(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】プラスチック熱分解油の前処理
(51)【国際特許分類】
C10G 25/00 20060101AFI20241212BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20241212BHJP
C10G 1/10 20060101ALI20241212BHJP
C10G 25/03 20060101ALI20241212BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20241212BHJP
B01J 20/16 20060101ALI20241212BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20241212BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20241212BHJP
B01J 20/12 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C10G25/00
C08J11/12 ZAB
C10G1/10
C10G25/03
B01J20/20 B
B01J20/16
B01J20/18 E
B01J20/18 B
B01J20/10 D
B01J20/12 C
B01J20/12 A
B01J20/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519584
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022049246
(87)【国際公開番号】W WO2023154089
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール レファ
【テーマコード(参考)】
4F401
4G066
4H129
【Fターム(参考)】
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4F401FA01Z
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4G066AA05B
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4G066EA13
4H129AA03
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4H129KA19
4H129KB02
4H129KC03X
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4H129KC23X
4H129KC28X
4H129NA04
4H129NA05
4H129NA46
(57)【要約】
廃プラスチックを精製原料に転化するプロセス。このプロセスは、廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流を生成する工程;プラスチック熱分解油の液体流を吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程;および従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程を含む。吸着に基づく精製プロセスは、プラスチック熱分解油の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程を含み、その1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々のヘテロ原子を有する有機分子を吸着するように作られている。そのようなシステムは、従来の精製装置と統合されることがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスにおいて、
(a)廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流、排ガス流、および固体流を生成する工程、
(b)前記プラスチック熱分解油の液体流を吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、10ppmw未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程であって、前記吸着に基づく精製プロセスは、
i)前記プラスチック熱分解油の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程であって、該吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られており、前記1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られている、工程と、
ii)前記吸着容器から前記処理済みプラスチック熱分解油流を排出させる工程と、
を含む、工程、および
(c)従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために前記吸着容器から前記処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項2】
前記プラスチック原料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、および低密度ポリエチレン(LDPE)から選択される1種類以上の高分子を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記吸着剤が、非晶質または結晶質状態にある、天然粘土、アルミナ、シリカゲル、活性炭、天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカ、またはアルミナとシリカの組合せからなる群より選択される、請求項1または2記載のプロセス。
【請求項4】
前記吸着剤が活性炭を含む、請求項1から3いずれか1項記載のプロセス。
【請求項5】
前記吸着容器が、前記吸着剤の固定床を含む、請求項1から4いずれか1項記載のプロセス。
【請求項6】
前記吸着容器が、吸着剤のスラリー層を含む、請求項1から4いずれか1項記載のプロセス。
【請求項7】
前記吸着容器が、吸着剤の移動床を含む、請求項1から4いずれか1項記載のプロセス。
【請求項8】
前記吸着剤が、4メッシュから60メッシュの範囲のサイズを有するペレット、球体、押出物、または天然形状として提供される、請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項9】
前記吸着に基づく精製プロセスが、2つ以上の吸着容器を含む、請求項1から8いずれか1項記載のプロセス。
【請求項10】
前記吸着容器が直列に設けられている、請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
前記吸着容器が、並列に設けられ、少なくとも1つの吸着容器が再生を経ている間に、少なくとも1つの異なる吸着容器が、前記プラスチック熱分解油の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む前記有機分子を吸着するように作動しているように交互様式で作動されている、請求項9記載のプロセス。
【請求項12】
同じ吸着剤が前記吸着容器の各々に入れられている、請求項9から11いずれか1項記載のプロセス。
【請求項13】
前記吸着容器の少なくとも2つが、組成の異なる吸着剤を含む、請求項9から11いずれか1項記載のプロセス。
【請求項14】
前記吸着剤が、少なくとも100m
2/gの表面積、少なくとも10Åの平均細孔径、および少なくとも0.1cm
3/gの全細孔体積を有する、請求項1から13いずれか1項記載のプロセス。
【請求項15】
前記プラスチック熱分解油の液体流が、20から80℃の温度、1から10バール(0.1から1MPa)の圧力、および0.1から1h
-1の液空間速度で、前記吸着容器内の前記1種類以上の吸着剤と接触させられる、請求項1から14いずれか1項記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その全ての開示がここに引用される、2022年2月10日に出願された米国特許出願第17/668487号の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスに関する。詳しくは、本開示のある実施の形態は、特殊な吸着に基づく精製プロセスにより、ヘテロ原子を有する有機分子の除去により廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは、主に炭素と水素からなる合成または半合成有機高分子である。さらに、プラスチックは、分解速度が遅く、耐久性である傾向にあり、したがって、それらは、長期間に亘り環境中に留まり、廃棄の際に急速分解しにくい。純粋なプラスチックは、一般に、水に不溶性であり、非毒性である。しかしながら、プラスチックの調製に使用される添加剤は、毒性があり、環境に浸出することがある。毒性添加剤の例に、フタル酸エステルがある。他の種類の添加剤としては、組成と性質を変えるために調製中に使用される充填剤、着色剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外(UV)線吸収剤、帯電防止剤、発泡剤、滑剤が挙げられる。
【0004】
