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特表2024-546359インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20241212BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12M1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024561733
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2023010085
(87)【国際公開番号】W WO2023133120
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/296,264
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524252105
【氏名又は名称】ロナウク, インク.
【氏名又は名称原語表記】RONAWK, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】メロット,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ホッジ,ジェイコブ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,ヘザー イー.
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC02
4B029CC10
(57)【要約】
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)が提供され、此れ等は種々の細胞及び/又は組織の成長に好適である。IPHBは、連続的なポリマーマトリックス材料に依って画定される三次元(3D)マクロ構造と、連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークとを有する。3Dマクロ構造は、上面と、底面と、上面から底面まで延在する少なくとも1つの側面エッジ部に依って画定される厚さとを含む。3Dマクロ構造の構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を包含する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)であって:
連続的なポリマーマトリックス材料に依って画定される三次元(3D)マクロ構造、並びに前記連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク、
を含み、
此処で、前記3Dマクロ構造は、上面と、底面と、前記上面から前記底面まで延在する少なくとも1つの側面エッジ部に依って画定される厚さとを含み、此処で、前記3Dマクロ構造の構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素と少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素とを包含する、
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記少なくとも1つの側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素を包含する、請求項1に記載のIPHB。
【請求項3】
前記少なくとも1つの側面エッジ部が第1の側面エッジ部及び第2の側面エッジ部を包含し、此処で、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記第1の側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素と、前記第2の側面エッジ部から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素とを包含する、請求項1に記載のIPHB。
【請求項4】
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記上面から外向きに延在する第3の噛み合わせオス構成要素を包含する、請求項1~3に記載のIPHB。
【請求項5】
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記少なくとも1つの側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素を包含する、請求項1~4に記載のIPHB。
【請求項6】
前記少なくとも1つの側面エッジ部が、第3の側面エッジ部及び第4の側面エッジ部を包含し、此処で、前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第3の側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素と、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第4の側面エッジ部から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素とを包含する、請求項3~5に記載のIPHB。
【請求項7】
前記第1の側面エッジ部及び前記第3の側面エッジ部が、対向する側面エッジ部の第1のペアを画定する、請求項6に記載のIPHB。
【請求項8】
前記第2の側面エッジ部及び前記第4の側面エッジ部が、対向する側面エッジ部の第2のペアを画定する、請求項6~7に記載のIPHB。
【請求項10】
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記底面から内向きに延在する第3の噛み合わせメス構成要素を包含する、請求項6~8に記載のIPHB。
【請求項11】
前記3Dマクロ構造が、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、立方体、四角柱、又は三角柱を画定する、請求項1~10に記載のIPHB。
【請求項12】
前記3Dマクロ構造が、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、3~12つの側面エッジ部、例えば少なくとも約3、4、5、6、7、及び8つの側面エッジ部、並びに/又は次の何れか:多くとも約12、11、10、9、及び8つの側面エッジ部を有する多角柱を画定する、請求項1~10に記載のIPHB。
【請求項13】
前記少なくとも1つの側面エッジ部が、第1の側面エッジ部と、第2の側面エッジ部と、前記第1の側面エッジ部及び前記第2の側面エッジ部の間に且つ其れ等に隣接して在る弓形の側面エッジ部とを包含する、請求項1に記載のIPHB。
【請求項14】
前記第1の側面エッジ部が、前記第1の側面エッジ部から外向きに延在する前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を包含し、前記第2の側面エッジ部が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第2の側面エッジ部から内向きに延在する前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を包含する、請求項13に記載のIPHB。
【請求項15】
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記上面から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素を包含する、請求項13~14に記載のIPHB。
【請求項16】
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記底面から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素を包含する、請求項13~15に記載のIPHB。
【請求項17】
前記3Dマクロ構造が、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、半円柱、例えば円柱の1/8~円柱の1/2、例えば円柱の1/8、1/4、1/3、又は1/2を画定する、請求項13~17に記載のIPHB。
【請求項18】
前記底面が前記上面に対して相対的に粗いテクスチャを有する、請求項1~17に記載のIPHB。
【請求項19】
前記底面が複数の軽度の隆起部、例えば個々の瘤又は畝を包含する、請求項18に記載のIPHB。
【請求項20】
前記上面が、約0.25cm~約25cmの巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cmを含む、請求項1~19に記載のIPHB。
【請求項21】
前記上面が、約0.25cm~約25cmの巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cmを含む、請求項1~20に記載のIPHB。
【請求項22】
前記3Dマクロ構造の前記厚さが、約0.5cm~約3cm、例えば次の何れか:少なくとも約0.5、0.75、1、1.25、及び1.5cm、並びに/又は次の何れか:多くとも約3、2.5、2、及び1.5cmである、請求項1~21に記載のIPHB。
【請求項23】
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素の其々が、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される、請求項1~22に記載のIPHB。
【請求項24】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が非分解性である、請求項1~23に記載のIPHB。
【請求項25】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が選択可能に分解性である、請求項1~24に記載のIPHB。
【請求項26】
連続的なポリマーマトリックス材料が、3Dの架橋されたポリマーネットワーク、架橋されていないポリマーネットワーク、又は其れ等の組み合わせを含む、請求項1~25に記載のIPHB。
【請求項27】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が膨潤性ハイドロゲルを含む、請求項1~26に記載のIPHB。
【請求項28】
前記膨潤性ハイドロゲルが、少なくとも、アクリレート又はメタクリレート官能基を包含する第1のモノマーと、少なくとも2つのフリーラジカル重合可能な官能基を包含する第2のモノマー又はオリゴマーとのラジカルに依って媒介される反応産物を含む、請求項27に記載のIPHB。
【請求項29】
前記少なくとも2つのフリーラジカル重合可能な官能基が、互いに独立して、アクリレート又はメタクリレート基、アリル基、アルキニル、ビニルニトリル、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、スチレン基、マレイン酸基、フマル酸基、又はノルボルネン基を含み得る、請求項28に記載のIPHB。
【請求項30】
前記モノマー又は第2のモノマーの少なくとも1つが、前記モノマーの主鎖に組み込まれた及び/又は前記モノマーに側鎖若しくは側鎖の構成要素としてグラフトされた以下:ポリエチレングリコール官能性(例えば、-O(CO)H(此処で、nは1~100の値を有する)、ポリプロピレングリコール官能性(例えば、-O(CO)H(此処で、nは1~100の値を有する)、及び/又はグリセロール官能性を含む、請求項28~29に記載のIPHB。
【請求項31】
前記モノマー又は第2のモノマーの少なくとも1つが、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(MPEGA)、N-メチルアセトアミド(NMA)、又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を含む、請求項28~29に記載のIPHB。
【請求項32】
前記膨潤性ハイドロゲルが、1つ以上の天然ポリマー、例えば植物に由来するポリマー及び動物に由来するポリマーを含む、請求項27に記載のIPHB。
【請求項33】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が、対象の自然組織に、前記対象の自然組織の約20%以内の、例えば約15%、10%、8%、5%、3%、又は1%以内の1つ以上の物理特性を包含する事に依って擬態し、此処で、前記対象の1つ以上の物理特性が柔軟性及び張力を包含する、請求項1~32に記載のIPHB。
【請求項34】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が、デジタル光合成印刷の3D印刷等の付加製造技術に依って形成される、請求項1~33に記載のIPHB。
【請求項35】
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークが、例えば、対象の自然組織の形態を反映する様に前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの形状及び寸法を変える事に依って、前記対象の自然組織の形態に擬態する構造である、請求項1~34に記載のIPHB。
【請求項36】
平均直径が、約100~約800ミクロン、例えば次の何れか:少なくとも約100、120、150、180、200、220、及び250ミクロン、並びに/又は次の何れか:多くとも約800、780、750、720、700、680、650、620、600、580、550、520、500、480、450、420、400、380、350、320、300、280、及び250ミクロンを含む、請求項1~35に記載のIPHB。
【請求項37】
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークが、前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば次の何れか:前記3Dマクロ構造の少なくとも約40、50、60、及び70体積%、並びに/又は次の何れか:前記3Dマクロ構造の多くとも約90、85、80、75、及び70体積%を含む、請求項1~36に記載のIPHB。
【請求項38】
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークと連続的なポリマーマトリックス材料との間の境界面が、対象の初代細胞の接着を促進する為に選択されるコンパティビライザーのコーティングを含む、請求項1~36に記載のIPHB。
【請求項39】
請求項1~38の何れか1項に記載の複数のIPHBを含む足場形成システム。
【請求項40】
前記複数のIPHBが、第1の噛み合わせオス構成要素を包含する第1のIPHBと、第2の噛み合わせメス構成要素を包含する第2のIPHBとを包含し、此処で、前記第2の噛み合わせメス構成要素は前記第1の噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される、請求項39に記載の足場形成システム。
【請求項41】
前記第1の噛み合わせオス構成要素が前記第2の噛み合わせメス構成要素内に挿入され、此処で、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBが其々膨潤した状態で提供され、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBの噛み合わせを改善し、前記膨潤した状態は、水又は培養培地等の液体の吸収性により提供される、請求項40に記載の足場形成システム。
【請求項42】
