合物のC型結晶の製造
4gの式(I)で表される化合物に12mlの酢酸イソプロピルを加えて溶解させ、次に、撹拌しながら30mlのn-ヘプタンをゆっくりと加えた。25℃で12時間撹拌し、得られた懸濁液を濾過し、ケーキを乾燥させて式(I)で表される化合物のC型結晶を得た。H NMR (400 MHz, CDOD) δ = 7.92 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 2.4, 8.8 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.55 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.47 - 4.37 (m, 2H), 3.41 - 3.33 (m, 2H), 3.08 (br t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.98 (dd, J = 7.1, 9.9 Hz, 1H), 2.79 (dt, J = 6.3, 8.6 Hz, 1H), 2.68 - 2.58 (m, 3H), 2.54 (dd, J = 4.9, 10.0 Hz, 1H), 2.46 - 2.30 (m, 3H), 2.19 - 2.11 (m, 2H), 2.00 - 1.84 (m, 2H), 1.82 - 1.71 (m, 1H)。LCMS (ESI) m/z: 507.2 [M+H]
【0108】
実験例1:生物試験
(1)ERα結合試験:放射性リガンド結合試験における式(I)で表される化合物の活性評価
実験材料:エストロゲンERα
由来:ヒト組換え昆虫Sf9細胞
リガンド:0.5nM[H]エストラジオール
溶媒:1.0%のDMSO
非特異的リガンド:1.0μMのジエチルスチルベストロール
培養時間/温度:2時間@25℃
特異的結合:85%
培養緩衝液:10mMのTris-HCl、pH7.4、0.1%のBSA、10%のグリセリン、1mMのDTT
定量的方法:放射性リガンド結合
Kd:0.2nM
有意性の基準:≧50%の最大活性化又は阻害
Bmax:1400pmol/mgタンパク質
実験方法:
本研究で使用された方法は科学文献(Obourn, J. D. et al., Biochemistry, 1993, 32, 6229-6236)から引用された。
【0109】
データ分析:
MathIQTM(ID Business Solutions Ltd., UK)ソフトウェアを使用し、非線形、最小二乗回帰法を使用してIC50値を得た。表された阻害定数(K)は、実験で測定して得られた試験化合物IC50、試験で使用された放射性リガンド濃度及びリガンドKの履歴値(Eurofins Panlabs, Inc.で実験的に決定)は、Cheng及びPrusoff式(Cheng,Y., Prusoff, W. H., Biochem. Pharmacol. 22:3099-3108,1973)で計算して得られた。示されるように、競合結合曲線の傾きを定義するヒル係数(nH)は、MathIQTMを使用して計算した。ヒル係数が値1から大きく逸脱している場合、当該結合置換が単一の結合部位での質量作用の法則に準拠していないことを示している可能性がある。IC50、Ki及び/又はnデータに平均値の標準誤差(SEM)が含まれていない場合、データは十分に定量的ではないため、データ(K、IC50、n)は注意して解釈する必要がある。
【0110】
【表4】
【0111】
結論:本発明の化合物は、体外でERαに対して強い結合作用を有する。
【0112】
(2)HEK293/GAL4/ERα拮抗実験
実験材料:
【0113】
【表5】
【0114】
細胞情報と培養条件:
【0115】
【表6】
【0116】
実験培地:
DMEM(フェノールレッドを含まない)、10%の炭素吸着血清を含む、即ち、500mLの細胞培地に450mLのDMEM、50mLの炭素吸着血清を含む
Bright Glo検出試薬:
Bright-GloTM Luciferase Assayキットには下記の2つの試薬が含まれる:
Bright-GloTM Buffer
Bright-GloTM Substrate
使用前に2つの試薬を室温(25℃)に平衡化してから2つの試薬を混合し、試薬が完全に溶解した後使用し、未使用のBright Gloは-20℃に保存して使用を続けた。
【0117】
実験計画:
ERαに対する式(I)で表される化合物の拮抗作用を分析するために、三重ウェルを設定し、化合物の濃度範囲は200nM~0.00256nMであった。
【0118】
実験ステップ:
1)HEK293/GAL4/ERα細胞懸濁液を収集し、1000rpm/分で5分間遠心分離し、上清を除去し、予熱した実験培地に再懸濁し、カウントした後細胞懸濁液を実験培地で希釈した。96ウェル細胞培養プレートにウェルあたり40000細胞を接種し、各ウェルに80μLの細胞懸濁液を接種し、37℃、5%のCOインキュベーターで一晩培養した。
【0119】
2)実験当日、化合物配置マップに従い、細胞プレートの各ウェルに10μLの化合物作業溶液を加え、37℃、5% COのインキュベーターで1時間培養を続けた後、更に各ウェルに1nMのEstradiolを含むAssay培地10μLを加え、ブランク対照には10μLのAssay培地を加え、Estradiolの最終濃度は1nMであった。細胞プレートを37℃、5% COのインキュベーターで24時間培養を続けた。
【0120】
3)培養完了後、細胞上清を除去し、細胞プレートの各ウェルに50μLのBright Glo検出試薬を加え、25℃で2分間培養した。培養完了後、EnVisionを使用して発光シグナルを検出した。
【0121】
データ分析:
データは次の式に従って化合物処理後のERa阻害率を算出した:%阻害率=100-(RFU化合物-RFUブランク対照)/(RFU陰性対照-RFUブランク対照)×100%。陰性対照:1nMのEstradiolで処理した細胞;ブランク対照:Estradiolで処理していない細胞、Prismでプロットして化合物のIC50値を計算した。
【0122】
実験結果
HEK293/GAL4/ERαに対する式(I)で表される化合物の拮抗作用のIC50は下記の表7に示される通りである。
【0123】
【表7】
【0124】
実験結論:
式(I)の化合物は、HEK293/GAL4/ERαの転写機能に対して有意な拮抗作用を有する。
【0125】
(3)MCF-7、T-47D、CAMA-1細胞におけるERα分解実験
実験材料:
【0126】
【表8】
【0127】
細胞情報と培養条件:
【0128】
【表9】
【0129】
試験試薬の製造:
TritonX-100の製造:TritonX-100をDPBSで100倍に希釈して1.00%のTritonX-100を得た。
【0130】
0.100%のTween20を含むブロッキング緩衝液の製造:Tween20をブロッキング緩衝液で1000倍に希釈して0.100%のTween20のブロッキング緩衝液を得た。
【0131】
一次抗体希釈液の製造:一次抗体(Estrogen Receptor alpha Monoclonal Antibody(SP1))ストック溶液を0.100%のTween-20を含むブロッキング緩衝液で1000倍に希釈して一次抗体希釈液を得た。
【0132】
二次抗体とDRAQ5混合溶液の製造:0.100%のTween-20を含むブロッキング緩衝液で二次抗体(LI-COR-926-32211、1:1000で希釈)及びDRAQ5(DR51000、1:2000で希釈)を希釈し、均一混合した。
【0133】
実験ステップ:
1)培養フラスコから完全培地を吸引し、適量のトリプシンを加えてすすいだ後、吸引して残留血清を除去した。
【0134】
2)培養フラスコに適量のトリプシンを加え、2回すすいだ後吸引し、培養フラスコをインキュベーターに2~3分間入れて取り出し、培養フラスコを振って細胞を剥離させた。
