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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】耐振動構造を有する太陽光回転装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/32 20140101AFI20241212BHJP
   H02S 30/00 20140101ALI20241212BHJP
【FI】
H02S20/32
H02S30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537520
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022019136
(87)【国際公開番号】W WO2023136468
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006224
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519025910
【氏名又は名称】シン, ジョン-フン
【氏名又は名称原語表記】SHIN, Jeong-Hoon
【住所又は居所原語表記】104-1005, 36, Wangji 3-gil, Suncheon-si, Jeollanam-do 57930, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジョンフン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA13
5F251JA14
(57)【要約】
本発明は、第1の遊星ギヤセット、及び前記第1の遊星ギヤセットの次段に配置された第2の遊星ギヤセットを含み、少なくとも前記第2の遊星ギヤセットの第2のPLギヤと第2のリングギヤの外周面には傾斜した歯形が形成されてテーパー構造を有する、耐振動構造を有する太陽光回転装置を開示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールの上端に取り付けられて太陽光パネルアレイを回転させる、耐振動構造を有する太陽光回転装置であって、
太陽光パネルアレイに連結される第1の管状体と、
前記第1の管状体の下部に結合され、ポールの上端に固定される第2の管状体と、
少なくとも二つの遊星ギヤセットを含み、前記第1の管状体に減速された回転力を伝達するギア部と、
前記第2の管状体の内部に固定されて前記ギア部に回転力を提供する駆動モータと、を含み、
前記ギア部は、
前記駆動モータで発生した回転力の伝達を受ける第1の太陽ギヤ、前記第1の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第1のPLギヤ、及び複数の前記第1のPLギアの外側に噛合された第1のリングギヤを備える第1の遊星ギヤセットと、
前記第1の遊星ギヤセットの次段に配置されて回転力の伝達を受け、第2の太陽ギヤ、前記第2の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第2のPLギヤ、及び複数の前記第2のPLギアの外側に噛合されて前記第1の管状体に減速された回転力を出力する第2のリングギヤを備える第2の遊星ギヤセットと、を含み、
少なくとも前記第2のPLギヤ及び前記第2のリングギヤの周縁面には傾斜した歯形が形成されてテーパー構造を有する、
耐振動構造を有する太陽光回転装置。
【請求項2】
前記第2の太陽ギヤの外周面、前記第2のPLギアの外周面、及び前記第2のリングギヤの内周面のすべてに前記傾斜した歯形が形成されることにより、回転動作時にギア接触面に所定のクリアランスが確保され、回転終了時には前記テーパー構造によって互いに緊密にかみ合ってバックラッシュの発生が防止される、請求項1に記載の耐振動構造を有する太陽光回転装置。
【請求項3】
回転が終了したとき、複数の前記第2のPLギアには、自重によって前記第2の太陽ギヤ及び前記第2のリングギヤに挿入される方向への力が加えられる、請求項2に記載の耐振動構造を有する太陽光回転装置。
【請求項4】
前記第1のリングギヤ及び前記第2のリングギヤはそれぞれ、上側リングギヤと下側リングギヤとの組立体からなる、請求項1に記載の耐振動構造を有する太陽光回転装置。
【請求項5】
