IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オートリブ ディベロップメント エービーの特許一覧

特表2024-546271着用可能な安全システム及びかかる着用可能な安全システムを使用したバッグ構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】着用可能な安全システム及びかかる着用可能な安全システムを使用したバッグ構成
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/018 20060101AFI20241212BHJP
   A41D 13/015 20060101ALI20241212BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20241212BHJP
   A41D 27/12 20060101ALI20241212BHJP
   A42B 3/04 20060101ALI20241212BHJP
   A42B 1/08 20060101ALI20241212BHJP
   B62J 27/20 20200101ALI20241212BHJP
【FI】
A41D13/018
A41D13/015 105
A41D13/05
A41D27/12
A42B3/04
A42B1/08
B62J27/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535906
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2022082205
(87)【国際公開番号】W WO2023117224
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216088.1
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リース,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハッグ,ミカエラ
(72)【発明者】
【氏名】ストロム,サラ
(72)【発明者】
【氏名】マジャル,レベッカ
【テーマコード(参考)】
3B035
3B107
3B211
【Fターム(参考)】
3B035AA01
3B035AB07
3B035AB08
3B035AB18
3B107BA02
3B107CA02
3B107EA05
3B211AA01
3B211AC04
(57)【要約】
【解決手段】 着用可能な安全システム(100)が提供される。本システムは、背中保護パネル(7)、2本のショルダストラップ(3a、3b)、及びヒップベルト(4)を備える、ハーネス(1)を備える。ハーネス(1)は、着用者の胴体に着用されるように構成されている。本システムは、少なくとも1つのインフレータ(10)と、少なくとも1つのエアバッグ(9)と、を更に備える。着用可能な安全システム(100)は、事故の検出時に起動信号を生成するように構成されている。少なくとも1つのエアバッグ(9)は、起動信号の生成時に膨張され、かつ展開されて、着用者の頭部及び肩部のうちの少なくとも一方、着用者の胸部領域、並びに着用者の臀部にわたる延在部を有する少なくとも1つの膨張体を形成するように構成されている。更に、バッグ構成が提供される。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用可能な安全システム(100)であって、
背中保護パネル(7)と、2本のショルダストラップ(3a、3b)と、ヒップベルト(4)と、を備える、ハーネス(1)であって、前記ハーネス(1)が、着用者の胴体に着用されるように構成されており、
前記背中保護パネル(7)が、剛性材料によって形成され、前記ハーネス(1)の後壁(2)の長手方向延在部に沿った延在部を有し、
前記背中保護パネル(7)が、少なくとも1つのインフレータ(10)、ECU(13)、及びバッテリ(14)を支持し、前記ECUが、前記少なくとも1つのインフレータ(10)と通信するように配置されており、
前記少なくとも1つのインフレータ(10)が、前記背中保護パネル(7)に形成された凹部又は貫通開口部において受容される、ハーネス(1)と、
少なくとも1つのエアバッグ(9)であって、
前記着用可能な安全システム(100)が、事故の検出時に起動信号を生成するように構成されており、
前記少なくとも1つのエアバッグ(9)が、前記起動信号の前記生成時に膨張され、かつ展開されて、前記着用者の頭部及び肩部のうちの少なくとも一方、前記着用者の胸部領域、並びに前記着用者の臀部にわたる延在部を有する少なくとも1つの膨張体を形成するように構成されている、少なくとも1つのエアバッグ(9)と、を備える、着用可能な安全システム(100)。
【請求項2】
前記着用可能な安全システム(100)が、1つのエアバッグ(9)を備え、前記エアバッグが、膨張及び展開されて、前記着用者の前記頭部及び肩部、前記着用者の前記胸部領域、及び前記着用者の前記臀部にわたる延在部を有する膨張体を形成するように構成されている、請求項1に記載の着用可能な安全システム。
【請求項3】
前記着用可能な安全システム(100)が、2つのエアバッグ(9)を備え、1つのエアバッグが、膨張及び展開されて、前記着用者の前記頭部、肩部、及び前記胸部領域にわたる延在部を有する膨張体を形成するように構成されており、1つのエアバッグが、膨張及び展開されて、前記着用者の前記臀部にわたる延在部を有する膨張体を形成するように構成されている、請求項1に記載の着用可能な安全システム。
【請求項4】
前記2つのエアバッグ(9)が、互いに流体連通するように配置されており、また、1つの単一のインフレータ(10)によって膨張されるように構成されているか、又は
前記2つのエアバッグ(9)が、別個のエアバッグであり、各エアバッグが、それぞれのインフレータ(10)によって膨張されるように構成されている、請求項3に記載の着用可能な安全システム。
【請求項5】
前記着用可能な安全システム(100)が、3つのエアバッグ(9)を備え、
1つのエアバッグが、膨張及び展開されて、前記着用者の前記頭部、肩部、及び胸部領域にわたる延在部を有する膨張体を形成するように構成されており、2つのエアバッグが、膨張及び展開されて、前記着用者のそれぞれの前記臀部にわたる延在部を有する膨張体を形成するように構成されている、請求項1に記載の着用可能な安全システム。
