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特表2024-546232買物の際に視覚障害者又は目の不自由な人を支援する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】買物の際に視覚障害者又は目の不自由な人を支援する装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 21/00 20060101AFI20241212BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241212BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20241212BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G09B21/00 D
G06F3/01 510
G06F3/16 660
G06F3/16 610
A47F5/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529145
(86)(22)【出願日】2021-12-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2021086677
(87)【国際公開番号】W WO2023110139
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516239921
【氏名又は名称】ヴジョングループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】グマイニツ・ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ヤウック・フィリップ
【テーマコード(参考)】
3B118
5E555
【Fターム(参考)】
3B118FA11
5E555AA07
5E555AA32
5E555AA46
5E555BA06
5E555BB06
5E555BC09
5E555CA10
5E555CB22
5E555CB74
5E555CB80
5E555CC03
5E555DA23
5E555DD07
5E555FA00
(57)【要約】
商品の価格情報及び/又は商品情報を視覚的に再生するように構成されるとともに、価格情報及び/又は商品情報を表す再生データを保存するように構成された、表示装置と略称する電子価格情報及び/又は商品情報表示装置であって、この表示装置が、特に、NFC機能を有する再生機器と近距離非接触通信するように構成された第一の近距離通信機器、特に、NFC機器と略称する第一のNear-Field-Communication機器を備え、この再生データが、電子価格情報及び/又は商品情報表示装置自体による価格情報及び/又は商品情報の視覚的な再生のために定められた表示用再生データと、近距離非接触通信を用いて再生機器に出力し、そこでの再生機器による価格情報及び/又は商品情報の音響的な再生を可能にする、特に、オーディオ及び/又はテキスト形式の再生データとして提供される出力用再生データとを有し、この近距離通信機器が、出力用再生データにアクセスして、近距離非接触通信の過程で出力用再生データを出力するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品(P1~P9)の価格情報及び/又は商品情報を視覚的に再生するように構成されるとともに、価格情報及び/又は商品情報を表す再生データを保存するように構成された、表示装置(E1~E9)と略称する電子価格情報及び/又は商品情報表示装置であって、
特に、NFC機能を有する再生機器(11)と近距離非接触通信するように構成された第一の近距離通信機器(8)、特に、NFC機器と略称する第一のNear-Field-Communication機器を備えた表示装置(E1~E9)において、
これらの再生データが、
電子価格情報及び/又は商品情報表示装置(E1~E9)自体による価格情報及び/又は商品情報の視覚的な再生のために定められた表示用再生データ(AW1)と、
近距離非接触通信を用いて再生機器(11)に出力し、そこで再生機器(11)により価格情報及び/又は商品情報を音響的に再生することを可能にする、特に、オーディオ及び/又はテキスト形式の再生データとして提供される出力用再生データ(AW2)と、
を有することと、
この近距離通信機器(8)が、出力用再生データ(AW2)にアクセスして、近距離非接触通信の過程で出力用再生データ(AW2)を出力するように構成されていることと、を特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置(E1~E9)において、
近距離通信機器(8)と異なる、再生データ(AW1,AW2)を提供する役割を果たす制御装置(29)と通信するために配備されたシステム通信機器(7)を備え、出力用再生データ(AW2)が、このシステム通信機器(7)を用いて取得されて、表示装置(E1~E9)の記憶ステージ(12,13)に保存される当該表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置(E1~E9)において、
近距離非接触通信の過程で受信可能な出力用再生データ照会コマンド(AWB)を検知し、場合によっては、少なくとも一つの別の照会コマンドとも区別して、この近距離非接触通信を用いた出力用再生データ照会コマンド(AWB)の検知後にのみ、出力用再生データ(AW2)を出力するように構成されている表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置(E1~E9)において、
出力用再生データ(AW2)が商品周囲環境記述データを有し、この商品周囲環境記述データが、商品の商品周囲環境を記述して、再生機器(11)における商品周囲環境の説明の音響的な再生を可能にする表示装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置(E1~E9)において、
この表示装置が、近距離非接触通信の過程で受信可能な経路説明照会コマンド(PUB)を検知するように構成され、この経路説明照会コマンド(PUB)が、別の商品(P1~P9)までの経路説明を照会する役割を果たし、この別の商品(P1~P9)が、経路説明照会コマンド(PUB)に含まれる商品データによって特徴付けられる表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置(E1~E9)において、
この表示装置が、経路説明照会コマンド(PUB)の検知後に、経路説明データ(WB)を含む出力用再生データ(AW2)を提供して、近距離通信機器(8)を介して経路説明データ(WB)を出力するように構成され、この経路説明データ(WB)が、再生機器(11)において別の商品(P1~P9)までの経路の説明を音響的に再生するために定められてる表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置(E1~E9)において、