前記第1のIPHBがマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第1のネットワークを有し、前記第2のIPHBがマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第2のネットワークを有し、此処で、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBが噛み合わせられ、集合的な連続的なマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを画定する時には、前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第1のネットワークの第1の部分が、前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第2のネットワークの第1の部分と少なくとも部分的にオーバーラップする、請求項40~41に記載の足場形成システム。
【請求項43】
前記第1のIPHBが第1の初代細胞を播種され、前記第2のIPHBが第2の初代細胞を播種され、此処で、前記第1の初代細胞が前記第2の初代細胞とは異なる、請求項39~42に記載の足場形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年1月4日出願の米国仮特許出願第63/296,264号の優先権を主張し、此れは其の全体が参照に依って本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示の発明の実施形態は一般的にインターロッキング(interlocking)多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)に関し、此れ等は互いと噛み合わせられて種々の細胞及び/又は組織の連続的な3D成長を提供し得る。IPHBは、連続的なポリマーマトリックス材料(例えば、ハイドロゲルポリマー材料)に依って画定される三次元(3D)マクロ構造と、連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークとを有する。3Dマクロ構造は少なくとも1つの噛み合わせ(interlocking)オス構成要素と少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素とを包含し、其の結果、個々のIPHBは、x-y平面に於いてパズルピースの様に組み立てられ得るか、又はx-y平面に対して垂直のz次元に於いて互いに積み重ねられ得る。
【背景技術】
【0003】
間葉系幹/間質細胞(MSC)は、骨髄、歯髄、臍帯、及び脂肪組織を包含する人体の種々の組織源に見出される複能性の前駆細胞の不均一な集団である。MSCは、其れ等の本質的に多様な再生及び分泌特性から、組織工学及び再生医療の技術分野に於いて注目されている。MSCの複能性の性質は、元々は、可能性として体の疾患を患った及びダメージを受けた組織の全臓器置換又は新生組織を形成する為に骨形成、軟骨形成、脂肪細胞形成、神経、骨格、及び心臓系列に分化するMSCの能力の為に、バイオメディカル工学の技術分野に於いて大いなる関心を集めた。此れ等の種の治療は、多くの場合に、特定の系列の方へのMSCの分化をコントロールする為の種々の複雑さの足場及びハイドロゲルとのMSCの組み込みに焦点を合わせている。
【0004】
現在検討されている他のMSCに基づく治療は、ダメージを受けた組織の部位へのMSCの血管内又は直接注入を包含する。此れ等の治療は、MSCの細胞死及び注入の部位からの放射状の拡散により、更なる最適化を必要とする。同様に、関心を集めている別のMSCに基づく治療には、細胞に基づく治療の一般的な限定の幾つかを回避する無細胞系MSC治療の形態として、セクレトームと呼ばれるMSCに由来する分泌産物の利用が関わる。MSCの分泌副産物は、不均一な種々の生体調節因子、例えば蛋白質、抗酸化剤、核酸、エクソソーム、及びマイクロベシクルを包含し、種々の用途に於いて組織再生及び創傷治癒を促進する事が示されている。最終的には、細胞系及び無細胞系MSCに由来する治療法の両方で、現実的な臨床用製品を得る為の十分な細胞数(多くの場合には、最小でも10~10個程度のMSCを必要とする)を達成する為には、細胞はドナー源から取り除かれ、其の後に、インビトロで拡大培養されなければならない。此れは幹細胞様表現型の損失に関連し、多くの場合には達成するのに数週間を要する。
【0005】
従来、MSCのインビトロ拡大培養システムは、細胞を単層として拡大培養する為の硬質な2Dプラスチック培養容器の使用を包含し、十分に多い細胞の数量を達成する為の複数のプロテアーゼ依存的な継代培養(継代)イベントを要求する。証拠は、従来の2D培養システムが幹細胞拡大培養にとって理想的ではなく、MSC複能性の損失を齎し、生存性を縮減し、老化を誘導し、再生因子の分泌を減少させ得るという事を示唆している。研究は、幹細胞の分化及び機能が部分的に基質の機械特性に依存的であり、より硬質な基質は骨形成系列及び減少した生存性を促進し、より柔軟な基質は生存性及び「幹細胞様」特性の保持を改善するという事を実証している。其れ故に、従来の2D培養で見られるMSC集団の減少したロバスト性は、蓋然的には、2D単層に於ける細胞の過密化に加えて、2D培養プラスチックの非生理的に硬質な基質の力学と細胞の連続的な継代培養の必要性との組み合わせを原因とする。最終的には、従来の2D培養モダリティは、蓋然的には、より生存性の低い且つより老化した細胞集団を経時的に齎し、不純物及び/又は一貫しない分泌産物に至らせる。此れは、其の後に、実験アッセイ間のばらつきを増大させ、MSCに由来する治療の可能性としての下流の臨床上の利益を限定する。
【0006】
スフェロイド及びオルガノイド培養を包含する3D培養システムに依る初期の研究は、2D培養の限定の幾つかを回避しMSC集団の幹細胞様表現型を改善する其れ等の能力を実証している。然し乍ら、スフェロイド及びオルガノイド培養は、多くの場合には、拡散の制約を原因として其れ等のサイズが限定され、壊死及び細胞死の中心領域の傾向がある。加えて、スフェロイド/オルガノイド培養は労働集約的であり得、長期拡大培養用途の為の撹拌槽バイオリアクター等の大きい且つ高額なバイオリアクターシステムを要求し得る。此れ等はプロテアーゼに依る細胞塊の人工的解離の必要性に至る。此のプロセスは、細胞系の又は細胞系に由来する治療を創出するというゴールに依る産業目的に特に当て嵌まる。其の上、MSCの長期培養は、幾つかの場合に於いては、3Dスフェロイド培養後の老化した細胞の集団増大を実証している。其れ故に、ロバストな且つ幹細胞様の細胞集団の長期拡大培養を改善するより効率的な組織擬態的な3D培養システムの開発は、現在も尚検討中である。1つの有望なアプローチはハイドロゲルシステムの利用である。然し乍ら、ハイドロゲルシステムの現在の利用は、MSCを拡大培養する事及び其れ等の幹細胞様特性を維持する事よりも寧ろ、分化をコントロールする事及び/又は幹細胞の送達基剤として作用する事を狙いとしている。加えて、大部分の現在のハイドロゲル製剤は、細胞遊走及び栄養素拡散を助ける多孔性のマイクロアーキテクチャが欠如する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
因って、当技術分野に於いては、種々の細胞及び/又は組織の三次元の連続的な成長を可能にする単純化された且つ効率的なプラットフォーム、特に、対象の自然細胞及び/又は組織に関連するインビボ条件により緻密に擬態するか又は似通うプラットフォームの必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つ以上の実施形態は、前述の問題の1つ以上に対処し得る。本発明に従う或る種の実施形態は、連続的なポリマーマトリックス材料に依って画定される三次元(3D)マクロ構造と、連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークとを含むインターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)を提供する。3Dマクロ構造は、上面と、底面と、上面から底面まで延在する少なくとも1つの側面エッジ部に依って画定される厚さとを含み得る。此れに於いて、3Dマクロ構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を包含する。本発明の或る種の実施形態に従うと、第1のIPHBの少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素内に受けられる様に構成される。
【0009】
別の態様に於いて、本発明は、本明細書に於いて記載及び開示される物等の複数のIPHBを含む足場形成システムを提供する。本発明の或る種の実施形態に従うと、例えば、複数のIPHBは、第1の噛み合わせオス構成要素を包含する第1のIPHBと、第2の噛み合わせメス構成要素を包含する第2のIPHBとを包含し、此れに於いて、第2の噛み合わせメス構成要素は第1の噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される。
【0010】
別の態様に於いて、本発明は、連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを有する、IPHBを形成する方法を提供し、ポリマーメルトの形成と、連続的なポリマーマトリックス材料並びに連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを印刷、例えば3D印刷する事とを含む。此れに於いて、齎される連続的なポリマーマトリックス材料の1つ以上の物理特性は、対象の自然組織の物理特性に擬態する。本発明の或る種の実施形態に従うマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークは、対象の自然組織の形態に擬態する構造であり得る。
【0011】
本発明は、此処で、以下添付の図面を参照してより詳しく記載される。此れ等に於いては、本発明の全てではなく幾つかの実施形態が示される。実際、本発明は多くの異なる形態で実施され得、本明細書で示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。寧ろ、此れ等の実施形態は、本開示が該当する法的要件を満たす様に提供される。同様の番号は全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の或る種の実施形態に従って、2つの別個のIPHBを例解する。
図2図2は、本発明の或る種の実施形態に従って、3つの噛み合ったIPHBを例解する。
図3図3は、本発明の或る種の実施形態に従って、IPHBの上面図及び側面図を図示し、連続的なポリマーマトリックス材料、並びにIPHBの表面に於いて露出する連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを例解する。
図4図4は、本発明の或る種の実施形態に従って、上面に在る噛み合わせオス構成要素と底面の中に突き出る噛み合わせメス構成要素とを包含するIPHBを例解する。
図5図5は、本発明の或る種の実施形態に従って、上面に在る噛み合わせオス構成要素と底面の中に突き出る噛み合わせメス構成要素とを包含する別のIPHBを例解する。
図6図6は、本発明の或る種の実施形態に従って、一緒に噛み合った時の第1のIPHBから第2のIPHBへの細胞遊走を例解する。
図7A図7Aは、ハイドロゲルシステムのマクロ構造を例解する。此れに於いて、(i)左の画像は、約1cmの3Dハイドロゲルシステムの単一の写真画像である。(ii)中央の画像は、6ウェルプレート上の互いに接続された4つのハイドロゲルの写真画像である。及び(iii)右の画像は、接続された4つのハイドロゲルの写真画像であり、注釈は、当初に播種されたハイドロゲルからの細胞無しの追加で取り付けられたハイドロゲルの中への/方への細胞の遊走を図示する。
図7B図7Bは、ハイドロゲルシステムのマイクロ構造を例解する。此れに於いて、(i)左の画像は、ハイドロゲルの内部構造の断面の共焦点顕微鏡法画像であり、多孔性のアーキテクチャ内で遊走及び増殖する脂肪に由来する間葉系幹/間質細胞(ASC)を図示する。此処で、(a)小さい白色の矢印はハイドロゲルのポリマー支柱を指示し、(b)青色=Hoechstであり、(c)緑色=ファロイジンであり、(d)赤色=Mitotrackerである。(ii)中央の画像は、ハイドロゲルシステムのマイクロ構造内の個々の細孔を内張りするASCの蛍光画像である。此処で、(a)青色=Hoechstであり、(b)緑色=小麦胚芽アグルチニンであり、(c)赤色=Mitotrackerである。並びに(iii)右の画像は、当初に播種されたハイドロゲル(ハイドロゲル#1)から新たに取り付けられたハイドロゲル(ハイドロゲル#2)内に遊走するASCの共焦点顕微鏡法zスタック画像である。此れに於いて、大きい白色の矢印はASC遊走の方向性を指示し、白色の点線は2つの取り付けられたハイドロゲルの接合部を指示する。
図7C図7Cは、単一の細孔チャンネル内の3Dのzスタック画像を図示する3つの画像を例解して、(中央の画像)ASCに依って形成された3Dネットワーク及び(右の画像)細胞から突き出る細胞突起を強調し、左の画像は染色されたハイドロゲル全体の低倍率画像である。此処で、全ての画像は其れ等のAXR共焦点イメージングシステムに依って株式会社ニコンに依って取得された。此れ等に於いて、青色=Hoechstであり、緑色=ファロイジンであり、ピンク色=Mitotrackerである。
図8A】乃至
図8B図8A~8Bは、3Dハイドロゲルシステム又は従来の2D培養に於ける継代1(P1)で播種されたASCの結果を例解する。此れに於いて、ASCは連続的に継代培養され、2D培養ではP2、P6、及びP10に於いて評価され、3DハイドロゲルシステムのASCは継代相当時点に於ける其れ等の夫々の2Dカウンターパートと比較された。図8Aは、各夫々の時点(P2、P6、及びP10)に於いて、CD73(左)、CD90(中央)、又はCD105(右)の何れかについて染色された2D(最も左の列)及び3D(最も右の列)培養されたASCの代表的画像が図示されているという事を例解する。CDマーカー染色は画像中で緑色で示されている。サンプルはHoechst(青色)及びファロイジン(示されていない)に依って対比染色された。図8Bは、行われたイメージングデータの定量及び陽性細胞の合計のパーセンテージを例解し、各マーカーについて箱ひげ図に依って示されている。此れに於いて、各個々の点は、2D(黒色の円)又は3D(青緑色の菱形)培養に於けるASCの単一画像の定量を指示する。20×対物レンズを用いた。サンプルは四反復で分析された(n=4)。スケールバー=100μmである。エラーバーは平均の標準誤差であり、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001である。
図9A】乃至
図9N図9A~9Nは、従来の2D培養システムと比較して、経時的な3Dハイドロゲルに於ける老化の縮減された誘導を例解する。此れに於いては、ASCが継代1(P1)に於いて3Dハイドロゲルシステム又は従来の2D培養に播種され、ASCは2D培養では連続的に継代培養され、P2、P6、及びP10で評価された。3DハイドロゲルシステムのASCは、継代相当時点に依って、其れ等の夫々の2Dカウンターパートと比較された。連続的な細胞の成長の為の充分な表面積を提供する為に、3つの追加のハイドロゲルが2週マークに於いて各個々のハイドロゲルに追加され、培養期間の残りは放置された。図9Aは、各夫々の時点(P2、P6、及びP10)に於いて、β-ガラクトシダーゼ(緑色)について染色された2D(上側の行)及び3D(下側の行)培養されたASCの代表的画像が図示されているという事を例解する。サンプルはHoechst(青色)及びファロイジン(示されていない)に依って対比染色された。図9Bは、行われたイメージングデータの定量及び陽性細胞の合計のパーセンテージを例解し、各マーカーについて箱ひげ図に依って示されている。各個々の点は、2D(黒色の円)又は3D(青緑色の菱形)に於けるASCの単一画像の定量を指示する。20×対物レンズを用いた。サンプルは四反復で分析された(n=4)。スケールバー=100μmである。エラーバーは平均の標準誤差であり、***p<0.001、****p<0.0001である。
