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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】スプレーヘッド
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/34 20060101AFI20241212BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20241212BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20241212BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20241212BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B05B1/34 101
B05B11/00 101B
B05B11/10 101B
B65D83/00 K
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534016
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 FR2022052379
(87)【国際公開番号】W WO2023111470
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113871
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】プティ,ルドヴィク
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC03
3E014PE17
3E014PF10
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB05
3E084AB09
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033FA00
4F033KA02
4F033MA00
4F033NA01
(57)【要約】
スプレーヘッド(T)であって、挿入開口部(101)と、スプレー中央開口部(132)が貫通している実質的に平坦な内壁(103)とを画定し、軸Xを有するハウジング(10)を形成するヘッド本体(1)と、挿入開口部(101)を介してヘッド本体(1)のハウジング(10)に軸方向に係合する実質的に管状のスプレーノズル(2)と、を備え、スプレーノズル(2)は、中央内部ダクト(20)に開口する入口部(201)と、スプレー中央開口部(132)を中心とする中央空洞(232)、および、中央空洞(232)に接線方向に開口し、中央内部ダクト(20)と連通する複数の渦流チャネル(24)を画定する外壁(23)と、を含み、それぞれの渦流チャネル(24)は、中央空洞(232)の下に中央内部ダクト(20)まで軸方向に延びており、中央内部ダクト(20)と直接連通していることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプやバルブなどの吐出部材(D)と組み合わせることを意図したスプレーヘッド(T)であって、
挿入開口部(101)と、スプレー中央開口部(132)が貫通している実質的に平坦な内壁(103)とを画定し、軸Xを有するハウジング(10)を形成するヘッド本体(1)と、
挿入開口部(101)を介してヘッド本体(1)のハウジング(10)に軸方向に係合する実質的に管状のスプレーノズル(2)と、
を備え、
スプレーノズル(2)は、
中央内部ダクト(20)に開口する入口部(201)と、
スプレー中央開口部(132)を中心とする中央空洞(232)、および、中央空洞(232)に接線方向に開口し、中央内部ダクト(20)と連通する複数の渦流チャネル(24)を画定する外壁(23)と、を含み、
それぞれの渦流チャネル(24)は、中央空洞(232)の下に中央内部ダクト(20)まで軸方向に延びており、中央内部ダクト(20)と直接連通している
ことを特徴とするスプレーヘッド。
【請求項2】
渦流チャネル(24)は、中央内部ダクト(20)の軸方向延長部に部分的に延びており、中央内部ダクト(20)から外壁(23)まで延びる軸方向の流体通路を画定している
ことを特徴とする請求項1に記載のスプレーヘッド。
【請求項3】
