(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】官能化共役ジエンポリマー、天然ゴム、及び補強充填剤を含むゴム配合物
(51)【国際特許分類】
C08L 15/00 20060101AFI20241212BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241212BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20241212BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C08L15/00
C08K3/04
C08K3/36
C08L7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538647
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-13
(86)【国際出願番号】 US2022082540
(87)【国際公開番号】W WO2023130014
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バガット,ブラシャリ
(72)【発明者】
【氏名】サラマント,ワルター アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,シャオユウ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ジェイミー リン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,セス マーティン
(72)【発明者】
【氏名】アフメド,シャミー
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC01X
4J002AC11W
4J002DA036
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
【解決手段】 本開示の実施形態は、官能化共役ジエンポリマーと、天然ゴムと、シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む補強充填剤と、を含むゴム配合物を対象とする。官能化共役ジエンポリマーは、官能基、50%以上のビニル含量、及び約75,000g/mol~約1,000,000g/molの重量平均分子量Mwを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム配合物であって、
官能基、約50%以上のビニル含量、及び約75,000g/mol~約1,000,000g/molの重量平均分子量M
wを有する官能化共役ジエンポリマーと、
天然ゴムと、
シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む補強充填剤と、を含む、ゴム配合物。
【請求項2】
前記官能化共役ジエンポリマーが、約100,000g/mol~約800,000g/mol、又は約200,000g/mol~約600,000g/mol、又は約300,000g/mol~約400,000g/molの重量平均分子量M
wを有する、請求項1に記載のゴム配合物。
【請求項3】
前記官能基が、非硫黄アルコキシシラン基を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項4】
前記非硫黄アルコキシシラン基が、少なくとも2つのアルコキシシラン末端部分を有する、請求項3に記載のゴム配合物。
【請求項5】
前記非硫黄アルコキシシラン基が、3-(1,3-ジメチルブチリデンアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3又は4に記載のゴム配合物。
【請求項6】
前記官能基が、一般式:
R
1ZYSi(OR
2)
nX
(3-n)
を有し、
式中、R
1が、C
1~C
20脂肪族炭化水素基、C
1~C
20脂環式炭化水素基、C
1~C
20芳香族炭化水素基、又はO、N、及びSiから選択される1個以上のヘテロ原子を有するC
1~C
20ヘテロ炭化水素基から選択される置換基であり、Xが、アルキル基又はハロゲン原子であり、R
2及びYが、独立して、1~20個の炭素原子の脂肪族、脂環式、及び芳香族炭化水素基から選択される基を示す、請求項3~5のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項7】
前記官能基が、スズ系基、アミン基、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のゴム配合物。
【請求項8】
前記スズ系基が、四ハロゲン化スズ、(R
1)
3SnX、(R
1)
2SnX
2、R
1SnX
3、又はそれらの組み合わせを含み、Xが、Cl、Br、I、又はFであり、R
1が、1~約20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアラルキルである、請求項7に記載のゴム配合物。
【請求項9】
前記アミン基が、一般式:
【化1】
を有するアミンラジカル、及び一般式:
【化2】
を有する環状アミンラジカルのうちの少なくとも1つを含み、
式中、R
1が、1~約12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキルであり、R
2が、約3~約16のメチレン基を有するアルキレン、置換アルキレン、オキシ-若しくはN-アルキルアミノ-アルキレン基である、請求項7又は8に記載のゴム配合物。
【請求項10】
前記官能化共役ジエンポリマーが、約50%~約90%、又は約55%~約85%、又は約60%~約80%のビニル含量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項11】
前記ゴム配合物が、約3phr~約30phrの前記官能化共役ジエンポリマーを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項12】
前記ゴム配合物が、約3phr~約50phrの前記官能化共役ジエンポリマーを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項13】
前記補強充填剤が、約8phr~約42phrのシリカを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項14】
前記補強充填剤が、約0phrより多く約85phrまでのシリカを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項15】
前記補強充填剤が、約4phr~約32phrのカーボンブラックを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項16】
前記補強充填剤が、約4phr~約70phrのカーボンブラックを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項17】
前記補強充填剤が、約30重量%~約70重量%のシリカ及び約30重量%~70重量%のカーボンブラックを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項18】
前記官能化共役ジエンポリマーが、1,3-ブタジエンモノマーの重合反応生成物を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項19】
前記官能化共役ジエンポリマーが、ポリブタジエンゴムを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項20】
前記ゴム配合物が、約15phr~45phrの高シス1,4-ポリブタジエンを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項21】
前記ゴム配合物が、約10phr~約100phrの天然ゴムを更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項22】
前記ゴム配合物が、約0phrより多く約85phrまでの天然ゴムを更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【請求項23】
前記ゴム配合物が、約40phr~約100phrの天然ゴムを更に含む、請求項21に記載のゴム配合物。
【請求項24】
