(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-18
(54)【発明の名称】アスファルテン及びエポキシ官能化エチレンコポリマーを含むアスファルト組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 95/00 20060101AFI20241211BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20241211BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C08L95/00
C08L63/00 C ZAB
C08L23/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536203
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022053571
(87)【国際公開番号】W WO2023122126
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ラリオス、ファブリシオ アルテアガ
(72)【発明者】
【氏名】セラット、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ドーティ、ショーン ピー.
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AG001
4J002BB033
4J002BB102
4J002CD192
4J002DH026
4J002GL00
(57)【要約】
本開示は、アスファルト、補充アスファルテン、及びエポキシ官能化ポリエチレンを含んでもよいアスファルト組成物及びその製造方法の実施形態を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト組成物であって、
前記アスファルト組成物の総重量に基づいて、少なくとも70重量%のアスファルトと、
前記アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.25重量%~5重量%の、実験式「E/X/Y/Z」によって表されるエポキシ官能化エチレンコポリマーであって、式中
Eは、エチレンに由来する式-(CH2CH2)-のコポリマー繰り返し単位を表し、
Xは、式-(CH2CR1R2)のコポリマー繰り返し単位を表し、式中、R1は、水素、メチル、又はエチルであり、R2は、1~10個の炭素原子のカルボアルコキシ、アシルオキシ、又はアルコキシであり、
Yは、式-(CH2CR3R4)のコポリマー繰り返し単位を表し、式中、R3は水素又はメチルであり、R4はカルボグリシドキシ又はグリシドキシであり、
Zは、1つ又は複数の追加のコモノマーに由来する任意選択のコポリマー繰り返し単位を表し、
Xの量は0.1~約40重量%であり、Yの量は約0.3~約15重量%であり、Zの量は0~約10重量%であり、Eの量はX、Y及びZの量に対して相補的であり、E、X、Y及びZの重量百分率はエポキシ官能化エチレンコポリマーの総重量に基づく、エポキシ官能化エチレンコポリマーと、
前記アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の補充アスファルテンとを含み、
前記アスファルト組成物が、複合応力クリープ回復(MSCR)試験によって決定される以下の特性:
3.2kPaでの回復不能クリープコンプライアンス(Jnr)<0.2、及び
3.2kPaでの回復率(%R)>40%を示す、
アスファルト組成物。
【請求項2】
前記アスファルト組成物が、2~8重量%の補充アスファルテンを含む、請求項1に記載のアスファルト組成物。
【請求項3】
前記アスファルト組成物が、0.5%~2%の前記エポキシ官能化エチレンコポリマーを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項4】
前記アスファルト組成物の%Rが、>60%、又は好ましくは>70%、又はより好ましくは>75%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項5】
前記アスファルト組成物のJnrが、<0.10、又は好ましくは<0.05である、請求項1~4のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項6】
前記アスファルト組成物が、>10重量%、又は>15重量%、又は>20重量%、又は>25重量%、又は>30重量%の総アスファルテン含有量を含み、前記総アスファルテン含有量が、前記補充アスファルテン+前記アスファルト中の固有アスファルテン含有量に等しい、請求項1~5のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項7】
前記アスファルト組成物が、ゴムを含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項8】
前記アスファルト組成物が、使用済みリサイクル樹脂(PCR)を含み、前記PCRが、使用済み材料から回収されたポリエチレンのブレンドを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項9】
前記PCRが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項8に記載のアスファルト組成物。
【請求項10】
前記アスファルト組成物が、0.01~10重量%のPCRを含む、請求項8又は9に記載のアスファルト組成物。
【請求項11】
前記アスファルト組成物が、ポリリン酸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
【請求項12】
前記アスファルト組成物が、0.01~1.0重量%のポリリン酸を含む、請求項11に記載のアスファルト組成物。
【請求項13】
前記アスファルト、前記エポキシ官能化エチレンコポリマー、及び前記補充アスファルテンを混合して、前記アスファルト組成物を製造することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアスファルト組成物を製造する方法。
