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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】全固体電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20241212BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241212BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241212BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M50/586
H01M50/593
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500380
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 KR2022020016
(87)【国際公開番号】W WO2023128388
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194581
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0147343
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ミュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエホーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミンソー
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AK00
5H029AL00
5H029AL12
5H043BA20
5H043CA04
5H043DA08
5H043GA22
5H043GA26
5H043HA02E
(57)【要約】
全固体電池は、平面方向において延在する電流コレクタ及び前記電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された電極活物質層を有する電極層;及び前記平面方向に対して垂直な積層方向において前記電極層に隣接して配置された固体電解質層を備え、前記電極活物質層は、前記積層方向において延在し、前記平面方向において近傍の電極活物質層に隣接して配置された部分を有する延在部分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面方向において延在する電流コレクタ及び前記電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された電極活物質層を有する電極層;及び
前記平面方向に対して垂直な積層方向において前記電極層に隣接して配置された固体電解質層
を備え、前記電極活物質層は、前記積層方向において延在し、かつ前記平面方向において近傍の電極活物質層に隣接して配置された部分を有する延在部分を含む、全固体電池。
【請求項2】
前記延在部分は、前記電極活物質層の一方の端部分から延在する、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記電流コレクタに接続された外部電極を更に備え、前記延在部分は、前記電極活物質層の一方の端部分において前記外部電極と接触するように配置されている、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記固体電解質層は、前記電極活物質層の前記延在部分に沿って前記積層方向において屈曲された屈曲部分を有する、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記固体電解質層の前記屈曲部分は、前記積層方向において延在する、請求項4に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記固体電解質層の前記屈曲部分は、前記平面方向において、前記電極活物質層の前記延在部分及び前記近傍の電極活物質層の間に介在する、請求項4に記載の全固体電池。
【請求項7】
他の電極活物質層を有する前記電極層において、前記電極活物質層及び前記他の電極活物質層は、それぞれ、前記電流コレクタの両方の表面上に配置され、
前記他の電極活物質層は、延在部分を含み、それにより、前記電極活物質層及び前記他の電極活物質層の前記延在部分は、前記積層方向において前記電流コレクタの両側から延在する、
請求項1に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記電流コレクタに接続された外部電極;及び
前記電流コレクタのエッジ及び前記外部電極の間に介在する絶縁層
を更に備える、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項9】
前記絶縁層は、前記積層方向において前記電極活物質層の前記延在部分と接触する、請求項8に記載の全固体電池。
【請求項10】
前記電極層は、異なる極性を有し、かつ前記固体電解質層が間に介在する状態で前記積層方向において配置されている第1の電極層及び第2の電極層を有し、
前記第1の電極層は、第1の電流コレクタ及び第1の活物質層を含み、前記第2の電極層は、第2の電流コレクタ及び第2の活物質層を含み、
前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層のうちの少なくとも1つは、前記積層方向において延在し、かつ前記平面方向において前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層に隣接して配置された部分を有する延在部分を含む、
請求項1に記載の全固体電池。
【請求項11】
前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層のうちの対応する1つの一方の端部分から延在する、請求項10に記載の全固体電池。
【請求項12】
前記第1の電流コレクタに接続された第1の外部電極及び前記第2の電流コレクタに接続された第2の外部電極を更に備え、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層の対応する1つの前記一方の端部分において前記第1の外部電極又は前記第2の外部電極と接触するように配置されている、請求項11に記載の全固体電池。
【請求項13】
前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層は各々、前記積層方向において延在する延在部分を含む、請求項10に記載の全固体電池。
【請求項14】
