(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】エドキサバンの鍵中間体及びその合成方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/75 20060101AFI20241212BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20241212BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20241212BHJP
C07D 513/04 20060101ALI20241212BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
C07D213/75 CSP
A61K31/444
A61P7/02
C07D513/04 301
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536413
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2022137889
(87)【国際公開番号】W WO2024108670
(87)【国際公開日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】202211480026.1
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524229314
【氏名又は名称】上海柏獅生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】彭 邱君
(72)【発明者】
【氏名】于 万盛
(72)【発明者】
【氏名】阮 礼波
(72)【発明者】
【氏名】曾 逸斐
(72)【発明者】
【氏名】李 勤勤
【テーマコード(参考)】
4C086
4H039
【Fターム(参考)】
4C086AA04
4C086CB29
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA04
4C086ZA54
4C086ZC20
4H039CA71
4H039CB90
(57)【要約】
本発明は、エドキサバンの鍵中間体及びその合成方法を開示する。前記エドキサバンの鍵中間体は、
【化1】
であり、原料のアミノリシス反応により得られる。当該中間体を利用してエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物を製造することができる。新しい方法及び新しい経路は、簡単であり、かつp-トルエンスルホン酸エドキサバン水和物を工業的規模で製造するコストを効果的に低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式が式1で表される、ことを特徴とするエドキサバンの鍵中間体。
【化1】
【請求項2】
以下の合成経路で、式2の化合物と式3の化合物とをアミノリシス反応させることにより得る、ことを特徴とする請求項1に記載のエドキサバンの鍵中間体の合成方法。
【化2】
【請求項3】
前記アミノリシス反応に用いられる溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エタノール、トルエン、ブタノンのうちの少なくとも1種であり、前記アミノリシス反応に用いられる塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBUのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項2に記載のエドキサバンの鍵中間体の合成方法。
【請求項4】
前記アミノリシス反応の温度は、50~100℃である、ことを特徴とする請求項2に記載のエドキサバンの鍵中間体の合成方法。
【請求項5】
前記式2の化合物と式3の化合物との物質量の比は、1:1.1~1.5である、ことを特徴とする請求項2に記載のエドキサバンの鍵中間体の合成方法。
【請求項6】
請求項1に記載のエドキサバンの鍵中間体の使用であって、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物の製造に用いられ、具体的には、
以下の合成経路で、式1の化合物を還元反応させて式4の化合物を得る工程1)と、
【化3】
以下の合成経路で、式4の化合物を縮合反応させて式6の化合物を得る工程2)と、
【化4】
式6の化合物とp-トルエンスルホン酸とを塩化した後、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物、即ち、式7の化合物を得る工程3)とを含む、ことを特徴とする使用。
【化5】
【請求項7】
前記工程1)で用いられる還元剤は、Pd/C、ラネーニッケル、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、トリフェニルホスフィンのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記工程2)の縮合反応に用いられる溶媒は、アセトニトリル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記工程2)では、式5の化合物を酸塩化物として反応させるか、又は縮合試薬を用いて反応させ、前記縮合試薬は、CDI、DCC、EDCIのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項10】
