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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】eTXV直接排出噴射式圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 28/26 20060101AFI20241212BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20241212BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F04C28/26 E
B60H1/32 613G
F04C29/04 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558667
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 KR2022007374
(87)【国際公開番号】W WO2022260314
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,729
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/655,007
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケスター, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】カラハン, ロッド
(72)【発明者】
【氏名】クレンシャウ, ブラッド
【テーマコード(参考)】
3H129
3L211
【Fターム(参考)】
3H129AA02
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB43
3H129CC25
3H129CC55
3H129CC64
3H129CC85
3H129CC87
3L211BA34
3L211DA30
3L211EA50
3L211GA29
(57)【要約】
【課題】増加する熱需要に対応するために下流に配置される客室凝縮機の加熱容量を向上させることのできるベーパーインジェクションスクロール圧縮機を備える熱管理システムを提供する。
【解決手段】冷媒回路の熱ポンプモードで作動可能な圧縮機は冷媒が圧縮される圧縮空間を含む。圧縮空間は排出ポートと噴射ポートを含む。排出チャンバーは前記排出ポートにより前記圧縮空間に流体的に連結される。噴射チャンバーは前記噴射ポートにより前記圧縮空間に流体的に連結される。排出再循環経路は前記排出チャンバーと前記噴射チャンバーの間に選択的に流体連通を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出ポートと噴射ポートを含み、冷媒が圧縮される圧縮空間、
前記排出ポートにより前記圧縮空間と連通される排出チャンバー、
前記噴射ポートにより前記圧縮空間と連通される噴射チャンバー、
そして前記排出チャンバーと前記噴射チャンバーの間に選択的に流体連通を提供する排出再循環経路を含むことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記排出チャンバーと前記噴射チャンバーの間に前記流体連通を提供するために前記排出再循環経路に沿って配置される流量制御バルブをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記流量制御バルブは調整可能な膨張機であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記流量制御バルブは全体閉鎖位置、全体開放位置及び複数の中間位置に調整可能なことを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記流量制御バルブは前記排出チャンバー内の前記冷媒の温度によって受動的に調整可能なことを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記流量制御バルブは前記排出チャンバーと前記噴射チャンバーの間の流体連通を防止するために電子制御遮断機能をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記流量制御バルブは電子的に制御されることを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記流量制御バルブは前記冷媒の温度が臨界値を超過する時、排出チャンバーと噴射チャンバーの間の流体連通を防止するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記冷媒は前記圧縮空間で吸入圧力から排出圧力に圧縮されて、前記排出圧力にある冷媒は前記排出ポートを通じて前記排出チャンバーに進入して、前記冷媒は前記排出再循環経路を通過する時に排出圧力で吸入圧力と排出圧力の中間である噴射圧力に圧力が減少し、前記噴射圧力にある冷媒は前記噴射ポートを通じて前記圧縮空間に選択的に連通されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項10】
前記噴射圧力にある冷媒の前記圧縮空間に噴射は前記排出ポートにある冷媒の温度上昇を招くことを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記圧縮空間、前記排出チャンバー、前記噴射チャンバー、前記排出再循環経路は何れも圧縮機のハウジング内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項12】
前記ハウジングは前面ハウジングと後面ハウジングに区分されて、前記圧縮空間、前記排出チャンバー、前記噴射チャンバー、前記排出再循環経路は何れも前記後面ハウジング内に配置されることを特徴とする請求項11に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記圧縮空間、前記排出チャンバー、前記噴射チャンバーは何れも前記圧縮機のハウジングに配置されて、前記排出再循環経路は前記排出チャンバーを前記噴射チャンバーに連結する流体ラインであり、前記流体ラインの少なくとも一部は前記ハウジング外部に延びることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項14】
請求項1に記載の圧縮機を含む冷媒回路として、前記冷媒回路は凝縮機、第1膨張機及び第1膨張機の1次ループに沿って蒸発器をさらに含み、前記冷媒回路は、前記凝縮機と前記膨張機の間の位置で前記1次ループに沿って前記圧縮機の前記噴射チャンバーに延びるバイパス経路をさらに含むことを特徴とする冷媒回路。
【請求項15】
前記バイパス経路は第2膨張機及びインタークーラーを含み、前記インタークーラーは前記バイパス経路を通過する冷媒及び前記膨張機の上流にある前記1次ループを通過する冷媒のそれぞれと熱交換関係にあることを特徴とする請求項14に記載の冷媒回路 。
【請求項16】
圧縮空間で排出チャンバーに冷媒を排出する段階-前記排出された冷媒は排出圧力を有し、
前記排出チャンバー内に配置される前記冷媒を噴射チャンバーに流体連通させる段階、前記冷媒は前記噴射チャンバーにある時に噴射圧力を有し、
前記噴射圧力の前記冷媒を前記圧縮空間に噴射して前記圧縮空間内の冷媒の圧力と温度を上昇させる段階を含むことを特徴とする圧縮機の作動方法。
【請求項17】
前記圧縮空間、前記排出チャンバー、前記噴射チャンバーは何れも前記圧縮機のハウジングに配置されて、前記冷媒は前記ハウジング内に配置される排出再循環経路を通じて前記排出チャンバーから前記噴射チャンバーに流体連通されることを特徴とする請求項16に記載の圧縮機の作動方法。
【請求項18】
流量制御バルブは前記排出チャンバーから前記噴射チャンバーへの前記冷媒の流体連通を選択的に許容することを特徴とする請求項16に記載の圧縮機の作動方法。
【請求項19】
前記流量制御バルブは前記冷媒の圧力を前記排出圧力から前記噴射圧力に下げるように構成される調整可能な膨張機であることを特徴とする請求項18に記載の圧縮機の作動方法。
【請求項20】