前記第1の電流コレクタに接続された第1の外部電極及び前記第2の電流コレクタに接続された第2の外部電極を更に備え、前記第1の活物質層の前記延在部分は、前記第1の外部電極と接触するように配置されており、前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記第2の外部電極と接触するように配置されている、請求項13に記載の全固体電池。
【請求項15】
前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層は、前記固体電解質層が間に介在する状態で互いに隣接して配置され、前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記積層方向に沿って反対の方向において延在する、請求項13に記載の全固体電池。
【請求項16】
前記第1の活物質層の前記延在部分及び前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記平面方向に沿って異なる幅を有する、請求項13に記載の全固体電池。
【請求項17】
前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層は、前記積層方向に従って異なる厚さを有する、請求項10に記載の全固体電池。
【請求項18】
平面方向において延在する第1の電流コレクタ及び前記第1の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第1の活物質層を有する第1の電極層;
前記平面方向において延在する、前記第1の電極層の極性とは異なる極性を有する第2の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第2の活物質層を有する第2の電極層;
前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に介在する固体電解質層;及び
前記第1の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタにそれぞれ接続された第1の外部電極及び第2の外部電極
を備え、前記第1の活物質層は、前記平面方向に対して垂直な積層方向においてその一方の端部分から延在し、かつ前記第1の外部電極と接触するように配置された部分を有する第1の延在部分を含み、前記第2の活物質層は、前記積層方向においてその一方の端部分から延在し、かつ前記第2の外部電極と接触するように配置された部分を有する第2の延在部分を含む、全固体電池。
【請求項19】
前記第1の延在部分は、前記平面方向において前記第2の活物質層に隣接して配置された部分を有するか、又は
前記第2の延在部分は、前記平面方向において前記第1の活物質層に隣接して配置された部分を有する、請求項18に記載の全固体電池。
【請求項20】
平面方向において延在する第1の電流コレクタ上に第1の活物質層を形成して、第1の電極層を形成する段階、ここで、前記第1の活物質層は、前記平面方向に対して垂直な積層方向において延在する延在部分を有する;
前記平面方向において延在する第2の電流コレクタ上に第2の活物質層を形成して、第2の電極層を形成する段階;及び
互いに対向する前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層の間に固体電解質層を介在させることによって前記第1の電極層及び前記第2の電極層を積層させる段階
を備え、前記第1の活物質層の前記延在部分は、前記平面方向において前記第2の活物質層に隣接して配置された部分を有するように延在する、
全固体電池の製造方法。
【請求項21】
前記第2の活物質層は、前記積層方向において延在し、かつ前記平面方向において前記第1の活物質層に隣接するように配置された部分を有する延在部分を含む、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
第1の電流コレクタ及び前記第1の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第1の活物質層を有する第1の電極層;
前記第1の電極層の極性とは異なる極性を有する第2の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第2の活物質層を有する第2の電極層;及び
積層方向において前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に介在する固体電解質層
を備え、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層のうちの少なくとも1つは、前記積層方向に対して垂直な長手方向において前記固体電解質層にオーバラップする部分を有する、全固体電池。
【請求項23】
前記第1の活物質層及び第2の活物質層は、それぞれ第1の延在部分及び第2の延在部分を含み、これらの各々は、前記長手方向において前記固体電解質層にオーバラップするように前記積層方向において突出する、請求項22に記載の全固体電池。
【請求項24】
前記固体電解質層は、前記積層方向に沿って反対の方向において屈曲された第1の屈曲部分及び第2の屈曲部分を含む、請求項23に記載の全固体電池。
【請求項25】
前記第1の屈曲部分は、前記長手方向において前記第1の活物質層の前記第1の延在部分及び前記第2の活物質層の間に配置されており、
前記第2の屈曲部分は、前記長手方向において前記第2の活物質層の前記第2の延在部分及び前記第1の活物質層の間に配置されている、請求項24に記載の全固体電池。
【請求項26】
前記第1の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタにそれぞれ接続された第1の外部電極及び第2の外部電極を更に備え、絶縁層が、それぞれ、前記第1の外部電極及び前記第2の電流コレクタの間、及び前記第2の外部電極及び前記第1の電流コレクタの間に配置されている、請求項23に記載の全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全固体電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブル電子デバイスの小型化及び長期使用が一般的になるにつれて、高容量電池が要求されており、ウェアラブル電子デバイスの普及とともに、電池安全性が要求されている。したがって、液体電解質ではなく固体電解質を使用する全固体電池の開発が積極的に進歩している。
【0003】
全固体電池は、既存の液体電解質を固体電解質に置き換える電池であり、液体電解質の可燃性に起因する爆発のリスクを大幅に低減することができ、液体電解質を使用せず、それゆえ、比較的高温及び高圧である厳しい環境において安定して動作することが可能であるという利点を有する。加えて、全固体電池では、積層は、別個の冷却ユニットを伴うことなく実現することができ、全固体電池は、同じ体積において比較的高いエネルギー密度を実現するという利点を有し、それゆえ、将来において使用されることが期待されている。
【0004】
