(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】接触機構、接触機構を有する電気部品、及び、電気デバイス
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241212BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20241212BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20241212BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01G2/02 101E
H01G4/228 J
H01G4/40 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534205
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2022084754
(87)【国際公開番号】W WO2023104867
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132667.2
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランボー, ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス, カール
【テーマコード(参考)】
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
5E082AA20
5E082AB04
5E082BB02
5E082BB05
5E082BC40
5E082DD11
5E082JJ04
5E082JJ09
5E082JJ25
5H770AA21
5H770BA01
5H770DA03
5H770QA06
5H770QA13
5H770QA22
5H770QA27
5H770QA33
(57)【要約】
接触機構、接触機構を有する電気部品、及び、電気デバイス
第1のガイドセクション(11)及び第1の接触セクション(12)を有する第1の接触要素(10)と、第2のガイドセクション(21)及び第2の接触セクション(22)を有する第2の接触要素(20)と、を備える電気部品用の接触機構(1)であって、前記第1及び第2のガイドセクションは、垂直方向(91)において重なり合い、オーバーラップし、前記垂直方向に対して垂直な長手方向(92)に沿って延び、前記第1の接触セクションは、長手方向において前記第1のガイドセクション上へと続き、2つの前記接触セクションは、前記長手方向及び前記垂直方向に対してそれぞれ垂直な横断方向(93)に沿って、前記第1及び第2のガイドセクションの隣に対称的に配置されている、接触機構が提示される。
更に、接触機構(1)を有する電気部品(100)と、電気デバイス(1000)と、が提示される。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品用の接触機構(1)であって、
第1のガイドセクション(11)及び第1の接触セクション(12)を有する第1の接触要素(10)と、
第2のガイドセクション(21)及び第2の接触セクション(22)を有する第2の接触要素(20)と、
を備え、
前記第1及び第2のガイドセクションは、垂直方向(91)において重なり合い、オーバーラップし、前記垂直方向に対して垂直な長手方向(92)に沿って延び、
前記第1の接触セクションは、長手方向において前記第1のガイドセクション上へと続き、
2つの前記接触セクションは、前記長手方向及び前記垂直方向に対してそれぞれ垂直な横断方向(93)に沿って、前記第1及び第2のガイドセクションの隣に対称的に配置されている、接触機構。
【請求項2】
前記第1の接触セクション及び前記第2の接触セクションの各々は、溶接ゾーン(13,23)を有する、請求項1に記載の接触機構。
【請求項3】
前記第1の接触セクションの前記溶接ゾーンは第1の面積を有し、前記第2の接触セクションの前記溶接ゾーンは全体として第2の面積を有し、前記第2の面積の前記第1の面積との相違は30%未満である、請求項2に記載の接触機構。
【請求項4】
前記第1の接触要素は第1の平面内で平坦に形成されており、前記第2の接触要素は前記第1の平面に対して平行な第2の平面内で平坦に形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項5】
前記第1のガイドセクションは第1の平面内で平坦に形成されており、前記第2のガイドセクションは前記第1の平面に対して平行な第2の平面内で平坦に形成されており、前記第1及び第2の接触セクションは、前記第1の平面又は前記第2の平面内で平坦に形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項6】
前記第1及び第2の接触要素は金属シートを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項7】
前記第1のガイドセクション及び/又は前記第2のガイドセクションは、折り畳まれた金属シートを有する、請求項6に記載の接触機構。
【請求項8】
前記金属シートは銅を含む、請求項6に記載の接触機構。
【請求項9】
前記第1の接触要素は前記第1のガイドセクション内に、及び/又は、前記第2の接触要素は前記第2のガイドセクション内に、コーティングを有する、請求項6に記載の接触機構。
【請求項10】
前記第1及び第2の接触セクションには、少なくとも部分的にコーティングがない、請求項6に記載の接触機構。
【請求項11】
前記第1の接触要素は、前記第1のガイドセクションと前記第1の接触セクションとの間に、移行セクション(14)を有し、当該移行セクションは、前記第1のガイドセクションを前記第1の接触セクションに接続すると共に、前記第1のガイドセクションよりも、かつ前記第1の接触セクションよりも、小さな通電容量を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項12】