前記天然ゴムが、グアユールゴムを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のゴム配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、官能化共役ジエンポリマーに関し、具体的には、改善されたフィラー分散を有する、官能化共役ジエンポリマーと、天然ゴムと、補強充填剤と、を含むゴム配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ゴム、ブタジエンゴム、並びにシリカ及びカーボンブラックなどの補強充填剤を含むゴム配合物は、タイヤ用途、例えばタイヤトレッドにおいて一般的に使用される。しかしながら、天然ゴム中のシリカ及び/又はカーボンブラックの十分な分散は、天然ゴムとシリカ及び/又はカーボンブラックとの相互作用が不良であることに起因して、困難な場合があり、転がり抵抗の増加につながる。
【0003】
したがって、改善されたフィラー分散を有し、それによって低減された転がり抵抗を提供する、改善されたゴム配合物に対する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、改善されたフィラー分散に起因して改善された転がり抵抗を有する、官能化共役ジエンポリマーと天然ゴムとのゴム配合物を対象とする。具体的には、高シス1,4-ポリブタジエンゴムは、天然ゴムとの混和性が低い。本明細書に開示されるゴム配合物は、天然ゴムを、天然ゴムと優先的に混和性であり、高シス1,4-ポリブタジエンゴム相などの天然ゴムと混和性でない別のジエンポリマー相よりも天然ゴム相に有利に働く官能化共役ジエンポリマーで置き換えたものである。官能化共役ジエンポリマーの官能基は、シリカ又はカーボンブラックと反応して、天然ゴム相におけるシリカ又はカーボンブラックの分散を改善し得る。
【0005】
一実施形態によれば、ゴム配合物が提供される。ゴム配合物は、官能化共役ジエンポリマーと、天然ゴムと、シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む補強充填剤と、を含む。官能化共役ジエンポリマーは、官能基、約50%以上のビニル含量、及び約75,000g/mol~約1,000,000g/molの重量平均分子量Mwを有する。
【0006】
本明細書に記載の実施形態の更なる特色及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、ある程度において、当業者はこの記載から容易に理解する、又は、以下の「発明を実施するための形態」、「特許請求の範囲」を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することにより認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、ゴム配合物を対象とする。ゴム配合物は、官能化共役ジエンポリマーと、天然ゴムと、シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む補強充填剤と、を含む。官能化共役ジエンポリマーは、官能基、約50%以上のビニル含量、及び約75,000g/mol~約1,000,000g/molの重量平均分子量Mwを有する。本開示は、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、主題を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0008】
定義
特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の本開示において使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するものであり、制限することを意図するものではない。
【0009】
範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。更に、範囲のそれぞれの終点は、他の終点に関して、及び他の終点とは独立しての両方で重要であることが理解されるであろう。
【0010】
特に明示的に述べられない限り、本明細書に記載される任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とするものとして解釈されることも、任意の装置で特定の向きが必要とされるものとして解釈されることも決して意図されない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に列挙していない場合、又は任意の装置の請求項が、個々の構成要素に対する順序又は向きを実際に列挙していない場合、あるいは工程が特定の順序に限定されるべきであること、又は装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが列挙されていないことが、請求項又は説明において別段に具体的に述べられていない場合、いかなる観点においても、順序又は向きが推測されることは決して意図されていない。これは、工程の配置、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の向きに関する論理の問題、文法構成又は句読点に由来する平易な意味、及び本明細書に記載された実施形態の数又は種類を含む、解釈のための任意の可能な非明示的な基礎に当てはまる。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、「1つの(a)、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、文脈が明らかに別途指示しない限り、複数形をも含むことを意図する。したがって、例えば、「1つの(a)」構成要素への言及は、文脈が明らかに別のことを示さない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0012】
「phr」という用語は、本明細書に記載される場合、100部のゴム当たりの特定された構成要素の重量部を指す。
【0013】
「ゴム配合物」という用語は、本明細書に記載される場合、ゴム(すなわち、官能化共役ジエンポリマー、天然ゴム、及び任意選択的に高シス1,4-ポリブタジエンゴム)、並びにタイヤ及び非タイヤ用途においてそれらとブレンドされる追加のフィラー及び添加剤を指す。
【0014】
「ビニル含量」という用語は、本明細書に記載される場合、官能化共役ジエンポリマーなどのポリジエン中のビニル1,2結合の割合を指す。「ビニル含量」は、溶媒としてCDCl3を使用して、400MHz核磁気共鳴によって決定される。
【0015】
「高ビニル」という用語は、本明細書に記載される場合、官能化共役ジエンポリマー中のビニル1,2結合含量が50%以上であることを意味する。
【0016】
「シス含量」という用語は、本明細書に記載される場合、ポリジエン中のシス1,4結合の割合を指す。
【0017】
「高シス」という用語は、本明細書に記載される場合、得られるポリジエン中のシス-1,4結合含量が85%以上であることを意味する。
【0018】
「非硫黄」という用語は、本明細書に記載される場合、硫黄原子を含まない部分を指す。
【0019】
「対照ゴム配合物」という用語は、本明細書に記載される場合、天然ゴム、高シス1,4-ポリブタジエンゴム、並びにシリカ及び/又はカーボンブラックを含み、天然ゴムと混和性の合成共役ジエンポリマーを含まないゴム配合物を指す。
【0020】
本明細書に記載の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、及びピーク分子量Mpは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。
【0021】
ガラス転移温度Tgは、本明細書に記載される場合、示差走査熱量測定によって測定される。
【0022】
Mooney粘度は、本明細書に記載される場合、Monsanto Mooney粘度計を使用して決定される。
【0023】
本明細書に記載される100%歪みでの弾性率M100、300%歪みでの弾性率M300、破断応力(Tb)、及び最大歪み(Eb)などの引張機械特性は、ASTM D412に従って決定される。
【0024】
本明細書に記載される損失正接tan δ(2%)、損失正接tan δ(5%)、損失正接tan δ(10%)、及び貯蔵弾性率の変化ΔG’(0.25~10%)などの粘弾特性は、TA Instruments製のAdvanced Rheometric Expansion Systemを用いて行われる歪み掃引試験によって測定された。
【0025】
粘弾特性である損失弾性率G”は、本明細書に記載される場合、TA Instruments製のAdvanced Rheometric Expansion Systemを用いて行われる温度掃引試験によって測定された。
【0026】
本明細書に記載される損失正接tan δ(0℃)、損失正接tan δ(60℃)、及び30℃での貯蔵弾性率E’などの粘弾特性は、GABO Eplexorを用いて2%歪みで、様々な温度で行われる温度掃引試験によって測定された。
【0027】
上述したように、シリカ及び/又はカーボンブラックを含む天然及びブタジエンゴムブレンドは、タイヤトレッド用途において一般的に使用される。しかしながら、天然ゴムは、シリカ及び/又はカーボンブラックとの反応が不十分な場合があり、天然ゴム中のシリカ及び/又はカーボンブラックの分散が不十分となり、転がり抵抗が増加する。