図10A】乃至
図10D図10A~10Dは、各夫々の時点からの2D及び3Dからの脂肪に由来する間葉系幹/間質細胞馴化培地(ASC-CM)に於ける創傷治癒能力の保持を例解する。此れはケラチノサイトを処置する為に用いられ、其れから、此れ等は其れ等の遊走、代謝、及び増殖活性の変化について評価された。図10A及び10Bはスクラッチアッセイに依って評価された遊走活性を例解する。此れに於いて、図10Aは、取得された全ウェル画像走査を例解し、創傷画像の代表的画像が提供される。此れに於いて、白色の実線は元々の創傷境界線を示し、黒色の実線は残りの創傷部位の輪郭である。図10Bは、22時間後の平均創傷面積が決定され、三反復で行われたという事を例解する。図10Cは代謝活性を例解する。此れはPrestoBlueに依って定量され、相対的な蛍光単位の平均値として表示されている。図10Dは増殖活性を例解する。此れはPicoGreenに依って定量され、平均細胞数が決定された。2DのASC-CMに依って処置されたケラチノサイトは黒色のバーで示されている。3DのASC-CMに依って処置されたケラチノサイトは青緑色のバーで示されている。スケールバー=500μmである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001である。エラーバーは平均の標準誤差である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、此処で、以下添付の図面を参照してより詳しく記載される。此れ等に於いては、本発明の全てではなく幾つかの実施形態が示される。実際、本発明は多くの異なる形態で実施され得、本明細書で示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。寧ろ、此れ等の実施形態は、本開示が該当する法的要件を満たす様に提供される。本明細書及び添付の請求項に於いて用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈が明瞭に別様に述べていない限り複数の指示対象を包含する。
【0014】
本開示の発明は一般的にインターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)に関し、此れ等は互いと噛み合わせられて種々の細胞及び/又は組織の連続的な3D成長を提供し得る。ハイドロゲルは不溶性のポリマーマトリックスであり、此れ等は、最高で96質量%の水分、例えば最高で40、50、60、70、80、90、及び95質量%の水分を持つ様に工作され得る)。種々の異なるポリマーが個々に又は組み合わせて用いられて、ユニークなハイドロゲルを作り出し得る。光、温度シフト、又は化学反応に依るポリマーの架橋に依って、ハイドロゲルは、異なる機械特性、拡散勾配、浸透圧、化学的配合、並びに構造、例えば様々な形状及びサイズの細孔及びファイバーを示す様に調整され得る。ハイドロゲルは分解性又は非分解性でもあり得る。ハイドロゲルは其れ等の能力が多用途的であり、異なる用途、例えば、患者の視力を矯正する為の光学部品を提供する為のソフトコンタクトレンズに用いられる。ハイドロゲルは創傷治癒用途に於いてドレッシングとして用いられており、バイオインクとしてライフサイエンス用途にも用いられて、マイクロ流体実験の為のユニークな構造的な足場を作り出しているか、又は細胞が培養されるべき基質を提供している。
【0015】
本発明の或る種の実施形態に従うIPHBは、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を介して、一緒に接合され得るか又は一緒に噛み合わせられ得る。例えば、第1のIPHBの少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素内に受けられる様に構成される。其れ等の3Dマクロ構造を介するIPHBの接合に加えて、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバ(例えばボイド空間)のネットワークのマイクロ構造。大部分のハイドロゲルは固体の材料である。然し乍ら、ボイド空間及びマイクロチャンネルをハイドロゲルに導入する事に依って、液体、気体、及び細胞の遊走が、連続的な基質を形成する為に一緒にハイドロゲルを拡張する目的で導かれ得る。本発明の或る種の実施形態に従う此の特徴は、特に有益であり得る。何故なら、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバ(例えばボイド空間)のネットワークのマイクロ構造は、第2の培地が用いられてIPHB(例えばハイドロゲル)を一緒に噛み合わせ、細胞及び/又は組織の成長の為のより大きい又は拡張された材料を作り出す事を可能にするからである。
【0016】
ハイドロゲルは、何れかの合成ポリマー、生体ポリマー、組織構成要素(ヒト、動物、植物、若しくは其れ等の組み合わせに由来する)、又は其れ等の組み合わせを、水の存在下に於いて、フリーラジカルに依って媒介される反応(例えば、光反応、化学反応)又は温度変化の結果としての反応を用いて架橋する事に依って形成され得る。
【0017】
本発明の或る種の実施形態に従うIPHB(例えばハイドロゲル)は、種々の用途、例えば、細胞培養、細菌培養、酵母培養、生物製剤、エクソソーム、細胞外ベシクル、成長因子、モノクローナル抗体、ペプチド、蛋白質、ウイルス粒子、オリゴヌクレオチド、オルガネラの生産又は成長、オルガノイド形成、植物成長、薬物送達、組織形成、エクスビボモデリング、電気伝導、創傷治癒、細胞リプログラミング、濾過、光学部品、マイクロ流体力学、マイクロチャンネルのカスタムネットワーク、カスタムの足場アーキテクチャ構築、カスタムの細胞外マトリックス由来の足場、溶解性のハイドロゲル、カスタム組織形成にとって好適であり得、患者細胞、カスタム構成、モジュール式、及び微小環境操作を許容する。
【0018】
本発明の或る種の実施形態に従うと、IPHBは、細胞が、2Dプラスチック細胞培養容器に於ける培養と比較してより自然状態の生理様の環境に於いて成長する事を可能にする。例えば、IPHBは、カスタム可能且つモジュール式ではないプラスチック細胞培養容器及び他のテクノロジーとは異なり、特定の細胞が生起及び成長する元々の組織環境に擬態する様に調整又は構成され得る。加えて、本発明の或る種の実施形態は、似ている又は似ていない複数のIPHB(例えばハイドロゲル)基質の組み合わせが、細胞生産及び/又はバイオロジクス生産の為の拡張された連続的なハイドロゲル基質を形成する為に接合される事を可能にする。例えば、他の細胞培養容器又はテクノロジーとは異なり、似ている又は似ていないハイドロゲル(例えばIPHB)が一緒に接合されて、細胞が成長する為のユニークな且つカスタムの微小環境を作り出し得る。其の上、IPHBは、
IPHBのマイクロチャンネルのネットワーク内に於いて壊死性コアを発生する事無しにスフェロイド及びオルガノイドの
形成を可能にし得る。例えば、本発明の或る種の実施形態に従うIPHBは、スフェロイド及びオルガノイドが解け、管、円柱、及び他の洗練された構造を形成する事を可能にし、此処で、栄養素及び気体がIPHB(例えばハイドロゲル)内の細胞迄一様に拡散し得る。有益には、例えば、細胞を大量生産すると主張する他のテクノロジーとは異なり、IPHBは、健康な細胞の成長の為の一様な栄養素及び気体の交換を可能にし得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、IPHBは幅広い種々の異なる細胞型に適する様に改変され得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、IPHBは、細胞が細胞外マトリックスを分泌し、細胞の成長、遊走、生存性、及び機能を促進する自然の微小環境を作り出す事を可能にする。尚、更に、IPHBは、有益には、細胞を継代培養する必要性を排除する。其の上、IPHBの使用は用いる事が容易である。何故なら、其れ等は予め形成されたフォーマットで提供され得、用いる為に温度、pH、又は化学物質暴露の洗練された変化を要求しないからである。IPHBは、例えば、ユーザが次の1つ以上を達成する事を可能にし得る:カスタムの細胞培養を成長させる、複数の細胞型を平行して又は順に成長させる、細胞培養を組み合わせて複雑な組織を作り出す、細胞の生産を一度も止める事無しに細胞を大量生産する、同じ基質を用いて、ベンチトップから治験迄ずっと、及び産業生産の為に細胞を生産する、並びに現行のテクノロジーよりも少ない培地及び少数の消耗品を用いる、細胞の生産に於いて人間のタッチポイントを縮減又は排除する事に依ってヒューマンエラー及びコンタミネーションのリスクを縮減する。本発明の或る種の実施形態に従うと、IPHBは、上で参照された用途の何れかの為のモジュール式プラットフォームを提供する。
【0019】
本発明に従う或る種の実施形態は、連続的なポリマーマトリックス材料に依って画定された三次元(3D)マクロ構造と、連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークとを含むインターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)を提供する。3Dマクロ構造は、上面と、底面と、上面から底面まで延在する少なくとも1つの側面エッジ部に依って画定される厚さとを含み得る。此れに於いて、3Dマクロ構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を包含する。本発明の或る種の実施形態に従うと、第1のIPHBの少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素内に受けられる様に構成される。
【0020】
図1は、例えば、本発明の或る種の実施形態に従って、2つの別個のIPHB 1を例解する。此れ等のIPHBの其々は、上面12、底面14、及び少なくとも1つの側面エッジ部16を包含する。図1に示される具体的なIPHB 1は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素50及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素60を包含する。図2は、本発明の或る種の実施形態に従って、3つの噛み合ったIPHB 1を例解する。図2に示されるIPHB 1は、其々、第1の噛み合わせオス構成要素51、第2の噛み合わせオス構成要素52、第1の噛み合わせメス構成要素61、第2の噛み合わせメス構成要素62を包含する。
【0021】
図3は、本発明の或る種の実施形態に従って、IPHB 1の上面図及び側面図を図示し、連続的なポリマーマトリックス材料10、並びにIPHBの表面に於いて露出する連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク30を例解する。図3に依って例解される通り、播種されたIPHBは、細胞33がマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク30中に於いて三次元の様式で成長及び遊走する事を可能にし得る。
【0022】
本発明の或る種の実施形態に従うと、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、少なくとも1つの側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素を包含する。例えば、少なくとも1つの側面エッジ部は第1の側面エッジ部及び第2の側面エッジ部を包含し得、此れに於いて、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、第1の側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素と、第2の側面エッジ部から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素とを包含する。側面エッジ部から外向きに延在する噛み合わせオス構成要素は、例えば、他のIPHBの対応する噛み合わせメス構成要素と噛み合うか又は接合する様に構成されて、拡張する連続的な3D足場形成システムを形成し、噛み合った又は接合したIPHBはx-y平面に於いて外向きに拡張する。本発明の或る種の実施形態に従うと、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、上面から外向きに延在する第3の噛み合わせオス構成要素をも包含し得る。此の点については、上面から外向きに延在する噛み合わせオス構成要素は、例えば、他のIPHBの底面に在る対応する噛み合わせメス構成要素と噛み合うか又は接合する様に構成されて、拡張する連続的な3D足場形成システムを形成し、噛み合った又は接合したIPHBはx-y平面に対して垂直のz方向に拡張する。本発明の或る種の実施形態に従うと、例えば、複数のIPHBが、x-y平面に於いて一緒に噛み合わせられ又は接合され、且つz方向に於いて其れ等同士で積み重ねられ得る。上記の通り、少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素は、3Dマクロ構造の内側部分の方へ少なくとも1つの側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素を包含し得る。例えば、少なくとも1つの側面エッジ部が第3の側面エッジ部及び第4の側面エッジ部を包含し得、此れに於いて、少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、3Dマクロ構造の内側部分の方へ第3の側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素と、3Dマクロ構造の内側部分の方へ第4の側面エッジ部から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素とを包含する。斯かる例示的実施形態に於いて、第1の側面エッジ部及び第3の側面エッジ部は、対向する側面エッジ部の第1のペアを画定し得、第2の側面エッジ部及び第4の側面エッジ部は、対向する側面エッジ部の第2のペアを画定し得る。本発明の或る種の実施形態に従い、且つ上記の通り、少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素は、3Dマクロ構造の内側部分の方へ底面から内向きに延在する第3の噛み合わせメス構成要素を包含し得る。此の点については、複数のIPHBが、x-y平面に於いて噛み合わせられ又は一緒に接合され、且つz方向に於いて其れ等同士で積み重ねられ得る。
【0023】
本発明の或る種の実施形態に従うと、IPHBの噛み合わせ特徴は、成長又は種々の細胞及び/又は組織の為の連続的な3D足場のカスタムの形成を可能にし、此れに於いて、連続的な3D足場に於いて播種及び/又は成長しようとする具体的な細胞の数は限定されない。異なるIPHBの相対的な配置及び噛み合わせに於ける斯かるフレキシビリティは、複数の細胞型のカスタムの成長を可能にし、此れ等は異なる型の細胞間の複雑な境界面を形成し得る。例えば、連続的な3D足場(例えば、複数の噛み合ったIPHB中に延在する連続的なネットワークのマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバ)を画定する複数の噛み合ったIPHBは、同時に成長しようとする1~20個の異なる細胞及び/又は組織型、例えば同時に成長しようとする次の何れか:少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10個の異なる細胞及び/若しくは組織型、並びに/又は同時に成長しようとする次の何れか:多くとも約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、及び10個の異なる細胞及び/若しくは組織型を包含し得る。