前記第1のリングギヤと前記第2の太陽ギヤとが連結されるか、又は、前記第1のリングギヤと前記第2のPLギアのキャリアの一部とが連結されることにより、前記第1の遊星ギヤセットから前記第2の遊星ギヤセットへと回転力を伝達する、請求項1に記載の耐振動構造を有する太陽光回転装置。
【請求項6】
太陽光パネルアレイを回転させる太陽光回転装置の多段複合ギア組立体であって、
駆動モータで発生した回転力の伝達を受ける第1の太陽ギヤ、前記第1の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第1のPLギヤ、及び複数の前記第1のPLギアの外側に噛合された第1のリングギヤを備える第1の遊星ギヤセットと、
前記第1の遊星ギヤセットの次段に配置されて回転力の伝達を受け、第2の太陽ギヤ、前記第2の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第2のPLギヤ、及び複数の前記第2のPLギアの外側に噛合されて減速された回転力を出力する第2のリングギヤを備える第2の遊星ギヤセットと、を含み、
少なくとも前記第2のPLギヤ及び前記第2のリングギヤの周縁面には傾斜した歯形が形成されてテーパー構造を有する、
太陽光回転装置の多段複合ギア組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月14日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0006224号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
本発明は、耐振動構造を有する太陽光回転装置に関し、より詳しくは、ポールに取り付けられて太陽光パネルに回転力を提供する、耐振動構造を有する太陽光回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽光発電システムは、林野や休耕地、建物の屋根、貯水池、塩田などの敷地に多数の太陽光パネルが集合されて団地化された形態で構築される。
太陽光発電の敷地が林野や農地などである場合は、伐木や土木工事などを実施して敷地に対する整地作業を行った後、フレーム構造物及び太陽光パネルを設置しなければならないため、樹木と土砂が大規模に毀損される環境破壊の問題が不可避に発生する。このような副作用のため、林野などは太陽光発電に要求される立地条件を満たしても、太陽光発電の敷地として活用し難いことが現実である。
特許文献1は、建築物の屋上や堤防のような場所に非破壊方式で設置可能な自重型太陽光発電装置を開示している。前記自重型太陽光発電装置は、少なくとも一つの柱が連続して連結されてなる柱部アセンブリ、及び柱部アセンブリの上部に結合される集光板を含み、前記柱には、上面に傾斜面が提供され、内部に充填材が収容される充填材収容空間が提供される。
特許文献2は、田畑を占有せず太陽光モジュールを設置する方法に関し、収穫が終わった休農期の田畑に太陽光モジュールを簡便に設置できるように、下部支持台、設置固定フレーム及び支柱フレームを備え、田に設置する太陽光モジュール及び方法を開示している。また、特許文献2は、複数の簡便施工太陽光モジュールが簡便施工太陽光モジュールの設置固定フレームと他の簡便施工太陽光モジュールの保護フレームの一側とにヒンジ手段で連結されて重なって備えられ、使用時には広げて施工できる構造を有する太陽光モジュールを開示している。
しかし、従来の太陽光発電システムは、太陽光パネルを支持するフレーム構造物が占有する面積が大きく、施工時に深刻な自然破損が発生する問題が相変らず残っており、それに対する代案が求められる。
また、従来の太陽光発電システムは、通常、太陽光パネルが固定して取り付けられて太陽光発電の効率が低いという短所がある。太陽光発電用として太陽の移動を追跡して太陽光パネルを移動させるシステムが公開されているものの、装置が複雑であって高価であるため、システムの構築が容易ではない。
太陽光発電の効率を高めるためには、日照量を考慮して太陽光パネルを決められた経路に沿って回転させることが好ましい。しかし、太陽光パネルをポールの上端に配置し、駆動モータの回転軸を単に太陽光パネルに連結して回転させる場合は、駆動モータの回転軸に過負荷がかかることがあり、風などの外力が加えられると、回転軸と太陽光パネルとの連結部位がずれるか又は破損されて回転部で配線が断線する問題が発生するため、それに対する対策が求められている。