プラスチックは高温で熱分解し、高分子は、気体または液体として元の単量体に戻るように転化することができ、回収することができる。しかしながら、生産中にプラスチックに添加される添加剤は、熱分解から回収された生成物を効果的に利用する上で難題を突きつける。熱分解の際に、添加剤は、熱分解生成物となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、プラスチックの熱分解により生成される熱分解生成物を利用するための解決策を提供する必要性が、明らかに長年に亘ってある。そのような熱分解生成物を利用するためには、熱分解生成物中の添加剤から残される残留物を除去しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つ以上の実施の形態によれば、廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスが開示されている。そのプロセスは、(a)廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流、排ガス流、および固体流を生成する工程;(b)プラスチック熱分解油の液体流を吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、10ppmw未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程;および(c)従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程を含む。吸着に基づく精製プロセスは、i)プラスチック熱分解油の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程であって、その吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られており、1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られている、工程;およびii)吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を排出させる工程を含む。
【0007】
記載された実施の形態の追加の特徴と利点が、以下の詳細な説明に述べられている。記載された実施の形態の追加の特徴と利点は、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明並びに図面および特許請求の範囲を含む、記載された実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の特定の実施の形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読まれたときに、最もよく理解することができる。
【
図2】1つの吸着容器が利用される、本開示の1つ以上の実施の形態の概略図
【
図3】直列の吸着容器が利用される、本開示の1つ以上の実施の形態の概略図
【
図4】並列の吸着容器が利用される、本開示の1つ以上の実施の形態の概略図
【
図5】直列の吸着容器の並列吸着経路が利用される、本開示の1つ以上の実施の形態の概略図 ここで、そのいくつかの実施の形態が添付図面に示されている、様々な実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様のユニットを称するために、図面に亘り、同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
関連システムと組み合わされた廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスの実施の形態が、本開示に与えられている。
【0010】
廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスは、廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流、排ガス流、および固体流を生成する工程;プラスチック熱分解油の液体流を吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、10ppmw未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程;および従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程を含む。吸着に基づく精製プロセスは、プラスチック熱分解油の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程、および吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を排出させる工程を含む。その吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られている。さらに、1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られている。
【0011】
廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスを広く説明してきたが、その実施の形態を、様々な図面を参照して、さらに詳しく説明する。
【0012】
最初に
図1を参照すると、廃プラスチックが、従来の精製プロセスのための原料に転化される本開示の1つ以上の実施の形態の概略図が、提示されている。混合プラスチックを含む入口流101がプラスチック熱分解ユニット110に供給される。プラスチック熱分解ユニット110は、入口流101と流体連通しており、入口流101から、プラスチック熱分解油102の液体流、排ガス流104、および固体流106を生成するように機能する。プラスチック熱分解油102の液体流は、吸着に基づく精製プロセス120に直接供給される。吸着に基づく精製プロセス120は、プラスチック熱分解ユニット110と流体連通しており、10質量百万分率(ppmw)未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流108を生成するように機能する。
【0013】
プラスチック原料
1つ以上の実施の形態において、入口流101は、組成が異なる混合プラスチックを含むプラスチック原料を含む。プラスチック熱分解ユニット110に供給されるプラスチック原料は、様々な高分子類からのプラスチックの混合物であることがある。様々な実施の形態において、プラスチック原料は、表1に開示された高分子類の1つ以上を表すプラスチックを含むことがある。具体的に、プラスチック原料は、オレフィン、炭酸エステル、芳香族高分子、スルホン、フッ素化炭化水素高分子、塩素化炭化水素高分子、およびアクリロニトリルの1つ以上を表すプラスチックを含むことがある。さらに、プラスチック熱分解ユニット110に供給されるプラスチック原料は、高密度ポリエチレン(HDPE、例えば、立方センチメートル当たり約0.93から0.97グラム(g/cm3)の密度)、低密度ポリエチレン(LDPE、例えば、約0.910g/cm3から0.940g/cm3)、ポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の混合物であることがある。混合プラスチック原料を利用することにより、プラスチックを細分類する必要なく、プラスチックの再生利用を可能にできることが認識されよう。
【0014】
【0015】
入口流101のプラスチックは、様々な異なる形態で提供されることがある。プラスチックは、より小規模の作業では粉末の形態にあることがある。プラスチックは、より大規模の作業では、1から5ミリメートル(mm)の粒径を持つペレットなどのペレットの形態にあることがある。さらなる実施の形態において、プラスチックは、細断された、または挽いた生成物として提供されることがある。さらに、入口流101のプラスチックは、天然、合成または半合成高分子であることがある。様々な実施の形態において、入口流101のプラスチックは、廃棄プラスチック、製造規格外生成物、新たなプラスチック生成物、未使用のプラスチック生成物、並びにそれの組合せを含むことがある。
【0016】
プラスチック熱分解
プラスチック熱分解ユニット110は、プラスチックの入口流101を気体、液体、および固体生成物に転化する。液体生成物は、プラスチック熱分解油102の流れとしてプラスチック熱分解ユニット110から流出物として提供される。気体生成物の流れは、排ガス流104として
図1から5に広く示されている。排ガス流104中の気体生成物は、水素と炭化水素ガス(C1~C4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、および他の酸性ガスなどの様々な種を含むことがある。固体生成物の流れは、固体流106として
図1から5に広く示されている。固体流106は、混合プラスチックの初期製造中に入口流101の混合プラスチックに添加された添加剤から生じた熱分解残留物を含むことがある。
【0017】
