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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】複数の光路を有する光導波管
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20241212BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241212BHJP
   G02C 11/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09F9/00 313
G02C11/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535927
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022050730
(87)【国際公開番号】W WO2023113984
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,114
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローニー,ジョセフ・ダニエル
【テーマコード(参考)】
2H199
5G435
【Fターム(参考)】
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA94
5G435AA01
5G435BB04
5G435BB12
5G435BB17
5G435DD04
5G435FF08
5G435HH02
(57)【要約】
インカプラと、アウトカプラとを含む導波管を含むシステム及び方法が提供される。インカプラは、表示用の画像を表す表示光を受け取ることと、第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第2の部分を導くこと、を行うように構成され、第1の光路及び第2の光路は、実質的に重なり合わない伝搬角度を有する。アウトカプラは、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とを結合して画像の表現を表示するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管であって、
表示用の画像を表す表示光を受け取ることと、
第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第2の部分を導くことと、を行なうように構成されたインカプラを備え、前記第1の光路及び前記第2の光路は、実質的に重なり合わない伝搬角度を有しており、前記導波管はさらに、
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記画像の表現を表示するように構成されたアウトカプラを備える、導波管。
【請求項2】
前記表示光の前記第1の部分は、前記画像の第1の空間部分に対応し、
前記表示光の前記第2の部分は、前記画像の第2の空間部分に対応する、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記画像の前記第1の空間部分及び前記画像の前記第2の空間部分は、部分的に重なり合う、請求項2に記載の導波管。
【請求項4】
前記表示光の前記第1の部分は、波長の第1のセットを含み、
前記表示光の前記第2の部分は、前記第1のセットとは異なる波長の第2のセットを含む、請求項1に記載の導波管。
【請求項5】
前記導波管は、
前記第1の光路に配置され、前記アウトカプラに向けて前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトするように構成された第1の射出瞳拡大器と、
前記第1の光路に配置され、前記アウトカプラに向けて前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトするように構成された第2の射出瞳拡大器と、
を備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項6】
前記アウトカプラは、前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記表現を表示するように構成されている、請求項1に記載の導波管。
【請求項7】
前記インカプラは、
光学エンジンから前記表示光を受け取ることと、
前記表示光を少なくとも前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とに分割することと、
前記第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトすることと、
前記第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトすることと、
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載の導波管。
【請求項8】
前記インカプラは、前記表示光を前記表示光の第3の部分に分割し、前記表示光の前記第3の部分を、前記第1の光路及び前記第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬し導くようにさらに構成されている、請求項7に記載の導波管。
【請求項9】
前記表現は、前記画像の前記第1の部分、前記画像の前記第2の部分、及び前記画像の前記第3の部分の組み合わせである、請求項8に記載の導波管。
【請求項10】
方法であって、
表示用の画像を表す表示光を受け取ることと、
第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように前記表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第2の部分を導くこととを備え、前記第1の光路及び前記第2の光路は、それぞれ重なり合わない伝搬角度を有し、前記方法はさらに、
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して、前記画像の表現を表示することを含む、方法。
【請求項11】
前記表示光の前記第1の部分は、前記画像の第1の空間部分を伝達し、
前記表示光の前記第2の部分は、前記画像の第2の空間部分に伝達する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記画像の前記第1の空間部分及び前記画像の前記第2の空間部分は、部分的に重なり合う、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の光路に沿って前記表示光の前記第1の部分を導くことは、前記第1の光路に沿って前記表示光の波長の第1のセットを導くことを含み、
前記第2の光路に沿って前記表示光の前記第2の部分を導くことは、前記第2の光路に沿って前記表示光の波長の第2のセットを導くことを含み、
前記波長の第2のセットは、前記第1のセットとは異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の光路に配置された第1の射出瞳拡大器を用いて、前記導波管のアウトカプラに向けて前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトすることと、
前記第2の光路に配置された第2の射出瞳拡大器を用いて、前記アウトカプラに向けて前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトすることと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記アウトカプラを用いて、前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記表現を表示することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記導波管のインカプラを用いて、光学エンジンから前記表示光を受け取ることと、
前記インカプラによって、前記表示光を少なくとも前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とに分割することと、
前記インカプラによって、前記第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトすることと、
前記インカプラによって、前記第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトすることと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記表示光を第3の部分に分割することと、
前記表示光の前記第3の部分を、前記第1の光路及び前記第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬するように導くことと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分と、前記表示光の前記第3の部分とを結合することによって前記表現を表示することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
光学エンジンと、
導波管とを備え、
前記導波管は、
表示用の画像を表す表示光を受け取るように構成されており、
第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第2の部分を導くように構成されており、前記第1の光路及び前記第2の光路は、それぞれ重なり合わない伝搬角度を有し、前記導波管はさらに、
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記画像の表現を表示するように構成されている、投影システム。
【請求項20】
前記導波管は、前記表示光を第3の部分に分割し、前記表示光の前記第3の部分を、前記第1の光路及び前記第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬し導くようにさらに構成されている、請求項19に記載の投影システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の表示システムは、光のパターンを別の物体の上(例えば、映写スクリーンまたは網膜上になどの別の物体の表面の上)に投影または照射して、その別の物体の上にまたはその別の物体を介して画像またはビデオを表示するプロジェクタを使用する。従来の投影システムでは、光は時間的に変調されて、二次元表示領域全体に空間的に分布した光のパターンを提供する。変調された光のパターンが空間的に分布することによって、表示領域に画像が生成される。
【発明の概要】
【0002】
一実施形態では、導波管は、表示用の画像を表す表示光を受け取るように構成されたインカプラと、アウトカプラとを含む。インカプラは、第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第2の部分を導くように構成されており、第1の光路及び第2の光路は、実質的に重なり合わない伝搬角度を有し、アウトカプラは、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とを結合して画像の表現を表示するように構成される。
【0003】
表示光の第1の部分は、画像の第1の空間部分に対応する場合があり、表示光の第2の部分は、画像の第2の空間部分に対応する場合がある。画像の第1の空間部分及び画像の第2の空間部分は、部分的に重なり合う場合がある。
【0004】
表示光の第1の部分は、波長の第1のセットを含む場合があり、表示光の第2の部分は、波長の第1のセットとは異なる波長の第2のセットを含む。
【0005】
導波管は、第1の光路に配置され、アウトカプラに向けて表示光の第1の部分をリダイレクトするように構成された第1の射出瞳拡大器と、第1の光路に配置され、アウトカプラに向けて表示光の第2の部分をリダイレクトするように構成された第2の射出瞳拡大器とを含み得る。
【0006】
アウトカプラは、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とを結合して表現を表示するように構成され得る。
【0007】
インカプラは、光学エンジンから表示光を受け取ることと、表示光を少なくとも表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とに分割することと、第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第1の部分をリダイレクトすることと、第2の光路に沿って導波管内で伝搬し、表示光の第2の部分をリダイレクトすることとを行うようにさらに構成され得る。インカプラは、表示光を表示光の第3の部分に分割し、表示光の第3の部分を、第1の光路及び第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬し導くようにさらに構成され得る。表現は、画像の第1の部分、画像の第2の部分、及び画像の第3の部分の組み合わせであってもよい。
【0008】
