(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電源モジュールの冷却構造
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H02M3/155 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538054
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2023011418
(87)【国際公開番号】W WO2023177474
(87)【国際公開日】2023-09-21
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】武藤 高見
(72)【発明者】
【氏名】田子 政成
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB82
5H730DD04
5H730ZZ01
5H730ZZ04
5H730ZZ07
5H730ZZ09
5H730ZZ12
5H730ZZ13
(57)【要約】
電源モジュールは、基板と、基板の上面に設けられる電子部品と、基板を介して電子部品に電気的に接続される下部ボードと、少なくとも1つの下部ボードに電気的に接続される少なくとも1つの支柱の端部と反対側の少なくとも1つの支柱の別の端部に電気的に接続される上部ボードであって、少なくとも1つの上部ボードは電気的に基板に接続される、上部ボードと、を含む。支柱は、下部ボードと上部ボードとの間に延在する。支柱は、下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む。磁性材料は、支柱の周縁の周りに設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源モジュールであって、
基板と、
前記基板の上面に設けられる電子部品と、
前記基板を介して前記電子部品に電気的に接続される下部ボードと、
前記少なくとも1つの下部ボードに電気的に接続される前記少なくとも1つの支柱の端部と反対側の前記少なくとも1つの支柱の別の端部に電気的に接続される上部ボードであって、前記少なくとも1つの上部ボードは電気的に前記基板に接続される、上部ボードと、
前記下部ボードと前記上部ボードとの間に延在する支柱であって、
前記下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、
前記上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む、支柱と、
前記支柱の周縁の周りに設けられる磁性材料と、を備える、電源モジュール。
【請求項2】
前記電子部品は、熱的に前記下部ボードに接続される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記電子部品は、熱伝導性材料を介して熱的に前記下部ボードに接続される、請求項1または2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記下部ボード、前記支柱および前記上部ボードは、インダクタを画定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項5】
前記下部ボードは、前記基板の前記上面に接続され、
前記下部ボードは、前記基板から上方に延在する下部ボード起立部分と、前記下部ボード起立部分の端部に位置する下部ボード湾曲部分と、前記下部ボード湾曲部分から前記基板の前記上面と平行または実質的に平行な平面に沿って延在する下部ボード平坦部分と、を含み、
前記下部ボード平坦部分の上面は、前記1つの支柱の前記第1の端部に接続される、請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項6】
前記電子部品の上面は、前記下部ボード平坦部分の下面に熱的に接続される、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記電子部品の前記上面と前記下部ボード平坦部分の前記下面との間には、熱伝導性材料が設けられる、請求項6に記載のモジュール。
【請求項8】
前記下部ボード平坦部分の表面積は、前記下部ボード起立部分の表面積よりも大きい、請求項5~7のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項9】
前記電子部品の最大高さは、前記下部ボード平坦部分の下面と前記基板の前記上面との間の距離以下である、請求項5~8のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項10】
前記電子部品は、少なくとも一部が樹脂材料内にモールドされる、請求項9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記樹脂材料の最大高さは、前記下部ボード平坦部分の前記下面と前記基板の前記上面との間の距離以下である、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記上部ボードは、
前記基板の前記上面と平行または実質的に平行な平面に沿って延在する上部ボード平坦部分と、
前記上部ボード平坦部分の端部に設けられる上部ボード湾曲部分と、
前記上部ボード湾曲部分から延在するとともに、前記基板に電気的に接続される上部ボード起立部分と、を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項13】
前記電子部品の前記最大高さと、前記下部ボード平坦部分の最大厚さと、前記支柱の最大厚さとの和は、前記上部ボード平坦部分の下面と前記基板の前記上面との間の総距離と同じである、請求項12に記載のモジュール。
【請求項14】