プラスチック熱分解ユニット110として使用される特定の反応器は、異なるタイプのものであり得、本開示の目的のために限定されない。当業者には、プラスチック熱分解ユニット110の機能を果たすために使用できる典型的な反応器のタイプに、タンク型反応器、回転窯、充填床、バブリングおよび循環流動床などがあることが認識されよう。1つ以上の実施の形態において、入口流101中の廃プラスチックの熱分解は、300から1000℃の温度で、触媒の存在下または不在下で行われる。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット110は、450℃以下の温度で低シビアリティーで、450℃より高い温度で高シビアリティーで、300から450℃の温度で、450から1000℃の温度で、450から750℃の温度で、600から1000℃の温度で、または750から1000℃の温度で、作動することがある。様々な実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット110は、1から100バール(0.1から10MPa)、1から50バール(0.1から5MPa)、1から25バール(0.1から2.5MPa)、または1から10バール(0.1から1MPa)の範囲の圧力で作動することがある。さらに、様々な実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット110中の廃プラスチックの滞留時間は、1から3600秒、60から1800秒、または60から900秒であることがある。
【0018】
プラスチック熱分解油
プラスチック熱分解油102の液体流の組成は、入口流101に利用される廃プラスチックの組成に応じて変わり得ることが認識されるであろう。具体的に、製造中にプラスチックに添加される添加剤は、廃プラスチックの熱分解の際に熱分解生成物になるので、プラスチック熱分解油102の液体流中に存在する硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子の量と特定の選択は、入口流101の組成の影響を受けるであろう。それゆえ、本開示による閾値未満の低レベルでしか存在しない硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を含むプラスチック熱分解油の処理プロセスは、プラスチック熱分解油102の液体流中により大きい濃度で存在するそのような有機分子に関する本開示のプロセスと同じ様式で実施されるように転移可能ではなく、予測されないであろうことが認識されよう。
【0019】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、2000ppmwまでの硫黄を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、1800ppmwまでの硫黄、1600ppmwまでの硫黄、1400ppmwまでの硫黄、または1200ppmwまでの硫黄を含むことがある。さらに、様々な実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流中の硫黄の濃度は、少なくとも3ppmwの硫黄、少なくとも5ppmwの硫黄、少なくとも10ppmwの硫黄、少なくとも20ppmwの硫黄、または少なくとも40ppmwの硫黄の下限も有することがある。
【0020】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、5000ppmwまでの窒素を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、4000ppmwまでの窒素、3500ppmwまでの窒素、3000ppmwまでの窒素、または2500ppmwまでの窒素を含むことがある。さらに、様々な実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流中の窒素の濃度は、少なくとも3ppmwの窒素、少なくとも5ppmwまでの窒素、少なくとも10ppmwまでの窒素、少なくとも100ppmwまでの窒素、または少なくとも500ppmwまでの窒素の下限も有することがある。
【0021】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、2000ppmwまでの塩素を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、1800ppmwまでの塩素、1500ppmwまでの塩素、1200ppmwまでの塩素、または1000ppmwまでの塩素を含むことがある。さらに、様々な実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流中の塩素の濃度は、少なくとも1ppmwの塩素、少なくとも5ppmwの塩素、少なくとも10ppmwの塩素、少なくとも20ppmwの塩素、または少なくとも40ppmwの塩素の下限も有することがある。
【0022】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、2000ppmwまでの酸素を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、1900ppmwまでの酸素、1800ppmwまでの酸素、1750ppmwまでの酸素、または1600ppmwまでの酸素を含むことがある。さらに、様々な実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流中の酸素の濃度は、少なくとも3ppmwの酸素、少なくとも5ppmwの酸素、少なくとも10ppmwの酸素、少なくとも100ppmwの酸素、または少なくとも500ppmwの酸素の下限も有することがある。
【0023】
明確にするために、プラスチック熱分解油102の液体流は、先に開示された濃度で硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を、並びに先に開示された濃度で硫黄、窒素、酸素、および塩素の内の1つだけ、2つ、または3つの一部だけを含むことがあることに留意のこと。
【0024】
吸着に基づく精製プロセス
吸着に基づく精製プロセス120は、プラスチック熱分解油102の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程を含む。その吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られている。さらに、1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られている。すなわち、吸着剤の少なくとも1つは、硫黄含有化合物を吸着するように作られおり、吸着剤の少なくとも1つは、窒素含有化合物を吸着するように作られており、吸着剤の少なくとも1つは、酸素含有化合物を吸着するように作られており、吸着剤の少なくとも1つは、塩素含有化合物を吸着するように作られている。硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子の吸着により、処理済みプラスチック熱分解油流108が生成され、これは、収集と、従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために、吸着容器から排出される。
【0025】
結果として得られる処理済みプラスチック熱分解油流108を、付加価値生成物を製造するために従来の精製プロセスに供給する前に、プラスチック熱分解油102の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を除去することが望ましい。何故ならば、そのような有機分子は、従来の精製プロセスにおいて生じる化学反応を妨げるまたはそれに影響を与えることがあるからである。エチレン、プロピレン、およびブチレンなどの付加価値生成物は、水素化処理、水素化分解、または流動接触分解などの従来の精製プロセスを使用して、熱分解油および他の炭化水素流から生成されることがあるが、プラスチック熱分解油102の液体流中のヘテロ原子を含む残留有機分子が、従来の精製プロセスおよびそのような付加価値生成物の収量に影響することがある。それゆえ、結果として得られる処理済みプラスチック熱分解油流108を従来の精製プロセスに供給する前に、プラスチック熱分解油102の液体流から、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む分子を除去することは、廃プラスチックを精製原料に転化させる場合、必要不可欠である。従来の精製プロセスに供給されるプロセス流中の塩素の存在は、特に問題であることを明白に留意されたい。
【0026】
吸着は、液体流または気体流を浄化するために利用されることのある分離技術である。固体が、気体状または液体化合物と接触するように配置された場合、固体の表面と気体状または液体化合物との間に力が生じて、結合が形成される。これは、吸着と呼ばれる現象である。その結合は、関与する化合物と固体の性質に応じて、様々な強度を有することがある。異なる結合強度により、混合物中の特定の成分のみが選択的に吸着されることがある。立体障害や運動現象も、吸着現象の選択性に寄与し得ることに留意のこと。混合物を分別するために、またはそのような混合物から望ましくない成分を選択的に除去するために、大きい表面積を有し、その結果、吸着容量が大きい多数の細孔性固体を吸着容器内の吸着剤として使用して、この特異性の高い吸着選択性を利用できると理解される。
【0027】
吸着に基づく精製プロセス120および吸着による分離を広く記載してきたが、吸着に基づく精製プロセス120の特定の配置および構成の実施の形態が、様々な図面を参照して提供される。
【0028】
1つの吸着容器
