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特表2024-546284多段ポリマー、その調製方法、それを含む組成物およびその使用
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  • 特表-多段ポリマー、その調製方法、それを含む組成物およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】多段ポリマー、その調製方法、それを含む組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 279/02 20060101AFI20241212BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20241212BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20241212BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20241212BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C08F279/02
C08L51/04
C08K5/101
C08F2/44 C
C08F20/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536322
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022087285
(87)【国際公開番号】W WO2023118329
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2114419
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クーファン, アリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】イノーブリ, ラビ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルモゲン, アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BN141
4J002EH076
4J002GH00
4J002GJ01
4J011AA05
4J011BA04
4J011PA54
4J011PC02
4J011PC06
4J026AA68
4J026AC34
4J026BA07
4J026BA27
4J026DB04
4J026DB13
4J026DB24
4J026DB26
4J026EA03
4J026FA07
4J026GA01
4J026GA06
4J026GA09
(57)【要約】
本発明は、多段ポリマーを含む組成物、その調製方法、それを含む組成物およびその使用に関する。特に、本発明は、多段方法によって作製されたポリマー粒子の形態の多段ポリマー、および(メタ)アクリル系ポリマーを含む多孔質ポリマー粉末の形態の組成物組成物に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも2つの段を含む多段方法によって作製されたポリマー粒子、および(メタ)アクリル系ポリマーを含む多孔質ポリマー粉末の形態のポリマー組成物、その調製方法、その使用、ならびにそれを含む組成物および物品に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める、前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であることを特徴とし、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有することを特徴とし、
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むか、またはポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、
ポリマー組成物(PC1)。
【請求項2】
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項3】
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項4】
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位、ならびにそれぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項5】
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)のそれぞれが、1wt%~90wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とする、請求項1または2または4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
モノマー単位の脂環式炭化水素基の炭素数が6~20であることを特徴とする、請求項1または2または4または5に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項7】
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)のそれぞれが、1wt%~50wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とする、請求項1または2または4または5に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)のそれぞれが、5wt%~35wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とする、請求項1または2または4または5に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位が、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェンチルアクリレート、フェンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジメチルアダマンチル(admantyl)アクリレート、ジメチルアダマンチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメタクリレートから選択されることを特徴とする、請求項1から2および4から8のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項10】
多孔質ポリマー粉末POW1の形態のポリマー組成物(PC1)が、水銀多孔度測定により測定して少なくとも1.2ml/gの全圧入体積を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項11】
多孔質ポリマー粉末POW1の形態のポリマー組成物(PC1)が、水銀多孔度測定により測定して最大10ml/gの全圧入体積を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項12】
多孔質ポリマー粉末POW1の形態のポリマー組成物(PC1)が、1.2ml/g~10ml/gの間、より好ましくは1.25ml/g~8ml/gの間の全圧入体積を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項13】
成分c)が、a)、b)およびc)に基づいて組成物の4wt%~40wt%の間を占めることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項14】
ポリマー(B1)および(C1)中の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される、モノマー単位が同じ単位であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項15】
ポリマー(B1)および(C1)中の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される、モノマー単位が50wt%未満同じであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC1)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のポリマー組成物を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
c)モノマーまたはモノマー混合物(C)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)に層を得る工程であり、前記ポリマー(C1)が、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める、工程
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーもしくはモノマー混合物(B)およびモノマーもしくはモノマー混合物(C)の両方が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマーを含むか、またはモノマーもしくはモノマー混合物(B)およびモノマーもしくはモノマー混合物(C)の両方が、それぞれコモノマー(Mcb1)および(Mcc1)を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、方法。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載のポリマー組成物を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程であり、
工程a)とb)の両方を合わせて多段ポリマー(MP1)が得られる工程、ならびに
c)多段ポリマー(MP1)と、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)をブレンドする工程であり、前記ポリマー(C1)がa)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーもしくはモノマー混合物(B)およびモノマーもしくはモノマー混合物(C)の両方が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマーを含むか、またはモノマーもしくはモノマー混合物(B)およびモノマーもしくはモノマー混合物(C)の両方が、それぞれコモノマー(Mcb1)および(Mcc1)を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、方法。
【請求項18】
凝集工程が凝固によって行われることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
凝固が塩または無機酸によって行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から15のいずれか一項に記載の、または請求項16から19のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマー組成物(PC1)の、耐衝撃性改良剤としての使用。
【請求項21】
液体組成物LC1であって、
a)請求項1から15のいずれか一項に記載の、または請求項16から19のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマー組成物(PC1)、および
b)モノマー(M2)
を含み、液体組成物LC1中のポリマー組成物(PC1)対モノマー(M2)との重量比が1/99~25/75の間であることを特徴とする、液体組成物LC1。