【請求項14】
前記アスファルト、前記エポキシ官能化エチレンコポリマー、及び前記補充アスファルテンの前記混合物にポリリン酸を添加することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用済みリサイクル樹脂(PCR)を、前記アスファルト、前記エポキシ官能化エチレンコポリマー、前記補充アスファルテン、及び前記ポリリン酸の前記混合物に添加することを更に含み、前記PCRが、使用済み材料から回収されたポリエチレンのブレンドを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年12月23日に出願された「ASPHALT COMPOSITIONS INCLUDING ASPHALTENE AND EPOXY-FUNCTIONALIZED ETHYLENE COPOLYMER」と題する米国特許出願第63/293,126号の利益及び優先権を主張するものであり、その全内容は、参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は一般に、アスファルトに関し、具体的には、補充アスファルテン及びエポキシ官能化エチレンコポリマーを含むアスファルト組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
アスファルト舗装は、北米において最も一般的な種類の舗装であり、重要なインフラ資産となっている。アスファルト混合物は、アスファルト、骨材、及び充填材から構成される。場合によっては、混合物の特性を改善するために添加剤又は改質剤も添加される。ますます増大する交通需要、過酷な気象条件、及びインフラ管理者が維持費を削減する傾向が、アスファルト性能改善戦略の主な理由である。このことは、業界が従来のアスファルト組成物を改良して性能を改善し、耐用年数を延ばす動機となっている。ポリマー改質剤は、アスファルト改質に使用される最も一般的な材料の1つである。ポリマー改質剤の使用によって達成される利点に加えて、コスト及び相分離は、これらの添加剤の使用に関連するいくつかの欠点の1つである。近年、持続可能性に対する公衆の関心の高まりにより、バインダー性能に悪影響を及ぼすことなく、より持続可能な流れをアスファルト舗装に使用する必要性が生じている。
【0004】
化学反応性ターポリマーは、ポリマー混和性を改善して、ポリマー改質系の操作及び貯蔵中のポリマー相分離を低減するために、並びにアスファルトバインダー特性を改善するために上手く使用されてきた。しかしながら、化学反応性ターポリマーの反応性は、アスファルト組成物中に存在する官能基の量及び種類に大きく関連している。その結果、アスファルト組成物の反応性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、ポリマー改質剤系の性能を改善する目的でアスファルト組成物の反応性を増加させるよう補充アスファルテンを添加することによって、この必要性を満たす。この性能の改善は、アスファルト組成物のレオロジー特性及び引張特性の改善を含んでもよい。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、アスファルト組成物であって、アスファルト組成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%のアスファルト、アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.25重量%~5重量%の、実験式「E/X/Y/Z」によって表されるエポキシ官能化エチレンコポリマーであって、式中、Eは、エチレンに由来する式-(CH2CH2)-のコポリマー繰り返し単位を表し、Xは、式-(CH2CR1R2)のコポリマー繰り返し単位を表し、式中、R1は、水素、メチル、又はエチルであり、R2は、1~10個の炭素原子のカルボアルコキシ、アシルオキシ、又はアルコキシであり、Yは、式-(CH2CR3R4)のコポリマー繰り返し単位を表し、式中、R3は水素又はメチルであり、R4はカルボグリシドキシ又はグリシドキシであり、Zは、1つ又は複数の追加のコモノマーに由来する任意のコポリマー繰り返し単位を表し、Xの量は0.1~約40重量%であり、Yの量は約0.3~約15重量%であり、Zの量は0~約10重量%であり、Eの量はX、Y及びZの量に対して相補的であり、E、X、Y及びZの重量百分率はエポキシ官能化エチレンコポリマーの総重量に基づく、エポキシ官能化エチレンコポリマーと、アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の補充アスファルテンとを混合することを含む、アスファルト組成物。アスファルト組成物は、複合応力クリープ回復(MSCR)試験によって決定される以下の特性:3.2kPaでの回復不能クリープコンプライアンス(Jnr)<0.2、及び3.2kPaでの回復率(%R)>40%を示す。
【0007】
これらの実施形態及び他の実施形態を、以下の「発明を実施するための形態」においてより詳しく記載する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に主題の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0009】
「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、通常、1タイプのみのモノマーから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、並びに2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」という用語を包含する。本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、ターポリマーなどの、2つより多い異なるタイプのモノマーから調製された、コポリマー又はポリマーを含む。
【0010】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%を超えるエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これには、エチレン系ホモポリマー又はコポリマー(単位が2つ以上のコモノマーに由来することを意味する)が含まれる。当該技術分野で既知の一般的な形態のエチレン系ポリマーとしては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
