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特表2024-546303鋼板表面処理用溶液組成物、これを用いて表面処理された鋼板及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】鋼板表面処理用溶液組成物、これを用いて表面処理された鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/30 20060101AFI20241212BHJP
   C23C 2/06 20060101ALI20241212BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C23C22/30
C23C2/06
C23C28/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537528
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022020708
(87)【国際公開番号】W WO2023121175
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0183798
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 チャン-フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、 ス-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 テ-チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、 スン-ユ
【テーマコード(参考)】
4K026
4K027
4K044
【Fターム(参考)】
4K026AA07
4K026AA22
4K026BA03
4K026BA08
4K026BB08
4K026BB10
4K026CA13
4K026CA19
4K026CA23
4K026CA30
4K026CA32
4K026CA33
4K026CA37
4K026CA38
4K026CA39
4K026DA02
4K026DA03
4K026DA06
4K027AA05
4K027AA22
4K027AB01
4K027AB05
4K027AB44
4K044AA06
4K044AB02
4K044BA10
4K044BA12
4K044BB03
4K044BC02
4K044BC09
4K044CA11
4K044CA16
4K044CA53
(57)【要約】
本発明は、鋼板の点状腐食耐食性及び耐黒変性を向上させることができる溶液組成物、これを用いて表面処理された鋼板及び上記鋼板を製造する方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)3価クロム化合物20~60重量%、
(b)酸度調節剤0.1~10重量%、
(c)密着性向上剤1~20重量%、
(d)耐食性改善剤1~20重量%、
(e)点状腐食改善剤0.01~3.0重量%、
(f)助溶剤1~20重量%、及び
(g)残留溶剤を含む、鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項2】
前記3価クロム化合物は、硫酸クロム、硝酸クロム、リン酸クロム、フッ化クロム、塩化クロム、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項3】
前記酸度調節剤は、リン酸、硝酸、硫酸、フッ酸、塩酸、(NH)HPO、(NHHPO、NaHPO、NaHPO、フィチン酸(Phytic acid)、グリコール酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項4】
前記密着性向上剤は、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルエポキシシラン、ビニルトリエポキシシラン、3-アミノプロピルトリエポキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタグリオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシトリメチルジメトキシシラン、N-(3-(trimethoxysilyl)propyl)ethylenediamine(AEAPTMS)、2-(3,4-Epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、2-(3,4-Epoxycyclohexyl)ethyltriethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propyltrimethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propyltriethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propylmethyldiethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propylmethyldimethoxysilane、3-Aminopropyltriethoxysilane、3-Aminopropyltrimethoxysilane、3-Aminopropylmethyldiethoxysilane、N-(2-Aminoethyl-3-aminopropyl)methyldimethoxysilane、N-(2-Aminoethyl-3-aminopropyl)trimethoxysilane、Diethylenetriaminopropyltrimethoxysilane、3-Ureidopropyltrimethoxysilane、N-Phenylaminopropyltrimethoxysilane、(3-Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane(GPTMS)、Methyltrimethoxysilane(MTMS)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項5】
前記耐食性改善剤は、バナジルアセチルアセトネート(Vanadyl acetylacetonate)、メタバナジン酸アンモニウム(Ammonium metavanadate)、メタバナジン酸カリウム(Potassium metavanadate)、メタバナジン酸ナトリウム(Sodium metavanadate)、バナジウム三酸化物(Vanadium trioxide)、バナジウムアセチルアセテート、アンモニウムメタバナデート、酸化ケイ素、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項6】
前記点状腐食改善剤は、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルアミン、メチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンアミン、アニリン、トルイジン、ピペリジン、アジリジン、ピリジン、アラニン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項7】
前記助溶剤は、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、タローアルコール(Tallow alcohol)、2-ブトキシエタノール(2-butoxyethanol)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Diethylene glycol monobutyl ether)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項8】
前記溶剤は水である、請求項1に記載の鋼板表面処理用溶液組成物。
【請求項9】
鋼板と、
前記鋼板の少なくとも一面に形成されたZn-Mg-Al系めっき層と、
前記めっき層上に形成された表面処理コーティング層と、を含み、
前記表面処理コーティング層は、請求項1~8のいずれか一項の組成物から形成されたコーティング層である、表面処理されためっき鋼板。
【請求項10】
前記Zn-Mg-Al系めっき層は、重量%で、マグネシウム(Mg):4.0~7.0%、アルミニウム(Al):11.0~19.5%、残部Zn、及びその他の不可避不純物を含み、
下記関係式1を満たすことを特徴とする、請求項9に記載の表面処理されためっき鋼板。
[関係式1]
0.26≦I(110)/I(103)≦0.65
(関係式1において、I(110)は、MgZn相における(110)面結晶ピークのX線回折積分強度を表し、前記I(103)は、MgZn相における(103)面結晶のX線回折積分強度を表す。)
【請求項11】
前記表面処理コーティング層は、0.1~2.0μmの厚さを有するものである、請求項9に記載の表面処理されためっき鋼板。
【請求項12】
鋼板の少なくとも一面に溶融亜鉛めっき処理してZn-Mg-Al系めっき層を形成する段階と、
前記めっき層上に請求項1~8のいずれか一項の組成物をコーティング処理する段階と、
前記コーティング処理された鋼板を乾燥処理する段階と、を含む、表面処理されためっき鋼板の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング処理は、バーコーティング、ロールコーティング、スプレー、沈積、スプレースキージング、及び沈積スキージングからなる群から選択されるいずれか一つの方法で行われるものである、請求項12に記載の表面処理されためっき鋼板の製造方法。
【請求項14】
前記乾燥は、鋼板の最終到達温度(PMT)を基準として40~280℃の温度範囲で行われるものである、請求項12に記載の表面処理されためっき鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板の点状腐食耐食性及び耐黒変性を向上させることができる溶液組成物、これを用いて表面処理された鋼板及び上記鋼板を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、及びアルミニウム(Al)を含有するめっき層が形成された高耐食溶融めっき鋼材は、赤さび(red rust)耐食性に優れた鋼材として知られている。