請求項2に記載のシステム通信機器(7)を備え、経路説明データ(WB)を含む出力用再生データ(AW2)を、別の商品(P1~P9)の商品データの出力に基づいて制御装置(29)から照会するように構成されている表示装置。
【請求項8】
デジタル形式で表された情報を音響的に再生するように構成された再生ステージ(20)を備えた再生機器(11)において、
特に、NFC機能を有する、表示装置(E1~E9)と略称する電子価格情報及び/又は商品情報表示装置と近距離非接触通信するように構成された第二の近距離通信機器(24)、特に、NFC機器と略称する第二の近距離通信機器が配備されており、
この第二の近距離通信機器(24)が、電子価格情報及び/又は商品情報表示装置(E1~E9)との近距離非接触通信の過程で出力用再生データ(AW2)を照会して、受信するように構成され、これらの出力用再生データ(AW2)が、再生機器(11)において価格情報及び/又は商品情報を音響的に再生することを可能にし、
この第二の近距離通信機器(24)が、再生ステージ(20)による価格情報及び/又は商品情報の音響的な再生のために、特に、オーディオ及び/又はテキスト形式の再生データとして提供される出力用再生データ(AW2)を提供するように構成されている当該再生機器。
【請求項9】
請求項8に記載の再生機器(11)において、
再生ステージ(20)が、出力用再生データ(AW2)によって表されるオーディオ形式の再生データを直接再生するように構成されている再生機器。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の再生機器(11)において、
この再生機器(11)が、出力用再生データ(AW2)によって表されるテキスト形式の再生データをオーディオ形式の再生データに変換するように構成され、再生ステージ(20)が、そのようにして得られたオーディオ形式の再生データを直接再生するように構成されている再生機器。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の再生機器(11)において、
出力用再生データ(AW2)の受信を開始することを目的として、第二の近距離通信機器(24)を介して出力用再生データ照会コマンド(AWB)を出力するように構成されている再生機器。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか1項に記載の再生機器(11)において、
出力用再生データ(AW2)の構成要素として、或いは出力用再生データ(AW2)内の参照情報として、商品(P1~P9)の商品周囲環境を記述する商品周囲環境記述データ(UB)を受信するように構成されている再生機器。
【請求項13】
請求項12に記載の再生機器(11)において、
特に、使用者との遣り取りを検出した結果として、商品周囲環境記述データ(UB)を用いて表される、或いは参照される、商品(P1~P9)の商品周囲環境の説明をセクション毎に再生するように構成されている再生機器。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか1項に記載の再生機器(11)において、
経路説明データ(WB)を含む出力用再生データ(AW2)の受信を開始することを目的として、第二の近距離通信機器(24)を介して経路説明照会コマンド(PUB)を出力するように構成されている再生機器。
【請求項15】
請求項14に記載の再生機器(11)において、
特に、使用者との遣り取りを検出した結果として、経路説明データ(WB)を用いて表される、或いは参照される、別の商品(P1~P9)までの経路の説明をセクション毎に再生するように構成されている再生機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、買物の際に視覚障害者又は目の不自由な人を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、店舗では、商品情報及び/又は価格情報が電子表示ユニット、特に、専門用語で「Electronic Shelf Label」(略して、ESL)と称する電子棚札に表示されている。そのような情報を視覚的に認識することは、視覚障害者にとって大きな挑戦課題であり、目の不自由な人にとっては不可能である。
【0003】
今日、例えば、「OrCam Technologies Ltd.」社によって開発された、「OrCam MyEye」(https://www.orcam.com/en/myeye2/)との商品名で販売されている機器(これに関しては、特許文献1も参照)などの高度に開発された比較的高価な専用機器が商業的に入手可能である。その専用機器は、光学的に撮影した画像をテキストに変換して、その使用者に読み聞かせている。
【0004】
しかし、視覚障害者は、しばしば経済的に恵まれず、そのことが、そのような専用機器の購入を困難にするか、或いは全く不可能にする可能性がある。更に、そのような人達にとって、追加の専用機器の操作は、確かにそのようなこととして望ましくない別の日常的な挑戦課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公開第2490155号明細書
【特許文献2】国際特許公開第2015/124197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本発明の課題は、視覚障害者又は目の不自由な人の日常の買物に関して直感的に適用可能な解決策を提供することであり、この解決策は、専用機器の購入、操作及び保守無しに済むものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の装置によって解決される。従って、本発明の対象は、商品の価格情報及び/又は商品情報を視覚的に再生するように構成されるとともに、価格情報及び/又は商品情報を表す再生データを保存するように構成された、表示装置と略称する電子価格情報及び/又は商品情報表示装置であって、この表示装置が、特に、NFC機能を有する再生機器と近距離非接触通信するように構成された第一の近距離通信機器、特に、NFC機器と略称する第一のNear-Field-Communication機器を備え、この再生データが、電子価格情報及び/又は商品情報表示装置自体による価格情報及び/又は商品情報の視覚的な再生のために定められた表示用再生データと、近距離非接触通信を用いて再生機器に出力されて、そこでの再生機器による価格情報及び/又は商品情報の音響的な再生を可能にする出力用再生データとを有することと、この近距離通信機器が、この出力用再生データにアクセスして、近距離非接触通信の過程で、この出力用再生データを出力するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、この課題は、請求項8に記載の再生機器によって解決される。