前記工程3)は、反応溶媒中で行われ、前記反応溶媒は、エタノール、アセトニトリル、アセトンのうちの少なくとも1種であり、前記工程3)の制御温度は、50~100℃であり、前記工程3)では、塩化温度は、-10~30℃である、ことを特徴とする請求項6に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エドキサバンの鍵中間体及びその合成方法に関し、更に、当該鍵中間体を原料としてエドキサバンp-トルエンスルホン酸一水和物を製造する。
【背景技術】
【0002】
p-トルエンスルホン酸一水和物エドキサバン(Edoxaban)は、第一三共株式会社によって開発されたものであり、低分子薬物であり、血液凝固因子Xa阻害剤である。現在、当該薬物の最高研究開発段階は、販売承認を得ることであり、肺塞栓、静脈血栓塞栓、脳卒中、静脈血栓症及び塞栓症を治療する。2011年4月22日に、トルエンスルホン酸エドキサバンは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構PMDAによって承認され、第一三共株式会社から販売されている。2015年1月8日に、トルエンスルホン酸エドキサバンは、米国食品医薬品局FDAによって承認され、Daiichi Sankyo Incから販売されており、商品名がSavaysa(登録商標)である。(NDA206316)2015年6月19日に、トルエンスルホン酸エドキサバンは、欧州医薬品庁EMAによって承認され、Daiichi Sankyo Europe Gmbhから販売されており、商品名がLixiana(登録商標)である。(EMEA/H/C/002629)2018年12月25日に、トルエンスルホン酸エドキサバンは、中国国家薬品監督管理局NMPAによって承認され、Daiichi Sankyo Europe Gmbhから販売されており、商品名が里先安(登録商標)である。
【0003】
エドキサバンは、3つのキラル中心を有し、合計8種類の異性体があるが、1種類の立体配置のみが良好な活性を有し、エドキサバンの構造は、以下のとおりである。
【化1】
【0004】
日本第一三共重合株式会社がUS2005119486A1に開示した合成経路は、以下のとおりである。
【化2】
【0005】
当該経路では、キラルアミン化合物とオキサミド誘導体のリチウム塩を用いて縮合剤の作用下でアミドを生成し、酸性条件下でBoc-保護基を除去し、次に2-チアゾールカルボン酸誘導体リチウム塩と縮合剤の条件下でアミドを形成し、エドキサバンを製造する。
【0006】
US2005119486A1には、別の合成経路が更に開示されている。
【化3】
【0007】
当該経路では、キラルアジド化合物を出発原料とし、まずBoc保護を除去し、2-チアゾールカルボン酸誘導体のリチウム塩と縮合剤の条件下でアミドを形成し、次にアジド基をアミノ基に還元し、オキサミド誘導体のリチウム塩と縮合剤の作用下でアミドを生成し、エドキサバンを製造する。
【0008】
日本第一三共株式会社がWO2008156159A1に開示した合成経路は、以下のとおりである。ラセミ体S-1をキラルアミンS-2の存在下で分解し、その後、求電子臭素化試薬の作用下で、分子内求核攻撃を受けて架橋環化合物S-4を得た。S-4をアミノ分解し、NH
4OHの作用下でプロピレンオキシド中間体S-6を経て、開環させてアミノアルコール化合物S-7を得た。その後、S-7を、Bocでアミノ基を保護し、Msでアルコールヒドロキシ基を保護し、NaN
3攻撃でN
3基を導入し、化合物S-10を得た。その後、水素化還元によりアミノ基を得て、次にS-13と縮合させ、化合物S-14を得た。化合物S-14を酸性条件下でBoc保護基を除去し、その後、カルボン酸S-16と縮合させ、最終的な化合物S-17を得て、TsOH塩にすれば、エドキサバンを得ることができる。当該プロセスの合成経路は、以下のとおりである。
【化4】
【0009】
当該化合物の合成の難しさは、化合物S-10などのキラル基質の製造である。
【発明の概要】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、エドキサバンの新規鍵中間体及びその製造方法を提供し、更に、当該鍵中間体を原料としてエドキサバンp-トルエンスルホン酸一水和物を製造することである。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の技術手段を用いる。
【0012】
エドキサバンの鍵中間体は、構造式が式1で表される。
【化5】
【0013】
本発明は、以下の合成経路で、式2の化合物と式3の化合物とをアミノリシス反応させることにより得る、上記エドキサバンの鍵中間体の合成方法を更に提供する。
【化6】
【0014】
