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特表2024-546344アルカリ性水酸化物に対して耐性の固体乾燥剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】アルカリ性水酸化物に対して耐性の固体乾燥剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/12 20060101AFI20241212BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20241212BHJP
   B01D 53/28 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B01J20/12 A
B01D53/26 200
B01D53/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539555
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 FR2022052419
(87)【国際公開番号】W WO2023126595
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】2114669
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイボン,ウーゴ
(72)【発明者】
【氏名】リュッツ,セシル
(72)【発明者】
【氏名】グロデ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】スザンドロビク,シルビ
【テーマコード(参考)】
4D052
4G066
【Fターム(参考)】
4D052AA02
4D052GB02
4D052GB03
4D052GB04
4D052GB12
4D052HA01
4D052HA02
4D052HA03
4G066AA20B
4G066AA22B
4G066AA61B
4G066AA63B
4G066DA01
(57)【要約】
本発明は、微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥のための、少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤の使用に関する。
また、本発明は、微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥プロセスであって、該湿潤ガスを、少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤と接触させる少なくとも1つの段階を含むプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥のための、少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤の使用。
【請求項2】
前記湿潤ガスが、窒素、酸素、水素、希ガス、二酸化炭素及びそれらの混合物から選択され、好ましくは前記湿潤ガスが水素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記湿潤ガスの水分含量が、5体積ppm~2体積%である、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記固体乾燥剤が、活性アルミナ、シリカゲル、分子篩など、及びすべての割合のそれらの混合物から選択され、好ましくは、分子篩から選択され、後者の中でも、ゼオライト凝集体から選択され、より具体的にはゼオライトの結晶及び少なくとも1種のカオリン化合物を含むゼオライト凝集体から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記固体乾燥剤が、限界値を含んで、70重量%~99.99重量%、好ましくは70重量%~99.9重量%、より好ましくは80重量%~99.9重量%の、LTAタイプのゼオライト、FAUタイプのゼオライト、SODタイプのゼオライト、Pタイプのゼオライト、及びそれらの混合物から、好ましくはゼオライト3A、4A、5A、13X及びそれらの混合物から、より好ましくはゼオライト3A及び4A及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのゼオライトの結晶を含むゼオライト凝集体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記カオリン化合物が、カオリン粘土又はカオリン粘土前駆体であり、より具体的には、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト及びメタカオリン、並びにそれらの混合物から選択される粘土である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記カオリン化合物が、全体的又は部分的にゼオライト化され、優先的には部分的にゼオライト化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥プロセスであって、該湿潤ガスを、請求項1~7のいずれか一項に定義される少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤と接触させる少なくとも1つの段階を含むプロセス。
【請求項9】
大気圧~10MPa、好ましくは大気圧~5MPaの圧力で、周囲温度又は中程度の温度で、好ましくは検討中の圧力で水の沸点未満の温度で実施されることを特徴とする請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
