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特表2024-546301プロセス空気を処理する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】プロセス空気を処理する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/44 20060101AFI20241212BHJP
   B01D 53/72 20060101ALI20241212BHJP
   B01D 53/75 20060101ALI20241212BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B01D53/44 130
B01D53/72 ZAB
B01D53/75
B01D53/82
B01D53/44 140
B01D53/44 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537419
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 DE2022100966
(87)【国際公開番号】W WO2023116978
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021006308.2
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022000536.0
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】チャボ ホーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン イェンス
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA27
4D002AA40
4D002AB03
4D002AC10
4D002BA04
4D002BA05
4D002BA12
4D002BA13
4D002BA14
4D002DA41
4D002DA45
4D002EA01
4D002EA05
4D002FA01
4D002GA03
4D002GB01
4D002HA08
(57)【要約】
主流を有する工業プロセスからのプロセス空気を処理する方法であって、プロセス空気の少なくとも一部が以下の方法工程によって処理されるものであり、第1の凝縮液をプロセス空気から分離し、第1の回収プロセスに供給する第1の凝縮工程と、第2の凝縮液をプロセス空気から分離し、第2の回収プロセスに供給する、第1の凝縮工程の後に行われる第2の凝縮工程と、を含み、第2の凝縮工程の際に到達されるプロセス空気の最低温度は、第1の凝縮工程の際に到達されるプロセス空気の最低温度よりも低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流(5)を有する工業プロセスからのプロセス空気を処理する方法であって、前記プロセス空気の少なくとも一部が以下の方法工程によって処理されるものであり、
第1の凝縮液(16)を前記プロセス空気から分離し、第1の回収プロセス(42)に供給する第1の凝縮工程(41)と、
第2の凝縮液(17)を前記プロセス空気から分離し、第2の回収プロセス(53)に供給する、前記第1の凝縮工程(41)の後に行われる第2の凝縮工程(51)と、を含み、
前記第2の凝縮工程(51)の際に到達されるプロセス空気の最低温度は、前記第1の凝縮工程(41)の際に到達されるプロセス空気の最低温度よりも低い、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの溶剤(16a、17a)の回収のための、請求項1に記載の方法において、
前記第1の凝縮液(16)は第1の溶剤(16a)を含み、前記第2の凝縮液(17)は第2の溶剤(17a)を含み、
特に第1及び/又は第2の溶剤(16a、17a)は炭化水素化合物を有する、方法。
【請求項3】
前記主流(5)及び副流(31)内にそれぞれの体積流量を有するものであり、
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第1の凝縮工程(41)の後に、分岐(44)において、前記第2の凝縮工程(51)における処理のために前記副流(31)に分岐し、
前記副流(31)内に分岐された体積流量は、特に、前記分岐(44)の後に前記主流(5)内に存在する体積流量よりも小さい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第1の凝縮工程(41)の後に第1の更なる処理工程(45)において更に処理し、
前記第1の更なる処理工程(45)は、熱供給、及び/又は、減圧、及び/又は、主流(5)の外部の空気の、特に環境(11)から及び/又は副流(31)からの空気の第2の供給を含み、
プロセス空気の少なくとも一部を、前記第1の更なる処理工程(45)の後に、特に工業プロセス(1a)に戻す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の更なる処理工程(45)を分岐(44)の後に行い、
特に熱供給を前記第1の更なる処理工程において行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第2の凝縮工程(51)の後に第2の更なる処理工程(54)において更に処理し、この第2の更なる処理工程(54)は、熱供給、及び/又は減圧、及び/又は濾過、及び/又は第3の凝縮工程、及び/又は吸着を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第2の更なる処理工程(54)の後に、環境(11)に供給する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第2の更なる処理工程(54)の後に、特に前記工業プロセス(1a)に戻す、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記工業プロセス(1a)からの前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記主流(5)に導き、且つ、その際、濾過する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記工業プロセス(1a)は乾燥プロセスを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、特に前記工業プロセス(1a)への戻しのために、前記第1の回収プロセス(42)の際に前記第1の凝縮液(16)を回収すること、及び/又は、前記第2の回収プロセス(52)の際に前記第2の凝縮液(17)を回収することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、第1及び/又は第2及び/又は第3の凝縮工程(41、51)の際に熱回収を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の凝縮工程(51)内において除氷を行い、その際、
前記第2の凝縮工程への前記プロセス空気の少なくとも一部の供給を一時的に中断し、
及び/又は、
前記プロセス空気の少なくとも一部を第2の凝縮工程を逸れて導き、
及び/又は、
前記第2の凝縮工程への前記プロセス空気の供給は分割可能であり、前記除氷を部分流において行う、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工業プロセス(1a)からのプロセス空気を処理するための装置(60)であって、特に、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であり、
主流(5)と、
第1の冷却要素(6)及び第1の分離器(7)を有する第1の凝縮器(2)であって、前記プロセス空気が、前記第1の凝縮器(2)内において前記第1の冷却要素(6)によって冷却され、次いで、前記第1の分離器(7)を通過し、第1の凝縮液(16)が、前記プロセス空気から分離され、第1の回収プロセス(43)に供給される、前記第1の凝縮器(2)と、
第2の冷却要素(32)及び第2の分離器(33)を有し、前記第1の凝縮器(2)の下流に接続された第2の凝縮器(3)であって、前記プロセス空気が、前記第2の凝縮器(3)内において前記第2の冷却要素(32)によって冷却され、次いで、前記第2の分離器(33)を通過し、第2の凝縮液(17)が、前記プロセス空気から分離され、第2の回収プロセス(53)に供給される、前記第2の凝縮器(3)と、
を備える、装置(60)。
【請求項15】
特に請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置(60)であって、
迂回装置(8)を備え、
前記プロセス空気の少なくとも一部が分岐(44)において前記第1の分離器(7)の下流において副流(31)に分岐され、
前記迂回装置(8)は、好ましくは、前記プロセス空気の少なくとも一部を導入するための第1の制御ユニット(10)及び/又は第1の弁(9)及び/又はファンを有する、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項16】
前記第1の冷却要素(6)は、特に、前記第1の凝縮工程(41)の際の熱回収のための第1の熱交換器(6a)を含み、
前記プロセス空気の少なくとも一部は、前記第1の凝縮工程(41)の後に前記第1の凝縮器(2)において更に処理され、
前記第1の凝縮器(2)は、前記プロセス空気の加熱のための第1の加熱要素(18)を有し、
前記第1の凝縮器の下流に、特に、第1の空気加熱器(12)が配置されている、請求項14又は15に記載の装置(60)。
【請求項17】
前記プロセス空気の少なくとも一部は、第1の加熱要素(18)の上流において、分岐(44)において前記第2の凝縮器(3)への副流(31)に導かれる、請求項14及び16に記載の装置(60)。
【請求項18】
前記第2の冷却要素(6)は、特に、第2の凝縮工程(51)の際の熱回収のための第2の熱交換器(32a)を含み、
前記プロセス空気の少なくとも一部は、前記第2の凝縮工程(51)の後に前記第2の凝縮器(3)において更に処理され、その第2の凝縮器(3)は、前記プロセス空気の加熱のための第2の加熱要素(19)を有している、請求項14~17のいずれか一項に記載の装置(60)。
【請求項19】
前記第2の凝縮工程の後に、第2の更なる処理装置(39)が配置されており、
前記プロセス空気が、前記第2の更なる処理装置(39)によって更に処理され、この第2の更なる処理装置(39)は、
フィルタ(36)、
及び/又は、第3の凝縮器、
及び/又は、濃縮器を有する、請求項14~18のいずれか一項に記載の装置(60)。
【請求項20】
前記第1の凝縮液(16)が、前記工業プロセス(1a)への戻しのために前記第1の回収プロセス(43)の際に回収されるようになった第1の凝縮液回収器(13)と、