「LLDPE」という用語には、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製された樹脂に加えて、ビスメタロセン触媒(時に「m-LLDPE」とも称される)、ホスフィンイミン、及び幾何拘束型触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂、並びにビス(ビフェニルフェノキシ)触媒(多価アリールオキシエーテル触媒とも称される)を含むがこれに限定されないポストメタロセン分子触媒を使用して作製された樹脂が含まれる。LLDPEは、直鎖状の、実質的に直鎖状の、又は不均質なエチレン系コポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されたものなどの不均質分岐状エチレンポリマー、及びそれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は米国特許第5,854,045号に開示されているものなど)を含む。LLDPE樹脂は、当該技術分野において既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組合せによって作製され得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「アスファルト」という用語は、炭化水素の2つの主要な部分、アスファルテン及びマルテンに分離され得る複合体混合物である。アスファルテンは多環芳香族であり得、ほとんど極性官能基を有する多環芳香族を含み得る。以下の官能基、カルボン酸、アミン、硫化物、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、ポルフィリン、ポルフィリン誘導体、メタロポルフィリンあるいはバナジウム、ニッケル又は鉄のカチオンを含むメタロポルフィリン誘導体のうちの1つ又は複数が存在してもよい。マルテン相は、極性芳香族化合物、芳香族化合物、及びナフテンを含み得る。理論に拘束されることなく、アスファルトは、アスファルテンがマルテンに分散したコロイド分散物であり得、極性芳香族化合物が分散剤として機能し得ると一般に考えられている。アスファルテンは、アスファルトの他の成分と比較して、分子量が比較的高い(約1500ダルトン)。アスファルテンは本質的に両性であり、アスファルトに粘弾性挙動を提供する自己会合を通じて凝集体を形成する可能性がある。アスファルテンは、アスファルトが由来する原油源に応じて、量及び機能が異なる場合がある。適切な粗アスファルトの具体例は、アジャックス(Ajax)、マラソン(Marathon)、ワイオミングサワー(Wyoming Sour)、マヤン(Mayan)、ベネズエラ(Venezuelan)、カナダ(Canadian)、アラビア(Arabian)、トリニダードレイク(Trinidad Lake)、サラマンカ(Salamanca)、ブラジル(Brazilian)、アルゼンチン(Argentinean)、ウルグアイ(Uruguayan)、チリ(Chilean)、及びそれらの2つ以上の組合せを含んでもよい。「アスファルト」という用語は、ビチューメン、アスファルテン、硫黄、窒素及び酸素を含む複素環式化合物;並びに鉄、ニッケル及びバナジウムのような微量の金属のうちの1つ又は複数を含む「アスファルト」を含んでもよい。「アスファルト」という用語は、骨材を更に含み得る。骨材には、石、砂、砂利、及びそれらの組合せが含まれ得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「アスファルト組成物」とは、アスファルト、アスファルテン及びエポキシ官能化エチレンコポリマー、及び任意選択で他の成分の混合物を意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「補充アスファルテン」とは、上述したアスファルト混合物とは別に添加されるアスファルテンを意味する。
【0015】
「未使用リサイクルポリマー」及び「産業使用後リサイクル」という用語は、ISO 14021によって定義される、未使用材料から回収されたポリマーのブレンドを含むポリマーを指す。よって、プレコンシューマー・リサイクルポリマーという総称は、製造プロセス中に廃棄物流から分流された材料から回収されたポリマーのブレンドを含む。プレコンシューマー・リサイクルポリマーという総称は、プロセスにおいて生成され、それを生成したのと同じプロセス内で再利用することができる、再加工、再粉砕、又はスクラップなどの材料の再利用を除外する。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「使用済みリサイクル」樹脂(又は「PCR」)とは、消費者又は産業用途で以前に使用された材料、すなわち、使用済みリサイクルポリマー及び産業使用後リサイクルポリマーを含むポリマー材料を指す。PCRは、典型的には、再生プログラム及び再生工場から収集される。PCR樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、又はエチレン酢酸ビニルのうちの1つ又は複数を含んでもよい。PCRは、1つ以上の汚染物質を含み得る。汚染物質は、再利用のために多少の変更が加えられる前にポリマー材料を使用した結果であってもよい。例えば、汚染物質は、再生プロセスから生じ得るポリマーに加えて、紙、インク、食品残留物、又は他の再生材料を含み得る。PCRは、未使用のポリマー材料とは異なる。未使用のポリマー材料(未使用のバイモーダルポリエチレン樹脂など)は、消費者又は産業用途において以前に使用された材料を含まない。未使用ポリマー材料は、最初のポリマー製造プロセス後に、加熱プロセス又は成形プロセスを受けていないか、又は供されていない。PCR樹脂の物理的、化学的、及び流動特性は、未使用ポリマー樹脂と比較した場合に異なり、このことは、PCRを商業的使用のための配合物に組み込むことに対する課題を提示することができる。
【0017】