また、風などによって外力が太陽光パネルに加えられると、駆動モータと太陽光パネルとの間に取り付けられたギアアセンブリに存在するバックラッシュ(backlash)によって太陽光パネルに揺動が発生し、酷い場合はギアアセンブリが破損されながら太陽光パネルが転倒する事故も発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許公開第2011-0024887号公報
【特許文献2】韓国特許公開第2016-0086729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みて創案されたものであり、回転装置に備えられたギアアセンブリにおける不要なバックラッシュの発生を防止することができる、耐振動構造を有する太陽光回転装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、風などの外力によって回転装置と太陽光パネルとの連結部品がずれるか又は破損されて回転部で配線が断線する問題を解消することができる、耐振動構造を有する太陽光回転装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様は、太陽光パネルアレイに連結される第1の管状体と、前記第1の管状体の下部に結合され、ポールの上端に固定される第2の管状体と、少なくとも二つの遊星ギヤセット(planetary gear set)を含み、前記第1の管状体に減速された回転力を伝達するギア部と、前記第2の管状体の内部に固定されて前記ギア部に回転力を提供する駆動モータと、を含み、前記ギア部は、前記駆動モータで発生した回転力の伝達を受ける第1の太陽ギヤ(sun gear)、前記第1の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第1のPLギヤ(planetary gear)、及び複数の前記第1のPLギアの外側に噛合された第1のリングギヤ(ring gear)を備える第1の遊星ギヤセットと、前記第1の遊星ギヤセットの次段に配置されて回転力の伝達を受け、第2の太陽ギヤ、前記第2の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第2のPLギヤ、及び複数の前記第2のPLギアの外側に噛合されて前記第1の管状体に減速された回転力を出力する第2のリングギヤを備える第2の遊星ギヤセットと、を含み、少なくとも前記第2のPLギヤ及び前記第2のリングギヤの周縁面には傾斜した歯形が形成されてテーパー構造を有する、耐振動構造を有する太陽光回転装置を提供する。
前記第2の太陽ギヤの外周面、前記第2のPLギアの外周面、及び前記第2のリングギヤの内周面のすべてに前記傾斜した歯形が形成されることにより、回転動作時にギア接触面に所定のクリアランスが確保され、回転終了時には前記テーパー構造によって互いに緊密にかみ合ってバックラッシュの発生が防止されることが好ましい。
回転が終了したとき、複数の前記第2のPLギアには、自重によって前記第2の太陽ギヤ及び前記第2のリングギヤに挿入される方向への力が加えられ得る。
前記第1のリングギヤ及び前記第2のリングギヤはそれぞれ、上側リングギヤと下側リングギヤとの組立体からなり得る。
前記第1のリングギヤと前記第2の太陽ギヤとが連結されるか、又は、前記第1のリングギヤと前記第2のPLギアのキャリアの一部とが連結されることにより、前記第1の遊星ギヤセットから前記第2の遊星ギヤセットへと回転力を伝達し得る。
本発明の他の態様は、駆動モータで発生した回転力の伝達を受ける第1の太陽ギヤ、前記第1の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第1のPLギヤ、及び複数の前記第1のPLギアの外側に噛合された第1のリングギヤを備える第1の遊星ギヤセットと、前記第1の遊星ギヤセットの次段に配置されて回転力の伝達を受け、第2の太陽ギヤ、前記第2の太陽ギヤの周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第2のPLギヤ、及び複数の前記第2のPLギアの外側に噛合されて減速された回転力を出力する第2のリングギヤを備える第2の遊星ギヤセットと、を含み、少なくとも前記第2のPLギヤ及び前記第2のリングギヤの周縁面には傾斜した歯形が形成されてテーパー構造を有する、太陽光回転装置の多段複合ギア組立体を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様による耐振動構造を有する太陽光回転装置は、下記のような効果を奏する。