前記第2の凝縮液(17)が、前記工業プロセス(1a)への戻しのために前記第2の回収プロセス(53)の際に回収されるようになった第2の凝縮液回収器(37)と、
を備える、請求項14~19のいずれか一項に記載の装置(60)。
【請求項21】
前記第2の凝縮器(3)は除氷装置(38)を有している、請求項14~20のいずれか一項に記載の装置(60)。
【請求項22】
前記工業プロセス(1a)は、
導電性キャリア材料を、特に導電性フィルム材料を、コーティング膜として溶剤を含む混合物質によってコーティングすることと、
前記キャリア材料への前記コーティング膜の塗布の後に乾燥して、前記装置(60)に供給される、溶剤を含むプロセス空気を生成することと、
を含む、ことを特徴とする、請求項14~21のいずれか一項に記載の装置(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プロセスからのプロセス空気を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス空気は、プロセス工程における乾燥のような所定の技術的作用をもたらすために、製品の製造のための所定のプロセス工程の際の媒体として使用され得る。工業プロセスの際に、プロセス空気は生産用材料を受け取ることができ、その際、プロセス空気は工業プロセスから出た後に環境中に放出される。しかし、このような生産用材料には、環境に悪影響を及ぼす汚染物質が含まれている可能性がある。環境への悪影響の低減のために、また、環境中に放出される排気中の汚染物質の所定の法的制限値に適合するためにも、この排気は適切に処理されなければならない。
【0003】
工業プロセスからのプロセス空気の処理には、工業プロセスにおいて使用される溶剤の空気浄化が含まれる。上記したように、このような処理は、空気を環境に排出するための規制上の理由、及び/又は、他の工業プロセスにおける一般的な再利用のための経済的な理由から必要とされる場合があり、後者は、特に価値のある溶剤を使用する場合に特に当てはまる。
【0004】
従来技術においては、凝縮工程を有する方法が特に知られており、その際、凝縮液がプロセス空気から分離され、それによって溶剤を回収することができる。
【0005】
カナダ国特許出願公開第2214542A1号明細書には、リチウムイオン電池の製造中の際に、溶剤を含むプロセス空気から溶剤を凝縮させることによって、溶剤を回収することができる方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】カナダ国特許出願公開第2214542A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プロセス空気を処理する方法に関し、特に、リチウムイオン電池の製造のような工業プロセスにおいて使用される溶剤を回収する方法に関する。この方法は、異なる温度レベルにおいて作動する凝縮過程を含み、その際、溶剤を含む凝縮液がプロセス空気から分離され、次いで回収プロセスに供給される。本発明はまた、工業プロセスからのプロセス空気を処理するための装置、特に本発明による方法を実施するための装置に関する。
【0008】
本発明は、プロセス空気から凝縮液を回収するための改良された方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、主流を有する工業プロセスからのプロセス空気を処理するための方法であって、プロセス空気の少なくとも一部が以下の方法工程によって処理される方法によって解決される。第1の凝縮液をプロセス空気から分離し、第1の回収プロセスに供給する第1の凝縮工程と、第2の凝縮液をプロセス空気から分離し、第2の回収プロセスに供給する、第1の凝縮工程の後に行われる第2の凝縮工程と、を含み、第2の凝縮工程の際に到達されるプロセス空気の最低温度は、第1の凝縮工程の際に到達されるプロセス空気の最低温度よりも低い。
【0010】
本発明者らは、特に溶剤を含む凝縮液の回収のために、プロセス空気を2つの凝縮工程によって処理することが有利であり、その際、プロセス空気が第2の凝縮工程において第1の凝縮工程よりも低い温度まで冷却されることを見出した。2段階の処理によって、プロセス空気をより徹底的に処理することができ、その結果、1段階の凝縮プロセスによって可能な場合よりも高い割合の溶剤をプロセス空気から分離することができる。第1の凝縮工程の下流に濃縮器を備えた代替的な方法であって、特に吸着される溶剤が比較的低い蒸気圧を有する場合に溶剤が濃縮器によって吸着される方法に対して、本発明による方法は特に有利であることが実証されている。
【0011】
この課題は、本発明によれば、工業プロセスからの、主流と副流とを有するプロセス空気を処理するための方法を有する、独立な代替において解決される。その際、プロセス空気の少なくとも一部は、以下の方法工程によって処理される。第1の凝縮液がプロセス空気から分離され、第1の回収プロセスに供給される、第1の凝縮工程。プロセス空気の一部は、第1の凝縮工程の後、第1の分岐において副流に分岐される。更に、プロセス空気の一部は、第1の凝縮工程の後、第1の更なる処理工程において更に処理される。その際、第1の更なる処理工程は、熱供給、及び/又は減圧、及び/又は主流の外部への空気の第2の供給を含む。第1の更なる処理工程の後、プロセス空気の一部は、好ましくは補助配管によって第2の分岐において副流に分岐され、副流内のプロセス空気に供給される。
【0012】
「Ein(1つの)」及び「eine(1つの)」は、本開示の範囲において、明示的に別段の記載がない限り、不定冠詞として読み取られ、そのため、常に「少なくとも1つ」とも読み取られ得る。そのため、複数の第1の凝縮工程の後に複数の第2の凝縮工程を設けることもできる。第1又は第2の凝縮工程は、それぞれの場合において、多段の第1又は多段の第2の凝縮工程として解することもできる。特に、第1の又は第2の凝縮工程は、複数の凝縮過程を含み得る(下記参照)。本方法における「下流」或いは「上流」のような方向指示は、一般に流れの方向を指す。例えば、「第1の凝縮工程の後」或いは「第2の凝縮工程の前」という表現は、「第1の凝縮工程の下流」或いは「第2の凝縮工程の上流」と解すべきである。冷却回路は、特に熱源とヒートシンクとを有し、それによって熱エネルギを熱源からヒートシンクに移送することができる。特に、ヒートシンクは、環境、或いは技術的装置、例えば熱交換器、或いは加熱装置を含み得る。
【0013】
本発明による方法は、好ましくは、例えば、リチウムイオン電池の製造のための、特に二次電池又は燃料電池用の電極、セパレータ、及び/又は膜の製造のためのコーティングの乾燥の際に、工業プロセスに関与したプロセス空気の処理に適している。本発明による方法の際に、プロセス空気の少なくとも一部は、第1の凝縮工程のための主流に供給される。好ましくは、主流は、方法におけるプロセス空気の連続的な流動流を表す。好ましくは、主流は、工業プロセスから第1の凝縮工程に導かれる流れ、すなわち好ましくは第1の凝縮工程に導かれるプロセス空気の大部分を含む。特に、主流の空間的範囲には、第1の凝縮工程が行われる流動空間も含まれる。好ましくは、プロセス空気は、第1の凝縮工程のプロセス中に完全に処理される。
【0014】
更なる一実施形態においては、主流の空間的範囲は、第2の凝縮工程が行われる流動空間も含み得る。この場合、主流は、最初に第1の凝縮工程を通過し、次いで第2の凝縮工程を通過する。
【0015】
しかしながら、第2の凝縮工程は、主流の外部に置かれるのが特に好ましく、そのため、主流は、第1の凝縮工程を通過するだけで、第2の凝縮工程は通過しない。
【0016】
プロセス空気は混合ガスであり得、その際、少なくとも一つの成分が凝縮可能である。特に、このような成分は溶剤を含む。溶剤成分は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、リン酸トリエチル(TEP)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、又は水、アセトン、或いはアルコールであり得る。第1及び第2の凝縮工程の際に、好ましくは、プロセス空気を、熱交換器を通して流し、その際、冷却し、それによって、熱をプロセス空気から熱交換器に放出できる。プロセス空気の冷却の際に、空気中にエアロゾルが発生し、このエアロゾルは、その後、液滴の捕捉のために内部構造を通過する。それによって、溶剤及び/又は水は、凝縮し、捕捉され、次いで分離される。
【0017】
プロセス空気から分離された第1の凝縮液は、分離後に第1の回収プロセスに供給される。第1の回収プロセスへの供給は、回収に役立ついくつかの中間工程を含むこともできる。このような中間工程は、第1の凝縮工程において凝縮液を捕えること、或いは、配管を介して凝縮工程が実施される装置外の容器に供給することが含まれる。第1の凝縮液は、ポンプを使って直接回収プロセスに送ることもできる。それには、凝縮液の洗浄、再活性化、浄化、或いは温調のような更なる中間工程も含まれる。第1の回収プロセスへの供給の際に、凝縮液は、濾過によって汚れを除去し、次いで、化学的に活性化し、所定の温度にすることができる。第1の回収プロセスは、好ましくは、分離直後に開始することができ、凝縮液を例えば回収容器に排出することのみを含み、その後、別の後続プロセスを行うことができる。そのため、第1の凝縮液は、この場合、第1の回収プロセスの際にさらに浄化されず、凝縮後にプロセス空気から除去されるだけである。
【0018】
第2の凝縮液は、好ましくは、第1の凝縮液と類似してプロセス空気から分離され、第2の回収プロセスに供給される。第2の凝縮液の第2の回収プロセスへの供給は、好ましくは、第1の凝縮液と同様に、その回収に役立ついくつかの中間工程を含むことができる。
【0019】
第2の回収プロセスは、第1の回収プロセスと類似して、分離後の第2の凝縮液の除去のみを含むこともでき、そのため、この場合も更に浄化されない。
【0020】
プロセス空気は、第2の凝縮工程の際に、第1の凝縮工程の際よりも低温になる。そのため、第2の凝縮工程におけるプロセス空気の温度は、第1の凝縮工程よりも平均的に低くすることができる。プロセス空気は、第1の凝縮工程の際の最低温度が約25℃、20℃、15℃又はそれ以下となる。それに対して、第2の凝縮工程の際には、プロセス空気は、-5℃以下の最低温度に達することができる。
【0021】
凝縮工程は、プロセス空気が再び加熱される前に、特に複数の冷却段階、すなわち、例えば直列に接続された複数の冷却要素又は熱交換器を含み得る。凝縮段階におけるプロセス空気の多段階冷却の場合、到達した最低温度は、すべての冷却段階にわたる最低温度とみなすべきである。第1及び第2の凝縮工程の際に到達する異なる最低温度によって、プロセス空気の、異なる露点を有する異なる溶剤成分を、第1及び第2の凝縮工程において、それぞれ別々に分離することができる。好ましくは、凝縮工程はそれぞれの凝縮器において行われ、特に、凝縮工程のすべての冷却段階はそれぞれの凝縮器において行うことができる。好ましくは、凝縮工程は少なくとも2つの冷却段階、特に好ましくは3つの冷却段階を有する。
【0022】