本明細書に記載されるようなアスファルト組成物の実施形態を詳細に参照する。アスファルト組成物の実施形態は、アスファルト、補充アスファルテン、及びエポキシ官能化エチレンコポリマーを含んでもよい。
【0018】
アスファルト
実施形態では、本明細書に記載のアスファルト組成物は、アスファルトを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アスファルトは、石油派生物を含んでもよい。アスファルトは、ビチューメンを含んでもよい。ビチューメンは、飽和及び不飽和炭化水素(例えば、脂肪族及び芳香族炭化水素)であり得る。更に、アスファルトは、1つ又は複数のアスファルテン、硫黄、窒素及び酸素を含む複素環式化合物;並びに鉄、ニッケル及びバナジウムなどの微量の金属を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アスファルトは市販のものでもよい。いくつかの実施形態では、アスファルトは天然に存在してもよい。いくつかの実施形態では、アスファルトは、アスファルトの総重量に基づいて、約70重量パーセント(重量%)~100重量%のビチューメンを含んでもよい。他の実施形態では、アスファルトは、少なくとも90%のビチューメンであってもよい。他の実施形態では、アスファルトは、最大100重量%のビチューメンを含み得る。一実施形態では、アスファルト組成物はゴムを含まない。
【0019】
以下に説明するように、アスファルトは、添加された補充アスファルテンとは別のいくらかの固有アスファルテンを含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、アスファルトは、5~35重量%の固有アスファルテン、15~35重量%、20~35重量%、25~35重量%、又は25~30重量%の固有アスファルテンを含んでもよい。
【0020】
実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、少なくとも約70重量パーセント(重量%)~約99.5重量%のアスファルトを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約75重量%~約99.5重量%、約80重量%~約99.5重量%、約80重量%~約95重量%、約80重量%~約90重量%、約80重量%~約85重量%、約85重量%~約99.5重量%、約85重量%~約95重量%、約85重量%~約90重量%、約90重量%~約99.5重量%、約90重量%~約95重量%、又は約95重量%~約99.5重量%のアスファルトを含んでもよい。
【0021】
エポキシ官能化エチレンコポリマー
実施形態では、アスファルト組成物は、エポキシ官能化エチレンコポリマーを含み得る。エポキシ官能化エチレンコポリマーは、コポリマー単位E、X、Y、及びZを含む式E/X/Y/Xによって表されてもよい。
【0022】
実施形態では、Eは、エチレンに由来するコポリマー単位-(CH2CH2)-であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、Xは、式-(CH2CR1R2)のコポリマー繰り返し単位を表してもよく、式中、R1は、水素、メチル、又はエチルであり、R2は、1~10個の炭素原子のカルボアルコキシ、アシルオキシ、又はアルコキシである。
【0024】
更なる実施形態では、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、エポキシ官能化エチレンコポリマーの総重量に基づいて、約0.1重量%~約40重量%のX、約0.1重量%~約30重量%のX、約0.1重量%~約20重量%のX、約0.1重量%~約10重量%のX、約10重量%~約40重量%のX、約10重量%~約30重量%のX、約10重量%~約20重量%のX、約20重量%~約40重量%のX、約20重量%~約30重量%のX、又は約30重量%~約40重量%のXを含んでもよい。
【0025】
実施形態では、Yは、コポリマー単位-(CH2CR3R4)-であり得る。いくつかの実施形態では、R3は、水素又はメチルであり得る。いくつかの実施形態では、R4は、カルボグリシドキシ又はグリシドキシであり得る。いくつかの実施形態では、Yは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルブチルアクリレート、グリシジルビニルエーテル、並びにグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルブチルアクリレート、及びグリシジルビニルエーテルのうちの2つ以上の組合せからなる群から選択され得る。更なる実施形態では、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、エポキシ官能化エチレンコポリマーの総重量に基づいて、約0.3重量%~約15重量%のY、約0.3重量%~約10重量%のY、約0.3重量%~約5重量%のY、約1重量%~約10重量%のY、約1重量%~約5重量%のY、約5重量%~約15重量%のY、約5重量%~約10重量%のY、又は約10重量%~約15重量%のYを含んでもよい。
【0026】
実施形態では、Zは、一酸化炭素、二酸化硫黄、アクリロニトリル、又は他のモノマーを含む追加のコモノマーに由来するコポリマーであってもよい。更なる実施形態では、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、エポキシ官能化エチレンコポリマーの総重量に基づいて、任意に、約0重量%~約10重量%のZ、約0重量%~約8重量%のZ、約0重量%~約6重量%のZ、約0重量%~約4重量%のZ、約0重量%~約2重量%のZ、約2重量%~約10重量%のZ、約2重量%~約8重量%のZ、約2重量%~約6重量%のZ、約2重量%~約4重量%のZ、約4重量%~約10重量%のZ、約4重量%~約8重量%のZ、約4重量%~約6重量%のZ、約6重量%~約10重量%のZ、約6重量%~約8重量%のZ、又は約8重量%~約10重量%のZを含み得る。
【0027】
実施形態では、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、エチレン酢酸ビニルグリシジルメタクリレートターポリマー、エチレンn-ブチルアクリレートグリシジルメタクリレートターポリマー、又はエチレンメチルアクリレートグリシジルメタクリレートターポリマーを含み得る。
