(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】浮体式風力発電用プラットフォームおよび関連する浮体式風力発電用組立品
(51)【国際特許分類】
B63B 75/00 20200101AFI20241212BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20241212BHJP
B63B 35/34 20060101ALI20241212BHJP
B63B 73/40 20200101ALI20241212BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20241212BHJP
【FI】
B63B75/00
B63B35/00 T
B63B35/34 B
B63B73/40
F03D13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537366
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022087029
(87)【国際公開番号】W WO2023118168
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232558
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテク
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ル-ゲネック,ステファンヌ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB35
3H178CC23
3H178DD61X
3H178DD67Z
(57)【要約】
【課題】タワーの1次固有周期と1P周波数および3P周波数それぞれとの間の十分な分離を保証する浮体式風力発電用プラットフォームを、タービンの耐用年数全体にわたって十分な抵抗および完全な状態を提供する。
【解決手段】本発明は、浮体式風力発電用プラットフォームに関しており、該プラットフォームは、水域に設置可能であり、該プラットフォームは、水域に浮遊することができる浮体構造物(28)、浮体構造物(28)から突出して主方向(Z)に沿って延びるタワー組立品(30)を備え、タワー組立品(30)は、風力タービンナセルを支持することができる。タワー組立品(30)は、風力タービンナセルを支持することができるタワー(38)と、浮体構造物(28)とタワー(38)との間に配置される連結部分(40)とを備える。連結部分(40)は、複合材料で形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式風力発電用プラットフォーム(20)であって、水域(12)に設置可能であり、
水域(12)に浮遊することができる浮体構造物(28)と、浮体構造物(28)から突出して主方向(Z)に沿って延びるタワー組立品(30)とを備え、
タワー組立品(30)は、風力タービンナセル(22)を支持することができ、
タワー組立品(30)が、風力タービンナセル(22)を支持することができるタワー(38)と、浮体構造物(28)とタワー(38)との間に配置される連結部分(40)とを備え、
連結部分(40)は、複合材料で形成される、浮体式風力発電用プラットフォーム。
【請求項2】
前記連結部分(40)が、主方向(Z)に沿って、1m~7m、特に3m~4mに含まれる長さ(H2)で延びる、請求項1に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項3】
前記連結部分(40)が、円筒形の形状または円錐台形の形状を呈する、請求項1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項4】
前記連結部分(40)が、主方向(Z)に沿って、タワー(38)の延長部分に延びる、請求項1から3のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項5】
前記連結部分(40)が、単一材料で作られる、請求項1から4のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項6】
前記複合材料が、繊維強化ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂、特にガラス、カーボンナノチューブまたは炭素繊維であり、また繊維強化材が任意に、織布もしくは不織布の形態またはバルク繊維の形態である、請求項1から5のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項7】
前記タワー(38)が、鋼製である、請求項1から6のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項8】
前記浮体構造物(28)が、浮力要素(32)と、浮力要素(32)から突出する移行部分(34)とを備え、
前記連結部分(40)が、移行部分(34)とタワー(38)との間に配置される、請求項1から7のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項9】