図2を参照すると、1つ以上の実施の形態において、吸着に基づく精製プロセス120は、1つの吸着容器122を含む。プラスチック熱分解油102の液体流は、吸着容器122に直接供給され、その中に入れられた吸着剤130と接触させられて、処理済みプラスチック熱分解油流108を生成する。そのような構成において、1つの吸着容器122内に入れられた吸着剤130は、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着するように作られている。それゆえ、1つ以上の実施の形態において、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着できる1種類の吸着剤130が提供されていることが認識されるであろう。
【0029】
1つ以上のさらなる実施の形態において、各吸着剤130が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の1つ以上を吸着する、複数の異なる吸着剤130が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着するために提供される。その複数の異なる吸着剤130は、均一または不均一な様式で提供されることがある。具体的に、1つ以上の実施の形態において、複数の異なる吸着剤130は、吸着剤130の1つのアマルガムに互いに混合され、1つ以上のさらなる実施の形態において、複数の異なる吸着剤130は、吸着容器122内の個別の層または集団として提供される。
【0030】
直列の多数の吸着容器
図3を参照すると、1つ以上の実施の形態において、吸着に基づく精製プロセス120は、代わりに直列吸着容器132と称されることもある多数の吸着容器122を直列に含む。明確にするために、吸着容器122に関する開示が、同様に、直列吸着容器132に完全に転移可能である。プラスチック熱分解油102の液体流は、直列吸着容器132の最初のものに直接供給され、その中に入れられた吸着剤130と接触させられて、中間処理済みプラスチック熱分解油流208を生成する。この中間処理済みプラスチック熱分解油流208は、逐次的様式でさらなる直列吸着容器132に送られて、中間処理済みプラスチック熱分解油流208をさらに処理する。一連の吸着容器122の最後の直列吸着容器132は、処理済みプラスチック熱分解油流108を排出する。そのような構成において、直列吸着容器132内に入れられた吸着剤130は共同で、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着するように作られている。
【0031】
それゆえ、1つ以上の実施の形態において、直列吸着容器132の各々に1種類の吸着剤130が提供されており、各吸着剤130が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の1つ以上を吸着できることが認識されるであろう。例えば、第1の直列吸着容器132に提供された吸着剤130は、硫黄含有化合物の吸着に関して選択的であることがあり、第2の直列吸着容器132に提供された吸着剤130は、窒素含有化合物の吸着に関して選択的であることがあり、第3の直列吸着容器132に提供された吸着剤130は、酸素含有化合物の吸着に関して選択的であることがあり、第4の直列吸着容器132に提供された吸着剤130は、塩素含有化合物の吸着に関して選択的であることがある。硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の内の複数に関して選択的な1つの吸着剤130が、直列吸着容器132の1つに提供され、それによって、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着するのに必要な直列吸着容器132の最小総数を減少させてもよいことが認識されるであろう。
【0032】
1つ以上の実施の形態において、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の所望の吸着特徴を達成するために、各直列吸着容器132内に、直列吸着容器132のブレンドが提供されることがある。例えば、第1の直列吸着容器132に提供された吸着剤130は、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の各々に選択的なブレンドであることがあり、一方で、連続して設けられたさらなる直列吸着容器132に提供されるブレンドは、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の内の1つだけの集中的な吸着に向けられる。さらに、1つの吸着容器122を有する実施の形態に関して記載されたように、多数の吸着剤130のブレンドが、各直列吸着容器132内で、均一様式並びに不均一様式の両方で提供されることがある。
【0033】
吸着に基づく精製プロセス120が、直列に設けられた多数の吸着容器122を含む様々な実施の形態において、直列吸着容器132の総数は、2つの直列吸着容器132、3つの直列吸着容器132、4つの直列吸着容器132、5つの直列吸着容器132、8までの直列吸着容器132、12までの直列吸着容器132、または2から12の直列吸着容器132であることがある。3つの直列吸着容器132の配列が
図3に示されているが、
図3は、2つの直列吸着容器132に減少させても、12の直列吸着容器132を含むように拡張させても差し支えないことが容易に理解されるであろう。直列吸着容器132の数を多くすると、操業費と資本コストを不利に増加させて、各直列吸着容器132内に入れられた吸着剤130の選択における特異性を増加させられることが認識されるであろう。
【0034】
並列の多数の吸着容器
図4を参照すると、1つ以上の実施の形態において、吸着に基づく精製プロセス120は、代わりに並列吸着容器142と称されることもある多数の吸着容器122を含む。明確にするために、吸着容器122に関する開示が、同様に、並列吸着容器142に完全に転移可能である。プラスチック熱分解油102の液体流が、2つ以上の並列吸着容器142と直接流体連通しており、プラスチック熱分解油102の液体流は、その中に入れられた吸着剤130と接触させられて、処理済みプラスチック熱分解油流108を生成する。そのような構成において、並列吸着容器142の各々に集合的に入れられた吸着剤130は、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着するように作られている。それゆえ、1つ以上の実施の形態において、並列吸着容器142の各々内で硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着できる1種類の吸着剤130が提供されることが認識されるであろう。
【0035】
1つ以上のさらなる実施の形態において、各並列吸着容器142内に複数の異なる吸着剤130が提供されて、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物を吸着し、各吸着剤130が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および塩素含有化合物の1つ以上を吸着することができる。複数の異なる吸着剤130は、均一または不均一な様式で提供されることがある。具体的に、1つ以上の実施の形態において、複数の異なる吸着剤130は、吸着剤130の1つのアマルガムに互いに混合され、1つ以上のさらなる実施の形態において、複数の異なる吸着剤130は、並列吸着容器142の各々内に異なる層または集団として提供される。
【0036】
並列吸着容器142として吸着容器122を並列構成で設けると、吸着に基づく精製プロセス120に運転柔軟性が与えられる。1つ以上の実施の形態において、並列吸着容器142の各々は、吸着剤130の個別の配合を含む。具体的に、並列吸着容器142の各々は、入口流101を形成する混合プラスチックの異なる組成により生成されるプラスチック熱分解油102の液体流の組成に特異的な吸着剤130の配合を含むことがある。そのような配列により、プラスチック熱分解油102の液体流を、特定成分をより効果的に除去するように最適化された多数の並列吸着容器142の内の1つに提供することができる。プラスチック熱分解油102の液体流からの特定成分の除去に的を絞った最適化により、入口流101の組成が変動するときに適合できるだけでなく、さらなる処理のために従来の精製プロセスに供給される所望の組成に合うように処理済みプラスチック熱分解油流108を最適化できる。
【0037】
吸着容器122を並列構成で設けると、並列吸着容器142の少なくとも1つが再生を経ながら、少なくとも1つの異なる並列吸着容器142が、プラスチック熱分解油102の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1種類以上の原子を含む有機分子を吸着するように作動されるように、交代様式で作動することができる。
【0038】
図5を参照すると、1つ以上の実施の形態において、吸着に基づく精製プロセス120に、並列と直列に設けられた吸着容器122の組合せが提供されている。詳しくは、吸着に基づく精製プロセス120は、吸着経路の各々が直列の多数の吸着容器122から形成された、並列吸着経路を含む。そのような構成は、交代様式で作動できるなど、多数の並列吸着容器142の恩恵を提供しつつ、プラスチック熱分解油102の液体流から特定のタイプの成分の吸着のために各吸着容器122を調整するなど、多数の直列吸着容器132の恩恵も提供する。
【0039】
1つ以上の実施の形態において、吸着容器122、および延長線上で考えると、直列吸着容器132および並列吸着容器142は、吸着剤130の固定床を含む。
【0040】
1つ以上の実施の形態において、吸着容器122、および延長線上で考えると、直列吸着容器132および並列吸着容器142は、吸着剤130のスラリー層を含む。