【0028】
実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約0.1重量パーセント(重量%)~約10重量%のエポキシ官能化エチレンコポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.5重量%、約0.25重量%~約5重量%、約0.25重量%~約1重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約2重量%、約1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約5重量%を含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、ASTM D1238-65T、Condition Eによって決定されるように、約1000g/10分以下、約0.3g/10分~約1000g/10分、約0.3g/10分~約500g/10分、約0.3g/10分~約250g/10分、又は約0.3g/10分~約100g/10分のメルトフローインデックスを有し得る。
【0030】
補充アスファルテン
アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて0.5重量%~10重量%の補充アスファルテンを含んでもよい。更なる実施形態では、アスファルト組成物は、2~8重量%の補充アスファルテン、又は4~8重量%の補充アスファルテンを含む。
【0031】
更なる実施形態では、アスファルト組成物は、10重量%を超える、15重量%を超える、20重量%を超える、25重量%を超える、30重量%を超える、又は35重量%を超える総アスファルテン含有量を含んでもよく、総アスファルテン含有量は、補充アスファルテン+アスファルト中の固有アスファルテン含有量に等しい。
【0032】
PCR
実施形態では、アスファルト組成物はPCRを含んでもよい。実施形態では、PCRは、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、及び/又はエチレン若しくはプロピレンと無水マレイン酸、メタクリル酸及びアクリル酸との官能化コポリマー、例えばFUSABOND(商標)、AMPLIFY(商標)、BYNEL(商標)SURLYN(商標)、NUCREL(商標)(多層構造のタイ層として使用)のうちの1つ又は複数を含んでもよい。実施形態では、PCRは、PCRの総重量に基づいて、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、又はエチレン酢酸ビニルのうちの1つ又は複数を最大99.99重量%で含んでもよい。他の実施形態では、PCRは、PCRの総重量に基づいて、約51重量%~約99.99重量%、約60重量%~約99.99重量%、約70重量%~約99.99重量%、約80重量%~約99.99重量%、又は約90重量%~約99.99重量%のエチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルのうちの1つ又は複数を含んでもよい。更なる実施形態では、PCRは、エチレン系ポリマーを含んでもよい。
【0033】
実施形態では、PCRは、PCRの総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の汚染物質を含んでもよい。他の実施形態では、PCRは、PCRの総重量に基づいて、少なくとも約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.01重量%~約20重量%、約0.01重量%~約30重量%、又は約0.01重量%~約40重量%の汚染物質を含んでもよい。
【0034】
PCRをアスファルト組成物に組み込むことにより、アスファルト組成物に持続可能性の利点を提供してもよい。更なる実施形態では、持続可能性の利点を提供する一方で、現在記載されているアスファルト組成物は、様々な温度状況におけるわだち掘れ及びクラック等の故障モードに耐性であり得る。更に、改善された又は同等の特性を有する一方で、再生されていないポリマー成分を含むアスファルト組成物と比較した場合、本明細書に記載のアスファルト組成物は、持続可能性の利点を更に高めることができた。いくつかの実施形態では、PCRは、HDPEを含んでもよい。HDPE PCRは、約0.945グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.970g/cc、約0.950g/cc~約0.965g/cc、約0.955g/cc~約0.965g/ccの密度を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、PCRは、LLDPEを含んでもよい。更なる実施形態では、LLDPE PCRは、約0.858グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.918g/cc、約0.858g/cc~約0.910g/cc、約0.858g/cc~約0.900g/cc、約0.858g/cc~約0.890g/cc、約0.858g/cc~約0.880g/cc、約0.858g/cc~約0.870g/cc、約0.870グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.918g/cc、約0.870g/cc~約0.910g/cc、約0.870g/cc~約0.900g/cc、約0.870g/cc~約0.890g/cc、約0.870g/cc~約0.880g/cc、約0.880グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.918g/cc、約0.880g/cc~約0.910g/cc、約0.880g/cc~約0.900g/cc、約0.880g/cc~約0.890g/cc、約0.890グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.918g/cc、約0.890g/cc~約0.910g/cc、約0.890g/cc~約0.900g/cc、約0.900グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.918g/cc、約0.900g/cc~約0.910g/cc、又は約0.910グラム毎立方センチメートル(g/cc)~約0.918g/ccの密度を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、LLDPE PCRは、190°C及び2.16kgの荷重でASTM D1238に従って測定された場合、10分当たり約20グラム(g/10分)未満のメルトインデックスI2を含んでもよい。