【請求項6】
前記3つのエアバッグ(9)が、互いに流体連通するように配置されており、また、1つの単一のインフレータ(10)によって膨張されるように構成されているか、又は
前記3つのエアバッグが、別個のエアバッグ(9)であり、各エアバッグが、それぞれのインフレータ(10)によって膨張されるように構成されている、請求項5に記載の着用可能な安全システム。
【請求項7】
前記システムが、1つのインフレータ(10)を備え、前記1つのインフレータ(10)が、1つ以上のエアバッグ(9)を膨張させるように構成されている、請求項1に記載の着用可能な安全システム。
【請求項8】
ジャイロセンサ及び加速度計からなる群からの、少なくとも1つの運動センサ(18)を更に備え、前記ECU(13)が、前記少なくとも1つの運動センサ(18)からの入力信号に基づいて、事故の存在を判定して、前記起動信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の着用可能な安全システム。
【請求項9】
前記ショルダストラップ(3a、3b)及び/又は前記ヒップベルト(4)の各々が、バックルセンサ(16、17)を有するバックル構成(5、6)を備え、前記バックルセンサが、前記バックル構成(5、6)を使用することによって、前記着用可能な安全システム(100)が前記着用者の身体に結合されているかどうかを示す結合信号を生成するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の着用可能な安全システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエアバッグ(9)が、前記ハーネス(1)の後壁(2)の上位端部分、前記2本のショルダストラップ(3a、3b)、及び前記ヒップベルト(4)のうちの1つ以上に一体化されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の着用可能な安全システム。
【請求項11】
前記2本のショルダストラップ(3a、3b)及び前記ヒップベルト(4)が、前記少なくとも1つのエアバッグ(9)の膨張中に破断するように構成された1つ以上の分裂線(19)を含む、請求項10に記載の着用可能な安全システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのエアバッグ(9a、9b)が、少なくとも1つのクイック結合構成(400)によって、前記ハーネス(1)に取り外し可能に取り付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の着用可能な安全システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエアバッグ(9a、9b)が、展開状態において、前記着用者の身体の第1の部分に保護を提供する膨張体(96)を形成するように構成された第1のフラップ部分(90)と、展開状態において、前記着用者の身体の第2の部分に保護を提供する膨張体(95)を形成するように構成された第2のフラップ部分(91)と、を備え、
前記第1のフラップ部分(90)のコネクタ(92)が、前記第2のフラップ部分(91)のコネクタ(94)に接続可能であり、それによって、前記少なくとも1つのエアバッグ(9a、9b)が展開された状態で、前記第1及び第2の膨張体(95、96)を一緒に展開させ、前記着用者の身体の前記第1及び第2の部分に適合させて少なくとも部分的に取り囲ませる、請求項1~12のいずれか一項に記載の着用可能な安全システム。
【請求項14】
前記ハーネス(1)が、バッグ(101)と一体化されるか、又は前記バッグ(101)に取り外し可能に接続可能であり、それによって、バックパックを形成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の着用可能な安全システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の着用可能な安全システムが提供されたバッグ構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用可能な安全システム及びかかる着用可能な安全システムを使用したバッグ構成に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
当該技術分野では、ヘルメット及び異なる種類の剛性保護又は半剛性保護などの、着用可能な安全システムを肩部、背中、肘、臀部、などに提供することが周知されている。しかしながら、これらの着用可能な安全システムは、典型的には、嵩張るものと感じられる。これは、特に、バックパック又はバッグなどの他の共通の機器との組み合わせが、邪魔になり得るか、又は安全システムを使用しない口実として使用され得る。しかしながら、着用した場合、それが通勤、建設作業、屋外活動、又は更にはエクストリームスポーツであっても、特に活動的な人々の間では、重傷を防ぐ又は軽減し得る。着用可能な安全システムの更なる改善、及び特に、通常の活動中によりユーザフレンドリである着用可能な安全システムの提供に対する必要性が存在する。
【0003】
本発明の目的は、上で説明される欠点を克服すること、及び改善された着用可能な安全システムを提供することである。
【0004】
別の目的は、バッグと容易に組み合わせ可能である、着用可能な安全システムを提供することである。
【0005】
更に別の目的は、事故が発生した場合に展開されて、頭部及び肩部、胸部領域、並びに臀部のための保護を選択的に形成することができる、着用可能な安全システムを提供することである。
【0006】
以下の概要及び説明から明らかになるこれらの及び他の目的は、添付の特許請求の範囲による着用可能な安全システムによって達成される。
【0007】
本発明の一態様によれば、
着用可能な安全システムであって、
背中保護パネルと、2本のショルダストラップと、ヒップベルトと、を備える、ハーネスであって、当該ハーネスが、着用者の胴体に着用されるように構成されており、
背中保護パネルが、剛性材料によって形成されて、ハーネスの後壁の長手方向延在部に沿った延在部を有し、
背中保護パネルが、少なくとも1つのインフレータ、ECU、及びバッテリを支持しており、当該ECUが、少なくとも1つのインフレータと通信するように配置されており、
少なくとも1つのインフレータが、背中保護パネルに形成された凹部又は貫通開口部において受容される、ハーネスと、
