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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電流外乱検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20241212BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20241212BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01R19/00 K
G01R15/18
H02M7/06 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538996
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022076309
(87)【国際公開番号】W WO2023134887
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/072399
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】22158824.7
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】シー リャン
(72)【発明者】
【氏名】リー カン
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャン
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
5H006
【Fターム(参考)】
2G025AA17
2G025AB14
2G035AA12
2G035AB09
2G035AB11
2G035AD04
2G035AD14
2G035AD18
2G035AD66
5H006CA07
5H006CB01
5H006DC02
5H006FA02
(57)【要約】
本発明は、2つの出力端子間の負荷を駆動するための駆動回路及び駆動構成を提供する。前記駆動回路は、入力と、前記入力に接続される出力端子とを有する。故障検出インダクタが、前記出力端子と直列に接続され、前記出力端子間の電流における変化に応答してフィードバックインダクタを通る電気パラメータを変更するよう構成される。前記フィードバックインダクタは、前記故障検出インダクタからガルバニック絶縁されるが、前記故障検出インダクタに磁気的に結合される。前記駆動回路は、前記変換器によって供給される電流が通過する第1電流検出インダクタを更に有し、前記フィードバックインダクタはまた、前記第1電流検出インダクタからガルバニック絶縁されるが、前記第1電流検出インダクタに磁気的に結合される。従って、前記フィードバックインダクタは、前記電流検出インダクタ及び前記故障検出インダクタの両方からの信号で誘導されることができ、構成要素、スペース及びコストを節約する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換器によって生成される電力を負荷に供給するための駆動回路であって、
前記変換器から電力を受け取るよう適合される入力と、
受け取った前記電力を前記負荷に供給するために前記負荷に接続するよう適合される出力端子と、
故障検出インダクタであって、前記出力端子間の故障が、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化を引き起こすように、前記出力端子及び前記負荷を流れる電流が、前記故障検出インダクタを通過するように、前記出力端子に電気的に直列に接続される故障検出インダクタと、
前記変換器によって供給される電流が通過する第1電流検出インダクタと、
フィードバックインダクタであり、前記故障検出インダクタからガルバニック絶縁され、前記故障検出インダクタに磁気的に結合され、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化に応答して前記フィードバックインダクタを通る電気パラメータを変更するよう構成されるフィードバックインダクタであって、前記第1電流検出インダクタからもガルバニック絶縁され、前記第1電流検出インダクタにも磁気的に結合され、前記フィードバックインダクタを通る電気信号であって、前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流に応答して前記電気信号を変更するよう構成されるフィードバックインダクタと、
前記フィードバックインダクタを通る前記電気パラメータにおける変更を検出し、検出される変更された前記電気パラメータに応答して故障フィードバック信号を生成するよう構成される検出器と、
前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流を検知する電流検出回路とを有する駆動回路。
【請求項2】
前記出力端子と並列に接続され、前記変換器からの前記受け取った電力を平滑化するよう適合される出力コンデンサを更に有し、
前記故障検出インダクタが、前記出力コンデンサと前記出力端子との間に電気的に接続される請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記変換器によって供給される電力を整流し、整流された前記電力を前記出力端子に供給するよう構成される整流器構成を更に有し、前記整流器構成が、第1整流経路を有し、
前記第1電流検出インダクタが、前記第1整流経路内に配置され、
前記電流検出回路が、前記第1電流検出インダクタを流れる電流に関連して前記フィードバックインダクタを流れる電流のフィルタリングされたものである、フィルタリングされた信号であって、前記故障検出インダクタによって誘導される成分がフィルタリング又は減衰されている、フィルタリングされた信号を生成するよう構成されるフィルタを更に有する請求項1又は2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記フィルタが、
平均化回路、及び
周波数選択回路のうちのいずれか一方であってもよく、
前記整流器構成が、第2整流経路を有し、前記駆動回路が、
前記第2整流経路内に配置される第2電流検出インダクタを更に有し、
前記フィードバックインダクタが、前記第2電流検出インダクタからガルバニック絶縁され、前記第2電流検出インダクタに磁気的に結合され、前記フィードバックインダクタを通る前記電気信号であって、前記電気信号を介して前記第2電流検出インダクタを流れる電流に応答して前記電気信号を変更するよう構成され、
前記電流検出回路はまた、前記電気信号を介して前記第2電流検出インダクタを流れる電流を検知するよう適合され、
