(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】洗浄配合物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/43 20060101AFI20241212BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20241212BHJP
C11D 10/02 20060101ALI20241212BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20241212BHJP
G03F 7/42 20060101ALI20241212BHJP
H05K 3/26 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C11D3/43
C11D3/30
C11D10/02
G03F7/40
G03F7/42
H05K3/26 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532471
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 CN2021137779
(87)【国際公開番号】W WO2023108400
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】チアン チー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ディー.ダウグス
(72)【発明者】
【氏名】ホー メイチア
【テーマコード(参考)】
2H196
4H003
5E343
【Fターム(参考)】
2H196AA26
2H196HA40
2H196LA03
4H003DA15
4H003DB03
4H003DC01
4H003EB06
4H003EB14
4H003EB36
4H003ED02
4H003ED29
4H003FA04
5E343EE05
5E343FF23
5E343GG20
(57)【要約】
基板の表面、例えば、製造プロセス中のプリント回路基板の表面の洗浄に使用されるグリコールエーテル含有水系洗浄組成物であって、(a)高沸点及び低VOCを有する少なくとも1つのグリコールエーテルと、(b)少なくとも1つの有機アミンと、(c)少なくとも1つの界面活性剤と、(d)水と、含む、組成物、上記グリコールエーテル含有水系組成物の製造プロセス、並びに上記組成物を用いたプリント回路基板の洗浄プロセス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板の製造プロセス中に洗浄配合物として使用するためのグリコールエーテル含有水系組成物であって、
(a)240℃超の沸点、及び蒸気圧に関して20℃で10Pa未満のVOC含有量を有する、少なくとも1つのグリコールエーテルと、
(b)少なくとも1つの有機アミンと、
(c)少なくとも1つの界面活性剤と、
(d)水と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのグリコールエーテルの圧力101.3キロパスカルでの沸点が、240℃超~350℃である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのグリコールエーテルの平均分子量(Mw)が、170~550である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのグリコールエーテルのヒドロキシル価が、220~320である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのグリコールエーテルの分散ハンセン溶解度パラメータが、13.0J/cc
1/2~15.5J/cc
1/2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのグリコールエーテルの極性ハンセン溶解度パラメータが、0.5J/cc
1/2~3.0J/cc
1/2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのグリコールエーテルの水素結合ハンセン溶解度パラメータが、6.5J/cc
1/2~8.5J/cc
1/2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、20重量%~70重量%の前記少なくとも1つのグリコールエーテルと、1重量%~15重量%の前記少なくとも1つの有機アミンと、0.01重量%~10重量%の前記少なくとも1つの界面活性剤と、残部の水と、を含み、それぞれ前記組成物の合計重量に基づいている、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
グリコールエーテル含有水系組成物を調製するプロセスであって、
(a)240℃超の沸点、及び蒸気圧に関して20℃で10Pa未満のVOC含有量を有する、少なくとも1つのグリコールエーテルと、
(b)少なくとも1つの有機アミンと、
(c)少なくとも1つの界面活性剤と、
(d)水と、を混合して、前記水系組成物を形成することを含む、プロセス。
【請求項10】
前記組成物が、プリント回路基板の製造中にプリント回路基板を洗浄するための洗浄配合物として使用される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
基板を洗浄するプロセスであって、
(A)洗浄される基板を提供する工程であって、前記基板は、上部に堆積された第1の量の汚染物質を含む、工程と、
(B)工程(A)の前記基板を請求項1に記載の水系組成物と所定の時間接触させる工程であって、前記接触工程(B)の後に、前記基板上の前記第1の量の汚染物質が、第2の低減された量の汚染物質に低減されて、洗浄された基板を形成し、工程(B)の前記洗浄された基板上の前記第2の低減された量の汚染物質が、前記基板の表面積の0.01パーセント未満を覆い、工程(A)の前記基板上の前記第1の量の汚染物質よりも少ない、工程と、
(C)任意選択で、工程(B)由来の前記洗浄された基板を、清浄な水又は純水ですすぐ工程と、を含む、プロセス。
【請求項12】
前記基材から汚染物質を除去するための前記接触工程(B)の時間が、45℃での超音波洗浄条件(90Hz)下で120秒未満である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記接触工程(B)の時間が、25℃で120秒未満である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記基板が、プリント回路基板である、請求項11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄配合物に関し、より具体的には、本発明は、例えば、プリント回路基板製造中にはんだフラックス及びフォトレジストを洗浄するため、エレクトロニクス処理用途において洗浄配合物として使用できるグリコールエーテル含有水系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(PCB)の製造は、必須の洗浄工程を含む複数の手順を必要とする。現在の洗浄配合物では、低分子量溶媒が洗浄剤として広く使用されている。これらの溶媒は、その低分子量及び対応する低沸点のために、揮発性有機化合物、つまりVOCと考えられる。環境保護規制の増加に伴い、洗浄配合物での使用のためにプリント回路基板(PCB)産業においては、より安全で、ハロゲンを含まない、非VOC又は低VOC溶媒が要求されている。VOC含有量に加えて、基板を効果的に洗浄し、高純度の溶媒(無色、低残留物含量及び低不純物プロファイル)を提供する溶媒の性能も、PCB産業に提供される溶媒の要求基準である。