【請求項22】
モノマー(M2)が、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェンチルアクリレート、フェンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジメチルアダマンチルアクリレート、ジメチルアダマンチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメタクリレート、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項21に記載の液体組成物LC1。
【請求項23】
請求項1から15のいずれか一項に記載の、または請求項16から19のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマー組成物(PC1)の、UV硬化、3D印刷、および接着剤用組成物の分野における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段ポリマーを含む組成物、その調製方法、それを含む組成物およびその使用に関する。
【0002】
特に、本発明は、多段方法によって作製されたポリマー粒子の形態の多段ポリマー、および(メタ)アクリル系ポリマーを含むポリマー粉末の形態の組成物に関する。
【0003】
より詳細には、本発明は、少なくとも2つの段を含む多段方法によって作製されたポリマー粒子、および(メタ)アクリル系ポリマーを含む多孔質ポリマー粉末の形態のポリマー組成物、その調製方法、その使用、ならびにそれを含む組成物および物品に関する。
【0004】
[技術的課題]
ポリマーは、ポリマー組成物中の添加剤としても広く使用される。これらのいわゆるポリマー添加剤は、通常顆粒として、またはさらに粉末として、固体ポリマーもしくは溶融ポリマー、または液体樹脂もしくは液体組成物のいずれかに添加される。
【0005】
1つのクラスのポリマー添加剤は加工助剤であり、別のクラスはポリマー耐衝撃性改良剤である。
【0006】
ポリマー耐衝撃性改良剤は、ポリマー粒子の形態であってもよい。通常、これらのポリマー耐衝撃性改良剤は、多段方法によって作製されるコアシェル粒子の形態であり、少なくとも1段がゴム様ポリマーを含む。これらの粒子は、後にポリマーまたはポリマー組成物に組み込まれ、それらの耐衝撃性を増加させる。ポリマーまたはポリマー組成物は、熱硬化性のものまたは熱可塑性のものであってもよい。
【0007】
熱硬化性ポリマーは、架橋された三次元構造からなる。架橋は、いわゆるプレポリマーの内部で反応基を硬化することによって得られる。硬化は、例えばポリマー鎖またはプレポリマーを加熱し、材料を永久に架橋するまたは固化させることによって得られてもよい。
【0008】
熱可塑性ポリマーは、通常架橋されていない直鎖または分岐ポリマーからなる。これらは、熱によって変形可能である限り、わずかに架橋されてもよい。しかし、これらの前述のコアシェル粒子は、すべての種類の樹脂またはポリマーまたはポリマーの前駆体、特に例えば液体エポキシ樹脂もしくは液体モノマー、または他の液体ポリマー前駆体に容易に分散するわけではないか、または迅速に分散するわけではない。
【0009】
最終ポリマー組成物において十分な衝撃性能を有するために、良好な均一かつ迅速な分散が必要である。プロセス時間を短縮し、より容易でより簡潔なプロセスを達成するために、容易な分散体作製および迅速な分散時間も必要である。
【0010】
本発明の目的は、特に、それぞれ例えばエポキシ樹脂または(メタ)アクリル系モノマーのような、例えば熱硬化ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの前駆体のような液体樹脂に迅速かつ容易に分散可能なポリマー組成物を提案することである。
【0011】
本発明の目的は、特に、それぞれ例えばエポキシ樹脂または(メタ)アクリル系モノマーのような、例えば熱硬化ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの前駆体のような液体樹脂に、急速かつ容易に分散可能なポリマー粉末の形態のポリマー組成物を提案することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、特に、低極性液体樹脂または低極性(メタ)アクリル系モノマーに、容易に分散可能な乾燥ポリマー粉末の形態のポリマー組成物を提案することである。
【0013】
本発明の目的はまた、特に低極性液体樹脂または低極性(メタ)アクリル系モノマーに容易に分散可能な乾燥ポリマー粉末の形態の多段ポリマー組成物を提案することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、反応性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂または(メタ)アクリル系樹脂/ポリマーまたは液体モノマーもしくは樹脂に、容易に分散可能な乾燥ポリマー粉末の形態の多段ポリマー組成物を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、反応性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂または(メタ)アクリル系樹脂/ポリマーまたは液体モノマーもしくは樹脂、特に、低極性液体樹脂または低極性(メタ)アクリル系モノマーに、容易に分散可能なポリマー粉末の形態の多段ポリマー組成物を作製するための方法を提案することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、熱硬化ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの前駆体を含む液体組成物を調製するための、ポリマー粉末の形態のポリマー組成物の使用である。
【0017】
さらに別の目的は、そのような液体組成物にポリマー粉末を分散させる時間を短縮することである。
【背景技術】
【0018】
文献WO2016/102666は、多段ポリマーを含む組成物およびその調製方法を開示している。組成物は、100000g/mol未満の質量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマーも含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、官能性モノマー単位を含んでもよい。
【0019】
文献WO2016/102682は、多段ポリマー組成物およびその調製方法を開示している。多段ポリマーは、100000g/mol未満の質量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含む最終段を含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、官能性モノマー単位を含んでもよい。
【0020】
文献FR2934866は、親水性モノマーを含む官能性シェルを有する特定のコアシェルポリマーのポリマー調製物を開示している。コアシェルポリマーは、熱硬化ポリマーの耐衝撃性改良剤として使用される。
【0021】
文献WO2019/012052は、多段ポリマーを含む組成物およびその調製方法を開示している。組成物は、100000g/mol~1000000g/molの間の質量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマーも含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、官能性モノマー単位を含んでもよい。
【0022】
いずれの先行技術文献も、(メタ)アクリル系ポリマーと組み合わされた多段ポリマーを含む組成物であって、両方のポリマーが、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択されるモノマー単位を含む組成物、またはそれを調製するための方法を開示していない。
【発明の概要】
【0023】
驚くべきことに、ポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であり、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とするポリマー組成物(PC1)が、低極性液体組成物に容易に分散可能であり、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含まないポリマー組成物を含む液体組成物と比較して低粘度を有する液体組成物をもたらすポリマー組成物をもたらすことが見出された。
【0024】
驚くべきことに、ポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であり、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とするポリマー組成物(PC1)が、低極性液体組成物に容易に分散可能であり、かつそれぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含まず、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するポリマー組成物を含む液体組成物と比較して低い粘度を有する液体組成物をもたらすポリマー組成物をもたらすことも見出された。
【0025】
驚くべきことに、ポリマー粉末の形態の多段ポリマーを含むポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であり、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、
ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むか、またはポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とするポリマー組成物(PC1)が、低極性液体組成物に容易に分散可能であり、かつ炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含まないポリマー組成物を有する液体組成物、またはそれぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含まず、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するポリマー組成物を含む液体組成物のいずれかと比較して低い粘度を有する液体組成物をもたらすポリマー組成物をもたらすことが見出された。
【0026】
驚くべきことに、ポリマー粉末の形態のポリマー組成物(PC1)を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
c)モノマーまたはモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)に層を得て、その結果前記ポリマー(C1)がa)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝固させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が、10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーまたはモノマー混合物(B)およびモノマーまたはモノマー混合物(C)の両方の混合物が、それぞれコモノマー(Mcb1)および(Mcc1)を含み、前記コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、または両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする方法が、熱硬化性ポリマーもしくは熱可塑性ポリマーのための低極性ポリマーマトリックス材料、または液体樹脂および/もしくはモノマーのようなそれらのそれぞれの前駆体中に容易に分散されるポリマー組成物をもたらすことも見出された。