この背景技術セクションにおいて開示された上記情報は、単に説明される技術の背景の理解の向上のためのものであり、したがって、それは、当業者に対して本国で既に知られている従来技術を形成しない情報を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
説明される技術は、全固体電池を構成する正電極活物質又は負電極活物質が所与の体積内で改善された容量を有するように設計される全固体電池を提供するための努力においてなされたものである。
【0006】
加えて、説明される技術は、正電極活物質又は負電極活物質が所与の体積内で改善された容量を有するように設計される全固体電池の製造方法を提供するための努力においてなされたものである。
【0007】
しかしながら、実施形態によって解決される課題は、上記の課題に限定されず、本開示に含まれる技術的概念の範囲内で様々に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、平面方向において延在する電流コレクタ及び前記電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された電極活物質層を有する電極層;及び前記平面方向に対して垂直な積層方向において前記電極層に隣接して配置された固体電解質層を備え、前記電極活物質層は、前記積層方向において延在し、かつ前記平面方向において近傍の電極活物質層に隣接して配置された部分を有する延在部分を含む、全固体電池を提供する。
【0009】
前記延在部分は、前記電極活物質層の一方の端部分から延在してよい。
【0010】
前記全固体電池は、前記電流コレクタに接続された外部電極を更に備えてよく、前記延在部分は、前記電極活物質層の一方の端部分において前記外部電極と接触するように配置されてよい。
【0011】
前記固体電解質層は、前記電極活物質層の前記延在部分に沿って前記積層方向において屈曲された屈曲部分を有してよい。
【0012】
前記固体電解質層の前記屈曲部分は、前記積層方向において延在してよい。
【0013】
前記固体電解質層の前記屈曲部分は、前記平面方向において、前記電極活物質層の前記延在部分及び前記近傍の電極活物質層の間に介在してよい。
【0014】
他の電極活物質層を有する前記電極層において、前記電極活物質層及び前記他の電極活物質層は、それぞれ、前記電流コレクタの両方の表面上に配置されてよく、前記他の電極活物質層は、延在部分を含んでよく、それにより、前記電極活物質層及び前記他の電極活物質層の前記延在部分は、前記積層方向において前記電流コレクタの両側から延在する。
【0015】
前記全固体電池は、前記電流コレクタに接続された外部電極及び前記電流コレクタのエッジ及び前記外部電極の間に介在する絶縁層を更に備えてよい。
【0016】
前記絶縁層は、前記積層方向において前記電極活物質層の前記延在部分と接触してよい。
【0017】
前記電極層は、異なる極性を有し、かつ前記固体電解質層が間に介在する状態で前記積層方向において配置されている第1の電極層及び第2の電極層を有してよく、前記第1の電極層は、第1の電流コレクタ及び第1の活物質層を含んでよく、前記第2の電極層は、第2の電流コレクタ及び第2の活物質層を含み、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層のうちの少なくとも1つは、前記積層方向において延在し、かつ前記平面方向において前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層に隣接して配置された部分を有する延在部分を含んでよい。
【0018】
前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層のうちの対応する1つの一方の端部分から延在してよい。
【0019】
前記全固体電池は、前記第1の電流コレクタに接続された第1の外部電極及び前記第2の電流コレクタに接続された第2の外部電極を更に備えてよく、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層の対応する1つの前記一方の端部分において前記第1の外部電極又は前記第2の外部電極と接触するように配置されてよい。
【0020】
前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層は各々、前記積層方向において延在する延在部分を含んでよい。
【0021】
前記全固体電池は、前記第1の電流コレクタに接続された第1の外部電極及び前記第2の電流コレクタに接続された第2の外部電極を更に備えてよく、前記第1の活物質層の前記延在部分は、前記第1の外部電極と接触するように配置されてよく、前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記第2の外部電極と接触するように配置されてよい。
【0022】
前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層は、前記固体電解質層が間に介在する状態で互いに隣接して配置されてよく、前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記積層方向に沿って反対の方向において延在してよい。
【0023】
前記第1の活物質層の前記延在部分及び前記第2の活物質層の前記延在部分は、前記平面方向に沿って異なる幅を有してよい。
【0024】
前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層は、前記積層方向に従って異なる厚さを有してよい。
【0025】
別の実施形態は、平面方向において延在する第1の電流コレクタ及び前記第1の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第1の活物質層を有する第1の電極層;前記第1の電極層の極性とは異なる極性を有し、かつ前記平面方向において延在する第2の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第2の活物質層を有する第2の電極層;前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に介在する固体電解質層;及び前記第1の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタにそれぞれ接続された第1の外部電極及び第2の外部電極を備え、前記第1の活物質層は、前記平面方向に対して垂直な積層方向においてその一方の端部分から延在し、かつ前記第1の外部電極と接触するように配置された部分を有する第1の延在部分を含み、前記第2の活物質層は、前記積層方向においてその一方の端部分から延在し、かつ前記第2の外部電極と接触するように配置された部分を有する第2の延在部分を含む、全固体電池を提供する。
【0026】
前記第1の延在部分は、前記平面方向において前記第2の活物質層に隣接して配置された部分を有してもよいし、又は前記第2の延在部分は、前記平面方向において前記第1の活物質層に隣接して配置された部分を有してもよい。
