(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-18
(54)【発明の名称】巻線形誘導電動機の自己励起を使用したエネルギー貯蔵電源
(51)【国際特許分類】
H02J 15/00 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H02J15/00 F
H02J15/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539935
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 US2022054373
(87)【国際公開番号】W WO2023129733
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ,スティーブン ビー.
(57)【要約】
貯蔵エネルギー電源は、巻線形誘導電動機(WRIM)を使用して、回転シャフトを介してプライムムーバからエネルギーを受け取り、自己励起ACコンデンサバンクから磁化無効エネルギーを供給し、三次巻線を介してN個のエネルギー貯蔵素子(ESE)にエネルギーを貯蔵して、ESEを放電して、エネルギーを二次巻線を介して負荷生成出力に供給する。各放電ESEは、個々のESEの電圧を合計するよう、二次巻線での全磁束に寄与する。これらの電圧は、二次巻線と各三次巻線との間の変換比により、昇圧または降圧することができる。WRIMは、高レベルのAC及びDC出力電圧を供給するための安全で信頼性の高い効率的なシステムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵電源であって、
第1の磁気コアの周りに360/N度で各々巻き付けられるN個の三次巻線と、第2の磁気コアの周りに360度巻き付けられ、負荷生成出力に結合される二次巻線とを含み、前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コアが径方向の空隙により分離されて、互いに対して回転するように構成されている、巻線形誘導電動機(WRIM)と、
前記第1の磁気コアまたは前記第2の磁気コアのいずれかに結合されるシャフトと、
前記シャフトを回転させ、前記WRIMに動力を供給するように構成された、プライムムーバと、
前記第1の磁気コアの周りに360度巻き付けられた一次巻線または前記三次巻線のいずれかに結合される1つ以上のACコンデンサバンクと、
N個のエネルギー貯蔵素子(ESE)と、
前記三次巻線の1つをそれぞれ前記エネルギー貯蔵素子のそれぞれの1つに結合するN個の双方向AC/DCコンバータと、
WRIMコントローラであって、
充電状態では、前記プライムムーバが、前記シャフトを回転させて、前記1つ以上のACコンデンサバンクによって供給される無効励起により前記径方向の空隙を磁化して、前記WRIMを自己励起し、前記1つ以上のACコンデンサバンクは、前記径方向の空隙を磁化するために必要な遅れ力率無効電力と、前記第1の磁気コアの前記三次巻線の漏れインダクタンスとをバランスさせるために、進み力率無効電力を供給し、前記三次巻線を励起して、前記AC/DCコンバータを介して制御された電力を供給して、前記N個のESEを選択的に充電し、
放電状態では、前記N個のESEの少なくとも一部の容量が、前記AC/DCコンバータを介して逆放電され、前記三次巻線を励起して、回転磁場を形成して前記径方向の空隙を磁化し、前記第2の磁気コアに有効電力を供給し、機械全体の磁束に個別に寄与して、前記二次巻線を磁化して、放電ESEからの電圧の合計に比例するAC出力電圧を前記二次巻線で誘導し、前記N個のESEエネルギー容量の一部を電気エネルギーとして前記負荷生成出力に供給する、
WRIMコントローラと、を含む、
エネルギー貯蔵電源。
【請求項2】
前記WRIMは、前記第2の磁気コアの周りに360度巻かれた前記一次巻線を含み、前記1つ以上のACコンデンサバンクは、前記一次巻線に結合されて、前記径方向の空隙を磁化し、前記一次巻線の漏れインダクタンスに対する無効補償を行う、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項3】
前記一次巻線は、M個の一次巻線にセグメント化され、各前記一次巻線は、前記ACコンデンサバンクの異なる1つに結合され、無効電流は、前記一次巻線とそれぞれのコンデンサバンクとの間で循環し、各前記一次巻線は、前記三次巻線のうちの1つ以上に磁気的に結合され、前記WRIMコントローラは、同時に、前記M個の一次巻線の第1のサブセットに結合される1つ以上のESEを充電し、前記M個の一次巻線の第2のサブセットに結合される1つ以上のESEを放電し、前記第1及び第2のサブセットが重なり合わない、請求項2に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項4】
複数の前記ACコンデンサバンクが、それぞれの複数の三次巻線に結合される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項5】
前記WRIMコントローラが、異なる三次巻線及びACコンデンサバンクに結合された前記ESEを独立して充電または放電するように構成可能である、請求項4に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項6】
前記二次巻線の前記AC出力電圧が、前記N個の三次巻線に対する前記二次巻線の巻数比によって決定される変換比によってスケーリングされる、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項7】
前記変換比は、前記AC出力電圧を増加させるために、全N個のESEのすべてについて平均して、1:1より大きい、請求項6に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項8】
前記負荷生成出力が、エネルギーの双方向の流れのために構成され、前記WRIMが、前記負荷生成出力からエネルギーを選択的に受け取って、前記ESEを充電するよう構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項9】
前記シャフトに結合されたフライホイールであって、前記フライホイールは、前記二次巻線を介して前記プライムムーバ、前記ESE、または前記負荷生成出力からエネルギーを選択的に貯蔵し、前記二次巻線を介して少なくとも前記ESE及び前記負荷生成出力にエネルギーを選択的に供給するように構成される、前記フライホイールをさらに含む、請求項8に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項10】
前記N個のESEが、互いに電気的に絶縁される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項11】
前記N個の双方向AC/DCコンバータが、1つ以上のESEを排他的に選択的に充電するよう独立して制御可能、または前記1つ以上のESEを選択的に放電するよう(XOR)独立して制御可能である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項12】
前記負荷生成出力に結合されて、誘導-抵抗負荷を変調し、前記WRIMの力率を能動的に調整して、前記シャフトの回転速度を変更し、目標電圧の指定された公差内に前記二次巻線の前記AC出力電圧を維持する、負荷力率コントローラ、をさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項13】
エネルギーを貯蔵し、運動エネルギーを前記ESE、前記負荷生成出力に供給する、または前記シャフトの前記回転を維持もしくは加速するために前記シャフトに結合される、フライホイール、をさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項14】
前記WRIMコントローラが、1つ以上のESEを放電して、第1の放電時定数で前記負荷生成出力にエネルギーを供給し、第2の放電時定数で前記負荷生成出力にエネルギーを供給するために前記フライホイールを減速させるように構成され、前記第2の放電時定数は前記第1の放電時定数より長い、請求項13に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項15】