【0028】
本明細書に開示されるのは、前述の問題を軽減するゴム配合物である。具体的には、高シス1,4-ポリブタジエンゴムは、天然ゴムとの混和性が低い。本明細書に開示されるゴム配合物は、天然ゴムを、天然ゴムと優先的に混和性であり、高シス1,4-ポリブタジエンゴム相などの天然ゴムと混和性でない別のジエンポリマー相よりも天然ゴム相に有利に働く官能化共役ジエンポリマーで置き換えたものである。官能化共役ジエンポリマーの官能基は、シリカ又はカーボンブラックと反応して、天然ゴム相におけるシリカ又はカーボンブラックの分散を改善し得る。ポリマー-フィラー相互作用による改善されたフィラー分散は、天然ゴム及び高シス1,4-ポリブタジエンゴムを有する対照ゴム配合物と比較して、改善されたレオロジー特性、例えば、改善されたフィラー分散に相関する貯蔵弾性率の変化ΔG’の低減、及び転がり抵抗の低減に相関する60℃での損失正接tanδの減少に現れる。更に、天然ゴムを官能化共役ジエンポリマーで置き換えることで、引張特性(例えば、300%歪みでの弾性率M300、破断応力Tb、及び最大歪みEb)、ウェットトラクション(0℃での損失正接tanδによって示されるような)、並びに30℃での貯蔵弾性率E’によって示されるようなコーナリング係数に対して最小限の影響を有するか、又は全く影響を有さない。
【0029】
本明細書に開示されるゴム配合物は、一般に、官能化共役ジエンポリマーと、天然ゴムと、シリカ及び/又はカーボンブラックを含む補強充填剤と、を含むものとして説明され得る。
【0030】
本明細書に使用される場合、「天然ゴム」という用語は、Heveaゴムの木などの原料、及び非Hevea原料(例えば、グアユールゴムノキ及びTKSなどのタンポポ)から収穫することができるものなどの、天然由来のゴムを意味する。言い換えれば、「天然ゴム」という用語は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
【0031】
本明細書で使用するとき、「ポリイソプレン」という用語は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、Hevea天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、「ポリイソプレン」という用語は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
【0032】
官能化共役ジエンポリマー
上述したように、天然ゴムを官能化共役ジエンポリマーで置き換えることにより、天然ゴム中のシリカ又はカーボンブラックの分散が改善され、転がり抵抗の低減がもたらされる。
【0033】
記載される官能化共役ジエンポリマーは、シリカと反応して天然ゴム相中のシリカ分散を改善する官能基を有していてもよい。例えば、複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーの官能基は、非硫黄アルコキシシラン基を含む。複数の実施形態では、非硫黄アルコキシシラン基は、少なくとも1個のアルコキシシラン末端部分を有していてもよく、更なる実施形態では、2個又は3個のアルコキシシラン末端部分を有していてもよい。アルコキシシラン末端部分は、C1~C6アルコキシ基を含んでもよく、特定の実施形態では、メトキシシラン又はエトキシシランを含んでもよい。
【0034】
より一般的には、複数の実施形態では、官能基は、一般式(I):
R1ZYSi(OR2)nX(3-n) (I)
によって表すことができる。
【0035】
式中、R1は、C1~C20脂肪族炭化水素基、C1~C20脂環式炭化水素基、C1~C20芳香族炭化水素基、及びO、N、及びSiから選択される1個以上のヘテロ原子を有するC1~C20ヘテロ炭化水素基から選択される置換基である。1つ以上の実施形態では、C1~C20ヘテロ炭化水素基は、不飽和カルボニル、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル)、エポキシ基、又はグリシドキシ基を含んでもよい。
【0036】
Xは、アルキル基(1~20個の炭素原子)又はハロゲン原子を表し、R2及びYは、独立して、1~20個の炭素原子、又は更には1~13個の炭素原子の脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素基から選択される基を表す。シリカとの反応性を考慮すると、1~3個の炭素原子のアルキル基が望ましいだろう。芳香族炭化水素基は、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、フェナントリルであってもよい。
【0037】
加えて、Zは、O原子、N原子、又は結合であり、nは、1~3の整数を表す。
【0038】
更なる実施形態では、R1は、γ-グリシドキシエチル、γ-グリシドキシプロピル、γ-グリシドキシブチル、γ-メタクリルオキシメチル、γ-メタクリルオキシエチル、γ-メタクリルオキシプロピル、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル、及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルからなる群から選択される基を表してもよい。
【0039】
一般式(I)によって表される官能基としては、例えば、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(γ-グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ-メタクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ-メタクリルオキシプロピル)メトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-トリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-トリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-トリプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-トリブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-トリフェノキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル-トリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-メチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-エチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-エチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロエキシル(cycloexyl))エチル-メチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシ)エチル-メチルジプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-メチルジブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-メチルジフェノキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジメチルメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジエチルエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジメチルエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジメチルプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジメチルブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジメチルフェノキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-ジエチルメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル-メチルジイソプロペノキシシランなどが挙げられ得る。
【0040】