好ましくは、前記アミノリシス反応に用いられる溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エタノール、トルエン、ブタノンのうちの少なくとも1種であり、前記アミノリシス反応に用いられる塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBUのうちの少なくとも1種である。
【0015】
好ましくは、前記アミノリシス反応の温度は、50~100℃である。
【0016】
好ましくは、前記式2の化合物と式3の化合物との物質量の比は、1:1.1~1.5である。
【0017】
本発明は、上記エドキサバンの鍵中間体の使用を更に提供し、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物の製造に用いられ、具体的には、
以下の合成経路で、式1の化合物を還元反応させて式4の化合物を得る工程1)と、
【化7】
以下の合成経路で、式4の化合物を縮合反応させて式6の化合物を得る工程2)と、
【化8】
式6の化合物とp-トルエンスルホン酸とを塩化した後、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物、即ち、式7の化合物を得る工程3)とを含む。
【化9】
【0018】
好ましくは、前記工程1)で用いられる還元剤は、Pd/C、ラネーニッケル、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、トリフェニルホスフィンのうちの少なくとも1種である。
【0019】
好ましくは、前記工程2)の縮合反応に用いられる溶媒は、アセトニトリル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンのうちの少なくとも1種である。
【0020】
好ましくは、前記工程2)では、式5の化合物を酸塩化物として反応させるか、又は縮合試薬を用いて反応させ、前記縮合試薬は、CDI、DCC、EDCIのうちの少なくとも1種である。
【0021】
好ましくは、前記工程3)は、反応溶媒中で行われ、前記反応溶媒は、エタノール、アセトニトリル、アセトンのうちの少なくとも1種であり、前記工程3)の制御温度は、50~100℃であり、前記工程3)では、塩化温度は、-10~30℃である。
【0022】
本発明は、エドキサバンの新規鍵中間体及びその製造方法を提供し、更に、当該鍵中間体を原料としてエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物を製造することにより、高い収率及びキラル純度を達成でき、反応条件が温和であり、プロセス操作が簡単であり、工業的製造に適する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】N1-((1S,2R,4S)-2-アジド-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式1の化合物)のHPLCスペクトルである。
【
図2】エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物(式7の化合物)のHPLCスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明をより明確に理解しやすくするために、図面を参照しながら、好ましい実施例を詳細に説明する。
【0025】
(実施例1)
N1-((1S,2R,4S)-2-アジド-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式1の化合物)の製造
【化10】
反応フラスコに2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソ酢酸エチル(式3の化合物)(150.7g、568.7mmol)、500mLのエタノールを順次添加し、反応系を0~10℃程度降温させ、トリエチルアミン(43.1g、426.7mmol)を徐々に添加し、その後、(1S,3R,4S)-4-アミノ-3-アジド-N,N-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(式2の化合物)(100.0g、473.9mmol)を添加し、添加終了後、反応系を70~75℃に昇温させ、系が55~60℃に昇温すると、系にトリエチルアミン(14.4g、142.6mmol)を添加し、その後、反応系の温度を70~75℃に維持して16時間撹拌した。液相で監視し、反応が完了した後、系を50~55℃に降温させて900mLの精製水を滴下し、滴下終了後、20~25℃に降温させ、1時間撹拌した後、吸引濾過して化合物(式1の化合物)を163.9g得て、収率は88.0%であった。
【0026】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0027】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ9.79(s,1H),8.32(d,J=2.4 Hz,1H),8.19(d,J=8.8 Hz,1H),7.72(dd,J=8.9,2.4 Hz,1H),7.63(d,J=8.8 Hz,1H),4.13(d,J=3.4 Hz,1H),4.02(td,J=9.7,8.9,4.7 Hz,1H),3.09(s,3H),2.95(s,3H),2.93-2.84(m,1H),2.04(dtd,J=23.4,13.2,11.4,6.1 Hz,2H),1.83(dt,J=10.0,5.9 Hz,2H),1.69(d,J=10.1 Hz,2H)。