好ましい一形態においては、凝縮工程の際に、プロセス空気の冷却のための冷却段階において冷却剤が使用され、その際、冷却段階における熱移動において、熱がプロセス空気から取り出され、冷却剤に移送される。冷却剤は、冷却流体、特に冷却液体、例えば水とすることができる。冷却剤は、プロセス空気から空間的に分離することができ、例えば冷却剤は、プロセス空気から空間的に分離された冷却回路内を循環することができる。凝縮工程における複数の冷却段階は、それぞれの冷却剤を有すること、例えば第1の冷却段階における第1の冷却剤、及び第2の冷却段階における第2の冷却剤を有することが特に好ましい。オプションとして、冷却段階はそれぞれ個別の冷却回路を有し得る。冷却の際にプロセス空気から取り出された熱は、更なる処理工程においてプロセス空気に加えることができる。そのため、熱移動は、凝縮工程と更なる処理工程との間において冷却剤によって行われることができ、そのため、プロセス空気からの熱エネルギを、凝縮工程から更なる処理工程へ移送することができる。冷却剤、特に冷却液は、そのため、冷却段階において高い冷却能力を確保することができる。特に、空気-水熱交換器における冷却能力は、空気-空気熱交換器よりも高くすることができる。好ましくは、プロセス空気の冷却のために、第1の冷却段階において既に冷却剤が使用され、その際、第1の冷却段階においてプロセス空気から取り出された熱は、更なる処理工程においてプロセス空気に加えられる。熱移動は、単に冷却剤のポンピング(Umpumpen)によって実現できる。オプションとして、熱移動はヒートポンプによっても実現することができる。
【0023】
代替的又は付加的には、分離は、凝縮工程の意味においても考えられ、その際、例えば凝縮工程の前又は間に、プロセス空気の圧力を、成分の分圧も上昇させるために、圧縮機を使用した圧縮プロセスによって上昇させ得る。それによって、プロセス空気の単位体積当たりの分離率が高くできる。好ましくは、その際、プロセス空気は、凝縮工程の後、より低い圧力レベルまで再び緩められ、特に圧力レベルは、流入するプロセス空気の圧力レベルに対応する値まで低減される。
【0024】
体積流量は、当然ながら質量流量も意味し、その際、密度は可変とすることができる。しかしながら、体積流量の記述及び比較のために、密度は一定とすることは、体積流量を述べるに好ましい。この場合、体積流量は質量流量に比例する。凝縮工程の際に、一般に凝縮液が生じる可能性が見込まれる。
【0025】
好ましい実施形態は、従属請求項及び図の説明において見出すことができ、その際、特徴の説明において、装置の局面と、方法或いは使用の局面との間において、常に詳細に区別されるわけではない。
【0026】
好ましい一実施形態において、少なくとも1つの溶剤が、本発明による方法を用いて回収され、その際、第1の凝縮液は第1の溶剤を含み、第2の凝縮液は第2の溶剤を含み、特に第1及び/又は第2の溶剤は炭化水素化合物を有する。特に、第1の溶剤と第2の溶剤とは、同一であってもよく、また、それぞれの凝縮液中の濃度或いは純度が異なっていてもよい。第1の溶剤と第2の溶剤の両方は、特にリチウムイオン電池の製造のための工業プロセスにおいて使用され、乾燥プロセスを介してプロセス空気に移される。溶剤は、本発明による方法を用いて、少なくとも部分的にプロセス空気から再び分離される。
【0027】
そのため、工業プロセスに関与するプロセス空気は、好ましくは、特にプロセス温度においてガス状であり、好ましくは少なくとも1つの炭化水素化合物を含む、有機溶剤のキャリアである。ガス状有機成分を有する溶剤は、揮発性有機化合物を有する溶剤(VOC溶剤)としても知られており、特にNMP、TEP、EAA、又はDMAcなどを含む。
【0028】
溶剤を回収する方法も考えられ、その際、第1の凝縮液は第1の溶剤を含み、第2の凝縮液は第2の溶剤を含み、この場合、第1及び/又は第2の溶剤は無機溶剤を含む。無機溶剤は、有機バインダを溶解して、塗料又はワニスを形成するのに適している。特に、無機溶剤は水も含み得る。
【0029】
更なる好ましい一実施形態において、本発明による方法は、主流及び副流内に体積流量を有するものであり、第1の凝縮工程の後のプロセス空気の少なくとも一部を、分岐において、第2の凝縮工程における処理のために副流に分岐し、副流内に分岐された体積流量は、特に、分岐の後に主流内に存在する体積流量よりも小さい。好ましくは、プロセス空気は、第1の凝縮工程の後、少なくとも2つの流れ、例えば主流と副流に分けられる。複数の副流に分岐する場合においても、すべての副流を合計した分岐体積流量は全体的に、好ましくは、分岐の下流の主流に存在する体積流量よりも小さい。そのため、プロセス空気のより小さな部分のみが、主流から副流に分岐され、次いで、第2の凝縮工程によって処理される。
【0030】
プロセス空気のごく一部のみを第2の凝縮工程において処理することは、第2の凝縮工程ンにおいてプロセス空気の大部分を凝縮するために必要なエネルギ消費よりも、第2の凝縮工程において冷却のために必要なエネルギが少なくて済むという利点がある。このようなプロセス操作は、経済的基準に従って、第2の凝縮工程において凝縮させる空気量をより柔軟に制御することを可能にする。
【0031】
本発明の更に好ましい一実施形態において、プロセス空気の少なくとも一部を、第1の凝縮工程の後に第1の更なる処理工程において更に処理し、第1の更なる処理工程は、熱供給、及び/又は、減圧、及び/又は、主流の外部の空気の、特に環境から及び/又は副流からの空気の第2の供給を含み、第1の更なる処理工程後のプロセス空気の少なくとも一部を、1つの工業プロセスに戻す。特に好ましくは、第1の更なる処理は、分岐後の主流において行われる。好ましくは、そのため、主流にあるプロセス空気は、第1の凝縮工程の後、第1の更なる処理工程において更に処理される。したがって、主流に関して、分岐は、第1の凝縮工程の下流及び第1の更なる処理工程の上流に位置する。
【0032】
第1の更なる処理工程は、熱供給、減圧、及び、環境空気の第2の供給、或いは主流の外部からのプロセス空気、例えば副流からのプロセス空気の第2の供給を含み得る。副流の上流にあるプロセス空気の一部が、第1及び第2の凝縮工程の後、第1の更なる処理工程において更に処理されることも考えられる。そのため、副流内のプロセス空気は、第1の更なる処理工程において更に処理される前に、第2の凝縮工程を通過させることができる。しかしながら、プロセス空気は、第1の凝縮工程の後、第1の更なる処理工程において更に処理されることが好ましい。そのため、主流は第1の凝縮工程にのみ通過させることができ、第2の凝縮工程には通過させないことができる。そのために、主流は好ましくは第1の凝縮工程の後に分割され、その際、主流は戻され、副流は第2の凝縮工程に供給される。オプションとして、第1の更なる処理工程への供給は、主流及び副流からすることが考えられる。そのため、プロセス空気は、第1の更なる処理工程において、主流と副流とから結合され、更に処理され得る。
【0033】
第1の更なる処理工程は、記載された更なる処理手段の任意の組合せを含み得る。好ましくは、プロセス空気を最初に加熱することができ、その際、プロセス空気が再び加熱される前に、続いて環境空気をプロセス空気に供給することができる。また、第1の更なる処理工程において、プロセス空気の膨張、次いでプロセス空気の加熱、及び、プロセス空気が再び加熱される前に(自然)環境から空気を供給することも考えられる。代替的な一実施形態においては、副流及び(自然)環境からの空気が、第1の更なる処理工程においてプロセス空気に加えられる。更なる一実施形態においては、プロセス空気は副流からのみ供給される、詳細は下記の実施例を参照されたい。第1の更なる処理工程におけるプロセス空気の更なる処理によって、工業プロセスからの溶剤に対する、プロセス空気の吸収能力を増大させることができる。
【0034】
工業プロセスにおける乾燥能力が増加した場合、本発明による方法は、第1の更なる処理工程への環境空気の供給を増加させることによって、短期的に搬送能力を全体的に増加させることもできる。
【0035】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、第1の更なる処理工程は、分岐の後に行われる。好ましくは、分岐は第1の凝縮工程の後に行われ、それは、プロセス空気のより小さな部分が分岐され、副流として第2の凝縮工程に供給される前である。そのため、分岐は、主流に関して、第1の凝縮工程と第1の更なる処理工程の間において行われ、すなわち、第1の更なる処理工程の上流に位置される。従って、第2の凝縮工程は副流において行うことができる。分岐は、主流が第1の更なる処理工程において加熱される前に行われることが特に好ましい。
【0036】
分岐後に主流に残るプロセス空気の一部は、分岐後に第1の更なる処理工程において更に処理することができる。このようなプロセス処理は、少なくとも3つの重要な利点を互いに結合している。第1に、副流として分岐されたプロセス空気は、第2の凝縮工程によってプロセス空気が更に低温になる前に、第1の凝縮工程の後において既に冷却されており、例えば第1の更なる処理工程の後よりも低温である。第2に、プロセス空気のより少ない部分のみが、主流から分流され、第2の凝縮工程において処理される。そのため、分岐されたプロセス空気の冷却される総体積流量は、主流よりも小さくなる。第3に、主流中のプロセス空気は、ただ1回の凝縮工程の後に、すなわち、第1の凝縮工程の後に、第1の更なる処理工程によって、例えば工業プロセスへの戻しのために、再加熱される。言い換えれば、これらの少なくとも3つの利点の組み合わせは、著しく効率的な全体プロセスをもたらす。なぜなら、より少ない体積の流れのみがより低い温度において凝縮されるが、プロセス空気の残留体積は、より少なく冷却され、それによって、工業プロセスへの戻しのためにそれほど加熱される必要がないためである。
【0037】
本発明の更に好ましい一実施形態において、プロセス空気の少なくとも一部を、第2の凝縮工程の後に第2の更なる処理工程において更に処理し、この第2の更なる処理工程は、熱供給、及び/又は減圧、及び/又は濾過、及び/又は第3の凝縮工程、及び/又は吸着を含む。好ましくは、第2の凝縮工程において処理されたプロセス空気は、次いで、第2の更なる処理工程において加熱され、プロセス空気を溶剤から更に浄化するために、フィルタ、例えば活性炭フィルタに通される。使用されるフィルタは、そこを流れるプロセス空気が、特に環境中への排出のための法的排出制限に適合するように選択され得る。代替的な一実施形態においては、第2の更なる処理工程は、第3の凝縮工程を含むことができる。第3の凝縮工程は、第2の凝縮工程の場合よりも更に低い温度に達することができる。吸着によってプロセス空気から更に溶剤成分を除去するために、第2の更なる処理工程において濃縮器を使用することも考えられる。第2の更なる処理を、必要に応じて、プロセス空気中のそれぞれの溶剤成分によりよく適合させるために、第2の更なる処理工程において、第3の凝縮工程は、濾過、或いは吸着と組み合わせることもできる。
【0038】
副流は、第2の凝縮工程を通過し、次いで、第2の更なる処理工程によって更に処理されることが特に好ましい。しかしながら、通常、プロセス空気の少なくとも一部は、第2の更なる処理工程の後、排気として環境中に放出することができる。