渦流チャネル(24)は、中央空洞(232)内に出口(245)を備え、中央内部ダクト(20)と軸方向に連通している
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスプレーヘッド。
【請求項4】
中央内部ダクト(20)は、円錐台形部分(203)を備え、渦流チャネル(24)は、軸Xに対して傾斜した窓(25)を介して円錐台形部分(203)と直接連通している
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項5】
中央空洞(232)は、中央内部ダクト(20)の軸方向下流に位置するストッパー(22)によって、窓(25)から軸方向に分離されている
ことを特徴とする請求項4に記載のスプレーヘッド。
【請求項6】
それぞれの渦流チャネル(24)は、外壁(23)から底部(243)まで延びる2つの主壁(241、242)を備え、
底部(243)は、中央内部ダクト(20)と軸方向に同じ高さレベルに位置し、窓(25)を介して中央内部ダクト(20)と連通しており、
2つの主壁(241、242)は、半径方向に中央空洞(232)に向かうのに伴って近づくことにより、各主壁の間に角度が付けられている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項7】
それぞれの渦流チャネル(24)は、2つの主壁(241、242)を備え、
2つの主壁(241、242)は、半径方向に中央空洞(232)に向かうのに伴って近づくことにより、各主壁の間に角度が付けられ、当該主壁(241、242)が最も接近する位置で外壁(23)から中央内部ダクト(20)まで軸方向に延びている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項8】
それぞれの渦流チャネル(24)は、2つの主壁(241、242)を備え、これらの主壁は、出口壁(244)によって接続され、出口壁は、中央空洞(23)から中央内部ダクト(20)まで軸方向に延びている
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項9】
渦流チャネル(24)は、中央空洞(232)内に出口(245)を備え、この出口は、出口壁(244)の軸方向延長部に形成されている
ことを特徴とする請求項8に記載のスプレーヘッド。
【請求項10】
渦流チャネル(24)の軸方向の深さは、中央空洞(232)の軸方向の深さの3~10倍、有利には5~10倍の大きさである
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項11】
窓(25)の軸方向の高さは、渦流チャネル(24)の軸方向の深さの約半分に相当する
ことを特徴とする請求項4または5に記載のスプレーヘッド。
【請求項12】
流体製品吐出装置であって、
流体製品容器(R)に取り付けられたポンプまたはバルブなどの吐出部材(D)と、
吐出部材(D)に取り付けられた、請求項1~11のいずれか1項に記載のスプレーヘッド(T)と、
を備えることを特徴とする流体製品吐出装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のスプレーノズル(2)を成形するための成形アセンブリであって、
中央内部ダクト(20)を形成するための第1ピン(B1)と、
複数の渦流チャネル(24)を形成するための複数の第2ピン(B2)と、を備え、
第1ピン(B1)と第2ピン(B2)は、相対的な軸方向移動によって相互に円錐面同士が接触するように意図された円錐面(B13、B22)を有する
ことを特徴とする成形アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプやバルブなどの吐出部材と組み合わせることを目的としたスプレーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
スプレーヘッドは、従来から既に知られており、ヘッド本体とスプレーノズルを備えている。ヘッド本体には、挿入開口部と、スプレー中央開口部が貫通している実質的に平坦な内壁とを画定する、軸Xを有するハウジングが形成されている。
【0003】
スプレーノズルは、挿入開口部を介してヘッド本体のハウジング内に軸方向に係合する、実質的に管状のノズルであり、中央内部ダクトに開口する入口部と、スプレー中央開口部を中心とする中央空洞と中央空洞に実質的に接線方向に開口しており中央内部ダクトと連通する複数の渦流チャネルとを画定する外壁と、が設けられている。