前記上部ボード平坦部分の総表面積は、前記上部ボード起立部分の総表面積より大きい、請求項12または13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記支柱は、円筒形状である、請求項1~14のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項16】
前記電子部品は、電界効果トランジスタを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項17】
追加の支柱をさらに備え、
前記支柱および前記追加の支柱は、前記下部ボードの延在方向と交差する方向に延在する直線上に配列される、請求項1~16のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項18】
電源モジュールであって、
第1の基板および第2の基板と、
前記第1の基板の上面に設けられる第1の電子部品と、
前記第1の基板を介して前記第1の電子部品に電気的に接続される第1の下部ボードと、
前記第1の基板に電気的に接続される第1の上部ボードと、
前記第1の下部ボードと前記第1の上部ボードとの間に延在する第1の支柱であって、
前記第1の下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、
前記第1の上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む、第1の支柱と、
前記第1の支柱の周りに設けられる第1の磁性材料と、
前記第2の基板の上面に設けられる第2の電子部品と、
前記第2の基板を介して前記第2の電子部品に電気的に接続される第2の下部ボードと、
前記第2の基板に電気的に接続される第2の上部ボードと、
前記第2の下部ボードと前記第2の上部ボードとの間に延在する第2の支柱であって、
前記第2の下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、
前記第2の上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む、第2の支柱と、
前記第2の支柱の周りに設けられる第2の磁性材料と、を備え、
前記第1の下部ボードと、前記第1の支柱と、前記第1の上部ボードと、前記第2の下部ボードと、前記第2の支柱と、前記第2の上部ボードとは互いに磁気的に接続される、電源モジュール。
【請求項19】
前記第1の磁性材料および前記第2の磁性材料は、互いに固定される、請求項18に記載のモジュール。
【請求項20】
前記第1の磁性材料および前記第2の磁性材料は、単一のモノリシック部材としてともに設けられる、請求項19に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源モジュールに関する。より詳細には、本発明は、電源モジュールにおいて発熱パワー素子を冷却することで電源モジュールの性能を向上させることに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の電源モジュールは、電源モジュールのパワー素子のような、発熱部品を含む。発熱部品はヒートシンクに接続されており、発熱部品で発生した熱の一部は熱の放散を助けるヒートシンクに伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、公知の電源モジュールにおける典型的な配置は、大きな空間を必要とし、電源モジュールの小型化が求められる際には好ましくない。さらに、発熱パワー部品が誘導部品の近くに設置されなくてはならない場合、誘導部品は低い熱伝導率を有するため、冷却効率が低下する。冷却効率が低下すると、発熱パワー部品は大電流を発生させることができない。
【0005】
特許文献1はDC-DCコンバータにおけるインダクタを示す。しかしながら、インダクタ4iの構造のコアはトロイダル状であるとともに、大電流パワー部品のための十分な放熱能力を欠く。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の好ましい実施形態は、大電流を発生させることができるような十分な冷却も行う一方で、小型化が可能な電源モジュールを提供する。
本発明の好ましい実施形態は、基板と、基板の上面に設けられる電子部品と、基板を介して電子部品に電気的に接続される下部ボードと、少なくとも1つの下部ボードに電気的に接続される少なくとも1つの支柱の端部と反対側の少なくとも1つの支柱の別の端部に電気的に接続される上部ボードであって、少なくとも1つの上部ボードは電気的に基板に接続される、上部ボードと、を含む電源モジュールを提供する。支柱は下部ボードと上部ボードとの間に延在する。支柱は、下部ボードに接続される第1の端部と、上部ボードに接続される第2の端部と、を含む。磁性材料は支柱の周縁の周りに設けられる。
【0007】
電子部品は、下部ボードに熱的に接続されてもよい。電子部品は、熱伝導性材料を介して熱的に下部ボードに接続されてもよい。下部ボード、支柱、および上部ボードはインダクタを画定してもよい。
【0008】
下部ボードは、基板の上面に接続されてもよい。下部ボードは、基板から上方へと延在する下部ボード起立部分と、下部ボード起立部分の端部に位置する下部ボード湾曲部分と、下部ボード湾曲部分から基板の上面と平行または実質的に平行な平面に沿って延在する下部ボード平坦部分と、を含んでもよい。下部ボード平坦部分の上面は、1つの支柱の第1の端部に接続されてもよい。
【0009】
電子部品の上面は、下部ボード平坦部分の下面に熱的に接続されてもよい。電子部品の上面と下部ボード平坦部分の下面との間には、熱伝導性材料が設けられてもよい。
下部ボード平坦部分の表面積は、下部ボード起立部分の表面積よりも大きくてもよい。電子部品の最大高さは、下部ボード平坦部分の下面と基板の上面との間の距離以下である。