前記移行部分(34)が、主方向(Z)に沿って、40cm~20mに含まれる長さ(H3)で延びる、請求項8に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項10】
前記連結部分(40)が、移行部分(34)にボルト締めフランジ(42)を介して固定される、請求項9に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項11】
前記連結部分(40)が、移行部分(34)にグラウチングされる、請求項9に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項12】
前記連結部分(40)が、タワー(38)にボルト締めフランジ(42)を介して固定される、請求項9から11のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項13】
浮体式風力発電用組立品(10)であって、
請求項1から12のいずれか一つに記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)を備え、
プロペラ(26)に結合した発電機(24)を備える風力タービンナセル(22)を備え、
タワー組立品(30)のタワー(38)に固定される風力タービンナセル(22)を備える、浮体式風力発電用組立品。
【請求項14】
前記発電機(24)が、10MWを超える、特に14MWを超える電力を有する電流を生成することができる、請求項13に記載の浮体式風力発電用組立品(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式風力発電用プラットフォームに関する。
【0002】
本発明は、また、そのような浮体式風力発電用プラットフォームを備える組立品にも関する。
【背景技術】
【0003】
浮体式風力発電用プラットフォームは、従来、タービンを備えており、タービンはタワーの端部に位置決めされ、タワーそれ自体は、もう一方の端部で、例えば海に浮遊することができる浮体構造物に連結される。
タワーは、通常、十分な抵抗を提供するために鋼で作られる。
【0004】
タービンは、発電機を作動させるために風によって回転することができるプロペラを備える。
プロペラの回転は、特にタワーの前をプロペラのブレードが通過することに起因する周期的な振動を引き起こす。
これらの振動の周波数が組立品の構造的な固有周波数に近づきすぎると、これらの振動が共振の引き金となり共振が維持されるため、疲労損傷によるこの組立品の劣化が加速される可能性がある。
【0005】
浮体式風力発電用プラットフォームを設計する際には、したがって、ハルの加速度とタービンの推力とによって誘発されるタワーの極端な曲げモーメントに耐えるのに十分な強度性能を維持しつつ、タワーの共振現象を低減するためにハルおよびタワーの設計を調整することが不可欠である。
【0006】
タワーは、通常、いわゆる1P周波数(ローターの1回転に対応する)といわゆる3P周波数(各ブレードがタワーを通過することに対応する)との間に1次固有モードを持つように設計される。
設計プロセスでは、通常、共振現象を軽減するために、タワーの1次固有周期と3P周波数との間に少なくとも10%のマージンが要求される。
【0007】
しかしながら、陸上風力タービンと比較して、風力タービンが浮体上に設置されるとタワーの固有周期が長くなり3P振動周波数に近づくため、共振現象が生じ、その結果タワーやタワーとハルとの間の接続部分で大きな疲労損傷が発生する。
【0008】
そのうえ、産業界においてタービンが大型化し、例えば14MWを超える電力を供給するようになると、浸食を軽減し超音速流を避けるためブレードの先端での相対風速を制限するために、回転速度が低下する。
このような回転速度の低下は、3P周波数を下げるため、組立品設計と上記10%の基準への準拠とをさらに難易度の高いものとし、組立品設計の最適化の可能性を制限する。
【0009】
タワーの固有周波数を下げるために、タワーの剛性を下げることが検討されてきた。
しかしながら、タワーの直径や肉厚を調整することでタワーの剛性を下げることは、極限の状況下で要求される強度性能のためにいくらかの限界がある。
【0010】
仏国特許出願公開第3098555号明細書は、タワーとハルとの間にエラストマーパッド減衰システムを使用することを提案している。
しかしながら、このようなシステムは非常に複雑で、実装には費用がかかる。
特に、提案されている接続部分は、高価であることが知られている巨大な鋼の鋳造品および/または鍛造品を使用することになる。
現在に至るまで、このようなシステムは、これらの制限のために、実際の洋上風力タービンの現場で実装されたことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3098555号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的のうちの1つは、したがって、タワーの1次固有周期と1P周波数および3P周波数それぞれとの間の十分な分離を保証する浮体式風力発電用プラットフォームを、タービンの耐用年数全体にわたって十分な抵抗および完全な状態を提供し、かつ費用効率が良くありながら、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、水域に設置可能な浮体式風力発電用プラットフォームに関しており、該プラットフォームは、水域に浮遊することができる浮体構造物と、浮体構造物から突出して主方向に沿って延びるタワー組立品とを備え、タワーは風力タービンナセルを支持することができ、タワーは、風力タービンナセルを支持することができるタワーと、浮体構造物とタワーとの間に配置される連結部分を備え、連結部分は複合材料で形成される。