【0028】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ173.92,158.32,157.58,148.12,147.17,138.07,128.02,114.62,60.42,50.05,37.17,35.68,33.47,31.63,27.27,26.17。
【0029】
LCMS:m/z=393.8(M+H)+。
【0030】
(実施例2)
N1-((1S,2R,4S)-2-アジド-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式1の化合物)の製造
【化11】
反応フラスコに2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソ酢酸エチル(式3の化合物)(150.7g、568.7mmol)、500mLのテトラヒドロフランを順次添加し、反応系を0~10℃程度降温させ、トリエチルアミン(43.1g、426.7mmol)を徐々に添加し、その後、(1S,3R,4S)-4-アミノ-3-アジド-N,N-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(式2の化合物)(100.0g、473.9mmol)を添加し、添加終了後、反応系を60~65℃に昇温させ、続いて反応系にトリエチルアミン(14.4g、142.6mmol)を添加し、その後、系の温度を60~65℃に維持して16時間撹拌した。液相で監視し、反応が完了した後、系に900mLの精製水を滴下し、滴下終了後、20~25℃に降温させ、1時間撹拌した後、吸引濾過して化合物(式1の化合物)を167.6g得て、収率は90.0%であった。
【0031】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0032】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ9.79(s,1H),8.32(d,J=2.4 Hz,1H),8.19(d,J=8.8 Hz,1H),7.72(dd,J=8.9,2.4 Hz,1H),7.63(d,J=8.8 Hz,1H),4.13(d,J=3.4 Hz,1H),4.02(td,J=9.7,8.9,4.7 Hz,1H),3.09(s,3H),2.95(s,3H),2.93-2.84(m,1H),2.04(dtd,J=23.4,13.2,11.4,6.1 Hz,2H),1.83(dt,J=10.0,5.9 Hz,2H),1.69(d,J=10.1 Hz,2H)。
【0033】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ173.92,158.32,157.58,148.12,147.17,138.07,128.02,114.62,60.42,50.05,37.17,35.68,33.47,31.63,27.27,26.17。
【0034】
LCMS:m/z=393.8(M+H)+。
【0035】
(実施例3)
N1-((1S,2R,4S)-2-アジド-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式1の化合物)の製造
【化12】
反応フラスコに2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソ酢酸エチル(式3の化合物)(150.7g、568.7mmol)、500mLのアセトニトリルを順次添加し、反応系を0~10℃程度降温させ、トリエチルアミン(43.1g、426.7mmol)を徐々に添加し、その後、(1S,3R,4S)-4-アミノ-3-アジド-N,N-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(式2の化合物)(100.0g、473.9mmol)を添加し、添加終了後、反応系を60~65℃に昇温させ、続いて系にトリエチルアミン(14.4g、142.6mmol)を添加し、その後、系の温度を60~65℃に維持して16時間撹拌した。液相で監視し、反応が完了した後、系に900mLの精製水を滴下し、滴下終了後、20~25℃に降温させ、1時間撹拌した後、吸引濾過して化合物(式1の化合物)を171.4g得て、収率は92.0%であった。
【0036】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0037】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ9.79(s,1H),8.32(d,J=2.4 Hz,1H),8.19(d,J=8.8 Hz,1H),7.72(dd,J=8.9,2.4 Hz,1H),7.63(d,J=8.8 Hz,1H),4.13(d,J=3.4 Hz,1H),4.02(td,J=9.7,8.9,4.7 Hz,1H),3.09(s,3H),2.95(s,3H),2.93-2.84(m,1H),2.04(dtd,J=23.4,13.2,11.4,6.1 Hz,2H),1.83(dt,J=10.0,5.9 Hz,2H),1.69(d,J=10.1 Hz,2H)。