【0027】
驚くべきことに、ポリマー粉末の形態のポリマー組成物(PC1)を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程であり、
工程a)とb)の両方を合わせて多段ポリマー(MP1)が得られる工程、ならびに
c)多段ポリマー(MP1)と、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)をブレンドする工程であり、前記ポリマー(C1)がa)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝固させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が、10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーまたはモノマー混合物(B)およびモノマーまたはモノマー混合物(C)の両方の混合物が、それぞれコモノマー(Mcb1)および(Mcc1)を含み、前記コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、または両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする方法が、熱硬化性ポリマーもしくは熱可塑性ポリマーのための低極性ポリマーマトリックス材料、または液体樹脂および/もしくはモノマーのようなそれらのそれぞれの前駆体中に容易に分散されるポリマー組成物をもたらすことも見出された。
【0028】
驚くべきことに、液体ポリマー組成物LPC1を製造するための方法であって、
a)水銀多孔度測定によって測定して少なくとも1.2ml/gの全圧入体積を有する多孔質ポリマー粉末の形態の前記ポリマー組成物(PC1)を準備する工程、
b)ポリマー組成物(PC1)を液体組成物LClと接触させる工程
を含む方法が、
ポリマー組成物POWlが液体組成物LClに均一かつ迅速に分散される液体ポリマー組成物をもたらすことも見出された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】モノマーとしてイソボルニルアクリレートを様々な濃度で用いた粉末の粘度を示すグラフである。
図2】モノマーとしてイソボルニルメタクリレートを様々な濃度で用いた粉末の粘度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の態様によると、本発明は、ポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であることを特徴とし、ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有すること、およびポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とするポリマー組成物(PC1)に関する。
【0031】
第2の態様によると、本発明は、ポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であることを特徴とし、ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、ポリマー組成物(PC1)に関する。
【0032】
第3の態様によると、本発明は、ポリマー組成物(PC1)であって、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、ならびに
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)であり、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める前記ポリマー(C1)
を含み、
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であることを特徴とし、ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むか、またはポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする、ポリマー組成物(PC1)に関する。
【0033】
第4の態様によると、本発明は、ポリマー組成物(PC1)を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
c)モノマーまたはモノマー混合物(C)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)に層を得る工程であり、前記ポリマー(C1)が、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーまたはモノマー混合物(B)およびモノマーまたはモノマー混合物(C)の両方が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマーを含むことを特徴とする方法に関する。
【0034】
第5の態様では、本発明は、ポリマー組成物(PC1)を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
工程a)とb)の両方を合わせて多段ポリマー(MP1)が得られる工程、ならびに
c)多段ポリマー(MP1)と、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)をブレンドする工程であり、前記ポリマー(C1)がa)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーまたはモノマー混合物(B)が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマーを含み、ポリマー(C1)が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とする方法に関する。
【0035】
第6の態様によると、本発明は、ポリマー組成物(PC1)を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
c)モノマーまたはモノマー混合物(C)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)に層を得る工程であり、前記ポリマー(C1)が、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーまたはモノマー混合物(B)およびモノマーまたはモノマー混合物(C)の両方がそれぞれコモノマー(Mcb1)および(Mcc1)を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする方法に関する。
【0036】
第7の態様では、本発明は、ポリマー組成物(PC1)を製造するための方法であって、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程であり、
工程a)とb)の両方を合わせて多段ポリマー(MP1)が得られる工程、ならびに
c)多段ポリマー(MP1)を、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)とブレンドする工程であり、前記ポリマー(C1)が、a)、b)およびc)のみに基づいて組成物の最大40wt%を占める工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、
ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、モノマーまたはモノマー混合物(B)がハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含み、ポリマー(C1)が、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有する重合コモノマー(Mcc1)からのモノマー単位を含むことを特徴とする方法に関する。
【0037】
第8の態様では、本発明は、耐衝撃性改良剤としてのポリマー組成物(PC1)の使用に関する。
【0038】
第9の態様では、本発明は、分散時間が短縮された組成物としてのポリマー組成物(PC1)の使用に関する。
【0039】
第10の態様では、本発明は、ポリマー粉末の形態のポリマー組成物(PC1)を使用することにより、ポリマー粉末を低極性液体組成物中に分散させる時間を短縮する方法に関する。
【0040】
第11の態様では、本発明は、耐衝撃性改良剤としてポリマー組成物(PC1)を含むポリマー組成物PC2に関する。
【0041】
第12の態様では、本発明は、ポリマー組成物(PC1)を液体組成物中に分散させる時間を短縮するための方法であって、
a)水銀多孔度測定によって測定して少なくとも1.2ml/gの全圧入体積を有する多孔質ポリマー粉末POW1の形態の、態様1から3のいずれかに記載の前記ポリマー組成物(PC1)を準備する工程、
b)ポリマー組成物(PC1)を液体組成物LClと接触させる工程
を含む、方法に関する。
【0042】
使用される用語「ポリマー粉末」は、少なくとも1μmの範囲の粉粒を含む粉末の形態のポリマーを表し、前記粉粒は、1種または複数のポリマーを含む一次ポリマー粒子の凝集によって得られ、前記一次ポリマー粒子は、ナノメートルの範囲である。
【0043】
使用される用語「一次粒子」は、ナノメートル範囲の粒子を含む球状ポリマー粒子を表す。好ましくは、一次粒子は、20nm~800nmの間の重量平均粒径を有する。
【0044】
使用される用語「粒径」は、球状とみなされる粒子の体積平均直径を表す。
【0045】
使用される用語「熱可塑性ポリマー」は、加熱時に液体に変わるか、またはより液状になるもしくは粘度が低下し、熱および圧力の印加によって新たな形状をとることができるポリマーを表す。
【0046】
使用される用語「熱硬化性ポリマー」は、硬化によって不融性の不溶性ポリマーネットワークへと不可逆的に変化する、軟質、固体または粘性状態のプレポリマーを表す。
【0047】
使用される用語「共重合体」は、ポリマーが少なくとも2種の異なるモノマー単位からなることを表す。
【0048】
使用される用語「多段ポリマー」は、多段重合プロセスにより連続的に形成されるポリマーを表す。第1のポリマーが第1段ポリマーであり、第2のポリマーが第2段ポリマーである、すなわち、第2のポリマーが第1の乳化ポリマーの存在下で乳化重合により形成される、組成が異なる少なくとも2つの段を備える多段乳化重合プロセスが好ましい。
【0049】
使用される用語「(メタ)アクリル系」は、すべての種類のアクリル系およびメタクリル系モノマーを表す。
【0050】
使用される用語「(メタ)アクリル系ポリマー」は、(メタ)アクリル系)ポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマーの50wt%以上を構成する(メタ)アクリル系モノマーを含むポリマーを本質的に含むことを表す。
【0051】
使用される用語「乾燥」は、残留水の比が1.5wt未満、好ましくは1.2wt%未満であることを表す。
【0052】
本発明においてx~yの範囲と言うのは、この範囲の上限と下限が含まれることを意味し、少なくともxかつyまでと同等である。
【0053】
本発明において範囲がx~yの間であると言うのは、この範囲の上限と下限が除外されることを意味し、xより大きくyより小さいと同等である。
【0054】
使用される用語「全圧入体積」は、ISO15901-1:2016に従い液体水銀によって圧入される全体積を表す。この体積は累積され、分析結果により、印加圧力または細孔直径の関数としてのml/g単位の累積圧入体積(cm/g)が示される。全圧入体積は、最小細孔にも対応する最大印加圧力で圧入された体積である。
【0055】
使用される用語「漸増圧入」は、2つの特定の圧力または2つの細孔サイズ間のml/g単位の圧入された体積を表す。この漸増圧入はまた、vol%で全圧入体積に対して表されてもよい。
【0056】
