(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】カプセル型内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20241212BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61B1/12 540
A61B1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539769
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2022143639
(87)【国際公開番号】W WO2023125868
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111673361.9
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517396261
【氏名又は名称】アンコン メディカル テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANKON MEDICAL TECHNOLOGIES (SHANGHAI) CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Floor 1,No.435,Chuanqiao Road,Pilot Free Trade Zone,Pudong New Area,Shanghai,201206,China
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン シャォドン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD07
4C161FF17
4C161JJ06
4C161JJ11
(57)【要約】
【課題】本発明に係るカプセル型内視鏡は、本体部、ハウジング第1端部及びハウジング第2端部を含むハウジングと、前記ハウジング第1端部内に設けられた画像収集モジュールと、前記本体部内に設けられた回路処理モジュールと、アンテナを含む情報送信モジュールと、を備え、前記アンテナは、前記本体部の内壁、或いは、前記本体部の内壁と前記ハウジング第2端部の内壁の両方に固定されたアンテナアームを含み、前記アンテナアームは、前記画像収集モジュール及び/又は前記回路処理モジュールに接続されている。本発明のカプセル型内視鏡は、優れた内部熱管理効果を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部、ハウジング第1端部及びハウジング第2端部を含むハウジングと、
前記ハウジング第1端部内に設けられた画像収集モジュールと、
前記本体部内に設けられた回路処理モジュールと、
アンテナを含む情報送信モジュールと、を備え、
前記アンテナは、前記本体部の内壁、或いは、前記本体部の内壁と前記ハウジング第2端部の内壁の両方に固定されたアンテナアームを含み、
前記アンテナアームは、前記画像収集モジュール及び/又は前記回路処理モジュールに接続されていることを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項2】
前記アンテナアームは、前記本体部の内壁表面、または前記本体部の内壁と前記ハウジング第2端部の内壁の両方の表面に取り付けられ、且つ突起構造であることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項3】
前記アンテナアームの表面には、絶縁性熱伝導材料が塗布されていることを特徴とする請求項2に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項4】
前記アンテナアームにより被覆されていない前記本体部の内壁表面、または、前記本体部の内壁表面と前記ハウジング第2端部の内壁表面の部分には絶縁性熱伝導材料が塗布されていることを特徴とする請求項3に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項5】
