(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】複合固体電解質、複合固体電解質を有するデバイス、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20241212BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241212BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20241212BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241212BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241212BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241212BHJP
C03C 10/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01B13/00 Z
H01M10/052
H01M10/054
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
C03C10/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538318
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022053768
(87)【国際公開番号】W WO2023122249
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520159592
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ メリーランド, カレッジ パーク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー,リアンビン
(72)【発明者】
【氏名】ピン,ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドン,チー
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ミン
【テーマコード(参考)】
4G062
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4G062AA11
4G062BB07
4G062DA01
4G062DB01
4G062DB02
4G062DB03
4G062DC01
4G062DD01
4G062DD02
4G062DD03
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA05
4G062EA06
4G062EB01
4G062EC01
4G062ED01
4G062EE01
4G062EF01
4G062EF02
4G062EF03
4G062EG01
4G062EG02
4G062EG03
4G062FA01
4G062FA10
4G062FB01
4G062FC01
4G062FC02
4G062FC03
4G062FC04
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FG02
4G062FG03
4G062FH01
4G062FH02
4G062FH03
4G062FJ01
4G062FK04
4G062FK05
4G062FL01
4G062FL02
4G062FL03
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH02
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH08
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH18
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ04
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM31
4G062NN25
5H017AA04
5H017EE01
5H029AJ06
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM12
5H029CJ02
5H029DJ09
5H029EJ06
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ14
5H050AA12
5H050AA14
5H050CA07
5H050CB12
5H050DA13
5H050EA13
5H050GA02
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA14
(57)【要約】
前駆体は、多孔質支持層の表面上に提供され、前駆体を多孔質足場に焼結するために、60秒以下の時間、1200K以下の温度に曝露され得る。多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含むことができる。充填材は、多孔質足場の表面上に提供することができる。充填材は、500~1100Kの範囲の融点を有することができる。充填材を有する多孔質足場は充填材を溶融させて非多孔質の複合固体電解質層を形成するために、1200K以下の温度に≦50秒間曝すことができ、充填材は多孔質足場に浸透する。固体電解質層は、電池または燃料電池などの固体電気化学エネルギーデバイスに組み込むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多孔質支持層の第1の表面上に1つ以上の前駆体を提供し、
(b)1つ以上の前駆体を焼結して多孔質足場を形成するように、多孔質支持層に1つ以上の前駆体を第1の温度に第1の時間曝露し、第1の温度は、約1200K以下であり、第1の時間は、約60秒以下であり、多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含み、
(c)500~1100K(両端を含む)の範囲の融点を有する1つ以上の充填材を多孔質足場の第2の表面上に提供し、
(d)1つ以上の充填材を有する多孔質足場を第2の温度に第2の時間曝露し、1つ以上の充填材を溶融させて、多孔質足場に浸透する1つ以上の充填材を有する非多孔質の複合固体電解質層を形成し、第2の温度は、約1200K以下であり、第2の時間は、約60秒以下である、方法。
【請求項2】
第2の温度は、第1の温度とほぼ同じかそれ以下であり、
第1の温度は、約1100Kであり、
第2の温度は、約1100K;または上記の任意の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の時間は、第1の時間とほぼ同じか、または第1の時間未満であり、
第1の時間は、約5秒であり、
第2の時間は、約5秒;または
上記の任意の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複合固体電解質層が、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アニオン、またはこれらの任意の組み合わせを伝導する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複合固体電解質層が、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、酸素イオン、またはこれらの任意の組み合わせを伝導する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多孔質支持層が、炭素または金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記多孔質支持層が、カーボンナノファイバーのマトリックスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔質支持層は、金属メッシュを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記(d)の溶融が、前記1つ以上の充填材が前記多孔質足場の前記第2の表面から0.5μm以上の深さまで前記多孔質足場に浸透するようなものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の充填材が、ガラス状のイオン伝導性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記充填材が、Li
3BO
3、LiCl、LiBr、LiI、LiF、Li
3N、LiBH
4、LiBF
4、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、Li
ALa
BM’
cM’’
DZr
EO
F、Li
ALa
BM’’
cM’’
DTa
EO
F、またはLi
ALa
BM’
CM’’
DNb
EO
Fの式を持つ化合物を含み、
式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2、0≦E<2、および10<F<13であり、
M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第1のものであり、
M’’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第2のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、Li
ALa
BZr
CAl
DM’’’
EO
Fを有する化合物を含み、ここで、5<A<7.7、2<B<4、0<C≦2.5、0≦D<2、0≦E<2、および10<F<13であり、
M’’’は、Nb、Ta、V、W、Mo、またはSbである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記多孔質足場の前記イオン伝導性酸化物は、ペロブスカイト型Li
0.33La
0.57TiO
3、NASICON型Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3、NASICON型LiTi
2(PO
4)
3、NASICON型Li
1+xAl
xGe
2-x(PO
4)
3、ガーネット型Li
7La
3Zr
2O
12(LLZO)、タンタルドープLi
7La
3Zr
2TaO
12(LLTZO)、LISICON型Li
14Zn(GeO
4)
4、またはこれらの任意の組合せを含み、式中、xは数である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記イオン伝導性酸化物は、タンタルドープLi
7La
3Zr
2TaO
12(LLTZO)であり、前記1種以上の充填材は、Li
3BO
3である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
(d)の後、さらに、
1つ以上の追加の前駆体を第3の温度で第3の時間焼結することによって、複合固体電解質層上に1つ以上の追加の固体電解質層を形成し、第3の時間は、約60秒以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の追加の固体電解質層が、前記複合固体電解質層の材料組成とは異なる材料組成を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第3の温度は、第1の温度以上であり、
第3の時間は、第1の時間以上であり、
第3の温度は、1000~1500年K(両端を含む)の範囲であり、
第3の時間は、3~10秒(両端を含む)の範囲内であるか、または
上記の任意の組み合わせである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
(e)前記複合固体電解質層の前記多孔質支持層とは反対側の面上に、電池の正極および負極の一方を形成すること、
(f)前記多孔質支持層の少なくとも一部を、前記陰極および前記陽極の他方として形成すること、をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
(f)の形成することが、多孔質支持層の少なくとも一部にリチウムを浸透させて陽極を形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記多孔質支持層への前記リチウムの浸透の深さは、少なくとも0.5μmである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(f)が、(d)の後、(e)の後、または(d)および(e)の両方の後に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
(f)の形成することが、多孔質支持層の少なくとも一部に1つ以上の陰極活性物質を浸透させて陰極を形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の正極活性物質が、リチウムおよび別の金属元素を含む組成を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の陰極活性物質を浸透させることが、前記多孔質支持層上に液体電解質を有する1つ以上の陰極活性物質を配置することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の陰極活性物質の前記多孔質支持層への浸透の深さが、少なくとも0.5μmである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