随意に、前記電流検出回路が、前記フィードバックインダクタと前記フィルタとの間に結合される整流回路を有する請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記故障が、前記出力端子及び/又は前記負荷の、短絡、開回路又は接続不良のうちのいずれか1つを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記故障フィードバック信号を処理して前記故障の有無を判定するよう構成される信号処理回路を更に有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記フィードバックインダクタが、前記駆動回路の定格通常出力電流の150%より大きい、前記故障検出インダクタを流れる電流に応答して、前記電気パラメータを変更するよう構成される請求項6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記検出器が、前記フィードバックインダクタの正の端子と、グランド又は基準電圧との間に接続される抵抗要素を有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の駆動回路と、
前記駆動回路に電力を供給するよう構成される前記変換器とを有する駆動構成。
【請求項10】
前記変換器が、一次側巻線と、前記一次側巻線からガルバニック絶縁され、前記一次側巻線に磁気的に結合される二次側巻線とを備える絶縁変換器であり、前記駆動回路が、前記二次側巻線に接続される請求項9に記載の駆動構成。
【請求項11】
前記変換器が、LLC及び/又はLCC変換構成を有する請求項9又は10に記載の駆動構成。
【請求項12】
前記変換器が、前記一次側巻線及び前記フィードバック巻線に電気的に接続され、少なくとも前記故障フィードバック信号に応答して前記二次側巻線を介して前記駆動回路に供給される前記電力を制御するよう構成されるコントローラを有する請求項9乃至11のいずれか一項に記載の駆動構成。
【請求項13】
前記コントローラが、前記故障が存在することを示す前記故障フィードバック信号に応答して、前記駆動構成を、前記駆動回路に電力が供給されない保護モードに入らせるよう構成される請求項12に記載の駆動構成。
【請求項14】
前記コントローラが、前記駆動構成を駆動モードで動作させ、前記電流フィードバック信号に応答して、前記駆動回路に供給される前記電力を調整するよう構成される、請求項6又は7に従属する場合の、請求項12又は13のいずれかに記載の駆動構成。
【請求項15】
前記駆動モードで動作するとき、前記コントローラが、ターゲットに関する前記電流フィードバック信号をモニタすることによって、基準電流を満たすよう、前記駆動回路に供給される電流を調整するよう構成される請求項14に記載の駆動構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの分野に関し、とりわけ、ドライバによって負荷に供給される電流をモニタするための手法に関する。
【背景技術】
【0002】
民生用及び産業用電気製品の分野には、負荷を駆動するために利用可能である多種多様な駆動構成が存在する。
【0003】
これらの駆動構成が、(例えばバッテリ又は主電源(mains power supply)からの)電力を変換し、変換された電力を出力端子を介して負荷に供給する変換器を有することは、一般的である。負荷がDC電流を必要とする場合には、変換器によって供給される電力を蓄え、平滑化する出力コンデンサが出力端子間に設けられるのが通例である。
【0004】
出力端子を介して負荷に供給される電力の適切な制御は、フィードバックを必要とする。これは、通常、負荷への、随意に出力コンデンサを備える、出力端子に供給される電流をモニタして、前記電流が、負荷に供給されるべき所望の電流と一致することを確実にすることによって、実施される。負荷への電流を測定する従来のやり方は、負荷と直列に電流検出抵抗器を有するものである。このような解決策の不利な点は、電流検出抵抗器が常に電力を消費し、電力損失をもたらすことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
負荷に供給される電流のモニタを改善したいという継続的な要望がある。
【0006】
US20040012381A1は、磁束に基づく電流検出部を備える異常検出回路を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本的なアイデアは、負荷を通る電流を検知するために、電流検出抵抗器の代わりに、インダクタを使用するというものである。より具体的には、このようなインダクタは、前記負荷への通常動作電流を測定するためには使用されず、前記負荷及び/又は負荷/出力端子に関する故障(fault)によって引き起こされる、前記負荷への電流における相対的により急激な且つ/又は大きな変化に応答するようサイズ決め及び/又は位置決めされる。開回路、短絡、接続不良などの多種多様な潜在的な故障が、前記負荷を通る電流及び/又は前記出力端子間の電流における非常に急激な/大きな変化を引き起こす。これは、前記インダクタの両端に大きな電圧変化を引き起こす。前記インダクタにおけるこのような電圧を分析することによって、故障の発生が判定されることができる。前記インダクタは、フィードバックインダクタに結合される。本発明の更なるアイデアは、例えば整流器によって前記負荷に供給される前記通常動作電流を検知するために使用される電流検出インダクタも、前記フィードバックインダクタに結合され、従って、前記フィードバックインダクタは、前記電流検出インダクタ及び故障検出インダクタの両方からの信号で誘導されることができるというものである。この3つの巻線/インダクタの統合は、構成要素、スペース及びコストを節約する。とりわけ、故障検出インダクタと電流検出インダクタとの両方からの情報を提供するために同じフィードバックインダクタを使用することは、複数のフィードバックインダクタの必要性をなくす。
【0008】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0009】
本発明の或る態様による例によれば、変換器によって生成される電力を負荷に供給するための駆動回路が提供される。
【0010】
前記駆動回路は、前記変換器から電力を受け取るよう適合される入力と、受け取った前記電力を前記負荷に供給するために前記負荷に接続するよう適合される出力端子と、故障検出インダクタであって、前記出力端子間の故障が、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化を引き起こすように、前記出力端子及び前記負荷を流れる電流が、前記故障検出インダクタを通過するように、前記出力端子に電気的に直列に接続される故障検出インダクタと、前記変換器によって供給される電流が通過する第1電流検出インダクタと、フィードバックインダクタであり、前記故障検出インダクタからガルバニック絶縁され、前記故障検出インダクタに磁気的に結合され、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化に応答して前記フィードバックインダクタを通る電気パラメータを変更するよう構成されるフィードバックインダクタであって、前記第1電流検出インダクタからもガルバニック絶縁され、前記第1電流検出インダクタにも磁気的に結合され、前記フィードバックインダクタを通る電気信号であって、前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流に応答して前記電気信号を変更するよう構成されるフィードバックインダクタと、前記フィードバックインダクタを通る前記電気パラメータにおける変更を検出し、検出される変更された前記電気パラメータに応答して故障フィードバック信号を生成するよう構成される検出器と、前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流を検知する電流検出回路とを有する。