前記絶縁性熱伝導材料が塗布された後の前記本体部の内表面、または前記本体部と前記ハウジング第2端部との内表面は突起のない均一な高さの平滑構造となっていることを特徴とする請求項4に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項6】
前記アンテナアームは、熱伝導板を介して前記画像収集モジュール及び/又は前記回路処理モジュールと接続されることを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項7】
前記カプセル型内視鏡は電池をさらに含み、前記アンテナアームは前記熱伝導板を介して前記電池と接続することを特徴とする請求項3~5の何れか一項の記載のカプセル型内視鏡。
【請求項8】
前記アンテナアームと前記ハウジングとの間には、保温材料層が設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項9】
前記アンテナアームに接続された前記熱伝導板は、前記絶縁性熱伝導材料の表面に配置されることを特徴とする請求項5に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項10】
ワイヤレス充電モジュールと、前記電池とをさらに含み、
前記ワイヤレス充電モジュールは、前記ハウジング第2端部の中に設けられ且つ前記回路処理モジュールと電気的に接続し、
前記回路処理モジュールによって前記電池に充電し、
前記カプセル型内視鏡は、前記アンテナアームと前記ワイヤレス充電モジュールとを接続する前記熱伝導板をさらに含むことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のカプセル型内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル型内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル型内視鏡はその高い信頼性、高い安全性から、現在は消化管疾患診断の有効な設備となり、国際医療機器分野で高い認可を受けている。カプセル型内視鏡は、CMOSイメージセンサ、光学システム、電池、送信回路及びアンテナなどを含む。人体胃腸管の画像は光学システムを介してCMOSイメージセンサの表面に結像され、CMOSイメージセンサによって光信号を電気信号に変換し、当該電気信号を送信回路を介して変調して増幅し、アンテナを介して送信させる。これらの情報は外部受信装置により受信され、且つ表示装置に表示される。苦痛がなく、創傷がない人体胃腸管の蠕動状態では、医者は表示装置に表示された画像に基づいて被検査者に対して胃腸管疾患の診断を行うことができる。
【0003】
現段階では、ギブン社のPillCamシリーズのカプセル型内視鏡、オリンパス社のEndoCapsule 10シリーズのカプセル型内視鏡、IntroMedic社のMirоCamシリーズのカプセル型内視鏡などの製品が販売されているが、胃部で制御不能に移動するため、主に移動を制御する必要がない腸管検査に使用されている。一方では、アンコン社のNaviCamシリーズのカプセル型内視鏡は外磁場の作用の下で、胃部で制御可能に医学的検査を行うことができる。
【0004】
カプセル型内視鏡の内部熱管理は、カプセル型内視鏡の検査時間、撮影効果や制御精度などに重要な影響を与えている。カプセル型内視鏡の体積による制限があるため、カプセル型内視鏡の内部熱管理方式はまだ向上する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における関連問題を解決するために、本発明は一種のカプセル型内視鏡を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的解決策は、次の通りである。
カプセル型内視鏡であって、
本体部(101)、ハウジング第1端部(102)及びハウジング第2端部(103)を含むハウジングと、
前記ハウジング第1端部(102)内に設けられた画像収集モジュール(2)と、
前記本体部(101)内に設けられた回路処理モジュール(3)と、
アンテナ(401)を含む情報送信モジュールと、を備え、
前記アンテナ(401)は、本体部(101)の内壁、或いは、本体部(101)の内壁とハウジング第2端部(103)の内壁の両方に固定されたアンテナアーム(4011)を含み、
