(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ロボット及びその起動モード判定方法、データ処理機器
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241212BHJP
G05D 1/648 20240101ALI20241212BHJP
G05D 1/243 20240101ALI20241212BHJP
G05D 1/228 20240101ALI20241212BHJP
H02S 40/10 20140101ALI20241212BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241212BHJP
G06N 3/08 20230101ALI20241212BHJP
G05D 1/628 20240101ALN20241212BHJP
【FI】
G05D1/43
G05D1/648
G05D1/243
G05D1/228
H02S40/10
G06T7/00 350C
G06N3/08
G05D1/628
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533917
(86)(22)【出願日】2023-04-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2023091029
(87)【国際公開番号】W WO2023208084
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】202210469186.X
(32)【優先日】2022-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015815
【氏名又は名称】蘇州瑞得恩光能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RADIANT PHOTOVOLTAIC TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 636, Zixu Road, Xukou Township, Wuzhong Dist. Suzhou, Jiangsu 215101 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 斐
(72)【発明者】
【氏名】▲とん▼ 龍
【テーマコード(参考)】
5F251
5H301
5L096
【Fターム(参考)】
5F251JA02
5F251JA15
5H301AA01
5H301AA09
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301FF05
5H301GG07
5H301GG09
5L096AA06
5L096BA05
5L096CA04
5L096GA34
5L096HA11
5L096KA04
5L096MA07
(57)【要約】
本願は、ロボット及びその起動モード判定方法、データ処理機器を開示しており、前記ロボットは、カメラにより判断モデルに従って左起動モード又は右起動モードを選択し、太陽光パネル上に置かれると、自動的に起動モードを選択してパネルアレイを清掃可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの起動モード判定方法であって、
深層学習アルゴリズムを用いて起動モード判断モデルを構築するステップと、
ロボットが太陽光パネルアレイに置かれると、前記ロボットの左右両側のカメラを用いて少なくとも1つのリアルタイムピクチャを収集し、前記リアルタイムピクチャを前記起動モード判断モデルに登録するステップと、
前記ロボットの初期状態での起動モードであって、左起動モード及び右起動モードが含まれる起動モードを判断するステップとを含む、ロボットの起動モード判定方法。
【請求項2】
深層学習アルゴリズムを用いて起動モード判断モデルを構築するステップは、
ラベルを有するピクチャが含まれる訓練サンプルを2つ以上収集するステップと、
前記訓練サンプルに対してグループ分け処理を行い、ラベルが同じとなる前記ピクチャを同じグループに分けるステップと、
グループ分けされた訓練サンプルを畳み込みニューラルネットワークモデルに登録して訓練し、起動モード判断モデルを得るステップとを含む、請求項1に記載のロボットの起動モード判定方法。
【請求項3】
訓練サンプルを2つ以上収集するステップは、
ロボットを太陽光パネルアレイの左下隅に複数回セッティングするステップと、