【0011】
提案手法は、突然の短絡、開回路、又は他の形態の破損若しくは故障によって引き起こされるもののような、前記負荷又は前記出力端子における電流における急激な変化に対する高速応答ソリューションを提供する。前記出力コンデンサと前記負荷との間に接続されるフィードバックインダクタの使用は、前記負荷を通る電流における急激な/大きな変化の検出を容易にし、それによって、このような故障の識別を容易にする。ガルバニック絶縁される前記フィードバックインダクタは、電力ループと制御ループとの間のガルバニック絶縁を提供する。これは、故障の発生を識別するための信頼性の高い高速応答システムを提供する。更に、例えば前記負荷に供給される前記通常動作電流を検出するために電流検出インダクタが使用される。前記フィードバックインダクタは、前記電流検出インダクタにも結合され、従って、前記フィードバックインダクタは、前記電流検出インダクタ及び前記故障検出インダクタの両方からの信号で誘導されることができる。この3つの巻線の統合は、構成要素、スペース及びコストを節約する。とりわけ、故障検出インダクタと電流検出インダクタとの両方からの情報を提供するために同じフィードバックインダクタを使用することは、複数のフィードバックインダクタの必要性をなくす。
【0012】
前記故障検出インダクタを通る電流における変化は、前記出力端子と前記負荷の間の故障、及び/又は前記負荷自体における故障を示している可能性がある。
【0013】
前記駆動回路は、前記出力端子と並列に接続され、前記変換器からの前記受け取った電力を平滑化するよう適合される出力コンデンサを更に有してもよく、前記故障検出インダクタは、前記出力コンデンサと前記出力端子との間に電気的に接続される。
【0014】
この実施形態においては、インダクタが前記負荷/負荷端子における故障電流に対してより敏感になるように、前記インダクタは前記出力コンデンサの後に配置され、前記故障電流は前記出力コンデンサによってフィルタにかけて除去されない。故障電流は、前記出力端子間及び/又は前記負荷内の故障によって誘導される電流(例えば、変化)である。
【0015】
幾つかの例においては、前記駆動回路は、前記変換器によって供給される電力を整流し、整流された前記電力を前記出力端子に供給するよう構成される整流器構成を更に有し、前記整流器構成は、第1整流経路を有し、前記第1電流検出インダクタは、前記第1整流経路内に配置され、前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流を検知する前記電流検出回路は、前記第1電流検出インダクタを流れる電流に関連して前記フィードバックインダクタを流れる電流のフィルタリングされたもの(filtered version)である、フィルタリングされた信号であって、前記故障検出インダクタによって誘導される成分がフィルタリング又は減衰されている、フィルタリングされた信号を生成するよう構成されるフィルタと、前記フィルタリングされた信号に応答して電流フィードバック信号を生成するための電流検知検出器とを有する。
【0016】
フィルタは、効果的に、前記電流フィードバック信号に関連する信号と、前記故障フィードバック信号に関連する信号とに分けるために使用される。前記フィルタは、平均化回路及び/周波数選択回路を有してもよい。平均回路は、前記フィルタに供給される如何なる電気信号も平均化し(例えば、コンデンサを使用して電圧を平均化し)、従って、大きいが短い故障信号は、フィルタにかけて除去され、正確には、残りの信号が、整流器の出力電流となる。周波数選択回路は、特定の周波数及び/又は周波数範囲を選択し、他の周波数を減衰させ、従って、過渡故障信号は、フィルタにかけて除去され、正確には、残りの信号が、整流器の出力電流となる。
【0017】
上記の整流器は、前記整流器が上記の第1整流経路のみを有する場合には半波整流器であってもよく、又は更なる実施形態においては、前記整流器が第2整流経路を更に有する全波整流器であってもよい。このような実施形態においては、前記駆動回路は、前記第2整流経路内に配置される第2電流検出インダクタを更に有してもよく、前記フィードバックインダクタは、前記第2電流検出インダクタからガルバニック絶縁され、前記第2電流検出インダクタに磁気的に結合され、前記第2電流検出インダクタを流れる電流に応答して、前記フィードバックインダクタを通る前記電気信号を変更するよう構成され、前記電流検出回路はまた、前記電気信号を介して前記第2電流検出インダクタを流れる電流を検知するよう適合される。このような実施形態は、2つの位相における整流された電流が、系統的(systematical)でなく、従って、前記第1電流検出インダクタ及び前記第2電流検出インダクタが、それぞれ、それらを測定するために使用される場合に、とりわけ有用である。
【0018】
前記電流検出回路は、前記フィードバックインダクタと前記フィルタとの間に結合される整流回路を有してもよい。
【0019】
この整流回路は、前記フィルタに単相信号を供給し、それ故、前記フィルタ及び下流の回路がそれを処理することが、より容易になる。
【0020】
少なくとも1つの例においては、前記故障は、前記出力端子及び/又は前記負荷の、短絡、開回路又は接続不良のうちのいずれか1つを有する。
【0021】
これらの故障は、前記故障検出インダクタを通る電流における急激な/大きな変化を引き起こし、従って、前記フィードバックインダクタにおける前記電気パラメータを変更する。本発明の実施形態は、これらの故障を検出することが可能であり、前記駆動回路の信頼性を提供する。
【0022】
前記駆動回路は、前記故障フィードバック信号を処理して前記故障の有無を判定するよう構成される信号処理回路を更に有してもよい。
【0023】
幾つかの例においては、前記フィードバックインダクタは、前記駆動回路の定格通常出力電流の150%より大きい、前記故障検出インダクタを流れる電流に応答して、前記電気パラメータを変更するよう構成される。特定の例においては、前記フィードバックインダクタは、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化に応答して前記電気パラメータを変更するよう構成されてもよい。
【0024】
前記検出器は、前記フィードバックインダクタの正の端子と、グランド又は基準電圧との間に接続される抵抗要素を有してもよい。
【0025】
本明細書において記載されているような駆動回路と、前記駆動回路に電力を供給するよう構成される前記変換器とを有する駆動構成も提案されている。
【0026】
少なくとも1つの例においては、前記変換器は、一次側巻線と、前記一次側巻線からガルバニック絶縁され、前記一次側巻線に磁気的に結合される二次側巻線とを備える絶縁変換器であり、前記駆動回路は、前記二次側巻線に接続される。ガルバニック絶縁されている前記駆動回路は、このような絶縁変換器構造に非常に適しており、前記フィードバックインダクタと前記二次側巻線との間で本質的に絶縁が得られる。
【0027】
幾つかの例においては、前記変換器は、LLC及び/又はLCC変換構成を有する。
【0028】
幾つかの例においては、前記変換器は、前記一次側巻線及び前記フィードバック巻線に電気的に接続され、少なくとも前記故障フィードバック信号に応答して前記二次側巻線を介して前記駆動回路に供給される前記電力を制御するよう構成されるコントローラを有する。
