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特表2024-546252吸収器の温度を制御するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】吸収器の温度を制御するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/18 20060101AFI20241212BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20241212BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20241212BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B01D53/18 130
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
F02C7/22 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534430
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022081652
(87)【国際公開番号】W WO2023122475
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/556,901
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマック、マジェド
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ、パラグ、ピー.
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA08
4D002AA09
4D002AA12
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA07
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA04
4D002GB11
4D020AA03
4D020AA04
4D020AA05
4D020AA06
4D020AA07
4D020BB04
4D020BC01
4D020CB08
4D020CC08
4D020CC10
4D020DA01
4D020DA02
4D020DB06
(57)【要約】
システムは、吸収器を含み、吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器であって、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されている、容器を含む。本システムは、前記該容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプであって、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させるように構成されている、少なくとも1つのヒートパイプも含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
吸収器であって、
溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器であって、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されている、容器、及び
前記該容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプであって、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させるように構成されている、少なくとも1つのヒートパイプ
を含む吸収器
を含む、システム。
【請求項2】
前記吸収器に結合された燃料入口部又は排気出口部を有する燃焼システムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記燃焼システムはガスタービンシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記望ましくないガスは二酸化炭素(CO)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのヒートパイプは、異なる位置で前記容器に結合された複数のヒートパイプを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のヒートパイプの異なる位置は、前記吸収器の温度プロファイルに基づいており、前記複数のヒートパイプは、前記温度プロファイルの不均一性を低減するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのヒートパイプは、蒸発器と、凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に延在する少なくとも1つの流体導管と、前記少なくとも1つのヒートパイプを流れる作動流体とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流体導管は、内側流路と同軸に配置された外側流路を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体導管は、前記蒸発器と前記凝縮器との間に第1の導管部分と第2の導管部分とを有する閉ループ導管を画定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記作動流体は、シクロペンタン(C10)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、又はメチルノナフルオロブチルエーテル(メトキシパーフルオロブタン)とメチルノナフルオロイソブチルエーテル(methyl nonfluoroisobutyl ether)との混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記蒸発器は前記吸収器に結合され、前記凝縮器は前記吸収器から分離されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記蒸発器は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置されている、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置されている、又はそれらの配置が組み合わせられている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記蒸発器は第1の位置で前記吸収器に結合され、前記凝縮器は前記第1の位置とは異なる第2の位置で前記吸収器に結合され、前記少なくとも1つのヒートパイプは、熱を、前記蒸発器を通じて前記第1の位置から、前記凝縮器を通じて前記第2の位置に伝達するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記蒸発器及び前記凝縮器の各々は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置される、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置される、又はそれらの配置が組み合わせられている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記吸収器は、前記内部容積内に配置されたパッキングを含み、前記蒸発器は、前記吸収器を前記ガス入口部から前記ガス出口部まで流れる気体の流れの第1の方向に対して前記パッキングの下流に配置され、前記溶媒は、前記吸収器を前記溶媒入口部から前記溶媒出口部まで流れる溶媒の流れの第2の方向を有し、前記第1の方向及び前記第2の方向は互いに反対である、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
方法であって、
吸収器において、気体からの望ましくない気体を溶媒の中に吸収することであって、前記吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び前記気体と前記溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器を含む、吸収すること、及び
前記容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプを通じて、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させること
を含む、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの位置から熱を移動させることは、少なくとも1つのヒートパイプの蒸発器を通じて前記吸収器から熱を吸収することを含み、前記蒸発器は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置される、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置される、又はそれらの配置が組み合わせられている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記吸収器から分離した凝縮器を通じて前記少なくとも1つのヒートパイプから熱を移動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸収器に結合された凝縮器を通じて前記少なくとも1つのヒートパイプから熱を移動させることを含み、前記凝縮器は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置されている、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置されている、又はそれらの配置が組み合わされている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