前記アンテナアーム(4011)は、前記画像収集モジュール(2)及び/又は前記回路処理モジュール(3)に接続されている。
【0007】
オプションとして、アンテナアーム(4011)は、本体部(101)の内壁表面、または本体部(101)の内壁とハウジング第2端部(103)の内壁の両方の表面に取り付けられ、且つ突起構造である。
【0008】
オプションとして、前記アンテナアーム(4011)の表面には絶縁性熱伝導材料(5)が塗布され、及び/又は、アンテナアーム(4011)により被覆されていない本体部(101)の内壁表面、または本体部(101)の内壁表面とハウジング第2端部(103)の内壁表面の部分には絶縁性熱伝導材料(5)が塗布されている。
【0009】
オプションとして、前記アンテナアーム(4011)の表面には絶縁性熱伝導材料(5)が塗布され、アンテナアーム(4011)によって覆われていない本体部(101)の内壁表面、または本体部(101)の内壁表面とハウジング第2端部(103)の内壁表面の部分には絶縁性熱伝導材料(5)が塗布され、絶縁性熱伝導材料(5)が塗布された本体部(101)の内表面、または本体部(101)とハウジング第2端部(103)の内表面は突起のない均一な高さの平滑構造である。
【0010】
オプションとして、前記アンテナアーム(4011)は、熱伝導板(7)を介して前記画像収集モジュール(2)及び/又は前記回路処理モジュール(3)と接続される。
【0011】
オプションとして、前記画像収集モジュール(2)は、撮像モジュール(201)と、照明モジュール(202)とを含み、前記アンテナアーム(4011)は、熱伝導板(7)を介して前記撮像モジュール(201)及び/又は前記照明モジュール(202)に接続されている。
【0012】
オプションとして、前記カプセル型内視鏡は電池をさらに含み、前記アンテナアーム(4011)は熱伝導板(7)を介して前記電池に接続される。
【0013】
オプションとして、アンテナアーム(4011)に接続された熱伝導板(7)は、絶縁性熱伝導材料(5)の表面に配置される。
【0014】
オプションとして、前記アンテナ(401)の形状は、ダブルアームヘリカルアンテナ、ヘリカルアンテナ、逆L形アンテナ、T形アンテナ、傘形アンテナ、かご形アンテナ、角形アンテナ、V形アンテナ、菱形アンテナ、魚骨形アンテナ、円盤テーパアンテナ、二重テーパアンテナの一種または多種の組み合せからなる。
【0015】
オプションとして、ワイヤレス充電モジュールをさらに含み、前記ワイヤレス充電モジュールはハウジング第2端部(103)に設けられ且つ回路処理モジュール(3)と電気的に接続され、前記熱伝導板(7)はアンテナアーム(4011)とワイヤレス充電モジュールとに接続される。
【0016】
本発明の技術提案の有益な効果は、カプセル型内視鏡の体積を増加させない前提下で、有効な熱管理を提供し、カプセル型内視鏡の航続時間を向上させることである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面は、本発明のさらなる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、且つ以下の具体的な実施形態とともに本発明を説明するために用いられるが、本発明に対する制限を構成するものではない。図面において、
【0018】
【
図1】本発明の一実施例により提供されるカプセル型内視鏡の構造概略図である。
【
図2】カプセル型内視鏡のアンテナの構造概略図である。
【
図3】
図2のアンテナアームがカプセル型内視鏡のハウジングの内壁を周回するように設けられた状態を示す模式図である。
【
図4】カプセル型内視鏡の本体部の断面模式図である。
【
図5】
図4に示したカプセル型内視鏡の別の一種の本体部の断面模式図である。
【
図6】カプセル型内視鏡の本体部の中間層の断面模式図である。
【
図7】
図6に示したカプセル型内視鏡の別の一種の本体部の中間層の断面模式図である。
【
図8】カプセル型内視鏡の熱伝導板の接続構造を示す図である。
【
図9】
図8に示したカプセル型内視鏡の別の一種の熱伝導板の接続構造図である。
【
図10】カプセル型内視鏡のアンテナと蓄熱材料との構造関係を示す模式図である。
【
図11】カプセル型内視鏡のハウジングと回路処理モジュールとの接続構造を示す図である。
【