【0039】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、プロセス空気の一部は、第2の更なる処理工程の後に工業プロセスに戻される。プロセス空気は、第2の更なる処理工程の後、プロセス空気を更に処理する更なるプロセスに利用可能にすることができる。特に、プロセス空気は、プロセス空気を工業プロセスにおいて使用するために予め調整することによって、例えば、第1の更なる処理工程において更に処理することによって、工業プロセスに間接的に戻すことができる。
【0040】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、工業プロセスからのプロセス空気の少なくとも一部を、主流に供給し、且つ、その際、濾過する。工業プロセスの際に、工業プロセスからのプロセス空気の導入の際に共に輸送される粒子が生成し得る。そのような粒子が第1の凝縮工程に流入するのを防ぐために、プロセス空気の主流への導入の際に、粒子を濾過するために、フィルタを使用することができる。基本的に、「濾過」という用語は、粒子の任意のその他の分離も意味すると解される。そのため、静電分離器及び/又はサイクロンも考えられる。したがって、フィルタは、好ましくは、第1の凝縮工程の上流に配置される。特に、フィルタは、フィルタの圧力損失を最小にするフィルタシステムであり得る。使用されるフィルタは、好ましくは粒子サイズに適合され、それによって、異なる工業プロセスに対して異なるフィルタタイプを使用できる。
【0041】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、工業プロセスは乾燥プロセスを含み、特に工業プロセスは、リチウムイオン電池の製造プロセスの一部である。特に、工業プロセスは、例えば電極及び金属箔のコーティングのためのコーティングプロセスを含み得る。工業プロセスは、膜の製造も含み得る。しかしながら、工業プロセスは、木材製品の製造の製造プロセスの一部でもあり得る。その際、使用される溶剤は乾燥される。
【0042】
本発明の更に好ましい一実施形態において、本発明による方法は、工業プロセスへの戻しのために、第1の回収プロセスの際に第1の凝縮液を回収すること、及び/又は、第2の回収プロセスの際に第2の凝縮液を回収することを含む。第1又は第2の回収プロセスの際に、好ましくは、第1或いは第2の分離された凝縮液が回収される。凝縮液の回収は、凝縮液の溶剤成分が工業プロセスに戻される前に、中間貯蔵とすることもできる。工業プロセスへの戻し及びこの工業プロセスにおける再利用は、回収された凝縮液に所定の技術的要求を課す可能性があり、そのため回収された凝縮液は、更なるプロセス工程において浄化される必要がある。したがって、工業プロセスへの戻しは、必要に応じて、工業プロセスにおいて使用するために必要な特性、例えば純度レベルを達成するためのいくつかの処理工程を含む。
【0043】
プロセス空気から分離された凝縮液は、水性溶剤混合物を含み得る。工業プロセスへの戻しのための凝縮液の処理は、特に、凝縮液に含まれる溶剤成分を分離するため、及び/又はそれぞれの溶剤成分の濃度を高めるための蒸留を含むことができる。従って、第2の凝縮液を分離及び/又は濃縮するための蒸留温度は、第1の凝縮液の蒸留温度とは異なることがある。
【0044】
また、第1の回収プロセスにおける第1の凝縮液のみを工業プロセスへの戻しのために回収し、第2の回収プロセスにおける第2の凝縮液を回収しないことも考えられる。所定の状況下においては、工業プロセスへの戻しのために第2の凝縮液を再浄化することは経済的に実行可能でない場合があり、そのため、第2の凝縮液の回収及び戻しの必要のない場合がある。
【0045】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、本発明による方法は、第1及び/又は第2及び/又は第3の凝縮工程における熱回収を含む。好ましくは、それぞれの凝縮工程において取り出された熱は、例えば熱交換器或いはヒートポンプによって回収される。好ましくは、プロセスにおいて加熱の際に回収された熱は、特に好ましくは凝縮器内における、プロセス空気に再び供給され、それによって、損失を避けるために、熱輸送経路をできるだけ短く保つことができる。回収された熱を工業プロセスにおいて利用すること、すなわち、それぞれの凝縮工程から回収された熱を工業プロセスに加えることも考えられる。
【0046】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、第2の凝縮工程内において除氷を行い、その際、第2の凝縮工程へのプロセス空気の少なくとも一部の供給を一時的に中断し、及び/又は、プロセス空気の少なくとも一部を第2の凝縮工程を逸れて導き、及び/又は、第2の凝縮工程へのプロセス空気の供給は分割可能であり、除氷を部分流において行う。特に、プロセス空気に含まれる水蒸気は、低温のために第2の凝縮工程において固体粒子(氷)として分離し、例えば熱交換器の冷却フィン上に堆積することが考えられる。冷却フィン又は伝熱面への氷の付着によって、熱伝達が一般に損なわれる。好ましくは、除氷の際に、伝熱面から氷を除去し、それによって、熱交換器の機能を完全に回復させ得る。除氷は、氷を解凍するために熱を加えることによって行い得る。その場合、熱供給は、例えば、流体加熱回路(例えば、追加の加熱熱交換器によって、又は冷却媒体回路として機能する、凝縮器の熱交換器の作動流体回路の、熱せられた除氷媒体の少なくとも一時的な供給への切り替えによって)、及び/又は電気加熱要素によって行い得る。熱の添加に加えて、又は代替として、除氷流体の添加による化学的除氷を行うことも考えられる。除氷液の添加は、例えば伝熱面への噴霧によって行い得る。特に、第2の凝縮液は、除氷のために除氷液として使用可能な溶剤を含み得る。
【0047】
プロセス空気の一部は、除氷の際に第2の凝縮工程を逸れて導き得る。そのため、プロセス空気は、第2の凝縮工程に入る前に迂回され、例えば、第2の凝縮工程の下流の流路に供給される。特に、第2の凝縮工程へのプロセス空気の供給は、除氷中に一時的に中断し、除氷の間だけ第2の凝縮工程を通過するようにすることができる。そのため、除氷中も連続的な流れを確保することができる。
【0048】
第2の凝縮工程へのプロセス空気の供給は、除氷の際に、第2の凝縮工程の前に、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも2つの交替に又は交互にプロセス空気を供給する部分流に分割することもできる。1つの部分流の体積流量は、特に副流の体積流量に対応することができ、そのため、副流は1つの部分流において、完全に通過可能である。第2の凝縮工程の前のプロセス空気の分割によって、例えば、1つの部分流を除氷し、一方、別の部分流を第2の凝縮工程において処理することができる。そのため、部分流は並行して流すことができ、また、除氷と第2の凝縮工程の両方を並行して行うことができ、それによって、除氷中に少なくとも一つの部分流において、第2の凝縮液の分離を引き続き行うことができる。この解決策によって、連続的な流れを確保することもできる。
【0049】
特に、流れ空間の一部領域を除氷することによって、第2の凝縮工程と同時に除氷を行うこともできる。このような実施形態においては、除氷は局所的に、すなわち、所々において行われ、それによって、特に流れ空間内の他の箇所における凝縮を継続させることができる。
【0050】
除氷は、物理的な除氷、すなわち固相から液相への実際の状態変化がまだ生じていなくても、除氷プロセスが少なくとも開始したと解される。また、除氷は、物理的な除氷の後における、例えば水の除去を可能にするための、所定の期間又は時間間隔も含む。
【0051】
また、予測除氷プロセスを有する除氷も考えられ、この除氷においては、関連する作動パラメータが取得され、監視される。それによって、除氷剤を時間的に除氷すべき表面に適用することができ、氷の堆積過程を抑制することができ、それによって、除氷のための第2の凝縮工程の時間的中断を少なくとも減少させることができる、又は、全く防止することができる。
【0052】
本発明は、更に、工業プロセスからのプロセス空気を処理するための装置、好ましく上記の方法を実施するための装置に関する。
【0053】
本発明は、更に、工業プロセスからのプロセス空気を凝縮液の回収のために処理するための有利な装置を提供するという課題に基づいている。
【0054】
本発明によれば、この課題は、工業プロセスからのプロセス空気を処理するための装置、特に、上記の方法を実施するための装置によって解決され、その装置は、主流と、第1の冷却要素と第1の分離器とを有する第1の凝縮器と、を備え、プロセス空気は、第1の凝縮器内において第1の冷却要素によって冷却され、次いで、第1の分離器を通過し、第1の凝縮液は、プロセス空気から分離され、第1の回収プロセスに供給される。本発明によれば、更に、第2の冷却要素と第2の分離器とを有し、第1の凝縮器の下流に接続された第2の凝縮器が設けられ、プロセス空気は、第2の凝縮器内において第2の冷却要素によって冷却され、次いで第2の分離器を通過し、第2の凝縮液は、プロセス空気から分離され、第2の回収プロセスに供給される。
【0055】
好ましくは、工業プロセスからの主流は、第1の凝縮器に供給される。その際、プロセス空気は、好ましくは、第1の冷却要素を通過する。特に、第1の冷却要素は、冷却フィンを有する熱交換器、特にヒートポンプ或いは冷却回路の一部とすることができ、それによって、熱は、プロセス空気から取り出され、冷却媒体又は熱交換流体に伝達される。冷却によって、凝縮液が伝熱面、例えば冷却フィン上に堆積することがあり、それによって第1の凝縮液を分離することができる。分離器は、好ましくは第1の冷却要素の下流に配置され、その分離器を通してプロセス空気も通過可能である。冷却によってエアロゾルが発生することもあり、このエアロゾルも分離器を通過可能である。それによって、微細な液滴の形態の凝縮液を分離器によって遮断することができる。特に、分離器は、例えば金網を有する衝撃分離器又はデミスタとすることができる。
【0056】
本発明によれば、第2の凝縮器は、第1の凝縮器の下流に接続される。そのためこの場合、プロセス空気は、そのプロセス空気が第2の凝縮器において処理される前に、第1の凝縮器を通過することが好ましい。特に、この装置においては、複数の第2の凝縮器を第1の凝縮器の下流に配置することができ、そのため、第2の凝縮器を互いに並列に配置し、同時に第1の凝縮器と直列に配置することができる。
【0057】
第1の凝縮器と同様に、第2の凝縮器は第2の冷却要素と第2の分離器とを有し、第2の凝縮器は、第2の凝縮工程において到達する最低温度が第1の凝縮工程において到達する最低温度よりも低くなるように、プロセス空気がその中において冷却されるように、設計される。特に、第1の凝縮器とは化学的に異なり、第1凝縮器の冷却剤よりも低い作動温度を有する冷却剤又は熱交換器流体を第2凝縮器に使用することができる。
【0058】