【0024】
図4は、例えば、本発明の或る種の実施形態に従って、上面12に在る噛み合わせオス構成要素53とIPHBの底面14の中に突き出る噛み合わせメス構成要素63とを包含するIPHB 1を例解する。此の点については、上面12に在る噛み合わせオス構成要素53及びIPHBの底面14の中に突き出る噛み合わせメス構成要素63は、本明細書に記載される通り、別個のIPHBと係合し噛み合う様に構成され得る。
【0025】
本発明の或る種の実施形態に従うと、3Dマクロ構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、立方体、四角柱、又は三角柱を画定し得る。本発明の或る種の実施形態に従う3Dマクロ構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、3~12つの側面エッジ部、例えば少なくとも約3、4、5、6、7、及び8つの側面エッジ部、並びに/又は次の何れか:多くとも約12、11、10、9、及び8つの側面エッジ部を有する多角柱を画定する。本発明の或る種の実施形態に従うと、各側面は、噛み合わせオス構成要素及び/又は噛み合わせメス構成要素の何れかを包含し得る。代替的には、側面エッジ部の幾つかは噛み合わせオス構成要素及び噛み合わせメス構成要素を欠き得る。
【0026】
本発明の或る種の実施形態に従うと、少なくとも1つの側面エッジ部は、第1の側面エッジ部と、第2の側面エッジ部と、第1の側面エッジ部及び第2の側面エッジ部の間に且つ其れ等に隣接して在る弓形の側面エッジ部とを包含する。例えば、第1の側面エッジ部は、第1の側面エッジ部から外向きに延在する少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を包含し得、第2の側面エッジ部は、3Dマクロ構造の内側部分の方へ第2の側面エッジ部から内向きに延在する少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を包含し得る。此の点については、各IPHBはパイ様の形状を画定し得、此れが、一緒に組み立てられるか又は噛み合わせられる時に円(例えば、各IPHBは厚さを有する為円柱)を形成する。IPHBの斯かる構成は、円形の培養ウェルでの使用にとって望ましい場合がある。加えて又は代替的には、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、上面から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素を包含し、及び/又は、少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素は、3Dマクロ構造の内側部分の方へ底面から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素を包含する。此の点については、複数のIPHBがz方向に互いに積み重ねられて、より厚い円柱又は半円柱を形成し得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、3Dマクロ構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、半円柱、例えば円柱の1/8~円柱の1/2、例えば円柱の1/8、1/4、1/3、又は1/2を画定し得る。
【0027】
図5は、本発明の或る種の実施形態に従って、例えば、上面112に在る噛み合わせオス構成要素153とIPHBの底面114の中に突き出る噛み合わせメス構成要素163とを包含する半円柱形状のIPHB 100を例解する。図5に依って例解される半円柱形状のIPHB 100は、第2の側面エッジ部118から延在する第1の噛み合わせオス構成要素150と、第2の側面エッジ部116の中に突き出る第1の噛み合わせメス構成要素160とを包含する。図5に示されるIPHB 100の第1の側面エッジ部116及び第2の側面エッジ部118は、IPHBの一端に於いて弓形の側面エッジ部119に依って接続される。此の点については、本明細書に記載される通り、上面112に在る噛み合わせオス構成要素153、及びIPHBの底面114の中に突き出る噛み合わせメス構成要素163は、別個のIPHBと係合し噛み合う様に構成され得る。
【0028】
本発明の或る種の実施形態に従うと、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素は、其れが其処から延在する表面(例えば、側面エッジ部、上面、又は底面)の巨視的な表面積の約5%~約50%を占め得るか又はオーバーラップし得る。例えば、次の何れか:約10、15、20、及び25%、並びに/又は次の何れか:多くとも約50、45、40、35、30、及び25%に於いてである。加えて又は代替的には、少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素は、其れが其処に進入した表面(例えば、側面エッジ部、上面、又は底面)の巨視的な表面積の約5%~約50%を占め得るか又はオーバーラップし得る。例えば、次の何れか:約10、15、20、及び25%、並びに/又は次の何れか:多くとも約50、45、40、35、30、及び25%に於いてである。
【0029】
本発明の或る種の実施形態に従うと、底面は上面に対して相対的に粗いテクスチャを有し得る。例えば、上面は、テクスチャ構造を有し得る底面に対して相対的に比較的平滑であり得る。底面のテクスチャ構造は、例えば、IPHBからの培養培地又は洗浄媒体の排出を促す為の構造的なスペーサーを提供する事に依って、IPHBの全体の培養培地又は洗浄媒体の流れを促し得る。底面のテクスチャ表面は、例えば、短いスペーサーとして機能する複数の軽度の隆起部、例えば個々の瘤又は畝を包含し得る。然し乍ら、複数の軽度の隆起部は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素と比較してサイズが有意に小さくてもよい。例えば、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素のサイズの多くとも約1/10である。此の点については、軽度の隆起部は、一般的には、本発明の或る種の実施形態に従う何れかの噛み合わせ機能性を提供しなくてもよい。
【0030】
本発明の或る種の実施形態に従うと、IPHBの上面は、約0.25cm~約25cmの巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cmを含み得る。加えて又は代替的には、底面は、約0.25cm~約25cmの巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cmを含み得る。加えて又は代替的には、3Dマクロ構造の厚さは、約0.5cm~約3cm、例えば次の何れか:少なくとも約0.5、0.75、1、1.25、及び1.5cm、並びに/又は次の何れか:多くとも約3、2.5、2、及び1.5cmであり得る。
【0031】
上記の通り、少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素の其々は、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成され得る。此の点については、複数のIPHBが、x-y平面及びz方向単独に沿って所望の通り3D足場を拡張する様に、個々に順の追加で一緒に接合され得るか又は噛み合わせられ得る。例えば、複数の相互に接続されたIPHBに於ける細胞の成長は、IPHBの第1の層の上部に追加のIPHBの層を積み重ねる事に依ってz方向に続けられ得る。
【0032】
本発明の或る種の実施形態に従うと、連続的なポリマーマトリックス材料は非分解性であり得る。此の点については、IPHBに依って生産された細胞及び/又は組織は、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの内側のネットワークから、更なる分析、精製、又は発生の為に流し出される事を必要とし得る。加えて又は代替的には、連続的なポリマーマトリックス材料は選択可能に分解性であり得る。例えば、ハイドロゲル製剤は、例えば酵素感受性の配列の挿入又は自然状態のマトリックスに由来する化合物の利用に依って、生分解性にさせられ得る。例えば、連続的なポリマーマトリックス材料は、生物に由来する1つ以上のバイオポリマー等の1つ以上の分解性のポリマーを含む選択可能に分解性のハイドロゲル材料を含み得る。生物に由来する1つ以上のバイオポリマーは、例えばポリヌクレオチド、多糖、ポリペプチド、又は其れ等の何れかの組み合わせを含み得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、1つ以上のバイオポリマーは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、アルギン酸、グリコサミノグリカン、オリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)、炭水化物、脂質、セルロース、アルギン酸、及び蛋白質を含み得る。此れ等は、バイオポリマー鎖を壊す為の、例えば蛋白質特異的な酵素、イオン性溶媒、中性界面活性剤、弱酸、及び過酸化物の使用に依って穏やかに分解され得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、1つ以上のバイオポリマーは、エステル、例えばヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、及びカプロラクトン、酸無水物、例えばアジピン酸及びセバシン酸、糖、例えばセルロース、アルギン酸、ペクチン、デキストリン、キトサン、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、及びヘパリン、蛋白質、ヌクレオチド(DNA、RNA)、ペプチド、例えばコラーゲン、ゼラチン、絹、及びフィブリン、ウレタン、ホスフェート、カーボネート、並びに塩化ビニルを含む分解性のモノマーを含み得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、選択可能に分解性のハイドロゲル材料は、更に、合成ポリマー、例えばポリエステル、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリホスフェート、又は其れ等の組み合わせを含み得る。本発明の或る種の実施形態に従う連続的なポリマーマトリックス材料は、3Dの架橋されたポリマーネットワーク、架橋されていないポリマーネットワーク、又は其れ等の組み合わせを含み得る。
【0033】
連続的なポリマーマトリックス材料は、上記の通り、膨潤性ハイドロゲル材料を含み得る。膨潤性ハイドロゲル材料は、少なくとも、アクリレート又はメタクリレート官能基を包含する第1のモノマーと、少なくとも2つのフリーラジカル重合可能な官能基を包含する第2のモノマー又はオリゴマーとのラジカルに依って媒介される反応産物を含み得る。例えば、少なくとも2つのフリーラジカル重合可能な官能基は、互いに独立して、アクリレート又はメタクリレート基、アリル基、アルキニル、ビニルニトリル、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、スチレン基、マレイン酸基、フマル酸基、又はノルボルネン基を含み得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、第1のモノマー又は第2のモノマーの少なくとも1つは、モノマーの主鎖に組み込まれた及び/又はモノマーに側鎖若しくは側鎖の構成要素としてグラフトされた、以下を含み得る:ポリエチレングリコール官能性(例えば、-O(CO)H(此処で、nは1~100の値を有する)、ポリプロピレングリコール官能性(例えば、-O(CO)H(此処で、nは1~100の値を有する)、及び/又はグリセロール官能性。あくまで例として、第1のモノマー又は第2のモノマーの少なくとも1つは、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(MPEGA)、N-メチルアセトアミド(NMA)、又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を含む。本発明の或る種の実施形態に従うと、ハイドロゲル材料に利用され得る非分解性のモノマーの非限定的な例は、ポリオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)、スチレン、ナイロン(例えば、アミド)、及び/又はアクリルを包含し得る。本発明の或る種の実施形態に従うと、ハイドロゲル材料に利用され得る分解性モノマーの限定しない例は、エステル(例えば、ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、カプロラクトン)、酸無水物(例えば、アジピン酸、セバシン酸)、糖(例えば、セルロース、アルギン酸、ペクチン、デキストリン、キトサン、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン)、蛋白質、ヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)、ペプチド(例えば、コラーゲン、ゼラチン、絹、フィブリン)、ウレタン、ホスフェート、カーボネート、並びに塩化ビニルを包含し得る。加えて又は代替的には、架橋剤を含む第3のモノマーが連続的なポリマーマトリックス材料に組み込まれ得る。加えて又は代替的には、膨潤性ハイドロゲル材料は、1つ以上の天然ポリマー、例えば植物に由来するポリマー(例えばセルロースポリマー)及び動物に由来するポリマーを含み得る。
【0034】
本発明の或る種の実施形態に従うと、連続的なポリマーマトリックス材料は、対象の自然組織の約20%以内の、例えば約15%、10%、8%、5%、3%、又は1%以内の1つ以上の物理特性を包含する事に依って対象の自然組織に擬態し得る。此処で、対象の1つ以上の物理特性は柔軟性及び張力を包含する。例えば、1つ以上の物理特性は、弾性及び/又は圧縮モジュラス、1Hzの貯蔵モジュラス、1Hzのモジュラス損失、並びに/或いは蛋白質/化学物質コーティング(例えば、コラーゲンI、II、III、IV型、ラミニンI、II、ヒアルロナン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン等)を含み得る。あくまで例として、自然状態の脂肪組織は、50~100kPaの1Hzの貯蔵モジュラス、10~20kPaの1Hzのモジュラス損失、並びに3kPaの弾性及び/又は圧縮モジュラスを有する。此の点については、例えば、IPHBは、約110kPaの1Hzの貯蔵モジュラス、約22kPaの1Hzのモジュラス損失、並びに約3kPaの弾性及び/又は圧縮モジュラスを有し得る。例えば、具体的な化学的構成成分及び/又は架橋度は、対象の自然組織に関連する物に擬態又は反映する様に、齎される連続的なポリマーマトリックス材料の1つ以上の物理及び/又は機械特性を調整する様に変調させられ得る。加えて又は代替的には、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク並びに/或いはIPHBの外側の表面トポグラフィー/テクスチャが操作され得る。此れ等の表面の大部分は平滑であり得、溝、瘤、山、ディボット、及び他の表面の凹凸が導入されて、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの液体又は気体の流れを変調させ得る。斯かる表面の凹凸は、例えば、乱流を導入して、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク中の液体又は気体の流れを遅くする事を助け得る。あくまで例として、表面の凹凸は、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの平均直径と比較してサイズが有意に小さくてもよい。例えば、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの平均直径のサイズの多くとも約1/4~約1/10である。