毎回セッティングした後、ロボットのカメラを用いて少なくとも1つの第一ピクチャを収集するステップと、
左起動モードに対応する第一ラベルを各々の第一ピクチャに設置するステップとを含む、請求項2に記載のロボットの起動モード判定方法。
【請求項4】
訓練サンプルを2つ以上収集するステップは、
ロボットを太陽光パネルアレイの右下隅に複数回セッティングするステップと、
毎回セッティングした後、ロボットのカメラを用いて少なくとも1つの第二ピクチャを収集するステップと、
右起動モードに対応する第二ラベルを各々の第二ピクチャに設置するステップとを含む、請求項2に記載のロボットの起動モード判定方法。
【請求項5】
前記ロボットの初期状態での起動モードを判断するときに、第一グループ別パラメータを出力するステップと、
金属センサを用いて前記ロボットの初期状態での起動モードを判断し、第二グループ別パラメータを出力するステップと、
前記第一グループ別パラメータ及び前記第二グループ別パラメータに従って、補正パラメータSを計算すステップであって、S=K1*S1+K2*S2であり、ここで、K1、K2は予め設定された重み係数であり、且つK1+K2=1であるステップと、
補正パラメータの結果に従って、前記ロボットの初期状態での起動モードを再判断するステップとを更に含む、請求項1に記載のロボットの起動モード判定方法。
【請求項6】
金属センサを用いて前記ロボットの初期状態での起動モードを再判断することは、
前記ロボットの底部の左右両側にそれぞれ金属センサを1つ設置して、左センサ及び右センサとして定義するステップと、
ロボットが太陽光パネルアレイに置かれると、前記左センサ及び前記右センサから発生された電気的な信号を同期的に収集し、前記左センサに信号があり、且つ前記右センサに信号がない場合、前記ロボットの初期状態での起動モードが左起動モードであると判定し、前記左センサに信号がなく、且つ前記右センサに信号がある場合、前記ロボットの初期状態での起動モードが右起動モードであると判定するステップとを含む、請求項5に記載のロボットの起動モード判定方法。
【請求項7】
前記ロボットの初期状態での起動モードを判断するステップの後には、
前記起動モードが左起動モードであれば、前記ロボットが前記太陽光パネルアレイの上エッジまで進行すると、前記ロボットを右へ直角に旋回させるように制御し、前記起動モードが右起動モードであれば、前記ロボットが前記太陽光パネルアレイの上エッジまで進行すると、前記ロボットを左へ直角に旋回させるように制御するステップと、
前記車体を前記太陽光パネルアレイの上エッジの延在方向に沿って直線的に進行させるように制御する直進制御ステップと、
前記ロボットの前端が前記太陽光パネルアレイの左エッジ線又は右エッジ線まで進行すると、清掃タスクが完了したかどうかを判断し、完了したのであれば、前記ロボットの進行を停止させるように制御し、そうでなければ、前記車体を左又は右へU字状に旋回させるように制御して、前記直進制御ステップに戻る転回制御ステップとを更に含む、請求項1に記載のロボットの起動モード判定方法。
【請求項8】
データ処理機器であって、
実行可能なプログラムコードを記憶するためのメモリと、
前記メモリに接続され、前記実行可能なプログラムコードを読み取って前記実行可能なプログラムコードに対応するコンピュータプログラムを動作させることで、請求項1~7の何れか1項に記載のロボットの起動モード判定方法を実行するプロセッサとを含む、データ処理機器。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ処理機器を含む、ロボット。
【請求項10】
太陽光パネルアレイ上を進行可能な車体と、
前記車体の左右両側に設置され、前記太陽光パネルアレイのリアルタイム映像を収集するためのカメラとを更に含み、
前記データ処理機器は、前記車体内に設置され、且つ前記カメラに接続されている、請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記太陽光パネルアレイは、2つ以上の太陽光パネルからなるアレイ型平面構造であり、
前記太陽光パネルの各々のエッジ部には、金属ベゼルが設置されている、請求項10に記載のロボット。
【請求項12】
前記車体の底部の左右両側に設置されるか、又は前記車体の側壁に固定され、且つ前記車体の底面まで延在する金属センサを更に含み、