第一、多段複合ギア組立体によって減速比を十分に確保するとともに、ギア同士の接触面に回転に必要な適正クリアランス(バックラッシュ)を発生させることができ、回転終了時には第2のPLギア、第2の太陽ギヤ及び第2のリングギヤがテーパー構造によって互いに緊密に密着してバックラッシュの発生が防止されるため、風などによる太陽光パネルの振動や揺動を防止することができる。
第二、ベアリング、及び第1の管状体と第2の管状体とのアセンブリを備えることで、ポールに取り付けられた太陽光パネルアレイを堅固に支持するとともに、各種の振動や風などの外力によって揺れることなく安定的に回転力を伝達することができる。
第三、第1の管状体及び第2の管状体の直径をポールの直径と同一であるか又は類似の水準に設計しても、第1の管状体と第2の管状体との間に介在されたベアリングによって円滑な回転が行われ、秒単位で精密な回転制御が可能である。
第四、回転装置の小型化が可能であって構成が簡素であるため、投資額の回収が早く、従来の太陽光追跡装置の短所であった頻繁な故障と高いコストの問題を解消することができる。
第五、太陽光パネルがポールによって支持される特性上、太陽光パネルが地面から十分に離隔し、風通しが円滑であるため、太陽光パネルの温度上昇を抑制して太陽光発電の効率を高めることができる。
第六、太陽光発電敷地が山地や林野などである場合は、太陽光パネルを支持するポールの周辺にある樹木をそのまま維持できるため、自然破損を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の好ましい実施形態による、耐振動構造を有する太陽光回転装置の外観を示した後面斜視図である。
図2図1に示された回転装置の部分拡大図である。
図3図2に示された回転装置の内部構成を示した分離斜視図である。
図4図3に示されたギア部及び駆動モータの構成の一部を切開して示した斜視図である。
図5図4に示されたギア部の構成を示した部分断面図である。
図6図5の変形形態を示した断面図である。
図7図5の変形形態を示した断面図である。
図8図5の変形形態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の好ましい実施形態による、耐振動構造を有する太陽光回転装置の外観を示した後面斜視図であり、図2図1に示された回転装置の部分拡大図であり、図3図2に示された回転装置の内部構成を示した分離斜視図であり、図4図3に示されたギア部及び駆動モータの構成の一部を切開して示した斜視図である。
【0009】
図1図4を参照する。本発明の好ましい実施形態による、耐振動構造を有する太陽光回転装置100は、太陽光パネルアレイ15の背面に連結される第1の管状体101と、第1の管状体101の下部に組み立てられ、下端はポール10に固定された第2の管状体106と、第2の管状体106の内部に取り付けられて第1の管状体101に回転力を提供する駆動モータ107と、駆動モータ107から提供される回転力を第1の管状体101に伝達するギア部109と、を含む。好ましくは、第1の管状体101と第2の管状体106との結合部位に取り付けられた少なくとも3接点を有する接点部102、103、104を含む。
太陽光パネルアレイ15は、複数の太陽光パネル15aが互いに直列に連結されて構成される。
太陽光パネルアレイ15は、第1の管状体101の上端に形成された傾斜面上に取り付けられ、地面に対して傾くように設置される。太陽光パネルアレイ15の設置角度は、前記傾斜面の角度に応じて決定される。
ポール10は、地面と垂直に立設され、下端がアンカーボルトなどのような締結手段によって地面に固定されて設置される。好ましくは、ポール10は、通常の街灯の支柱のように、外周面が丸い金属管状体であり得、その他に多様な材料と形態で構成されてもよい。
第1の管状体101は、傾斜した上面に防水カバー105が設けられ、円形の周縁面を有するパイプ型構造物である。防水カバー105は、第1の管状体101の内部空間を開閉できるように、着脱可能に締結される。
第2の管状体106は、第1の管状体101の下部に位置するように組み立てられ、円形の周縁面を有するパイプ型構造物である。第2の管状体106の下端にはポール10の上端部分が嵌合可能な空間が設けられる。ポール10が嵌め込まれることで、第2の管状体106がポールの上端に固定される。
回転装置100とポール10との結合性を高め、構造的に安定的な組立体を構成するため、第1の管状体101及び第2の管状体106の直径は、ポールの直径と同一であるか又は類似の水準に設計され得る。
第1の管状体101と第2の管状体106との間には、所定のベアリング(図5の参照符号116を参照)を含むギア部109が介在される。