【0029】
この実施形態においては、前記フィードバック巻線は、絶縁規則を都合よく満たす前記信号を一次側コントローラに供給するために前記一次側コントローラに電気的に接続することができる。
【0030】
幾つかの例においては、前記コントローラは、前記故障が存在することを示す前記故障フィードバック信号に応答して、前記駆動構成を、前記駆動回路に電力が供給されない保護モードに入らせるよう構成される。
【0031】
随意に、前記コントローラは、前記駆動構成を駆動モードで動作させ、前記電流フィードバック信号に応答して、前記駆動回路に供給される前記電力を調整するよう構成される。
【0032】
前記コントローラは、幾つかの異なるピン、即ち、前記故障フィードバック信号を含む、フィルタリングされていない信号に接続される故障入力ピンと、前記故障フィードバック信号を含まない前記電流フィードバック信号である、前記フィルタリングされた信号に接続される通常電流検出ピンとを有することができる。前記コントローラは、それぞれのピンにおいて受信されるそれぞれの信号に従って作動又は動作する。
【0033】
少なくとも1つの例においては、前記駆動モードで動作するとき、前記コントローラは、ターゲット(target)に関する前記電流フィードバック信号をモニタすることによって、基準電流を満たすよう、前記駆動回路に供給される電流を調整するよう構成される。
【0034】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】実施形態による駆動回路を図示する。
図2】駆動回路の動作を示す波形を示す。
図3】実施形態による駆動構成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図を参照して本発明について説明する。
【0037】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0038】
本発明は、2つの出力端子の間の負荷を駆動するための駆動回路及び駆動構成を提供する。駆動回路は、入力と、入力に接続される出力端子とを有する。故障検出インダクタが、出力端子と直列に接続され、出力端子間の電流における変化に応答してフィードバックインダクタを通る電気パラメータを変更するよう構成される。フィードバックインダクタは、故障検出インダクタからガルバニック絶縁されるが、故障検出インダクタに磁気的に結合される。
【0039】
記載されているいずれの実施形態においても、「端子」という用語は、「ノード」という用語と交換可能なものとみなされ、配線の一部又は回路内の点を指す。「電流」という用語は、電流を指す。
【0040】
図1は、実施形態による駆動回路100を図示する回路図である。駆動回路100は、変換器(図示せず)によって生成される電力を負荷90に供給するよう構成される。図示されている例においては、負荷90は、直列に接続される第1発光ダイオードD3及び第2発光ダイオードD10を有するが、これらの構成要素は、駆動回路に適した任意の他の負荷に置き換えられ得る。コンデンサC5は、EMIコンデンサであり、即ち、電磁干渉(EMI)によって誘導される如何なる電流も減衰させるよう機能する。このコンデンサC5は随意のものであることに留意されたい。
【0041】
駆動回路100は、変換器から電力を受け取るよう適合される入力110を有する。ここでは、入力110は、変換器に接続するよう構成される第1入力端子111及び第2入力端子112を有する。
【0042】
駆動回路は、受け取った電力を負荷に供給するために負荷に接続するよう適合される出力端子121、122も有する。ここでは、出力端子は、入力110から電力を受け取るよう接続される第1出力端子121と、グランド又は基準電圧GNDに接続される第2出力端子122とを有する。第1出力端子及び第2出力端子122は、負荷90の両側に接続される。従って、電流は、入力110から第1出力端子121へ流れ、負荷90を通って第2出力端子122へ流れ、次いで、グランド又は基準電圧へ流れることができる。
【0043】
入力110及び出力端子121、122の代替の適切な構成は、当業者には明らかであるだろう。例えば、入力110は、変換器に接続するための単一のノード又は端子、例えば端子113しか含まなくてもよい。
【0044】
駆動回路100は、出力端子に電気的に直列に接続される故障検出インダクタL8(又は巻線)も有する。図示されている例においては、故障検出インダクタは、第2出力端子122とグランド又は基準電圧GNDとの間に直列に接続されている。代替例においては、故障検出インダクタは、入力110と第1出力端子121との間に接続されることができる。
【0045】
このやり方においては、出力端子121、122、及び負荷90を流れるあらゆる電流が、故障検出インダクタL8も通過する。通常動作においては、駆動回路から負荷への電流は、滑らかであり/安定しており、無視できない電圧変化を引き起こすことなく、インダクタL8を通過する、又はインダクタL8によって伝導される。しかし、出力端子121、122間の故障は、故障検出インダクタL8を流れる電流における急激な/大きな変化を引き起こす又は誘導する。出力端子間の故障は、負荷90自体の短絡若しくは開回路、又は出力端子121及び122における接続不良を含む。例えば、負荷又は端子が突然オープンになるときには、インダクタL8を通る電流が突然止まり、インダクタL8において、点付きの/正の端子における負の電圧が導入され、負荷又は端子が短絡されるときには、インダクタL8を通る電流が、(インダクタL8は上昇を妨げるにもかかわらず)上昇し、インダクタL8において、点付きの/正の端子における正の電圧が導入される。(後述の)大きな出力バッファコンデンサC1が存在する場合、故障検出インダクタは出力バッファコンデンサC1の後ろにあることから、故障は、依然として、故障検出インダクタL9を通る電流における変化を引き起こすことに留意されたい。しかし、(後述の)インダクタL3及びL6は、バッファコンデンサC1が、インダクタL3及びL6の前で故障又は故障の影響を、幾らか、フィルタをかけて除去する、又は減衰させるため、電流におけるこのような変化に耐えられない。
【0046】
駆動回路100は、故障検出インダクタL8からガルバニック絶縁され、故障検出インダクタL8に磁気的に結合されるフィードバックインダクタL7も有する。それ故、フィードバックインダクタを通る電気パラメータは、故障検出インダクタL8を流れる電流における上述の急激な変化に応答して変化する又は変更される。とりわけ、(例えば故障の結果として)故障検出インダクタを通る電流の変化は、フィードバックインダクタL7を通る電流における変化をもたらす。
【0047】
これは、ファラデーの電磁誘導の法則の効果であり、当業者には容易に分かるだろう。より具体的には、故障検出インダクタを通る電流における変化は、故障検出インダクタによって生成される磁界を変化させる。この磁界における変化は、磁気的に結合されるフィードバックインダクタを流れる電流における変化を引き起こし(例えば、フィードバックインダクタにおいて電流を誘導し)、フィードバックインダクタL7を通る電気パラメータにおける変化、より具体的には、電流における変化をもたらす。
【0048】
