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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】先細りの掃気室を備えた点火プラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/54 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H01T13/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536311
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022083106
(87)【国際公開番号】W WO2023117290
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021214896.4
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュラム,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベンツ,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
5G059
【Fターム(参考)】
5G059AA03
5G059AA04
5G059AA08
5G059AA10
5G059KK23
(57)【要約】
縦軸線Xを備えた点火プラグ(1)であって、-縦孔を備えたハウジング(2)にして、これによって前記ハウジング(2)が内側面(21)を備えたハウジング壁(20)を有している前記ハウジング(2)と、-前記ハウジング(2)の内部に配置され、前記縦軸線Xに対し垂直に延びている平面E1と面一である燃焼室側の絶縁体先端部(30)を備えた絶縁体(3)と、-少なくとも部分的に前記絶縁体(3)の内部に配置されている中心電極(4)と、-前記ハウジング(2)の内部に配置されている接地電極(5)にして、前記接地電極(5)と前記中心電極(4)とが点火ギャップ(55)を形成して、前記点火ギャップ(55)が前記ハウジング(2)の内部にあるように前記接地電極(5)と前記中心電極(4)とが配置されている、前記接地電極(5)とを有している、前記点火プラグ(1)において、前記ハウジング(2)は、その燃焼室側端部に第1の内径D1を有し、そして前記ハウジング(2)の内部にして前記平面E1内に第2の内径D2を有し、この場合前記第1の直径D1は前記第2の直径D2よりも大きく、その結果前記ハウジング(2)の内部に形成される掃気室(50)がその燃焼室側端部(51)からその燃焼室とは逆の側の端部(52)のほうへ先細りになっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸線Xを備えた点火プラグ(1)であって、
・縦孔を備えたハウジング(2)にして、これによって前記ハウジング(2)が内側面(21)を備えたハウジング壁(20)を有している前記ハウジング(2)と、
・前記ハウジング(2)の内部に配置され、前記縦軸線Xに対し垂直に延びている平面E1と面一である燃焼室側の絶縁体先端部(31)を備えた絶縁体(3)と、
・少なくとも部分的に前記絶縁体(3)の内部に配置されている中心電極(4)と、
・前記ハウジング(2)の内部に配置されている接地電極(5)にして、前記接地電極(5)と前記中心電極(4)とが点火ギャップ(55)を形成して、前記点火ギャップ(55)が前記ハウジング(2)の内部にあるように前記接地電極(5)と前記中心電極(4)とが配置されている、前記接地電極(5)と、
を有している前記点火プラグ(1)において、
前記ハウジング(2)が、その燃焼室側端部に第1の内径D1を有し、そして前記ハウジング(2)の内部にして前記平面E1内に第2の内径D2を有し、前記第1の内径D1が前記第2の内径D2よりも大きく、その結果前記ハウジング(2)の内部に形成される掃気室(50)がその燃焼室側端部(51)からその燃焼室とは逆の側の端部(52)のほうへ先細りになっていることを特徴とする点火プラグ(1)。
【請求項2】
前記第2の内径D2は、前記第1の内径D1の35%ないし80%に相当していることを特徴とする、請求項1に記載の点火プラグ(1)。
【請求項3】
前記絶縁体先端部(31)が、前記掃気室(30)を少なくとも部分的にその燃焼室とは逆の側の端部(52)において画成していることを特徴とする、請求項1または2に記載の点火プラグ(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(2)の前記ハウジング壁(20)が前記掃気室(50)を側方から画成し、その結果前記掃気室(50)の先細り形状が生じていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の点火プラグ(1)。
【請求項5】