【0010】
電子部品は、少なくとも一部が樹脂材料内にモールドされてもよい。樹脂材料の最大高さは、下部ボード平坦部分の下面と基板の上面との間の距離以下であってもよい。
上部ボードは、基板の上面と平行または実質的に平行な平面に沿って延在する上部ボード平坦部分と、上部ボード平坦部分の端部に設けられる上部ボード湾曲部分と、上部ボード湾曲部分から延在しうるとともに、基板に電気的に接続されうる上部ボード起立部分と、を含んでもよい。電子部品の最大高さと、下部ボード平坦部分の最大厚さと、支柱の最大厚さとの和は、上部ボード平坦部分の下面と基板の上面との間の総距離と同じであってもよい。上部ボード平坦部分の総表面積は、上部ボード起立部分の総表面積より大きくてもよい。
【0011】
支柱は、円筒形状であってもよい。電子部品は、電界効果トランジスタを含んでもよい。モジュールはさらに、追加の支柱を含んでもよく、支柱および追加の支柱は、下部ボードの延在方向と交差する方向に延在する直線上に配列されてもよい。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、第1の基板および第2の基板と、第1の基板の上面に設けられる第1の電子部品と、第1の基板を介して第1の電子部品に電気的に接続される第1の下部ボードと、第1の基板に電気的に接続される第1の上部ボードと、第1の下部ボードと第1の上部ボードとの間に延在するとともに第1の下部ボードに電気的に接続される第1の端部および第1の上部ボードに電気的に接続される第2の端部を含む第1の支柱と、第1の支柱の周りに設けられる第1の磁性材料と、第2の基板の上面に設けられる第2の電子部品と、第2の基板を介して第2の電子部品に電気的に接続される第2の下部ボードと、第2の基板に電気的に接続される第2の上部ボードと、第2の下部ボードと第2の上部ボードとの間に延在するとともに第2の下部ボードに電気的に接続される第1の端部および第2の上部ボードに電気的に接続される第2の端部とを含む第2の支柱と、第2の支柱の周りに設けられる第2の磁性材料と、を含む電源モジュールを提供する。第1の下部ボードと、第1の支柱と、第1の上部ボードと、第2の下部ボードと、第2の支柱と、第2の上部ボードとは互いに磁気的に接続される。
【0013】
第1の磁性材料および第2の磁性材料は、互いに固定されてもよい。第1の磁性材料および第2の磁性材料は、単一のモノリシック部材としてともに設けられてもよい。
添付の図面を参照した本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、本発明の上記および他の特徴、要素、特性、ステップ、並びに利点がより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの側面図を示す。
【
図2A】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図2B】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図2C】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図2D】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図2E】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図2F】本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュールの回路図を示す。
【
図3】本発明の第1の好ましい実施形態の修正形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図4A】本発明の第2の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図4B】本発明の第2の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図5】本発明の第3の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図6A】本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図6B】本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図6C】本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図6D】本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図7A】本発明の第5の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図7B】本発明の第5の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図7C】本発明の第5の好ましい実施形態の修正形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図8A】本発明の第6の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【
図8B】本発明の第6の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図8C】本発明の第6の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図9】本発明の第7の好ましい実施形態による電源モジュールの一部の斜視図を示す。
【