前記第1のガイドセクションと前記第2のガイドセクションとの間には、絶縁要素(30)が配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項13】
前記絶縁要素は電気絶縁プラスチックフィルムにより形成される、請求項12に記載の接触機構。
【請求項14】
前記絶縁要素はU字形のプラスチック部品によって形成され、当該部品は、前記第1及び第2のガイドセクションの間で前記横断方向の両側で突出すると共に、前記第1及び/又は第2のガイドセクションの間で垂直方向に延びる、請求項12に記載の接触機構。
【請求項15】
前記絶縁要素は、前記第1及び第2のガイドセクションと直接的に機械的に接触している、請求項12に記載の接触機構。
【請求項16】
前記接触機構は5nH以下のインダクタンスを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか1項に記載の接触機構(1)を少なくとも1つ有する、電気部品(100)。
【請求項18】
前記電気部品は少なくとも1つのコンデンサ及び/又は1つのフィルタ素子を有する、請求項17に記載の接触機構。
【請求項19】
電気デバイス(1000)であって、
少なくとも1つの、請求項17に記載の電気部品(100)と、
溶接接続によって前記電気部品の前記少なくとも1つの接触機構(1)の前記第1の接触セクション(12)及び前記第2の接触セクション(22)に機械的及び電気的に接続された、電気接続点(201)を有する少なくとも1つの別の電気部品(200)と、
を有する電気デバイス(1000)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電気部品と前記少なくとも1つの別の電気部品は、共通のキャリヤ(300)の上に取り付けられている、請求項19に記載の電気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
接触機構、接触機構を有する電気部品、及び、電気デバイスが提示される。
【背景技術】
【0002】
現代の低インダクタンス半導体モジュールの、例えば、例えばバスバー、EMIフィルタ(EMI:電磁干渉)若しくはこれらの組み合わせのような、中間回路コンデンサ又は他の受動部品への接続は、これまで、通常、典型的には15nHを超える範囲の設計起因の見かけのインダクタンス及び比較的高い見かけの抵抗を有する、並列に引かれたいわゆる接続ラグ又はねじ接続を有するバスバーを介して行われてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、電気部品用の接触機構を提示することである。特定の実施形態の更なる課題は、接触機構を有する電気部品及び電気デバイスを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題は、独立請求項に記載の主題によって解決される。当該主題の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項において述べられ、更に以下の記載及び図面から明らかになる。
【0005】
一実施形態によれば、接触機構は、第1及び第2の接触要素を有する。更なる実施形態によれば、電気部品は、そのような接触機構を有する。接触機構は、電気部品の電気的な接触のために、すなわち電気部品を別の部品に電気的に接続するために、意図され適合されている。更に、接触機構を介して電気部品の機械的な固定が達成されることも可能である。電気部品は、更に1つ又は複数の接触機構を備えることができ、当該接触機構は、好ましくは同様に設計されることができ、それを介して電気部品が1つ又は複数の別の電気部品に接続され得る。
【0006】
更なる実施形態によれば、接触要素の各々は、ガイドセクションと、少なくとも1つの接触セクションと、を有する。少なくとも1つの接触セクションを介して、接触要素は、外部の接続点、特に別の部品の電気的な接続点に、機械的及び導電的に接続され得る。接触要素の各々の少なくとも1つの接触セクションは、特に、電気部品のハウジングの外側に配置され得る。ガイドセクションを介して、接触要素の各々の少なくとも1つの接触セクションは、電気部品の1つ又は複数の更なる構成要素に接続され得る。接触要素の各々のガイドセクションは、特に、少なくとも部分的に電気部品のハウジングの外側に配置され得る。
【0007】
更なる実施形態によれば、第1の接触要素は第1のガイドセクションを有し、第2の接触要素は第2のガイドセクションを有する。更に、第1の接触要素は、第1の接触セクションを有する。特に好ましくは、第2の接触要素は2つの第2の接触セクションを有する。
【0008】
電気部品は、例えば、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は1つのフィルタ素子を有し得るか、あるいは、それらであり得る。例えば、コンデンサは、フィルム技術、アルミニウム技術若しくはセラミック技術、又は、例えばアルミニウム/フィルム技術のようなハイブリッド技術に基づく、DCリンクコンデンサとも称され得る中間回路コンデンサであり得る。フィルタ素子は、例えばEMIフィルタ、又は、少なくともフィルタの部品であり得る。更に、例えばバスバー上に組み込まれた又はバスバーに取り付けられた干渉抑制部品、及び、他の受動素子も可能である。
【0009】
更なる実施形態によれば、電気デバイスは、接触機構を有する電気部品を有する。特に、電気デバイスは、接触機構を有する電気部品が電気的に接続される更なる電気部品を有し得る。したがって、電気デバイスは、少なくとも1つの電気部品及び少なくとも1つの別の電気部品を有することができ、別の電気部品は、電気部品の少なくとも1つの接触機構の第1の接触セクション及び第2の接触セクションに機械的及び電気的に接続された接続点を有する。更に、少なくとも1つの電気部品及び少なくとも1つの別の電気部品は、例えばヒートシンクのような共通のキャリヤ上に取り付けられ得る。