前記掃気室(50)の形状が前記ハウジング壁(20)の前記内側面(21)のまっすぐな面から生じており、特にその場合、前記ハウジング壁(20)の前記内側面(21)から前記ハウジング(2)の燃焼室側端面(27)への第1の移行部(17)が、および/または、前記ハウジング壁(20)の前記内側面(21)から前記掃気室(50)をその燃焼室とは逆の側の端部(52)において画成している前記ハウジング(2)の面(22)への第2の移行部(18)が、面取りされていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項6】
前記掃気室(50)の形状が、前記縦軸線に対し平行に並列している、前記ハウジング壁の前記内側面(21)の複数の部分面から構成され、個々の部分面はまっすぐまたは湾曲していて、異なる部分面は異なる曲率半径を持ち、その結果全体的に前記掃気室(50)の湾曲した形状が生じていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項7】
前記掃気室(50)の形状が、円錐状部分(53)と、一定の直径を持つ筒状部分(54)とから構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項8】
前記掃気室(50)の形状が回転対称および/または鏡対称であり、前記点火プラグの前記縦軸線が対称軸線であることを特徴とする、請求項4から7のいずれか1項に記載の点火プラグ(1)。
【請求項9】
前記掃気室(50)の形状が回転対称および/または鏡対称であり、対称軸線が前記点火プラグの前記縦軸線に対し間隔を持っていることを特徴とする、請求項4から7のいずれか1項に記載の点火プラグ(1)。
【請求項10】
前記掃気室(50)の形状が非対称であることを特徴とする、請求項4から7のいずれか1項に記載の点火プラグ(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(2)の前記燃焼室側端部にキャップが配置され、その結果前記点火プラグ(1)が予燃焼室・点火プラグであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の点火プラグ(1)。
【請求項12】
前記点火プラグが水素・点火プラグであり、前記水素・点火プラグは、水素で作動する原動機で使用して、点火可能な水素を含んでいる燃料・空気・混合物を点火させるために設置されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の点火プラグ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による点火プラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日使用されている多くの点火プラグの場合、接地電極はハウジングの燃焼室側端面に配置され、点火ギャップはハウジングの外側に形成されている。中心電極もハウジングから突出して、燃焼室内へ突入していることが多い。これにより、これら電極と絶縁体とは燃焼室から多くの熱を受け取り得る。さらに、ハウジングと、中心電極を備えた絶縁体との間に延在している掃気室は、通常、筒状に形成されおり、点火ギャップがハウジングの外側に形成されている点火プラグの場合には、副次的な役割を果たしている。
【0003】
これらの点火プラグは、ガソリンで作動する内燃エンジンでの使用に対し最適化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃エンジンで燃料として水素を使用する設計構想が増えており、これによって点火プラグの構造およびデザインにおいて新たな挑戦が生じている。水素は非常に迅速に燃焼し、その結果他の燃料の場合よりも遅い時点で且つ高い燃焼室圧力で点火される。その際に、燃焼室内に高温が生じる。
【0005】
また、水素はすでに比較的低温で自己発火する傾向がある。この自己発火を回避するには、点火プラグのすべての構成部品は可能な限り冷えていなければならない。
【0006】
本発明の課題は、構成部品の温度が低い点火プラグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、冒頭で述べた種類の本発明による点火プラグにおいて、ハウジングが、その燃焼室側端部に第1の内径D1を有し、そして前記ハウジングの内部にして平面E1内に第2の内径D2を有し、この場合前記第1の内径D1が前記第2の内径D2よりも大きく、その結果前記ハウジングの内部に形成される掃気室がその燃焼室側端部からその燃焼室とは逆の側の端部のほうへ先細りになっていることによって解決される。
【0008】