図10】本発明の第8の好ましい実施形態による電源モジュールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の好ましい実施形態
本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュール1が、
図1~
図2Fを参照して説明される。
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュール1の側面図である。
図2A~
図2Dは、本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュール1の一部の斜視図である。
図2Eは、本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュール1の斜視図である。
図2Fは、本発明の第1の好ましい実施形態による電源モジュール1の回路図である。
【0016】
図1に示すように、電源モジュール1は、基板10と、基板10の表面上の1つ以上の電子部品40と、基板10の上面から電子部品40を覆うように延在する下部ボード21と、下部ボード21の上面から延在する1つ以上の支柱30と、1つ以上の支柱30を囲んでいる磁性材料31と、基板10から1つ以上の支柱30の上端を覆うように延在する上部ボード22と、を含みうる。電子部品40は、例えば、パワー素子(例えば、電界効果トランジスタなど)、コンデンサ、抵抗などを含みうる。
【0017】
下部ボード21は、
図2Bに示すように、その間に間隙214を有して互いに離間される一対の下部ボード部分21Aおよび21Bを含みうる。下部ボード21は、下部ボード起立部分211と、下部ボード湾曲部分212と、下部ボード平坦部分213と、を含みうる。下部ボード起立部分211は、基板10の上面に対して、製造誤差範囲および/または測定誤差範囲内で垂直または実質的に垂直に、延在する。下部ボード平坦部分213は、基板10の上面に対して、製造誤差範囲および/または測定誤差範囲内で平行または実質的に平行に、延在する。下部ボード平坦部分213の表面積は、下部ボード起立部分211の表面積よりも大きくなりうる。しかしながら、下部ボード平坦部分213の表面積は、下部ボード起立部分211以下でもよい。下部ボード起立部分211の底部は、基板10上に画定される開口部1021内に固定されうる。下部ボード21は、基板10上または基板10内に画定される、はんだおよび/または配線を介して1つ以上の電子部品40に電気的に接続されうる。
【0018】
図2Dに示すように、上部ボード22は、その間に間隙224を有して互いに離間される一対の上部ボード部分22Aおよび22Bを含みうる。上部ボード22は、上部ボード起立部分221と、上部ボード湾曲部分222と、上部ボード平坦部分223と、を含みうる。上部ボード起立部分221は、基板10の上面に対して、製造誤差範囲および/または測定誤差範囲内で垂直または実質的に垂直に、延在する。上部ボード平坦部分223は、基板10の上面に対して、製造誤差範囲および/または測定誤差範囲内で平行または実質的に平行に、延在する。上部ボード起立部分221の底部は、基板10に画定される開口部1022内に固定されうる。上部ボード平坦部分223の総表面積は、上部ボード起立部分221の総表面積よりも大きくなりうる。しかしながら、上部ボード平坦部分223の総表面積は、上部ボード起立部分221以下でもよい。上部ボード22は、基板10上または基板10内に画定される、はんだおよび/または配線を介して1つ以上の電子部品40に電気的に接続されうる。
【0019】
少なくとも1つの支柱30が、下部ボード平坦部分213から上部ボード平坦部分223へと延在している。下部ボード21および上部ボード22は、少なくとも1つの支柱30を介して互いに電気的に接続されている。
図2Cに示すように、例えば、少なくとも1つの支柱30は一対の支柱を含みうる。しかし、異なる数の支柱が使われてもよい。少なくとも1つの支柱30は円筒形状でありうるが、任意の他の形状が用いられてもよい。少なくとも1つの支柱30は、磁性材料31に囲まれている。下部ボード21、上部ボード22、少なくとも1つの支柱30、および磁性材料31は1つ以上のインダクタをともに画定しうる。さらに、下部ボード21、上部ボード22、少なくとも1つの支柱30、および磁性材料31の構造は、電源モジュール1内部で発生する熱を放散することができるヒートシンクを画定しうる。
【0020】
電子部品40のうちの少なくとも1つの最大高さは、下部ボード平坦部分213と基板10の上面との間の距離と同じまたは実質的に同じである。さらに、電子部品40のうちの少なくとも1つの最大高さは、下部ボード平坦部分213と基板10の上面との間の距離よりも小さくてもよい。
【0021】
図2Eおよび
図2Fは、電源モジュール1に設けられる回路配置の一例を示す。回路配置は、一対のトランジスタQ1、Q2と、一対のトランジスタQ3、Q4との間に設けられる変圧器TX1を含みうる。一次巻線P1はノードBを含み、さらに二次巻線S1はノードAを含む。ノードBは、トランジスタQ3およびQ4間に接続されるとともに、上部ボード22の基板10への接続に対応する。ノードAは、トランジスタQ1およびQ2間に接続されるとともに、下部ボード21の基板10への接続に対応する。一次巻線P1および二次巻線S1のノードAおよびBに接続されていない端部は、一次巻線P1および二次巻線S1とグランドとの間で並列に接続される、コンデンサC1および交流電源I1に接続されている。一対のトランジスタQ1、Q2、および一対のトランジスタQ3、Q4はまた、電圧源V1とグランドとの間で並列に接続されている。
【0022】