【0010】
前述の及び以下の説明は、接触機構、接触機構を有する電気部品及び電気部品を有する電気デバイスに、同様に関連する。
【0011】
更なる実施形態によれば、第1及び第2の接触要素は、垂直方向において互いに重なり合って配置されている。これは、特に、第1及び第2のガイドセクションが、垂直方向において互いに重なり合い、オーバーラップすることを意味し得る。接触機構を垂直方向に沿って見ると、接触要素のうちの1つは、他の接触要素の下に配置されている。換言すれば、このように垂直方向に沿って見ると、2つのガイドセクションのうちの一方は、他方のガイドセクションの下に配置されている。特に、ガイドセクションのうちの一方は、接触機構を垂直方向に沿って見たときに、他方のガイドセクションを、少なくとも部分的に又は完全にさえ覆い得る。
【0012】
第1の接触セクションは、特に好ましくは、垂直方向に対して垂直な長手方向に沿って、第1のガイドセクション上へと続き得る。このために、第1の接触セクションは、直接的に第1のガイドセクションに接続され得る。代替的に、例えば、第1のガイドセクションと第1の接触セクションとの間に、移行セクションが存在し得る。したがって、第1のガイドセクション及びそれに接続された第1の接触セクションの空間的配置は、長手方向を定義し得る。長手方向は、例えば、接触機構が突出する、電気部品のハウジングのハウジング部分に対して垂直であり得る。
【0013】
更なる実施形態によれば、2つの第2の接触セクションは、長手方向及び垂直方向に対してそれぞれ垂直な横断方向に沿って、第1及び第2のガイドセクションの隣に配置されている。特に好ましくは、2つの第2の接触セクションは、対称的に、第1及び第2のガイドセクションの隣に配置され得る。換言すれば、横断方向に沿って、2つの第2の接触セクションのうちの一方が第2のガイドセクションの一方の側に配置され、2つの第2の接触セクションのうちの他方が第2のガイドセクションの他方の側に配置されている。長手方向及び垂直方向において、2つの第2の接触セクションの位置は、対称的な配置においては一致し得る。第2の接触セクションは、好ましくは直接的に第2のガイドセクションに接続され得る。
【0014】
第2の接触要素は、好ましくは、長手方向において第1の接触要素よりも小さな長さを有することができ、当該長さは、特に好ましくは、接触機構が突出するハウジングのハウジングセクションの外面から測定される。これはまた、第1の接触セクションが、2つの第2の接触セクションよりも、長手方向において前記外面から離れていることを意味し得る。
【0015】
更なる実施形態によれば、第1及び第2の接触要素は、溶接によって、別の部品の電気接続点に、導電的及び機械的に接続可能である。このために、接触セクション、すなわち第1の接触セクション及び第2の接触セクションの各々は、それぞれ1つの溶接ゾーンを有する。これは、特に、接触機構、すなわち第1及び第2の接触要素が、ねじ接触のための接触点を有さないことをも意味し得る。
【0016】
特に、溶接はレーザ溶接であり得る。ここで、溶接された接続部、すなわち溶接部位は、接続点と直接接触するように配置された接触要素、特に溶接ゾーンの領域が、レーザビームによって少なくとも部分的に溶融されることにより、レーザ溶接プロセスによって生成される。例えば固体レーザ又はガスレーザによって生成されるレーザ溶接プロセスのレーザビームは、好ましくは、狭く深い溶接部位及び高い溶接速度を可能にする集中熱源を提供し得る。好ましくは、例えば、1 MW/cm2のオーダーの高い出力密度を使用することができ、これは、小さな熱影響ゾーン並びに高い加熱速度及び冷却速度をもたらす。レーザビームのスポットサイズは、例えば100μmのオーダー又はそれより小さくさえすることができる。溶接時間は、好ましくは0.1秒の領域であり得る。溶け込み深さは、典型的には提供される出力及び出力密度に比例するが、焦点の位置にも依存し得る。通常、溶け込み深さは、レーザ源に最も近い表面の僅かに下に焦点が位置する場合に、最大化され得る。レーザ溶接プロセスによって互いに直接的に接合されるべき接触要素に応じて、特にそれらのそれぞれの寸法及び材料に応じて、連続レーザビーム又はパルスレーザビームが使用され得る。レーザパルスは、例えばミリ秒のオーダーの長さを有し得る。
【0017】
例えば、レーザ溶接プロセスによって、点状の、直線状の又は特に好ましくは鎌状の、溶接された接続部の形態の溶接部位が生成され得る。これは、レーザビームが適用される側から平面視した場合に、溶接部位が、C、鎌又は三日月に類似した形状を有し得ることを意味する。換言すれば、溶接部位は、少なくとも部分的に円形又は楕円形の形状を有する弧の形状を有し得る。更に、例えば2つの互いに噛み合う鎌によって形成される二重の鎌の形態の溶接部位が、生成され得る。
【0018】
レーザ溶接プロセスに代えて、他の溶接方法も可能である。例えば、抵抗溶接も可能である。
【0019】
第1及び第2の接触セクションは、それらが溶接ゾーンだけでなく押さえゾーンも有するように、設計され得る。押さえゾーンは、特に、それを介して、適切な押さえ部材若しくは押さえ工具により、接触セクションが、当該接触セクションに溶接されるべき別の部品の外部の接続点に押し付けられ得る領域、であり得る。
【0020】
更なる実施形態によれば、第1の接触セクションの溶接ゾーンは、第1の面積を有する。第2の接触セクションの溶接ゾーンは、全体として第2の面積を有する。特に好ましくは、第1及び第2の面積は、等しいか又は少なくとも実質的に等しい。これは、特に、第2の面積が、第1の面積から最大30%又は最大20%又は最大10%、相違することを意味し得る。F1を第1の面積、F2を第2の面積とすると、前述の相違dFは、特に|F1-F2|/F1≦dF(=0.3又は0.2又は0.1)を意味し得る。更に、以下の式が当てはまることによって、第2の接触セクションが、全体として、第1の接触セクションの表面積f1と同程度に等しいか又は実質的に等しい表面積f2を有することも可能である:|f1-f2|/f1≦df(dF=0.3又は0.2又は0.1)