【0004】
従来、中央内部ダクトと接線チャネルとの連通は、中央内部ダクトから半径方向外側に延びる半径方向側壁の側面窓を介して行われている。
【0005】
これらの半径方向の側面窓は、スプレーノズルの周囲に、例えばフラットスポットの形状で形成された軸方向の接続チャネル上に開設されている。これらの軸方向の接続チャネルは、軸方向に延在し、渦流チャネルとは実質的に直角に合流する。
【0006】
一般に、渦流チャネルの軸方向深さは、中央空洞の軸方向深さに実質的に等しく、スプレー中央開口部が貫通する平坦な内壁と協働して渦流チャンバを形成する。
【0007】
このようにして流体製品は、中央内部ダクトを通り、次に半径方向の側面窓を通って半径方向に移動し、次に軸方向の接続チャネルを通って軸方向に移動し、次に渦流チャネルを通って半径方向に移動して、渦流チャンバに到達する。渦流チャンバ内で流体製品が渦を形成し、最終的にスプレー中央開口部から微細な液滴の雲状の形態で吐出される。
【0008】
通常、2個または3個の半径方向の側面窓と、これと同数の軸方向の接続チャネルと渦流チャンネルが設けられている。
【0009】
半径方向の側面窓を成形するには、コンパートメントピン、すなわちハウジングの軸Xに対して横方向(直角の方向)に動くピンを用いる必要がある。これらのコンパートメントピンの実装は、常に複雑なため、問題の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/011530号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、そのようなコンパートメントピンを用いることなく、スプレーヘッドの成形を簡素化することである。
【0012】
本発明の別の目的は、一方に対して他方が軸方向に移動可能な2つの部品のみを備える成形アセンブリを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために本発明は、渦流チャネルが中央空洞の下を軸方向に中央内部ダクトまで延出して、中央内部ダクトと直接連通するようにすることを提案する。言い換えれば、中央空洞と同じ深さの従来の渦流チャネルの深さが、この場合、中央内部ダクトに合流するところまで軸方向下方に延長されて、深くなっていると考えることができる。
【0014】
本発明は、次のように定義することもできる。すなわち、渦流チャネルは、中央内部ダクトの軸方向延長部に部分的に延びており、中央内部ダクトから外壁まで延びる軸方向の流体通路を画定している。
【0015】
有利には、渦流チャネルは、中央空洞内に出口を備え、中央内部ダクトと軸方向に連通しているとすることができる。
【0016】
本発明に係る有利な実施形態によれば、中央内部ダクトは、円錐台形部分を備え、渦流チャネルは、軸Xに対して傾斜した窓を介して円錐台形部分と直接連通しているとすることができる。
【0017】
これらの傾斜窓を実現するために、本発明に係る成形アセンブリとして、中央内部ダクトを形成するための第1ピンと、複数の渦流チャネルを形成するための複数の第2ピンと、を備え、第1ピンと第2ピンは、相対的な軸方向移動によって相互に円錐面同士が接触して傾斜窓を形成するように意図された円錐面を有する成形アセンブリを用いることができる。
【0018】
円錐面同士の接触により、離型時にピンのエッジが摩擦するのを防ぐことができる。当然、円錐面同士の接触により、ピン同士の摺動接触も防ぐことができる。
【0019】
本発明に係る他の形態によれば、それぞれの渦流チャネルは、外壁から底部まで延びる2つの主壁を備え、底部は、中央内部ダクトと軸方向に同じ高さレベルに位置し、窓を介して中央内部ダクトと連通しており、2つの主壁は、半径方向に中央空洞に向かうのに伴って近づくことにより、各主壁の間に角度が付けられているとすることができる。
【0020】
有利には、中央空洞は、中央内部ダクトの軸方向下流に位置するストッパーによって、窓から軸方向に分離されているとすることができる。
【0021】
寸法面に関しては、渦流チャネルの軸方向の深さは、中央空洞の軸方向の深さの3~10倍、有利には5~10倍の大きさであるとすることができる。また、窓の軸方向の高さは、渦流チャネルの軸方向の深さの約半分に相当するとすることもできる。
【0022】