【0027】
更に別の実施形態は、平面方向において延在する第1の電流コレクタ上に第1の活物質層を形成して、第1の電極層を形成し、それにより、前記第1の活物質層は、前記平面方向に対して垂直な積層方向において延在する延在部分を有する段階;前記平面方向において延在する第2の電流コレクタ上に第2の活物質層を形成して、第2の電極層を形成する段階;及び互いに対向する前記第1の活物質層及び前記第2の活物質層の間に固体電解質層を介在させることによって前記第1の電極及び前記第2の電極層を積層させる段階を備える、全固体電池の製造方法を提供する。前記第1の活物質層の前記延在部分は、前記平面方向において前記第2の活物質層に隣接して配置された部分を有するように延在する。
【0028】
前記第2の活物質層は、前記積層方向において延在し、かつ前記平面方向において前記第1の活物質層に隣接して配置された部分を有する延在部分を含んでよい。
【0029】
また更に別の実施形態は、第1の電流コレクタ及び前記第1の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第1の活物質層を有する第1の電極層;前記第1の電極層の極性とは異なる極性を有する第2の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタの少なくとも1つの表面上に配置された第2の活物質層を有する第2の電極層;及び積層方向において前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に介在する固体電解質層を備える、全固体電池を提供する。前記第1の活物質層又は前記第2の活物質層のうちの少なくとも1つは、前記積層方向に対して垂直な平面方向において前記固体電解質層にオーバラップする部分を有する。
【0030】
第1及び第2の活物質層は、それぞれ第1及び第2の延在部分を含んでよく、これらの各々は、前記平面方向において前記固体電解質層にオーバラップするように前記積層方向において突出する。
【0031】
前記固体電解質層は、前記積層方向に沿って反対の方向において屈曲された第1の屈曲部分及び第2の屈曲部分を含んでよい。
【0032】
前記第1の屈曲部分は、前記平面方向において前記第1の活物質層の前記第1の延在部分及び前記第2の活物質層の間に配置されてよく、前記第2の屈曲部分は、前記平面方向において前記第2の活物質層の前記第2の延在部分及び前記第1の活物質層の間に配置されてよい。
【0033】
前記全固体電池は、前記第1の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタにそれぞれ接続された第1の外部電極及び第2の外部電極を更に備えてよい。絶縁層が、それぞれ、前記第1の外部電極及び前記第2の電流コレクタの間、及び前記第2の外部電極及び前記第1の電流コレクタの間に配置されてよい。
【発明の効果】
【0034】
一実施形態によれば、全固体電池を構成する正電極活物質又は負電極活物質は、所与の体積内で改善された容量を実現するように設計され得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】1つの実施形態に係る全固体電池を示す斜視図である。
【0036】
図2図1において示された全固体電池の一部を示す部分分解斜視図である。
【0037】
図3図1のラインIII-III'に沿って切り取られた断面図である。
【0038】
図4】別の実施形態に係る全固体電池を示す断面図である。
【0039】
図5】更に別の実施形態に係る全固体電池を示す断面図である。
【0040】
図6】更に別の実施形態に係る全固体電池を示す断面図である。
【0041】
図7図1において示された全固体電池の製造方法を示す断面図である。
【0042】
図8図1において示された全固体電池の製造方法を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
これ以降、当業者が本開示を容易に実行することができるように、添付図面を参照して実施形態が詳細に説明される。図面において本開示を明確に説明するために、説明に無関係な部分は省略され、本明細書全体を通して同じ又は類似のコンポーネントに同じ参照符号が割り当てられる。加えて、添付図面において、幾つかのコンポーネントは、誇張されるか、省略されるか、又は概略的に示され、各コンポーネントのサイズは、実際のサイズを完全に反映しているわけではない。
【0044】
添付図面は、単に本明細書において開示される実施形態の容易な理解のためのものであり、本明細書において開示される技術的概念は、添付図面によって限定されず、本開示の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正形態、均等形態、及び代替形態を含むと理解されるべきである。
【0045】
第1、第2等のような序数を含む用語は、様々な要素を説明するのに使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるものではない。上記の用語は、単にコンポーネントごとに区別する目的で使用される。
【0046】
その上、層、フィルム、領域、プレート等の或る部分が別の部分「の上(above)」又は「上(on)」にあると述べられる場合、それは、それが別の部分の「直接上(immediately on)」にあるケースのみではなく、それらの間に別の部分が存在するケースも含む。逆に、或る部分が別の部分の「直接上」にあると述べられる場合、それは、それらの間に他の部分が存在しないことを意味する。加えて、基準部分「の上(above)」又は「上(on)」にあることは、当該基準部分の上又は下に位置することを意味し、必ずしも重力の反対の方向「の上」又は「上」に位置することを意味するわけではない。
【0047】
本明細書全体を通して、「含む」又は「有する」等の用語は、本明細書において説明される特徴、数、段階、動作、コンポーネント、部分、又はこれらの組み合わせが存在することを指定するように意図されているが、これは、1つ又は複数の他の特徴又は数、段階、動作、コンポーネント、部分、又はこれらの組み合わせの追加又は存在の可能性を排除するものではないことが理解されるべきである。したがって、或る部分が特定のコンポーネントを「含む」場合、それは、別段記載されない限り、他のコンポーネントを除外するのではなく、他のコンポーネントが更に含まれてよいことを意味する。
【0048】
加えて、本明細書全体を通して、「平面図」と称される場合、それは、ターゲット部分が上から視認される場合を意味し、「断面」と称される場合、それは、ターゲット部分を鉛直に切り取ることによって取得される断面が横から視認される場合を意味する。
【0049】
加えて、本明細書全体を通して、「接続」という場合、これは、2つ又はそれよりも多くのコンポーネントが直接接続されることのみを意味するのではなく、すなわち、2つ又はそれよりも多くのコンポーネントが、他のコンポーネントを通して間接的に接続されるか、電気的に接続されるか並びに物理的に接続されるか、又はロケーション又は機能に従って異なる名称で参照される場合であっても互いに統合されることを意味する。