【0041】
1つ以上の実施の形態において、吸着容器122、および延長線上で考えると、直列吸着容器132および並列吸着容器142は、吸着剤130の移動床を含む。
【0042】
吸着剤
吸着剤130は、プラスチック熱分解油102の液体流から望ましくない有機分子を除去するように選択されることがある。1つ以上の実施の形態において、吸着容器122に提供された吸着剤130は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られている。
【0043】
様々な実施の形態において、吸着剤130は、アタパルガス(attapulgus)粘土、アルミナ、シリカゲル、活性炭などの天然粘土、および超安定Y型ゼオライトなどの天然と合成のゼオライトの1つ以上を含む。吸着剤130の各タイプは、硫黄または窒素または塩素または酸素の1つ以上の除去を向上させることがあることに留意されたい。
【0044】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130を形成するためのゼオライト骨格としては、識別子ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、ANO、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVE、AVL、AWO、AWW、BCT、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETL、ETR、ETV、EUO、EWO、EWS、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFT、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MRT、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POR、POS、PSI、PTO、PTT、PTY、PUN、PWN、PWO、PWW、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOR、SOS、SOV、SSF、SSY、STF、STI、STT、STW、-SVR、SVV、SWY、-SYT、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YFI、YUG、ZON、*BEA、*CTH、*-EWT、*-ITN、*MRE、*PCS、*SFV、*-SSO、*STO、*-SVY、*UOEを有するものを含む、国際ゼオライト協会により特定されたものが挙げられる。例えば、石油精製業に使用される特定の公知のゼオライトとしては、以下に限られないが、モルデナイト、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM 35、ベータ型(*BEA)、Y、USY、およびMCM-41やMCM-48などのMCMゼオライトが挙げられる。例えば、これらは、7.4×7.4Åの[111]方向に沿って見たときの12員環に関連する微小孔サイズを有する、USYを含む、(FAU)骨格構造;それぞれ、5.5×5.1Åおよび5.6×5.3Åの[100]および[010]方向に沿って見たときの10員環に関連する微小孔サイズを有する、ZSN-5を含む、(MFI)骨格構造;5.4×5.3Åの[100]方向に沿って見たときの10員環に関連する微小孔サイズを有する、ZSM-11を含む、(MEL)骨格構造;5.6×6.0Åの[010]方向に沿って見たときの12員環に関連する微小孔サイズを有する、ZSM-12を含む、(MTW)骨格構造;4.6×5.7Åの[001]方向に沿って見たときの10員環に関連する微小孔サイズを有する、ZSM-12を含む、(TON)骨格構造;4.5×5.2Åの[001]方向に沿って見たときの10員環に関連する微小孔サイズを有する、ZSM-23を含む、(MTT)骨格構造;それぞれ、4.2×5.4Åおよび3.5×4.8Åの[001]および[010]方向に沿って見たときの10員環および8員環に関連する微小孔サイズを有する、ZSM-35を含む、(FER)骨格構造;それぞれ、6.5×7.0Åおよび2.6×5.7Åの[001]および[001]方向に沿って見たときの12員環および8員環に関連する微小孔サイズを有する、モルデナイトゼオライトを含む、(MOR)骨格構造;およびそれぞれ、6.6×6.7Åおよび5.6×5.6Åの[100]および[001]方向に沿って見たときの12員環に関連する微小孔サイズを有する、ゼオライトベータ多形Aを含む、(*BEA)骨格構造であり得る。結晶質シリコアルミノリン酸塩(SAPO)や、アルミノリン酸塩(AlPO)材料などのゼオライト型材料も公知である。
【0045】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は活性炭を含む。溶媒の廃棄や再生を必要とせずに、発電所での燃焼や、ガス化されることなどで、活性炭は容易に廃棄できることが認識されるであろう。
【0046】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、超安定Y型ゼオライトを含む。超安定Y型ゼオライトは、石油精製業で他の目的によく使用され、それゆえ、吸着剤130として利用するのに容易に入手できることが認識されるであろう。さらに、石油精製作業内で他の触媒転換ユニットからの使用済み超安定Y型ゼオライトは、再生後に吸着剤130として使用することができ、石油精製内での循環利用により経済的かつ環境上両方の恩恵を提供することができる。
【0047】
吸着剤130の実施の形態は、アルミナまたはシリカを含むことが示されてきたが、吸着剤130は、結晶質状態または非晶質状態の、シリカ、アルミナ、またはシリカとアルミナ両方の組合せから形成される新たな触媒または使用済み触媒であってよいことにさらに留意されたい。触媒は、Co、Mo、Ni、またはWなどの金属を追加に含有してもよい。
【0048】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、ペレット、球体、または押出物として提供される。さらなる実施の形態において、吸着剤130は天然形状で提供される。本開示の目的に関して、「天然形状」は、吸着剤130のより大きい一群を粉砕したり、壊したりすることにより形成される幾何学形状である。吸着剤130は、様々な実施の形態において、4メッシュから60メッシュ、4メッシュから50メッシュ、4メッシュから40メッシュ、または4メッシュから35メッシュの範囲のサイズを有するペレット、球体、押出物、または天然形状であることがある。活性炭やゼオライトなどの吸着剤130の吸着速度は、粒径に逆比例で依存すると判断されるので、そのようなパラメータは、特定用途にとっての吸着剤130の性能と適合性を分析する場合、重要な特徴である。
【0049】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、吸着剤130の成分を所望の形状に凝集させるために結合剤を含むことがある。ゼオライトは、一般に互いに結合できず、よって、ペレットや他の所望の形状を形成するために結合剤成分が使用されることに留意されたい。様々な実施の形態において、結合剤はアルミナまたはシリカ-アルミナであることがある。
【0050】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、少なくとも100平方メートル毎グラム(m2/g)の表面積を有する。様々なさらなる実施の形態において、吸着剤130は、少なくとも125m2/g、少なくとも200m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1,000m2/g、または少なくとも2,000m2/gの表面積を有する。
【0051】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、少なくとも10オングストローム(Å)の平均細孔径を有する。様々なさらなる実施の形態において、吸着剤130は、少なくとも25Å、少なくとも50Å、または少なくとも100Å、並びに800Å未満、500Å未満、400Å未満、または200Å未満の平均細孔径を有する。平均細孔径は、バレット-ジョイナー-ハレンダ(BJH)法にしたがって計算する。1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、マクロ孔が直径500Å超、メソ細孔が直径20から500Å、微小孔が直径20Å未満である場合、メソ多孔性である。
【0052】
1つ以上の実施の形態において、吸着剤130は、少なくとも100平方メートル毎グラム(m2/g)の表面積を有する。様々なさらなる実施の形態において、吸着剤130は、少なくとも125m2/g、少なくとも150m2/g、少なくとも200m2/g、または少なくとも250m2/gで、最大2,000m2/g、1,800m2/g、1,500m2/g、または1,000m2/gの表面積を有する。
【0053】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、20から80℃の温度で吸着容器122内の1種類以上の吸着剤130と接触させられる。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、20から80℃、20から60℃、20から50℃、または20から40℃の温度で吸着容器122内の1種類以上の吸着剤130と接触させられる。周囲条件での作動により、外部加熱を必要とせずに、作動できることが認識されるであろう。