【0135】
3)細胞を新鮮な完全培地に再懸濁し、セルカウンターでカウントした。
【0136】
4)プレーティング密度に応じて細胞懸濁液を配置した。
【0137】
5)30.0μLの細胞懸濁液を384ウェルプレートの各ウェルに加えた。
【0138】
6)実験ウェルプレートを遠心分離機に置き、1000rpmで1分間遠心分離した。
【0139】
7)実験ウェルプレートを細胞培養インキュベーターで一晩培養した。
【0140】
8)実験ウェルプレートの試料の添加の概略図(3.5.1を参照)に従って、20.0μLの希釈した試験試料を各ウェルに加えた。反応系中のDMSOの最終濃度は1.00%であった。
【0141】
9)実験ウェルプレートを遠心分離機に置き、1000rpmで1分間遠心分離した。
【0142】
10)ウェルプレートを37℃、5% COのインキュベーターで4時間培養した。
【0143】
11)プレートを取り出し、室温で10分間平衡化させた後、ウェルプレートから培地を除去した。
【0144】
12)各ウェルに100μLの4.00%PFAを加え、室温で40分間固定した。
【0145】
13)プレート内の液体をたたいて除去し、multidropを使用して各ウェルに100μLの1×PBSを加え、プレートを2回洗浄した。
【0146】
14)0.1%のTritonX-100を含む氷冷PBS 50μLを加えて透過処理し、室温で15分間放置した。
【0147】
15)プレート内の液体をたたいて除去し、multidropを使用して100μLのPBSをプレートの各ウェルに加え、たたいて除去し、このようにプレートを5回洗浄した。
【0148】
16)各ウェルに0.1%のTween-20を含むブロッキング緩衝液(LI-COR-927-40000)50μLを加え、室温で1時間ブロックした。
【0149】
17)緩衝液をプレートからたたいて除去した。
【0150】
18)25μLの一次抗体希釈溶液を384ウェルプレートの各ウェルに加えた。4℃で一晩培養した。
【0151】
19)プレート内の一次抗体をたたいて除去し、multidropにPBSを加えてプレートを5回洗浄した。
【0152】
20)各ウェルに25μLの二次抗体とDRAQ5混合溶液を加え、室温で1時間培養した。
【0153】
21)multidropにPBSを加えて、プレートを5回洗浄した。
【0154】
22)ddHOを加えてプレートを2回洗浄し、たたいて乾燥させた。
【0155】
23)Odyssey遠赤外線イメージングシステム装置を使用してプレートを読み取った。
【0156】
データ分析
高対照群平均値:高対照群の平均値を計算;低対照群平均値:低対照群の平均値を計算;高対照群標準偏差(SD):高対照群標準偏差を計算;低対照群標準偏差(SD):低対照群の標準偏差を計算。
【0157】
高対照群変動係数(CV)=(高対照群標準偏差÷高対照群平均値)×100
低対照群変動係数(CV)=(低対照群標準偏差÷低対照群平均値)×100
実験ウィンドウ=高対照群平均値÷低対照群平均値
Z値=1-[3×(高対照群標準偏差+低対照群標準偏差)÷(高対照群平均値-低対照群平均値)]
阻害率(%)=(1-(実験ウェルのシグナル値-低対照群平均値)/(高対照群平均値-低対照群平均値))×100
IC50値は、データ解析ソフトウェアGraph Pad Prism 7.0を使用して計算した。
【0158】
分析品質管理基準:実験ウィンドウ>2、Z値>0.5、参照/陽性化合物データの一貫性。
【0159】
実験結果:
本実験では、MCF-7、T-47D、CAMA-1細胞におけるERαタンパク質の発現に対する式(I)で表される化合物の効果を評価し、4時間の薬物処理後、ICW実験によりERαタンパク質の発現レベルを検出した。結果は下記に示される通りである。
【0160】
【表10】
【0161】
実験結論:
式(I)で表される化合物は、様々な乳癌細胞においてERαに対して有意な分解効果を有している。
【0162】
(4)MCF-7、T-47D及びCAMA-1細胞増殖阻害効果実験
実験材料:
【0163】
【表11】
【0164】
細胞情報と培養条件:
【0165】
【表12】
【0166】
飢餓培地:
1.CAMA-1:EMEM(フェノールレッドを含まない)、10%の炭素吸着血清を含む、即ち、500mLの細胞培地に440mLのEMEM、50mLの炭素吸着血清、5mLのNEAA、5mLの100mMのピルビン酸ナトリウムを含み、
2.T-47D:RPMI-1640(フェノールレッドを含まない)、10%の炭素吸着血清を含む、即ち、500mLの細胞培地に450mLのRPMI-1640、50mLの炭素吸着血清を含む。
【0167】
実験デザイン
MCF-7、CAMA-1及びT-47D細胞の増殖に対する試験である化合物式(I)で表される化合物の阻害効果を分析した。MCF-7は3つの反復を設定して10個の濃度勾配を試験し、化合物の濃度範囲は100nM~0.0003815nMであり、CAMA-1は3つの反復を設定して9個の濃度勾配を試験し、化合物の濃度範囲は100nM~0.001526nMであり、T-47Dは3つの反復を設定して9個の濃度勾配を試験し、化合物の濃度範囲は2μM~0.00512nMであり、それぞれ2つの独立実験を実行した。
【0168】
実験ステップ:
MCF-7細胞:
細胞コンフルエンスが80%に達したMCF-7細胞をトリプシンで消化し、遠心分離し、再懸濁してカウントした。次に、対応する培地を使用して細胞懸濁液を製造し、384ウェルプレートの各ウェルに45μLの細胞懸濁液を加え、5%のCOを含む細胞インキュベーターに入れて37℃で培養した。式(I)の試験化合物をDMSO溶液を使用して20μMの開始濃度で、10個の濃度まで4×連続下向きに希釈した。細胞を一晩培養した後、希釈した化合物を対応する細胞培地で更に希釈し、希釈した混合溶液をそれぞれ対応する細胞プレートに移し、化合物の最終濃度は、100nMの開始濃度で、10個の濃度まで4×下向きに希釈し、陽性対照ウェルは2μMのフルベストラントで、均一に混合して遠心分離し、5%のCOを含む細胞インキュベーターで37℃で、上記表の対応する日数を培養した。
【0169】
T-47D細胞:
T-47D細胞を飢餓培地で3日間飢餓処理し、トリプシンで消化させ、遠心分離し、再懸濁してカウントした。対応する培地を使用して細胞懸濁液を製造した後、細胞を384ウェルプレートに移し、各ウェルに40μL/ウェルの細胞懸濁液を加え、5%のCOを含む細胞インキュベーターで37℃で培養した。試験化合物式(I)をDMSO溶液を使用して400μMの開始濃度で、9個の濃度まで5×下向きに希釈した。細胞を一晩培養した後、希釈した化合物を対応する細胞培地で更に希釈し、希釈した混合溶液をそれぞれ対応する細胞プレートに移し、化合物の最終濃度は、2μMの開始濃度で、9個の濃度まで5×下向きに希釈し、陽性対照ウェルは2μMのフルベストラントで、プレート全体に1nMのエストラジオールを加え、均一に混合して遠心分離し、5%のCOを含む細胞インキュベーターで37℃で、上記表の対応する日数を培養した。
【0170】
CAMA-1細胞:
CAMA-1細胞を飢餓培地で3日間飢餓処理し、トリプシンで消化させ、遠心分離し、再懸濁してカウントした。それぞれ対応する培地を使用して細胞懸濁液を製造した後、細胞を96ウェルプレートに移し、各ウェルに80μL/ウェルの細胞懸濁液を加え、5%のCOを含む細胞インキュベーターで37℃で培養した。式(I)の試験化合物をDMSO溶液を使用して20μMの開始濃度で、9個の濃度まで4×下向きに希釈した。細胞を一晩培養した後、希釈した化合物を対応する細胞培地で更に希釈し、希釈した混合溶液をそれぞれ対応する細胞プレートに移し、化合物の最終濃度は、100nMの開始濃度で、9個の濃度まで4×下向きに希釈し、陽性対照ウェルは2μMのフルベストラントで、プレート全体に1nMのエストラジオールを加え、均一に混合して遠心分離し、5%のCOを含む細胞インキュベーターで37℃で、上記表の対応する日数を培養した。