塩基性電解質による電気分解によって得られた湿潤分子水素を乾燥させるための、好ましくは水酸化カリウムをベースとする電解質による電気分解によって得られた湿潤分子水素を乾燥させるための請求項8又は請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記固体乾燥剤が、凝集結合剤としてカオリンを含む、ゼオライト3A、4A、5A及び13Xをベースとするゼオライト凝集体であり、好ましくは、カオリン結合剤を有する、ゼオライト3A及び/又は4Aをベースとするゼオライト凝集体である、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子水素の製造の分野に関し、特に、乾燥分子水素の製造に関し、より具体的には、分子篩上で乾燥された分子水素の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
塩基性電気分解による分子水素の生成は、現在よく知られており、生産ユニットの主要な設置の対象となることができるように充分に開発された技術である。この塩基性電気分解プロセスでは、水は、電流の作用下で分子水素及び分子酸素に変換される。あらゆる種類の電気分解と同様に、電解質が、電気分解されるべき溶液中のイオン移動を促進するためにしばしば必要である。
【0003】
したがって、異なる電解質を使用することができ、非常に特に塩基性の電解質、特にアルカリ金属水酸化物に基づく電解質、非常に特に水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが選択される。最も効果的な電解質の1つは、水酸化カリウム水溶液、すなわち、KOH溶液からなる。
【0004】
塩基性電気分解プロセスでは、分子水素は、2つのプロトンの還元によってカソード上に得られる。このように回収されたガス状分子水素は湿っている、すなわち、それは多かれ少なかれごく微量の水を含む。加えて、回収された湿った分子水素は、場合により、しかし一般的には微量のアルカリ性水酸化物、例えば微量の水酸化カリウムを含有する。
【0005】
実際、そのような微量のアルカリ性水酸化物は、乾燥固体に有害であり得、この固体は、電気分解から生じる分子状水素の乾燥のための好ましい溶液の中に現れることが判明している。多くの適用分野は、乾燥した分子水素の使用、特に乾燥固体上で処理された分子水素の使用を必要とする。したがって、乾燥されるべき分子水素中に存在するどのような微量のアルカリ性水酸化物も除去し、可能な限り高い純度を示す乾燥分子水素の良好な生成を維持することが想定され得る。それ故使用する前に、分子水素を精製しなければならないが、強塩基である水酸化カリウムの存在は、使用することができる篩の範囲を大きく制限する。
【0006】
ガスの乾燥のために今日従来使用されている様々な技術が、当業者に周知である。このように湿潤ガスは、通常、様々な技術によって、例えば膜の透過によって、有機化合物をベースとする、例えばグリコールをベースとする配合物によるガスの洗浄操作によって乾燥される。
【0007】
さらに、ゼオライト3A凝集体がエステル及びアルコールの乾燥を可能にする、例えば特許EP1597197B1号に記載されているような有機液体又はガスの乾燥のための固体乾燥剤、例えば活性アルミナ、シリカゲル又は分子篩の使用が知られている。このように、湿った分子水素は、今日では一般に固体乾燥剤を用いて乾燥される。分子篩としても知られるゼオライト凝集体は、最も効率的な乾燥剤の1つであり、ppm程度の非常に低い残留含水量を達成することを可能にする。
【0008】
水分子を吸着するこの極端な能力は、制御された結晶性のアルミノシリケートであるゼオライトの特性の1つである。しかし、工業プロセスで使用できるようにするために、ゼオライト結晶(非常に微細な粉末の形態で存在する)は、例えばビーズ又は糸の形態でより容易に取り扱うことができるように成形されなければならない。
【0009】
これらのゼオライト結晶を成形するために、及びゼオライトの凝集力は非常に低いので、凝集結合剤と呼ばれる結合剤を使用することが必要である。これらの凝集結合剤は、一般に粘土タイプの結合剤であり、今日ではよく知られており、ゼオライト凝集体の最終形状を制御するために一般的に使用される。
【0010】
それにもかかわらず、これらの粘土ベースの凝集結合剤は、ほとんどの場合、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの作用に非常に敏感である。この脆弱性は、塩基性の電解質、特にアルカリ金属水酸化物をベースとする電解質、非常に特に水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムをベースとする電解質を使用する電気分解に由来するガスの乾燥条件下で充分に安定でないリスクがある分子篩をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1597197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明が解決することを提案する技術的課題は、塩基性電気分解によって生成された湿潤ガスの乾燥を目的とし、前記湿潤ガス中に存在する微量のアルカリ性水酸化物に対して耐性である固体乾燥剤を提供することである。本発明の別の目的は、湿潤ガス中に存在する微量の水酸化カリウムに対して耐性である固体乾燥剤を利用可能にすることである。本発明のさらに別の目的は、塩基性の電解質が水酸化カリウムを含む塩基性の加水分解によって生成される湿潤水素中に存在する微量の水酸化カリウムに対して耐性である固体乾燥剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的は、すべてが又は少なくとも部分的に、ここで述べる本発明の主題によって達成されることが見出された。さらに他の目的は、説明の続きにおいて明らかになる。具体的には、本発明者らによって、微量の、アルカリ性水酸化物などの塩基性化合物の存在下であっても、有意な分解を受けることなく、特定の固体乾燥剤を湿潤ガスの乾燥に使用できることが全く驚くべきことに発見された。