本発明による、縦軸線を備えた点火プラグは、縦孔を備えたハウジングにして、これによって前記ハウジングが内側面を備えたハウジング壁を有している前記ハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記縦軸線に対し垂直に延びている平面E1と面一である燃焼室側の絶縁体先端部を備えた絶縁体と、少なくとも部分的に前記絶縁体の内部に配置されている中心電極と、前記ハウジングの内部に配置されている接地電極とを有し、この場合前記接地電極と前記中心電極とは次のように配置され、すなわち前記接地電極と前記中心電極とが点火ギャップを形成して、前記点火ギャップが前記ハウジングの内部に形成されているように配置されている。
【0009】
本発明によれば、ハウジングが、その燃焼室側端部に第1の内径D1を有し、そしてハウジングの内部にして平面E1内に第2の内径D2を有し、この場合第1の内径D1が第2の内径D2よりも大きく、その結果ハウジングの内部に形成される掃気室がその燃焼室側端部からその燃焼室とは逆の側の端部のほうへ先細りになっていることが企図されている。掃気室は点火プラグハウジング内部の空間であり、ハウジング壁と絶縁体とによって画成される。その際、掃気室の、その燃焼室とは逆の側の端部から点火ギャップまでの領域は、デッドスペースと呼ばれる。というのは、この領域への燃料・空気・混合物の流出入が悪くなりうるからである。掃気室が先細りになっていることによってデッドスペースが減少し、絶縁体および電極の領域にある燃料・空気・混合物の量が少なくなり、これによって点火後に対流と放射とによって電極と絶縁体とハウジングとにもたらされる熱エネルギーが少なくなる。ハウジング容積は付加的に拡大され、掃気室内およびその構成部品における温度がさらに減少する。これによって結果的に生じるより少ない温度負荷は、電極の摩耗、および、早期点火またはグロー点火のリスクを低減する。さらに、掃気室内での燃料・空気・混合物の流動が適切に誘導されるように掃気室の形状を構成する可能性が生じる。
【0010】
さらに、ハウジングの内部に電極を配置することには、絶縁体と接地電極と中心電極とをより短く形成できるという利点がある。これによって、これらが燃焼室内へはるかに小さく突入する。一方では、構成部品が燃焼室から受け取る熱が少なくなり、他方では、構成部品からハウジングを介してシリンダヘッド(その中に本発明による点火プラグが取り付けられている)内への放熱がより効率的になる。本出願の範囲内では、「燃焼室」という概念は、内燃エンジン・シリンダ(そのシリンダヘッド内に本発明による点火プラグを取り付けることができる)の燃焼室を意味している。点火プラグの掃気室は、本出願の範囲内では「燃焼室」の一部とは見なされない。
【0011】
本発明の更なる有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0012】
有利な態様では、第2の内径D2は、第1の内径D1の35%ないし80%に相当していることが企図されている。第2の内径D2は、ハウジング内の絶縁体に対して、特に絶縁体先端部に対して提供されるスペースをも決定する。絶縁体先端部は、第2の内径D2よりも小さな直径D3を持つ。掃気室の先細りの形状により、絶縁体先端部は、掃気室からの熱を吸収することができるより小さな面を持つ。さらに、絶縁体の、掃気室内に突出している前記より小さな面は、燃焼の際に発生する脈動圧による絶縁体および中心電極の負荷をより少なくさせる。これによって、点火プラグハウジング内での絶縁体の機械的固定の負荷が軽減され、点火プラグがより頑丈になる。
【0013】
更なる発展形態では、絶縁体先端部が掃気室を少なくとも部分的にその燃焼室とは逆の側の端部において画成していることが企図されている。掃気室は、ハウジングと絶縁体とによって画成される。燃焼室の方向で、ハウジングと掃気室とは開口している。たとえば、絶縁体先端部は、掃気室をその燃焼室とは逆の側の端部で画成しているハウジングの面と面一である。たとえば、絶縁体先端部のみが掃気室をその燃焼室とは逆の側の端部で画成してもよく、そしてハウジング壁の内側面が掃気室を半径方向において画成する。これにより、掃気室がデッドスペースを有しないこと、或いは、わずかなデッドスペースのみを有することが達成される。さらに、掃気室と接触して熱を吸収する絶縁体の表面が最小に制限される。また、絶縁体先端部は掃気室内部へ突出せず、その結果掃気室内での燃料・空気・混合物の流動が絶縁体先端部の可能なエッジによって阻害されない。
【0014】
更なる発展形態では、ハウジングのハウジング壁が掃気室を側方から画成し、その結果掃気室の先細り形状が生じていることが企図されている。
【0015】
更なる発展形態の構成では、掃気室の形状がハウジングのまっすぐな面から生じており、特にその場合、ハウジング壁の内側面からハウジングの燃焼室側端面への第1の移行部が、および/または、ハウジング壁の内側面から掃気室をその燃焼室とは逆の側の端部において画成しているハウジングの面への第2の移行部が、面取りされていることが企図されている。これによって、掃気室を画成している表面が燃料・空気・混合物の流動を刺激しうるようなエッジを有さないという利点が生じる。
【0016】