【0054】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、1から10バール(0.1から1MPa)の圧力で吸着容器122内の1種類以上の吸着剤130と接触させられる。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、1から8バール(0.1から0.8MPa)、1から6バール(0.1から0.6MPa)、1から4バール(0.1から0.4MPa)、または1から3バール(0.1から0.3MPa)の圧力で吸着容器122内の1種類以上の吸着剤130と接触させられる。
【0055】
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、0.1から8時間の逆数(h-1)の液空間速度(LHSV)で吸着容器122内の1種類以上の吸着剤130と接触させられる。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解油102の液体流は、0.1から5h-1、0.1から4h-1、または0.1から3h-1のLHSVで吸着容器122内の1種類以上の吸着剤130と接触させられる。LHSVは、吸着容器122のサイズの影響を受けることがあり、より小さい吸着容器122が、比較的大きい吸着容器122よりも相対的に高いLHSVを有することが認識されるであろう。
【0056】
吸着剤130などの吸着剤粒子は、液相分子にとって有限容量を有する。プラスチック熱分解油102の液体流と長期間接触すると、最終的に、吸着剤130の固相と除去することが望ましい有機分子との間に熱力学的平衡がもたらされることになる。この平衡条件では、吸着と脱着の速度が等しく、吸着剤130上の正味の装填量が増加できず、吸着剤130を再生するか、または単に吸着剤を交換するかのいずれかが必要となる。1つ以上の実施の形態において、吸着剤は、吸着容器122から、延長線上で考えると、直列吸着容器132および並列吸着容器142内から廃棄される。さらに、1つ以上の実施の形態において、吸着容器122内の吸着剤130、および延長線上で考えると、直列吸着容器132および並列吸着容器142内の吸着剤130は、吸着された有機分子を取り去り、平衡をリセットするために、再生されることがある。当業者に公知のどの適切な再生方法を、本開示にしたがって実施してもよい。
【0057】
脱着と再生の例示の方法には、以下の内の1つ、またはより一般に、その組合せがある:温度の上昇、分圧の減少、濃度の減少、不活性流体によるパージ、より強力に吸着する種との置換、吸着種を脱着する極性溶媒、またはpHなどの化学的条件の変更。この方法は、吸着容器122内に入れられる特定の吸着剤130に基づいて選択されることがある。吸着種を脱着するために極性溶媒を利用する場合、そのような溶媒は、1つ以上の実施の形態において、少なくとも18MPaのヒルデブラント溶解パラメータを有することがある。
【0058】
処理済みプラスチック熱分解油
先に示したように、結果として得られる処理済みプラスチック熱分解油流108を付加価値生成物の生産のために従来の精製プロセスに供給する前に、プラスチック熱分解油102の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を除去することが望ましい。何故ならば、そのような有機分子は、従来の精製プロセスで生じる化学反応を妨げたり、影響を与えたりすることがあるからである。
【0059】
1つ以上の実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、10ppmwまでの硫黄を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、8ppmwまでの硫黄、6ppmwまでの硫黄、3ppmwまでの硫黄、または1ppmwまでの硫黄を含むことがある。
【0060】
1つ以上の実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、10ppmwまでの窒素を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、8ppmwまでの窒素、6ppmwまでの窒素、3ppmwまでの窒素、または1ppmwまでの窒素を含むことがある。
【0061】
1つ以上の実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、10ppmwまでの塩素を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、8ppmwまでの塩素、6ppmwまでの塩素、3ppmwまでの塩素、または1ppmwまでの塩素を含むことがある。
【0062】
1つ以上の実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、10ppmwまでの酸素を含むことがある。様々なさらなる実施の形態において、処理済みプラスチック熱分解油流108は、8ppmwまでの酸素、6ppmwまでの酸素、3ppmwまでの酸素、または1ppmwまでの酸素を含むことがある。
【0063】
1つ以上の実施の形態において、廃プラスチックを精製原料に転化させるためのプロセスが、従来の精製と統合されることがある。本開示の目的について、従来の精製は、原油を複数の有用製品に処理するための既存の精製作業を称する。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、本開示の特徴を説明しているが、本開示の範囲を限定する意図はない。
【0065】
本開示にしたがって廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスの有用性を実証するために、代表的な試験を行った。具体的に、プラスチック熱分解油を生成し、次に、処理して、本開示に開示されたように、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を除去するように処理した。
【0066】
プラスチック熱分解油の生成
HDPE、LDPE、PP、LLDPE、PS、およびPETの混合物を含むプラスチック供給物をプラスチック熱分解ユニット110に供給し、処理して、プラスチック熱分解油102の流れを生成した。プラスチック熱分解ユニット110からのさらなる出力は、C1、C2、C3、C4パラフィン系およびオレフィン炭化水素、並びに他の汚染ガスを含む気体生成物、および様々な固体であった。プラスチック熱分解油102の性質と組成が、表2に示されている。さらに、プラスチック熱分解油102を本開示にしたがって第1の分留装置152に供給し、36から370℃の範囲で沸騰するナフサとディーゼルを含む蒸留留分103および370℃以上で沸騰する炭化水素を含む真空軽油留分104に分離した。ナフサ、ディーゼル、および真空軽油の明細も、表2に与えられている。
【0067】
【0068】
本発明の実施例1
表2の組成概要を有する例示のプラスチック熱分解油を本開示にしたがって吸着容器内の吸着剤で処理した。詳しくは、50グラムの例示のプラスチック熱分解油を、20℃の温度および大気圧で、20グラムの活性炭を含有する吸着カラムに通した。利用した活性炭は、770m2/gの表面積、12.7Åの平均細孔径、および0.442cm3/gの細孔体積を有した。活性炭が充填された吸着カラムから流出物として排出された処理済みプラスチック熱分解油を収集し、窒素、硫黄、および塩素の存在について分析した。48グラムの処理済みプラスチック熱分解油が収集されたことに留意されたい。窒素、硫黄、および塩素の減少が、表3に示されている。活性炭のカラムでの吸着により生成された処理済みプラスチック熱分解油のシミュレーションされた蒸留プロファイルも、表4に示されたように、作成した。
【0069】
【0070】
【0071】
表3を検討すると、本開示のプロセスにより活性炭で例示のプラスチック熱分解油を処理すると、処理済みプラスチック熱分解油中の窒素、硫黄、および塩素が減少したのが分かる。詳しくは、本発明の実施例1の処理済みプラスチック熱分解油は、窒素が89パーセント減少し、硫黄が61パーセント減少し、塩素が52.3パーセント減少した。さらに表4を参照すると、最初の例示のプラスチック熱分解油と比べての本発明の実施例1の処理済みプラスチック熱分解油の沸点特徴は実質的に変化しなかったことに留意されたい。
【0072】
本発明の実施例2
表2の組成概要を有する例示のプラスチック熱分解油も、本開示にしたがって吸着容器内の吸着剤として機能するUSYゼオライトで処理した。詳しくは、50グラムの例示のプラスチック熱分解油を、20℃の温度および大気圧で、20グラムのUSYゼオライトを含有する吸着カラムに通した。ゼオライト系の吸着剤を使用した。この吸着剤は35質量%のUSYゼオライトを含有し、残りはアルミナ結合剤であった。USYゼオライトは、280m2/gの表面積、および0.19cm3/gの細孔体積を有した。USYゼオライトが充填された吸着カラムから流出物として排出された処理済みプラスチック熱分解油を収集し、窒素、硫黄、および塩素の存在について分析した。47グラムの処理済みプラスチック熱分解油が収集されたことに留意されたい。窒素、硫黄、および塩素の減少が、表5に示されている。USYゼオライトのカラムでの吸着により生成された処理済みプラスチック熱分解油のシミュレーションされた蒸留プロファイルも、表6に示されたように、作成した。
【0073】
【0074】
【0075】