前記冷媒は前記圧縮空間内で吸入圧力から前記排出圧力に圧縮されて、前記噴射圧力は前記吸入圧力と前記排出圧力の中間であることを特徴とする請求項16に記載の圧縮機の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はeTXV直接排出噴射式圧縮機に係り、より詳しくは、排出再循環機能を備えるベーパーインジェクションスクロール圧縮機を含む熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車で使用するための熱管理システムは電気自動車の多様な構成要素の温度を管理し/するか車両の客室に伝達される空気を加熱または冷却するための熱ポンプシステムを活用することができる。熱ポンプシステムは冷媒により循環されて少なくとも一つの圧縮機、凝縮機の役割を果たす第1熱交換機、膨張機、蒸発器の役割を果たす第2熱交換器を含む。該システムの圧縮機は下流のコンデンサーに熱を供給するために冷媒の温度を上昇させて、それにより客室に伝達される空気と熱交換関係にあるようになる。したがって、客室凝縮機の加熱容量は圧縮機内で圧縮後、客室凝縮機に入る冷媒の温度に依存する。
【0003】
このような装置の一つの短所は、熱管理システムが暖房需要を満たすために客室凝縮機内の冷媒の加熱容量を増加させなければならない、特に低い周辺空気温度の時に発生する。すなわち、低い周辺温度の空気は客室凝縮機内の冷媒から充分の熱を抽出することによって、熱管理システムの総加熱容量が好ましくない程度に減少し得る。したがって、このような低温条件を考慮して、客室凝縮機に導入される前に冷媒に追加的な熱を提供する必要がある。
【0004】
客室凝縮機内での加熱需要増加の問題に対する解決策として、客室凝縮機の上流冷媒をさらに加熱するためのベーパーインジェクションスクロール圧縮機の使用が含まれる。ベーパーインジェクションスクロール圧縮機はそれぞれ異なる圧力及び/または温度を有する冷媒の2種類の異なる入力を活用して従来のスクロール圧縮機に比べて利点を提供する。一般的にスクロール圧縮機は停止した状態である固定スクロール式と固定スクロールに対して内包されて固定スクロールに対して旋回するように構成される旋回スクロールを含む。固定スクロールと旋回スクロールのそれぞれの類似する螺旋形はもちろん、旋回スクロールの旋回運動は固定スクロールと旋回スクロールの間の実質的に対称的な一対の圧縮チャンバーを持続的に形成する。圧縮チャンバーのそれぞれはベーパーインジェクションスクロール圧縮機の中央集中式排出ポートに対して典型的に対称をなす。冷媒は固定スクロールの半径方向最外郭部に隣接して形成される一つ以上の流入ポートを通じて圧力チャンバーのそれぞれに進入し、固定スクロールに対する旋回スクロールの旋回運動によって各圧力チャンバーは体積が漸進的に減少し、半径方向中央排出ポートに冷媒が接近するほど各圧力チャンバーに配置される冷媒の圧力が漸進的に増加するようになる。
【0005】
外側に配置される流入ポートと固定スクロールの中央に配置される排出ポートの間に半径方向に配置される中間位置にある圧縮チャンバーのそれぞれに復帰された冷媒を噴射することによって、蒸気噴射式スクロール圧縮機は従来方式のスクロール圧縮機とは差別化する。したがって、噴射された冷媒は固定スクロールの流入ポートに形成される吸入圧力と排出ポートに形成される排出圧力の間の一般的な中間に該当する、半径方向に内側に流動する冷媒の圧力を反復的に経る固定スクロールの該領域に位置する圧力チャンバーのそれぞれに入る。噴射された冷媒は圧縮チャンバーに再流入する以前に、内部に復帰された冷媒を収容するために構成されるベーパーインジェクションスクロール圧縮機の噴射チャンバーから由来されたものである。
【0006】
したがって、ベーパーインジェクションスクロール圧縮機は、ベーパーインジェクションスクロール圧縮機の吸入ポートで発生する冷媒の圧力と温度より大きい圧力と温度で圧縮チャンバー内部に冷媒を噴射して、圧縮チャンバーを出る冷媒の加熱容量を増加させるように活用することができる。ベーパーインジェクションスクロール圧縮機を出る冷媒はしたがって、ベーパーインジェクションスクロール圧縮機が圧縮機チャンバー内の中間位置にある加熱した蒸気がない状態で作動される場合、元来より高い温度で客室凝縮機に提供されていることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0025311号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/0285445号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ベーパーインジェクションスクロール圧縮機使用の一つの短所は、熱管理システムの選択されたモードに準じて圧縮チャンバーに冷媒をまた噴射するための適切な温度と圧力でベーパーインジェクションスクロール圧縮機を通じて冷媒を再循環させるために熱管理システムに追加的構成要素を統合させる必要があるということである。このようなシステムでは一般的に、該当する1次的冷媒回路の残りの部分をバイパスしながら、冷媒の復帰のために客室凝縮機の下流位置から分岐されたバイパス経路が含まれる。そのようなバイパス経路はまた、圧縮チャンバーへの噴射以前に冷媒の温度及び/または圧力を調節するための膨張機を含み、該膨張機内の温度減少以後、1次冷媒回路に沿って流動する冷媒から再循環される冷媒に熱を加えるための、膨張機の下流に位置する内部熱交換器を選択的に含むことができる。このような追加的構成要素の導入は結果的な熱管理システムに費用と複雑性を加重させる。
【0009】
前述したシステムに係るもう一つの問題は、客室凝縮機に対して低い経路にある流体分岐の下流配置のため、客室凝縮機内の周辺空気に既に熱気を排出させた冷媒をベーパーインジェクションスクロール圧縮機が依然として収容する方式に関連する。また、内部熱交換器が膨張機宜下流に使用される場合、客室凝縮機内に既に開く発散させた冷媒の流動に対して類似するように冷媒の再加熱が発生する。熱管理システムへのベーパーインジェクションスクロール圧縮機の導入は、したがって、特に前述された蒸気噴射が不足する従来の熱管理システムから明確である同じ理由によって、特に低い周辺温度に対して提起される問題を説明せず、これを処理しない。冷媒の圧力はまた、冷媒が圧縮機に再進入する場合、冷媒温度が大きく落ちる状況に備えて、バイパス経路に沿って配置される膨張機内部に必ず確実に低く配置されなければならない。バイパス経路に沿って冷媒が膨脹されれば、該構成の使用を通じて客室凝縮機に熱容量を追加させる能力が制限される結果につがなる。
【0010】
客室に提供されるべき空気に熱を加えるためのもう一つの方法としては、客室に提供される空気の流動経路に電気駆動正温度係数(positive temperature coefficient、PTC)ヒーターのような加熱装置を統合させることが含まれることができる。しかし、そのような加熱装置の導入は熱管理システムに費用と複雑性を加重させ、空気を適切に加熱するための適切な位置に加熱装置を含めるための空気調和(HVAC: heating、ventilating、and air conditioning)ハウジングの導入必要性を招く。
したがって、増加する熱需要に対応するために下流に配置される客室凝縮機の加熱容量を向上させることのできるベーパーインジェクションスクロール圧縮機を備える熱管理システムを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明と一致して一貫する、冷媒回路の熱容量増加のための排出再循環機能を備えるベーパーインジェクションスクロール圧縮機は驚くべきことに発見された。
【0012】
本発明によれば、圧縮機は冷媒が圧縮される圧縮空間を含み、圧縮空間は排出ポートと噴射ポートを含む。排出チャンバーは前記排出ポートにより前記圧縮空間に流体的に連結される。噴射チャンバーは前記噴射ポートにより前記圧縮空間に流体的に連結される。排出再循環経路は前記排出チャンバーと前記噴射チャンバーの間に流体連通を選択的に提供する。
【0013】
本発明による圧縮機の作動方法がまた開示される。前記方法は圧縮空間で排出チャンバーに冷媒を排出する段階-前記排出された冷媒は排出圧力を有する、前記排出チャンバー内に配置される前記冷媒を噴射チャンバーに流体連通させる段階、前記冷媒は前記噴射チャンバーにある時、噴射圧力を有する、前記噴射圧力の前記冷媒を前記圧縮空間に噴射して前記圧縮空間内の冷媒の圧力と温度を上昇させる段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の他の目的及び利点だけではなく、前記内容は添付の図面をもって考慮する時、本発明に関する次の詳細な説明を読むことによって当業者に容易に明白になるだろう。