また、本発明は、流体製品吐出装置であって、流体製品容器に取り付けられたポンプまたはバルブなどの吐出部材と、吐出部材に取り付けられた上記のスプレーヘッドと、を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明によって提供される成形および離型機能以外にも、例えば、標準ヘッドに比べてスプレー角度の開きが少なくまたは狭くなるなど、他の利点も見られる。
【0024】
鼻腔への塗布では、鼻腔のかなり奥に位置する嗅覚領域に、より良い沈着が得られる。実際、スプレーがより軸方向に沿って噴射されるので、鼻の奥深くまで浸透する。
【0025】
さらに、流れが軸の中心に寄っており、半径方向のバッフルがないため、流体負荷損失が減少し、流量が向上し、より低い供給圧力でも少なくとも同等のスプレー品質が得られる。したがって、より低い圧力を供給するポンプを使用することができる。既知の標準化された渦流チャンバのプロファイルを維持しながら、スプレー品質も向上する。
【0026】
スプレーに関しては、ポンプ圧力が低いほど液滴のサイズがより均一になるので、作動速度と力が低くても、スプレーの品質は少なくとも同等になる。
【0027】
そして、負荷損失が減少することで投与量の変動が減少し、投与量の安定性が向上することも確認されている。
【0028】
本発明に係るスプレーヘッドは、鼻用スプレーとして有利に適用されるが、他の医薬品分野や、化粧品や香水などの他の分野でも使用することができる。
【0029】
本発明の本質は、軸方向中央ハウジングから渦流チャネルを通って渦流チャンバの周辺まで流体製品を軸方向に移動させることにある。
【0030】
図示の例では、中心空洞に近い渦流チャネルに針を軸方向に導入すれば、この針は軸方向から外れることなく中央内部ダクトに入る。中央内部ダクトと渦流チャネルの間に、傾斜して配置された直結の接続窓の形成により、この軸方向の連通が可能になる。
【0031】
円錐面同士を接触させる成形アセンブリにより、このような斜めまたは傾斜した窓を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下、非限定的な例として、本発明に係る実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を十分に説明する。
図1】本発明の一実施形態に係るスプレーヘッドを組み込んだ流体製品吐出装置の断面図である。
図2図1に示すスプレーヘッドの拡大図である。
図3図2に示すスプレーヘッドの上部をさらに拡大した図である。
図4図1図3に示すスプレーヘッドのスプレーノズルの上部を拡大した図である。
図5図4に類似した図であり、一部が切り取られている図である。
図6】本発明に係るスプレーヘッドのスプレーノズルの軸方向上面図である。
図7】本発明に係るスプレーヘッド内の流体容積を表す図である。
図8】本発明に係るスプレーヘッドのスプレーノズルを成形することを可能にする成形アセンブリを示す概略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、ポンプまたはバルブであり得る吐出部材Dが取り付けられた流体製品容器Rを備えた流体製品吐出装置が示されている。吐出装置はまた、吐出部材Dを流体製品容器R上にしっかりと密封して保持する固定部材Fも備えている。
【0034】
この固定部材Fは、例えば、容器Rのねじ付きネック部にねじ込むことができる。他の固定方法も可能である。
【0035】
吐出部材Dは、戻しバネに抗して軸方向に往復動可能なバルブロッドSを備える。吐出部材Dで加圧された流体製品は、このバルブロッドSを通じて排出される。バルブロッドSの自由端には、スプレーヘッドTが取り付けられている。
【0036】
このスプレーヘッドは、バルブロッドSから供給される流体製品をスプレー中央開口部132に搬送して、そこで流体製品を微細な液滴のスプレーの形で吐出することを目的としている。スプレーヘッドTは、バルブロッドSを動かすための押しボタンとしても機能する。
【0037】
このデザインは、医薬品分野における液体製品吐出装置の従来通りのものであるが、化粧品、香水、さらには食品産業にも使用されている。
【0038】
図2では、スプレーヘッドTが鼻腔への適用のために設計されており、鼻の鼻孔から鼻腔内に流体製品をスプレーできることを明確に示していることが分かる。この特定の用途は、本発明を制限するものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の用途向けに設計された他のスプレーヘッドの形状を想定することができる。
【0039】