図3は、本発明の第1の好ましい実施形態の修正形態による電源モジュール1Aを示す。第1の好ましい実施形態の修正形態による電源モジュール1Aは、基板10上の電子部品40が熱伝導性樹脂材料401に被包(encapsulate)されているという点で、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1とは異なってもよい。さらに、熱伝導性樹脂材料401は下部ボード21を支持することで、電源モジュール1Aの構造を安定させやすくする。電子部品40のうちの少なくとも1つの最大高さは、樹脂材料401の最大高さと実質的に同じか、または樹脂材料401の最大高さより小さくてもよい。電子部品40を樹脂材料401で被包することで、基板10と、電子部品40と、下部ボード21との間におけるより良好な熱伝達を提供しつつ、同時に安定性を向上させることができる。
【0023】
第2の好ましい実施形態
本発明の第2の好ましい実施形態による電源モジュール2が、
図4Aおよび
図4Bを参照して説明される。
図4Aは、本発明の第2の好ましい実施形態による電源モジュール2の一例の斜視図である。
図4Bは、本発明の第2の好ましい実施形態による電源モジュール2の一例の別の斜視図であり、電源モジュール2の部品の内部形状を示すために半透明になっている。
【0024】
図4Aおよび
図4Bに示されるように、第2の好ましい実施形態による電源モジュール2は、支柱2030および磁性材料2031の形状が長方形または立方体でありうるという点で、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1とは異なってもよい。さらに、支柱2030は多角形(五角形、六角形など)でありうる。第2の好ましい実施形態による電源モジュール2の他の構成は、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1のものと同じでありうるとともに、同じ部分の説明は、簡略化のために省略される。
【0025】
第3の好ましい実施形態
本発明の第3の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール3が、
図5を参照して説明される。
図5は、本発明の第3の好ましい実施形態による電源モジュール3の一例の斜視図であり、電源モジュール3の部品の内部形状を示すために半透明になっている。
【0026】
図5に示されるように、第3の好ましい実施形態による電源モジュール3は、支柱30が、円柱状または円筒形状でありうる磁性材料2031に囲まれるという点で、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1とは異なってもよい。第3の好ましい実施形態による電源モジュール3の他の構成は、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1のものと同じでありうるとともに、同じ部分の説明は、簡略化のために省略される。
【0027】
第4の好ましい実施形態
本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュール4が、
図6A~
図6Dを参照して説明される。
図6Aおよび
図6Bは、本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュール4の斜視図である。
図6Cおよび
図6Dは、本発明の第4の好ましい実施形態による電源モジュール4の一部の斜視図を示す。
【0028】
図6A~
図6Dに示されるように、第4の好ましい実施形態による電源モジュール4は、支柱4030の形状が長方形または立方体でありうる磁性材料4031に囲まれているという点で、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1とは異なってもよい。さらに、磁性材料4031は、ギリシャ文字のパイ(π)形状を有する、別個に設けられる構造を含みうる。下部ボード4021および上部ボード4022は、対応する支柱4030の上面および下面のみに直接接触する、個別の構造体の対として画定されうる。第4の好ましい実施形態による電源モジュール4の他の構成は、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1のものと同じでありうるとともに、同じ部分の説明は、簡略化のために省略される。
【0029】
第5の好ましい実施形態
本発明の第5の好ましい実施形態による電源モジュール5が、
図7Aおよび
図7Bを参照して説明される。
図7Aおよび
図7Bは、本発明の第5の好ましい実施形態による電源モジュール5の斜視図である。
【0030】
図7Aおよび
図7Bに示されるように、第5の好ましい実施形態による電源モジュール5は、形状が長方形または立方体でありうる複数の支柱5030が磁性材料5031に囲まれているという点で、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1とは異なってもよい。磁性材料5031は、支柱5030の対の間に延在する複数の垂直な突起を備える単一の長辺の形状を有する、別個に設けられる構造体を含みうる。さらに、下部ボード5021および上部ボード5022は、対応する支柱5030の上面および下面のみに直接接触する、個別の構造体の対として画定されうる。例えば、磁性材料5031の4つの垂直な突起は、4つの支柱5030に隣接するように設けられてもよい。第5の好ましい実施形態による電源モジュール5の他の構成は、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1のものと同じでありうるとともに、同じ部分の説明は、簡略化のために省略される。第5の好ましい実施形態による電源モジュール5内のインダクタ(支柱5030および磁性材料5031に対応する)の数を、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1内のそれよりも多くすることで、第5の好ましい実施形態による電源モジュール5の性能を、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1と比べて向上させることができる。