図1】本発明の排出再循環機能を有する圧縮機の冷媒回路の概略的な流動ダイヤグラムである。
図2】発明の実施例による排出再循環機能を有する圧縮機の斜視図である。
図3図2の切開線3-3の観点から取られた圧縮機の後面ハウジングを貫通した断面図である。
図4図2の切開線4-4の観点から取られた圧縮機の後面ハウジングを貫通した部分断面図である。
図5図2の切開線5の観点から取られた圧縮機の後面ハウジングを貫通した断面図である。
図6図2の切開線6の観点から取られた圧縮機の後面ハウジングを貫通した断面図である。
図7】密封部材を露出するためにカバープレートを除去した図2の圧縮機の後面ハウジングの観点立面図である。
図8図2の圧縮機の後面ハウジングの後方立面図である。
図9】本発明のもう一つの実施例による圧縮機の排出再循環経路を貫通する断面図である。
図10】本発明のもう一つの実施例による圧縮機の排出再循環経路を貫通する断面図である。
図11】本発明のもう一つの実施例による再循環バイパス機能と関連して排出再循環機能が作動される圧縮機を有する冷媒回路の概略的流れ図である。
図12】本発明のもう一つの実施例による圧縮機の外部に排出再循環機能が配置された冷媒回路の概略的な流動ダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次の詳細な説明と添付図面は本発明の多様な実施例を説明するためのものである。前記説明と図面は当業者が本発明を作って使えるようにするためのもので、如何なる方式でも本発明の範囲を制限するように意図されない。
【0016】
図1は本発明の実施例による冷媒回路を図示する。冷媒回路(10)は車両の熱管理システム一部分を形成する。車両は熱管理システムと該冷媒回路(10)の作動を通じて車両の客室に提供される空気はもちろん、車両の多様な構成要素に熱を提供するために貯蔵された電力に依存する電気自動車またはハイブリッド車両であることができる。
【0017】
冷媒回路(10)は少なくとも圧縮機(12)、第1熱交換機(13)、膨張機(14)、第2熱交換器(15)を含む。図1に図示の冷媒回路(10)は、本質的に単純化されており、下記の方法による作動を説明するために冷媒回路(10)内に同じ関係が存在する限り、本発明の範囲で逸しない範囲で図示される追加的な流動経路、バルブ、及び/また構成要素を含むことができる。
【0018】
冷媒回路(10)は冷媒が第1熱交換機(13)に流動する前に、圧縮機(12)内で圧縮されて加熱される動作の熱ポンプモードを作動するように構成されることができる。冷媒回路が熱ポンプモードで作動可能な時、第1熱交換機(13)は客室凝縮機として構成されることができ、第1熱交換機(13)は客室に提供される空気の選択的熱交換関係のために関連車両のHVAC空気処理ケーシング(図示しない)内に配置されることができる。加熱した冷媒は第1熱交換機(13)を通過する空気に熱を放出することによって、空気を加熱させて冷媒を冷却及び凝縮させる。その後、冷却された液体冷媒は加熱する前に膨張機(14)内で膨張された後、比較的低い温度及び圧力のガスとして圧縮機(12)の第2熱交換器(15)の入口側に復帰する前、前述された流動構成に対して冷媒回路(10)の蒸発器として作用する第2熱交換器(15)内で蒸発される。
【0019】
図示しないが、冷媒回路(10)は熱ポンプモード作動と関連して前述したことと反対の冷媒回路(10)による流動構成を規定するための多様な流体ライン及び/またはバルブを含むことができる。例えば、冷媒が圧縮機(12)に隣接する適切なバルブ及び流動経路配列の使用を通じて圧縮機(12)を出た後に、一般的に反時計回り(図1を参照)に流れる時、冷媒回路(10)はまた作動可能であり、これにより冷媒は第2熱交換器(15)、膨張機(14)、第1熱交換機(13)を通じて順に流れるようになる。このような反対の流動構成は、第1熱交換機(13)により客室蒸発器として機能するようにする結果を招き、ここで熱は客室に提供されるべき空気から第1熱交換機(13)内の冷媒に移動する。
したがって、第1熱交換機(13)は必要によってそのような両方向流動構成が使われる場合、冷媒回路による流動の順序によって加熱または冷却装備のうちの何れかとしての作動が可能である。このような可変及び/または両方向流動構成の例は特許文献1に開示され、該特許の全体内容は本明細書に参照として含まれる。
【0020】
その他の実施例において、冷媒回路(10)にはそのような反対の流動構成が不在することができ、その代わりに前記説明された熱ポンプモードで冷媒回路(10)が作動可能な時、客室蒸発器として作動するように第2熱交換器(15)を該HVAC空気処理ケーシングに統合させることができる。すなわち、車両乗客の空調モード作動選択を基に客室に提供される空気を冷却させるために第2熱交換器(15)は冷媒が選択的に通過するように作るためにそのようなHVAC空気処理ケーシング内に配置されることができる。
【0021】
冷媒回路(10)は関連車両の追加的構成要素またはシステムを加熱及び/または冷却をするために、関連車両の追加的構成要素またはシステムと熱交換連通または流体連通されることができる。例えば、追加的熱交換器は冷媒回路(10)の冷媒と流体連通されることができるが、このような熱交換器は車両のバッテリー、車両の熱発生電子構成要素などを冷却するためのチラーとして備えられることができる。このようなチラーはそのような2次システムと関連する一つ以上の2次冷却水と流体及び/または熱交換連通することができる。他の状況で、このような熱交換器は、該電子構成要素が最も效率的に作動できるようにするために、または該構成要素に蓄積された水または氷を潜在的に増発または解氷するために、冷たい1次的状態にある該構成要素を加熱するように備えられることができる。
【0022】
如何なる状況でも、以下の説明では冷媒回路(10)は圧縮機(12)で第1熱交換機(13)の方向に冷媒が流動する状態で、熱ポンプモードに作動可能であり、これにより第1熱交換機(13)が通過する冷媒を冷却させて、通過するどんな流体も加熱するための凝縮機で作動できるようになることが仮定される。該流体は関連車両の客室に提供される空気であることができる。下記の構造は、冷媒回路(10)と圧縮機(12)の長所を達成するために必要な構成要素の個数を減らすために、そして開示される熱管理システムの長所を活用するために所望の圧力と温度に冷媒を復帰させるために特定の位置と構成が選好されるとしても、本発明の範囲で逸せず圧縮機(12)の下流に配置される側と第1熱交換機(13)の上流に配置される側の間のどんな位置でも該冷媒回路(10)に統合できることが当業者に明確に分かると思われる。
【0023】
圧縮機(12)は第1ハウジング(21)と第2ハウジング(22)に分離できるハウジング(20)を含むことを図1に概略的に図示する。提示する実施例で、第1ハウジング(21)は伝統的に圧縮機(12)の「前面ハウジング」と命名されることができ、第2ハウジング(22)は伝統的に圧縮機の「後面ハウジング」と命名されることができる。前面ハウジング(21)は冷媒が圧縮機(12)で初めて入る時、経る第1端部に向かって配置されることができるが、この部分は圧縮機(12)の流入口端部に該当して、後面ハウジング(22)は冷媒が圧縮機(12)の中で圧縮された以後、圧縮機(12)から出る所に該当するハウジング(20)の第2端部に向かって配置されることができるが、この部分は圧縮機(12)の排出口端部に該当する。前面ハウジング(21)と後面ハウジング(22)はそれぞれ開放空間を限定する実質的に中空の皮状に備えられることができ、ハウジング21と22は円周方向に延長するシーム(seam)に沿って互いに結合されることができ、該開放空間は圧縮機の多様な構成要素を収容するハウジング21と22の協業により形成される。
【0024】