液体樹脂に容易に分散されるとは、均一な分散が得られることを意味する。ポリマー組成物(PC1)の分布は、分離が最初の均一化後に生じる場合は均一ではない。
【0057】
使用される用語「低極性」は、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有する化合物を表す。ハンセン溶解度パラメータは、溶解能とも呼ばれる有機物質の物理化学的な溶解特性を反映する。ハンセン溶解度パラメータは、表題「Hansen Solubility Parameters:A user’s handbook」、Second Edition(2007)Boca Raton、Fla.:CRC Press.ISBN 978-0-8493-7248-3の著作中でチャールズ・ハンセンによって提案された手法に従って計算されてもよい。この手法によると、「ハンセンパラメータ」と呼ばれる3つのパラメータ:δ、δおよびδが、所与の分子に対する溶媒の挙動を予測するために十分である。MPa1/2単位のパラメータδは、分子間の分散力、すなわちファンデルワールス力のエネルギーを定量化する。MPa1/2単位のパラメータδは、分子間双極子相互作用のエネルギーを表す。最後に、MPa1/2単位のパラメータδは、分子間水素結合に由来するエネルギー、すなわち水素結合を介して相互作用する能力を定量化する。3つのパラメータの2乗の総和は、ヒルデブランドの溶解度パラメータ(δtot)の2乗に相当する。
【0058】
液体樹脂に迅速に分散されるとは、ポリマー(C1)の特定の組成および分子量を有さないポリマー組成物を用いるよりはるかに速く均一な分散が得られることを意味する。
【0059】
本発明によるポリマー組成物(PC1)に関して、ポリマー組成物(PC1)は、第1の実施形態によると、a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、およびc)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む、ポリマー粉末POW1とも称されるポリマー粉末(POW1)の形態であって、組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が、多段ポリマー(MP1)の一部であり、ポリマー(C1)が、10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むことを特徴とする形態であってもよい。
【0060】
成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の最大40wt%を占める。好ましくは、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の最大35wt%、より好ましくは最大30wt%を占める。
【0061】
第1の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の30wt%未満を占める。
【0062】
第2の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の25wt%未満を占める。
【0063】
第3の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の20wt%未満を占める。
【0064】
好ましくは、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の4wt%より多くを占める。より好ましくは、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の5wt%より多くを占める。
【0065】
第1の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の6wt%より多くを占める。
【0066】
第2の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の8wt%より多くを占める。
【0067】
第3の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の10wt%より多くを占める。
【0068】
成分c)の量について先の2つの段落で与えられた各上限および下限は、1つの上限と1つの下限の任意の組合せで組み合わされてもよい。
【0069】
好ましくは、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の4wt%~40wt%の間を占める。より好ましくは、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の5wt%~35wt%の間を占める。
【0070】
第1の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の6wt%~30wt%の間を占める。
【0071】
第2の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の7wt%および25wt%未満を占める。
【0072】
第3の有利な実施形態では、成分c)は、a)、b)およびc)に基づいて組成物の10wt%~20wt%の間を占める。
【0073】
組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)は、多段ポリマー(MP1)の一部である。
【0074】
少なくとも成分a)および成分b)は、少なくとも2つの段(A)および(B)をそれぞれ含む多段方法によって得られ、これら2種のポリマー(A1)およびポリマー(B1)が多段ポリマーを形成する。
【0075】
本発明のポリマー粉末(POW1)に関して、ポリマー粉末は、1μm~700μmの間の体積中央値粒径D50を有する。好ましくは、ポリマー粉末の体積中央値粒径は、10μm~600μmの間、より好ましくは15μm~550μmの間、有利には20μm~500μmの間である。
【0076】
体積単位の粒径分布のD10は、少なくとも7μm、好ましくは10μm、より好ましくは15μmである。
【0077】
体積単位の粒径分布のD90は、最大1000μm、好ましくは950μm、より好ましくは最大900μm、より一層好ましくは最大800μmである。
【0078】
ポリマー粉末POW1の形態のポリマー組成物(PC1)の多孔度は、全圧入体積、または前記ポリマー粉末(POW1)の質量(g)あたりの水銀のミリリットル(ml)単位の全累積圧入(累積圧入体積)として表される。これは、規格ISO15901-1:水銀多孔度およびガス吸着による固体材料の細孔サイズ分布および多孔度の評価-パート1:水銀多孔度に従って測定される。好ましくは、本発明の多孔質ポリマー粉末(POW1)は、少なくとも1.2ml/g、好ましくは1.25ml/g、より好ましくは1.3ml/g、より一層好ましくは1.35ml/gの全圧入体積または全累積圧入を有する。全累積圧入は、0.005μmの細孔サイズ直径まで考慮に入れる。好ましくは、全圧入体積または全累積圧入は、100μm~0.005μmの細孔サイズ直径の間、または0.01MPa~400MPaの間の圧力を考慮に入れる。
【0079】
本発明の多孔質ポリマー粉末(POW1)は、最大10ml/gの全圧入体積または全累積圧入を有する。好ましくは、全圧入体積は、最大8ml/g、より好ましくは最大7ml/g、より一層好ましくは最大6ml/g、有利には最大5ml/g、より有利には最大4ml/g、最も有利には最大3.5ml/gである。
【0080】
本発明の多孔質ポリマー粉末(POW1)の全圧入体積または全累積圧入について先の2つの段落で与えられた各上限および下限は、1つの上限と1つの下限の任意の組合せで組み合わされてもよい。
【0081】
好ましくは、本発明の多孔質ポリマー粉末(POW1)は、1.2ml/g~10ml/gの間、より好ましくは1.25ml/g~8ml/gの間、より一層好ましくは1.3ml/g~7ml/gの間、有利には1.3ml/g~6ml/gの間、より有利には1.3ml/g~5ml/gの間、より有利には1.3ml/g~4ml/gの間、最も有利には1.3ml/g~3.5ml/gの間の全圧入体積または全累積圧入を有する。
【0082】
漸増圧入(漸増圧入体積)は、2つの特定の細孔直径の間の体積である。漸増圧入はまた、ml/g単位の絶対値として、または全圧入体積もしくは全累積圧入(100μm~0.005μmの細孔サイズ直径の間を考慮に入れる)のパーセンテージとしての相対値として表されてもよい。
【0083】
好ましくは、本発明の多孔質ポリマー粉末(POW1)は、10μm超(10μmより大きい)の細孔サイズに対して少なくとも0.9ml/g、より好ましくは少なくとも1ml/gの累積圧入を有する。
【0084】
好ましくは、本発明の多孔質ポリマー粉末(POW1)は、10μm~1μmの細孔サイズの間で少なくとも0.1ml/g、より好ましくは少なくとも0.12ml/g、より一層好ましくは少なくとも0.15ml/gの漸増圧入を有する。
【0085】
ポリマー粉末(POW1)の見かけ嵩密度は、0.60g/cm未満である。好ましくは、見かけ嵩密度は0.45g/cm未満、好ましくは0.43g/cm未満、より一層好ましくは0.41g/cm未満である。
【0086】
ポリマー粉末(POW1)の見かけ嵩密度は、0.1g/cmより大きい。好ましくは、見かけ嵩密度は0.11g/cmより大きい、より好ましくは0.12g/cmより大きい、より一層好ましくは0.13g/cmより大きい。
【0087】
ポリマー粉末(POW1)の見かけ嵩密度は、0.1g/cm~0.60g/cmの間である。好ましくは、ポリマー粉末(POW1)の見かけ嵩密度は、0.15g/cm~0.45g/cmの間である。有利には、ポリマー粉末POW1の見かけ嵩密度は、0.2g/cm~0.4g/cmの間である。
【0088】
多孔質ポリマー粉末(POW1)のすべての異なる特性のそれぞれの好ましい実施形態は、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0089】
本発明によるポリマー組成物(PC1)に関して、ポリマー組成物(PC1)は、第2の実施形態によると、a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)、b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)、およびc)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む連続相であって、組成物(PC1)の少なくとも成分a)および成分b)が多段ポリマー(MP1)の一部であり、ポリマー(C1)が10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有し、ポリマー(B1)およびポリマー(C1)が炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位を含むか、またはポリマー(B1)およびポリマー(C1)が、それぞれ重合コモノマー(Mcb1)および(Mcc1)からのモノマー単位を含み、両方のコモノマーがハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有することを特徴とする連続相、ならびにd)ポリマー組成物(PC1)が分散される連続相としての液体組成物LC1に分散されてもよい。
【0090】
本発明による組成物(PC1)の多段ポリマー(MP1)は、少なくとも2つの段(A)および(B)をそれぞれ有し、これら2つは、ポリマー組成が異なるポリマー(A1)およびポリマー(B1)をそれぞれ含む。
【0091】
変形例では、ポリマー(C1)も多段ポリマー(MP1)の一部である。この場合、ポリマー(C1)の組成は、ポリマー(A1)およびポリマー(B1)の組成とは異なる。
【0092】