(f)が、(e)の前、(a)の前、または(a)および(e)の両方の前に行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記(e)の形成することが、前記複合固体電解質層の上に金属膜を提供して前記陽極を形成することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記金属膜が、集電体としてのリチウム金属層または銅金属層である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(e)の形成することが、
複合固体電解質層の上に別の多孔質層を提供することと、
別の多孔質層にリチウムを浸透させて陽極を形成することと、を含む、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記別の多孔質層は、炭素を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
(b)の曝露の処理は、約10
3~約10
5K/秒(両端値を含む)の第1の加熱速度で第1の温度に加熱することを含み、
(d)の処理は、約10
3~約10
5K/秒(両端を含む)の第2の加熱速度で第2の温度に加熱することを含み、
(b)の処理は、約10
3~約10
5K/秒(両端を含む)の第1冷却速度で第1温度から冷却することを含み、
(d)の処理は、約10
3~約10
5K/秒(両端を含む)の第2の冷却速度で第2の温度から冷却することを含み、または
前述の任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
多孔質支持層と、
前記多孔質支持層上に配置された非多孔質の複合固体電解質層であって、多孔質足場と、前記多孔質足場に浸透する1つ以上の充填材とを含み、前記多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含み、前記1つ以上の充填材は、500~1100K(両端を含む)の範囲の融点を有する、非多孔質の複合固体電解質層と、を備え、
前記多孔質支持層の少なくとも一部が、1つ以上の材料で浸透して電池の電極を形成する、電池アセンブリ。
【請求項34】
前記多孔質支持層の前記少なくとも一部は、リチウムが浸透して前記電池の陽極を形成する、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項35】
前記リチウムが、前記多孔質支持層内に少なくとも0.5μmの深さまで浸透する、請求項34に記載の電池アセンブリ。
【請求項36】
前記複合固体電解質層の前記多孔質支持層とは反対側の面上に配置された前記電池の陰極をさらに備える、請求項34に記載の電池アセンブリ。
【請求項37】
前記多孔質支持層の前記少なくとも一部が、1つ以上の陰極活性物質で浸透されて、前記電池の陰極を形成する、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項38】
前記1つ以上の正極活性物質が、金属およびリチウムを含む組成を有する、請求項37に記載の電池アセンブリ。
【請求項39】
前記陰極が、液体電解質を有する1つ以上の陰極活性物質を含む、請求項37に記載の電池アセンブリ。
【請求項40】
前記1つ以上の正極活性物質が、前記多孔質支持層内に少なくとも0.5μmの深さまで浸透する、請求項37に記載の電池アセンブリ。
【請求項41】
前記複合固体電解質層の前記多孔質支持層とは反対側の面上に配置された前記電池の陽極をさらに備える、請求項37に記載の電池アセンブリ。
【請求項42】
前記陽極は、金属膜を含む、請求項41に記載の電池アセンブリ。
【請求項43】
前記金属膜が、集電体としてリチウム金属層または銅金属層である、請求項42に記載の電池アセンブリ。
【請求項44】
前記複合固体電解質層が、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アニオン、またはこれらの任意の組み合わせを伝導する、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項45】
前記複合固体電解質層が、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、酸素イオン、またはこれらの任意の組み合わせを伝導する、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項46】
前記多孔質支持層が、炭素または金属を含む、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項47】
前記多孔質支持層が、カーボンナノファイバーのマトリックスを含む、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項48】
前記多孔質支持層が、金属メッシュを含む、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項49】
前記1つ以上の充填材が、ガラス状のイオン伝導性材料を含む、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項50】
前記1つまたは複数の充填材が、Li
3BO
3、LiCl、LiBr、LiI、LiF、Li
3N、LiBH
4、LiBF
4、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項51】
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、Li
ALa
BM’
cM’’
DZr
EO
F、Li
ALa
BM’’
cM’’
DTa
EO
F、またはLi
ALa
BM’
cM’’
DNb
EO
Fの式を持つ化合物を含み、式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2、0≦E<2、および10<F<13であり、
M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第1のものであり、
M’’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第2のものである、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項52】
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、Li
ALa
BZr
CAl
DM’’’
EO
Fの式を持つ化合物を含み、式中、5<A<7.7、2<B<4、0<C≦2.5、0≦D<2、0≦E<2、および10<F<13であり、
M’’’は、Nb、Ta、V、W、Mo、またはSbである、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項53】
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、ペロブスカイト型Li
0.33La
0.57TiO
3、NASICON型Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3、NASICON型LiTi
2(PO
4)
3、NASICON型Li
1+xAl
xGe
2-x(PO
4)、ガーネット型Li
7La
3Zr
2O
12(LLZO)、タンタルドープLi
7La
3Zr
2TaO
12(LLTZO)、LISICON型Li
14Zn(GeO
4)
4、またはこれらの任意の組合せを含み、xは、数字を表す、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項54】
イオン伝導性酸化物は、タンタルドープLi
7La
3Zr
2TaO
12(LLTZO)であり、前記1つ以上の充填材は、Li
3BO
3である、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項55】
少なくとも1つの追加の固体電解質層をさらに備え、前記複合固体電解質層は、前記少なくとも1つの追加の固体電解質層と前記多孔質支持層との間に配置される、請求項33に記載の電池アセンブリ。
【請求項56】
前記少なくとも1つの追加の固体電解質層が、前記複合固体電解質層の材料組成とは異なる材料組成を有する、請求項55に記載の電池アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月22日に出願された「高性能多層固体電解質」という名称の米国仮出願第63/265,857号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(連邦支援研究に関する表明)
本発明は、米国陸軍研究所(ARL)によって授与されたW911NF2020284の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、一般に、固体構造体に関し、より詳細には、例えば、電池(例えば、固体電池)または固体酸化物電池(例えば、固体酸化物燃料電池および/または固体酸化物電解セル)で使用するための複合固体電解質に関する。
【背景技術】
【0004】
イオン伝導性セラミックによって形成される固体電解質(SSE)は、例えば、安全性を高め、より高いエネルギー密度を提供するために、次世代リチウム(Li)イオン電池技術における使用が企図されている。この目的のために、高イオン伝導性(例えば、10-3S/cmまで)、広い電気化学的ウィンドウ(例えば、6Vまで)、良好な化学的安定性(例えば、Li金属に対する)、および優れた機械的特性(例えば、20GPaまでの機械的強度)を示す一連のセラミックSSEが開発されている。しかしながら、全固体電池のためのSSEの採用を妨げている問題が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1に、SSEのための単一の組成物が効率的な動作のためのすべての要件を満たすことは、一般に不可能である。例えば、LLTO、LiTi2(PO4)3、Li14Zn(GeO4)4は、Liメタルとの化学的安定性が低い。さらに、硫化物(例えば、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-MSx)および水素化物(例えば、LiBH4、LiBH4-LiX(X=Cl、Br、またはI))は、陰極物質との相溶性が悪い可能性がある。ハロゲン化物(例えば、LiI、スピネルLi2ZnI4およびアンチペロブスカイトLi3OCl)、ホウ酸塩またはリン酸塩(例えば、Li2B4O7、Li3PO4およびLi2O-B2O3-P2O5)、およびLiPONは、10-8~10-5S/cmの低導電率を有する。ガーネットLi7La3Zr2O12は、特定の陰極物質(例えば、LiCoO2)との界面安定性の問題を有する可能性があり、これは、界面抵抗の増加をもたらす可能性がある。コーティングの使用は、そのような問題に完全に対処するのに効果的ではなかった。
【0006】
さらに、セラミックLiイオン伝導体のエネルギーが大きいため、SSEは、フルセルレベルで高いエネルギー密度を達成するために、薄膜(例えば、数十ミクロン)として形成されなければならない。しかしながら、そのような薄膜セラミックSSEは、処理が困難であり得る。ほとんどのセラミックLiイオン伝導体の脆性のために、薄膜SSEは、適切な基板上に支持される必要がある。そのような支持体は、支持体がセル組立プロセスに統合される必要があるので、電気化学エネルギーセル構成に著しい制約を与える。加えて、SSEを支持するための材料は、いくつかの電気化学エネルギーデバイスと不適合であり得るか、または熱膨張係数の不整合のために従来の焼結中にSSE亀裂をもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示される主題の実施形態は、とりわけ、上述の問題および欠点のうちの1つまたは複数に対処し得る。
【0008】
開示される主題のシステムの実施形態は、固体電池または固体酸化物燃料電池などの電気化学エネルギーデバイスで使用するための複合固体電解質(SSE)、ならびにその製造方法を提供する。いくつかの実施形態では、複合SSEは、多孔質支持体、例えば、多孔質炭素または金属層上に形成された多孔質足場であり得る。多孔質足場に低融点ガラス状イオン伝導体を浸透させて、複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、複合SSEは、短い持続時間(例えば、≦60秒)および限られた高温(例えば、≦1200K)の2段階加熱プロセス(例えば、加熱波)を使用して形成することができる。2段階加熱プロセスは、緻密でピンホールのない層(例えば、非多孔質層)を依然として形成しながら、SSEの亀裂を回避することができる。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、複合SSEは、異なる組成の複数の副層を含むことができる。いくつかの実施形態では、各SSE副層は、短い持続時間(例えば、60秒以下)および高い焼結温度(例えば、3000Kまで)の加熱プロセス(例えば、加熱波)によって形成することができる。いくつかの実施形態では、加熱プロセスの限られた持続時間は、SSEのための緻密なセラミック構造を依然として形成しながら、元素の共拡散を回避することができる。
【0009】
1つ以上の実施形態では、方法は、多孔質支持層の第1の表面上に1つ以上の前駆体を提供することを含むことができる。本方法は、多孔質支持層を1つ以上の前駆体で初めて第1の温度に曝して、1つ以上の前駆体を焼結して多孔質足場を形成することをさらに含むことができる。第1の温度は、約1200K以下とすることができる。第1の時間は、約60秒以下であり得る。多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含むことができる。本方法はまた、多孔質足場の第2の表面上に1つ以上の充填材を提供することを含むことができる。1つ以上の充填材は、500~1100K(両端を含む)の範囲の融点を有することができる。本方法は、1つ以上の充填材を含む多孔質足場を第2の温度に第2の時間かけて、1つ以上の充填材を溶融させて、多孔質足場に浸透する1つ以上の充填材を含む非多孔質複合固体電解質層を形成することをさらに含むことができる。第2の温度は、約1200K以下とすることができ、第2の時間は、約60秒以下とすることができる。