駆動回路100は、検出器R6も有する。検出器R6は、フィードバックインダクタを通る電気パラメータにおける変更を検出し、検出される変更された電気パラメータに応答して故障フィードバック信号Sを生成する。図示されている例においては、検出器R6は、フィードバックインダクタL7の一方の極/端子(又は両方の極/端子)とグランド又は基準電圧GNDとの間に接続される抵抗要素(即ち、抵抗器)を有する。従って、フィードバックインダクタを通る電流における変化は、検出器の抵抗要素の両端の電圧の急激な変化を引き起こす。それによって、検出器R6の抵抗要素の両端の電圧V(R6)は、故障フィードバック信号Sの役割を果たすことができる。
【0049】
検出器R6は、抵抗要素と並列にコンデンサを含まないことに留意されたい。このことは、抵抗要素の両端の電圧の平滑化の発生を防止し、故障フィードバック信号Sが、負荷における故障に対して顕著なスパイク又は応答を提供することを確実にする。例えばEMI減衰のために、このようなコンデンサが設けられる場合には、抵抗要素と並列のコンデンサの静電容量は、低周波フィルタリングの影響を低減するために、好ましくは、非常に小さい(例えば<0.2μF)。
【0050】
故障フィードバック信号Sは、出力端子及び/又は負荷の状態に関する有用な情報、とりわけ、出力端子間で及び/又は負荷において故障が発生しているか否かに関する有用な情報を提供する。この情報は、様々な目的のために、例えば、安全性向上のために駆動回路を停止させるために、又は例えば変換器によって、駆動回路に供給される電流を別の方法で制御するために、使用されることができる。
【0051】
例えば、(例えば、短絡に起因する)出力端子121、122間のサージ電流は、故障検出インダクタL8を通る電流を急上昇させる。サージ電流は、回路の2点間の電流における、急激な変化、例えば、増加である。例えば、サージ電流は、例えば、負荷に、突然、より多くの電力を引き出すことを開始させる、負荷又は負荷の一部のオンへの切り替えによって生じ得る。サージ電流は、不利なことに、駆動回路に損傷を与える可能性がある。このような障害を検出するために故障フィードバック信号Sを使用することは、サージ電流に適切に応答するために有利である。
【0052】
提案手法は、故障識別機構を出力端子からガルバニック絶縁したままにしながら、出力端子間の故障を正確に識別するための機構を提供する。これは、駆動回路の安全性を向上させ、例えば、迷走電流が、意図的ではない人間の接続であり得る、出力端子間に接続される負荷を通ってグランドに到達することを低減させる。
【0053】
図1は、駆動回路100の随意の特徴、即ち、出力コンデンサC1も図示している。出力コンデンサC1は、出力端子121、122と並列に接続され、変換器からの受け取った電力、即ち、入力110において受け取る電力を平滑化するよう適合される。出力コンデンサC1は、それによって、出力バッファコンデンサの役割を果たす。図示されている特定の例においては、出力コンデンサは、入力110とグランド又は基準電圧GNDとの間に接続されている。従って、駆動回路は、入力110において変換器から受け取った電力を蓄積するために出力コンデンサを有し、出力端子は、出力コンデンサによって蓄積された電力を負荷に供給するために出力コンデンサに電気的に接続される。
【0054】
出力コンデンサC1の使用は、出力端子121、122及び負荷90に一貫してほぼ直流の電流又は電圧が供給されることができることを意味する。コンデンサC1の静電容量は、一般的に、22μFであるが、5μF乃至50μFの範囲内、例えば10μFと40μFとの間、例えば22μFであってもよい。
【0055】
故障検出インダクタL8は、出力コンデンサC1と出力端子121、122との間に電気的に接続されてもよい。出力コンデンサと出力端子の間に故障検出インダクタL8を接続することによって、故障検出インダクタL8は(kHzからMHzまでの)高周波の電流変化に対して非常に敏感になる。このような電流変化は、出力端子間の又は負荷における、短絡又は開回路(への変化)などの故障に起因し得る。
【0056】
故障検出インダクタが出力コンデンサの前(例えば、入力110とコンデンサとの間)に接続された場合には、コンデンサによって実施される電流平滑化が、出力端子間の故障による急激な変化をマスクする又は隠す。
【0057】
図示されている駆動回路100は、随意の特徴の、複数の(例えば、ツェナー)ダイオードから形成されるダイオードブリッジ130を更に有する。これは、フィードバックインダクタL7を、フィードバックインダクタに接続された回路、又はフィードバックインダクタからガルバニック絶縁されていない回路内に存在する他の信号から分離する又は切り離すのに役立つ。ダイオードブリッジ130は、故障の識別の容易さ及び簡単さの向上のために、故障フィードバック信号を単極性信号(single polarity signal)にする役割も果たす。従って、故障が、(例えば故障検出インダクタL8の両端の)電気パラメータにおいて正の変化をもたらしたのか負の変化をもたらしたのかは重要ではなく、むしろ、このような変化が生じたことだけが重要である。いずれにしても、駆動回路が、故障フィードバック巻線における誘導電圧から故障のタイプを知る必要がある場合は、整流器は省かれることができ、極性検出回路が追加されることができる。
【0058】
図示されている駆動回路100は、随意の特徴の、フィルタコンデンサC5を更に有する。フィルタコンデンサC5は、極めて高い周波数成分を、負荷に渡さないようにフィルタリングするよう構成される。フィルタコンデンサC5は、出力端子121、122に接続される負荷90と並列に接続される。
【0059】
駆動回路の更なる随意の特徴について以下に説明する。
【0060】
駆動回路は、ここではダイオードブリッジD1、D2、D4、D5から形成される、整流器構成140を有してもよい。整流器構成140は、変換器によって入力110において供給される電力を整流するよう構成される。整流された電力は、出力端子121、122に供給される。幾つかの例においては、出力コンデンサC1が存在する場合には、出力コンデンサC1は、出力端子に供給される、整流された電力を、平滑化又は蓄積し得る。
【0061】
整流器構成140は、例えば、変換器自体に同様の又は同一の回路が形成されており、例えば、変換器が、整流された電力を入力に供給する場合には、省かれてもよい。このような例においては、入力は、変換器に接続するための、単一の端子、例えば端子113を有することがある。
【0062】
整流器構成は、第1整流経路及び第2整流経路を有する又は規定する。各整流経路は、出力端子及び/又は出力コンデンサ(存在する場合)に正の電圧/電流を供給する。これは、全波整流である。当業者は、第1整流経路及び第2整流経路のうちの一方しか必要とされず、他方はない/取り除かれる半波整流も可能且つ/又は適用可能であることを理解するだろう。
【0063】
駆動回路は、第1整流経路内に配置される第1電流検出インダクタL3を有してもよい。フィードバックインダクタL7は、第1電流検出インダクタL3からガルバニック絶縁され、第1電流検出インダクタL3に磁気的に結合される。フィードバックインダクタL7は、電気パラメータを変更するよう構成され、より具体的には、第1電流検出インダクタを流れる電流に応答してフィードバックインダクタを流れる電流を変更するよう構成される。
【0064】
随意に、磁気的に結合されるインダクタL7は、0.1A/μs以上の速度で変化する、第1電流検出インダクタ又は故障検出インダクタを流れる電流に応答する。