圧縮機(12)は一般的に吸入チャンバー(31)、圧縮空間(32)、排出チャンバー(33)、蒸気噴射チャンバー(34)を含む。吸入チャンバー(31)は前面ハウジング(21)の中に配置されることができ、相対的に低圧低温の気体状態冷媒が圧縮空間(32)に提供されるためにハウジング(21)内部に初めて流入する空間を形成する。圧縮空間(32)はハウジング(20)内部にある空間を意味し、圧縮空間(32)内部で圧縮チャンバー(図示しない)の対を固定スクロールと旋回スクロールの間に反復的に生成するために固定スクロールに対して旋回スクロール(図示しない)が旋回する。このような圧縮チャンバーは固定スクロールに対して旋回スクロールが旋回する間、圧縮チャンバー(32)の半径方向外側部から圧縮空間(32)の半径方向中央に向かって半径方向内側に反復的に形成されて、進展する。このような圧縮チャンバーの持続的が半径方向進展は圧縮チャンバーのそれぞれに保管される冷媒の圧力が圧縮空間(32)の半径方向中心に向かって増加するようにする。また、このような進展は、圧縮空間(32)内で見られるそれぞれの位置が反復的に形成される圧縮チャンバーが通過することによって可変的で実質的に周期的な圧力を受ける一方、各圧縮チャンバーの体積減少によって漸進的に圧力が増加する結果を招く。
【0025】
圧縮空間(32)は冷媒を吸入圧力で圧縮空間(32)に流入させる少なくとも一つの流入口(35)と、圧縮による排出圧力で圧縮空間(32)から冷媒を排出させる少なくとも一つの排出ポート(36)を半径方向内側に進展する各圧縮チャンバー内に含むことができる。流入口(35)それぞれは一例として吸入チャンバー(31)と圧縮空間(32)の間の流体連通を提供するために該固定スクロールまたは旋回スクロールの外周壁に形成される開口部として備えられることができるが、これに制限されない。排出ポート(36)は一つの例示として圧縮空間(32)と排出チャンバー(33)の間の流体連通を提供するために固定スクロールの半径方向中心にまたはその近辺に固定スクロールの軸方向端部壁に開口部として提供されることができるが、これに制限されない。固定スクロールに対して移動する旋回スクロールにより形成されるこのような圧縮空間を有するスクロール圧縮機の一般的な構成及び作動方法は共同所有である米国特許第11、002、272号(Klotten et al.)に開示され、その全体内容は本明細書に参照として含まれる。
【0026】
圧縮空間(32)と排出チャンバー(33)の間の排出ポート(36)には排出チェックバルブ(37)が配置されることができる。排出チェックバルブ(37)は圧縮空間(32)内の排出ポート(36)位置にある冷媒の圧力が、排出チェックバルブ(37)により流入するバイアスはもちろん排出チャンバー(33)内の冷媒の圧力を超過する場合にのみ開放されるように構成される。排出チェックバルブ(37)は排出ポート(36)に向かって圧縮チャンバーが反復的に進展する間、前記説明した圧縮と力の差に到達する度に毎回該排出ポート(36)に対して曲がるリード(reed)バルブであることができ、このような曲がることは排出ポート(36)に通じる通路を開放する傾向がある。しかし、本発明の範囲を逸することなく代案的な一方向チェックバルブ構成が活用されることができる。排出チェックバルブ(37)は固定スクロールに対して旋回スクロールが循環運動する間、冷媒が圧縮空間(32)に所望としない逆流をできなくする。
【0027】
圧縮空間(32)は圧縮空間(32)と蒸気噴射チャンバー(34)の間の選択的に流体連通を提供するための一対の噴射ポート(38)をさらに含むことができる。それぞれの噴射ポート(38)は一例として固定スクロールの半径方向に対して流入口(35)と排出ポート(36)の間の中間にある固定スクロールの軸方向端部壁に開口として備えられることができ、これに制限されない。噴射ポート(38)が流入口(35)と排出ポート(36)の中間の半径方向中間の位置で圧縮空間(32)と連通する方式を図1に概略的に図示する。
【0028】
噴射チェックバルブ(39)は圧縮空間(32)と蒸気噴射チャンバー(34)の間の噴射ポート(38)のそれぞれに配置されることができる。噴射チェックバルブ(39)のそれぞれは蒸気噴射チャンバー(34)内の冷媒圧力が関連噴射チェックバルブ(39)により流入するバイアスはもちろん該噴射ポート(38)の位置にある圧縮空間(32)内の冷媒圧力を超過する場合にのみ開放されるように構成される。噴射チェックバルブ(39)のそれぞれは圧縮チャンバーが噴射ポート(36)に向かって反復的に進展する間、説明された前記圧力と力の差に到達する度に該噴射ポート(38)に対して曲がるリードバルブであることができ、そのような曲がりは蒸気噴射チャンバー(34)と圧縮空間(32)内に形成される圧縮チャンバーの中、瞬間的に整列された一つ間の選択的に流体連通を提供するために該噴射ポート(38)を通す通路を開放する傾向がある。
【0029】
噴射チェックバルブ(39)のそれぞれは固定スクロールに対して旋回スクロールが循環運動する間、冷媒が圧縮空間(32)で蒸気噴射チャンバー(34)に向かって所望としない流動をできなくする。噴射チェックバルブ(39)はまた、蒸気噴射チャンバー(34)から圧縮空間(32)へ進入するように許容された冷媒が半径方向内側に進展する圧縮チャンバーの中の一つにある圧縮空間(32)に既に進入した冷媒より大きい圧力を有するようにし、それにより前記説明した蒸気噴射過程を通じて該圧縮チャンバー内の圧力(及び温度)が上昇できるようにする。 蒸気噴射チャンバー(34)で圧力チャンバーに進入する冷媒は、したがって、圧縮機の瞬間吸入圧力と瞬間排出圧力中間の中間噴射圧力にあるようになる。噴射チェックバルブ(39)は特許文献2に開示されるベーパーインジェクションスクロール圧縮機内に作動する蒸気噴射ダブルリードバルブアセンブリーを代表することができ、該特許の全体内容は本明細書に参照として含まれる。しかし、代案的一方向チェックバルブ構造は必要な場合、本発明の範囲を逸しない範囲内で活用できる。
【0030】
排出チャンバー(33)には排出冷媒でオイルを除去するためのオイル分離器(40)が内部に配置されることができる。オイル分離器はこのようなオイルを除去するためのいかなる構造でも可能であり、オイル分離器(40)に露出したオイルを捕獲するための遠心力または表面的増加機能を含むことができる。適合した任意のオイル分離器(40)が本発明の範囲を逸しない限度内で利用されることができる。
【0031】
図1に概略的に図示したように、排出チャンバー(33)、蒸気噴射チャンバー(34)、そして圧縮空間(32)の全体ではない場合、少なくとも一部分はハウジング(20)の後面ハウジング(22)内に形成または配置されることができる。多様な相違する空間は後面ハウジング(22)の内部表面、固定スクロールの表面、旋回スクロールの表面及び説明されたチェックバルブ(37、39)のような中間バルブ組立体を形成する表面の組合により少なくとも部分的に限定されることができる。前面ハウジング(21)は吸入チャンバー(31)だけではなく固定スクロールに対する旋回スクロールの旋回を誘発するために必要な構成要素を含むことができる。
【0032】
圧縮機(12)は排出チャンバー(33)を蒸気噴射チャンバー(34)に流体結合するためにハウジング(20)内に形成される排出再循環経路(50)を導入するという点で従来技術の蒸気注入スクロール圧縮機と区別される。排出チャンバー(33)内に配置される冷媒はこれに沿って配置される流量制御バルブ(52)の作動を通じて、排出再循環経路(50)を通じて蒸気噴射チャンバー(34)に選択的に連通される。流量制御バルブ(52)は排出チャンバー(33)で蒸気噴射チャンバー(34)に流れる時、冷媒が貫通して流動できる可変オリフィスを提供するように構成されることができ、可変オリフィスによる流動面積は、排出再循環経路(50)の上流及び下流に配置されるセグメントに対する流量制御バルブ(52)による流動面積の収縮及び膨張の程度によって、流量制御バルブ(52)を通過する冷媒の温度及び圧力の変化を変更するだけではなく排出チャンバー(33)から蒸気噴射チャンバー(34)に流入する再循環された冷媒の流量を決定する。
【0033】
したがって、説明された排出再循環経路(50)及び流量制御バルブ(52)は圧縮機(12)によって排出再循環作動モードで作動可能になるように許容して、排出チャンバー(33)内に排出圧力を有する冷媒は噴射チェックバルブ(39)の中の一つを通じて中間噴射圧力で圧縮空間(32)に噴射するために蒸気噴射チャンバー(34)と流体連通されることができる。中間噴射圧力は排出再循環経路(50)と流量制御バルブ(52)を通過する時、冷媒が経る圧力損失により排出圧力と異なることができる。中間噴射圧力は、したがって、流量制御バルブ(52)を通じて可変オリフィスが流量制御バルブ(52)の最小化した圧力損失に対応する最大化した流動面積に調節される時に最大化する。中間噴射圧力に位置する冷媒は特定状況で該圧縮チャンバーの初期形成の間の冷媒の瞬間吸入圧力に実質的に対応できる、該圧縮チャンバー内に瞬間的に配置される圧力より大きい圧力を有する時に噴射ポート(38)の中の一つを通じて圧縮空間(32)及び該当する圧縮チャンバーに噴射される。