図12】カプセル型内視鏡のワイヤレス充電モジュールの構造図である。
【
図13】別のカプセル型内視鏡のワイヤレス充電モジュールの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上述の目的、特徴及び利点をより明確に理解することができるように、以下に添付図面及び具体的な実施形態に合わせて本発明をさらに詳細に説明する。なお、矛盾しない場合には、本願の実施形態及び実施形態における特徴を互いに組み合わせてもよい。
【0020】
以下の説明では、本発明を十分に理解するために多くの具体的な詳細を述べたが、本発明はまた、本明細書で説明されたものとは異なる他の方法で実施することができる。したがって、本発明の保護範囲は、以下に開示される具体的な実施形態によって制限されるものではない。
【0021】
図1乃至
図13に示すように、本発明によるカプセル型内視鏡は、ハウジング(1)を備える。当該ハウジング(1)は、本体部(101)と、ハウジング第1端部(102)と、ハウジング第2端部(103)とを含む。カプセル型内視鏡の本体部(101)は円筒形であり、ハウジング第1端部(102)は半楕円球形であり、ハウジング第2端部(103)も半楕円球形である。この三者は、組み合わせてカプセル状の内視鏡を形成し、嚥下と検査に便利である。当該カプセル型内視鏡は、ハウジング第1端部(102)内に設けられた画像収集モジュール(2)と、本体部(101)内に設けられた回路処理モジュール(3)と、アンテナ(401)を含む情報送信モジュールと、をさらに備える。アンテナ(401)は、本体部(101)の内壁、または本体部(101)の内壁とハウジング第2端部(103)の内壁に固定される。アンテナ(401)は、画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュール(3)に接続されている。
【0022】
回路処理モジュール(3)は、プロセッサ、イメージアクセラレーター、電源IC(Power Management IC:PMIC)、加速度センサ、6軸センサ、光線センサ、赤外線センサの1種または多種から構成される。
【0023】
カプセル型内視鏡には、カプセル型内視鏡の各ユニットに電力を供給し、且つ電源ICによって制御される電池(6)も含まれている。アンテナ(401)は、カプセル型内視鏡のハウジングの内壁に貼り付けられている。具体的には、アンテナ(401)は本体部(101)の内壁のみに固定されてもよいし、本体部内壁と画像収集モジュール(2)に対向するハウジング第2端部(103)の内壁とに同時に固定されてもよい。アンテナ(401)は、突起構造である。
【0024】
アンテナ(401)は熱伝導機能を有し、熱伝導の基本式「Q=K×A×ΔT/ΔL」に基づき、熱伝導の大きさQは熱伝導係数K、熱伝熱面積Aに比例するとともに、距離ΔLは反比例する。熱伝導率が高く、熱伝達面積が大きく、伝送距離が短いほど、熱伝導のエネルギーが高くなり、熱も奪われやすくなる。アンテナ(401)が本体部(101)の内壁と画像収集モジュール(2)に対向するハウジング第2端部(103)の内壁とに同時に固定される場合、本体部(101)の内壁のみに固定されることよりも、アンテナ(401)はハウジング第2端部(103)の内壁を別途に覆い、設置されたアンテナ(401)の面積がより大きくなるため、熱伝導の面積がより大きく、熱伝導効果がより良い。
【0025】
図2は、カプセル型内視鏡のアンテナの構造概略図である。
図2に示すように、アンテナ(401)は、本体部(101)の内壁、または本体部(101)の内壁とハウジング第2端部(103)の内壁に固定されたアンテナアーム(4011)を含む。
【0026】
アンテナアーム(4011)は、アンテナ(401)の本体構造とする。具体的には、
図3に示すように、アンテナ全体は、アンテナアーム(4011)とボトムアンテナ(4012)とに分けられる。ボトムアンテナ(4012)は、画像収集モジュール(2)に対向するハウジング第2端部(103)の中に配置され、アンテナアーム(4011)はボトムアンテナ(4012)に接続されている。ボトムアンテナ(4012)には、回路処理モジュール(3)と接続するための給電ポート(4013)が設けられる。
【0027】