【0050】
本明細書では、積層型全固体電池を説明する際、全固体電池の主要コンポーネントが積層される方向は、「積層方向」として定義され、これは、「厚さ方向」とされてもよい。加えて、積層方向に対して垂直な平面に平行な方向は、「平面方向」として定義されてよく、平面方向は、互いに対して直交する「長手方向」及び「幅方向」を含んでよい。長手方向は、正及び負の外部電極が互いに対向する方向であってよく、幅方向は、それに対して垂直な方向であってよい。以下の図面において、x軸方向は、長手方向に対応し、y軸方向は、幅方向に対応し、z軸方向は、積層方向に対応する。
【0051】
図1は、1つの実施形態に係る全固体電池100を示す斜視図であり、図2は、図1において示された全固体電池100の一部を示す部分分解斜視図であり、図3は、図1のラインIII-III'に沿って切り取られた断面図である。
【0052】
図1図3を参照すると、本実施形態に係る全固体電池100は、電極層120及び140、及び積層方向(図面におけるz軸方向)において電極層120及び140に隣接して配置された固体電解質層132及び134を備える。
【0053】
電極層120及び140は、それぞれ、基本的に、平面方向(図面におけるx-y平面方向)において延在する電流コレクタ121及び141、及び電流コレクタ121及び141の少なくとも1つの表面上にコーティングされた電極活物質層123、125、143、及び145を有してよい。
【0054】
電極活物質層123、125、143、145は、積層方向において延在する延在部分124、126、144、146を含んでよい。延在部分124、126、144、及び146は、積層方向において近傍の他の電極活物質層に、平面方向において隣接して配置された部分を有してよい。換言すれば、電極活物質層123、125、143、145のそのような延在部分124、126、144、及び146は、平面方向において他の近傍の電極活物質層にオーバラップしてよい。延在部分124、126、144、及び146は、それぞれの電極活物質層123、125、143、145の一方の端部分から延在するように形成されてよい。このケースでは、固体電解質層132及び134は、電極活物質層123、125、143、及び145のそれぞれの延在部分124、126、144、及び146に沿って積層方向において屈曲されている屈曲部分132a、132b、134a、及び134bを含んでよい。すなわち、延在部分124、126、144、及び146は、電極活物質層123、125、143、及び145の長手方向(図面のx軸方向)に沿った一方の端部分から積層方向に上向き又は下向きに延在してよく、屈曲部分132a、132b、134a、及び134bは、固体電解質層132及び134の長手方向における両側の端部分において積層方向に上向き及び下向きに延在してよい。
【0055】
したがって、電極活物質層123及び125の延在部分124及び126は、固体電解質層132及び134の屈曲部分132a及び134aが間に介在する状態で互いに隣接した他の電極活物質層143及び145に対向するように配置されてよい。換言すれば、電極活物質層123及び125のそのような延在部分124及び126は、それぞれ、平面方向において固体電解質層132及び134の屈曲部分132a及び134aにオーバラップしてよい。電極活物質層123、125、143、及び145が電極層120及び140における電流コレクタ121及び141の各々の両方の表面上に配置される場合、電極活物質層123、125、143、及び145の延在部分124、126、144、及び146は、電流コレクタ121及び141に対して積層方向において両側まで延在してよい。
【0056】
本実施形態では、電極層120及び140は、正電極層120及び負電極層140を含んでよく、固体電解質層132及び134は、正電極層120及び負電極層140の間に介在するように積層されてよい。固体電解質層132及び134は、固化した電解質を含み、正電極層120及び負電極層140の間でイオンを移動させるための媒体として機能してよい。
【0057】
正電極層120は、正電極電流コレクタ121の少なくとも1つの表面に正電極活物質層123及び125をコーティングすることによって作製されてよく、負電極層140は、負電極電流コレクタ141の少なくとも1つの表面に負電極活物質層143及び145をコーティングすることによって作製されてよい。例えば、積層方向の頂部に位置する負電極層140は、負電極電流コレクタ141の1つの表面(下側)に負電極活物質層143をコーティングすることによって形成されてよく、底部に位置する正電極層120は、正電極電流コレクタ121の1つの表面(上側表面)に正電極活物質層123をコーティングすることによって形成されてよい。その上、頂部及び底部の間に位置する電極層において、正電極層120は、正電極電流コレクタ121の両方の表面に正電極活物質層123及び125をコーティングすることによって形成されてもよいし、又は負電極層140は、負電極電流コレクタ141の両方の表面に負電極活物質層143及び145をコーティングすることによって形成されてもよい。
【0058】
固体電解質層132及び134は、それぞれ、積層方向において正電極層120の正電極活物質層123及び125及び負電極層140の負電極活物質層143及び145の間で配置されてよい。したがって、全固体電池100において、複数の正電極層120及び負電極層140が代替的に配置されてよく、複数の固体電解質層132及び134が積層されるように間に介在してよい。一例として、固体電解質層132及び134は、LATP電解質(Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦0.6))を使用してよい。別の例として、Nasicon系(Li1+xAl2-x(PO)電解質又はアモルファス(ガラス)電解質が固体電解質層132及び134として使用されてよく、更に別の例として、ガーネット型物質(Li7+x-yLa3-x(M1)Zr2-y(M2)12)(ここで、M1=+2価元素(Ba等)及びM2=+5価元素(Ta等)である)、LiPON(Li2.9PO3.30.46)、又はペロブスカイト構造物質(La0.51Li0.34TiO2.94)が固体電解質層132及び134として使用されてよい。
【0059】
本実施形態では、正電極活物質層123及び125及び負電極活物質層143及び145は、それぞれ、積層方向において延在する延在部分124、126、144及び146を含んでよい。すなわち、延在部分124、126、144、及び146は、正電極活物質延在部分124及び126及び負電極活物質延在部分144及び146を含み、正電極活物質延在部分124及び126は、それぞれ正電極活物質層123及び125から延在してよく、負電極活物質延在部分144及び146は、それぞれ負電極活物質層143及び145から延在してよい。正電極活物質延在部分124及び126は、それぞれ、平面方向において負電極活物質層143及び145に隣接して配置された部分を有してよく、負電極活物質延在部分144及び146は、それぞれ、平面方向において正電極活物質層123及び125に隣接して配置された部分を有してよい。