【0034】
圧縮チャンバーへの圧力が増加した状態で冷媒の噴射は圧縮チャンバー内の冷媒の総圧力上昇を招き、これは、圧縮チャンバー内に保有された冷媒の温度上昇に直接的に対応する。圧縮空間(32)内の冷媒のこのような上昇した温度は前記説明した噴射過程を通じて冷媒の再循環が発生しない場合より高い温度を有する排出チャンバー(33)に冷媒が排出されるようにする。このような上昇した温度排出冷媒はその後、排出再循環経路(50)を通じてもう一度部分的に再循環されることができる。したがって、圧縮機(12)の与えられた作動状態で発生するこのプロセスの反復は同じ設定で再循環機能だけがない圧縮機(12)の作動時の冷媒の排出温度より高い新しい再循環排出温度に到達する時まで各サイクルに対して排出冷媒温度の漸進的増加を招く。排出再循環プロセスは、したがって、排出冷媒によって、圧縮機(12)を出て、再循環プロセスが不在する場合より高い温度を有する第1熱交換機(13)に到達するように招き、これは圧縮機(12)の排出再循環モード作動の間、第1熱交換機(13)の加熱容量の増加を招く。
【0035】
図1に図示する一般的構成を有する多様な圧縮機に対する実験を通じて、開示される排出再循環機能の使用が1.0より大きい性能係数(coefficient of performance、COP)を維持すると同時に、冷媒排出温度を非常に上昇させる能力を引き起こすという事実が発見された。例えば、1.0より大きいCOPを維持しながら、圧縮機構成によって、30ないし70℃まで圧縮機冷媒排出温度を上昇できることが発見された。また、このような温度上昇が排出再循環機能のない圧縮機の作動と関連する質量流れ率と比較して圧縮機を出る冷媒の質量流れ率(mass flow rate)10%未満減少と共に発生するという事実を発見した。1.0以上のCOPを有する一方、乗客加熱要求に対応して排出冷媒の温度を上昇させる能力は客室に提供される空気をさらに加熱するための車両のHVACケーシングに統合できる電気駆動PTCヒーターのような加熱装置追加の代りに活用できることを意味する。したがって、圧縮機(12)に対する排出再循環機能の統合は、該HVACケーシングによって最小化した個数の構成要素と共に備えられるように許容することによって、冷媒回路(10)と圧縮機(12)を有する熱管理システムを単純化する。
【0036】
排出再循環経路(50)による排出チャンバー(33)から蒸気噴射チャンバー(34)への流動を防止するために流量制御バルブ(52)は全体閉鎖位置に調整されるように構成されることができる。流量制御バルブ(52)は排出再循環経路(50)による流動面積最大化のために全体閉鎖位置で全体開放位置に調整されるようにさらに構成されることができる。流量制御バルブ(52)はまた、排出再循環経路(50)を通じて全体閉鎖と全体開放位置間の他の流動面積に該当する複数の中間位置に調整されるように構成されることができ、それぞれの他の流動面積は再循環される冷媒の圧力と温度の他の変化はもちろん、流量制御バルブ(52)による冷媒のそれぞれ他の流動率に対応することができる。しかし、他の代案実施例で、流量制御バルブ(52)は調節可能な流量機能を含まないことができ、その代わりに所望の場合、排出再循環プロセスを許容するための開放位置と該プロセスを防止するための閉鎖位置間の調整のみ可能に構成することができる。
【0037】
流量制御バルブ(52)の調節は圧縮機(12)の作動と関連する多様な要素及び/または冷媒回路(10)の残りの部分により決定されることができる。特定状況で、流量制御バルブ(52)は再循環経路(5)による冷媒の規定される流動に該当する所望の構成により制御されることができ、そのような制御は選択した作動モードまたは圧縮機(12)内の、または冷媒回路(10)の残りの部分によって測定された条件を基にすることができる。例えば、温度センサーが冷媒の加熱容量と関連して冷媒温度モニターのために排出チャンバー(33)内で第1熱交換機(13)の直上流、第1熱交換器(13)の直下流または可能なその他位置の中から前記位置が組み合わせられた位置などのような関連位置で冷媒をモニターリングするために、所望の位置に冷媒回路(10)に沿って配置されることができる。
【0038】
流量制御バルブ(52)は一つ以上の前述された位置にある冷媒の温度が第1熱交換機(13)が特別に低い周辺空気温度に露出した場合に発生し得る許容可能な範囲で客室に提供される空気加熱に必要な水準より低い温度であることを感知した場合など、冷媒回路(10)の加熱要求充足に必要な前述された再循環機能が必要な場合にのみ、開放されることができる。流量制御バルブ(52)は代案的に、客室に提供される空気の測定された温度を基に制御されることができ、再循環機能は乗客が選択した設定に沿って客室に提供された空気の温度が加熱されない時に作動されることができる。また、流量制御バルブ(52)は所望の場合、該要素の組合を基に制御されることができる。
【0039】
流量制御バルブ(52)は排出チャンバー(33)から蒸気噴射チャンバー(34)への冷媒の最大流量が要求された場合、全体開放に調節されることができ、これは流量制御バルブ(52)を通過する時、再循環される冷媒の温度と圧力の最小化した減少に対応する。蒸気噴射チャンバー(34)内にある冷媒のこのような最大圧力と温度は、圧力空間(32)内に蒸気が噴射された場合に圧力空間(32)内に瞬間的に配置された冷媒の圧力及び温度の最大上昇に該当し、これは排出ポート(36)を通じて圧縮空間(32)を出る排出冷媒の圧力と温度の最大増加に結果的に該当する。
【0040】
流量制御バルブ(52)の全体開放位置は、したがって、客室凝縮機(13)内の特に低い温度で冷媒が周辺温度と熱交換する時のように、冷媒回路(10)に特に高い加熱要求が落ちた時のような状況に対応できる。流量制御バルブ(52)は冷媒回路(10)の所望の、または規定された加熱要求を満たすために全体閉鎖位置と全体開放位置の間の中間位置に該当する中間位置の中の一つに調整されることができる。
【0041】
流量制御バルブ(52)は冷媒の温度が圧縮機(12)及び/または冷媒回路(10)に沿って配置されるその他構成要素の潜在的損傷または非効率的作動と関連する、あらかじめ選択された値を超過する時、閉鎖されるかまたは初期に閉鎖された位置に向かって移動するように構成されることができる。圧縮機(12)内に含まれたものを含み、冷媒回路(10)に沿って選択された位置にある冷媒の温度が冷媒回路(10)に沿って配置される多様な構成要素と関連する収容可能なあらかじめ選択された温度値の中の一つを超過する場合、圧縮機(12)の再循環機能を中断するように構成されることができる。
【0042】
流量制御バルブ(52)はまた、前述された熱ポンプモードが作動される間、冷媒回路(10)に要請された加熱要求が低いか、または、冷媒回路(10)が車両の客室に提供される空気またはその他の熱生成構成要素を冷却するように作動される場合のように、圧縮機(12)の下流にある冷媒の温度が特に高く調整されるように要しない代案的作動モードで動作する場合のように、排出冷媒の蒸気噴射チャンバー(34)への再循環が要求されない全体開放位置に調整されることもできる。
【0043】
図2ないし8に示すとおり、図1の圧縮機の具現は本発明の第1実施例によって図示する。圧縮機(12)は流量制御バルブ(52)の温度依存性形態を含み、これは圧縮機(12)から排出される冷媒の温度を受動的に制限するためだ。図3ないし8は、本発明の後面ハウジング(22)内でのみ独占的に配置される流量制御バルブ(52)と排出再循環経路(50)の機能をさらによく示すために前面ハウジング(21)及び圧縮機(12)の作動と関連する多様な構成要素のない圧縮機(20)の後面ハウジング(22)だけを図示する。図3ないし8に省略された構成要素は図1によって説明されたような方式で図示した構成要素に対して作動し、したがって、詳細な図面と説明が要求されないことを理解しなければならない。
【0044】