複数の実施形態では、非硫黄アルコキシシラン基は、アミノアルキルアルコキシシラン、例えば、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノエチルメチルジエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノエチルメチルジメトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノエチルトリエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノエチルトリメトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノブチルメチルジエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノブチルメチルジメトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノブチルトリエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノブチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノブチルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノブチルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノブチルトリエトキシシラン、又はN,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノブチルトリメトキシシランであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される官能化共役ジエンポリマーは、カーボンブラックと反応して天然ゴム相中のカーボンブラック分散を改善する官能基を有していてもよい。例えば、複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーの官能基は、スズ系基、アミン基、又はそれらの組み合わせを含む。官能化は、重合の開始剤又は反応停止剤のいずれかとして導入することができる。
【0042】
複数の実施形態では、スズ系基は、ハロゲン化スズ(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、及びフッ化物)を含んでいてもよい。例えば、複数の実施形態では、ハロゲン化スズは、四ハロゲン化スズ、(R1)3SnX、(R1)2SnX2、R1SnX3、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよく、Xは、Cl、Br、I、又はFであり、R1は、1~約20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアラルキルである。一例として、限定するものではないが、ハロゲン化スズは、四塩化化スズ、(R1)3SnCl、(R1)2SnCl2、R1SnCl3、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよく、R1は、1~約20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアラルキルである。
【0043】
複数の実施形態では、アミン基は、以下の一般式:
【0044】
【化1】
を有するジアルキル又はジシクロアルキルアミンラジカル、又は以下の一般式:
【0045】
【化2】
を有する環状アミンラジカルであってもよい。
【0046】
これらの式では、R1は、1~約20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキルであり、両方のR1基は、同じであってもよく、又は異なっていてもよく、R2は、約3~約16のメチレン基を有するアルキレン置換、オキシ-若しくはN-アルキルアミノ-アルキレン基である。アミノ-アルキレン基は、N-アルキルアミノアルキレンであってもよい。「置換アルキレン」とは、アルキレンがその上に置換基を有することが理解される。置換アルキレンは、1置換~8置換のアルキレンを含んでいてもよい。複数の実施形態では、置換基は、1~約12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、アリール、及びアラルキルであってもよい。
【0047】
例示的なR1基としては、メチル、エチル、ブチル、オクチル、シクロヘキシル、3-フェニル-1-プロピル、イソブチルなどが挙げられ得る。例示的なR2基としては、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オキシジエチレン、N-アルキルアザジエチレン、ドデカメチレン、ヘキサデカメチレンなどが挙げられ得る。
【0048】
例えば、アミン基は、ピロリジンの誘導体又はラジカル;ピペリジン;モノアルキル-ピペラジン;ペルヒドロアゼピン、例えば、3,3,5-トリメチルヘキサヒドロアゼピン及びヘキサメチレンイミン;1-アザシクロオクタン;アザシクロトリデカン、ドデカメチレンイミンとしても知られる;アザシクロヘプタデカン、ヘキサデカメチレンイミンとしても知られる;1-アザシクロヘプタデカ-9-エン;又は、1-アザシクロヘプタデカ-8-エンであってもよく、二環式化合物、例えば、ペルヒドロイソキノリン、ペルヒドロインドール、1,3,3-トリメチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタンなどを含む。
【0049】
本発明の環状アミン及び二環状アミンのアルキル、シクロアルキル、アリール及びアラルキル置換基の多くの有用な例があり、限定されないが、2-(2-エチルヘキシル)ピロリジン;3-(2-プロピル)ピロリジン;3,5-ビス(2-エチルヘキシル)ピペリジン;4-フェニルピペリジン;7-デシル-1-アザシクロトリデカン;3,3-ジメチル-1-アザシクロテトラデカン;4-ドデシル-1-アザシクロオクタン;4-(2-フェニルブチル)-1-アザシクロオクタン;3-エチル-5-シクロヘキシル-1-アザシクロヘプタン;4-ヘキシル-1-アザシクロヘプタン;9-イソアミル-1-アザシクロヘプタデカン;2-メチル-1-アザシクロヘプタデカ-9-エン;3-イソブチル-1-アザシクロドデカン;2-メチル-7-t-ブチル-1-アザシクロドデカン;5-ノニル-1-アザシクロデカン;8-(4’-メチルフェニル)-5-ペンチル-3-アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン;1-ブチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン;8-エチル-3-アザビシクロ[3.2.1.]オクタン;1-プロピル-3-アザビシクロ[3.2.2]ノナン;3-t-ブチル)-7-アザビシクロ[4.3.0]ノナン;1,5,5-トリメチル-3-アザビシクロ[4.4.0]デカンなどが挙げられる。
【0050】
R1及びR2が、ジ-t-ブチル、ジイソプロピル、三級ブチルなどのように、アルキル位置でそれぞれ分岐している場合、得られる重合は、おそらく開始部位での窒素の周りの障害に起因して、遅い。したがって、複数の実施形態では、アミン中の窒素に結合しているR1及びR2中の炭素原子は、合計で少なくとも3個の水素原子に結合していてもよい。
【0051】
複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約50%以上のビニル含量を有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約63%以上、約65%以上、又は更には約67%以上のビニル含量を有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約77%以下、約75%以下、又は更には約73%以下のビニル含量を有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約77%、約50%~約75%、約50%~約73%,約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約77%、約55%~約75%、約55%~約73%,約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約77%、約60%~約75%、約60%~約73%,約63%~約90%、約63%~約85%、約63%~約80%、約63%~約77%、約63%~約75%、約63%~約73%,約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約77%、約65%~約75%、約65%~約73%,約67%~約90%、約67%~約85%、約67%~約80%、約67%~約77%、約67%~約75%、又は更には約67%~約73%、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲のビニル含量を有していてもよい。
【0052】