従って、本発明は、デジタル形式で表された情報を音響的に再生するように構成された再生ステージを備えた再生機器に関し、表示装置と略称する、特に、NFC機能を有する電子価格情報及び/又は商品情報表示装置と近距離非接触通信するように構成された第二の近距離通信機器、特に、NFC機器と略称する第二のNear-Field-Communication機器が配備され、この第二の近距離通信機器が、電子価格情報及び/又は商品情報表示装置との近距離非接触通信の過程で、出力用再生データを照会して受信するように構成され、この出力用再生データが、再生機器での価格情報及び/又は商品情報の音響的な再生を可能にし、この第二の近距離通信機器が、再生ステージによる価格情報及び/又は商品情報の音響的な再生のために、特に、オーディオ及び/又はテキスト形式の再生データとして提供される出力用再生データを提供するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明による措置によって、目の不自由な人又は視覚障害者が商品を識別するのに必要な音響情報が、既知の専用機器の場合よりも著しく軽減された負担で入手可能になるとの利点が得られる。即ち、商品の画像を撮影し、撮影した画像内のテキストを認識するまで画像を評価して、認識したテキストから音響情報を生成する負担のかかるプロセスが不要になる。即ち、そのプロセスは、その人物が商品を手に取るか、或いは少なくとも専用機器の光学系を撮影すべき商品に向けることが可能であることを前提としているのが欠点である。原理的な認識エラー又は撮影した画像の無関係な画像領域への注目などのコンピュータによる画像評価の枠組みにおいて常に存在する画像内容を誤って認識するリスクも、そのようなものとしての画像認識又は画像評価を確かに全く不要にしているので、完全に排除している。むしろ、再生機器による音響的な再生に必要な再生データが、表示装置から直接取り出される。そのため、専門用語で「Electronic Shelf Label System」、略してESLシステムとも称する、表示装置に対する商品の割当てが既知である電子価格情報及び/又は商品情報表示装置のシステムでは、音響的な再生に必要な情報の誤った提供も起こり得ない。
【0010】
即ち、視覚障害者又は目の不自由な人のための商品情報の照会は、表示装置に対して直に実施され、そのためには、例えば、スマートフォン又はタブレットコンピュータなどの市販の再生機器を表示装置の無線範囲内に、即ち、近くに持って行くだけでよい。この市販の機器は、第一の近距離通信機器と互換性のある通信機器だけを必要とする。近距離非接触通信が構築されると、アプリケーション、即ち、再生機器上で動かされるソフトウェアを用いて、照会用再生データを受信することができ、それにより搬送される、或いはそれを用いて参照される価格情報及び/又は商品情報が、特に、即座に、即ち、実質的に遅延無しに再生機器によって音響的に再生される。
【0011】
即ち、その人物は、通常ラックの最も前の所に取り付けられている店舗内の表示装置の場所を突き止めることに集中できる。このことは、即ち、特に、表示装置を探すために、ラックレールに沿ってのみ手探りしなければならない目の不自由な人にとっても、ショッピングプロセスを劇的に容易にする。そして、当該商品に関する入手可能性情報、即ち、例えば、ラックに未だ在る商品の数又は商品がちょうどラックに無いことも、出力用再生データを用いて提供可能であるので、そこに商品が実際に在るのか、或いは品切れなのかは、この時点では表示装置を探し、見つけ出すことと一層無関係である。
【0012】
これらの出力用再生データは、専らユーザーデータから生成されるが、有利には、通信技術で一般的に用いられている制御データ及び/又は管理データに埋め込むか、或いは一般論として、それらのデータと全体的に組み合わせることができる。即ち、これらのデータは、通常それらの制御データ又は管理データと共に伝送される。更に、これらの出力用再生データは、二つの異なるデータ構造で存在できるか、或いは二つの異なるデータ構造から構成できることを述べておきたい。
【0013】
第一のデータ構造としては、参照又は引用を用いることができ、それにより、再生機器が、店舗のローカルデータ網内において、例えば、顧客用WLANを介して、或いはインターネットを介して、再生データによって表される情報、特に、テキスト及び/又はオーディオ形式の再生データにアクセスして、そのデータと共に伝送される情報を音響的に再生することが可能になる。
【0014】
第二のデータ構造としては、一般的に用いられているデータフォーマットで符号化されたオーディオ及び/又はテキスト形式の再生データを用いることができ、その結果、再生機器が、そのデータと共に直接伝送される情報を音響的に再生することができる。場合によっては、近距離非接触通信の利用可能な帯域幅を最適に活用できるようにするために、この第二のデータ構造は、圧縮された形で存在することができる。特に、NFC無線通信では、最小のデータ収支が期待されているので、第二のデータ構造をテキスト形式の再生データに限定するのが有利であるとすることができる。
【0015】
任意選択として、第一と第二のデータ構造の組合せを用いることもできる。それにより、例えば、再生機器で直に、或いは直ちに再生可能な第二のデータ構造(オーディオ又はテキスト形式の再生データ)を用いて、(商品情報の音響的な再生は時間を要するので)商品の説明を開始する一方、バックグラウンドで、第一のデータ構造(例えば、参照)を用いて、店舗のWLAN又はインターネットを介してサーバーから追加データをロードし、オーディオ又はテキスト形式の再生データによって伝送されて来た情報の再生に続いて、第二のデータ構造を用いて提供される情報よりも著しく広範囲な情報であるとすることもできる引用情報の再生を開始することができる。
【0016】
本発明の実装形態に応じて、近距離通信機器に関して、例えば、(例えば、最大50cm以下から数cmまでの)到達範囲が短いBluetooth式低エネルギー無線通信機器を使用するか、或いは近距離通信仕様(ISO/IEC18092、ECMA340又はISO/IEC21481/ECMA352)に基づき数cm(約4cm以下)を上回る範囲内の無線通信を可能にする無線通信機器を使用することもできる。一方の技術だけ、或いは他方の技術だけをサポートする再生機器を使用する状況に対しても準備するために、本表示装置で両方の無線技術を併用することもできる。
【0017】
今日商業的に用いられている再生機器(スマートフォン及びタブレットコンピュータ)は、通常それ自体NFC技術を利用できるハードウェアを装備しており、本発明に適合させる手法として、得られた情報と音響的な再生のために定められた情報の音響的な出力を実施する再生機器の再生ステージに関して、受信した照会用再生データ又はそれを用いて引用されるデータが入手可能であることが必要である。
【0018】
即ち、要約すると、視覚障害者又は目の不自由な人の日常的なショッピングに関する解決策が提供され、この解決策では、一方で、音響的に再生すべき情報又はその情報に関する引用が、店舗内の表示装置のシステムの運用者によって、各表示装置の場所において場所を特定した形で提供され、他方で、顧客側においては、既に大量に流通しており、その操作が視覚障害者にとっても、それどころか目の不自由な人にとっても日常的な機器である市販の再生機器が使用される。即ち、ここで既に述べた典型的な例の再生機器は、通常それどころか音声コマンドを用いて、或いは人間と機械の対話によって制御することができる。