少なくとも1つのエアバッグであって、
着用可能な安全システムが、事故の検出時に起動信号を生成するように構成されており、
少なくとも1つのエアバッグが、起動信号の生成時に膨張され、かつ展開されて、着用者の頭部及び肩部のうちの少なくとも一方、着用者の胸部領域、並びに着用者の臀部にわたる延在部を有する少なくとも1つの膨張体を形成するように構成されている、少なくとも1つのエアバッグと、を備える、着用可能な安全システムが提供される。
【0008】
したがって、2本のショルダストラップと、ヒップベルトと、を有するハーネスとして具現化され、それによって、着用可能な安全システムが着用者の胴体に着用され得る、着用可能な安全システムが提供される。安全システムは、1つ以上の膨張可能なエアバッグに依存するので、着用者の通常の運動又は衣服の選択肢を制限する、嵩張った保護パネルが存在しない。しかしながら、事故があったと判定した場合には、少なくとも1つのエアバッグを膨張及び展開させて、着用者の頭部及び肩部のうちの少なくとも一方、着用者の胸部領域、並びに着用者の臀部にわたる能動的な保護を形成し得る。いくつかのエアバッグが存在する場合、安全システムは、判定された事故のタイプに応じて、膨張させるべきエアバッグの数を判定するように構成され得る。
【0009】
少なくとも1つのインフレータは、1つ以上のエアバッグを膨張させるように構成され得る。
【0010】
これは、インフレータが、背中保護パネルの2つの対向する主表面の一方又は両方よりも実質的に下に、又はそれと水平になるように、凹部又は貫通開口部において受容される場合に有利である。
【0011】
ECU及びバッテリは、背中保護パネルに形成された凹部又は貫通開口部において受容され得る。これは、ECU及びバッテリが、背中保護パネルの2つの対向する主表面の少なくとも1つよりも実質的に下に、又はそれと水平になるように、凹部又は貫通開口部において受容される場合に有利である。バッテリは、容易な再充電又は交換を可能にするために、背中保護パネルの外部から容易にアクセス可能であるような位置に配置されることが好ましい。
【0012】
したがって、着用が容易であり、かつ衣類のタイプ及び活動のタイプへの適合が容易である、着用可能な安全システムが提供される。そのため、日常活動が作業であるか、趣味であるか、又はスポーツであるかにかかわらず、全く同じ安全システムが、多くの異なるタイプの日常活動に使用され得る。
【0013】
1つの実施形態では、着用可能な安全システムは、1つのエアバッグを備え得、当該エアバッグは、膨張及び展開されて、着用者の頭部及び肩部、着用者の胸部領域、並びに着用者の臀部にわたる延在部を有する膨張体を形成するように構成されている。1つのエアバッグの空間拡張は、その膨張及び展開状態で見たときに、異なる厚さを有する異なる仮想ゾーンに分けられて、それによって、着用者の身体の異なる領域にわたって異なるタイプの緩衝効果を提供し得る。この効果はまた、シーム及びテザーを使用することによっても提供され得る。
【0014】
1つの実施形態では、着用可能な安全システムは、2つのエアバッグを備え得、1つのエアバッグが膨張及び展開されて、着用者の頭部、肩部、及び胸部領域にわたる延在部を有する膨張本体を形成するように構成されており、1つのエアバッグが膨張及び展開されて、着用者の臀部全体にわたる延在部を有する膨張本体を形成するように構成されている。
【0015】
安全システムは、判定された事故のタイプに応じて、2つのエアバッグのうちのどちらを膨張させるべきであるか、又は両方のエアバッグを同時に膨張させるべきであるか、を判定するように構成され得る。2つのエアバッグの空間拡張は、それらの膨張及び展開状態で見たときに、異なる厚さを有する異なる仮想ゾーンに分けられて、それによって、着用者の身体の異なる領域にわたって異なるタイプの緩衝効果を提供し得る。
【0016】
2つのエアバッグは、互いに流体連通するように配置され得、また、1つの単一のインフレータによって膨張させるように構成され得る。代替的に、2つのエアバッグは、別個のエアバッグであり得、各エアバッグは、それぞれのインフレータによって膨張されるように構成され得る。
【0017】
1つの実施形態では、着用可能な安全システムは、3つのエアバッグを備え得、1つのエアバッグが、膨張及び展開されて、着用者の頭部、肩部、及び胸部領域にわたる延在部を有する膨張本体を形成するように構成されており、2つのエアバッグが、膨張及び展開されて、着用者のそれぞれの臀部にわたる延在部を有する膨張本体を形成するように構成されている。安全システムは、判定された事故のタイプに応じて、3つのエアバッグのうちのどれを膨張させるべきであるか、又は全てのエアバッグを同時に膨張させるべきであるか、を判定するように構成され得る。
【0018】
3つのエアバッグは、互いに流体連通するように配置され得、また、1つの単一のインフレータによって膨張させるように構成され得る。代替的に、3つのエアバッグは、別個のエアバッグであり得、各エアバッグをそれぞれのインフレータによって膨張させるように構成され得る。
【0019】
ECU及び1つ以上のインフレータは、不正開封防止様式で配置され得る。
【0020】
着用可能な安全システムは、ジャイロセンサ及び加速度計からなる群からの、少なくとも1つの運動センサを更に備え得、ECUは、少なくとも1つのセンサからの入力信号に基づいて、事故の存在を判定して、起動信号を生成するように構成され得る。少なくとも1つの運動センサは、有線又は無線様式でECUと通信するように構成され得る。
【0021】
ショルダストラップ及び/又はヒップベルトの各々は、バックルセンサを有するバックル構成を備え得、センサは、バックル構成を使用することによって、着用可能な安全システムが着用者の身体に結合されているかどうかを示す結合信号を生成するように構成されている。バックルセンサは、非限定的な例として、バックル構成の構成要素を相互接続することによって確立することが必要な磁気結合の形態、又はバックル構成の構成要素を相互接続することによって確立される閉電気回路の形態であり得る。構成にかかわらず、バックルセンサは、ECUと通信するように配置されるべきであり、それによって、ECUは、結合信号に基づいて、バックル構成を使用することによって、ショルダストラップ及びヒップベルトが正しく締結されているかどうかを判定し得、したがって、着用可能な安全システムが着用者の身体に結合されているかどうかを判定し得る。正しく締結されていると判定された場合は、着用可能な安全システムがアクティブモードに設定され得、それによって、必要に応じてインフレータを起動することを可能にする。