一実施形態では、方法は、表示用の画像を表す表示光を受け取ることと、第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第2の部分を導くこととを備え、第1の光路及び第2の光路はそれぞれ重なり合わない伝搬角度を有し、方法はさらに、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とを結合して、画像の表現を表示することとを含む。
【0009】
表示光の第1の部分は、画像の第1の空間部分を伝達し得、表示光の第2の部分は画像の第2の空間部分を伝達する。画像の第1の空間部分及び画像の第2の空間部分は、部分的に重なり合う場合がある。
【0010】
第1の光路に沿って表示光の第1の部分を導くことは、第1の光路に沿って表示光の波長の第1のセットを導くことを含み得、第2の光路に沿って表示光の第2の部分を導くことは、第2の光路に沿って表示光の波長の第2のセットを導くことを含み、したがって、波長の第2のセットは第1のセットとは異なる。
【0011】
方法は、第1の光路に配置された第1の射出瞳拡大器を用いて、導波管のアウトカプラに向けて表示光の第1の部分をリダイレクトすることと、第2の光路に配置された第2の射出瞳拡大器を用いて、アウトカプラに向けて表示光の第2の部分をリダイレクトすることとをさらに含み得る。方法は、アウトカプラを用いて、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とを結合して表現を表示することをさらに含み得る。
【0012】
方法は、導波管のインカプラを用いて、光学エンジンから表示光を受け取ることと、インカプラによって、表示光を少なくとも表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とに分割することと、インカプラによって、第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第1の部分をリダイレクトすることと、インカプラによって、第2の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第2の部分をリダイレクトすることとをさらに含み得る。
【0013】
方法は、表示光を第3の部分に分割することと、表示光の第3の部分を、第1の光路及び第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬するように導くこととをさらに含み得る。方法は、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分と、表示光の第3の部分とを結合することによって表現を表示することをさらに含み得る。
【0014】
一実施形態では、投影システムは、光学エンジンと導波管とを含み、導波管は、表示用の画像を表す表示光を受け取るように構成されており、第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って導波管内で伝搬するように表示光の第2の部分を導くように構成されており、第1の光路及び第2の光路がそれぞれ重なり合わない伝搬角度を有し、前記導波管はさらに、表示光の第1の部分と、表示光の第2の部分とを結合して画像の表現を表示するように構成されている。導波管は、表示光を第3の部分に分割し、表示光の第3の部分を、第1の光路及び第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬し導くようにさらに構成され得る。
【0015】
本開示は、添付図面を参照することによって当業者に、より良く理解され、その多数の特徴及び利点は、明らかになり得る。異なる図面での同じ参照記号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】いくつかの実施形態による、統合レーザープロジェクタを有する表示システムを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、投影システムを含む表示システムの部分的に透明なビューを示す図である。
図3】インカプラと、アウトカプラと、射出瞳拡大器とを有する導波管の等角図を示す図である。
図4】k空間に対して図3の導波管を通る表示光の伝搬を示すチャートである。
図5】いくつかの実施形態に従って、インカプラと、アウトカプラと、インカプラの両側に配置された2つの射出瞳拡大器とを有する導波管の等角図を示す図であり、導波管は、2つの光路に沿って光を伝搬するように構成される。
図6】いくつかの実施形態に従って、k空間に対して図4の導波管を通る表示光の伝搬を示すチャートである。
図7】いくつかの実施形態に従って、インカプラと、アウトカプラと、2つの射出瞳拡大器とを有する導波管の等角図を示す図であり、導波管は、2つの光路に沿って光を伝搬するように構成され、インカプラは、第1及び第2の光路に沿って、射出瞳拡大器に向けて表示光の第1及び第2の部分をリダイレクトして、k次元とk次元の両方で対応する画像をシフトさせるように構成される。
図8】いくつかの実施形態に従って、k空間に対して図7の導波管を通る表示光の伝搬を示すチャートである。
図9】いくつかの実施形態に従って、インカプラと、アウトカプラと、インカプラの両側に配置された2つの射出瞳拡大器とを有する導波管の等角図を示し、導波管は、3つの光路に沿って表示光を伝搬するように構成される。
図10】いくつかの実施形態に従って、k空間に対して図9の導波管を通る表示光の伝搬を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図10は、表示画像の空間解像度または角度解像度を向上させながら、ニアアイディスプレイシステム(例えば、ウェアラブルヘッドアップディスプレイ(WHUD))または他の表示システムをコンパクトに配置するための実施形態を示す。本明細書で説明される特定の実施形態は、ウェアラブルディスプレイデバイスの一部として光学部品または他のコンポーネントを利用することを伴うが、追加の実施形態は、本明細書に説明される技術に従って様々な他のタイプのデバイスを介してそのようなコンポーネントを利用し得ることを理解されたい。
【0018】
本明細書に説明される実施形態によれば、表示システムの投影システムは、受け取った表示光を導波管のインカプラと導波管のアウトカプラとの間の複数の光路に沿って伝搬させる導波管を含む。導波管が受け取った表示光を伝搬させる光路は、それぞれk空間内の異なる位置に対応するため(kは、k=1/λとなるように波長の逆数である)、各光路の伝搬角度は異なる。光は、限られた数の離散的な伝搬角度(つまり、極角)で全反射(TIR)を介してのみ導波管を通って伝搬できるため、表示光を介して伝達される各画像の一部分のみが導波管を通して正常に伝搬されて、ユーザーの目に出力できる。いくつかの実施形態では、導波管を通る異なる光路の少なくとも一部分は、重なり合わない伝搬角度を有し、それによって各画像のそれぞれ異なる部分を導波管を介して正常に伝達することを可能にする。特定の実施形態では、導波管は、それぞれ異なる(重なり合わない)伝搬角度を有する異なる光路に沿って光を伝搬させるように構成されるため、画像を伝達する表示光が導波管を通って伝搬するにつれて表示光によって利用される光モードの密度、及び導波管によって出力される画像の空間解像度または角度解像度は、類似するまたは実質的に重なり合う伝搬角度を有する単一の光路または複数の光路を提供する従来の導波管の対応する態様と比較して増加する。本明細書で使用する場合、光モードは、画像を伝達する表示光の波長のための導波管を通る誘導光学伝搬経路のセットである。
【0019】
いくつかの実施形態では、導波管は、それぞれが導波管のインカプラの両側に配置された第1の射出瞳拡大器と、第2の射出瞳拡大器とを含む。表示用の元の画像に対応する表示光は、導波管のインカプラで受け取られる。導波管は、第1の射出瞳拡大器を含む第1の光路に沿って表示光の第1の部分を伝搬させ、第2の射出瞳拡大器を含む第2の光路に沿って表示光の第2の部分を伝搬させるように構成される。例えば、インカプラは、第1の射出瞳拡大器に向けて表示光の第1の部分をリダイレクトし(表示光の第1の部分によって伝達されるか、さもなければ表示光の第1の部分に対応する第1の画像を、k空間に対して正のk次元でシフトさせ)、第2の射出瞳拡大器に向けて受け取った表示光の第2の部分をリダイレクトする(表示光の第2の部分によって伝達されるか、またはそうでなければ表示光の第2の部分に対応する第2の画像を、k空間に対して負のk次元でシフトさせる)ように構成される。本明細書に説明されるように、表示光の変換またはリダイレクトに基づく元の画像またはその部分の後続の表現は、本明細書で画像そのものと呼ばれる場合があることを理解されたい。
【0020】
第1の射出瞳拡大器は、導波管のアウトカプラに向けて表示光の第1の部分をリダイレクトする(表示光の第1の部分によって伝達される第1の画像を、k空間に対して負のk次元及び負のk次元でシフトさせる)ように構成される。第2の射出瞳拡大器は、導波管のアウトカプラに向けて表示光の第2の部分をリダイレクトする(表示光の第2の部分によって伝達される第2の画像を、k空間に対して負のk次元及び正のk次元でシフトさせる)ように構成される。アウトカプラは、表示光がインカプラで入力された角度と同じか、または実質的に類似する角度(例えば、約5%以内)で、ユーザーの目に向けて表示光の第1及び第2の部分を出力するように構成される(表示光の第1及び第2の部分によって伝達される第1及び第2の画像を、k空間に対して正のk次元でシフトさせる)。第1及び第2の画像はアウトカプラで結合されて最終画像を形成する。最終画像は、元の画像の第1の部分と、元の画像の第2の部分とを含み、元の画像の第1の部分は、表示光の第1の部分に対応し、第1の光路に沿って表示光の第1の部分を介して伝達され、第2の部分は、表示光の第2の部分に対応し、第2の光路に沿って表示光の第2の部分を介して伝達される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の光路に沿ってTIRを介して導波管を通って正常に伝搬する表示光の第1の部分によって伝達される元の画像の第1の部分は、第2の光路に沿ってTIRを介して導波管を通って正常に伝搬する表示光の第2の部分によって伝達される元の画像の第2の部分とは異なる(例えば、元の画像の第2の部分に関して、少なくとも部分的に空間的に異なる)。いくつかの実施形態では、第1の画像を伝達する表示光の第1の部分は、光モードの第1のセットを利用し、第2の画像を伝達する表示光の第2の部分は、光モードの第2のセットを利用し、表示光の第1の部分及び表示光の第2の部分は空間的に異なる経路を横切る。光モードの第1のセット及び光モードの第2のセットは、それぞれと重なり合っていないか、または部分的には重なり合っておらず、光モードの第1のセット及び第2のセットのそれぞれは、元の画像のそれぞれ異なる部分に対応する。このようにして、最終表現を伝達するために利用される光モードの密度は、第1または第2の画像を単独で伝達するために利用される光モードの密度と比較して(例えば、第1または第2の光路の1つしか含まない導波管と比較して)増加する。2つの異なる、空間的に異なる通路を介して表示光の第1及び第2の部分を伝搬させることによって、最終画像の空間解像度または角度解像度は向上する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の画像及び第2の画像はそれぞれ、表示のために提示された元の画像の表現である。いくつかの実施形態では、第1の画像は元の画像の第1の空間部分に対応し、第2の画像は元の画像の第2の部分に対応する。特定の実施形態では、元の画像の第1及び第2の部分は、部分的に重なり合う。いくつかの実施形態では、第1の画像は、元の画像の光の波長(つまり、色)の第1のセットのみを含む元の画像の第1の表現に対応し、第2の画像は、元の画像の光の波長の(つまり、色)第2のセットのみを含む元の画像の第2の表現に対応し、光の波長の第1のセットは、光の波長の第2のセットとは少なくとも部分的に異なる。
【0023】
いくつかの実施形態では、インカプラは、表示光の第3の部分が介在する射出瞳拡大器に入射することなく、インカプラからTIRを介してアウトカプラに向けて第3の光路に沿って、第3の画像を伝達する表示光の第3の部分をリダイレクトするようにさらに構成される。第3の画像は、第1及び第2の画像と結合されて、アウトカプラを介して導波管によって出力される最終画像を形成する。(例えば、射出瞳拡大器による)リダイレクトの介在なしに、インカプラからTIRを介してアウトカプラに表示光の第3の部分をリダイレクトすることによって、第3の画像はk次元に沿ってのみシフトされ、これによって(TIRが導波管内で有効にされる離散的な伝搬角度で定義された円弧に対応する)視野角の連続範囲全体が、最終画像に含まれ、それによって導波管で利用される光モードの密度を増加させ、最終画像の空間解像度または角度解像度を向上させる。いくつかの実施形態では、第3の画像は、元の画像の一部にのみ対応し、第3の画像の幾何学形状は、第1及び第2の画像の幾何学形状が第1及び第2の画像瞳拡大器によって拡大するのと同じように射出瞳拡大器によって拡大しないので、最終画像の一部のみの空間解像度または角度解像度の向上を生じさせる。いくつかの実施形態では、第3の光路に沿った伝搬長は、第1及び第2の光路に沿った伝搬長のどちらよりも短いため、第3の光路に沿って伝搬する表示光の第3の部分は(例えば、表面またはバルク材料の特徴または非理想性のため)、第1及び第2の光路に沿って伝搬する表示光の第1及び第2の部分よりも受ける散乱が少なく、これによって第3の画像及び最終画像の対応する部分のそれぞれの空間解像度または角度解像度はさらに向上する。いくつかの実施形態では、そのような構成により、導波管によって出力される最終画像の一部に対応する、表示デバイスの視野(FOV)の標的領域の空間解像度または角度解像度が向上する。