【0003】
PCB洗浄配合物及び成分は、エレクトロニクス産業において周知である。例えば、様々なフラックス除去洗浄配合物が、特許第04776710(B2)号、同第06458964(B2)号、同第05945914(B2)号、特開第2003064397(A)号、米国特許第7288511(B2)号、同第6689734(B2)号、同第5547601(A)号、中国特許公開第111171974(A)号、同第110373283(A)号、同第109837145(A)号、同第103013704(A)号、及び国際公開第1993016160(A1)号に言及されている。例えば、特許第04570786(B2)号、米国特許第7579308(B2)号、同第7288511(B2)号、同第6689734(B2)号、カナダ特許第1285463(C)号、及び中国特許公開107942624(A)号に記載されているように、PCBからフォトレジストを除去するための様々なフォトレジスト洗浄配合物も当技術分野で知られている。加えて、米国特許第8444768(B2)号は、フラックス除去及びPCB洗浄において使用される洗浄配合物について言及している。米国特許第8444768(B2)号の洗浄配合物は、グリコールエーテルを含む40~97重量%の溶媒、酸系界面活性剤及びアミン(例えば、アルカノールアミン)を含む2~60重量%の添加剤からなる。米国特許第8444768(B2)号の配合物は、水、アセトン、又はアルコールで希釈される。
【0004】
PCBを洗浄するためのPCB産業による使用などの洗浄用途における使用に望ましい特性を有する、新しい洗浄配合物を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、PCB製造中にはんだフラックス及びフォトレジストを効果的に洗浄するために使用できるグリコールエーテル含有水系(GEWB)洗浄配合物に関する。GEWB洗浄配合物は、ロジンフラックス及びフェノール系フォトレジストを含む溶質の良好な溶解を提供することができる。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態では、PCBの製造プロセス中にはんだフラックス及びフォトレジストを洗浄するためのGEWB洗浄配合物は、(a)少なくとも1つのグリコールエーテルと、(b)少なくとも1つの有機アミンと、(c)少なくとも1つの界面活性剤と、(d)水と、を含む、GEWB洗浄配合物を含む。
【0007】
本発明の他の実施形態は、上記GEWB組成物を調製するためのプロセスを含む。
【0008】
更に他の実施形態では、本発明は、第1の量の汚染物質を上部に含有する洗浄されていないPCBを上述のGEWB洗浄配合物と接触させて、洗浄されていないPCB上の汚染物質の量を第2の低減された量の汚染物質に低減し、それにより、低レベルの汚染物質を上部に含有する洗浄されたPCBを形成することによって調製される洗浄されたPCBを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願の具体的な実施形態が、本明細書の以下に記載される。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に本発明の特許請求される主題の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0010】
相反する記載がない限り、又は文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全てのパーセンテージ、部、率、及び同種の量は、重量によって定義され、つまり重量に基づく。部及びパーセント値は重量に基づく。例えば、本明細書に記載した全てのパーセンテージは、別途指示されない限り、重量パーセンテージ(重量%)である。また、本明細書に開示される全ての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新である。
【0011】
本明細書で使用される温度は、摂氏温度(℃)である。
【0012】
本明細書では「室温(RT)」及び「周囲温度」は、別途指定しない限り、20℃~26℃の温度を意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を構成する材料、並びに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物の混合物を指す。
【0014】
「VOC」は、揮発性有機化合物を表す。
【0015】
グリコールエーテルなどの有機溶媒に関して、用語「低VOC」含有量は、本明細書では、有機溶媒が、250℃以上の沸点、20℃で10Pa未満の蒸気圧、及び/又はGC溶出保持時間マーカーとしてのテトラデカン(C14)の保持時間より長い時間で20%以下の化合物のGC溶出を有することを意味する。
【0016】
水系組成物に関して、「グリコールエーテル含有」は、本明細書において、水系組成物中のグリコールエーテルの量が0%超であることを意味する。
【0017】
希釈されたグリコールエーテル含有組成物に関して、「水系」とは、本明細書において、希釈されたグリコールエーテル含有組成物中の水の用量が少なくとも50%以上であることを意味する。
【0018】
有機溶媒に関して、「高純度溶媒」又は「高溶媒純度」は、本明細書では、APHAが100未満の色値を有する溶媒を意味する。また、有機溶媒に関して、「無色」は、本明細書では、100APHA未満の色値を有する溶媒を意味する。
【0019】
有機溶媒に関して、「低残留物含量」は、本明細書において、水酸化ナトリウムとして滴定された0.01重量%未満の残留塩基含量を有する溶媒を意味する。
【0020】
有機溶媒に関して、「低不純物プロファイル」は、本明細書では、溶媒が95%超のグリコールエーテルオリゴマーを含むことを意味する。
【0021】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、あらゆる追加の構成成分、工程、又は手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意のその他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の構成要素、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途明記しない限り、列挙された項目を個々に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用には複数形の使用が含まれ、その逆もまた同様である。
【0022】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値から上限値までのすべての値(下限値及び上限値を含む)を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば1、又は2、又は3~5、又は6、又は7の範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7は、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などを含む)。