金属センサと金属ベゼルとの間隔が予め設定された閾値以下になると、当該金属センサから信号が発生されて前記データ処理機器に送信される、請求項10に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年04月30日に中国特許庁に出願されて出願番号が202210469186.Xであり、発明名称が「ロボット及びその起動モード判定方法、データ処理機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全ては、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、ロボット及びその起動モード判定方法、データ処理機器に関する。
【背景技術】
【0003】
清掃ロボットが太陽光パネルアレイ上に置かれた後、その清掃過程の制御方法は、手動制御方式と自動制御方式との2種類に大別され得る。手動制御方式では、ロボット毎に作業者を1名付ける必要があり、コストが高くて実用性が悪い。自動制御方式では、計画したルート通りにロボットを進行させるために、いくつかの固定的な命令をロボットに設定する必要がある。
【0004】
太陽光パネルは、何れも傾斜して設置されているため、ロボットは、太陽光パネル上に置かれる初期位置が、一般的に太陽光パネルアレイの最低箇所となり、当該アレイの左下隅又は右下隅に置かれることが好ましい。しかしながら、ロボットのパネルアレイ上での進行経路は、そのパネルアレイ上での初期位置に関係しており、ロボットの初期位置が異なれば、その起動モード及び運転モードも異なり、更にその行動命令セットも違う。従来技術では、作業員は、ロボットのセッティング位置に応じて、起動モードを手動で設定する必要があり、その欠点としては、作業員の操作が比較的煩雑であり、操作方法の習得が必要となる一方で、作業員によるモードの選択が一旦誤ると、ロボットの進行中に誤りが発生して、予め設定された経路から逸脱するか、又は、ロボットが誤った方向を選択し、太陽光パネルから落下してしまう。
【0005】
したがって、ロボットが太陽光パネル上に置かれた後は、当該ロボットの太陽光パネルアレイ上での位置を取得することで、その運転モードを確定し、適切な命令セットを選択する運転モード判断方法が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ロボットの起動モードの選択に複雑な操作が必要となるという課題を解決するためのロボット及びその起動モード判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は、深層学習アルゴリズムを用いて起動モード判断モデルを構築するステップと、ロボットが太陽光パネルアレイに置かれると、前記ロボットの左右両側のカメラを用いて少なくとも1つのリアルタイムピクチャを収集し、前記リアルタイムピクチャを前記起動モード判断モデルに登録するステップと、前記ロボットの初期状態での起動モードであって、左起動モード及び右起動モードが含まれる起動モードを判断するステップとを含む、起動モード判定方法を提供する。
【0008】
本願は、実行可能なプログラムコードを記憶するためのメモリと、前記メモリに接続され、前記実行可能なプログラムコードを読み取って前記実行可能なプログラムコードに対応するコンピュータプログラムを動作させることで、上記に記載のロボットの起動モード判定方法を実行するプロセッサとを含む、データ処理機器を更に提供している。
【0009】
本願は、上記データ処理機器を含む、ロボットを更に提供している。
【0010】
更に、前記ロボットは、太陽光パネルアレイ上を進行可能な車体と、前記車体の左右両側に設置され、前記太陽光パネルアレイのリアルタイム映像を収集するためのカメラとを含み、前記データ処理機器は、前記車体内に設置され、且つ前記カメラに接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の技術的効果としては、カメラを用いて車体の両側のリアルタイム映像をリアルタイムに収集し、リアルタイム映像をモード判断モデルに登録し、更に左起動モード又は右起動モードを選択することで、ロボットは、太陽光パネル上に置かれると、自動的に起動モードを選択し、該当する制御命令を実行してクリーニングすることが可能となり、手動操作が不要であり、起動モードボタンを設置する必要がないため、ユーザの操作がより簡単となり、作業効率及び操作の安全性が効果的に向上された。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、図面を参照しながら本願の具体的な実施形態を詳述することで、本願の技術態様及び他の有益な効果が明らかになるであろう。
【
図1】実施例1に記載のロボットが左起動モードで太陽光パネルアレイ上を進行するルートマップである。
【