【0024】
いくつかの実施形態では、導波管は、第1の射出瞳拡張器と、第2の射出瞳拡大器とを含み、インカプラは、それぞれ第1及び第2の射出瞳拡大器に向けて表示光の第1及び第2の部分をリダイレクトするように構成されており、その結果、表示光の第1及び第2の部分によって伝達される対応する第1及び第2の画像は、k空間に対して、k次元とk次元の両方でそれぞれシフトされる。元の画像を運ぶ光は、導波管のインカプラで受け取られる。導波管は、第1の射出瞳拡大器を含む第1の光路に沿って表示光の第1の部分を伝搬し、第2の射出瞳拡大器を含む第2の光路に沿って表示光の第2の部分を伝搬するように構成される。例えば、導波管は、第1の射出瞳拡大器に向けて表示光の第1の部分をリダイレクトし(表示光の第1の部分によって伝達される第1の画像を、k空間に対して正のk次元及び負のk次元でシフトさせ)、第2の射出瞳拡大器に向けて受け取った表示光の第2の部分をリダイレクトする(表示光の第2の部分によって伝達される第2の画像を、k空間に対して負のk次元及び負のk次元でシフトさせる)ように構成される。第1の射出瞳拡大器は、導波管のアウトカプラに向けて表示光の第1の部分をリダイレクトする(表示光の第1の部分によって伝達される第1の画像を、k空間に対して負のk次元及び負のk次元でシフトさせる)ように構成される。第2の射出瞳拡大器は、導波管のアウトカプラに向けて表示光の第2の部分をリダイレクトする(表示光の第2の部分によって伝達される第2の画像を、k空間に対して負のk次元及び正のk次元でシフトさせる)ように構成される。アウトカプラは、表示光がインカプラで入力された角度と同じか、または実質的に類似する角度(例えば、約5%以内)で、ユーザーの目に向けて表示光の第1及び第2の部分を出力するように構成される(表示光の第1及び第2の部分によって伝達される第1及び第2の画像を、k空間に対して正のk次元でシフトさせる)。いくつかの実施形態では、第1の画像及び第2の画像はそれぞれ、元の画像の表現である。いくつかの実施形態では、第1の画像は元の画像の第1の部分に対応し、第2の画像は元の画像の第2の部分に対応する。特定の実施形態では、元の画像の第1及び第2の空間部分は、部分的に重なり合う。いくつかの実施形態では、第1の画像は、元の画像の光の波長(つまり、色)の第1のセットのみを含む元の画像の第1の表現に対応し、第2の画像は、元の画像の光の波長(つまり、色)の第2のセットのみを含む元の画像の第2の表現に対応し、光の波長の第1のセットは、光の波長の第2のセットとは異なる。
【0025】
第1及び第2の画像はアウトカプラで結合されて、元の画像の第1の部分と第2の部分とを含む最終画像を形成し、元の画像の第1の部分は、第1の光路を介して第1の画像を伝達する表示光の第1の部分を介して伝達され、第2の部分は、第2の光路を介して第2の画像を伝達する表示光の第2の部分を介して伝達される。第1の光路に沿ってTIRを介して導波管を通って正常に伝搬する表示光の第1の部分によって伝達される元の画像の第1の部分は、第2の光路に沿ってTIRを介して導波管を通って正常に伝搬する表示光の第2の部分によって伝達される元の画像の第2の部分とは異なる(元の画像の第2の部分に関して、少なくとも部分的に空間的に異なる)。いくつかの実施形態では、第1の画像を伝達する表示光の第1の部分は、光モードの第1のセットを利用し、第2の画像を伝達する表示光の第2の部分は、光モードの第2のセットを利用し、表示光の第1の部分及び表示光の第2の部分は空間的に異なる経路を横切る。すなわち、光モードの第1のセット及び光モードの第2のセットは、それぞれと重なり合っていないか、または部分的には重なり合っておらず、第1及び光モードの第2のセットのそれぞれは、元の画像のそれぞれ異なる部分に対応する。このようにして、最終画像を伝達するために利用される光モードの密度は、第1の画像を単独で伝達するために利用される光モード、及び第2の画像を単独で伝達するために利用される光モードの密度と比較して(例えば、第1または第2の光路の1つしか含まない導波管と比較して)増加する。2つの異なる、空間的に異なる通路を介して表示光の第1及び第2の部分を生じさせることによって、最終画像の空間解像度または角度解像度は向上する。インカプラによる表示光の第1及び第2の部分のリダイレクト時に(k次元のみではなく)k次元とk次元の両方で第1及び第2の画像をシフトすることによって、いくつかの実装では、導波管のサイズを縮小しながら、対応する表示の効率、均一性、及びアイボックスサイズは改善される。いくつかの実施形態では、第1の射出瞳拡大器及び第2の射出瞳拡大器は、第1の射出瞳拡大器及び第2の射出瞳拡大器のそれぞれの少なくとも1つの次元が、導波管のアウトカプラの対応する次元に関して平行ではないように位置合わせされる。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態は、WHUDの形をとる特定の例示的なニアアイディスプレイシステムを参照して説明及び図示されるが、本開示の装置及び技術がこの特定な例に限定されるのではなく、代わりに、本明細書に提供される指針を使用して様々な表示システムのいずれかで実装され得ることを理解されたい。
【0027】
図1は、いくつかの実施形態による走査ベースの光学システムを用いる例示的な表示システム100を示す。表示システム100は、プロジェクタ(例えば、レーザープロジェクタ、マイクロLEDプロジェクタ、液晶オンシリコン(LCOS)プロジェクタなど)を収容する、アーム104を含む支持構造102を有する。プロジェクタは、導波管を介してユーザーの目に向けて画像を投影するように構成されるため、ユーザーは、レンズ素子108、110の一方または両方で表示の視野(FOV)領域106内に表示されているとして投影画像を認識する。図示の実施形態では、表示システム100は、WHUDの形をとるニアアイディスプレイシステムであり、支持構造102は、ユーザーの頭部に装着されるように構成されており、眼鏡(例えば、サングラス)のフレームの一般的な形状及び外観(すなわち、フォームファクタ)を有する。
【0028】
支持構造102は、プロジェクタ及び導波管など、ユーザーの目に向けたそのような画像の投影を容易にするための様々なコンポーネントを収容する、または他の方法で含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、1つ以上の前面カメラ、背面カメラ、他の光センサ、モーションセンサ、加速度計などの様々なセンサをさらに含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、1つ以上の無線周波数(RF)インターフェース、またはBluetooth(商標)インターフェース、WiFiインターフェースなどの他の無線インターフェースを含む。さらに、いくつかの実施形態では、支持構造102は、表示システム100の電気部品に電力を供給するための1つ以上の電池または他のポータブル電源をさらに含む。いくつかの実施形態では、表示システム100のこれらのコンポーネントのいくつかまたはすべては、支持構造102の領域112のアーム104内など、支持構造102の内部容積内に完全にまたは部分的に収容される。例示的なフォームファクタが示されているが、他の実施形態では、表示システム100は、図1に示される眼鏡フレームとは異なる形状及び外観を有する場合があることに留意されたい。特に断りのない限り、本明細書における用語「または」の例は、「または」の非排他的定義を指すことを理解されたい。例えば、本明細書での語句「XまたはY」は、「XもしくはYのどちらか、または両方」を意味する。
【0029】
レンズ素子108、110の一方または両方は、拡張現実(AR)表示を提供するために表示システム100によって使用され、拡張現実(AR)表示では、レンダリングされたグラフィックコンテンツを、レンズ素子108、110を通してユーザーが認識する現実世界のビュー上に重ねて表示するか、または他の方法で現実世界のビューと組み合わせて提供することができる。例えば、表示システム100の投影システムは、様々な実施形態に従って、投影システムのプロジェクタ、対応するレンズ素子108または110内に少なくとも部分的に形成された導波管、及び1つ以上の光学素子(例えば、プロジェクタと導波管の間に配置されるか、または導波管と統合される1つ以上のスキャンミラー、1つ以上の光リレー、または1つ以上のコリメーションレンズ)を介してユーザーの目に表示光を投影することによって、光を使用して認識可能な1つの画像または一連の画像を形成する。
【0030】
レンズ素子108、110の一方または両方は、導波管のインカプラによって受け取られた表示光を、導波管のアウトカプラに送る導波管の少なくとも一部を含み、アウトカプラは、表示システム100のユーザーの目に向けて表示光を出力する。表示光は、ユーザーが光を画像として認識するように変調され、ユーザーの目に投影される。さらに、レンズ素子108、110のそれぞれは、ユーザーが、レンズ素子を通して見ることができるように十分に透明であり、ユーザーの現実世界の環境の視界を提供し、画像は現実世界の環境の少なくとも一部の上に重ねて表示される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ100の投影システムのプロジェクタは、デジタル光処理ベースのプロジェクタ、走査型レーザープロジェクタ、またはレーザーもしくは1つ以上の発光ダイオード(LED)などの変調光源と、1つ以上の動的スキャナ、反射パネル、もしくはデジタル光プロセッサ(DLP)などの動的反射機構との任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、プロジェクタは、マイクロLEDディスプレイパネル(例えば、マイクロAMOLEDディスプレイパネル、もしくはマイクロ無機LED(i-LED)ディスプレイパネル)、またはマイクロ液晶ディスプレイ(LCD)ディスプレイパネル(例えば、低温ポリシリコン(LTPS)LCDディスプレイパネル、高温ポリシリコン(HTPS)LCDディスプレイパネル、もしくはインプレーンスイッチング(IPS)LCDディスプレイパネル)などのマイクロディスプレイパネルを含む。いくつかの実施形態では、プロジェクタは、液晶オンシリコン(LCOS)ディスプレイパネルを含む。本明細書では、そのような表示パネルは、対応する投影システムの光学エンジン(例えば、図2の光学エンジン208)の一部であると考えられる。いくつかの実施形態では、プロジェクタの表示パネルは、プロジェクタの導波管に光(表示用の画像または画像の一部を表す)を出力するように構成される。導波管は表示光を拡大し、アウトカプラを介してユーザーの目に向けて表示光を出力する。
【0032】
プロジェクタは、コントローラと、コントローラによる実行時に、コントローラにプロジェクタの動作を制御させるプロセッサ実行可能命令及び他のデータを格納する非一時的なプロセッサ可読記憶媒体またはメモリとに通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、コントローラは、FOV領域106の位置及びサイズを選択的に設定するようにプロジェクタを制御する。いくつかの実施形態では、コントローラは、表示システム100に表示されるコンテンツを生成する1つ以上のプロセッサ(図示せず)と通信可能に結合される。プロジェクタは、導波管を介して表示システム100のFOV領域106に向けて表示光を出力する。いくつかの実施形態では、導波管のアウトカプラの少なくとも一部がFOV領域106と重なり合う。本明細書では、表示を見ることができる異なるユーザーの目の位置の範囲を、表示のアイボックスと呼ぶ。
【0033】
図2は、プロジェクタ206と、導波管212のインカプラ214とアウトカプラ216との間に複数の光路を有する導波管212とを有する投影システムを含む表示システム200の一部を示す。いくつかの実施形態では、表示システム200は、図1の表示システム100を表す。本例では、表示システム200のアーム204は、光学エンジン208(例えば、表示パネル)と、1つ以上の光学素子210と、インカプラ214と、導波管212の一部とを含むプロジェクタ206を収容する。
【0034】
表示システム200は、第1のレンズ220と、第2のレンズ222と、導波管212とを含む光コンバイナレンズ218を含み、導波管212は、第1のレンズ220と第2のレンズ222の間に埋め込まれるか、または他の方法で配置される。アウトカプラ216から出た光は、第1のレンズ220(例えば、表示システム100のレンズ素子110の実施形態に対応する)を通る。使用時、第1のレンズ220から出た表示光は、表示システム200を装着したユーザーの目224の瞳孔に入り、ユーザーに、光学エンジン208から出力された表示光によって運ばれる表示画像を認識させる。光コンバイナレンズ218は実質的には透明であるため、表示システム200の周りの環境に対応する現実世界の場面からの光は、第1のレンズ220、第2のレンズ222、及び導波管212を通ってユーザーの目224に到達する。このようにして、プロジェクタ206によって出力された画像または他のグラフィックコンテンツは、ユーザーの目224に投影されると、ユーザーの環境の現実世界の画像と結合(例えば、オーバレイさ)れて、ユーザーにAR体験を提供する。