【0010】
1つ以上の実施形態では、電気化学エネルギーデバイスは、多孔質支持層および非多孔質複合固体電解質層を含むことができる。非多孔質複合固体電解質層は、多孔質支持層上に配置することができ、多孔質足場と、多孔質足場に浸透する1つ以上の充填材とを含むことができる。多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含むことができる。1つ以上の充填材は、500~1100K(両端を含む)の範囲の融点を有することができる。多孔質支持層の少なくとも一部は、電気化学エネルギーデバイスの電極を形成するために、1つ以上の材料を浸透させることができる。いくつかの実施形態では、電気化学エネルギーデバイスは、固体電池である。
【0011】
本開示の様々な革新のいずれも、組み合わせて、または別々に使用することができる。この概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図するものでもない。開示された技術の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、実施形態について、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照して説明する。適用可能な場合、いくつかの要素は、基礎となる特徴の例示および説明を助けるために、簡略化されるか、またはそうでなければ図示されない場合がある。図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【
図1A-1C】
図1A-1Cは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、多孔質支持層を使用して形成された電池を使用するシステムの簡略化された概略図である。
【
図2A】
図2Aは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、非多孔質複合固体電解質を作製するための態様を図示する簡略化された概略図である。
【
図2B】
図2Bは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、電池の層アセンブリを製造するための態様を示す簡略化された概略図である。
【
図2C】
図2Cは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、電池の層アセンブリを製造するための態様を示す簡略化された概略図である。
【
図2D】
図2Dは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、電池の層アセンブリを製造するための態様を示す簡略化された概略図である。
【
図3】
図3は、開示される主題の1つ以上の実施形態による、電池の層アセンブリを製造するためのプロセスフロー図である。
【
図4A】
図4Aは、熱衝撃による焼結のための例示的な温度プロファイルを示すグラフである。
【
図4B】
図4Bは、開示される技術が実装され得るコンピューティング環境の一般化された例を描写する。
【
図5A-5D】
図5Aは、カーボンナノチューブ(CNT)多孔質支持体上に形成されたタンタルドープLi
7La
3Zr
2O
12(LLZTO)多孔質足場のデジタル画像、
図5B~
図5Cは、
図5AのLLZTO多孔質足場の走査型電子顕微鏡(SEM)画像、
図5Dは、
図5AのLLZTO多孔質足場とCNF多孔質支持層との間の界面のSEM画像である。
【
図6A-6D】
図6Aは、
図5AのLLZTO多孔質足場にLi
3BO
3を浸透させることによって形成された非多孔質複合固体電解質のデジタル画像、
図6B-
図6Cは、
図6AのLLZTO/LBO複合SSEのSEM画像、
図6Dは、
図6AのLLZTO/LBO複合SSEとCNF多孔質支持層との間の界面のSEM画像である。
【
図7A-7D】
図7Aは、LLZTO/LBO複合SSEを試験するための非対称セルの簡略断面図、
図7Bは、LLZTO/LBO複合SSEのX線回折(XRD)分析を示すグラフ、
図7Cは、LLZTO/LBO複合SSEの測定されたイオン伝導率を示すグラフ、
図7Dは、0.2mA/cmの
2での
図7Aの非対称セルの定電流サイクルを示す図である。
【
図8A-8D】
図8Aは、異なるSSE組成物について計算された電気化学ウィンドウを示すグラフ、
図8Bは、多層SSEによる電気化学的ウィンドウの拡大を示すグラフ、
図8C~
図8Dは、LLZTO上にLiBO
2の薄膜によって形成された、製造された多層SSEの断面のSEM画像である。
【
図9A-9D】
図9Aは、ガーネット型LLZTO上にNASICON型Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3(LATP)を用いて形成された積層SSEの電気化学的ウィンドウの拡大を示す図、
図9Bは、純粋なNASICON型構造と比較した、作製されたLATP層のXRD分析を示すグラフ、
図9C~9Dは、LLZTO上にLATPの薄膜によって形成された、製造された多層SSEの断面のSEM画像である。
【
図10A-10E】
図10Aは、ペルボスカイト型Li
0.33La
0.57TiO
3(LLTO)上に形成されたLiBO
2-Li
3PO
4層によって形成された多層SSEのための電気化学的ウィンドウの広がりを示すグラフ、
図10B~
図10Cは、リチウム陽極上のLiBO
2-Li
3PO
4およびLLTOの層によって形成された、製造された多層SSEの断面のSEM画像、
図10Dは、リチウム陽極とLiBO
2-Li
3PO
4膜との界面の電子顕微鏡写真、
図10Eは、LiBO
2-Li
3PO
4層とLLTO層との間のインターフェースのSEM画像である。
【
図11A-11F】
図11A~
図11Bは、LLZTO上にLi
3PO
4(LPO)によって形成された、製造された多層SSEの断面のSEM画像、
図11Cは、LLZTO上のLPOおよびLLZTO上のLiBO
2(LBO)のX線回折解析を示す図、
図11D~11Eは、LLZTO上のLBOによって形成された二重層SSEの測定されたイオン伝導度および活性化エネルギーをそれぞれ示すグラフ、
図11Fは、抵抗対二重層SSEの厚さの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般的な考慮事項
本明細書の目的のために、本開示の実施形態の特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書に記載される。開示された方法およびシステムは、決して限定的であると解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに互いの様々な組合せおよび下位組合せで、開示される様々な実施形態のすべての新規かつ非自明な特徴および態様を対象とする。方法およびシステムは、任意の特定の態様、特徴、またはそれらの組み合わせに限定されず、開示される実施形態は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。任意の実施形態または実施例からの技術は、他の実施形態または実施例のうちの任意の1つまたは複数において説明される技術と組み合わせることができる。開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、図示された実施形態は、例示的なものにすぎず、開示された技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを認識されたい。
【0014】
開示される方法のうちのいくつかの動作は、便利な提示のために特定の順番で説明されるが、特定の順序付けが、以下で説明される特定の言語によって必要とされない限り、この説明の方式は、並べ替えを包含することを理解されたい。例えば、連続して説明される動作は、場合によっては並べ替えられるか、または同時に実行され得る。さらに、簡略化のために、添付の図面は、開示された方法が他の方法と併せて使用され得る様々な方法を示していない場合がある。さらに、説明は、開示された方法を説明するために、「提供する」または「達成する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の操作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装形態に応じて異なり得、当業者によって容易に認識可能である。
【0015】
数値範囲の開示は、特に断りのない限り、端点を含む範囲内の各離散点を指すものと理解されるべきである。別段の指示がない限り、本明細書または特許請求の範囲で使用される、成分の量、分子量、百分率、温度、時間などを表す全ての数は、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、別段の暗示的または明示的な指示がない限り、または文脈がより明確な構成を有すると当業者によって適切に理解されない限り、記載される数値パラメータは、当業者に知られているように、求められる所望の特性および/または標準試験条件/方法下での検出の限界に依存し得る近似値である。議論された先行技術から実施形態を直接的かつ明示的に区別する場合、実施形態番号は、「約」という単語が列挙されない限り、近似ではない。「実質的に」、「およそ」、「約」、または同様の言語が特定の値と組み合わせて明示的に使用される場合は常に、明示的に別段の定めがない限り、その値の10%までの変動が意図される。
【0016】
方向および他の相対参照は、本明細書における図面および原理の説明を容易にするために使用され得るが、限定することを意図されない。例えば、「内側」、「外側」、「上」、「下」、「頂部」、「底部」、「内部」、「外部」、「左」、「右」、「前」、「後」、「後方」などの特定の用語が使用され得る。このような用語は、適用可能な場合、特に例示された実施形態に関して、相対的な関係を扱うときの説明のいくつかの明瞭さを提供するために使用される。しかしながら、このような用語は、絶対的な関係、位置、および/または向きを暗示することを意図するものではない。例えば、物体に関して、「上」部分は、単に物体を裏返すことによって「下」部分になり得る。それにもかかわらず、それは依然として同じ部分であり、オブジェクトは、同じままである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味し、また、単数形「a」または「an」または「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の言及を含む。用語「または」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、言及された代替要素の単一の要素または2つ以上の要素の組合せを指す。
【0018】
本明細書に記載される様々な構成要素、パラメータ、動作条件などの代替があるが、それらの代替が必ずしも同等であり、かつ/または等しく良好に機能することを意味しない。また、特に明記しない限り、選択肢が好ましい順序で列挙されていることも意味しない。特に明記しない限り、以下に定義する基のいずれも、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0019】
別段の説明がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本開示の主題の特徴は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0020】
用語の概要
以下は、開示される主題の様々な態様の説明を容易にし、開示される主題の実施において当業者を案内するために提供される。
【0021】
加熱波:1つまたは複数の材料を、その溶融および/または焼結を行うために、約60秒以下の持続時間を有する限られた時間、高温に曝す。いくつかの実施形態では、高温の持続時間は、30秒未満、例えば、3~10秒の範囲内である。例えば、いくつかの実施形態では、持続時間は、約5秒とすることができる。いくつかの実施形態では、曝露することは制限された期間の前に少なくとも103K/秒(例えば、約105K/秒)のランプ速度で高温に加熱すること、および/または制限された期間の後に少なくとも103K/秒(例えば、約105K/秒)のランプ速度で高温から冷却することを含み得る。
【0022】
高温:(例えば、電流パルスの印加によって)励起されたときの、および/または加熱されている材料の表面における、1つまたは複数の加熱要素の表面におけるピークまたは最大温度。いくつかの実施形態では、高温は、1200K未満、例えば、約1100Kである。あるいは、いくつかの実施形態では、高温は、1200~3000Kの範囲である。いくつかの実施形態では、加熱される材料(例えば、前駆体)の温度は、加熱要素の温度と一致するか、または実質的に一致する(例えば、10%以内)ことができる。
【0023】
ナシコン:例えば、0<x<3であるNa1+xZr2SixP3-xO12の化学式を有する、ナトリウム系超イオン伝導体。いくつかの実施形態では、化学式中のZr、Si、および/またはNaは、V、Sb、またはTaなどの等価元素によって置き換えることができる。
【0024】
リシコン:例えばLi2+2xZn1-xGeO4の化学式を有するリチウム系超イオン伝導体。
【0025】
導入部