多段ポリマー(MP1)は、好ましくはポリマー粒子PARの形態である。これらの粒子PARは、コアシェル粒子とも呼ばれる。例えば、ポリマー(A1)を含む第1の段がコアを形成し、第2または続くすべての段がそれぞれのシェルを形成する。コアシェル粒子とも呼ばれるこのような多段ポリマー(MP1)が好ましい。多段ポリマー(MP1)がポリマー(A1)およびポリマー(B1)のみを含む場合、1つのシェルのみを含むコアシェル粒子である。多段ポリマー(MP1)がポリマー(A1)、ポリマー(B1)およびポリマー(C1)を含む場合、少なくとも2つのシェルを含むコアシェル粒子である。
【0093】
一実施形態によるポリマー粉末(POW1)の形態のポリマー組成物(PC1)に含まれるか、または別の実施形態による分散された粒子PARは、一次粒子である。
【0094】
粒子PARは、15nm~900nmの間の重量平均粒径を有する。好ましくは、ポリマー粒子の重量平均粒径は、20nm~800nmの間、より好ましくは25nm~600nmの間、さらにより好ましくは30nm~550nmの間、またさらにより好ましくは35nm~500nmの間、有利には40nm~400nmの間、より一層有利には75nm~350nmの間、有利には80nm~300nmの間である。
【0095】
第1の好ましい実施形態によると、一次ポリマー粒子PARは凝集しており、ポリマー組成物(PC1)またはポリマー組成物(PC1)の一部を生じる。その場合、本発明のポリマー組成物(PC1)は、先述のようにポリマー粉末の形態である。
【0096】
本発明によるポリマー組成物(PC1)は、少なくともa)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)、および少なくともb)60℃より高いガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)を含む多段ポリマー(MP1)を含む。
【0097】
第1の好ましい実施形態では、段(A)は少なくとも2つの段のうちの第1の段であり、ポリマー(B1)を含む段(B)は、ポリマー(A1)または別の中間層を含む段(A)にグラフトされる。
【0098】
第2の好ましい実施形態では、段(A)もシェルになるように、段(A)の前に別の段が存在してもよい。
【0099】
第3の好ましい実施形態では、30℃より高いガラス転移温度を有するポリマー(C1)も多段ポリマー(MP1)の一部である。少なくとも1つの段(C)も存在する。好ましくは、段(C)は段(B)の後に生じる。より好ましくは、段(C)は最終段であり、ポリマー(C1)は、多段ポリマー(MP1)の外側シェルである。
【0100】
第1の実施形態では、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、1つまたは複数のアルキルアクリレートに由来する少なくとも50wt%のポリマー単位を含み、段(A)は、多層構造を有するポリマー粒子の最も内側の層である。言い換えると、ポリマー(A1)を含む段(A)は、ポリマー粒子のコアである。
【0101】
第1の好ましい実施態様のポリマー(A1)に関して、ポリマーは、アクリル系モノマーに由来する少なくとも50wt%のポリマー単位を含む(メタ)アクリル系ポリマーである。好ましくは、ポリマー(A1)の60wt%、より好ましくは70wt%がアクリル系モノマーである。
【0102】
ポリマー(A1)中のアクリル系モノマーは、C1~C18アルキルアクリレートまたはそれらの混合物から選択されるモノマーを含む。より好ましくは、ポリマー(A1)中のアクリル系モノマーは、C2~C12アルキルアクリル系モノマーまたはそれらの混合物のモノマーを含む。さらにより好ましくは、ポリマー(A1)中のアクリル系モノマーは、C2~C8アルキルアクリル系モノマーまたはそれらの混合物のモノマーを含む。
【0103】
ポリマー(A1)は、ポリマー(A1)が10℃未満のガラス転移温度を有する限り、アクリル系モノマーと共重合可能な1つまたは複数のコモノマーを含んでもよい。
【0104】
ポリマー(A1)中の1つまたは複数のコモノマーは、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーおよび/またはビニルモノマーから選択される。
【0105】
最も好ましくは、ポリマー(A1)のアクリルまたはメタクリル系コモノマーは、ポリマー(A1)が10℃未満のガラス転移温度を有する限り、メチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびそれらの混合物から選択される。
【0106】
特定の実施形態では、ポリマー(A1)はブチルアクリレートのホモポリマーである。
【0107】
より好ましくは、C2~C8アルキルアクリレートに由来する少なくとも70wt%のポリマー単位を含むポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、-100℃~10℃の間、より一層好ましくは-80℃~0℃の間、有利には-80℃~-20℃の間、より有利には-70℃~-20℃の間である。
【0108】
第2の好ましい実施形態では、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、イソプレンまたはブタジエンに由来する少なくとも50wt%のポリマー単位を含み、段(A)は、多層構造を有するポリマー粒子の最も内側の層である。言い換えると、ポリマー(A1)を含む段(A)は、ポリマー粒子のコアである。
【0109】
例として、第2の実施形態のコアのポリマー(A1)は、イソプレンホモポリマーまたはブタジエンホモポリマー、イソプレン-ブタジエン共重合体、イソプレンと最大98wt%のビニルモノマーの共重合体およびブタジエンと最大98wt%のビニルモノマーの共重合体を挙げることができる。ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、またはブタジエンまたはイソプレンであってもよい。好ましい実施形態では、コアはブタジエンホモポリマーである。
【0110】
より好ましくは、イソプレンまたはブタジエンに由来する少なくとも50wt%のポリマー単位を含むポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、-100℃~10℃の間、より一層好ましくは-90℃~0℃の間、有利には-80℃~0℃の間、最も有利には-70℃~-20℃の間である。
【0111】
第3の好ましい実施形態では、ポリマー(A1)はシリコーンゴム系ポリマーである。例えば、シリコーンゴムはポリジメチルシロキサンである。より好ましくは、第2の実施形態のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、-150℃~0℃の間、より一層好ましくは-145℃~-5℃の間、有利には-140℃~-15℃の間、より有利には-135℃~-25℃の間である。
【0112】
10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、重合されているモノマー単位を含む。全般的なポリマー(A1)、ならびに第1、第2および第3の好ましい実施形態のそれぞれのポリマー(A1)は、ポリマー(A1)を構成するモノマー単位を生じる、それぞれのモノマーまたはモノマー混合物(A)から調製される。
【0113】
ポリマー(B1)に関して、二重結合を有するモノマーおよび/またはビニルモノマーを含む共重合体を挙げることができ、モノマーの少なくとも1つは、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される。好ましくは、ポリマー(B1)は、少なくとも2つの異なる重合モノマーを含む共重合体である。好ましくは、ポリマー(B1)は(メタ)アクリル系共重合体であり、これは共重合体(B1)のモノマー単位の少なくとも50wt%が(メタ)アクリル系であることを意味する。
【0114】
共重合体(B1)はコモノマー(Mcb1)を含み、前記コモノマー(Mcb1)は、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、または前記コモノマー(Mcb1)は、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有する。共重合体(B1)中のコモノマー(Mcb1)は、1wt%~99wt%の間、好ましくは1wt%~90wt%の間、より好ましくは1wt%~50wt%の間で存在してもよい。好ましくは、ハンセン溶解度パラメータδ<9MPa1/2である。
【0115】
第1のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、1wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcb1)からのコモノマー単位を含む。炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0116】
第2のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、1wt%~40wt%の間のハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含む。コモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0117】
第3のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、1wt%~40wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含み、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含む。コモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0118】
第4のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、10wt%~40wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcb1)を含む。
【0119】
第5のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、20wt%~40wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcb1)を含む。
【0120】
第6のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、5wt%~35wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcb1)を含む。
【0121】
第7のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、10wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<9MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含む。コモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0122】
第8のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、10wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含む。コモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0123】
第9のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、20wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含む。コモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0124】