【0014】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥のための、少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述の固体乾燥剤を使用して乾燥させることができる湿潤ガスは、当業者に周知の任意のタイプのものであってよく、例えば、限定するものではないが、ガスは、工業用ガス、例えば窒素、酸素、水素、希ガス、二酸化炭素及びそれらの混合物、特に水素から選択され、任意に上で列挙した他のガスの1つ又は複数、非常に特に、塩基性媒体中での電気分解によって得られる水素との混合物として選択される。
【0016】
本発明の使用の文脈において乾燥されるべきガスの水分含量は、特に乾燥されるべきガス(湿潤ガス)の性質及び使用される固体乾燥剤の性質に応じて、広い割合で変動し得る。原則として、水分含量は5体積ppm~2体積%である。「水分含量」という用語は、乾燥されるべきガスに含まれる水の体積量を意味すると理解される。
【0017】
本発明による使用は、微量のアルカリ性水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物、より具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物、より具体的には微量の水酸化カリウムを含む湿潤ガスに特によく適している。「微量」という用語は、より具体的には、1体積ppm~1000体積ppm、好ましくは1体積ppm~500体積ppmの含量を意味すると理解される。
【0018】
本発明による使用の対象となる固体乾燥剤は、当業者に周知の任意のタイプのものであってよく、非限定的な例として、活性アルミナ、シリカゲル、分子篩など、及びあらゆる割合でのそれらの混合物から選択することができる。非常に特に好ましいのは、分子篩であり、中でも、ゼオライト凝集体であり、より具体的には、ゼオライトの結晶及び少なくとも1つのカオリン化合物を含むゼオライト凝集体である。
【0019】
本発明の使用の特に好ましい実施形態によれば、カオリン化合物は、前記ゼオライト凝集体に凝集力を付与するためにゼオライトの結晶と結合するカオリン結合剤である。カオリン結合剤を有するこのようなゼオライト凝集体は、当業者に非常によく知られており、市販されているか、又は科学文献及び特許文献並びにインターネット上で利用可能な既知の手順に従って調製することができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、固体乾燥剤は、70重量%~99.99重量%、好ましくは70重量%~99.9重量%、より好ましくは80重量%~99.9重量%(限界値を含む)のLTAタイプのゼオライト、FAUタイプのゼオライト、SODタイプのゼオライト、Pタイプのゼオライト、及びそれらの混合物から、好ましくはゼオライト3A、4A、5A、13X及びそれらの混合物から、より好ましくはゼオライト3A及び4A及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのゼオライトの結晶を含むゼオライト凝集体である。
【0021】
本発明の文脈において使用することができるゼオライト凝集体は、さらに、上で既に列挙したもの以外の1つ以上のゼオライトの結晶を含むことができる。しかし、そのゼオライトの結晶がガス上での乾燥操作に完全によく適しており、例えばゼオライト3A、4A、5A、13X及びそれらの混合物、より好ましくはゼオライト3A及び4A及びそれらの混合物であるゼオライト凝集体を使用することが好ましい。
【0022】
上記のように、カオリン化合物は、有利にはカオリン結合剤である。「カオリン結合剤」という用語は、カオリン粘土又はカオリン粘土前駆体、より具体的には、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト及びメタカオリン、並びにそれらの混合物から選択される粘土を意味すると理解される。
【0023】
本発明の文脈において使用され得るゼオライト凝集体はまた、固体乾燥剤の凝集をさらに強化し、その密度を改変し、多孔性を生成する目的で、1つ以上の他の結合剤だけでなく、1つ以上の不活性充填剤も含み得る。他の可能な凝集結合剤の中でも、例えば、ベントナイトを挙げることができるが、これに限定されない。可能な不活性充填剤の中でも、例えば、限定するものではないが、ゼオライトの合成における専門家である当業者に知られた任意の種類のシリカ源、例えばコロイド状シリカ、珪藻土、パーライト、フライアッシュ、砂、又は任意の他の形態の固体シリカだけでなく、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブなど、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、他の結合剤及び/又は不活性充填剤は、カオリン化合物、他の結合剤及び充填剤の総重量に対して33重量%を超えない。
【0025】
カオリン化合物は、固体乾燥剤の調製、特に、レオロジー及び/又は粘着性の改変によるゼオライト/カオリン化合物ペーストの取り扱いを容易にすること、又は固体乾燥剤に満足のいく特性、特にマクロ多孔性を付与することを意図した1つ以上の添加剤、好ましくは有機添加剤、例えばリグニン、デンプン、メチルセルロース及びその誘導体、表面活性(カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性)分子をさらに含むことができる。これらは、固体乾燥剤の調製中に、吸着剤の総重量に対して0重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~2重量%の割合で導入される。