【0035】
本発明の或る種の実施形態に従うと、連続的なポリマーマトリックス材料は、3D印刷又はデジタル光合成印刷等の付加製造技術に依って形成される。此の点については、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークは、例えば、対象の自然組織の形態を反映する様にマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの形状及び寸法を変える事に依って、対象の自然組織の形態に擬態する構造である。例えば、対象の自然組織の形態は当業者に依って容易く確かめられ得、此の形態は3D印刷又はデジタル光合成印刷工程に依って再現されて、対象の自然組織の形態に擬態するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを有するIPHBを形成し得る。
【0036】
本発明の或る種の実施形態に従うと、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの平均直径は、約100~約800ミクロン、例えば次の何れか:少なくとも約100、120、150、180、200、220、及び250ミクロン、並びに/又は次の何れか:多くとも約800、780、750、720、700、680、650、620、600、580、550、520、500、480、450、420、400、380、350、320、300、280、及び250ミクロンを含み得る。加えて又は代替的には、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークは、3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば次の何れか:3Dマクロ構造の少なくとも約40、50、60、及び70体積%から、並びに/又は次の何れか:3Dマクロ構造の多くとも約90、85、80、75、及び70体積%を含み得る。
【0037】
本発明の或る種の実施形態に従うと、マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークと連続的なポリマーマトリックス材料との間の境界面は、対象の初代細胞の接着を促進する為に選択されるコンパティビライザーのコーティングを含み得る。此のコーティングは、IPHBの形成の後に適用され得る。例として、コンパティビライザーを含むコーティングは生物学的コーティングを含み得る。例えば、コラーゲンI(例えば、ヒト間葉系幹細胞[脂肪、骨髄、臍帯から]、ヒト新生児皮膚線維芽細胞、ヒト成人皮膚線維芽細胞、ヒトケラチノサイト、ヒト筋細胞、ヒト骨芽細胞、ヒト骨細胞、ヒト軟骨細胞、ウシ筋細胞、ブタ肝細胞、ブタ軟骨細胞、ブタ骨細胞、ウマ筋肉由来幹細胞)、ラミニンI(例えば、ヒト人工多能性幹細胞、マウス後根神経節)、ヒアルロナン(例えば、ブタ肝細胞、ヒト成人皮膚線維芽細胞)、ゼラチン(例えば、ヒト間葉系幹細胞[脂肪、骨髄、臍帯から]、ヒト新生児皮膚線維芽細胞、ヒト成人皮膚線維芽細胞、ヒトケラチノサイト、ヒト筋細胞、ヒト骨芽細胞、ヒト骨細胞、ヒト軟骨細胞、ヒトT細胞(CD8+)、ヒトT細胞(CD4+)、ヒトマクロファージ、ウシ筋細胞、ブタ肝細胞、ブタ軟骨細胞、ブタ骨細胞、ウマ筋肉由来幹細胞)、フィブリン(例えば、ヒトケラチノサイト)、フィブロネクチン(例えば、ヒト間葉系幹細胞[脂肪、骨髄、臍帯から]、ヒト新生児皮膚線維芽細胞、ヒト成人皮膚線維芽細胞、ヒトケラチノサイト、ヒト骨芽細胞、ヒト骨細胞、ヒト軟骨細胞)、又は其れ等の何れかの組み合わせを包含する。
【0038】
別の態様に於いて、本発明は、本明細書に於いて記載及び開示される物等の複数のIPHBを含む足場形成システムを提供する。本発明の或る種の実施形態に従うと、例えば、複数のIPHBは、第1の噛み合わせオス構成要素を包含する第1のIPHBと第2の噛み合わせメス構成要素を包含する第2のIPHBとを包含し、此れに於いて、第2の噛み合わせメス構成要素は第1の噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される。本発明の或る種の実施形態に従うと、例えば、第1の噛み合わせオス構成要素は第2の噛み合わせメス構成要素に挿入され得、此れに於いて、第1のIPHB及び第2のIPHBは其々膨潤した状態で提供され、其れに依って、第1のIPHB及び第2のIPHBの噛み合わせを改善する。此の点については、膨潤した状態は、水又は培養培地等の液体の吸収性を原因として提供され得る。第1及び第2のIPHBは噛み合った状態で膨潤する為、嵌合した噛み合わせオス及び噛み合わせメス構成要素の間の摩擦力が増大して、IPHBを分離する為に要求される力を増大させる。
【0039】
本発明の或る種の実施形態に従うと、第1のIPHBは第1のマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを有し、第2のIPHBは第2のマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを有する。此れに於いては、第1のIPHB及び第2のIPHBが噛み合わせられ、集合的な連続的なマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを画定する時に、第1のマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの第1の部分が、第2のマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの第1の部分と少なくとも部分的にオーバーラップする。此の点については、上記の通り、IPHBの表面に於けるマイクロポーラスチャンネルの密度は十分に大きい。其の結果、夫々のIPHBの表面に於けるマイクロポーラスチャンネルの少なくとも部分の部分的なオーバーラップは、噛み合わせられ得る各IPHB中に延在する連続した集合的な連続的なマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの形成を可能にする。上記の通り、複数のIPHBは、其のx-y平面に沿って及び/又はz方向に沿って一緒に噛み合わせられ得る。
【0040】
本発明の或る種の実施形態に従うと、第1のIPHBは第1の初代細胞を播種され得、第2のIPHBは第2の初代細胞を播種され、此処で、第1の初代細胞は第2の初代細胞とは異なる。上記の通り、IPHBの其々は、異なる及び/若しくはユニークな初代細胞又は複数の初代細胞の組み合わせに依って播種され得る。代替的には、対象の所与の細胞の大量生産の為に、各IPHBは同じ初代細胞を播種され得る。
【0041】
あくまで例として、IPHBの1つ以上は播種され、次の何れかの細胞の成長を可能にし得る:(1)ヒト幹細胞、例えばヒトホウォートンゼリー細胞(MSC)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)、ヒト皮膚由来人工多能性幹細胞(iPSC)、ヒト血球由来人工多能性幹細胞(iPSC)、ヒトCD4+ T細胞、ヒトCD8 +T細胞、(2)初代哺乳類細胞、例えばHepG2細胞(肝臓癌細胞)、ヒト成人皮膚線維芽細胞(初代細胞)、ヒト新生児皮膚線維芽細胞(初代細胞)、ヒト成人ケラチノサイト(初代細胞)、マウス後根神経節(初代神経細胞)、ウシ筋細胞(初代細胞株)、初代ブタ肝細胞、ブタ軟骨細胞、ブタ骨細胞、ウマ筋肉由来幹細胞(初代MSC)、初代スネイル細胞、ヒトマクロファージ、(3)不死化哺乳類細胞株、例えばUB-OC2細胞(マウス蝸牛上皮)、ヒト筋芽細胞腫(筋肉腫)、PC3(前立腺癌)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、HEK293(ヒト胎児腎細胞)、SHSY5Y(神経細胞腫)、PANC-1(ヒト膵臓癌)、HeLa(子宮頚癌)、A549(肺癌)、A673(筋肉腫)、並びに(4)初代植物細胞、例えばローズマリー、タバコ、及びトマト。
【0042】
図6は、本発明の或る種の実施形態に従って、一緒に噛み合った時の第1のIPHB 1から第2のIPHB 2への細胞33の遊走を例解する。図6に例解される通り、第1のIPHB 1は細胞33を播種され、其れから、空の(例えば、細胞を欠く)第2のIPHB 2に接合され得る。一度一緒に接合されると、細胞33は、平衡に到達する迄、第1のIPHB 1から第2のIPHB 2内に遊走する。両方のIPHBに於いて平衡に到達した後に、細胞33は増殖し続けるであろう。
【0043】
別の態様に於いて、本発明は、連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを有する、IPHBを形成する方法を提供し、ポリマーメルトの形成と、連続的なポリマーマトリックス材料並びに連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを印刷、例えば3D印刷する事とを含む。此れに於いて、齎される連続的なポリマーマトリックス材料の1つ以上の物理特性は、対象の自然組織の物理特性に擬態する。本発明の或る種の実施形態に従うマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークは、対象の自然組織の形態に擬態する構造であり得る。
【実施例
【0044】
本開示を次の例に依って更に例解する。此れ等は決して限定していると解釈されるべきではない。詰まり、次の実施例に於いて記載される特定の特徴は単に例解的であり、限定はしていない。
【0045】
此の例では、脂肪に由来するMSC(ASC)等のMSC集団の拡大培養のアウトカムを改善する3Dハイドロゲルシステムを実証する。カスタム可能な3Dハイドロゲルシステムをバイオプリンティングし、製剤して、生体不活性な基質にした。此れは自然状態の脂肪組織の力学に緻密に擬態した。最終的には、MSC拡大培養及び生物製剤収集の為の調整のバイオリアクターの様に働く。ユニークな「パズルピース」マクロ構造デザインを有する3Dハイドロゲルシステムを構築した(例えば、複数IPHB)。此れは追加のハイドロゲル(例えば、1つのIPHB)の容易な追加を可能にする。加えて、ユニークな多孔性のマイクロアーキテクチャデザインは、質量輸送を可能にし、細胞の遊走及び増殖を促進し、マイクロチャンネル内のハイドロゲル間の細胞遊走に依って、細胞を継代培養する必要性を排除する。生体不活性な基質の当初の利用は、生物活性な基質を導入する事無しに、ASCの老化及び幹細胞様の表現型特性に対する3Dシステムの機械及び寸法特性の潜在的役割の検討及び観察を可能にした。より柔軟な3Dハイドロゲル基質は、従来の2D培養方法に対して相対的に、ASCにとってより自然な機械的な環境を提供し、老化していない幹細胞様のASC集団の保持を齎すであろうと思われた。其の上、ユニークなアーキテクチャデザインは、取り付けられたハイドロゲル(例えば、取り付けられたIPHB)間の細胞遊走に依ってASCの連続的な拡大培養を可能にし、其れ故に、ネガティブな2D継代培養手順に対する細胞の暴露及び其の後の後遺症状を排除するであろう。
【0046】
材料及び方法
細胞培養
ロンザ(Lonza)(バーゼル、スイス)から得られたヒトASC(ロット番号18TL212639、23歳女性、黒人)、ヒトケラチノサイト(KC;ロット番号18TL318559、62歳男性、白人)を此の研究に利用した。MSC-GM間葉系幹細胞成長培地BulletKit(商標)をロンザ(Lonza)(#PT-3001)から得て、ASCに用いた。MesenCult(商標)-ACFプラス培地キット(ステムセルテクノロジーズ(Stem Cell Technologies)、ブリティッシュコロンビア、カナダ;カタログ番号05445)を無血清培地として用いた。DermaLife Kケラチノサイト培地コンプリートキットをライフラインセルテクノロジーズ(Lifeline Cell Technologies)(メリーランド、米国;#LL-0007)から得て、KCに用いた。
【0047】
3D印刷されたハイドロゲル細胞培養システム
生体不活性な3Dハイドロゲルシステム(例えば、IPHB)は凡そ1×1×1cmであり、ユニークなマイクロアーキテクチャデザインを含有するポリエチレングリコール(PEG)に基づくシステムである。自然状態の脂肪軟部組織の力学に似通う様に作製され、3ヶ月間に亘って機械特性の有意な変化を実証しなかった。3Dハイドロゲルを培養の為にガラス6ウェル培養プレート上に置いた。フィブロネクチンは、其れ等の自然のフィブロネクチン分泌を原因として、ASCの為の普通に選択されるコーティング基質である。細胞はPEGに基づくポリマーに効率的には接着しない/取り付かないので、2D培養プラスチック/ガラス及び3Dハイドロゲルの両方を5μg/cmの濃度のフィブロネクチンでコーティングして、当初の細胞取り付けを増強した。2D及び3Dシステムの間の内在的な表面積対体積の違いを原因として、フィブロネクチンの濃度を表面積に対して標準化した。3Dハイドロゲルの凡その表面積をバイオプリンティングに用いられた3Dモデルから計算した。
【0048】
ASC及びKCの拡大培養
ASC及びKCをT-150フラスコに播種し、継代培養(継代)前に約80%コンフルエンス迄培養した。細胞の継代培養は、培養培地を取り除く事、ハンクス平衡塩溶液(HBSS、マサチューセッツ、米国;カルシウム不含、マグネシウム不含)に依って3回洗浄する事、及び0.05%トリプシン/EDTA(ロンザ(Lonza);カタログ番号CC-3232)と37℃で5分間インキュベーションする事に依って行った。トリプシンを血清に依って中和し、細胞を500×gで5分間遠心し、其れからペレット化し、新たな2D組織培養プラスチック容器への再播種の為に再懸濁した。継代1(P1)のASCを、2D培養プラスチック上に、又はバイオプリンティングされた3Dハイドロゲル(例えば、IPHB)システム上/内に、ハイドロゲルの表面への濃縮された細胞溶液の滴下に依って再播種した。此のプロセスを残りの細胞溶液で5回繰り返して、効率的な細胞播種を保証した。此の繰り返し播種プロセスは、細胞がハイドロゲルシステム内のマイクロポーラス構造中に分配する事を可能にした。追加のハイドロゲルの取り付け及び増大した表面積が此の研究では継代培養の必要性を排除したという事から、継代相当時点を利用して2D培養との同様の比較を可能にした。其れ故に、継代イベントはASCの2D培養では典型的には4~5日毎に行われたが、3D培養では行われなかった。P2のASCの4~5日の2D培養後に、細胞を継代培養し、2DではP3であると見做し、3DのASCはP3継代相当と見做した。細胞数を標準化する為に、培養の拡大培養は、既知の2D及び3D表面積、当初の細胞播種密度、並びに2.25日の平均の集団倍加時間(2Dに於いて実験的に決定された。データは示さない)に基づいてASCについて決定した。ASCをアッセイの為には5000個の細胞/cmの標準化された濃度で播種した。培地追加はASC拡大培養では150μl/cmに標準化して、2D及び3D培養の間の表面積対体積比の希釈上の違いを考慮した。
【0049】
ASC表現型キャラクタリゼーション