【0035】
表示システム200の導波管212は、インカプラ214と、アウトカプラ216とを含む。いくつかの実施形態では、回折格子などの1つ以上の射出瞳拡大器は、インカプラ214とアウトカプラ216との間の中間段階に配置されて、インカプラ214によって導波管212に結合された光を受け取り、受け取られた表示光を各射出瞳拡大器において拡大し、アウトカプラ216に向けてその光をリダイレクトし、アウトカプラ216は次に、導波管212から外に(例えば、ユーザーの目224に向けて)表示光を結合する。いくつかの実施形態では、導波管212は、約575nmなどの緑色光の波長でピーク周波数応答を有するように構成されており、これによって導波管212によって出力された投影画像の知覚性が向上する。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「導波管」は、全反射(TIR)、特殊フィルタ、または反射面の1つ以上を使用して、インカプラ(インカプラ214など)からアウトカプラ(アウトカプラ216など)に光を転送するコンバイナを意味すると理解される。一部の表示用途では、表示光はコリメート画像であり、導波管はコリメート画像を目に転送して複製する。一般に、用語「インカプラ」及び「アウトカプラ」は、回折格子、ホログラム、ホログラフィック光学素子(例えば、1つ以上のホログラムを使用する光学素子)、体積回折格子、体積ホログラム、表面レリーフ回折格子、または表面レリーフホログラムを含むが、これらに限定されない任意のタイプの光学格子構造を指すと理解される。いくつかの実施形態では、所与のインカプラまたはアウトカプラは、インカプラまたはアウトカプラに光を透過させ、透過中に表示光に光学機能(複数可)を適用させる透過格子(例えば、透過回折格子または透過ホログラフィック格子)として構成される。いくつかの実施形態では、所与のインカプラまたはアウトカプラは、インカプラまたはアウトカプラに光を反射させ、反射中に表示光に光学機能(複数可)を適用させる反射格子(例えば、反射回折格子または反射ホログラフィック格子)として構成される。本例では、インカプラ214は、受け取った表示光を導波管を通る複数の光路を介してアウトカプラ216に中継する。いくつかの実施形態では、インカプラ214は、第1の射出瞳拡大器(図示せず、いくつかの実施形態では折り畳み格子として実装される)が配置された第1の光路を介してアウトカプラ216に表示光の第1の部分をリダイレクトし、第2の射出瞳拡大器(図示せず、いくつかの実施形態では折り畳み格子として実装される)が配置された第2の光路を介してアウトカプラ216に向けて表示光の第2の部分をリダイレクトする。表示光は、TIRを介して導波管212を通って伝搬する。アウトカプラ216は次に、ユーザーの目224に表示光を出力する。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロジェクタ206はドライバまたは他のコントローラ(図示せず)に結合されており、コントローラは、コントローラに結合されたコンピュータプロセッサ(図示せず)からコントローラまたはドライバが受信した命令に従って、光学エンジン208の光源(例えば、LED)からの表示光の発射のタイミングを制御して、ユーザーの目224の網膜に出力されると画像として認識されるように出力された光を変調する。例えば、表示システム200の動作中、光学エンジン208の光源は選択された波長の光を出力し、出力された光は、光学素子210及び導波管212を介してユーザーの目224に導かれる。光学エンジン208は、出力光が画像のピクセルを表すように、光学エンジン208の各光源のそれぞれの強度を変調する。例えば、光学エンジン208の所与の光源または光源グループの強度は、表示システム200のプロジェクタ206によって投影される画像の対応するピクセルの明るさに相当する。
【0038】
図3は、いくつかの実施形態による、導波管300の部分的に透明な透視図(「正面」図)を示す(例えば、図2の表示システム200の導波管212の一実施形態)。図2の光学エンジン208の一実施形態などの光源は、第1の軌道306に沿って導波管300内に表示光304を出力する。図示のように、インカプラ214は、第2の軌道308に沿って射出瞳拡大器302に向けて表示光304をリダイレクトする。本例では、第2の軌道308は負のy次元に延びる。本明細書に説明する軌道が、図示した直交座標系を基準にして(例えば、図示のx軸、y軸、及びz軸を基準にして)説明される場合があることに留意されたい。射出瞳拡大器302は、第3の軌道310に沿ってアウトカプラ216に表示光304をリダイレクトする。本例では、第3の軌道310は負のx次元に延びる。アウトカプラは、表示光304が第4の軌道312に沿ってユーザーの目314に向けて出力されるように、表示光304をリダイレクトする。いくつかの実施形態では、第1の軌道306と第4の軌道312は、互いに平行であるか、または実質的に(例えば、約5%以内で)平行である。
【0039】
いくつかの実施形態では、射出瞳拡大器302は、第3の軌道310に沿って表示光304をリダイレクトするように構成され、導波管300を含む表示システム(例えば、図1の表示システム100、図2の表示システム200)のアイボックスの1つ以上の次元を拡大する、回折格子またはホログラフィック格子などの光学格子である(例えば、射出瞳拡大器302がない場合、表示のアイボックスの次元がどうなるかに関して)。
【0040】
図4は、k空間に対して図3の導波管300を通る表示光の伝搬を表す正規化されたk空間チャート400を示す。すなわち、チャート400は、導波管300の二次元(2D)一般化に対応するk空間チャートである。したがって、本例のいくつかの態様は、図3の導波管300及びその要素に関して説明される。
【0041】
バルク屈折率がnである材料中の所与の波長λの光の場合、導波管300を通る光の伝搬ベクトルの全光度はk=(2πn)/λになる。変数kは波数と呼ばれることもあり、本明細書で使用する場合、波長の逆数として定義され、k=1/λとなる。2Dのk空間における所与の伝搬角度は円として表され、k=k +k を必要とする。第1の境界角度402と第2の境界角度404の間の伝搬角度で進行する光のみが、TIRを介して導波管300に沿って伝搬できる。さらに、線406(第1の境界角度402と第2の境界角度404との間に位置する破線の円)で表される離散的な伝搬角度(つまり、離散的な極角度)で進行する光のみが、TIRを介して導波管300に沿って伝搬できる。
【0042】
最初に、インカプラ214において導波管300に入る表示光304は、チャート400の原点でまたは原点の周りで中心に置かれる。ここで、画像408は、表示光304によって運ばれる画像を表す。画像408は、最初はk空間に対して第1の位置410に配置される。インカプラ214によって表示光304がリダイレクトされると、画像408はk空間内で第2の位置412にシフトされ、負のk次元のシフトに相当する。第1の射出瞳拡大器302によって表示光304がリダイレクトされると、画像408はk空間内で第3の位置414にシフトされ、正のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。アウトカプラ216によって表示光304がリダイレクトされると、画像408はk空間内で第1の位置410にシフトされ、正のk次元のシフトに相当する。本例では、表示光304がインカプラ214を介して導波管300に入る角度は、表示光304がアウトカプラ216を介して導波管300を出る角度と同じであるか、または実質的に同じである(例えば、5%範囲内)と想定される。導波管300などの導波管では、特定の伝搬角度(例えば、本例の線406に対応する)で進行する光の部分のみが、導波管を通って正常に伝搬することができ、結果的に、それらの伝搬角度で移動しない表示光の部分によって伝達される画像情報は、少なくとも部分的に失われる。このプロセスは離散化と呼ばれることがある。例えば、第2の位置412では、線416(線406のサブセットの部分に対応する)が重なり合う画像408の部分を伝達する表示光の部分のみが、TIRを介して導波管300を通って正常に伝搬できる。第3の位置414では、線418(線406のサブセットの部分に対応する)が重なり合う画像408の部分を伝達する表示光の部分のみが、導波路300に沿って正常に伝搬できる。したがって、画像408が、導波管300から外にリダイレクトされ、位置410に戻ると、線416及び線418の離散的な交点420(図示のように重なり合う場合、線416と418が交差するであろう点)に対応する画像408の部分のみが保存される。ここで、対応する光が導波管212を正常に伝搬したために保存された画像の部分は、離散化から被る画像情報の損失はそれほど大きくないと考えられる。画像408の部分を伝達し、離散的な交点420に対応しない表示光の部分は、導波管300を通して完全に伝搬されず、対応する画像情報は、少なくとも部分的に失われる(例えば、離散的な交点420に対応する画像の部分よりも、離散化からより大きい画像情報の損失を被る)。導波管300を出る表示光304によって運ばれる画像408の空間解像度または角度解像度は、少なくとも部分的に、離散的な交点420の数量及び密度に対応する。各交点420は、画像408のそれぞれの部分及びそれぞれの視野角のセットに対応する。出力画像408の空間解像度または角度解像度は、対応する表示光304が導波管300を伝搬した後に画像408がどの程度保持されるかに対応する。
【0043】
図5は、いくつかの実施形態による、導波管500の部分的に透明な透視図(「正面」図)を示す(例えば、図2の表示システム200の導波管212の一実施形態)。導波管500は、インカプラ214と、第1の射出瞳拡大器502と、第2の射出瞳拡大器504と、アウトカプラ216とを含む。いくつかの実施形態では、第1の射出瞳拡大器502及び第2の射出瞳拡大器504のそれぞれは、受け取った表示光をリダイレクトし、拡大し、それによって導波管500を含む表示システム(例えば、図1の表示システム100、図2の表示システム200)のアイボックスの1つ以上の次元を拡大するように構成された、回折格子またはホログラフィック格子などの光学格子を含む。
【0044】
動作中、図2の光学エンジン208の一実施形態などの光源は、第1の軌道508に沿って導波管500内に表示光506を出力する。インカプラ214は、表示光506を、第1の部分511(「表示光511の第1の部分」と呼ばれることある)と、第2の部分515(「本明細書では表示光515の第2の部分と呼ばれることがある)とに分割する。いくつかの実施形態では、表示光506は、本明細書では「元の」画像と呼ばれる画像を伝達し、表示光511の第1の部分は第1の画像を伝達し、表示光515の第2の部分は第2の画像を伝達し、アウトカプラ216を介して出力された表示光511及び515の結合された第1の部分と第2の部分は、第1の画像と第2の画像を組み合わせである「最終」画像を伝達する。いくつかの実施形態では、第1の画像及び第2の画像のそれぞれは元の画像に対応するが、表示光511の第1の部分及び表示光515の第2の部分がそれぞれ異なる光路に沿って導波管500を通る際の離散化のため、元の画像のそれぞれ異なる部分は、第1の画像及び第2の画像のそれぞれにおいて保存されていない(つまり、元の画像の保存された部分よりもはるかに大きい画像情報の損失を被っている)。
【0045】
インカプラ214は、第2の軌道510に沿って第1の射出瞳拡大器502に向けて表示光511の第1の部分をリダイレクトする。本例では、第2の軌道510は、正のy次元及び負のx次元に延びる。第1の射出瞳拡大器502は、第3の軌道512に沿ってアウトカプラ216に表示光511の第1の部分をリダイレクトする。本例では、第3の軌道512は、負のx次元及び負のy次元に延びる。アウトカプラは、表示光511の第1の部分が第4の軌道514に沿ってユーザーの目522に向かって出力されるように、導波管500から外に表示光511の第1の部分をリダイレクトする。インカプラ214は、第5の軌道516に沿って第2の射出瞳拡大器504に向けて表示光515の第2の部分をリダイレクトする。本例では、第5の軌道516は、負のy次元及び負のx次元に延びる。第2の射出瞳拡大器504は、第6の軌道518を介してアウトカプラ216に向けて表示光515の第2の部分をリダイレクトする。本例では、第6の軌道518は、正のy次元及び負のx次元に延びる。アウトカプラ216は、第7の軌道520を介して導波管500から外にユーザーの目522に向けて表示光515の第2の部分をリダイレクトする。第1の軌道508、第4の軌道514、及び第7の軌道520は、いくつかの実施形態では、互いに平行であるか、または実質的に(例えば、約5%以内で)平行である。
【0046】