【0019】
本発明の別の特に有利な実施形態及び改善形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかになる。
【0020】
ここで考察した発明は、主にESLシステムの文脈において適用される。そのようなシステムでは、展示された商品又は商品グループに関する価格情報及び/又は商品情報をそれぞれ可視化するために、そのような表示装置、即ち、ESLが複数存在する。
【0021】
そのようなESLは、ラック又はラックレールに固定することができる。即ち、ESLと商品を設置するための固定構造は、ラック又はラックレールとして構成することができる。展示用テーブルに固定することも可能である。即ち、この固定構造をテーブルとして構成することもできる。そのようなESLは、テーブル上に設置される表示スクリーンとして構成することもできる。そのような表示装置は、衣服に固定するタグとして構成することもできる。即ち、この固定構造は、電子表示装置と商品の間の連結部材として構成することもできる。即ち、そのような固定構造は、例えば、縫い糸、針又はその同等物として実現することもできる。本発明の考察を簡略にするために、以下では、表示装置と関連して、ラック、具体的にはラックレールに固定されたESLを常に取り上げる。
【0022】
情報の可視化を目的として、各ESLは、バッテリー駆動式ESLの場合には出来る限りエネルギーを節約した動作を可能にするために、通常は電気泳動式スクリーンとして実現されたスクリーンを備えている。しかし、例えば、LCD式スクリーン又はその同等物などのそれ以外の形式のスクリーンを使用することもできる。これらのESLには、有線接続形態で電気及び/又は通信技術を提供することもできる。この電力供給は、ラックレールに統合された配線構造を用いて行うこともでき、その電力供給配線は、ESLの接点を用いて接続される。電力供給は、無線信号を用いて行うこともでき、このことは、専門用語で「Power over WIFI」として知られている。
【0023】
無線に基づくESLシステムでは、アドレス指定してESLにデータを送信するか、或いはアドレス指定してESLからデータを取り出すために、ESLに通信技術を提供するESL無線網を構成する多数のアクセスポイントも存在する。通常、ESLのグループが、それぞれアクセスポイントに割り当てられており、そのアクセスポイントを介してアドレス指定して呼び出すことが可能である。この割り当ては、各アクセスポイントによって利用されるISMバンド内の好適な無線チャネルを選択することと、当該のESLをそのELSを担当するアクセスポイントに登録することとによって機能することとなる。この無線通信のために、例えば、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの基本的に標準化された無線プロトコルを用いることができる。例えば、特許文献2に開示されたプロトコルなどの権利を主張された無線プロトコルを使用することもできる。
【0024】
これらのアクセスポイント自体は、典型的には、例えば、ESLを管理、制御する(例えば、ショップ管理ソフトウェアなどの)ソフトウェア・アプリケーションが実行されるローカルサーバーなどの中央制御機器とケーブル接続形態で接続されているか、或いはESLを管理、制御する前述した機能を提供するクラウドベースのソフトウェア・アプリケーションを介して制御することも可能である。
【0025】
しかし、本表示装置は、所謂ビデオラックレールとして構成することもでき、その場合、典型的には、ビデオコンテンツを表示するために、高解像度のスクリーンが使用される。このビデオラックレールは、ラックレールに固定するか、或いはラックレールの代わりに使用することができる。ビデオラックレールとして構成した場合、本表示装置への電力供給は、通信技術の提供と同様に、通常は電気配線を用いて有線接続形態により行われる。ビデオラックレールの場合、それは、通常商品グループに沿って延びている。その際、出力用再生データを用いて入手可能な価格情報及び/又は商品情報は、ビデオラックレールに割り当てられた商品全体に関連付けることができる。このケースでは、情報内容には、異なる商品の数、ビデオラックレールに沿った商品の順番、ビデオラックレールに沿った商品の場所的な発見可能性を含むことができ、その結果、視覚障害者、それどころか目の不自由な人を完全に音響的に誘導する形で案内することが可能になる。
【0026】
前述した通り、本表示装置はESLシステムの構成要素である。そのようなESLシステムでは、本表示装置が、中央のサーバー又はクラウドベースのソフトウェアによって構成できる中央制御機器と通信し、その際、価格情報及び/又は商品情報の表示のために規定されたデータを取得する。この目的のために、本表示装置は、近距離通信機器とは異なる、再生データを提供する役割を果たす制御機器と通信するために配備されたシステム通信機器を備えている。有利には、このシステム通信機器を用いて、出力用再生データが取得されて、本表示装置の記憶ステージに保存される。これらのデータは、直ちに使用できる準備が整っているように、即ち、本表示装置から直ちに出力された後、再生機器で処理できる準備が整っているように、そこに保存されている。
【0027】
出力用再生データを用いた関連する情報コンテンツの音響的な再生は、再生機器において二通りの形式で実施することができる。再生ステージは、出力用再生データによって表されるオーディオ形式の再生データを直接再生するように構成することができる。このことは、出力用再生データを用いて一つ又は複数のオーディオファイルを提供することを可能にし、それは、近距離非接触通信の際に十分な帯域幅がある場合に優先すべきことである。他方、再生機器が、出力用再生データによって表されるテキスト形式の再生データをオーディオ形式の再生データに変換し、再生ステージが、そのようにして得られたオーディオ形式の再生データを直接再生するように構成されると規定することもできる。そして、このことは、近距離非接触通信の際に非常に限られた帯域幅しか利用できない場合に優先すべきことである。このケースでは、非常にコンパクトで出来る限り少ないデータ量のテキスト・ファイルを伝送することができ、このファイルは、再生機器で既知のソフトウェア手法により音声に合成されて、その後漸く音響的に再生される。
【0028】
出力用再生データの出力は、基本的に再生機器との接続が構築された直後に実施することができる。しかし、別の機器も近距離通信機器を利用できるか、或いは利用可能にするべきであるので、本表示装置が、近距離非接触通信の過程で受信可能な出力用再生データ照会コマンドを検知し、場合によっては、少なくとも一つの別の照会コマンドとも区別して、近距離非接触通信を用いて出力用再生データ照会コマンドを検知した後にのみ出力用再生データを出力するように構成されるのが有利であることが分かっている。それ故、再生機器は、有利には、オーディオ及び/又はテキスト形式の出力用再生データの受信を開始することを目的として、第二の近距離通信機器を介して出力用再生データ照会コマンドを出力するように構成されている。
【0029】