【0031】
図7Cは、本発明の第5の好ましい実施形態の修正形態による電源モジュール5Aを示す。第5の好ましい実施形態の修正形態による電源モジュール5Aは、磁性材料5031がギリシャ文字のパイ(π)の形状を有する複数の構造体で画定されているという点で、第5の好ましい実施形態による電源モジュール5と異なる。さらに、単一の基板ではなく、一対の基板10Aおよび10Bが設けられている。電源モジュール5と同様に、電源モジュール5A内のインダクタの数を増やすことで、電源モジュール5Aの性能を向上させることができる。
【0032】
第6の好ましい実施形態
本発明の第6の好ましい実施形態による電源モジュール6が、
図8A~
図8Cを参照して説明される。
図8Aは、本発明の第6の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール6の斜視図である。
図8Bおよび
図8Cは、本発明の第4の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール6の一部の斜視図を示す。
【0033】
図8Aに示されるように、第6の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール6は、形状が長方形または立方体でありうる複数の支柱6030が磁性材料6031に囲まれているという点で、第1の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール1とは異なってもよい。磁性材料6031は、支柱6030の対の間に延在する複数の垂直な突起を備える単一の長辺の形状有する、別個に設けられる構造体を含みうる。さらに、上部ボード6022は、対応する支柱6030の上面のみに直接接触する、個別の複数の構造体によって画定されうる。対して、下部ボード6021は、上部ボード6022の下部が通過し、基板6010に達することのできる開口部6033を有する単一の構造を含みうる。
【0034】
図8Bおよび
図8Cは下部ボード6021の図を示す。開口部6033は、開口部6033の周縁部に設けられる湾曲した突起6034を含みうる。湾曲した突起6034は、基板6010の上面に向かって、下方向に延在する。開口部は、支柱6030の下面の一部と重なりうる。下部ボード6021の残りの部分は、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1の構造に類似した構造を有しうる。支柱6030の一部を開口部6033に挿入すると、電源モジュール6の安定性を高めることができる。
【0035】
第7の好ましい実施形態
本発明の第7の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール7が、
図9を参照して説明される。
図9は、本発明の第7の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール7の斜視図である。
【0036】
図9に示されるように、第7の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール7は、形状が長方形または立方体でありうる複数の支柱7030が磁性材料7031に囲まれているという点で、第1の好ましい実施形態に基づいた電源モジュール1とは異なりうる。磁性材料7031は、支柱7030の対の間に延在する複数の垂直な突起を備える単一の長辺の形状を有する、別個に設けられる構造体を含みうる。さらに、上部ボード7022は開口部7033を有する単一の構造を含みうる一方、下部ボード7021は、対応する支柱7030の下面のみに直接接触する、個別の複数の構造体によって画定されうる。開口部7033は、下部ボード7021の個別の構造体のうち、隣接したもの同士の間で下方向に延在して基板7010に達する、湾曲した突起7034を含みうる。支柱7030の一部を開口部7033に挿入した場合、電源モジュール7の安定性を高めることができる。
【0037】
第8の好ましい実施形態
本発明の第8の好ましい実施形態による電源モジュール8が、
図10を参照して説明される。
図10は、本発明の第8の好ましい実施形態による電源モジュール8の斜視図である。
【0038】
図10に示されるように、第8の好ましい実施形態による電源モジュール8は、形状が長方形または立方体でありうる複数の支柱8030が磁性材料8031に囲まれているという点で、第1の好ましい実施形態による電源モジュール1とは異なりうる。磁性材料8031は、ギリシャ文字のパイ(π)の形状を有する複数の構造体を含みうる。広い間隙8066は、磁性材料8031の複数の構造体のうち隣り合ったもの同士の間に画定されうる。
【0039】
上記の好ましい実施形態および修正形態の構成は、互いに適切に組み合わせることができるとともに、それぞれの組み合わせに対応する効果を奏することができる。
前述の説明は、本発明の例示にすぎないことを理解されたい。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、様々な代替形態および修正形態を考案することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まる、全てのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源モジュールであって、
基板と、
前記基板の上面に設けられる電子部品と、
前記基板を介して前記電子部品に電気的に接続される下部ボードと、
前記少なくとも1つの下部ボードに電気的に接続される前記少なくとも1つの支柱の端部と反対側の前記少なくとも1つの支柱の別の端部に電気的に接続される上部ボードであって、前記少なくとも1つの上部ボードは電気的に前記基板に接続される、上部ボードと、