【0022】
少なくとも1つのエアバッグは、2本のショルダストラップに、及びヒップベルトに一体化され得る。
【0023】
エアバッグは、ショルダストラップ及びヒップベルトをそれぞれ形成するテキスタイル/材料の内側に配置され得る。エアバッグは、巻かれた状態で、折り畳まれた状態で、又は巻かれた状態と折り畳まれた状態との組み合わせで配置され得る。1つ以上のエアバッグは、好ましくは、背中保護パネルの長手方向中心線に沿って延在する仮想対称線に沿って見たときに、2本のショルダストラップ及びヒップベルトにそれぞれ対称的に一体化され得る。
【0024】
2本のショルダストラップ及びヒップベルトは、少なくとも1つのエアバッグの膨張中に破断するように構成された1つ以上の分裂線を含み得る。
【0025】
分裂線は、局所的により弱い材料又は局所的により薄い材料によって提供され得る。1本以上の分裂線が、一例として、縫製シーム、接着シーム、又は溶接シームとして形成され得る。
【0026】
少なくとも1つのエアバッグは、少なくとも1つのクイック結合構成によって、ハーネスに取り外し可能に取り付けられ得る。
【0027】
それによって、ハーネスには、事故が生じた場合に膨張をもたらす新しいエアバッグが容易に提供され得る。それによって、ハーネスの有効寿命が長くなり得る。
【0028】
少なくとも1つのエアバッグは、展開状態において、着用者の身体の第1の部分に保護を提供する膨張体を形成するように構成された第1のフラップ部分と、展開状態において、着用者の身体の第2の部分に保護を提供する膨張体を形成するように構成された第2のフラップ部分と、を備え得、
第1のフラップ部分のコネクタが、第2のフラップ部分のコネクタに接続可能であり、それによって、少なくとも1つのエアバッグが展開された状態で、第1及び第2の膨張体を一緒に展開させ、着用者の身体の第1及び第2の部分に適合させて少なくとも部分的に取り囲ませる。
【0029】
第1のフラップ部分は、着用者の身体の2つの肩部に保護を提供するように構成され得、第2のフラップ部分は、着用者の身体の胸部領域に保護を提供するように構成され得る。
【0030】
ハーネスは、バッグと一体化され得るか、又はバッグに取り外し可能に接続可能であり得、それによって、バックパックを形成する。ハーネスは、異なるサイズ及び使用目的の1つ以上のバッグに取り外し可能に接続可能であるように構成され得る。バッグを取り外し可能に接続可能にすることによって、ハーネスは、着用者の判断で容易にスタンドアロンハーネスからバックパックに変換され得る。
【0031】
別の態様によれば、請求項1~14のいずれか一項に記載の着用可能な安全システムが提供されたバッグ構成が提供される。
【0032】
かかる着用可能な安全システム及びその利点は、上で十分に説明している。そうした議論は、かかる着用可能な安全システムを使用するバッグにも同様に当てはまる。バッグは、バックパックとして構成され得る。代替的に、バッグは、臀部、胸部、又は腰部に着用するように構成され得る。したがって、無用な繰り返し回避するために、上記のセクションを参照する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示は、現在の好ましい本開示の実施形態の例を示す添付の概略図を参照しながらより詳細に説明される。
図1図1は、本発明の1つの実施形態による、着用可能な安全システムの非常に概略的な例解図である。
図2図2は、着用可能な安全システムのハーネス形成部分の1つの実施形態の内部設計の非常に概略的な例解図である。
図3図3は、着用可能な安全システムのハーネス形成部分の1つの実施形態の内部設計の非常に概略的な例解図である。
図4a図4aは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にある、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図4b図4bは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にある、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図5a図5aは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にあり、頭部及び肩部を覆っている、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図5b図5bは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にあり、頭部及び肩部を覆っている、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図6a図6aは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にあり、胸部領域を覆っている、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図6b図6bは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にあり、胸部領域を覆っている、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図7a図7aは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にあり、臀部を覆っている、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図7b図7bは、通常の使用中でエアバッグが膨張及び展開状態にあり、臀部を覆っている、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な例解図である。
図8図8は、2つのバッグを有するバックパックに変換された着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な図である。
図9図9は、ハーネスの後方及び前方でバッグを支持する、着用可能な安全システムの1つの実施形態の非常に概略的な図である。
図10a図10aは、クイック結合構成によって少なくとも1つのエアバッグがハーネスに取り外し可能に取り付けられた1つの例の非常に概略的な図である。