複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約75,000g/mol~約1,000,000g/molの重量平均分子量Mwを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、75,000g/mol以上、100,000g/mol以上、200,000g/mol以上、又は更には300,000g/mol以上の重量平均分子量Mwを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、1,000,000g/mol以下、800,000g/mol以下、600,000g/mol以下、又は更には400,000g/mol以下の重量平均分子量Mwを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約75,000g/mol~約1,000,000g/mol、約75,000g/mol~約800,000g/mol、約75,000g/mol~約600,000g/mol、約75,000g/mol~約400,000g/mol、約100,000g/mol~約1,000,000g/mol、約100,000g/mol~約800,000g/mol、約100,000g/mol~約600,000g/mol、約100,000g/mol~約400,000g/mol、約200,000g/mol~約1,000,000g/mol、約200,000g/mol~約800,000g/mol、約200,000g/mol~約600,000g/mol、約200,000g/mol~約400,000g/mol、約300,000g/mol~約1,000,000g/mol、約300,000g/mol~約800,000g/mol、約300,000g/mol~約600,000g/mol、又は更には約300,000g/mol~約400,000g/mol、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲の分子量Mwを有していてもよい。
【0053】
複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約75,000g/mol~約1,000,000g/molの数平均分子量Mnを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、75,000g/mol以上、100,000g/mol以上、200,000g/mol以上、又は更には300,000g/mol以上の数平均分子量Mnを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、1,000,000g/mol以下、800,000g/mol以下、600,000g/mol以下、又は更には400,000g/mol以下の数平均分子量Mnを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約75,000g/mol~約1,000,000g/mol、約75,000g/mol~約800,000g/mol、約75,000g/mol~約600,000g/mol、約75,000g/mol~約400,000g/mol、約100,000g/mol~約1,000,000g/mol、約100,000g/mol~約800,000g/mol、約100,000g/mol~約600,000g/mol、約100,000g/mol~約400,000g/mol、約200,000g/mol~約1,000,000g/mol、約200,000g/mol~約800,000g/mol、約200,000g/mol~約600,000g/mol、約200,000g/mol~約400,000g/mol、約300,000g/mol~約1,000,000g/mol、約300,000g/mol~約800,000g/mol、約300,000g/mol~約600,000g/mol、又は更には約300,000g/mol~約400,000g/mol、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲の分子量Mnを有していてもよい。
【0054】
複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約75,000g/mol~約1,000,000g/molのピーク分子量Mpを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、75,000g/mol以上、100,000g/mol以上、200,000g/mol以上、又は更には300,000g/mol以上のピーク分子量Mpを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンは、1,000,000g/mol以下、800,000g/mol以下、600,000g/mol以下、又は更には400,000g/mol以下のピーク分子量Mpを有していてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、約75,000g/mol~約1,000,000g/mol、約75,000g/mol~約800,000g/mol、約75,000g/mol~約600,000g/mol、約75,000g/mol~約400,000g/mol、約100,000g/mol~約1,000,000g/mol、約100,000g/mol~約800,000g/mol、約100,000g/mol~約600,000g/mol、約100,000g/mol~約400,000g/mol、約200,000g/mol~約1,000,000g/mol、約200,000g/mol~約800,000g/mol、約200,000g/mol~約600,000g/mol、約200,000g/mol~約400,000g/mol、約300,000g/mol~約1,000,000g/mol、約300,000g/mol~約800,000g/mol、約300,000g/mol~約600,000g/mol、又は更には約300,000g/mol~約400,000g/mol、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲のピーク分子量Mpを有していてもよい。
【0055】
複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、1,3ブタジエンモノマーの重合反応生成物を含んでいてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、ポリブタジエンを含んでいてもよい。複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、高ビニルポリブタジエンゴムを含んでいてもよい。
【0056】
複数の実施形態では、ゴム配合物中の官能化共役ジエンポリマーの量は、約3phrより多く、約6phr以上、約9phr以上、又は更には約12phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の官能化共役ジエンポリマーの量は、約30phr以下、約25phr以下、約20phr以下、又は更には約15phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の官能化共役ジエンポリマーの量は、約3phr~約30phr、約3phr~約25phr、約3phr~約20phr、約3phr~約15phr、約6phr~約30phr、約6phr~約25phr、約6phr~約20phr、約6phr~約15phr、約9phr~約30phr、約9phr~約25phr、約9phr~約20phr、約9phr~約15phr、約12phr~約30phr、約12phr~約25phr、約12phr~約20phr、又は更には約12phr~約15phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0057】
複数の実施形態では、ゴム配合物中の官能化共役ジエンポリマーの量は、約3phr以上、約5phr以上、約10phr以上、約15phr以上、又は更には約20phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の官能化共役ジエンポリマーの量は、約50phr以下、約40phr以下、約30phr以下、又は更には約20phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の官能化共役ジエンポリマーの量は、約3phr~約50phr、約3phr~約40phr、約3phr~約30phr、約3phr~約20phr、約5phr~約50phr、約5phr~約40phr、約5phr~約30phr、約5phr~約20phr、約10phr~約50phr、約10phr~約40phr、約10phr~約30phr、約10phr~約20phr、約15phr~約50phr、約15phr~約40phr、約15phr~約30phr、約15phr~約20phr、約20phr~約50phr、約20phr~約40phr、又は更には約20phr~約30phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0058】