図2】実施例1に記載のロボットが右起動モードで太陽光パネルアレイ上を進行するルートマップである。
【
図4】実施例1におけるロボットの起動モード判断方法の全体フローチャートである。
【
図5】実施例1における深層学習アルゴリズムを用いて起動モード判断モデルを構築するステップのフローチャートである。
【
図6】実施例1における訓練サンプルを2つ以上収集するステップのフローチャートである。
【
図7】実施例1に記載のロボット制御ステップのフローチャートである。
【
図10】実施例2におけるロボットの起動モード判断方法の全体フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術態様を明確且つ完全に記述する。明らかなことに、記述される実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者によって創造的な労働を払わずに得られた他の実施例は、全て本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0014】
下記の開示においては、本願の異なる構造を実現するために、多くの異なる実施形態又は例を提供している。本願の開示を簡略化するために、下記においては、特定の例の部材及び設置を記述する。勿論、それらは単に例示的なものであり、且つ本願を制限することを目的とするものではない。また、本願の異なる例において、参照数字及び/又は参照アルファベットは、繰り返されることがあり得る。このような繰り返しは、簡略化及び明確化を目的とするものであり、それ自体は、検討される各種の実施形態及び/又は設置の間の関係を指示しない。また、本願は、各種の特定のプロセス及び材料の例を提供しているが、当業者であれば、他のプロセスの適用及び/又は他の材料の使用を想到し得る。
【0015】
実施例1
本願の実施例1は、太陽光パネルアレイ1を清掃するためのロボットを開示している。太陽光パネルは、何れも傾斜して設置されているため、ロボットは、太陽光パネル上に置かれる初期位置が、一般的に太陽光パネルアレイの最低箇所となり、
図1及び
図2を参照して、当該アレイの左下隅又は右下隅に置かれることが好ましい。本実施例におけるロボット2は、左側起動モード又は右側起動モードを自動的に選択可能であり、それに対する作業員からの操作や設定が不要であり、作業効率が向上された。
【0016】
図3に示すように、ロボット2は、車体21、カメラ22及びデータ処理機器(不図示)を含み、車体21は、太陽光パネルアレイ1上を移動可能であり、車体21の前端又は後端には、クリーニング部23、好ましくはロールブラシが設置されており、前記データ処理機器は、車体21内に設置されている。カメラ22は2つ設置され、それぞれ車体21の左右両側に設置されており、2つのカメラ22は、それぞれ車体21の左右両側の太陽光パネルアレイ1の画像をリアルタイムに取得し、画像情報をデータ処理機器に送信するためのものである。情報処理機器は、車体21内に設置され、且つカメラ22に接続されており、カメラ22から送られてきた画像情報を受信して処理し、画像情報に応じて左起動モード又は右起動モードを選択することが可能である。
【0017】
図1、
図2に示すように、太陽光パネルアレイ1は、2つ以上の太陽光パネルからなる傾斜したアレイ型平面構造であり、太陽光パネルアレイ1は、いくつかの行及びいくつかの列を有し、全体形状が一般的に矩形又は正方形である。したがって、太陽光パネルアレイ1は、4つのエッジ線を有し、4つのエッジ線には、互いに平行な上エッジ線11及び下エッジ線12と、互いに平行な左エッジ線13及び右エッジ線14とが含まれる。ロボット2が太陽光パネルアレイ1上に置かれるときに、作業員によって車体21の頭部が上エッジ線11に向くように置かれるため、車体21の左右両側のカメラ22は、それぞれ左エッジ線13及び右エッジ線14に向いて、左エッジ線13及び右エッジ線14付きの画像を取得し、データ処理機器は、画像を処理して、車体21が太陽光パネルアレイ1の左下隅にあるか、それとも右下隅にあるかを判断し、左起動モードを実行するか、それとも右起動モードを実行するかを更に判断する。各々の太陽光パネルの4つのエッジ線には、パネルを保護する役割を果たすとともに、パネルを識別し易くする金属ベゼルが設置されている。判断結果に応じて左起動モード又は右起動モードを選択し、対応する清掃プランを実行する。記述の便宜上、左エッジ線13の延在方向を第一方向Xとして定義し、上エッジ線11の延在方向を第二方向Yとして定義する。
【0018】