MSC幹細胞様表現型を、3つの主要なMSC表面マーカー(CD73/90/105)の免疫標識キャラクタリゼーションに依って、P1/2/6/10のASCについて評価した。ASCをT-150フラスコに於いて連続的に継代培養するか、又は3Dハイドロゲルシステム内で拡大培養する事を可能にした。各夫々の継代時点に於いて、細胞を2Dでは約5000個の細胞/cmの標準化された密度で96ウェルガラス培養プレート(セルビス(Cellvis)、カリフォルニア、米国;カタログ番号P96-1.5H-N)に2日間播種し、固定し、其れから、表面CDマーカーの免疫標識に依ってASC表現型について評価した。3D培養システムのASCでは、細胞をインサイチュで固定及び染色した。此の研究では、CD73/90/105の染色陽性及びCD34/45の染色陰性を用いて幹細胞様のMSC表現型を示した。4%パラホルムアルデヒドに依る固定後に、細胞をHBSSに依って3回洗浄し、ブロッキング緩衝液(HBSS中の1%ロバ血清)中に1時間置いた。ブロッキング後に、CD73(アブカム(Abcam)、マサチューセッツ、米国;カタログ番号133582;1:100)、CD90(アブカム(Abcam);カタログ番号181469;1:100)、CD105(アブカム(Abcam);カタログ番号231774;1:100)、CD34(アブカム(Abcam);カタログ番号81289;1:200)、又はCD45(アブカム(Abcam);カタログ番号40763;1:200)の一次抗体を追加し、細胞を4℃で一晩インキュベーションした。次の日に、細胞を3回洗浄し、二次抗体を1時間適用し、次に3回の追加の洗浄をした。細胞をHoechst 33342(インビトロジェン(Invitrogen)、マサチューセッツ、米国;カタログ番号H3570;1:1000)及びAlexa Fluor(登録商標)647ファロイジン(インビトロジェン(Invitrogen);カタログ番号A22287;1:1000)に依って対比染色した。4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI;EX-380/30、EM-450/50)、フルオレセインイソチオシアネート(EX-470/40、EM-525/50)、Texas Red(EX-560/40、EM-630/75)、及びCy5(EX-630/40、EM-700/75)(エコー(Echo)、カリフォルニア、米国)のフィルター、並びに20×対物レンズ(オリンパス株式会社、東京、日本;UPlanSApo、0.75NA)を用いて、免疫蛍光をRevolve顕微鏡に依って評価した。ASC幹細胞様の表現型定量を四反復で実施し(n=4)、画像を、生物学的反復当たり(2D=ウェル当たり、3D=ハイドロゲル当たり)、合計で10個のランダムな視野から取って、各サンプルについて最高で40個の合計の測定値を達成した。合計の核を計数し、合計の陽性細胞を評価した。ファロイジン対比染色を用いて、染色陽性の特定を助けた。P1でキャラクタリゼーションされたASCを比較の為のベースラインとして用いた。
【0050】
ASC老化のキャラクタリゼーション
上のASC表現型解析方法と同様に、ASC老化の評価を行った。其れ等を96ウェルガラス培養プレートに播種する各夫々のアッセイ時点迄、ASCをT-150培養フラスコで連続的に継代培養した。96ウェルプレート上のASCが、血清に基づく培地で2日間順化する事を可能にし、固定し、其れから、老化活性について、β-ガラクトシダーゼ活性の免疫蛍光標識に依って、CellEvent(商標)Senescence Green検出キット(インビトロジェン(Invitrogen);カタログ番号C10850)に依って、製造者の説明書に従って評価した。3DシステムのASCをP2/6/10継代相当時点に於いて同時に評価した。上の方法と同様に、細胞をHoechst及びファロイジンに依って対比染色した。老化キャラクタリゼーションは四反復で実施し(n=4)、画像を生物学的反復当たり合計で10個のランダムな視野から取って、サンプル当たり最高で40個の合計の測定値を達成した。合計の核を計数し、合計の老化した陽性及び陰性細胞を決定した。
【0051】
ASC馴化培地の単離
ASC拡大培養の為の培地追加を標準化して、2D及び3D培養の間の表面積対体積比の希釈上の違いを考慮した。培地は2日毎に交換した。ASC馴化培地(ASC-CM)収集の為には、MSC-GMを取り除き、細胞をHBSSに依って3回洗浄し、其れから、収集前に無血清MSC培地で48時間培養した(2D及び3D培養両方で)。其れから、収集されたASC-CMを1500×gで10分間遠心して、細胞デブリを排除し、0.22μmフィルターでステリフリップ濾過し、使用迄-80℃で保存した。
【0052】
ASC-CM処置後のKC活性
ASC-CMを上のプロトコールに従って各夫々の時点に於いて収集した。其れから、ASC-CMをKC上に最高で24時間置いて、代謝、増殖、又は遊走活性を調節する其の能力を評価して、ASC-CMの創傷治癒性能を評価した。此れ等の研究の為には、ASC-CMをKC成長培地と1:1比で追加した。実験アッセイを製造者の説明書に従って行った。PrestoBlue蛍光を560/590nmで得(n=4)、24時間のASC-CM処置後の代謝活性の評価に用いた。細胞数の可能性としての違いをコントロールし、細胞当たりの凡その代謝活性を得る為に、HoechstをPrestoBlueサンプルに追加し、値をPrestoBlue/Hoechstシグナルの平均の相対的蛍光単位値として表示した。PicoGreen蛍光を485/535nmで得て(n=4)、24時間のASC-CM培養後のKC増殖のサロゲート測定として細胞数の評価に用いた。96ウェルプレート当たりの合計の細胞数を、7.7pg/細胞の平均DNA含量に基づいて計算した。KCスクラッチアッセイを行って、KC遊走のサロゲート測定として創傷サイズの変化を評価した(n=3)。遊走画像はImageXpressマイクロXLSイメージングシステム(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)、カリフォルニア、米国)を用いて撮影した。創傷全体を各創傷三反復についてイメージングし、創傷三反復当たり3つの異なる創傷領域を用いて創傷面積を計算した。3つの創傷面積値を各群について三反復当たり且つ時点当たり平均化し、パーセンテージの回復創傷面積として表示した(n=3)。
【0053】
統計分析
全てのデータは平均の標準誤差の平均として報告する。老化及びCDマーカーの免疫標識に依るASC集団のキャラクタリゼーション分析は、二元配置分散分析に依って評価した。KC代謝、増殖、及び遊走活性は二元配置分散分析に依って評価した。データはシャピロ-ウィルク及びコルモゴロフ-スミルノフ検定に依って正規性を検定し、QQプロットでプロットした。GraphPad-Prism 9.0.2ソフトウェア(グラフパッド(GraphPad)、カリフォルニア、米国)を分析に用い、p値<0.05を有意と見做した。
【0054】
結果
ユニークな3Dハイドロゲル(IPHB)デザインは継代培養を排除する
約1cmの3D印刷されたハイドロゲルシステムはユニークな「パズルピース」マクロ構造を含有し、此れは追加のハイドロゲルの連続的な追加を可能にし(図7A)、一次的な播種されたハイドロゲルから新たに取り付けられたハイドロゲル内への細胞の遊走を促進する(図7A及びB)。ASCを単一のハイドロゲルシステム内/上で2週間培養し、ハイドロゲル中に遊走する事を可能にした。其の後に、追加のハイドロゲルを5日間追加し、細胞が新たに取り付けられたハイドロゲルに遊走する事を可能にした。其れから、細胞を染色し、2つのハイドロゲルの間の遊走及び増殖について評価した(図7B)。ASCは内部構造内の表層の表面を越えて多孔性のチャンネルを内張りする事が見られており、ハイドロゲル細孔内でネットワークを形成する事が見られ得る(図7B及びC)。細胞は、取り付けられたハイドロゲルの表面上及びマイクロチャンネル内の両方を遊走する事ができており、遊走を助ける為に細胞から突き出る多数の細胞突起及び接着斑がある事が見られ得る(図7C)。3DのASCの相互作用及びハイドロゲルマイクロアーキテクチャ内の3Dネットワークの形成が容易く同定された。顕著には、ASCは、ハイドロゲルの表面を内張りし、細孔チャンネルの1つの中に遊走する事が見られ得た。最終的には、3つの次元に於いて細孔内の他の細胞集団と相互作用する。
【0055】
経時的な3Dハイドロゲルに於ける幹細胞様のMSC表面マーカーの保持
経時的な幹細胞様のASC集団の評価を、CDマーカーCD73/90/105の免疫標識定量に依って行った(図8A)。幹細胞様のCDマーカーの存在率は2D及び3Dシステム両方で経時的に低下した。然し乍ら、2D培養は、3Dシステムに対して相対的に、有意に増強された此れ等のマーカーの損失率を有した(図8B)。同様に、2D及び3Dシステム両方で経時的に染色陽性細胞の強度の明らかな減少があった。3Dシステムに於ける培養は、CD105の当初のP2比較を例外として、全ての3つの陽性幹細胞様マーカーについて全ての継代時点で有意な保持を齎した。P6及びP10に於ける3DのASCをP2に於ける2DのASCに対して比較する時には、2D培養に於ける幹細胞様表現型の有意な損失が明瞭に見られ得る(図8B)。3Dでは5又は9継代相当(即ち、夫々P6又はP10について3Dシステムでは3又は6週)、2Dでは僅か1継代イベント(P1に於いて播種された)の過程に於いて、ASCは複数のCDマーカーについて類似の発現パターンを有した。P2に於ける2DのCD105に対して相対的に、P10に於けるCD105の3D発現の間の有意な違いのみがあった(図8B)。両方のシステムは、CD34及びCD45マーカーの染色陽性細胞の低集団(<5%)を維持した。
【0056】
経時的な3Dハイドロゲルに於ける老化の誘導遅延
経時的な老化したASC集団の存在率を、細胞老化の一般的に利用されるサロゲート測定のβ-ガラクトシダーゼ活性の蛍光標識に依って評価した(図9A)。β-ガラクトシダーゼ活性のベースライン発現はP2に於いては2D及び3DのASCの両方で約5%であった。2Dに於ける複数の継代イベントの過程に於いて、老化は2Dでは有意に増大し、夫々P6及びP10に於いて11.7及び22.5%の老化した細胞であった(図9B)。反対に、3Dシステムでは、此の研究の経過(6週)では、ASC集団に於ける経時的な老化の存在率の有意な変化はなかった(図9B)。同様に、3Dシステムに対して、2Dシステムの細胞形態の顕著な違いがあった。より具体的には、2DのASCはより平坦化されている様に見え、より不均一な形態的分布と、培養中の経時的な細胞サイズの明らかな増大とを有するが、3DのASCはより均一な形態を維持し、細胞のサイズ又は形態の観察可能な変化はなかった。
【0057】
ASC馴化培地の創傷治癒能力の保持
二次細胞集団を調節するASC-CMの機能的な能力の評価を利用して、ASC集団表現型とKCの創傷治癒活性を促進する能力との間の動的な相互関係性を実証した(図10D)。KCを、各夫々の時点からの2D又は3DのASC-CMの何れかに依って最高で24時間処置した。2D培養からのASC-CMに依って処置されたKCは、P2に対して相対的に、P6及びP10のASC-CMに依って処置された時に、回復創傷面積の有意な落ち込みを示した。P2に対して相対的に、P10からの3DのASC-CMで観察されるKC遊走活性の軽度の減少も認められた(図10A及びB)。総体的に、3DのASC-CMは、其れ等の2DのASC-CMカウンターパートに対して相対的に、KC遊走を増強し其れ等の夫々の創傷を閉じる有意に高い能力を維持した。KCの代謝活性は、2D拡大培養された細胞からのASC-CMに依って処置された時には減少傾向を実証し、P10ではP2のASC-CMに対して相対的に有意な減少が認められた(図10C)。経時的な3D培養からのASC-CMでは有意な違いは観察されなかった。同様に、2D培養からのASC-CMに依って処置されたKCの増殖活性は減少傾向を実証し、P10及びP2のASC-CMの間では有意な違いがあったが、KCが3D培養からのASC-CMに依って処置された時には有意な変化は認められなかった(図10D)。其の上、P6及びP10からの3DのASC-CMに依って処置されたKCの増殖活性は、其れ等の2DのASC-CMカウンターパートよりも有意に高かった。
【0058】
考察
MSCの内在的な再生特性は、再生医療及び組織工学の技術分野を前進させる事から大いなる関心を集めている。然し乍ら、MSCは典型的には、第1にドナー組織源から取り除かれ、体外で、ヒト組織の自然状態でない人工的な環境に於いて培養されなければならない。今迄の所、市販のインビトロ拡大培養システムは本質的に殆ど専ら2Dである。硬質な2Dシステムは細胞にとって非生理的であり、急速に、MSCの複能性幹細胞様の特徴の損失を、其の後の生存性の損失及び老化の誘導と共に齎す。此れ等の変化は、再生性能が有意に縮減されたMSC集団に至らせる。此れは標準化された細胞培養条件の欠如に依って複雑化し、再生治療の成長及び開発に於ける有意なボトルネックを作り出す。其れ故に、3Dであり且つ其れ等の機械、アーキテクチャ、及び基質組成特性がより組織擬態的であり、最終的には継代培養の連続的な必要性等の従来の2D培養の限定の多くを回避し得るMSC拡大培養の為の培養システムを開発する重大な必要性がある。
【0059】
3Dシステムの最近の前進は、より幹細胞様であるMSC集団の生産の方への進歩を実証している。然し乍ら、3Dシステム、例えばスフェロイド、オルガノイド、マイクロスフェア、及び多くの足場システムは、典型的には、其れ等の細胞/組織源の自然状態の力学(例えば、ASCでは脂肪の力学)を緻密には擬態せず、多くの場合に、臨床上の使用の為の大量の細胞数を達成する為の大きいバイオリアクターシステム及び連続的な継代培養を要求する。然し乍ら、組織工学に依るハイドロゲルシステムは、細胞培養システムの為の調整可能な組織擬態的なシステムを生産する事に向けて有利である様に見える。より具体的には、ハイドロゲルのより柔軟な基質に対するメカノトランスダクション応答は、幹細胞様の特徴の保持を助けると考えられる。残念乍ら、大部分の現在のハイドロゲルシステムは、細胞が長期拡大培養の為に幹細胞様表現型を維持する事を可能とする様にではなく、特定の組織系列の方への幹細胞のコントロールされた分化を促進する様に製造されている。最終的には、理想的なMSCハイドロゲル拡大培養システムは、老化から保護し乍ら、再生幹細胞様表現型の保持をも改善し、最小限の継代培養又はユーザ介入に依って長期拡大培養を可能にするであろう。
【0060】
MSCに基づく治療は有望さを実証し、1000超の治験が今迄の所米国FDAのリストに入っているが、其れ等は先に考えられた程速やかには前進していない。此れは、少なくとも部分的には、老化したMSC集団が組織再生に対して有し得る有害なインパクトを原因とすると見做される。老化は典型的にはDNA及び/又は酸化ダメージを原因とする細胞周期の停止の進行性の形態であり、此れはDNA修復モダリティが損なわれたMSCを齎す。此れ等は最早増殖せず、複能性の損失を示す。其の上、老化したMSCは、血管新生を損なう事、酸化ストレスを増大させる事、及び因子の分泌に依って炎症を悪化させる事に依って、組織再生及び創傷治癒にネガティブなインパクトを及ぼす因子を分泌する事が示されており、老化に関連する分泌表現型として公知である。此の表現型の組成は不均一であり得、老化誘導のメカニズム及び環境刺激に依存的である。因って、此れは、蓋然的には、細胞に基づく及び無細胞系の治療の両方で治験に於いて見られる患者のアウトカムの不均一性に寄与する。其れ故に、患者の為に意図される健康な同種又は自家MSC集団の老化の誘導を限定/防止するインビトロ培養の拡大培養システムを開発する事は、MSCに基づく臨床治療の効力及び一貫性を改善するであろう。
【0061】
此の現在の実施例では、従来の2D培養システムに於けるASCの培養は、先に文献で確立された通り老化の有意な増大を齎した。反対に、本発明の或る種の実施形態に従う3Dハイドロゲルシステムは、6週間の研究の過程(即ち10継代相当)に於いてASC集団の老化の有意な変化を齎さなかった。其の上、細胞の形態及びサイズの変化は表現型の変化の指標となり得る。2DのASCで見られる細胞サイズの明らかな増大は、老化の誘導と関連し得、其れ故に、β-ガラクトシダーゼイメージングデータ及び先行文献を更に支持する。総体的に、此れ等のデータは、3Dの培養及び基質の力学が老化からの保護的な役割を維持するという先の仮説を支持する。然し乍ら、本発明の或る種の実施形態に従う3Dハイドロゲルシステム(IPHB)では、継代培養の必要性は排除され、分泌副産物は、多孔性のマイクロアーキテクチャを欠如するより従来の注型成形/モールド成形ハイドロゲルに対して、より容易く利用可能である。