前記WRIMコントローラは、1つ以上のESEを第1の充電時定数で充電することと、前記フライホイールを加速及び充電して、第2の充電時定数でエネルギーを貯蔵するように構成され、前記第2の充電時定数は、前記第1の充電時定数よりも短く、前記WRIMは、前記フライホイールにエネルギーを貯蔵することができ、指定されたピーク電力を有する前記プライムムーバのESEは、前記指定されたピーク電力よりも大きい過渡ピーク電力で前記負荷生成出力にエネルギーを供給することができる、請求項14に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項16】
前記放電状態では、前記WRIMコントローラは、前記シャフトから前記プライムムーバを選択的に切り離すように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項17】
前記放電状態では、前記WRIMコントローラは、前記プライムムーバを前記シャフトに結合したままにし、前記二次巻線を介して前記負荷生成出力に追加のエネルギーを供給するように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項18】
ロータアセンブリが、第2の磁気コアの周りに巻かれる二次巻線を含み、ステータアセンブリが、第1の磁気コアの周りに巻かれる一次巻線を含み、2つの前記ロータアセンブリが前記シャフトに、または前記プライムムーバに接続され、各ロータアセンブリは、別個のステータアセンブリ内で動作し、各ステータアセンブリは、N1及びN2の別個のESEと、N1及びN2の三次巻線とを有し、2つ以上の独立した負荷生成出力に磁気的に結合される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項19】
エネルギー貯蔵電源であって、
固定磁気コアの周りに360度巻き付けられる一次巻線と、径方向の空隙によって前記固定磁気コアから分離され、負荷生成出力に結合される、回転磁気コアの周りに360度巻き付けられる二次巻線と、前記固定磁気コアの周りにそれぞれ360/N度で巻かれるN個の三次巻線と、を含む、巻線形誘導電動機(WRIM)であって、二次巻数Nsと三次巻数Nt(i)の巻数比i=1対Nが、1より大きい平均ス昇圧変換比を定義する、巻線形誘導電動機(WRIM)と、
前記回転磁気コアに結合されるロータシャフトと、
前記ロータシャフトに結合されるフライホイールと、
前記ロータシャフトを回転させ、前記WRIMに動力を供給するように構成された、プライムムーバと、
前記一次巻線に結合されたACコンデンサバンクと、
N個のエネルギー貯蔵素子(ESE)と、
前記三次巻線の1つをそれぞれ前記エネルギー貯蔵素子のそれぞれの1つに結合するN個の双方向AC/DCコンバータと、
WRIMコントローラであって、
1つ以上の充電状態では、前記プライムムーバが、前記ロータシャフトを回転させて、前記ACコンデンサバンクによって供給される無効励起により前記径方向の空隙を磁化して、前記WRIMを自己励起し、前記ACコンデンサバンクは、径方向の空隙を磁化するために必要な遅れ力率無効電力と、前記固定磁気コアの前記一次巻線及び前記三次巻線の漏れインダクタンスとをバランスさせるために、進み力率無効電力を供給し、前記三次巻線を励起して、前記AC/DCコンバータを介して制御された電力を供給して、前記N個のESEを選択的に充電して、前記フライホイールを充電するためのトルクを生成し、
1つ以上の放電状態では、前記N個のESEのうちの少なくとも一部の容量が、前記AC/DCコンバータを通して放電して戻し、前記三次巻線を励起して回転磁界を生成し、前記径方向の空隙を磁化して前記回転磁気コアへ実際の電力を供給し、前記二次巻線を磁化するために総機械磁束に個別に寄与して、放電中のESEからの電圧の合計にそれぞれの昇圧変換比を乗じた値に比例するAC出力電圧を前記二次巻線に誘導し、前記N個のESEのエネルギー容量の一部を電気エネルギーとして前記負荷生成出力に供給するか、または前記フライホイールがエネルギーを前記二次巻線を通して前記負荷生成出力に放電する、
WRIMコントローラと、を含む、
エネルギー貯蔵電源。
【請求項20】
エネルギー貯蔵電源であって、
第1の磁気コアの周りに360/Nで各々巻き付けられて分布しているN個の三次巻線と、第2の磁気コアの周りに360度巻き付けられ、負荷生成出力に結合される、二次巻線とを含み、前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コアが径方向の空隙により分離されて、互いに対して回転するように構成されている、巻線形誘導電動機(WRIM)と、
N個のエネルギー貯蔵素子(ESE)と、
N個の双方向AC/DCコンバータであって、それぞれ前記三次巻線のうちの1つを前記エネルギー貯蔵素子のそれぞれ1つに結合する、双方向AC/DCコンバータと、
WRIMコントローラであって、
充電状態では、外部電源が前記WRIMに結合され、回転磁界を生成して前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとの間の相対的な回転をもたらし、前記三次巻線を磁化して前記AC/DCコンバータを通して電力を供給し、前記N個のESEを選択的に充電し、
放電状態では、前記AC/DCコンバータを通して放電する前記N個のエネルギー貯蔵素子のうちの少なくとも一部を使用して、前記三次巻線を励起して回転磁界を生成し、前記径方向の空隙を磁化して、前記二次巻線を磁化するために総機械磁束に個別に寄与して、放電中のエネルギー貯蔵素子からの電圧の合計に比例するAC出力電圧を前記二次巻線に誘導し、エネルギーを前記負荷生成出力に供給する、
WRIMコントローラと、を含む、
エネルギー貯蔵電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術の参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月3日に出願された米国特許出願第17/567,611号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外部電源から電力を受け取り、貯蔵し、特に、エネルギーを負荷に供給巻線形誘導電動機(WRIM)を使用して、プライムムーバなどの外部電源からエネルギーを受け取り、自己励起によって機械を磁化させ、N個のエネルギー貯蔵素子(ESE)にエネルギーを貯蔵し、ESEを放電して、負荷生成出力にエネルギーを供給することに関する。フライホイールは、外部電源からESE及び負荷生成出力へのエネルギーを緩衝するために使用され得る。WRIMは、高レベルのAC及びDC出力電圧を供給するための安全で信頼性の高い効率的なシステムを提供する。
【0003】
(関連技術の説明)
エネルギー貯蔵電源は、外部電源、ACまたはDCからエネルギーを受け取り、貯蔵し、必要なときに負荷に電力を供給する。これらのタイプのエネルギー貯蔵電源は、電池、高密度コンデンサ、または燃料電池などのいくつかの個々の蓄電池にエネルギーを貯蔵する。現在の技術では、これらのセルのそれぞれは、約2~3ボルトのDCの生成に制限されている。例えば1,000ボルトなどの高いDC出力電圧を負荷に供給するには、500個の蓄電池を負荷にわたって直列に接続する必要があり得る。実際の欠点としては、サイズ、重量、信頼性、個々のセルの経年劣化に伴う効率の低下、及び安全性への考慮事項が挙げられる。
【0004】
図1に示すように、エネルギー貯蔵電源10は、ACメインのバス14を介してAC入力電圧を供給する電力会社の電力網によって提供され得るようなAC電源12を含む。N個の蓄電池16の充電を補助すべく、同様の複数の降圧トランス18及びAC/DC整流器20が、AC入力電圧を降圧して、それを使用可能な電圧、例えば2~3VのDCに変換し、N個の蓄電池16各々を充電する。蓄電池16は、コンタクタまたは電子スイッチ22を介して相互接続され、それらの個々の電圧を合計して、負荷26にわたってより高いDC出力電圧24を供給するために、閉じているときに蓄電池16のすべての直列接続を設ける。
【0005】
電圧均等化ネットワーク(VEN)28が、蓄電池16の各々にわたって接続されている。各VEN28は、N個の蓄電池のグループ間の蓄電池の端子電圧の差のバランスを補助するために、抵抗器R1と直列の第1のスイッチQ1を含む。各VEN28はまた、特定の蓄電池16が故障した場合にバイパスとして機能する、Q2/R1と並列の第2のスイッチQ2を含む。
【0006】