【0003】
ところで、このような高耐食溶融めっき鋼材は、露出面がほとんど亜鉛又は亜鉛合金からなっているため、一般環境、特に、湿潤雰囲気に露出されたときに表面に点状の腐食性欠陥が発生し易く、外観が悪くなるという問題がある。また、最近では、賃加工工程において、ロールを通過する際、溶融めっき鋼材のコーティング層がロールに付いてしまう異物性欠陥も発生している。
【0004】
このような問題点を解決するために、従来はめっき処理された鋼板に6価クロム又はクロメート処理を行うことで耐食性及び耐黒変性を確保してきた。しかし、6価クロムが有害環境物質として指定され、現在は6価クロムの使用に対する規制が強化されている実情である。さらに、6価クロムをめっき鋼板の表面処理剤として使用すると、鋼板の表面が黒色に変わるか、黒点が生じるという欠陥の問題がある。
【0005】
そこで、現在は、3価クロムを含有する表面処理溶液組成物をめっき鋼板上にコーティングして、めっき鋼板の耐食性と耐黒変性を確保する方法が開発されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、3価クロムを含有する組成物に鋼板を沈積させて化成処理する方式を適用している。この方式は、鉄鋼会社の連続工程に適用するには沈積時間が長く、化成処理方法は鋼板の耐指紋性を阻害するなどの問題がある。
【0007】
一方、特許文献2及び3では、3価クロムを含有する組成物をめっき鋼板上にスプレー又はロールコータ方式でコーティングすることにより、鉄鋼会社の連続ラインへの適用が可能であり、耐指紋性を確保することができると開示している。しかし、これらの組成物には多孔質のシリカ成分が含まれることから、湿潤な雰囲気において変色発生の激しいMg、Al系合金には適していない。その上、多孔質のシリカは吸湿性質が強く、Zn-Mg-Al系合金鋼板では急激な変色発生を誘発させるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開公報第10-2009-0024450号
【特許文献2】韓国特許公開公報第10-2004-0046347号
【特許文献3】日本特許公開公報第2002-069660号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、高耐食めっき鋼板の表面に適用されるコーティング溶液の組成を制御して、鋼板の点状腐食耐食性と耐黒変性を向上させるものであって、溶液安定性に優れた溶液組成物を提供し、これを用いて表面処理された鋼板及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
本発明の課題は上述した内容に限定されない。本発明の課題は本明細書の内容全般から理解されることができ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の付加的な課題を理解するのに何ら困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、(a)3価クロム化合物20~60重量%、(b)酸度調節剤0.1~10重量%、(c)密着性向上剤1~20重量%、(d)耐食性改善剤1~20重量%、(e)点状腐食改善剤0.01~3.0重量%、(f)助溶剤1~20重量%、及び(g)残部溶剤を含む鋼板表面処理用溶液組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の一実施形態は、鋼板と、上記鋼板の少なくとも一面に形成されたZn-Mg-Al系めっき層と、上記めっき層上に形成された表面処理コーティング層と、を含み、上記表面処理コーティング層は、上述した溶液組成物から形成されたコーティング層である表面処理されためっき鋼板を提供する。
【0013】
本発明の他の一実施形態は、鋼板の少なくとも一面に溶融亜鉛めっき処理してZn-Mg-Al系めっき層を形成する段階と、上記めっき層上に上述した溶液組成物をコーティング処理する段階と、上記コーティング処理された鋼板を乾燥処理する段階と、を含む、表面処理されためっき鋼板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長時間保管後の使用時にも沈殿、凝集等が発生せず、優れた溶液安定性を有する溶液組成物を提供することができ、上記溶液組成物を鋼板上にコーティングすることにより、優れた点状腐食耐食性と耐黒変性を有する鋼板を提供することができる。
【0015】
さらに、コーティング過程で異物欠陥を改善することによって製品の寿命を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態において、点状腐食(エッジ部)が発生しためっき鋼板(a)及び表面腐食が発生していないめっき鋼板(b)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の発明者らは、鋼板、例えば高耐食溶融めっき鋼材をコーティング処理するにあたり、コーティング処理された鋼板の点状腐食耐食性だけでなく、耐黒変性を向上させるのに有利な溶液組成物を得るために深く研究した。