表5を検討すると、本開示のプロセスによりUSYゼオライトで例示のプラスチック熱分解油を処理すると、処理済みプラスチック熱分解油中の窒素が減少したのが分かる。詳しくは、本発明の実施例2の処理済みプラスチック熱分解油は、窒素が87パーセント減少した。さらに表6を参照すると、最初の例示のプラスチック熱分解油と比べて、本発明の実施例2の処理済みプラスチック熱分解油の沸点特徴は実質的に変化しなかったことに留意されたい。
【0076】
ここで、廃プラスチックを精製原料に転化させるためのプロセスおよび関連システムの様々な態様が記載されており、そのような態様は様々な他の態様と共に利用されてもよいことを理解すべきである。
【0077】
第1の態様によれば、廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスは、(a)廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流、排ガス流、および固体流を生成する工程;(b)プラスチック熱分解油の液体流を吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、10ppmw未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程であって、吸着に基づく精製プロセスは、i)プラスチック熱分解油の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程であって、その吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られており、1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られている、工程と、ii)吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を排出させる工程とを含む、工程;および(c)従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために吸着容器から処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程を有してなる。
【0078】
第2の態様は、プラスチック原料の熱分解が、300℃から1000℃の温度で、触媒の存在下で行われる、第1の態様のプロセスを含む。
【0079】
第3の態様は、プラスチック原料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、および低密度ポリエチレン(LDPE)から選択される1種類以上の高分子を含む、第1または第2の態様のプロセスを含む。
【0080】
第4の態様は、プラスチック原料が、組成が異なる混合プラスチックを含む、第1から第3の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0081】
第5の態様は、吸着剤が、非晶質または結晶質状態にある、天然粘土、アルミナ、シリカゲル、活性炭、天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、シリカ、またはアルミナとシリカの組合せからなる群より選択される、第1から第4の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0082】
第6の態様は、吸着剤が活性炭を含む、第1から第4の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0083】
第7の態様は、吸着容器が、吸着剤の固定床を含む、第1から第6の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0084】
第8の態様は、吸着容器が、吸着剤のスラリー層を含む、第1から第6の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0085】
第9の態様は、吸着容器が、吸着剤の移動床を含む、第1から第6の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0086】
第10の態様は、吸着剤が、4メッシュから60メッシュの範囲のサイズを有するペレット、球体、押出物、または天然形状として提供される、第1から第9の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0087】
第11の態様は、吸着に基づく精製プロセスが、2つ以上の吸着容器を含む、第1から第10の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0088】
第12の態様は、吸着容器が直列に設けられている、第11の態様のプロセスを含む。
【0089】
第13の態様は、吸着容器が並列に設けられている、第11の態様のプロセスを含む。
【0090】
第14の態様は、吸着容器が、少なくとも1つの吸着容器が再生を経ている間に、少なくとも1つの異なる吸着容器が、プラスチック熱分解油の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作動しているように交互様式で作動されている、第13の態様のプロセスを含む。
【0091】
第15の態様は、吸着容器が、直列に設けられた吸着容器の並列吸着経路として設けられている、第11の態様のプロセスを含む。
【0092】
第16の態様は、並列吸着経路が、並列吸着経路の少なくとも1つが再生を経ている間に、少なくとも1つの異なる並列吸着経路が、プラスチック熱分解油の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作動しているように交互様式で作動されている、第15の態様のプロセスを含む。
【0093】
第17の態様は、同じ吸着剤が吸着容器の各々に入れられている、第11から第16の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0094】
第18の態様は、吸着容器の少なくとも2つが、組成の異なる吸着剤を含む、第11から第16の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0095】
第19の態様は、吸着剤が、少なくとも100m2/gの表面積、少なくとも10Åの平均細孔径、および少なくとも0.1cm3/gの全細孔体積を有する、第1から第18の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0096】
第20の態様は、プラスチック熱分解油の液体流が、20から80℃の温度、1から10バール(0.1から1MPa)の圧力、および0.1から1h-1の液空間速度で、吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させられる、第1から第19の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0097】
第21の態様は、プラスチック熱分解油の液体流が、2000ppmwまでの硫黄、5000ppmwまでの窒素、2000ppmwまでの塩素、および2000ppmwまでの酸素を含む、第1から第20の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0098】
第22の態様は、処理済みプラスチック熱分解油流が、1ppmw未満の窒素、1ppmw未満の硫黄、1ppmw未満の塩素、および1ppmw未満の酸素を含む、第1から第21の態様のいずれかのプロセスを含む。
【0099】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であるはずである。それゆえ、本明細書は、様々な記載された実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0100】
名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。
【0101】
本開示に亘り、範囲が与えられている。その範囲により包含される各離散値も含まれると考えられる。それに加え、明白に開示された範囲により包含される各離散値により形成されるであろう範囲も、同じように考えられる。短く表現するために、開示された各範囲の後に同じものは明示的に示されず、現在の一般的な表示が与えられる。
【0102】
本開示および付随の特許請求の範囲で使用されるように、「含む(comprise)」、「有する(has)」、および「含む(include)」という単語、並びにその全ての文法的変形は、各々が、追加の要素またはステップを排除しない、開放された非限定的な意味を有することが意図される。
【符号の説明】
【0103】
101 入口流
102 プラスチック熱分解油
104 排ガス流
106 固体流
108 処理済みプラスチック熱分解油流
110 プラスチック熱分解ユニット
120 吸着に基づく精製プロセス
122 吸着容器
130 吸着剤
132 直列吸着容器
142 並列吸着容器
208 中間処理済みプラスチック熱分解油流
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
本開示および付随の特許請求の範囲で使用されるように、「含む(comprise)」、「有する(has)」、および「含む(include)」という単語、並びにその全ての文法的変形は、各々が、追加の要素またはステップを排除しない、開放された非限定的な意味を有することが意図される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスにおいて、