更なる実施形態では、LLDPEは、約0.1g/10分~約20.0g/10分、約0.1g/10分~約15.0g/10分、約0.1g/10分~約10.0g/10分、約0.1g/10分~約5g/10分、約0.1g/10分~約1.0g/10分、約0.1g/10分~約0.5g/10分、約1.0g/10分~約20.0g/10分、約1.0g/10分~約15.0g/10分、約1.0g/10分~約10.0g/10分、約1.0g/10分~約5g/10分、約5.0g/10分~約20.0g/10分、約5.0g/10分~約15.0g/10分、約5.0g/10分~約10.0g/10分、約10.0g/10分~約20.0g/10分、約10.0g/10分~約15.0g/10分、又は約15.0g/10分~約20.0g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。
【0037】
実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約0.25重量パーセント(重量%)~約20重量%の再生ポリマー成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約0.25重量%~約20重量%、約0.25重量%~約15重量%、約0.25重量%~約10重量%、約0.25重量%~約5重量%、約0.25重量%~約1重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、又は約15重量%~約20重量%のPCRを含んでもよい。
【0038】
理論に拘束されるものではないが、ポリマーの官能化は、材料を化学的に結合させて、アスファルト組成物のレオロジー特性及び引張特性を強化する効果的な経路であってもよいと考えられている。更に、理論に拘束されるものではないが、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、他のポリマーと比較して、エチレン系ポリマーと比較的適合性があってもよいと考えられている。
【0039】
アスファルト組成物は任意選択で、PCRに加えて、本明細書で「追加のポリマー」と呼ばれる1つ又は複数のポリマーを更に含んでもよい。1つ又は複数の追加のポリマーは、アスファルト又は本明細書に記載されるエポキシ官能化エチレンコポリマーと反応しなくてもよい。1つ又は複数の追加のポリマーは、アスファルト又はエポキシ官能化エチレンコポリマーと反応してはならないため、それらは「希釈剤」ポリマーと呼ばれることがある。
【0040】
添加剤
実施形態では、アスファルト組成物は、1つ又は複数の添加剤を含み得る。1つ又は複数の添加剤は、アスファルト組成物が改善された安定性を有することを可能にし、アスファルト組成物のレオロジー特性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の添加剤は、アスファルト組成物が硫黄との架橋を含むことを可能にし得る。更なる実施形態では、1つ又は複数の添加剤は、硫黄系添加剤を含み得る。市販の硫黄系添加剤には、水素化処理されたナフテン系石油、元素硫黄、レオロジー添加剤、及びその他の成分を含む、Ergon、IncからのBGAを挙げることができる。
【0041】
実施形態では、アスファルト組成物は酸を含み得る。いくつかの実施形態では、酸は、ポリリン酸であってもよい。更なる実施形態では、ポリマー強化アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約0.05重量%~約1重量%、約0.05重量%~約0.8重量%、約0.05重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約0.4重量%、約0.05重量%~約0.2重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、約0.2重量%~約0.6重量%、約0.2重量%~約0.4重量%、約0.4重量%~約1重量%、約0.4重量%~約0.8重量%、約0.4重量%~約0.6重量%、約0.6重量%~約1重量%、約0.6重量%~約0.8重量%、又は約0.8重量%~約1重量%の酸を含み得る。
【0042】
実施形態では、アスファルト組成物は無水物を含み得る。更なる実施形態では、アスファルト組成物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて、約0.05重量%~約1重量%、約0.05重量%~約0.8重量%、約0.05重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約0.4重量%、約0.05重量%~約0.2重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、約0.2重量%~約0.6重量%、約0.2重量%~約0.4重量%、約0.4重量%~約1重量%、約0.4重量%~約0.8重量%、約0.4重量%~約0.6重量%、約0.6重量%~約1重量%、約0.6重量%~約0.8重量%、又は約0.8重量%~約1重量%の無水物を含み得る。
【0043】
アスファルト組成物の特性
アスファルト組成物は、複合応力クリープ回復(MSCR)試験によって決定される以下の特性:3.2kPaでの回復不能クリープコンプライアンス(Jnr)<0.2、及び3.2kPaでの回復率(%R)>40%を示してもよい。更なる実施形態では、アスファルト組成物のJnrは、0.10未満、又は0.05未満である。アスファルト組成物の%Rは、60%超、70%超、又は75%超である。MSCR試験からの回復率の値は、サンプルの弾性応答の尺度であると考えられる。回復不能クリープコンプライアンスは、既知の応力の荷重に繰り返し曝露した後の永久歪みに対するアスファルトの耐性の指標であると考えられる。