【発明の効果】
【0014】
実際に、これらの特徴を利用して、鋼の代わりに複合材料で作られた連結部分により、タワーの固有周期を許容値まで低減することが可能となる。
実際に、複合材料は、同等の強度性能の鋼と比べて6分の1の剛性を有することができる。
特に、連結部分の高さを調整することにより、曲げ時のタワーの固有周期を短くし、3-P周波数とのマージンを高めることで、疲労損傷を低減することができる。
一例として、本発明者らが行ったいくつかの計算により、高さ3.5mの連結部分がタワーの固有周波数をおよそ10%低下させるであろうことが実証されており、これは疲労性能およびプラットフォーム設計の最適化にとって非常に有益である。
そのうえ、複合材料のこの連結部分は、製造が簡単であり、浮体構造物との接続部分が単純化される。
本発明は、したがって、共振/疲労問題に対する費用対効果の高い解決案を提供する。
【0015】
本発明によるプラットフォームは、単独で、もしくは技術的に実現可能な任意の組み合わせにしたがって選ばれる、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する。
- 連結部分は、主方向に沿って、1m~7m、特に3m~4mに含まれる長さで延びる、
- 連結部分は、円筒形の形状または円錐台形の形状を呈する、
- 連結部分は、主方向に沿って、タワーの延長部分に延びる、
- 連結部分は、単一材料で作られる、
- 単一材料は、繊維強化ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂、特に、グラスファイバー、カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーであり、これは任意で織布もしくは不織布またはバルクファイバーの形態である、
- 複合材料は、紫外線放射および/または塩水のような環境からの劣化を防ぐために、塗料でコーティングすることができる、
- タワーは、鋼製である、
- 浮体構造物は、浮体と、浮体から突出する移行部分とを備え、連結部分は、移行部分とタワーとの間に配置される、
- 移行部分は、主方向に沿って、40cm~20mに含まれる長さで延びる、
- 連結部分は、移行部分にボルト締めフランジを介して固定される、または
- 連結部分は、移行部分にグラウチングされる、かつ
- 連結部分は、タワーにボルト締めフランジを介して固定される。
【0016】
本発明は、さらに、組立品に関しており、該組立品は、上に定義されたような浮体式風力発電用プラットフォームと、プロペラに結合した発電機を備える風力タービンナセルとを備え、風力タービンナセルは、タワーのタワーに固定される。
【0017】
いくつかの実施形態によると、発電機は、10MWを超える、特に14MWを超える電力を有する電流を生成することができる。
【0018】
本発明は、以下のような添付の図面を参照して成される、単に一例として与えられる、続く説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による浮体式風力発電用プラットフォームを備えた浮体式風力発電用組立品の概略図である。
【
図2】
図1の浮体式風力発電用プラットフォームの、一実施形態による部分断面図である。
【
図3】
図1の浮体式風力発電用プラットフォームの、別の実施形態による部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
浮体式風力発電用組立品10が、
図1に示されている。
【0021】
浮体式風力発電用組立品10は、水域12に設置されることができる。
【0022】
具体的には、水域12は、例えば海である。
水域12は、海底14上にある。
当業者は、水域12が湖であるならば、海底14がそのとき、湖の底となることを理解するであろう。
【0023】
図1で見ることができるように、水域12は、垂直方向に従って、50m~1500mに含まれる水深Dを有する。
【0024】
具体的には、浮体式風力発電用組立品10は、海底14に係留されることができる。
このために、浮体式風力発電用組立品10は、少なくとも1本の係留索16、有利には3本の係留索16を介して、海底14に取り付けられることができる。
【0025】
浮体式風力発電用組立品10は、浮体式風力発電用プラットフォーム20と風力タービンナセル22とを備える。
【0026】
風力タービンナセル22は、プロペラ26に結合した発電機24を備える。
【0027】
浮体式風力発電用組立品10が、稼働拠点の海底14に係留されているとき、プロペラ26は、発電機24を作動させるために回転するように設定されており、発電機はそのとき電気を作り出す。
【0028】
発電機24は、10MWを超える、特に14MWを超える電力を有する電流を生成することができる。
【0029】
図1で示されているように、浮体式風力発電用プラットフォーム20は、浮体構造物28と、浮体構造物28から突出するタワー組立品30とを備える。
【0030】