それにより、出力用再生データの出力を目的通り選択的に開始することができ、その結果、これらのデータは、例えば、視覚障害者又は目の不自由な人を支援する、そのデータの使用者によって事前にコンフィグレーションされた再生機器にコマンド制御形態でのみ出力される。このことは、例えば、支援のために配備されたアプリケーション/ソフトウェアのインストールの過程で実施することができる。他方、このことは、例えば、自身が視覚障害者である、それどころか目の不自由な人であることを使用者が確認できるようにする設定をオペレーティングシステムが許容する場合、オペレーティングシステムレベルで実施することもできる。従って、更に、再生機器が(基本的に、或いはそのコンフィグレーション後に漸く)出力用再生データの受信を開始することを目的として、第二の近距離通信機器を介して再生データ照会コマンドを出力するように構成されるのが有利であることが分かっている。
【0030】
しかし、本発明を用いて、ショッピング体験の際に、視覚障害者又は目の不自由な人をより一層支援することもできる。更に、そのように、出力用再生データが、商品の商品周囲環境を記述して、再生機器で商品周囲環境の説明を音響的に再生することを可能にする商品周囲環境記述データを有するのが有利であることが分かっている。それ故、再生機器は、有利には、出力用再生データの構成要素として、或いは出力用再生データ内の参照情報として、商品の商品周囲環境を記述する商品周囲環境記述データを受信するように構成される。
【0031】
この商品周囲環境記述データも、考察した二つのデータ構造と同様の形式で提供することができる。これらは、再生機器による音響的な再生時に、本表示装置の近辺の周囲環境、即ち、本表示装置に割り当てられた商品の周囲環境も記述する役割を果たす。そのように、例えば、再生機器の使用者が、その瞬間に注目している商品の左側と右側に如何なる商品を発見できるのかを使用者に伝えることができる。これは、各ラック面に関連することである。しかし、この措置により、その上及び/又はその下のラック面に在る商品を記述することもでき、その結果、視覚障害者は、それどころか目の不自由な人は、ちょうど記述情報を再生している当該商品を出発点として、直感的な(音響的な)手法で当該ラックの内容に関する概要を伝えられることとなる。この場合、近距離非接触通信により照会された商品は、その人物がラックにおいて更に向きを変えるための中心となる目標点を構成する。
【0032】
この再生機器の使用者が商品の音響的に説明される周囲環境を考慮することを容易にするために、この再生機器は、特に、使用者との遣り取りを検出した結果として、商品周囲環境記述データを用いて表される、或いは参照される商品の商品周囲環境の説明をセクション毎に再生するように構成することができる。そのように、再生機器は、例えば、商標名XYZの歯ブラシなどの当該商品の下に商標名ABCの別の歯ブラシが在ることを音響的に伝えることができる。そして、この周囲環境の音響的な説明は、使用者が、例えば、「続けて下さい」とのコマンドを発声し、そのコマンドが再生機器によって検出又は検知されるまで停止し、そのコマンドに続いて、再生機器が「当該商品の右側の傍に歯磨き粉が在り、当該商品の左側の傍で口腔衛生用品のラックが終わる」と音響的に伝える。その後、再生機器は、再び周囲環境の説明を続行するためのコマンドを待つ。ここで、商品周囲環境記述データは、当然のことながら、当該商品の斜め近傍の領域も記述することができ、その結果、この周囲環境の説明を間断無く実施することができ、その人物は、当該商品の周りの周囲環境の全体像を音響的な手法で伝えられることを述べておきたい。更に、その他の点に関しては、例えば、「十分である」などの音声コマンドによって、周囲環境の説明を何時でも停止できると規定することができる。
【0033】
ここで、今日では一般に普及しているスマートフォンでは、使用者との遣り取りは、音声認識の文脈において、そのようなものとして標準的な特徴に属し、その認識結果が、この場合には、周囲環境の説明のそれに適合する情報を選択的に、即ち、セクション毎に再生することを目的として利用されると考えられる。当然のことながら、ジェスチャー認識を使用することもでき、このことは、関係する人が視力に障害を有するだけでなく、発声能力に関しても障害があるか、或いはこの選択肢を単純に優先する場合に特に有利である。
【0034】
その他の点に関して、ジェスチャー認識は、本発明の文脈において、有利には、二つの形式で利用することができる。再生機器の第一の構成では、再生機器の加速度センサーを用いて、再生機器の方向を示す動きを検出することができ、この検知された方向は、この方向に適合した周囲環境の説明を音響的に再生することを選択するために利用できる。第二の構成では、(例えば、再生機器のカメラシステムなどの)光学センサーを用いて、その人物のジェスチャーを検出して評価し、それから導き出すことが可能な方向情報を取得して、その方向に適合した周囲環境の説明を再生することができる。
【0035】
更に、本表示装置が、近距離非接触通信の過程で受信可能な経路説明照会コマンドを検知するように構成され、この経路説明照会コマンドが、別の商品までの経路説明を照会する役割を果たし、この別の商品が、経路説明照会コマンドに含まれる商品データによって特徴付けられるのが極めて有利であることが分かっている。この経路説明照会コマンドは、経路説明データを含む出力用再生データの受信を開始することを目的として、第二の近距離通信機器を介して経路説明照会コマンドを出力するように構成された再生機器を起源とする。
【0036】
この別の商品は、例えば、発声による質問(例えば、「何処に有機プチパンが在るのか」)又は音声コマンド(例えば、「有機プチパンまで私をナビゲートして」)などの使用者との遣り取りによって伝えることができる。この文脈においても、再生機器の音声認識は、別の商品を識別して、その別の商品を表す商品データを取得するために利用される。
【0037】
しかし、別の商品は、再生機器にデジタル的に保存された買物リストから抽出することもでき、その際、例えば、そこに列挙された商品が順次(順番に)処理される。この場合、買物リストの(例えば、林檎と梨がテーマ別グループの果物と野菜に属し、ハムとステーキがテーマ別グループの肉に属する)テーマ別グループ分けも再生機器に存在することができ、その結果、提供される経路説明が、その人物に対してテーマ別グループに最適化されたルートを伝えることができる。
【0038】
有利には、本表示装置は、経路説明照会コマンドを検知した後、経路説明データを含む出力用再生データを提供するとともに、近距離通信機器を介して経路説明データを出力するように構成され、この経路説明データは、別の商品までの経路の説明を再生機器で音響的に再生するために定められている。この場合でも、経路説明データの出力は、コマンドによってのみ制御される、即ち、再生機器によって決定される形で開始されるべきであるとの考えを考慮している。それにより、再生機器の使用者の個別のナビゲーション希望に対応することができる。
【0039】