【0023】
本明細書全体にわたって使用される場合、以下の略称は、文脈から別途明確に指示されない限り、以下の意味を有する。「=」は、「等しい」又は「と等しい」を意味し、「<」は、「未満」を意味し、「>」は、「よりも大きい」を意味し、「≦」は、「以下」を意味し、「≧」は、「以上」を意味し、「@」は、「において」を意味し、ppm=百万分率、「MT」=メートルトン、g=グラム、mg=ミリグラム、Kg=キログラム、L=リットル、g/L=1リットル当たりのグラム、μL=マイクロリットル、「g/cm3」又は「g/cc」=1立方センチメートル当たりのグラム、mg/mL=ミリリットル当たりのミリグラム、「kg/m3=1立方メートル当たりのキログラム、rpm=1分間当たりの回転数、m=メートル、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、μm=ミクロン又はマイクロメートル、nm=ナノメートル、min=分、s=秒、ms=ミリ秒、hr=時、Pa=パスカル、Mpa=メガパスカル、kPa=キロパスカル、Pa・s=パスカル秒、mPa・s=ミリパスカル秒、g/mol=1モル当たりのグラム、g/eq=1当量当たりのグラム、Mn=数平均分子量、Mw=重量平均分子量、pts=重量部、1/s又は秒-1=秒の逆数[s-1]、℃=摂氏温度、℃/分=1分当たりの摂氏温度、psi=1平方インチ当たりのポンド、kPa=キロパスカル、%=パーセント、cal/モル=カロリー/モル、vol%=体積パーセント、mol%=モルパーセント、及びwt%=重量パーセント。
【0024】
一般に、PCBの製造プロセス中にはんだフラックス及びフォトレジストを洗浄するのに有用なGEWB洗浄組成物又は配合物は、(a)少なくとも1つ以上のグリコールエーテルを含む。使用することができるグリコールエーテルの例は、トリエチレングリコールメチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエーテル、ペンタエチレングリコールメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールメチルエーテル、ヘプタエチレングリコールメチルエーテル、オクタエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルエーテル、ペンタエチレングリコールエチルエーテル、ヘキサエチレングリコールエチルエーテル、ヘプタエチレングリコールエチルエーテル、オクタエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、テトラエチレングリコールプロピルエーテル、ペンタエチレングリコールプロピルエーテル、ヘキサエチレングリコールプロピルエーテル、ヘプタエチレングリコールプロピルエーテル、オクタエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルエーテル、ペンタエチレングリコールブチルエーテル、ヘキサエチレングリコールブチルエーテル、ヘプタエチレングリコールブチルエーテル、オクタエチレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエーテル、ペンタプロピレングリコールメチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールメチルエーテル、ヘプタプロピレングリコールメチルエーテル、オクタプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、テトラプロピレングリコールエチルエーテル、ペンタプロピレングリコールエチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールエチルエーテル、ヘプタプロピレングリコールエチルエーテル、オクタプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールプロピルエーテル、ペンタプロピレングリコールプロピルエーテル、ヘキサプロピレングリコールプロピルエーテル、ヘプタプロピレングリコールプロピルエーテル、オクタプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、テトラプロピレングリコールブチルエーテル、ペンタプロピレングリコールブチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールブチルエーテル、ヘプタプロピレングリコールブチルエーテル、オクタプロピレングリコールブチルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0025】
いくつかの好ましい実施形態では、グリコールエーテルは、例えば、(1)次の成分、すなわち、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールプロピルエーテル、ペンタプロピレングリコールプロピルエーテル、ヘキサプロピレングリコールプロピルエーテル、ヘプタプロピレングリコールプロピルエーテル、及びオクタプロピレングリコールプロピルエーテルのうちの2つ以上の混合物、又は、(2)次の成分、すなわち、トリプロピレングリコールブチルエーテル、テトラプロピレングリコールブチルエーテル、ペンタプロピレングリコールブチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールブチルエーテル、ヘプタプロピレングリコールブチルエーテル、及びオクタプロピレングリコールブチルエーテルのうちの2つ以上の混合物であってよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明の成分(a)であるグリコールエーテルは、一般的な一実施形態において250℃~350℃、別の実施形態において250℃~300℃、更に別の実施形態において250℃~280℃の沸点(101.3kPaの圧力及び25℃の温度における)を有する。グリコールエーテルの沸点は、ASTM D1078-03に記載されている方法を用いて決定することができる。
【0027】
本発明のグリコールエーテルの揮発性有機化合物(VOC)は、沸点、蒸気圧、及び分子量などの様々な要因に依存し得る。EU指令2004/42/ECでは、標準圧力で≦250℃の沸点を有する任意の有機化合物としてVOCが定義されており、VOC含有量は、ISO11890-2に従ってGC分析によって測定される。相対沸点を測定するために使用されるGCマーカーはテトラデカンであり、253.6℃の沸点を有する。VOC含有量を決定するための上記の方法に基づいて、本発明のグリコールエーテルのVOC含有量を決定するために本明細書で使用される基準は沸点であり、本発明のグリコールエーテルは上記の範囲内の沸点を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明の成分(a)であるグリコールエーテルは、一般的な一実施形態において170~550、別の実施形態において180~500、更に別の実施形態において190~490の分子量(Mw)を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の成分(a)であるグリコールエーテルは、一般的な一実施形態では220~320、別の実施形態において250~300、更に別の実施形態において270~285のヒドロキシル価を有する。グリコールエーテルのヒドロキシル価は、ASTM D1899-02に記載されている方法を用いて決定することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明の成分(a)であるグリコールエーテルは、一般に、以下の本明細書の実施例に記載される方法を用いて、次を有する。(1)13.0J/cc1/2~15.5J/cc1/2の分散ハンセン溶解度パラメータ、(2)0.5J/cc1/2~3.0J/cc1/2の極性ハンセン溶解度パラメータ、(3)6.5J/cc1/2~8.5J/cc1/2の水素結合ハンセン溶解度パラメータ。