【0021】
更なる実施形態によれば、第1の接触要素は、第1の平面内で平坦に形成されている。代替的に又は付加的に、第2の接触要素も、第1の平面に対して平行な第2の平面内で平坦に形成され得る。換言すれば、両方の接触要素は、それぞれ平坦に形成され、互いに対して平行に配置され得る。更に、第1のガイドセクションが第1の平面内で平坦に形成され、第2のガイドセクションが第1の平面に対して平行な第2の平面内で平坦に形成されることも可能であり、その際、第1の接触セクションが第2の平面内で平坦に、又は、第2の接触セクションが第1の平面内で平坦に、形成され得る。これは、特に、接触セクションを他の接触要素の平面内に入れるために、接触要素のうちの1つが、少なくとも1つのビード又はエンボス加工部、したがって少なくとも1つの段差を有することを意味し得る。
【0022】
特に、第1及び第2の接触要素は、それぞれ、1つ又は複数の金属を含む金属シートを有し得る。金属シートは、例えば、銅若しくは銅合金を含むか又はそれらから成り得る。更に、第1の接触要素は少なくとも第1のガイドセクション内に、及び/又は、第2の接触要素は第2のガイドセクション内に、コーティングを有することができ、当該コーティングは、例えばスズ、銀及び金から選択される1つ又は複数の金属を含み得る。更に、接触要素の接触セクションも、部分的にコーティングを有することができ、特に好ましくは、第1及び第2の接触要素の接触セクションの溶接ゾーンには、それぞれコーティングがない。
【0023】
更に、第1のガイドセクション及び/又は第2のガイドセクションは、折り畳まれた金属シートを有し得る。二重化とも称され得るこのような折り畳みにより、ガイドセクションの通電容量は、有利に増大され得る。例えば、第1の接触要素は、第1のガイドセクションと第1の接触セクションとの間に、移行セクションを有することができ、当該移行セクションは、第1のガイドセクションを第1の接触セクションに接続すると共に、第1のガイドセクション及び第1の接触セクションよりも、小さな通電容量を有する。移行セクションは、例えば、長手方向に対して垂直な切断面において、それぞれ第1のガイドセクション及び第1の接触セクションよりも小さな断面積を有し得る。
【0024】
更なる実施形態によれば、第1のガイドセクションと第2のガイドセクションとの間には、絶縁要素が配置されている。絶縁要素は、特に、垂直方向において第1のガイドセクションと第2のガイドセクションとの間に位置し得る。換言すれば、第1のガイドセクション、絶縁要素及び第2のガイドセクションは、垂直方向においてこの順で上下に重なり合って配置され得る。
【0025】
絶縁要素は、特に好ましくは、第1及び第2のガイドセクションと直接的な機械的接触状態にあり得る。絶縁要素は、例えば、例えばポリイミド及び/又はポリプロピレンを含むか又はそれから成る電気絶縁プラスチックフィルムを含むか又はそれから形成され得る。フィルムは、特に平坦に形成され得る。
【0026】
更に、絶縁要素は、横断方向の両側において第1及び第2のガイドセクションを越えて突出することができ、したがって、ガイドセクションよりも幅を広くすることができる。更に、絶縁要素は、長手方向において第2の接触要素を越えて突出することができ、したがって、第2の接触要素よりも長くすることができる。
【0027】
更に、絶縁要素が、U字形のプラスチック部品、すなわち第1及び第2のガイドセクションの間に配置されており、横断方向における両側でガイドセクションを越えて突出すると共に、第1及び/又は第2のガイドセクションの隣で垂直方向の両側に延びるU字形のプラスチック部品によって形成されることも、可能である。その場合、絶縁要素は、垂直方向において問題のガイドセクションと同じ高さで終端することができ、又は、これを垂直方向において突出することさえできる。
【0028】
更なる実施形態によれば、接触機構は5nH以下のインダクタンスを有する。これは、特に、第1及び第2の接触要素が第1及び第2のガイドセクションとオーバーラップし、特に好ましくは、実質的に接触セクションのみがオーバーラップしないことによって達成され得る。
【0029】
更なる利点,有利な実施形態及び発展形態が、以下において図面と関連して記載される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】一実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図1B】一実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図1C】一実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図1D】一実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図2A】更なる実施例による接触機構の概略図である。
【
図2B】更なる実施例による接触機構の概略図である。
【
図3A】更なる実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図3B】更なる実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図3C】更なる実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図4A】更なる実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図4B】更なる実施例による電気部品の接触機構の概略図である。
【
図5A】更なる実施例による電気部品の概略図である。
【
図5B】更なる実施例による電気部品の概略図である。
【
図5C】更なる実施例による電気部品の概略図である。
【