システムであって、
燃料供給システムと排気部とを有するガスタービンシステムと、
前記燃料供給システム又は前記排気部に結合された吸収器であって、前記吸収器は、
溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器であって、前記吸収器は、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されており、前記望ましくない気体は二酸化炭素(CO)を含む、容器、及び
前記容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプであって、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させるように構成されている、少なくとも1つのヒートパイプ
を含む、吸収器と
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、ガス(ガス燃料又は排気ガスなど)を処理するように構成された吸収器の温度を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業プラント(発電所など)では、様々なガス(燃料ガス(例えば、天然ガス又は合成ガス)及び/又は燃焼システムの排ガスなど)が消費される又は生成される。燃焼システムには、ガスタービンエンジン、往復ピストンシリンダ式エンジン、炉、ボイラー、又は他の産業機器が含まれている。これらのガスは、1つ又は複数の望ましくないガス(酸性ガス及び/又は排気ガスなど)を含む場合がある。例えば、望ましくないガスとしては、硫化水素(HS)、酸化炭素(二酸化炭素(CO)など)、酸化窒素(二酸化窒素(NO)など)、及び/又は酸化硫黄(二酸化硫黄(SO)など)が挙げられる。従って、燃焼システムの上流の燃料ガスから望ましくないガスを除去すること、及び/又は燃焼システムによって排出される排気ガスから望ましくないガスを除去することなどによって、望ましくないガスが除去されるように、特定のガスを処理することが望ましい。このようなガス処理には、吸収器を使用することができる。吸収器の吸収効率は、吸収器の温度に少なくとも部分的に依存する。例えば、吸収器の温度が高すぎる、及び/又は不均一である場合、吸収器の吸収効率が大幅に低下する恐れがある。したがって、吸収効率が改善されるように、吸収器の温度を制御する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0001259号明細書
【発明の概要】
【0004】
当初の請求された対象の範囲と同等の特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求された実施形態の範囲を限定することを意図するものではなく、これらの実施形態は、対象の可能な形態の簡単な要約を提供することだけを意図するものである。実際、現在特許請求される実施形態は、以下に記載される実施形態と同様の又は異なる様々な形態を包含することができる。
【0005】
特定の実施形態では、システムは、吸収器を含み、吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器であって、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されている、容器を含む。本システムは、前記該容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプであって、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させるように構成されている、少なくとも1つのヒートパイプも含んでいる。
【0006】
特定の実施形態において、方法は、吸収器において、気体からの望ましくない気体を溶媒の中に吸収することを含み、前記吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び前記気体と前記溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器を含んでいる。本方法は、前記容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプを通じて、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させることも含んでいる。
【0007】
特定の実施形態では、システムは、燃料供給システムと排気部とを有するガスタービンシステムと、前記燃料供給システム又は前記排気部に結合された吸収器とを含む。前記吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器を含む。前記吸収器は、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されており、前記望ましくない気体は二酸化炭素(CO)又は硫化水素(HS)を含む。本システムは、前記容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプも含み、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
現在開示されている技術のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の発明を実施するための形態を図面を参照しながら読むことで、より理解することができる。図面において、同様の符号は、図面全体に渡って同様の部品を表している。
図1】吸収器に結合された1つ又は複数のヒートパイプを備えたガス吸収システムを有するガスタービンシステムの一実施形態の概略図である。
図2図1のガス吸収システムの吸収器の実施形態の概略側面図であり、吸収器の様々な位置に配置されている複数のヒートパイプが更に示されている。
図3図1及び図2のガス吸収システムの一実施形態の概略側面図であり、複数のヒートパイプが、内部及び外部の蒸発器及び凝縮器の配列とともに更に示されている。
図4図1図3のヒートパイプの蒸発器及び凝縮器に使用することができる熱交換器の一実施形態の斜視図であり、熱交換器は中空の環状又はリング形状の導管を有している。
図5図1図3のヒートパイプの蒸発器及び凝縮器に使用することができる熱交換器の一実施形態の上面図であり、熱交換器はジグザグ状の導管を有している。
図6図1図3のヒートパイプの蒸発器及び凝縮器に使用することができる熱交換器の一実施形態の上面図であり、熱交換器は螺旋状の導管を有している。
図7図1図3のヒートパイプの蒸発器及び凝縮器に使用することができる熱交換器の一実施形態の上面図であり、熱交換器は対向するマニホールドの間に平行な複数の導管を有している。
図8図1図3の複数のヒートパイプのうちの1つのヒートパイプの一実施形態の概略断面図である。
図9図1図3の複数のヒートパイプのうちの1つのヒートパイプの一実施形態の概略図である。
図10図1図3のガス吸収システムの吸収器の中心軸に沿う方向における吸収器位置に対する吸収器の内部容積の温度のグラフであり、更に、ヒートパイプの有無による温度プロファイルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、現時点で開示されたシステムの1つ又は複数の具体的な実施形態が説明されている。これらの実施形態は簡潔に説明することが試みられており、実際の実装の全ての特徴が本明細書に記載されているとは限らない。どのような実際の実装の開発でも、様々なエンジニアリングプロジェクト又はデザインプロジェクトのように、実装に固有の多数の決定を実行して、開発者の特定の目標(実装によって異なると考えられるシステム関連の制約及びビジネス関連の制約の順守など)を達成しなければならないことを理解すべきである。さらに、このような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、当業者が本開示の利益を得るには、日常的な、設計、製作、及び製造の業務であることを理解すべきである。
【0010】
現在開示されている様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「この(the)」、及び「前記(said)」は、その要素が1つ又は複数存在することが意図されている。「含む、備える、有する(comprising)」、「含む、備える、有する(including)」、及び「含む、備える、有する(having)」という用語は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味している。
【0011】
開示された実施形態は、1つ又は複数のヒートパイプを使用するガス吸収システムの温度制御を提供する。ヒートパイプは、吸収器の温度プロファイルを制御し、吸収器の吸収効率を高めるために、様々な位置で吸収器に結合することができる。ヒートパイプは、以下のように、即ち、吸収器のある位置から別の位置に熱を移動させる、吸収器から(例えば、ホットスポットから)熱を移動させる、及び/又は吸収器に(例えば、コールドスポットに)熱を移動させる、ように構成することができる。特定の実施形態において、ヒートパイプは、吸収器に結合された蒸発器を含むことができ、蒸発器は、吸収器の容器又は筐体によって囲まれた内部に対して、その外部、その内部、又はそれらを組み合わせた場所に配置することができる。さらに、ヒートパイプは、吸収器とは分離して配置された及び/又は吸収器に結合された凝縮器を含むことができる。凝縮器が吸収器に結合されている場合、凝縮器は、吸収器の容器又は筐体によって囲まれた内部に対して、その外部、その内部、又はそれらを組み合わせた場所に配置することができる。ヒートパイプは、吸収器の温度を制御するにあたり、1つ又は複数の利点がある。例えば、ヒートパイプは、可動部品をなくすことにより、メンテナンスを減らし、信頼性を向上させることができ、また、ヒートパイプは、吸収器の温度プロファイルをより適切に制御するために熱伝達効率を高めることができる。
【0012】