太陽光パネルアレイ1は、傾斜した平面であり、ロボット2のグリップ力を向上させ、パネルからのロボット2の滑り落ちを防止するために、ロボット2の底面には、通常、吸着装置が設置されている。しかしながら、隣接する2行のパネルの間には、通常、隙間が存在し、もしロボット2の走行中に当該隙間が常にロボット2の下方にあると、吸着装置が効かなくなる。したがって、ロボット2の滑り落ちを防止するために、ロボット2は、各々の行の太陽光パネル10を清掃するとき、2行の太陽光パネル10の間の隙間の上方を進行してはいけない。
【0019】
クリーニング中には、塵、ゴミ及び汚水は、パネルの表面に沿って滑り落ちることになり、クリーニング効果を保証するために、ロボットは、太陽光パネルアレイ1の左下隅又は右下隅から始動する必要があり、太陽光パネルアレイ1の左エッジ線又は右エッジ線に沿って当該アレイの下端からその上端まで直線的に走行し、その後、当該アレイ上を第一方向に沿って進行し、アレイのエッジ部に着いたところで左又は右へ転回し、続いて、アレイ上を第一方向に沿って逆走行する。ロボットの車体が第一方向に進行した高さは、当該車体が前回に第一方向に進行した高さよりも低くなる。
【0020】
ロボット2が太陽光パネルアレイ1上に置かれる前に、太陽光パネルアレイ1の寸法は、ロボット2にとって未知のパラメータである。太陽光パネルアレイ1の寸法が異なるため、ロボット2のパネルアレイ上での最適な進行ルートが異なり、毎回の横方向での進行距離が異なり、同じ行のパネル上での転回回数も異なり、その作業モードもそれぞれ違う。ロボット2は、その進行中に、太陽光パネル10のアレイにおける各々の太陽光パネル10の寸法、特に各々の行の太陽光パネル10のその傾斜方向での長さを自動的に計算し、その寸法に応じて、ロボットが各々の行の太陽光パネル10上を往復走行する必要のある回数及び距離を計算し、ロボット2の転回回数及び位置を計算して、各々の行の太陽光パネル10の隅々まで清掃できることを確保する必要がある。
【0021】
車体が第一方向に毎回進行するときに通過したパネルアレイ領域は、1つの清掃通路として定義されてもよく、各々の清掃通路の幅は、クリーニング部23の幅以下であり、車体が或る清掃通路内を進行するとき、そのクリーニング部23は、当該清掃通路の外まで延在することがあり得る。
【0022】
同じ行の少なくとも1つの太陽光パネル10は、第一方向に延在するN個の清掃通路であって、太陽光パネル10のアレイの左側からその右側まで延在するN個の清掃通路に分けられてもよく、Nは、当該行の太陽光パネル10の傾斜面での長さをクリーニング部23の幅で除算した商の整数部分に1を加算した値である。例えば、或る行のパネルの長さが2メートル、ロールブラシの幅が0.7メートルであれば、Nは、3となる。すると、当該行の太陽光パネル10は、3つの横方向の清掃通路に分けられる必要があり、清掃ロボットは、クリーニングの死角を残さずに当該の行のパネルを全て掃除できるようになるまで、往路及び復路の合計で3回走行する必要がある。3つの清掃通路は、上から下にそれぞれ第一通路、第二通路及び第三通路であり、3つの清掃通路の幅は、それぞれ0.7メートル、0.6メートル及び0.7メートルに設定されてもよく、車体が中間の第二通路を進行するとき、そのロールブラシの両端のエッジ部は、第一通路及び第三通路内まで延在することになる。
【0023】
この態様において、車体が太陽光パネルアレイ1をクリーニングするとき、ロボットの太陽光パネルアレイ上での初期位置(左下隅又は右下隅)が異なれば、その後に実行される制御命令セットも異なるため、ロボットがその太陽光パネルアレイ上での初期位置を判断し、それに応じて、起動モードである選択左起動モード又は右起動モードを選択することは、肝心な課題である。
【0024】
本実施例は、上記ロボットの起動モード判定方法を更に提供しており、
図4に示すように、当該起動モード判定方法は、具体的に、以下のステップS100~S400を含む。
【0025】
ステップS100は、深層学習アルゴリズムを用いて起動モード判断モデルを構築する。
図5に示すように、ステップS100は、ラベルを有するピクチャが含まれる訓練サンプルを2つ以上収集するステップS110と、前記訓練サンプルに対してグループ分け処理を行い、ラベルが同じとなるピクチャを同じグループに分けるステップS120と、グループ分けされた訓練サンプルを畳み込みニューラルネットワークモデルに登録して、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムを用いて訓練し、分類器、即ち起動モード判断モデルを得るステップS130とを含み、本実施例では、caffe深層学習アルゴリズムを用いてモデルを訓練することが好ましい。
【0026】