図6A】更なる実施例による電気デバイスの概略図である。
【
図6B】更なる実施例による電気デバイスの概略図である。
【
図6C】更なる実施例による電気デバイスの概略図である。
【
図6D】更なる実施例による電気デバイスの概略図である。
【
図6E】更なる実施例による電気デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施例及び図面において、同一の、同様の、又は、同等に機能する要素には、それぞれ同一の参照符号が付されている可能性がある。図示された要素及びそれらの互いの大きさの比率は縮尺どおりではなく、むしろ、例えば層、部品、部材及び領域のような個々の要素は、より良好な図示の可能性及び/又はより良好な理解のために、誇張して大きく示されている可能性がある。
【0032】
図1A~1Dには、電気部品100の接触機構1の実施例が、複数のビューで示されている。図には、これに加え、ビューの方向に応じて、垂直方向91、長手方向92又は横断方向93が示されている。
【0033】
図1A~1Dにおいて部分的にのみ示されている電気部品100は、例えば、少なくとも1つのコンデンサ及び/又は1つのフィルタ素子を有し得るか、あるいは、それらであり得る。例えば、コンデンサは、フィルム技術、アルミニウム技術若しくはセラミック技術、又は、例えばアルミニウム/フィルム技術のようなハイブリッド技術に基づく、中間回路コンデンサであり得る。フィルタ素子は、例えばEMIフィルタ、又は、少なくともフィルタの部品であり得る。更に、バスバー上に組み込まれた又はバスバーに取り付けられた干渉抑制部品、及び、他の受動素子も可能である。
【0034】
接触機構1は、電気部品100の電気的な接触のために、すなわち電気部品1を別の部品に電気的に接続するために、意図され適合されている。別の電気部品へのそのような電気的な接続の例が、
図6A~6Eに関連して以下で説明されている。特に好ましくは、接触機構1を介して電気部品100の機械的な固定が達成されることも可能である。
図1A~1Dにおいて1つの接触機構1のみが示されている場合であっても、電気部品100は、1つ又は複数の接触機構1を有することができ、当該接触機構は、好ましくは同様に形成され得ると共に、当該接触機構を介して、電気部品100が1つ又は複数の別の電気部品と接続され得る。
【0035】
接触機構1は、ハウジング101のハウジングセクションから突出する第1の接触要素10及び第2の接触要素20を有する。
図1Aには、垂直方向から第1の接触要素10を見た接触機構1のビューが示されており、
図1Bには、逆の垂直方向から第2の接触要素20を見た接触機構1のビューが示されている。
図1Cは、長手方向に沿ってハウジングを見た場合の接触機構1のビューを示し、
図1Dは、垂直方向における接触機構1のビューを示す。以下の記載は、
図1A~1Dに同様に関係する。
【0036】
第1の接触要素10は、第1のガイドセクション11と、第1の接触セクション12と、を有する。第2の接触要素20は、第2のガイドセクション21と、2つの第2の接触セクション22と、を有する。接触セクション12,22を介して、接触要素10、20は、外部の接続点、特に別の部品の電気的な接続点に、機械的に及び導電的に接続され得る。このために、接触要素10,20の接触セクション12,22は、図示のように、特に好ましくは、電気部品100のハウジング101の外側に配置されている。それぞれのガイドセクション11,21を介して、接触要素10,20の各々の関連する接触セクション12,22は、例えば、ハウジング101の内側で、電気部品100の1つ又は複数の別の構成要素に接続され得る。接触要素10,20の各々のガイドセクション11,21は、特に好ましくは、図示のように、少なくとも部分的に電気部品100のハウジング101の外側に配置され得る。
【0037】
第1及び第2の接触要素10,20は、垂直方向91において互いに重なり合って配置されており、その結果、特に、第1及び第2のガイドセクション11,21は、垂直方向91において重なり合い、少なくとも部分的にオーバーラップする。特に好ましくは、ガイドセクション11,21の一方は、他方を完全に覆い得る。図示の接触機構1では、第1のガイドセクション11は、垂直方向91に沿って接触機構1を見た
図1Aに示されたビューの方向において、第2のガイドセクション21を完全に覆っている。
【0038】
第1の接触セクション12は、長手方向92に沿って第1のガイドセクション11上へと続き、図示の接触機構1の場合、直接的に第1のガイドセクション11に接続されている。代替的に、例えば
図3A~3Cに関連して説明されるように、第1のガイドセクション11と第1の接触セクション12との間に移行セクションが存在し得る。
【0039】
第1のガイドセクション11及びそれに接続された第1の接触セクション12の空間的な配置により、長手方向92が定義され、当該長手方向は、好ましくは、図示のように、電気部品のハウジングのハウジングセクション、又は、接触機構1が突出するその外面102に対して、垂直であり得る。
【0040】
第2の接触要素20の2つの第2の接触セクション22は、長手方向92及び垂直方向91に対してそれぞれ垂直な横断方向93に沿って、第1及び第2のガイドセクション11,21の隣に配置されており、図示のように、2つの第2の接触セクション22は、特に好ましくは対称的に、第1及び第2のガイドセクション11,21の隣に配置されている。したがって、横断方向93に沿って、2つの第2の接触セクション22のうちの一方は第2のガイドセクション21の一方の側に、2つの第2の接触セクション22のうちの他方は第2のガイドセクション21の他方の側に、それぞれ配置されており、長手方向92及び垂直方向91において、2つの第2の接触セクション22の位置は、図示された対称的な配置の場合、一致する。第2の接触セクション22は、図示のように、好ましくは直接的に第2のガイドセクション21に接続され得る。
【0041】