図1は、制御システム14に結合されたガスタービンエンジン12を有するガスタービンシステム10の一実施形態のブロック図である。以下でさらに詳細に説明するように、ガスタービンシステム10は、ガスタービンシステム10の1つ又は複数のガスを処理するために、ガス吸収システム16を含むことができる。ガス吸収システム16の様々な特徴は、以下でさらに詳細に説明され、様々な特徴は、互いに適切に組み合わせて使用することができる。しかしながら、ガス吸収システム16を説明する前に、ガス吸収システム16を使用するための1つのあり得る状況として、ガスタービンシステム10について説明する。
【0013】
ガスタービンエンジン12は、吸気部18、圧縮機部20、燃焼器部22、タービン部24、負荷26、及び排気部28を含んでいる。吸気部18は、1つ又は複数のサイレンサバッフル、流体噴射システム(例えば、着氷防止用の加熱流体噴射)、エアフィルタ、又はそれらの任意の組み合わせを有するダクトを含むことができる。圧縮機部20は、ベルマウス32を有する上流吸気ダクト30を含むことができ、吸気ダクト30は、内側ハブ34と外壁36との間に吸気経路を含んでいる。また、吸気ダクト30は、静止ベーン38及び入口案内ベーン(IGV)40を含んでいる。また、入口案内ベーン40は、1つ又は複数のアクチュエータ42に結合するすることができ、アクチュエータ42は、制御システム14に通信可能に結合されており、制御システム14によって制御される。
【0014】
圧縮機部20は、1つ又は複数の圧縮機段44を含んでおり、各圧縮機段44は、圧縮機ケーシング50内の圧縮機シャフト48に結合された複数の圧縮機ブレード46と、圧縮機ケーシング50に結合された複数の圧縮機ベーン52とを含んでいる。圧縮機ブレード46及び圧縮機ベーン52は、各圧縮機段44内で圧縮機シャフト48の中心軸を中心として周方向に配置されている。圧縮機段44は、1段~30段以上の圧縮機段を含むことができる。さらに、圧縮機段44は、圧縮機ブレード46のセットと圧縮機ベーン52のセットが、圧縮機部20を空気が流れる方向に、交互に並ぶようになっている。動作においては、圧縮機段44は吸気流を徐々に圧縮して燃焼器部22に送る。
【0015】
燃焼器部22は1つ又は複数の燃焼器54を含んでおり、各燃焼器54は1つ又は複数の燃料ノズル56を有している。特定の実施形態では、燃焼器部22は、ガスタービンエンジン12の中心軸の周りに延在する単一の環状型燃焼器54を有することができる。しかしながら、一部の実施形態では、燃焼器部22は、ガスタービンエンジン12の中心軸の周方向に間隔を置いて配置された2、3、4、5、6、又はそれ以上の燃焼器54を含むことができる。燃料ノズル56は、圧縮機部20から圧縮空気58を受け取り、1つ又は複数の燃料供給システム62から燃料60を受け取り、燃料と空気を混合し、混合物に点火して高温の燃焼ガス64を生成し、燃焼ガスは各燃焼器54から出力されタービン部24に入る。
【0016】
タービン部24は、1つ又は複数のタービン段66を含んでおり、各タービン段66は、タービンケーシング72の内部のタービンシャフト70の周りに周方向に配置されタービンシャフト70に結合された複数のタービンブレード68と、タービンシャフト70の周りに周方向に配置された複数のタービンベーン74とを含んでいる。タービン段66は、1段から10段以上のタービン段を含むことができる。さらに、タービン段66は、タービンブレード68のセットとタービンベーン74のセットが、高温燃焼ガスがタービン部24を流れる方向に、交互に並ぶようになっている。動作においては、高温燃焼ガス64は徐々に膨張し、タービン段66のタービンブレード68の回転を駆動する。
【0017】
負荷26は、発電機、機械、又は他の駆動負荷を含むことができる。負荷26は、図1に示されるように、ガスタービンエンジン12のホットエンドに配置されてもよいし、負荷26は、ガスタービンエンジン12のコールドエンド(例えば、圧縮機部20に隣接する端部)に配置されてもよい。排気部28は、排気ダクト、排気処理装置、サイレンサ、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。一部の実施形態では、排気部28は、熱交換器(蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成するように構成された熱回収蒸気発生器(HRSG)など)を含むことができる。特定の実施形態では、ガスタービンシステム10は、ガスタービンエンジン12と、HRSGと、HRSGによって生成された蒸気によって駆動される1つ又は複数の蒸気タービンとを有する複合サイクル発電所を含むことができる。蒸気タービンは、ガスタービンエンジン12と同様に、発電機又は他の負荷を駆動するように構成することができる。
【0018】
制御システム14は1つ又は複数のコントローラ76を含むことができ、各コントローラ76は、プロセッサ78と、メモリ80と、メモリ80に記憶されプロセッサ78によって実行可能な命令82と、ガス吸収システム16と通信するように構成された通信回路84とを有している。また、制御システム14は、ガスタービンシステム10全体にわたって符号86で示されるような様々なセンサ(S)に結合されている。例えば、センサ86は、吸気部18、圧縮機部20、燃料供給システム62、燃焼器部22の燃焼器54、タービン部24、負荷26、排気部28、及びガス吸収システム16に結合され、それらの状態を監視することができる。制御システム14は、ガスタービンエンジン12の様々な動作パラメータ(吸気流量、燃料供給システム62から燃焼器54への燃料供給、排気部28の排気処理装置の動作、ガス吸収システム16の動作(例えば、流量及び温度制御)、又はそれらの任意の組み合わせなど)を調整するために、センサ86からフィードバックを受け取るように構成されている。例えば、制御システム14は、ガス吸収システム16の溶媒の流れ、ガス吸収システム16内のガスの流れ、及びガス吸収システム16全体の温度制御の様々な態様を制御するように構成することができる。以下でさらに詳細に説明するように、ガス吸収システム16は、流入ガスから1つ又は複数の望ましくないガス(例えば、酸性ガス及び/又は排気ガス)を除去及び/又は捕獲し、改善された温度制御によって、そのような望ましくないガスの吸収効率が向上するように構成される。望ましくないガスには、燃料供給及び/又は排気ガスにおいて望ましくないと考えられる任意のガスが含まれることが意図されている。例えば、望ましくないガスは、燃料供給及び排気ガス中に存在する酸性ガスを含むことができる。他の例では、排気ガス中の望ましくないガスには、一般的に規制の対象となる任意の排気ガス(二酸化炭素(CO)及び一酸化炭素(CO)などの酸化炭素(CO)、酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)などの酸化硫黄(SO)、又はそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されることはない)を含むことができる。開示された実施形態は、排気ガスからCOのガスを吸収するのに特に適している。しかしながら、以下の説明は、望ましくないガスに言及する場合には各実施例が適用されることが意図されている。
【0019】
動作においては、ガスタービンシステム10は、矢印88で示すように、吸気部18からの空気を吸気ダクト30に取り込み、入口案内ベーン40は、入口案内ベーン40の角度位置が調整されるようにアクチュエータ42によって制御され、圧縮機部20への空気流を調整することができ、圧縮機部20は、燃焼器部22に供給される空気流を圧縮するように構成される。例えば、圧縮機部20の各段44は、複数のブレード46で空気流を圧縮する。圧縮された空気流58は各燃焼器54に入り、燃料ノズル56は、圧縮された空気流を燃料供給システム62からの燃料60と混合する。燃料と空気の混合物は、各燃焼器54で燃焼して高温の燃焼ガス64を生成し、この燃焼ガス64がタービン部24に流入して各段66のタービンブレード68が回転するように駆動する。タービンブレード68の回転によって、タービンシャフト70が回転するように駆動され、このタービンシャフト70は、負荷26に結合されたシャフト90及び圧縮機シャフト48に結合されたシャフト92を通じて、負荷26及び圧縮機部20が回転するように駆動する。タービン部24は排気ガス94を排気部28に排出し、最終的な処理をして環境に排出する。
【0020】
図示された実施形態では、ガスタービンシステム10はガス吸収システム16を有しており、1つ又は複数の燃料供給システム62及び排気部28に結合されている。しかしながら、ガス吸収システム16は、1つ又は複数の往復ピストンシリンダ式エンジン、炉、ボイラー、化学反応器、合成ガスを生成するように構成された1つ又は複数のガス化装置を有するガス化システム、又は他の産業機器に結合することもできる。これらのガス吸収システム16の各々は、以下にさらに詳細に説明する特徴を有しており、開示される実施形態は、前述の全ての用途において、互いに様々に組み合わせて使用されることが意図されている。
【0021】
図示されているように、ガス吸収システム16は、ガス吸収システム16の領域から熱を移動させる及び/又はガス吸収システム16の異なる領域の間で熱が伝達するように構成された1つ又は複数の相転移熱伝達デバイス又はパイプ(ヒートパイプ100など)を含んでいる。ヒートパイプ100は、ガス吸収システム16の外側及び/又は内側に、ヒートパイプ100の一部又は全部が取り付けられるようにすることができる。例えば、ヒートパイプ100は、ガス吸収システム16の内面及び/又は外面に取り付けられた蒸発器及び/又は凝縮器、ガス吸収システム16の内部容積内に取り付けられた蒸発器及び/又は凝縮器、及び/又は外部容積内又は周辺の環境内に取り付けられた蒸発器及び/又は凝縮器(例えば、オフセット距離だけ離れた凝縮器)を含むことができる。ヒートパイプ100は、ガス吸収システム16の吸収プロセスの効率を高めるのに適したレベルまで内部温度を低下させるために、特にホットスポット(hot spot)に配置することができ、ヒートパイプ100は、ガス吸収システム16の温度プロファイルが均一になるように、ガス吸収システム16のホットスポットからコールドスポット(cold spot)(又はクーラースポット(cooler spot))に熱を移動させることができる。ヒートパイプ16では、機械的な可動部品がない、メンテナンスを少なくすることができる又はしなくてもよい、熱を伝達する効率が改善されるなどの利点を得ることができる。ガス吸収システム16及びヒートパイプ100の様々な態様について、以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