【0031】
GEWB洗浄配合物中に存在するグリコールエーテルの濃度は、広範な一実施形態では、1重量%~75重量%であってよい。GEWB洗浄配合物が、例えばフォトレジスト洗浄剤として使用される場合、グリコールエーテルは、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、一般的な一実施形態において、5重量%~50重量%、別の実施形態において10重量%~40重量%、更に別の実施形態において15重量%~30重量%の範囲の濃度でフォトレジスト洗浄剤中に存在し得る。他の実施形態では、GEWB洗浄配合物が、例えばフラックス除去剤として使用される場合、フラックス除去剤中のグリコールエーテルの濃度は、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、一般的な一実施形態において、20重量%~70重量%、別の実施形態において25重量%~60重量%、更に別の実施形態において30重量%~50重量%の範囲内であり得る。
【0032】
本発明の組成物の成分(b)は、少なくとも1つのpH調整剤、例えば有機アミン系pH調整剤である。例えば、成分(b)として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、β-アミノイソブチルアルコール、他の類似のアルコールアミン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0033】
好ましい一実施形態では、本発明の組成物の成分(b)は、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、及びこれらの混合物を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。
【0034】
成分(b)である有機アミンは、本発明のGEWB洗浄配合物のpHを改変するために有利に使用され、GEWB洗浄配合物中の有機アミンの量は、配合物のpHを改変するのに十分であるべきである。例えば、本発明の組成物において有用な有機アミンの濃度は、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、一般的な一実施形態において1重量%~15重量%、別の実施形態では3重量%~10重量%であり得る。
【0035】
本発明の組成物の成分(c)は、少なくとも1つの界面活性剤である。いくつかの実施形態では、成分(c)である界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物を挙げることができる。例えば、いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸、オレイン酸ジエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸エタノールアミン、及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つなどのアニオン性界面活性剤である。
【0036】
例えば、いくつかの実施形態では、界面活性剤は、10~14のHLB(親水性-親油性バランス)値の狭い分布を有する、高級アルコールポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどのうちの少なくとも1つなどの非イオン性界面活性剤である。
【0037】
成分(c)である界面活性剤を本発明の組成物に添加する利点としては、例えば、(1)界面活性剤が、フォトレジスト、ロジン、及びはんだフラックスを含む溶質の乳化又は分散を増加させ、組成物の懸濁及び安定性を増加させることが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物において有用な界面活性剤の濃度は、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、一般的な一実施形態では0.01重量%~10重量%、別の実施形態では0.1重量%~8重量%、更に別の実施形態では0.5重量%~5重量%であり得る。
【0039】
本発明の組成物の成分(d)は、水である。例えば、水道水、脱イオン(DI)水など、及びこれらの混合物を含む任意の水源を使用することができる。
【0040】
グリコールエーテル含有組成物を希釈する機能のために本発明の組成物において有用な水の量(用量)は、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、一般的な一実施形態では少なくとも50重量%以上、別の実施形態では50重量%~99重量%、更に別の実施形態では50重量%~90重量%、更に別の実施形態では50重量%~80重量%、なお更に別の実施形態では50重量%~70重量%であり得る。
【0041】
所望により、本発明の組成物は、本発明の組成物の優れた利点/特性を維持しながら、特定の機能の性能を可能にするために、多種多様な添加剤と共に配合されてもよい。例えば、本発明の配合物において有用な成分(e)である任意選択の添加剤は、腐食防止剤、水、酸化防止剤、及びそれらの混合物から選択されてもよい。
【0042】
好ましい一実施形態では、任意選択の添加剤として、クエン酸、ラウリン酸、及びこれらの混合物などの腐食防止剤を本発明の組成物に添加することができる。
【0043】
任意選択の化合物は、本発明の組成物で使用される場合、一般に、一実施形態では0重量%~0.1重量%、別の実施形態では0.01重量%~0.05重量%、更に別の実施形態では0.01重量%~0.03重量%の範囲の量で存在し得る。
【0044】
広範な一実施形態では、本発明のGEWB洗浄配合物を作製するためのプロセスは、例えば、(a)少なくとも1つのグリコールエーテルと、(b)少なくとも1つの有機アミンと、(c)少なくとも1つの界面活性剤と、(d)水と、を混合すること、混和すること、又はブレンドすることを含み、GEWB洗浄配合物が形成され、GEWB洗浄配合物は、本明細書において以下に記載される改善された特性を有する。所望の場合、1つ以上の追加の任意選択の成分である成分(e)が配合物に添加されてもよい。例えば、成分(a)、(b)、(c)、及び(d)は、上述の所望の濃度で、並びに、一実施形態では20℃~50℃、及び別の実施形態では25℃~35℃の温度で、共に混合することができる。所望の場合、任意選択の添加剤である成分(e)を、成分(a)、(b)、(c)及び/又は(d)のいずれか1つ以上と混合することができる。成分の混合順序は重要ではなく、2つ以上の成分を一緒に混合した後、残存成分を添加してよい。配合物の成分は、混合において当業者に知られている任意の従来の混合プロセス及び装置によって一緒に混合することができる。
【0045】
別の実施形態では、本発明のGEWB洗浄配合物を作製するためのプロセスは、