このケースにおいても、商品周囲環境の音響的な再生による説明と同様に、再生機器は、特に、使用者との遣り取りを検出した結果として、経路説明データを用いて表される、或いは参照される、別の商品までの経路の説明をセクション毎に再生するように構成することができる。このセクション毎の再生は、視力に関して障害のある人が、それどころか目の不自由な人が経路全体を最初から覚える必要の無い形で経路をセクション毎に指示されるか、或いは移動することを可能にする。即ち、その人物は、セクション毎のナビゲーション指示を受けながら経路上を進行する。
【0040】
このことは、その人物に第一の音響的な指示を伝える形で、例えば、その人物の右側の傍に在るラックの終端にまで移動することを伝える形で実施することができる。その人物が、再生機器と使用者の遣り取り(例えば、「私は通過点に到着した」との音声)によって、この通過点への到着を確認した場合に、漸くその人物がそこに延びるラック通路を右に回って、ラック通路を18歩だけ進むことを促す第二つ音響的な指示が行われる。
【0041】
この場合、技術的な措置又は標準化されたサイズ情報は、当該人物が動いた場合にそれを実現できなくなるので、意図的に考慮されない。むしろ、再生機器は、使用者プロファイルを作成する過程で、当該人物の平均的な歩幅が如何なるサイズであるのかを事前に特定し、そして、例えば、メートル単位で規定された周囲環境において、その人物がナビゲーション指示を出来る限り自然に実行できるようにするために、この特定された知見をその人物固有の歩数サイズ情報に取り込むことができる。
【0042】
その人物が再生機器と使用者の遣り取りによってその次の通過点への到着を確認した場合に、漸く左側のラックの中間のラック面上で別の商品を発見できるための情報をその人物に提供する第三の音響的な指示が行われる。
【0043】
ここで、当該ラックでの正確な向きを取得するために、その人物は、そこに設置された表示装置の無線範囲内に再生機器を持って行って、その表示装置を用いて説明される商品に関する情報を音響的に取得することができる。同様に、その商品の周囲環境の既に考察した音響的な説明を行うことができ、このことは、当該ラックで別の商品を発見することを容易にする。
【0044】
本発明は、視覚障害者が、それどころか目の不自由な人が店舗内でそこに設置された表示装置を用いて、その人物の手の届く範囲内に在る商品に関する情報を取得することを可能にする。更に、その人物は、それどころか「一歩ずつ」、即ち、簡単に歩める経路区間に沿って徐々に、探している(別の)商品まで移動する手段を提供される。この場合、その人物の側では、商業的に広く普及しているスマートフォン又はタブレットコンピュータが、音響的な情報再生を目的としてESLが店舗内で利用する(再生機器との意味の)使用者機器として用いられる。
【0045】
しかし、本発明を用いて、当該人物に関するマーケティング措置の有効性を検証することもできる。そのように、例えば、出力用再生データを用いて、所定の商品の購入を促すマーケティングメッセージ又は広告メッセージを送ることもできる。近距離非接触通信の過程で、再生機器の識別子、場合によっては、それどころかその人物の識別子も確認することができ、このことは、ESLシステムの中央制御機器に通報可能であり、管理目的でそこに保存可能であるので、その後、POS端末での代金の支払い時に、その人物がマーケティングメッセージ又は広告メッセージをそれにより宣伝された商品を購入するために利用したのかを調査することもできる。
【0046】
ここで、本表示装置に送られるコマンドの前述した順序を遵守する必要がないことを更に述べておきたい。むしろ、ここで述べたコマンドは、個別に互いに独立して本表示装置に送って、本表示装置により個別に処理することができる。そのため、例えば、任意のESLにおいて、周辺に在る商品を明らかにするための照会を実施することができ、その結果、出力用再生データは、商品周囲環境記述データだけから構成することができる。更に、特定の商品情報の照会と切り離して、或いはその商品の周囲環境の照会とも切り離して、別の商品までの経路説明を照会することができ、その結果、出力用再生データは、商品周囲環境記述データだけから構成することができる。即ち、再生機器でも、本表示装置でも、コマンドを互いに独立して利用することが可能である。
【0047】
ここで、要約すると、「商品情報」との用語は、状況に応じて、
この情報が、ちょうど近距離非接触通信においてESLに照会した商品に関する情報であるか、
この情報が、ちょうど近距離非接触通信においてESLに照会した商品の周囲環境に関する情報であるか、或いは
この情報が、ちょうど近距離非接触通信においてESLに照会した商品を出発点とする別の商品までの経路に関する情報である、
と理解すべきであることを更に述べておきたい。
【0048】
最後に、一般論として、ここで考察した電子機器(ESL、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ビデオラックなど)又はそのモジュールは、当然のことながらエレクトロニクス部品を備えていることを更に述べておきたい。このエレクトロニクス部品は、ディスクリート型エレクトロニクス部品、集積型エレクトロニクス部品又はそれらの組合せから構成することができる。マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)も、場合によっては、アナログ又はデジタル式の電子周辺コンポーネントと組み合わせて用いることができる。これらの機器の前述した機能の多くは、エレクトロニクス部品のプロセッサ上で実行されるソフトウェアを用いて(場合によっては、ハードウェア・コンポーネントとの協力動作で)実現される。無線通信用に構成された機器は、通常トランシーバーモジュールの構成要素として、無線信号を送受信するためのアンテナ構造を備えている。近距離非接触通信のために、前述したアンテナ構造以外に、誘導結合を目的とするコイル構造又はコンデンサープレート構造を用いることもできる。更に、これらの電子機器は、例えば、交換可能又は充電可能なバッテリーを用いて実現できる内部電源を備えることができる。これらの機器には、外部電力網部分によって、或いは「Power over LAN」を用いて、有線接続形態で電力を供給することもできる。
【0049】
本発明の上記の観点及び別の観点は、以下で考察する図面によって明らかになる。
【0050】
以下において、添付図面を参照して実施例に基づき、本発明を再度詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。この場合、異なる図面において、同じ構成要素には同じ符号を付与している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の二つの観点を考察するためのESLを備えたラックの模式図
図2】ラックに取り付けられたESLのブロック配線図
図3】本発明の考察時に再生機器として用いられるスマートフォンのブロック配線図