【0060】
正電極活物質延在部分124及び126及び負電極活物質延在部分144及び146は、それぞれ、正電極活物質層123及び125及び負電極活物質層143及び145の一方の端部分から積層方向において延在してよい。正電極活物質層123及び125が正電極層120における正電極電流コレクタ121の両方の表面上に配置されるので、正電極活物質延在部分124及び126は、正電極電流コレクタ121に対して積層方向において両側まで延在してよい。負電極活物質層143及び145が負電極層140における負電極電流コレクタ141の両方の表面上に配置されるので、負電極活物質延在部分144及び146は、負電極電流コレクタ141に対して積層方向において両側まで延在してよい。
【0061】
正電極活物質層123及び125及び負電極活物質層143及び145は、固体電解質層132及び134が間に介在する状態で積層方向において互いに隣接して配置されてよい。このケースでは、正電極活物質延在部分124及び126は、負電極活物質層143及び145の一方の端部分に対して反対側に位置する正電極活物質層123及び125の一方の端部分上に形成されてよく、負電極活物質層143及び145上に負電極活物質延在部分144及び146が形成されてよく、積層方向に沿って反対の方向において延在してよい。
【0062】
加えて、正電極活物質延在部分124及び126は、固体電解質層132及び134の屈曲部分132a及び134aが間に介在する状態で平面方向において負電極活物質層143及び145に対向するように配置されてよく、負電極活物質延在部分144及び146は、固体電解質層132及び134の屈曲部分132b及び134bが間に介在する状態で平面方向において正電極活物質層123及び125に対向するように配置されてよい。したがって、固体電解質層132及び134の片側が、屈曲部分132a及び134bを形成するために積層方向に沿って上向きに屈曲されるように延在してよく、固体電解質層132及び134のもう片側が、屈曲部分132b及び134aを形成するために積層方向に沿って下向きに屈曲されるように延在してよい。
【0063】
正電極層120、固体電解質層132及び134、及び負電極層140は、全固体電池100の電池スタックを構成するために上記で説明されたように積層されてよい。負電極電流コレクタ141及び正電極活物質延在部分124を被覆する外側絶縁層131が、全固体電池100の電池スタックの上側の最外部分において形成されてよく、正電極電流コレクタ121及び負電極活物質延在部分146を被覆する外側絶縁層137が、下側の最外部分において形成されてよい。加えて、イオン漏洩防止及び絶縁性能を確保するために、絶縁材料から作製された保護層161及び163が、追加的に、これらの外側絶縁層131及び137の外側に形成される。
【0064】
正電極電流コレクタ121の端子及び負電極電流コレクタ141の端子は、全固体電池100の電池スタックの両側の表面上で露出してよく、外部電極152及び154は、露出端子に接続及び結合されてよい。すなわち、外部電極152及び154は、負極性を有するために正電極電流コレクタ121の端子に接続されている正の外部電極152、及び正極性を有するために負電極電流コレクタ141の端子に接続されている負の外部電極154を含む。正電極電流コレクタ121の端子及び負電極電流コレクタ141の端子が互い反対の方向に対向するように構成されている場合、外部電極152及び154は、それぞれ両側に位置してもよい。
【0065】
絶縁層133及び135は、それぞれ、正電極電流コレクタ121の一方のエッジ及び負の外部電極154の間、及び負電極電流コレクタ141の他方のエッジ及び正の外部電極152の間に介在してよい。絶縁層133及び135は、積層方向において正電極活物質延在部分124及び126と接触してもよいし、又は積層方向において負電極活物質延在部分144及び146と接触してもよい。
【0066】
正電極活物質延在部分124及び126は、正電極電流コレクタ121が正の外部電極152と接触する一方の端部分において正電極活物質層123及び125から延在してよく、負電極活物質延在部分144及び146は、負電極電流コレクタ141が負の外部電極154と接触する一方の端部分において負電極活物質層143及び145から延在してよい。それに応じて、正電極活物質延在部分124及び126は、正の外部電極152と接触するように配置されてよく、負電極活物質延在部分144及び146は、負の外部電極154と接触するように配置されてよい。
【0067】
図4は、別の実施形態に係る全固体電池200を示す断面図である。
【0068】
図4を参照すると、本実施形態に係る全固体電池200は、図1図3を参照して説明された全固体電池100の基本構成を含むように構成されてよい。
【0069】
すなわち、全固体電池200は、電極層220及び240、及び積層方向(図面におけるz軸方向)において電極層220及び240に隣接して配置された固体電解質層232及び234を備える。電極層220及び240は、基本的に、平面方向(図面におけるx-y平面方向)において延在する電流コレクタ221及び241、及び電流コレクタ221及び241の少なくとも1つの表面上にコーティングされた電極活物質層223、225、243、及び245を有してよい。
【0070】
電極活物質層223、225、243、及び245は、延在部分224、226、244、及び246を含んでよく、これらは、その一方の端部分から積層方向において延在し、平面方向において、それぞれ、他の近傍の電極活物質層223、225、243、及び245に隣接して配置された部分を有する。このケースでは、固体電解質層232及び234は、電極活物質層223、225、243、及び245の延在部分224、226、244、及び246に沿って積層方向において屈曲されている屈曲部分232a、232b、234a、及び234bを含んでよい。
【0071】
電極層220及び240は、正電極層220及び負電極層240を含んでよく、固体電解質層232及び234は、正電極層220及び負電極層240の間に介在するように積層されてよい。正電極層220は、正電極電流コレクタ221の少なくとも1つの表面に正電極活物質層223及び225をコーティングすることによって作製されてよく、負電極層240は、負電極電流コレクタ241の少なくとも1つの表面に負電極活物質層243及び245をコーティングすることによって作製されてよい。このケースでは、正電極活物質層223及び225は、正電極電流コレクタ221から積層方向において延在する正電極活物質延在部分224及び226を含んでよく、負電極活物質層243及び245は、負電極電流コレクタ241から積層方向において延在する負電極活物質延在部分244及び246を含んでよい。正電極活物質延在部分224及び226は、それぞれ、平面方向において負電極活物質層243及び245に隣接して配置された部分を有してよく、負電極活物質延在部分244及び246は、それぞれ、平面方向において正電極活物質層223及び225に隣接して配置された部分を有してよい。