【0038】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ173.92,158.32,157.58,148.12,147.17,138.07,128.02,114.62,60.42,50.05,37.17,35.68,33.47,31.63,27.27,26.17。
【0039】
LCMS:m/z=393.8(M+H)+。
【0040】
(実施例4)
N1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式4の化合物)の製造
【化13】
水素ガス反応釜にN1-((1S,2R,4S)-2-アジド-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式1の化合物)(5.0g、12.7mmol)、Pd/C(0.1g、2%wt)及び40mLのメタノールを順次添加し、50~55℃に保持して8時間反応させ、TLCで監視し、反応が完了した後、不溶物を濾過して除去し、2×20mLのメタノールで濾過ケーキを洗浄し、有機相を濃縮して化合物(式4の化合物)を得て、100%の収率で次の工程に直接投入して使用した。
【0041】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0042】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ8.30(d,J=2.3 Hz,1H),8.17(dd,J=8.9,2.1 Hz,1H),7.98(d,J=8.5 Hz,1H),7.70(dt,J=8.9,2.3 Hz,1H),3.91(dt,J=13.0,6.5 Hz,1H),3.35(d,J=4.7 Hz,1H),3.06(d,J=2.1 Hz,3H),2.93(d,J=2.1 Hz,3H),2.89-2.79(m,1H),1.96(tt,J=12.3,2.8 Hz,1H),1.80(q,J=12.6,11.2 Hz,3H),1.73-1.54(m,3H)。
【0043】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ174.59,158.24,158.09,148.27,147.14,138.02,127.86,114.52,50.88,47.88,37.10,35.67(overlapped),32.84,27.24,25.24。
【0044】
LCMS:m/z=367.8(M+H)+。
【0045】
(実施例5)
N1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式4の化合物)の製造
【化14】
反応フラスコにN1-((1S,2R,4S)-2-アジド-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(1)(5.0g、12.7mmol)、トリフェニルホスフィン(6.6g、25.4mmol)、30mLのテトラヒドロフラン及び10mLの精製水を順次添加し、20~25℃で一晩撹拌し、TLCで監視し、反応が完了した後、系に1N HClを添加し、pH=2~3に調整し、室温を維持して1時間撹拌し、その後、濃縮してテトラヒドロフランを除去し、水相を2×30mLのジクロロメタンで洗浄し、水相を保留し、2N水酸化ナトリウムを添加し、pH=9に調整し、2×30mLのジクロロメタンで水相を抽出し、有機相を合わせて濃縮して、化合物(式4の化合物)を得て、100%の収率で次の工程に直接投入して使用した。
【0046】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0047】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ8.30(d,J=2.3 Hz,1H),8.17(dd,J=8.9,2.1 Hz,1H),7.98(d,J=8.5 Hz,1H),7.70(dt,J=8.9,2.3 Hz,1H),3.91(dt,J=13.0,6.5 Hz,1H),3.35(d,J=4.7 Hz,1H),3.06(d,J=2.1 Hz,3H),2.93(d,J=2.1 Hz,3H),2.89-2.79(m,1H),1.96(tt,J=12.3,2.8 Hz,1H),1.80(q,J=12.6,11.2 Hz,3H),1.73-1.54(m,3H)。
【0048】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ174.59,158.24,158.09,148.27,147.14,138.02,127.86,114.52,50.88,47.88,37.10,35.67(overlapped),32.84,27.24,25.24。
【0049】
LCMS:m/z=367.8(M+H)+。
【0050】
(実施例6)
エドキサバン(式6の化合物)の製造