天然ゴム
上述したように、天然ゴムを官能化共役ジエンポリマーで置き換えることにより、天然ゴム中のシリカ又はカーボンブラックの分散が改善され、転がり抵抗の低減がもたらされる。
【0059】
複数の実施形態では、ゴム配合物中の天然ゴムの量は、約10phr以上、約20phr以上、約30phr以上、約40phr以上、又は更には約50phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の天然ゴムの量は、約100phr以下、約90phr以下、又は更には約80phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の天然ゴムの量は、約10phr~約100phr、約10phr~約90phr、約10phr~約80phr、約20phr~約100phr、約20phr~約90phr、約20phr~約80phr、約30phr~約100phr、約30phr~約90phr、約30phr~約80phr、約40phr~約100phr、約40phr~約90phr、約40phr~約80phr、約50phr~約100phr、約50phr~約90phr、又は更には約10phr~約50phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0060】
複数の実施形態では、ゴム配合物中の天然ゴムの量は、約0phrより多く、約15phr以上、又は更には約30phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の天然ゴムの量は、85phr以下、約75phr以下、又は更には約60phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の天然ゴムの量は、約0phrより多く85phrまで、約0phrより多く約75phrまで、約0phrより多く約60phrまで、約15phr~約85phr、約15phr~約75phr、約15phr~約60phr、約30phr~約85phr、約30phr~約75phr、又は更には約30phr~約60phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0061】
複数の実施形態では、天然ゴムに加えて、ゴム配合物は、高シス1,4-ポリブタジエンゴムを含んでいてもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中の高シス1,4-ポリブタジエンゴムの量は、約15phr~約45phr、約15phr、~約35phr、約25phr~約45phr、又は更には約25phr~約30phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0062】
補強充填剤
シリカ及び/又はカーボンブラックは、本明細書に記載のゴム配合物中の天然ゴム内に分散されると、補強効果を提供し、転がり抵抗を低減する。
【0063】
複数の実施形態では、シリカは、湿式シリカ(水和ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、又はそれらの組み合わせなどのケイ素化合物を含んでいてもよい。
【0064】
複数の実施形態では、ゴム配合物中のシリカの量は、約8phr以上、約12phr以上、約16phr以上、又は更には約20phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のシリカの量は、約40phr以下、約36phr以下、約32phr以下、又は更には約28phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のシリカの量は、約8phr~約40phr、約8phr~約36phr、約8phr~約32phr、約8phr~約28phr、約12phr~約40phr、約12phr~約36phr、約12phr~約32phr、約12phr~約28phr、約16phr~約40phr、約16phr~約36phr、約16phr~約32phr、約16phr~約28phr、約20phr~約40phr、約20phr~約36phr、約20phr~約32phr、又は更には約20phr~約28phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0065】
複数の実施形態では、ゴム配合物中のシリカの量は、約0phr以上、約5phr以上、約10phr以上、15phr以上、又は更には約20phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のシリカの量は、約60phr以下、約50phr以下、約40phr以下、30phr以下、又は更には約30phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のシリカの量は、約0phr~約60phr、約0phr~約50phr、約0phr~約40phr、約0phr~約30phr、約5phr~約60phr、約5phr~約50phr、約5phr~約40phr、約5phr~約30phr、約10phr~約60phr、約10phr~約50phr、約10phr~約40phr、約10phr~約30phr、約15phr~約60phr、約15phr~約50phr、約15phr~約40phr、約15phr~約30phr、約20phr~約60phr、約20phr~約50phr、約20phr~約40phr、又は更には約20phr~約30phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0066】
複数の実施形態では、カーボンブラックは、高速押出用ファーネスブラック、半補強用ファーネスブラック、高摩耗性ファーネスブラック、中間超摩耗性ファーネスブラック、超摩耗性ファーネスブラックなどを含んでもよい。複数の実施形態では、カーボンブラックは、約60mg/g以上のヨウ素吸収及び約80mL/100g以上のジブチルフタレート油吸収値を有し得る。
【0067】
複数の実施形態では、ゴム配合物中のカーボンブラックの量は、約4phr以上、約8phr以上、又は更には約12phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のカーボンブラックの量は、32phr以下、28phr以下、24phr以下、又は更には20phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のカーボンブラックの量は、約4phr~約32phr、約4phr~約28phr、約4phr~約24phr、約4phr~約20phr、約8phr~約32phr、約8phr~約28phr、約8phr~約24phr、約8phr~約20phr、約12phr~約32phr、約12phr~約28phr、約12phr~約24phr、又は更には約12phr~約20phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0068】
複数の実施形態では、ゴム配合物中のカーボンブラックの量は、約0phr以上、約4phr以上、約8phr以上、12phr以上、16phr以上、又は更には約20phr以上であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のカーボンブラックの量は、70phr以下、60phr以下、50phr以下、46phr以下、42phr以下、38phr以下、34phr以下、30phr以下、26phr以下、又は更には22phr以下であってもよい。複数の実施形態では、ゴム配合物中のカーボンブラックの量は、約0phr~約70phr、約0phr~約60phr、約0phr~約50phr、約0phr~約46phr、約0phr~約42phr、約0phr~約38phr、約0phr~約34phr、約0phr~約30phr、約0phr~約26phr、約0phr~約22phr、約4phr~約70phr、約4phr~約60phr、約4phr~約50phr、約4phr~約46phr、約4phr~約42phr、約4phr~約38phr、約4phr~約34phr、約4phr~約30phr、約4phr~約26phr、約4phr~約22phr、約8phr~約70phr、約8phr~約60phr、約8phr~約50phr、約8phr~約46phr、約8phr~約42phr、約8phr~約38phr、約8phr~約34phr、約8phr~約30phr、約8phr~約26phr、約8phr~約22phr、約12phr~約70phr、約12phr~約60phr、約12phr~約50phr、約12phr~約46phr、約12phr~約42phr、約12phr~約38phr、約12phr~約34phr、約12phr~約30phr、約12phr~約26phr、又は更には約12phr~約22phr、又はこれらの終点のいずれかから形成されるありとあらゆる部分範囲であってもよい。