(I)1重量パーセント以上の汚染物質含有量及び/又は100APHA超の色値を有する少なくとも1つの第1のグリコールエーテル溶媒を提供する工程と、
(II)少なくとも1つの第1のグリコールエーテル溶媒を精製して、100APHA未満の色を有し、水酸化ナトリウムとして滴定された0.01重量%未満の塩基を有する少なくとも1つの第2の精製されたグリコールエーテル溶媒を形成する工程と、
(III)次の成分、すなわち、(a)高沸点及び低VOCを有する、工程(II)由来の少なくとも1つの精製された第2のグリコールエーテル、(b)少なくとも1つのpH調整剤成分、例えば有機アミン、(c)少なくとも1つの界面活性剤、及び(d)水を提供する工程と、
(IV)工程(III)の成分を混合する工程と、を含む。
【0046】
上記プロセスの工程(II)において、ナトリウムが電子PCBの表面上に残留物を形成しないように、できるだけ多くのナトリウムを除去することが望ましい。
【0047】
上記プロセスの工程(III)において、いくつかの好ましい実施形態では、工程(II)由来の少なくとも1つの精製された第2のグリコールエーテルは、250℃以上の沸点を有し、蒸気圧に関して20℃で10Pa未満の低VOCを有する。
【0048】
上記プロセスの工程(IV)において成分(a)~(c)を混合した後、上記プロセスによって形成された得られるGEWB洗浄配合物は、良好な(増加した)溶質の溶解性及び良好な水溶性特性を有する。
【0049】
上記プロセスによって製造される本発明のGEWB洗浄配合物は、既知の配合物と比較していくつかの有利な特性及び/又は利点を有する。例えば、本発明の組成物によって示される特性/利益の一部には、例えば次のものを挙げることができる。(1)本発明のGEWB洗浄配合物を形成するために使用されるグリコールエーテルは、特に、配合物を希釈するために他の有機希釈化学物質の代わりに水を使用する場合、洗浄配合物を製造するための好ましい成分である水で希釈可能な溶媒である。(2)グリコールエーテルは、高分子量(例えば、グリコールエーテルの炭素数が9より大きい)を有し、例えば、非VOC組成物又は低VOC組成物を提供する、ブタノール及びプロパノールのプロポキシレートのグリコールエーテルである。(3)本発明のGEWB洗浄配合物は、一臭素化炭化水素などの有害成分(例えば、ハロゲン系溶媒)を含有しない。(4)本発明のGEWB洗浄配合物に使用されるグリコールエーテルは、乳化機能ではなく洗浄機能を有する。(5)本発明のGEWB洗浄配合物の化学構造は複雑ではなく単純である。(6)グリコールエーテル生成物は広い高分子量分布を有し、したがって、グリコールエーテル生成物が非VOCであるため、より良好である。(7)グリコールエーテルは、純粋な酸化エチレン系溶媒ではなくアルコール構造から開始され、したがって、本発明のGEWB洗浄配合物を使用すると、PCB加工に使用される溶質の溶解性が改善されるため、本発明のGEWB洗浄配合物はより良好である。(8)このグリコールエーテルのためにPCB上に形成される汚染物質の残留物が低く、もし残留物が形成された場合、残留物を水、アルコール、又はケトンですすぐことによって残留物を容易に除去することができる。
【0050】
例えば、本発明の組成物の水溶性は、一般に、一実施形態では4重量%~90重量%、別の実施形態では20重量%~70重量%、更に別の実施形態では30重量%~50重量%の範囲であり得る。
【0051】
本発明の洗浄配合物は、例えば、PCBなどのエレクトロニクス材料、並びにトランジスタ、チップ、及びコンデンサ、導電回路、ディスプレイ、増幅器などを含むその他エレクトロニクス素子を洗浄するためなどのエレクトロニクス用途において使用することができる。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明のGEWB配合物は、例えば、PCBの製造プロセス中にはんだフラックス及びフォトレジストを洗浄するために使用することができる。PCBを洗浄するため、当業者にとって既知であるスプレー法及び超音波法などの様々な方法を使用することができる。
【0053】
例えば、いくつかの実施形態では、本発明のGEWB洗浄配合物を使用してPCBを洗浄するプロセスは、
(1)GEWB洗浄配合物を調製する工程と、
(2)液体形態のGEWB洗浄配合物を噴霧することによって、PCBをGEWB洗浄配合物と接触させる工程と、
(3)工程(2)由来のPCBを水ですすぐ工程と、
(4)工程(3)由来の水ですすいだPCBを室温又は高温で乾燥させる工程と、を含む、スプレー法を含み得る。
【0054】
例えば、他の実施形態では、本発明のGEWB洗浄配合物を使用してPCBを洗浄するプロセスは、
(1)GEWB洗浄配合物を調製する工程と、
(2)液体形態のGEWB洗浄配合物の超音波浴中にPCBを配置することによって、PCBをGEWB洗浄配合物と接触させる工程と、
(3)工程(2)由来のPCBを超音波浴から取り出す工程と、
(4)工程(3)由来のPCBを水ですすぐ工程と、
(5)工程(4)由来の水ですすいだPCBを室温又は高温で乾燥させる工程と、を含む、超音波法を含み得る。
【0055】
本発明の上記プロセスによって調製される本発明の洗浄されたPCBの利点のいくつかは、例えば、以下のものを含む。(1)本発明の洗浄されたPCBは、洗浄されていないPCBと比較して、より長い耐用期間を有する。(2)低VOC溶媒を使用する本発明のプロセスで洗浄された本発明の洗浄されたPCBは、かなりの含有量のVOCを有する溶媒を使用する従来の方法で洗浄されたPCBよりも長いか又は同じ耐用期間を有する。(3)本発明の洗浄されたPCBは、洗浄されていないPCBと比較して増加した作動安定性を有する。(4)低VOC溶媒を使用する本発明のプロセスで洗浄された本発明の洗浄されたPCBは、かなりの含有量のVOCを有する溶媒を使用する従来の方法で洗浄されたPCBよりも長いか又は同じ作動安定性を有する。いくつかの実施形態では、上記の利点は、本発明の洗浄されたPCBが、非VOC含有溶媒を使用して調製された他の洗浄されたPCBと比較される場合であっても、本発明のプロセスによって調製された本発明の洗浄されたPCBによって示され得る。
【実施例】
【0056】
以下の本発明の実施例(Inv.Ex.)及び比較例(Comp.Ex.)(まとめて「実施例」とする)は、本発明の特徴を更に詳細に説明するために本明細書で提示されるが、特許請求の範囲を限定するものとして明示的にも暗示的にも解釈されることを意図しない。本発明の実施例はアラビア数字によって特定され、比較例はアルファベット文字によって表される。以下の実験で、本明細書に記載の組成物の実施形態の性能を分析した。特に指示しない限り、すべての部及びパーセンテージは、総重量に基づく重量による。
【0057】
名称
実施例において使用される様々な用語、名称、及び略語は、本明細書で以下のように記載する。
【0058】
「PCB」は、プリント回路基板を表す。
【0059】
「MEA」は、モノエタノールアミンを表す。
【0060】
「MPG」は、メトキシポリエチレングリコールを表す。
【0061】
化合物に関して「精製された」とは、元の化合物に対して望ましくない残留物を除去して、元の化合物中に存在する汚染物質を0.01重量%未満の量まで減少させるために、化合物が蒸留又は蒸発などの精製プロセスにかけられたことを意味する。例えば、約2重量%の不純物を有するMPGの元の生成物であって、MPGが精製されて不純物の元の量が0.01重量%未満に減少した場合、得られた生成物は「精製MPG」と呼ばれる。
【0062】