【0065】
駆動回路100は、第1電流検出インダクタを流れる電流を検知するために電流検出回路150を更に有してもよい。電流検出回路150は、第1電流検出インダクタを流れる電流に関連してフィードバックインダクタを流れる電流のフィルタリングされたものである、フィルタリングされた信号Vsenseを生成するよう構成されるフィルタである。フィルタリングされた信号Vsenseにおいては、故障検出インダクタによってフィードバックインダクタにおいて誘導される電流成分が、フィルタリング又は減衰されている。
【0066】
信号Vsenseは、電流フィードバック信号Sを表し得る。
【0067】
出力端子間に故障が発生するときに故障検出インダクタによって誘導される電流成分は、電流検出インダクタにおける検出電流に関連する信号よりもはるかに高い振幅を有することから、フィルタとしての平均化回路は、2つの信号を区別又は分離することが可能である。図示されているフィルタ150は、フィードバックインダクタL7のノード/アーム(arm)とグランド又は基準電圧GNDとの間の、並列に接続される抵抗器R11及びコンデンサC6から形成される、RCフィルタである。フィルタをかけて高周波ノイズ及び(故障フィードバック信号を含む)過渡的な高信号を効果的に除去するために、コンデンサC6の静電容量は4.7μFであってもよい。抵抗器R11の両端の電圧は、フィルタリングされた信号Vsenseの役割を果たす。フィルタリングされた信号Vsenseは、電流フィードバック信号の役割を果たし、変換器によって駆動回路に供給される電流についてのフィードバックを提供する。この情報は、例えば、変換器に所望の電流が供給されることを確実にするよう変換器の動作を制御するために使用されることができる。RCフィルタによってフィルタリングされていない信号Sのピーク振幅は、依然として、故障検出インダクタによって誘導された情報を搬送しており、故障を判定するためにそのピーク振幅が検出されることができる。
【0068】
他の例においては、故障電流信号のdi/dtは、通常動作電流信号よりも高く、従って、2つの信号を区別又は分離するために周波数セレクタが使用されることができる。
【0069】
例えば、検出器は、故障フィードバック信号Sとして機能するよう、フィードバックインダクタにおける高周波信号を通過させ、随意に、フィードバックインダクタにおける低周波信号を減衰させるよう構成され得る。フィルタ150は、電流フィードバック信号Sとして機能するよう、フィードバックインダクタにおける高周波信号を減衰させ、フィードバックインダクタにおける低周波信号を通過させるよう構成され得る。このやり方においては、周波数セレクタは、出力端子に供給される(通常)電流と故障の発生とを別々に区別する又は表す2つの信号を供給することができる。
【0070】
この手法は、如何なる突然のスパイクも電流フィードバック信号からフィルタリングされることをもたらす。高周波信号を減衰させることは、変換器によって駆動回路に供給される電流の周波数の1.5倍以上、例えば2倍以上大きい周波数を持つ信号を減衰させることを含み得る。
【0071】
駆動回路は、第2整流経路内に配置される第2電流検出インダクタL6を有してもよい。第1電流検出インダクタの場合と同様に、フィードバックインダクタは、第2電流検出インダクタからガルバニック絶縁され、第2電流検出インダクタに磁気的に結合され、第2電流検出インダクタを流れる電流に応答してフィードバックインダクタを流れる電流を変更するよう構成される。
【0072】
電流検出回路150はまた、第2電流検出インダクタL6を流れる電流を検知するよう適合される。この手法は、フィルタ150によって実施される電流検出の精度を向上させる。
【0073】
第1及び第2電流検出インダクタにおける2つの電流は、整流され、(RCフィルタによって)平均化され、変換器から駆動回路を介した負荷への総電流として信号Sを供給する。このやり方においては、電流検出回路150は、出力端子(及び/又は存在する場合には出力コンデンサC1)に供給される電流を検知することができる。
【0074】
通常動作中、変換器によって供給される電流は、第1インダクタL3及び(存在する場合には)第2インダクタL6を通過し、磁気結合を介してフィードバックインダクタL7において反映される。これは、変換器に供給される負荷電流を調整し、それによって、負荷電流を調整するために検出及び使用されることができる、フィルタリングされた信号Vsenseを生成する。
【0075】
出力コンデンサC1の使用は、変換器によって直接生じる電流が、故障フィードバックインダクタL8を通過するときには、ほぼDCである又はDCに近いことを意味し、それ故、これは、故障フィードバック信号にほとんど影響を及ぼさず、故に、インダクタL7における信号は、ほぼ、インダクタL3及びL6からの電流検出信号である。
【0076】
図2は、提案駆動回路の利点を示すために、駆動回路の様々な構成要素における/を通る波形を図示している。
【0077】
第1波形201は、故障検出インダクタを通る電流-I(L8)を図示しており、時間Tにおける負荷における故障の発生を示している。負荷において故障が発生するときには、故障検出インダクタを通る電流にスパイクが存在する。他の時点においては、故障検出インダクタを通る電流は、ほぼ一定である。
【0078】
第2波形202は、検出器R6の抵抗要素の両端の電圧-V(R6)を図示しており、これは、時間Tにおいて同じスパイクを示している。電圧-V(R6)は、故障フィードバック信号Sを表す。このピーク振幅/スパイクが、検出され、上述のように故障フィードバックのために使用される。故障がない他の時点においては、R9における電圧も滑らかである。検出の閾値は、DCオフセットの少なくとも150%に設定されることができる。これは、出力コンデンサが変換器からの電流を平滑化することから、出力端子における電流が定格出力電流の150%を超えて変化してはならず、前記電流が、定格出力電流の150%を超える場合には、何らかの異常が発生している可能性があり、故障が発生しているとみなされるという事実に基づいている。
【0079】
安全マージンの向上のために、検出の閾値は、DCオフセットの200%以上に設定されてもよい。当業者は、平均出力電流(DCオフセット)、LEDの順方向電圧などのような実際のケースのシナリオに従って他の閾値を指定してもよい。
【0080】
第3波形203は、第3端子113を通る電流I113を図示しており、出力コンデンサC1に供給される電流、即ち、(後述するように、駆動回路又は変換器自体によって整流され得る)変換器によって供給される電流を表す。これは、故障フィードバック信号において、出力端子に供給される電力の影響が、出力端子間の故障と比較して、いかに小さいか又は無視できるかを示している。V(R6)におけるDCオフセット及びV(R11)におけるDCオフセットは、この電流に依存することに留意されたい。
【0081】
第4波形204は、フィルタ150の抵抗器R11の両端の電圧V(R11)を図示している。V(R11)におけるDCオフセットは、主に、電流I113を測定するために使用される。この波形はまた、故障の発生が、抵抗器R11によって検出される可能性があり、それ故、フィルタリングされた信号Vsense、S内に存在する可能性があることを示している。しかしながら、変動は、検出器R6の抵抗要素の両端の電圧-V(R6)の応答よりもはるかに小さく、例えば、平均電流は、平均電流の50%を超えるピーク変動を持たず、それ故、あまり有用ではなく、実際には、どの潜在的な故障を示すためにも使用されないが、通常動作における電流制御のために使用される。