スプレーヘッドTは、ヘッド本体1を備え、ヘッド本体1は、適切なプラスチック材料を用いた射出成形によって一体に製造することができる。
【0040】
ヘッド本体1は、軸方向シース11を備え、軸方向シース11は、下端に接続スリーブ111が形成され、上端が先端部12により延長されており、先端部12には、中央スプレー開口部132により穿孔されたディスク13が形成されている。
【0041】
図1に示すようにスプレーヘッドTは、バルブロッドSの自由端の周囲に接続スリーブ111が密封嵌合することにより、吐出部材Dに取り付けられている。
【0042】
シース11と先端部12は、挿入開口部101と、実質的に円筒形状である内壁102と、実質的に平坦な上部内壁103とを画定するハウジング10の内側を規定する。
【0043】
図3では、平坦な内壁103が、先端部12を閉じるディスク13の下面を形成していることが分かる。ディスク13の上面は、スプレー開口部132を中心とする拡散コーン131を形成している。
【0044】
このようにハウジング10は、比較的簡単な構成、つまり長手方向軸Xを中心とする実質的に管状の形状を有し、下端が開口しており、上端が閉じていて、その閉じた上端にスプレー開口部132が設けられている。
【0045】
ヘッド本体1には、シース11と先端部12との接合部から下方に延びる外側ケーシング14も形成されている。この外側ケーシング14は、ヘッド本体1を鼻孔内に挿入しやすくするために、円錐台形状を有することができる。
【0046】
外側ケーシング14の下端は、押しボタンとして機能する環状フランジ15を通じて延長されている。ユーザーは、人差し指と中指を使って環状フランジ15を押してバルブロッドSを押し下げることによって、吐出装置を作動させることができる。
【0047】
さらに、ヘッド本体1は、環状フランジ15から下方に延びるスカート16を備える。このスカート16は、技術的なガイド機能と、バルブロッドSを外から見えないように隠す美観機能とを備えている。
【0048】
スプレーヘッドTは、スプレーノズル2も備えており、これも適切なプラスチック材料を用いた射出成形によって一体に製造することができる。
【0049】
スプレーノズル2は、軸Xを中心として、実質的に管状の形状を有し、挿入開口部101を介してハウジング10内に軸方向に係合可能になっている。そして、スプレーノズル2は、ヘッド本体1の挿入開口部101内で開口する入口部201を備えた中央内部ダクト20を内部に画定する管状本体21を形成している。
【0050】
中央内部ダクト20は、管状本体21の内側を軸方向に閉じるストッパー22まで延びている。外側では、スプレーノズル2は、入口部201の反対側に外壁23を形成している。外壁23は、スプレー開口部132を中心とする中央空洞232を画定している。
【0051】
この中央空洞232と内壁103とが一緒になって、スプレー中央開口部132を軸方向に沿った中心軸とする渦流チャンバを画定する。
【0052】
中央空洞232は、有利には、平坦な底部と、底部を外壁23に接続する複数の側壁セグメントにより画定される。外壁23はまた、複数の渦流チャネル24を形成しており、それぞれの渦流チャネル24は、有利には、2つの側壁セグメント間の中央空洞232に接線方向に開口を有している。
【0053】
このことは、図4を見れば明確に確認できる。接線チャネルによって供給される中央チャンバで形成される渦流システムは、完全に従来の設計と同じである。
【0054】
本発明によれば、それぞれの渦流チャネル24は、中央空洞232の下に、ストッパー22の周囲を、さらにはストッパー22の下方まで軸方向に延びて、中央内部ダクト20に達する。より具体的には、渦流チャネル24は、窓25を介して中央内部ダクト20の円錐台形部分203と直接連通している。
【0055】
円錐台形部分203が正確に円錐台形である場合、窓25は、スプレーノズル2の長手方向軸Xに対して傾斜した状態で延設されている。窓25は、底部が広く、上部が制限された台形の形状をしていることに留意されたい。
【0056】
図4図5を参照すると、各渦流チャネル24は、2つの主壁241、242、有利には平坦壁を備え、その主壁23から下方にストッパー22の高さレベルに位置する底部243まで軸方向に延びていることが分かる。
【0057】
渦流チャネル24は、2つの主壁241、242の間の軸方向の接合部を形成する出口壁244も形成している。
【0058】