特に好ましくは、第1の凝縮器及び第2の凝縮器はそれぞれ多段冷却要素を有し、この多段冷却要素には、複数のヒートシンク、特に熱交換器を相前後して配置することができ、それらを通して主流は通過可能である。好ましくは、プロセス空気は、多段冷却要素によって目標温度まで連続的に冷却される。分離器は、好ましくは、多段冷却要素の下流に配置することができる。オプションとして、分離器を2つのヒートシンクの間に配置することもできる。第1或いは第2の凝縮液を回収するために、凝縮器は、回収容器と、分離された第1又は第2の凝縮液をそれぞれの回収プロセスに送り出すための凝縮液ポンプとを有し得る。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態において、装置は、迂回装置を備え、プロセス空気の少なくとも一部が分岐において第1の分離器の下流において副流に分岐され、迂回装置は、好ましくは、プロセス空気の少なくとも一部を導入するための第1の制御ユニット及び/又は第1の弁及び/又はファンを有する。
【0060】
好ましくは、プロセス空気の一部は、第1の凝縮工程の後、主流から分岐において副流に分岐される。特に、分岐は、例えば、プロセス空気が主流から第2の流路に逃げることができるように、第1の流路の壁面に貫通部(Durchfuehrung)或いは貫通孔を配置することによって、技術的に特に簡単に実現することができる。しかしながら、好ましくは、プロセス空気の一部は、迂回装置の第1の弁及びファンによって、主流から副流に導かれ分岐される。その際、第1の制御ユニットは、副流へのプロセス空気の導入を制御することができ、そのため、副流に分岐される体積流量を調整することができる。特に、分岐は主流のタッピング(Abzapfen)と解することができる。迂回装置、特に第1の弁は、第1の凝縮器内に配置することができる。特に好ましくは、第1の弁は第1の分離器の下流に配置され、それによって、第1の凝縮器内のプロセス空気を分離器の下流において副流に分岐させることができる。特に、第1の弁は、所定の運転状態において分岐が望まれない場合、副流へのプロセス空気の供給を減少させる、又は完全に停止させることもできる。
【0061】
本発明の更に好ましい一実施形態において、第1の冷却要素は、特に、第1の凝縮工程の際の熱回収のための第1の熱交換器を含み、プロセス空気の少なくとも一部は、第1の凝縮工程の後に第1の凝縮器において更に処理され、第1の凝縮器は、プロセス空気の加熱のための第1の加熱要素を有し、第1の凝縮器の下流に、特に、第1の空気加熱器を有する。
【0062】
好ましくは、プロセス空気の一部は、第1の凝縮工程の後、すなわち、好ましくは、第1の冷却要素及び第1の分離器の下流において、第1の凝縮器において更に処理される。特に好ましくは、第1の冷却要素は第1の熱交換器を含む。また、好ましくは、第1の加熱要素は、第1の熱交換器に接続された熱交換器である。第1の凝縮器における更なる処理の際に、好ましくは、第1の熱交換器においてプロセス空気から取り出された熱は、ヒートポンプ或いは冷却回路を介してプロセス空気を再加熱するために使用される。冷却回路は、好ましくは、冷却剤、特に冷却液体、例えば水を有し、その際、冷却剤は、そこにおいてプロセス空気を加熱するために、冷却要素から加熱要素へ熱を移送する。
【0063】
特に好ましくは、第1の凝縮器は、それぞれの冷却要素を有する少なくとも2つの冷却段を有し、その際、冷却要素はそれぞれの冷却剤を有する。好ましくは、それぞれの冷却段は、冷却剤を有するそれぞれの冷却回路を有し、そのため、異なる冷却段の冷却能力は個々に調整できる。
【0064】
特に好ましくは、各冷却段は、特に1つの凝縮工程に複数の冷却段がある場合に、それぞれの冷却剤を有し、すなわち、第1の冷却段は第1の冷却剤を有し、第2の冷却段は第2の冷却剤を有する。オプションとして、冷却段はそれぞれ個別の冷却回路を有することもできる。冷却の際にプロセス空気から取り出された熱は、その後、更なる処理工程においてプロセス空気に加えることができる。そのため、熱移動を、凝縮工程と更なる処理工程との間において冷却剤によって行うことができ、それによって、プロセス空気からの熱エネルギは、凝縮工程から更なる処理工程に移送される。そのため、冷却剤、特に冷却液は、冷却段において高い冷却能力を確保することができる。特に、空気-水熱交換器における冷却能力は、空気-空気熱交換器よりも高くすることができる。好ましくは、プロセス空気の冷却のために、第1の冷却段において既に冷却剤が使用され、その際、第1の冷却段においてプロセス空気から取り出された熱は、更なる処理工程においてプロセス空気に加えられる。熱移動は、単に冷却剤のポンピングによって実現できる。オプションとして、熱移動はヒートポンプによって実現することもできる。
【0065】
オプションとして、しかしながら特に好ましくは、プロセス空気は、分岐の下流の第1の凝縮器において、主流内において更に処理される。第1の凝縮工程の際に熱が回収されるかどうかに依存せず、外部からの加熱可能な流れ(Strom)によって作動する加熱要素を、第1の凝縮器内の第1の加熱要素として配置することもオプションとして可能である。オプションとして、第1の熱交換器は、回収された熱を第1の凝縮器の外部のプロセス空気に戻すことができる。特に、回収された熱は、オプションとして、工業プロセスに供給することができる。
【0066】
特に好ましくは、本装置は、第1の凝縮器の下流に配置される、好ましくは、主流の外部の空気を供給するための空気入口の下流に配置される第1の空気加熱器を有する。好ましくは、第1の空気加熱器は、工業プロセス用のプロセス空気の乾燥特性を改善することができ、例えば、プロセス空気を更に加熱し、プロセス空気の相対湿度を低下させることができる。第1の凝縮工程の下流の第1の空気加熱器の好ましい配置は、第1の空気加熱器がプロセス空気を加熱する前に、第1の凝縮工程の際にプロセス空気から溶剤のかなりの割合が既に凝縮され得るという利点を有する。
【0067】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、プロセス空気の少なくとも一部は、第1の加熱要素の上流において、分岐の際に第2の凝縮器への副流に導かれる。特に、分岐は、プロセス空気が第1の加熱要素によって再加熱される前に、第1の凝縮器内において行われる。好ましくは、分岐は、第1の分離器と第1の加熱要素との間において第1の凝縮器内に配置することができ、そのため、プロセス空気の一部は、第1の冷却要素によって既に冷却され、第1の凝縮液が第1の分離器によって分離された後に、第1の加熱要素に到達する前に、第1の凝縮器内において分岐される。
【0068】
本発明の更に好ましい一実施形態において、第2の冷却要素は、特に、第2の凝縮工程の際の熱回収のための第2の熱交換器を有しており、プロセス空気の少なくとも一部は、第2の凝縮工程の後に第2の凝縮器において更に処理され、その第2の凝縮器は、プロセス空気の加熱のための第2の加熱要素を有している。
【0069】
好ましくは、プロセス空気の一部は、第2の凝縮工程の後、第2の凝縮器、すなわち好ましくは第2の冷却要素及び第2の分離器の下流において更に処理される。特に好ましくは、第2の冷却要素は第2の熱交換器を含む。また、好ましくは、第2の加熱要素は、第2の熱交換器に接続された熱交換器である。第2の凝縮器における更なる処理の際に、特に好ましくは、第2の熱交換器においてプロセス空気から取り出された熱は、第2の加熱要素によってヒートポンプを介してプロセス空気を再加熱する。特に、ヒートポンプの熱交換器は、第2の凝縮器の内部又は外部に配置することができる。第2の凝縮器内に配置される第2の加熱要素は、電流駆動の加熱要素とすることもできる。オプションとして、第2の熱交換器は、回収された熱を第2の凝縮器の外部のプロセス空気に戻すことができる。特に、回収された熱は、オプションとして、工業プロセスに供給することができる。
【0070】
好ましくは、第2の凝縮器内のプロセス空気は、プロセス空気が第2の更なる処理装置における更なる処理に適合するように調整される。例えば、プロセス空気が所定の温度及び/又は所定の圧力に調整されることが必要な場合があり、それによって、第2の更なる処理装置において行われるプロセス、例えば吸着が可能な限り効果的に実行できる。
【0071】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、第2の凝縮工程の後に、第2の更なる処理装置が配置されており、プロセス空気が、第2の更なる処理装置によって更に処理され、この第2の更なる処理装置は、フィルタ、及び/又は第3の凝縮器、及び/又は濃縮器を有する。
【0072】
特に好ましくは、第2の更なる処理装置は、活性炭フィルタを有しており、この活性炭フィルタは、環境に排出する際に所定の法的排出制限値に適合するために、例えば、プロセス空気中にまだ含まれている更なる溶剤成分を除去することができる。
【0073】
しかしながら、特に、第2の更なる処理装置は、プロセス空気を第3の凝縮工程において処理するために、オプションとして、第3の凝縮器を有し得る。この場合、第3の凝縮器は、第2の凝縮器と直列に接続することができ、そのため、プロセス空気は、好ましくは、プロセス空気が第3の凝縮器において処理される前に、常に第2の凝縮器を通過する。複数の第3の凝縮器を並列に配置することも考えられる。
【0074】
オプションとして、第2の更なる処理装置は、吸着によってプロセス空気から溶剤成分を除去することができる濃縮器を有する。
【0075】
第2の更なる処理装置は、更なる一実施形態において、フィルタ、凝縮器、或いは濃縮器の任意の組合せを有することができる。例えば、第2の更なる処理装置は、異なる溶剤成分の除去のために使用され、フィルタと凝縮器或いは濃縮器との組み合わせが有用であることが考えられる。
【0076】
本発明の更に好ましい一実施態様において、本発明による装置は、第1の凝縮液回収器と、第2の凝縮液回収器とを備え、第1の凝縮液は、工業プロセスへの戻しのために第1の回収プロセスの際に回収され、第2の凝縮液は、工業プロセスへの戻しのために第2の回収プロセスの際に回収される。
【0077】
第1或いは第2の凝縮液回収器は、それぞれ、中間貯蔵タンク、リザーバ、又は容器とすることができ、それらは、それぞれの凝縮器内に配置すること、又は、それぞれの凝縮器の外部に配置することもできる。それぞれの凝縮液回収器は、配管と異なるのは、凝縮液回収器が輸送ではなく回収を主目的に有する点にある。
【0078】
特に、それぞれの凝縮液回収器は、工業プロセスへの戻しのためにそれぞれの凝縮液を再浄化する装置の一部とすることができる。特に、このような装置は、工業プロセス用に凝縮液の各溶剤成分を濃縮するための蒸留に使用することができる。