図2は、図1のガス吸収システム16の一実施形態の概略図であり、ガス吸収システム16の周りの様々な位置に配置されたヒートパイプ100の詳細が図示されている。図示されているように、ヒートパイプ100は、温度制御システム102の一部であり、温度制御システム102は、ガス吸収システム16の様々な内部位置及び外部位置において、任意の数のヒートパイプ100、任意の構成のヒートパイプ100、任意のタイプのヒートパイプ100、及び任意の配置位置のヒートパイプ100を含むことができる。ガス吸収システム16は、吸収器104、溶媒供給システム106、及び溶媒排出システム108を含んでいる。図示されたヒートパイプ100は、互いに間隔を空けて様々な位置で吸収器104に結合されるように示されている。しかし、簡略化のため、また吸収器104の内部を重点的に取り扱うため、ヒートパイプ100は吸収器104の内部には示されていない。吸収器104の内部に延在する部分を含め、ヒートパイプ100の様々な構成が図3に示されており、これらのヒートパイプは図2の吸収器104に使用することが意図されているものである。
【0023】
以下でさらに詳細に説明するように、溶媒供給システム106は、複数のノズル116を有する溶媒分配器114に結合された導管112を通じて、吸収器104にガスリーン溶媒110を供給するように構成されている。ノズル116は、吸収器104の内部容積120に溶媒分散液118を出力するように構成されている。溶媒分散液118は、ガスリーン溶媒110を、内部容積120全体に、より均一に分布させるのに有益であり、溶媒が吸収器104を通って溶媒排出システム108に向かって下方に流れるときに、溶媒の温度分布が、より均一な温度分布となる。導管112は吸収器104の溶媒入口部122に結合され、溶媒排出システム108は吸収器104の溶媒出口部124に結合されている。
【0024】
溶媒排出システム108は、溶媒出口部124からガスリッチ溶媒126を受け取り、ガスリッチ溶媒126を溶媒再生システム128に導くように構成されている。また、溶媒排出システム108は、溶媒再生システム128の下流に位置するガス圧縮機130と、ガス圧縮機130の下流に位置するガス乾燥機132と、ガス乾燥機132の下流に位置する捕捉されたガス134の出口部とを含んでいる。また、溶媒排出システム108は、溶媒再生システム128から溶媒供給システム106に戻る戻し導管136も備えており、再生された溶媒が、ガスリーン溶媒110として溶媒供給システム106に戻ることができるようにしている。
【0025】
また、吸収器104は、ガス140を吸収器104に入れるように構成されたガス入口部138と、処理されたガス144を吸収器104から排出するように構成されたガス出口部142とを含んでいる。図示の実施形態では、吸収器104は、容器又は筐体146を含んでおり、容器又は筐体146は、頂部148と、底部150と、頂部148と底部150との間において筐体146の中心軸154に対して軸方向に延在するように配置された中間部152とを有している。以下の説明では、中心軸154に沿って配置された軸方向又は軸156、中心軸154を横切る又は中心軸154に対して垂直な半径方向又は軸158、及び中心軸154に対して周方向に延在する周方向又は軸160を参照する場合がある。頂部148はトッププレート又はカバー162を含んでおり、トッププレート又はカバー162は、中心軸154と同軸のガス出口部142を有している。しかしながら、ガス出口部142は、中心軸154からずれた位置に配置されてもよいし、頂部148の他の位置に配置されてもよい。
【0026】
中間部152は、中心軸154を中心として周方向160に延在する側壁164を含んでいる。例えば、側壁164は、環状の側壁、正方形状の側壁、矩形状の側壁、又は中心軸154の周りに延在する適切な任意の他の形状とすることができる。特定の実施形態において、ガス出口部142は、頂部148に沿った側壁164に配置してもよい。さらに、溶媒入口部122は、頂部148のトッププレート又はカバー162に配置してもよいし、側壁164に配置してもよい。
【0027】
底部150は、ガス入口部138及び溶媒出口部124の下方にベースプレート166を含むことができる。図示された実施形態では、ガス入口部138及び溶媒出口部124は、底部150に沿った側壁164に配置されている。しかしながら、特定の実施形態では、ガス入口部138及び/又は溶媒出口部124を、底部150のベースプレート166に配置してもよい。一部の実施形態では、ガス入口部138は複数のガス入口部を含むことができる、及び/又は溶媒出口部124は複数の溶媒出口部を含むことができる。
【0028】
吸収器104の内部容積120内では、吸収器104は、更に、パッキング168と、支持トレイ又はスクリーン170と、複数のノズル174を有する溶媒分配器172との1つ又は複数のセットをさらに含むことができる。例えば、図示の実施形態では、吸収器104は、溶媒分配器114と、ガス入口部138及び溶媒出口部124を有する底部150との間に配置された構成要素(例えば、パッキング168、支持トレイ又はスクリーン170、及び溶媒分配器172)の4つのセットを含んでいる。パッキング168は、吸収器104の内部容積120に供給されているガス140とガスリーン溶媒110との混合を促進するように構成された、複数のビーズ、ボール、又は混合誘導構造を含むことができる。支持トレイ又はスクリーン170は、金網、複数の開口を有するプレート、又はガス及び溶媒が、吸収器104を反対方向に流れて、支持トレイ又はスクリーン170を流れることを可能にしながらパッキング168を所定の位置に保持する他の適切な構造を含むことができる。溶媒分配器172は、溶媒分配器114と同様のものとすることができ、したがって、ノズル174は、溶媒分散液176を吐出して、パッキング168及び支持トレイ又はスクリーン170を通過する溶媒が更に好適に分散されるように、内部容積120全体に均一に配置することができる。パッキング168と、支持トレイ又はスクリーン170と、溶媒分配器172とのセットは、中心軸154に沿って互いに間隔を空けて配置されている。しかし、吸収器104の特定の実施形態では、上記の間隔を広げてもよいし、狭めてもよいし、又は上記の間隔を無くしてもよい。
【0029】
動作においては、吸収器104は、内部容積120内にガスリーン溶媒110及びガス140のクロスフロー又は対向流を生じさせ、それによって、ガス140からの特定の望ましくないガス(例えば、酸性ガス及び/又は排気ガス)がガスリーン溶媒110に吸収されることを促進するように構成されている。図示されるように、底部150において、ガス140は、ガス入口部138を通じて吸収器104に入り、ガス140は、矢印178によって示されるように、吸収器104の内部容積120を上方に流れる。矢印178で示されるように吸収器104に流入したガス140は、内部容積120内において、ガスリーン溶媒110を通過して上昇するガス140の気泡を形成することができる。その後、ガス140は、パッキング168、支持トレイ又はスクリーン170、及び溶媒分配器172の連続する各ステージ又は各セットを通過する。
【0030】
頂部148において、溶媒供給システム106は、溶媒入口部122、導管112、溶媒分配器114、及び複数のノズル116を通じて、ガスリーン溶媒110を内部容積120に供給する。ここでも、溶媒分散液118によって示されるように、ガスリーン溶媒110を内部容積120の全体にわたって均一に散布するのを助けるために、複数のノズル116を、内部容積120の全体にわたって様々な位置に配置することができる。次いで、ガスリーン溶媒110は、パッキング168と、支持トレイ又はスクリーン170と、ノズル174を有する溶媒分配器170との連続する各セット又はステージを通って、内部容積120を下方に流れる。ガスリーン溶媒110が各パッキング168を通過する際、パッキング168の様々なビーズ、ボール、又は混合構造によって、ガスリーン溶媒110をガス140と混合することが促進され、それによって、ガス140に含まれる様々な望ましくないガスがガスリーン溶媒110に吸収されることが促進される。例えば、ガスリーン溶媒110は、二酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)、又は他の酸性ガス及び/又は排気ガスを吸収するように構成することができる。吸収プロセスが発生すると、吸収器104内で熱が発生し、それによって、吸収器104内の溶媒の温度が上昇する。吸収プロセスは、パッキング168と、支持トレイ又はスクリーン170と、溶媒分配器172との各セット又はステージ内で継続的に続いていく。各ステージ又はセットの間で、溶媒分配器172は、溶媒分散液176によって示されるように、溶媒が、より好適に散布されるようにすることができる。溶媒分散液176は、溶媒をガス140と均一に混合し、温度分布を更に均一にするのに役立つ。その後、パッキング168と、支持トレイ又はスクリーン170と、溶媒分配器172との次のセット又はステージで、吸収プロセスが繰り返される。
【0031】
最終的に、吸収器104は、溶媒出口部124を通じて底部150からガスリッチ溶媒126を排出し、吸収器104は、ガス出口部142を通じて頂部148から、処理されたガス144を排出する。処理されたガス144は、1つ若しくは複数の望ましくないガス(二酸化炭素、硫化水素、及び/又は二酸化硫黄など)を実質的に含まないようにすることができる、又は1つ若しくは複数の望ましくないガスが除去されている。対照的に、ガスリッチ溶媒126は、1つ又は複数の望ましくないガス(二酸化炭素、硫化水素、及び/又は二酸化硫黄など)を吸収したかもしれないと考えられる。従って、ガスリッチ溶媒126は、COリッチ溶媒、HSリッチ溶媒、又はSOリッチ溶媒として記載される場合があり、一方、ガスリーン溶媒110は、吸収器104において生じる特定のガス吸収に応じて、COリーン溶媒、HSリーン溶媒、又はSOリーン溶媒として記載される場合がある。同様に、ガス104は、CO含有ガス又はCOリッチガス、HS含有ガス又はHSリッチガス、又はSO含有ガス又はSOリッチガスとして記載される場合があり、一方、処理されたガス144は、吸収器104で生じる特定のガス吸収に応じて、COが低減されたリーンガス若しくはCOの無いフリーガス、HSが低減されたリーンガス若しくはHSの無いフリーガス、又はSOが低減されたリーンガス又はSOの無いフリーガスとして記載される場合がある。本明細書で記載されるガス吸収は、これらの望ましくないガスのいずれか1つ以上のガス、並びに他の考えられる酸性ガス及び/又は排出ガスを含むことを意図している。