図10b図10bは、クイック結合構成によって少なくとも1つのエアバッグがハーネスに取り外し可能に取り付けられた1つの例の非常に概略的な図である。
図11a図11aは、その展開状態において少なくとも1つのエアバッグの全体的な形状を制御するためにコネクタが使用される1つの実施形態を開示する。
図11b図11bは、その展開状態において少なくとも1つのエアバッグの全体的な形状を制御するためにコネクタが使用される1つの実施形態を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、本開示の現在の好ましい実施形態が示される添付図面を参照しながら、本開示がより完全に説明される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために、また、本開示の範囲を当業者に伝えるために提供されている。全体を通して、同じ参照符号は、同じ要素を指す。
【0035】
図1から始めると、ハーネス1の形態の着用可能な安全システム100の1つの実施形態の1つの概略例解図が提供されている。
【0036】
ハーネス1は、着用者の背中に面するように構成された後壁2と、その上縁部分及び下縁部分において後壁2に接続された2本のショルダストラップ3a、3bと、後壁2の下縁部に接続された2つの側面4a、4bの形態のヒップベルト4と、を備える。ハーネス1は、使用時に着用者の胴体で支持され、そこに結合されるように構成されている。
【0037】
後壁2、2本のショルダストラップ3a、3b、及びヒップベルト4には、着用者の身体に面するように構成された表面に好適なパッド(例解せず)が提供され得る。ハーネスは、耐摩耗性材料及び耐水性材料などの任意の好適な材料によって提供され得る。
【0038】
2本のショルダストラップ3a、3bには、バックル構成5が提供されている。バックル構成5は、ハーネス1の使用中に着用者の胸部領域にわたってインターロックされるように構成された第1のバックル部材5a及び第2のバックル部材5bを備える。
【0039】
ヒップベルト4の2つの側面4a、4bには、ハーネス1の使用中に着用者の臀部にわたってインターロックされるように構成された第1のバックル部材6a及び第2のバックル部材6bを備えるバックル構成6が提供されている。
【0040】
バックル構成5、6によって、ハーネスは、使用時に着用者の胴体に確実に結合され得る。
【0041】
後壁2は、背中保護パネル7を備える。図2に最も良く示されているように、背中保護パネル7は、好ましくは、ハーネスの保護カバー8に封入されている。カバーは、不正開封防止構造であり得る。背中保護パネル7は、後壁2の長手方向延在部に沿った延在部を有する、剛性パネルである。背中保護パネル7は、プラスチック材料、複合材料、又は軽量金属材料で形成され得る。背中保護パネル7は、ハーネス1に全体的な構造を提供する。更に、背中保護パネル7は、事故が生じた場合に脊椎の保護を提供し得る。
【0042】
ここで、図2を参照すると、着用可能な安全システム100の一部を形成するハーネス1の1つの実施形態の内部設計の非常に概略的な例解図が開示されている。開示されたハーネス1は、2つの別個のエアバッグ9a、9bと、2つのインフレータ10a、10bと、を備える。
【0043】
第1のエアバッグ9aは、後壁2の上部分にわたる、及び2本のショルダストラップ3に沿った延在部を有する区画11内に、折り畳まれた状態及び/又は巻かれた状態で封入されている。
【0044】
第1のエアバッグ9aは、背中保護パネル7によって支持された第1のインフレータ10aと連通するように配置されている。下で説明されるように、第1のエアバッグ9aは、膨張及び展開状態において、着用者の頭部及び肩部、更には着用者の胸部領域にわたる保護を提供するように構成されている。第1のエアバッグ9aは、第1のインフレータ10aの開口部と連通するように配置されている。
【0045】
第2のエアバッグ9bは、ヒップベルト4の2つの側面4a、4bに沿った延在部を有する区画12内に、折り畳まれた状態及び/又は巻かれた状態で封入されている。第2のエアバッグ9bは、背中保護パネル7によって支持された第2のインフレータ10bと連通するように配置されている。第2のエアバッグ9bは、臀部にわたる保護を提供するように構成された、膨張及び展開状態である。第2のエアバッグ9bは、第2のインフレータ10bの開口部と連通するように配置されている。
【0046】
当該技術分野において既知であるようなエアバッグ9a、9bは、柔軟な布材料で作製され得る。材料は、織材料又は不織材料などの織物材料であり得る。材料は、プラスチック材料又は複合材料であり得る。エアバッグには、展開を制御するためにテザー(例解せず)及び他のタイプの要素が提供され得る。かかる制御部は、当該技術分野において既知のエアバッグであり、更に考察されない。
【0047】
当業者は、エアバッグ9a、9bを折り畳む及び/又は巻くことは、機能を残したまま多くの方法で行われ得、折り畳みパターンが、エアバッグの全体的なジオメトリに、及びそれらの意図した展開に適合されていることを認識している。
【0048】
エアバッグ9a、9bは、好ましくは、背中保護パネル7の長手方向中心線に沿って延在する仮想対称線に沿って見たときに、2本のショルダストラップ3a、3bに、及びヒップベルト4の2つの側面4a、4bに対称的に一体化されている。
【0049】
背中保護パネル7は、ECU13(Electronic Control Unit、電子制御ユニット)及びバッテリ14を支持している。プロセッサ(例解せず)を備えるECU13は、それぞれのインフレータ10a、10bと通信するように配置されている。当該技術分野において既知のエアバッグシステムであるようなインフレータ10a、10bは、各々がガス生成器(例解せず)を備え得る。インフレータ10a、10bは、ECU13に接続されるように、及び事故を示す起動信号に基づいて起動するように構成されている。
【0050】
ECU13、インフレータ10a、10b、及びバッテリ14は、1つ以上の凹部15又は背中保護パネル7に形成された貫通開口部において受容され得る。これは、ECU13、インフレータ10a、10b、及びバッテリ14が、背中保護パネル7の2つの対向する主表面のうちの少なくとも1つのよりも実質的に下に、又はそれと水平になるように、1つ以上の凹部15又は貫通開口部で受容される場合に有利である。それによって、いかなる部分も背中保護パネル7から突出していない。