駆動モータ107から提供される回転力を十分な比率で減速して第1の管状体101に伝達するためのギア部109は、少なくとも二つの遊星ギヤセット(planetary gear set)を含む多段複合ギア組立体から構成される。以下、ギア部109が2段の遊星ギヤセットの組立体から構成された実施形態を中心にして発明の構成を説明する。
ギア部109は、駆動モータ107の回転軸から提供される回転力の伝達を受ける第1の遊星ギヤセット、及び前記第1の遊星ギヤセットの次段に組み立てられた第2の遊星ギヤセットを含む。ここで、ギア部109が3段以上の遊星ギヤセットを含む場合は、第1の遊星ギヤセットの前段に遊星ギヤセットが付け加えられて配置される。
【0010】
図4及び図5に示されたように、第1の遊星ギヤセットは、駆動モータ107の回転軸と実質的に連結されて回転力の伝達を受ける第1の太陽ギヤ(sun gear)110、第1の太陽ギヤ110の周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第1のPLギア(planetary gear)111、複数の第1のPLギア111の外側に配置されて噛合された第1のリングギヤ(ring gear)112、及び第1のリングギヤ112を覆い囲むモータカバー117を備える。ここで、ギア部109が、例えば3段以上の遊星ギヤセットを含む場合は、前記第1の遊星ギヤセットの前段に位置するさらに他の遊星ギヤセットに備えられたリングギヤ(図示せず)が第1の太陽ギヤ110と連結されて回転力を伝達し得る。
第2の遊星ギヤセットは、第1のリングギヤ112と連結されて回転力の伝達を受ける第2の太陽ギヤ113、前記第2の太陽ギヤ113の周辺に所定の間隔で配置されて噛合された複数の第2のPLギア114、複数の前記第2のPLギア114の外側に噛合されて第1の管状体101に固定された第2のリングギヤ115、及び第2のリングギヤ115内に介在されたクロスローラーベアリング116を備える遊星ギヤセットからなる。第2の太陽ギヤ113の下端の一部は第1のリングギヤ112に嵌められて固定され、第1のリングギヤ115と一体に回転することで、回転力の伝達を受ける。代案としては、複数の第2のPLギア114を支えるキャリア118の一部(例えば、キャリアピン)が第1リングギヤ112に連結されて回転力の伝達を受けることも可能である。この場合は、第2の太陽ギヤ113が省略された変形形態も可能である。
第1のリングギヤ112及び第2のリングギヤ115はいずれも、上側リングギヤ112a、115aと下側リングギヤ112b、115bとの組立体からなり得る。
第2の遊星ギヤセットは、減速された回転力を第1の管状体101に出力する部分であるため、少なくとも第2のPLギア114及び第2のリングギヤ115の周縁面には傾斜した歯形が形成されてテーパー(taper)構造(図5の楕円表示を参照)を有する。最も好ましくは、図4及び図5に示されたように、第2の太陽ギヤ113の外周面、第2のPLギア114の外周面、及び第2のリングギヤ115の内周面のすべてに、外周に沿って所定のピッチで傾斜した歯形が形成されてテーパー構造を形成する。この場合の第2の太陽ギヤ113は、テーパー状の第1の部分と、テーパー状ではなく、且つ、第1のリングギヤ115に嵌められて固定される第2の部分とから構成される。このようにテーパー構造が形成された構成によれば、遊星ギヤセットが回転動作するときは、第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114及び第2のリングギヤ115のそれぞれのギア接触面には円滑な回転に必要な所定のクリアランスが確保され、回転が終了したときには、それぞれのギア(第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114、第2のリングギヤ115)が自重によって元の位置に復帰し、テーパー構造によって互いに密着して緊密にかみ合うため、不要なバックラッシュの発生を効率的に抑制することができる。回転終了の際にそれぞれのギア(第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114、第2のリングギヤ115)がさらに迅速に復帰するように、ギア部109の一側に弾性力を付与するバネが付け加えられてもよい。