(a)廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流、排ガス流、および固体流を生成する工程、
(b)前記プラスチック熱分解油の液体流を吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、10ppmw未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程であって、前記吸着に基づく精製プロセスは、
i)前記プラスチック熱分解油の液体流を吸着容器内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程であって、該吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られており、前記1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られている、工程と、
ii)前記吸着容器から前記処理済みプラスチック熱分解油流を排出させる工程と、
を含む、工程、および
(c)従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために前記吸着容器から前記処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程、
を有してなるプロセス。
実施形態2
前記プラスチック原料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、および低密度ポリエチレン(LDPE)から選択される1種類以上の高分子を含む、実施形態1に記載のプロセス。
実施形態3
前記吸着剤が、非晶質または結晶質状態にある、天然粘土、アルミナ、シリカゲル、活性炭、天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカ、またはアルミナとシリカの組合せからなる群より選択される、実施形態1または2に記載のプロセス。
実施形態4
前記吸着剤が活性炭を含む、実施形態1から3いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態5
前記吸着容器が、前記吸着剤の固定床を含む、実施形態1から4いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態6
前記吸着容器が、吸着剤のスラリー層を含む、実施形態1から4いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態7
前記吸着容器が、吸着剤の移動床を含む、実施形態1から4いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態8
前記吸着剤が、4メッシュから60メッシュの範囲のサイズを有するペレット、球体、押出物、または天然形状として提供される、実施形態1から7いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態9
前記吸着に基づく精製プロセスが、2つ以上の吸着容器を含む、実施形態1から8いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態10
前記吸着容器が直列に設けられている、実施形態9に記載のプロセス。
実施形態11
前記吸着容器が、並列に設けられ、少なくとも1つの吸着容器が再生を経ている間に、少なくとも1つの異なる吸着容器が、前記プラスチック熱分解油の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む前記有機分子を吸着するように作動しているように交互様式で作動されている、実施形態9に記載のプロセス。
実施形態12
同じ吸着剤が前記吸着容器の各々に入れられている、実施形態9から11いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態13
前記吸着容器の少なくとも2つが、組成の異なる吸着剤を含む、実施形態9から11いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態14
前記吸着剤が、少なくとも100m
2
/gの表面積、少なくとも10Åの平均細孔径、および少なくとも0.1cm
3
/gの全細孔体積を有する、実施形態1から13いずれか1つに記載のプロセス。
実施形態15
前記プラスチック熱分解油の液体流が、20から80℃の温度、1から10バール(0.1から1MPa)の圧力、および0.1から1h
-1
の液空間速度で、前記吸着容器内の前記1種類以上の吸着剤と接触させられる、実施形態1から14いずれか1つに記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを精製原料に転化するためのプロセスにおいて、
(a)廃プラスチックを含むプラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の液体流、排ガス流、および固体流を生成する工程、
(b)前記プラスチック熱分解油の液体流を
、2つ以上の吸着容器内での該プラスチック熱分解油の流体流の処理を含む吸着に基づく精製プロセスに直接供給して、10ppmw未満の窒素、10ppmw未満の硫黄、10ppmw未満の塩素、および10ppmw未満の酸素を含む処理済みプラスチック熱分解油流を生成する工程であって、前記吸着に基づく精製プロセスは、
i)前記プラスチック熱分解油の液体流を
前記2つ以上の吸着容器
の各々内の1種類以上の吸着剤と接触させる工程であって、該吸着剤は、硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む有機分子を吸着するように作られており
、
前記1種類以上の吸着剤の少なくとも1つは、硫黄、窒素、酸素、および塩素の各々を含む有機分子を吸着するように作られて
おり、
前記2つ以上の吸着容器の少なくとも2つが、組成の異なる吸着剤を含む、工程と、
ii)前記吸着容器から前記処理済みプラスチック熱分解油流を排出させる工程と、
を含む、工程、および
(c)従来の精製プロセスのための原料としての付加価値生成物にさらに処理するために前記吸着容器から前記処理済みプラスチック熱分解油流を収集する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項2】
前記プラスチック原料の熱分解が、300℃から1000℃の温度で、触媒の存在下で行われる、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記プラスチック原料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、および低密度ポリエチレン(LDPE)から選択される1種類以上の高分子を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
前記プラスチック原料が、組成が異なる混合プラスチックを含む、請求項3記載のプロセス。
【請求項5】
前記吸着剤が、非晶質または結晶質状態にある、天然粘土、アルミナ、シリカゲル、活性炭、天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカ、またはアルミナとシリカの組合せからなる群より選択される、
請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
前記吸着剤が活性炭を含む、
請求項1記載のプロセス。
【請求項7】
前記
2つ以上の吸着容器
の少なくとも1つが、前記吸着剤の固定床を含む、
請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
前記
2つ以上の吸着容器
の少なくとも1つが、吸着剤のスラリー層を含む、
請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
前記
2つ以上の吸着容器
の少なくとも1つが、吸着剤の移動床を含む、
請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
前記吸着剤が、4メッシュから60メッシュの範囲のサイズを有するペレット、球体、押出物、または天然形状として提供される、
請求項1から9いずれか1項記載のプロセス。
【請求項11】
前記
2つ以上の吸着容器
の少なくとも2つが直列に設けられている、
請求項1記載のプロセス。
【請求項12】
前記2つ以上の吸着容器の少なくとも2つが並列に設けられている、請求項1記載のプロセス。
【請求項13】
並列に設けられた前記吸着容器が
、少なくとも1つの吸着容器が再生を経ている間に、少なくとも1つの異なる吸着容器が、前記プラスチック熱分解油の液体流から硫黄、窒素、酸素、または塩素の1つ以上の原子を含む前記有機分子を吸着するように作動しているように交互様式で作動されている、
請求項12記載のプロセス。
【請求項14】
前記吸着剤が、少なくとも100m
2/gの表面積、少なくとも10Åの平均細孔径、および少なくとも0.1cm
3/gの全細孔体積を有する、
請求項1から9いずれか1項記載のプロセス。
【請求項15】
前記プラスチック熱分解油の液体流が、20から80℃の温度、1から10バール(0.1から1MPa)の圧力、および0.1から1h
-1の液空間速度で、前記
2つ以上の吸着容器内の前記1種類以上の吸着剤と接触させられる、
請求項1から9いずれか1項記載のプロセス。
【国際調査報告】