これらの2つの主壁241、242は、中央空洞232および窓25に向かって互いに近づくように、角度をもって延設されていることにも留意されたい。出口壁244は、中央空洞232から窓25まで軸方向に延びる形状とすることができる。
【0059】
図4図6から、各渦流チャネル24が中央空洞232内に出口245を画定し、これらの出口245が傾斜窓25の上方であり軸方向に延びる出口壁244の上方に形成されていることが分かる。
【0060】
したがって、図6から具体的に、渦流チャネル24の出口245または出口壁244が、傾斜窓25を介して中央内部ダクト20と軸方向に直接連通していることが分かる。
【0061】
中央空洞232は、出口245または出口壁244が入り込んでいるため、完全な円形ではないことに留意されたい。
【0062】
また、中央空洞232の底部は、出口壁244との接合部の位置において、傾斜窓25を通って軸方向に中央内部ダクト20内に至る外縁部を画定しているといえる。このように出口245は、中央内部ダクト20の軸方向上方に位置している。
【0063】
傾斜窓25の形成は、本発明の一つの好ましい実施形態に過ぎないことに留意する必要がある。なぜなら、完全に円筒形の内部ダクトと面一に接触する渦流チャネル24とともに、完全に軸方向と平行な窓を製造することも可能だからである。
【0064】
傾斜窓25の実装は、軸方向の連通がより大きくなり、スプレーノズル2の成形が容易になるので、特に有利である。
【0065】
スプレーノズル2の寸法に関し、渦流チャネル24の軸方向の深さが中央空洞232の軸方向の深さよりもかなり大きく、約3~10倍、有利には5~10倍であるといえる。また、窓25の軸方向の高さが渦流チャネル24の軸方向の深さの約半分に相当することにも留意されたい。出口壁244の高さは、窓25の高さにほぼ一致する。中央空洞232の直径は、中央内部ダクト20の円筒形部分202の直径の大きさにほぼ一致する。
【0066】
図7は、本発明に係るスプレーヘッドT内で流体製品が占めることができる容積を表す図である。
【0067】
ロッド20Fは、中央内部ダクト20の内部容積を表す。この容積20Fは、3つの渦流チャネル24を表す3つの容積24Fと軸方向に直接連通している。これらの容積24Fは、実質的に三つ又の断面スライスの形で表される。
【0068】
容積20Fは、ストッパー22の存在により、渦流チャンバ232の容積に相当する容積232Fから分離されている。渦流チャネル24に対応する容積24Fは、容積232Fと連通して、一種の螺旋形を形成する。
【0069】
そして、容積132Fは、スプレー中央開口部132の容積に相当する。また、流体製品が、容積20Fと容積232Fとの周囲に広がる各容積24Fを介して容積20Fと容積232Fとの間を完全に軸方向に移動することが分かる。
【0070】
図8は、スプレーノズル2を成形することを可能にする成形アセンブリを示す概略垂直部分断面図である。この成形アセンブリは、軸方向内部ダクト20の形成を目的とした第1ピンB1を備える。
【0071】
同図に示すようにピンB1は、円筒形部分B11を備え、円筒形部分B11は、円錐台形部分B12を介して終端している。その円錐形状により、円錐台形部分B12は円錐壁B13を有する。
【0072】
一方、成形アセンブリは、接線方向の複数の渦流チャネル24を形成するための複数の第2ピンB2を備えている。これらのピンB2のそれぞれは、円錐面B22を有し、成形時に第1ピンB1の表面B13と円錐面同士で接触する。
【0073】
この成形アセンブリには、複数の利点がある。
【0074】
まず、2つの表面間のせん断滑り接触よりも円錐面同士の接触の方が作り易いことがよく知られている。次に、この円錐面同士の接触により、中央内部ダクト20と各渦流チャネル24との間の軸方向の連通を増加させる傾斜窓25を生成することが可能になる。
【0075】
この実施形態は鼻腔用であり、ハウジング10と中央内部ダクト20は、かなりの長さを有する。ハウジング10とダクト20の長さを短縮した、あるいは大幅に短縮した他の実施形態も十分に考えられる。
【0076】
一方、本発明を説明するために使用された実施形態は、3つの渦流チャネルを含むが、この数は2つに減らすことも、逆に4つに増やすことも、4つ以上の数にすることもできる。
【0077】
本発明により、中央ダクトと渦流システムとを備え、中央ダクトと渦流システムとの間に直接の軸方向供給を行うスプレーヘッドを実現することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】