【0062】
同様に、MSCの幹細胞様の表現型は、其れ等の再生ポテンシャルにとって重大であり、細胞の培養環境に依存して急速に変化し得る。分化し其れ等の幹細胞様の特徴を失うMSC集団は、細胞表現型のばらつき及びセクレトーム組成の変調を齎し、最終的には細胞系及び無細胞系両方の再生MSC治療の一貫性を減少させる。其れ故に、ASC等のMSC集団は、多くの場合に、再生ポテンシャルの損失を回避する為の試み上、少数の継代イベント以内でのみ用いられる。然し乍ら、此の実施例に見る通り、2D培養の追加の1継代イベント以内でさえも、ASCは幹細胞様マーカーの其れ等の発現を有意に変調させる。其の上、3D培養に於いて6又は10継代相当(即ちP6又はP10)に亘って6週間超拡大培養されたASCは、ベースラインP2のASCに対して相対的に数個のマーカーの類似の発現レベルと、其れ等の夫々の2Dカウンターパートに対して相対的に高い発現とを維持し、MSC集団に対する2D培養システムの有害な効果と3D培養の可能性としての保護効果とを更に強調した。より長い期間に渡るMSC集団内の幹細胞様特性の保持を改善する能力は、細胞治療、再生組織工学、免疫治療、及び分泌される生物製剤の生産を包含する多数の用途にとって望ましい。
【0063】
先に言及された通り、最近のMSC治療は、可能性としての再生治療としての生物製剤を検討する事に拡張している。MSC集団は本質的に高度に適応性であり、其れ等の周囲の環境刺激を感知し、然るべく因子を分泌する事が公知である。其れ故に、分泌される生物活性化合物は、自己分泌、パラ分泌、又は内分泌的な様式で種々の組織修復プロセスを調和及び橋渡しする様に働く。此の研究では、3Dシステムに対して2Dで培養されたASCからの馴化培地を経時的に収集し、二次細胞集団KCの治療として、創傷治癒活性を促進する事に向けてASCセクレトームの表現型を機能評価する為の手段として利用した。ASC表現型は2D培養では経時的に劣化するが3Dシステムでは持続するという仮説の下で作業する本発明者等は、2D培養からのASC-CMの再生性能では徐々に低下を見せるが、3D培養からのASC-CMでは最小限の変化を見る事を予想した。此の仮説は、ASC-CMに依って処置されたKCの代謝、増殖、及び遊走データに依って支持された。2D培養からのASC-CMは、KC活性を増加させる能力の着実な低下を実証し、実施例の過程に於いて其の3Dカウンターパートに依って一貫して上回られた。
【0064】
此の実施例の限定は、生物活性な基質の何れかの寄与を排除する為に意図的に生体不活性であるハイドロゲルシステムの製剤を包含する。其れ故に、其れは分解性ではなかった。結果として、此の製剤からの細胞の充分な除去は実現可能ではなかった。因って、免疫蛍光標識をフローサイトメトリー又はRNA分析の代替として利用して、MSC集団の老化及び表現型を実証した。然し乍ら、其れ等を再懸濁する必要無しにMSC等の接着性の集団のインサイチュ可視化を行う能力は、サイトメトリーと比べて免疫標識の利点である。其の上、2D及び3D培養の間の相対的な比較は、ASC-CMの機能データとペアになって、免疫標識データを補強する支持的な且つ全体観的な視点を提供する事を助ける。但し、セクレトームのより包括的な分析が、定性的及び定量的変化の両方を評価する為には必要とされる。
【0065】
結論
此の実施例では、より緻密に其れ等の自然状態の組織の力学に似通うシステムに依ってMSCを培養する事の利益を実証する為に、3Dハイドロゲルシステムの首尾良い使用を例解している。3Dシステムはユニークなアーキテクチャデザインを含有し、此れは、取り付けられたハイドロゲル内及び間の細胞の移動をも可能にし乍ら、有効な質量及び流体輸送を妨害せず、事実上、細胞を継代培養する必要性を排除する連続的な3D培養システムを提供する。連続性は、2つのパズルピースを一緒に取り付けるように、先に播種されたハイドロゲルへの追加のハイドロゲルの追加に依って達成される。多孔性のマイクロアーキテクチャは、細胞がx、y、及びz平面に於いて相互作用し、取り付け点に於ける表面遊走に加えてハイドロゲル内及び間を遊走する為の「トンネル」システムを作り出す。
【0066】
本発明の此れ等の及び他の改変及び変形は、添付の請求項に於いてより特定して示される本発明の主旨及び範囲から逸脱する事無しに、当業者に依って実施され得る。加えて、種々の実施形態の態様が全体的に又は部分的に交換され得るという事は理解されるべきである。更に其の上、当業者は、上述の記載はあくまで例としてであり、斯かる添付の請求項に更に記載される通りの本発明を限定する事は意図されないという事を理解するであろう。因って、添付の請求項の主旨及び範囲は、本明細書に含有される変形物の例示的な記載に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0067】
1 第1のIPHB
2 第2のIPHB
10 連続的なポリマーマトリックス材料
12 上面
14 底面
16 側面エッジ部
30 マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク
33 細胞
50 噛み合わせオス構成要素
51 第1の噛み合わせオス構成要素
52 第2の噛み合わせオス構成要素
53 上面に在る噛み合わせオス構成要素
60 噛み合わせメス構成要素
61 第1の噛み合わせメス構成要素
62 第2の噛み合わせメス構成要素
63 底面の中に突き出る噛み合わせメス構成要素
100 半円柱形状のIPHB
112 上面
114 底面
116 第1の側面エッジ部
118 第2の側面エッジ部
119 弓形の側面エッジ部
150 第2の側面エッジ部から延在する第1の噛み合わせオス構成要素
153 上面に在る噛み合わせオス構成要素
160 第2の側面エッジ部の中に突き出る第1の噛み合わせメス構成要素
163 底面の中に突き出る噛み合わせメス構成要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)であって:
連続的なポリマーマトリックス材料に依って画定される三次元(3D)マクロ構造、並びに前記連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク、
を含み、
此処で、前記3Dマクロ構造は、上面と、底面と、前記上面から前記底面まで延在する少なくとも1つの側面エッジ部に依って画定される厚さとを含み、此処で、前記3Dマクロ構造の構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素と少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素とを包含する、
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記少なくとも1つの側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素を包含する、請求項1に記載のIPHB。
【請求項3】
前記少なくとも1つの側面エッジ部が第1の側面エッジ部及び第2の側面エッジ部を包含し、此処で、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記第1の側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素と、前記第2の側面エッジ部から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素とを包含する、請求項1に記載のIPHB。
【請求項4】
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記少なくとも1つの側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素を包含する、請求項1~3のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項5】
前記少なくとも1つの側面エッジ部が、第3の側面エッジ部及び第4の側面エッジ部を包含し、此処で、前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第3の側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素と、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第4の側面エッジ部から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素とを包含する、請求項3または4に記載のIPHB。
【請求項6】
前記第1の側面エッジ部及び前記第3の側面エッジ部が、対向する側面エッジ部の第1のペアを画定し、
前記第2の側面エッジ部及び前記第4の側面エッジ部が、対向する側面エッジ部の第2の ペアを画定する、
請求項5に記載のIPHB。
【請求項7】
前記底面が前記上面に対して相対的に粗いテクスチャを有し、
前記底面が複数の軽度の隆起部、例えば個々の瘤又は畝を包含する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項8】
(i)前記上面が、約0.25cm ~約25cm の巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm 、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cm を含み、
(ii)前記3Dマクロ構造の前記厚さが、約0.5cm~約3cm、例えば次の何れか:少なくとも約0.5、0.75、1、1.25、及び1.5cm、並びに/又は次の何れか:約3、2.5、2、及び1.5cmを含み、
(iii)前記3Dマクロ構造の前記厚さが、約0.5cm~約3cm、例えば次の何れか:少なくとも約0.5、0.75、1、1.25、及び1.5cm、並びに/又は次の何れか:多くとも約3、2.5、2、及び1.5cm、又は(i)~(iii)のいずれかの組み合わせである、
請求項1~7のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項9】
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素の其々が、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項10】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が非分解性である、請求項1~9のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項11】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が選択可能に分解性である、請求項1~9のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項12】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が膨潤性ハイドロゲルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項13】
前記膨潤性ハイドロゲルが、1つ以上の天然ポリマー、例えば植物に由来するポリマー及び動物に由来するポリマーを含む、請求項11または12に記載のIPHB。
【請求項14】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が、対象の自然組織に、前記対象の自然組織の約20%以内の、例えば約15%、10%、8%、5%、3%、又は1%以内の1つ以上の物理特性を包含する事に依って擬態し、此処で、前記対象の1つ以上の物理特性が柔軟性及び張力を包含する、請求項1~13のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項15】
前記連続的なポリマーマトリックス材料が、3D印刷またはデジタル光合成印刷等の付加製造技術に依って形成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項16】
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークが、例えば、対象の自然組織の形態を反映する様に前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの形状及び寸法を変える事に依って、前記対象の自然組織の形態に擬態する構造である、請求項1~15のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項17】
(i)平均直径が、約100~約800ミクロン、例えば次の何れか:少なくとも約100、120、150、180、200、220、及び250ミクロン、並びに/又は次の何れか:多くとも約800、780、750、720、700、680、650、620、600、580、550、520、500、480、450、420、400、380、350、320、300、280、及び250ミクロンを含み、
(ii)前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークが、前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば次の何れか:前記3Dマクロ構造の少なくとも約40、50、60、及び70体積%、並びに/又は次の何れか:前記3Dマクロ構造の多くとも約90、85、80、75、及び70体積%を含み、または、
(iii)(i)と(ii)の両方である、
請求項1~16のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項18】
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークと連続的なポリマーマトリックス材料との間の境界面が、対象の初代細胞の接着を促進する為に選択されるコンパティビライザーのコーティングを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のIPHB。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の複数のIPHBを含む足場形成システム。
【請求項20】
前記複数のIPHBが、第1の噛み合わせオス構成要素を包含する第1のIPHBと、第2の噛み合わせメス構成要素を包含する第2のIPHBとを包含し、
此処で、前記第1の噛み合わせオス構成要素が前記第2の噛み合わせメス構成要素内に挿入され、
此処で、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBが其々膨潤した状態で提供され、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBの噛み合わせを改善し、前記膨潤した状態は、水又は培養培地等の液体の吸収性により提供される、請求項19に記載の足場形成システム。
【請求項21】