アンテナ(401)は、螺旋状に作製されてもよく、回転によりカプセルハウジングの内部に取り付けられる。螺旋アンテナは、外部に膨張する傾向がある。カプセルハウジングは、前述の傾向を制限し、アンテナ(401)とハウジング(1)とが安定した固定構造を形成するようにする。
【0028】
アンテナアーム(4011)の形状は、ダブルアームヘリカルアンテナ、ヘリカルアンテナ、逆L形アンテナ、T形アンテナ、傘形アンテナ、かご形アンテナ、角形アンテナ、V形アンテナ、菱形アンテナ、魚骨形アンテナ、円盤テーパアンテナ、二重テーパアンテナの一種または多種の組み合せであることができる。
【0029】
好ましい態様では、
図3に示すように、アンテナアーム(4011)は、ダブルアームヘリカルアンテナである。アンテナアーム(4011)は、螺旋状に配置されて、カプセルハウジングの内壁に比較的平坦に貼り付けられるように、カプセルハウジングの内壁にマッチングしている。アンテナとして銅箔を用いる場合、広い面で内壁に接触し、内壁に貼り付けられると同時に、内壁との接触面積を増やすことができる。
【0030】
アンテナアーム(4011)は、幅が1mm~10mmの銅箔からなる。銅は、大きな熱伝導率を持ち、アンテナアーム(4011)全体に早く熱を伝えることができる。アンテナアーム(4011)の厚さは、0.1mm~1mmである。
【0031】
図3は、アンテナアーム(4011)がカプセル型内視鏡のハウジングの内壁を周回するように設けられた場合を示している。
図2は、アンテナアーム(4011)がカプセル型内視鏡のハウジングの内壁において規則的に螺旋状に周回するように設置された場合の側面図である。アンテナアーム(4011)は全体として連続構造であるが、本発明はこれに限定されない。
図2から分かるように、アンテナアーム(4011)がカプセル型内視鏡のハウジングの内壁で規則的に周回するように配置される場合、アンテナアーム(4011)が複数のアンテナアーム(4011)の部分を含むと見なすことができる。アンテナアーム(4011)の複数の部分の間には、間隔がある。
【0032】
アンテナアーム(4011)は、画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュール(3)に接続されている。アンテナアーム(4011)は、導熱線(図示せず)を介して画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュール(3)に接続されている。導熱線は、金属ワイヤなどを用いることができる。カプセル型内視鏡の情報送信モジュールは、アンテナアーム(4011)からなるアンテナ(401)及び無線周波数回路モジュール(図示せず)を含む。動作モードでは、撮像モジュール(201)によって消化管の画像を取得して且つそれを回路処理モジュールに送信する。回路処理モジュール(3)によって処理された画像データは、情報送信モジュールにおける無線周波数回路基板及びアンテナ(401)を介して最終的に体外画像表示装置に送信される。
【0033】
アンテナアーム(4011)は、画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュール(3)に導熱線(図示せず)を介して接続される。これにより、画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュール(3)の熱は、アンテナアーム(4011)に速やかに伝導されるようになる。アンテナアーム(4011)が金属材質で形成され、熱伝導性が良いため、画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュール(3)から伝わってくる熱をカプセルハウジングの内壁に均一に伝導することができる。アンテナアーム(4011)の面積被覆率が大きいほど、熱伝導効果が良く、熱伝達が均一になる。カプセル型内視鏡の実際の動作の必要性を考慮すると、アンテナアーム(4011)の面積被覆率は10%~85%であり、好ましくは20%~45%である。
【0034】
アンテナアーム(4011)はカプセルハウジングの内壁全体を覆っているわけではないため、熱はアンテナアーム(4011)がレイアウトされたカプセルハウジングの内壁まで伝達することができるが、複数のアンテナアーム(4011)部分の間には間隔があるため、アンテナアーム(4011)が設置されていない間隔では、アンテナアーム(4011)に伝達された熱は効率的に拡散できず、熱の蓄積を招き易い。