【0069】
複数の実施形態では、補強充填剤は、シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、ゴム配合物は、シリカを含み、カーボンブラックを含まなくてもよい。他の実施形態では、ゴム配合物は、カーボンブラックを含み、シリカを含まなくてもよい。特定の実施形態では、ゴム配合物は、所望の特性のバランスを達成することができるように、カーボンブラック及びシリカの両方を含んでいてもよい。カーボンブラックは、典型的には、摩耗性能のために使用されるが、転がり抵抗の不足を示す場合がある。シリカは、典型的には、転がり抵抗及び時には引裂のために使用されるが、摩耗性能の不足を示す場合がある。両方の種類の充填剤を同時に使用して、利点とトレードオフのバランスをとり、ゴム配合物にとって所望の性能を達成することができる。
【0070】
複数の実施形態では、補強充填剤は、約30重量%~約70重量%のシリカ及び約30重量%~70重量%のカーボンブラック、約35重量%~約65重量%のシリカ及び約35重量%~約65重量%のカーボンブラック、又は更には約40重量%~約60重量%のシリカ及び約40重量%~約60重量%のカーボンブラックを含み得る。
【0071】
複数の実施形態では、シリカ及びカーボンブラックに加えて、他の充填剤がゴム配合物中に含まれてもよい。含まれ得る充填剤は、デンプン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、粘土(水和ケイ酸アルミニウム)、及びそれらの組み合わせを含めて、タイヤの製造において従来から使用されている。
【0072】
ゴム配合物
本明細書に記載されるように、本明細書に開示されるゴム配合物は、天然ゴムを官能化共役ジエンポリマーで置き換えたものである。混和性は、対照組成物について予測されるTgからのゴム組成物の転移温度Tgの偏差によって測定される。対照ゴム配合物と比較した天然ゴムの転移温度Tgにおけるゴム配合物の損失弾性率G”ピークのシフトによって示されるように、官能化共役ジエンポリマーは、天然ゴムと優先的に混和性であり、高シスブタジエンゴム相よりも天然ゴム相に有利に働く。
【0073】
60℃及び10Hzで実行される0.25%~10%歪みの歪み掃引において測定される対照ゴム配合物と比較した貯蔵弾性率の変化ΔG’の低減によって示されるように、官能化共役ジエンポリマーは、天然ゴムと優先的に混和性でありながら、シリカ又はカーボンブラックと反応して、天然ゴム相におけるシリカ又はカーボンブラックの分散を改善し得る。複数の実施形態では、ゴム配合物は、60℃及び10Hzで実行される0.25%~10%歪みの歪み掃引において測定される場合、0.950以下の貯蔵弾性率の変化ΔG’を有し得る。
【0074】
本明細書に開示されるゴム配合物は、対照ゴム配合物と比較して、60℃での損失正接tanδが減少し、これは転がり抵抗の低減と相関する。複数の実施形態では、ゴム配合物は、60℃で0.110以下のtanδを有し得る。
【0075】
更に、天然ゴムを官能化共役ジエンポリマーで置き換えることで、対照ゴム配合物と比較して、引張特性(例えば、300%歪みでの弾性率M300、破断応力Tb、及び最大歪みEb)、0℃での損失正接tanδによって示されるようなウェットトラクション、並びに30℃での貯蔵弾性率E’によって示されるようなコーナリング係数に対して最小限の影響を有するか、又は全く影響を有さない。
【0076】
複数の実施形態では、ゴム配合物は、室温で約5.0MPa~約6.5MPaの300%歪みでの弾性率M300を有し得る。複数の実施形態では、ゴム配合物は、室温で約23.0MPa~約28.0MPaの破断応力を有し得る。複数の実施形態では、ゴム配合物は、約650%~約725%の破断時最大歪みを有し得る。複数の実施形態では、ゴム配合物は、0℃で約0.220~約0.240の損失正接tanδを有し得る。複数の実施形態では、ゴム配合物は、30℃で約5.0~約6.0の貯蔵弾性率E’を有し得る。
【0077】
複数の実施形態では、ゴム配合物は、加工性を容易にするために、対照ゴム配合物と同様のMooney粘度(ML(1+4))を有し得る。
【0078】
他の構成要素
複数の実施形態では、ゴム配合物は、カップリング剤としてシランを更に含んでもよい。
【0079】
複数の実施形態では、ゴム配合物は、加硫剤として硫黄を更に含んでもよい。加硫促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を改善させるために、加硫剤と共に使用されてもよい。本開示の組成物における使用に好適な加硫促進剤は、特に限定されない。加硫促進剤としては、特に、チアゾール加硫促進剤、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル-スルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミドなど;グアニジン加硫促進剤、例えば、ジフェニルグアニジンなど;アミン;ジスルフィド;チウラム;スルフェンアミド;ジチオカルバメート;キサンテート;及びチオウレアが挙げられる。
【0080】
複数の実施形態では、有用な加工油又は伸展油も含まれてもよい。複数の実施形態では、油としては、パラフィン系、芳香族系、又はナフテン系油として市販のものが挙げられ得る。複数の実施形態では、油の主成分は、パラフィン系であってもよい。複数の実施形態では、伸展油は、油伸展性硫黄であってもよい。
【0081】
その構成要素はまた、抗オゾン剤、ワックス、スコーチ抑制剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着性樹脂、強化樹脂、ステアリン酸などの脂肪酸、ペプチド化剤、及び1種類以上の促進剤などの他の添加剤を含んでもよい。
【0082】
抗オゾン剤は、N,N’-二置換-p-フェニレンジアミン、例えば、N-1,3-ジメチルブチル-N’フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、及びN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンを含んでもよい。抗オゾン剤の他の例としては、アセトンジフェニルアミン縮合生成物、2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、オクチル化ジフェニルアミン、及び2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールが挙げられ得る。
【0083】
複数の実施形態では、ゴム配合物は、熱硬化性樹脂を更に含んでもよい。このような樹脂の非限定的な例としては、エポキシ、ウレタン、及びフェノール-ホルムアルデヒドが挙げられ、前述の1つ以上の組み合わせも利用され得る。複数の実施形態では、ゴム配合物は、(1)フェノールノボラック樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂、(架橋に寄与するエラストマー又はゴム中の不飽和と反応し得る)反応性レゾール樹脂、及び(メチレンドナーと架橋し得る)反応性ノボラック型フェノール-ホルムアルデヒド樹脂などのフェノール性樹脂、(2)C5画分ホモポリマー又はコポリマー樹脂などの脂肪族樹脂であって、任意選択的に、例えば、脂環式、芳香族、水素化芳香族、又はテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わされた、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素化された、脂肪族樹脂、(3)脂環式樹脂(シクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びジシクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂など)、任意選択的に脂肪族、芳香族、水素化芳香族、又はテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせた、及び/又は任意選択的に部分的又は完全に水素化された、脂環式樹脂、(4)芳香族樹脂(クマロン-インデン樹脂及びアルキル-フェノール樹脂など、並びにビニル芳香族ホモポリマー又はコポリマー樹脂、例えば、以下のモノマー:アルファ-メチルスチレン、スチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン又はC9画分若しくはC8~C10画分から得られる任意のビニル芳香族モノマーのうちの1つ以上を含むものなど)、任意選択的に、脂肪族、脂環式、水素化芳香族、又はテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせた、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素化された、芳香族樹脂、(5)テルペン樹脂(例えば、アルファ-ピネン樹脂、ベータ-ピネン樹脂、リモネン樹脂(例えば、L-リモネン、D-リモネン、L異性体及びD異性体のラセミ混合物であるジペンテン)、ベータ-フェランドレン、デルタ-3-カレン、及びデルタ-2-カレン)、任意選択的に、脂肪族、脂環式、芳香族、若しくは水素化芳香族樹脂のうちの1つ以上と組み合わせた、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素化されたもの、並びにトール油ロジン、グリセリンエステルロジン、及びペンタエリスリトールエステルロジン(任意選択的に、部分的に水素化及び/又は重合されたもの)、(6)ロジン樹脂(例えば、ガムロジン、ウッドロジン、及びトール油ロジン、グリセリンエステルロジン、及びペンタエリスリトールエステルロジン(任意選択的に、部分的に水素化及び/又は重合されたもの))、任意選択的に、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族、又はテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせた、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素化されたもの、あるいは(7)グアユール樹脂などの種類の樹脂のうちの少なくとも1つを含み得る。