【0018】
その結果、3価クロム化合物と共に、酸度調節剤、密着性向上剤、耐食性改善剤、点状腐食改善剤、及び助溶剤を適量で混合した溶液組成物を提供することができ、この溶液組成物は溶液安定性が高い。このような溶液組成物を鋼板に表面処理する場合、意図する効果が得られることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
まず、本発明の一実施形態による鋼板表面処理用溶液組成物について具体的に説明する。
【0021】
本発明による溶液組成物は、(a)3価クロム化合物20~60重量%、(b)酸度調節剤0.1~10重量%、(c)密着性向上剤1~20重量%、(d)耐食性改善剤1~20重量%、(e)点状腐食改善剤0.01~3.0重量%、(f)助溶剤1~20重量%、及び(g)残部溶剤を含むことができる。
【0022】
本発明の溶液組成物の含有量は、全100重量%を基準とする。
【0023】
後述にて具体的に説明するが、上記溶液組成物は、組成物を塗布することができる基材(substrate)の少なくとも一面にコーティング層を形成することができる。本発明において、上記基材は上述した鋼板、例えば高耐食溶融めっき鋼材であることができ、非制限的な一例としてZn-Mg-Al系合金めっき鋼板であることができる。
【0024】
以下では、上記溶液組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0025】
(a)3価クロム化合物20~60重量%
【0026】
本発明の溶液組成物において、3価クロム化合物は、鋼板の表面で主に不溶性被膜を形成し、バリア効果(Barrier effect)による耐食性向上を図る。
【0027】
本発明の溶液組成物において、上記3価クロム化合物の含有量が20%未満であると、堅固な不溶性被膜を十分に形成できないことから鋼板の表面に浸透する水分を効果的に遮断することができず、その結果、耐食性を確保できなくなる。一方、その含有量が60%を超えると、過度なクロム成分によって異物欠陥が発生するおそれがある。
【0028】
本発明において、上記3価クロム化合物の種類について特に制限はしないが、好ましくは硫酸クロム、硝酸クロム、リン酸クロム、フッ化クロム、塩化クロム、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものであることができる。
【0029】
(b)酸度調節剤0.1~10重量%
【0030】
本発明の溶液組成物において、酸度調節剤は、溶液のpHを調節して組成物内の成分が溶液中に安定して存在し、コーティング条件下で適切に反応して被膜を安定的に形成できるようにする役割を果たす。
【0031】
このような酸度調節剤の含有量が0.1%未満であると、溶液のpHが高くなって溶液安定性が低下するおそれがあり、一方、その含有量が10%を超えると、乾燥後の残留酸によって耐食性等を確保できなくなる可能性がある。
【0032】
本発明において、上記酸度調節剤の種類について特に制限はしないが、好ましくはリン酸、硝酸、硫酸、フッ酸、塩酸、(NH)HPO、(NHHPO、NaHPO、NaHPO、フィチン酸(Phytic acid)、グリコール酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものであることができる。
【0033】
(c)密着性向上剤1~20重量%
【0034】
本発明の溶液組成物において、密着性向上剤は、上記3価クロム化合物等と結合し、鋼板とも結合してコーティング層の密着性及び耐食性等を向上させる役割を果たす。
【0035】
このような密着性向上剤の含有量が1%未満であると、鋼板との密着性を十分に確保できないことから異物欠陥が発生する可能性がある。一方、その含有量が20%を超えると、塗膜形成後に残存する量が過度になり、耐食性等を確保できない可能性がある。
【0036】
本発明において、上記密着性向上剤の種類について特に制限はしないが、好ましくはビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルエポキシシラン、ビニルトリエポキシシラン、3-アミノプロピルトリエポキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタグリオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシトリメチルジメトキシシラン、N-(3-(trimethoxysilyl)propyl)ethylenediamine(AEAPTMS)、2-(3,4-Epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、2-(3,4-Epoxycyclohexyl)ethyltriethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propyltrimethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propyltriethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propylmethyldiethoxysilane、3-(2,3-Epoxypropoxy)propylmethyldimethoxysilane、3-Aminopropyltriethoxysilane、3-Aminopropyltrimethoxysilane、3-Aminopropylmethyldiethoxysilane、N-(2-Aminoethyl-3-aminopropyl)methyldimethoxysilane、N-(2-Aminoethyl-3-aminopropyl)trimethoxysilane、Diethylenetriaminopropyltrimethoxysilane、3-Ureidopropyltrimethoxysilane、N-Phenylaminopropyltrimethoxysilane、(3-Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane(GPTMS)、Methyltrimethoxysilane(MTMS)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものであることができる。
【0037】
(d)耐食性改善剤1~20重量%
【0038】
本発明の溶液組成物において、耐食性改善剤は、上記3価クロム化合物と密着性向上剤などとの間に存在し得る間隙を満たしながら不動態被膜を形成し、腐食生成を抑制する役割を果たす。
【0039】
このような耐食性改善剤の含有量が1%未満であると、不動態被膜を十分に形成できないことから耐食性確保に困難があり、一方、その含有量が20%を超えると、過度に高い固形分によって溶液安定性が低下する可能性がある。
【0040】
本発明において、上記耐食性改善剤の種類について特に制限はしないが、好ましくはバナジルアセチルアセトネート(Vanadyl acetylacetonate)、メタバナジン酸アンモニウム(Ammonium metavanadate)、メタバナジン酸カリウム(Potassium metavanadate)、メタバナジン酸ナトリウム(Sodium metavanadate)、バナジウム三酸化物(Vanadium trioxide)、バナジウムアセチルアセテート、アンモニウムメタバナデート、酸化ケイ素、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものであることができる。
【0041】
(e)点状腐食改善剤0.01~3.0重量%
本発明の溶液組成物において、点状腐食改善剤は、上記耐食性改善剤と共に腐食因子の局部的な浸透を防止し、点状形態で発生する点状腐食を最小化する役割を果たす。
【0042】
本発明の溶液組成物において、上記点状腐食改善剤の含有量が0.01%未満であると、腐食因子の局部的な浸透を遮断できないことから点状腐食が発生するという問題がある。一方、その含有量が3.0%を超えると、溶液のpHが過度に上昇して溶液安定性が低下するおそれがある。
【0043】
本発明において、上記点状腐食改善剤の種類について特に制限はしないが、好ましくはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルアミン、メチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンアミン、アニリン、トルイジン、ピペリジン、アジリジン、ピリジン、アラニン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものであることができる。
【0044】
(f)助溶剤1~20重量%
【0045】
本発明の溶液組成物において、助溶剤は、コーティング作業中の乾燥過程で溶剤の揮発速度を調節し、乾燥後の被膜表面の欠陥を抑制する役割を果たす。
【0046】
このような助溶剤の含有量が1%未満であると、乾燥中の揮発速度を調節する効果が不十分であることから、主溶剤の蒸発速度が沸点で急激に沸騰して、いわゆるポッピング(popping)という表面欠陥が発生し、これにより耐食性低下などの問題が生じる。一方、その含有量が20%を超えると、溶液の粘度及び密度などの急激な変化によって溶液安定性が低下する可能性がある。
【0047】
本発明において、上記助溶剤の種類について特に制限はしないが、好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、タローアルコール(Tallow alcohol)、2-ブトキシエタノール(2-butoxyethanol)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Diethylene glycol monobutyl ether)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のものであることができる。