タワー組立品30は、主方向Zに沿って延びる。主方向Zは、浮体式風力発電用組立品10が水域12に配置されているとき、ほぼ垂直である。
【0031】
浮体構造物28は、水域12に浮遊することができる。
【0032】
浮体構造物28は、浮力要素32を備える。
【0033】
浮体32は、ここでは、ビームで相互に連結した3本の安定カラム33を備えている。
しかしながら、浮体32は、2本の安定カラム33を備えていてもよいし、3本より多い安定カラム33を備えていてもよい。
浮体32は、また、水域12に浮遊してタワー組立品30を支持することができる任意のタイプの浮体式システムであってもよい。
【0034】
浮体構造物28は、さらに、有利には、移行部分34を備える。
【0035】
移行部分34は、浮力要素32から突出している。
【0036】
具体的には、浮力要素32は、浮力要素32が水域12に配置されているとき、上面36を呈する。
そのとき、移行部分34は、上面36から上向きに、主方向Zに沿って突出している。
【0037】
移行部分34は、円筒形の形状または円錐台形の形状を呈している。
【0038】
移行部分34は、有利には鋼製である。
【0039】
移行部分34は、主方向Zに沿って、有利には40cm~20mに含まれる長さH3で延びている。
【0040】
タワー組立品30は、浮体構造物28から、主方向Zに沿って突出している。
【0041】
図2で示されているように、タワー組立品30は、浮体構造物28の移行部分34から、主方向Zに沿って突出している。
【0042】
表示されていない一変形例において、浮体構造物28には移行部分がなく、タワー組立品30は、浮力要素32から直接突出している。
【0043】
図2および
図3で示されているように、タワー組立品30は、タワー38と連結部分40とを備える。
【0044】
図1および
図2に関して、タワー組立品30は、主方向Zに沿って、全長HTで延びている。
【0045】
タワー38は、主方向Zに沿って、長さH1で延びている。
【0046】
連結部分40は、主方向Zに沿って、長さH2で延びている。
【0047】
全長HTは、長さH1と長さH2との合計に等しい。
【0048】
具体的には、タワー38は、主方向Zに沿って、80m~150mに含まれる長さH1で延びている。
【0049】
例えば、発電機24が10MWの電力を提供する場合、長さH1は、典型的には95mに等しい。
発電機24が15MWの電力を提供する場合、長さH1は、典型的には125mに等しい。
発電機24が20MWの電力を提供する場合、長さH1は、典型的には135mに等しい。
【0050】
具体的には、連結部分40は、主方向Zに沿って、1m~7m、特に3m~4mに含まれる長さH2で延びる。
【0051】
タワー38および連結部分40は、それぞれ、円筒形の形状または円錐台形の形状を呈している。
【0052】
タワー38は、主方向Zに沿って、一端で風力タービンナセル22を支持することができ、もう一端で連結部分40に固定されることができる。
【0053】
一実施形態によると、タワー38は、鋼製である。
【0054】
一変形例において、タワー38は、繊維を含む高分子材料製である。
【0055】
連結部分40は、浮体構造物28とタワー38との間に配置される。
【0056】
具体的には、連結部分40は、一端でタワー38に、もう一端で浮体構造物28、有利には移行部分34に固定される。
【0057】
図2および
図3で示されているように、連結部分40は、タワー38にボルト締めフランジ42を介して固定される。
【0058】
連結部分40およびタワー38は、軸方向に連続する2つの構成部分を形成する。
それぞれの部分は、円形の円盤形状のフランジを呈している。
ボルト孔は、各円形の円盤形状のフランジに配置され、好ましくはフランジの周囲に規則的な間隔をあけて配置される。
2つの円形の円盤形状のフランジは、互いに向かい合い、孔を通るボルトは、2つの部分38、40をともに固定し、ボルトはナットと連結している。
【0059】
ボルトおよびナットは、任意にステンレス鋼または有利には複合材料で作られる。
有利には、ボルトおよびナットは、連結部分40と同じ材料で作られる。
【0060】
図2で示されているように、連結部分40のもう一方の側では、連結部分40は、有利には、移行部分34にもボルト締めフランジ42を介して固定される。
【0061】
図3で示されているように、一変形例において、連結部分40は、移行部分34にグラウチングされる。
具体的には、連結部分40は、クランプ形状の端部を呈しており、連結部分は、移行部分34上でのクランプ形状の端部の変形によって移行部分34と組み立てられる。
【0062】
連結部分40は、主方向Zに沿って、タワー38の延長部分に延びる。
【0063】
すなわち、タワー38と連結部分40との間には、主方向Zに沿って、滑らかな連結があり、不連続がない。
【0064】
タワー38は、有利には、連結部分40によって浮体構造物28から離されている。
連結部分40は、浮体構造物28から、具体的には移行部分34から突出している。
その場合、連結部分40は、浮体構造物28で囲まれていない。
【0065】
連結部分40は、複合材料で形成される。
【0066】
複合材料は、少なくとも2つの混和しない成分の集合体であるが、高い浸透能力を有する。
異なる成分の特性は互いに補完し合うので、こうして形成された新しい不均質材料は、成分が独自では持たない特性を示す。
【0067】