上記のようなテーパー構造が少なくとも第2のPLギア114と第2のリングギヤ115との接触部に形成されることにより、風などのような外力による回転装置100の揺動を防止する効果を奏することができる。第2の太陽ギヤ113にもテーパー構造が形成される場合は、第2のPLギア114がその中心に位置した第2の太陽ギヤ113によって安定的に支持されるため、外力による回転装置の揺動をさらに効果的に防止することができる。
第2の遊星ギヤセットの回転時にギア(第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114、第2のリングギヤ115)間の接触面に数ミリメートル程の所定のバックラッシュが要求される場合は、複数の第2のPLギア114が回転力によって自重を克服しながら若干上昇移動することで、円滑な回転に必要なバックラッシュを確保可能である。一方、第2の遊星ギヤセットの回転が終了したとき、複数の第2のPLギア114は自重によって元の位置に下降復帰し、テーパー構造によって第2の太陽ギヤ113及び第2のリングギヤ115と互いに緊密に噛合されるため、風などのような外力によって回転装置100が揺れることが防止され、これにより太陽光パネルアレイ15の揺動が防止できる。
【0011】
本発明の変形形態によれば、第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114及び第2のリングギヤ115のうちのテーパー構造が形成されるギアは多様な組み合わせになり得る。具体的には、図6に示されたように、テーパー構造を形成する傾斜した歯形は、第2のPLギア114の外周面と第2のリングギヤ115の内周面のみに形成され、第2の太陽ギヤ113の外周面はテーパー状ではない歯形を有するように構成されてもよい。このとき、第2のリングギヤ115を構成する上側の第2のリングギヤ115aと下側の第2のリングギヤ115bとは、第2のPLギア114の傾斜面に対応して相異なる内径を有する。
他の変形形態として、テーパー構造を形成する傾斜した歯形は、図7に示されたように第2のリングギヤ115の内周面のみに形成され、第2の太陽ギヤ113及び第2のPLギア114はテーパー状ではない歯形を有するように構成されてもよい。
さらに他の変形形態として、テーパー構造を形成する傾斜した歯形は、図8に示されたように第2のPLギア115の外周面のみに形成され、第2の太陽ギヤ113及び第2のリングギヤ115はテーパー状ではない歯形を有するように構成されてもよい。
駆動モータ107は、第2の管状体106の内部に、好ましくは、第2の管状体106と同軸を成しながら立設されて固定されてギア部109に回転力を提供する。
【0012】
図3をさらに参照する。第1の管状体101と第2の管状体106との結合部位やその周辺、または接触部位には、電源及び/または信号の伝達のための第1の接点102、第2の接点103、及び第3の接点104が設けられる。図示されていないが、本発明の変形形態によれば、接点の個数が3接点を超える回転装置も提供され得る。
第1の接点102及び第2の接点103はそれぞれ、第2の管状体106と実質的に連結されるように固定された導体リング102a、103aと、第1の管状体101と第2の管状体106との間の相対回転時に、前記導体リング102a、103aの上面と摺動して接触を継続的に維持する導体ブロック102b、103bとの接点対で構成される。第1の接点102の導体リング102aと第2の接点103の導体リング103aとは、互いに同心円状に配列される。第1の接点102及び第2の接点103の一方は負極端子になり、他方は正極端子になる。複数の太陽光パネル15aの全体出力区間の両端は第1の接点102及び第2の接点103にそれぞれ連結される。第1の接点102及び第2の接点103を通じて出力される電力は、発電用インバータ108に供給されて発電用として使用される。
第3の接点104は、第1の接点102及び第2の接点103の上側でギア部109の回転部位に固定されて第1の管状体101と一体的に回転する導体リング104aと、第1の管状体101と第2の管状体106との間の相対回転時に、前記導体リング104aの下面と摺動して接触を維持する導体ブロック104bとの接点対で構成される。第3の接点104は、太陽光パネルアレイ15を構成する複数の太陽光パネル15aのうちの一部出力区間(例えば、一つの太陽光パネル15aの出力端)から引き出された正極端子と電気的に連結される。第3の接点104を通じて出力される電力は、駆動モータ107及び所定のPCB(Printed Circuit Board:印刷回路基板)の駆動のための電源として使われる。第3の接点104は、第2の接点103に比べて、回転装置の回転軸から半径方向において相対的に内側、すなわち駆動モータ107に近接して配置されて駆動モータ107及びPCBに電力を供給することが好ましい。