本明細書では、焼結によって形成された複合固体構造体が開示され、この複合構造体は、そうでなければ、元素の層割れおよび/または層間拡散のために従来の焼結技術によって達成することができない。いくつかの実施形態では、複合固体構造は、例えば、金属イオン(例えば、リチウム(Li)イオン、ナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオンなどのアルカリ金属イオン、および/またはマグネシウム(Mg)もしくはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属イオン)またはアニオン(例えば、酸素(O)イオン)を伝導するために、イオン伝導体として形成され得る。LiALaBM’’cM’’DZrEOF、LiALaBM’’cM’’DTaEOFまたはLiALaBM’cM’’DNbEOF(4<A<8.5、1.5<B<4、0≦c≦2、0≦D≦2、0≦E<2、10<F<13、M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第1のものであり、M’’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第2のものである)の化学式を満たす材料組成物から形成することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、複合固体構造の1つまたは複数の層は、LiALaBZrCAlDM’’’EOFの化学式を満たす材料組成物から形成することができ、式中、5<SA<7.7、2<B<4、0<C≦2.5、0≦D2、および10<F<13)であり、M’’’は、Nb,Ta,V,W,Mo,またはSbである。例えば、複合固体構造は、ペロブスカイト型Li3xLa2/3-xTiO3(LLTO)、NASICON型LiTi3(PO4)3、NASICON型Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、NASICON型Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、ガーネット型Li7La3Zr2O12(LLZO)、ガーネット型Li7La3Zr1.4Ta0.6O12(LLTZO)、LISICON型Li14Zn(GeO4)4、チオ‐LISICON型Li4-xGe1-xPxS4、アルギロダイト型Li6PS5Cl、およびアンチペロブスカイト型Li3OClからなる群から選ばれた材料組成を持つ少なくとも1つの層を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、複合固体構造は、多孔質支持層上に多孔質足場を焼結することによって形成することができる。焼結は、高温加熱および/または冷却速度(例えば、≧103K/秒)によって少なくとも部分的に可能にされる高温加熱波(例えば、持続時間≦60秒)を使用することによって達成することができる。適用される加熱の短い持続時間(例えば、従来の焼結によって必要とされる数時間とは対照的に数秒)のために、多孔質足場は、亀裂を生じることなく多孔質支持層上で焼結することができる。いくつかの実施形態では、次いで、充填材を溶融させて、予め焼結された多孔質足場に浸透させて、高密度層、例えば、電気化学エネルギーデバイス(例えば、電池または燃料電池)用の複合固体電解質を形成することができる。溶融は、別の高温加熱波(例えば、持続時間が60秒以下)を使用することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、多孔質支持層は、例えば、金属(例えば、Li)、電気触媒、または陰極活性物質を浸透させることによって、電気化学エネルギーデバイスの電極に変換することができる。いくつかの実施形態では、多孔質足場の材料は、充填材の融解温度よりも高い融解温度および/または焼結温度を有することができる。例えば、多孔質足場の材料は、1200Kを超える融解温度および/または焼結温度を有することができ、一方、充填材は、1200K未満の融解温度(例えば、500~1100Kの範囲の融点)を有することができる。
【0027】
例えば、
図1Aは、電池102(例えば、一次電池または二次電池)の層アセンブリ104に組み込まれた複合固体電解質(SSE)106を示す。電池102は、複合SSE106の両側に第1の電極110および第2の電極108を含むことができる(例えば、500μm以下、例えば、10~50μmなどの10~300μmの範囲の厚さを有する)。電極108、110を介して、電池102は、適切な電気回路を介してノード112に結合され得、ノードは、電池または電池を再充電するための電源によって蓄積された充電の使用のための電気負荷であり得る。いくつかの実施形態では、電池102は、Liイオン電池であり得る。
【0028】
図示の例100では、複合SSE106は、1つまたは複数の充填材が浸透した多孔質足場によって形成され、緻密層(例えば、非多孔質)が得られる。例えば、多孔質足場は、イオン伝導性セラミックス材料から形成することができ、および/または充填材は、低融点イオン伝導性ガラス材料(例えば、LiBO
3、LiCl、LiBr、LiI、LiF、Li
3N、LiBH
4、LiBF
4)から形成することができる。いくつかの実施形態では、多孔質足場、充填材、またはその両方は、他の構成要素の中でも、伝導されるべき所望のイオンに対応する要素を含むことができる。例えば、電池102がLiイオン電池である場合、多孔質足場および/または充填材は、Liを含むことができる。複合SSE106のための材料構成(例えば、多孔質足場および/または浸透充填材のための材料)は、SSE106は、高いイオン伝導度(例えば、≧1×10
-3S/cm)および低い電子伝導度(例えば、≦1×10
-8S/cm、例えば~2×10
-9S/cm)を有するように選択することができる。例えば、多孔質足場および/または充填材は、少なくとも1×10
-4S/cmのイオン伝導率を有することができる。代替的にまたは追加的に、多孔質足場および/または充填材は、1×10
-8S/cm以下の電子伝導率を有することができる。
図1Aの図示の例では、第2の電極108は、導電性金属が浸透した多孔質導電性基板(例えば、カーボンブラックなどの多孔質炭素、またはCu発泡体、Tiメッシュ、Niメッシュなどの多孔質金属層)から形成される。したがって、多孔質基板は、層アセンブリ104内の複合SSE106のための支持体としての役割を果たし、電池102の電極としての役割を果たす。例えば、電極108は、電池102の陽極として構成される場合、多孔質基板にリチウムを浸透させることができる。あるいは、電極108が電池102の陰極として構成される場合、多孔質基板は、陰極活性物質で浸透される。多孔質基板の厚さおよび多孔度は、特定の用途の要件(例えば、活性物質の充填密度)を満たすように調整することができる。例えば、多孔質基板の厚さは100μm~1mm(両端を含む)の範囲とすることができ、多孔度は、炭素基板について94%までとすることができ、および/または多孔度は、金属基板について90%までとすることができる。いくつかの実施形態では、第1の電極110は、層アセンブリ104とは別個に形成され、その後、それに結合されて、電池102を形成することができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、第1の電極110は、例えば、2020年11月26日に公開された「高温焼結システムおよび方法」と題された国際公開第2020/236767号に開示された焼結方法を介して、層アセンブリ104上にまたはSSE106と一体的に形成することができる。
【0029】
代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、複合固体構造は、異なる材料組成を有する複数の層(例えば、2つ以上)から形成され得る。いくつかの実施形態では、後続の層は、例えば、高温加熱波(例えば、持続時間が60秒以下)を介して、先に形成された層上で焼結され得る。適用される加熱の持続時間が短いため、層は、要素の識別可能な層間拡散なしに、かつ隣接する層間の明確な界面を伴って、互いの上に形成され得る。いくつかの実施形態では、多層固体構造は、電気化学エネルギーデバイス用の固体電解質として形成される。いくつかの実施形態では、複数の層は、支持層、例えば、多孔質支持層上に形成することができる。
【0030】
例えば、
図1Bは、電池122(例えば、一次電池または二次電池)の層アセンブリ124に組み込まれた複合SSE126を示す。電池122は、複数の層126a~126cを有する複合SSEの両側に第1の電極110および第2の電極108を含むことができる。3つの層126a~126cが
図1Bに示されているが、1つまたは複数の考えられる実施形態によれば、2つの層または4つ以上の層も可能である。いくつかの実施形態では、SSEスタック内の各層126a~126cは、1μm以上の厚さを有することができ、および/または複数の層126a~126cのSSEスタックの総厚は、10μm以上であることができる。電極108、110を介して、電池122は、適切な電気回路を介してノード112に結合され得、ノードは、電池または電池を再充電するための電源によって蓄積された充電の使用のための電気負荷であり得る。いくつかの実施形態では、電池122は、Liイオン電池であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の層126a~126cのうちの少なくともいくつかは、例えば、SSEの電気化学的電圧ウィンドウを広げるため、および/または隣接する電極108および/または110に対するSSEの安定性を高めるために、異なる材料組成を有することができる。例えば、層126a~126cのうちの少なくとも1つは、酸化物(例えば、ペロブスカイトLi0.33La0.57TiO3、NASICONLiTi2(PO4)3、LISICON(Li14Zn(GeO4)4)、ガーネットLi7La3Zr2O12など)、硫化物(例えば、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-MSx,など)、水素化物(例えば、LiBH4、LiBH4-LiX、Xは、Cl、Br、またはI、LiBH4-LiNH2、LiNH2、Li3AlH6、Li2NHなどである)、ハロゲン化物(例えば、LiI、スピネルLi2ZnI4、アンチペロブスカイトLi3OClなど)、またはホウ酸塩もしくはリン酸塩(例えば、Li2B4O7、Li3PO4、Li2O-B2O3-P2O5など)から形成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、SSEの各層126a~126cは、例えば、高温加熱波を、下にある層(例えば、支持体または予め焼結されたSSE層)上に配置された前駆体に印加することによって、逐次高温焼結によって形成することができる。例えば、SSEの各層126a~126cは、加熱波技法の調整可能性のために、制御された程度の緻密化(例えば、多孔質または緻密)で作製することができる。
図1Bの図示された例120では、底部SSE層126cは、導電性金属で浸透された多孔質および導電性基板(例えば、カーボンブラックなどの多孔質炭素、またはCu発泡体、Tiメッシュ、Niメッシュなどの多孔質金属層)で形成された第2の電極108上に形成される。したがって、多孔質基板は、層アセンブリ124内のSSE層126a~126cのための支持体としての役割を果たし、電池102の電極としての役割を果たす。いくつかの実施形態では、第1の電極110は、層アセンブリ124とは別個に形成され、その後、それに結合されて、電池102を形成することができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、第1の電極110は、例えば、上記に組み込まれた国際公開第2020/236767号に開示された焼結方法によって、層アセンブリ124上にまたはSSE層126aと一体的に形成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、
図1Aの浸透多孔質足場および
図1Bの多層態様を一緒に組み合わせて、複合固体構造、例えば、多孔質支持層の上に形成された充填材浸透多孔質足場、ならびに多孔質足場の上に形成された異なる材料組成物の1つまたは複数の追加の層を形成することができる。例えば、
図1Cは、電池132(例えば、一次電池または二次電池)の層アセンブリ134に組み込まれた複合SSE136を示す。上述の他の例と同様に、電池132(例えば、Liイオン電池)は、電池132をノード112に接続する複合SSEの両側に第1の電極110および第2の電極108を含むことができる。しかしながら、ここでは、複合SSEは、充填材浸透多孔質足場層106と、層106の上の複数の追加の層126a~126bとによって形成される。2つの層126a~126bが
図1Cに示されているが、1つまたは複数の企図される実施形態によれば、1つの層または3つ以上の層も可能である。
【0034】
特定の材料組成物が上記および本明細書の他の箇所で言及されているが、開示される主題の実施形態は、それらに限定されない。むしろ、他の材料組成物も、1つまたは複数の企図される実施形態に従って、例えば、異なるイオンを伝導に適応させるため、異なる性能測定基準(例えば、より高いイオン伝導度および/またはより低い電子伝導度)を提供するため、異なる製造限界(例えば、異なる融点および/または焼結温度)を提供するため、異なる機械的特性(例えば、機械的強度)を提供するため、または任意の他の理由で可能である。
【0035】
多孔質支持層を用いて形成された固体電解質