【0048】
(g)溶剤
【0049】
本発明の溶液組成物は残部成分として溶剤を含むことができ、本発明において、上記溶剤として水(蒸留水、脱イオン水)を使用することができる。
【0050】
以下、本発明の他の一実施形態による、上述した溶液組成物により表面処理した一定のコーティング層を含む、表面処理された鋼板について詳細に説明する。
【0051】
本発明において、上記組成物はめっき鋼板に表面処理することができ、好ましくは三元系(Zn-Mg-Al系)溶融亜鉛めっき鋼板に表面処理することができる。
【0052】
すなわち、本発明の表面処理された鋼板は、鋼板と、上記鋼板の少なくとも一面に形成されたZn-Mg-Al系めっき層と、上記めっき層上に形成された表面処理コーティング層と、を含むことができる。
【0053】
ここで、上記鋼板は、めっき鋼板を得ることができる素地鋼板(base steel sheet)のものであって、特に三元系(Zn-Mg-Al系)溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる鋼板であれば如何なるものであっても構わない。
【0054】
上記Zn-Mg-Al系めっき層は、その組成が重量%で、マグネシウム(Mg):4.0~7.0%、アルミニウム(Al):11.0~19.5%、残部Zn、及びその他の不可避不純物を含むことができる。
【0055】
上記めっき層中のマグネシウム(Mg)は、めっき鋼板の耐食性を向上させる役割を果たす元素であって、本発明で目的とする優れた耐食性を確保するために、その含有量が4.0%以上であることが好ましい。ただし、上記Mgの含有量が過度である場合、めっき浴中でドロスを生じさせるおそれがあり、めっき層中で硬度の高い金属間化合物を過多に形成し、鋼板の曲げ性を悪化させるおそれがあるため、その含有量を7.0%に制限することができる。
【0056】
一方、上記Mgの含有量を4.0%以上で添加することにより、めっき浴中でMg酸化によるドロス発生の危険性が存在するため、これを考慮して、上記アルミニウム(Al)を11.0%以上で含むことが好ましい。ただし、上記Alの含有量が過度である場合、めっき浴の融点が高くなり、それによって操業温度が過度に高くなることから、めっき浴構造物の浸食及び鋼板の変性をもたらすなどの高温作業による問題を引き起こす可能性がある。従って、上記Alは、19.5%以下にその含有量を制限することが好ましい。
【0057】
上記MgとAlを除いた残部の組成は亜鉛(Zn)であり、Zn-Mg-Al系めっき層を有するめっき鋼板を製造する過程で意図しない不可避不純物が混入することがある。このとき、不可避不純物は、当該技術分野の技術者であればその意味を容易に理解できることを明らかにしておく。
【0058】
上述したZn-Mg-Al系めっき層の組織が下記[関係式1]を満たすことが好ましい。
【0059】
[関係式1]
0.26≦I(110)/I(103)≦0.65
(関係式1において、I(110)は、MgZn相における(110)面結晶ピークのX線回折積分強度を表し、上記I(103)は、MgZn相における(103)面結晶のX線回折積分強度を表す。)
【0060】
本発明では、上記Zn-Mg-Al系めっき層のMgZn相に対し、上記[関係式1]で制御することにより、めっき鋼板の曲げ性、白色度等を確保することができる。
【0061】
上記[関係式1]で定義される値が0.26未満であると、MgZn相における(110)面結晶に対してMgZn相における(103)面結晶の存在割合が過多であることから、曲げ性や白色度が不十分となる可能性がある。一方、上記値が0.65を超えると、MgZn相における(103)面結晶に対してMgZn相における(110)面結晶の存在割合が多すぎることから、乱反射の増大を誘導できず、白色度が不十分となる問題が生じる可能性がある。
【0062】
このとき、上記I(110)は、積分強度の値が120~200の範囲を有することができ、上記I(103)は、積分強度の値が240~300の範囲を有することができる。このように、各範囲内で上記[関係式1]の値を満たすことが好ましい。
【0063】
上述したZn-Mg-Al系めっき層の上部には、本発明の組成物を溶液状態でコーティング処理することで形成されたコーティング層を含むことができ、このとき、コーティング層は0.1~2.0μmの厚さを有することが好ましい。
【0064】
上記コーティング層の厚さが0.1μm未満であると、めっき鋼板表面に存在する粗さの山の部位に表面処理溶液組成物が薄く塗布され耐食性が低下する問題があり、一方、その厚さが2.0μmを超えると、被膜層(コーティング層)が厚く形成されることにより加工性が劣化し、溶液処理コストが上昇して経済的に不利になる。
【0065】
ここで、上記厚さは乾燥後の厚さを意味する。
【0066】
さらに、本発明は、上記組成物を用いて表面処理された鋼板を製造する方法について説明する。
【0067】
より詳細には、鋼板の少なくとも一面に溶融亜鉛めっき処理してZn-Mg-Al系めっき層を形成する段階と、上記めっき層上に本発明の組成物を溶液状態で塗布してコーティング処理する段階と、上記コーティング処理された鋼板を乾燥処理する段階と、を含むことができる。