【0082】
図2は、信号とスイッチングとの間の関係を図示するためのものでしかないことに留意されたい。実際のユースケースのシナリオにおいては、時間Tにおいて-V(R6)におけるスパイクが検出される瞬間、駆動回路は、動作を停止するよう変換器に通知する可能性があり、それらの構成要素における更なる信号はない可能性がある。
【0083】
図3は、前述の駆動回路100を有する駆動構成1を図示している。駆動構成1自体が、実施形態を形成し得る。
【0084】
駆動構成1は、駆動回路に電力を供給するよう構成される変換器50も有する。変換器50は、駆動回路100に電力を供給するために、電力源(power source)又は電源V1、R1、C3によって供給される電力を変換する。電力源は、出力インピーダンスR1を備えるDC電源によってモデル化される。コンデンサC3は、DC電源のあらゆるAC成分を、フィルタをかけて除去する、又は減衰させるよう構成され、それによって、デカップリングコンデンサの役割を果たす。DC電源の適切な例は、バッテリ、電池(power cell)、又は整流(及び好ましくは平滑化)され、力率補正されたAC電源、例えば、主電源を含む。
【0085】
図示されている変換器50は、一次側巻線51と、一次側巻線51からガルバニック絶縁され、一次側巻線51に磁気的に結合される二次側巻線52とを備える絶縁変換器である。駆動回路100、特に駆動回路100の入力110は、二次側巻線に接続される。
【0086】
変換器50は、LLC及び/又はLCC変換構成を有してもよい。ここでは、変換器は、2つのインダクタL4、L5及びコンデンサC4から形成されるLLC変換構成、並びに第1スイッチQ1及び第2スイッチQ2から形成されるスイッチ回路網(ハーフブリッジ)を有する。第1及び第2スイッチは、MOSFETであってもよい。LLC変換構成の構成及び動作は、当業者にはよく知られており、簡潔さのために説明しない。一般に、LLC変換構成は、AC/DCコンバータ、又は電池(cell)若しくはバッテリなどのDC電源から(二次側巻線において)交流電源を供給するよう構成される。
【0087】
変換構成は、電源の性質に依存し得る任意の他の適切な変換構成に置き換えられ得る。或る例は、AC電源、例えば主電源を第1巻線のためのAC電流に変換するためのバック/ブースト/バックブーストコンバータである。他の例は、当業者には明らかであるだろう。
【0088】
駆動構成1は、コントローラ55を有することもある。コントローラは、少なくとも故障フィードバック信号Sに応答して第2巻線を介して駆動回路に供給される電力を制御するよう構成される。より具体的には、コントローラ55は、スイッチ回路網の動作を制御し、それによって、LLC変換構成の動作を制御し得る。
【0089】
幾つかの例においては、前記コントローラは、前記故障が存在することを示す前記故障フィードバック信号に応答して、前記駆動構成を、前記駆動回路に電力が供給されない保護モードに入らせるよう構成される。保護モードは、例えば、電流が第1巻線51を流れないように、第1スイッチQ1を開いたままにすることによって実施され得る。保護モードに入るための他の手法は、当業者には明らかであるだろう。
【0090】
故障フィードバック信号は、故障フィードバック信号の電圧が、或る所定の値を超え、出力端子間の電流スパイクを示す場合に、故障の存在を示し得る。所定の値は、故障が発生していないときの故障フィードバック信号の値、例えば、故障フィードバック信号のDCオフセットの値の150%以上、例えば200%以上の値であってもよい。
【0091】
或る例においては、故障フィードバック信号の電圧が、検出器R6の抵抗要素を通る電流が、故障が発生していないときの、例えば通常動作中のピーク電流より所定の数倍(例えば、1.5倍、2倍、5倍又は10倍)大きい値を超えることを示す場合に、故障フィードバック信号は故障の存在を示し得る。図2を参照すると、通常動作は、検出器R6の両端の電圧におけるリップルによって表される。
【0092】
別の例においては、故障フィードバック信号の勾配が、或る所定の勾配値を超え、出力端子間の電流スパイクの発生を示す場合に、故障フィードバック信号は故障の存在を示し得る。所定の勾配値は、故障が発生していないときの故障フィードバック信号の最大勾配、例えば変換器の通常動作によって故障フィードバック信号において誘導される勾配の150%以上、例えば200%以上の値であってもよい。
【0093】
コントローラ55は、故障フィードバック信号を処理して故障の存在又は発生を識別するよう構成されてもよい。従って、コントローラ55は、故障フィードバック信号を1つ以上の所定の閾値又は範囲と比較して、故障フィードバック信号が、故障が存在することを示すのか故障がないことを示すのかを決定又は予測してもよい。
【0094】
幾つかの例においては、コントローラは、駆動構成を駆動モードで動作させ、電流フィードバック信号に応答して、駆動回路に供給される電力を調整するよう構成されてもよい。コントローラは、(例えば、起動時から)故障フィードバックシステムによってまだ故障が識別されていないとき、及び/又は故障フィードバックによって最後の故障が識別されてから所定の期間が経過したとき、及び/又はユーザ入力に応答して、駆動モードで動作するよう構成されてもよい。
【0095】
従って、コントローラ55は、例えばボタンなどのユーザインターフェースシステム又は他の通信デバイスから、ユーザ入力を受信し、駆動モードで動作するようコントローラを構成してもよい。当然、ユーザ入力は、更に/さもなければ、基準電流、変換器に供給される電力、動作モードなどのような、コントローラの他の特性を規定するために使用されてもよい。
【0096】
幾つかの例においては、駆動モードで動作するとき、コントローラは、ターゲットに関する電流フィードバック信号をモニタすることによって、基準電流を満たすよう、駆動回路に供給される電流を調整するよう構成される。適切な基準電流を規定するための手法、例えば分圧器など用いる手法は、当業者には容易に分かるだろう。
【0097】
コントローラ55は、図3によって示されているように、異なる入力ピンを介して電流フィードバック信号及び故障フィードバック信号を受信してもよい。例えば、故障フィードバック信号Sは、第1入力ピン56において受信されてもよく、電流フィードバック信号Sは、第2入力ピン57において受信されてもよい。
【0098】
駆動構成1は、増幅器構成80を有してもよい。増幅器構成は、故障フィードバック信号S及び存在する場合には電流フィードバック信号Sを増幅するよう構成される。増幅器構成80は、故障フィードバック信号Sを増幅するための第1増幅器81と、電流フィードバック信号Sを増幅するための第2増幅器82とを有してもよい。
【0099】
故障フィードバック信号及び/又は電流フィードバック信号への言及は、それぞれの信号の増幅されたものを指すことがある。例えば、第1入力ピン56は、故障フィードバック信号Sの増幅されたもの又は増幅されていないものを受信することがあり、第2入力ピン56は、電流フィードバック信号Sの増幅されたもの又は増幅されていないものを受信することがある。
【0100】