更なる発展形態の択一的構成では、掃気室の形状が、縦軸線に対し平行に並列している、複数の部分面から構成され、この場合個々の部分面はまっすぐまたは湾曲していてよく、そして異なる部分面は異なる曲率半径を持っていてよく、その結果全体的に湾曲した形状を持つ輪郭が生じることが企図されている。これによって、上述の利点が生じる。
【0017】
更なる発展形態の更なる択一的構成では、掃気室の形状が、円錐状部分と、一定の直径を持つ筒状部分とから構成されていることが企図されている。特に、円錐状部分は筒状部分よりも燃焼室により近い位置に配置されている。これによって、たとえば、掃気室がラバールノズルの末広部分の形状を持つことが生じる。これには、流出して燃焼される燃料・空気・混合物のより多くの部分が点火プラグの縦軸線に対し平行に案内され、したがってシリンダの燃焼室内への侵入深さが大きくなるという利点がある。
【0018】
本発明による点火プラグの1つの構成では、輪郭が回転対称および/または鏡対称であり、この場合点火プラグの縦軸線が対称軸線であることが企図されている。これによって、点火プラグハウジングの簡単な製造が生じる。
【0019】
本発明による点火プラグの他の構成では、輪郭が回転対称および/または鏡対称であり、この場合対称軸線が点火プラグの縦軸線に対し間隔を持っていることが企図されている。掃気室の対称軸線が点火プラグの縦軸線から間隔を持っていることにより、燃料・空気・混合物の流動を合目的に誘導することができる。
【0020】
本発明による点火プラグの更なる他の構成では、輪郭が非対称であることが企図されている。これにより、燃料・空気・混合物の流動を同様に合目的に誘導することができる。
【0021】
本発明による点火プラグの構成の有利な更なる発展形態では、点火ギャップはハウジングの燃焼室側端面から間隔Tを持ち、間隔TはT=0.1mmまたはこれよりも大きく、および/または、T=15mmまたはこれよりも小さい。間隔Tは、ハウジングの燃焼室側端面から点火ギャップの燃焼室側端部まで延びている。これによって、点火ギャップがハウジングの内部に配置されていることが生じる。この負の点火位置により、中心電極と絶縁体とを通常よりも短く構成する可能性が生じ、その結果一方では中心電極と絶縁体とがそれほど深くは燃焼室内へ突出せず、放熱のための距離がより短く、よって放熱がより効率的である。
【0022】
有利な態様では、たとえば点火ギャップの幅は0.5mmよりも大きくなく、特に0.2mmよりも大きくない。点火ギャップが小さければ小さいほど、点火火花を発生させるために必要な電圧は少ない。
【0023】
点火ギャップの幅が少なくとも0.05mm、特に0.1mmよりも小さくないことも有利である。これによって、点火ギャップが小さすぎないことが得られる。点火ギャップが非常に小さければ、点火プラグ生産時の精度に対し特別な要求を課すことになる。点火ギャップが小さい場合、複数の電極・点火面の方向が可能な限り平行な方向づけからずれていると、より大きな点火ギャップの場合よりも大きな影響があり、たとえばこれら複数の点火面の不均一な摩耗のような影響がある。したがって、点火ギャップの幅に対する下限値は、一方では必要点火電圧および摩耗を制限するための小さな点火ギャップに対する優れた妥協案であり、他方では点火プラグ生産時に複数の点火面相互の方向づけを均一に優れたクオリティで行うために是認できるコストに対する優れた妥協案である。
【0024】
本発明による点火プラグおよびその更なる発展形態は、水素で作動する原動機で使用して、点火可能な水素を含んでいる燃料・空気・混合物を点火させるために設置された水素・点火プラグである。燃料は最大で100%の水素を含んでいてよく、すなわち燃料は水素または水素・ガス・混合物であってよい。
【0025】
しかしながら、本発明による点火プラグは水素による作動に限定されていない。本発明による点火プラグは、天然ガス・内燃エンジンまたはガソリン・内燃エンジンに対しても使用できる。ただし、本発明による点火プラグは水素による作動に対して最適化されている。
【0026】
たとえば、点火プラグはキャップを有していてもよく、キャップはハウジングの燃焼室側端部に配置され、その結果点火プラグは予燃焼室・点火プラグである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による点火プラグの先細りの掃気室に対する第1実施例を示す図である。
図2】本発明による点火プラグの先細りの掃気室に対する第2実施例を示す図である。
図3】本発明による点火プラグの先細りの掃気室に対する第3実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1ないし図3には、それぞれ本発明による点火プラグ1の燃焼室側半部分の概略が図示されている。点火プラグ1はハウジング2を有し、ハウジングは縦孔を有しており、その結果ハウジング2は、内側面21を備えたハウジング壁20を有している。点火プラグ1は、さらに、ハウジング2の内部に配置されて燃焼室側に絶縁体先端部31を備えた絶縁体3を有している。絶縁体先端部31は、点火プラグ1の縦軸線Xに対し垂直に延びている平面E1と面一である。絶縁体先端部31は、直径D3を持つ。