【0079】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、第2の凝縮器は除氷装置を有する。本発明によれば、第2の凝縮器内のプロセス空気は、氷の堆積物が第2の冷却要素の冷却フィンに、又は第2の分離器内に生じ得る温度まで冷却され得る。氷の堆積物は、冷却フィンの熱伝導性、或いは第2の分離器の能力を著しく損なう可能性があるため、望ましくない。除氷装置は、所定の作動間隔後に、第2の凝縮器から氷の堆積物を確実に除去することができる。特に、除氷装置は、好ましくはヒータを含み、そのヒータは、除氷される部品を直接加熱可能である、又は堆積した氷を部品から溶かすことができるように、プロセス空気を間接的に加熱することができる。オプションとして、除氷剤が除氷される部品に提供され、それによって、対応する表面から氷が除去される。特に、持続的な凝縮の間に、第2の凝縮器の一部において、すなわち、局所的或いは部分的に除氷を行うことができる。関連する作動パラメータが取得及び監視される予測除氷過程を有する除氷装置も考えられ、それによって、除氷すべき表面に除氷剤を適時に塗布することができ、その結果、第2の凝縮器の機能を常に確保するために、氷の堆積を最初から抑制することができる。オプションとして、除氷装置は、除氷される部品の加熱と除氷剤の使用を同時に行うためのヒータを有することができる。このような除氷装置の組み合わせは、除氷を有利に加速することができる。
【0080】
上記したように、第2の凝縮工程は、対応する並列に配置された凝縮器を有する、少なくとも2つの並列な部分流を含み得る。そのため、1つの凝縮器における除氷の際に、プロセス空気の供給を少なくとも部分的に、好ましくは本質的に完全に、別の凝縮器に迂回させることができ、それによって、第2の凝縮工程が連続的に行われ、中断する必要がない。
【0081】
特に、除氷装置は、第2の凝縮器へのプロセス空気の少なくとも一部の供給を一時的に中断できるように、信号供給装置を使用することができる。好ましくは、除氷装置は、制御ユニット、例えば第1の制御ユニットと通信することができ、それによって、プロセス空気を導くための弁、例えば第1の弁を適宜制御することができる。
【0082】
本発明の更に好ましい一実施形態においては、工業プロセスは、導電性キャリア材料を、特に導電性フィルム材料を、コーティングとして溶剤を含む混合物質によってコーティングすることと、キャリア材料へコーティングの塗布の後に乾燥することと、を含み、その際に、装置に供給される、溶剤を含むプロセス空気が生成される。
【0083】
以下においては、いくつかの実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。その際、特許請求の範囲の異なるカテゴリ間において詳細な区別は行わない。更に、本発明による課題解決案が様々な異なる工業プロセスにおいて適用できることは、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】電極コーティングを乾燥させるための工業プロセスからのプロセス空気を処理するための、本発明による方法の概略図である。
図2】電極コーティングを乾燥させるための工業プロセスからのプロセス空気を処理するための、本発明による装置の概略図である。
図3】工業プロセスからのプロセス空気を処理するための本発明による方法を用いた、本発明による代替装置の概略図である。
図4】工業プロセスからのプロセス空気を処理するための本発明による方法を用いた、本発明による更なる代替装置の概略図である。
図5】副流からのプロセス空気を処理するための代替配置を有する、図2の変更図である。
図6】副流からのプロセス空気を処理するための更なる代替配置を有する、図2の変更図である。
図7図2からの第2の凝縮器のオプション設計としての熱交換器の部分領域の断面の概略図である。
図8】補助配管を有する、図2の更なる変更図である。
図9】空気-空気熱交換器を有する、図8による代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
リチウムイオン電池等の電極の製造において、スラリー又はペーストの形態のウェットコーティングを支持材に塗布することができる。本発明によれば、これは、工業設備1、1aにおいて、工業規模において実施される工業プロセスの際に行われる。その際、支持材として、好ましくは導電性の平坦な基材、特に導電性の或いは金属製のフィルムが使用される。ウェットコーティングは、好ましくは、バインダと混合された微粉末からなる成分を有する。典型的には、バインダとして、水溶性であり得るポリマーが使用される。必要に応じて、バインダは、有機溶剤、例えばNMP、TEP、EAA、アセトン、各種アルコール又は同様の工業用溶剤、及び必要に応じて、それらの混合溶剤に溶解される。このような溶剤は、層形成流体、特にペースト又は液体を得るために、有機バインダを溶解するのに適している。このような液体は、コーティングを形成するために、支持材料の少なくとも片面に塗布し得る。このような場合、ウェットコーティングは、動いている支持材に連続的又は不連続的に塗布され、オーブン又は乾燥機において乾燥される。乾燥の過程においては、通常、溶剤が除去され、それによって塗布されたコーティングが固化する。フィルムの両面がコーティングされる典型的なケースにおいては、第1のコーティングが、移動する支持材に連続的に塗布され、オーブン又は乾燥機内において乾燥され、次いで第2のウェットコーティングが塗布され、第2の乾燥工程において乾燥される。
【0086】
バッテリ電極の製造に特に好ましい実施形態においては、ウェットスラリーは支持材の両面に塗布され、次いでオーブン又は乾燥機内において乾燥される。この手順は、両面同時コーティング及び乾燥と呼ばれる。リチウムイオン電極の製造の場合、ウェットコーティングスラリーが両面に塗布された後、乾燥工程が1回で済むため、この手順は生産性を向上させる点において特に有利である。
【0087】
本発明によれば、揮発性有機化合物(VOC)は、特に乾燥機又はオーブン内における乾燥工程中に、本質的に蒸気の形態においてオーブン雰囲気中に、従ってプロセス空気中に放出され、溶剤(例えばNMP、TEP、EAA、DMAc)を回収するために、凝縮器において水及び他の潜在的不純物と共に凝縮される。次いで、プロセス空気は、微細な液滴を分離する装置(デミスタ、液滴分離器)を通過する。ほとんどの乾燥工程においては、凝縮工程を出た空気の少なくとも一部は大気に放出され、残りの空気は乾燥機に戻すことができる。多くの溶剤の場合、凝縮器から放出される濃度は、大気中に放出される許容限度値をはるかに超えている。更に、このような溶剤の回収は、費用効果が高く、望ましい。従って、VOC濃度を許容値まで下げるためには、排出制限のために、通常、下流に追加の浄化装置が必要となる。VOC除去プロセスは、熱(触媒及び純粋な熱)酸化プロセス、炭素吸着、及びゼオライト、活性炭などの様々な吸着媒体を用いた吸着を含む。
【0088】
図1は、リチウムイオン電池を製造する工業プロセスからのプロセス空気を処理するための本発明による方法の一例を概略的に示している。図1に示す方法においては、電極コーティングプロセス1aが行われ、その際、好ましくはTEPとEAAとの組み合わせからなる溶剤が使用される。プロセス空気は、湿ったTEP/EAA溶剤を含む電極コーティングを乾燥させるために使用される。
【0089】
本発明による方法によれば、プロセス空気は主流5において第1の凝縮工程41に導かれ、その際、プロセス空気は濾過される。それによって、濾過工程4aは、電極コーティングプロセス1a中に生成された粗大粒子からプロセス空気を分離する役割を果たす。第1の凝縮工程41において、プロセス空気は、第1の凝縮工程41に入る際の120℃から連続的に15℃まで冷却される。それによって、第1の凝縮液16はプロセス空気から分離され、第1の回収プロセス42に供給される。第1の凝縮工程においては、プロセス空気中のTEP/EAA溶剤の濃度を、第1の凝縮工程への入口における典型的な約4000ppmから、例えば出口における約300ppmまで低減させる(すなわち、10分の1以上に低減させる)ように、プロセス空気を浄化することができる。回収プロセス42において、第1の凝縮液16は回収され、更に好ましくは図示しない蒸留及び凝縮液再浄化プロセスによって処理される。その際、例えばTEP/EAA溶剤を含む第1の凝縮液16は、濃縮されて第1の濃縮凝縮液16aを形成し、必要に応じて異なる溶剤成分(TEP及びEAA)に分離され、その後、電極コーティングプロセス1aに戻される。
【0090】
主流中のプロセス空気が第1の凝縮工程41によって処理された後、副流31が分岐(Abzweigung)44を介して主流から分岐され、第2の凝縮工程51に導かれる。副流31に分岐される体積流量は、通常、分岐44の後に主流5に残存する体積流量の約10%に相当し、その残存する体積流量は、第1の更なる処理工程45に導かれる。
【0091】
主流5において、プロセス空気は、分岐44の後に、第1の更なる処理工程45において電極コーティングプロセス1aのために調整される。それは、最初にそのプロセス空気を加熱し、次いで必要に応じて環境からの空気によって補い、次いで、(少なくともオプションとして)加熱することによってである。第1の更なる処理工程45の後、プロセス空気は、主流5において電極コーティングプロセス1aに戻される。主流5は、その際、再循環流又は「メークアップエア」とも呼ばれる。
【0092】
分岐44の後、副流31に分岐されたプロセス空気は、第2の凝縮工程51に導かれる。分岐されたプロセス空気は、好ましくは、第2の凝縮工程51に入った際に15℃の温度を有する。この工程においては、プロセス空気は、例えば-20℃まで連続的に冷却され、それによって第2の凝縮液17がプロセス空気から分離され、第2の回収プロセス52に供給される。第2の凝縮工程においては、プロセス空気中のTEP/EAA溶剤の濃度を、第2の凝縮工程に入るときの典型的な約300ppmから、出るときの典型的な約50ppmまで低下させるように、プロセス空気を浄化することができる。
【0093】
特に、第2の凝縮工程51のプロセス空気の温度が低いために、氷堆積が発生する可能性がある。氷堆積に対抗するため、第2の凝縮工程の一定の運転間隔の後に除氷を行うことができる。除氷の間、副流31から第2の凝縮工程51へのプロセス空気の供給は一時的に中断される。
【0094】
回収プロセス52の際に、第2の凝縮液17が回収され、その第2の凝縮液17に対して、更に図示しない蒸留及び凝縮液再浄化プロセスが行われる。その際、第2の凝縮液17は、特にTEP/EAA溶剤を含む第2の濃縮凝縮液17aに浄化され、それぞれの溶剤成分(TEP及びEAA)に分離され、電極コーティングプロセス1aに戻される。
【0095】
副流31中のプロセス空気は、第2の凝縮工程51の後、第2の更なる処理工程54において処理される。プロセス空気は、まず15℃に温調され、次いで濾過され、最後に放出工程55を介して環境中に放出される。第2の更なる処理工程54における濾過によって、プロセス空気中の溶剤成分が確実に除去され、それによって法的排出限度に適合することができる。
【0096】