上記の実施形態においては、第1電流検出インダクタは、整流器の整流経路内にある。この実施形態は、特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。整流器の有無にかかわらず、他の実施形態においては、第1電流検出インダクタは、第1電流検出インダクタが動作電流を検知するような、負荷に供給される動作電流が流れる如何なる場所でも配置されることができる。
【0101】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0102】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。特許請求の範囲又は明細書において「構成」という用語が使用されている場合には、「構成」という用語は、「システム」という用語と同等であるよう意図されており、逆もまた同様であることに留意されたい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換器によって生成される電力を負荷に供給するための駆動回路であって、
前記変換器から電力を受け取るよう適合される入力と、
受け取った前記電力を前記負荷に供給するために前記負荷に接続するよう適合される出力端子と、
故障検出インダクタであって、前記出力端子間の故障が、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化を引き起こすように、前記出力端子及び前記負荷を流れる電流が、前記故障検出インダクタを通過するように、前記出力端子に電気的に直列に接続される故障検出インダクタと、
前記変換器によって供給される電流が通過する第1電流検出インダクタと、
フィードバックインダクタであり、前記故障検出インダクタからガルバニック絶縁され、前記故障検出インダクタに磁気的に結合され、前記故障検出インダクタを流れる電流における変化に応答して前記フィードバックインダクタを通る電気パラメータを変更するよう構成されるフィードバックインダクタであって、前記第1電流検出インダクタからもガルバニック絶縁され、前記第1電流検出インダクタにも磁気的に結合され、前記フィードバックインダクタを通る電気信号であって、前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流に応答して前記電気信号を変更するよう構成されるフィードバックインダクタと、
前記フィードバックインダクタを通る前記電気パラメータにおける変更を検出し、検出される変更された前記電気パラメータに応答して故障フィードバック信号を生成するよう構成される検出器と、
前記電気信号を介して前記第1電流検出インダクタを流れる電流を検知する電流検出回路とを有する駆動回路。
【請求項2】
前記出力端子と並列に接続され、前記変換器からの前記受け取った電力を平滑化するよう適合される出力コンデンサを更に有し、
前記故障検出インダクタが、前記出力コンデンサと前記出力端子との間に電気的に接続される請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記変換器によって供給される電力を整流し、整流された前記電力を前記出力端子に供給するよう構成される整流器構成を更に有し、前記整流器構成が、第1整流経路を有し、
前記第1電流検出インダクタが、前記第1整流経路内に配置され、
前記電流検出回路が、前記第1電流検出インダクタを流れる電流に関連して前記フィードバックインダクタを流れる電流のフィルタリングされたものである、フィルタリングされた信号であって、前記故障検出インダクタによって誘導される成分がフィルタリング又は減衰されている、フィルタリングされた信号を生成するよう構成されるフィルタを更に有する請求項に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記フィルタが、
平均化回路、及び
周波数選択回路のうちのいずれか一方であってもよく、
前記整流器構成が、第2整流経路を有し、前記駆動回路が、
前記第2整流経路内に配置される第2電流検出インダクタを更に有し、
前記フィードバックインダクタが、前記第2電流検出インダクタからガルバニック絶縁され、前記第2電流検出インダクタに磁気的に結合され、前記フィードバックインダクタを通る前記電気信号であって、前記電気信号を介して前記第2電流検出インダクタを流れる電流に応答して前記電気信号を変更するよう構成され、
前記電流検出回路はまた、前記電気信号を介して前記第2電流検出インダクタを流れる電流を検知するよう適合され、
随意に、前記電流検出回路が、前記フィードバックインダクタと前記フィルタとの間に結合される整流回路を有する請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記故障が、前記出力端子及び/又は前記負荷の、短絡、開回路又は接続不良のうちのいずれか1つを含む請求項に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記故障フィードバック信号を処理して前記故障の有無を判定するよう構成される信号処理回路を更に有する請求項に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記フィードバックインダクタが、前記駆動回路の定格通常出力電流の150%より大きい、前記故障検出インダクタを流れる電流に応答して、前記電気パラメータを変更するよう構成される請求項6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記検出器が、前記フィードバックインダクタの正の端子と、グランド又は基準電圧との間に接続される抵抗要素を有する請求項に記載の駆動回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の駆動回路と、
前記駆動回路に電力を供給するよう構成される前記変換器とを有する駆動構成。
【請求項10】
前記変換器が、一次側巻線と、前記一次側巻線からガルバニック絶縁され、前記一次側巻線に磁気的に結合される二次側巻線とを備える絶縁変換器であり、前記駆動回路が、前記二次側巻線に接続される請求項9に記載の駆動構成。
【請求項11】
前記変換器が、LLC及び/又はLCC変換構成を有する請求項に記載の駆動構成。
【請求項12】
前記変換器が、前記一次側巻線及び前記フィードバック巻線に電気的に接続され、少なくとも前記故障フィードバック信号に応答して前記二次側巻線を介して前記駆動回路に供給される前記電力を制御するよう構成されるコントローラを有する請求項に記載の駆動構成。
【請求項13】
前記コントローラが、前記故障が存在することを示す前記故障フィードバック信号に応答して、前記駆動構成を、前記駆動回路に電力が供給されない保護モードに入らせるよう構成される請求項12に記載の駆動構成。
【請求項14】
前記コントローラが、前記駆動構成を駆動モードで動作させ、前記電流フィードバック信号に応答して、前記駆動回路に供給される前記電力を調整するよう構成される、請求項に従属する場合の、請求項12に記載の駆動構成。
【請求項15】
前記駆動モードで動作するとき、前記コントローラが、ターゲットに関する前記電流フィードバック信号をモニタすることによって、基準電流を満たすよう、前記駆動回路に供給される電流を調整するよう構成される請求項14に記載の駆動構成。
【国際調査報告】