【0072】
絶縁層233及び235は、それぞれ、正電極電流コレクタ221の一方のエッジ及び負の外部電極154の間、及び負電極電流コレクタ241の他方のエッジ及び正の外部電極152の間に介在してよい。絶縁層233及び235は、積層方向において正電極活物質延在部分224及び226と接触してもよいし、又は積層方向において負電極活物質延在部分244及び246と接触してもよい。
【0073】
本実施形態では、正電極活物質層223及び225及び負電極活物質層243及び245は、積層方向に従って異なる厚さt1及びt2を有してよい。正電極活物質を構成するコンポーネント及び負電極活物質を構成するコンポーネントの単位体積ごとの特性の差が存在する場合、活物質のうちの1つの体積を増加又は減少させることによって性能の均衡が取られてよい。例えば、正電極活物質層223及び225の各々の厚さt1は、負電極活物質層243及び245の各々の厚さt2よりも厚くてよい。すなわち、負電極活物質及び正電極活物質の重さごとの容量は異なり、厚さは、負電極及び正電極の容量が設計の時点で等しくなるように変更することができる。
【0074】
図5は、更に別の実施形態に係る全固体電池300を示す断面図である。
【0075】
図5を参照すると、本実施形態に係る全固体電池300は、図1図3を参照して説明された全固体電池100の基本構成を含むように構成されてよい。
【0076】
すなわち、全固体電池300は、電極層320及び340、及び積層方向(図面のz軸方向)において電極層320及び340に隣接して配置された固体電解質層232及び234を備える。電極層320及び340は、基本的に、平面方向(図面におけるx-y平面方向)において延在する電流コレクタ321及び341、及び電流コレクタ321及び341の少なくとも1つの表面上にコーティングされた電極活物質層323、325、343、及び345を有してよい。固体電解質層332及び334は、積層方向において電極層320及び340に隣接するように配置されてよい。
【0077】
電極層320及び340は、正電極層320及び負電極層340を含んでよく、固体電解質層332及び334は、正電極層320及び負電極層340の間に介在するように積層されてよい。正電極層320は、正電極電流コレクタ321の少なくとも1つの表面に正電極活物質層323及び325をコーティングすることによって作製されてよく、負電極層340は、負電極電流コレクタ341の少なくとも1つの表面に負電極活物質層343及び345をコーティングすることによって作製されてよい。
【0078】
本実施形態では、正電極活物質層323及び325は、その一方の端部分から積層方向において延在する正電極活物質延在部分324及び326を含んでよく、一方、負電極活物質層343及び345は、延在部分を含まない。正電極活物質延在部分324及び326は、それぞれ、平面方向において負電極活物質層343及び345に隣接して配置された部分を有してよい。固体電解質層332及び334は、それぞれ、正電極活物質延在部分324及び326に沿って積層方向において屈曲された屈曲部分332a及び334aを含んでよい。
【0079】
絶縁層333及び335は、それぞれ、正電極電流コレクタ321の一方のエッジ及び負の外部電極154の間、及び負電極電流コレクタ341の他方のエッジ及び正の外部電極152の間に介在してよい。絶縁層333及び335は、正電極活物質延在部分324及び326と接触してもよいし、又は積層方向において固体電解質層332及び334と接触してもよい。このケースでは、固体電解質層332及び334と接触する絶縁層333は、正電極活物質延在部分324及び326と接触する絶縁層335よりも積層方向において厚くなるように形成されてよい。
【0080】
図6は、更に別の実施形態に係る全固体電池400を示す断面図である。
【0081】
図6を参照すると、本実施形態に係る全固体電池400は、同様に図1図3を参照して説明された全固体電池100の基本構成を含むように構成されてよい。
【0082】
すなわち、全固体電池400は、電極層420及び440、及び積層方向(図面のz軸方向)において電極層420及び440に隣接して配置された固体電解質層432及び434を備える。電極層420及び440は、基本的に、平面方向(図面におけるx-y平面方向)において延在する電流コレクタ421及び441、及び電流コレクタ421及び441の少なくとも1つの表面上にコーティングされた電極活物質層423、425、443、及び445を有してよい。
【0083】
電極活物質層423、425、443、及び445は、延在部分424、426、444、及び446を含んでよく、これらは、その一方の端部分から積層方向において延在し、平面方向において他の近傍の電極活物質層423、425、443、及び445に隣接して配置された部分を有する。このケースでは、固体電解質層432及び434は、電極活物質層423、425、443、及び445の延在部分424、426、444、及び446に沿って積層方向において屈曲されている屈曲部分432a、432b、434a、及び434bを含んでよい。
【0084】
電極層420及び440は、正電極層420及び負電極層440を含んでよく、固体電解質層432及び434は、正電極層420及び負電極層440の間に介在するように積層されてよい。正電極層420は、正電極電流コレクタ421の少なくとも1つの表面に正電極活物質層423及び425をコーティングすることによって作製されてよく、負電極層440は、負電極電流コレクタ441の少なくとも1つの表面に負電極活物質層443及び445をコーティングすることによって作製されてよい。このケースでは、正電極活物質層423及び425は、それぞれ、正電極電流コレクタ421から積層方向において延在する正電極活物質延在部分424及び426を含んでよく、負電極活物質層443及び445は、それぞれ、負電極電流コレクタ441から積層方向において延在する負電極活物質延在部分444及び446を含んでよい。正電極活物質延在部分424及び426は、それぞれ、平面方向において負電極活物質層443及び445に隣接して配置された部分を有してよく、負電極活物質延在部分444及び446は、それぞれ、平面方向において正電極活物質層423及び425に隣接して配置された部分を有してよい。
【0085】
本実施形態では、正電極活物質延在部分424及び426及び負電極活物質延在部分444及び446は、長手方向(図面のx軸方向)において異なる幅w1及びw2を有してよい。すなわち、正電極活物質を構成するコンポーネント及び負電極活物質を構成するコンポーネントの単位体積ごとの特性の差が存在する場合、活物質のうちの1つの体積を増加又は減少させることによって性能の均衡が取られてよい。例えば、正電極活物質延在部分424及び426の各々の幅w1は、負電極活物質延在部分444及び446の幅w2よりも広くてよい。それに応じて、印刷加工を適用するときに正及び負電極容量をより容易に平衡させることが可能である。