後面ハウジング(22)は第1部分(33a)及び第2部分(33b)に区分される排出チャンバー(33)を含み図示する。第1部分(33a)は該排出ポート(図3ないし8には図示しない)の直下流に配置されて、第2部分(33b)は第1部分(33a)の下流に配置されて第1部分(33a)から遠く延びる。流動開口(33c)は第1部分(33a)を第2部分(33b)に流動的に連結する。第2部分(33b)は圧縮機(12)の相応する排出ポート(36)の位置に対して少なくとも部分的に半径方向外側に延びる円筒形導管に図示する。第2部分(33b)は必要によって後面ハウジング(22)に外部でから挿入されるボアに形成されることができる。第1部分(33a)と対向する第2部分(33b)の端部は圧縮機(12)の下流にある冷媒に連通するために外部流体ライン、構成要素などに結合されるように構成される。例えば、第2部分(33b)は第1熱交換機(13)に向かってつながる流体ラインに流体的に結合されることができる。
【0045】
図3ないし8に図示しないが、前述されたオイル分離器(40)は排出再循環経路(50)への流入以前に、排出冷媒からオイルが除去されたのかを保障するために図示する流動開口(33c)または流動開口(33c)の直下流または排出再循環経路(50)の上流位置にある排出チャンバー(33)に流入することができる。オイル分離器(40)は排出チャンバー(33)の第2部分(33b)の円筒形構造に内蔵されたオイリング(ring)であることができる。しかし、オイル分離器(40)は本発明の範囲を逸せず排出再循環経路(50)の下流を含む、排出チャンバー(33)内の如何なる位置にも配置されることができ、冷媒からオイルを分離するのに適切な如何なる構造や構成も含むことができる。
【0046】
後面ハウジング(22)はまた第1部分(34a)及び第2部分(34b)に分れる蒸気噴射チャンバー(34)を含み図示する。第1部分(34a)は噴射チェックバルブ(39)に直ぐ隣接する上流に配置されることができ、第2部分(34b)は第1部分(34a)の上流に配置されて第1部分(34a)から遠く延びる。前述した流動方向は冷媒が該排出再循環経路(50)を通じて排出チャンバー(33)から蒸気噴射チャンバー(34)に向かう流動を意味する。流動開口(34c)は第1部分(34a)を第2部分(34b)に流体的に連結する。第2部分(34b)は圧縮機(12)の該排出ポート(36)の位置に対して最小限部分的に半径方向外側方向に延びる円筒形導管に図示される。必要によって、第2部分(34b)は後面ハウジング(22)に外部から挿入されるボアに形成されることができる。第1部分(33a)に対向される第2部分(34b)の端部は蒸気噴射チャンバー(34)への流入のために圧縮機(12)に冷媒を連通させるために、外部流体ライン、構成要素などに結合される構造を有すると図示する。しかし、図3に図示するように、このような第2部分(34b)の端部は図1に図示の排出再循環経路(50)に対する蒸気噴射チャンバーの流動構成に該当する、前記端部による外部流体連通から第2部分(34b)を流体的に孤立させるためにキャッピング(capping)されることができる。下記で説明するが、第2部分(34b)は外部構成要素に対する第2部分(34b)の連結を通じて蒸気噴射プロセスで使用するために、圧縮機(12)に流入するもう一つの冷媒流動の流入を許容するために代案的にこのようなキャッピングを使用しないことも可能である。
【0047】
排出チャンバー(33)の第2部分(33b)と蒸気噴射チャンバー(34)の第2部分(34b)は両側間の排出再循環経路(50)の直接的で短縮された延長のために互いから90度未満で角変位される形に後面ハウジング(22)内部に形成されることができる。排出再循環経路(50)はそれぞれのチャンバー(33、34)の円筒形部分(33a、34a)を限定する後面ハウジング(22)の半径方向に延びる部分間で左右に延びる後面ハウジング(22)のブリッジ部(80)内に形成されることができる。
【0048】
ガイド開口(82)は後面ハウジング(22)の外部面から後面ハウジング(22)内部に延び、連結するブリッジ部(80)内部に延びて前記内部で中断される前、排出チャンバー(33)の第2部分(33b)に交差してこれを通過する。ガイド開口(82)は後面ハウジング(22)内部に形成されて、外部から導入された円筒形ボアであることができる。排出再循環経路(50)は噴射チャンバー(33)から蒸気噴射チャンバー(34)側に流動する冷媒の流動方向に、第1流動セグメント(61)、第1流動空間(62)、テーパー式(tapered)オリフィス(63)、第2流動空間(64)、第2流動セグメント(65)を含む。第1流動セグメント(61)は排出再循環経路(50)への流入ポートを形成して、第1流動空間(62)と交差する前に排出チャンバー(33)の第2部分(33b)から横方向に延びる。第1流動空間(62)は第1流動空間(62)の下流部分によってガイド開口(82)周囲に延びてガイド開口(82)と軸方向に整列されるようにするためにL字状を含む。第1流動空間(62)の不規則な形態は冷媒がオリフィス(63)を通過する前に冷媒速度が減少するようにし、それによりオリフィス(63)を通過する通路内で起きる圧力損失を減少できる。オリフィス(63)は第1流動空間(62)と第2流動空間(64)の間から軸方向に延びるガイド開口(82)の端部セグメントに備えられる。第2流動空間(64)は第2流動セグメント(65)と交差する前にガイド開口(82)から離れる方向に横方向に延びる。第2流動セグメント(65)は排出再循環経路(50)の排出ポートを形成するために蒸気噴射チャンバー(34)の第2部分(34b)に向かって縦方向に延びて交差する。第2流動セグメント(65)はガイド開口(82)と類似する方式で外側から導入される円筒形ボア形態に形成されることができ、後面ハウジング(22)内部に流入なるボアを有する後面ハウジング(22)の一部分はその後キャッピングされることができる。
【0049】
図示した排出再循環経路(50)は後面ハウジング(22)のブリッジ部(80)の湾入された外部表面間で限定されることができ、カバープレート(90)の対向する表面は排出再循環経路(50)上のブリッジ部(80)に結合される。カバープレート(90)は一例として、螺糸山のある締結具を通じて後面ハウジング(22)に結合されることができるが、これに限定されない。図4と5に図示したように、密封部材(sealing element)はブリッジ部(80)の外部表面とカバープレート(90)の対向する表面間に配置されることができ、密封部材(92)はブリッジ部(80)の湾入された外側表面により形成される流動空間(61、62、63、64、65)の周辺部周囲に延びる形態を帯びることができる。密封部材(92)はブリッジ部(80)とカバープレート(90)の間で排出再循環経路(50)に対して流体密封を提供する。
【0050】
排出再循環経路(50)と関連機能を形成することにおいて、多様な外側から導入されたボアと後面ハウジング(22)に導入される湾入部の使用は圧縮機の製造上容易性を許容する。このような機能はまた該機能の損傷または障害発生時に、容易に修理または交替ができるようにする。
【0051】
流動制御バルブ(52)は流量制御部材(55)と温度依存性部材(56)を含む。提示される実施例で、流量制御部材(55)はガイド開口(82)内部に軸方向にスライディング可能に収容される円筒形ロード(rod)である。流量制御部材(55)は排出チャンバー(33)の第2部分(33b)を通じて後面ハウジング(22)のブリッジ部(80)内側に延びる。流量制御部材(55)はガイド開口(82)にスライディング可能に噛み合ってガイド開口(82)に適合するように寸法が決まる大きい直径(円筒形)部分(57)、流動空間(62、63)内部に延びる流量制御部材(55)の末端部に形成される小さな直径部分(58)、そして小さな直径部分(58)に大きい直径部分(57)を連結するためにテーパーを有する截頭円錐型部分(59)を含むことができる。
【0052】