【化15】
反応フラスコにN1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式4の化合物)(5.0g、13.6mmol)と75mLのアセトニトリルを添加し、反応系を撹拌しながら0~10℃程度に降温させ、その後、トリエチルアミン(1.7g、16.3mmol)、4,5,6,7-テトラヒドロ-5-メチル-チアゾロ[5,4-C]ピリジン-2-カルボン酸(5)(3.5g,15.0mmol)、HOBT(2.2g、16.3mmol)、EDCI(3.6g、19.0mmol)を順次添加し、20~25℃に昇温させて8時間撹拌し、液相で監視し、反応が完了した後、吸引濾過し、濾過ケーキを取り出した後、50mLのジクロロメタンに溶解し、2×25mLの飽和炭酸ナトリウム水溶液で有機相を洗浄し、有機相を濃縮し、30mLの無水エタノールを添加して70~75℃で2時間熱パルプ化した後、室温に降温させて、吸引濾過して、化合物(式6の化合物)を6.3g得て、収率は85%であった。
【0051】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0052】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ9.76(s,1H),8.32(dd,J=2.4,0.6 Hz,1H),8.18(dd,J=8.8,0.6 Hz,1H),8.04(d,J=7.8 Hz,1H),7.71(dd,J=8.8,2.4 Hz,1H),7.42(dd,J=8.8,0.6 Hz,1H),4.66-4.71(m,1H),4.07-4.13(m,1H),3.78(d,J=15.1 Hz,2H),3.08(s,3H),3.02-2.79(m,8H),2.58(q,J=6.2 Hz,3H),2.11(m,3H),2.01-1.60(m,3H)。
【0053】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ173.59,160.26,159.92,158.77,157.68,156.55,149.90,148.17,147.12,137.94,127.88,114.58,52.49,52.15,51.01,47.79,45.00,37.18,35.76,34.09,32.64,26.99,26.66,25.97。
【0054】
LCMS:m/z=547.8(M+H)+。
【0055】
(実施例7)
エドキサバン(式6の化合物)の製造
【化16】
反応フラスコに4,5,6,7-テトラヒドロ-5-メチル-チアゾロ[5,4-C]ピリジン-2-カルボン酸(式5の化合物)(3.8g、16.3mmol)及び30mLのジクロロメタンを順次添加し、窒素ガスの保護下で、20~25℃に保持して反応系に塩化オキサリル(2.6g、20.4mmol)を徐々に滴下し、滴下終了後、窒素ガス下で室温に保持して2時間撹拌し、吸引濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、化合物4,5,6,7-テトラヒドロ-5-メチル-チアゾロ[5,4-C]ピリジン-2-カルボニルクロリド塩酸塩を得て、保存して使用に備えた。
【0056】
別の反応フラスコにN1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサミド(式4の化合物)(5.0g、13.6mmol)、75mLのジクロロメタン及びトリエチルアミン(3.4g、34.0mmol)を順次添加し、反応系を撹拌して0~5℃に降温させ、上記で製造された4,5,6,7-テトラヒドロ-5-メチル-チアゾロ[5,4-C]ピリジン-2-カルボニルクロリド塩酸塩を徐々に添加し、添加終了後、室温に昇温させて2~3時間撹拌し、液相で監視し、反応が完了した後、2×25mLの飽和炭酸ナトリウム水溶液で有機相を洗浄し、30mLの無水エタノールを添加し、常圧でジクロロメタンを蒸発させた後、固体を析出させ、吸引濾過して化合物(式6の化合物)を6.6g得て、収率は88.6%であった。
【0057】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0058】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ9.76(s,1H),8.32(dd,J=2.4,0.6 Hz,1H),8.18(dd,J=8.8,0.6 Hz,1H),8.04(d,J=7.8 Hz,1H),7.71(dd,J=8.8,2.4 Hz,1H),7.42(dd,J=8.8,0.6 Hz,1H),4.66-4.71(m,1H),4.07-4.13(m,1H),3.78(d,J=15.1 Hz,2H),3.08(s,3H),3.02-2.79(m,8H),2.58(q,J=6.2 Hz,3H),2.11(m,3H),2.01-1.60(m,3H)。
【0059】
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ173.59,160.26,159.92,158.77,157.68,156.55,149.90,148.17,147.12,137.94,127.88,114.58,52.49,52.15,51.01,47.79,45.00,37.18,35.76,34.09,32.64,26.99,26.66,25.97。