【0032】
吸収器104から出力されたガスリッチ溶媒126は、溶媒再生システム128に流入する。溶媒再生システム128は、ガスリッチ溶媒126中の望ましくないガス(例えば、CO)を捕捉し、溶媒を再生する(例えば、溶媒をガスリーン溶媒110として再利用するために望ましくないガス(例えば、CO)を除去する)ように構成することができる。従って、望ましくないガス(例えば、CO)は、矢印180で示されるように、溶媒再生システム128からガス圧縮機130に出力することができ、ガス圧縮機130は、ガス乾燥機132によって乾燥される前に、望ましくないガスを圧縮するように構成されている。次いで、ガス乾燥機132は、ガス圧縮機130で圧縮された望ましくないガス中の水分を除去し、圧縮され乾燥された望ましくないガスを、捕捉されたガス134として出力する。さらに、溶媒再生システム128は、再生された溶媒を、ガスリーン溶媒110として出力し、戻り導管136を通じて溶媒供給システム106に戻す。再生された溶媒は、実質的には、望ましくないガスが溶媒再生システム128で除去されたガスリッチ溶媒126である。
【0033】
溶媒供給システム106において、ガスリーン溶媒110は、ガスリーン溶媒110の元々の供給溶媒であるか又は溶媒再生システム128からの再生溶媒であるかにかかわらず、1つ又は複数の構成要素190、192、194、及び196を用いて吸収器104に供給される。構成要素190、192、194、及び196は、1つ又は複数の溶媒ポンプ、溶媒フィルタ又は処理システム、ガスリーン溶媒110を冷却するように構成された1つ又は複数の熱交換器、1つ又は複数の溶媒タンク、1つ又は複数の溶媒圧力調整器、1つ又は複数の溶媒流量計、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。上述したように、吸収器104内で発生する吸収プロセスは、特に、吸収プロセスが発生する場所において、吸収器104内の温度を上昇させることがある。例えば、吸収器104内の溶媒の内部温度は、パッキング168の位置において、比較的高くなることがある。
【0034】
したがって、温度制御システム102は、熱を除去する、及び/又はある場所から別の場所に熱を伝達するために、吸収器104の様々な位置に配置された複数のヒートパイプ100を含むことができる。例えば、吸収器104の右側に示されるように、温度制御システム102は、中心軸154に沿う様々な軸方向位置に配置された複数のヒートパイプ100を含むことができ、各ヒートパイプ100は、吸収器104に結合された蒸発器200と、吸収器104とは分離した凝縮器202と、蒸発器200と凝縮器202との間に延在する流体導管204とを含んでいる。流体導管204は、蒸発器200と凝縮器202との間で作動流体206を循環させるように構成されており、作動流体206が相変化を起こして蒸発器200と凝縮器202との間で熱を伝達するようになっている。特に、作動流体206は、内部容積120から作動流体206への熱伝達によって蒸発器200内で蒸発するように構成されている。したがって、作動流体206は、蒸発器200で吸収された熱によって蒸気又は二相流となり、蒸気又は二相流は流体導管204を流れて凝縮器202に流入する。凝縮器202は、作動流体206から環境に熱を移動させるように構成される。その結果、環境への熱伝達によって作動流体206が凝縮して液体になり、この液体が流体導管204を流れて蒸発器200に戻るというサイクルが繰り返される。
【0035】
特定の実施形態では、作動流体206は、吸収プロセスのための所望の温度に基づいた沸点を有している。例えば、作動流体206の沸点は、30℃~80℃、40℃~70℃、又は45℃~65℃とすることができる。作動流体206は、1つ以上のアルコール、溶融塩、水、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。作動流体206は、シクロペンタン(C10)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、又はメチルノナフルオロブチルエーテル(メトキシパーフルオロブタン)とメチルノナフルオロイソブチルエーテル(methyl nonfluoroisobutyl ether)との混合物のうちの少なくとも1つを含むことができる。特定の実施形態において、作動流体206は、1つ又は複数の設計流体(engineered fluid)を含むことができる(例えば、ドデカフルオロ-2-メチルペンタン-3-オン(Dodecafluoro-2-methylpentan-3-one)(CFCFC(O)CF(CF)[例えば、3M(登録商標)Novec(登録商標)649 Engineered Fluid]、1-メトキシヘプタフルオロプロパン(1-methoxyheptafluoropropane)(COCH)[例えば、3M(登録商標)Novec(登録商標)7000 Engineered Fluid]、メトキシ-ノナフルオロブタン(methoxy-nonafluorobutane)(COCH)[例えば、3M(登録商標) Novec(登録商標) 7100 Engineered Fluid]、エトキシ-ノナフルオロブタン(ethoxy-nonafluorobutane)(COC)[例えば、3M(登録商標) Novec(登録商標) 7200 Engineered Fluid]、セグリゲイテッドハイドロフルオロエーテル(segregated hydrofluoroether)[例えば、3M(登録商標) Novec(登録商標) 7300 Engineered Fluid]、又はそれらの組み合わせなど)。また、作動流体206は、チオフェン(CS)、DTRM-J、DTRM-A、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。作動流体206の前述の例は、単独で使用すること、又は互いに任意に組み合わせて使用することが意図されている。さらに、一部の実施形態では、ヒートパイプ100は、吸収器104に対する位置、吸収器104の様々な位置における所望の温度、及び作動流体206の沸点に応じて、異なる作動流体206を使用することができる。しかしながら、一部の実施形態では、複数のヒートパイプ100又は全てのヒートパイプ100に対して、同じ作動流体206を使用してもよい。
【0036】
流体導管204は、蒸発器200と凝縮器202との間に外側流体と内側流体が流れる同軸向流導管、蒸発器200と凝縮器202との間に2つの別個の導管(例えば、供給導管及び戻り導管)を有するループ、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。流体導管204は、作動流体206に適合する熱伝導性材料(例えば、金属)で作ることができる。例えば、流体導管204の熱伝導性材料としては、銅、アルミニウム、鋼、又は超合金が挙げられる。また、ヒートパイプ100は、流体が流体導管204を円滑に流れるようにするために、流体導管204内に配置されたウィック材料を含むことができる。ウィック材としては、多孔質材料(織物、布、紡ぎ糸又は縫い糸の格子束、綿、又はそれらの組み合わせなど)が挙げられる。ウィック材料は、流体の流れ(例えば、液体の流れ)を、凝縮器202から蒸発器200に運ぶ又は毛管作用で運ぶ毛細管現象の作用をする。特定の実施形態では、ヒートパイプ100は、水平配置、垂直配置、又は水平向き若しくは垂直向きのループにすることができる。垂直の構成では、ヒートパイプ100は、重力を利用して、蒸発器200と凝縮器202との間の作動流体206の流れを促進することができる。
【0037】
図2に示されるように、吸収器104の右側に配置された全てのヒートパイプ100は、同様の構成を有している。しかしながら、複数のヒートパイプ100の各ヒートパイプ100の構成(例えば、垂直向き若しくは水平向き、流体導管204の長さ、ヒートパイプの種類、又は他のパラメータなど)は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。さらに、ヒートパイプ100の蒸発器200は、吸収器104の側壁164に結合されるように示されている。しかしながら、図示された構成は、ガス吸収システム16の現在の描写を単純化するためのものである。ヒートパイプ100の蒸発器200は、吸収器104に対して内部に配置されてもよいし、外部に配置されてもよい。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、複数の蒸発器200の各蒸発器200は、側壁164の外側に取り付けられてもよいし、側壁164の内側に取り付けられてもよいし、内部容積120の内側に取り付けられてもよいし、それらの取付けを任意に組み合わせてもよい。
【0038】
吸収器104の左側において、温度制御システム102は、吸収器104に結合された蒸発器200と凝縮器202とを有する複数のヒートパイプ100を含み、それによって、吸収器104の中心軸154に沿う方向における互いに異なる軸方向位置において、ある位置から別の位置への熱伝達を促進する。例えば、図示されたヒートパイプ100はそれぞれ、吸収器104の第1の上部(例えば、中間部152及び/又は頂部148)において吸収器104に結合された蒸発器200と、吸収器104の第2の下部(例えば、中間部152及び/又は底部150)に配置された凝縮器202とを含んでいる。吸収器104の右側のヒートパイプ100と同様に、吸収器104の左側のヒートパイプ100は、蒸発器200及び凝縮器202が側壁164に結合された状態で示されている。しかしながら、蒸発器200及び/又は凝縮器202は、側壁164の外面に取付けられてもよいし、側壁164の内面に取り付けられてもよいし、内部容積120の全体にわたって取り付けられてもよいし、これらの取付けを任意に組み合わせてもよい。さらに、流体導管204は、各蒸発器200と対応する凝縮器202との間に単一の導管として図示されているが、ヒートパイプ100の特定の実施形態は、図3に示されているように、単一の導管が蒸発器200と凝縮器202との間に延在するのではなく、ループを形成してもよい。いずれの構成においても、流体導管204は、作動流体206を蒸発器200と凝縮器202との間で循環させて、上述したような熱伝達を促進するように構成される。例えば、各蒸発器200は、吸収器104の第1の上部において吸収器104から熱(例えば、内部容積120からの内部熱)を移動し、次いで凝縮器202によって吸収器の第2の下部に熱を伝達するように構成することができる。