図2Aは、複合SSEを形成するための2ステップ加熱波プロセス200を示す。最初に、多孔質支持層202が提供される。いくつかの実施形態では、多孔質支持層202は、炭素または金属などの導電性材料から形成される。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質支持層202は、カーボンナノチューブ(CNT)のマトリクスなどの導電性炭素粒子または構造から形成することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、多孔質支持層202は、Cu発泡体、Tiメッシュ、またはNiメッシュなどの金属メッシュまたは発泡体で形成することができる。204において、1つ以上の前駆体は、例えば、スプレーコーティング、ブレードコーティング、印刷、またはテープ転写などであるが、これらに限定されない、公知の堆積技術によって、多孔質支持層上に提供され得る。これにより、多孔質支持層202上に前駆体層206が得られ、次いで、高温加熱波を印加することによって208で焼結して、多孔質支持層202上に多孔質足場210を一体的に形成することができる。例えば、多孔質足場210は、上記および本明細書の他の箇所で詳細に説明したように、金属イオンまたはアニオンを伝導する材料から形成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、高温加熱波は、前駆体を緻密(例えば、非多孔質)膜に焼結するために典型的に使用される温度未満の温度である。例えば、従来の焼結は、LLZTOの層を焼結するために1400Kを超える温度を使用し得るが、208の加熱波は、1200K未満、例えば約1100Kを使用し得る。加えて、高温加熱波は、焼結において典型的に使用される持続時間よりも実質的に短い持続時間を有する。例えば、従来の焼結は、数時間または少なくとも数分を必要とし得るが、208の加熱波は、約5秒など、30秒未満の持続時間の間行われる。いくつかの実施形態では、多孔質支持層と前駆体との間の異なる熱膨張係数に対応するために、焼結の程度は、制限された収縮を有するが、連続的なLiイオン伝導経路のために十分なネック成長を有する足場210の多孔質形態を維持するように制御された。短時間の焼結中の多孔質SSEの限られたサイズ変化のために、亀裂の形成を回避することができ、または少なくとも低減することができる。
【0037】
次いで、多孔質足場210に212で1つまたは複数の充填材を浸透させて、多孔質支持層202の上に複合SSEとして高密度の非多孔質層214を得ることができる。いくつかの実施形態では、充填材浸透212は、1つまたは複数の充填材(またはその前駆体)を多孔質足場210上に堆積させ、次いで別の高温加熱波を印加することを含むことができる。多孔質足場210上への充填材の堆積は、スプレーコーティング、ブレードコーティング、および蒸着などであるが、これらに限定されない、任意の公知の堆積技法によって行うことができる。いくつかの実施形態では、充填材は、低融点(例えば、500~1100Kの範囲の融点)を有するガラス状材料(例えば、LBO)である。例えば、充填材は、上記および本明細書の他の箇所で詳細に記載されるように、金属イオンまたはアニオンを伝導する材料から形成することができる。
【0038】
浸透212のための高温加熱波は例えば、1200K未満(例えば、~1100K)の温度および30秒未満(例えば、~5秒)の持続時間で、焼結208のためのものと同様であり得る。あるいは、浸透212の高温加熱波は、例えば、焼結208の温度よりも低い温度(例えば、選択された充填材のより低い融点に基づく)および/または異なる持続時間(例えば、60秒未満)で、焼結208の加熱波と異なることができる。いくつかの実施形態では、浸透212は、充填材が多孔質足場210の厚さを完全に透過して、例えば、多孔質支持層202との界面から層214の露出した上面まで延在する均一に緻密な層214を形成するようなものである。あるいは、いくつかの実施形態では、浸透212は、充填材が層214の露出した上面から少なくとも0.5μmの深さまで浸透するようにすることができる。
【0039】
多孔質支持層から形成された電極層
支持層202は、多孔質であるので、いくつかの実施形態では、支持層202は、製造中および製造後に複合SSEを支持することに加えて、フルセルアセンブリ内の電極として働くための陽極または陰極材料のためのホストとして使用することができる。例えば、
図2Bは、多孔質支持層が陽極を形成する層アセンブリの製造のためのプロセス220を示す。図示の例では、SSE層222が多孔質支持層202上に予め形成されている。いくつかの実施形態では、SSE層222が例えば、
図2Aのプロセス200によって形成される、および/または異なるSSE材料の複数の層を組み込む(例えば、
図1B~
図1Cに示されるように)、複合SSEであり得る。あるいは、いくつかの実施形態では、SSE層222が例えば、焼結を介して支持層202の表面上に直接形成される(例えば、
図1Bの層126cの形成と同様)単一層SSEであってもよく、または別々に形成され、支持層表面上に(例えば、印刷、噴霧、テープ転写などの任意の従来技術を介して)提供されてもよい。224において、SSE層222は、陰極230と多孔質支持層202との間に配置されるように、陰極230をSSE層222の上に(例えば、積層によって)設けることができる。
【0040】
図示の例では、陰極230は、陰極活性物質228が浸透した陰極支持基板226によって形成することができる。いくつかの実施形態では、陰極支持基板226は、導電性材料で形成された多孔質基板とすることができる。例えば、陰極支持基板226は、カーボンブラック粒子のマトリックス(例えば、5~10重量%)などの多孔質炭素で形成することができる。いくつかの実施形態では、陰極活性物質228は、リチウムおよび別の金属を含む組成を有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、陰極は、例えば、Chengらの論文「イオン液含有陰極増強セラミック固体電解質」、iScience、2022年3月、25(3)、103896に開示されているように、液体電解質であるか、および/または液体電解質を含むことができ、この論文は、参照のため、本明細書に組み込まれる。陰極230のための他の構成および組成も、1つまたは複数の企図される実施形態に従って可能である。
【0041】
図示の例では、陽極234は、232において多孔質支持層202にLiを浸透させることによって形成することができる(例えば、リチウムイオン電池で使用される場合)。集積層アセンブリ236は次いで、例えば、適切なパッケージングの後に、電池として使用することができる。いくつかの実施形態では、Liが限定された方法で、例えば、浸透を多孔質支持層202に閉じ込めるために、232で浸透させることができる。代替的にまたは追加的に、Liは、層アセンブリ236全体に浸透させることができる。そのような場合、陰極230は、予め脱リチウム化することができる。
【0042】
図2Cは、多孔質支持層が陽極を形成する層アセンブリの製造のための別のプロセス240を示す。図示の例では、最初に陰極230が設けられている。上述のように、陰極230は、陰極活性物質228が浸透した多孔質陰極支持層226によって形成することができる。242において、SSE層のための1つ以上の前駆体244は、任意の公知の堆積技術(例えば、スプレーコーティング、ブレードコーティング、印刷、蒸着など)を介して陰極230上に提供され得る。246では、前駆体244を焼結に供して、前駆体244をSSE層248に変換することができる。いくつかの実施形態では、前駆体層244、焼結層246、およびSSE層248は、それぞれ
図2Aの前駆体層206、焼結層208、および多孔質足場210と同様であり得る。そのような実施形態では、多孔質足場が例えば、
図2Aに関して上述したのと同様の方法で、実質的に非多孔質のSSE層248を得るために充填材をさらに浸透させることができる。あるいは、いくつかの実施形態では、SSE前駆体が例えば、適切な持続加熱波の印加によって、実質的に非多孔質の層に直接形成され得る。例えば、焼結246の加熱波は、60秒以下(例えば、10~20秒)の持続時間の間、1200~3000Kの範囲の温度であり得る。
【0043】
図2Cの図示の例では、次いで、多孔質支持層202が、例えば積層によって、SSE層248上に提供され得る。いくつかの実施形態では、多孔質支持層202が例えば、
図2A~
図2Bに関して上述したように、導電性炭素または金属で形成することができる。多孔質支持層202を提供した後、陽極234は、
図2Bに関して上述したのと同様の方法で、例えば、232におけるLi浸透によって形成され、陽極234と陰極230との間に配置されたSSE層248を有する層アセンブリをもたらすことができる。
【0044】
図2Dは、多孔質支持層が陽極を形成する層アセンブリの製造のための別のプロセス260を示す。図示の例では、陰極230およびSSE層248が
図2Cに関して上述したのと同様の方法で形成することができる。262において、陽極264として機能するように、SSE248上に(例えば、積層、金属溶融物との接触、蒸着、スパッタリングなどによって)金属層を設けることができる。いくつかの実施形態では、金属層は、固体Liであり得る。あるいは、いくつかの実施形態では、金属層は、例えば、Liの浸透のためのホストとして、多孔質層(例えば、Cu発泡体、Ni発泡体、Tiメッシュなど)として形成することができる。
【0045】
上述の例は、多孔質支持層の陽極電極への変換に焦点を当てているが、開示される主題の実施形態は、それに限定されない。実際、いくつかの実施形態では、多孔質支持層は、浸透材料組成物(例えば、陰極活性物質)および/または支持層(例えば、カーボンブラックまたは金属発泡体/メッシュ)の組成の適切な選択によって代わりに陰極に変換することができる。
【0046】
多孔質支持層を用いた製造方法
図3は、複合SSEおよび多孔質支持層を有する層アセンブリを製造するための方法300を示す。方法300は、始端工程302で開始し、処理工程304に進むことができ、ここで、多孔質支持層を提供することができる。例えば、多孔質支持層は、導電性材料(例えば、カーボンナノチューブ、金属発泡体、金属メッシュなどの炭素系材料)の多孔質マトリックスを含むことができる。方法300は、処理工程306に進むことができ、ここで、SSEを形成するための1つ以上の前駆体が、多孔質支持層の第1の表面上に提供される。処理工程306の提供は、スプレーコーティング、印刷、ブレードコーティング、および蒸着などであるが、これらに限定されない、任意の公知の堆積技術を使用することができる。代替的にまたは追加的に、前駆体は、粉末形態で提供することができ、処理工程306の提供は、例えば、ボールミリングおよび/または焼成を含むことができる。いくつかの実施形態では、前駆体は、例えば、第1の温度(例えば、1200K)よりも高い融点を有するイオン伝導性酸化物である。
【0047】
方法300は、処理工程308に進むことができ、前駆体(および多孔質支持層)は、前駆体を焼結多孔質足場に変換するために、1つまたは複数の第1の高温加熱波に曝される。いくつかの実施形態では、第1の高温加熱波は、第1の温度未満のピーク温度で、制限された持続時間の間、実行される。例えば、第1の加熱波の持続時間は、10秒以下(例えば、~5秒)に制限することができ、第1の加熱波の温度は、~1100Kとすることができる。第1の加熱波は、ジュール加熱、または限られた持続時間の高温を生成することができる任意の他の加熱モダリティを介して実行することができる。
【0048】
方法300は、処理工程310に進むことができ、ここで、1つ以上の充填材(またはその前駆体)が多孔質足場上に提供される。いくつかの実施形態では、充填材は、多孔質支持層とは反対側の多孔質足場の露出面上に配置することができ、処理工程306の提供は、スプレーコーティング、印刷、ブレードコーティング、および蒸着などであるが、これらに限定されない、任意の公知の堆積技術を使用することができる。代替的にまたは追加的に、充填材は、粉末形態で提供することができ、処理工程310の提供は、例えば、ボールミリングおよび/または焼成を含むことができる。いくつかの実施形態では、充填材は、例えば、第1の温度未満(例えば、500~1100Kの範囲内)の融点を有するガラス状材料である。
【0049】
方法300は、処理工程312に進むことができ、ここで、1つまたは複数の充填材(および多孔質足場および多孔質支持層)は、充填材を溶融し、溶融物が多孔質足場に浸透することを可能にし、それによって実質的に非多孔質のSSE層を形成するように、1つまたは複数の第2の高温加熱波に曝される。いくつかの実施形態では、浸透は、多孔質足場を完全に充填するのに十分である。あるいは、いくつかの実施形態では、充填材は、多孔質足場の露出表面から少なくとも0.5μmの深さまで浸透する。いくつかの実施形態では、第2の高温加熱波は、充填材の融点よりも高いピーク温度で、限られた持続時間の間、実行される。例えば、第2の加熱波の持続時間は、10秒以下(例えば、~5秒)に制限され得、第1の加熱波の温度は、~1100Kであり得る。第1の加熱波は、ジュール加熱、または限られた持続時間の高温を生成することができる任意の他の加熱モダリティを介して実行することができる。
【0050】
方法300は、決定工程314に進むことができ、ここで、追加のSSE層が所望されるかどうかが決定され、例えば、複合SSEの電気化学ウィンドウを変更し、かつ/または電極のうちの1つとの接触を介してSSE層を劣化から保護する追加の層を提供する。複合SSEのために追加の層が望まれる場合、方法300は、決定工程314から処理工程316に進むことができ、そこで、追加の前駆体を、先に形成された層の露出面(例えば、先に形成された層の多孔質支持層とは反対側の面)上に配置することができる。処理工程316の提供は、スプレーコーティング、印刷、ブレードコーティング、および蒸着などであるが、これらに限定されない、任意の公知の堆積技術を使用することができる。代替的にまたは追加的に、前駆体は、粉末形態で提供することができ、処理工程316の提供は、例えば、ボールミリングおよび/または焼成を含むことができる。いくつかの実施形態では、前駆体は、例えば、第1の温度よりも高い融点を有するイオン伝導性酸化物である。
【0051】