「BPG」は、ブトキシポリエチレングリコールを表す。
【0063】
「精製BPG」は、0.01重量%未満の望ましくない残留塩基含量を有し、精製/純化されたブトキシポリエチレングリコールn-プロピルエーテル生成物のAPHAが100未満であるようなブトキシポリエチレングリコール生成物を意味する。
【0064】
「PolyPnB」は、ポリプロピレングリコールn-ブチルエーテルを表す。
【0065】
「精製PolyPnB」は、0.01重量%未満の望ましくない残留塩基含量を有し、精製/純化されたポリプロピレングリコールn-ブチルエーテル生成物のAPHAが100未満であるようなポリプロピレングリコールn-ブチルエーテル生成物を意味する。
【0066】
「PolyPnP」は、ポリプロピレングリコールn-プロピルエーテルを表す。
【0067】
「精製PolyPnP」は、0.01重量%未満の望ましくない残留塩基含量を有さず、精製/純化されたポリプロピレングリコールn-プロピルエーテル生成物のAPHAが100未満であるようなポリプロピレングリコールn-プロピルエーテル生成物を意味する。
【0068】
原料
表Iは、PCBの製造プロセス中にはんだフラックス及びフォトレジストを洗浄するためのGEWB洗浄配合物を調製するために実施例において使用したグリコールエーテル、有機アミン及び界面活性剤を含む原料(成分)を記載する。
【0069】
【0070】
揮発性有機化合物(VOC)含有量
溶媒が使用される特定の用途及び地域に応じて、配合物中の溶媒含有量は、世界中の様々な異なる環境規制下にある揮発性有機化合物(VOC)含有量の制約を受ける。これらの変化している規制は、屋内及び屋外の両方の空気品質制御を改善することを目的としている。揮発性は沸点、蒸気圧、及び分子量などの要因に依存するため、VOCにはいくつかの定義がある。EU指令2004/42/ECでは、標準圧力で≦250℃の沸点を有する任意の有機化合物としてVOCが定義されており、VOC含有量は、ISO11890-2に従ってGC分析によって測定される。相対沸点を測定するために使用されるGCマーカーはテトラデカンであり、253.6℃の沸点を有する。
【0071】
カスタマイズされたUIC RFT-6実験室用ロールフィルム蒸留装置又はワイプドフィルム蒸留装置(WFE)を使用して、精製されたグリコールエーテルを調製した。0.06平方メートルの内部蒸発面積の316ステンレス鋼蒸発装置を所望の処理温度に設定し、真空下に置いた。WFEへの供給材料は、0.66cc/回転の速度で供給するMahr Feinpruf Model N19 0.6スピニングポンプを使用して投入した。蒸発部から出る蒸気を、水道水で冷却した0.3~0.6平方メートルの表面積のガラスコンデンサーで凝縮した。底部の残留物を蒸発装置本体の下部で回収した。
【0072】
精製MPGの調製
上記のWFEを180℃に加熱し、17rpmの供給ポンプ速度及び300rpmのワイパースピン速度、0.1torrの真空にて、1,850.09gのメトキシポリグリコール(塩基性)を投入した。処理は175分で完了し、1,601.13gのオーバーヘッド生成物を回収した。底部画分の重量は200.79gであった。色は50APHA未満であり、GC分析によって測定した平均分子量は212g/モルであった。
【0073】
精製BPGの調製
上記のWFEを200℃に加熱し、14rpmの供給ポンプ速度及び260rpmのワイパースピン速度、0.3torrの真空にて、716.74gのブトキシポリグリコール(塩基性)を投入した。処理は105分で完了し、490.9gのオーバーヘッド生成物を回収した。底部画分の重量は201.46gであった。色は100APHA未満であり、GC分析によって測定した平均分子量は262g/モルであった。
【0074】
精製PolyPnBの調製
上記のWFEを180℃に加熱し、17rpmの供給ポンプ速度及び260rpmのワイパースピン速度、0.1torrの真空にて、917.94gの塩基性PolyPnBを投入した。処理は95分で完了し、755.97gのオーバーヘッド生成物を回収した。底部画分の重量は140.90gであった。色は50APHA未満であり、GC分析によって測定した平均分子量は292g/モルであった。
【0075】
精製PolyPnPの調製
上記のWFEを170℃に加熱し、16rpmの供給ポンプ速度及び260rpmのワイパースピン速度、0.1torrの真空にて、1142.50gの塩基性PolyPnPを投入した。処理は127分で完了し、938.2gのオーバーヘッド生成物を回収した。底部画分の重量は187.72gであった。色は50APHA未満であり、GC分析によって測定した平均分子量は248g/モルであった。
【0076】
配合物
フラックス除去剤配合物を調製するための一般的手順
表IIに記載の成分、例えば、40重量%モノエタノールアミン、20重量%のECOSURF(商標)EH-6、及び40重量%の溶媒を含む一連の濃縮配合物の試料を調製した。次いで、濃縮配合物を水で希釈した。
【0077】
【0078】
ロジン溶解配合物を調製するための一般的手順
表IIIに記載の成分を含む、ロジン溶解試験に使用される一連の濃縮配合物の試料を調製した。
【0079】
ロジン粉末及び溶媒を20mLのガラス瓶中で混合した。ガラス瓶中のロジン粉末と溶媒との混合物を、50℃の温度に設定したオーブンに入れ、加熱した。次に、ガラス瓶中の混合物を200rpmで20分間振とうした。溶媒中の重量で測定されるロジンの溶解を肉眼で観察し、記録した。
【0080】
【0081】
フォトレジスト洗浄剤配合物を調製するための一般的手順
表IVに記載の成分を含む、フォトレジストを洗浄するために使用される一連の濃縮配合物の試料を調製し、例えば、20重量%の溶媒、20重量%のモノエタノールアミン、0.5重量%のECOSURF(商標)EH-6、及び59.5重量%の水を含み、10gの総重量を有する洗浄配合物を調製した。電磁撹拌機を用いて120RPM及び60℃で配合物を撹拌した。得られた配合物を表IVに記載する。
【0082】
【0083】
試験及び測定
GC分析
GC(ガスクロマトグラフィー)分析は、GC機器のAgilent 6890 GCにおいて、メタノールでおよそ50/50容量で希釈した1μLの試料を、100℃の30m×0.25mmの0.25μmフィルムZB1カラム上に注入し、10℃/分で300℃まで上昇させることによって行った。注入器及び熱伝導率検出器の温度は300℃であった。15psigの一定ヘリウム圧及び25:1の分割比を用いた。重量パーセント組成を表すことが確認された面積パーセント積分を使用して結果を表した。
【0084】
分子量
平均分子量は、各オリゴマーの個々の分子量を、GC分析によって決定された試料中の各オリゴマーの量と共に使用して決定した。
【0085】
GC分析によって決定された平均分子量は、ヒドロキシル滴定によって測定されたものと一致した。
【0086】
ヒドロキシル価
ヒドロキシル価は、ASTM D4274に従って測定した。オーブン乾燥したFisher Porter瓶を窒素流で冷却し、瓶の側面に試料が付着しないように注意しながら、3.00グラムの試料を瓶に秤量した。瓶をリングスタンドに固定し、25mLの無水フタル酸-ピリジン試薬(84g無水フタル酸/600mL無水ピリジン)を添加した。瓶を、結束バンドで固定されたゴムセプタムで密封した。この手順を更に2つの試料及び3つのブランクについて繰り返した(無水フタル酸試薬のみをブランクに使用した)。全ての瓶を瓶ラックに挿入し、100℃の水浴中に1時間置いた。時間が経過したら、ラックを浴から取り出し、試料を室温まで冷却した。瓶をラックから取り出し、撹拌プレート上に固定した。撹拌子を加え、撹拌機を作動させて渦を発生させた。指示薬としてフェノールフタレインアルコール溶液を5滴添加した。試料を1.00NのNaOHで薄ピンク色の終点まで滴定した。この手順を全ての試料について繰り返した。ヒドロキシル価は以下の式によって計算した。