図6に示すように、ステップS110は、具体的に、ロボット2を太陽光パネルアレイ1の左下隅に複数回セッティングするステップS111と、毎回セッティングした後、ロボット2のカメラ22を用いて少なくとも1つの第一ピクチャを収集するステップS112と、左起動モードに対応する第一ラベルを各々の第一ピクチャに設置するステップS113と、ロボット2を太陽光パネルアレイ1の右下隅に複数回セッティングするステップS114と、毎回セッティングした後、ロボット2のカメラ22を用いて少なくとも1つの第二ピクチャを収集するステップS115と、右起動モードに対応する第二ラベルを各々の第二ピクチャに設置するS116とを含む。ステップS112、S115では、ロボットの左右両側の2つのカメラの何れによっても、大量のピクチャがリアルタイムに収集され、一般的に5000枚以上のピクチャとなり、各々のピクチャには、左起動モード又は右起動モードに対応するラベルが設置されている。他の実施例において、先にステップS114~116を実行し、次にステップS111~113を実行するように選択してもよい。
【0027】
ステップS200は、ロボット2が太陽光パネルアレイ1に置かれると、前記ロボット2の左右両側のカメラ22を用いて少なくとも1つのリアルタイムピクチャを収集し、カメラ22は2つ設置され、それぞれ車体21の左右両側に設けられており、それぞれが車体21の左右両側の太陽光パネルアレイ1のリアルタイム画像をリアルタイムに取得するためのものである。ロボットがパネルアレイの左下隅に置かれ、且つ車頭がパネルアレイの上エッジ線に向いているとき、その左側のカメラは、パネルアレイの映像を撮影できないが、その右側のカメラは、車体の右側にあるパネルアレイの映像を撮影可能である。同様に、ロボットがパネルアレイの右下隅に置かれ、且つ車頭がパネルアレイの上エッジ線に向いているとき、その左側のカメラは、車体の左側にあるパネルアレイの映像を撮影可能である。
【0028】
ステップS300は、カメラ22が画像情報をデータ処理機器に送信し、前記リアルタイムピクチャを前記起動モード判断モデルに登録し、新しいピクチャが当該起動モード判断モデルに登録されると、当該モデルから出力される結果は、ラベルのタイプとなり、新しいピクチャに対応するラベルが第一ラベルであるか、それとも第二ラベルであるかを自ら判断可能となる。
【0029】
ステップS400は、前記ロボット2の初期状態での起動モードであって、左起動モード及び右起動モードが含まれる起動モードを判断する。第一ラベルが左起動モードに対応し、第二ラベルが右起動モードに対応するため、コンピュータは、前のステップにおけるラベルのタイプに従って、ロボット2の初期状態での起動モードを判断可能である。起動モードが確定された後、ロボットは、起動モードに対応する制御命令を自ら実行し、予め計画した好ましい経路通りに太陽光パネルアレイ上を進行し、進行中に同期的に清掃することが可能となり、ロボットは、ルートの重複をできるだけ低減しながら、パネルアレイの隅々まで清掃する必要がある。
【0030】
図7に示すように、本実施例に記載のロボットの起動モード判定方法は、ステップS100~400の後に、以下のステップS910~S950を含むロボット制御ステップを更に実行してもよい。
【0031】
ステップS910は、前記ロボット2が前記太陽光パネルアレイ1の上エッジ線まで進行すると、前記ロボット2をその場で直角に旋回させるように制御し、前記起動モードが左起動モードであれば、前記ロボット2を右へ直角に旋回させるように制御し、前記起動モードが右起動モードであれば、前記ロボット2を左へ直角に旋回させるように制御する。
【0032】
ステップS920は、前記車体21を太陽光パネルアレイの上エッジ線の延在方向に沿って直線的に進行させるように制御する直進制御ステップである。
【0033】
ステップS930は、前記ロボット2の前端が前記太陽光パネルアレイ1の左エッジ線13又は右エッジ線14まで進行すると、清掃タスクが完了したかどうかを判断し、完了したのであれば、ステップS940を実行し、そうでなければ、ステップS950を実行する転回制御ステップである。
【0034】
ステップS940は、前記ロボット2の進行を停止させるように制御する。
【0035】
ステップS950は、前記車体21を左又は右へU字状に旋回させるように制御して、前記直進制御ステップS920に戻る。
【0036】
ステップS910~S950の目的は、車体21による太陽光パネルアレイ1上での往復クリーニングを実現することであり、車体21が転回した後、新しい清掃軌跡は、前回の直線清掃軌跡に隣接するか又は部分的に重なり合う。ロボットは、予め計画した好ましい経路通りに太陽光パネルアレイ上を進行し、進行中に同期的に清掃し、ロボットは、死角を残さずにパネルアレイの隅々まで清掃する必要がある。