【0029】
絶縁体3の内部には中心電極4が配置され、ハウジング2の内部には接地電極5が配置されている。接地電極5は、ここでは側面電極として形成されている。接地電極5を、ルーフ電極として形成してもよい。接地電極5は、たとえば、ハウジング壁20の内側面21の繰り抜き部内に配置されていてよく、或いは、ハウジング壁20を貫通する穿孔部内に差し込まれていてよく、或いは、ハウジング壁20の内側面21に設けた突出部に配置されていてよい。ハウジング壁20の内側面21に設けたこの局所的な繰り抜き部またはこの局所的な突出部は、掃気室50の形状を検討する場合無視することができる。中心電極4と接地電極5とは、協働してたとえば1つの半径方向の点火ギャップ55を形成する。点火ギャップ55は、ハウジング2の燃焼室側端面27から間隔Tを持ち、ハウジング2の内部に形成されている。
【0030】
掃気室50は点火プラグ1の燃焼室側端部に設けた空間であり、この空間は、点火プラグ・縦軸線Xに関して、半径方向においてはハウジング2によって画成され、そして軸線方向においては、絶縁体3と、場合によってはハウジング部分22とによって画成されている。ハウジング2は、その燃焼室側端部に、縦孔を基礎として開口部を有している。対応的に、掃気室50もその燃焼室側端部51において開口している。ハウジングの燃焼室側端面27の平面は、掃気室50をその燃焼室側端部51において画成している。ハウジング2は、その燃焼室側端部に第1の内径D1と、ハウジング2の内部にして平面E1内に第2の内径D2とを有する。第1の内径D1は第2の内径D2よりも大きく、その結果ハウジング2の内部に形成されている掃気室50は、その燃焼室側端部51からその燃焼室とは逆の側の端部52のほうへ先細りになっている。ハウジング50の第2の内径D2は、絶縁体先端部31の直径D3よりも大きい。掃気室50は、半径方向においてハウジング壁20によって画成されている。ハウジング壁20は、掃気室50の先細りに対応して、壁厚が増大している。
【0031】
絶縁体3とハウジング2との間には、ハウジング2と絶縁体3との間の中間空間を密封する密封要素10が配置されている。したがって、掃気室50からガスがハウジング2の縦孔に沿ってハウジング2および点火プラグ1の燃焼室とは逆の側の端部まで流れることはあり得ない。
【0032】
図1による実施例では、掃気室は、その燃焼室とは逆の側の端部52において、ハウジング2の面22と絶縁体3の絶縁体先端部31とによって画成されている。絶縁体先端部31はハウジング面22と面一であり、その結果掃気室50の燃焼室とは逆の側の端部52においては、中心電極4だけが掃気室50内へ突出している。
【0033】
掃気室50の形状は、ハウジング壁20の内側面21のまっすぐな面から生じたものである。その際、ハウジング壁20の内側面21からハウジング2の燃焼室側端面27への第1の移行部17は面取りされていてよい。第1の移行部17の面取り半径はR1である。追加的にまたは択一的に、ハウジング壁20の内側面21から、掃気室50をその燃焼室とは逆の側の端部52において画成しているハウジング2の面22への第2の移行部18は、面取りされていてよい。第2の移行部18の面取り半径はR2である。面取り半径R1とR2は同じであるか、或いは、異なっていてよい。
【0034】
他の図は、本発明による点火プラグ1に対する他の実施例を示している。同じ構成部品には同じ参照符号が付してある。以下では、主に実施例の相違点について述べる。
【0035】
図2は、本発明による点火プラグ1の先細りの掃気室に対する第2実施例を示している。図1による第1実施例とは異なり、絶縁体先端部31だけが掃気室をその燃焼室とは逆の側の端部において画成している。ハウジング壁の内側面は、掃気室を点火プラグの縦軸線に対し半径方向において画成している。ハウジング壁の内側面は、縦軸線に対し平行に並列している複数の部分から構成される。これらの部分は、まっすぐな面または曲率半径が異なる湾曲した面を持っていてよく、その結果ハウジング壁・内側面の波形形状が生じる。
【0036】
図3は、本発明による点火プラグ1の先細りの掃気室に対する第3実施例を示している。図1による第1実施例とは異なり、絶縁体先端部31だけが掃気室をその燃焼室とは逆の側の端部において画成している。ハウジング壁の内側面は、掃気室を点火プラグの縦軸線に対し半径方向において画成している。掃気室(50)の形状は、円錐状部分(53)と、一定の直径を持つ筒状部分(54)とから構成される。全体として、たとえばラバールノズルの末広部分のようなノズルの形状が生じる。接地電極と中心電極とは、たとえば掃気室の筒状部分内に配置されている。
【符号の説明】
【0037】
1 点火プラグ
2 ハウジング
3 絶縁体
4 中心電極
5 接地電極
17 第1の移行部
18 第2の移行部
20 ハウジング壁
21 ハウジング壁の内側面
27 ハウジングの燃焼室側端面
31 絶縁体先端部
50 掃気室