[[[(ブランクのNaOHのmL)-(試料のNaOHのmL)]×NaOH溶液のN数]/試料重量]×56.1
【0087】
これらのグリコールエーテルなどの一塩基性アルコールでは、計算された分子量は1,700/(%OH)であった。ヒドロキシル価は32.9*(%OH)であった。
【0088】
ハンセン溶解性パラメータ
Hansen SolubilityParameters-A User’s Handbook,CRC Press,Boca Raton,1999,2007に記載されているように、モル体積回帰の逆数に基づく相関を使用して、ブチル-PO及びプロピル-PO純粋成分のハンセン溶解度パラメータ(HSP)を計算した。
【0089】
純粋成分の残りについてのHSPは、グループ寄与パラメータ及びSMILES構造を使用する市販のHSPiPプログラムに記載されているYamamoto Molecular Break(YMB)法を使用して計算した。HSPiPプログラム(第4版、4.1.07)は、ウェブサイト(https://usd.swreg.org/com)で見つけることができる。
【0090】
色
色は、ASTM D 4890に従って較正されたHunterLab ColorQuest XT比色計を用いて測定し、当業者に既知のAPHAスケールを用いて報告した。APHA(American Public Health Association)色は、ハーゼン単位色又は白金/コバルト(Pt/Co)単位色を指し、ASTM D1209によって定義される黄色度の尺度である。
【0091】
塩基濃度
塩基濃度を、較正されたMettler Toledo DL70 Autotitratorを使用して、0.1g~5gの試料を2-プロパノール水溶液で希釈し、0.0100Nの塩酸で滴定することによって測定した。結果をNaOHの重量%として報告した。
【0092】
沸点の計算
CHEMCOMP(商標)Solvent Modeling Property Serviceの中で利用可能なLIQACTプログラム及びGC分析から得られた面積パーセント組成を使用して、上記の様々な精製WFE生成物の沸点を計算した。LIQACTプログラムは、UNIFACパラメータを使用して、様々な相平衡計算のための活量係数を推定する。このプログラムを使用して、多成分混合物の計算を行うことができ、混合物中の各成分についてアントワン定数及びUNIFAC式を必要とする。利用可能な場合、アントワン定数をCHEMCOMP(商標)溶媒データベース及びPCPROP特性データバンクから検索した。
【0093】
より高次の同族体(例えば、≧5~9のEO又はPOユニット)についてのアントワン定数は利用できず、2工程プロセスにおいて誘導する必要があった。まず、所定のグリコールエーテルファミリー(例えば、PnB同族体)についての沸点対EO又はPO単位のプロットから、目的の成分の標準沸点を外挿した。次いで、この沸点をANTOINEプログラム(これもCHEMCOMP(商標)から入手可能)に入力し、そこからアントワン定数を、Thomson拘束オプション及びトルートン定数を用いた一点計算を使用し、G.W.M.Thomson;「The Antoine Equation for Vapor Pressure Data」,Chem.Rev.(38),p.1-39,February 1946に記載される手順に従って処理した。トルートン定数は、蒸発のエントロピーとして知られており、ケルビン度での沸点で割った(沸点での)蒸発熱のcal/モルに等しい。種々のグリコールエーテル同族体を次のトルートン定数、すなわち、PnP(24)、メチル、エチル、ヘキシル及びPolyPG(26)、並びにPNB及びブチル(27)に適合させた。
【0094】
沸点の測定
典型的な実験において、30mLのWFE生成物を、ビルトイン熱電対ウェルを備えた50mLの一ツ口丸底フラスコ(Kontes Bantam-ware)に加えた。小型のTeflon(登録商標)撹拌子をフラスコに加え、次にクランプでドラフト内のホルダー(hood lattice)に固定した。加熱マントルをフラスコに取り付け、磁気撹拌プレートをマントルの下に置いた。デジタル温度コントローラから通じる制御及び高制限用熱電対を、マントルとフラスコとの間に配置した。デジタル温度計からの別の熱電対を、伝熱目的のために数滴のグリセリンを含有する熱電対ウェルの内側に配置した。冷却コイルの底部に滴下口を有する凝縮器をフラスコに取り付け、真空チューブで窒素真空ラインに接続されたアダプターを凝縮器の上部に配置した。フラスコを断熱して熱損失を最小限にした。圧力制御を容易にするために、Tescom背圧レギュレータを、真空ポンプと低圧(5psig)窒素ラインとの間の主真空ラインに配置したが、これは、ガラス装置の過剰加圧に対して保護するための圧力安全弁を適所に有していた。凝縮器への窒素-真空ラインを、窒素ラインの上の主真空ラインからT字管で分岐した(teed-off)。フラスコ内の実際の圧力を読み取るために、凝縮器へのT字管の上の真空ラインの端部にデジタルRosemountゲージを配置した。撹拌プレートを低速で回転させた。ドライアイスを真空ポンプトラップに加え、真空ポンプを作動させた。窒素流を止め、Tescomレギュレータを完全に開いたまま、圧力を約1.0mmHgに調整した。凝縮器への水を入れ、フラスコを約200℃(外部マントル温度)に加熱した。液体が凝縮器の底部で還流しているのが観察されたとき、内部フラスコ温度及び圧力を記録した。次いで、窒素流を開くことによって、及び又はTescomレギュレータを「増加」方向に調節することによって、圧力を次の所望の値に調節した。ある範囲の蒸気圧を得るために圧力を増加させながら、マントル温度を250℃、300℃、最終的に325℃まで徐々に上昇させた。合計10~20個のデータポイントを収集した。
【0095】
CHEMCOMP(商標)アントワンプログラムを使用して、蒸気圧力データをlogP=A-B/(T+C)のアントワン方程式に当てはめて、3つのアントワン定数及び標準沸点を取得した。全ての蒸気圧フィットにおいてThomson拘束を使用した。
【0096】
試験結果
フラックス除去剤配合物を試験するための一般的手順
はんだフラックスを80℃に加熱し、液化し、PCB金属回路の表面上に広げた。PCB金属回路の表面上の液体はんだフラックスは、フラックスの温度が室温まで低下すると凍結した。上記のように調製されたフラックス洗浄配合物の濃縮配合物の試料4.5g(配合物:40重量%のモノエタノールアミン、20重量%のECOSURF(商標)EH-6、及び40重量%の溶媒)を、30gの水で希釈した。続いて、PCBを希釈配合物に浸漬した。2分間、45℃で超音波(90Hz)を使用してPCBを洗浄した。フラックス除去剤配合物の試験結果を表Vに記載する。
【0097】
【0098】
「洗浄」対「残留物」を決定するための一般的手順