【0035】
本実施形態では、絶縁性熱伝導材料を用いてアンテナアーム(4011)をパッケージ化し、アンテナアーム(4011)の表面に絶縁性熱伝導材料(5)を塗布する。また、アンテナアーム(4011)により覆われていない本体部(101)の内壁表面、または本体部(101)の内壁表面とハウジング第2端部(103)の内壁表面の部分に絶縁性熱伝導材料(5)を塗布する。
【0036】
明確にするために、
図2は、アンテナアーム(4011)により覆われていない本体部(101)内壁表面、または本体部(101)の内壁表面とハウジング第2端部(103)の内壁表面の部分に絶縁性熱伝導材料(5)を塗布した状態を示している。実際には、アンテナアーム(4011)の表面も絶縁性熱伝導材料によって覆われている。
【0037】
図4及び
図5は、カプセル型内視鏡の本体部(101)の断面模式図を示した。
図4に示すように、アンテナアーム(4011)表面は絶縁性熱伝導材料(5)により被覆され、アンテナアーム(4011)により被覆されていない本体部(101)の内壁表面とハウジング第2端部(103)の内壁表面(
図3では本体部101の内壁表面のみを示す)には絶縁性熱伝導材料(5)が塗布されている。絶縁性熱伝導材料(5)が塗布された後の本体部(101)の内表面、または本体部(101)とハウジング第2端部(103)との内表面は凸のない高さ均一の平滑構造となっている。
【0038】
図5に示すように、絶縁性熱伝導材料(5)が塗布された後、本体部(101)の内壁表面は平滑でない表面であってもよく、本発明はこれに限定されない。
図4及び
図5は、本体部(101)の内壁のみを例に説明しているが、ハウジング第2端部(103)も同様であってよく、ここではこれ以上説明しない。
【0039】
絶縁熱伝導性材料(5)は、アンテナアーム(4011)に密着し、放熱機能を有するアンテナアーム(4011)で受けた熱をアンテナアーム(4011)の間隔も含むカプセルハウジング全体に速やかに伝導することができる。絶縁性熱伝導材料(5)の厚さは、0.01~0.1mmである。
【0040】
別の実施形態では、
図6および
図7に示すように、さらに、アンテナアーム(4011)とカプセルハウジングとの間に保温材料層1401を設けてもよい。保温材料層(1401)は、アンテナにより、画像収集モジュール(2)及び/又は回路処理モジュールから受けた熱をカプセルハウジングの全体に速やかに伝えて、局所的に熱が高くなることを回避しつつ、ハウジングを介して熱を外部に放出するのではなく、熱をカプセルの内部に保持して、カプセルの内部に熱を集めて、電池の使用時間を延長することができる。保温材料層(1401)は、ナノ断熱膜、PFTフィルム、ポリエステルフィルム及びポリイミドフィルムなどの熱伝導率の悪い絶縁材料を含むことができ、本発明はこれらの材料に限定されない。
【0041】
前述したように、画像収集モジュールと回路処理モジュールで発生した熱がアンテナアーム(4011)に伝達できるのは、画像収集モジュールと回路処理モジュールがアンテナアーム(4011)に導熱線を介して接続されているためである。
【0042】
本発明の一実施形態に係るカプセル型内視鏡では、
図8に示すように、アンテナアーム(4011)と、画像収集モジュール(2)及び回路処理モジュール(3)との間には熱伝導板(7)が設けられている。アンテナアーム(4011)は、熱伝導板(7)を介して画像収集モジュール(2)と回路処理モジュール(3)とに接続される。熱伝導板(7)は、画像収集モジュール(2)と回路処理モジュール(3)からアンテナアーム(4011)に熱を伝達するための熱通路を増加させ、熱をアンテナアーム(4011)により効率的に伝達できるようにする。
【0043】
画像収集モジュール(2)は、撮像モジュール(201)と、照明モジュール(202)とを含む。
図9に示すように、アンテナアーム(4011)は、熱伝導板(7)を介して撮像モジュール(201)及び/又は照明モジュール(202)に接続されている。
【0044】
上述したように、熱がハウジングを介して外部に放出されるのではなく、カプセルの内部に蓄積されるため、電池の使用時間を延長することができる。電池に熱を供給して使用するために、本発明の一実施形態では、