【0051】
1つ以上の凹部15又は貫通開口部15はまた、1つ以上のエアバッグ9a、9bの少なくとも一部分を受容するように構成され得る。
【0052】
バッテリ14は、容易な再充電又は交換を可能にするために、背中保護パネル7の外部から容易にアクセス可能であるような位置に配置されることが好ましい。バッテリ14へのアクセスは、カバー8の例解されていない再閉鎖可能な開口部を介して提供され得る。インフレータ、ECU、及びエアバッグは、不正開封防止様式で配置されることが好ましい。
【0053】
上記のように、ショルダストラップ3a、3b及びヒップベルト4は、各々がバックル構成5、6を備える。各バックル構成5、6は、以下バックルセンサ16、17と称されるセンサを備え得る。バックルセンサ16、17は、バックル構成5、6を使用することによって、着用可能な安全システム100が着用者の胴体に結合されているかどうか示す結合信号を生成するように構成されている。バックルセンサ16、17は、非限定的な例として、バックル構成16、17のバックル部材5a、5b;6a、6bを相互接続することによって確立することが必要な磁気結合の形態、又はバックル部材5a、5b;6a、6bを相互接続することによって確立される閉電気回路の形態であり得る。構成にかかわらず、バックルセンサ16、17は、ECU13と通信するように配置されている。バックルセンサ16、17は、有線又は無線様式でECU13と通信するように構成され得る。ECU13は、結合信号に基づいて、バックル構成5、6を使用することによって、ショルダストラップ3a、3b及びヒップベルト4が正しく締結されているかどうかを、したがって、着用可能な安全システム100が着用者の身体に結合されているかどうかを判定するように構成され得る。正しく締結されたと判定された場合、着用可能な安全システム100は、アクティブモードに設定され得、それによって、必要に応じてインフレータ10a、10bを起動することを可能にする。
【0054】
更に、着用可能な安全システム100は、ジャイロセンサ及び加速度計からなる群からの、少なくとも1つの運動センサ18を備える。少なくとも1つの運動センサ18は、有線又は無線様式でECUと通信するように構成され得る。少なくとも1つの運動センサ18は、ハーネス1上の任意の好適な位置に配置され得る。
【0055】
ECU13は、少なくとも1つの運動センサ18からの入力信号に基づいて、事故の存在を判定して、起動信号を生成するように構成されている。1つ以上の運動センサ18が単独又は組み合わせで所定の閾値を超えた運動又は加速を示した場合に、事故が発生したと判定され得る。ECU13は、少なくとも1つのインフレータ10a、10bの起動を判定及び制御し、それによって、1つ以上のエアバッグ9a、9bを膨張及び展開させるように構成され得る。ECU13は、判定された事故のタイプに応じて、エアバッグ9a、9bのうちのどちらを膨張させるべきか、又は全てのエアバッグ9a、9bを同時に膨張させるべきか、を判定するように構成され得る。
【0056】
ECU13のプロセッサが、少なくとも1つの運動センサ18から収集して処理した信号に基づいて、事故があったと判定した場合には、起動信号がそれぞれのインフレータ9a、9bに通信される。この起動信号に基づいて、それぞれのガス生成器を起動させて、エアバッグ9a、9bを膨張させるガス流を生成する。エアバッグ9a、9bは、着用者の頭部及び肩部のうちの少なくとも一方、着用者の胸部領域、並びに着用者の臀部にわたる延在部を有する少なくとも1つの膨張体を形成するように展開される。
【0057】
図1に最も良く示されているように、後壁2の上部分、2本のショルダストラップ3a、3b、及びヒップベルト4の2つの側面4a、4bは、分裂線19を含む。分裂線19は、破線によって概略的に例解されている。分裂線19は、少なくとも1つのエアバッグ9a、9bの膨張中に破断するように構成されている。分裂線19は、局所的により弱い材料又は局所的により薄い材料によって提供され得る。1本以上の分裂線19が、縫製シーム、接着シーム、又は溶接シームとして形成され得る。
【0058】
ここで、図3を参照すると、着用可能な安全システム100の代替的な実施形態が開示されている。着用可能な安全システム100は、図1及び図2を参照しながら説明されたものと同じ全体的な設計を有するハーネス1を備える。違いとしては、ハーネス1は、1つのエアバッグ9と、1つのインフレータ10と、を備える。
【0059】
エアバッグ9は、後壁2の上部分にわたる、及び2本のショルダストラップ3a、3bに沿った、更にはヒップベルト4の2つの側面4a、4bに沿った延在部を有する、折り畳まれた状態及び/又は巻かれた状態で区画に封入されている。エアバッグ9は、インフレータ10と連通するように配置されている。インフレータ10は、エアバッグ9から見て実質的に中心位置に配置されている。エアバッグ9の第1の部分90aは、膨張及び展開状態で見たときに、着用者の頭部及び肩部にわたる、更には着用者の胸部領域にわたる保護を提供するように構成されている。エアバッグ9の第2の部分90bは、膨張及び展開状態で見たときに、着用者の臀部にわたる保護を提供するように構成されている。
【0060】
2つのエアバッグ部分90a、90bは、互いに流体連通するように例解されている。連通は、チャネル状の延在部90cを介して提供されている。チャネル状の延在部90cは、インフレータ10とは別個であるように例解されている。当業者は、機能を残したままの2つのエアバッグ部分90a、90bが、インフレータ10の出口20を介して互いに直接連通するように調整され得ることを認識している。
【0061】
ここで、図4a及び図4bを参照すると、頭部及び肩部領域、胸部領域、並びに臀部を保護するように構成された、着用可能な安全システム100の1つの実施形態が開示されている。ハーネス1は、図1図3を参照しながら上で説明されたものと同じタイプであり得、また、1つの単一のエアバッグ9を備え得るか、又は3つなどの2つ以上の別個のエアバッグ9a~9cに分けられ得る。1つの単一のエアバッグ9の場合、これは次に、3つのエアバッグ部分9a’~9c’に配置され得る。2つ以上の別個のエアバッグ9a~9cの場合、これらは、単一のインフレータによって、又は2つ以上の別個のインフレータによって膨張させるように構成され得る。
【0062】