図2は、図1による方法を実施するための本発明による装置の一例を概略的に示している。参照符号1は、リチウムイオン電池製造用の電極がコーティングされる例示的な電極コーティング装置を示し、その際、TEPとEAAとの混合物からなる上記の溶剤が使用される。電極コーティングプロセス1aからのプロセス空気は、主流5の送風機61によって第1の凝縮器2に送られ、好ましくは、第1の凝縮器2に入る前にフィルタ4に通される。プロセス空気の温度は、第1の凝縮器2に入る際に、典型的には約120℃であり、第1の冷却要素6内において15℃まで連続的に冷却される。第1の冷却要素6は、オプションにおいて3段の熱交換器6aを有し、この熱交換器においてプロセス空気から熱が取り出される。熱交換器6aの第1の段においては、プロセス空気は入る際の120℃から典型的には約60℃まで冷却され、第2の段においては典型的には約40℃まで冷却され、第3の段においては典型的には約15℃まで冷却される。第1の段において取り出された熱は、ヒートポンプ15を介して、熱交換器として形成された第1の加熱要素18に伝達される。第1の加熱要素18は、熱交換器6aにおいて取り出された熱を主流5のプロセス空気に戻すために使用される。第2の段及び第3の段において取り出された熱は、更に、オプションとして、別個のヒートポンプを介して、図示しない更なるプロセスに供給され、例えば、電極コーティングプロセス1aにおける熱の結合が行われ得る。
【0097】
熱交換器6aは、各段にそれぞれ垂直冷却フィンを有するヒートシンクを有し、このヒートシンクを介してプロセス空気が導かれる。冷却によって、冷却フィンの表面上に第1の凝縮液16が生成され、この凝縮液は重力によって第1の冷却要素6の下方に位置する回収容器に導き出される。第1の冷却要素6における冷却の結果、エアロゾル形成が発生することがあり、それによってエアロゾルが出現し、エアロゾルは第1の凝縮器を通って主流と共に輸送される。そのため、第1の冷却要素6の下流に第1の分離器7を配置することが好ましく、分離器7は、微細な液滴を分離するための金網製の「デミスタ」として、或いは衝撃分離器として形成されている。プロセス空気は第1の分離器7を通って流れ、その結果、更に第1の凝縮液16が生じ、これは重力によって第1の冷却要素6の下方に位置する回収容器に導き出される。
【0098】
分離された第1の凝縮液16は、第1の溶剤16aを含み、この第1の溶剤16aは、TEPとEAAとの混合物と、同様の凝縮特性を有する様々な副生成物とを有し得る。第1の凝縮液16は、回収容器から、第1の凝縮器2の外部の第1の凝縮液回収器13にポンプ排出され、電極コーティングプロセス1aへの戻しのために、凝縮液再浄化装置14aにおいて蒸留される。その際、第1の凝縮液16は、凝縮液再浄化装置14aにおいてそれぞれの溶剤成分(TEP及びEAA)に分離され、濃縮される。
【0099】
第1の分離器7の下流において、プロセス空気の一部が、迂回装置の第1の弁9を介して主流5から分岐され、第2の凝縮器3への副流31に迂回される。第2の冷却要素32は、第2の凝縮器3の重要な構成要素であり、プロセス空気から熱を取り出す2段の熱交換器32aを有する。プロセス空気は、第1の段において15℃から-5℃まで冷却され、第2の段において-20℃まで冷却される。第1の段において取り出された熱は、ヒートポンプ34を介して、熱交換器として形成された第2の加熱要素19に送られる。先に取り出された熱は、少なくとも部分的に、第2の加熱要素19を介して副流31のプロセス空気に加えられる。第2の段において取り出された熱は、必要に応じて、別のヒートポンプを介して、図示しない更なるプロセスに加えられる。第2の凝縮液17の分離も、第2の熱交換器32aと第2の分離器33(デミスタ)の形態も、好ましくは第1の凝縮器2の場合と同様に行われる。第2の凝縮液は、第2の溶剤17aを有し、その際、第2の溶剤17aは、好ましくは、第1の溶剤16aと同じ組成(TEP及びEAA)を有し得る。第1の凝縮液16と同様に、第2の凝縮液17も、回収容器から第2の凝縮器3の外部の第2の凝縮液回収器37にポンプ排出され、電極コーティングプロセス1aへの戻しのために、凝縮液再浄化装置14bにおいて蒸留される。この凝縮液再浄化装置14bにおいて、第2の凝縮液17は、それぞれの溶剤成分(TEP及びEAA)に分離され、濃縮される。
【0100】
第2の凝縮器3は、また、好ましくは、電流によって作動される図示しないヒータを第2の冷却要素内に有する除氷装置38を有する。除氷装置38は、更に、TEP/EAA混合物からなる溶剤17aを有する分離された凝縮液17を加熱し、第2の冷却要素32内の除氷手段として使用することもできる。除氷装置38は、代替的に、第2の凝縮器の熱交換器への熱結合を有してもよく、この熱結合は、伝熱面から氷を取り除くために、第2の冷却要素32の所定の伝熱面を加熱する。除氷装置38によって第2の凝縮器が除氷される前にプロセス空気の供給を中断するために、第1の弁9を制御する信号が第1の制御ユニット10に送られ、それによって第1の弁9が閉じられる。
【0101】
第2の分離器33の下流において、副流31のプロセス空気は、第2の熱交換器32aから回収された熱によって第2の加熱要素19によって10℃に加熱される。第2の凝縮器3の下流には、第2の空気加熱器35が配置されており、この空気加熱器を介して、プロセス空気が第2の更なる処理装置39に導かれる前に、プロセス空気が引き続き15℃まで更に加熱される。第2の更なる処理装置39において、プロセス空気は、空気出口21から環境11に最終的に放出される前に、活性炭フィルタ36を介して濾過される。
【0102】
分離器7の下流において、主流5中のプロセス空気は、プロセス空気が第1の凝縮器2を出て、更なる調整のために第1の空気加熱器12に導かれる前に、第1の加熱要素18によって15℃から60℃まで加熱される。
【0103】
第2及び第3の弁23a、23bは、第1の制御ユニット10と通信可能な第2の制御ユニット22によって制御される。第2の弁23aは、空気入口20を通る環境11からの空気量を調節し、その際、主流5内の空気量を調節することを意図している。通常運転においては、空気入口20は閉じたままとすることができ、空気入口は、電極コーティング装置1内のいわゆる「ウェブスロット(Web-Slots)」として配置することができる。それによって、ウェブスロットを介して電極コーティングプロセス1aに供給される空気量が、副流31に分岐される空気量に対応する。
【0104】
環境11から供給された空気と凝縮器2からのプロセス空気は、主流5において第1の空気加熱器12に導かれ、第1の空気加熱器12において、電極コーティングプロセス1aのための空気が加熱され、最終的に電極コーティング装置1に再び供給される。
【0105】
図3は、本発明による装置の代替的な一実施形態を概略的に示している。その際、この代替実施形態は、図2に示した実施形態とほぼ同様であるため、上記説明を参照して説明する。図2に示す実施形態とは異なり、本実施形態においては、戻り配管31が設けられており、この戻り配管31を介して、プロセス空気は、第2の凝縮器3の下流の副流31において、空気入口20を介して主流5に戻される。従って、この代替的な実施形態においては、プロセス空気は排気として環境中に放出されず、工業プロセスにおいて再び使用される。
【0106】
図4は、本発明による装置の更なる代替的な一実施形態を概略的に示している。この代替的な実施形態は、図2による実施形態とほぼ同様であるため、上記の説明を参照して説明する。図2による実施形態とは異なり、第2の更なる処理装置は、活性炭フィルタ36に加えて、吸着剤としてゼオライトを有する濃縮器43を更に有する。副流31のプロセス空気は、第2の凝縮器3の下流において典型的には約25℃に温調され、濃縮器43に導かれる。濃縮器43においては、NMPを含む第2の溶剤17aも吸着除去される。その際、プロセス空気中の溶剤の濃度を、濃縮器43に流入する際の典型的には約50ppmから、流出する際の約10ppmまで低減することができるように、プロセス空気が浄化される。
【0107】
図5は、副流31からのプロセス空気を処理するための代替的な配置を有する、図2による実施例の一変形例を示す。明確にするために、図2に示す実施形態と同一の要素は省略されている。副流31は、2つの部分流31a、31bに分けることができ、それぞれの部分流31a、31bは、第2の凝縮器3、或いは並列凝縮器3aに導かれる。並列凝縮器3aは、好ましくは第2の凝縮器3と同一の構造であり、これと並列に配置される。第2の凝縮器3及び並列凝縮器3aを通るそれぞれの部分流は、第4及び第5の弁23c、23dによって調整することができる。補足的又は代替的な実施形態においては、副流31は、図示しない交互弁によって2つの部分流31a、31bに分けることができる。第5の弁23dは通常閉じたままであり、第2の凝縮器3が除氷されるときに開かれる。第2の凝縮器3は、冷却要素32又は熱交換器32aに配置された電気加熱要素を用いて、図2による実施例について上記したのと同様に除氷される。これの補足または代替として、除氷のために熱を熱交換器32aに結合することができる(図2の上記の説明を参照)。好ましくは、冷却要素32による冷却は、外部からの自然な熱入力を優先するために、除氷中に一時的に中断することができる。
【0108】
並列凝縮器3aは、また、所定の運転上の冗長性を提供し、例えば、第2の凝縮器3が整備されているときにも使用することができる。並列凝縮器3aは、(少なくともオプションとして)第2の凝縮器3の除氷と同様に又は同一に除氷されるが、好ましくは第2の凝縮器3の除氷に対して時間をずらして除氷される。
【0109】
図6は、副流31からのプロセス空気を処理するための代替的な配置を備えた、図2の実施例の更なる一変形例を示す。第2の凝縮器3の除氷の際に、第4の弁23cは閉じられ、第2の凝縮器3へのプロセス空気の供給を中断することができる。同時に、第6の弁23eが開かれ、それによってプロセス空気がバイパス配管40を介して第2の凝縮器3の回りに送られる。オプションとして、プロセス空気はバイパス配管40を介してガス貯蔵タンク(図示せず)に送られ、そこに一時的に貯蔵される。後の時点において、バイパス配管40は再び閉じられ、プロセス空気は第2の凝縮器3を経由して戻される(必要に応じて、その間に貯蔵されたプロセス空気の量を含む)。それによって、第2の凝縮器3への供給が一時的に中断されても、副流の所定の流量が維持される。
【0110】
図7は、図2からの第2の凝縮器における、オプションの実施としての熱交換器32aの部分領域の概略的な断面を示す。熱交換器32aは、フィンパック72a、72b、72c内における複数の冷却フィンを有し、これらフィンパックはハウジング71内に個別に配置されている。除氷装置38は電気加熱素子74を有し、この電気加熱素子は冷却フィンのそれぞれの表面に割り当てられている。通常の冷却動作において、冷却剤管73に導かれた冷却剤が、それぞれのフィンパック72a、72b、72cを通って流れている間は、電気加熱素子74のスイッチは切られたままである。その際、冷却フィンを通過して流れるプロセス空気の熱は、冷却剤に伝達される。第2の凝縮液17は、凝縮の結果として冷却フィンの表面に堆積し、次いで重力によって回収容器75に導かれる。例えば、フィンパック72aを通る冷却剤の流れ、すなわちフィンパック72aの冷却を一時的に中断することができる。この場合、フィンパック72b、72cがプロセス空気を冷却するために作動し続ける間、電気加熱素子74は、氷を溶かし去るためにスイッチオンにできる。それによって、除氷を局所的に、すなわち熱交換器32aのフィンパック72aにおいてのみ行うことができる。その際、プロセス空気は、フィンパック72b,72cに沿った他の場所において凝縮し続けることができる。