図10に示すように、カプセル型の内視鏡の電池(6)とアンテナアーム(4011)との間には熱伝導板(7)が設けられている。アンテナアーム(4011)が熱伝導板(7)を介して電池(6)に接続されることで、アンテナアーム(4011)によって受信された熱を電池(6)に直接伝達して、電池の使用に供し、電池の使用時間を延長することができる。
【0045】
さらに、電池(6)の周囲には蓄熱材料(9)が設けられる。
図10に示すように、アンテナアーム(4011)の熱を熱伝導板(7)を介して前述の蓄熱材料(9)の中に導入してストレージし、これによって、カプセル型内視鏡の長時間検査の過程でゆっくりと熱を放出し、電池が有効な作動温度で動作できるように維持することができる。アンテナアーム(4011)の熱は、画像収集モジュール(2)と回路処理モジュール(3)から発生したものであり、前述の熱伝導板(7)を介して伝達されてくる。
【0046】
前述の熱伝導板(7)の材料は、熱伝導性の良い絶縁材料を含んでもよい。一実施形態では、熱伝導板(7)はアンテナアーム(4011)の表面に設けられた絶縁性熱伝導材料(5)に連接されて、絶縁性熱伝導材料(5)を介してアンテナアーム(4011)に連接されることが可能である。
【0047】
熱伝導板(7)は熱伝導率の高い材質、例えば、熱伝導性接着剤、熱伝導性絶縁シートや熱伝導性シリカゲルを選択することができる。
【0048】
オプションとして、電池(6)に接続される熱伝導板(7)の数は、2つ、3つ、4つまたは複数である。単一の熱伝導板(7)に比べて、複数の熱伝導板(7)はより速やかに熱を伝導することができ、アンテナアーム(4011)が受けた熱を電池(6)に速やかに直接伝達して、電池の使用に供し、電池の使用時間を延長することができる。
【0049】
カプセル型内視鏡は、体積が小さいが、構造が非常に複雑であり、その作業時に発生した熱は速やかに消散しにくい。アンテナを通じて熱をカプセルハウジングに伝導することで、放熱を促進し、熱管理能力を高めることができる。カプセルハウジングの材質は、通常、PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル)、光学ポリエステル樹脂などである。これらの材料はすべて樹脂類であり、比較的に良い可塑性を持っている。前述のアンテナアーム(4011)は、製造中に本体部ケース(1011)と一体成形されることが可能である。すなわち、アンテナアーム(4011)の製造が完了した後、これを射出成形して、カプセル型内視鏡の本体部を形成する。前述のカプセル型内視鏡の回路処理モジュール(3)と、それに対応する本体部(1011)の内壁とにそれぞれコネクタ(4014)を設け、
図11に示すようにした。製造組立プロセスにおいて、回路処理モジュール(3)をハウジングの中に押し込み、2つのコネクタ(4014)を接続することにより、カプセル型内視鏡の無線周波数要件を満たす電気的接続を実現することができる。前述のコネクタ(4014)は、有効な電気的接続を保証するために、加工難度の低い接点を採用することが好ましい。
【0050】
カプセル型内視鏡の航続時間を延長するために、ワイヤレス充電モジュールをカプセル型内視鏡の中に設置する。胃腸管検査は、体外磁気制御装置を用いてカプセル型内視鏡と協力し、制御された検査を行う。この段階では、無線充電が可能であり、胃部の検査を終えた後、カプセル型内視鏡は胃腸管の自然蠕動下で、腸管に入って腸管の検査を行い、最後に体外に排出される。カプセル型内視鏡は腸管検査にかかる時間が長く、胃に滞在する時間より遥かに大きいが、無線充電は胃検査時にしか行うことができず、腸管内で無線充電を行うことができない。従って、カプセル型内視鏡の電池が腸管検査時に航続時間が足りないという問題は、依然として存在する。また、ワイヤレス充電モジュールは、動作時に熱を発生する。この部分の熱を管理しないと、カプセル型内視鏡のハウジングの局所温度が高すぎ、即ち熱が蓄積すると、患者に不快感を与えることがある。
【0051】
別の実施形態では、