【0171】
化合物を上記の時間まで培養した後、細胞培養プレートを取り出し、CTG試薬を加え、均一に混合して遠心分離し、室温で10分間培養した。Envisionマルチラベルアナライザーでデータを読み取った。
【0172】
データ分析:
データは次の式に従って化合物処理後の細胞生存率を計算した:%阻害率=100-(RFU化合物-RFU陽性対照)/(RFU陰性対照-RFU陽性対照)×100%。陽性対照:2μMのフルベストラントで処理した細胞;陰性対照:0.5%のDMSOで処理した細胞、次に、Prism5でプロットして化合物のIC50値を計算した。IC50計算式:log(inhibitor) vs. response - Variable slope。
【0173】
実験結果:
本実験は、MCF-7、CAMA-1及びT-47D細胞の増殖に対する試験対象である式(I)で表される化合物の阻害効果を分析し、3つの反復を設定して2つの独立した実験評価を実行した。
【0174】
細胞増殖の阻害に対する化合物のIC50は下記の表に示される通りである。
【0175】
【表13】
【0176】
実験結論
式(I)で表される化合物は、MCF-7、CAMA-1及びT-47D細胞において有意な体外抗増殖活性を示している。
【0177】
(5)HCC1428及びMDA-MB-134VI細胞増殖阻害効果実験
実験材料:
【0178】
【表14】
【0179】
実験計画:
式(I)で表される化合物の検出開始濃度は200nMであり、10個濃度勾配に4倍に勾配希釈した。
【0180】
実験ステップ
MDA-MB-134VI細胞:
1)20%のFBS及び1%のPenStrepを含むDMEM完全増殖培地でMDA-MB-134VI細胞を培養した。
【0181】
2)細胞がT75培養フラスコ内で80~90%コンフルエントに達した場合、トリプシンを使用して細胞を消化して収集し、第一次及び第二次の独立した実験の細胞継代はそれぞれ8世代と6世代であった。
【0182】
3)1000rpmで細胞を遠心分離し、完全培地で再懸濁してカウントし、測定して得られた第一次及び第二次の独立した実験の細胞密度は、それぞれ1mlあたり3.60×10個細胞及び1mlあたり1.93×10個細胞であり、生存率はいずれも95%を超えた。
【0183】
4)完全培地で細胞懸濁液を製造し、2回の実験において、細胞懸濁液の密度はいずれも1mlあたり4.00×10個細胞であり、96ウェル丸底ウェルプレートに8000個細胞/195μL/ウェルで播種し、37℃、5% COのインキュベーターで一晩培養した。
【0184】
5)2日目に5μLの希釈した化合物を加え、DMSOの最終濃度を0.1%にした。DMSOウェルをHigh controlとし、Medium onlyウェルをLow Controlとして使用した。
【0185】
6)MDA-MB-134VI細胞を37℃、5% COのインキュベーターで10日間培養した。
【0186】
7)インキュベーターから細胞を取り出して室温に平衡化させ、1000rpmで5分間遠心分離し、各ウェルから100μLの細胞培養上清を捨て、100μLのCellTiter Gloを加えた。室温で30分間暗所で培養した。
【0187】
8)BMGを使用してLuminescence値を読み取った。
【0188】
上記のステップに従って、2回の独立した反復実験を実行した。
【0189】
HCC1428細胞:
1)10%のFBS及び1%のPenStrepを含むRPMI1640完全増殖培地でHCC1428細胞を培養した。
【0190】
2)細胞がT75培養フラスコ内で80~90%コンフルエントに達した場合、トリプシンを使用して細胞を消化して収集し、第一次及び第二次の独立実験の細胞継代はそれぞれ7世代と13世代であった。
【0191】
3)1000rpmで細胞を遠心分離し、完全培地で再懸濁してカウントし、測定して得られた第一次及び第二次の独立した実験の細胞密度は、それぞれ1mlあたり1.30×10個細胞及び1mlあたり9.50×10個細胞であり、生存率はいずれも95%を超えた。
【0192】
4)完全培地で細胞懸濁液を製造し、2回の実験において、細胞懸濁液の密度はいずれも1mlあたり1.25×10個細胞であり、96ウェル丸底ウェルプレートに2500個細胞/195μL/ウェルで播種し、37℃、5% COのインキュベーターで一晩培養した。
【0193】
5)5μLの希釈した化合物を加え、DMSOの最終濃度を0.1%にした。DMSOウェルをHigh controlとし、Medium onlyウェルをLow Controlとして使用した。
【0194】
6)37℃、5% COのインキュベーターで7日間培養した。
【0195】
7)インキュベーターから細胞を取り出して室温に平衡化させ、1000rpmで5分間遠心分離し、各ウェルから100μLの細胞培養上清を捨て、100μLのCellTiter Gloを加えた。室温で30分間暗所で培養した。
【0196】
8)BMGを使用してLuminescence値を読み取った。
【0197】
上記のステップに従って、2回の独立した反復実験を実行した。
【0198】
データ分析
陰性対照の読み取り値を阻害率0%、陽性対照の読み取り値を阻害率100%として設定し、各試験溶液の阻害率を算出した。
【0199】
【数1】
【0200】
下記の非線形フィッティング式を使用して化合物のIC50(半分の阻害濃度)を得た:
Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope))
X:化合物濃度log値
Y:化合物阻害率(%inh)
Z’因子計算式:
Z’=1-3*(SD_H+SD_L)/(Ave_H-Ave_L)
SDは標準誤差であり、AVEは平均値である。
【0201】
実験結果
本実験は、MDA-MB-134VI及びHCC1428細胞の増殖に対する式(I)で表される化合物の阻害効果を分析し、細胞増殖を阻害する化合物のIC50は下記の表に示される通りである。
【0202】
【表15】
【0203】
実験結論:
式(I)で表される化合物は、MDA-MB-134VI及びHCC1428細胞に対して有意な体外抗増殖活性を示している。
【0204】
(6)MCF-7突然変異細胞株MCF-7 ESR1-Y537S及びMCF-7 ESR1-D538Gの増殖阻害効果実験
実験材料:
【0205】
【表16】
【0206】
細胞情報と培養条件:
【0207】
【表17】
【0208】
実験方法及びステップ:
1.細胞の培養
腫瘍細胞を37℃、5% COのインキュベーターで培養した。定期的に継代し、対数増殖期の細胞をプレーティングに使用した。
【0209】
2.細胞プレーティング
1)細胞をトリパンブルーで染色し、生細胞をカウントした。
【0210】
2)PBSを使用して細胞を1回洗浄した後、フェノールレッドを含まないRPMI1640+10%のFBS培地に再懸濁し、濃度を適切な濃度に調節した。
【0211】
3)培養プレートの各ウェルに135μLの細胞懸濁液を加え、ブランク対照ウェルに細胞を含まない培地を加えた。
【0212】
4)培養プレートを37℃、5%のCO、及び100%の相対湿度のインキュベーターで一晩培養した。
【0213】
3.10X化合物作業溶液の製造及び細胞の化合物処理
1)10X化合物作業溶液の製造:199μLの細胞培地をV型底の96ウェルプレートに加え、2000X化合物保存プレートから1μLの化合物をピペットで吸い取り、96ウェルプレートの細胞培地に加えた。1μLのDMSOを溶媒対照とブランク対照に加えた。化合物又はDMSOを加え、ピペットで均一に混合した。
【0214】
2)投与:15μLの10X化合物作業溶液を取り、表1に示されるされるように細胞培養プレートに加えた。15μLのDMSO-細胞培地混合溶液を溶媒対照とブランク対照に加えた。DMSOの最終濃度は0.05%であった。
【0215】
3)96ウェル細胞プレートを培養用のインキュベーターに戻し、7日間の培養後に細胞を検出した。
【0216】