前記第1のIPHBがマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第1のネットワークを有し、前記第2のIPHBがマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第2のネットワークを有し、此処で、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBが噛み合わせられ、集合的な連続的なマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを画定する時には、前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第1のネットワークの第1の部分が、前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第2のネットワークの第1の部分と少なくとも部分的にオーバーラップする、請求項20に記載の足場形成システム。
【請求項22】
前記第1のIPHBが第1の初代細胞を播種され、前記第2のIPHBが第2の初代細胞を播種され、此処で、前記第1の初代細胞が前記第2の初代細胞とは異なる、請求項20または21に記載の足場形成システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
本発明の此れ等の及び他の改変及び変形は、添付の付記に於いてより特定して示される本発明の主旨及び範囲から逸脱する事無しに、当業者に依って実施され得る。加えて、種々の実施形態の態様が全体的に又は部分的に交換され得るという事は理解されるべきである。更に其の上、当業者は、上述の記載はあくまで例としてであり、斯かる添付の付記に更に記載される通りの本発明を限定する事は意図されないという事を理解するであろう。因って、添付の付記の主旨及び範囲は、本明細書に含有される変形物の例示的な記載に限定されるべきではない。
〔付記1〕
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)であって:
連続的なポリマーマトリックス材料に依って画定される三次元(3D)マクロ構造、並びに前記連続的なポリマーマトリックス材料中に延在するマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワーク、
を含み、
此処で、前記3Dマクロ構造は、上面と、底面と、前記上面から前記底面まで延在する少なくとも1つの側面エッジ部に依って画定される厚さとを含み、此処で、前記3Dマクロ構造の構造は、少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素と少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素とを包含する、
インターロッキング多孔性ハイドロゲルブロック(IPHB)。
〔付記2〕
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記少なくとも1つの側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素を包含する、付記1に記載のIPHB。
〔付記3〕
前記少なくとも1つの側面エッジ部が第1の側面エッジ部及び第2の側面エッジ部を包含し、此処で、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記第1の側面エッジ部から外向きに延在する第1の噛み合わせオス構成要素と、前記第2の側面エッジ部から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素とを包含する、付記1に記載のIPHB。
〔付記4〕
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記上面から外向きに延在する第3の噛み合わせオス構成要素を包含する、付記1~3に記載のIPHB。
〔付記5〕
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記少なくとも1つの側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素を包含する、付記1~4に記載のIPHB。
〔付記6〕
前記少なくとも1つの側面エッジ部が、第3の側面エッジ部及び第4の側面エッジ部を包含し、此処で、前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第3の側面エッジ部から内向きに延在する第1の噛み合わせメス構成要素と、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第4の側面エッジ部から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素とを包含する、付記3~5に記載のIPHB。
〔付記7〕
前記第1の側面エッジ部及び前記第3の側面エッジ部が、対向する側面エッジ部の第1のペアを画定する、付記6に記載のIPHB。
〔付記8〕
前記第2の側面エッジ部及び前記第4の側面エッジ部が、対向する側面エッジ部の第2のペアを画定する、付記6~7に記載のIPHB。
〔付記9〕
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記底面から内向きに延在する第3の噛み合わせメス構成要素を包含する、付記6~8に記載のIPHB。
〔付記10〕
前記3Dマクロ構造が、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、立方体、四角柱、又は三角柱を画定する、付記1~10に記載のIPHB。
〔付記11〕
前記3Dマクロ構造が、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、3~12つの側面エッジ部、例えば少なくとも約3、4、5、6、7、及び8つの側面エッジ部、並びに/又は次の何れか:多くとも約12、11、10、9、及び8つの側面エッジ部を有する多角柱を画定する、付記1~10に記載のIPHB。
〔付記12〕
前記少なくとも1つの側面エッジ部が、第1の側面エッジ部と、第2の側面エッジ部と、前記第1の側面エッジ部及び前記第2の側面エッジ部の間に且つ其れ等に隣接して在る弓形の側面エッジ部とを包含する、付記1に記載のIPHB。
〔付記13〕
前記第1の側面エッジ部が、前記第1の側面エッジ部から外向きに延在する前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を包含し、前記第2の側面エッジ部が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記第2の側面エッジ部から内向きに延在する前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を包含する、付記13に記載のIPHB。
〔付記14〕
前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素が、前記上面から外向きに延在する第2の噛み合わせオス構成要素を包含する、付記13~14に記載のIPHB。
〔付記15〕
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素が、前記3Dマクロ構造の内側部分の方へ前記底面から内向きに延在する第2の噛み合わせメス構成要素を包含する、付記13~15に記載のIPHB。
〔付記16〕
前記3Dマクロ構造が、前記少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素及び少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素を例外として、半円柱、例えば円柱の1/8~円柱の1/2、例えば円柱の1/8、1/4、1/3、又は1/2を画定する、付記13~17に記載のIPHB。
〔付記17〕
前記底面が前記上面に対して相対的に粗いテクスチャを有する、付記1~17に記載のIPHB。
〔付記18〕
前記底面が複数の軽度の隆起部、例えば個々の瘤又は畝を包含する、付記18に記載のIPHB。
〔付記19〕
前記上面が、約0.25cm ~約25cm の巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm 、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cm を含む、付記1~19に記載のIPHB。
〔付記20〕
前記上面が、約0.25cm ~約25cm の巨視的な表面積、例えば次の何れか:少なくとも約0.25、0.5、.75、1、1.5、2、5、8、10、及び12cm 、並びに/又は次の何れか:約25、22、20、18、15、及び12cm を含む、付記1~20に記載のIPHB。
〔付記21〕
前記3Dマクロ構造の前記厚さが、約0.5cm~約3cm、例えば次の何れか:少なくとも約0.5、0.75、1、1.25、及び1.5cm、並びに/又は次の何れか:多くとも約3、2.5、2、及び1.5cmである、付記1~21に記載のIPHB。
〔付記22〕
前記少なくとも1つの噛み合わせメス構成要素の其々が、第2のIPHBの対応する少なくとも1つの噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される、付記1~22に記載のIPHB。
〔付記23〕
前記連続的なポリマーマトリックス材料が非分解性である、付記1~23に記載のIPHB。
〔付記24〕
前記連続的なポリマーマトリックス材料が選択可能に分解性である、付記1~24に記載のIPHB。
〔付記25〕
連続的なポリマーマトリックス材料が、3Dの架橋されたポリマーネットワーク、架橋されていないポリマーネットワーク、又は其れ等の組み合わせを含む、付記1~25に記載のIPHB。
〔付記26〕
前記連続的なポリマーマトリックス材料が膨潤性ハイドロゲルを含む、付記1~26に記載のIPHB。
〔付記27〕
前記膨潤性ハイドロゲルが、少なくとも、アクリレート又はメタクリレート官能基を包含する第1のモノマーと、少なくとも2つのフリーラジカル重合可能な官能基を包含する第2のモノマー又はオリゴマーとのラジカルに依って媒介される反応産物を含む、付記27に記載のIPHB。
〔付記28〕
前記少なくとも2つのフリーラジカル重合可能な官能基が、互いに独立して、アクリレート又はメタクリレート基、アリル基、アルキニル、ビニルニトリル、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、スチレン基、マレイン酸基、フマル酸基、又はノルボルネン基を含み得る、付記28に記載のIPHB。
〔付記29〕
前記モノマー又は第2のモノマーの少なくとも1つが、前記モノマーの主鎖に組み込まれた及び/又は前記モノマーに側鎖若しくは側鎖の構成要素としてグラフトされた以下:ポリエチレングリコール官能性(例えば、-O(C O) H(此処で、nは1~100の値を有する)、ポリプロピレングリコール官能性(例えば、-O(C O) H(此処で、nは1~100の値を有する)、及び/又はグリセロール官能性を含む、付記28~29に記載のIPHB。
〔付記30〕
前記モノマー又は第2のモノマーの少なくとも1つが、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(MPEGA)、N-メチルアセトアミド(NMA)、又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を含む、付記28~29に記載のIPHB。
〔付記31〕
前記膨潤性ハイドロゲルが、1つ以上の天然ポリマー、例えば植物に由来するポリマー及び動物に由来するポリマーを含む、付記27に記載のIPHB。
〔付記32〕
前記連続的なポリマーマトリックス材料が、対象の自然組織に、前記対象の自然組織の約20%以内の、例えば約15%、10%、8%、5%、3%、又は1%以内の1つ以上の物理特性を包含する事に依って擬態し、此処で、前記対象の1つ以上の物理特性が柔軟性及び張力を包含する、付記1~32に記載のIPHB。
〔付記33〕
前記連続的なポリマーマトリックス材料が、デジタル光合成印刷の3D印刷等の付加製造技術に依って形成される、付記1~33に記載のIPHB。
〔付記34〕
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークが、例えば、対象の自然組織の形態を反映する様に前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークの形状及び寸法を変える事に依って、前記対象の自然組織の形態に擬態する構造である、付記1~34に記載のIPHB。
〔付記35〕
平均直径が、約100~約800ミクロン、例えば次の何れか:少なくとも約100、120、150、180、200、220、及び250ミクロン、並びに/又は次の何れか:多くとも約800、780、750、720、700、680、650、620、600、580、550、520、500、480、450、420、400、380、350、320、300、280、及び250ミクロンを含む、付記1~35に記載のIPHB。
〔付記36〕
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークが、前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば次の何れか:前記3Dマクロ構造の少なくとも約40、50、60、及び70体積%、並びに/又は次の何れか:前記3Dマクロ構造の多くとも約90、85、80、75、及び70体積%を含む、付記1~36に記載のIPHB。
〔付記37〕
前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークと連続的なポリマーマトリックス材料との間の境界面が、対象の初代細胞の接着を促進する為に選択されるコンパティビライザーのコーティングを含む、付記1~36に記載のIPHB。
〔付記38〕
付記1~38の何れか1項に記載の複数のIPHBを含む足場形成システム。
〔付記39〕
前記複数のIPHBが、第1の噛み合わせオス構成要素を包含する第1のIPHBと、第2の噛み合わせメス構成要素を包含する第2のIPHBとを包含し、此処で、前記第2の噛み合わせメス構成要素は前記第1の噛み合わせオス構成要素を受ける様に構成される、付記39に記載の足場形成システム。
〔付記40〕
前記第1の噛み合わせオス構成要素が前記第2の噛み合わせメス構成要素内に挿入され、此処で、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBが其々膨潤した状態で提供され、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBの噛み合わせを改善し、前記膨潤した状態は、水又は培養培地等の液体の吸収性により提供される、付記40に記載の足場形成システム。
〔付記41〕
前記第1のIPHBがマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第1のネットワークを有し、前記第2のIPHBがマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第2のネットワークを有し、此処で、前記第1のIPHB及び前記第2のIPHBが噛み合わせられ、集合的な連続的なマイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバのネットワークを画定する時には、前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第1のネットワークの第1の部分が、前記マイクロポーラスチャンネル及び/又はチャンバの第2のネットワークの第1の部分と少なくとも部分的にオーバーラップする、付記40~41に記載の足場形成システム。
〔付記42〕
前記第1のIPHBが第1の初代細胞を播種され、前記第2のIPHBが第2の初代細胞を播種され、此処で、前記第1の初代細胞が前記第2の初代細胞とは異なる、付記39~42に記載の足場形成システム。
【国際調査報告】