第10のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(B1)は、5wt%~35wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcb1)を含む。コモノマー(Mcb1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0125】
最も好ましくは、共重合体(B1)の他のアクリル系またはメタクリル系コモノマー(Mcb2)は、共重合体(B1)が少なくとも60℃のガラス転移温度を有する限り、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびそれらの混合物から選択される。
【0126】
有利には、共重合体(B1)は、コモノマー(Mcb2)として、メチルメタクリレートに由来するモノマー単位を少なくとも50wt%、より有利には60wt%含む。
【0127】
好ましくは、コポリマー(B1)のガラス転移温度Tgは、60℃~150℃の間である。コポリマー(B1)のガラス転移温度は、より好ましくは80℃~150℃の間、有利には90℃~150℃の間、より有利には100℃~150℃の間である。
【0128】
好ましくは、コポリマー(B1)は、前の段で作製されたポリマー上にグラフトされる。
【0129】
特定の実施形態では、コポリマー(B1)は架橋される。
【0130】
少なくとも60℃のガラス転移温度を有する共重合体(B1)は、重合されたモノマー単位を含む。共重合体(B1)は、一般に、かつそれぞれの実施形態で、それぞれのモノマーまたはコモノマー(Mcb1)および(Mcb2)を含むモノマー混合物(B)から調製され、重合後に共重合体(B1)に含まれるモノマー単位を有する共重合体(B1)がもたらされる。
【0131】
ポリマー(C1)に関して、ポリマーは、10000g/mol~500000g/molの間の質量平均分子量Mwを有する。
【0132】
ポリマー(C1)は、10000g/molより高い、好ましくは10500g/molより高い、より好ましくは11000g/molより高い、さらにより好ましくは12000g/molより高い、有利には13000g/molより高い、より有利には14000g/molより高い、さらにより有利には15000g/molより高い質量平均分子量Mwを有する。
【0133】
ポリマー(C1)は、500000g/mol未満、好ましくは450000g/mol未満、より好ましくは400000g/mol未満、さらにより好ましくは400000g/mol未満、有利には350000g/mol未満、より有利には300000g/mol未満、さらにより有利には250000g/mol未満、最も有利には200000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有する。
【0134】
好ましくは、ポリマー(C1)の質量平均分子量Mwは、10500g/mol~450000g/molの間、より好ましくは11000g/mol~400000g/molの間、より一層好ましくは12000g/mol~350000g/molの間、有利には13000g/mol~300000g/molの間、より有利には14000g/mol~250000g/molの間、最も有利には15000g/mol~200000g/molの間である。
【0135】
第1の有利な実施形態では、(メタ)アクリル系ポリマーMP1の質量平均分子量Mwは、10500g/mol~200000g/molの間、より好ましくは11000g/mol~190000g/molの間、より一層好ましくは12000g/mol~180000g/molの間、有利には13000g/mol~150000g/molの間、より有利には14000g/mol~135000g/molの間、最も有利には15000g/mol~120000g/molの間である。
【0136】
第2の有利な実施形態では、(メタ)アクリル系ポリマーMP1の質量平均分子量Mwは、15000g/mol~450000g/molの間、より好ましくは16000g/mol~400000g/molの間、より一層好ましくは17000g/mol~350000g/molの間、有利には18000g/mol~300000g/molの間、より有利には19000g/mol~250000g/molの間、最も有利には20000g/mol~200000g/molの間である。
【0137】
好ましくは、ポリマー(C1)は、(メタ)アクリル系モノマーを含む共重合体であり、モノマーの少なくとも1つは、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含む。
【0138】
さらにポリマー(C1)に関して、二重結合を有するモノマーおよび/またはビニルモノマーを含む共重合体について挙げることができ、モノマーの少なくとも1つは、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される。好ましくは、ポリマー(C1)は(メタ)アクリル系共重合体であり、これはポリマー(C1)のモノマー単位の少なくとも50wt%が(メタ)アクリル系であることを意味する。
【0139】
共重合体(C1)はコモノマー(Mcc1)を含み、前記コモノマー(Mcc1)は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、または前記コモノマー(Mcc1)は、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有する。共重合体(C1)中のコモノマー(Mcc1)は、1wt%~99wt%の間、好ましくは1wt%~90wt%の間、より好ましくは1wt%~50wt%の間で存在してもよい。好ましくは、コモノマー(Mcc1)のハンセン溶解度パラメータδ<9MPa1/2である。
【0140】
第1のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、1wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcc1)からのコモノマー単位を含む。炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0141】
第2のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、1wt%~40wt%の間のハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcc1)を含む。コモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0142】
第3のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、1wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含み、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcc1)を含む。コモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0143】
第4のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、10wt%~40wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcc1)を含む。
【0144】
第5のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、20wt%~40wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcc1)を含む。
【0145】
第6のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、5wt%~35wt%の間の炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むコモノマー(Mcc1)を含む。
【0146】
第7のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、10wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<9MPa1/2を有するコモノマー(Mcc1)を含む。コモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0147】
第8のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、10wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcc1)を含む。コモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0148】
第9のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、20wt%~40wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcc1)を含む。コモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0149】
第10のさらにより好ましい実施形態では、共重合体(C1)は、5wt%~35wt%の間の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むか、またはハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有するコモノマー(Mcc1)を含む。コモノマー(Mcc1)は、好ましくは(メタ)アクリル系モノマーである。
【0150】
最も好ましくは、共重合体(C1)のアクリル系または(メタ)アクリル系コモノマー(Mcc2)は、共重合体(C1)が少なくとも30℃のガラス転移温度を有する限り、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびそれらの混合物から選択される。
【0151】
好ましくは、コポリマー(C1)のガラス転移温度Tgは、30℃~150℃の間である。コポリマー(C1)のガラス転移温度は、より好ましくは40℃~150℃の間、有利には45℃~150℃の間、より有利には50℃~150℃の間である。
【0152】
好ましくは、コポリマー(C1)は架橋されない。
【0153】
好ましくは、コポリマー(C1)は、特に多段ポリマー(MP1)の一部である場合、ポリマー(A1)または(B1)のいずれにもグラフトされない。グラフトされないとは、多段ポリマー(MP1)中の共重合体(C1)の少なくとも50wt%が共重合体(C1)の溶媒に可溶化できることを意味する。好ましくは、多段ポリマー(MP1)中の共重合体(C1)の少なくとも75wt%が共重合体(C1)の溶媒に可溶化できる。
【0154】
少なくとも30℃のガラス転移温度を有するコポリマー(C1)は、重合されているモノマー単位を含む。全般的な、およびそれぞれの実施形態におけるコポリマー(C1)は、コポリマー(C1)を構成するモノマー単位を生じる、コモノマー(Mcc1)および(Mcc2)を含むそれぞれのモノマーまたはモノマー混合物(C)から調製される。
【0155】
第1の好ましい実施形態では、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むモノマー単位は、(メタ)アクリル系モノマーである。
【0156】
第2の好ましい実施形態では、モノマー単位の脂環式炭化水素基の炭素数は6~20である。
【0157】
脂環式炭化水素基を含むモノマー単位は、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、ボルニルアシレート、ボルニルメタクリレート、ノルボルニルアシレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェンチルアクリレート、フェンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジメチルアダマンチルアクリレート、ジメチルアダマンチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメタクリレートの群から選択される。