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、それぞれ前縁がラックレール5で終止する三つのラック底部、即ち、上段ラック底部2、中段ラック底部3、下段ラック底部4から成るラック1を図示している。これらのラック底部2~4には、異なる商品P1~P9が設置されており、このケースでは、それらの形状によって区別可能である。これらの商品P1~P9の位置に対応して、ラックレール5には、(英語の呼称「Electronic Shelf Label」の頭文字に基づき)ESL-E1~E9と略称する電子ラックディスプレイE1~E9が表示装置として取り付けられている。更に、図1は、ESL-E1~E9を管理する中央サーバー29を図示している。このサーバー29は、アクセスポイント30とケーブル接続形態で接続されている。このアクセスポイント30は、ESL-E1~E9と無線通信するためのESL無線網を提供する。
【0053】
図2には、取り付けられたESL-E1~E9の全体を代表して、第一のESL-E1が、厳密に言うと、その電子ブロック接続図が図示されており、図2の説明では、符号E1を省略して略称のESLだけが使用されている。
【0054】
ESLは、商品P1~P9の中の一つの価格情報及び/又は商品情報をエネルギーを節約した形で可視化して再生するように構成された電気泳動式表示モジュール6を有する。
【0055】
ESL-E1は、更に、一般的な説明で引用されるESL無線網においてESL無線通信するように構成された第一の無線モジュール7を有する。この第一の無線モジュールのESL無線通信は電磁波の伝播に基づく通信であり、そのため、第一の無線モジュール7内には、第一の無線モジュール7の(詳しく図示されていない)エレクトロニクス部品と周囲環境の間のインタフェースとして、アンテナ構造7Aが表示されている。このESL無線網を介して、ESLは、各商品P1~P9の価格情報及び/又は商品情報を表す表示用再生データAW1を取得する。このケースでは、これらの表示用再生データAWは、デジタル形式で符号化された画像情報を含む画像ファイルによって構成され、この画像情報は、内部データバス9を介して表示モジュール6に出力され、このモジュールによって、その(詳しく図示されていない)電気泳動式スクリーンを用いて可視化されて再生される。
【0056】
ESLは、更に、第二の無線モジュール8を有し、このモジュールは、直ぐ近く在る、如何なる場合でも通常は数センチメートルのNFC無線通信範囲10内に在る、同じくNFC技術を装備した機器とNFC無線通信するように構成され、配備されている。この考察の文脈において、この機器としてのNFC技術を装備したスマートフォン11(図1及び図3を参照)が再生機器として用いられている。このNFC無線通信は、この別の機器との誘導結合に基づく通信であり、そのため、第二の無線モジュール8内には、第二の無線モジュール8の(詳しく図示されていない)エレクトロニクス部品と周囲環境の間のインタフェースとして、コイル構造8Aが表示されている。
【0057】
ここで、これらのモジュール6,7,8のエレクトロニクス部品が、場合によっては、別の電子部品又はコンポーネントと協力して、各モジュール6~8の機能を提供するマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサをそれぞれ備えていることを述べておきたい。更に、個々のモジュール6~8の互いに協力した動作を調整又は制御する中央制御モジュールを配備できることを述べておきたい。
【0058】
ラック1が在る店舗での視覚障害者又は目の不自由な人の買物を容易にするために、前述したESL無線通信の進行中に以下のデータもESLに伝送される、即ち、
a)出力用再生データAW2:このデータは、全く一般論として価格情報及び/又は商品情報を記述し、このケースでは、(例えば、ACSIIコードの)プレーンテキストとして存在し、テキスト・ファイルの形で各ESL-E1~E9に伝送されて、そこに、再生機器によって取り出されるために保存されている。このテキストの記述は、例えば、左上に配置されたESL-E1と関連して、「この商品は、500グラム毎に小袋に包装された滑らかな小麦粉です」との形で存在するか、或いはより簡単に「小麦粉、滑らか、500グラム毎の小袋」との形で存在することもできる。このことは、データ量が非常に小さくなるので、NFC技術を用いた伝送を容易にするとともに、加速する。
b)商品周囲環境記述データUB:このデータは、各商品の周囲環境を記述する。この場合でも、この構成は、NFC技術を用いて問題無く伝送するためのテキスト形式の周囲環境情報として好適である。商品P5と関連して、第五のELS-E5に保存された(矢印U1~U8により表示されている)周囲環境のテキスト形式の記述は、以下の通り構成することができ、当然のことながら、<<商品Pn>>の置換箇所の位置には、実際の商品名が引用され、記入項リストの実際の数は、商品の各位置とその周囲環境に依存する。
「左側の直ぐ隣で<<商品P4>>を発見して下さい」(図1の矢印U1を参照)
「右側の直ぐ隣で<<商品P6>>を発見して下さい」(図1の矢印U2を参照)
「<<商品P6>>の右隣で<<商品P7>>を発見して下さい」(図1の矢印U3を参照)
「上方の直ぐ隣で<<商品P2>>を発見して下さい」(図1の矢印U4を参照)
「斜め左下隣で<<商品P8>>を発見して下さい」(図1の矢印U5を参照)
「斜め右下隣で<<商品P9>>を発見して下さい」(図1の矢印U6を参照)
「斜め左上隣で<<商品P1>>を発見して下さい」(図1の矢印U7を参照)
「斜め右上隣で<<商品P3>>を発見して下さい」(図1の矢印U8を参照)
【0059】
これらのデータAW1,AW2及びUBは、ESL(図2を参照)において、第一の無線モジュール7の記憶ステージ12に保存されて、第二の無線モジュール8がその後使用するために、そこに準備されている、即ち、そこから取り出される。データAW2及びUBにアクセスする際に第一の無線モジュール7を起動する必要が無いようにするために、これらのデータAW2及びUBが、それらの受信後に第二の無線モジュール8に転送されて、そこに、破線で表示されている通り、第二の無線モジュール8の第二の記憶ステージ13に保存されるのが有利であるとすることができる。任意選択として、これらのデータAW2及びUBは、両方の無線モジュール7及び8がアクセスする(図示されていない)共通のメモリに保存することもできる。
【0060】
これらのデータAW2及びUBは、スマートフォン11とのNFC無線通信の際に、スマートフォン11によって、NFC通信に関与するESL(図1の文脈では、これはESL-E5である)から取り出され、そこでオーディオ信号ASに変換されて、音響的に出力される。その際、視覚障害者は、それどころか目の不自由な人は、音響的な説明に基づきラックの方を向くことができる。
【0061】
以下において、視覚障害者が使用するスマートフォン11を図3を用いて考察する。それは、このケースでは、プログラム(即ち、ソフトウェア)を処理するマイクロコントローラ15と、オペレーティングシステム17を保存するとともに、スマートフォン11の本件の用途のためにインストールされたソフトウェア・アプリケーション18を保存するEPROMメモリ16と、プログラム処理中に発生するデータを一時的に保存するRAMメモリ19とを有する中央エレクトロニクス部品14を備えている。
【0062】