【0039】
ヒートパイプ100は、吸収器104の左側と右側とで異なっているように示されているが、ヒートパイプ100は、吸収器104の側面(例えば、吸収器104の周方向の任意の位置)に配置してもよいし、吸収器104の中心軸154に沿う方向における任意の軸方向位置に配置してもよいし、側壁164における任意の半径方向位置若しくは内部容積120の内部に突き出した位置に配置してもよいし、それらの位置を任意に組み合わせた位置に配置してもよい。例えば、ヒートパイプ100は、パッキング168に直接に接触する位置において、パッキング168の間の位置において、溶媒分散液118及び176の位置において、又はそれらの位置を任意に組み合わせた位置において、吸収器104に結合することができる。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、ヒートパイプ100の蒸発器200は、特に、吸収器104内の吸収プロセスに起因する高温の領域に配置することができる。次いで、凝縮器202は、吸収器104の低温部分に配置してもよいし、吸収器104から離れた別個の位置に配置してもよい。動作においては、ヒートパイプ100は、吸収器104のホットスポットの温度を低下させ、吸収器104内の吸収プロセスの効率を向上させるのに役立つように構成される。
【0040】
図3は、図1及び図2のガス吸収システム16の一実施形態の概略図であり、温度制御システム102のヒートパイプ100の様々な構成が更に示されている。図3に示されるように、ヒートパイプ100は、中心軸154に沿う様々な位置において吸収器104に結合することができ、蒸発器200及び凝縮器202は、吸収器104の容器又は筐体146の内側及び外側の様々な位置に取り付けることができる。例えば、ヒートパイプ100Aは、複数のパッキング168のうちの1つのパッキンにおいて吸収器104の側壁164に外部結合された蒸発器200を有することができ、流体導管204は、蒸発器200から、筐体146から或る距離だけ離れた場所において吸収器104の外側に配置された凝縮器202まで延在することができる。さらに、ヒートパイプ100Bは、ヒートパイプ100Aと同様に、複数のパッキング168のうちの1つのパッキンにおいて吸収器104の側壁164に外部結合された蒸発器200を含んでおり、流体導管204は、蒸発器200から、中心軸154に沿う方向における異なる軸方向位置の別のパッキング168において吸収器104の側壁164に外部結合された凝縮器202まで延在することができる。別のヒートパイプ100Cは、側壁164に結合された蒸発器200及び/又は吸収器104の内部容積120を横切って延在する蒸発器200を含み、一方、流体導管204は、中心軸154に沿う方向における異なる軸方向位置において吸収器104の外側で側壁164に外部結合された凝縮器202まで延在することができる。別のヒートパイプ100Dは、側壁164に結合された蒸発器200及び/又は吸収器104の内部容積120を横切って延在する蒸発器200を含み、一方、流体導管204は、蒸発器200から、筐体146から或る距離だけ離れた場所において吸収器104の外側に配置された凝縮器202まで延在する。別のヒートパイプ100Eは、側壁164に結合された蒸発器200及び/又は吸収器104の内部容積120を横切って延在する蒸発器200を含み、一方、流体導管204は、蒸発器200から、中心軸154に沿う方向における異なる軸方向位置において、側壁164に結合された凝縮器202及び/又は吸収器104の内部容積120を横切って延在する凝縮器202まで延在する。別のヒートパイプ100Fは、複数のパッキング168のうちの一つのパッキング168において吸収器104の側壁164に外部結合された蒸発器200を含み、一方、流体導管204は、蒸発器200から、吸収器104の中心軸154に沿う方向における異なる軸方向位置において、側壁164に結合された凝縮器202及び/又は吸収器104の内部容積120を横切って延在する凝縮器202まで延在する。
【0041】
したがって、蒸発器200は、側壁164に結合された吸収器104の外側に配置してもよいし、内部容積120を横切って延在するように吸収器104の内側に配置してもよいし、それらが組み合わされた位置に配置してもよく、凝縮器202は、吸収器104の外側で側壁164に結合されてもよいし、吸収器104の内側において内部容積120を横切るように延在して側壁164に結合されてもよいし、吸収器104の筐体146から完全に分離し且つ筐体146から離れた吸収器104の外側に配置されていてもよい。蒸発器200及び凝縮器202が吸収器104に結合された実施形態では、蒸発器200は、ガス入口部138からガス出口部142まで吸収器を流れるガスの流れの方向に関して、中心軸154に沿って凝縮器202の位置よりも下流の軸方向位置に配置することができる。蒸発器200は、ガス入口部138からガス出口部142まで吸収器104を流れるガスの流れの方向に関して、吸収器104内のホットスポット(パッキング168の位置又はパッキング168の下流の位置など)に配置することができる。対照的に、凝縮器202は、吸収器104に結合される場合、吸収器104内のコールド(又はクーラー)スポットに配置することができる。特定の実施形態では、凝縮器202は、パッキング168に直接に配置してもよいし、パッキング168のステージとステージとの間に配置してもよいし、パッキング168の上流に配置してもよい。図示された実施形態では、流体導管204は、蒸発器200及び凝縮器202と共にループを形成してもよい。しかしながら、ヒートパイプ100は、任意の適切な構成(同軸向流の単一の導管、蒸発器200と凝縮器202との間の別個のセグメント若しくは導管を有するループ、又はそれらの任意の組み合わせなど)を有することができる。ヒートパイプ100の具体的な詳細については以下で更に詳細に説明する。
【0042】
蒸発器200及び凝縮器202は、特定の取り付け位置及び実施形態に応じて、様々な形状及び構成を有することができる。例えば、蒸発器200及び凝縮器202の各々は、直線状の導管を有していてもよいし、円板状若しくは平坦な空洞若しくは筐体を有していてもよいし、複数の他の形状及び構成を有していてもよい。例えば、図4図5図6、及び図7は、蒸発器200及び凝縮器202の構成のいくつかの例を示している。
【0043】
図4は、ヒートパイプ100の蒸発器200及び凝縮器202で使用することができる熱交換器220の実施形態の斜視図である。図示されているように、熱交換器220は、流体入口部224及び流体出口部226を有する中空の環状又はリング状の導管222を含んでいる。中空の環状又はリング状の導管222は、吸収器104の外部(筐体146の側壁164の外面の近くなど)に取り付けるように構成することができる。例えば、図2及び図3を参照すると、中空の環状又はリング状の導管222は、パッキング168に沿うように外部の取付け位置において、パッキング168とパッキング168との間において、又は任意の他の適切な位置において、蒸発器200及び/又は凝縮器202に使用することができる。
【0044】
図5は、ヒートパイプ100の複数の蒸発器200及び複数の凝縮器202のうちの1つ以上に使用することができる熱交換器230の一実施形態の概略図である。図示されているように、熱交換器230は、交互に並ぶ複数のU字形部分234と、流体入口部236と、及び流体出口部238とを有するジグザグ状の導管232を含んでいる。交互に並ぶU字形部分234はジグザグ導管232を画定し、波状パターン又は正弦波形状を表すことができる。熱交換器230のジグザグ導管232は、複数の蒸発器200及び複数の凝縮器202のうちの1つ以上に対して、吸収器104の内部容積120の内部に取り付けられてもよいし、吸収器104の側壁164に沿うように外部に取り付けられてもよいし、吸収器104から或る距離だけ離れた場所において外部に取り付けられてもよいし、それらを組み合わせた場所に取り付けられてもよい。
【0045】
図6は、ヒートパイプ100の複数の蒸発器200及び複数の凝縮器202のうちの1つ以上に使用することができる熱交換器240の一実施形態の概略図である。図示されているように、熱交換器240は、流体入口部244と流体出口部246との間に延在する螺旋状導管242を含んでいる。螺旋状導管242は、1巻きの周りに別の1巻きが配置された任意の数の巻き数を含むことができ、螺旋形状を表すことができる。螺旋状導管242は、実質的に共通の平面(吸収器104の中心軸154に沿う方向の特定の軸方向位置における共通平面など)内に配置することができる。一部の実施形態では、螺旋状導管242は、或る距離(吸収器104の中心軸154に沿う方向における軸方向距離など)にわたって螺旋状とすることができる。
【0046】
図7は、ヒートパイプ100の複数の蒸発器200及び複数の凝縮器202のうちの1つ以上に使用することができる熱交換器250の一実施形態の概略図である。図示されているように、熱交換器250は、吸気マニホールド254と排気マニホールド256との間に延在する複数の平行な導管252を含んでいる。吸気マニホールド254は流体入口部258を含み、排気マニホールド256は流体出口部260を含んでいる。図7の熱交換器250は、複数の蒸発器200及び複数の凝縮器202のうちの1つ以上に対して、吸収器104の内部容積120内の任意の適切な位置で使用してもよいし、吸収器104の筐体146の外側で筐体146から分離した位置で使用してもよいし、それらの位置の任意の組み合わせの位置で使用してもよい。
【0047】