第2の接触要素20は、電気部品100のハウジング101のハウジングセクションの外面102を起点として、長手方向92において、第1の接触要素10よりも小さな長さを有し、その結果、第1の接触セクション11は、長手方向において、2つの第2の接触セクション22と比較して、外面102からより大きく離れている。
【0042】
接触機構1は、溶接によって別の部品に接続されるよう、意図され適合されている。したがって、接触機構1には、ねじ接続部又はその部品がない。接触要素10,20の接触セクション12,22の各々は、例えば
図6A~6Eに関連して説明したように、溶接プロセスの枠内で少なくとも1つの溶接部位が生成される、それぞれ1つの溶接ゾーン13,23を有する。
【0043】
第1及び第2の接触セクション12,22は、更に、溶接ゾーン13,23だけでなく、押さえゾーン、すなわち、それを介して、適切な押さえ部材若しくは押さえ工具により、接触セクションが、当該接触セクションに溶接されるべき別の部品の外部の接続点に押し付けられ得る領域も、有する。例えば、図示の接触機構1において、押さえゾーンは、溶接ゾーン13,23を取り囲む接触セクション12,22のエッジ領域に、設けられ得る。更に、押さえゾーンは、例えば、マーキングされた溶接ゾーン13,23の内側にも、又は、第2の接触要素20の場合、横断方向93において溶接ゾーン23の間に設けられ得る。
【0044】
第1の接触セクション12の溶接ゾーン13は第1の面積F1を有し、第2の接触セクション22の溶接ゾーン23は全体として第2の面積F2を有する。特に好ましくは、第1の面積F1と第2の面積F2は、等しいか又は少なくとも実質的に等しい。特に、第2の面積F2は、一般的な部分で上述したように、第1の面積F1から最大30%、又は最大20%、又は最大10%、相違し得る。更に、第2の接触セクション22が、全体として、第1の接触セクション12の面積F1に相応する程度に等しいか又は実質的に等しく、したがって、第1の面積F1から最大30%、又は最大20%、又は最大10%相違する表面積F2を有することも可能である。
【0045】
図1C及び1Dにおいて認識可能であるように、第1の接触要素10は、第1の平面内で平坦に形成され、第2の接触要素20は、第1の平面に対して平行な第2の平面内で平坦に形成されており、その結果、両方の接触要素10,20は、それぞれ平坦に形成され、互いに対して平行に配置されている。
【0046】
特に、第1及び第2の接触要素10,20は、それぞれ、1つ又は複数の金属を含む金属シートを備え得る。金属シートは、例えば、銅若しくは銅合金を含むか又はそれらから成り得る。更に、第1の接触要素10は少なくとも第1のガイドセクション1内に、及び/又は、第2の接触要素20は第2のガイドセクション21内に、コーティング(図示せず)を有することができ、当該コーティングは、例えばスズ、銀及び金から選択される1つ又は複数の金属を含み得る。更に、接触要素10,20の接触セクション12,22も、部分的にコーティング(図示せず)を有することができ、特に好ましくは、第1及び第2の接触要素10,20の接触セクション12,22の溶接ゾーン13,23には、それぞれコーティングがない。
【0047】
第1のガイドセクション11と第2のガイドセクション21との間には、更に絶縁要素30が配置されている。絶縁要素30は、特に、垂直方向91において第1及び第2のガイドセクション11,21の間にあることができ、その結果、第1のガイドセクション11、絶縁要素30、及び第2のガイドセクション21は、垂直方向91において、この順で上下に重なり合って配置されている。
【0048】
絶縁要素30は、特に好ましくは、第1及び第2のガイドセクション11,21と直接的に機械的に接触しており、例えば、ポリイミド及び/又はポリプロピレンを含むか又はそれらから成る電気絶縁プラスチックフィルムを、含むか又はそれから形成され得る。フィルムは、特に平坦に形成されることができ、接触要素10,20の間に挿入され得る。漏れ電流のリスクを低減するために、絶縁要素30は、
図1A及び1Bにおいて認識可能であるように、横断方向93の両側で第1及び第2のガイドセクション11,21を越えて突出することができ、したがって、ガイドセクション11,21よりも幅を広くすることができる。更に、
図1Dにおいて認識可能であるように、絶縁要素30は、長手方向92において第2の接触要素20を越えて突出することができ、したがって、第2の接触要素20よりも長くすることができる。第1の接触要素10も同様に、長手方向92において絶縁要素よりも長く、特に、第1の接触セクション12又は少なくとも第1の接触セクション12の溶接ゾーン13は、長手方向において絶縁要素30を越えて突出する。
【0049】
例えば、接触要素10,20は、特定の構成において、それぞれ、垂直方向91において約1mmの厚さを有する銅シートを有することができ、当該銅シートはコーティングを備え、溶接ゾーン13,23は両側にコーティングがなく、したがってコーティングされておらず、それぞれ両側に露出した銅表面を有する。第1の接触セクション12の溶接ゾーン13は、例えば、横断方向93における20mm~28mmの幅及び長手方向92における7mmの長さを有することができ、第2の接触セクション22の溶接ゾーン23の各々は、10mmの幅及び7mmの長さを有することができる。溶接ゾーン13,23を取り囲むエッジ領域は、例えば、それぞれ1mmの幅を有することができる。長手方向92において、第1の接触要素10は、ハウジング101の外面102から計算して、例えば約29mmの長さを有することができ、第2の接触要素20は、約13mmの対応する長さを有することができる。図示された構造により、接触機構1が5nH以下のインダクタンスを有することができ、したがって、従来の接続ラグのインダクタンスと比較してかなり小さな見かけのインダクタンスを有することが、達成され得る。溶接ゾーン13,23を設けること、及び、それによって接触機構1を溶接接続により外部の接続点に接続することが可能となることにより、極めて小さな接触抵抗が達成され得る。
【0050】