【0068】
本発明の組成物を溶液状態で上記鋼板に塗布するにあたり、一般的に使用されるコーティング法を適用することができるため、特に限定はしない。
【0069】
例えば、バーコーティング、ロールコーティング、スプレー、沈積、スプレースキージング、沈積スキージングなどの方法のうち1つの方法を選択してコーティング工程を行うことができる。
【0070】
上記組成物でコーティング処理された鋼板を乾燥処理する工程は、素材鋼板(鋼板)の最終到達温度(PMT)を基準として40~280℃の温度範囲で行われることが好ましい。
【0071】
上記素材鋼板の最終到達温度を基準として40℃未満であると、堅固な被膜構造の形成が不十分となり、耐食性及び耐黒変性に劣る恐れがある。一方、その温度が280℃を超えると、被膜の硬度が過度に増加して加工部耐食性が劣化し、過度な熱による黄変現象など表面品質が劣化する可能性がある。
【0072】
上記乾燥処理が完了した鋼板は、乾燥後の厚さで0.1~2.0μmのコーティング層を有することができる。
【0073】
本発明において、上記乾燥処理を行うための手段として特に限定はしないが、インダクションオーブン又は熱風乾燥炉などの設備を利用できることを明らかにしておくと共に、これらの設備の条件は通常の条件によるものであってよい。
【0074】
以下、本発明について実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、このような実施例の記載は、本発明の実施を例示するためのものであり、このような実施例の記載によって本発明が制限されるものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項とそれから合理的に類推される事項によって決定されるためである。
【実施例
【0075】
[鋼板表面処理用溶液組成物の製造]
本発明の鋼板表面処理用溶液組成物の物性を測定するために、次のような物質を使用して溶液組成物を製造した。
【0076】
まず、蒸留水(溶剤)に酸度調節剤としてリン酸を添加した後、約40℃で3価クロム化合物である硝酸クロムを添加し、約30分間撹拌させた。同様の方式で、密着性向上剤である(3-Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane(GPTMS)、耐食性改善剤である酸化ケイ素、点状腐食改善剤であるエチレンジアミン、助溶剤としてエタノールを30分間隔でそれぞれ添加しながら撹拌させた。
【0077】
このとき、各成分の含有量は下記表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
溶液安定性
製造された溶液組成物が一定の条件において溶液の安定性が維持されるかを確認するために、次のような実験を行った。
【0080】
上記発明例1~12及び比較例1~12の各溶液組成物の初期粘度(Vi)を測定した後、50℃のオーブンで120時間保管し、25℃に冷却させて、25℃での粘度(VI)を測定した。それぞれ測定された粘度値を下記数学式1に代入して計算された値(ΔV)によって溶液安定性を評価した。その結果は下記表3に示す。
【0081】
[数学式1]
△V=(Vl-Vi)/Vi×100(%)
【0082】
<溶液安定性の評価基準>
○:ΔV値が20(%)未満であるか、又は目視観察時にゲル化現象が見られない
×:ΔV値が20(%)以上であるか、又は目視観察時にゲル化現象が見られる
【0083】
[表面処理された鋼板の製造]
次に、上記製造された溶液組成物を鋼板表面にバーコーティング法で塗布した後、インダクションオーブンで乾燥処理を行い、それぞれの表面処理された鋼板を得た。上記バーコーティング時の組成物の付着量がCrを基準として約35mg/mとなるように実施した。
【0084】
このとき、溶液組成物を塗布するための鋼板としては、Zn-Mg-Al系合金溶融亜鉛めっき鋼板(めっき層:Mg5.4重量%、Al12.6重量%、残部Zn、及び不可避不純物、[関係式1]の値:0.40)を用い、7cm×15cm(横×縦)に切断して脱脂処理した試験片に作製した。
【0085】
上記表面処理時の乾燥処理温度と形成されたコーティング層の厚さについては、下記表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
上記によって製造された表面処理された鋼板の物性を測定するために、次のような方法及び基準で平板耐食性、加工部耐食性、造管油侵害性、耐アルカリ性、点状腐食耐食性、異物欠陥等を測定した。各結果は下記表3に示す。
【0088】
平板耐食性
ASTM B117で規定した方法に基づいて、各鋼板(試験片)に対して溶液組成物を処理した後、時間経過による鋼板の白さび発生率を測定した。
【0089】
<平板耐食性の評価基準>
○:白さび発生時間が144時間以上
△:白さび発生時間が96時間以上144時間未満
×:白さび発生時間が96時間未満
【0090】
加工部耐食性
上記によって表面処理された鋼板(試験片)をエリクセンテスター(Erichsen tester)を用いて6mmの高さに押し上げた後、24時間経過したときの白さび発生程度を測定した。