【0037】
本実施例には、データ処理機器が更に含まれ、当該データ処理機器は、実行可能なプログラムコードを記憶するためのメモリと、前記メモリに接続され、前記実行可能なプログラムコードを読み取って前記実行可能なプログラムコードに対応するコンピュータプログラムを動作させることで、上記ロボットの起動モード判定方法における少なくとも1つのステップを実現するプロセッサとを含む。前記メモリは、左起動モード、右起動モードに対応する制御命令セットを記憶するためにも使用されてもよく、ステップS910~S950でロボットを制御して実現される動作は、全てこれらの制御命令セットによって実現される。
【0038】
本実施例の技術的効果としては、カメラを用いて車体の両側のリアルタイム映像をリアルタイムに収集し、リアルタイム映像をモード判断モデルに登録し、更に左起動モード又は右起動モードを選択することで、ロボットは、太陽光パネル上に置かれると、起動モードを自動的に選択し、該当する制御命令セットを実行し、自動的にクリーニングすることが可能となり、手動操作が不要であり、起動モードボタンを設置する必要がないため、ユーザの操作がより簡単となり、作業効率及び操作の安全性が効果的に向上された。
【0039】
実施例2
実施例2には、実施例1における全ての技術態様が含まれるが、1つの相違点としては、
図8~
図9に示すように、実施例2によるロボットは、実施例1における車体21、カメラ22、クリーニング部23及びデータ処理機器の他に、前記車体の底部の左右両側に設置されるか、又は前記車体の側壁に固定され、且つ前記車体の底面まで延在する金属センサ24を更に含み、金属センサと金属ベゼルとの間隔が予め設定された閾値以下になると、当該金属センサから信号が発生されて前記データ処理機器に送信される。
【0040】
例えば、ロボットがパネルアレイの左下隅に置かれると、車体の左側の金属センサが左ベゼルを感知して、電気的な信号を発生可能となる一方で、車体の左側の金属センサは、太陽光パネル上に位置し、電気的な信号を発生できない。したがって、車体の左側の金属センサから電気的な信号が発生され、且つその右側の金属センサに信号がない場合、コンピュータは、ロボットの初期位置がパネルアレイの左下隅にあり、その起動モードが左起動モードであると判断できる。同様に、車体の右側の金属センサから電気的な信号が発生され、且つその左側の金属センサに信号がない場合、コンピュータは、ロボットの初期位置がパネルアレイの右下隅にあり、その起動モードが右起動モードであると判断できる。
【0041】
ロボットは、カメラ22又は金属センサ24によって車体の起動モードを判断することが可能であるが、ロボットは、実際の作業において一定の確率で誤差が発生するため、何れか一方だけで判断すると、判断が誤ってしまうことに起因してロボットがパネルから落下し、安全事故を引き起こす可能性がある。本実施例は、2回の判断結果を一定の重み比で計算して、補正後の判断結果を得ることで、起動モードの判断結果がより正確なものとされる。
【0042】
実施例2には、実施例1における全ての技術態様が含まれるが、もう1つの相違点としては、
図10に示すように、実施例2は、実施例1のステップS100~S400の他に、以下のステップS500~S800を更に含むロボットの起動モード判定方法を提供する。
【0043】
S500は、ステップS400にて前記ロボット2の初期状態での起動モードを判断するとき、データ処理機器が起動モード判断モデルの判断結果を第一グループ別パラメータS1として出力してもよく、前記起動モードが左起動モードである場合、第一グループ別パラメータをS1=0となるように定義し、前記起動モードが右起動モードである場合、第一グループ別パラメータをS1=1となるように定義する。
【0044】
S600は、金属センサ24を用いて前記ロボット2の初期状態での起動モードを再判断し、第二グループ別パラメータを出力する。
図8に示すように、ステップS600で金属センサ24を用いて起動モードを再判断することは、以下のステップS610~S630を含む。ステップS610は、前記ロボット2の底部の左右両側にそれぞれ金属センサ24を1つ設置して、左センサ及び右センサとして定義し、ステップS620は、ロボット2が太陽光パネルアレイ1に置かれると、前記左センサ及び前記右センサから発生された電気的な信号を同期的に収集し、ステップS630は、前記左センサに信号があり、且つ前記右センサに信号がない場合、前記ロボット2の初期状態での起動モードが左起動モードであると判定し、前記左センサに信号がなく、且つ前記右センサに信号がある場合、前記ロボット2の初期状態での起動モードが右起動モードであると判定する。