【0158】
共重合体(B1)および(C1)中の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される、モノマー単位は、同じであっても異なっていてもよい。
【0159】
第1の好ましい実施形態では、ポリマー(B1)および(C1)中の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される、モノマー単位は、同じ単位である。
【0160】
第2の好ましい実施形態では、ポリマー(B1)および(C1)中の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される、モノマー単位は、少なくとも50wt%同じである。
【0161】
第3の好ましい実施形態では、ポリマー(B1)および(C1)中の、炭素数3~20の脂環式炭化水素基を含むかまたはそのハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2に従って選択される、モノマー単位は、50wt%未満同じである。
【0162】
好ましくは、ハンセン溶解度パラメータδは、すべての実施形態で9.5MPa1/2未満の値を有する(δ<9.5MPa1/2)。
【0163】
より好ましくは、ハンセン溶解度パラメータδは、すべての実施形態で9MPa1/2未満の値を有する(δ<9MPa1/2)。
【0164】
ポリマー(A1)、(B1)および(C1)、ならびにそのそれぞれのモノマーのすべての異なる特性のそれぞれの好ましい有利な実施形態は、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0165】
多段ポリマー(MP1)は、少なくとも2つの段を含む多段方法によって得られる。組成物(PC1)の少なくとも成分a)と成分b)は、多段ポリマー(MP1)の一部である。
【0166】
好ましくは、段(A)中に作製される10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、段(B)の前に作製されるか、または多段方法の第1の段である。
【0167】
好ましくは、段(B)中に作製される60℃より高いガラス転移温度を有するコポリマー(B1)は、多段方法の段(A)の後に作製される。
【0168】
共重合体(C1)も多段ポリマー(MP1)の一部である場合、好ましくは段(C)の間に作製された少なくとも30℃のガラス転移温度を有する共重合体(C1)は、多段プロセスの段(B)の後に作製される。
【0169】
第1の好ましい実施形態では、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するコポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の中間層である。
【0170】
この第1の好ましい実施形態で、段(C)中に作製される30℃より高いガラス転移温度を有するコポリマー(C1)は、多段方法の段(B)の後に作製される。
【0171】
より好ましくは、段(C)中に作製される30℃より高いガラス転移温度を有するコポリマー(C1)は、多層構造を有する多段ポリマー(MP1)または一次ポリマー粒子の外層である。
【0172】
段(A)と段(B)の間、および/または段(B)と段(C)の間のいずれかに、さらなる中間段が存在する場合がある。
【0173】
コポリマー(C1)およびコポリマー(B1)は、それらの組成が非常に近く、それらの特性の一部が重複している場合でも同じポリマーではない。本質的な差異は、コポリマー(B1)が常に多段ポリマー(MP1)の一部であることである。
【0174】
これは、コポリマー(C1)および多段ポリマー(MP1)を含む本発明によるポリマー組成物(PC1)を調製するための方法でさらに説明される。
【0175】
完全なポリマー粒子に関連して、段(C)に含まれる外層のコポリマー(C1)の重量比rは、少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも7wt%、さらにより好ましくは少なくとも10wt%である。
【0176】
本発明によると、完全なポリマー粒子に関連して、コポリマー(C1)を含む外部段(C)の比rは、最大で40wt%である。
【0177】
好ましくは、一次ポリマー粒子を考慮したコポリマー(C1)の比は、5wt%~30wt%の間、好ましくは5wt%~20wt%の間である。
【0178】
第2の好ましい実施形態では、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するコポリマー(B1)は、多層構造を有する一次ポリマー粒子、言い換えると多段ポリマー(MP1)の外層である。
【0179】
好ましくは、層(B)のコポリマー(B1)の少なくとも一部は、前の層で作製されたポリマー上にグラフトされる。ポリマー(A1)および(B1)をそれぞれ含む2つの段(A)および(B)のみが存在する場合、コポリマー(B1)の一部がポリマー(A1)にグラフトされる。より好ましくは、ポリマー(B1)の少なくとも50wt%がグラフトされる。グラフトの比は、コポリマー(B1)の溶媒による抽出、および抽出前後の重量測定によって非グラフト量を決定することにより決定されてもよい。
【0180】
それぞれのポリマーのガラス転移温度Tgは、例えば、熱機械分析として動的方法によって推定することができる。
【0181】
それぞれのポリマー(A1)、(B1)および(C1)の試料を得るために、これらを単独でかつ多段方法によらずに調製し、それぞれの段のそれぞれのポリマーの個別のガラス転移温度Tgをより容易に推定および測定することができる。共重合体(C1)は、ガラス転移温度Tgおよびまたは分子量を推定および測定するために抽出されてもよい。
【0182】
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、粉末の形態であれば溶媒を含まない。溶媒がないとは、最終的に存在する溶媒が組成物の1wt%未満を構成することを意味する。それぞれのポリマーの合成のモノマーは、溶媒とみなされない。組成物中の残留モノマーは、組成物の2wt%未満存在する。
【0183】
好ましくは、本発明によるポリマー組成物は、粉末の形態であれば乾燥している。乾燥とは、本発明によるポリマー組成物が3wt%未満の湿度、好ましくは1.5wt%未満の湿度、より好ましくは1.2wt%未満の湿度を含むことを意味する。
【0184】
湿度は、ポリマー組成物を加熱して重量損失を測定する熱天秤によって測定されてもよい。
【0185】
本発明による粉末の形態の組成物は、自由意志で添加された溶媒を含まない。それぞれのモノマーの重合からの最終的な残留モノマーおよび水は、溶媒とみなされない。
【0186】
ポリマー粉末(POW1)の形態であれば本発明のポリマー組成物(PC1)は、ポリマー粒子PARを含む。複数の異なる種類の粒子が存在する場合、これらはそれぞれPAR1、PAR2などと呼ばれる。ポリマー粒子PARは、ポリマー粉末組成物(POW1)の少なくとも50wt%を構成する。より好ましくは、ポリマー粒子PAR1は、ポリマー粉末組成物POW1の少なくとも60wt%、さらにより好ましくは少なくとも70wt%を構成する。
【0187】
第1の好ましい実施形態では、本発明のポリマー粉末(POW1)の形態のポリマー組成物(PC1)は、ポリマー粒子PAR1のみからなる。ポリマー粒子PAR1は、成分a)、b)およびc)を含む多段ポリマー(MP1)からなる。
【0188】
第2の好ましい実施形態では、本発明のポリマー粉末(POW1)の形態のポリマー組成物(PC1)は、少なくとも60wt%のポリマー粒子PAR1を含む。ポリマー粒子PAR1は、少なくとも成分a)およびb)を含む多段ポリマー(MP1)からなる。
【0189】
第3の好ましい実施形態では、本発明のポリマー粉末(POW1)の形態のポリマー組成物(PC1)は、ポリマー粒子PAR1を含む。ポリマー粒子PAR1は、成分a)、b)およびc)を含む多段ポリマー(MP1)からなる。
【0190】
第4の好ましい実施形態では、本発明のポリマー粉末POW1の形態のポリマー組成物(PC1)は、2つの異なる種類の粒子PAR1およびPAR2を含む。ポリマー粒子PAR1は、成分a)およびb)を含む多段ポリマー(MP1)からなる。ポリマー粒子PAR2は、ポリマー(C1)を含むまたはポリマー(C1)からなる。
【0191】
本発明によるポリマー組成物(PC1)を製造するための第1の好ましい方法に関して、方法は、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
c)モノマーまたはモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)に層を得る工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含む。
【0192】
好ましくは、工程a)は工程b)の前に行われる。
【0193】
より好ましくは、工程b)は、工程a)で得られたポリマー(A1)の存在下で実施される。
【0194】
有利には、本発明によるポリマー組成物(PC1)を製造するための第1の好ましい方法は、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合によって重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程、
c)モノマーまたはモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)に層を得る工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を順次含む多工程方法である。
【0195】
好ましくは、工程a)、b)、c)およびd)は、その順序で実施される。乳化重合が使用される場合、重合の終了時のポリマー組成物は、水性分散体として得られる。
【0196】
ポリマー(A1)、(B1)および(C1)をそれぞれ含む段(A)、(B)および(C)にそれぞれ層を形成するための、それぞれのモノマーまたはモノマー混合物(A)、(B)および(C)は、前に定義されたものと同じである。モノマーまたはモノマー混合物(A)、(B)および(C)は、それぞれのポリマー(A1)、(B1)および(C1)のポリマー鎖中の重合されたモノマー単位としてのそれぞれのモノマーを含む。ポリマー(A1)、(B1)、および(C1)の特性は、それぞれ前に定義されたものと同じである。
【0197】
ポリマー(C1)および多段ポリマー(MP1)を含むポリマー組成物(PC1)を製造するための第2の好ましい方法に関して、方法は、
a)モノマーまたはモノマー混合物(A)の乳化重合によって重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)に1つの層を得る工程、
b)モノマーまたはモノマー混合物(B)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)に層を得る工程であり、
工程a)とb)の両方を合わせて多段ポリマー(MP1)が得られる工程、ならびに
c)多段ポリマー(MP1)と、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)をブレンドする工程、
d)工程a)からc)で得られた組成物を凝集させる工程
を含む。
【0198】
好ましくは、ポリマー(C1)は、水性分散体の形態である。水性分散体は、ポリマー粒子の形態のポリマー(C1)を含む。
【0199】
ポリマー(C1)および多段ポリマー(MP1)を含むポリマー組成物(PC1)を製造するための第3の好ましい方法に関して、方法は、