サイズ、重量、信頼性、効率の損失、及び安全上の考慮事項のために、このアプローチは、蓄電池の数がより大きい場合、例えば、1,000VのDC出力電圧を供給するのに十分なとき、実用的ではない。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するための、本発明の簡略された概要である。本概要は、本発明の主要な、または重要な要素を特定すること、または本発明の範囲を描写したりすることを意図したものではない。その唯一の目的は、後で提示される、より詳細な説明、及び特許請求の範囲の定義への前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0008】
本発明は、外部電源からエネルギーを受け取るために巻線形誘導電動機(WRIM)を使用し、N個のエネルギー貯蔵素子(ESE)にエネルギーを貯蔵し、ESEを放電してエネルギーを負荷生成出力に供給する貯蔵エネルギー電源を提供する。WRIMは、高レベルのAC及びDC出力電圧を供給するための安全で信頼性の高い効率的なシステムを提供する。
【0009】
実施形態では、WRIMは、それぞれが360/N度で巻かれ、第1の磁気コアの周りに分布しているN個の三次巻線と、負荷生成出力に結合される第2の磁気コアの周りに360度で巻き付けられる二次(例えば、ロータ)巻線とを含む。第1の磁気コア及び第2の磁気コアは、径方向の空隙によって分離され、互いに対して回転するように構成される。N個の双方向AC/DCコンバータは、三次巻線のそれぞれを各エネルギー貯蔵素子(ESE)に結合する。各ESEは、電池、高密度コンデンサ、または燃料電池などの1つまたは複数の直列接続された蓄電池を含む。充電状態では、WRIMコントローラは外部エネルギー源をWRIMに結合して回転磁界を作成し、第1の磁気コアと第2の磁気コア(例えば、固定ステータ巻線と回転ロータ巻線)の間に相対的な回転をもたらし、三次巻線を磁化して、AC/DCコンバータを通して電力を供給し、N個のESEを選択的に充電する。放電状態では、WRIMコントローラは、N個のESEの少なくとも一部の容量が、AC/DCコンバータを介して逆放電され、三次巻線を励起して、回転磁場を形成して空隙を磁化し、全体の磁束に個別に寄与して、二次巻線を磁化して、放電エネルギー貯蔵素子からの電圧の合計に比例するAC出力電圧を二次巻線で誘導し、負荷生成出力にエネルギーを供給する。AC出力電圧を整流して、DC出力電圧を供給してもよい。
【0010】
実施形態では、外部エネルギー源は、WRIMに結合されたプライムムーバ(エンジン、風力タービン、ガスタービンなど)であり、シャフトを回転させることにより、第1および第2の磁気コアの相対的な回転がもたらされ、1つ以上のACコンデンサバンクによって供給される無効励起によって径半径の空隙が磁化される。1つ以上のコンデンサバンクは、第1の磁気コアの一次巻線(使用されている場合)または1つ以上の三次巻線に結合され、径方向の空隙を磁化するために必要な遅れ力率無効電力と、巻線のいずれかの漏れインダクタンスをバランスさせるために、進み力率無効電力を供給し、三次巻線を励起して、AC/DCコンバータを介して制御された電力を供給して、N個のESEを選択的に充電する。他のタイプの外部エネルギー源、及びエネルギーをWRIM内に結合する方法が企図され、本発明の範囲内であることが理解される。
【0011】
実施形態では、WRIMは、第1の磁気コアの周りに360度巻き付けられ、自己励起のために遅れ力率無効電力を供給するACコンデンサバンクに結合される一次巻線を含む。別の実施形態では、一次巻線は省かれるか、または接続されない。1つまたは複数のACコンデンサバンクが、それぞれの三次巻線に結合されて、自己励起のために無効電力を供給する。三次巻線を介してそれぞれのACコンデンサバンクに結合されるESEは、独立して充電され、放電され得る。
【0012】
実施形態では、AC出力電圧は、三次巻線のそれぞれの巻数に対する二次翼での巻数によって定義される変成比によってスケーリングされる。昇圧トランスの変圧比は1:1より大きく、出力電圧を増加させるように機能する。例えば、5:1の巻数比と、それぞれ50VのDCを供給する4つのESEとを仮定する。4つのESEすべてを同時に放電すると、1,000VのACのAC出力電圧(50*4*5として計算)を供給できる。昇圧トランスの変圧比は、はるかに少ない蓄電池によって、はるかに高い出力電圧をサポートすることができる。代わりに、巻線比は、低電圧負荷に対応するために降圧トランスの変圧比(1:1未満)をもたらすように設計され得る。
【0013】
実施形態では、WRIMは、シャフトに結合されたフライホイールを任意選択で含む。ESE、フライホイール、電力調整コンバータ、及び負荷のそれぞれは、エネルギーの双方向伝達のために適切に構成される。エネルギーは、ESEまたはフライホイールを充電するためにプライムムーバから、または負荷に直接流れ得る。ESEからのエネルギーは、負荷または場合によってはフライホイールに流れ得る。フライホイールからのエネルギーは、ESEを充電するために、または負荷に逆流する場合がある。最後に、未使用の場合、負荷に貯蔵されたエネルギーは、ESE及びフライホイールに伝達されて戻され得る。
【0014】
実施形態では、一次(例えば、ステータ)(使用される場合)巻線、二次(例えば、ロータ)巻線、及びN個の三次巻線のそれぞれは、相互に電気的に絶縁され、N個のESEは、相互に電気的に絶縁される。
【0015】
実施形態では、単一の一次(例えばステータ)巻線がACコンデンサバンクに結合され、N個の三次巻線がWRIMの同じステータスロットを共有するとすると、N個の双方向AC/DCコンバータは独立して制御可能で、1つ以上のESEを排他的に選択的に充電するか、または(XOR)独立して制御可能で、1つ以上のESEを選択的に放電する。単一の一次側は、異なるESEを同時に充電及び放電することができない。
【0016】
実施形態では、一次(例えば、ステータ)巻線はM個の一次巻線にセグメント化され、そのそれぞれはACコンデンサバンクに結合される。各ACコンデンサバンクは、好ましくは、多相コンデンサバンクである。各一次巻線は、1つ以上の三次巻線に磁気的に結合される。WRIMコントローラは、異なる一次巻線及びACコンデンサバンクに逆結合されたESEを独立して充電または放電するように構成可能である。WRIMコントローラは同時に、M個の一次巻線の第1のサブセットに結合された1つまたは複数のESEを充電し、第1及び第2のサブセットが重複しないM個の一次巻線の第2のサブセットに結合された1つまたは複数のESEを放電できる。例えば、6個の一次巻線がそれぞれ2個の三次巻線に結合されている場合(合計で12個の三次巻線)、WRIMコントローラは同時に、6つの第1の三次巻線に結合されたESEを充電し、一方で6つの第2の三次巻線に結合されたESEを放電し得る。
【0017】
実施形態では、ESEが放電されると、それらの端子電圧が低下し、AC出力電圧が目標電圧未満になり得る。または、AC出力電圧は、他の理由で、目標電圧を超える場合がある。負荷力率コントローラを負荷生成出力に結合して誘導抵抗負荷を変調し、WRIMの力率を能動的に調整してシャフトの回転速度を変化させ、AC出力電圧を目標電圧の指定された許容範囲内に維持することができる。例えば、スリップの増加(ロータ速度の減少)によって、誘導されるAC出力電圧が増加し、ESE電圧の低下が考慮される。
【0018】
実施形態では、フライホイールはシャフトに結合されて、フライホイールが加速されるときに運動エネルギーを貯蔵し、フライホイールが減速するときに運動エネルギーをWRIMに戻す。フライホイールは、WRIMのシャフトに直接結合されてよい、またはWRIMとフライホイールとの間で速度変化をもたらす中間ギアボックスを有してよい。実施形態では、WRIMコントローラは、ESEとフライホイールの両方を充電して、エネルギーを貯蔵する。電池の場合、例えば、ESEはフライホイールよりもはるかに長い時定数で、ゆっくりと充電される。実施形態では、WRIMコントローラは、負荷にエネルギーを供給するために、ESEとフライホイールの両方を放電する。ESEは、フライホイールよりもはるかに短い時定数で迅速にエネルギーを供給する。通常、ESEが部分的に使い果たされたら、フライホイールはエネルギーを供給し始める。フライホイールは、プライムムーバによってWRIMを介して負荷生成出力に供給されるエネルギー/電力を「緩衝」するために使用できる。結果として、プライムムーバのピーク電力能力は、負荷に供給できるピーク電力よりもはるかに低くなり得る。プライムムーバからの入力電力は、時間の経過と共に統合され、次に、例えば大きな過渡パルスで放出される。
【0019】
異なる実施形態では、WRIMコントローラは、ESE及びフライホイール(設けられている場合)に貯蔵されたエネルギーのみを使用して、負荷にエネルギーを供給するために、プライムムーバをWRIMから切り離す、または負荷に追加のエネルギーを供給するためにプライムムーバをWRIMに結合したままにする。