【0026】
メチルセルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、リグノスルホネート、ポリカルボン酸及びカルボン酸コポリマー、それらのアミノ誘導体及びそれらの塩、特にアルカリ塩及びアンモニウム塩が優先的であるが、非網羅的に挙げられ得る。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態では、カオリン化合物は、全体的又は部分的に、優先的にゼオライト化することができ、すなわち、カオリン化合物又はカオリン結合剤のすべて又は一部が、使用前又は使用中又は使用前及び使用中にゼオライト物質に変換される。ゼオライト化は、当業者に周知の任意の手段によって、例えばEP1697042号に記載されているように行うことができる。ゼオライト化は、ある特定の条件下で、ガスの乾燥の実際の使用中に行うこともできる。理論に拘束されることを望むものではないが、微量のアルカリ性水酸化物の存在は、任意に、固体乾燥剤中の少なくとも局所的な温度上昇と組み合わせて、カオリン化合物又は結合剤の少なくとも部分的なゼオライト化をもたらし得ると考えられる。
【0028】
したがって、ゼオライト化合物を含む固体乾燥剤は、乾燥されるべき湿った分子水素中、特に電気分解によって得られる分子水素中に存在する微量のアルカリ性水酸化物、特に微量の水酸化カリウムの存在に特によく耐えることが発見された。カオリン化合物を含む固体乾燥剤は、ガスの乾燥のために通常使用され、現在知られている固体乾燥剤よりも特に良く、特に良好に耐える。
【0029】
したがって、本発明の使用は、カオリン結合剤を有するゼオライト凝集体に特に適しており、非常に特に、完全に又は少なくとも部分的にゼオライト化され得る凝集結合剤としてカオリンを含むゼオライト3A、4A、5A及び/又は13Xをベースとするゼオライト凝集体に、好ましくは、ゼオライト化されていないか又は部分的に若しくは完全にゼオライト化されているカオリン結合剤を有するゼオライト3A及び/又は4Aをベースとする凝集体に特に適している。
【0030】
第2の態様によれば、本発明は、微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスを乾燥させるプロセスであって、該湿潤ガスを、ちょうど定義された少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤と接触させる少なくとも1つの段階を含むプロセスに関する。
【0031】
前記湿潤ガスを固体乾燥剤と接触させる操作は、当業者に周知の任意の方法に従って、特に、例えば、一般に、固体乾燥剤を含有するカラムである吸着器中で行うことができる。
【0032】
本発明のプロセスは、様々な技術及び方法に従って、例えば以下から選択されるプロセスに従って行うことができる。
・ 圧力スイングプロセス、例えばPSA(圧力スイング吸着)タイプ又はVSA(真空スイング吸着)タイプ又はVPSA(2つの先行するもののハイブリッドプロセス)タイプ又はRPSA(急速圧力スイング吸着)タイプ、好ましくはPSAタイプ、
・ TSA(温度スイング吸着)タイプの温度スイングプロセス、及び
・ PTSA(圧力及び温度スイング吸着)タイプの圧力及び温度スイングプロセス。
【0033】
本発明のプロセスにおいて乾燥されることが意図される湿潤ガスは、望まれる場合又は所望される場合、特に湿潤ガスの含水量が高すぎる場合、第1の乾燥に事前に供されてもよい。この第1の乾燥段階は、当業者に周知の任意の方法に従って、例えば、ガスを冷却し、凝縮水を除々に放出することによって、又は膜を通過させることによって行うことができる。
【0034】
本発明のプロセスは、一般に、大気圧~10MPa、好ましくは大気圧~5MPaの圧力で、周囲温度又は中程度の温度で、好ましくは検討中の圧力で水の沸点未満の温度で実施される。
【0035】
本発明のプロセスは、塩基性電解質、特に水酸化カリウムをベースとする電解質による電気分解によって得られる湿潤分子水素の乾燥に非常に特に高度に適している。水酸化カリウムの存在下で塩基性電気分解によって得られる分子状水素を乾燥させるプロセスは、固体乾燥剤が、上で定義したゼオライト凝集体、例えば、凝集結合剤としてカオリンを含むゼオライト3A、4A、5A及び/又は13Xをベースとするゼオライト凝集体、好ましくは、カオリン結合剤を有するゼオライト3A及び/又は4Aをベースとするゼオライト凝集体である場合に特に有効である。
【0036】
本発明に記載される固体乾燥剤は、今日使用されている固体乾燥剤とは異なり、塩基の攻撃に対してはるかに安定かつ耐性である。これにより、粉塵などによる乾燥されるべきガスの汚染が少なくなり、特に、その操作中の乾燥剤システム、特に吸着器の圧力降下の増加が制限される。したがって、上記のような固体乾燥剤の湿潤ガスの乾燥のための使用は、より効果的であり、主要かつある特定の経済的利点を示す。
【実施例
【0037】
以下の実施例を用いて本発明を説明するが、実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0038】
<水酸化カリウムに対する耐性の例>
固体乾燥剤の安定性を、以下の試験に従って評価した。予め550℃で2時間活性化させた5gの篩を、エルレンマイヤーフラスコ中の100mlの110g/l水酸化カリウム溶液に懸濁する。
【0039】