51 掃気室の燃焼側端部
52 掃気室の、燃焼室とは逆の側の端部
53 掃気室の円錐状部分
54 掃気室の筒状部分
55 点火ギャップ
D1 ハウジングの第1の内径
D2 ハウジングの第2の内径
E1 点火プラグの縦軸線に対し平行に延びる平面
X 点火プラグの縦軸線
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸線Xを備えた点火プラグ(1)であって、
・縦孔を備えたハウジング(2)にして、これによって前記ハウジング(2)が内側面(21)を備えたハウジング壁(20)を有している前記ハウジング(2)と、
・前記ハウジング(2)の内部に配置され、前記縦軸線Xに対し垂直に延びている平面E1と面一である燃焼室側の絶縁体先端部(31)を備えた絶縁体(3)と、
・少なくとも部分的に前記絶縁体(3)の内部に配置されている中心電極(4)と、
・前記ハウジング(2)の内部に配置されている接地電極(5)にして、前記接地電極(5)と前記中心電極(4)とが点火ギャップ(55)を形成して、前記点火ギャップ(55)が前記ハウジング(2)の内部にあるように前記接地電極(5)と前記中心電極(4)とが配置されている、前記接地電極(5)と、
を有している前記点火プラグ(1)において、
前記ハウジング(2)が、その燃焼室側端部に第1の内径D1を有し、そして前記ハウジング(2)の内部にして前記平面E1内に第2の内径D2を有し、前記第1の内径D1が前記第2の内径D2よりも大きく、その結果前記ハウジング(2)の内部に形成される掃気室(50)がその燃焼室側端部(51)からその燃焼室とは逆の側の端部(52)のほうへ先細りになっていることを特徴とする点火プラグ(1)。
【請求項2】
前記第2の内径D2は、前記第1の内径D1の35%ないし80%に相当していることを特徴とする、請求項1に記載の点火プラグ(1)。
【請求項3】
前記絶縁体先端部(31)が、前記掃気室(50)を少なくとも部分的にその燃焼室とは逆の側の端部(52)において画成していることを特徴とする、請求項1または2に記載の点火プラグ(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(2)の前記ハウジング壁(20)が前記掃気室(50)を側方から画成し、その結果前記掃気室(50)の先細り形状が生じていることを特徴とする、請求項1または2に記載の点火プラグ(1)。
【請求項5】
前記掃気室(50)の形状が前記ハウジング壁(20)の前記内側面(21)のまっすぐな面から生じており、特にその場合、前記ハウジング壁(20)の前記内側面(21)から前記ハウジング(2)の燃焼室側端面(27)への第1の移行部(17)が、および/または、前記ハウジング壁(20)の前記内側面(21)から前記掃気室(50)をその燃焼室とは逆の側の端部(52)において画成している前記ハウジング(2)の面(22)への第2の移行部(18)が、面取りされていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項6】
前記掃気室(50)の形状が、前記縦軸線に対し平行に並列している、前記ハウジング壁の前記内側面(21)の複数の部分面から構成され、個々の部分面はまっすぐまたは湾曲していて、異なる部分面は異なる曲率半径を持ち、その結果全体的に前記掃気室(50)の湾曲した形状が生じていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項7】
前記掃気室(50)の形状が、円錐状部分(53)と、一定の直径を持つ筒状部分(54)とから構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項8】
前記掃気室(50)の形状が回転対称および/または鏡対称であり、前記点火プラグの前記縦軸線が対称軸線であることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項9】
前記掃気室(50)の形状が回転対称および/または鏡対称であり、対称軸線が前記点火プラグの前記縦軸線に対し間隔を持っていることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項10】
前記掃気室(50)の形状が非対称であることを特徴とする、請求項4に記載の点火プラグ(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(2)の前記燃焼室側端部にキャップが配置され、その結果前記点火プラグ(1)が予燃焼室・点火プラグであることを特徴とする、請求項1または2に記載の点火プラグ(1)。
【請求項12】
前記点火プラグが水素・点火プラグであり、前記水素・点火プラグは、水素で作動する原動機で使用して、点火可能な水素を含んでいる燃料・空気・混合物を点火させるために設置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の点火プラグ(1)。
【国際調査報告】