次いで、方法300は、処理工程318に進み、前駆体(および予め形成されたSSE層および多孔質支持層)は、前駆体を焼結SSE層に変換するために、1つまたは複数の第3の高温加熱波に曝される。いくつかの実施形態では、第3の高温加熱波は、第1の温度よりも高いピーク温度で、制限された持続時間の間、実行される。例えば、第3の加熱波の持続時間は、60秒以下(例えば、~10~20秒)に制限することができ、第3の加熱波の温度は、1200~3000Kの範囲内とすることができる。第3の加熱波は、ジュール加熱、または限られた持続時間の高温を生成することができる任意の他の加熱モダリティを介して実行することができる。いくつかの実施形態では、新たに焼結されたSSE層の組成は、先に形成されたSSE層とは異なり得る。第3の加熱波の後、方法300は決定工程314に戻ることができる。
【0052】
決定工程314において追加のSSE層が望まれない場合、方法300は、処理工程320に進むことができ、ここで、多孔質支持層の少なくとも一部分が第1の電極(例えば、電池の陽極および陰極のうちの1つ)に変換される。いくつかの実施形態では、処理工程320の変換が多孔質支持層にLi金属を浸透させて陽極を形成すること、または多孔質支持層に陰極活性物質を浸透させて陰極を形成することを含むことができる。方法300は、処理工程322に進むことができ、ここで、第2の電極(例えば、電池の陽極および陰極の他方)が、複合SSEの多孔質支持層とは反対側の側に提供される。いくつかの実施形態では、処理工程322の提供は、電極層(例えば、陰極のための陰極活性物質を有する陰極支持体、または陽極のためのLi金属層もしくはLi浸透多孔質金属)を複合SSE上に(例えば、積層を介して)配置することを含むことができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、陽極および/または陰極は、例えば、SSE上に直接層を焼結することによって、SSEのそれぞれの表面上に一体的に形成することができる(例えば、2020年11月26日に公開され、「高温焼結システムおよび方法」と題された国際公開第2020/236767号パンフレットに記載されているように、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0053】
別々に示されているが、様々な処理工程が同時にまたは反復的に行われ得ることが企図される。さらに、他のもの後に生じるものとして示される特定の処理工程は、事前に実際に起こり得る。方法300の工程304~322は、1回実行されるものとして説明されたが、いくつかの実施形態では、特定の処理工程の複数の繰り返しが、次の決定工程または処理工程に進む前に使用され得る。加えて、方法300の工程304~322が別々に図示され、説明されているが、いくつかの実施形態では、処理工程が一緒に(同時に、または連続して)組み合わされ、実行され得る。さらに、
図3は、工程304~322の特定の順序を示すが、開示される主題の実施形態は、それに限定されない。実際、特定の実施形態では、工程が図示されたものとは異なる順序で、または他の工程と同時に生じてもよい。いくつかの実施形態では、方法300は、
図3Bの工程304~322のうちのいくつかのみを備え得る。
【0054】
高温加熱波
開示された例のいずれにおいても、加熱源(例えば、1つ以上のジュール加熱要素)は、SSE前駆体を短時間の高温加熱波に供して焼結構造を形成することができ、および/または充填材を短時間の高温加熱波に供して、多孔質SSE足場への浸透のために材料を溶融させることができる。例えば、
図4Aは、高温加熱波のための例示的な波400を示す。いくつかの実施形態では、加熱波400は、高温T
Hへの、および/または高温T
Hからの、例えば、室温(例えば、20~25℃)または高温(例えば、100~200℃などの<500K)などの低温T
Lへの/からの、急速な転移を提供することができる。例えば、加熱波400は、焼結点T
H(例えば、少なくとも500K)またはその付近で、短い滞留時間t
1(例えば、≦60秒)を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、滞留時間t1は、10秒以下(例えば、3~10秒、例えば、~5秒)であってもよく、および/または高温THは、例えば、加熱波を使用して多孔質足場を形成し、および/または充填材を溶融させる場合、1200K以下(例えば、~1100K)であってもよい。いくつかの実施形態では、滞留時間t1は、30秒以下(例えば、10~20秒)であり得、および/または高温THは、例えば、焼結して前駆体から非多孔質SSE層を直接的に形成する場合、少なくとも1200K(例えば、1200~3000K)であり得る。いくつかの実施形態では、加熱波400は、高温THへの、および/または高温TLからの、例えば低温からの/または低温への急速な移行をさらに含むことができる。例えば、加熱波400は、急速加熱ランプRH(例えば、≧103K/秒、例えば、104~105K/秒を含む)および/または急速冷却ランプRC(例えば、≧103K/秒、例えば、104~106K/秒を含む)を含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、高温加熱波は、ジュール加熱、マイクロ波加熱、レーザ加熱、電子ビーム加熱、火花放電加熱、または焼結温度、加熱速度、および/または冷却速度を提供することができる任意の他の加熱機構によって提供することができる。例えば、高温加熱波を提供するためのシステムおよび方法は、2020年11月26日に公開された「高温焼結システムおよび方法」と題された国際公開第WO2020/236767号、および2022年9月29日に公開された「高温焼結炉システムおよび方法」と題された、2022年9月29日に公開された国際公開第WO2022/204494号に開示されたものと同様であり得、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、コントローラは、時間制限された電流をジュール加熱要素に印加するように電源を制御することができ、この電流は、加熱要素を高温まで急速に上昇させ、高温で所定の時間にわたって滞留させ、次いで、高温から急速に冷却する。
【0057】
いくつかの実施形態では、高温加熱波は、加熱ゾーンから焼結構造を運び出すことによって、および/または加熱要素の動作を非活性化、エネルギー供給停止、またはその他の終了操作によって終了させることができる。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、加熱波の端部での冷却は、1つまたは複数の受動的冷却特徴(例えば、加熱要素および/または焼結構造に熱的に結合されたヒートシンクなど)、1つまたは複数の能動的冷却特徴(例えば、焼結構造および/またはヒータに向けられた流体流、それに熱的に結合されたヒートシンクを通る流体流など)、またはそれらの任意の組合せを使用して達成することができる。
【0058】
コンピュータの実装
図4Bは、方法300の態様および/または加熱もしくは焼結システム(例えば、炉)のコントローラなど、以上に説明される革新が実装され得る、適切なコンピューティング環境431の一般化された例を描写するものであるが、これらに限定されない。コンピューティング環境431は、様々な汎用または専用コンピューティングシステムにおいて革新が実装され得るので、使用または機能性の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例えば、コンピューティング環境431は、様々なコンピューティングデバイス(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータなど)のいずれかであり得る。
【0059】
図4Bを参照すると、コンピューティング環境431は、1つまたは複数の処理ユニット435、437と、メモリ439、441とを含む。
図4Bでは、この基本構成451が破線内に含まれる。処理ユニット435、437は、コンピュータ実行可能命令を実行する。処理ユニットは、中央処理ユニット(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)内のプロセッサ、または任意の他のタイプのプロセッサ(例えば、ハードウェアプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、仮想プロセッサなど)であり得る。マルチ処理システムでは、複数の処理ユニットがコンピュータ実行可能命令を実行して、処理能力を増大させる。例えば、
図4Bは、中央処理ユニット435と、グラフィック処理ユニットまたはコプロセッシングユニット437とを示す。有形メモリ439、441は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリなど)、または処理ユニットによってアクセス可能な2つの何らかの組合せであり得る。メモリ439、441は、処理ユニット(複数可)による実行に適したコンピュータ実行可能命令の形態で、本明細書で説明する1つまたは複数の革新を実装するソフトウェア433を記憶する。
【0060】
コンピューティングシステムは、追加の特徴を有することができる。例えば、コンピューティング環境431は、記憶装置461、1つ以上の入力デバイス471、1つ以上の出力デバイス481、および1つ以上の通信接続491を含む。バス、コントローラ、またはネットワークなどの相互接続機構(図示せず)が、コンピューティング環境431の構成要素を相互接続する。典型的には、オペレーティングシステムソフトウェア(図示せず)がコンピューティング環境431において実行する他のソフトウェアのためのオペレーティング環境を提供し、コンピューティング環境431の構成要素のアクティビティを調整する。
【0061】
有形記憶装置461は、取り外し可能または取り外し不可能であってもよく、磁気ディスク、磁気テープまたはカセット、CD-ROM、DVD、または非一時的な方法で情報を記憶するために使用することができ、コンピューティング環境431内でアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。記憶装置461は、本明細書で説明する1つまたは複数の革新を実装するソフトウェア433のための命令を記憶することができる。
【0062】
(1つまたは複数の)入力デバイス471は、キーボード、マウス、ペン、またはトラックボールなどのタッチ入力デバイス、音声入力デバイス、走査デバイス、またはコンピューティング環境431に入力を与える別のデバイスであり得る。出力デバイス471は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、CDライタ、またはコンピューティング環境431からの出力を提供する別のデバイスとすることができる。
【0063】
通信接続491は、通信媒体を介して別のコンピューティングエンティティへの通信を可能にする。通信媒体は、コンピュータ実行可能命令、オーディオもしくはビデオ入力もしくは出力、または変調データ信号内の他のデータなどの情報を伝達する。変調データ信号は、信号内の情報を符号化するように、その特性のうちの1つまたは複数が設定または変更された信号である。限定ではなく例として、通信媒体は、電気、光、無線周波数(RF)、または別のキャリアを使用することができる。
【0064】
開示された方法のいずれも、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、1つまたは複数の光媒体ディスク、揮発性メモリ構成要素(DRAMまたはSRAMなど)、または不揮発性メモリ構成要素(フラッシュメモリまたはハードドライブなど))上に記憶され、コンピュータ(例えば、コンピューティングハードウェアを含むスマートフォンまたは他のモバイルデバイスを含む、任意の市販のコンピュータ)上で実行される、コンピュータ実行可能命令として実装され得る。コンピュータ可読記憶媒体という用語は、信号および搬送波などの通信接続を含まない。開示された技術を実施するための任意のコンピュータ実行可能命令、ならびに開示された実施形態の実施中に作成され、使用される任意のデータは、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。コンピュータ実行可能命令は例えば、ウェブブラウザまたは他のソフトウェアアプリケーション(リモートコンピューティングアプリケーションなど)を介してアクセスまたはダウンロードされる専用ソフトウェアアプリケーションまたはソフトウェアアプリケーションの一部であり得る。そのようなソフトウェアは例えば、単一のローカルコンピュータ(例えば、任意の適切な市販のコンピュータ)上で、または1つまたは複数のネットワークコンピュータを使用してネットワーク環境(例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、クライアントサーバネットワーク(クラウドコンピューティングネットワークなど)、または任意の他のそのようなネットワークを介して)で実行され得る。
【0065】
明確にするために、ソフトウェアベースの実装形態のいくつかの選択された態様のみが説明される。当技術分野で周知の他の詳細は、省略する。例えば、開示される技術は、任意の特定のコンピュータ言語またはプログラムに限定されないことを理解されたい。例えば、開示されたテクノロジーの態様は、C++、JavaTM、Python(登録商標)、および/または任意の他の好適なコンピュータ言語で書かれたソフトウェアによって実装することができる。同様に、開示される技術は、任意の特定のコンピュータまたはハードウェアのタイプに限定されない。適切なコンピュータおよびハードウェアの特定の詳細は周知であり、本開示で詳細に説明する必要はない。
【0066】
本明細書で説明される任意の機能は、ソフトウェアの代わりに、少なくとも部分的に、1つまたは複数のハードウェア論理構成要素によって実行され得ることもまた、十分に理解されるべきである。例えば、限定ではなく、使用することができる例示的なタイプのハードウェア論理構成要素は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム固有集積回路(ASIC)、プログラム固有標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)などを含む。
【0067】