更に、スマートフォン11は、基本的に、情報を可視化して、スクリーンに触れるとの意味で使用者との遣り取りを受信するタッチスクリーン・モジュール21と、オーディオ信号ASを出力するオーディオ・モジュール22(アンプ及びラウドスピーカー)と、話し言葉などとの意味で使用者との遣り取りを受信するマイクロフォン・モジュール23とから構成されるオーディオ・ビジュアル・インタフェース用エレクトロニクス部品20を備えている。
【0063】
更に、スマートフォン11は、NFC無線通信のために構成された第三の無線モジュール24を備え、このケースでは、ESL-E1~E9とのNFC通信のために用いられる。この場合でも、第二の無線モジュール8と関連して述べた理由から、別のコイル構造24Aが表示されている。
【0064】
更に、スマートフォン11は、エネルギー供給モジュール25と、移動体無線通信事業者のセルラー網で通信するための移動体無線モジュール26と、更に別の一般に普及しているスマートフォン用コンポーネント27とを備えているが、これらには詳しく立ち入らない。
【0065】
ブロック24,20及び14は、内部データバス28を用いて接続されている。しかし、これらは、システム・オン・チップ・プラットフォーム上に統合することもできる。
【0066】
ソフトウェア・アプリケーション18は、概念的にプログラム・コードAPPと、NFC無線通信中のデータ照会のために規定された、ESL-E1~E9によっても理解されるコマンドとに分けることができる。このケースでは、これらのコマンドは、
スマートフォン11で価格情報及び/又は商品情報を音響的に再生することを目的として、ESL-E1~E9での出力用再生データの出力を開始させる出力用再生データ照会コマンドAWBと、
スマートフォン11で商品の周囲環境の説明を音響的に再生することを目的として、ESL-E1~E9での商品周囲環境記述データを含む出力用再生データの出力を開始させる経路説明照会コマンドPUBと、
スマートフォン11で別の商品までの経路の説明を音響的に再生することを目的として、ESL-E1~E9での経路説明データを含む出力用再生データの出力を開始させる経路説明照会コマンドWBBと、
であり、この場合、別の商品に関する情報は、例えば、同じく当該ソフトウェア・アプリケーション18に保存できる電子買物リストから、或いはスマートフォン11の別のソフトウェア・アプリケーションから取得することができる。
【0067】
ここで、図1に図示されている通り、その人物が、中央のESL-E5の所でソフトウェア・アプリケーション18を始動したスマートフォン11を保持した場合、先ずはNFC無線接続が構築され、出力用再生データ照会コマンドAWBがESL-E5に送られて、そこで検知され、その結果、商品P5に関する価格情報及び/又は商品情報を含む、そこに保存されたテキスト・ファイルが、NFC無線通信の過程でESL-E5からスマートフォン11に送られる。このテキスト・ファイルに含まれるテキストは、スマートフォン11において、例えば、ソフトウェア・アプリケーション18によって、オーディオ・フォーマットに変換されて、オーディオ・モジュール22を用いてオーディオ信号ASとして再生される。
【0068】
ここで、ソフトウェア・アプリケーション18は、商品P5に関する周囲環境情報への参照も提供する。使用者が、この情報にも関心があることを確認した場合、NFC無線通信において、経路説明照会コマンドPUBがESL-E5に送られて、そこで検知され、その結果、商品P5に関する周囲環境情報(これに関しては、商品周囲環境記述データUBに関する前述した考察を参照)を含む、そこに保存されたテキスト・ファイルが、NFC無線通信の過程でESL-E5からスマートフォン11に送られる。このテキスト・ファイルに含まれるテキストは、スマートフォン11において、ソフトウェア・アプリケーション18によって、オーディオ・フォーマットに変換され、オーディオ・モジュール22を用いてオーディオ信号ASとして再生される。この場合、音響的な再生は、各テキストシーケンスの再生後に、即ち、方向U1~U8の中の一つに関する周囲環境情報の再生後に停止して、音声による制御に基づき、例えば、「続けて下さい」などの音声コマンドの受信後に漸く継続することができる。このことは、その人物が、取得した周囲環境情報を頭の中で整理する時間を与える。
【0069】
このソフトウェア・アプリケーション18は、その人物に別の商品に向かって音響的に誘導する形でナビゲートする選択肢を提供する。その人物が、この形式のナビゲーションを希望することを確認した場合、電子買物リストから(別の商品と称する)次の商品が選定されて、それに付随する商品情報(即ち、例えば、テキストとしての商品名)が、NFC無線通信において経路説明照会コマンドWBBの構成要素としてESL-E5に送られ、そこで、このコマンドが検知される。ここで、このコマンドを検知した結果として、ESL-E5は、第一の無線モジュール7を介して、ESLシステムの(一般的な記述では中央制御装置と称される、図示されていない)中央サーバー29と連絡をとり、その際、ESL-E5の識別子と探している別の商品が伝えられる。このサーバー29は、デジタル形式で保存された棚割り表を保有しており、その表から、店舗内の全ての商品の位置を読み取ることが可能であり、その帰結として、それらの商品に割り当てられた全てのESLの位置も読み取ることが可能である。それで、ESL-E5の実際の位置から更に遠くの別のラック通路にある可能性のある別の商品までの店舗を通る経路が算出されて、経路地点間の経路を順次記述するテキストシーケンスの形の経路説明データWBとして、第一の無線モジュール7を介してESL-E5に送られ、場合によっては、そこに一時的に保存され、そこから第二の無線モジュール8を介してスマートフォン11に送られる。ここで、スマートフォン11において、再び合成音声へのテキストの変換が行われ、その際、その人物が経路地点の間でストレス無く案内されて、移動するのに十分な時間を与えられように、ナビゲーション指示(即ち、個別の指示シーケンス)の再生が、音声制御に基づき起動される形で経路地点の間において順次行われる。
【0070】
即ち、本発明は、ラックの商品に関するローカルな情報を直感的に照会される形で音響的に提供することも、店舗内において音響的に誘導する形でナビゲーションすることも可能にし、その際、店舗内のESLのインフラストラクチャーが、これらの機能を確実かつ誤り無く提供するための基盤を構成する。このESLシステムでは、設置されたESLの位置が常に既知であるので、その人物は、何時でも任意のESLにおいて、即ち、その人物が誤って音響的に規定された経路から逸脱した場合でも、即ち、道に迷った場合でも、音響的に誘導する形のナビゲーションプロセスを新たに開始することができる。このことは、この技術を適用した際の安全性と信頼性を提供する。
【0071】
最後に、上記で詳しく説明した図は、当業者が本発明の範囲を逸脱することなく様々な手法で修正できる実施例に過ぎないことを再度指摘しておきたい。また、完璧にするために、不定冠詞「一つ」の使用は、当該の特徴が複数回存在し得ることを排除しないことも指摘しておきたい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】