構造用複合材料は、一般に、強化材とマトリックスとで構成される。
強化材は、有利には繊維状またはフィラメント状であり、本質的な機械的特性を提供する。
【0068】
マトリックスは、強化材を環境から保護し、強化材をその初期位置に維持し、力の伝達を確実にするバインダーとして機能する。
複合材料は、そのマトリックスの性質によって、有機マトリックス複合材料、セラミックマトリックス複合材料または金属マトリックス複合材料に分類することができる。
【0069】
本発明において、複合材料は、好ましくは、無機強化材をコーティングしている有機マトリックスを有している。
有機マトリックスは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルまたはエポキシ樹脂のような高分子材料である。
有機マトリックスは、好ましくは、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂の中から選択される。
強化材は、繊維の形態の無機材料である。
好適な強化材は、短繊維または長繊維のガラス繊維、カーボンナノチューブおよび/または炭素繊維を含む。
【0070】
有利には、複合材料は、ポリエステルおよびガラスで作られる。
【0071】
一変形例において、複合材料は、有利には、エポキシおよびガラスで作られる。
【0072】
連結部分40は、有利には、単一材料で作られる。
【0073】
したがって、この実施形態において、連結部分40は、複合材料に加えて、他の材料や機械部品がない。
連結部分40は、タワー38と浮力要素32との間に配置された複合材料を有するだけである。
【0074】
一変形例において、連結部分40は、鋼製の内層と複合材料製の外層とを有する。
【0075】
内層の幅と外層の幅は、組立品の固有周期を1P周波数と3P周波数との間の目標値まで低減するように調整することができる。
【0076】
複合材料は、有利には、繊維強化ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂であり、特にガラス、カーボンナノチューブまたは炭素繊維強化材を有する。
強化材は、バルク繊維の形態であってもよいし、または好ましくは織布もしくは不織布の強化材のようであってもよい。
【0077】
従来、トランジションピースが、ハルとタワーとの間に配置され、鋼製である。
しかし、上で説明したように、従来の鋼製タワーでは、タワー組立品30の1次固有周期が3P周波数に近づきすぎる可能性がある。
【0078】
複合材料のヤング率は、鋼よりも少なくとも4倍柔らかい可能性がある。
同等の強度性能を得るための肉厚の増加を考慮すると、複合材料の連結部分40の有効断面剛性は、鋼材の場合よりも少なくとも3倍柔らかくなる可能性がある。
【0079】
本発明により、タワー組立品30に剛性の低い部分を配置することが可能となり、複合材料のこの連結部分40の高さを調整することにより、固有周波数の観点から目標に到達し、共振現象、ひいては疲労損傷を軽減することが可能になる。
【0080】
具体的には、連結部分の高さH2は、タワー組立品30の固有周期を、1P周波数と3P周波数との間の目標値まで低減するように調整される。
【0081】
連結部分40が鋼製の内層と複合材料製の外層とを有する実施形態において、固有周期は、一方では内層の幅と外層の幅との両方を適合させ、他方では連結部分の高さH2を適合させることによって調整される。
【0082】
本発明者らが行ったいくつかの計算により、3.5mの高さを有する連結部分40が、タワー組立品30の固有周波数を10%低下させることが実証されており、これは浮体設計および疲労性能にとって有益である。
【0083】
複合材料は、また、組立品10に追加の構造減衰を提供することを可能にする。
【0084】
そのうえ、複合材料は、タワー組立品30の腐食の問題を回避する。
例えば、鋼製連結部分の場合のような、連結部分40へのコーティングはもはや必要ない。
しかしながら、使用する複合材料が紫外線照射および/または塩水からの劣化に敏感である場合、コーティングが望まれることもある。
この場合、適切なコーティングは、海洋環境での使用に適した鋼コーティングに使用される防錆塗料よりも低い性能で充分であろうことから、より安価な塗料である可能性がある。
【0085】
本発明が多くの利点を有することは、明白であるように見受けられる。
【0086】
具体的には、上で説明したように、本発明により、1P周波数と3P周波数とから十分に離れた1次固有周期を有する浮体式風力発電用プラットフォームを提供することが可能となる。
【0087】
具体的には、複合材料で作られた連結部分40により、タワーの固有周期を許容値まで低減することが可能となる。
【0088】
複合材料は、鋼よりも剛性が低いため、連結部分40の高さは、プラットフォーム10の全体設計や、タワーの固有周期に影響を与える可能性のある外部条件に応じて、タワー組立品30の固有周期を短くするように調整することができる。
【0089】
そのうえ、本発明は、浮体式風力発電用組立品10の耐用年数全体にわたって、十分な抵抗および完全な状態を保証する。
【0090】
最後に、複合材料のこの連結部分40は、製造が簡単であり、浮体構造物28との接続部分が単純化される。
【0091】
本発明は、したがって、共振現象に対する費用対効果の高い解決案を提供する。
【符号の説明】
【0092】