本例では、第2の軌道510、第3の軌道512、及び第4の軌道514は、導波管500を通る第1の光路であると考えられ、第5の軌道516、第6の軌道518、及び第7の軌道520は、導波管500を通る第2の光路であると考えられ、第1の光路は第2の光路とは異なる。例えば、第1の光路の軌道に沿って進行するときの表示光511の第1の部分の伝搬角度の少なくとも一部は、第2の光路の軌道に沿って進行するときの第2の表示光515の第2の部分のそれ以外の場合に対応する伝搬角度と異なる。導波管500内の光(例えば、表示光506、表示光511の第1の部分、表示光515の第2の部分)の軌道が変化するたびに(例えば、インカプラ214、第1の射出瞳拡大器502、第2射出瞳拡大器504、またはアウトカプラ216などの回折格子への入射により)、その光によって伝達される画像の一部は、画像情報のより大きい損失を被り、画像の残りの部分は保存される(つまり、それほど大きい画像情報の損失を被らない)。例えば、保存される画像の部分は、導波管500を通してTIRが達成可能である伝搬角度で伝搬する表示光の部分に対応し、一方、画像情報が比較的に大きい損失を被る画像の部分は、任意の他の伝搬角度で伝搬する表示光の部分に対応する。表示光511の第1の部分は、第2の光路に沿って進行するとき、表示光515の第2の部分の伝搬角度とは異なる伝搬角度を有する第1の光路に沿って進行するため、表示光511の第1の部分によって運ばれた元の画像の保存された部分は、表示光515の第2の部分によって運ばれた元の画像の保存された部分とは異なる。したがって、アウトカプラ216を介して出力された最終画像は、第1の画像または第2画像のどちらか単独よりも高い空間解像度または角度解像度を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の画像を伝達する表示光511の第1の部分は、光モードの第1のセットを利用し、第2の画像を伝達する表示光515の第2の部分は、光モードの第2のセットを利用し、表示光511の第1の部分及び表示光515の第2の部分は空間的に異なる経路を横切る。すなわち、光モードの第1のセット及び光モードの第2のセットは、それぞれと重なり合っていないか、または部分的には重なり合っておらず、光モードの第1のセット及び第2のセットのそれぞれは、元の画像のそれぞれ異なる部分に対応する。このようにして、最終画像を伝達するために利用される光モードの密度は、第1の画像を単独で伝達するために利用される光モード、及び第2の画像を単独で伝達するために利用される光モードの密度と比較して(例えば、第1または第2の光路の1つしか含まない導波管と比較して)増加する。複数の光路を介して導波管500を通して表示光506をリダイレクトすることによって、導波管500を介して伝達された画像の空間解像度または角度解像度は有利に増加する。
【0048】
図6は、k空間に対して図5の導波管500を通る表示光の伝搬を表すチャート600を示す。すなわち、チャート600は、導波管500の二次元(2D)一般化に対応するk空間チャートである。したがって、本例のいくつかの態様は、導波管500及びその要素に関して説明される。
【0049】
バルク屈折率がnである材料中の所与の波長λの光の場合、導波管500を通る光の伝搬ベクトルの全光度はk=(2πn)/λになる。2Dのk空間における所与の伝搬角度は円として表され、k=k +k を必要とする。第1の境界角度602と第2の境界角度604との間の伝搬角度で進行する光のみが、TIRを介して導波管500に沿って伝搬できる。さらに、線606(第1の境界角度602と第2の境界角度604との間に位置する破線の円)で表される離散的な伝搬角度(つまり、離散的な極角度)で進行する光のみが、TIRを介して導波管500に沿って移動できる。線606は、本明細書では「伝搬角度606」と呼ばれる場合がある。
【0050】
最初に、インカプラ214において導波管500に入る表示光506は、チャート600の原点でまたは原点の周りで中心に置かれる。ここで、元の画像608は、表示光506によって運ばれる画像を表す。元の画像608は、第1の軌道508に沿って導波管500に入るとき、最初にk空間に対して第1の位置610に配置される。インカプラ214によって表示光506がリダイレクトされると、元の画像608は、表示光511の第1の部分によって伝達される第1の画像617と、表示光515の第2の部分によって伝達される第2の画像613とに分割される。インカプラ214によって表示光511の第1の部分がリダイレクトされると、第1の画像617はk空間内で第2の位置616にシフトされ、正のk次元のシフトに相当する。インカプラ214によって表示光515の第2の部分がリダイレクトされると、第2の画像613はk空間内で第3の位置612にシフトされ、負のk次元のシフトに相当する。第1の射出瞳拡大器502によって表示光511の第1の部分がリダイレクトされると、第1の画像617はk空間内で第4の位置614にシフトされ、負のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。第2の射出瞳拡大器504によって表示光515の第2の部分がリダイレクトされると、第2の画像613はk空間内で第4の位置614にシフトされ、正のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。アウトカプラ216によって表示光511の第1の部分及び表示光515の第2の部分がリダイレクトされると、第1の画像617及び第2の画像613は結合されて最終画像624を形成し、最終画像624は、k空間内で第1の位置610に戻され、正のk次元のシフトに相当する。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の画像617及び第2の画像613はそれぞれ、元の画像608の表現である。いくつかの実施形態では、第1の画像617は元の画像608の第1の空間部分に対応し、第2の画像613は元の画像608の第2の空間部分に対応する。特定の実施形態では、元の画像608の第1及び第2の部分は、部分的に重なり合う。いくつかの実施形態では、第1の画像617は、元の画像608の光の第1の波長(つまり、色)セットのみを含む元の画像608の第1の表現に対応し、第2の画像613は、元の画像608の光の第2の波長(つまり、色)セットのみを含む元の画像608の第2の表現に対応し、光の波長の第1のセットは、光の波長の第2のセットとは異なる。
【0052】
本例では、表示光506がインカプラ214を介して導波管500に入る角度は、表示光511及び表示光515の第1の部分及び第2の部分がアウトカプラ216を介して導波管500を出る角度と同じであるか、または実質的に同じである(例えば、5%範囲内)と想定される。第2の位置616では、線622(線606のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第1の画像617の部分を伝達する光のみが、TIRを介して導波路500に沿って伝搬できる。第3の位置612では、線618(線606のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第2の画像613の部分のみが、TIRを介して導波路500に沿って伝搬できる。第4の位置614では、線620(線606のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第1の画像617及び第2の画像613の部分のみが、導波路500に沿って伝搬できる。したがって、最終画像624は、導波管500の外にリダイレクトされると、(アウトカプラ216での第1の画像617及び第2の画像613のシフト及び結合により)第1の位置610に戻る。
【0053】
離散的な交点626に対応する元の画像608の部分のみが、最終画像624に保存される。例えば、交点626は、線622と線620との交点が重なり合う第1の画像617の部分と、線618と線620との交点が重なり合う第2の画像613の部分とを含む(これらの交点は、対応する線が図示のように重なり合う場合に交差するであろう点に対応する)。交点626に位置していない元の画像608の部分に対応する画像情報の少なくとも一部は、対応する光がTIRを介して導波管500を正常に伝搬しないため、交点626に位置するそれらの部分よりもより大きい画像情報の損失を被る。いくつかの実施形態では、最終画像624の空間解像度または角度解像度は、離散的な交点626の数量及び密度に対応する。すなわち、最終画像624の空間解像度または角度解像度は、対応する光が導波管500を伝搬した後に元の画像608がどの程度保持されるかに対応する。
【0054】
交点626の交点の第1のセットは、第1の画像617からの線622と線620との交点に対応し、交点626の交点の第2のセットは、第2の画像613からの線618と線620との交点に対応する。図示のように、交点の第1のセットは交点の第2のセットから空間的に分離されるため、最終画像624は、第1の画像617または第2の画像613のどちらかに個別に含まれるよりも多い数量の交点626を含む。したがって、表示光506を第1及び第2の部分511及び515に分割し、異なる伝搬角度を有する2つの異なる光路を介して導波管500を通して第1及び第2の部分511及び515を伝搬することによって、最終画像624の空間解像度または角度解像度は有利に増加し、その結果、最終画像624の空間解像度または角度解像度は(例えば、図4の出力画像408と比較して)向上する。
【0055】
TIRを介して導波管500を通して光を正常に伝搬することを可能にする伝搬角度606の数が、通常、本例に示される数よりも多く、したがって最終画像624における離散的な交点626の数が、そのような例に示される数よりも多くなるであろうことに留意されたい。すなわち、説明を容易にするために、減少した数量の伝搬角度606及び交点626が本例に示される。
【0056】
図7は、いくつかの実施形態による、導波管700の部分的に透明な透視図(「正面」図)を示す(例えば、図2の表示システム200の導波管212の一実施形態)。導波管700は、インカプラ214と、第1の射出瞳拡大器702と、第2の射出瞳拡大器704と、アウトカプラ216とを含む。いくつかの実施形態では、第1の射出瞳拡大器702及び第2の射出瞳拡大器704のそれぞれは、受け取った表示光をリダイレクトし、拡大し、それによって導波管700を含む表示システム(例えば、図1の表示システム100、図2の表示システム200)のアイボックスの1つ以上の次元を拡大するように構成された、回折格子またはホログラフィック格子などの光学格子を含む。図示のように、負のx次元と正のy次元の両方でインカプラ214から離れて延びる一次次元を有する第1の射出瞳拡大器702が配置され、負のx次元と負のy次元の両方でインカプラ214から離れて延びる一次次元を有する第2の射出瞳拡大器704が配置される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の射出瞳拡大器702及び704がx次元(様々な実施形態によれば、正のx次元または負のx次元のどちらか)で延びる大きさは、図示の大きさとは異なるため、第1及び第2の射出瞳拡大器702及び704がアウトカプラ216に向けてまたはアウトカプラ216から離れて曲げられる量は、示されている量とは異なる。第1の射出瞳拡大器702及び第2の射出瞳拡大器704の次元によって、入射光は、k空間内でk次元とk次元の両方でシフトする。
【0057】
動作中、図2の光学エンジン208の一実施形態などの光源は、第1の軌道708に沿って導波管700内に表示光706を出力する。インカプラ214は、表示光706を、第1の部分711(「表示光711の第1の部分」と呼ばれることある)と、第2の部分715(本明細書では表示光715の「第2の部分」と呼ばれることがある)とに分割する。いくつかの実施形態では、インカプラ214は二次元格子を含む。いくつかの実施形態では、インカプラ214は2つの1次元格子を含む。いくつかの実施形態では、表示光706は、本明細書では「元の」画像と呼ばれる画像を伝達し、表示光711の第1の部分は第1の画像を伝達し、表示光715の第2の部分は第2の画像を伝達し、アウトカプラ216を介して出力された表示光711及び715の結合された第1の部分と第2の部分は、第1の画像と第2の画像を組み合わせである「最終」画像を伝達する。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の画像及び第2の画像のそれぞれは元の画像に対応するが、表示光711の第1の部分及び表示光715の第2の部分がそれぞれ異なる光路に沿って導波管700を通る際の離散化のため、元の画像のそれぞれ異なる部分は、第1の画像及び第2の画像のそれぞれにおいて、より重大な画像情報の損失を被っている。インカプラ214は、第2の軌道710に沿って第1の射出瞳拡大器702に向けて表示光711の第1の部分をリダイレクトする。本例では、第2の軌道710は、正のy次元及び負のx次元に延びる。第1の射出瞳拡大器702は、第3の軌道712に沿ってアウトカプラ216に表示光711の第1の部分をリダイレクトする。本例では、第3の軌道712は、負のx次元及び負のy次元に延びる。アウトカプラは、表示光711の第1の部分が第4の軌道714に沿ってユーザーの目722に向かって出力されるように、導波管700から外に表示光711の第1の部分をリダイレクトする。インカプラ214は、第5の軌道716に沿って第2の射出瞳拡大器704に向けて表示光715の第2の部分をリダイレクトする。本例では、第5の軌道716は、負のy次元及び負のx次元に延びる。第2の射出瞳拡大器704は、第6の軌道718を介してアウトカプラ216に向けて表示光715の第2の部分をリダイレクトする。本例では、第6の軌道718は、正のy次元及び負のx次元に延びる。アウトカプラ216は、第7の軌道720を介して導波管700から外へユーザーの目722に向けて表示光715の第2の部分をリダイレクトする。第1の軌道708、第4の軌道714、及び第7の軌道720は、いくつかの実施形態では、互いに平行であるか、または実質的に(例えば、約7%以内で)平行である。