温度依存性部材(56)は後面ハウジング(22)の外部表面に沿って配置され、連通空間(84)を限定する。連通空間(84)は流量制御部材(55)を囲むガイド開口(82)の一部を通じて排出チャンバー(33)の第2部分(33b)と流体連通される。温度依存性部材(56)は流量制御部材(55)の最も近い端部に連結されるダイアフラム(diaphragm)(図示しない)と噛み合う熱活性化スプリング(図示しない)を含む。熱活性化スプリングは上昇する温度に露出した時、ダイアフラム及び連結された流量制御部材(55)に上昇する軸方向力を印加するように構成される。熱活性化スプリングは連通空間(84)内の冷媒に温度依存性部材(56)を露出することによって、排出チャンバー(33)の第2部分(33b)内にある排出冷媒の温度に反応できる。それにより、排出冷媒の上昇する温度は大きい直径部分(57)がオリフィス(63)に接近しながら、後面ハウジング(22)のブリッジ部(80)に進入する流量制御部材(55)に対応する。
【0053】
流量制御バルブ(52)による流動面積はオリフィス(63)に対する流量制御要素(55)の軸方向位置により決定される。図3及び図4から分かるように、流量制御部材(55)の継続する軸方向前進は截頭円錐型部分(59)が後続的にオリフィス(63)に入って流動面積を漸進的にさらに減少させる前に、まず流量制御部材(55)の小さな直径部分(58)のオリフィス(63)に対する流入及び小さな直径部分(58)の流動面積の減少を含む。オリフィス(63)、したがって排出再循環経路(50)は大きい直径部分(57)がオリフィス(63)内に収容される時または代案的に截頭円錘形部分(59)の端部がオリフィス(63)を限定する表面に対して装着される時に閉鎖される。
【0054】
したがって、温度依存性を有する前述された流量制御バルブ(52)は第1臨界値未満の温度に対して排出再循環経路(50)による最大流動を許容することができ、第1臨界値と第1臨界値より大きい第2臨界値の間の温度範囲に対して流動面積を可変的に減少させ始めて、排出再循環経路(50)による流動速度を減少させることができる。流量制御バルブ(52)は第2臨界温度に到達する時に排出再循環経路(50)を完全に閉鎖できるが、これは圧縮機(12)及び/または冷媒回路(10)と関連する任意の構成要素の作動と関連する最大許容可能な安全温度に対応できる。
【0055】
また、図示した流量制御バルブ(52)は冷媒回路(10)の制御システムと関連する遮断機能を含むように構成されることができる。このような遮断機能は前述した圧縮機(12)及び/または冷媒回路(10)の任意の状態感知を含むことのできる制御システムの制御方式によって電子的に制御されることができる。 例えば、流量制御部材(55)は関連コントローラに再循環機能が必要ではないことを示す制御信号を生成する時、閉鎖位置に向かって流量制御部材(55)を前進させるように構成されるソレノイド基盤アクチュエータに機械的に結合されることができる。代案的に、生成された制御信号に応答して第2流動セグメント(65)を横切って選択的に延びるように構成される調整可能な部材を提供するように、2次バルブ部材(図示しない)は図示されるオリフィス(63)及び流量制御部材(55)から離隔される位置で排出再循環経路(50)を開放または閉鎖するために利用されることができる。もう一度述べると、ソレノイドまたはこれと類似する電気的に調整可能で電子的に制御可能な機能を使用してこのような2次バルブ部材の位置を制御することができる。
【0056】
図9及び図10示すとおり、本発明の他の実施例による排出再循環経路(50)及び関連流量制御バルブ(52)のもう一つの実施例を開示し、同実施例は圧縮機(12)の残りの部分は同一であり、図1または図2ないし8に開示したものと同じ方式で作動すると仮定する。排出再循環経路(50)は排出チャンバー(33)の第2部分(33b)から経路(50)に入る入口として作用する第1流動空間(62)及び経路(50)から蒸気噴射チャンバー(34)の第2部分(34b)に向かう出口として作用する第2流動空間(65)を含む。流量制御バルブ(52)は隣接する流動空間(62、64)の中間に可変オリフィス(63)を形成するボール(ball)バルブとして備えられる。ボールバルブはアクチュエーターの回転子に連結される回転可能なボール部材を含む。アクチュエーターは流動空間(62、64)に対してボール部材を回転させるように構成される電気的に調整可能で電子的に制御可能な回転アクチュエーターであることができる。ボール部材は可変オリフィス(63)の形成に対応するボール部材の回転位置によってそれぞれの流動空間(62、64)との可変重畳を含む流動通路を含む。アクチュエーターは流動空間(62、64)とボール部材を通過する流動通路間に重畳がなく、したがって流動領域が存在しない全体閉鎖位置、流動空間と流動通路の整列によって流動通路と流動空間(62、64)の間に最大重畳及び流動領域が存在する完全に開放される位置、流動通路と流動空間(62、64)の間に存在する流動領域の間の可変重畳に基づく中間流動領域を含む複数の中間位置にボール部材を調整するように構成されることができる。
【0057】
図9及び10の流量制御バルブ(52)は前述した任意の制御方式によって作動されることができる。例えば、流量制御バルブ(52)は第1熱交換機(13)の所望の熱容量を得るために再循環機能が要求される時、排出再循環経路(50)による流動に対してのみ開放されることができ、排出冷媒の温度が圧縮機(12)及び/または冷媒回路(10)の他の構成要素に対する潜在的な損傷と関連する臨界値を超過する時、再循環プロセスの間、追加で閉鎖されることができる。電子的にのみ制御される流量制御バルブ(52)バージョンには受動遮断機能が含まれており、したがって流量制御バルブ(52)の調整に関する決定は冷媒回路(10)及び/または車両の客室に伝達される空気に対して前述された感知された条件に基づくことができる。
【0058】
本明細書に記述された同じ基本関係が維持される限り、排出再循環経路(50)の他の構成が本発明の範囲を逸せず、他の調整可能な流量制御バルブ(52)と共に使用するために後面ハウジング(22)内に提供できるということが分かる。したがって、排出再循環経路を通じて可変オリフィスを形成するのに利用される開示されるメカニズムは図1に図示する圧縮機(12)の一般的な構成に制限されない。流量制御バルブ(52)は本発明の範囲内に維持されながら代案的な膨張バルブ構成を代表することができる。
【0059】
図11に示すとおり、本発明の他の実施例による冷媒回路(110)を開示する。冷媒回路(110)は冷媒回路(10)と類似し、圧縮機(12)、第1熱交換機(13)、膨張機(14)及び第2熱交換器(15)を含み、これらは以下で冷媒回路(110)の1次ループを形成すると言及される。しかし、冷媒回路(110)はバイパスインタークーラーと共に従来技術のベーパーインジェクションスクロール圧縮機(現在開示されている排出再循環機能が不在する)に作動する冷媒回路から典型的に発見されるのと類似するバイパス特徴部をさらに含む。バイパス特徴部は圧縮機(12)内に第1熱交換機(13)の下流に配置される冷媒回路(10)の1次ループによる位置から膨張機(14)の上流に配置される蒸気噴射チャンバー(34)に延びるバイパス経路(150)として提示する。
【0060】
バイパス経路(150)は膨張機(152)、下流に配置されるインタークーラー(154)を含む。インタークーラー(154)もバイパス経路(150)と膨張機(14)の分岐中間位置で冷媒回路(110)の1次ループに沿って配置される。したがって、インタークーラー(154)はバイパス経路(150)を通じて流れる冷媒及びバイパス経路(150)の分岐下流で冷媒回路(110)の1次ループを通じて流れる冷媒のそれぞれと熱交換連通する。膨張機(152)は膨張機(152)を通じて通過する時、冷媒の所望の圧力降下を規定するための膨張機(152)による可変流動領域を含むように調整されることができ、そうすることによって膨張機(152)を通過する冷媒が圧縮機(12)に導入されるために相対的高温の液体状態から相対的に低温及び低圧の気体状態に膨張できるように許容する。必要な場合、膨張機(152)は代案的にバイパス経路(150)による所望としない流動防止のための遮断(shutoff)バルブと共に使われる固定計量オリフィスを代表することができる。
【0061】
バイパス経路(150)を通過する冷媒はインタークーラー(154)を通過する前に膨張機(152)内で膨張される。バイパスされた冷媒の膨張は冷媒によってバイパス経路に沿って、冷媒回路(110)の1次ループに沿ってインタークーラー(154)に進入する冷媒より低い温度を有するインタークーラー(154)に進入するようにする。したがって、1次ループがインタークーラー(154)内で冷却される間、バイパスされた気体状態の冷媒はインタークーラー(154)内で加熱される。