【0045】
前記起動モードが左起動モードである場合、第二グループ別パラメータをS2=0となるように定義し、前記起動モードが右起動モードである場合、第二グループ別パラメータをS2=1となるように定義する。車体21が左エッジ線13又は右エッジ線14に近いとき、エッジ位置における金属ベゼルの高さが低く、金属ベゼルが撮像センサの死角にあり、撮像センサで取得された映像には、金属ベゼルが存在せず、判断モデルによって起動モードを識別できない。金属センサ24から電気的な信号が発生されて出力処理機器に送信され、金属センサ24は、検出範囲が小さく、感度が高いという特徴を有し、一般的に検出範囲が数十ミリメートルとなる。当該電気的な信号は、車体21が太陽光パネルアレイ1の金属ベゼル付きのエッジに接近したことを示し、ベゼル位置収集器が車体21の両側に設置されているため、金属センサ24から送られてきた電気的な信号がデータ処理機器によって受信されたことは、車体21が既に太陽光パネルアレイ1の左エッジ線13又は右エッジ線14に接近していることを意味する。
【0046】
S700は、前記第一グループ別パラメータ及び前記第二グループ別パラメータに従って、補正パラメータSを計算し、S=K1*S1+K2*S2であり、ここで、K1、K2は予め設定された重み係数であり、且つK1+K2=1である。補正パラメータSが0に近づいている場合、起動モードが左起動モードであると判定し、補正パラメータSが1に近づいている場合、起動モードが右起動モードであると判定する。補正パラメータSから0を差し引いて、第一差分としてS-0が得られ、当該差分が例えば0.1又は0.2のような予め設定された閾値未満であれば、Sが0に近づいていると判定してもよく、同様に、補正パラメータである1からSを差し引て、第二差分として1-Sが得られ、当該差分が例えば0.1又は0.2のような予め設定された閾値未満であれば、Sが0に近づいていると判定してもよい。これにより、Sが0に近づいているか、それとも1に近づいているかを判定可能である。補正パラメータを設置することで、単一の判断方式による誤差に起因した誤判定を回避でき、その結果がより正確なものとされる。
【0047】
S800は、補正パラメータの結果に従って、前記ロボット2の初期状態での起動モードを再判断する。ステップS800の判断結果は、ステップS400の判断結果に対して、より正確なものとなり、事故の発生確率が効果的に低減された。
【0048】
実施例2に記載のロボットの起動モード判定方法は、ステップS100~800の後に、実施例1に記載のステップS910~S950を更に含むが、ここで繰り返して述べない。
【0049】
実施例2では、ロボット2内にカメラ22及び金属センサ24の両方が設置され、何れか一方のみを選択すれば、車体の起動モードを判断可能であるが、ロボットは、実際の作業において一定の確率で誤差が発生するため、何れか一方だけで判断すると、判断が誤ってしまうことに起因してロボットがパネルから落下し、安全事故を引き起こす可能性がある。
【0050】
本実施例におけるロボット2は、カメラ22及びモード判断モデルによって1つのモード判断結果を出力し、金属センサ24によってもう1つのモード判断結果を出力し、その後、2回の判断結果を一定の重み比で計算して補正パラメータを得て、補正パラメータに応じて起動モードを自動的に選択することで、起動モードの判断結果がより正確なものとされる。ロボットは、太陽光パネル上に置かれると、起動モードを自動的に選択してクリーニングすることが可能となり、手動操作が不要であり、起動モードボタンを設置する必要がなく、作業効率が向上された。
【0051】
上記の実施例では、各実施例の記述に独自の重点が置かれており、或る実施例で詳述されていない部分については、他の実施例の関連記述を参照可能である。
【0052】
以上、本願の実施例によるロボット及びその起動モード判定方法、並びにデータ処理機器について詳細に紹介したが、本明細書では、具体的な例を挙げて本願の原理及び実施形態について記載しており、上記の実施例に係る説明は、本願の技術態様及びその核心思想の理解を助けるものに過ぎず、当業者であれば、前述した各実施例に記載の技術態様に対して変更を加え得ること、又はその中の一部の技術的特徴を均等に置換し得ることを理解するべきである。このような変更又は置換は、該当する技術態様の本質を本願の各実施例における技術態様の範囲から逸脱させるものではない。
【国際調査報告】