固体粒子を、時々手動で撹拌しながら、溶液と1時間接触させたままにする。続いて、ケイ素及びアルミニウムの定量的測定のために、濾過によって溶液を回収する。次いで、篩を約50℃で8時間(水で洗浄せずに)乾燥させ、次いで換気オーブン中230℃で3時間(直接設定点)活性化させる。
【0040】
以下の3つの試料を試験する。
サンプル1(比較):20重量%のアタパルジャイト結合剤(NK 10B 1.6/2.5mmの名称で販売されているアルケマからの試料)を含むゼオライト4A凝集体
サンプル2(本発明):20重量%のカオリン結合剤(SRA B 1.6/2.5mmの名称で販売されているアルケマからの試料)を含むゼオライト4A凝集体
サンプル3(本発明):110g/lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で95℃にて2時間ゼオライト化した20重量%のカオリン結合剤(2%の残留結合剤)を含み、NaOH水溶液とゼオライト凝集体との重量比が2.1であるゼオライト4A凝集体
【0041】
追加の試験(ブランク試験)を、水酸化カリウムで処理していない3つの試料で実施する。試験及びブランク試験を、試料の各々について、水吸着(H50)及び機械的強度(MS)測定によって実施する。
【0042】
水吸着容量(H50)(%で表される)は、23±2℃の閉鎖チャンバー中で24時間の滞留の終わりに水で飽和した後の1gの活性固体乾燥剤の重量の増加(相対湿度は50%に等しい)の、参照活性固体乾燥剤の重量(この場合、1g)に対する比(100を掛ける)によって決定する。
【0043】
測定された機械的強度(MS)(daNで表される)は、粒破砕強度に相当する。Vinci Technologiesによって販売されている粒破砕強度機器を用いて、規格ASTM D4179及びD6175に従って、粒破砕機械強度を測定する。
【0044】
3つの試料のH50及びMS(試験及びブランク試験)の測定値を以下の表1に記録する。
【0045】
【表1】
【0046】
これらの結果は、カオリン結合剤を含むゼオライト凝集体が、水酸化カリウムによる処理に対してより耐性があることを示し、これは、カオリン結合剤が、許容可能な吸着容量を保持しながら、部分的にゼオライト化されている場合であっても当てはまる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥のための、少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤の使用。
【請求項2】
前記湿潤ガスが、窒素、酸素、水素、希ガス、二酸化炭素及びそれらの混合物から選択され、好ましくは前記湿潤ガスが水素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記湿潤ガスの水分含量が、5体積ppm~2体積%である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記固体乾燥剤が、活性アルミナ、シリカゲル、分子篩など、及びすべての割合のそれらの混合物から選択され、好ましくは、分子篩から選択され、後者の中でも、ゼオライト凝集体から選択され、より具体的にはゼオライトの結晶及び少なくとも1種のカオリン化合物を含むゼオライト凝集体から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記固体乾燥剤が、限界値を含んで、70重量%~99.99重量%、好ましくは70重量%~99.9重量%、より好ましくは80重量%~99.9重量%の、LTAタイプのゼオライト、FAUタイプのゼオライト、SODタイプのゼオライト、Pタイプのゼオライト、及びそれらの混合物から、好ましくはゼオライト3A、4A、5A、13X及びそれらの混合物から、より好ましくはゼオライト3A及び4A及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのゼオライトの結晶を含むゼオライト凝集体である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記カオリン化合物が、カオリン粘土又はカオリン粘土前駆体であり、より具体的には、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト及びメタカオリン、並びにそれらの混合物から選択される粘土である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記カオリン化合物が、全体的又は部分的にゼオライト化され、優先的には部分的にゼオライト化される、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
微量のアルカリ性水酸化物を含む湿潤ガスの乾燥プロセスであって、該湿潤ガスを、請求項1~7のいずれか一項に定義される少なくとも1つのカオリン化合物を含む固体乾燥剤と接触させる少なくとも1つの段階を含むプロセス。
【請求項9】
大気圧~10MPa、好ましくは大気圧~5MPaの圧力で、周囲温度又は中程度の温度で、好ましくは検討中の圧力で水の沸点未満の温度で実施されることを特徴とする請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
塩基性電解質による電気分解によって得られた湿潤分子水素を乾燥させるための、好ましくは水酸化カリウムをベースとする電解質による電気分解によって得られた湿潤分子水素を乾燥させるための請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記固体乾燥剤が、凝集結合剤としてカオリンを含む、ゼオライト3A、4A、5A及び13Xをベースとするゼオライト凝集体であり、好ましくは、カオリン結合剤を有する、ゼオライト3A及び/又は4Aをベースとするゼオライト凝集体である、請求項8に記載のプロセス。
【国際調査報告】