10 浮体式風力発電用組立品
12 水域
14 海底
16 係留索
20 浮体式風力発電用プラットフォーム
22 風力タービンナセル
24 発電機
26 プロペラ
28 浮体構造物
30 タワー組立品
32 浮力要素
33 安定カラム
34 移行部分
36 上面
38 タワー
40 連結部分
42 ボルト締めフランジ
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式風力発電用プラットフォーム(20)であって、水域(12)に設置可能であり、
水域(12)に浮遊することができる浮体構造物(28)と、浮体構造物(28)から突出して主方向(Z)に沿って延びるタワー組立品(30)とを備え、
タワー組立品(30)は、風力タービンナセル(22)を支持することができ、
タワー組立品(30)が、風力タービンナセル(22)を支持することができるタワー(38)と、浮体構造物(28)とタワー(38)との間に配置される連結部分(40)とを備え、
連結部分(40)は、複合材料で形成される、浮体式風力発電用プラットフォーム。
【請求項2】
前記連結部分(40)が、主方向(Z)に沿って、1m~7
mに含まれる長さ(H2)で延びる、請求項1に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項3】
前記連結部分(40)が、主方向(Z)に沿って、3m~4mに含まれる長さ(H2)で延びる、請求項1に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項4】
前記連結部分(40)が、円筒形の形状または円錐台形の形状を呈する、請求項1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項5】
前記連結部分(40)が、主方向(Z)に沿って、タワー(38)の延長部分に延びる、請求項
1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項6】
前記連結部分(40)が、単一材料で作られる、請求項
1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項7】
前記複合材料が、繊維強化ポリエステル樹脂またはエポキシ樹
脂である、請求項
1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項8】
前記繊維強化ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂の繊維強化材が、ガラス、カーボンナノチューブまたは炭素繊維から選択される、請求項7に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム。
【請求項9】
前記繊維強化ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂の繊維強化材が、織布もしくは不織布の形態またはバルク繊維の形態である、請求項7に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム。
【請求項10】
前記タワー(38)が、鋼製である、請求項
1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項11】
前記浮体構造物(28)が、浮力要素(32)と、浮力要素(32)から突出する移行部分(34)とを備え、
前記連結部分(40)が、移行部分(34)とタワー(38)との間に配置される、請求項
1または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項12】
前記移行部分(34)が、主方向(Z)に沿って、40cm~20mに含まれる長さ(H3)で延びる、請求項
11に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項13】
前記連結部分(40)が、移行部分(34)にボルト締めフランジ(42)を介して固定される、請求項
12に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項14】
前記連結部分(40)が、移行部分(34)にグラウチングされる、請求項
12に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項15】
前記連結部分(40)が、タワー(38)にボルト締めフランジ(42)を介して固定される、請求項
12に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)。
【請求項16】
浮体式風力発電用組立品(10)であって、
請求項1
または2に記載の浮体式風力発電用プラットフォーム(20)を備え、
プロペラ(26)に結合した発電機(24)を備える風力タービンナセル(22)を備え、
タワー組立品(30)のタワー(38)に固定される風力タービンナセル(22)を備える、浮体式風力発電用組立品。
【請求項17】
前記発電機(24)が、10MWを超え
る電力を有する電流を生成することができる、請求項
16に記載の浮体式風力発電用組立品(10)。
【請求項18】
前記発電機が、14MWを超える電力を有する電流を生成することができる、請求項17に記載の浮体式風力発電用組立品(10)。
【国際調査報告】