図2A及び2Bには、
図1A~1Dに示される接触機構1の変形例を形成する、更なる実施例による接触機構1の概略図が示されている。
図1A~1Dに示される接触機構1と比較して、第1のガイドセクション11が第1の平面内において平坦に形成され、第2のガイドセクション21が第1の平面に対して平行な第2の平面内において平坦に形成される一方、第1の接触セクション12及び第2の接触セクション22が、
図2Aに示されるように第1の平面内においてそれぞれ平坦に形成されているか、又は、
図2Bに示されるように第2の平面内においてそれぞれ平坦に形成されていることが、可能である。このために、対応する接触要素10,20は、第2の接触セクション22を第1の接触要素10の平面内に入れるか、又は、第1の接触セクション12を第2の接触要素20の平面内に入れるために、
図2A及び2Bにおいて認識可能であるように、少なくとも1つのビードまたはエンボス加工部、したがって少なくとも1つの段差を有することができる。第1及び第2の接触セクション12,22を同一の平面内に配置することにより、別の電気部品が、例えば同一の平面内に配置された接続点を用いて形成されることができ、したがって平坦な接触ゾーンを有することができ、これは例えば製造を容易にし得る。
【0051】
図3A~3Cは、更なる実施例による接触機構1の概略図を示す。先の実施例と比較して、
図3A~3Cに示される接触機構1では、第1のガイドセクション11及び第2のガイドセクション21が、それぞれ1つの折り畳まれた金属シートを有する。折り畳まれたガイドセクション11,21は、例えば、ガイドセクション11,21の領域において、製造に使用される平坦な金属シートが、ガイドセクション11,21の後(のち)の幅と比較して2倍の幅を有することにより、製造される。対称的に折り畳むことにより、側縁部は、それらが中央で出会うように向かい合わされる。換言すれば、
図3A~3Cに示される第1及び第2の接触要素10,20のガイドセクション11,21の場合、先の実施例と比較して実質的に2倍の断面積が利用可能であり、その結果、好ましくは図示のように対称であるそのような折り畳み又は二重化により、ガイドセクション11,21の通電容量は有利に増大され得る。特に好ましくは、折り畳まれたガイドセクション11,21が再び折り返される場合、横断方向93に沿ったその幅は、第2の接触セクション22の幅に対応し得る。
【0052】
更に、第1の接触要素10は、第1のガイドセクション11と第1の接触セクション12との間に、移行セクション14を有することができ、当該移行セクションは、第1のガイドセクション11を第1の接触セクション12に接続すると共に、第1のガイドセクション11よりも、かつ第1の接触セクション12よりも、小さな通電容量を有する。移行セクション14は、横断方向93において第1のガイドセクション11よりも小さな幅を、したがって長手方向92に対して垂直な切断面において第1の接触セクション12よりも小さな断面積を、それぞれ有し得る。しかしながら、移行セクション14が長手方向92において非常に小さな長さを有することにより、移行セクション14において不利な熱発生が起こらないことが達成され得る。
【0053】
図4A及び4Bは、更なる実施例による接触機構1の概略図を示しており、当該実施例においては、先の実施例と比較して、絶縁要素30が、フィルムの代わりにU字形のプラスチック部品によって形成される。U字形の絶縁要素30は、例えばポリプロピレンを含むか又はポリプロピレンから成ることができ、上に示したプラスチックフィルムと同様に、第1及び第2のガイドセクション11,21の間に配置され、横断方向93の両側でガイドセクション11,21を越えて突出する。更に、絶縁要素30は、第1のガイドセクション11の両隣で垂直方向91に延びるサイドウェブを有する。その際、絶縁要素30は、垂直方向91においてサイドウェブで、第1のガイドセクション11と同じ高さで終端するか、又は、
図4A及び4Bにおいてに認識可能であるように、垂直方向91において第1のガイドセクション11を越えて突出する。絶縁要素30のこのようなU字形の構成により、特に接触要素10,20の側部において、可能な漏れ電流経路が著しく延長され得る。
【0054】
図1A~4Bに関連して説明された接触機構1の特徴は、全ての組み合わせが図に示されていなくても、互いに組み合わせられ得る。
【0055】
図5A~5Cには、純粋に例示的に、互いに隣接して配置され同様に設計された3つの接触機構1を有する中間回路コンデンサとして設計された、更なる実施例による電気部品100の概略図が示されている。
図5A~5Cに示される電気部品100の実施形態は、限定的に解釈されるべきではない。
【0056】
接触機構1は、上述したように設計することができ、純粋に例示的に、
図4A及び4Bによる構成が示されている。
図5Aには垂直方向に沿った電気部品100の上面のビューが、
図5Bには3次元的なビューが、
図5Cには垂直方向に沿った電気部品100の下面のビューが、それぞれ示されている。ハウジング101内には、接触機構1に接続された1つ又は複数のコンデンサが存在し得る。純粋に例示的に、接触機構1が突出する外面102に対向する外面上に、電気接続ラグが設けられている。ハウジング101の下側に設けられたアイレットを介して、例えばヒートシンクのようなキャリヤ上での電気部品100の固定が行われ得る。接触機構1は、純粋に例示的に、上述したように別の電気部品のための低インダクタンスかつ低抵抗の電気接続を有する、電気部品の出力側を形成する。
【0057】
図6A~6Eに関連して、
図5A及び5Bによる電気部品100並びに共通のキャリヤ300、特にヒートシンク上に配置された別の電気部品200を有する、更なる実施例による電気デバイス1000が示されている。
図6A及び6Bは、電気デバイス1000を3次元的なビュー及び断面図で示し、別の電気部品200は、電気部品100のない状態で
図6Cに示されている。