表Vに関連し、上述の洗浄行為を受けた後にPCBの表面上に残っているあらゆる残留物(すなわち、はんだフラックス)を肉眼で観察し、洗浄後に残留物によって覆われたPCBの表面積がある場合、それを記録した。PCB金属回路上に何らかの残留物が観察された場合、又は総PCB表面積の0.01%以上が残留物を有していた場合、PCBは「残留物」とラベル付けされ、ある程度のフラックス残留物がPCB金属回路上に存在し、洗浄組成物が洗浄剤として十分に機能しなかったことを示した。一方、PCB金属回路上に残留物が観察されなかった場合、又は全PCB表面積の0.01%未満の上に残留物を有していた場合、PCBは「洗浄」とラベル付けされ、PCB金属回路上に残留物が全く存在しないか、又は非常に微量の残留物しか存在しなかったことを示した。
【0099】
洗浄のPCB対残留したPCBを決定するための上述の手順の代替として、いくつかの実施形態では、「洗浄」PCB対「残留物」PCBを区別するための方法は、PCBの表面積からあらゆる観察可能な残留物を完全に除去するために必要とされる期間を測定することによって行うことができる。この方法では、PCBが、一般的な一実施形態では120秒以下、別の実施形態では30秒~120秒の時間にわたって洗浄処理にかけられた後に、PCBの表面上に残留物が観察されない(すなわち、残留物がPCBの表面領域から実質的に完全に除去される)場合、PCBは「洗浄」PCBと見なされる。逆に、PCBが洗浄処理に供され、洗浄処理がPCBの表面上に残留物が観察されない点に到達するのに120秒より長くかかる(すなわち、PCBの表面領域から残留物を実質的に完全に除去するのに120秒より長くかかる)場合、PCBは「残留物」PCBと見なされる。
【0100】
ロジン溶解配合物を試験するための一般的手順
ロジン粉末及び溶媒を20mLのガラス瓶中で混合した。ガラス瓶中のロジン粉末と溶媒との混合物を、50℃の温度に設定したオーブンに入れ、10分間加熱した。次いで、ガラス瓶中の混合物を200rpmで20分間振とうした。ロジンの溶解を肉眼で観察し、溶媒中の重量で測定し、結果を記録した。ロジン溶解の結果を、表VIに示す。
【0101】
【表6】
表VIの注記:
*ロジン溶解度を決定するため、ロジンを、グリコールエーテル中0.01重量%ロジンで徐々に添加した。溶解度の重量%は、目視で判断した固体飽和時の累積固体重量であった。
【0102】
フォトレジスト洗浄剤配合物を試験するための一般的手順
可撓性PCBシートを、20重量%の溶媒、20重量%のモノエタノールアミン、0.5重量%のECOSURF(商標)EH-6、及び59.5重量%の水を含み、10gの総重量を有する洗浄配合物中に入れた。配合物を2分間のPCBシートの剥離に使用した。2分後、水を使用してPCBシート表面をすすぎ、次いで、PCBシートを乾燥させた。次に、PCBシートを超粗化溶液に10秒間浸漬した。PCBシートを粗化溶液中に10秒間入れた後、再び水を使用してPCBシート表面をすすいだ。次に、PCBシートを再び乾燥させた。可撓性PCBシートの表面に残っているフォトレジスト残留物を肉眼で観察し、記録した。フォトレジスト洗浄の結果を、表VIIに示す。
【0103】
【表7】
表VIIの注記:
*「いくらかの残留物」は、少量のフォトレジスト残留物がPCB上に存在することが観察されたことを意味し、この組成物の洗浄速度は、「洗浄」と示された他の組成物ほど速くなかった。
【0104】
表VIIに関して、PCBが「洗浄」、「残留物」又は「いくらかの残留物」と見なされるかどうかを決定するために使用された手順は、「洗浄」対「残留物」を決定するための一般的手順」において上述されたものと同じ手順であった。ただし、表VIIの実施例では、「いくらかの残留物」を有するPCBは、PCBの残留物面積が全PCB表面積の0.01%以上から1%未満の間であったことを意味する。また、「残留物」は、PCBの残留物面積が全PCB表面積の1%以上であったことを意味する。
【0105】
結果の考察
フラックス除去剤
フラックス除去剤組成物を調製するのに有用な溶媒としては、例えば、DOWAWNOL(商標)DPnB、TPnB、ヘキシルCARBITOL(商標)、精製PolyPnP及び精製PolyPnBが挙げられる。DOWANOL(商標)DPnB及びヘキシルCARBITOL(商標)は業界標準の化合物であり、フラックス除去剤用途において広く使用されている。実施例で使用した溶媒の特性のいくつかを表VIIIに記載する。
【0106】
【表8】
表VIIIについての注記:
*「分解」は、沸点より低い温度で分解した化合物を意味する。
【0107】
このフラックス除去剤用途において溶媒として精製PolyPnBを使用するいくつかの利点の1つには、例えば、溶媒が高沸点を有し、それによってフラックス除去剤配合物の温度を上昇させることができ、更にフラックス除去速度が加速されることが挙げられる。DOWANOL(商標)TPnB溶媒は、精製PolyPnB溶媒と同じ利点を示した。精製PolyPnB、ヘキシルCARBITOL(商標)及びDOWANOL(商標)TPnBの溶媒は、非VOC溶媒であり、したがって、これらの溶媒は、VOC制限規制を実施しているいくつかの国において、このフラックス除去用途で使用することができる。
【0108】
ロジン溶解度
ロジンを可溶化するのに有用な溶媒としては、例えば、DOWANOL(商標)DPnB、TPnB、ヘキシルCARBITOL(商標)、ポリグリコールP-425、精製PolyPnP及び精製PolyPnBが挙げられる。これらの溶媒は、6重量%を超えるロジン溶解度値を有する。
【0109】
フォトレジスト剥離剤
フォトレジストを剥離するのに有用な溶媒としては、例えば、DOWANOL(商標)DPnB、TPnB、精製PolyPnP及び精製PolyPnBが挙げられる。
【0110】
PCBからフォトレジストを剥離するための溶媒として精製PolyPnBを使用するいくつかの利点の1つには、例えば、溶媒が高沸点を有し、それによってフォトレジスト剥離剤配合物の温度を上昇させることができ、更にフォトレジスト除去速度が加速されることが挙げられる。DOWANOL(商標)TPnB溶媒は、精製PolyPnB溶媒と同じ利点を示した。精製PolyPnB、ヘキシルCARBITOL(商標)及びDOWANOL(商標)TPnBの溶媒は、非VOC溶媒であり、したがって、これらの溶媒は、VOC制限規制を実施しているいくつかの国において、このフォトレジスト除去用途で使用することができる。
【0111】
フラックス除去及びフォトレジスト剥離に使用され、より低い極性ハンセン溶解度パラメータを有する溶媒は、高いハンセン溶解度パラメータを有する溶媒よりも効果的な性能を示す。より低い水素結合ハンセン溶解度パラメータを有する溶媒はまた、溶媒の性能を改善することができる。溶媒のロジン溶解度値はまた、極性ハンセン溶解度パラメータ及び水素結合ハンセン溶解度パラメータの2つのパラメータに非常に関連する。実施例で使用した溶媒の比較を表VIIIに記載する。
【0112】
溶媒DOWANOL(商標)DPnBは、VOC材料と考えられるが、本発明におけるDOWANOL(商標)DPnBの性能は非常に良好である。一方、より低いヒドロキシル価、水混和性、及び配合物安定性を有する溶媒DOWANOL(商標)TPnBの性能は、それほど良好ではない。
【0113】
ポリグリコールP-425溶媒は、溶質表面と溶媒との相互作用を低減させる非常に高い粘度を有する。したがって、ポリグリコールP-425溶媒についてのロジン溶解評価は静的であり、良好な結果を示す。しかしながら、フラックス除去及びフォトレジスト剥離の動的プロセスを評価する際に、ポリグリコールP-425の性能は、ポリグリコールP-425がより高い極性を示す1つの分子中に2つのヒドロキシル基を含有するためにネガティブであり、高い極性を有する溶媒の結果として、溶媒はフラックス又はフォトレジストを溶解するのにあまり良好ではない。
【国際調査報告】