【0062】
蒸気噴射チャンバー(34)に到達するバイパスされた冷媒は圧縮機(12)の瞬間吸入圧力と瞬間排出圧力の間の中間排出圧力にある。圧縮空間(32)に噴射された時、中間噴射圧力は依然として該圧縮チャンバー内で瞬間的に発見された圧力を超過し、したがって、中間噴射圧力にある冷媒は、その程度は非常に低いが、圧縮機(12)の排出再循環機能を参照して前述されたのと類似する方式で冷媒の排出温度を依然として上昇させることができる。したがって、バイパスされた冷媒の圧縮機(12)への噴射を含む冷媒回路(110)の作動は、圧縮機(12)内の冷媒の排出温度を圧縮機(12)内の冷媒の排出圧力上昇を助け、結局、下流に配置される第1熱交換機(13)の冷媒温度上昇を助けるようになる。迂回された冷媒の噴射は、したがって、噴射プロセスのない冷媒回路(110)の作動と比較して第1熱交換機の加熱容量を上昇させることができる。
【0063】
インタークーラー(154)内で起きる冷媒回路(110)の1次ループによる冷媒の冷却はまた、迂回経路(150)を通す冷媒のバイパスがない冷媒回路(110)の作動と比較して、第2熱交換器(15)の冷却容量上昇を招く傾向がある。第2熱交換器(15)が冷媒回路(110)の客室蒸発器として配置されれば、このような冷却容量増加は、冷媒回路(110)と熱交換関係にある熱生成構成要素を冷却または客室に提供される空気冷却を助けるのに使われることができる。
【0064】
図11に図示するように、圧縮機(12)は依然として、排出チャンバー(33)を蒸気噴射チャンバー(34)に流体的に結合させるために排出再循環経路(50)を含む。蒸気噴射チャンバー(34)は、したがって、膨張機(152)(または固定オリフィスが活用される場合、該遮断バルブ)の開放によるバイパス経路(15)及び流量制御バルブ(52)の開放による排出チャンバー(33)のそれぞれと選択的な流体連通をするようになる。
【0065】
図11の構成は該圧縮機(12)及び冷媒回路(110)のそれぞれ異なる多様な作動モードを処理するように活用されることができる。例えば、第2熱交換器(15)の冷却容量増加が必要な時、または、排出再循環機能の使用を通じて可能なものより低い第1熱交換機(13)の加熱容量の相対的に低い上昇付与が必要な時、バイパス経路(150)と関連するバイパス噴射機能が活用されることができる。バイパス噴射機能が第1熱交換機(13)に所望の加熱容量を付与できない時、排出再循環経路(50)と関連する排出再循環機能が活用されることができる。開示される冷媒回路(110)は、したがって、二重蒸気噴射機能を有する圧縮機(12)の使用を通じて冷媒回路(100)の加熱及び冷却効果の両方を向上させるように許容される。
【0066】
流量制御バルブ(52)と膨張機(152)は圧縮機(12)及び/または冷媒回路(110)の作動の選択されたモードによって、蒸気噴射チャンバー(34)に進入する冷媒の供給源(source)を交互にするように調整制御されることができる。また、たとえそのような冷却容量上昇が再循環プロセスにより付与された温度の全体上昇により制限されることができるが、第2熱交換器(15)の冷却容量上昇を維持しながら、第1熱交換機の加熱容量をさらに増加させることが好ましい時に、バイパス経路(150)による流動を補完するために排出再循環経路(50)による冷媒の活用するように、経路10と150の両方から由来する冷媒と蒸気噴射チャンバー(34)が流体連通する状況が存在し得ると考えられる。例えば、インタークーラー(154)で熱交換関係を維持しながら、それと同時に排出再循環経路(50)から由来する冷媒がバイパス経路(150)から由来される冷媒より高い圧力を有するように流量制御バルブ(52)が調整されることができ、ここで圧縮機(12)を出る冷媒に対する温度上昇付与にもかかわらず、第2熱交換器(15)に向かって流動する冷媒は冷却容量を向上させるのに充分なだけ冷却される。
【0067】
図3に図示の圧縮機(12)の実施例を参考して、第2部分(34b)の露出する端部が図11に図示のバイパス経路(15)のような外部流体ラインまたは構成要素に流体的に結合されるように許容するために、図示するキャップなく蒸気噴射チャンバー(34)の第2部分(34b)が備えられることができる。これと類似するように、図9と10に図示の圧縮機(12)の実施例は、蒸気噴射チャンバー(34)の図示する第2部分(34b)の端部を通じて流体連結するための能力を含むことができる。しかし、開示される流動構成が本発明範囲から逸することなく他の構造的関係を通じて具現できることは明白だ。
【0068】
図12に示すとおり、本発明のもう一つの実施例による冷媒回路(210)を開示する。冷媒回路(210)は、圧縮機(12)のハウジング(20)内の位置から排出再循環経路(50)及び該当する流動制御バルブ(52)を除去したことを除外すれば、冷媒回路(10)と実質的に同一である。その代りに、排出再循環経路(50)は圧縮機(12)と第1熱交換機(13)の間の位置で冷媒回路(210)に沿って圧縮機(12)の蒸気噴射チャンバー(34)に延びる外部流体ラインに備えられる。ここで、外部流体ライン(60)は外部流体ライン(60)に沿って配置される流量制御バルブ(52)を含む。一例で、外部流体ライン(60)は、バイパス経路(150)に対して前述されたのと同じ方式で、蒸気噴射チャンバー(34)の第2部分(34b)の端部に結合されることができるが、これに制限されない。排出再循環経路(50)として流量制御バルブ(52)を備える外部流体ライン(60)は依然として冷媒の排出温度上昇を許容するが、介在的構成要素と流体連結が不在する状態でハウジング(20)内に短くて直接的な経路を形成する能力において前述された利点を認識できない。外部流体ライン(60)は必要な場合、たとえ下記のような構成が好ましくないことに排出チャンバー(33)との連通のために圧縮機(12)の後面ハウジング(22)への流体連結追加を必要とするが、代案的に第1熱交換機(13)に向かってつながる流体ラインに加えて圧縮機から遠くつながる追加的流体ラインであることができる。
【0069】
排出再循環経路(50)及び流量制御バルブ(52)の導入が一般的に噴射プロセス実行のための図1の構成を有する既存の圧縮機(12)の後面ハウジング(22)の変形だけを要求する方式によって、本発明に開示する圧縮機(12)の構成は既存システムとして有利に統合されることができる。図3ないし10に開示する後面ハウジング(22)の構成はまた、状況によって、また異なる構成要素に外部的に流体結合されるかまたは代案的にキャッピングされる能力を有する蒸気噴射チャンバー(34)の包含によって、図1、11及び12に図示の他の回路の中の任意の回路の使用のために変更されることができる。
【0070】
前述した説明から、発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は容易に本発明の思想及び範ちゅうを逸することなく本発明の必須特徴を理解することができ、本発明が多様な用途と条件に適用できるようにするための多様な変更を適用できる。
【符号の説明】
【0071】
10 冷媒回路
12 圧縮機
13 第1熱交換機
14 膨張機
15 第2熱交換器
20 ハウジング
21 第1ハウジング
22 第2ハウジング
31 吸入チャンバー
32 圧縮空間
33 排出チャンバー
33a 第1部分
33b 第2部分
33c 流動開口
34 蒸気噴射チャンバー
34a 第1部分
34b 第2部分
34c 流動開口
35 流入口 排出ポート
36 排出ポート
37 排出チェックバルブ
38 噴射ポート
39 噴射チェックバルブ
40 オイル分離器
50 排出再循環経路
52 流量制御バルブ
55 流量制御部材
56 温度依存性部材
57 大きい直径(円筒形)部分
58 小さな直径部分
59 截頭円錐型部分
60 外部流体ライン
61 第1流動セグメント 流動空間
62 第1流動空間 流動空間
63 オリフィス 流動空間
64 第2流動空間 流動空間
65 第2流動セグメント 流動空間
80 ブリッジ部
82 ガイド開口
84 連通空間
90 カバープレート
92 密封部材
100 冷媒回路冷媒回路
110 冷媒回路
150 バイパス経路
152 膨張機
154 インタークーラー
210 冷媒回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】