【0091】
<加工部耐食性の評価基準>
○:白さびが発生しないか、又は発生してもかなり微細である場合
△:円に白さびが発生して一部流れたが、外に流れていない場合
×:白さびが発生して円の外に流れた場合
【0092】
造管油侵害性
上記によって表面処理された鋼板(試験片)を常温で造管油に沈積して24時間維持した後、沈積前/後の色差を測定した。このとき、造管油は、韓国のBuhmwoo社のBW WELL MP-411を10%水に希釈して使用した。
【0093】
<造管油侵害性の評価基準>
○:ΔE≦2
△:2<ΔE≦3
×:3<ΔE
【0094】
耐アルカリ性
上記によって表面処理された鋼板(試験片)を60℃の脱脂溶液に2分間沈積した後、水洗、エアブローイング(air blowing)し、前/後の色差を測定した。このとき、アルカリ脱脂溶液はパーカライジング社のFinecleaner L 4460 A:20g/2.4L+L 4460 B:12g/2.4L(pH=12)を使用した。
【0095】
<耐アルカリ性の評価基準>
○:ΔE≦2
△:2<ΔE≦4
×:4<ΔE
【0096】
点状腐食耐食性
上記によって表面処理された鋼板(試験片)の表面に噴霧器を用いて露ができるようにした後、上記噴霧処理された2枚の鋼板を突き合わせて包装し、恒温恒湿器に入れて高温湿度(42℃、95%)で6時間、低温湿度(15℃、60%)で6時間を1サイクルとして総8サイクル(cycle)行った後、表面の点状欠陥個数を測定した。このとき、鋼板のスキャン面積を150×50mmに設定し、これを100倍に拡大して腐食性点状欠陥面積が29500μm以上のものの数のみを数えた。
【0097】
<点状腐食耐食性の評価基準>
○:点状個数≦20
△:20<点状個数≦40
×:40<点状個数
【0098】
異物欠陥
上記によって表面処理された鋼板(試験片)の異物欠陥を評価するために、表面積が約4cmの探針に白いガーゼをかぶせた後、探針の上に重さ10kgの錘を載せ、この探針を上記鋼板表面に100回往復摩擦させた後、摩擦前/後のガーゼの白色度値(ΔL=Lbefore-Lafter)を測定した。このとき、高湿条件を模写するために湿度チャンバ内に上記鋼板と探針を位置させ、上記チャンバ内を加湿器を用いて95%以上の湿度に維持させた後、摩擦評価を行った。
【0099】
<異物欠陥の評価基準>
○:ΔL≦2.5
△:2.5<ΔL≦5.0
×:5.0<ΔL
【0100】
【表3】
【0101】
上記表3に示すように、発明例1~12の溶液組成物は溶液安定性に優れ、このような溶液組成物で表面処理された鋼板も全ての評価結果において極めて優れた結果を示した。
【0102】
これに対し、比較例1は、3価クロム化合物の含有量が不十分である場合であって、バリア効果による耐食性が十分でなく、平板耐食性、加工部耐食性、点状腐食耐食性に劣っていた。
【0103】
比較例2は、3価クロム化合物の含有量が過度に高い場合であって、異物欠陥が発生したことが分かる。
【0104】
比較例3は、酸度調節剤の含有量が不十分であることから溶液安定性に劣り、このような溶液組成物を表面処理した鋼板の平板耐食性、加工部耐食性、点状腐食耐食性に劣っていた。
【0105】
比較例4は、酸度調節剤の含有量が過度である場合であって、溶液中に残留する酸が多くなり、表面処理された鋼板の平板耐食性、加工部耐食性、点状腐食耐食性に劣っていた。
【0106】
比較例5は、密着性向上剤の含有量が不十分である場合であって、異物欠陥が発生した。
【0107】
比較例6は、密着性向上剤の含有量が高すぎる場合であって、残存する未反応シランにより、表面処理された鋼板の平板耐食性、加工部耐食性、点状腐食耐食性に劣っていた。
【0108】
比較例7は、耐食性改善剤の含有量が不十分である場合であって、耐食性が十分でなく、平板耐食性、加工部耐食性、点状腐食耐食性に劣っていた。
【0109】
比較例8は、耐食性改善剤の含有量が過度である場合であって、過度に多くなった固形分によって溶液安定性に劣り、表面処理された鋼板の耐アルカリ性に劣り、異物欠陥が発生した。
【0110】
比較例9は、点状腐食改善剤の含有量が不十分である場合であって、表面処理された鋼板の点状腐食耐食性に劣っていた。
【0111】
比較例10は、点状腐食改善剤の含有量が過度である場合であって、溶液安定性が不十分であり、表面処理された鋼板の加工部耐食性が発生した。
【0112】
比較例11は、助溶剤の含有量が不十分である場合であって、表面処理された鋼板の平板耐食性、加工部耐食性、及び点状腐食耐食性に劣っていた。
【0113】
比較例12は、助溶剤の含有量が過度である場合であって、溶液安定性が不十分であり、表面処理された鋼板の加工部耐食性に劣っていた。
【0114】
図1は、本発明による溶液組成物を用いて表面処理された鋼板(発明例1)の表面形状と、従来の組成物により表面処理された鋼板の表面形状とを観察して示したものである。
【0115】
図1に示すように、従来の溶液組成物で表面処理された鋼板(a)は、エッジ部で点状腐食欠陥が発生したのに対し、本発明の溶液組成物で表面処理された鋼板は、欠陥なくエッジ部まで表面が滑らかであることが分かる。
図1(a)】
図1(b)】
【国際調査報告】