4.CellTiter-Glo発光細胞生存率検出
下記のステップはPromega CellTiter-Glo発光細胞生存率検出キット(Promega-G7573)の説明書に従って実行した。
【0217】
1)CellTiter-Glo緩衝液を解凍させて室温に放置した。
【0218】
2)CellTiter-Glo基質を室温に放置した。
【0219】
3)CellTiter-Glo基質のボトルにCellTiter-Glo緩衝液を加えて基質を溶解させ、CellTiter-Glo作業溶液を製造した。
【0220】
4)ゆっくりとボルテックスして基質を完全に溶解させた。
【0221】
5)細胞培養プレートを取り外し、30分間室温に平衡化させた。
【0222】
6)各ウェルに75μL(各ウェルの細胞培地の体積の半分に等しい)のCellTiter-Glo作業溶液を加えた。細胞プレートをアルミホイルで包んで光から保護した。
【0223】
7)培養プレートをオービタルシェーカー上で2分間振とうして、細胞溶解を誘導した。
【0224】
8)培養プレートを室温で10分間放置して、発光シグナルを安定させた。
【0225】
9)発光シグナルは、2104EnVisionプレートリーダーで検出した。
【0226】
データ分析:
下記の式で試験化合物の阻害率を計算した(Inhibition rate、IR):IR(%)=(1-(RLU化合物-RLUブランク対照)/(RLU溶媒対照-RLUブランク対照))×100%。Excelで異なる濃度の化合物の阻害率を計算し、次に、GraphPad Prism(6.02.328)ソフトウェアlog(inhibitor)vs.response--Variable slopeを使用して阻害曲線をフィッティングし、関連パラメーターを得た。
【0227】
相対IC50は、曲線の上端と下端のプラトー間の半分の点まで減少するのに必要な濃度であり、相対IC90は、曲線の上端と下端のプラトー間の90%の点まで減少するのに必要な濃度である。
【0228】
実験結果:
本実験は、2つの突然変異MCF-7細胞の増殖に対する試験化合物式(I)で表される化合物の阻害効果を分析し、細胞増殖の阻害に対する化合物のIC50は下記の表に示される通りである。
【0229】
【表18】
【0230】
実験結論:
式(I)で表される化合物は、ESR1-Y537S及びESR1-D538G突然変異のMCF-7細胞に対して有意な体外抗増殖活性を示している。
【0231】
実験例2:DMPK特性の評価
(1)シトクロムP450アイソザイムの阻害に関する研究
実験材料:
【0232】
【表19】
【0233】
実験方法及びステップ:
プローブ基質、試験物質、ヒト肝ミクロソーム及び補因子を一緒に培養し、プローブ基質によって生成される代謝産物の濃度をLC-MS/MSで検出してIC50値を計算した。溶媒対照試料には試験試料を加えず、同量の溶媒を加え、溶媒対照試料の酵素活性を100%とした。実験に使用したヒト肝ミクロソームの濃度、各CYPに対応するプローブ基質濃度、培養時間、陽性対照及び代謝産物等の詳細情報は下記の表に示される通りである。
【0234】
【表20】
【0235】
試験物質及び陽性対照阻害剤の培養:
すべての試料を37℃のウォーターバス条件下で培養反応を実行し、試験物質の各濃度は3つの平行度で、陽性対照阻害剤の各濃度は2つの平行度で、培養反応系には対応するアイソザイムのプローブ基質(指定濃度)及びミクロソーム(0.100mg protein/mL)の混合作業溶液及び試験物質又は陽性対照阻害剤(一連の最終濃度)の作業溶液が含まれた。すべての試料は37℃の条件下で10分間予熱させ、次に、補因子を加えて反応を開始させた。プローブ基質としてミダゾラムを使用するCYP3A代謝反応の場合、反応時間は3分であり、その他の反応はいずれも10分であった。
【0236】
溶媒対照の培養:
溶媒対照データは、培養反応系の各アイソザイムの活性を計算するための基準値として機能した。溶媒対照は、(1)試験物質の溶媒対照、3つの平行度、培養反応系は対応するアイソザイムのプローブ基質(指定濃度)及びミクロソーム(0.100mg/mL)の混合作業溶液及び対応する溶媒DMSO:メタノール(v:v、1:9)を含む;(2)陽性対照阻害剤の溶媒対照、2つの平行度、培養反応系は対応するアイソザイムのプローブ基質(指定濃度)及びミクロソーム(0.100mg protein/mL)の混合作業溶液及び対応する溶媒メタノールを含む、の2種類に分けられた。すべての試料は37℃の条件下で10分間予熱させ、次に、補因子を加えて反応を開始させた。プローブ基質としてミダゾラムを使用するCYP3A代謝反応の場合、反応時間は3分であり、その他の反応はいずれも10分であった。
【0237】
試料の処理:
各アイソザイムの培養反応系が対応する反応時間に達した後、200μLの対応する内部標準を含む停止溶液を反応プレートに加えて反応を停止させた。十分に振とうした後、遠心分離機に入れ、3220×gで20分間遠心分離し、次に、上清を取り出し、適切な希釈液を所定の比率で加えて希釈した。反応プレートをシェーカーに置き、振とうして均一に混合した。次に、LC-MS/MSを使用してプローブ基質の代謝物を分析し、試料をすぐに分析できない場合は、使用するまでに試料を2~8℃で保存した。
【0238】
培養した試料をタンパク質沈殿させた後、LC-MS/MSを使用してプローブ基質の代謝産物を定量的に分析した。
【0239】
データ分析:
各CYPアイソザイムの活性は、各プローブ基質代謝産物の生成速度で反映された。試験物質又は陽性阻害剤を加えない溶媒対照培養反応系における各アイソザイムの活性を100%として設定し、異なる濃度の試験物質又は陽性阻害剤を含む場合のプローブ基質代謝産物の生成率を溶媒対照代謝産物の生成率と比較し、更に100%を乗じた値を各アイソザイムの残存活性の百分率とした。残存活性の百分率を縦軸、阻害剤濃度を横軸として、SigmaPlot(V.14)ソフトウェアで3又は4パラメーターを使用して非線形回帰分析を実行し、試験製品と各陽性阻害剤のIC50値を計算した。SigmaPlotソフトウェアによりフィッティングして得られたIC50が最高投与濃度(100μM)を超えた場合、又はフィッティングによってIC50が得られない場合、IC50値は「>100μM」として標識された。
【0240】
【数2】
【0241】
最小酵素活性が±10%以内の場合は4パラメータ式を使用し、それ以外の場合は3パラメータ式を使用した。
【0242】
実験結果:
CYP1A2に対する式(I)で表される化合物のIC50値は97.2μMであり、CYP3A(基質としてミダゾラムを使用)に対するIC50値は8.38μMであり、CYP3A(基質としてテストステロンを使用)に対するIC50値は10.9μMであった。本発明の化合物はCYP酵素に対して阻害が弱く、薬物相互作用のリスクが低いことを示している。
【0243】
(2)マウス体内における薬物動態試験
実験目的:メスのBalb/cマウスを試験動物として使用し、LC/MS/MS法を使用して、マウスに試験化合物を静脈内及び胃内投与した後、異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。マウス体内における式(I)で表される化合物のC型結晶の薬物動態挙動を研究し、その薬物動態特性を評価した。
【0244】
実験スキーム:
試験動物:動物はShanghai Lingchang Biotechnology Co., Ltd.から購入した。
【0245】
医薬の製造:
適切な量の試料を秤量し、1mg/mLの溶液に製造し、透明な状態になるまで撹拌し、超音波処理し、溶媒は15%のHP-β-CDであった。
【0246】
投与:一晩禁食させた後、IV群には5mg/kgの投与量で静脈内投与し、PO群には10mg/kgの投与量でそれぞれ胃内投与した。
【0247】
実験の操作:
メスBalb/cマウスの静脈内投与群に試験化合物を投与した後、0.0833、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間後に伏在静脈から30μLの血液を採取し、予めEDTA-Kを加えた市販の抗凝固チューブに入れた。胃内投与群に試験化合物を投与した後、それぞれ0.25、0.5、1、2、4、8、12及び24時間後に頸静脈から30μLの血液を採取し、予めEDTA-Kを加えた市販の抗凝固チューブに入れ、次に、遠心分離(3,200g、4℃、10分)した後血漿を取り出し、血漿を予冷した遠心分離チューブに移し、ドライアイスで急速凍結させ、LC-MS/MS分析を実行するまで-60℃又はより低い超低温冷蔵庫で保存した。動物は、投与4時間後に食べさせた。LC/MS/MS方法を使用して、静脈内及び胃内投与後のマウスの血漿中の試験化合物の含有量を測定した。方法の線形範囲は2.00~2000nMであった。
【0248】
実験結果:
【0249】
【表21】
【0250】
式(I)で表される化合物のC型結晶は、マウス体内において代謝的に安定であり、組織分布が大きく、経口吸収及び利用性が高く、生体内で良好な薬物動態特性を有することを示している。
【0251】
(3)ラット体内における薬物動態試験
実験目的:メスのSprague-Dawleyラットを試験動物として使用し、LC/MS/MS法を使用して、ラットに試験化合物を静脈内及び胃内投与した後、異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。ラット体内における式(II)で表される化合物のB型結晶の薬物動態挙動を研究し、その薬物動態特性を評価した。
【0252】
実験スキーム:
試験動物:動物は、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.から購入した。
【0253】
医薬の製造:
適切な量の試料を秤量し、0.2mg/mLの溶液に製造し、透明な状態になるまで撹拌し、溶媒は20%のSBE-β-CDであった。
【0254】
投与:一晩禁食させた後、IV群には1mg/kgの投与量で静脈内投与し、PO群には2mg/kgの投与量でそれぞれ胃内投与した。
【0255】
実験の操作:
メスSprague-Dawleyラットの静脈内投与群にそれぞれ試験化合物を投与した後、0.0830、0.250、0.500、1.00、2.00、4.00、6.00、8.00、24.0、32.0及び48.0時間後に頸静脈から200μLの血液を採取し、予めEDTA-Kを加えた市販の抗凝固チューブに入れた。胃内投与群にそれぞれ試験化合物を投与した後、それぞれ0.250、0.500、1.00、2.00、4.00、6.00、8.00、24.0、32.0及び48.0時間後に頸静脈から200μLの血液を採取し、予めEDTA-Kを加えた市販の抗凝固チューブに入れ、次に、遠心分離(3,200g、4℃、10分)した後血漿を取り出し、血漿を予冷した遠心分離チューブに移し、ドライアイスで急速凍結させ、LC-MS/MS分析を実行するまで-60℃又はより低い超低温冷蔵庫で保存した。動物は、投与4時間後に食べさせた。LC/MS/MS方法を使用して、静脈内及び胃内投与後のラットの血漿中の試験化合物の含有量を測定した。方法の線形範囲は2.00~2000nMであった。
【0256】
実験結果:
【0257】
【表22】
【0258】
式(II)で表される化合物のB型結晶は、ラット体内において代謝的に安定であり、組織分布が大きく、経口吸収及び利用性が高く、生体内で良好な薬物動態特性を有することを示している。
【0259】
(4)イヌ体内における薬物動態試験
実験目的:メス・オスビーグルを試験動物として使用し、LC/MS/MS法を使用して、ビーグルに試験化合物を静脈内及び胃内投与した後、異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。ビーグル体内における式(II)で表される化合物のB型結晶の薬物動態挙動を研究し、その薬物動態特性を評価した。
【0260】
実験スキーム:
試験動物:動物はBeijing Marshall Biotechnology Co., Ltd.から購入した。
【0261】
医薬の製造:
適切な量の試料を秤量し、0.2及び0.3mg/mLの溶液に製造し、透明な状態になるまで撹拌し、溶媒は20%のSBE-β-CDであった。
【0262】
投与:一晩禁食させた後、IV群には0.3mg/kgの投与量で静脈内投与し、PO群には1mg/kgの投与量でそれぞれ胃内投与した。
【0263】
実験の操作:
ビーグルの静脈内投与群にそれぞれ試験化合物を投与した後、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24、32、48、72及び96時間後に末梢静脈から800μLの血液を採取し、予めEDTA-Kを加えた市販の抗凝固チューブに入れた。胃内投与群にそれぞれ試験化合物を投与した後、それぞれ0.25、0.5、1、2、4、6、8、24、32、48、72及び96時間後に末梢静脈から800μLの血液を採取し、予めEDTA-Kを加えた市販の抗凝固チューブに入れ、次に、遠心分離(3,200g、2~8℃、10分)した後血漿を取り出し、血漿を予冷した遠心分離チューブに移し、ドライアイスで急速凍結させ、LC-MS/MS分析を実行するまで-60℃又はより低い超低温冷蔵庫で保存した。動物は、投与4時間後に食べさせた。LC/MS/MS方法を使用して、静脈内及び胃内投与後のビーグルの血漿中の試験化合物の含有量を測定した。方法の線形範囲は2.00~2000nMであった。
【0264】
実験結果:
【0265】
【表23】
【0266】
本発明の式(II)で表される化合物のB型結晶は、ビーグル体内において代謝的に安定であり、組織分布が大きく、経口吸収及び利用性が高く、生体内で良好な薬物動態特性を有することを示している。
【0267】
実験例3:体内での薬効評価
(1)乳癌MCF-7細胞皮下異種移植腫瘍BALB/cヌードマウスモデルにおける体内薬効研究
実験目的:本実験では、ヒト乳癌MCF-7細胞皮下異種移植腫瘍ヌードマウスモデルを使用して、式(I)で表される化合物のC型結晶の体内薬効を評価した。
【0268】
実験材料:
【0269】
【表24】
【0270】
実験方法及びステップ:
細胞培養の準備:
ヒト乳癌MCF-7細胞は通常の通り体外単層培養し、培養条件はEMEM(EBSS;ATCC)培地に10%のウシ胎児血清(Cellmax)、2mMのグルタミン(Gibco)及び1%の非必須アミノ酸(NEAA;Gibco)を加え、37℃で5%のCOインキュベーターで培養した。週に2回、トリプシン-EDTA(Gibco)を使用して通常な消化処理をし、継代培養した。細胞の飽和度が80%~90%であり、細胞の数が要求に達する場合、細胞を収集してカウントし接種した。
【0271】
実験動物は、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.(浙江支店)から購入した。
【0272】
腫瘍細胞の接種と群分け
細胞接種:各マウスの左背部にエストロゲン錠(0.36mg/錠;IRA)を皮下接種し、3日後、0.2mL(1×10細胞)のMCF-7細胞(マトリゲルを添加;CORNING、体積比1:1)を各マウスの右背部に皮下接種し、平均腫瘍体積が188mmに達した時点で群を分けて投与した。
【0273】
【表25】
【0274】
医薬の製造:
適切な量の式(I)で表される化合物試料を秤量し、それぞれ0.1、0.3、1及び3mg/mLの溶液に製造し、しばらくボルテックスし、超音波処理して透明な溶液を形成し、溶媒は10%のHP-β-CDであった。適切な量のPalbociclibを秤量し、2.5mg/mLの溶液に製造し、pHを4.0に調節し、しばらくボルテックスし、超音波処理して透明な溶液を形成し、溶媒は50mMの乳酸ナトリウム緩衝液であった。フルベストラントは市販の注射薬フェソロデックスを使用した。
【0275】
腫瘍の測定と実験指標:
週に2回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は:V=0.5a×bであり、aとbは、それぞれ腫瘍の長径と短径を表す。
【0276】
化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価された。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群のRTV平均値;CRTV:対照群のRTV平均値)。腫瘍の測定結果に従って相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)を計算し、計算式はRTV=V/Vであり、ここで、Vは群を分けて投与する時(即ち、D0)に測定した腫瘍体積であり、Vは特定の測定時の腫瘍体積であり、TRTV及びCRTVは同じ日のデータを取った。
【0277】
TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映する。TGI(%)=[1-(特定の治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-対照群の治療開始時の平均腫瘍体積))×100%。
【0278】
併用投与指数のQ値はキングの式に従って計算され、判定基準:Q値が0.85~1.15の間にある場合は相乗作用(+)を示し、>1.15~2.0は増強作用(++)を示し、<0.85~0.55は拮抗作用(-)を示し、<0.55は有意な拮抗作用(--)を示し;Q=Ea+b/(Ea+Eb-Ea×Eb)であり、ここで、Ea+bは併用投与群における腫瘍抑制率であり、Ea及びEbはそれぞれ単独投与群における腫瘍抑制率であった。
【0279】
実験終了後腫瘍重量を検出し、T/Cweight百分率を計算し、Tweight及びCweightは、それぞれ投与群と溶媒対照群の腫瘍重量を表す。
【0280】
統計分析は、試験終了時のRTVデータに基づいてSPSSソフトを使用して実行された。群間の比較にはone-way ANOVAを使用して分析し、分散が均一ではない場合(F値に有意差がある場合)、Games-Howell法で試験した。p<0.05は、有意差があると見なされた。
【0281】
実験結果:
本実験では、ヒト乳癌異種移植腫瘍モデルにおける式(I)で表される化合物のC型結晶の薬効を評価し、溶媒対照群を参照とした。異なる時点での各群の腫瘍体積及び対応する統計解析結果は表14及び図10に示される通りであり、投与期間中のマウスの体重の変化は図11に示される通りである。
【0282】
投与後21日目、ブランク対照群の平均腫瘍体積は1225mmであった。式(I)で表される化合物は、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、又は30mg/kgの4つの投与量で、その平均腫瘍体積はそれぞれ340mm、179mm、140mm、及び121mmであり、T/C値はそれぞれ27.2%、14.8%、11.3%、及び9.7%であり、TGIはそれぞれ85.3%、100.9%、104.6%、及び106.5%であり、対照群と比べてP値はそれぞれ0.003、0.001、0.001、及び0.001であり、10mg/kg及び30mg/kgの投与量で客観的奏効率(ORR)は25%であり、そのため、式(I)で表される化合物のC型結晶は、上記の投与量でいずれも有意な腫瘍阻害効果を有し、投与量の増加に伴って所定の用量効果関係を示した。
【0283】
【表26】
【0284】
21日目、フルベストラント(5mg/マウス)及びパルボシクリブ(25mg/kg)単独投与群の平均腫瘍体積はそれぞれ593mm及び781mmであり、T/C値はそれぞれ46.9%及び64.0%であり、TGIはそれぞれ60.9%及び42.8%であり、対照群と比較してP値はそれぞれ0.019及び0.219であり、そのため、フルベストラントの単独投与では抗腫瘍効果があったが、パルボシクリブの単独投与では抗腫瘍効果を示さなかった。上記2つの参照化合物と比較して、式(I)で表される化合物のC型結晶は3mg/kgでより強い抗腫瘍効果を示し、その疾患制御率(DCR)は100%に達した。
【0285】
パルボシクリブの単独投与では抗腫瘍効果はないが、式(I)で表される化合物(3mg/kg)をパルボシクリブと併用して投与する場合、平均腫瘍体積は79mmであり、T/C値は6.1%であり、TGIは110.5%であり、対照群、パルボシクリブ、及び式(I)で表される化合物のC型結晶(3mg/kg)群と比べてP値はそれぞれ0.001、0.002、及び0.012であり、その客観的奏効率(ORR)は87.5%に達し、ジンの式(Jin‘s formula)により計算されたQ値は1.10(+)であり、そのため、併用投与は式(I)で表される化合物のC型結晶の単独投与より強力な抗腫瘍効果を示し、相乗的な相加効果であった。
【0286】
実験結論:
ブランク対照群と比較して、式(I)で表される化合物のC型結晶は1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg又は30mg/kgの4つの投与量でいずれも有意な腫瘍阻害効果を有し、有効用量は1mg/kg(TGIは85.3%)であった。式(I)で表される化合物のC型結晶(3mg/kg)をパルボシクリブと併用して使用する場合、単独投与より強力な抗腫瘍効果を示した。担癌マウスは式(I)で表される化合物のC型結晶に良好な耐薬性を示した。本発明の化合物は、マウス薬力学的モデルにおいて優れた腫瘍阻害効果を示し、良好な臨床治療の可能性を有していた。
【0287】
(2)ESR1 D538G突然変異を有するヒト乳癌MCF-7細胞皮下異種移植腫瘍マウスモデルにおける体内薬効研究
実験目的:ESR1 D538G突然変異を有するヒト乳癌MCF7細胞を使用して、BALB/cヌードマウスの体内で皮下異種移植腫瘍モデルを構築し、式(II)で表される化合物のB型結晶の体内抗腫瘍効果を評価した。
【0288】
実験材料:
【0289】
【表27】
【0290】
実験方法及びステップ:
細胞培養の準備:
ESR1 D538G突然変異を有するヒト乳癌MCF7細胞を体外で通常の通り単層培養し、培養条件はEMEM培地に10%のウシ胎児血清、1%のAntibiotic-Antimycotic、2mMのL-Glutamine、1%のNEAAを加え、37℃で5% COのインキュベーターで培養した。週に2回、トリプシン-EDTAを使用して通常の消化処理をし、継代培養した。細胞の飽和度が80%~90%であり、細胞の数が要求に達する場合、細胞を収集してカウントし接種した。
【0291】
実験動物:動物は、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.から購入した。
【0292】
腫瘍細胞の接種と群分け
細胞の接種:各マウスの右背部に0.2mL(10×10細胞)のMCF7 ESR1 D538G細胞(PBS+マトリゲル、体積比1:1)を皮下接種し、平均腫瘍体積が147mmに達した時点で群を分け投与した。実験の群分け及び投与方法は下記の表にされる通りである。投与初日を0日目とした。
【0293】
【表28】
【0294】
医薬の製造:
適切な量の式(II)で表される化合物のB型結晶試料を秤量し、それぞれ0.5、1.5及び5.0mg/mLの溶液に製造し、しばらくボルテックスし、超音波処理して透明な溶液を形成し、溶媒は10%のHP-β-CDであった。適切な量のパルボシクリブを秤量し、5mg/mLの溶液に製造し、pHを4.0に調節し、しばらくボルテックスし、超音波処理して透明な溶液を形成し、溶媒は50mMの乳酸ナトリウム緩衝液であった。
【0295】
腫瘍の測定と実験指標:
週に2回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は:V=0.5a×bであり、aとbは、それぞれ腫瘍の長径と短径を表す。
【0296】