エアバッグは、通常の使用中(図4aを参照されたい)に、ハーネス1の後壁2の上部分において、ショルダストラップ3a、3bに沿って、及びヒップベルト4の側面4a、4bに沿って含まれている。少なくとも1つのインフレータは、ハーネスの内部に隠されており、したがって、省略されている。
【0063】
エアバッグ9a~9c、9a’~9c’は、膨張及び展開されて(図4bを参照されたい)、頭部及び頬部領域の、肩部にわたる、胸部領域にわたる、更には臀部にわたる、部分的なカプセル化を提供するように構成されている。展開は、エアバッグのシーム(例解せず)だけでなく、エアバッグの内側の1つ以上のテザー(例解せず)によっても制御され得る。この種類の展開を可能にするために、後壁2、ショルダストラップ3a、3b、及びヒップベルト4のカバーの材料には、1つ以上の分裂線19が提供され得、それによって、材料は、エアバッグが膨張されるときに、制御された様式で破断する。
【0064】
ハーネスを形成する材料は、インフレータの起動時に、分裂線19に沿って破断し、それによって、フラップ状のデフレクタ(例解せず)を形成するように構成され得る。デフレクタは、エアバッグ9a~9cの展開を、頭部を保護するために上向きに、及び臀部を保護するために下向きに、などの、特定の方向に案内するように構成され得る。
【0065】
エアバッグ9a~9c、9a’~9c’の空間拡張は、それらの膨張及び展開状態で見たときに、異なる厚さを有する異なる仮想ゾーンに分けられて、それによって、着用者の身体の異なる領域にわたって異なるタイプの緩衝効果を提供し得る。この効果は、シーム及びテザーを使用することによって提供され得る。
【0066】
ここで、図5a及び図5bを参照すると、頭部及び肩部領域を保護するように構成されたエアバッグ9aの1つの実施形態が開示されている。エアバッグ9aは、好ましくは、ハーネス1の後壁2の上部分に含まれる(図5aを参照されたい)。エアバッグは、膨張されると、頭部及び頬部領域の、更には着用者の肩部にわたる、部分的なカプセル化を提供するように展開され得る(図5bを参照されたい)。
【0067】
当業者は、機能を残したまま頭部及び肩部を保護するように構成されたエアバッグが、2つ、又は更により多くの別個のエアバッグに分けられ得ることを認識している。かかる別個のエアバッグは、1つ以上のインフレータによって膨張されるように構成され得る。
【0068】
ここで、図6a及び図6bを参照すると、胸部領域を保護するように構成されたエアバッグ9bの1つの実施形態が開示されている。エアバッグ9bは、好ましくは、2本のショルダストラップ3a、3bに含まれる(図6aを参照されたい)。エアバッグ9bは、膨張されると、それぞれのショルダストラップの長手方向延在部に沿った延在部を各々が有する2つの膨張部分を提供するように展開され得る(図6bを参照されたい)。この種類の展開を可能にするために、それぞれのショルダストラップの前側面の材料には、1つ以上の分裂線19が提供され得、それによって、材料は、エアバッグが膨張されるときに、制御された様式で破断する。
【0069】
当業者は、機能を残したまま胸部領域を保護するように構成されたエアバッグが、2つの別個のエアバッグに分けられ得ることを認識している。2つの別個のエアバッグが胸部領域を保護する場合、エアバッグは、1つの単一のインフレータによって、又は別個のインフレータによって膨張させるように構成され得る。
【0070】
ここで、図7a及び図7bを参照すると、臀部を保護するように構成されたエアバッグ9cの1つの実施形態が開示されている。エアバッグ9cは、好ましくは、ヒップベルト4の2つの側面4a、4bに含まれる(図7aを参照されたい)。エアバッグ9cは、膨張されると、それは、展開されて、ヒップベルト4のそれぞれの側面4a、4bの長手方向延在部に沿った延在部を各々が有する2つの膨張部分9cを提供し得る(図7bを参照されたい)。
【0071】
当業者は、機能を残したまま臀部を保護するように構成されたエアバッグ9cが、ヒップベルトの各側面に1つずつ、2つの別個のエアバッグに分けられ得ることを認識している。2つの別個のエアバッグがヒップベルトを保護する場合、エアバッグは、1つの単一のインフレータによって、又は別個のインフレータによって膨張されるように構成され得る。
【0072】
ここで、図8を参照すると、1つの実施形態では、着用可能な安全システム100は、バックパック102として提供され得る。ハーネス1は、1つ以上のバッグ101と一体化され得るか、又はそれに取り外し可能に接続可能であり得る。バックパック102は、異なるサイズ、容積、及び使用目的を有する2つのバッグ101によって開示されている。バッグ101を取り外し可能に接続可能にすることによって、ハーネス1は、着用者の判断でスタンドアロンハーネス1からバックパック102に容易に変換され得る。バッグ101は、例えば1つ以上の(例解せず)ストラップ又はバックルを使用することによって、取り外し可能に接続可能であり得る。
【0073】
ここで、図9を参照すると、1つの実施形態では、着用可能な安全システム100には、バッグ101が提供され得る。ハーネス1は、1つ以上のバッグ101と一体化され得るか、又はそれに取り外し可能に接続可能であり得る。開示された実施形態では、ハーネス1には、1つのバッグ101がショルダストラップ3a、3bに接続されており、1つのバッグ101がヒップベルト4に接続されている、背面部分2に接続された2つのバッグ101が提供されている。バッグ101は、異なるサイズ、容積、及び使用目的を有し得る。1つ以上のバッグは、背中、臀部、胸部、又は腰部に着用するように構成され得る。
【0074】
1つ以上のバッグ101を取り外し可能に接続可能にすることによって、ハーネス1は、着用者の判断でスタンドアロンハーネス1から、ハーネスを支持するバッグへと容易に変換され得る。バッグ101は、例えば1つ以上の(例解せず)ストラップ又はバックルを使用することによって、取り外し可能に接続可能であり得る。
【0075】
ここで、図10a及び図10bを参照する。少なくとも1つのエアバッグ9a、9bは、ハーネス1に固定配置されるものとして上で例示されている。しかしながら、エアバッグの展開を生じさせる事故が発生した場合、使用済みのエアバッグを新しいエアバッグと交換し、それによって、ハーネスの再使用を可能にすることは困難である。
【0076】