【0111】
図8は、補助配管46を有する図2による実施形態例の更なる一変更例を示している。その際、補助配管46は、第1の加熱要素18(代替的に18a)の上流に配置された分岐の下流に配置される。プロセス空気が加熱要素18aによって加熱された後、加熱されたプロセス空気の一部が副流31に分岐され、副流31内のプロセス空気に供給される。補助配管46を介して分岐されるプロセス空気の量は、補助配管弁9aを介して調整される。特に、加熱されたプロセス空気の供給は、副流31内のプロセス空気の相対湿度を低下させ、取り扱いを容易にすることができる。例えば、副流配管内における不要な凝縮を防止することができる。
【0112】
図9は、ここにおいてはクロスフロー熱交換器24として示されている空気-空気熱交換器を備えた、図8に示された実施例の代替的な実施を示している。クロスフロー熱交換器24は主流5に割り当てられ、この場合、電極コーティング装置から除去されるプロセス空気は、第1の凝縮器2に入る前にクロスフロー熱交換器24に導かれる。これによって、プロセス空気が第1の凝縮器2に導かれる前に、プロセス空気から熱エネルギを取り出し、所定の予冷を行うことができる。一方、プロセス空気は、第1の凝縮器2の下流においてクロスフロー熱交換器24に導かれる。その際、上記のようにプロセス空気から取り出された熱エネルギは、プロセス空気が電極コーティング装置1に導かれる前に、プロセス空気にフィードバックされる。例えば、同様の温度レベルに達するために第1の空気加熱器12によってプロセス空気に供給される熱エネルギがより少なくなることによって、クロスフロー熱交換器24を用いて、装置60のエネルギ効率は更に改善される。同時に、クロスフロー熱交換器24を用いた予冷によって、プロセス空気を必要な温度レベルまで冷却するために第1の凝縮器2に供給しなければならない冷却能力がより少なくて済む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流(5)を有する工業プロセスからのプロセス空気を処理する方法であって、前記プロセス空気の少なくとも一部が以下の方法工程によって処理されるものであり、
第1の凝縮液(16)を前記プロセス空気から分離し、第1の回収プロセス(42)に供給する第1の凝縮工程(41)と、
第2の凝縮液(17)を前記プロセス空気から分離し、第2の回収プロセス(53)に供給する、前記第1の凝縮工程(41)の後に行われる第2の凝縮工程(51)と、を含み、
前記第2の凝縮工程(51)の際に到達されるプロセス空気の最低温度は、前記第1の凝縮工程(41)の際に到達されるプロセス空気の最低温度よりも低い、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの溶剤(16a、17a)の回収のための、請求項1に記載の方法において、
前記第1の凝縮液(16)は第1の溶剤(16a)を含み、前記第2の凝縮液(17)は第2の溶剤(17a)を含み、
特に第1及び/又は第2の溶剤(16a、17a)は炭化水素化合物を有する、方法。
【請求項3】
前記主流(5)及び副流(31)内にそれぞれの体積流量を有するものであり、
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第1の凝縮工程(41)の後に、分岐(44)において、前記第2の凝縮工程(51)における処理のために前記副流(31)に分岐し、
前記副流(31)内に分岐された体積流量は、特に、前記分岐(44)の後に前記主流(5)内に存在する体積流量よりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第1の凝縮工程(41)の後に第1の更なる処理工程(45)において更に処理し、
前記第1の更なる処理工程(45)は、熱供給、及び/又は、減圧、及び/又は、主流(5)の外部の空気の、特に環境(11)から及び/又は副流(31)からの空気の第2の供給を含み、
プロセス空気の少なくとも一部を、前記第1の更なる処理工程(45)の後に、特に工業プロセス(1a)に戻す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1の更なる処理工程(45)を分岐(44)の後に行い、
特に熱供給を前記第1の更なる処理工程において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第2の凝縮工程(51)の後に第2の更なる処理工程(54)において更に処理し、この第2の更なる処理工程(54)は、熱供給、及び/又は減圧、及び/又は濾過、及び/又は第3の凝縮工程、及び/又は吸着を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第2の更なる処理工程(54)の後に、環境(11)に供給する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記第2の更なる処理工程(54)の後に、特に前記工業プロセス(1a)に戻す、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記工業プロセス(1a)からの前記プロセス空気の少なくとも一部を、前記主流(5)に導き、且つ、その際、濾過する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記工業プロセス(1a)は乾燥プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、特に前記工業プロセス(1a)への戻しのために、前記第1の回収プロセス(42)の際に前記第1の凝縮液(16)を回収すること、及び/又は、前記第2の回収プロセス(52)の際に前記第2の凝縮液(17)を回収することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、第1及び/又は第2及び/又は第3の凝縮工程(41、51)の際に熱回収を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の凝縮工程(51)内において除氷を行い、その際、
前記第2の凝縮工程への前記プロセス空気の少なくとも一部の供給を一時的に中断し、
及び/又は、
前記プロセス空気の少なくとも一部を第2の凝縮工程を逸れて導き、
及び/又は、
前記第2の凝縮工程への前記プロセス空気の供給は分割可能であり、前記除氷を部分流において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工業プロセス(1a)からのプロセス空気を処理するための装置(60)であって、特に、請求項1に記載の方法を実施するための装置であり、
主流(5)と、
第1の冷却要素(6)及び第1の分離器(7)を有する第1の凝縮器(2)であって、前記プロセス空気が、前記第1の凝縮器(2)内において前記第1の冷却要素(6)によって冷却され、次いで、前記第1の分離器(7)を通過し、第1の凝縮液(16)が、前記プロセス空気から分離され、第1の回収プロセス(43)に供給される、前記第1の凝縮器(2)と、
第2の冷却要素(32)及び第2の分離器(33)を有し、前記第1の凝縮器(2)の下流に接続された第2の凝縮器(3)であって、前記プロセス空気が、前記第2の凝縮器(3)内において前記第2の冷却要素(32)によって冷却され、次いで、前記第2の分離器(33)を通過し、第2の凝縮液(17)が、前記プロセス空気から分離され、第2の回収プロセス(53)に供給される、前記第2の凝縮器(3)と、
を備える、装置(60)。
【請求項15】
特に請求項1に記載の方法を実施するための装置(60)であって、
迂回装置(8)を備え、
前記プロセス空気の少なくとも一部が分岐(44)において前記第1の分離器(7)の下流において副流(31)に分岐され、
前記迂回装置(8)は、好ましくは、前記プロセス空気の少なくとも一部を導入するための第1の制御ユニット(10)及び/又は第1の弁(9)及び/又はファンを有する、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項16】
前記第1の冷却要素(6)は、特に、前記第1の凝縮工程(41)の際の熱回収のための第1の熱交換器(6a)を含み、
前記プロセス空気の少なくとも一部は、前記第1の凝縮工程(41)の後に前記第1の凝縮器(2)において更に処理され、
前記第1の凝縮器(2)は、前記プロセス空気の加熱のための第1の加熱要素(18)を有し、
前記第1の凝縮器の下流に、特に、第1の空気加熱器(12)が配置されている、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項17】
前記プロセス空気の少なくとも一部は、第1の加熱要素(18)の上流において、分岐(44)において前記第2の凝縮器(3)への副流(31)に導かれる、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項18】
前記第2の冷却要素(6)は、特に、第2の凝縮工程(51)の際の熱回収のための第2の熱交換器(32a)を含み、
前記プロセス空気の少なくとも一部は、前記第2の凝縮工程(51)の後に前記第2の凝縮器(3)において更に処理され、その第2の凝縮器(3)は、前記プロセス空気の加熱のための第2の加熱要素(19)を有している、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項19】
前記第2の凝縮工程の後に、第2の更なる処理装置(39)が配置されており、
前記プロセス空気が、前記第2の更なる処理装置(39)によって更に処理され、この第2の更なる処理装置(39)は、
フィルタ(36)、
及び/又は、第3の凝縮器、
及び/又は、濃縮器を有する、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項20】
前記第1の凝縮液(16)が、前記工業プロセス(1a)への戻しのために前記第1の回収プロセス(43)の際に回収されるようになった第1の凝縮液回収器(13)と、
前記第2の凝縮液(17)が、前記工業プロセス(1a)への戻しのために前記第2の回収プロセス(53)の際に回収されるようになった第2の凝縮液回収器(37)と、
を備える、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項21】
前記第2の凝縮器(3)は除氷装置(38)を有している、請求項14に記載の装置(60)。
【請求項22】
前記工業プロセス(1a)は、
導電性キャリア材料を、特に導電性フィルム材料を、コーティング膜として溶剤を含む混合物質によってコーティングすることと、
前記キャリア材料への前記コーティング膜の塗布の後に乾燥して、前記装置(60)に供給される、溶剤を含むプロセス空気を生成することと、
を含む、ことを特徴とする、請求項14に記載の装置(60)。
【国際調査報告】