【0059】
本例では、第2の軌道710、第3の軌道712、及び第4の軌道714は、導波管700を通る第1の光路であると考えられ、第5の軌道716、第6の軌道718、及び第7の軌道720は、導波管700を通る第2の光路であると考えられ、第1の光路は第2の光路とは異なる。例えば、第1の光路の軌道に沿って進行するときの表示光711の第1の部分の伝搬角度の少なくとも一部は、第2の光路に沿って進行するときの第2の表示光715の第2の部分のそれ以外の場合に対応する伝搬角度と異なる。
【0060】
導波管700内の表示光(例えば、表示光706、表示光711の第1の部分、表示光715の第2の部分)の軌道が変化するたびに(例えば、インカプラ214、第1の射出瞳拡大器702、第2射出瞳拡大器704、またはアウトカプラ216などの回折格子への入射により)、その光によって伝達される画像の一部の画像情報はより大きい損失を被り、画像の残りの部分はそれほど大きい損失を被らない。例えば、保存される画像の部分(つまり、大きい損失を被らない画像情報を有する部分)は、導波管700を通してTIRが達成可能である伝搬角度で伝搬する表示光の部分に対応し、一方、保存されない光の部分(つまり、より大きい損失を被る画像情報を有する部分)は、任意の他の伝搬角度で伝搬する表示光の部分に対応する。表示光711の第1の部分によって伝達される第1の画像及び表示光715の第2の部分によって伝達される第2の画像は、それぞれ元の画像の少なくとも一部に対応する。表示光711の第1の部分は、第2の光路に沿って進行するとき、表示光715の第2の部分の伝搬角度とは異なる伝搬角度を有する第1の光路に沿って進行するため、表示光711の第1の部分によって運ばれた元の画像の保存された部分は、表示光715の第2の部分によって運ばれた元の画像の保存された部分とは異なる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の画像を伝達する表示光711の第1の部分は、光モードの第1のセットを利用し、第2の画像を伝達する表示光715の第2の部分は、光モードの第2のセットを利用し、表示光711の第1の部分及び表示光715の第2の部分は空間的に異なる経路を横切る。すなわち、光モードの第1のセット及び光モードの第2のセットは、それぞれと重なり合っていないか、または部分的には重なり合っておらず、光モードの第1のセット及び第2のセットのそれぞれは、元の画像のそれぞれ異なる部分に対応する。このようにして、最終画像を伝達するために利用される光モードの密度は、第1の画像を単独で伝達するために利用される光モード、及び第2の画像を単独で伝達するために利用される光モードの密度と比較して(例えば、第1または第2の光路の1つしか含まない導波管と比較して)増加する。
【0062】
したがって、アウトカプラ216を介して出力された最終画像は、第1の画像または第2画像のどちらか単独よりも高い空間解像度または角度解像度を有する。複数の光路を介して導波管700を通して表示光706をリダイレクトすることによって、したがって、導波管700を介して伝達された画像の空間解像度または角度解像度は有利に向上する。さらに、第1及び第2の射出瞳拡大器702及び704は、本例では、正及び負のy次元でのみインカプラ214から離れて延びることを必要とされていないため、第1及び第2の射出瞳拡大器702及び704の位置合わせは、実質的には自由変数となり、これは、表示の効率、均一性、及びアイボックスのサイズを改善し、導波管700のサイズを縮小するために調整できる。
【0063】
図8は、k空間に対して図7の導波管700を通る表示光の伝搬を表すチャート800を示す。すなわち、チャート800は、導波管700の二次元(2D)一般化に対応するk空間チャートである。したがって、本例のいくつかの態様は、導波管700及びその要素に関して説明される。
【0064】
バルク屈折率がnである材料中の所与の波長λの光の場合、導波管700を通る光の伝搬ベクトルの全光度はk=(2πn)/λになる。2Dのk空間における所与の伝搬角度は円として表され、k=k +k を必要とする。第1の境界角度802と第2の境界角度804の間の伝搬角度で進行する光のみが、TIRを介して導波管700に沿って伝搬できる。さらに、線806(第1の境界角度802と第2の境界角度804との間に位置する破線の円)で表される離散的な伝搬角度(つまり、離散的な極角度)で進行する光のみが、TIRを介して導波管700に沿って移動できる。線806は、本明細書では「伝搬角度806」と呼ばれる場合がある。
【0065】
最初に、インカプラ214において導波管700に入る表示光706は、チャート800の原点でまたは原点の周りで中心に置かれる。ここで、元の画像808は、表示光706によって運ばれる画像を表す。元の画像808は、第1の軌道708に沿って導波管700に入るとき、最初にk空間に対して第1の位置810に配置される。インカプラ214によって表示光706がリダイレクトされると、元の画像は、表示光711の第1の部分によって伝達される第1の画像817と、表示光715の第2の部分によって伝達される第2の画像813とに分割される。インカプラ214によって表示光711の第1の部分がリダイレクトされると、第1の画像817はk空間内で第2の位置816にシフトされ、正のk次元及び負のk次元のシフトに相当する。インカプラ214によって表示光715の第2の部分がリダイレクトされると、第2の画像813はk空間内で第3の位置812にシフトされ、負のk次元及び負のk次元のシフトに相当する。第1の射出瞳拡大器702によって表示光711の第1の部分がリダイレクトされると、第1の画像817はk空間内で第4の位置814にシフトされ、負のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。第2の射出瞳拡大器704によって表示光715の第2の部分がリダイレクトされると、第2の画像813はk空間内で第4の位置814にシフトされ、正のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。アウトカプラ216によって表示光711の第1の部分及び表示光715の第2の部分がリダイレクトされると、第1の画像817及び第2の画像813は結合されて最終画像824を形成し、最終画像824は、k空間内で第1の位置810に戻され、正のk次元のシフトに相当する。インカプラ214による表示光711及び715の第1及び第2の部分のリダイレクト時に(k次元のみではなく)k次元とk次元の両方で第1及び第2の画像817及び813をシフトすることによって、いくつかの実施形態では、導波管700のサイズを縮小しながら、対応する表示の効率、均一性、及びアイボックスサイズが改善される。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の画像817及び第2の画像813はそれぞれ、元の画像808の表現である。いくつかの実施形態では、第1の画像817は元の画像808の第1の空間部分に対応し、第2の画像813は元の画像808の第2の空間部分に対応する。特定の実施形態では、元の画像608の第1及び第2の部分は、部分的に重なり合う。いくつかの実施形態では、第1の画像817は、元の画像808の光の波長(つまり、色)の第1のセットのみを含む元の画像808の第1の表現に対応し、第2の画像813は、元の画像808の光の波長(つまり、色)の第2のセットのみを含む元の画像808の第2の表現に対応し、光の波長の第1のセットは、光の波長の第2のセットとは少なくとも部分的に異なる。
【0067】
本例では、表示光706がインカプラ214を介して導波管700に入る角度は、表示光711及び表示光715の第1の部分及び第2の部分がアウトカプラ216を介して導波管700を出る角度と同じであるか、または実質的に同じである(例えば、5%範囲内)と想定される。第2の位置816では、線822(線806のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第1の画像817の部分を伝達する光のみが、TIRを介して導波路700に沿って伝搬できる。第3の位置812では、線818(線806のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第2の画像813の部分を伝達する光のみが、TIRを介して導波路700に沿って伝搬できる。第4の位置814では、線820(線806のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第1の画像817及び第2の画像813の部分を伝達する光のみが、導波路700に沿って伝搬できる。したがって、最終画像824は、導波管700から外にリダイレクトされると、(アウトカプラ216での第1の画像817及び第2の画像813のシフト及び結合により)第1の位置810に戻る。
【0068】
離散的な交点826に対応する元の画像808の部分のみが、最終画像824に保存される。例えば、交点826は、線822と線820との交点が重なり合う第1の画像817の部分と、線818と線820の交点が重なり合う第2の画像813の部分とを含む(これらの交点は、対応する線が図示のように重なり合う場合に交差するであろう点に対応する)。交点826に位置していない元の画像808の部分に対応する画像情報の少なくとも一部は、対応する光がTIRを介して導波管700を正常に伝搬しないため失われる。いくつかの実施形態では、最終画像824の空間解像度または角度解像度は、離散的な交点826の数量及び密度に対応する。すなわち、最終画像824の空間解像度または角度解像度は、対応する光が導波管700を伝搬した後に元の画像808がどの程度保持されるかに対応する。
【0069】
交点826の交点の第1のセットは、第1の画像817からの線822と線820との交点に対応し、交点826の交点の第2のセットは、第2の画像813からの線818と線820との交点に対応する。図示のように、交点の第1のセットは交点の第2のセットから空間的に分離されるため、最終画像824は、第1の画像817または第2の画像813のどちらかに個別に含まれるそのような交点の数量よりも多い数量の交点826を含む。したがって、表示光706を第1及び第2の部分711及び715に分割し、異なる伝搬角度を有する2つの異なる光路を介して導波管700を通して第1及び第2の部分711及び715を伝搬することによって、最終画像824の空間解像度または角度解像度は有利に増加し、その結果、最終画像824の空間解像度または角度解像度は(例えば、図4の出力画像408と比較して)向上する。
【0070】
TIRを介して導波管700を通して光を正常に伝搬することを可能にする伝搬角度806の数が、通常、本例に示される数よりも多く、したがって最終画像824における離散的な交点826の数が、そのような例に示される数よりも多くなるであろうことに留意されたい。すなわち、説明を容易にするために、減少した数量の伝搬角度806及び交点826が本例に示される。
【0071】
図9は、いくつかの実施形態による、導波管900の部分的に透明な透視図(「正面」図)を示す(例えば、図2の表示システム200の導波管212の一実施形態)。導波管900は、インカプラ214と、第1の射出瞳拡大器902と、第2の射出瞳拡大器904と、アウトカプラ216とを含む。いくつかの実施形態では、第1の射出瞳拡大器902及び第2の射出瞳拡大器904のそれぞれは、受け取った表示光をリダイレクトし、拡大し、それによって導波管900を含む表示システム(例えば、図1の表示システム100、図2の表示システム200)のアイボックスの1つ以上の次元を拡大するように構成された、回折格子またはホログラフィック格子などの光学格子を含む。
【0072】
動作中、図2の光学エンジン208の一実施形態などの光源は、第1の軌道908に沿って導波管900内に表示光906を出力する。インカプラ214は、表示光906を、第1の部分911(「表示光911の第1の部分」と呼ばれることある)と、第2の部分915(本明細書では表示光915の「第2の部分」と呼ばれることがある)と、第3の部分925(本明細書では表示光925の「第3の部分」と呼ばれることがある)とに分割する。いくつかの実施形態では、表示光906は、本明細書では「元の」画像と呼ばれる画像を伝達し、表示光911の第1の部分は第1の画像を伝達し、表示光915の第2の部分は第2の画像を伝達し、表示光925の第3の部分は第3の画像を伝達し、アウトカプラ216を介して出力された、結合された表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分は、第1の画像と第2の画像を組み合わせである「最終」画像を伝達する。いくつかの実施形態では、第1の画像、第2の画像、及び第3の画像のそれぞれは元の画像に対応するが、表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分がそれぞれ異なる光路に沿って導波管900を通して進行するときに離散化のために、元の画像のそれぞれ異なる部分に対応する画像情報は、第1の画像、第2の画像、及び第3の画像のそれぞれで少なくとも部分的に失われる。いくつかの実施形態では、第3の画像は、元の画像の一部のみを表し、第3の画像の幾何学形状が、第1及び第2の画像の幾何学形状が第1及び第2の画像瞳拡大器902及び904によって拡大するのと同じように射出瞳拡大器によって拡大しないので、最終画像の一部のみの空間解像度または角度解像度の向上を生じさせる。