さらに、ソフトウェアベースの実施形態のいずれか(例えば、コンピュータに開示された方法のいずれかを実行させるためのコンピュータ実行可能命令を含む)は、適切な通信手段を介してアップロード、ダウンロード、または遠隔アクセスすることができる。そのような好適な通信手段は例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、ソフトウェアアプリケーション、ケーブル(光ファイバーケーブルを含む)、磁気通信、電磁気通信(高周波、マイクロ波、および赤外線通信を含む)、電子通信、または他のそのような通信手段を含む。上記の例および実施形態のいずれにおいても、システム、構成要素、デバイスなどの間の要求(例えば、データ要求)、指示(例えば、データ信号)、命令(例えば、制御信号)、または任意の他の通信の提供は、有線接続またはワイヤレス接続による適切な電気信号の生成および送信によるものであり得る。
【0068】
作製例と実験結果
充填材を浸透させた多孔質足場
カーボンナノチューブ(CNT)支持体を用いて、Li
7La
3Zr
2TaO
12(LLZTO)多孔質足場を形成し、その後、足場に溶融Li
3BO
3(LBO)ガラスを浸透させて、緻密な複合SSEを形成した。特に、2段階製造プロセスを使用した。まず、1100Kでわずか5秒間、LLZTO前駆体を焼結することによって、多孔質LLZTO膜をCNT支持体上に形成した。この短時間加熱波は、
図5Aに示されるように、CNT支持体上にLLZTO多孔質足場を形成したが、実質的に亀裂のない形態を有していた。
図5B~5Cの拡大画像は、LLZTO足場が焼結時間および温度の正確な制御に一部起因して、連続的な多孔質微細構造を有することをさらに示す。さらに、
図5Dに示されるように、LLZTO多孔質足場は、CNT支持体との継ぎ目のない界面を有する。製造プロセスの第2のステップでは、LBOガラスを多孔質LLZTOフィルム上に配置し、別の短時間加熱波、特に1100Kにわずか5秒間曝す。この第2の短時間加熱波は、LBOを溶融させるのに十分であり、それによって、
図6Aに示されるように、LLZTO足場の細孔に浸透し、それを充填して、緻密な複合SSE層を達成することを可能にする。
図6B~6Cに示すように、CNT担持LBO/LLZTO複合SSEフィルムは、高密度構造を示す。
図6Dに示されるように、CNT支持体と緻密な複合SSE層との間の密な界面が維持された。
【0069】
図7Bに示すように、CNT支持体上の複合SSEは、LLZTOの標準回折パターンと一致する所望の相を示す。電気化学的特性を試験するために、
図7Aの非対称試験セル700を作製した。特に、試験セル700は、Liから形成された電極702と、多孔質支持層706(CNT)上に支持された隣接する複合SSE層704(LLZTO/LBO)とを含む。Li溶融物708はまた、Li電極702とは反対側の多孔質支持層706の端部に提供された。この非対称試験セル700を使用して、複合SSEの導電率およびその定電流サイクル性能を評価した。
図7C~
図7Dに示すように、複合SSEは、7×10
-5S/cmの高Liイオン伝導率と、0.2mA/cm
2で7mVの低過電圧を有する安定な充電/放電カーブとを提供する。
【0070】
多層構造
広がった電気化学的電圧ウィンドウを有し、電極材料(例えば、陰極およびLi金属陽極)に対して安定なままであり得る複合SSEを提供するために、多層構造が形成された。多層構造は、連続インク印刷を使用し、続いて高温波(例えば、1200~3000Kの温度で30秒以下の持続時間)を印加することによって達成された。計算は、ガーネットLLZTOおよびLi
3xLa
2/3-xTiO
3(LLTO)が比較的低酸化電位または高還元電位のいずれかを有し、陰極またはLi金属陽極との電気化学的安定性が制限されることを示している。性能を改善するために使用できるSSE層の付加を同定するために、NASICON型Li
1.3Al
0.3Ti
1.7P
3O
12(LATP)、Li
7La
3Zr
2O
12(LLZO)、LiCoO
2、LiBO
2、およびLi
3PO
4を含むいくつかの他の物質について電気化学ウィンドウを計算した。計算の結果を
図8Aにまとめる。これらの材料は、
図8Bに示されるように、多層構造設計に組み込まれたとき、高電圧または低電圧でより良好な安定性を有することができる。
【0071】
作製した事例では、多層合成SSEをLiBO
2とLLZTOから形成した。特に、LiBO
2前駆物質粉末をLLZTO膜上に置き、ジュール加熱要素を用いて短時間加熱波によって焼結した。LiBO
2/LLZTOSSEは、加熱波全体を通してジュール発熱体から約0.5mmのままであり、それによって焼結中の熱ロスを減少させ、焼結時間を短縮した。焼結温度が~1073Kに達すると、LiBO
2粉末は、液状に溶融し、LLZTO面上に広がり、
図8Cに示すように、LLZTOとの緻密で均一な界面を形成した。そのような界面は、界面抵抗を減少させる助けとなり得る。約3μmの厚さでさえ、焼結LiBO
2薄膜は、
図8Dに示されるように、LLZTOとの明確な界面を保持した。層間元素共拡散は観察されず、元素拡散は加熱波法によって効果的に阻害されたことを示唆した。従来の焼結では、NASICON(例えば、NASICONおよびガーネット)またはガラス(例えば、ガラスおよびガーネット)を有する多層ガーネットSSEが高いイオン伝導性を保持することは、持続時間が長くなる焼結は、イオン伝導性を低下させるLi損失につながる可能性があるため、課題となり得る。対照的に、各SSE層を焼結するための短時間加熱波の使用は、Li損失を回避するか、または少なくとも低減することができ、それによって、得られる多層複合SSEのイオン伝導性を維持する。実際に、LiBO
2とLLZTOによって形成された多層SSEは、3mS/cmのイオン伝導率を示し、これは、ガーネットバルクについて報告された最高値の一つである。
【0072】
別の例では、ガーネットは、~1mS/cmの高いイオン伝導率およびLi金属との優れた安定性を有するが、~3Vの比較的酸化電位を有し、より高い電圧の陰極材料と対になる能力を制限する。さらに、高い焼結温度(例えば、>773K)での陰極物質による化学的不安定性のために、ガーネットは、劣った界面接触および/または界面耐性の増大につながり得るので、LiCoO
2などの特定の陰極と共焼結することができなかった。ガーネットSSEの電気化学的ウィンドウを広げるために、NASICONは、
図9Aに示されるように、ガーネットと陰極材料との間の薄い緩衝層として使用することができる。例えば、LATPは、~1mS/cmの高いイオン伝導率を特徴とし、4.31Vの高い陽極電位を有すると計算される。これにより、LiCoO
2陰極との対形成のためのガーネットの酸化電位を広げることができる。
【0073】
上述のように、従来の焼結は、Li損失および元素層間共拡散に起因する課題に悩まされる可能性があり、イオン伝導率の低下および電池性能の低下につながる。したがって、従来の技術を用いてLATPおよびLLZTOを有する多層SSEを製造することは困難であり得る。対照的に、
図6Cに示すように、LLZTOペレット上のLATP薄膜をタイトな界面で成功裏に焼結するために、限られた持続時間の高温加熱波と一緒に、溶液ベースの技術を使用した。特に、LLZTOペレット上にLATP前駆体インクを直接印刷し、続いて約5秒間焼結した。焼結温度が~1473Kに達すると、LATP前駆体は、~5秒以内に反応して緻密化し、LLZTO表面上に連続的で緻密な被覆層を形成した。焼結時間が短いため、Li損失が効果的に抑制され、
図9Bに示すように、所望の高いイオン伝導度で純粋なNASICON型構造を有するLATP薄膜が生成される。
図9Cに示されるように、LATPコーティング層の厚さは、~10μmであり、これは、LLZTOペレット(~400μm)よりもはるかに薄く、したがって、高い重量エネルギー密度を達成するのに役立つ。
図9D~
図9Eによって示唆されるように、層間の密な界面が維持され(界面抵抗の減少を示す)、層間共拡散は、観察されなかった。LATPおよびLLZTOから形成されたこの多層膜は、LLZTOがフルセルアセンブリのためにLiCoO
2陰極と同時焼結されることを可能にする。
【0074】
別の例では、LiBO
2-Li
3PO
4とペロブスカイト型LLTOの多層SSEを作製し、LLTOの還元電位を0.69Vに低下させ、Li金属陽極によるLLTOの化学的安定性を効果的に改善した。LLTOは、その高いイオン伝導性の観点から固体電池用途には魅力的であるが、Li金属と接触すると分解する傾向がある。ガラスSSE、特にLiBO
2-Li
3PO
4は、
図10Aに示されるように、SSEの一部として保護膜を提供するように選択された。ガラスSSEは、Li金属に対して優れた化学的安定性を示すので、LLTOをLi金属陽極から絶縁することができる。LLTOを保護するためには、Ti
4+がLiメタルと接触するとTi
3+を減少させることができるので、被覆層は、ピンホールなしに非常に緻密である必要がある。そのような層は、元素の共拡散およびセラミックの亀裂のために、従来の焼結において達成することが困難である。対照的に、限られた持続時間の高温加熱波の使用は、このピンホールのない保護層を有する多層SSEを効果的に形成することができる。
【0075】
図10B~
図10Eに示すように、LiBO
2-Li
3PO
4膜を高温で溶融させて、クラックやピンホールのない緻密な組織を形成した。423Kで溶融Li-Sn合金に浸漬した後、溶融Li金属は、
図10Dに示されるように、いかなる反応もなくLiBO
2-Li
3PO
4面を十分に湿潤させ、統合された均一な界面を形成し、LiBO
2-Li
3PO
4の高密度をさらに高める。これにより、LiBO
2-Li
3PO
4膜は、LLTO層とLi層との間の直接的な接近を防止し、LLTOが溶融Liによって還元されることを抑制する。
【0076】
別の実施形態では、Li
3PO
4とLLZTOとの層によって複合SSEを形成した。
図11Aに示すように、短時間(例えば、3秒)~1773Kの焼結温度を用いて、ガラスLi
3PO
4防護層をLLZTOペレット上に溶融させた。得られたLi
3PO
4膜の厚さは、~5μmであった。焼結温度が高くなると、Li
3PO
4薄膜は、合体した微細結晶粒を有する結晶組織をとることができ、これは、イオン伝導性を高めるのに役立つ。
図11Bに示すように、コンパクトで均一で明瞭な層間界面が生成し、素子層間共拡散が良好に抑制されていることが分かる。
図11Cに示すように、Li
3PO
4は、純相組織を示し、焼結時間が短いことにより焼結時のリチウムロスが効果的に抑制されることが示唆された。
【0077】
図11Cは、同様の製造工程を経たLLZTO上のガラスLiBO
2(LBO)について得られた同様の結果も示す。また、
図11D~
図11Eに示すように、LLZTOOOAのイオン伝導度は、0.3mS/cm、活性化エネルギーは、~0.23eVであった。二重層LiBO
2-LLZTOの界面耐性は、LiBO
2の最高報告イオン伝導度(例えば、10
-5~10
-8S/cm)を用いて~24Ω・cm
2であると推定された。実際の界面抵抗は、
図11Fに示されているように、LiBO
2被覆層が薄いため、24Ω・cm
2よりはるかに低くなければならない。
【0078】
開示された技術のさらなる例
開示された主題の上述の実装を考慮して、本出願は、以下に列挙される付記における追加の例を開示する。単独での付記の1つの特徴、または組み合わせて取られた付記の2つ以上の特徴、および任意選択で、1つ以上のさらなる付記の1つ以上の特徴と組み合わせたさらなる例も、本出願の開示の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0079】
付記1.
(a)多孔質支持層の第1の表面上に1つ以上の前駆体を提供し、
(b)1つ以上の前駆体を焼結して多孔質足場を形成するように、多孔質支持層に1つ以上の前駆体を第1の温度に第1の時間曝露し、第1の温度は、約1200K以下であり、第1の時間は、約60秒以下であり、多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含み、
(c)500~1100K(両端を含む)の範囲の融点を有する1つ以上の充填材を多孔質足場の第2の表面上に提供し、
(d)1つ以上の充填材を有する多孔質足場を第2の温度に第2の時間曝露し、1つ以上の充填材を溶融させて、多孔質足場に浸透する1つ以上の充填材を有する非多孔質の複合固体電解質層を形成し、第2の温度は、約1200K以下であり、第2の時間は、約60秒以下である、方法。
【0080】
付記2.
第2の温度は、第1の温度とほぼ同じかそれ以下であり、
第1の温度は、約1100Kであり、
第2の温度は、約1100K;または上記の任意の組み合わせである、本明細書の任意の項または例、特に、付記1に記載の方法。
【0081】
付記3.
第2の時間は、第1の時間とほぼ同じか、または第1の時間未満であり、
第1の時間は、約5秒であり、
第2の時間は、約5秒;または
上記の任意の組み合わせである、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記1~2のいずれか1項に記載の方法。
【0082】
付記4.
前記複合固体電解質層が、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アニオン、またはこれらの任意の組み合わせを伝導する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
付記5.
前記複合固体電解質層が、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、酸素イオン、またはこれらの任意の組み合わせを伝導する、付記1~4のいずれか1項に記載の方法。
【0084】
付記6.
前記多孔質支持層が、炭素または金属を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~5のいずれか1項に記載に記載の方法。
【0085】
付記7.