前記下部ボードと前記上部ボードとの間に延在する支柱であって、
前記下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、
前記上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む、支柱と、
前記支柱の周縁の周りに設けられる磁性材料と、を備える、電源モジュール。
【請求項2】
前記電子部品は、熱的に前記下部ボードに接続される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記電子部品は、熱伝導性材料を介して熱的に前記下部ボードに接続される、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記下部ボード、前記支柱および前記上部ボードは、インダクタを画定する、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記下部ボードは、前記基板の前記上面に接続され、
前記下部ボードは、前記基板から上方に延在する下部ボード起立部分と、前記下部ボード起立部分の端部に位置する下部ボード湾曲部分と、前記下部ボード湾曲部分から前記基板の前記上面と平行または実質的に平行な平面に沿って延在する下部ボード平坦部分と、を含み、
前記下部ボード平坦部分の上面は、前記1つの支柱の前記第1の端部に接続される、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記電子部品の上面は、前記下部ボード平坦部分の下面に熱的に接続される、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記電子部品の前記上面と前記下部ボード平坦部分の前記下面との間には、熱伝導性材料が設けられる、請求項6に記載のモジュール。
【請求項8】
前記下部ボード平坦部分の表面積は、前記下部ボード起立部分の表面積よりも大きい、請求項
5に記載のモジュール。
【請求項9】
前記電子部品の最大高さは、前記下部ボード平坦部分の下面と前記基板の前記上面との間の距離以下である、請求項
5に記載のモジュール。
【請求項10】
前記電子部品は、少なくとも一部が樹脂材料内にモールドされる、請求項9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記樹脂材料の最大高さは、前記下部ボード平坦部分の前記下面と前記基板の前記上面との間の距離以下である、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記上部ボードは、
前記基板の前記上面と平行または実質的に平行な平面に沿って延在する上部ボード平坦部分と、
前記上部ボード平坦部分の端部に設けられる上部ボード湾曲部分と、
前記上部ボード湾曲部分から延在するとともに、前記基板に電気的に接続される上部ボード起立部分と、を含む、請求項
9に記載のモジュール。
【請求項13】
前記電子部品の前記最大高さと、前記下部ボード平坦部分の最大厚さと、前記支柱の最大厚さとの和は、前記上部ボード平坦部分の下面と前記基板の前記上面との間の総距離と同じである、請求項12に記載のモジュール。
【請求項14】
前記上部ボード平坦部分の総表面積は、前記上部ボード起立部分の総表面積より大きい、請求項
12に記載のモジュール。
【請求項15】
前記支柱は、円筒形状である、請求項1~14のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項16】
前記電子部品は、電界効果トランジスタを含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項17】
追加の支柱をさらに備え、
前記支柱および前記追加の支柱は、前記下部ボードの延在方向と交差する方向に延在する直線上に配列される、請求項1~
14のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項18】
電源モジュールであって、
第1の基板および第2の基板と、
前記第1の基板の上面に設けられる第1の電子部品と、
前記第1の基板を介して前記第1の電子部品に電気的に接続される第1の下部ボードと、
前記第1の基板に電気的に接続される第1の上部ボードと、
前記第1の下部ボードと前記第1の上部ボードとの間に延在する第1の支柱であって、
前記第1の下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、
前記第1の上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む、第1の支柱と、
前記第1の支柱の周りに設けられる第1の磁性材料と、
前記第2の基板の上面に設けられる第2の電子部品と、
前記第2の基板を介して前記第2の電子部品に電気的に接続される第2の下部ボードと、
前記第2の基板に電気的に接続される第2の上部ボードと、
前記第2の下部ボードと前記第2の上部ボードとの間に延在する第2の支柱であって、
前記第2の下部ボードに電気的に接続される第1の端部と、
前記第2の上部ボードに電気的に接続される第2の端部と、を含む、第2の支柱と、
前記第2の支柱の周りに設けられる第2の磁性材料と、を備え、
前記第1の下部ボードと、前記第1の支柱と、前記第1の上部ボードと、前記第2の下部ボードと、前記第2の支柱と、前記第2の上部ボードとは互いに磁気的に接続される、電源モジュール。
【請求項19】
前記第1の磁性材料および前記第2の磁性材料は、互いに固定される、請求項18に記載のモジュール。
【請求項20】
前記第1の磁性材料および前記第2の磁性材料は、単一のモノリシック部材としてともに設けられる、請求項19に記載のモジュール。
【国際調査報告】