【0073】
インカプラ214は、第2の軌道910に沿って第1の射出瞳拡大器902に向けて表示光911の第1の部分をリダイレクトする。本例では、第2の軌道910は、正のy次元及び負のx次元に延びる。第1の射出瞳拡大器902は、第3の軌道912に沿ってアウトカプラ216に表示光911の第1の部分をリダイレクトする。本例では、第3の軌道912は、負のx次元及び負のy次元に延びる。アウトカプラは、表示光911の第1の部分が第4の軌道914に沿ってユーザーの目922に向かって出力されるように、導波管900から外に表示光911の第1の部分をリダイレクトする。インカプラ214は、第5の軌道916に沿って第2の射出瞳拡大器904に向けて表示光915の第2の部分をリダイレクトする。本例では、第5の軌道916は、負のy次元及び負のx次元に延びる。第2の射出瞳拡大器904は、第6の軌道918を介してアウトカプラ216に向けて表示光915の第2の部分をリダイレクトする。本例では、第6の軌道918は、正のy次元及び負のx次元に延びる。アウトカプラ216は、第7の軌道920を介して導波管900から外にユーザーの目922に向けて表示光915の第2の部分をリダイレクトする。インカプラ214は、第8の軌道924を介してアウトカプラ216に向けて表示光925の第3の部分をリダイレクトする。本例では、第9の軌道924は負のx次元に延びる。アウトカプラ216は、第9の軌道926を介して導波管900から外にユーザーの目922に向けて表示光926の第3の部分をリダイレクトする。第1の軌道908、第4の軌道914、第7の軌道920、及び第9の軌道926は、いくつかの実施形態では、互いに平行であるか、または実質的に(例えば、約5%以内で)平行である。
【0074】
本例では、第2の軌道910、第3の軌道912、及び第4の軌道914は、導波管900を通る第1の光路であると考えられ、第5の軌道916、第6の軌道918、及び第7の軌道920は、導波管900を通る第2の光路であると考えられ、第8の軌道924及び第9の軌道926は、導波管900を通る第3の航路であると考えられる。ここで、第1の光路、第2の光路、及び第3の光路はそれぞれ互いとは異なる。例えば、第1の光路の軌道に沿って進行するときの表示光911の第1の部分の伝搬角度の少なくとも一部は、第2の光路に沿って進行するときの第2の表示光915の第2の部分の対応する伝搬角度と異なり、第3の光路の軌道に沿って進行するときの第3の表示光925のそれ以外の場合に対応する伝搬角度と異なる。
【0075】
導波管900内の表示光(例えば、表示光906、表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、表示光925の第3の部分)の軌道が変化するたびに(例えば、インカプラ214、第1の射出瞳拡大器902、第2射出瞳拡大器904、またはアウトカプラ216などの回折格子への入射により)、その光によって伝達される画像の一部の画像情報の一部が少なくとも失われ、一方、画像の残りの部分が実質的に保存される。例えば、保存される画像の部分は、導波管900を通してTIRが達成可能である伝搬角度で伝搬する表示光の部分に対応し、一方、完全に保存されない(つまり、画像情報が部分的に失われる)画像の部分は、任意の他の伝搬角度で伝搬する表示光の部分に対応する。表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分は、それぞれ異なる伝搬角度を有するそれぞれ異なる光路に沿って導波管900をそれぞれ進行するため、表示光911の第1の部分によって運ばれた第1の画像の保存部分、表示光915の第2の部分によって運ばれた第2の画像の保存部分、及び表示光925の第3の部分によって運ばれた第3の画像の保存部分はそれぞれ互いと異なる。したがって、いくつかの実施形態では、アウトカプラ216を介して出力された最終画像は、第1の画像、第2画像、または第3の画像のいずれか1つの単独よりも高い空間解像度または角度解像度を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の画像を伝達する表示光911の第1の部分は、光モードの第1のセットを利用し、第2の画像を伝達する表示光915の第2の部分は、光モードの第2のセットを利用し、表示光925の第3の部分は光モードの第3のセットを利用する。表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分は、空間的に異なる経路を横切る。すなわち、光モードの第1のセット及び光モードの第2のセットは、それぞれと重なり合っていないか、または部分的には重なり合っておらず、光モードの第1のセット及び第2のセットのそれぞれは、元の画像のそれぞれ異なる部分に対応する。このようにして、最終画像を伝達するために利用される光モードの密度は、第1の画像を単独で伝達するために利用される光モード、または第2の画像を単独で伝達するために利用される光モードの密度と比較して(例えば、第1または第2の光路の1つしか含まない導波管と比較して)増加する。
【0077】
複数の光路を介して導波管900を通して表示光906をリダイレクトすることによって、したがって、導波管900を介して伝達された画像の空間解像度または角度解像度は有利に増加する。さらに、介在構造(例えば、射出瞳拡大器または他の解析格子)なしでインカプラ214からアウトカプラ216に直接的に表示光925の第3の部分を提供することによって、表示光925の第3の部分が導波管900を横切るときの伝搬角度の変化は少なくなり、その結果、k空間での第3の画像のシフトは少なくなり、元の画像のより大きい部分(または、いくつかの実施形態では、第3の画像が対応する元の画像の領域のより大きい部分)が、第1及び第2の画像より第3の画像に保持される。
【0078】
いくつかの実施形態では、第3の光路に沿った伝搬長は、第1及び第2の光路に沿った伝搬長のどちらよりも短いため、第3の光路に沿って伝搬する表示光925の第3の部分は(例えば、表面またはバルク材料の特徴または非理想性のため)、第1及び第2の光路に沿って伝搬する表示光911及び915の第1及び第2の部分よりも受ける散乱が少なく、これによって第3の画像及び最終画像の対応する部分のそれぞれの空間解像度または角度解像度はさらに向上する。いくつかの実施形態では、本例の構成により、導波管によって出力される最終画像の一部に対応する、表示デバイスの視野(FOV)の標的領域の空間解像度または角度解像度が向上する。
【0079】
図10は、k空間に対して図9の導波管900を通る表示光の伝搬を表すチャート1000を示す。すなわち、チャート1000は、導波管900の二次元(2D)一般化に対応するk空間チャートである。したがって、本例のいくつかの態様は、導波管900及びその要素に関して説明される。
【0080】
バルク屈折率がnである材料中の所与の波長λの光の場合、導波管900を通る光の伝搬ベクトルの全光度はk=(2πn)/λになる。2Dのk空間における所与の伝搬角度は円として表され、k=k +k を必要とする。第1の境界角度1002と第2の境界角度1004の間の伝搬角度で進行する光のみが、TIRを介して導波管900に沿って伝搬できる。さらに、線1006(第1の境界角度1002と第2の境界角度1004との間に位置する破線の円)で表される離散的な伝搬角度(つまり、離散的な極角度)で進行する光のみが、TIRを介して導波管900に沿って伝搬できる。線1006は、本明細書では「伝搬角度1006」と呼ばれる場合がある。
【0081】
最初に、インカプラ214において導波管900に入る表示光906は、チャート1000の原点でまたは原点の周りで中心に置かれる。ここで、元の画像1008は、表示光906によって運ばれる画像を表す。元の画像1008は、第1の軌道908に沿って導波管900に入るとき、最初にk空間に対して第1の位置1010に配置される。インカプラ214によって表示光906がリダイレクトされると、元の画像は、表示光911の第1の部分によって伝達される第1の画像1017と、表示光915の第2の部分によって伝達される第2の画像1013と、表示光925の第3の部分によって伝達される第3の画像1021とに分割される。インカプラ214によって表示光911の第1の部分がリダイレクトされると、第1の画像1017はk空間内で第2の位置1016にシフトされ、正のk次元のシフトに相当する。インカプラ214によって表示光915の第2の部分がリダイレクトされると、第2の画像1013はk空間内で第3の位置1012にシフトされ、負のk次元のシフトに相当する。インカプラ214によって表示光925の第3の部分がリダイレクトされると、第3の画像1021はk空間内で第4の位置1014にシフトされ、負のk次元のシフトに相当する。第1の射出瞳拡大器902によって表示光911の第1の部分がリダイレクトされると、第1の画像1017はk空間内で第4の位置1014にシフトされ、負のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。第2の射出瞳拡大器904によって表示光915の第2の部分がリダイレクトされると、第2の画像1013はk空間内で第4の位置1014にシフトされ、正のk次元、及び負のk次元のシフトに相当する。アウトカプラ216によって表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分がリダイレクトされると、第1の画像1017と第2の画像1013と第3の画像1021は結合されて最終画像1024を形成し、最終画像1024は、k空間内で第1の位置1010に戻され、正のk次元のシフトに相当する。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の画像1017及び第2の画像1013はそれぞれ、元の画像1008の表現である。いくつかの実施形態では、第1の画像1017は元の画像1008の第1の空間部分に対応し、第2の画像1013は元の画像1008の第2の空間部分に対応する。特定の実施形態では、元の画像1008の第1及び第2の部分は、部分的に重なり合う。いくつかの実施形態では、第1の画像1017は、元の画像1008の表示光の波長(つまり、色)の第1のセットのみを含む元の画像1008の第1の表現に対応し、第2の画像1013は、元の画像1008の表示光の波長(つまり、色)の第2のセットのみを含む元の画像1008の第2の表現に対応し、表示光の波長の第1のセットは、表示光の波長の第2のセットとは少なくとも部分的に異なる。
【0083】
本例では、表示光906がインカプラ214を介して導波管900に入る角度は、表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分がアウトカプラ216を介して導波管900を出る角度と同じであるか、または実質的に同じである(例えば、5%範囲内)と想定される。第2の位置1016では、線1022(線1006のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第1の画像1017の部分を伝達する光のみが、TIRを介して導波路900に沿って正常に伝搬できる。第3の位置1012では、線1018(線1006のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第2の画像1013の部分を伝達する光のみが、TIRを介して導波路900に沿って正常に伝搬できる。第4の位置1014では、線1020(線1006のサブセットの部分に対応する)が重なり合う第1の画像1017、第2の画像1013、及び第3の画像1021の部分を伝達する光のみが、導波路900に沿って正常に伝搬できる。したがって、最終画像1024は、導波管900から外にリダイレクトされると、(アウトカプラ216での第1の画像1017、第2の画像1013、及び第3の画像1021のシフト及び結合により)第1の位置1010に戻る。
【0084】
本例では、離散的な交点1026に対応する元の画像1008の部分及び線1028に対応する(例えば、線1020に対応する)それらの部分のみが保存される(つまり、第1及び第2の画像1017及び1013を伝達する光は、導波管900を通って正常に伝搬する)。例えば、交点1026は、第1の画像1017からの線1022と線1020との交点と、第2の画像1013から線1018と線1020の交点とを含む(これらの交点は、対応する線が図示のようにが重なり合う場合に交差するであろう点に対応する)。線1028は、線1020が重なり合う第3の画像1021の部分に対応する。離散的な交点1026または線1028に対応しない元の画像1008の他の部分は、導波管900を通して完全に伝搬されず、対応する画像情報は少なくとも部分的に失われる。線1028は、それぞれ、視野角のそれぞれ異なる領域を表し、視野角の所与の領域の形状は、第4の位置1014で線1020が重なり合う第3の画像1021の領域に対応する。いくつかの実施形態では、交点1026のそれぞれは、線1028が表す視野角の領域の1つのそれぞれ異なるサブ領域に対応する。
【0085】