【0060】
LCMS:m/z=547.8(M+H)+。
【0061】
(実施例8)
エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物(式7の化合物)の製造
【化17】
反応フラスコにエドキサバン(式6の化合物)(5.0g、9.1mmol)と50mLのジクロロメタンを順次添加し、当該溶液に1mol/Lのp-トルエンスルホン酸のアセトン溶液(9.1mL)を添加し、溶媒を蒸留により除去した。残留物に15%の水を含むアセトン(50mL)を添加し、混合物を60℃で撹拌して当該混合物を溶解した。溶液を室温まで冷却し、1日間撹拌した。析出した結晶を濾過して収集し、アセトンで洗浄し、室温で2時間減圧乾燥させて、化合物(式7の化合物)を6.0g得て、収率は89%であった。
【0062】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0063】
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.29(s,1H),10.20(s,1H),9.20(d,J=8.1 Hz,1H),8.76(d,J=7.4 Hz,1H),8.48-8.41(m,1H),8.05-7.97(m,2H),7.45(dd,J=8.0,1.6 Hz,2H),7.10(d,J=7.7 Hz,2H),4.61(s,2H),4.43(dt,J=7.5,3.9 Hz,1H),4.01(ddt,J=12.6,8.5,4.2 Hz,1H),3.64(s,2H),3.18(q,J=5.5 Hz,2H),2.99(s,3H),2.93(s,4H),2.78(s,3H),2.27(s,3H),2.15-1.98(m,2H),1.82-1.62(m,3H),1.56-1.42(m,1H)。
【0064】
13C NMR(101 MHz,DMSO-d6)δ174.22,163.73,160.05,159.20,158.83,149.06,148.33,147.33,145.49,138.77,138.44,128.61,127.33,127.16,125.86,115.49,113.74,100.48,50.94,50.85,49.98,48.60,42.29,36.95,35.41,33.38,31.81,27.18,25.37,24.16,21.20。
【0065】
LCMS:m/z=547.8(M+H)+。
【0066】
(実施例9)
エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩一水和物(式7の化合物)の製造
【化18】
反応フラスコにエドキサバン(式6の化合物)(5.0g、9.1mmol)、25mLの無水エタノール及び10mLの精製水を順次添加し、系にp-トルエンスルホン酸一水和物(1.6g、8.4mmol)を添加し、70~75℃に昇温させて撹拌溶解して透明にし、その後、降温させ、系が55~60℃に降温すると、系にp-トルエンスルホン酸一水和物(0.3g、1.6mmol)を追加し、追加終了後、系に50mLの無水エタノールを滴下し、その後、20~25℃に降温させて1時間撹拌し、更に0~10℃に降温させて1時間撹拌し、吸引濾過し、2×10mLの無水エタノールで洗浄し、45℃で減圧乾燥させて、化合物(式7の化合物)6.2gを得て、収率は92%であった。
【0067】
得られた生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルデータは、以下のとおりである。
【0068】
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.29(s,1H),10.20(s,1H),9.20(d,J=8.1 Hz,1H),8.76(d,J=7.4 Hz,1H),8.48-8.41(m,1H),8.05-7.97(m,2H),7.45(dd,J=8.0,1.6 Hz,2H),7.10(d,J=7.7 Hz,2H),4.61(s,2H),4.43(dt,J=7.5,3.9 Hz,1H),4.01(ddt,J=12.6,8.5,4.2 Hz,1H),3.64(s,2H),3.18(q,J=5.5 Hz,2H),2.99(s,3H),2.93(s,4H),2.78(s,3H),2.27(s,3H),2.15-1.98(m,2H),1.82-1.62(m,3H),1.56-1.42(m,1H)。
【0069】
13C NMR(101 MHz,DMSO-d6)δ174.22,163.73,160.05,159.20,158.83,149.06,148.33,147.33,145.49,138.77,138.44,128.61,127.33,127.16,125.86,115.49,113.74,100.48,50.94,50.85,49.98,48.60,42.29,36.95,35.41,33.38,31.81,27.18,25.37,24.16,21.20。
【0070】
LCMS:m/z=547.8(M+H)+。
【国際調査報告】