【0086】
図7及び図8は、図1において示された全固体電池の製造方法を示す断面図及び分解斜視図である。図8は、図7において示された全固体電池100の構造の底部に位置決めされた正電極層120及び負電極層140を含む電極ユニットの印刷順序を概略的に示している。
【0087】
図7及び図8を参照すると、本実施形態に係る全固体電池100の製造方法において、全固体電池は、印刷加工を使用して保護層163及び外側絶縁層137上に電極層120及び140のコンポーネントを順次に積層することによって製造されてよい。
【0088】
まず、保護層163が提供されてよく、外側絶縁層137がその上に積層されてよい。このケースでは、外側絶縁層137は、保護層163とは別個に形成されてよい。別の例として、外側絶縁層137は、保護層163と同じ材料から一体的に作製されてよい。
【0089】
次に、正電極電流コレクタ121は、外側絶縁層137上に積層されてよい。このケースでは、絶縁層135は、正電極電流コレクタ121の一方の端部分に隣接するように形成されてよく、正電極電流コレクタ121及び絶縁層135は、積層方向(図面におけるz軸方向)に沿って同じ厚さを有するように形成されてよい。
【0090】
絶縁層135は、外側絶縁層137と同じ材料から作製されてよく、絶縁層135が外側絶縁層137上で同じ材料から形成される場合、それは、一体的に形成されてよい。
【0091】
次に、正電極活物質層123は、正電極電流コレクタ121上に積層されてよく、固体電解質層132の屈曲部分132b及び負電極活物質延在部分146は、絶縁層135上に積層されてよい。
【0092】
正電極活物質層123は、正電極電流コレクタ121の面積と同じ大きさのサイズを有するように形成されてよく、固体電解質層132の屈曲部分132b及び負電極活物質延在部分146は、正電極活物質層123の一方の端部分に隣接する。すなわち、固体電解質層132の屈曲部分132bは、正電極活物質層123及び負電極活物質延在部分146を分離させる。
【0093】
次に、固体電解質層132及び正電極活物質延在部分124は、正電極活物質層123上に積層されてよく、負電極活物質延在部分146は、積層方向において更に積層されてよい。正電極活物質延在部分124及び負電極活物質延在部分146は、それぞれ固体電解質層132の両方の端部に配置されてよく、固体電解質層132は、固体電解質層132の屈曲部分132bに一体的に接続されるように形成されてよい。
【0094】
次に、負電極活物質層145は、固体電解質層132及び負電極活物質延在部分146上に積層されてよい。加えて、固体電解質層132の屈曲部分132aは、固体電解質層132の正電極側端部分上に形成されてよく、積層方向において拡がるように正電極活物質延在部分126上に更に積層されてよい。
【0095】
このプロセスを通して、正電極活物質層123は、積層方向において延在する延在部分124を有してよく、負電極活物質層145は、積層方向において延在する延在部分146を有してよい。このケースでは、正電極活物質延在部分124は、平面方向において負電極活物質層145に隣接して配置された部分を有してよく、負電極活物質延在部分146は、平面方向において正電極活物質層123に隣接して配置された部分を有してよい。加えて、固体電解質層132は、正電極活物質層123及び負電極活物質層145の間に介在してよい。
【0096】
次に、負電極電流コレクタ141は、負電極活物質層145上に積層されてよく、絶縁層135は、正電極活物質延在部分124及び固体電解質層132の屈曲部分132a上に配置されてよい。負電極電流コレクタ141は、負電極活物質層145の面積に等しいサイズを有するように形成されてよい。
【0097】
次に、負電極活物質層143は、負電極電流コレクタ141上に積層されてよく、正電極活物質延在部分126及び固体電解質層134の屈曲部分134aは、絶縁層135上に配置されてよい。
【0098】
負電極活物質層143は、負電極電流コレクタ141の面積と同じ大きさのサイズを有するように形成されてよく、固体電解質層134の屈曲部分134a及び正電極活物質延在部分126は、負電極活物質層143の一方の端部分に隣接する。すなわち、固体電解質層134の屈曲部分134aは、負電極活物質層143及び正電極活物質延在部分126を分離させる。
【0099】
次に、固体電解質層134は、負電極活物質層143上に積層され、固体電解質層134は、屈曲部分134aに接続されるように配置されてよい。加えて、正電極活物質延在部分126は、積層方向において上向きに延在するように更に積層されてよく、負電極活物質延在部分144は、負電極側端部分において負電極活物質層143上に積層されてよい。
【0100】
次に、正電極活物質層125は、固体電解質層134及び正電極活物質延在部分126上に積層されてよく、積層方向において拡がるように負電極活物質延在部分144上に更に積層されてよい。その上、屈曲部分134bは、固体電解質層134の正電極側端部分から上向きに延在してよい。
【0101】
上記のプロセスを通して、電極層120及び140及び固体電解質層132及び134は、保護層163及び外側絶縁層137上に形成されてよく、電極層120及び140及び固体電解質層132及び134の積層を繰り返すことによって、全固体電池100の電池スタックが形成されてよい。加えて、外側絶縁層131及び保護層161は、全固体電池100の電池スタックの頂部に位置する負電極電流コレクタ141を被覆するように積層されてよい。
【0102】
次に、外部電極152及び154は、全固体電池100の電池スタックの両方の表面に結合及び接続されてよい。
【0103】
上記では、図1において示された全固体電池の製造方法が説明されたが、図4図6において示された全固体電池も、必要な修正を適用することによって同じように製造され得る。
【0104】
好ましい実施形態が上記で説明されたが、本開示はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲、開示の説明、及び添付図面内で様々な修正を実行することが可能であり、これらの修正も本開示の範囲内に入ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
100、200、300、400:全固体電池
120、140:電極層(正電極層、負電極層)
121、141:電流コレクタ(正電極電流コレクタ、負電極電流コレクタ)
123、125:正電極活物質層
124、126:(正電極活物質)延在部分
143、145:負電極活物質層
144、146:(負電極活物質)延在部分
132、134:固体電解質層
132a、132b、134a、134b:(固体電解質層)屈曲部分
131、137:外側絶縁層
133、135:絶縁層
152、154:外部電極(正の外部電極、負の外部電極)
161、163:保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】