第1の接点102は、第2の接点103及び第3の接点104に対して負極共通端子として使用されることが好ましい。第1の接点102、第2の接点103及び第3の接点104に与えられる電気極性は、上述した実施形態に限定されず、多様な変形があり得ることは勿論である。
上記のような構成を有する太陽光回転装置100は、駆動モータ107の回転力をギア部109に提供して第1の管状体101を回転させることで、第1の管状体101の上端に固定された太陽光パネルアレイ15を徐々に回転させる。第1の管状体101は、安定的に太陽光パネル15aを支持した状態で、ポール10に固定された第2の管状体106に対して回転する。第1の管状体101と第2の管状体106との間にはベアリングが介在されているため、構造的に安定的であって、スムーズに回転することができる。太陽光パネル15aの回転経路は、太陽の日照量を考慮してできるだけ太陽に十分に露出するように設定されることが好ましい。太陽光パネル15aを決められた時間にわたって一定の速度で回転させれば、複雑な構造の太陽光追跡装置を別途に使用しなくても、太陽光パネル15aを一方向に向かうように止まった状態で載置する場合に比べて、太陽光発電電力量を増大させることができる。
さらに、本発明には、太陽光パネルアレイ15の他に、昇降型照明ユニット及び昇降型CCTV(Closed Circuit Television:閉回路テレビ)カメラユニットが取り付けられ得る。この場合、それぞれのユニットの本体に内蔵されたドラムの正方向回転駆動による第1の昇降紐及び第2の昇降紐の巻き上げによって照明ユニット及びCCTVカメラユニットが上昇し、ポール10の上部に位置したそれぞれの本体と結合されたとき、それぞれの本体に内蔵された上部接点部と下部接点部とが互いに接触して照明ユニット及びCCTVカメラユニットに電源が供給され得る。ここで、前記照明ユニット及びCCTVカメラユニットの駆動のための電源は、例えば、第1の接点を通じて提供され得る。
【0013】
本発明による太陽光回転装置100は、駆動モータ107の動作時の回転力がギア部109を通じて第1の管状体101を回転させることで、太陽光パネルアレイが徐々に回転するようになる。第1の管状体101は、安定的に太陽光パネルアレイを支持した状態で、ポールに固定された第2の管状体106に対して回転する。
ギア部109は、第1の遊星ギヤセット及び第2の遊星ギヤセットを含む遊星ギヤセットから構成され、駆動モータ107の回転力を減速させて第1の管状体101に出力する。第1の管状体101は、その上面に固定された太陽光パネルアレイ15と一体的に回転する。
駆動モータ107の回転力は、第1の遊星ギヤセットと第2の遊星ギヤセットに連鎖的に伝達される。第2の遊星ギヤセットの回転時には、第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114及び第2のリングギヤ115のそれぞれのギア接触面に円滑な回転に必要な所定のクリアランスが確保され、回転終了時には、それぞれのギアが自重によって元の位置に復帰しながら、テーパー構造によって互いに密着して緊密にかみ合うため、不要なバックラッシュの発生を防止することができる。ここで、テーパー構造は、第2の太陽ギヤ113、第2のPLギア114及び第2のリングギヤ115のすべてに形成されることが最も好ましいが、第2のPLギア114及び第2のリングギヤ115のみに形成されても、不要なバックラッシュの発生を低減させる効果を得ることができる。
第1の管状体101と第2の管状体106とのアセンブリを太陽光パネル15aに結合した組立体は、駆動モータ107の回転軸の直径に比べて第1の管状体101及び第2の管状体106の直径が一層大きいため、単に駆動モータの回転軸を太陽光パネルに連結して回転させる従来の技術に比べて安定的に回転力を伝達することができる。すなわち、駆動モータで発生する振動や風などの外力が加えられても、駆動モータの回転力を誤謬なく太陽光パネル15aに伝達することができる。
【0014】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明を適用する場合、ポールの上端に取り付けられた太陽光パネルを安定的に回転させることにより、高効率で太陽光発電を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
【国際調査報告】