a)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)、ならびに10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)、および少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)を含む多段ポリマー(MP1)を準備する工程、
b)ポリマー(C1)および多段ポリマー(MP1)を混合するまたはブレンドする工程、
c)工程b)で得られた組成物を凝集させる工程
を含み、工程b)におけるポリマー(C1)および多段ポリマー(MP1)は、水性相中の分散体の形態である。それぞれの水性分散体は、ポリマー粒子の形態のポリマー(C1)および多段ポリマー(MP1)を含む。
【0200】
好ましくは、多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)は、水性分散体として既に準備されている。
【0201】
ポリマー(C1)の水性分散体および多段ポリマー(MP1)の水性分散体の量は、得られた混合物中の固体部分のみに基づく多段ポリマーの重量比が少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも65wt%、より好ましくは少なくとも68wt%、有利には少なくとも70wt%であるように選択される。
【0202】
ポリマー(C1)の水性分散体および多段ポリマー(MP1)の水性分散体の量は、得られた混合物中の固体部分のみに基づく多段ポリマーの重量比が、最大99wt%、好ましくは最大95wt%、より好ましくは最大90wt%であるように選択される。
【0203】
ポリマー(C1)の水性分散体および多段ポリマーの水性分散体の量は、得られた混合物中の固体部分のみに基づく多段ポリマーの重量比が60wt%~99wt%の間、好ましくは65wt%~95wt%の間、より好ましくは68wt%~90wt%の間になるように選択される。
【0204】
ポリマー(C1)と多段ポリマーを含むポリマー組成物(PC1)を製造するための好ましい方法は、ポリマー粉末POW1を生じる。ポリマー粉末POW1は、粒(大きな粒子)の形態である。ポリマー粉粒または粒子は、多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む多段方法によって作製される凝集した一次ポリマー粒子、または多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む凝集した一次ポリマー粒子を含む。
【0205】
凝集工程は、凝固または霧化によってなされてもよい。
【0206】
好ましいプロセスでは、凝集工程では凝固が好ましい。
【0207】
凝固開始前の多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む水性組成物は、35wt%未満の固形分を有する。固形分が35wt%より高い場合、固形分を適合させるために水が添加される。好ましくは、固形分は34wt%未満、より好ましくは33wt%未満、有利には32wt%未満である。
【0208】
固形分は、水の完全なエバポレーション前後に秤量することにより、重量測定によって測定または推定される。
【0209】
第1の好ましい実施形態では、凝固開始前の多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む水性組成物の固形分は、5wt%~35wt%の間、より好ましくは6wt%~34wt%の間、さらにより好ましくは7wt%~33wt%の間、有利には8wt%~32wt%の間である。
【0210】
第2の好ましい実施形態では、凝固開始前の多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む水性組成物の固形分は、20wt%~35wt%の間、より好ましくは20wt%~34wt%の間、さらにより好ましくは20wt%~33wt%の間、有利には20wt%~32wt%の間である。
【0211】
第3の好ましい実施形態では、凝固開始前の多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む水性組成物の固形分は、5wt%~20wt%の間、より好ましくは6wt%~20wt%の間、さらにより好ましくは7wt%~20wt%の間、有利には8~20wt%の間である。
【0212】
第4の好ましい実施形態では、凝固開始前の多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む水性組成物の固形分は、10wt%~25wt%の間、より好ましくは11t%~24wt%の間、さらにより好ましくは12wt%~23wt%の間、有利には13wt%~22wt%の間である。
【0213】
第5の好ましい実施形態では、凝固開始前の多段ポリマー(MP1)およびポリマー(C1)を含む水性組成物の固形分は、15wt%~27wt%の間、より好ましくは17wt%~27wt%の間、さらにより好ましくは19wt%~27wt%の間、有利には21wt%~27wt%の間である。
【0214】
凝固は、塩または無機酸によって行われてもよい。
【0215】
第1の好ましい実施形態では、凝固は無機酸によって行われる。
【0216】
本発明によるポリマー組成物(PC1)の製造方法は、任意選択でポリマー組成物を乾燥するさらなる工程e)を含んでもよい。
【0217】
好ましくは、乾燥する工程e)の後、ポリマー組成物は3wt%未満、より好ましくは1.5wt%未満、有利には1.2%未満の湿度または水を含む。
【0218】
ポリマー組成物の湿度は、熱天秤で測定されてもよい。
【0219】
ポリマーの乾燥は、50℃で48時間、組成物を加熱しながらオーブンまたは真空オーブンで行われてもよい。
【0220】
本発明の第8の態様の液体組成物LC1は、熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの前駆体である。これは、モノマー、モノマーの混合物、重合性もしくは硬化性オリゴマー、重合性もしくは硬化性オリゴマーとモノマーの混合物、またはポリマーとモノマーの混合物であってもよく、これらは25℃で液体である。好ましくは、液体は1000Pas未満、より好ましくは0.5mPas~1000Pasの間の動的粘度を有する。動的粘度の値は、1 1/sのせん断速度で得られる。粘度は、レオメーターによって測定される。
【0221】
例えば、液体組成物LC1は、ビニルエステル、不飽和ポリエステルまたはエポキシ樹脂を調製するための組成物から選択されてもよく、または液体組成物LC1は、例えばスチレン系モノマーもしくは(メタ)アクリル系モノマー、もしくはそれらの混合物もしくは前記モノマーを含む液体組成物であってもよい。
【0222】
一実施形態では、液体組成物LC1は、少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマー(M2a)を含み、(メタ)アクリル系モノマーは、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、ノルボルニルアクリレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェンチルアクリレート、フェンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジメチルアダマンチルアクリレート、ジメチルアダマンチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメタクリレート、またはそれらの混合物から選択される。好ましくは、ポリマー組成物(PC1)は、液体組成物LC1およびポリマー組成物(PC1)を含む組成物の0.5wt%~50wt%の間、より好ましくは0.5wt%~45wt%の間、さらにより好ましくは1wt%~40wt%の間を占める。
【0223】
一実施形態では、液体組成物LC1は、
a)ポリマー組成物(PC1)、および
b)モノマー(M2b)
を含み、液体組成物LC1中のポリマー組成物(PC1)対モノマー(M2)との重量比は、1/99~25/75の間である。
【0224】
好ましくは、モノマー(M2b)は(メタ)アクリル系モノマーである。より好ましくは、モノマー(M2b)は、ハンセン溶解度パラメータδ<10MPa1/2を有する。
【0225】
本発明は、耐衝撃性改良ポリマー組成物を得るための、本発明によるポリマー粉末の形態のポリマー組成物(PC1)の、ポリマー中の耐衝撃性改良剤としての使用にも関する。好ましくは、ポリマーは、熱硬化性ポリマーもしくは熱可塑性ポリマーまたはその前駆体である。
【0226】
本発明は、UV硬化、3D印刷および接着剤用組成物の分野におけるポリマー組成物(PC1)の使用にも関する。
【0227】
[評価方法]
ガラス転移温度
ポリマーのガラス転移(Tg)は、熱機械分析を実現できる機器によって測定される。Rheometrics社によって提供されるRDAII「RHEOMETRICS DYNAMIC ANALYSER」が使用された。熱機械分析により、適用された温度、歪みまたは変形の関数としての試料の粘弾性変化を正確に測定する。温度変化の制御されたプログラム中、装置によって試料の変形を連続的に記録し、歪みを一定に維持する。結果は、温度の関数として、弾性率(G’)、損失弾性率およびタンデルタを描くことによって得られた。Tgは、タンデルタの導出値がゼロに等しい場合、タンデルタ曲線で読み取られる最高温度値である。
【0228】
分子量
ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定される。ポリスチレン標準を較正に使用する。ポリマーを1g/Lの濃度でTHFに溶解する。クロマトグラフィーカラムは、修飾シリカを使用する。流量は1ml/分であり、屈折率検出器が使用される。
【0229】
粒径分析
多段重合後の一次粒子の粒径は、動的光散乱を使用してMalvern製Zetasizerで測定される。その結果、体積平均粒径(直径)が得られる。
回収後のポリマー粉末の粒径は、レーザー回折によってMALVERN製Malvern Mastersizer3000で測定される。
体積平均粉末粒径、粒径分布、および微粒子の比の推定には、0.5~880μmの範囲を測定する300mmレンズを備えたMalvern Mastersizer3000装置が使用される。
【0230】
ハンセン溶解度パラメータ、特にハンセン溶解度パラメータδは、WO2020/001835に記載されている方法に従って推定される。
【0231】
見かけ密度
規格ISO60:1977を使用する。試料を、指定の漏斗から100立方センチメートル容量の測定シリンダーへと通して精製し、直定規を用いて過剰量を除去し、内容物の質量を秤量によって決定する。
【0232】
粘度
粘度は、レオメーターまたは粘度計で容易に測定することができる。動的粘度を25℃で測定する。液体がニュートン挙動を有する場合、せん断減粘性が存在しないことを意味し、動的粘度は、レオメーターのせん断または粘度計の移動速度とは無関係である。液体組成物が非ニュートン挙動を有する場合、せん断減粘性を意味し、動的粘度が25℃で1s-1のせん断速度で測定される。
【実施例
【0233】
コアおよび2つのシェル層を含むコア-シェル多段ポリマーの形態のポリマー組成物(PC)を、比較例1についてWO2020/260638に記載される方法に従って調製する。ただし、実施例1については、比較例1の2つのシェル層の合成におけるMMAの30wt%がイソボルニルアクリレート(IBOA)で置換される。
【0234】
得られた両方の生成物を硫酸で凝固させ、乾燥させる。
表1
表2 - 粉末の特性
【0235】
2種の粉末を、モノマーとしての様々な濃度のイソボルニルアクリレート(図1)およびイソボルニルメタクリレート(図2)で試験する。25℃でせん断速度1/sにおけるPa*s単位の粘度が、wt%単位の濃度の関数として与えられる。比較例1は四角記号であり、実施例1は菱形記号である。結果を図1~2に示す。
【0236】
本発明による組成物は、はるかに顕著により低い液体組成物の粘度をもたらす。組成物は、はるかに高い濃度で分散することができる。
図1
図2
【国際調査報告】