化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価される。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群のRTV平均値;CRTV:陰性対照群のRTV平均値)。腫瘍の測定結果に従って相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)を計算し、計算式はRTV=V/Vであり、ここで、Vは群を分けて投与する時(即ち、D0)に測定した腫瘍体積であり、Vは特定の測定時の腫瘍体積であり、TRTV及びCRTVは同じ日のデータを取った。
【0297】
TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映する。TGI(%)=[1-(特定の治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。
【0298】
実験終了後腫瘍重量を検出し、T/Cweight百分率を計算し、Tweight及びCweightは、それぞれ投与群と溶媒対照群の腫瘍重量を表す。
【0299】
統計分析は、試験終了時のRTVデータに基づいてGraphPad Prismソフトを使用して実行された。複数の群間の比較は、one-way ANOVAを使用して分析し、p<0.05は、有意差があると見なされ、p>0.05は有意差がないと見なされた。
【0300】
実験結果:
本実験では、ESR1 D538G突然変異を有するヒト乳癌MCF7細胞異種移植腫瘍モデルにおける式(II)で表される化合物のB型結晶の薬効を評価し、ブランク対照群を参照とした。異なる時点での各群の腫瘍体積及び統計処理は表12及び図29に示される通りであり、投与期間中のマウスの体重の変化は図13に示される通りである。
【0301】
【表29】
【0302】
群分け後31日目、ブランク対照群の平均腫瘍体積は654mmであった。パルボシクリブ(50mg/kg)単独投与群の平均腫瘍体積は295mmであり、T/C値は45.47%であり、TGIは70.91%であり、ブランク対照群と比較してp値<0.0001であり、パルボシクリブ単独投与は有意な抗腫瘍効果があることが確認された。式(II)で表される化合物のB型結晶は5mg/kg、15mg/kg及び50mg/kgの投与量で平均腫瘍体積がそれぞれ153mm、124mm及び43mmであり、T/Cはそれぞれ24.15%、18.93%及び6.37%であり、TGIはそれぞれ98.86%、104.52%及び120.51%であり、ブランク対照群と比較してp値はいずれも<0.0001であった。式(II)で表される化合物のB型結晶は上記の投与量でいずれも有意な抗腫瘍効果を有し、客観的奏効率は良好な用量依存性を示した。式(II)で表される化合物のB型結晶(5mg/kg)とパルボシクリブ(50mg/kg)の併用投与群の平均腫瘍体積は31mmであり、そのT/Cは4.67%であり、TGIは122.83%であり、ブランク対照群p値<0.0001であり、式(II)で表される化合物のB型結晶又はパルボシクリブ単独投与群と比較して統計的有意性があり(p値<0.0001、相乗係数は2.21)、併用投与群の客観的奏効率は100%に達した。従って、併用投与は単独投与よりも有意な抗腫瘍効果を有していた。
【0303】
上記の結果は、ESR1 D538G突然変異を有するヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍BALB/cヌードマウスモデルにおいて、式(II)で表される化合物のB型結晶は5mg/kg、15mg/kg及び50mg/kgの投与量でいずれも有意な抗腫瘍効果を有することが示唆された。式(II)で表される化合物のB型結晶は、5mg/kgの投与量でパルボシクリブ(50mg/kg)と併用することにより相乗的な抗腫瘍効果を有し、式(II)で表される化合物のB型結晶の50mg/kgの抗腫瘍効果に相当した。
【0304】
実験結論:
式(II)で表される化合物のB型結晶は、ESR1 D538G突然変異を有するMCF7マウス皮下移植腫瘍の増殖に対して抗腫瘍効果を有し、所定の用量依存性を示し、パルボシクリブと併用すると単独投与よりも優れた抗腫瘍効果を示した。実験中、各試験群のマウスは、良好な耐薬性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0305】
図1】式(III)で表される化合物のA型結晶のXRPDパターンである。
図2】式(III)で表される化合物のA型結晶のTGAパターンである。
図3】式(III)で表される化合物のA型結晶のDSCパターンである。
図4】式(II)で表される化合物のB型結晶のXRPDパターンである。
図5】式(II)で表される化合物のB型結晶のTGAパターンである。
図6】式(II)で表される化合物のB型結晶のDSCパターンである。
図7】式(I)で表される化合物のC型結晶のXRPDパターンである。
図8】式(I)で表される化合物のC型結晶のDSCパターンである。
図9】式(II)で表される化合物の単結晶構造の模式図である。
図10】試験化合物を投与した後のヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおける式(I)で表される化合物のC型結晶の腫瘍増殖曲線である。
図11】試験化合物を投与した後のヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおけるフルベストラント及びパルボシクリブと比較した式(I)で表される化合物C型結晶の腫瘍増殖曲線である。
図12】試験化合物の投与後のヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおけるパルボシクリブと組み合わせた式(I)で表される化合物のC型結晶の腫瘍増殖曲線である。
図13】式(I)で表される化合物のC型結晶の投与過程におけるヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
図14】フルベストラント及びパルボシクリブと比較した式(I)で表される化合物のC型結晶の投与過程におけるヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
図15】パルボシクリブと組み合わせた式(I)で表される化合物のC型結晶の投与過程におけるヒト乳癌MCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
図16】ESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおける式(II)で表される化合物のB型結晶の腫瘍増殖曲線である。
図17】ESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスにおけるパルボシクリブと組み合わせた式(II)で表される化合物のB型結晶の腫瘍増殖曲線である。
図18】式(II)で表される化合物のB型結晶の投与過程におけるESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
図19】パルボシクリブと組み合わせた式(II)で表される化合物のB型結晶の投与過程におけるESR1 D538G突然変異を有するMCF7細胞皮下異種移植腫瘍モデル担癌マウスの体重変化百分率(%)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)で表される化合物。
【化1】
【請求項2】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(III)で表される化合物のA型結晶。
【化2】