図6D及び6Eには、溶接接続部が示されている。図示された電気部品100,200は、それらの構造及び機能に関して、純粋に例示的に解釈されるべきであり、限定的に解釈されるべきではない。
【0058】
中間キャリヤ202上に配置された別の電気部品200は、例えば、例えば電動車両において使用されるような、直流電流から交流電流を生成するための半導体モジュールであり得る。したがって、電気デバイス1000によって、例えば、電気モータを駆動するための3相交流が生成され得る。
【0059】
別の電気部品200の各々は、2つの電気接続点201を有する。別の電気部品200の各々の接続点201のうちの一方の上には、接触機構1の第1の接触要素10の第1の接触セクションが配置されており、それぞれ他方の接続点201の上には、第2の接触要素20の第2の接触セクションが配置されている。第1の接触要素10及び第2の接触要素20は、溶接ゾーン内で、溶接によって、電気接続点201に導電的にかつ機械的に接続される。
【0060】
特に好ましくは、一般的な部分に記載されているように、レーザ溶接プロセスが使用される。
図6Dには、例示的に、好ましい鎌状の溶接部位19と、同様に好ましい二重の鎌の形態の溶接部位19と、が示されている。
図6Eには、レーザ溶接によって製造された溶接部位19を通る断面の写真が示されており、破線の水平線は、接続点201と接触要素10若しくは20との間の境界面を示す。更に、溶接部位14を形成する、レーザ溶接によって溶融された部分は、より良好な認識のため、破線によって強調されている。一般的な部分で説明したように、レーザ溶接プロセスによって、溶接部位19の形状及び溶接深さが、容易に調整され得る。これに代えて、溶接部位は点状若しくは直線状であることができ、及び/又は、他の溶接プロセスが使用され得る。
【0061】
プラスとマイナスの接続が互いに隣り合って導かれ、15nHを超える範囲の値を有する見かけのインダクタンスの増加につながる、従来の接続解決策と比較して、上述した実施例による接触機構においては、溶接可能で重ね合わせて導かれる接触要素が使用される。特に、これらはまた、非常に複雑なネジ解決策に取って代わる。電流経路が可能な限り長く重なり合って導かれる、互いに適切に整合された接触要素は、見かけのインダクタンス及び直列抵抗の両方を最小減に低減させ、その場合、インダクタンスは、5nH未満の範囲、例えば約3nHの値を有し得る。そのような極端に低い値は、極端なエッジ急峻度を許容する、新しいいわゆるWBG材料(WBG:「大きなバンドギャップ」)にも適合する。それとは逆に、従来の高い付加的な見かけのインダクタンスは、新しく開発された電気モータに必要とされる電流を制限していた。電気モビリティに特有の新しく開発された電気モータは、従来よりも著しく大きな電流を可能にし、これは、WBG材料をベースとする半導体モジュールによって、それらの極めて小さなESL値により、及び、説明された接触機構との関連で低インダクタンス結合により、可能になる。
【0062】
ここに記載される接触機構の幾何学的形状は、非常に異なる技術(フィルム/アルミニウム/セラミック又はそれらのハイブリッドバージョン)のDCリンクコンデンサ用に、並びに、他の、例えば、集積EMIフィルタ若しくはEMI部材を有するDCリンクコンデンサ、EMIフィルタ部材、接続バスバー等のような受動部品用に、使用可能である。
【0063】
記載されたレーザ溶接プロセスは、接触機構との組み合わせで有利に使用される。なぜなら、部品の上層に少量の熱を導入するのみであり、したがって部品を損傷せず、侵入深さは変えられ得るからである。特に、複雑なネジ接続のためのスペースは、必要とされない。接触点は別の部品の直ぐ上に配置され、溶接のための押さえ工具用に必要な空間は、既に考慮されている。レーザ溶接は、接触抵抗を著しく低減し得ると共に、申し分のない接触点が一瞬のうちに生成されることを可能にし得る。必要に応じて、同じ場所で行われた複数の溶接部位は、著しく低減された加熱及び一の接触面積の下で、極めて大きな電流に対して、最も高い接触信頼性をもたらす。
【0064】
記載された接触機構は、種々の設計の電気部品の、特に新しい様式の低インダクタンス半導体モジュールへの、極めて費用効果が高く最適化された接続を可能にする。オーバーラップする接触要素は、好ましくは、過度の加熱が発生することなく広範囲の電力を伝達することができるように具現されている。
【0065】
接触機構は、有利には、接続に対する全ての機械的及び電気的な要件、特に、例えば、通電容量、耐振動性、引張強度、低インダクタンス/低抵抗の接続、大電流下でも少ない加熱、空隙及び沿面距離の両方のための絶縁強度、並びに、(共)平面性、空隙、接触要素内の付加的な凹部に関する機械的な要件を、満たすことができる。接触要素は、上述したように、また、高さ補償プレスインビードなしで製造することができ、これによりコストが低減され得る。
【0066】
図面に関連して記載された特徴及び実施例は、全ての組み合わせが明示的に記載されていなくても、更なる実施例に従って互いに組み合わせることができる。更に、図面に関連して記載された実施例は、代替的に又は付加的に、一般的な部分の記載による更なる特徴を有することができる。
【0067】
本発明は、実施例に基づく記載によって、これらに限定されない。むしろ、本発明は、全ての新しい特徴、及び、特に特許請求の範囲における全ての特徴の組み合わせを含む全ての特徴の組み合わせを、たとえ当該特徴又は組み合わせ自体が特許請求の範囲又は実施例において明示的に提示されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0068】
1 接触機構
10,20 接触要素
11,21 ガイドセクション
22 接触セクション
13,23 溶接ゾーン
14 移行セクション
19 溶接部位
30 絶縁要素
91 垂直方向
92 長手方向
93 横断方向
100 電気部品
101 ハウジング
102 外面
200 電気部品
201 電気接続点
202 中間キャリヤ
300 キャリヤ
1000 電気デバイス
F1,F2,F3,F4 面積
【国際調査報告】