図12に示すように、内視鏡のハウジングの局所温度が高すぎる問題を解決するために、ワイヤレス充電モジュール(10)はハウジング第2端部(103)に設置され、且つ回路処理モジュール(3)と電気的に接続する。ワイヤレス充電モジュール(10)は、得られた電気エネルギーを前述の回路処理モジュール(3)を介して電池(6)の中に貯蔵する。熱伝導板(7)を用いてアンテナアーム(4011)とワイヤレス充電モジュール(10)とを接続する。前述のワイヤレス充電モジュール(10)が動作中に発生した熱は熱伝導板(7)を通じてアンテナアーム(4011)に速やかに伝達され、熱の伝導を実現し、熱の蓄積を避けた。
【0052】
別の実施形態では、電池の航続時間が足りないという問題を解決するために、
図13に示すように、ワイヤレス充電モジュール(10)はハウジング第2端部(103)の中に設けられ、且つ回路処理モジュール(3)と電気的に接続する。ワイヤレス充電モジュール(10)は、得られた電気エネルギーを前述の回路処理モジュール(3)を介して電池(6)の中に貯蔵する。電池(6)の周囲には、蓄熱材料(9)が設けられる。熱伝導板(7)を用いてワイヤレス充電モジュール(10)と前述の蓄熱材料(9)とを接続する。ワイヤレス充電モジュール(10)が動作している間に発生した熱は、熱伝導板(7)を介して蓄熱材料(9)に入る。カプセル型内視鏡は腸管に入った後、数時間の自主撮影を行い、前述の蓄熱材料(9)はゆっくりと放熱して、電池(6)を活性化する役割を果たし、電池をより高い作動温度に維持して、電池の作動時間を延長するとともに、熱の蓄積が患者に不快感を与える問題を回避することができる。
【0053】
前述の電池(6)は、酸化銀電池、または酸化銀電池とワイヤレス充電に使える二次電池である。好ましくは、一枚の酸化銀電池及びリチウム電池を採用し、通常胃部検査の際にはまず前記リチウム電池から電力を供給する。体外磁気制御装置は胃部の検査が完了した後、前記カプセル型内視鏡に対してワイヤレス充電し、前記リチウム電池が満充電された後、さらに腸管の検査を行う。2つの酸化銀電池を使用するよりも、1つの酸化銀電池と1つのリチウム電池の組み合わせに基づくワイヤレス充電方式が、より長い航続時間を提供することができる。
【0054】
図1に示すように、本発明のカプセル型内視鏡は、ハウジングに接続された永久磁石(8)を含む。永久磁石(8)は、カプセル型内視鏡に磁性を持たせ、且つ体外磁気制御装置と合わせて、カプセル型内視鏡の位置、姿勢や方向を調整することができる。選択可能には、ハウジング第2端部(103)内には、第2の永久磁石(図示せず)が設けられている。前述の第2の永久磁石は、円筒形または球形であり、好ましくは、ハウジング第2端部(103)と同心の楕円球形である。前述の楕円球形の永久磁石は、ハウジング第2端部(103)の内壁に密着することができる。永久磁石(8)はハウジング第1端部(102)に近接し、前述の第2永久磁石はハウジング第2端部(103)に近接している。2つの永久磁石は、カプセル型内視鏡の重量をバランスさせることができ、体外磁気制御装置と協力することで、2つの磁気モーメントを発生して、カプセル型内視鏡の位置、姿勢や方向に対して正確に調整することができる。
【0055】
本発明は、前記画像収集モジュール及び/又は前記回路処理モジュール等で発生した熱をアンテナアームに速やかに伝導し、アンテナアームを通じて熱を均一に分布させ、局所的な熱蓄積を低減し、或いは蓄熱材料を用いて余分な熱を電池の近くに蓄積し、且つゆっくりと放出して、電池の放電能力を最適化することにより、有効な熱管理を実現し、温度が高すぎることによる患者への不快感を回避した。
【0056】
以上説明したのは本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を制限するためのものではない。当業者にとっては、本発明は種々の変更及び変化を有することが可能である。本発明の精神と原則の中で行ったいかなる修正、等価置換や改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0057】
1 ハウジング
101 本体部
1011 本体部ケース
102 ハウジング第1端部
103 ハウジング第2端部
2 画像収集モジュール
201 撮像モジュール
202 照明モジュール
3 回路処理モジュール
401 アンテナ
4011 アンテナアーム
4012 ボトムアンテナ
4013 給電ポート
4014 コネクタ
5 絶縁性熱伝導材料
6 電池
7 熱伝導板
8 永久磁石
9 蓄熱材料
10 ワイヤレス充電モジュール
1401 保温材料層
【国際調査報告】