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項4】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項5】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項6】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項7】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、17.00±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項8】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.18±0.20°、5.92±0.20°、8.12±0.20°、12.30±0.20°、15.64±0.20°、16.42±0.20°、17.00±0.20°、17.66±0.20°、18.26±0.20°、19.54±0.20°、20.06±0.20°、20.92±0.20°、22.08±0.20°、22.62±0.20°、23.32±0.20°、23.86±0.20°、24.70±0.20°、25.48±0.20°、26.68±0.20°、28.50±0.20°、29.54±0.20°、31.58±0.20°、33.20±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項9】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.181°、5.920°、8.119°、12.299°、15.638°、16.418°、17.002°、17.660°、18.261°、19.539°、20.061°、20.919°、22.080°、22.621°、23.320°、23.861°、24.700°、25.483°、26.681°、28.498°、29.542°、31.578°、33.198°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項10】
熱重量分析曲線は150.000±3℃において重量が0.198%減少し、240.000±3℃において重量が10.880%減少することを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項11】
示差走査熱量曲線が175.87±5℃、214.68±5℃及び292.11±5℃において吸熱ピークの開始点を有することを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の式(III)で表される化合物のA型結晶。
【請求項12】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:14.24±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のB型結晶。
【化3】
【請求項13】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.50±0.20°、14.24±0.20°、15.80±0.20°、18.18±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°、25.30±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項12に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項14】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.50±0.20°、7.86±0.20°、14.24±0.20°、15.80±0.20°、16.92±0.20°、18.18±0.20°、19.66±0.20°、20.76±0.20°、22.18±0.20°、23.78±0.20°、25.30±0.20°、26.12±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項13に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項15】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.499°、7.860°、9.739°、10.257°、11.862°、12.255°、13.021°、14.240°、15.417°、15.797°、16.541°、16.920°、17.558°、18.182°、18.439°、18.702°、19.660°、20.381°、20.761°、21.494°、21.647°、22.180°、23.781°、24.099°、24.498°、25.304°、26.118°、26.821°、27.239°、28.579°、28.924°、29.302°、29.881°、30.278°、30.681°、30.938°、31.764°、32.978°、34.260°、35.101°、35.419°、35.761°、36.597°、37.083°、37.540°、38.423°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項14に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項16】
熱重量分析曲線スペクトルは200.000±3℃において重量が0.085%減少することを特徴とする、請求項15に記載の式(II)で表される化合物のB型結晶。
【請求項17】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.90±0.20°、15.82±0.20°、22.26±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のC型結晶。
【化4】
【請求項18】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.90±0.20°、9.82±0.20°、15.82±0.20°、17.48±0.20°、18.64±0.20°、22.26±0.20°、23.74±0.20°、29.36±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項17に記載の式(I)で表される化合物のC型結晶。
【請求項19】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:30±0.20°、4.90±0.20°、9.82±0.20°、11.06±0.20°、14.20±0.20°、15.82±0.20°、17.48±0.20°、18.64±0.20°、22.26±0.20°、23.74±0.20°、24.46±0.20°、29.36±0.20°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項18に記載の式(I)で表される化合物のC型結晶。
【請求項20】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:3.301°、4.901°、7.898°、9.319°、9.819°、11.061°、14.200°、14.721°、15.197°、15.821°、16.457°、17.481°、18.101°、18.642°、19.762°、20.961°、21.382°、22.259°、23.740°、24.461°、25.761°、26.295°、26.943°、27.518°、29.358°、30.075°、31.317°、31.916°、34.598°、37.661°において回折ピークを有することを特徴とする、請求項19に記載の式(I)で表される化合物のC型結晶。

【国際調査報告】