【0044】
製造方法
アスファルト組成物を製造するために、アスファルトを、補充アスファルテン、エポキシ官能化エチレンコポリマー、並びに任意選択でポリリン酸及びPCRとブレンドしてもよい。いくつかの実施形態では、アスファルト組成物は、ブレンド中に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、アスファルト組成物は、最大200℃まで加熱されてもよい。他の実施形態では、アスファルト組成物は、約100℃~約200℃、約100℃~約180℃、約100℃~約160℃、約100℃~約140℃、約100℃~約120℃、約120℃~約200℃、約120℃~約180℃、約120℃~約160℃、約120℃~約140℃、約140℃~約200℃、約140℃~約180℃、約140℃~約160℃、約160℃~約200℃、約160℃~約180℃、又は約180℃~約200℃の温度に加熱されてもよい。
【0045】
いくつかの更なる実施形態では、アスファルト組成物を製造するために、ブレンドは、約0.5時間~約4時間、約0.5時間~約3時間、約0.5時間~約2時間、約0.5時間~約1時間、約1時間~約5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3時間、約1時間~約2時間、約2時間~約5時間、約2時間~約4時間、約2時間~約3時間、約3時間~約5時間、約3時間~約4時間、又は約4時間~約5時間行われてもよい。
【0046】
試験方法
密度は、ASTM D792-13、Standard Test Methods for Density and Specific Gravity (Relative Density)of Plastics by Displacement、方法B(水以外の液体、例えば、液体2-プロパノール中の固体プラスチックを試験するため)に従って測定される。結果を、グラム毎立方センチメートル単位(g/cm3)で報告した。
【0047】
メルトインデックス(190℃、2.16kg、「I 2」)試験方法:ASTM D 1238-13、Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer、190℃/2.16キログラム(kg)の条件を使用。結果を、10分当たりに溶出したグラム単位(g/10分)又は1.0分当たりのデシグラム(dg/1分)での等量で報告した。
【0048】
米国全州道路交通運輸行政官協会(AASHTO)は、高速道路の設計及び建設に使用できるアスファルト組成物の仕様、試験プロトコル、及びガイドラインを公開する標準設定機関である。本明細書で使用される試験方法は、以下を含む。
【0049】
複合応力クリープ及び回復
AASHTO T350-14のStandard Method of Test for Multiple Stress Creep Recovery(MSCR)Test of Asphalt Binder Using a Dynamic Shear Rheometer(DSR)に従って、67℃での複合応力クリープ及び回復(MSCR)を使用して、回転薄膜加熱エージングサンプルを試験した。MSCR試験からの回復率の値は、サンプルの弾性応答の尺度であると考えられる。回復不能クリープコンプライアンスは、既知の応力の荷重に繰り返し曝露した後の永久歪みに対するアスファルトの耐性の指標であると考えられる。
【0050】
飽和分、芳香族、樹脂及びアスファルテン(SARA)画分分析
以下の手順(ASTM D2007-93と同様)を用いて画分を生成した:1gの試料を50mLのn-ヘプタンに溶解した。混合物を超音波処理し、暗所で一晩保存した。n-ヘプタン不溶分(アスファルテン画分)を、ブフナー漏斗及び真空濾過フラスコを備えたWhatman 934 AH 47mm濾紙を用いて濾過した。濾紙上のn-ヘプタン不溶分をn-ヘプタンで洗浄した後、室内窒素気流下、室温で乾燥した。n-ヘプタン溶液を窒素流下で乾燥させることにより、n-ヘプタンに可溶なマルテンを得た。乾燥したマルテンを6mLのn-ヘプタンに再溶解した。このマルテン溶液を活性アルミナ3gと混合し、マルテンを活性アルミナの表面に吸着させた。窒素流下で連続的に撹拌しながら、このマルテン-アルミナスラリーを乾燥させた。ガラスカラムに、40gの中性アルミナ吸着剤(450℃で6時間活性化し、1重量%の水を添加)を充填した。ガラスカラム中の中性アルミナ吸着剤の上部に、マルテン吸着アルミナを充填した。次に、ガラスビーズの1/2”層を加え、ガラスウールプラグを上部に設けた。ガラスビーズ及びガラスウールは、溶出溶媒を添加したときに、マルテン吸着アルミナ層を所定の位置に保持する役割を果たした。充填カラムを80mLのn-ヘプタンで溶出することにより飽和分を得た。この後、80mLのトルエンで芳香族を溶出させた。合計40mLの50:50(v/v)トルエン/エタノール混合物、40mLのトルエン、及び40mLのエタノールを順次添加して樹脂を溶出した。各画分を風袋計量したボトルに集めた。各流出液中の溶媒を室内窒素流下で乾燥させ、乾燥重量を記録した。各画分の重量を画分の重量の合計で割ることによって、各画分のパーセントを計算した。市販のガラスカラムは以下の通りだった:内径26mm、長さ305mm、Synthware C383230C、Fisherカタログ#31-500-960。市販のアルミナ吸着剤は以下のものだった:80~200メッシュ、Fisherカタログ#A540-500。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであるが、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以下の実験で、本明細書に記載のアスファルト組成物の実施形態の性能を分析した。
【0052】
実施例で使用したアスファルトバインダーは、64~22のPG等級を有し、SARA画分分析に従って測定して、26重量%の飽和分、34.9重量%の芳香族、10.2重量%の樹脂及び28.9重量%のアスファルテンを含んでいた。
【0053】