1つ以上の樹脂の混合物も使用することができる。
【0084】
作製方法
複数の実施形態では、共役ジエンポリマー(例えば、ポリブタジエン)を形成するために、モノマー(例えば、1,3ブタジエンモノマー)を、有機リチウム開始剤を使用して重合してもよい。複数の実施形態では、有機リチウム開始剤は、アルキルリチウム(例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、t-ブチルリチウム及びヘキシルリチウム)、アルキレン二リチウム(例えば、1,4-ジリチオブタン)、リチオ炭化水素(例えば、フェニルリチウム、スチルベン二リチウム、及びブチルリチウムとジビニルベンゼンとの反応生成物)、又は有機リチオ金属(例えば、リチウムトリブチルスズ)、リチウムアミド(例えば、リチウムジエチルアミド、N-メチルベンジルリチウムアミド、ジオクチルリチウムアミド、リチウムピペリジド、リチウムピロリジド及びリチウムヘキサメチレンイミド)、又は有機リチウム(例えば、三級アミンリチウム、例えば、ジメチルアミノプロピルリチウム及びジエチルアミノプロピルリチウム)であってもよい。
【0085】
複数の実施形態では、共役ジエンポリマーは、ポリマーの活性末端を官能基(例えば、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルメチルジエトキシシラン)と反応させることによって官能化されてもよい。官能化が完了した後、任意の残りの反応性種(例えば、リチウム種)の中和は、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを含有する水又はイソプロピルアルコールなどのプロトン源で処理することによって達成することができる。
【0086】
1,3-ブタジエンなどの共役ジエン寄与モノマー単位中の1,2-微細構造を制御するために、1,2-微細構造制御剤又はランダム化改質剤が任意選択的に使用される。好適な改質剤としては、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N,N’,N-テトラメチルエチレンジアミン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジエチルエーテル、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン、p-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、アニソール、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジメチルエチルアミン、ビス-オキサラニルプロパン、トリ-n-プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチル-N-エチルアニリン、N-メチルモルホリン、テトラメチレンジアミン、オリゴマー性オキサニルプロパン、2,2-ビス-(4-メチルジオキサン)、ビステトラヒドロフリルプロパン、及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが挙げられる。また、1つ以上のランダム化改質剤の混合物を使用してもよい。
【0087】
複数の実施形態では、官能化共役ジエンポリマーは、官能化共役ジエンゴム、天然ゴム、シリカ及び/又はカーボンブラック、並びに他の構成要素を含むマスターバッチを形成し、混合することによって、ゴム配合物中に含まれ得る。複数の実施形態では、マスターバッチ混合段階の後に、追加の構成を組み込むための再粉砕段階が続いてもよい。
【0088】
上記はタイヤトレッドにおけるゴム組成物の使用を記載しているが、本開示のゴム組成物は、そのようなゴム組成物を利用する様々な他の構成要素又は物品において利用されてもよい。典型的な物品としては、タイヤサイドウォール、インナーチューブ及びタイヤインナーライナー、エアクッション、空気圧スプレー、エアバッグ、タイヤ硬化用ブラダー、高温ホース及びコンベヤベルト、エンジン用減衰マウントなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0089】
添付の「特許請求の範囲」で定義される本開示の範囲から逸脱することなく修正及び変形が可能であることが明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましい、又は特に有利なものとして特定されるが、本開示はこれらの態様に必ずしも限定されていないことが企図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム配合物であって、
官能基、約50%以上のビニル含量、及び約75,000g/mol~約1,000,000g/molの重量平均分子量M
wを有する官能化共役ジエンポリマーと、
天然ゴムと、
シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む補強充填剤と、を含む、ゴム配合物。
【請求項2】
前記官能化共役ジエンポリマーが、約100,000g/mol~約800,000g/mol、又は約200,000g/mol~約600,000g/mol、又は約300,000g/mol~約400,000g/molの重量平均分子量M
wを有する、請求項1に記載のゴム配合物。
【請求項3】
前記官能基が、非硫黄アルコキシシラン基を含む、請求項1又は2に記載のゴム配合物。
【請求項4】
前記非硫黄アルコキシシラン基が、少なくとも2つのアルコキシシラン末端部分を有する、請求項3に記載のゴム配合物。
【請求項5】
前記非硫黄アルコキシシラン基が、3-(1,3-ジメチルブチリデンアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載のゴム配合物。
【請求項6】
前記官能基が、一般式:
R
1ZYSi(OR
2)
nX
(3-n)
を有し、
式中、R
1が、C
1~C
20脂肪族炭化水素基、C
1~C
20脂環式炭化水素基、C
1~C
20芳香族炭化水素基、又はO、N、及びSiから選択される1個以上のヘテロ原子を有するC
1~C
20ヘテロ炭化水素基から選択される置換基であり、Xが、アルキル基又はハロゲン原子であり、R
2及びYが、独立して、1~20個の炭素原子の脂肪族、脂環式、及び芳香族炭化水素基から選択される基を示す、請求項3に記載のゴム配合物。
【請求項7】
前記官能基が、スズ系基、アミン基、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のゴム配合物。
【請求項8】
前記スズ系基が、四ハロゲン化スズ、(R
1)
3SnX、(R
1)
2SnX
2、R
1SnX
3、又はそれらの組み合わせを含み、Xが、Cl、Br、I、又はFであり、R
1が、1~約20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアラルキルである、請求項7に記載のゴム配合物。
【請求項9】
前記アミン基が、一般式:
【化1】
を有するアミンラジカル、及び一般式:
【化2】
を有する環状アミンラジカルのうちの少なくとも1つを含み、
式中、R
1が、1~約12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキルであり、R
2が、約3~約16のメチレン基を有するアルキレン、置換アルキレン、オキシ-若しくはN-アルキルアミノ-アルキレン基である、請求項7に記載のゴム配合物。
【請求項10】
前記官能化共役ジエンポリマーが、約50%~約90%、又は約55%~約85%、又は約60%~約80%のビニル含量を有する、請求項1又は2に記載のゴム配合物。
【国際調査報告】