図8は、図1図7のヒートパイプ100の一実施形態の概略図であり、蒸発器200、凝縮器202、及び流体導管204の詳細がさらに示されている。図示された実施形態では、ヒートパイプ100は、流体導管204の互いに反対側の端部270及び272に配置された蒸発器200及び凝縮器202を有している。さらに、流体導管204は、内側流路276(例えば、中央流路)の周りに配置された外側流路274(例えば、外側環状流路)を含んでいる。外側流路274及び内側流路276は、ヒートパイプ100の中心軸278に沿って概ね同軸状又は同心状に配置されている。また、外側流路274及び内側流路276は、仕切り又は壁280(環状の仕切り又は壁など)によって分離することができる。内側流路276は、中心軸278に沿った開放通路又は空間とすることができ、一方、外側流路274は、外側流路274を実質的に充填するウィック282(例えば、上記で詳細に説明したようなウィック材料)を含むことができる。ウィック282は、外側流路274に適合する形状(中心軸278に沿って長さ方向に延在する環状ウィック282など)を画定することができる。また、流体導管204は、密封された外側筐体又は容器284を含んでおり、外側筐体又は容器284は、外側流路274と、内側流路276と、ウィック282と、作動流体206とを実質的に密封している。
【0048】
動作においては、蒸発器200は、矢印286によって示されるように、熱を吸収する又は熱をウィック282に伝達し、それによって作動流体206が気化する。作動流体206は液体の作動流体288としてウィック282の外側流路274に沿って流れ、一方、作動流体206は蒸気の作動流体290として内側流路276を流れる。したがって、蒸発器200では、矢印286で示すようにヒートパイプ100に吸収された熱によって液体の作動流体288から蒸気の作動流体290へと相変化が生じる。液体の作動流体288は、矢印292で示すように、凝縮器202から蒸発器200に流入し、蒸気の作動流体290は、矢印294で示すように、内部流路276に沿って蒸発器200から凝縮器202に流入する。蒸気の作動流体290が凝縮器202に到達すると、熱は、矢印296で示されるように、蒸気の作動流体290から周囲の環境に移動する。ひいては、凝縮器202においてヒートパイプ100から移動する熱によって、作動流体206は、蒸気の作動流体290から液体の作動流体288へと相変化し、次いで、液体の作動流体288は、ウィック282に沿って外側流路274を(例えば、毛細管現象及び/又は重力によって)蒸発器200に向かって流れる。
【0049】
上記で詳細に説明したように、蒸発器200は、容器又は筐体146の内側又は外側で(例えば、側壁164に沿うように、又は内部容積120を横切るように)吸収器104に結合することができる。同様に、ヒートパイプ100の凝縮器202は、側壁164に沿うように、内部容積120を横切るように、又は吸収器104の筐体146から完全に分離するように、吸収器104に結合することができる。特定の実施形態では、ヒートパイプ100は、水平に配置してもよいし、垂直に配置してもよいし、それらを組み合わせて配置してもよい。図示されたヒートパイプ100は、密閉され自己完結型であり、可動機械部品が除外されており、実質的にメンテナンスフリーである。
【0050】
図9は、図1図7を参照して上述されたヒートパイプ100の一実施形態の概略図であり、閉ループ導管300を有するヒートパイプ100の構成をさらに示している。流体導管204の閉ループ導管300は、導管部分302及び304を含んでいる。導管部分302は、蒸発器200と凝縮器202との間において、蒸発器200の下流に配置され、導管部分304は、凝縮器202と蒸発器200の上流のリザーバ306との間において、凝縮器202の下流に配置されている。
【0051】
蒸発器200は、矢印308によって示されるように、熱を吸収する又は熱を作動流体206に伝達し、それによって作動流体206を液体から蒸気に相変化させるように構成されている。蒸発器200は、側壁164の内側及び/又は外側の位置において吸収器104から熱を移動させるように構成されている。蒸発器200の下流の作動流体は、矢印310で示すように、蒸気の作動流体310として導管部分302を流れて凝縮器202に流入する。凝縮器202は蒸気の作動流体310を受け取り、矢印312で示すように、蒸気の作動流体310から周囲の環境に熱を移動させ、それにより、作動流体206は、蒸気の作動流体310から、矢印314で示す液体の作動流体に相変化する。液体の作動流体314は、凝縮器202から導管部分304を流れてリザーバ306に流入し、リザーバ306は、蒸発器200において熱伝達又は熱吸収が行われ蒸発が行われる前に、液体の作動流体314を収容する。蒸発器200によって周囲の環境からの熱が液体の作動流体314に吸収されると、蒸発器200によって、作動流体206は、液体の作動流体314から蒸気の作動流体310に相変化する。
【0052】
特定の実施形態では、蒸発器200は、キャピラリチャンバ蒸発器、上記で詳細に記載されたウィック材料、又は作動流体206の熱伝達及び蒸発を促進するように構成された別の適切な構成を含むことができる。閉ループ導管300を有する図示されたヒートパイプ100は、図1図7に示され図1図7を参照して記載された複数のヒートパイプ100のうちのいずれか1つ以上のヒートパイプに使用することができる。さらに、図8及び図9に示したヒートパイプ100は、吸収器104の全体にわたって様々な位置において互いに組み合わせて使用することができる。最後に、図4図5図6、及び図7の熱交換器220、230、240、及び250は、図8及び図9のヒートパイプ100と様々に組み合わせて使用することができる。
【0053】
図10は、吸収器104の中心軸154に沿う方向における吸収器位置324に対する吸収器104の内部容積120の温度322のグラフ320である。特に、温度322は、溶媒温度など、吸収器104を流れる流体の内部温度に対応する。吸収器位置324は、中心軸154に対する吸収器104の長さに沿った軸方向位置に対応する。グラフ320に示されるように、縦軸の円はヒートパイプ100の位置に対応する。例えば、各ヒートパイプ100は、縦軸に示された軸方向位置であって、吸収器位置324に対応する軸方向位置に配置された蒸発器200又は凝縮器202を有することができる。特定の実施形態では、蒸発器200は、吸収器104の全体にわたってホットスポットに対応する位置に配置することができ、一方、凝縮器202は、吸収器104のコールドスポット(又はクーラースポット)に対応する位置に配置することができる。
【0054】
グラフ320は、ヒートパイプが様々な吸収器位置324に配置された場合の吸収器104の内部の温度322に対応する温度プロファイル326を示している。グラフ320は、さらに、ヒートパイプ100が吸収器104に配置されていない場合の温度プロファイル328を示している。温度プロファイル326及び328を比較すると、図示されるように、ヒートパイプ100がない場合の温度プロファイル328は、吸収器104に大きな温度322が現れ、また、温度322のばらつきも大きい。対照的に、吸収器104に沿う方向の特定の位置にヒートパイプ100が配置された場合の温度プロファイル326は、ピーク温度322が小さくなり、吸収器104の長さ方向に沿って温度を均一にすることができる。従って、特定の実施形態では、温度制御システム102は、温度が高くなる特定の位置にヒートパイプ100を配置し、それにより、吸収器104内で温度が最も高い箇所において熱が除去される。また、ヒートパイプ100は、ホットスポットでは蒸発器200を通じて吸収器104から熱を移動させ、コールドスポットでは凝縮器202を通じて吸収器104に熱を戻し、吸収器104の全体に熱を分散させることができる。特定の実施形態では、ヒートパイプ100は、吸収器104の異なる吸収器位置324に不均一に配置されていてもよく、特に、温度が高い位置及び/又は温度のばらつきが最も大きい位置に合わせて配置することができる。他の実施形態では、ヒートパイプ100は、吸収器104の中心軸154に沿う方向に等間隔で均一に配置されていてもよい。
【0055】
開示された実施形態の技術的効果としては、1つ又は複数のヒートパイプを通じて吸収器(望ましくない気体(例えば、酸性ガス及び/又は排気ガス)を除去するための吸収器など)を温度制御することが挙げられる。ヒートパイプは、自己完結型で、手入れが簡単で、効率的な熱伝達装置であり、如何なる可動部品も排除することができる。ヒートパイプは、ピーク温度を低下させ、吸収器の温度均一性を向上させるように配置することができる。また、ヒートパイプは、吸収器内のある場所から別の場所に熱を伝達することもできる。ヒートパイプは、側壁に沿うように、内部容積を横切るように、又はそれらを任意に組み合わせて、吸収器に結合することができる。
【0056】
上記で詳細に説明した主題は、以下に規定するように、1つ又は複数の実施形態によって定義することができる。
[実施形態1]
システムは、吸収器を含み、前記吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器であって、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されている、容器を有する。本システムは、前記該容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプも含み、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させるように構成されている。
[実施形態2]
前記吸収器に結合された燃料入口部又は排気出口部を有する燃焼システムを含む、実施形態1に記載のシステム。
[実施形態3]
前記燃焼システムはガスタービンシステムを含む、実施形態1又は2に記載のシステム。
[実施形態4]
前記望ましくないガスは二酸化炭素(CO)を含む、実施形態1~3のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態5]
前記少なくとも1つのヒートパイプは、異なる位置で前記容器に結合された複数のヒートパイプを含む、実施形態1~4のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態6]