【0020】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】上述のように、既知のエネルギー貯蔵電源のブロック図であり、降圧トランスが個々の蓄電池を充電するように構成され、個々の蓄電池が直列に接続され、それらの電圧を合計し、エネルギーを負荷に供給する。
【
図2】WRIMにエネルギーを供給するためにプライムムーバを使用するエネルギー貯蔵電力システムのブロック図であり、それは、個々のESEとの間でエネルギーを伝達して、負荷にエネルギーを供給する。
【
図3】プライムムーバと、ESEと、フライホイールと、負荷との間の双方向のエネルギーの流れを示す図である。
【
図4A】三相エネルギー貯蔵電力システムの概略図であり、ACコンデンサバンクが一次(ステータ)巻線に結合され、WRIM、双方向AC/DCコンバータ、及びそこで使用される負荷力率コントローラの自己励起に必要な進み力率無効電力を供給する。
【
図4B】三相エネルギー貯蔵電力システムの概略図であり、ACコンデンサバンクが一次(ステータ)巻線に結合され、WRIM、双方向AC/DCコンバータ、及びそこで使用される負荷力率コントローラの自己励起に必要な進み力率無効電力を供給する。
【
図4C】三相エネルギー貯蔵電力システムの概略図であり、ACコンデンサバンクが一次(ステータ)巻線に結合され、WRIM、双方向AC/DCコンバータ、及びそこで使用される負荷力率コントローラの自己励起に必要な進み力率無効電力を供給する。
【
図5A】12極WRIMの実施形態の図であり、一次(ステータ)巻線が固定磁気コアの周りに360度巻き付けられ、二次(ロータ)巻線が回転磁気コアの周りに360度巻かれ、3つの三次巻線はそれぞれ、固定磁気コアのそれぞれ120度で巻かれて、3つの絶縁エネルギーポートを設けており、また三次巻線の巻き付けの図である。
【
図5B】12極WRIMの実施形態の図であり、一次(ステータ)巻線が固定磁気コアの周りに360度巻き付けられ、二次(ロータ)巻線が回転磁気コアの周りに360度巻かれ、3つの三次巻線はそれぞれ、固定磁気コアのそれぞれ120度で巻かれて、3つの絶縁エネルギーポートを設けており、また三次巻線の巻き付けの図である。
【
図6】一次(ステータ)巻線が6つのセグメントにセグメント化され、各セグメントがACコンデンサバンク及び2つの三次巻線に磁気的に結合されて、一次巻線の異なるセグメントによって補助されるESEの同時充電及び放電を容易にする、WRIMの実施形態の図である。
【
図7A】6つの隔離エネルギー貯蔵ポートを有する12極WRIMの実施形態の一次、二次、及び6つの三次巻線の巻線の図である。
【
図7B】6つの隔離エネルギー貯蔵ポートを有する12極WRIMの実施形態の一次、二次、及び6つの三次巻線の巻線の図である。
【
図7C】6つの隔離エネルギー貯蔵ポートを有する12極WRIMの実施形態の一次、二次、及び6つの三次巻線の巻線の図である。
【
図7D】6つの隔離エネルギー貯蔵ポートを有する12極WRIMの実施形態の一次、二次、及び6つの三次巻線の巻線の図である。
【
図9】1つまたは複数のACコンデンサバンクがそれぞれの三次巻線に結合されて、自己励起に必要とされる進み力率無効電力を供給する、WRIMの代替実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、プライムムーバなどの外部電源からエネルギーを受け取るために巻線形誘導電動機(WRIM)を使用し、WRIMの自己励起によりN個のエネルギー貯蔵素子(ESE)にエネルギーを貯蔵し、ESEを放電してエネルギーを負荷生成出力に供給する貯蔵エネルギー電源を提供する。エネルギー貯蔵及び供給は、ロータに取り付けられたフライホイールで補完することができる。WRIMは、高レベルのAC及びDC出力電圧を供給するための安全で信頼性の高い効率的なシステムを設ける。
【0023】
本明細書で使用される場合、プライムムーバは、1つ以上の形態のエネルギー(化学的、電気的、流圧/流量など)を機械的な力に変換して、磁気コア及び場合によってはフライホイールに結合されたシャフトを回転させる任意の機械である。プライムムーバの例は、燃焼エンジン、風力タービン、またはガスタービンである。
【0024】
本明細書で使用される場合、一般的に言えば、WRIMは、実施形態に応じて、第1の磁気コアの周りに360度巻き付けられる一次巻線を含む場合もあれば、含まない場合もあり、第1の磁気コアに対して回転するように構成され、負荷生成出力に結合される第2の磁気コアの周りに360度巻き付けられる二次巻線、及びそれぞれ360/N度で巻き付けられ、第1の磁気コアの周りに分配され、一次巻線(使用される場合)及び二次巻線の両方に磁気的に結合される、N個の三次巻線を含む。一般に、一次(ステータ)巻線及び三次巻線は、いずれかの磁気コアに巻き付けられ、二次(ロータ)巻線は、相互に対して回転する他方のコアに巻き付けられ得る。より慣習的には、一次(ステータ)巻線は固定磁気コアに巻き付けられ、ロータ巻線は、固定磁気コアの内側で回転する内側磁気コアに巻き付けられる。一般性を失うことなく、本発明の実施形態は、追加の三次巻線が固定磁気コアの周りに分配されるステータ及びロータ巻線の従来の命名法を使用して説明される。さらに、巻線は、単相または多相であってもよい。一般性を失うことなく、本発明を従来の三相巻線を使用して説明する。
【0025】
次に
図2を参照すると、エネルギー貯蔵電源200の実施形態は、WRIM202を含む。WRIM202は、固定磁気コア206の周りに360度巻かれたステータ巻線S204と、固定磁気コア206の内部で回転するように構成された回転磁気コア(「ロータ」)210の周りに360度巻かれたロータ巻線R208と、N個の三次巻線T1、T2、…、TN212であって、それぞれ360/N度巻かれ、固定磁気コア206の周りに分散され、一次巻線及び二次巻線の両方に磁気的に結合された、三次巻線T1、T2、…、TN212とを有する。径方向の空隙213が、ロータ210を固定磁気コア206から分離する。ステータ巻線204は、一般的である単一の多相均等分布巻線として示されている。後述されるように、ステータ巻線は、それぞれが1つまたは複数の三次巻線に磁気的に結合されるM個のセグメントにセグメント化され得る。ステータ、ロータ、及び三次巻線は、i=1~Nに対してそれぞれの巻数比Ns、Nr、及びNt(i)を有する。ステータ対三次の比率Ns/Nt(i)は、三次巻線のそれぞれでのAC電圧の大きさを判定する。ロータ対三次の比率Nr/Nt(i)は、三次巻線からロータ巻線への変換比率(昇圧または降圧)を判定する。エネルギー貯蔵ポート214は、それぞれの三次巻線212に結合され、負荷生成出力216は、ロータに結合される。
【0026】
プライムムーバ218は、ロータ210を回転させるシャフト220を回転させ、WRIM202に動力を供給する。ACコンデンサバンク204は、ステータ巻線S204に結合される。ACコンデンサバンク221は、径方向の空隙を磁化するために必要な遅れ力率無効電力と、巻線の漏れインダクタンスをバランスさせるために、進み力率無効電力を供給し、WRIMに「自己励起」するようにする。
【0027】
各ポートは、双方向AC/DCコンバータ224に接続され、それは、エネルギー貯蔵素子(ESE)226に接続される。ESEは好ましくは、互いから電気的に絶縁228されている。各ESE226は、1つ以上の直列に接続された蓄電池230、例えば、電池、高密度コンデンサ、または燃料電池を含む。現在の技術では、各セルは、完全に充電されたときに約2~3VのDCを生成することができる。ESEは同一であってもなくてもよく、同じ総DC電圧を生成する場合もあれば、生成しない場合もある。結果的に、一次対三次の巻線比は、異なるESEを充電するため異なるDC電圧を供給するように設計され得る。
【0028】
WRIMを起動し、ロータ210を速度まで上げるために、プライムムーバ218が、開始エネルギーを与えてシャフト220及びフライホイール240を基準の速度まで上昇させてエネルギーを貯蔵するべく使用される。ギアボックス241は、使用されてもされなくてもよい。好ましい実施形態では、ギアボックスがプライムムーバの速度を増加させて、フライホイール240及びWRIM202が他の場合よりも高速になり、したがって、より高い電力密度になるのを可能にする。ESE AC/DCコンバータ224は非通電にされ、三次巻線212を開く。ロータ210が基準のシャフト速度(例えば、3600rpm)まで上昇すると、ロータは、巻線204を介して適所にコンデンサシャント励起を行い、三次巻線212を磁化する。