前記多孔質支持層が、カーボンナノファイバーのマトリックスを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~6のいずれか1項に記載に記載の方法。
【0086】
付記8.
多孔質支持層が、金属メッシュを含む、、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~6のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
付記9.
(d)の融解が、1つまたは複数の充填材が多孔質足場の第2の表面から0.5μm以上の深さまで多孔質足場に浸透するようなものである、本明細書のいずれかの項または例、特に付記1~8のいずれか1項に記載の方法。
【0088】
付記10.
1つまたは複数の充填材が、ガラス状のイオン伝導性材料を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0089】
付記11.
1つまたは複数の充填材が、Li3BO3、LiCl、LiBr、LiI、LiF、Li3N、LiBH4、LiBF4、または前述のもの任意の組合せを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0090】
付記12.
LiALaBM’cM’’DZrEOF、LiALaBM’’cM’’DTaEOF、またはLiALaBM’cM’’DNbEOF;
式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2、0≦E<2、および10<F<13であり、M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第1のものであり、M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第2のものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0091】
付記13.
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、LiALaBM’cM’’DZrEOF、LiALaBM’’cM’’DTaEOF、またはLiALaBM’CM’’DNbEOFの式を持つ化合物を含み、
式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2、0≦E<2、および10<F<13であり、
M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第1のものであり、
M’’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第2のものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
付記14.
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、ペロブスカイト型Li0.33La0.57TiO3、NASICON型Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、NASICON型LiTi2(PO4)3、NASICON型Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、ガーネット型Li7La3Zr2O12(LLZO)、タンタルドープLi7La3Zr2TaO12(LLTZO)、LISICON型Li14Zn(GeO4)4、またはこれらの任意の組合せを含み、式中、xは数である、本明細書における、特に、付記1~11項のいずれか1項に記載の方法。
【0093】
付記15.
前記イオン伝導性酸化物は、タンタルドープLi7La3Zr2TaO12(LLTZO)であり、1つ以上の充填材は、Li3BO3である、付記1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
付記16.
(d)の後、1つ以上の追加の前駆体を第3の温度で第3の時間焼結することによって、複合固体電解質層上に1つ以上の追加の固体電解質層を形成することをさらに含み、第3の時間は、約60秒以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~15のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
付記17.
1つまたは複数の追加の固体電解質層が、複合固体電解質層の材料組成とは異なる材料組成を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に付記16に記載の方法。
【0096】
付記18.
第3の温度は、第1の温度以上であり、
第3の時間は、第1の時間以上であり、
第3の温度は、1000~1500年K(両端を含む)の範囲であり、
第3の時間は、3~10秒(両端を含む)の範囲内であるか、または上記の任意の組み合わせである、本明細書のいずれか項または例、特に、付記16~17のいずれか1項に記載の方法。
【0097】
付記19.
(e)複合固体電解質層の多孔質支持層とは反対側に、電気化学エネルギー素子の陰極および陽極の一方を形成することと、
(f)多孔質支持層の少なくとも一部を、陰極および陽極の他方として形成することとを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~18のいずれか1項に記載の方法。
【0098】
付記20.
電気化学エネルギーデバイスは、電池または燃料電池である、本明細書のいずれかの項または例、特に付記19に記載の方法。
【0099】
付記21.
(f)の形成することは、多孔質支持層の少なくとも一部にリチウムを浸透させて陽極を形成することを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記19~20のいずれか1項に記載の方法。
【0100】
付記22.
リチウムの多孔質支持層への浸透の深さが少なくとも0.5μmである、本明細書のいずれかの項または例、特に付記21に記載の方法。
【0101】
付記23.
(f)が、(d)の後、(e)の後、または(d)および(e)の両方の後に行われる、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記19~22のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
付記24.
(f)の形成することは、多孔質支持層の少なくとも一部に1つ以上の陰極活性物質を浸透させて陰極を形成することを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記19~20のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
付記25.
1つまたは複数の陰極活性物質が、リチウムおよび別の金属元素を含む組成を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に付記24に記載の方法。
【0104】
付記26.
1つまたは複数の陰極活性物質を浸透させることが、1つまたは複数の陰極活性物質を、多孔質支持層上に液体電解質と共に配置することを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記24~25のいずれか1項に記載の方法。
【0105】
付記27.
1つまたは複数の陰極活性物質の多孔質支持層への浸透の深さが、少なくとも0.5μmである、本明細書のいずれかの項または例、特に付記24~26のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
付記28.
(f)が、(e)の前、(a)の前、または(a)および(e)の両方の前に行われる、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記24~27のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
付記29.
(e)の形成することは、陽極を形成するために複合固体電解質層の上に金属膜を提供することを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記24~28のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
付記30.
金属膜は、集電体としてのリチウム金属層または銅金属層である、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記29に記載の方法。
【0109】
付記31.
(e)の形成することは、
複合固体電解質層の上に別の多孔質層を提供することと、
別の多孔質層にリチウムを浸透させて陽極を形成することと、を含む、本明細書の任意の項または例、特に、付記24~28のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
付記32.
別の多孔質層は、炭素を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に付記31に記載の方法。
【0111】
付記33.
(b)の曝露の処理は、約103~約105K/秒(両端値を含む)の第1の加熱速度で第1の温度に加熱することを含み、
(d)の処理は、約103~約105K/秒(両端を含む)の第2の加熱速度で第2の温度に加熱することを含み、
(b)の処理は、約103~約105K/秒(両端を含む)の第1冷却速度で第1温度から冷却することを含み、
(d)の処理は、約103~約105K/秒(両端を含む)の第2の冷却速度で第2の温度から冷却することを含み、または
前述の任意の組合せを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~32のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
付記34.
多孔質支持層と、
多孔質支持層上に配置された非多孔質の複合固体電解質層であって、多孔質足場と、前記多孔質足場に浸透する1つ以上の充填材とを含み、多孔質足場は、イオン伝導性酸化物を含み、1つ以上の充填材は、500~1100K(両端を含む)の範囲の融点を有する、非多孔質の複合固体電解質層と、を備え、
多孔質支持層の少なくとも一部が、1つ以上の材料で浸透されて、電気化学エネルギーデバイスの電極を形成する、電気化学エネルギーデバイス。
【0113】
付記35.
電気化学エネルギーデバイスは、電池または燃料電池で電気化学エネルギーデバイス本明細書の任意の項または例、特に付記34の電気化学エネルギーデバイス。
【0114】
付記36.
多孔質支持層の少なくとも一部がリチウムで浸透されて、電気化学エネルギーデバイスの陽極を形成する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~35のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0115】
付記37.
リチウムは、多孔質支持層内に少なくとも0.5μmの深さまで浸透する、本明細書のいずれかの項または例、特に付記36の電気化学エネルギーデバイス。
【0116】
付記38.
多孔質支持層とは反対側の複合固体電解質層の側面上に配置された電気化学エネルギーデバイスの陰極をさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記36~37のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0117】
付記39.
多孔質支持層の少なくとも一部が、1つまたは複数の陰極活性物質で浸透されて、電気化学エネルギーデバイスの陰極を形成する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~35のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0118】
付記40.
1つまたは複数の正極活性物質が、金属およびリチウムを含む組成を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に付記39の電気化学エネルギーデバイス。
【0119】
付記41.
陰極は、液体電解質を有する1つまたは複数の陰極活性物質を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に付記39に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0120】
付記42.
1つまたは複数の陰極活性物質が、多孔質支持層内に少なくとも0.5μmの深さまで浸透する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記40~41のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0121】
付記43.
多孔質支持層とは反対側の複合固体電解質層の側面上に配置された電気化学エネルギーデバイスの陽極をさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記39~42のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0122】
付記44.
陽極は、金属膜を含む、本明細書のいずれかの項または実施例、特に、付記43に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0123】
付記45.
金属膜は、集電体としてのリチウム金属層または銅金属層である、本明細書のいずれかの項または例、特に付記44に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0124】
付記46.
複合固体電解質層は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アニオン、または前述のもの任意の組合せを伝導する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~45のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0125】
付記47.
複合固体電解質層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、酸素イオン、または前述のもの任意の組合せを伝導する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~46のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0126】
付記48.
多孔質支持層は、炭素または金属を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~47のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0127】
付記49.
多孔質支持層が、カーボンナノファイバーのマトリックスを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~48のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0128】
付記50.
多孔質支持層は、金属メッシュを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~48のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0129】
付記51.
1つまたは複数の充填材が、ガラス状のイオン伝導性材料を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~50のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0130】
付記52.
1つまたは複数の充填材は、Li3BO3、LiCl、LiBr、LiI、LiF、Li3N、LiBH4、LiBF4、またはこれらの任意の組合せを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~51のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0131】
付記53.
多孔質足場のイオン電導性酸化物は、LiALaBM’cM’’DZrEOF、LiALaBM’’cM’’DTaEOF、またはLiALaBM’cDNbEOFの式を持つ化合物を含み、式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2、0≦E<2、および10<F<13であり、
M’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第1のものであり、
M’’は、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、またはTaから選択される第2のものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~52のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0132】
付記54.
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、LiaLabZrcAldM’’’eOf(式中、5<a<7.7、2<b<4、0<c≦2.5、0≦d<2、0≦e<2、および10<f<13)を有する化合物を含み、
M’’’は、Nb、Ta、V、W、Mo、またはSbである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~52のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0133】
付記55.
多孔質足場のイオン伝導性酸化物は、ペロブスカイト型Li0.33La0.57TiO3、NASICON型Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、NASICON型LiTi2(PO4)3、NASICON型Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、ガーネット型Li7La3Zr2O12(LLZO)、タンタルドープLi7La3Zr2TaO12(LLTZO)、LISICON型Li14Zn(GeO4)4、または前述のもの任意の組合せを含み、xは数を表す、本明細書のいずれかの項または例、特に、34~52のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0134】
付記56.
イオン伝導性酸化物は、タンタルドープLi7La3Zr2TaO12(LLTZO)であり、1つまたは複数の充填材は、Li3BO3である、付記34~52のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0135】
付記57.
少なくとも1つの追加の固体電解質層をさらに備え、複合固体電解質層は、少なくとも1つの追加の固体電解質層と多孔質支持層との間に配置される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記34~56のいずれか1項に記載の電気化学エネルギーデバイス。
【0136】
付記58.
少なくとも1つの追加の固体電解質層は、複合固体電解質層とは異なる材料組成を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に付記57の電気化学エネルギーデバイス。
【0137】
結論
例えば、
図1A~11Fおよび付記1~58に関して本明細書に図示または説明される特徴のいずれかを、例えば、
図1A~11Fおよび付記1~58に関して本明細書に図示または説明される任意の他の特徴と組み合わせて、本明細書に他に図示または具体的に説明されない材料、システム、デバイス、構造、方法、および実施形態を提供することができる。本明細書に記載される全ての特徴は、互いに独立しており、構造的に不可能な場合を除いて、本明細書に記載される任意の他の特徴と組み合わせて使用することができる。開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、図示された実施形態は、例にすぎず、開示された技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および精神の範囲内に入るすべてを主張するものである。
【国際調査報告】