図10a及び図10bは、少なくとも1つのエアバッグ9a、9bがクイック結合構成400によってハーネス1に取り外し可能に取り付けられた1つの例を非常に概略的に開示している。開示された実施形態では、少なくとも1つのエアバッグ9a、9bには、雌コネクタ401を形成するアイレットが提供されており、ハーネス1には、雄コネクタ402を形成するT字形状の突起が提供されている。雄コネクタ401及び雌コネクタ402を逆にした位置も同様に適用され得る。エアバッグ9a、9bをハーネス1に取り付けるには、T字形状の突起をそれぞれのアイレットに挿入する。必要に応じて、エアバッグ9a、9bを取り外すには、逆の順序を行う。当業者は、ハーネス1及びエアバッグ9a、9b内のクイック結合構成400の数及びそれらの位置が、接続されるエアバッグ及びハーネスの全体的な形状、更にはハーネスの設計に依存することを認識している。エアバッグ9a、9bをハーネス1に取り付けるクイック結合構成400の位置及び数を使用して、その展開状態における少なくとも1つのエアバッグの全体的な形状を制御することができる。当業者は、クイック結合構成400がアイレットと組み合わせたT字形状の突起とは別の構成を有し得ることを認識している。非限定的な例は、ポッパ、ストラップ、又はVelcro(登録商標)としても既知である、1つ以上のスナップファスナである。
【0077】
少なくとも1つのエアバッグを、ショルダストラップ又はヒップベルトなどのハーネスの他の部分に接続するために、全く同じ原理が使用され得る。
【0078】
ここで、図11a及び図11bを参照すると、その展開状態において少なくとも1つのエアバッグ9a、9bの全体的な形状を制御するためにコネクタが使用される、1つの実施形態が開示されている。
【0079】
図11aから始めると、その平坦な巻き出された状態にあるエアバッグ9a、9bの1つの例が開示されている。
【0080】
エアバッグ9a、9bは、具体的には、肩部及び胸部領域のための支持体を提供するように構成されている。エアバッグ9a、9bは、第1のフラップ部分90と、第2のフラップ部分91と、を備える。第1のフラップ部分90は、展開状態において、着用者の身体の第1の部分、すなわち肩部に保護を提供する膨張体を形成するように構成されている。第2のフラップ部分91は、展開状態において、着用者の身体の第2の部分、すなわち胸部領域に保護を提供する膨張体を形成するように構成されている。設計にかかわらず、エアバッグ9a、9bは、シーム又は溶接線によって異なる本体に分けられることによって、当該技術分野において既知であるような設計を有する。
【0081】
第1のフラップ部分90は、長手方向中心線の両側に、2つの雌型コネクタ92を備える。雌型コネクタ92は、エアバッグ9a、9bの外縁部に沿って配置されたそれぞれのタブ93に配置されている。それに応じて、第2のフラップ部分91は、長手方向中心線の両側に、2つの雄型コネクタ94を備える。コネクタ92、94は、膨張されないような領域に配置されるものとして開示されている。したがって、第2のフラップ部分91が2つの本体95に分けられるように膨張される際に、雄型コネクタ94は、かかる2つの本体95の間の領域に配置される。これは、コネクタのより強固な取り付けを可能にする。
【0082】
ここで、図11bを参照すると、膨張及び展開状態にあり、ハーネス1の後壁に取り外し可能に取り付けられたエアバッグ9a、9bが非常に概略的に開示されている。開示された構成は、長手方向中心線の周りに鏡面対称であり、片側だけが例解されている。
【0083】
ハーネス1は、破線によって非常に概略的に開示されている。ショルダストラップは省略されている。エアバッグ9a、9b自体は、図9a及び図9bを参照して上で考察されるものと同じタイプのクイック結合構成400によってハーネス1に取り外し可能に取り付けられる。したがって、エアバッグ9a、9bには、雌型コネクタ401を形成するアイレットが提供されており、ハーネス1には、雄型コネクタ402を形成するT字形状の突起が提供されている。エアバッグ9a、9bをハーネス1に取り付けるには、T字形状の突起をそれらのそれぞれのアイレットに挿入する。必要に応じて、エアバッグを取り外すには、逆の順序を行う。
【0084】
更に、その展開状態において肩部の保護を提供するように構成された第1のフラップ部分90は、折り畳まれており、また、その展開状態において胸部領域に保護を提供するように構成された第2のフラップ部分91に接続されている。この接続は、第1のフラップ部分90の雌型コネクタ92を第2のフラップ部分91の雄型コネクタ94に係合することによって提供される。エアバッグ9a、9bを膨張及び展開させる事故が発生した場合、2つのフラップ部分90、91間の相互接続により、結果として生じた2つの膨張体95、96を一緒に展開させて、着用者の身体の第1及び第2の部分に適合させて少なくとも部分的に取り囲ませる。したがって、肩部及び胸部領域が効率的に保護される。
【0085】
異なる膨張体を一緒に適合させるためにコネクタを使用するという全く同じ原理が、着用者の他の身体部分にも適用可能である。
【0086】
当業者は、エアバッグ9a、9bの第2のフラップ部分91内の雄型コネクタ94は、第1のフラップ部分90に配置された同じタイプの雌型コネクタと交換され得ること、及びそのショルダストラップなどのハーネスには、雄型コネクタが提供されることを理解している。次いで、エアバッグは、ハーネスに取り外し可能に取り付けることができ、一方で、上で説明したように、及び図11bに例解されているように、同様に第1のフラップ部分91を第2のフラップ部分92に接続することができる。
【0087】
当業者は、添付の特許請求の範囲において定義された本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に説明された実施形態の数多くの修正が可能であることを認識している。
【0088】
一例として、1種以上のエアバッグの材料は、展開中に伸長するように構成され得る。この伸張は、膨張されたエアバッグに全体的な剛性を加える。これは、エアバッグの全体に又はエアバッグの局所表面領域に異なる材料タイプ/特性を使用することによって提供され得る。
【0089】
エアバッグを、巻かれた状態又は折り畳まれた状態でハーネス内に配置されているように例示してきたが、当業者は、他のパターン又は異なるパターンの組み合わせが使用され得ることを認識している。どのようにエアバッグがハーネスにパックされるのかにかかわらず、エアバッグは、ハーネス内に対称的に配置されることが好ましい。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
【国際調査報告】