【0029】
ESE116のうちの1つ以上を選択的に充電するために、プライムムーバ218は、シャフト220を回転させて、ステータ巻線S204に結合されたACコンデンサバンク221によって供給される無効励起により径方向の空隙213を磁化して、WRIMを自己励起する。ACコンデンサバンクは、径方向の空隙213を磁化するために必要な遅れ力率無効電力と、巻線の漏れインダクタンスをバランスさせるために、進み力率無効電力を供給し、三次巻線212を励起して、AC/DCコンバータ224を介して制御された電力を供給して、N個のESEを選択的に充電する。特定のAC/DCコンバータ224の電源がオフになっている場合、そのESE226は充電されない。
【0030】
放電されると、各ESEは、それぞれのコンバータ224を通して、エネルギー貯蔵ポート214で対応する三次巻線212を励起するAC電圧を生成して、回転磁界を形成して、ロータと固定磁気コアとの間の径方向の空隙213を磁化して、実質の電力をロータ磁気コアへ供給し、ロータ巻線208に磁気的に結合される全磁束に個々に寄与するようにする。エネルギー貯蔵ポートでのAC電圧、したがって総磁束への寄与は、変換比率Nr/Nt(i)によってスケーリングされる。その比率が1より大きい場合、それは三次の電圧レベルを増加させるための昇圧トランスとして機能する。比率が1未満である場合、それは三次の電圧レベルを低下させるための降圧トランスとして機能する。各ESEがそのコンバータを通して選択的に通電されるとき、機械の磁束は、磁気飽和限界まで制御可能な段階で増加する。1つまたは複数のESEは、同時にまたは連続して選択的に充電または放電され得る。
【0031】
回転磁界及び対応する総磁束は、それぞれのロータ対三次巻線比率によって重み付けされた放電ESE226からの電圧の合計に比例するAC出力電圧VoutACをロータ巻線208に誘導し、結合されたエネルギーを負荷生成出力216に供給する。必要に応じて、双方向AC/DCコンバータ232は、三次巻線のAC出力電圧をDC出力電圧VoutDCに変換する。出力電圧VoutACまたはVoutDCは、パルス形成ネットワーク(PFN)234を充電するために使用されるか、またはPFNなしで負荷236に直接供給される。PFN234は、さらに説明するエネルギーのパルスを先鋭化するように配置された誘導性及び容量性素子から構成される。PFN234は、WRIMによって供給されるエネルギーを、それが負荷236に放出される前に、少なくとも一時的に貯蔵することができる。
【0032】
例として、WRIMが全速で、または全速近くで回転している状態で、ESE226のそれぞれは、それらの全レートの電圧まで充電される。これは、直列にそれぞれ2.0ボルトの24個のバッテリーセルを表す例えば48ボルトの低電圧のDCである。充電のためのエネルギーはプライムムーバ218から取り出される。エネルギー貯蔵電源200の目的は、例えば1,000VのDCの高電圧を最終出力で生成することであり、これは、機械式巻線で三相750ボルトのACの最小値に対応する。充電モードでは、ステータ巻線の入力電圧は中程度に高く、三次巻線はより少ない巻数で巻かれ、それにより、約38ボルトのライン対ラインの三相の各ESEのAC/DCコンバータ224のためのAC電圧を必要とする、DC48Vなどのセルのバンクのために、低電圧でセルの充電を行うことができる。WRIMがステータ上で480ボルトのACのために巻かれる場合、例示的な電圧巻数比は480:38、つまり12.6:1である。整数を必要とする実際の機械式巻線の場合、巻線の巻数比は12:1になるべきである。例として3つのESEが構成され、対応する各AC/DCコンバータが38VACの公称端子電圧を達成でき、750VのAC最終出力が必要な場合、ロータ対三次電圧の比は750:(3×38)または6.58:1(ここでは機械のスリップを無視する)になる。実際には、WRIMは、次に大きい整数を巻線の巻数比に対して有するため、ロータ対三次巻線の巻数比は7:1になることになる。1,000VのDC出力は72個のバッテリーセルのみで作り出されるのに対し、直列接続電源では375個のバッテリーセルが必要となることに留意することが重要である。
【0033】
フライホイール240を、任意選択で、シャフト220を介してロータ210に機械的に結合して、運動エネルギーの貯蔵及び供給の両方を行ってもよい。周知のように、エネルギーは、ロータ速度を増加させることによってフライホイールに蓄えられ、ロータ速度を低下させることによってフライホイールから放出される。中間ギアボックス241は、WRIMとフライホイールとの間で速度の変化をもたらすために使用され得る。ロータ速度は主にプライムムーバ218によって制御される。フライホイール240は通常、プライムムーバによって充電されるが、負荷またはESEのいずれかの過剰なエネルギーによって充電され得る。フライホイール240は、ESE226の放電時定数よりも長い時定数でエネルギーを送出する。例えば、実施形態では、ESE226の1つまたは複数は、負荷にエネルギーのバーストを供給するために放電される。ESE226が部分的に放電されるとき、フライホイール240は、はるかに長い時定数でロータ210を通して負荷にエネルギーを供給するために使用される。この結合された放電特性は、多くの場合負荷にとって有益である。
【0034】
実施形態では、WRIMコントローラは、ESEとフライホイールの両方を充電して、エネルギーを貯蔵する。電池の場合、例えば、ESEはゆっくりと充電され、フライホイールよりもはるかに長い時定数を有する。実施形態では、WRIMコントローラは、負荷にエネルギーを供給するために、ESEとフライホイールの両方を放電する。現在の技術によれば、ESEは、フライホイールよりもはるかに短い時定数で迅速にエネルギーを供給することができる。通常、ESEが部分的に使い果たされたら、フライホイールはエネルギーを供給し始める。フライホイールは、プライムムーバによってWRIMを介して負荷生成出力に供給されるエネルギー/電力を「緩衝」するために使用できる。結果として、プライムムーバのピーク電力能力は、負荷に供給できるピーク電力よりもはるかに低くなる可能性がある。プライムムーバからの入力電力は、時間の経過と共に統合され、次に、例えば大きな過渡的なパルスで放出される。
【0035】
WRIMコントローラ242は、開/閉(オフ/オン)ESE AC/DCコンバータ224、出力AC/DCコンバータ232への制御信号と、シャフト218を回転させるため、及びフライホイール240を充電または放電するための制御信号をプライムムーバ218へ生成する。
図3に関連して説明するように、完全双方向システムでは、エネルギーを供給、貯蔵、及び送出する多くの異なる「モード」が存在する。
【0036】
WRIMでは、ステータと三次巻線は、ロータ速度に関係なく、常に同じ周波数f1である。ロータ出力巻線周波数f3は、シャフト速度オメガRに依存する変数である。ロータ回路の周波数はf3=s*f1であり、式中f1は、巻線204または巻線212のいずれかの一次巻線周波数(Hz)であり、sは、s=(オメガS-オメガR)/オメガSとして定義される単位当たりのスリップであり、ここでのオメガSは、2*Pi*f1/極対として定義された同期シャフト速度、及びオメガRは実際のシャフト速度であり、両方ともラジアン/秒単位である。
【0037】
WRIM200がその同期(フル)速度に近い速度で動作している場合、ロータf3の出力周波数は低周波数になる。例えば、スリップ=ユニットあたり0.10、f1が400Hzであれば、ロータ周波数は40Hzになる。出力の目的はこのロータの周波数を整流し、高電圧のDC出力を生成することであり、実際の周波数はあまり重要ではないので、これは許容される。逆に、WRIMシャフト速度が1/2速度点にあり、スリップ=ユニットあたり0.50である場合、200Hzのより高い出力周波数はまたDCに整流して許容される。
【0038】
ESEが完全に充電され、放電の準備ができている場合を考える。プライムムーバが切断されている。一旦ACに変換されると、ESEの合計からの三次巻線電力は、WRIM空隙の径方向の磁束に磁気励起をもたらす。停止時では、三次巻線の組み合わせの作用により誘導されるロータ磁束は最大値に達する。完全な同期速度では、誘導されるロータ磁束はゼロに近いものになる。10%などの実際的な動作スリップでは、誘導されるロータ磁束は、その停止時の値の10%である。
【0039】