第3の画像1021を伝達する表示光925の第3の部分は、介在する回折格子(例えば、射出瞳拡大器)に入射することなく、TIRを介してインカプラ214からアウトカプラ216に直接的に進行するため、線1020が重なっている第3の画像1021の部分が保存される。例えば、表示光925の第3の部分が第3の光路に沿って導波管900を通って伝搬するときには、インカプラ214とアウトカプラ216との間の表示光925の第3の部分の光路内に介在する回折格子(例えば、射出瞳拡大器)が存在しないために保存される第1の画像1017及び第2の画像1013の量よりも多い量の第3の画像1021が保存される。保存されていない画像部分を伝達する表示光は、TIRを介して導波管900を正常に伝搬しないため、保存されていない第1の画像1017、第2の画像1013、及び第3の画像1021に対応する元の画像1008の画像情報は、保存されている第1の画像1017、第2の画像1013、及び第3の画像1021の部分に対応する元の画像1008の画像情報よりも大きい損失を被る。最終画像1024の空間解像度または角度解像度は、離散的な交点1026及び線1028の数量及び密度に対応する。すなわち、最終画像1024の空間解像度または角度解像度は、対応する光(例えば、表示光911の第1の部分、表示光915の第2の部分、及び表示光925の第3の部分)が導波管900を伝搬した後に元の画像1008がどの程度保持されるかに対応する。
【0086】
交点1026の交点の第1のセットは、第1の画像1017からの線1022と線1020との交点に対応し、交点1026の交点の第2のセットは、第2の画像1013からの線1018と線1020との交点に対応する。図示のように、交点の第1のセットは、交点の第2のセットとは空間的に分離されている。いくつかの実施形態では、最終画像1024は、第1の画像1017または第2の画像1013のどちらかに個別に含まれるよりも多い量の元の画像1008を含む。いくつかの実施形態では、最終画像1024の明るさは、交点1026において、第3の画像1021の対応する位置(線1028の対応する部分)よりも大きい。したがって、表示光906を表示光911の第1の部分と、表示光915の第2の部分と、表示光925の第3の部分とに分割し、異なる伝搬角度を有する3つの異なる光路を介して、導波管900を通して表示光911の第1の部分と、表示光915の第2の部分と、表示光925の第3の部分とを伝搬することによって、最終画像1024の交点/光モードの密度及び数量は有利に増加し、その結果、最終画像1024の空間解像度または角度解像度は(例えば、図4の出力画像408と比較して)増加する。
【0087】
TIRを介して導波管900を通して光を正常に伝搬することを可能にする伝搬角度1006の数が、通常、本例に示される数よりも多く、したがって最終画像1024における離散的な交点1026及び線1028の数が、そのような例に示される数よりも多くなるであろうことに留意されたい。すなわち、説明を容易にするために、減少した数量の伝搬角度1006、交点1026、及び線1028が本例に示される。
【0088】
記載されるものに加えて、一般的な説明の中で上述されるすべてのアクティビティまたは要素が必要ではないこと、また特定のアクティビティまたはデバイスの一部が必要ではない可能性があること、また1つ以上のさらなるアクティビティが実行され得る、または要素が含まれ得ることに留意されたい。さらに、アクティビティを列挙する順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念は、特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者は、下記の特許請求の範囲に記載されるように本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び変形を行うことが可能であることを理解する。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきであり、すべてのこれらの変更形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0089】
利益、他の利点、及び問題に対する解決策を、具体的な実施形態に関して、上記にて説明してきた。しかしながら、利益、利点、及び問題に対する解決策、ならびに任意の利益、利点、または解決策を生じさせ得る、またはより顕著にし得る、任意の特徴は、任意のまたはすべての請求項の重大、必要、または不可欠な特徴として解釈されないものとする。さらに、開示された発明の主題が本明細書に教示の利益を有する当業者へ明らかである、異なるが均等な方式において変更され、実施されることができるように、上記に開示される特定の実施形態は、例示に過ぎない。下記の特許請求の範囲に記載される以外の、本明細書に示される構成または設計の詳細への制限を意図しない。したがって、上記に開示される特定の実施形態を変更または修正し得、すべてのこれらのような変形形態が開示された発明の主題の範囲内に考察されることは、明らかである。その結果、本明細書に求められる保護は、下記の特許請求の範囲内に記載される通りである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管であって、
表示用の画像を表す表示光を受け取ることと、
第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第2の部分を導くことと、を行なうように構成されたインカプラを備え、前記第1の光路及び前記第2の光路は、重なり合わない伝搬角度を有しており、前記導波管はさらに、
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記画像の表現を表示するように構成されたアウトカプラを備える、導波管。
【請求項2】
前記表示光の前記第1の部分は、前記画像の第1の空間部分に対応し、
前記表示光の前記第2の部分は、前記画像の第2の空間部分に対応する、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記画像の前記第1の空間部分及び前記画像の前記第2の空間部分は、部分的に重なり合う、請求項2に記載の導波管。
【請求項4】
前記表示光の前記第1の部分は、波長の第1のセットを含み、
前記表示光の前記第2の部分は、前記第1のセットとは異なる波長の第2のセットを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導波管。
【請求項5】
前記導波管は、
前記第1の光路に配置され、前記アウトカプラに向けて前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトするように構成された第1の射出瞳拡大器と、
前記第1の光路に配置され、前記アウトカプラに向けて前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトするように構成された第2の射出瞳拡大器と、
を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導波管。
【請求項6】
前記アウトカプラは、前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記表現を表示するように構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導波管。
【請求項7】
前記インカプラは、
光学エンジンから前記表示光を受け取ることと、
前記表示光を少なくとも前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とに分割することと、
前記第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトすることと、
前記第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトすることと、
を行うようにさらに構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導波管。
【請求項8】
前記インカプラは、前記表示光を前記表示光の第3の部分に分割し、前記表示光の前記第3の部分を、前記第1の光路及び前記第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬し導くようにさらに構成されている、請求項7に記載の導波管。
【請求項9】
前記表現は、前記画像の前記第1の部分、前記画像の前記第2の部分、及び前記画像の前記第3の部分の組み合わせである、請求項8に記載の導波管。
【請求項10】
方法であって、
表示用の画像を表す表示光を受け取ることと、
第1の光路に沿って導波管内で伝搬するように前記表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第2の部分を導くこととを備え、前記第1の光路及び前記第2の光路は、それぞれ重なり合わない伝搬角度を有し、前記方法はさらに、
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して、前記画像の表現を表示することを含む、方法。
【請求項11】
前記表示光の前記第1の部分は、前記画像の第1の空間部分を伝達し、
前記表示光の前記第2の部分は、前記画像の第2の空間部分に伝達する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記画像の前記第1の空間部分及び前記画像の前記第2の空間部分は、部分的に重なり合う、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の光路に沿って前記表示光の前記第1の部分を導くことは、前記第1の光路に沿って前記表示光の波長の第1のセットを導くことを含み、
前記第2の光路に沿って前記表示光の前記第2の部分を導くことは、前記第2の光路に沿って前記表示光の波長の第2のセットを導くことを含み、
前記波長の第2のセットは、前記第1のセットとは異なる、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の光路に配置された第1の射出瞳拡大器を用いて、前記導波管のアウトカプラに向けて前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトすることと、
前記第2の光路に配置された第2の射出瞳拡大器を用いて、前記アウトカプラに向けて前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトすることと、
をさらに含む、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記アウトカプラを用いて、前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記表現を表示することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記導波管のインカプラを用いて、光学エンジンから前記表示光を受け取ることと、
前記インカプラによって、前記表示光を少なくとも前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とに分割することと、
前記インカプラによって、前記第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第1の部分をリダイレクトすることと、
前記インカプラによって、前記第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の前記第2の部分をリダイレクトすることと、
を含む、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記表示光を第3の部分に分割することと、
前記表示光の前記第3の部分を、前記第1の光路及び前記第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬するように導くことと、
をさらに含む、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分と、前記表示光の前記第3の部分とを結合することによって前記表現を表示することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
光学エンジンと、
導波管とを備え、
前記導波管は、
表示用の画像を表す表示光を受け取るように構成されており、
第1の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第1の部分を導き、第2の光路に沿って前記導波管内で伝搬するように前記表示光の第2の部分を導くように構成されており、前記第1の光路及び前記第2の光路は、それぞれ重なり合わない伝搬角度を有し、前記導波管はさらに、
前記表示光の前記第1の部分と、前記表示光の前記第2の部分とを結合して前記画像の表現を表示するように構成されている、投影システム。
【請求項20】
前記導波管は、前記表示光を第3の部分に分割し、前記表示光の前記第3の部分を、前記第1の光路及び前記第2の光路とは異なる第3の光路に沿って伝搬し導くようにさらに構成されている、請求項19に記載の投影システム。
【国際調査報告】