前記複数のヒートパイプの異なる位置は、前記吸収器の温度プロファイルに基づいており、前記複数のヒートパイプは、前記温度プロファイルの不均一性を低減するように構成されている、実施形態1~5のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態7]
前記少なくとも1つのヒートパイプは、蒸発器と、凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に延在する少なくとも1つの流体導管と、前記少なくとも1つのヒートパイプを流れる作動流体とを含む、実施形態1~6のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態8]
前記少なくとも1つの流体導管は、内側流路と同軸に配置された外側流路を含む、実施形態1~7のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態9]
前記少なくとも1つの流体導管は、前記蒸発器と前記凝縮器との間に第1の導管部分と第2の導管部分とを有する閉ループ導管を画定する、実施形態1~8のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態10]
前記作動流体は、シクロペンタン(C10)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、又はメチルノナフルオロブチルエーテル(メトキシパーフルオロブタン)とメチルノナフルオロイソブチルエーテル(methyl nonfluoroisobutyl ether)との混合物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~9のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態11]
前記蒸発器は前記吸収器に結合され、前記凝縮器は前記吸収器から分離されている、実施形態1~10のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態12]
前記蒸発器は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置されている、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置されている、又はそれらの配置が組み合わせられている、実施形態1~11のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態13]
前記蒸発器は第1の位置で前記吸収器に結合され、前記凝縮器は前記第1の位置とは異なる第2の位置で前記吸収器に結合され、前記少なくとも1つのヒートパイプは、熱を、前記蒸発器を通じて前記第1の位置から、前記凝縮器を通じて前記第2の位置に伝達するように構成されている、実施形態1~12のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態14]
前記蒸発器及び前記凝縮器の各々は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置される、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置される、又はそれらの配置が組み合わせられている、実施形態1~13のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態15]
前記吸収器は、前記内部容積内に配置されたパッキングを含み、前記蒸発器は、前記吸収器を前記ガス入口部から前記ガス出口部まで流れる気体の流れの第1の方向に対して前記パッキングの下流に配置され、前記溶媒は、前記吸収器を前記溶媒入口部から前記溶媒出口部まで流れる溶媒の流れの第2の方向を有し、前記第1の方向及び前記第2の方向は互いに反対である、実施形態1~14のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
[実施形態16]
特定の実施形態において、方法は、吸収器において、気体からの望ましくない気体を溶媒の中に吸収することを含み、前記吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び前記気体と前記溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器を含む。本方法は、前記容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプを通じて、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動させることを含む。
[実施形態17]
前記少なくとも1つの位置から熱を移動させることは、少なくとも1つのヒートパイプの蒸発器を通じて前記吸収器から熱を吸収することを含み、前記蒸発器は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置される、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置される、又はそれらの配置が組み合わせられている、実施形態16に記載の方法。
[実施形態18]
前記吸収器から分離した凝縮器を通じて前記少なくとも1つのヒートパイプから熱を移動させることを含む、実施形態16又は17に記載の方法。
[実施形態19]
前記吸収器に結合された凝縮器を通じて前記少なくとも1つのヒートパイプから熱を移動させることを含み、前記凝縮器は、前記容器の内部容積内に少なくとも部分的に配置されている、前記容器の側壁に沿うように前記容器の内部容積の外側に少なくとも部分的に配置されている、又はそれらの配置が組み合わされている、実施形態16~18のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態20]
特定の実施形態では、システムは、燃料供給システムと排気部とを有するガスタービンシステムと、前記燃料供給システム又は前記排気部に結合された吸収器とを含む。前記吸収器は、溶媒入口部、溶媒出口部、気体入口部、気体出口部、及び気体と溶媒とを混合するように構成された内部容積を有する容器を含む。前記吸収器は、前記気体からの望ましくない気体を前記溶媒の中に吸収するように構成されており、前記望ましくない気体は二酸化炭素(CO)を含む。本システムは、前記容器に結合された少なくとも1つのヒートパイプも含み、前記少なくとも1つのヒートパイプは、前記吸収器の少なくとも1つの位置から熱を移動するように構成されている。
【0057】
ここに記載された説明は、実施例を用いて本実施形態(最良の態様を含む)を開示し、また、現在開示されている実施形態を当業者が実施する(任意の装置又はシステムを製造すること及び使用すること、並びに組み込まれた任意の方法を実行することを含む)ことができるようにするものである。ここで開示された実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者が思い浮かぶ他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異なっていない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異なっていない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10 ガスタービンシステム
12 ガスタービンエンジン
14 制御システム
16 ガス吸収システム
18 吸気部
20 圧縮機部
22 燃焼器部
24 タービン部
26 負荷
28 排気部
30 吸気ダクト
32 ベルマウス
34 内側ハブ
36 外壁
38 静止ベーン
40 入口案内ベーン
42 アクチュエータ
44 圧縮機段
46 圧縮機ブレード
48 圧縮機シャフト
50 圧縮機ケーシング
52 圧縮機ベーン
54 燃焼器
56 燃料ノズル
58 圧縮空気
60 燃料
62 燃料供給システム
64 燃焼ガス
66 タービン段
68 タービンブレード
70 タービンシャフト
72 タービンケーシング
74 タービンベーン
76 コントローラ
78 プロセッサ
80 メモリ
82 命令
84 通信回路
86 センサ
90 シャフト
92 シャフト
94 排気ガス
100 ヒートパイプ
100A ヒートパイプ
100B ヒートパイプ
100C ヒートパイプ
100D ヒートパイプ
100E ヒートパイプ
100F ヒートパイプ
102 温度制御システム
104 吸収器
106 溶媒供給システム
108 溶媒排出システム
110 ガスリーン溶媒
112 導管
114 溶媒分配器
116 ノズル
118 溶媒分散液
120 内部容積
122 溶媒入口部
124 溶媒出口部
126 ガスリッチ溶媒
128 溶媒再生システム
130 ガス圧縮機
132 ガス乾燥機
134 捕捉されたガス
136 導管
138 ガス入口部
140 ガス
142 ガス出口部
144 ガス
146 筐体
148 頂部
150 底部
152 中間部
154 中心軸
156 軸
158 軸
162 カバー
164 側壁
166 ベースプレート
168 パッキング
170 スクリーン
172 溶媒分配器
174 ノズル
176 溶媒分散液
190 構成要素
200 蒸発器
202 凝縮器
204 流体導管
206 作動流体
220 熱交換器
222 導管
224 流体入口部
226 流体出口部
230 熱交換器
232 導管
234 U字形部分
236 流体入口部
238 流体出口部
240 熱交換器
242 螺旋状導管
244 流体入口部
246 流体出口部
250 熱交換器
252 導管
254 吸気マニホールド
256 排気マニホールド
258 流体入口部
260 流体出口部
270 端部
274 外側流路
276 内側流路
276 内部流路
278 中心軸
280 壁
282 ウィック
284 容器
286 矢印
288 液体の作動流体
290 蒸気の作動流体
300 閉ループ導管
302 導管部分
304 導管部分
306 リザーバ
310 作動流体
314 作動流体
314 液体の作動流体
320 グラフ
322 温度
322 ピーク温度
324 吸収器位置
326 温度プロファイル
328 温度プロファイル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】