WRIMでは、結合されたESEの全出力が誘導機を通過する。これはスリップ動力として定義され、公称スリップ値、例えば10%が常に存在する。エネルギーコンバータとしての機械の効率は一般に92~95%であるため、ロータにおける出力電力は、フル電力1単位当たり0.92~0.95となる。しかしながら、最も重要な態様は、電圧昇圧変換である。前に示したように、所望の全体的なロータ:三次電圧変換比が7:1であり、動作スリップが10%である場合、実際の巻線の巻数比は、10×7、つまり70:1になるべきである。有効な巻数比はNr/(Nt(i)*slip)である。これは、実装するための現実的な数である。例えば、三次巻線は12回ターン/相を有することができ、ESEはそれぞれ36のターン/相を集合的に有し、ロータは2520回のターン/相で巻かれる。12極機では、これは210ターン/相/極に達する。ロータは一般に、3スロット/極/相を有し得、したがって、位相ごとのスロットあたりのターンは70ターンである。
【0040】
別の実際的な問題は、各ESEに貯蔵されたエネルギーが、その放電によって枯渇するにつれて、その端子電圧も低下することである。目標値の指定された公差内での負荷生成出力でVoutACまたはVoutDCを維持することが望ましい。1つの既知のアプローチは、入力電圧と出力電圧の比を変えるようにAC/DCコンバータ224を制御することである。コンバータは、放電ESEからのDC入力電圧の連続的な減少を補償するために反転モードにあるときに、スイッチングデバイスのゲーティングアクションによってAC出力電圧を昇圧する、または一定に維持できる能動式前縁を備えて構築されている。新しいアプローチ(
図4Cにより詳細に示される)は、(力率を1に戻すために容量性負荷を補償することを実行することでそれ自体知られている)負荷率電力コントローラ244を使用して、(a)二次負荷回路の力率を、純粋な抵抗負荷(単一力率)から低下させる、または(b)補助及び制御可能な誘導ブランチによって分岐された抵抗負荷にする。これによりスリップが効果的に修正され、次に変換比が修正され、Voutが目標値に保持される。
【0041】
代替の実施形態では、2つのロータアセンブリ408及び410が、共通シャフト420に、また共通プライムムーバ418に接続される。各ロータは、別個のステータアセンブリ404内で動作し、各ステータは、N1及びN2のESEの別個のエネルギー貯蔵素子426と、2つ以上の独立した電気負荷に磁気的に結合されたN1及びN2の三次巻線412とを有する。
【0042】
図3に示すように、エネルギー貯蔵電源200の描写は、システムを通る異なる双方向のエネルギーの流れ、及び異なる動作の「モード」を示すために簡略化されている。ロータ巻線出力AC/DCコンバータ及び負荷率電力コントローラは、簡単にするために省かれている。巻線のそれぞれは、三相として示されている。明確にするために、
図2と同様の参照符号を維持する。
【0043】
静電(電気化学)蓄電池/バンク(ESE)の正確な数に関係なく、エネルギー貯蔵電源には4つの異なるタイプのエネルギー貯蔵技術があり得ることが理解される。
1. フライホイール慣性エネルギー貯蔵。
2. 低電圧レベルでの静電/電気化学エネルギーの貯蔵。
3. 高電圧レベルでの出力パルス形成ネットワーク(PFN)での容量性エネルギー貯蔵。
4. 電気機械(WRIM)空隙及び巻線のインダクタンスにおける磁気エネルギー貯蔵。
エネルギーは次のように定義される。
E1=プライムムーバのエネルギー。
Ef=機械的エネルギーとしてWRIMロータに入り、ロータから出るフライホイール運動エネルギーの流れ。
EFm=規定の最大速度においてフライホイールに貯蔵される運動エネルギーの最大量。
ES1、ES2、ES3=それぞれのESEに出入りするエネルギーの流れ、必要なAC/DCコンバータは、ゼロまたは最小限のエネルギー貯蔵を有する。エネルギー量はESEによって異なる場合があることに留意されたい。
Eo=WRIMロータ巻線によって生成される、または吸収される中間出力エネルギー、好ましい実施形態では、これは高電圧出力または中電圧出力であり、AC/DC整流後のこのエネルギーは、パルス形成ネットワークまたは電力負荷をPFNなしで直接充電するために使用される。
Efo=パルス形成ネットワーク(PFN)の最終的なエネルギー出力、PFNは、そのコンデンサバンクにエネルギーを貯蔵し、負荷抵抗器へのエネルギーの流れを制御するためのサイリスタなどの出力電子スイッチを含むため、一度に大量のエネルギーを放出するか、またはこのエネルギーをより少量に分割することができる。
【0044】
最も一般的な構成では、フライホイール、ESE、及び負荷はエネルギーを双方向に伝達する。WRIMコントローラは、実質的に任意の組み合わせでコンバータを介して異なるエネルギー源をオン/オフにして、任意の供給源から任意の供給源にエネルギーを伝達及び貯蔵することができる。
【0045】
システムエネルギーフローの最も重要な態様は、7つの基本モードに含まれる。
【0046】
モード0-E1プライムムーバのエネルギーは、最初にフライホイールを充電する、つまりE1=Ef+WRIMのウィンデイジの損失。一定期間後、E1はプライムムーバからES1、ES2、及びES3を介して複数のESEを充電する。ここで、E1=ES1+ES2+ES3と3つのAC/DCコンバータでの少量の損失と、三次巻線損失とが、ステータ巻線Sによって補償される。
【0047】
モード1-慣性エネルギーEfのフライホイール出力の一部は、貯蔵装置のエネルギーES1、ES2、及びES3の合計と結合し、これらが三次巻線の複数のセットに放出されることで、可能な最大出力エネルギーEoが供給され(WRIM内に貯蔵され)、その後、ロータ巻線Rから負荷生成出力に整流され、結果として生じるDC電力は、パルス形成ネットワークコンデンサエネルギーバンク(PFN)にルーティングされ、次に最終負荷にルーティングされる。
【0048】
モード2-プライムムーバの電源がオフにされる。フライホイールは、モード1で、または前の関与もしくはミッションからの別のモードからのいずれかで予め充電されていた。フライホイールエネルギーは最大運動レベルEfmに保たれ、最初は放出されない。低電圧レベルでの静電(または電気化学)供給源ES1、ES2、及びES3は、任意選択の整流によりロータ巻線によって磁気的に結合される。これらのエネルギーES1、ES2、及びES3は、放出され、出力エネルギーEo及び最終出力Efoを生じ、ESEはそのポテンシャルエネルギーレベルの半分程度にまで下げられる。その後、フライホイールを使用して、バランス方程式Ef=ES1+ES2+ES3に従ってESEをまとめて再充電し、これにより、ロータ巻線Rは、機械の空隙を磁化するために使用され、また、制御されたレートでESEを再充電するための電圧/電力を生成する巻線としても機能する。このモードでは、フライホイールがこのモードの全期間回転していると想定している。
【0049】
モード3-プライムムーバはオンであり、ステータ巻線SはACコンデンサバンクを介して励起される。フライホイールは、モード1で、または前の関与もしくはミッションから別のモードからのいずれかで予め充電されていた。フライホイールエネルギーは最大運動レベルEfmに保たれ、最初は放出されない。低電圧レベルのESE ES1、ES2、及びES3は、ロータ巻線によって磁気的に結合され、整流後、これらは放電され、出力エネルギーEo及び最終出力Efoを生成し、ESEはそのポテンシャルエネルギーレベルの半分程度まで低下する。その後、回転中のプライムムーバとフライホイールが共同で使用され、バランス方程式(E1+Ef)=ES1+ES2+ES3に従って静電供給源が再充電され、それによりステータ巻線Sが機械の空隙を磁化するために使用され、ロータ巻線が電圧/電力発生巻線として機能して、フライホイールがその運動エネルギーの一部を現在供給していることに基づいて、制御されたレートでESEを再充電する。複数のAC/DCコンバータは、各エネルギー源への充電レートを個別に制御し、過充電を回避する。
【0050】
モード4-ESEを順次放電する、または1つのESEのみが完全に放電される。ES1を完全に放電させ、ES2及びES3を活発に放電させているが、まだ枯渇していない。ESEへの電流、電圧、及び電力/エネルギーを調節する独立したAC/DCコンバータを使用することにより、フライホイールエネルギーEfは、ES1を充電し、また、次のように表される主要な出力エネルギーEoに寄与する。
Ef=ES1+k1(Eo)、式中k1は、負荷に対するフライホイールの寄与の比例定数であり、例えばユニットあたり0.30であり、
ES2+ES3=k2(Eo)、式中k2は、出力負荷に寄与する2つのエネルギー源の比例定数であり、例えば、ユニットあたり0.70、k1+k2=ユニットあたり1.0である。