実施例で使用したエポキシ官能化ポリエチレンコポリマーを表1に示す。表1に列挙したエポキシ官能化ポリエチレンコポリマーE/X/Y/Z-1~E/X/Y/Z-4を、高圧を使用して連続的に操作する標準的なフリーラジカル共重合法によって調製した。モノマーを、モノマーの反応性、及び組み込まれることが望まれる量に関連する割合で反応混合物に供給する。このようにして、鎖に沿ったモノマー単位の均一でほぼランダムな分布を実現する。この方法での重合は、周知であり、米国特許第4.351.931号(Armitage)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。他の重合技術は、米国特許第5,028,674号(Hatchら)及び米国特許第5,057,593号(Statz)に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
【0055】
実験用アスファルト組成物の成分を以下の表3に示す。以下の表2に列挙される段階的混合プロセスを使用して、機械的ミキサーによって成分を混合した。
【0056】
【0057】
以下の表3に示すように、本発明の実施例は、回復不能クリープコンプライアンス(Jnr)と回復率(%R)との大幅に改善されたバランスを実証する。具体的には、本発明の実施例の全ては、0.2未満のJnr値、及び40%超の%R値を示す。
【0058】
【0059】
添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において、好ましいか、又は特に有利なものとして特定されるが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト組成物を製造する方法であって、前記アスファルト組成物が、複合応力クリープ回復(MSCR)によって決定される以下の特性:
3.2kPaでの回復不能クリープコンプライアンス(Jnr)@<0.2、及び
3.2kPaでの回復率(%R)>40%を示し、
前記アスファルト組成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%のアスファルトと、
前記アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.25重量%~5重量%の、実験式「E/X/Y/Z」によって表されるエポキシ官能化エチレンコポリマーであって、式中
Eは、エチレンに由来する式-(CH2CH2)-のコポリマー繰り返し単位を表し、
Xは、式-(CH2CR1R2)のコポリマー繰り返し単位を表し、式中、R1は、水素、メチル、又はエチルであり、R2は、1~10個の炭素原子のカルボアルコキシ、アシルオキシ、又はアルコキシであり、
Yは、式-(CH2CR3R4)のコポリマー繰り返し単位を表し、式中、R3は水素又はメチルであり、R4はカルボグリシドキシ又はグリシドキシであり、
Zは、1つ又は複数の追加のコモノマーに由来する任意選択のコポリマー繰り返し単位を表し、
Xの量は0.1~約40重量%であり、Yの量は約0.3~約15重量%であり、Zの量は0~約10重量%であり、Eの量はX、Y及びZの量に対して相補的であり、E、X、Y及びZの重量百分率はエポキシ官能化エチレンコポリマーの総重量に基づく、エポキシ官能化エチレンコポリマーと、
前記アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の補充アスファルテンとを混合することを含む、
方法。
【請求項2】
前記アスファルト組成物が、2~8重量%の補充アスファルテンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アスファルト組成物が、0.5%~2%の前記エポキシ官能化エチレンコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アスファルト組成物の%Rが、>60%、又は好ましくは>70%、又はより好ましくは>75%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アスファルト組成物のJnrが、<0.10、又は好ましくは<0.05である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アスファルト組成物が、>10重量%、又は>15重量%、又は>20重量%、又は>25重量%、又は>30重量%の総アスファルテン含有量を含み、前記総アスファルテン含有量が、前記補充アスファルテン+前記アスファルト中の固有アスファルテン含有量に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アスファルト組成物が、ゴムを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アスファルト組成物が、使用済みリサイクル樹脂(PCR)を含み、前記PCRが、使用済み材料から回収されたポリエチレンのブレンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記PCRが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アスファルト組成物が、0.01~10重量%のPCRを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アスファルト組成物が、ポリリン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アスファルト組成物が、0.01~1.0重量%のポリリン酸を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アスファルト、前記エポキシ官能化エチレンコポリマー、及び前記補充アスファルテンの前記混合物にポリリン酸を添加することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
使用済みリサイクル樹脂(PCR)を、前記アスファルト、前記エポキシ官能化エチレンコポリマー、前記補充アスファルテン、及び前記ポリリン酸の前記混合物に添加することを更に含み、前記PCRが、使用済み材料から回収されたポリエチレンのブレンドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アスファルト組成物が、0.01~10重量%のPCRを含む、請求項9に記載の方法アスファルト組成物。
【国際調査報告】