【0051】
モード5-ES1~ES3の過去の放電機能により、PFNは完全な容量性エネルギー貯蔵レベルE-PFNまで充電され、最終負荷は始動も接続もされないため、制御システムはPFNの出力エネルギーをWRIMに返す必要があり、そのときこの回収されたエネルギーEoを、フライホイール、ESEのいずれか、またはその両方に分配する。この場合も、ロータ巻線は、機械の空隙を磁化するように機能し、個々のエネルギーレベルに応じて、(PFNに貯蔵された)出力エネルギーEoの一部をESEのうちの1つ、2つ、または3つに供給する発生巻線として機能する。AC/DCコンバータの制御システムは、最低の電圧/充電レベルを有し、この回収されたエネルギーを取得する際にこの供給源に優先権を与えるESEを測定する。ESEがEoのいずれのさらなる部分をも受け入れることができず、フライホイールが完全に充電されている場合(つまりEf=Efm)、この回収されたエネルギーEoを外部の抵抗バンクに排出しなければならない。
【0052】
モード6-全ESEの大部分が完全に充電される。プライムムーバは切断され、ロータは、最初は停止している。負荷を始動するためにPFNを充電する要求があると、エネルギーが、WRIMを起動し、ロータ及びフライホイールを有意な動作速度まで上昇させるために、ESEから伝達される。フライホイールもしくはESE、または両方からのエネルギーは、そのとき、集合的に、PFN及び負荷にエネルギーを供給するために使用される。
【0053】
次に
図4A~4Cを参照すると、3相エネルギー貯蔵電源400の実施形態は、WRIM402を含む。WRIM402は、固定磁気コア406の周りに360度巻かれた3相ステータ励磁巻線S404と、固定磁気コア406の内部で回転するように構成された回転磁気コア(「ロータ」)410の周りに360度巻かれた3相ロータ巻線R408と、N個の三相三次巻線T1、T2、…、TN412であって、それぞれ360/N度巻かれ、固定磁気コア406の周りに分布され、一次巻線及び二次巻線の両方に磁気的に結合された、三相三次巻線とを有する。ロータ巻線は通常、3つのスリップリングのセットと、ロータとAC電流を伝達するためにセットされた電気ブラシとを含む。
【0054】
三相ステータ励起巻線は、「デルタ」巻線として示されているが、Y字などの他の一般的な構成が使用され得る。ステータ、ロータ、及び三次巻線は、i=1~Nに対してそれぞれの巻数比Ns、Nr、及びNt(i)を有する。ステータと三次の比率Ns/Nt(i)は、三次巻線のそれぞれでのAC電圧の大きさを判定する。ロータ対三次の比率Nr/Nt(i)は、三次巻線からロータ巻線への変換比率(昇圧または降圧)を判定する。三相エネルギー貯蔵ポート414は、それぞれの三相三次巻線412に結合され、三相負荷生成出力416は、ロータに結合される。
【0055】
プライムムーバ418は、シャフト420、及び任意選択で、シャフトに結合されたフライホイール413を回転させて、WRIMに動力を供給する。プライムムーバ418は、シャフト420を回転させて、真空遮断器417を介して三相ステータ巻線S404に結合されたACコンデンサバンク415(例えば、デルタ構成で接続された3つのコンデンサ)によって供給される無効励起で、径方向の空隙を磁化し、WRIMを自己励起させる。ACコンデンサバンクは、径方向の空隙を磁化するために必要な遅れ力率無効電力と、固定的磁気コアにおける巻線の一次及び三次巻線の漏れインダクタンスをバランスさせるために、進み力率無効電力を供給し、三次巻線412を励起して、三相エネルギー貯蔵ポート414で制御された電力を供給する。
【0056】
各三相エネルギー貯蔵ポート414は、双方向三相AC/DCコンバータ424に接続され、それは、エネルギー貯蔵素子(ESE)426に接続される。AC/DCコンバータ424が整流モードで動作するように制御されるとき、DC電圧及び電力がESE426に印加されて、ESEを充電する。AC/DCコンバータ424が反転モードで動作するように制御されるとき、ESE426は放電し、三次巻線でAC電圧を生成し、これは、ロータ巻線404に磁気的に結合される全磁束に寄与して、三相負荷生成出力416で三相出力電圧VoutACを生成する。
【0057】
出力電力は、三相双方向AC-DCコンバータ430を介してパルス形成ネットワーク(PFN)432に導かれる。PFNは、2段のPFN(L1、C1、L2、C2)として示されており、それにより、PFNの充電は、インダクタL1の入力側に接続されたIGBTまたはサイリスタなどの直列接続された固体スイッチSWxによって制御される。出力負荷RL434は、固体状態または電気機械的であり得るスイッチSW1を閉じることによって制御される。
【0058】
負荷力率コントローラ438は、ロータ巻線の三相出力で、三相負荷生成出力416に接続される。WRIMがフルの速度に達した後、コントローラ438は、そうでなければ抵抗負荷434にインダクタンスを追加して、WRIMの力率を低下させることができる。これにより、ロータ電流が増加し、また、動作スリップが修正され、それによりロータの回転速度が変わって、AC出力電圧が目標電圧の許容範囲内に維持される。
【0059】
図4Bは、業界で一般的な双方向三相AC/DCコンバータ424の実施形態を示している。AC/DCコンバータ424は、三相エネルギー貯蔵ポート414で三次巻線412とESE426との間に並列に接続された三相受動式ダイオードブリッジ整流器450と能動式サイリスタ(またはIGBT)インバータ452とを含み、ESEをそれぞれ交互に充電及び放電する。整流器450は、3対の直列接続ダイオード454を含む。三相エネルギー貯蔵ポート414は、各対のダイオード454の間に接続される。整流器450は、エネルギー貯蔵ポート414での三相AC電圧を、ESEを充電するために印加されるDC電圧に変換する。インバータ452は、3対の直列接続サイリスタ456を含む。ゲーティングコントローラ458は、サイリスタ456の第
3のリード線を駆動する。三相エネルギー貯蔵ポート414は、各対のダイオード454の間に接続される。インバータ452は、ESEのDC電圧をエネルギー貯蔵ポート414で三相AC電圧に変換して、ESEを放電し、負荷を駆動する。”A BASIC GUIDE TO POWER ELECTRONICS” BY Albert Kloss, John Wiley & Sons, Ch 8 Power Balance in Three-Phase Bridge Converters, pages 100-115, 1984を参照のこと。
【0060】
図4Cは、業界で一般的な負荷率電力コントローラ438の実施形態を示す。負荷力率コントローラ438は、ロータの出力で、三相負荷生成出力416に接続される。コントローラは3つの脚部を有し、各脚部は、インダクタ460(L1、L2、L3)、好適にはエアコアACインダクタ、抵抗器(R1、R2、R3)、及び双方向の電流を生じさせるために逆並列に接続された一対のサイリスタ462と464の直列での接続を含む。ゲーティング位相角コントローラ466は、WRIMコントローラから入力された信号を受信し、各サイリスタのゲートリード線に制御信号を生成する。負荷率電力コントローラ438は、負荷回路の力率を、純粋に抵抗性のものから部分的に誘導性のものに変更し、これにより、力率が1近くから遅れ値まで低下する。これにより、ロータ電流が増加して、また、動作スリップが修正され、それによりロータの回転速度が変わって、AC出力電圧が目標電圧の許容範囲内に維持される。多相誘導バンクの使用は、この速度スリップ制御スキームでは、感知できるほどの実際の電力損失がないことを意味する。”Induction Machines” by Philip L. Alger, Gordon and Breach Science Publishers, CH 8, pages 261-265, 1970を参照のこと。
【0061】
ここで
図5A及び5Bを参照すると、エネルギー貯蔵電源として使用するように構成されたWRIM500の実施形態が、3つの三次巻線グループを備えた12極108ステータスロット/90ロータスロットマシンである。WRIM500は、固定磁気コア504の周りに360度で巻かれる一次(ステータ)巻線502を含む。ステータスロット1~108は、スロットの底部に位置する従来の三相巻線でデルタ接続された12極の重ね巻きの完全に分布された二層コイルを含む。この構成は、3スロット/極/相を有する。二次巻線506が、ロータ磁気コア508の周りに360度巻き付けられる。ロータスロット1~90は、デルタ接続重ね巻き90コイルの完全に分配された三相巻線を含み、これは、2.5スロット/極/相を有する従来の断片的なスロット巻線である。位相ごとの巻数及び電圧が高い。3つの三次巻線T1 510、T2 512、及びT3 514はそれぞれ、正反対の位置で2×60の周囲角度に巻き付けられ、固定磁気コア504の周りに分布される。ステータスロット1~18は、三次巻線T1の第1の部分を含み、ステータスロット19~36は、三次巻線T2の第1の部分を含み、ステータスロット37~54は、三次巻線T3の第1の部分を含む。コイルのレイアウトは、すべてのグループ間でガルバニック絶縁でそれぞれ及びY字接続された三相重ね巻き二層コイルとして、3つの巻線すべてについて正反対に繰り返される。各2極グループは、直径方向の2極グループと並列に接続され、4つの極の合計は120度の弧を形成する。一次巻線はスロットの底部にあり、三次巻線はスロットの上部にある。3つの三次巻線の12極配置を
図5Bに示す。
【0062】
ここで
図6を参照すると、エネルギー貯蔵電源600の実施形態が、固定磁気コア605の周りに巻き付けられ、それぞれのACコンデンサバンク606A、606B…606Dに結合される、セグメント化された一次巻線604A、604B、…604Fを有するWRIM602を含む。この構成は、双方向三相AC/DCコンバータ(図示せず)を介してWRIMの三次巻線に結合された異なるESE(図示せず)を同時に充電または放電するための追加の柔軟性をもたらす。この例では、それぞれが2つの三次巻線に磁気的に結合される6つのセグメント化された一次巻線があり、合計12個の三次巻線610が存在する。一般に、各一次巻線のセグメントは、任意の数の三次巻線に結合され得る。所与の時間に、三次巻線の各対またはグループは、充電している場合、または放電している場合があるが、両方ではない(例えば、XOR動作)。しかしながら、異なる対の三次巻線が充電または放電されていてもよく、それらは互いに独立している。例えば、ステータは72のスロットを有し、セグメント化された一次巻線は4スロット/極/相を有する。各三次巻線は、2スロット/極/相を有する。ロータ巻線612は、3スロット/極/相を有する合計54のスロットで6極のロータ磁気コア614の周りに分布している。径方向の空隙615が、ロータ磁気コア614を固定磁気コア605から分離する。この構成によって、エネルギー貯蔵電源は、負荷にエネルギーを供給するために、他のESEを放電しながら、特定のESEを同時に充電または再充電することができる。
【0063】
ここで
図7A~
図7D及び
図8A~
図8Cを参照すると、6つの三次巻線のグループを有する12極72一次スロット/90二次スロットWRIMの巻線の図及び設計の表が示されている。
【0064】
図7Aに示すように、巻線形誘導電動機の12極の一次(ステータ)巻線700は、三相入力用に配置された一次巻線での総計72個のステータスロットと72のコイルとを有する。各相は、1相あたり24のコイルとして直列接続された全コイルを有する。2スロット/極/相があり、これは、2つのコイルが1つのセットに対して同じ方向に巻かれることを示し、巻く方向は、1セット内の次の2つのコイルに対して交互になる。例えば、相Aのコイル1及び2は時計回りに巻かれ、相Aのコイル7及び8は、反復可能なパターンで、反時計回りに巻かれる。相Bでは、コイル5、6は時計回りに巻かれ、コイル11、12は反時計回りに巻かれる。相Cでは、コイル3、4は反時計回りに巻かれ、コイル9、10は時計回りに巻かれる。一次コイルは機械の周辺に均等に分布される。好ましいコイルは、先行技術の機械の文献に記載されているように、重ね巻き及び二重層である。一般的な導体材料は、より線の絶縁銅線またはより線の絶縁アルミニウム線のいずれかである。各相は、Y字または星型点のニュートラルな接続呼称Nで終端される。本発明は、コイルがデルタ構成で配置され、また、二相構成または三相構成以上で配置される場合でも、同様に適用可能である。好ましい実施形態では、一次巻線はステータスロットの最下層に巻くことができ、三次巻線は最上層に巻くことができる。
【0065】
図7Bに示すように、12極の二次(ロータ)巻線702は、三相入力用に配置された二次巻線での総計90個のロータスロットと90のコイルとを有する。各相は、相及びグループごとに15のコイルと並列な2つのグループを有する。2.5スロット/極/相があり、これは、2つまたは3つのコイルが1つのセットに対して同じ方向に巻かれることを示し、巻く方向は、セット内の次のコイルに対して交互になる。全コイルが、同じ巻数と導体断面とを有し得る。例えば、コイル1、2、及び3(「S極」)は時計回りに巻き付けられ、コイル9及び10(「N極」)は反時計回りに再現可能なパターンで巻き付けられる。二次コイルは、機械ロータの周囲に360度均等に分散される。好ましいコイルは、先行技術の機械の文献に記載されているように、同心巻きまたは重ね巻きの二重層である。一般的な導体材料は、より線の絶縁銅線またはより線の絶縁アルミニウム線のいずれかである。各相はデルタ接続で終端する。励起入力のために機械の3つのスリップリングにアクセスするために、端子A1はC2に接続され、端子C1はB2に接続され、端子B1は端子A2に接続される。
【0066】
図7C~
図7Dに示すように、主要な電気機械の6つの三次交流巻線704が、個々のAC/DC電力コンバータを通してエネルギー貯蔵ユニット(ESE)にアクセスするために使用される。6つのグループのそれぞれは、2つの極、または60度のステータスロット周囲を占有する。合計12極がある。図のブロックの番号は、周の周りに順番に配置されたコイル1~72として接続された、実際の三次コイルの番号に対応している。好ましい実施形態は、総計72個のステータスロットを有する。コイルは、相ごとに2つの並列のグループとY字接続して配置される。各グループは合計12個のコイルを有し、それによって、これが三相巻線であることから設計数はq=2スロット/極/相となる。コイルあたりの巻数は、電気化学電池または静電コンデンサなど、使用されるエネルギー貯蔵ユニットの種類にまさに依存するため、規定されていない。一般に、これらのコイルは低電圧高電流サービスを意図している。好ましいコイルは、先行技術の機械の文献に記載されているように、重ね巻き及び二重層である。一般的な導体材料は、より線の銅線またはより線のアルミニウム線のいずれかである。コイル1~18及び19~36が「N極」用に巻かれ、コイル37~54及び55~72が「S極」用に巻かれる。これにより、交互の磁界を生じさせる際の電流の流れの相対的な方向が規定される。本発明は、コイルがデルタ構成で配置され、また、二相構成または三相構成以上で配置される場合でも、同様に適用可能である。好ましい実施形態は、一次巻線と共通のステータスロットを共有する三次巻線を有する。
【0067】
6つの三次巻線グループを有する12極72ステータ/90ロータスロットWRIMのプライムムーバ及び一次(ステータ)、二次(ロータ)、及び三次巻線の特定の実施形態の設計表800、802、及び804が
図8A~8Cに示される。
【0068】
図9に示すように、エネルギー貯蔵電源900の代替の実施形態では、WRIM902は、ステータ巻線Sを備えていないか、またはステータ巻線Sは接続されていない。1つまたは複数のACコンデンサバンク904は、真空回路遮断器906を介してそれぞれの三次巻線412に結合され、機械の空隙の磁化をもたらし、三次及び二次巻線の漏れリアクタンスを補償する。ESE426が直列接続の超コンデンサを含む場合、ACコンデンサ904は、無効電流出力を最小限に抑え得る、なぜならば、双方向AC/DCコンバータ424は、サイリスタゲート遅延角の制御により、AC端子で利用できる無効電流の量が制限されているからである。ESE426が直列接続された電気化学電池を含む場合、ACコンデンサ904は、磁化により多くの進み力率無効電流を供給するために、前の場合よりも大きくなければならない。簡単にするために、同様の要素には、
図4Aからの同様の参照符号が付けられている。1つまたは複数のACコンデンサバンク904は、前述のように、進み力率無効電力を供給して、遅れ力率無効電力を均衡させる。それぞれのACコンデンサバンク904に結合されたESEは、独立してまた同時に充電または放電できる。
【0069】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば多数の変形及び代替実施形態を想定するであろう。そのような変形例及び代替的な実施形態が企図されており、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。
【国際調査報告】